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成人喘息患者の特徴の変化を分析 今後の課題が浮き彫りに

 名古屋第二赤十字病院呼吸器内科の石原 明典氏らは、急性増悪で入院となった成人喘息患者の特徴をレトロスペクティブに分析し、その変化について調べた。その結果、65歳未満の患者については、吸入ステロイド薬(ICS)の使用が一般的になってきているが喫煙率も上がっているという特徴が、また65歳以上の高齢患者については若い人よりもICSの使用率が高く喫煙率も高くないといった特徴が明らかになった。これらの所見を踏まえて、著者は「高齢者における喘息は、難治例が多い可能性があり、より効果的な治療戦略が必要と思われる」と報告している。 本検討は、自院に入院となった成人喘息患者の特徴を分析することで、喘息の予防と治療に関する残された課題を明らかにすることが目的であった。 研究グループは、2つの期間(A:2004年1月~2005年12月、B:2009年1月~2010年12月)に同院に入院した成人喘息患者を特定し、年齢、喫煙歴、ICS使用(配合剤を含む)などについてレトロスペクティブに分析した。 主な結果は以下のとおり。・各期間の総計患者数は、A群161例、B群88例であった。B期間患者数はA期間患者数と比べて約半減していた。・各群における65歳以上患者の割合は、同程度であった。・年齢で層別化した場合、65歳未満患者のICS使用率は、A群22.9%、B群35.8%であった。また現在喫煙率はA群42.7%、B群49.1%であった。・一方、65歳以上患者のICS使用率は、A群46.2%、B群48.6%であった。また現在喫煙率はA群19.7%、B群22.9%であった。・以上のように、65歳未満の喘息入院患者では、ICSが普及してきている一方で喫煙率が上昇しているとの特徴がみられた。ICSの効果が喫煙により抑制されていることが推察され、急性増悪を減らすために禁煙戦略が必要と思われた。・65歳以上患者では、ICSの使用が相対的に若い人より多いこと、また喫煙率も高くないという特徴がみられた。難治例が多いと推測され、高齢者の喘息におけるより効果的な戦略が必要と思われた。

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新規の吸入器、操作説明書を読むだけで99.3%が正しく操作

 喘息治療薬の新たな吸入器エリプタは、従来吸入器と比べて、誤操作の発生頻度が有意に低く、被験者の99.3%が操作説明書を読むだけで重大な誤操作を生じることなく操作可能であったことが、日本人を対象とした検討の結果、示された。聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院呼吸器内科の駒瀬 裕子氏らが、ドライパウダー吸入器の使用経験がない149例を対象とした薬剤非介入、無作為化非盲検試験の結果を報告した。エリプタは、同じく新規開発の1日1回吸入タイプのICS/LABA配合剤、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)のデバイスとして開発された。アレルギー・免疫誌2014年1月号掲載の報告。年齢中央値65歳149例を対象に、3つのデバイスの操作性を評価 試験は、単施設(都内クリニック)で、他吸入器対照、3群クロスオーバーのデザインにて行われた。 研究グループは149例(年齢中央値65歳、うち男性75例)を、3つのデバイス[エリプタ(EP)、ディスカス(DK)、タービュへイラー(TH)]について異なる順番でデバイス操作の評価を受けるよう、6つの評価群に無作為に割り付けた。被験者に操作説明書を渡し、納得するまで読んでもらった後、操作手技を実演してもらい1回目の評価。次に評価者が実演した後、被験者に実演してもらい2回目の評価。2回目の操作が正しくできた場合は、次の吸入器の評価に移行するという方法で試験を進めた。2回目も誤操作した場合は、正しく操作できるまで指導を繰り返し、その時間を測定・記録した。 主要評価項目は、1回目の操作における誤操作の発生頻度とした。1回目に重大誤操作発生はEP群0.7%に対し、DK群19.5%、TH群68.5% 結果、1回目の操作で誤操作を生じた被験者の割合は、EP群2.7%(95%信頼区間[CI]:0.7~6.7)であった一方、DK群38.3%(同:30.4~46.6)、TH群83.2%(同:76.2~88.8)で、エリプタを基準としたオッズ比はDK群22.46(同:7.88~63.97)、TH群179.77(同:60.91~530.58)であった。 また、1回目の操作で「重大」な誤操作を生じた被験者の割合はそれぞれ、0.7%(同:0.0~3.7)、19.5%(同:13.4~26.7)、68.5%(同:60.3~75.8)であり、オッズ比はDK群35.74(同:4.80~266.07)、TH群320.99(43.61~2,362.56)であった。EP群で1回目の操作で重大な誤操作および誤操作を生じた被験者の割合は、他の両デバイス群と比較して有意に低かった(p<0.0001)。 このほか、被験者への質問票に基づく吸入器の操作性に関する評価では、最も操作しやすい吸入器としてエリプタを選択した被験者は121例(81.2%)であった[DK 24例(16.1%)、TH 4例(2.7%)]。エリプタを選択した理由としては、「操作方法のシンプルさ」が112例(75.2%)で最も多かったことが示されている。 以上を踏まえて著者は、「エリプタは、ドライパウダー吸入器の使用経験がない被験者でも、操作説明書を読むだけで99.3%が重大な誤操作を生じることなく操作することができた。このことから、正しい操作が容易に達成できる吸入器であることが確認できた」とまとめている。

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ゴキブリはピロリ菌を媒介するかもしれない【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第15回

ゴキブリはピロリ菌を媒介するかもしれないピロリ菌はおそらく経口感染であることは示唆されていますが、現時点で感染経路についてのコンセンサスはありません。消化器内科医や感染症科医にとっては有名な話かもしれませんが、ピロリ菌(Helicobacter pylori)を媒介する生物としてゴキブリ説があります。―――私はゴキブリが嫌いです。なぜかと問われても論理立てて説明できないのですが、とにかくキライなものはキライなんです。というわけで、ここではその写真を決して掲載しませんのでどうぞご安心ください。なんだかゴキブリと書くだけで寒気がしそうなので、申し訳ありませんが、この記事ではゴキブリのことを便宜的に「コックさん」と書かせてください。コックローチのコックさんです。Imamura S, et al.Vector potential of cockroaches for Helicobacter pylori infection.Am J Gastroenterol. 2003;98:1500-1503.この論文は、ピロリ菌の媒介生物としてコックさんを検証したものです。コックさんは3日間の絶食の後、ピロリ菌が含まれる環境と含まれない環境で餌と水を与えられました。その後、汚染されていない容器に移し、コックさんの足や体といった外殻部分と排泄物に対して、迅速ウレアーゼ試験やPCRを用いてピロリ菌の存在を調べました。コックさんを容器に移してから24時間後の排泄物からは、ピロリ菌が培養されました。迅速ウレアーゼ試験は3日後まで、PCRは7日後まで陽性が続きました。それに対して、コックさんの外殻からはピロリ菌はほとんど検出されませんでした(PCRは1日後まで陽性)。この結果、コックさんの排泄物が媒介となる可能性が示唆されました。ただ、ヒトにピロリ菌を媒介したということを証明した試験ではないため、あくまで一つの説として位置付けておくべきかもしれません。コックさんは小児のアレルギーや気管支喘息を起こす生物として知られており(Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2013;4:417-425.、J Allergy Clin Immunol. 2003;112:87-92.)、家からコックさんを追い出すことに個人的には異論はありません。

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チオトロピウム、軽症から重症までの喘息に対する有効性示す~2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI2014)~

※チオトロピウム レスピマットは、現在喘息の治療薬として承認されていないのでご留意ください。 2014年3月1日、米国サンディエゴで開催された2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI)で、チオトロピウムの新たな第3相試験結果第3相試験GraziaTinA-asthmaの結果が発表され、低用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムレスピマットが肺機能を改善し、忍容性も良好であったことが示された。 GraziaTinA-asthma試験の筆頭著者であるピサ大学呼吸器内科准教授Prof. Pierluigi Paggiaro氏は、現在の治療選択肢をもってしてもなお、喘息患者の少なくとも40%がコントロール不十分で、喘息増悪リスクが高まることがあるため、あらゆる重症度の喘息患者において、新しい治療選択肢の安全性と有効性を検討することが重要であると述べた。 同学会では、GraziaTinA-asthma以外のチオトロピウムの気管支喘息についての大規模試験結果も報告されている。中等症を対象とした第3相試験MezzoTinA-asthmaの新たなサブ解析結果からは、中用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもコントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムの1日1回の追加投与は、アレルギーの有無に関わらず、気道の閉塞を抑制することが示された。 重症例を対象とした第3相試験PrimoTinA-asthmaのサブ解析結果からは、吸入ステロイド薬/長時間作用性β刺激薬の併用治療を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムの1日1回の追加投与が、ロイコトリエン受容体拮抗薬の併用の有無に関わらず、肺機能を改善することが示された。 これらの試験結果から、ベーリンガーインゲルハイムは、チオトロピウムレスピマットがあらゆる重症度の喘息において、有効かつ忍容性が良好であることが示されたと発表した。ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはこちら

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新しい喘息治療薬、FF/VIへの期待

 フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)配合剤(商品名:レルベア)は、新しい吸入器(エリプタ)を用いた気管支喘息に対する新規吸入用散剤であり、ICS/LABA配合剤としては、世界初の1日1吸入タイプの薬剤である。国立病院機構東京病院の大田 健氏らは、FF/VIの現時点におけるエビデンスをまとめ、「使用が簡便であることから、アドヒアランスや喘息コントロールを改善させうる可能性があり、実医療下で高い効果が期待できる薬剤であると考えられる」と報告した。アレルギー・免疫誌2014年1月号の掲載報告。日本人を含む国内外の臨床試験で喘息患者への有用性を検証 FF/VIは日本人を含む国内外の臨床試験により、喘息患者に対する有用性が検証され開発された新規吸入用散剤である。本報告では、FF、VIの用量設定試験の結果、FF/VI配合剤としての臨床試験結果などの概要が紹介されている。 用量設定試験により、有効性および忍容性の観点からICSであるFFは100μgおよび200μgの2用量が、LABAであるVIは25μgが喘息患者における適切な用量として選択された。またVIは、1日1回夜投与で24時間効果が持続する新規LABAであることが、海外試験(喘息患者対象7日間の二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験、12.5μgを1日1回夜vs. 6.25μgを1日2回投与)により確認・報告された。呼吸機能改善効果を24時間維持、忍容性も良好 FF/VI配合剤は、朝 vs. 夜投与の海外比較試験の結果、投与時間帯の違いによる日内変動への影響は観察されず、いずれの投与でも1日1吸入で呼吸機能改善効果を24時間維持した。また、日本人を含む国際共同二重盲検並行群間比較試験で、FF単剤よりも重度の喘息増悪の発現リスクが20%低下した(p=0.036)。ACQ7スコア0.75超の被験者についての評価でも、同スコア0.75以下へと良好に管理される可能性がFF単剤よりも約50%有意に高い(p<0.001)ことが示されている。 既存のICS/LABA配合剤との比較試験は、フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)/サルメテロール(SLM)配合剤(FP/SLM、商品名:アドエア)との検討が行われた。12歳以上806例を対象とした海外二重盲検比較試験の結果、FF/VI 100/25μg 1日1回投与の臨床効果(治療24週間で評価)は、FP/SLM 250/50μg 1日2回投与と同程度であることが確認された。主要評価項目の24週時点のFEV1加重平均値(投与後0~24時間)の群間差(調整済p=0.162)、また副次評価項目のFEV1トラフ値、ACTスコア、AQLQスコアなども群間差が認められなかった(それぞれp=0.485、p=0.310、p=0.130)。 長期投与の安全性試験は国内外で行われ忍容性が確認された。本邦では18歳以上241例を対象とした52週間の多施設共同非対照並行非盲検試験が行われている。FF/VI 100/25μg(60例)、FF/VI 200/25μg(93例)、FF 100μg(90例)の3群にて検討した結果、副作用の発現率はそれぞれ23%、28%、18%で、FF/VI群での発現率に大きな違いはないことが確認されている。主な副作用は、ICSや吸入剤で知られている口腔カンジダ症、発声障害など、あるいはβ2刺激薬で知られている事象ですべて軽度であった。24時間尿中コルチゾール排泄量の評価(72例)では、FF単剤群ではベースライン時から52週時点までに約20%の減少が認められたが、FF/VI群では大きな減少は認められなかった。 以上を踏まえて著者は、「FF/VIはその簡便性から、実医療下で高い効果が期待できる薬剤であり、必ずしも十分とはいえない本邦の喘息コントロール状況が改善することを期待したい」とのコメントを記している。

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今後の喘息治療では何が求められるのか

 2014年1月27日(月)、東京都千代田区でグラクソ・スミスクライン株式会社により、気管支喘息治療剤「レルベア エリプタ」(一般名:ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル)のメディアセミナーが開催された。本剤は昨年12月9日に発売された新規のICS/LABA製剤である。当日は3つの講演が行われた。 【なぜレルベアが患者にとって重要か】 はじめに、同社呼吸器事業本部長であるエリック・デュベイ氏より、レルベアの患者さんへのベネフィットを中心とした講演が行われた。  デュベイ氏は、レルベアは1日1回1吸入で喘息症状に対する有効性(FEV1改善、QOLの向上など)が期待できるICS/LABAであること、また吸入デバイス(エリプタ)についても、より使いやすいよう開発されているため服薬アドヒアランス向上が期待できることを述べた。さらに、安全性のプロファイルについても、同社よりすでに発売されている1日2回吸入のICS/LABA製剤であるアドエアと同等であるという。【喘息患者の現状とガイドライン治療目標との間に大きな開き】 続いて、国際医療福祉大学 臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科教授である足立 満氏により「喘息治療 最新の実態と課題」と題する講演が行われた。 足立氏は、喘息の治療薬は、1990年代初頭を境に気道の狭窄に対する気管支拡張薬主体の治療薬から気道の慢性炎症に対する抗炎症薬主体の治療薬にシフトした、と述べた。これらを背景に喘息死は年々減少しているが、喘息治療の目標である「健常人と変わらない日常生活が送れるようにする」という点については十分といえないのが現状だという。事実、AIRJ(全国喘息患者電話実態調査)2011の結果から、喘息患者の実際のコントロール状態と治療目標との間には大きな開きがあることがわかっている1)。 さらに足立氏は、喘息治療における課題として治療継続率の低さを挙げた。この主な原因として「自己判断による中止」、「服薬を忘れる」、「服薬の手間」などがある。服薬については、喘息患者の多くが1日1回の吸入が治療を望んでいる現状がある。また、高齢化の進む今、より簡便なデバイスが求められるようになっているため、「レルベア」は1日1回1吸入、より使いやすい吸入デバイスであるという点で、治療継続率の向上が期待できるという。【レルベアの登場で今後の喘息治療はどう変わるのか】 最後に、広島アレルギー呼吸器クリニックの保澤 総一郎氏により「治験・患者アンケートからみる今後の喘息治療への期待」として講演が行われた。 保澤氏によると、喘息悪化の原因はさまざまだが、喘息症状により気道収縮を繰り返すと気道のリモデリングが起こり、難治化するという。その点、ICS/LABAは気道リモデリング抑制効果が期待できると述べた。レルベアのICSであるフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)は吸入ステロイド薬のなかで、最もグルココルチコイド受容体親和性を示し、強い抗炎症効果がある。加えて、グルココルチコイド受容体の核内移行作用も長時間持続することから、持続的な抗炎症効果が期待できるという。 保澤氏は足立氏同様、服薬アドヒアランスを喘息治療における課題としている。実際、保澤氏のクリニックで行われた調査では、1日1回1吸入を支持する患者は8割以上に上っている。    保澤氏は、レルベアが1日1回1吸入であることに加え、朝・夜いずれの服用においても呼吸機能改善効果が24時間維持され、安全性にも影響が認められなかったことから、喘息の服薬アドヒアランス向上への期待感を示した。そのうえで、より良い喘息治療の実現を目指すにあたってレルベアは有用な選択肢となりうると締めくくっている。1)足立満ほか. アレルギー・免疫. 2012; 19: 1562-1570.

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1日1回投与の新規喘息治療薬、国内長期投与における安全性・有効性を確認

 成人気管支喘息患者を対象とした52週間長期投与試験の結果、1日1回投与タイプの新規吸入薬フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール配合剤(FF/VI、商品名:レルベア)およびFF(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)単剤は、いずれも忍容性が良好であり、朝・夜のピークフロー値(PEF)および喘息症状の改善・維持が認められた。近畿大学医学部奈良病院 呼吸器・アレルギー内科教授の村木 正人氏らが、日本人の患者243例について行った多施設共同・非対照・非盲検試験の結果を報告した。アレルギー・免疫誌2013年10月号掲載の報告より。日本人243例にFF/VI 100/25μg、同200/25μg、FF 100μgを52週投与し検討 試験は、喘息治療薬を定期使用している18歳以上患者を対象とし、30施設で被験者を登録して行われた。既存の治療薬に応じて被験者を、(1)FF/VI 100/25μg(2)同200/25μg、(3)FF 100μgを、1回1吸入、1日1回夜投与のいずれかに切り替え52週間投与し、安全性と有効性を評価した。 安全性は、有害事象(試験薬との因果関係問わず)と副作用(試験薬との因果関係あり)を評価。有効性は、観察期間開始日(試験薬投与開始の2週間前)に配布した患者日誌に基づき、PEF(朝と夜の試験薬投与前に測定)、喘息症状関連項目(喘息症状スコア、24時間無症状日数の割合、24時間救済薬未使用日数の割合)を評価した。解析はintent-to-treat(試験薬を1回以上投与した全患者と定義)にて行われ、中止例も含む243例を組み込み評価した。全投与群で朝・夜PEFが有意に改善、喘息症状も改善 被験者243例の内訳は、FF/VI 100/25μg群60例(女性63%、51.3歳、スクリーニング時%FEV1 93.00%)、同200/25μg群93例(同53%、52.6歳、88.42%)、FF 100μg群90例(同60%、46.8歳、90.78%)であった。試験完了例は220例(それぞれ55例、79例、86例)であった。 結果、いずれの治療群も52週間投与時の忍容性は良好であった(36週超投与はそれぞれ95%、85%、96%)。服薬コンプライアンスは全投与群とも98%以上と良好であった。 有害事象の発現頻度は12週あるいは24週ごとにみても同程度で、長期投与による増加の傾向は認められなかった。副作用(それぞれ23%、28%、18%)は、多くが口腔カンジダ症や発声障害などICSやβ2刺激薬で知られている事象であった。重篤な副作用はFF/VI 100/25μg群の肺炎1例(2%)のみで、同症例は抗菌薬治療にて回復している。 有効性については、全投与群において、朝および夜のPEF共に有意な改善が認められた。ベースライン時からの変化量の平均値(SD)は、FF/VI 100/25μg群朝18.29(36.30%)・夜20.23(35.27%)、同200/25μg群朝23.98(38.67%)・夜26.29(40.51%)、FF 100μg朝12.38(32.30%)・夜15.64(30.77%)であった。また、すべての評価時点(12、24、36、52週)で全投与群共有意な改善が認められた。 喘息症状関連項目も有意ではないが数値的に改善が認められている。有意な改善が認められたのは、FF 100μg群の24週後の喘息症状スコア(ベースライン時からの変化量の平均値[SD]:-0.20[0.85%])および24時間無症状日数の割合(同:8.60[27.70%])と、FF/VI 200/25μg群の52週後の24時間救済薬未使用日数の割合(同:4.57[15.42%])であった。 以上を踏まえて著者は、「日本人成人気管支喘息患者に対するFF/VI100/25μg、同200/25μgまたはFF100μgの1回1吸入、1日1回夜投与の長期投与時の忍容性は良好であった。また、PEFおよび喘息症状にも改善がみられ、52週間を通して維持された」と結論している。

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カミナリ喘息【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第11回

カミナリ喘息呼吸器内科医として、研修医の方々に「雷やストレスは気管支喘息を悪化させるリスク因子なんだよ」と薀蓄(うんちく)を酒の肴に語ることがあります。「本当なんですか?」と言われて、「あれ、どうだったっけ?」と思い、調べなおしてみました。結論としては、雷によってある程度の気管支喘息の悪化が観察されるようです。今回紹介する論文以外にも、過去にいくつか報告があります(J Epidemiol Commun Health. 1997;51:233-238)。Dales RE, et al.Dales RE, et al.The role of fungal spores in thunderstorm asthma.Chest. 2003;123:745-750.この研究は雷による気管支喘息、すなわち「カミナリ喘息」について入院した小児に基づいて報告されたものです。東オンタリオ小児病院のデータを用いて解析されました。雷雲が観察された日(151日)は、そうでなかった日(919日)と比較して、1日あたりの気管支喘息による受診が8.6人/日から10人/日と15%増加しました(p<0.05)。また、真菌の飛散胞子は雷雲が観察された日では約2倍に増えていたと報告されました(不完全菌類が1,512/m3から2,749/m3に増加)。真菌のほとんどがクラドスポリウムでした。また、担子菌類も雷雲が観察された日に有意に多かったそうです。過去の試験では、悪天候によって数倍から10倍という喘息発作の頻度の増加がみられたという報告もあるのですが、現時点ではこの東オンタリオ小児病院の15%程度の増加というのが現実的に妥当なデータだろうと考えられています。ただ、雷、雨、風のすべての因子を独立して検証することは気象学的に不可能ですので、雷単独が気管支喘息を悪化させるかどうかはわかりません。雨や雷といった悪天候の場合、花粉や真菌は雨とくっついて大気中から減るというイメージがあります。飛散量が確実に増えるのか減るのか、まだまだ議論の余地があります。しかし強い風によって飛散量が増えるため、悪化するのではないかという見解(Lancet. 1985; 2:199-204)があるだけでなく、悪天候の前の日が“晴れ”だった場合、舞い上がったアレルゲンが雨とともに落下してくるといわれています。そのため、雨であろうとアレルゲンが一時的に増えることがあります。とくに、小雨のときは上空から落下してくる雨粒が途中で蒸発してしまい、花粉や真菌だけが地表に落下してくると考えられています。

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より良好な喘息管理を目指し…スマホアプリを追加

グラクソ・スミスクライン(GSK)社は吸入ステロイド薬のパイオニアとして30年余にわたり世界の喘息治療に貢献している。同時に患者の啓発についても、永年にわたり力を注いでいる。近年は、インターネットでも積極的に情報配信しており、本邦でも喘息総合情報サイトZensoku.jp(http://zensoku.jp)で、一般大衆や患者に対する喘息の啓発に取り組んでいる。そのようななか、およそ1年前より、喘息患者を対象にした本邦オリジナルのスマートフォン(iPhone)アプリを公開している。今回提供しているそのアプリについて、グラクソ・スミスクライン株式会社 呼吸器事業本部 中島康一郎氏に聞いた。アプリ開発の背景には、喘息における服薬継続率の低さがある。これには、症状がないため服薬が滞る、症状の増悪に対する病識がなく受診しないなど多くの理由があるものの、喘息治療における治療アドヒアランスは喫緊の問題だといえる。このような状況のなか、日々の喘息管理に役立ツールが欲しいという、患者の声、医師の声は常にあったという。同社が開発した喘息アプリは2種。ひとつは成人患者向けアプリ「ぜんそくアプリ」、もう一つは小児患者の母親向けアプリ「ぜんそくよくな〜れ!」である。いずれも対象患者の特性を考慮し、使いやすく設計されている。豊富な情報を提供し、アドヒアランスをサポートする「ぜんそくアプリ」主なアプリ機能カレンダー(アラーム機能付き)喘息コントロールテスト日替りコンテンツ など毎日の喘息症状をチェックし、記録に残す事は長期管理にとって有用である。しかし、日々こまめにアナログで記録する事は容易ではない。当アプリの機能の一つ“カレンダー”は、毎日の症状を4段階のアイコンから選びタップするという、簡単な方法で喘息症状を記録できる。また、症状チェックとともに、毎日の服薬チェック機能もあり服薬継続をサポートしている。さらに、症状を記録するメモ機能、動画撮影機能がある。これは増悪や症状出現時、メモで記録したり、その状態をスマホのビデオで撮影できる。この機能を活用し、診察時に主治医に見せる事で客観的な情報を提供できる機能である。喘息のコントロール状況を客観的指標で評価することも重要なことである。当アプリの“喘息コントロールテスト”には、世界的な喘息評価指標であるACT(Asthma Control Test)の質問票が入っており、その指標を用いてコントロール状態を評価することができる。この評価は1ヵ月ごとに記録され12ヵ月分がグラフ化される。これにより中長期のコントロール状況が客観的に把握できる。さらに、日々の生活の中で治療アドヒアランスを向上させるために、服薬や受診日、コントロールテスト実施日のアラーム機能も付いている。服薬アラームについては、3薬剤まで登録でき、服薬時間を設定すると薬剤ごとにアラームで知らせてくれる。薬剤は製品名で登録でき、グラクソ・スミスクライン製品であれば自動的にその製品の指導書や指導ビデオが見られる機能もつく。高齢者など適正な吸入手技を完璧に覚えていることが容易ではない患者にとっても有用な機能である。ACTについてはこちら http://zensoku.jp/tools/tools_002.html「ぜんそくアプリ」のトップ画面、“カレンダー”には記録された喘息症状が表示される毎日の症状を4段階のアイコンから選びタップする。そのほか、日記メモ、動画撮影機能がある喘息コントロールテストACTを用いている服用時間のアラーム機能。そのほか、受診日、コントロールテスト実施日もアラーム設定できる飽きさせない小児喘息患者の母親向けツール「ぜんそくよくな~れ!」主なアプリ機能ぜんそく予報ぜんそくチェックぜんそく救急箱ポケットカルテ など「ぜんそくよくな〜れ!」は小児喘息患者の日常管理のサポートを考慮し、より良好な管理のために患者の母親が入力する設定となっている。同アプリのトップ画面は“ぜんそく予報”。気圧や気温の変化といった気象条件等をもとに、地域ごとの喘息発作危険度を出して毎日知らせている。“ぜんそくチェック”では、月ごとに注意すべき喘息のリスクを紹介するとともに、それぞれのリスクでの症状経験を記録できる。また、小児喘息のコントロール指標C-ACTを用いた小児喘息コントロールテストも可能である。さらに、喘息の急性発作や緊急時の対応を提供する“ぜんそく救急箱”コーナーもある。“ポケットカルテ”には、前述のぜんそくチェックやコントロールテストの結果が蓄積される。啓発のみならず、どのような時に症状がでたのかを記録できるため、毎日の管理に役立てることができる。「ぜんそくよくな~れ!」のトップ画面には毎日の“ぜんそく予報”が小児喘息コントロールテストC-ACTを用いている「ポケットぜんそくカルテ写真としてカメラロールに保存できるC-ACTについてはこちら http://zensoku.jp/child/child_002.html豊富な情報を有するウェブサイトとの連動で啓発これら2つのアプリからは、同社が運営する喘息総合情報サイトZenoku.jpへアクセスできる。これにより、アプリだけではカバーできない情報をウェブサイトでカバーしている。Zensoku.jpでは、喘息の疾患啓発、日常生活のヒント、評価ツールなど数多くの情報がある。なかでも、スポーツジャーナリスト二宮清純氏が、喘息を克服したアスリートにインタビューする「二宮清純のゼンソク人間学」(http://zensoku.jp/athlete/index.html)は、喘息を持ちながらも一流のアスリートとなった著名人の体験を通し、喘息をより深く理解するとともに、コントロールすれば通常の人と変わらない活動ができる疾患であることを伝えている。これは一般大衆にとっては、喘息という疾患を理解する情報ツールとなり、喘息患者にとっては大きなエールとなる。このようなスマホとの連携も鑑み、同サイトではスマホ対応ページも用意する予定だという。主なアプリ機能喘息総合情報サイトZensoku.jp将来の患者―医療者間の情報共有のために将来、こうしたアプリを通して患者と医療者が情報を共有することができれば、喘息の長期管理も大きく変化していくのであろう。患者と医療者がアプリを通してつながっていれば、調子が悪い患者や、服薬チェックを怠っている患者の情報を、かかりつけ医やかかりつけ薬局などの医療者に知らせることができる。そして、医療者側から患者にアクセスをとり、状態や服薬状況が確認できるようになるわけである。近年の疫学データでも未だコントロール不十分だったり、喘息症状を経験している患者は少なくない。喘息はきちんと管理すれば普通の人と変わらない生活が送れる疾患である。「患者さんへの疾患啓発、治療のサポートとして、ツール、ウェブサイトを役立てていただきたい」と最後に中島氏は述べた。グラクソ・スミスクライン株式会社 喘息アプリはこちらから http://zensoku.jp/app/index.html「ぜんそくアプリ」「ぜんそくよくな~れ!」無料カテゴリ:メディカル条件: iPhone、iPod touch およびiPad 互換iOS 4.3 以降が必要

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エキスパートに聞く!「喘息治療の最新事情(成人編)」Q&A Part2

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。成人気管支喘息について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。嗄声への対処法について教えてください。嗄声は吸入ステロイド薬による喉頭への影響で起こる副作用です。嗄声に対して、うがいは重要ですので吸入のタイミングは、うがいがしやすい洗顔時がよいかと思います。しかしながら、うがいによって喉頭に到達した吸入ステロイド薬が必ずしも除去できるわけではありませんので、その点は念頭に置いていただければと思います。また、食事の直前に吸入することで、喉頭に付着している薬剤が食物とともに胃に送られ、嗄声が軽減されることもありますので、試してみる価値はあるかと思います。製剤的な観点からいうと、一般にエアロゾル製剤は嗄声を来しにくいといえます。なかでもプロドラックのシクレソニド(商品名:オルベスコ)は嗄声の影響が少ないとされていますので、お試しになるのもよいと思います。今後、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)が喘息の適応を取得すると聞いていますが、難治性喘息における効果や使用方法について教えてください。LAMAの知見はそれほど多くありませんが、吸入ステロイド薬でコントロール不十分な症例における上乗せ効果がLABAと同等であることが、最近報告されています。従来、喘息の適応がなかったため、吸入ステロイド薬にまずLAMAを上乗せするということはありませんでしたが、今後、知見が集積し、保険適用も通れば、そのような治療も行われるでしょう。これまでLAMAは、喘息ではβ2刺激薬に比べて効果が弱いと理解されており、LAMAがLABAと比較して同等であるかについてはさらに検討する必要があります。また、COPDを合併する喘息や、LABAで頻脈や振戦などの副作用が出るような患者さんにはLAMAの選択がよいと思います。さらに、喀痰細胞を使った研究で好酸球が少なく、好中球が多い患者さんにはLAMAの有効性が高いという報告もあるので、この点も今後使い分けのポイントになる可能性があります。

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ひとり親家庭の子供は喘息になりやすい

 母子家庭・父子家庭(以下、ひとり親家庭)の子供は両親のいる子供と比べて、喘息による救急外来や病院の再受診が多いことが、シンシナティ小児病院医療センターのTerri Moncrief氏らによって報告された。さらに、この主な要因として世帯所得の違いが根本にあることにも言及している。The Journal of asthma誌オンライン版2013年12月10日の掲載報告。 本研究の目的は、ひとり親家庭の子供と小児喘息による健康管理施設の再受診状況との関係を明らかにし、この関係を説明する家族レベルでの心理社会的変数を検討することである。 喘息または気管支拡張薬に反応を示す喘鳴により、健康管理施設を利用した1~16歳の526例の子供と、その子供の介護者の結婚状況を前向きコホートにより分析した。本分析によると、ひとり親であることは1つのリスクカテゴリーとなることがわかった。 本研究のアウトカムは小児喘息による施設の再受診とした(救急外来または病院の再入院)。評価は4つの心理社会的変数(世帯所得、介護者が有する心理的苦痛のリスク、親に対する子供の比率、保育園の登園率やセカンドハウスの利用状況)で行った。 主な結果は以下のとおり。・コホートに登録された子どもの40%が12ヵ月以内に喘息で救急外来や病院を再受診した。・全介護者のうち59%はひとり親であった。・ひとり親であることと、それぞれの心理社会的変数との間には有意な関連が認められた。・低所得世帯や子供比率が高い世帯の子供は、高所得世帯や子供比率が低い世帯の子供と比べて、喘息による救急外来や病院の再受診が多かった(それぞれ、p<0.005)。・ひとり親の子供は両親のいる子供と比べて、喘息による救急外来や病院の再受診が多かったが(オッズ比:1.44、95%信頼区間[CI]:1.00~2.07、p<0.05)、所得により調整を行うと有意差は認められなかった。

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日誌からスマートフォンへ「チェンジ!喘息」患者さんアプリ 一人一人の患者さんの自分に合った治療をサポート

2012年10月、アストラゼネカ株式会社とアステラス製薬株式会社は、喘息患者を対象にした無料アプリ「チェンジ喘息!アプリ」の提供を開始した。そこで、当アプリ開発に携わったアストラゼネカ株式会社プライマリケア事業部 太田篤氏に、開発の背景とその狙いについて聞いた。喘息治療の問題点を解決するために喘息治療の問題点は二つ。治療アドヒアランスと医師・患者間のコミュニケーションである。この二つの問題点のサポートを目的にアステラスと共同でアプリを開発したという。本邦の喘息の治療アドヒアランスは、1年間継続受診率30%程度と低い。多くの患者さんは症状が良くなると治療が終了したと判断し、服用を中断してしまう。その間、気道炎症は悪化し、症状の増悪を招き、最悪の場合は喘息死にいたる。また、医師・患者間のコミュニケーションについても、患者さん自身の状況が医師に上手く伝えられないなど医師と患者さんの間にギャップが存在することが明らかになっている。アラート機能が改善する治療アドヒアランス向上主なアプリ機能お薬服用入力機能(アラート機能付き)喘息状態入力機能グラフ機能ソーシャルネットワーク機能喘息の長期管理には継続的な服薬が重要であることはいうまでもない、しかし、忙しい日常生活の中、服薬を忘れてしまうことも少なくない。そこで、確実な服薬をサポートするため、毎日決まった時間に服用タイミングを知らせるアラート機能を付けた。また、服薬時間が異なる複数の薬剤を服用するというケースも少なくないが、このアラートは薬剤ごとに設定できる。喘息手帳は家に置いたままだが、常に持ち歩くというスマートフォンの特性を生かした実用的な機能である。薬剤の服用時間を設定できるアラート機能薬剤ごとに時間設定することも医師・患者間コミュニケーションを改善するグラフ機能適切な喘息治療のためには、服薬状況と喘息症状が医師と患者さんの間で共有されなければならない。しかし、患者さんは医師を前にすると自分の状態を上手く伝えられない傾向がある。そのため、服薬状況と喘息症状が経時的にグラフ化される機能を付けた。服薬状況は“はい”か“いいえ”で入力(薬剤ごとの入力も可能)。喘息状態とその時の気分を入力は、選択ボタンをクリックするだけで、データが自動的にグラフ化される。簡便で誰でも使える設計である。診察時に患者さんがこの情報を医師に見せることで、服薬状況とその際の状態が客観的な情報として共有される。また、グラフを見せることが患者さんにとって話しやすい環境を作る効果もあるようだ。その日の体調や喘息状態のコメントを入力コメントはグラフ化されて見ることができ、アバターを通した発言として共有化される入力情報のグラフ表示喘息の変動性をカバーする機能喘息は変動性疾患であり、毎日服薬していても、気候の変化など何らかの増悪要因に晒されると、急激に悪くなることがある。そのため、アプリには毎日の天気予報が出る。また、花粉飛散状況や湿度などから割り出される喘息指数も表示される。症状の変化を予測することは困難だが、このように予め情報を知ることができると対処方法はまったく異なってくるという。天気予報と喘息指数が表示される患者さん同士で情報共有し治療モチベーション向上もう一つの機能として、このアプリを使っている患者さん達の状態や服薬状況が参照できるソーシャルネットワーク機能がある。同じ環境にいる人たちと情報を共有することで使用を継続できるようになる。また、患者さんは絶えず自分の境遇を理解して欲しいと願っている。ほかの患者さんが頑張っている様子を見たり、体験を共有することで、連帯感が得られ、治療へのモチベーション向上も期待できる。喘息の状態と治療薬服用状況を共有できる喘息の継続教育もサポート近年、喘息治療における患者さん教育の重要性が訴えられている。このアプリをダウンロードすると、アストラゼネカ社とアステラス社が運営する喘息患者向け情報サイト「チェンジ!喘息」へも容易にアクセスできる。アプリを使うことで継続的な喘息教育もサポートされる訳である。ITが喘息の長期管理を進化させる最後に今後の展開について聞いた。今回のアプリでは、従来にはなかった“患者さんからのメッセージ発信”の第一歩を作ったが、急速な進化を遂げているソーシャルネットワーク機能の活用は今後も様々な方向で考えたいという。同アプリは10月の公開後から多くのダウンロードがあり、医師からも「困っていた継続服薬に役立つ」といった声が寄せられるなど好評だという。口頭での情報交換から喘息日誌に、そして今デジタルへと情報媒体の変化が起こっている。ITの進化が喘息長期管理に及ぼす影響は今後も加速してくであろう。

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エキスパートに聞く!「喘息治療の最新事情(成人編)」Q&A Part1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。成人気管支喘息について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。高齢者にも吸入が十分可能な薬剤について教えてください。まず、ドライパウダー製剤とエアロゾル製剤の違いについてよくご理解いただき、各製剤を使い分けていただく必要があります。ただし、いずれの製剤でも十分な吸入指導は必須です。とくに高齢者の場合、一度説明をしても理解していないケースや忘れてしまうケースもあるので、繰り返しの吸入指導がきわめて重要です。ドライパウダー製剤ではある程度の吸気流量が必要ですので、吸気筋力が低下した高齢者にはエアロゾル製剤が有用です。ただ、エアロゾル製剤は速い速度で噴射される薬剤をゆっくり吸入する必要があり、手技に若干難しさがあります。うまく吸入できない高齢者では、スペーサーを併用していただければと思います。また、高齢者では認知症で吸入剤がうまく使えない、あるいは関節リウマチなどでエアロゾルが押せない方もいます。そのような場合には、介助者や家族にも吸入指導を行い、患者さんの吸気に合わせてエアロゾル製剤を口に吹き込むことで治療効果が得られます。最初から吸入ステロイド薬(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤で治療すべき患者さんと、吸入ステロイド薬のみでよい患者さんの判別方法について教えてください。呼吸機能検査が可能な場合、気流閉塞(閉塞性障害)が強くみられる患者さんには吸入ステロイド薬単剤よりも配合剤が適しているかもしれません。また、自覚症状が強い(とくに夜間眠れないような症状が続いている)患者さんにも、配合剤のほうがよいかと思います。しかしながら、吸入ステロイド薬単剤でもよくなる患者さんも多くおられますので、高価な配合剤の乱用は避けていただきたいと思います。難治性喘息に対する“奥の手”について教えてください。吸入ステロイド薬や配合剤を投与しても効果が乏しい、または悪化するような場合、製剤を変えることで改善することがしばしばあります。そのため、難治性喘息と思われるケースでは複数の薬剤を試していただき、それでも効果が不十分な場合には、ロイコトリエン受容体拮抗薬や徐放性テオフィリン製剤を併用してください。また、粒子径の大きいドライパウダー製剤で効果が不十分な場合には、粒子径の小さいエアロゾル製剤を上乗せすると、奏効することも少なくありません(ただし保険の査定にはご注意ください)。また、咳が強い難治性喘息の患者さんに対しては、トロンボキサン合成酵素阻害薬やトロンボキサンA2受容体拮抗薬が奏効することがあるので検討するとよいでしょう。さらに、近年は胃食道逆流症(GERD)の合併例が増加しており、そのような症例ではGERD治療薬を上乗せすることで、咳が改善することもしばしばあります。とはいえ、吸入手技を徹底するだけで症状がよくなることもありますので、基本に立ち返り、あらためて吸入指導を行っていただくことも重要だといえます。

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手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では喘息の診断が不十分:日本人における検討

 副鼻腔の手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では、喘息の診断が不十分であり、とくに高齢者でその傾向が強いことが、理化学研究所統合生命医科学研究センター 呼吸器・アレルギー疾患研究チームの田中 翔太氏らにより報告された。Allergology International誌オンライン版2013年11月25日の掲載報告。 慢性副鼻腔炎は臨床的に鼻ポリープの有無により二分される。慢性副鼻腔炎は地理的要因による差異が大きく、多様性のある疾患である。鼻ポリープのある好酸球性の慢性副鼻腔炎は症状が重症化しやすく、喘息合併の頻度も高い。異なる民族集団における疫学的研究の進展により、慢性副鼻腔炎の病理生理学についての理解が深まってきた。そこで、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を受けた難治性の慢性副鼻腔炎患者の臨床的な特徴を報告する。 慢性副鼻腔炎の患者210例を集め、内視鏡検査、CTによるLund Mackayスコア、末梢血の好酸球増加、喫煙状況を調べた。ほかにも、喘息の合併や年齢、肺機能の影響について調べた。 主な結果は以下のとおり。・末梢血好酸球が増加していた患者において、鼻ポリープのない慢性副鼻腔炎患者の13%、鼻ポリープのある慢性副鼻腔炎患者の20%では、喘息と診断されていないにもかかわらず、閉塞性の肺機能障害(FEV1/FVC(一秒率)< 70%)が認められた。・過去に喘息と診断されたことがない60歳以上の非喫煙患者で、かつ末梢血の好酸球が増加していた鼻ポリープのある慢性副鼻腔炎患者の50%において、FEV1/FVCが 70%未満であった。 慢性副鼻腔炎と喘息の関連が明らかになったとはいえ、難治性の慢性副鼻腔炎の管理にあたり、今後もなお喘息のような閉塞性気道疾患の合併に十分注意していく必要がある。

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Dr.倉原の 喘息治療の不思議:知られざる喘息のリスク因子

はじめに喘息の患者さんを診療する場合、発作を起こさないようにコントロールすることが重要です。そのため、喘息治療薬を使いこなすだけでなく、患者さんの喘息発作の誘発因子を避ける必要があります。喘息発作のリスク因子として有名なのは、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎と同様のアレルゲンです。たとえば、スギ花粉、ブタクサ、ハウスダスト、ダニなどが挙げられます。しかし、世の中にはこんな因子によって喘息を起こすことがあるのか?という“軽視されがちなもの”や“知られざるもの”があります。教科書的なリスク因子はさておき、少し「へぇ」と思えるようなものを紹介しましょう。ストレス呼吸器内科医以外には実はあまり知られていませんが、ストレスは喘息のリスク因子として教科書的に重要です。これには炎症性サイトカインの産生亢進が関与していると考えられています。呼吸器疾患を診療している医師の間でも、ストレスは意外と軽視されがちなリスク因子だと思います。Busse WW, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1995;151:249-252.徹夜明けや過労などの身体的ストレスによっても喘息発作が起こりやすいことが知られています。受験前、面接前、入社前、五月病といった精神的ストレスによっても喘息発作を起こすことがあります。私もそういった患者さんを何人か外来で診ています。世界的にも最大規模のストレスとして数多くの研究がなされたアメリカ同時多発テロ事件では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と喘息の関連が指摘されています。Shiratori Y, et al. J Psychosom Res. 2012;73:122-125.Centers for Disease Control and Prevention (CDC). MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2002;51:781-784.水泳喘息に対する呼吸リハビリテーションの一環として水泳が知られていますが、その反面、水泳そのものが喘息のリスクではないかと考える研究グループもあります。しかしながら、メタアナリシスではその関連は強いとは結論づけられていません。私の外来にも、ある水泳競技をしていた喘息患者さんがいました。その患者さんが引退後に吸入ステロイド薬のステップダウンができたのは、水泳をやめたからなのかどうか、いまだに答えは出ていません。Paivinen MK, et al. Clin Respir J. 2010;4:97-103.Goodman M, et al. J Asthma. 2008;45:639-647.ちなみにスキューバダイビングは喘息のリスク因子ではないかという議論もありますが、現時点では明らかな答えは出ていません。スキューバダイビングでは、温度や呼吸動態の急激な変化が呼吸機能上よくないと考えられています。Koehle M, et al. Sports Med. 2003;33:109-116.感情負の感情(怒り、悲しみなど)は前述のストレスと同じ機序で喘息のリスク因子と考えられていますが、これにはあまりエビデンスはありません。自宅で怒りを爆発させて喘息発作を起こし救急搬送されてきた患者さんを一度診たことがあります。これはおそらく怒鳴り散らしたことが主な原因でしょうが。ちなみに、面白い映像を見た場合と面白くない映像を見た場合を比較すると、面白い映像を見た場合に気道過敏性が有意に改善したという報告もあります。Kimata H. Physiol Behav. 2004;81:681-684.その一方で、あまり笑うと喘息発作を誘発するのではないかという報告もありますので、あまり感情の起伏は喘息にとってよくないものかもしれませんね。Liangas G, et al. J Asthma. 2004;41:217-221.排便トイレできばりすぎて、喘息発作を起こすことがあるそうです。これについてもリスク因子といえる研究はありません。個人的には一度も排便喘息を診たことはありません(問診が甘かったのかもしれませんが)。排便によってアセチルコリンの分泌が誘発され、これによって気管支攣縮を惹起するのではないかと考えられています。Rossman L. J Emerg Med. 2000 ;18:195-197.Ano S, et al. Intern Med. 2013;52:685-687.鼻毛これもリスク因子として書くにはかなり強引な気もしますが、結論からいうと鼻毛は長いほうがよいです。アレルギー性鼻炎の患者さんにおける喘息の発症に鼻毛の密度が与える影響について解析した論文があります。これによれば、鼻毛の密度の低さは喘息発症の有意な因子であると報告されています。厳密には鼻毛の“長さ”と“密度”は異なるのかもしれませんが……。Ozturk AB, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2011;156:75-80.おわりにこれ以外にも、症例報告レベルも含めると、アイスクリーム、くしゃみ、温泉、オリンピックなど数多くの喘息のリスク因子や喘息発作を誘発する因子があります。本稿でなぜ珍しい因子を記載したかといいますと、実は喘息診療においては多くのヒントが患者さんとの会話の中にあるのです。「実は最近インコを飼い始めたんです」、「おととい引っ越ししたばかりなんです」、「そういえば先月からシャンプーを東洋医学系の製品に変えたんです」・・・などなど。実はアレルゲンが明らかな喘息の場合、原因を回避すればよくなることがあります。何年も吸入ステロイド薬を使わなくても済むケースもあります。

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速報レポート よりよい吸入アドヒアランスをサポートする1アクションの新規吸入デバイス「エリプタ」

グラクソ・スミスクライン株式会社は、2013年12月9日、24時間の効果を1日1吸入で維持する新規の吸入ステロイド/長時間作用性β2刺激配合薬「レルベア エリプタ」を発売した。「レルベア エリプタ」は、24時間の呼吸機能改善効果と1日1吸入という利便性を併せ持つという利点だけでなく、1アクションの新規吸入デバイス「エリプタ」を採用している。気管支喘息の治療は、有用性の高い新しい薬剤の開発とともに進歩している。しかしながら、本邦の2011年の大規模研究では、過去1ヵ月間に喘息症状を経験している患者さんの割合は、成人で62%である1)。また、欧米でも良好に管理できていない(Uncontrolled Asthma)喘息患者は約5割との報告もある2)。このように十分な長期管理が実現できていない実態が多数報告されている。これらの問題を解決するには、患者さんの治療アドヒアランスの向上が不可欠であり、そのためには、医療者の吸入指導と共に吸入デバイスの操作性向上が重要な要素だといえよう。しかしながら、従来のドライパウダー製剤では、吸入を行うまでに、デバイスを適切にセットする行程が必要であった。複雑な操作を必要とする場合には、患者さんの理解不足や誤解による吸入不備も少なくなかったという。つまり、簡便で確実な吸入を可能とするデバイスが待ち望まれていたわけである。今回採用された「エリプタ」は、カバーを開けるだけの1アクションという簡便な操作で吸入が可能であり、これまでのドライパウダー製剤が抱えていた課題の解決に大きく近づいたデバイスといえる。ケアネットでは、この新デバイスに注目し、グラクソ・スミスクライン株式会社の協力をいただき、新規吸入デバイス「エリプタ」の吸入指導ムービーを紹介させていただくこととした。動画提供:グラクソ・スミスクライン株式会社参考文献1)足立満ほか.アレルギー・免疫2012;19:1562-1570.2)Demoly P, et al. Eur Respir JRev.2012;21:66-74.

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