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妊婦のケアを厚く追記した改訂COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 8月31日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」を公開した。 今回の改訂では、主に以下の5点が追記・修正された。【2 臨床像の「5.小児例の特徴」の重症度、家族内感染率などについて一部追記】 最新(2021年8月時点)の陽性患児の特徴などが追加された。【4 重症度分類とマネジメントの「5.妊産婦の管理」の項を追加】 追加項目では、自宅療養中の妊婦の訪問時の確認事項、妊婦への指導事項のほか、妊婦搬送の判断の注意点、産科的管理以外のバイタルの留意事項、COVID-19患者の妊婦から産まれた新生児への検査が追加された。【同「自宅療養者に対して行う診療プロトコール」「経口ステロイド薬投与における留意点」などについて追記】 自宅療養・宿泊療養を行っている患者で酸素投与の適応となる場合の経口ステロイド薬投与における留意点」として、ステロイド投与を行う際の病状評価および治療適応の判断では、原則として自宅に赴いた往診医や宿泊施設内における担当医師などによる対面診療のもと、処方することを推奨(処方例:デキサメタゾン 6mg 分1 10日間または症状軽快まで)している。また、緊急時対応のために事前処方や内服の目安(例:咳嗽などの呼吸器症状があり、SpO2 93%以下)などが記されている。その際、電話、オンラインなどで医師が指示したり、フォローアップすることが望ましいと詳しい項目が記載されている。【5 薬物療法の各種薬剤の項目(レムデシビル、バリシチニブなど)に一部追記】 レムデシビルの保険適用(2021年8月4日)や「腎機能障害のある患者への投与」が追加され、重度の腎機能障害がある患者には投与は推奨されないが、治療の有益性が上回ると判断される場合のみに投与とされた。また、「バリシチニブ」について、入院患者1,525人を対象とした二重盲検試験(COV-BARRIER)の結果、主要評価項目の人工呼吸管理/死亡に至った割合に差は認められなかったが、治療開始28日以内の死亡はバリシチニブ群で有意に低かった試験結果が追加された。【6の院内感染対策の「表6-1」「1.個人防護具」「5.患者寝具類の洗濯」「8.職員の健康管理」などについて一部追記】 「表6-1 感染防止策」の確定例の感染防止策を実施する期間が大きく改訂され、発症者と人工呼吸器など要した患者に場合分けされ記載された。 「1.個人防護具」では、エアロゾルが発生しやすい状況として、歯科口腔処置、非侵襲的換気、ネーザルハイフロー、生理食塩水を用いた喀痰誘発、下気道検体採取、吸引を伴う上部消化管内視鏡などが追加された。 「5.患者寝具類の洗濯」では、患者が使用したリネン類の洗濯について、具体的かつ詳細な洗濯法が追加された。 「8.職員の健康管理」では、参考として「医療従事者が濃厚接触者となった場合の外出自粛の考え方」が新たに追加された。 なお、本手引きは5月以降、毎月追加改訂がなされているので、下記のリンクなどより確認をいただきたい。

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新たな変異有するコロナ・デルタ株確認、国内1例目/東京医科歯科

 東京医科歯科大学は8月30日付のプレスリリースで、同大の附属病院を受診した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者から検出されたデルタ株から、N501S変異を有する新たなデルタ株の市中感染事例を確認したと発表した。N501S変異を有するデルタ株は、世界では8例報告されており、国内ではこれが初めての確認例となる。 東京医科歯科大学の武内 寛明准教授ら研究チームは、同大附属病院に入院もしくは通院歴のあるCOVID-19患者由来検体のSARS-CoV-2全ゲノム解析を進める中で、8月中旬のCOVID-19患者から検出されたデルタ株から、アルファ株主要変異(N501Y)の類似変異であるN501S変異を有する新たなデルタ株の市中感染事例を確認した。患者に海外渡航歴はなく、国内において新たな変異を獲得した可能性が極めて高いという。 新型コロナウイルスの変異株を巡っては、関東圏を中心とする感染伝播の増大に関わったとされるアルファ株とデルタ株の共存がしばらく続いていたが、直近のスクリーニング検査における陽性率は、各地でデルタ株が9割を超える状況と推計されており、現在は一部の地域を除きアルファ株からほぼ置き換わったと考えられている。 N501S変異を有するデルタ株については、世界で8例報告されており、国内ではこれが1例目となるが、東京医科歯科大は「現時点においては、変異発生要因の判断が難しく、さらなる性状解析と疫学調査が必要」と説明している。

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2002~16年米国の医療費、人種・民族別で格差/JAMA

 2002~16年の米国医療費は、年齢・健康状態調整後も人種・民族で異なり、総医療費は多人種系や白人が最も高かった。また、医療サービス別医療費についても人種・民族で差があり、白人は外来医療費が、黒人は入院や救急医療費が、全体平均に比べいずれも高かった。米国・Institute for Health Metrics and EvaluationのJoseph L Dieleman氏らが、データベースを基に行った探査的研究で明らかにした。著者は、「さらなる研究で、COVID-19パンデミックに関連する支出などを含む現在の医療費を、人種・民族別に確認する必要がある」と述べている。JAMA誌2021年8月17日号掲載の報告。4種のデータベースを基に検証 研究グループは、米国内730万件の外来受診歴、入院歴、処方箋記録について「Medical Expenditure Panel Survey」(2002~16年)、「Medicare Current Beneficiary Survey」(2002~12年)を基に調べ、「National Health Interview Survey」(2002、2016年)による医療保険加入人口と推定症例数、「Disease Expenditure project」(1996~2016年)による推定医療費を統合し、米国における2002~16年の人種・民族別医療費の差を推定・検証した。 主要アウトカムは、2002~16年の人種・民族別の米国内医療費で、総額・年齢標準化額を医療サービス別に推定した。また、2016年の主要疾患の人種・民族別医療費も求めた。人種・民族別医療費の差については、利用率と価格・ケアの程度別に検証した。アジア系など、歯科以外の全タイプ医療費が平均を下回る 2016年の本調査対象とした6タイプの医療サービス費は、推定2兆4,000億ドル(95%不確定性区間[UI]:2兆4,000億~2兆4,000億)だった。同年における年齢標準化後の1人当たり推定総医療費は、アメリカ先住民とアラスカ先住民(非ヒスパニック系)が7,649ドル(6,129~8,814)、アジア系、ハワイ先住民と太平洋諸島系(非ヒスパニック系)4,692ドル(4,068~5,202)、黒人7,361ドル(6,917~7,797)、ヒスパニック系6,025ドル(5,703~6,373)、その他複数人種系(非ヒスパニック系)9,276ドル(8,066~1万601)、白人(非ヒスパニック系)8,141ドル(8,038~8,258)だった。白人が全体医療費の72%を占めた。 集団サイズおよび年齢で調整後、白人は外来医療費が、全体平均に比べ推定15%高かった(95%UI:13~17、p<0.001)。黒人(非ヒスパニック系)は、外来医療費は全体平均より推定26%低く(19~32、p<0.001)、一方で入院費は推定19%(3~32、p=0.02)、救急医療費は推定12%(4~24、p=0.04)、それぞれ高かった。ヒスパニック系は、1人当たりの外来医療費が全体平均より推定33%低く(26~37、p<0.001)、またアジア系、ハワイ先住民と太平洋諸島系(非ヒスパニック系)は歯科以外の全医療サービス分野で全体平均より医療費が低かった(すべてのp<0.001)。一方で、アメリカ先住民・アラスカ先住民(非ヒスパニック系)とその他の複数人種系(非ヒスパニック系)は、救急医療費が全体平均よりも推定でそれぞれ90%(11~165、p=0.04)、40%(19~63、p=0.006)高かった。 人種・民族別の医療費で有意差が認められた18分野については、すべて利用率の違いと一致していた。こうした格差は、潜在的疾病負荷を補正しても持続していた。

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歯周病の予防・治療で良好な血糖コントロールと合併症予防をめざす/日本糖尿病学会

 糖尿病では、合併症として腎障害、網膜症、末梢神経障害などは注意すべき疾患としてよく知られている。しかし、歯周病など口腔疾患はあまり注意喚起されることが多くない。食事療法で大切な入り口となる口腔内疾患と糖尿病の関係について、第64回日本糖尿病学会年次学術集会(会長:戸邉 一之[富山大学])の教育講演で成瀬 桂子氏(愛知学院大学歯学部内科学講座)が、「糖尿病併存疾患としての歯周病」をテーマに講演を行った。糖尿病と歯周病は双方向の関係 歯周病とは、歯周組織に原発し、歯周組織を破壊する疾患の総称であり、歯肉炎と歯周炎に大別される。歯肉炎は、歯頚部に付着する細菌の塊であるプラーク(歯垢)により引き起こされる。歯肉炎は歯肉組織に限局した炎症であり、可逆性であるが、歯周炎は歯肉に初発した炎症が、セメント質、歯根膜および歯槽骨などの深部歯周組織に波及した慢性炎症である。 歯周病の検査は、口腔内の衛生状態、炎症程度、歯周ポケットの状態が診察され、歯周病の基本的な治療として、「プラークコントロール」「スケーリング」「かみ合い調整」が行われ、さらに進行した場合には歯周外科治療として「組織付着療法」「切除療法」「歯周組織再生療法」などが行われる。こうした治療を行って病変の進行が休止しても歯周ポケットが残存する場合、歯周組織を長期にわたり病状安定化させるために行われるのが、サポーティブペリオドンタルセラピーであり、治療により治癒した場合でも、その状態を長期間維持するためにメインテナンスが行われる。 糖尿病と歯周病の関係は双方向性である。糖尿病患者では1型糖尿病、2型糖尿病にかかわらず歯周病の発症および罹患率が増加していることが確認されている。ドイツにおける報告では、とくに歯周病が進行する群はHbA1c7%以上であった。 「血糖コントロールは歯周病を改善するか」という研究では、歯肉の炎症は改善するが、歯周ポケットの深さは改善しないという結果だった。糖尿病で歯周病が重症化しやすい要因としては、歯肉組織微小血管障害、歯周結合組織の代謝異常、酸化ストレス、免疫機能の低下などがあげられる。逆に、「歯周病があると糖尿病になりやすいか」という研究では久山町研究などから関連性は認められたほか、歯周の炎症改善を介して血糖コントロールも改善する可能性があることが示唆された。年齢、歯間の不衛生、HbA1c7%以上は歯を失うリスク 糖尿病患者に歯周病を合併する問題点として、歯周病が動脈硬化を発症・進展させる可能性を指摘する。動物実験では、歯周病原細菌の投与で動脈硬化が促進した例、および歯周炎の惹起が、動脈に初期炎症を誘導することを説明した。 また、2型糖尿病における歯周病重症度と糖尿病腎症発症頻度の相関については、HbA1c6.5以上ではハザード比で4倍を超えることが台湾の研究で明らかになった。そして、歯周病重症度と死亡率の関係について、歯周病が重症なほど死亡率が高く、重症の歯周病では、虚血性心疾患による死亡とともに糖尿病腎症による死亡も多いことが明らかになった。 「糖尿病合併症の実態とその抑制に関する大規模観察研究(JDCP study)」におけるベースライン時の口腔所見では、歯数が20歯未満になるオッズ比が高い項目として、1型糖尿病では「年齢60歳以上」「歯間清掃用具未使用」「HbA1c7%以上」などが、2型糖尿病では「年齢60歳以上」「歯間清掃用具未使用」「定期歯科検診なし」「糖尿病罹病歴10年以上」「HbA1c 8%以上」などが報告された。以上から重要なこととして「良好な血糖コントロール」「定期的な歯科受診」「歯間清掃用具の使用」が示唆された。 『糖尿病診療ガイドライン2019』やこれまでの知見より、糖尿病と歯周病について(1)定期的な歯科受診と歯間清掃用具の使用を勧める(2)1型・2型糖尿病患者は歯周病発症リスクが高いこと(3)良好な血糖コントロールを目指すことにより歯周組織の炎症の改善が期待できる(4)歯周病治療は、慢性炎症の改善を介して糖尿病合併症の発症・進展を抑制する可能性があること(5)糖尿病患者は全員、歯周病治療を受けるべきであることが提唱された。 最後に、糖尿病患者の医科歯科連携では、「糖尿病連携手帳」を活用し、医師やほかのスタッフが積極的に患者の診療にかかわることを期待して講演を終えた。

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第67回 新規感染者のワクチン接種割合は?/ワクチン健康被害で初の救済認定

<先週の動き>1.新規感染者のうち、ワクチン接種済の割合は?/厚労省アドバイザリーボード2.コロナワクチン健康被害で初の救済認定、41例中29例/厚労省3.ブースター接種に向け、モデルナに加えファイザーワクチンも追加確保4.妊婦は重症化リスク高、時期を問わずワクチン接種を推奨/産婦人科学会5.介護保険の主治医意見書の記入の手引きなどが変更に/厚労省6.病院を顧客にした口コミビジネスが暗躍1.新規感染者のうち、ワクチン接種済の割合は?/厚労省アドバイザリーボード18日に開催された新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、新型コロナウイルス感染患者のワクチン接種状況について報告があった。8月10~12日の期間に報告された全国の新規感染者5万7,293例のうち、ワクチン未接種は4万7,132例(82.3%)であり、1回のみ接種は2,956例(5.2%)、2回接種は1,768例(3.1%)、接種歴不明は5,437例(9.5%)であった。人口10万人当たりの新規感染者数としては、ワクチン未接種では67.6例、1回接種では22.7例、2回接種完了では4.0例と、ワクチン接種を2回完了した人は未接種者の約17分の1の割合であることが明らかとなった。(参考)全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率(厚労省)「ワクチン2回接種」で感染は未接種者の“約17分の1”厚労省(NHK)2.コロナワクチン健康被害で初の救済認定、41例中29例/厚労省厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は19日、新型コロナウイルスワクチンの接種後に健康被害を訴えた41例中29例について、接種との因果関係が否定できないとして、予防接種法に基づき医療費と医療手当の支給を認めた。新型コロナワクチンによる健康被害に対しての救済認定は初めてのこと。保留となった12例は、再度分科会で審議される。今回、自治体を通じて審査申請した10~80代の男女41例について審議が行われた。認定を受けたのは20~60代の男女29例(うち28例が女性)。内訳は、アナフィラキシー15例、アナフィラキシー様症状8例、急性アレルギー反応6例だった。(参考)接種後の健康被害、初の救済認定 コロナワクチンで29人(共同通信)コロナワクチンの健康被害で初救済 29人、因果関係否定できず(毎日新聞)<Q&A>ワクチン接種後に健康被害 医療手当支給の審査は厳しいの? 時間はかかる?(東京新聞)3.ブースター接種に向け、モデルナに加えファイザーワクチンも追加確保政府は、新型コロナウイルスワクチン接種を2回完了した人に対して、追加の3回目接種を実施するために、モデルナとはすでに来年に5,000万回分の供給を受ける契約を締結している。今回、ファイザー・ビオンテックのワクチンも、1億2,000万回分の追加契約を行い、実施への調整に入ったことを明らかにした。すでにイスラエルではブースター接種が開始されており、今後欧米でも感染対策強化として広がる見込み。一方、アフリカや南米など途上国においてはワクチン供給が遅れているため、接種を受けられない状況が続いている。世界保健機関(WHO)は、ブースター接種開始の延期や自制を求めている。(参考)政府、3回目接種へ調整本格化 ワクチン効果維持図る―WHOは自制求める(時事ドットコム)ファイザーワクチン1億2000万回分追加契約へ 3回目接種に向け(毎日新聞)4.妊婦は重症化リスク高、時期を問わずワクチン接種を推奨/産婦人科学会先日、千葉県柏市で自宅療養をしていた妊娠8ヵ月の30代女性が、早産の疑いにもかかわらず受け入れ先が見つからず、自宅出産の末に新生児が死亡する事例が報道された。日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会は、妊婦に対して、妊娠中、とくに妊娠後期に新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいため、時期を問わずワクチンを接種することを推奨している。関係学会は、自宅療養中の妊婦が適切に医療機関に受診できるように、救急搬送が必要な呼吸状態などの具体的な目安をまとめた声明を公表する方針を固めた。(参考)千葉・柏の新生児早産・死亡問題、当日に9病院が受け入れ断る(東京新聞)コロナ感染の妊婦 搬送などの目安を関係学会が公表へ(NHK)妊産婦のみなさまへ 新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(第2報)(日本産婦人科学会)5.介護保険の主治医意見書の記入の手引きなどが変更に/厚労省厚労省は、16日に介護保険の認定のために必要な主治医意見書の記入の手引きを見直し、「認定調査票記入の手引き」「主治医意見書の記入の手引き」「特定疾病にかかる診断基準」の改定内容について、各都道府県などに通知を発出した。これは今年4月1日の厚労省老健局長通知に対応するもの。施設等利用の場合は、医療機関における病床の種別(精神病床等)や障害福祉サービス(グループホーム等)など、調査対象者の状況について記入することや、「傷病に関する意見」では、症状としての安定性について、進行がんなどで、急激な悪化が見込まれる場合は「特記すべき事項」ではなく、「傷病に関する意見」に記載することなどを求めている。(参考)要介護認定の主治医意見書記入の手引きなど見直し 厚労省(CBnewsマネジメント)介護保険最新情報 Vol.1003 令和3年8月16日(厚労省老健局老人保健課)6.病院を顧客にした口コミビジネスが暗躍病院の検索結果で表示される口コミについて、低評価が投稿された医療機関に対して、「高評価の口コミに書き換える」などと営業している一部の業者が問題視された。読売新聞の報道によれば、これまでに400以上の法人(うち医療関係は7割)に対し、口コミを改善させると持ちかけて、実態のない情報の書き込みを行ったことが明らかになった。業者の中には、複数のアカウントを使い分けて口コミ対策をするところもあるという。今後、患者に正しい医療情報の提供を進めていく上で、改善が求められるだろう。なお、厚労省は、医療機関のホームページについて、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を開催し、医療広告ガイドラインを定めるなど正しい情報提供を行うよう規制強化を行なっている。今回の事例の場合、「誘引性」を伴う可能性があり、広告規制の対象範囲となる可能性が高いだろう。(参考)病院の口コミ、改ざん業者が高評価に書き換え…「評価3.5以下なら大変」と営業攻勢(読売新聞)医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)(厚労省)

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第65回 ワクチン完了者のコロナ感染死は0.001%未満/CDC

<先週の動き>1.ワクチン完了者のコロナ感染死は0.001%未満/CDC2.AZ製ワクチン、40歳以上などを対象に接種開始へ/厚労省3.医師働き方改革、宿日直許可のフローなど公表/厚労省4.マイナンバーカード保険証、9月末までに導入を/厚労省5.日本人の平均寿命、コロナ下でも延長し男女とも最高に/厚労省1.ワクチン完了者のコロナ感染死は0.001%未満/CDC米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国内で新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人のうち、コロナ感染により死亡した例は0.001%未満、重症化した例は0.004%未満に留まっていることを、最新データで明らかにした。各地からの報告によれば、新規感染者や入院患者の大半は未接種のグループに集中しているという。なお、世界中で感染が急拡大している変異株「デルタ株」については、接種済みでも感染を広げる可能性を指摘。7月27日、CDCはワクチン接種者に対するガイダンスを更新し、ワクチン接種の有無にかかわらず、感染率の高い地域の屋内公共施設では全員がマスクを着用することを推奨している。(参考)コロナ感染死、ワクチン接種済みなら0.001%未満 米CDC(CNN.co.jp)Statement from CDC Director Rochelle P. Walensky, MD, MPH on Today’s MMWR(CDC)When You’ve Been Fully Vaccinated How to Protect Yourself and Others(同)2.AZ製ワクチン、40歳以上などを対象に接種開始へ/厚労省厚生労働省は30日に、第23回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催し、アストラゼネカ(AZ)製の新型コロナウイルスワクチンについて、予防接種法に基づき、国内でも接種開始することを決めた。接種対象者は、原則40歳以上とするとともに、海外でAZ製ワクチンを1度打って帰国した人などとするが、他社製のワクチンでアレルギー反応が生じた場合や、他ワクチンの流通がストップした場合は、18歳以上40歳未満の人も対象となる。AZ製ワクチンは、今年5月に特例承認されたが、海外で接種後の血栓事例が報告され、国内での使用は見送られていた。血小板減少症を伴う血栓症は、イギリスにおいて1回目接種で100万回当たり14.8件と、アナフィラキシーの発症頻度(100万件当たり16.5件)とほぼ同程度であり、診断・治療の手引きを日本脳卒中学会と日本血栓止血学会が作成し、公表している。(参考)アストラ製ワクチン接種対象、40歳以上に決定(産経新聞)アストラゼネカワクチン 公的接種に追加 40歳未満は原則対象外(NHK)新型コロナワクチンの接種について[アストラゼネカ社ワクチン](厚労省)アストラゼネカ社COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第2版(日本脳卒中学会、日本血栓止血学会)3.医師働き方改革、宿日直許可のフローなど公表/厚労省厚労省・医師等医療従事者の働き方改革推進室は、2024年度より勤務医に対する時間外労働上限規制が施行されることを踏まえ、医療機関における労働時間管理を適正に行うため、宿日直許可に関する必要書類やフローなどを公表した。申請前チェックシートもあり、医療機関の管理者らが、宿日直許可の取得申請を行う際の事務手続き等の参考になるだろう。(参考)宿日直許可、必要書類やフローなど周知 厚労省(キャリアブレインマネジメント)宿日直関係資料について(周知依頼)(厚生労働省)4.マイナンバーカード保険証、9月末までに導入を/厚労省厚労省は、29日の社会保障審議会医療保険部会で、「オンライン資格確認等システム」の導入準備状況について、カードリーダーなどの専用機器を導入し対応可能となった施設は1,664施設と、全体の1%未満に留まっていることを明らかにした。内訳は、病院159施設、医科診療所535施設、歯科診療所439施設、調剤薬局531施設。顔認証などによる手続きの自動化で待ち時間を短縮できるものの、院内システムの改修も必要であり、それらの準備が完了しているのは7,411施設。顔認証付きカードリーダーの申し込みは約13万施設(約6割)が行っており、そのうち約8割の施設が今年9月末までに導入予定であると回答している。このため、10月からの本格的な稼働に向け、医療関係団体や公的医療機関等に対して、導入加速を働きかける。なお、マイナンバーカードを保険証として使うには、利用者側でも事前登録が必要だが、登録者数は約470万人とカード発行の1割に留まり、更なる広報活動も必要だ。(参考)マイナ保険証への対応1%未満 医療機関、準備遅れ 10月開始、デジタル化基盤整わず(日経新聞)資料 オンライン資格確認等システムについて(厚労省)5.日本人の平均寿命、コロナ下でも延長し男女とも最高に/厚労省厚労省が30日に発表した「令和2年簡易生命表の概況」によれば、2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳と、それぞれ2019年と比較して男性が0.22歳、女性は0.30歳延長し、過去最長を更新したことが明らかになった。男性、女性とも全年齢で平均余命は前年を上回っており、新型コロナウイルスにより、男性は-0.03歳、女性は-0.02歳の影響があったものの、男女とも悪性新生物、心疾患(高血圧性を除く)、脳血管疾患、肺炎および不慮の事故などの死亡率の減少によって、全体の平均寿命は延長した。同年の世界順位(香港を除く)は、男性では1位スイス(81.9歳)、2位日本(81.6歳)、3位シンガポール(81.5歳)、女性では1位日本(87.7歳)、2位韓国(86.3歳)、3位シンガポール(86.1歳)となった。なお、香港の平均寿命は男性が82.71歳、女性が88.14歳となっている。(参考)日本人の平均寿命 女性87.74歳、男性81.64歳 過去最高更新(毎日新聞)2020年の平均寿命、男女とも最高に 厚労省まとめ(日経新聞)令和2年簡易生命表の概況(厚労省)

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8月に都内1万人超も、爆発的拡大への緊急声明/日医

 29日、国内の新型コロナ新規感染者数は初めて1万人を超え、病床逼迫が現実に発生しつつある。日本医師会は、これを踏まえ、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、東京都医師会の各団体と共に、「新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大への緊急声明」を取りまとめた。 東京都の新規陽性者数は、7月25日1,763人、26日1,429人、27日2,848人、28日3,177人、29日3,865人と、1週間比1.5以上で推移しており、厚労省アドバイザリーボードが28日に出した感染予測では、このまま1週間比1.4以上が続けば、8月中にも新規陽性者数は東京都だけで1万人を超えるとされている。 日本医師会は、緊急要請として、以下の3つを政府に示した。1. 首都圏をはじめ感染者が急増している地域に対し、早急に緊急事態宣言を発令すること。あわせて、緊急事態宣言の対象区域を全国とすることについても検討に入ること。2. 感染収束の目途がつくまで、徹底的かつ集中的にテレワークや直行直帰を推奨すること。3. 40歳から64歳までとリスクの高い疾患を有する方のワクチン接種を推進し、できるだけ早く完了させること。 また、医療提供体制確保の取り組みとして、(1)重症者、中等症患者の入院病床の確保、(2)軽症者への対応、(3)新型コロナウイルス感染症における有事の医療と、通常の診療の両立への支援策を示し、ワクチン接種の推進については、デルタ株の影響により、これまで考えられていた集団免疫の獲得は6~7割の接種では難しく、できる限り多くの方が確実に2回接種する必要があることを説明している。 声明文として「われわれは行政と連携して、通常医療への影響を食い止めます。そして、COVID-19がなければ防ぎえた死は、何としても回避する覚悟です。すでに多くの医療従事者は必死の思いでコロナに立ち向かい、心身ともに限界です。医療者はできうる責務はすべてまっとうします。そのためにも、政府に対して、今あらためて、感染拡大を食い止めることに、あらゆる手立てを尽くすことを要請します」と強い言葉が記されている。 なお、今回の声明取りまとめに当たっては、尾身 茂新型コロナウイルス感染症対策分科会長、脇田 隆字新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード座長と、多角的な視点から意見交換を行ったという。

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第67回 針刺し事故頻発中!コロナワクチン接種進む中、肝炎、HIVの感染リスクにも重々注意を

一度使った注射器を別の人に再度使用こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。東京都の新型コロナ感染者の増加が止まらない中、とうとう今週末、オリンピックが開催されます。そこで先週の日曜(7月18日)は選手村がどんな状況か視察するため、ではなく豊洲にあるライブ会場で開かれた、福岡市博多区出身のバンド、NUMBER GIRLのライブを観るために、東京・湾岸エリアの選手村近くまで出かけました(そもそも選手村は交通規制で近づけませんでした)。NUMBER GIRLは、8月に茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催予定だった「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021」にも出演予定でした。しかし、茨城県医師会の要請で同イベントは中止が決定、NUMBER GIRLのファンのみならず多くの夏フェスファンを失望させました。この夏、NUMBER GIRLをライブで聴くことができるのは、今回の豊洲PITの単独と、「FUJI ROCK FESTIVAL’21」、山中湖のフェスだけという状況です。猛暑の中、選手村と海を挟んではす向いにある豊洲PITで1年半ぶりに観客を入れて敢行されたNUMBER GIRLのライブ。椅子に座って静かに“鑑賞”という、およそロックのライブとは思えないものでしたが、久しぶりの爆音が身体に沁み渡り満足の1日でした。終演後、勝鬨橋を歩いて渡り地下鉄の駅まで歩いたのですが、営業中の居酒屋の中にオリンピック関係者と思しき外国人2人(大胆にも同じユニフォームを着てました)が日本人に混じって飲んでいるのが見えました。“バブル方式”と言ってはいますが、彼らがもし選手だとしたら、選手村のバブルは針で穴を開けたかのように、既に弾けてしまっているのかもしれません。さて、今週はコロナワクチンの接種が各地で進む中、頻発している「針刺し事故」について書いてみたいと思います。7月13日のNHKニュースによれば、群馬県沼田市は、12日の新型コロナウイルスワクチン接種において、一度使った注射器(注射針とシリンジ)を別の人に再度使用した可能性があることを明らかにした、とのことです。ディスポなのに“2度刺し”の余地はどこに?最初、このニュースを聞いて疑問に思いました。私自身も先日1回目の接種を終えたのですが、注射針・シリンジはディスポーザブルなので接種後すぐに廃棄されていました。沼田市の事故において、“2度刺し”の余地がどこにあったのか、わからなかったのです。同ニュースによれば、一度使った注射器を別の人に使用したのは12日午後6時から市の保健福祉センターで行ったワクチンの集団接種においてのこと。ここでは108人が2度目の接種を受けましたが、終了後に注射器が1人分余り、使用済みで廃棄した注射器を確認したところ107本しかなかったということです。市によれば、この日は歯科医師が接種を担当しており、一度打った注射器を廃棄せず空の状態で再度使ってしまった可能性が高いということでした。同ニュースでは、「接種を受けた人に確認を進めていて現時点で、健康面の被害は報告されていない」「誤って使用済みの空の注射器を打たれた人は抗体ができていないことが想定されるため、1週間後をめどに全員に抗体検査を行って特定したいとしている」と報道していますが、そんなことより、2度刺しが起きた原因や、針刺し事故では肝炎やHIVに感染するリスクがあることも、きちんと伝えるべきではないかと感じました。使用注射器と未使用注射器を同じ机の同じ形状のトレーにいったいどういう経緯でこんな“古典的”な医療事故が起こったのでしょうか?ひょっとしたら他でも起きているのではないかと考え、ネットで検索してみると、あるわあるわ…。ワクチン接種に絡む事故が頻発していました。6月11日には、宮崎市で市内の高齢者施設において医療機関が実施した新型コロナワクチン接種において、医師が誤って使用済み注射器の針を施設従事者の60代女性に刺す事故が起こっています。この事故については、宮崎市のホームページに事故の概要が報告されています。それによれば、事故発生の原因は、「医師が受傷者の直前に使用した注射器と未使用の注射器を、同じ机の同じ形状のトレーに置いたため、誤って使用済みの注射器を使用して受傷者に刺した」とのことです。この他、同様の事故は、岡山県浅口市、滋賀県湖南市、奈良県五條市、埼玉県上里町などでも発生しています。いずれも現段階で受傷者に健康被害は起きていないようです。医療廃棄物での事故も多発中接種後、医療廃棄物になってからの事故も頻発しています。6月1日、北九州市は新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場で、誤った方法で廃棄された注射針がゴミ回収業者の女性の足に刺さる事故があった、と発表しました。注射針は使用済みとみられ、女性は血液検査を受け、血液感染する可能性がある感染症のワクチン(おそらくB型肝炎ワクチン)を接種したそうです。西日本新聞の報道によれば、本来は専用ボックスに捨てなければならない注射針をガウンなどの医療用廃棄物の袋に捨てた上、それを一般廃棄物用の場所に誤って置いていたとのことです。また、6月7日、石川県小松市の新型コロナワクチンの集団接種会場では使用済みの注射針が会場の準備などを行うスタッフに刺さる事故が発生しています。石川テレビの報道によると、集団接種終了後、スタッフが接種の片づけを行っていたところ、ゴミ袋に入っていた注射針が相次いで2人に刺さった、とのことです。接種ブースには使用済みの注射針を捨てる医療廃棄物用のゴミ箱とガーゼの包装紙など一般ゴミを捨てるゴミ袋が置かれていましたが、今回の事故は誤って通常のゴミを集める袋に注射針が捨てられたことが原因とみられています。予防接種のフローに慣れていなかったことも一因か2度刺し事故や、廃棄物になってからの事故は、医療現場から遠ざかっていた医療スタッフや、注射針による医療事故の怖さを知らない事務方スタッフのケアレスミスで起こっているようです。中でも医療廃棄物の処理の杜撰さは、ワクチン接種を専門業者に丸投げ(その業者もまた関連業者に再丸投げのケースも)したことで、事故防止策が疎かになっていることも一因と言えるでしょう。2度差し事故については、いくつかの報道を見ると、宮崎市のケースのように、一度刺した注射針とシリンジを、未使用の注射が置いてあるトレーに戻したり、同じ形のトレーに置いたりしたため、未使用か使用済みかわからなくなってしまうことで起こっています。岡山県浅口市の個別接種で起きた事故でも、通常はトレーに注射器を1本ずつ置いて管理するところを、なぜか2本(未使用と使用済み)置いてあり、直前の接種で使った注射器を使用してしまったようです。集団予防接種に慣れている医療スタッフではまず考えられないミスだと言えるでしょう。沼田市のケースでは打ち手が歯科医だったようですが、2度刺しは予防接種のフローやリスク管理に慣れていないスタッフで起こりやすいのかもしれません。打ち手が自分に刺してしまう事故の可能性もここまで見てきたのは、新聞やテレビで報道された事故ばかりですが、おそらくこれらは氷山の一角で、針刺し事故はもっと頻繁に起こっているのではないでしょうか。なにせ、1日150万回近くの接種が行われているのですから。今のところ、致命的な劇症肝炎が発生していないだけでも幸いと言えます。ところで、こうした事故の中で、うやむやにされがちなのは、医療スタッフ自身がワクチン接種後の注射針を、自分の腕や腿などに誤って刺してしまう事故です。ミスしたことがバレるとカッコ悪いので、その事実を黙っている人も、ひょっとしたらいるかもしれません。医療者であればご存知でしょうが、針刺し事故後はすぐに打った相手の感染症情報(HBs抗原、HBs抗体、HCV 抗体、HIV 抗体)を調べることと、自分自身の血液検査が必要です。場合によっては、乾燥抗HBsヒト免疫グロブリン投与(HBIG)とB型肝炎ワクチンの接種や、抗HIV薬服用も考えなければなりません。針刺し事故の思い出…「SASU-ME」にも気を付けて実は私自身も針刺し事故に遭遇したことがあります。今から15年ほど前、ある病気で診療所を受診し血液検査を受けることになりました。院長が採血をしたのですが、採血後の注射を持った右手がぶれて、あろうことか院長自身の左手を刺してしまったのです。院長は一瞬焦った表情をしたものの、「大丈夫、大丈夫。萬田さん、肝炎のキャリアじゃないですよね?」と言って、その時の診療は終わりました。私自身は「大丈夫って。まあ私は大丈夫だけど」と思い帰宅したのですが、すぐに診療所から電話がかかってきて、その日のうちに再度受診することになりました。診療所では肝炎やHIVの検査の同意を取られ、再び採血、検査される羽目となりました。その後、院長には何の健康被害も起きませんでしたが、日常診療の中でのちょっとした気の緩みやミスで針刺し事故は起こるんだ、と実感したことを覚えています。これまでの報告1)からHIV汚染血液による針刺し事故の感染率は0.3%、粘膜の曝露による感染率は0.09%とのことです。また、C型肝炎ウイルスは約2%、HBe抗体陽性ウイルスは約10%、HBe抗原陽性ウイルスは約40%とされています。HBe抗原陽性ウイルスの場合の感染率の高さが際立っており、劇症肝炎を発症する危険性もあります。そう言えば、NUMBER GIRLには「SASU-YOU」という名曲があります。医療スタッフの多くはB型肝炎ワクチンを接種済だとは思いますが、ワクチン接種に関わる方は、肝炎、HIVの感染リスクも念頭に、「SASU-“YOU”」に加え、「SASU-“ME”」にも気を付けていただきたいと思います。参考1)針刺し事故後の対応について/国立病院機構 名古屋医療センター

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日本において複数のADHD治療薬を投与された小児患者の特徴

 注意欠如多動症(ADHD)は、多動性、衝動性および/または不注意の症状を呈す疾患である。日本で使用可能なADHD治療薬は、欧米諸国に比べ限られている。また、日本の臨床現場では、処方状況の評価が十分に行われていない。東京医科歯科大学の佐々木 祥乃氏らは、日本の臨床現場におけるADHD治療薬の現在の使用状況と複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴について、調査を行った。PLOS ONE誌2021年6月3日号の報告。 対象は、2015年4月~2020年3月に国立国際医療研究センター国府台病院の児童精神科を受診した患者。メチルフェニデート徐放剤、アトモキセチン、グアンファシンを投与した患者を調査した。複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴を評価するため、レトロスペクティブケースコントロールデザインを用いた。3つのADHD治療薬を投与された患者は、症例群として定義した。ADHDと診断された患者と年齢、性別が一致するランダムサンプリング患者を対照群として用いた。子供から親への暴力、反社会的行動、自殺企図または自傷行為、虐待歴、登校拒否、2つの心理的評価尺度(ADHD評価尺度、東京自閉行動尺度)のデータを比較した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療薬を投与された患者878例のうち、3つのADHD治療薬を投与された患者は43例(4.9%)であった。・ロジスティック回帰分析において、3つのADHD治療薬を投与された患者の特徴は以下のとおりであった。 ●重度のADHD症状 ●自閉的特徴 ●子供から親への暴力の傾向 著者らは「本調査結果は、複数のADHD治療薬の使用を防ぐためのアプローチを示唆している。薬剤の使用状況と臨床的特徴の因果関係を調査するためには、プロスペクティブ研究が必要とされる」としている。

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第63回 コロナ感染拡大、補助金で公立病院は黒字化

<先週の動き>1.コロナ感染拡大、補助金で公立病院は黒字化2.75歳以上の医療費増大、後期高齢者の健康保険財政が悪化へ3.再診なしでも使える繰り返し処方箋も検討課題に4.過労死認定、「過労死ライン」を超えずとも認定可能に5.医療法改正で、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技師の業務拡大へ6.トランプ元大統領も受けた抗体カクテル療法、日本でも承認へ1.コロナ感染拡大、補助金で公立病院は黒字化7月15日に全国自治体病院協議会が開催した定例記者会見で、2020年度の自治体病院の決算において6割の病院が黒字となったことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大により外来患者の延べ数は9.2%減、入院患者は同9.6%減、平均病床利用率は6.9%減(いずれも前年比)であったが、政府からの新型コロナ関連の補助金、計約3,027億円によって経営状態が大幅に改善した。(参考)自治体病院6割黒字の見込み コロナ対応の政府補助金で(朝日新聞)コロナ感染症の重点医療機関、支援金加味した2020年度の経常収支は104.5%の黒字に―全自病・小熊会長(Gem Med)2.75歳以上の医療費増大、後期高齢者の健康保険財政が悪化へ厚生労働省は7月16日に、令和元年度の後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況を発表した。これによれば、支出が16兆1,969億円と前年度比3.8%(5,954億円)増加となり、会社員らの現役世代からの支援金6兆5,220億円により黒字となっているが、75歳以上の人口の増加に伴って支援金の増加も加速しており、2023年度より75歳以上人口が増えるため、現役世代の負担感はさらに強くなると考えられる。政府は一定の所得がある後期高齢者については22年度後半から医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げるように法改正を行なったが、今後もさらに検討が必要とみられる。(参考)令和元年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について後期高齢者医療への支援金が最大 現役の拠出、19年度2300億円増 75歳以上増加で負担重く(日本経済新聞)3.再診なしでも使える繰り返し処方箋も検討課題に厚生労働省は、7月14日に開催された中医協の総会において、再診なしで繰り返し使える処方箋(リフィル処方箋)について、議論に着手することを明らかにした。リフィル処方箋は、今年の6月18日に内閣府で閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)において、「症状が安定している患者について、医師及び薬剤師の適切な連携により、医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できる方策を検討し、患者の通院負担を軽減する」との目的で、導入が検討されていた。調剤薬局には、ポリファーマシー対策や重複投薬の防止とともに患者情報の交換を通して医療機関との連携強化が期待されているが、診療側は慎重姿勢であり、今後の議論に注目が集まる。(参考)中央社会保険医療協議会 総会 調剤(その1)再診なく繰り返し使える処方箋 厚労省が検討開始(日本経済新聞)中医協総会 2022年度調剤報酬改定へキックオフ 支払側・幸野委員「薬局機能に応じた報酬体系に」(ミクスOnline)4.過労死認定、「過労死ライン」を超えずとも認定可能に7月16日、厚生労働省は「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」において、昨年からで検討を重ねてきた「業務による過重負荷を原因とする脳血管疾患及び虚血性心疾患」について、2001 年に定められた認定基準の改定を公表した。この20年間に働き方の多様化や職場環境の変化が生じており、残業時間が「過労死ライン」とされる月80時間に達していなくても、これに近い時間外労働が認められ、加えて労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと評価できると明示することとし、労災として認定することになった。この報告書を基に今年8月末から新たな基準の運用が始まる見通しだ。(参考)「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書労災認定柔軟に 脳・心臓疾患 厚労省(時事通信)「過労死ライン」こだわらず 厚労省、労災認定を柔軟に(日本経済新聞)5.医療法改正で、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技師の業務拡大へ今年5月28日に公布された「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」(改正医療法)により、診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法が改正された。今年の10月1日から、医師の働き方改革を進めるため、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士へのタスクシフト/シェアを推進する。医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を活かせるよう、各職種の業務範囲の拡大等を行うことが目的だ。具体的には、診療放射線技師では、RI検査のために静脈路を確保し、RI検査医薬品を投与する行為、さらに投与終了後に抜針及び止血する行為、臨床検査技師では医師又は歯科医師の指示を受け、病院又は診療所以外の場所に出張して行う超音波検査を行う行為、臨床工学技士には手術室等で生命維持管理装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続するために静脈路を確保し、それらに接続する行為や投与終了後に抜針などの業務が該当し、現場で行う前に、各団体により研修が実施される。(参考)良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案の閣議決定について(第78回社会保障審議会医療部会)臨床検査技師等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の公布について(PDF)臨床工学技士の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修2021年医療法等改正のチェックポイント-医師の働き方、タスクシフト/シェアの推進、外来医療の機能の明確化・連携など-(医療総研)6.トランプ元大統領も受けた抗体カクテル療法、日本でも承認へ日本国内で、新型コロナワクチンに新しい治療法が承認されそうだ。米国リジェネロン社とスイス・ロシュ社が共同開発した2種類の医薬品を組み合わせた「抗体カクテル療法」は去年、当時の大統領のドナルド・トランプ氏が受けたことで話題となり、厚生労働省は、7月19日に薬食審医薬品第二部会を開催し、特別承認について審議する。この抗体カクテル療法は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の2種類のウイルス中和抗体の「カシリビマブ」と「イムデビマブ」を含む「ロナプリーブ点滴静注」であり、国内では中外製薬が独占契約に基づいて国内第I相の治験を実施した。米国国内においては緊急使用許可が出て臨床使用されている。これまで国内の新型コロナ治療薬としては「レムデシビル」「デキサメタゾン」「バリシチニブ」の3製品が承認されているが、いずれも中等症・重症の患者を対象としており、軽症・中等症向けの治療薬としては初となる見込み。(参考)「抗体カクテル療法」19日に承認可否を審議 厚労省(産経新聞)軽・中等症では初の新型コロナ治療薬 来週にも特例承認へ(毎日新聞)薬食審 中外製薬の新型コロナへの抗体カクテル療法「ロナプリーブ点滴静注セット」7月19日に審議(ミクスOnline)

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(肝胆膵)

第1回 ウイルス性肝炎第2回 アルコール性肝疾患とNAFLD第3回 自己免疫性肝炎の原発性胆汁性胆管炎第4回 肝硬変第5回 急性胆嚢炎・胆管炎第6回 急性膵炎第7回 慢性膵炎 IPMN 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医11名を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。消化器の肝胆膵については、東京医科歯科大学の山田徹先生がレクチャー。最新のガイドラインに合わせて、変更された標準治療など要点を押さえます。肝胆膵のいずれ疾患も、アルコール性か否かによって異なる治療法を整理します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 ウイルス性肝炎ウイルス性肝炎では、まず最も多いB型とC型を解説。B型肝炎は各種抗原抗体と一般的な感染パターンを相関図で整理。C型肝炎は、新しい直接型抗ウイルス薬(DAA)の開発が進み、慢性肝炎・代償期肝硬変だけでなく、非代償期肝硬変を含むすべてが治療対象となっています。最新のガイドラインに記載されている重症度別の第1選択薬を押さえます。日常臨床ではあまり見られない、A型・D型・E型肝炎についてもポイントを確認。第2回 アルコール性肝疾患とNAFLDウイルス性や自己免疫性が除外された肝疾患は、アルコール性と非アルコール性に分けられます。非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLDの日本での有病率はおよそ30%で、現在増加傾向。肥満でない人にも多いのがポイント。NAFLD のうち、NASHは肝硬変への進展や肝がんの発生母地になるため、臨床的に重要な疾患概念です。バイオマーカーは未確定で、鑑別には原則肝生検が必要です。肝生検を行う目安を確認します。第3回 自己免疫性肝炎の原発性胆汁性胆管炎自己免疫性肝炎AIHは中年以降の女性に好発する肝疾患で、約30%に慢性甲状腺炎やシェーグレン症候群といった他の自己免疫性疾患を合併。AIHの10~20%に原発性胆汁性胆管炎PBCを合併したオーバーラップ症候群がみられます。PBCも中年以降の女性に好発し、他の自己免疫性疾患と合併する場合があります。ともに無症状から非特異的な症状が多く、診断のポイントとなる血液検査と病理検査が問題を解くカギです。第4回 肝硬変肝硬変の主な原因は、これまではC型肝炎でしたが、直接型抗ウイルス薬(DAA)の進歩により減少が予想されており、対してNASHの割合が増加傾向です。特徴的な身体所見を確認します。診断と予後予測には肝線維化を評価。肝硬変は低栄養や低血糖に陥りやすく、死亡率増加や各種合併症につながります。合併症となる食道静脈瘤、肝性脳症、腹水、特発性細菌性腹膜炎、肝腎症候群、肝細胞がんの各治療法も試験で問われるポイント。第5回 急性胆嚢炎・胆管炎急性胆嚢炎と急性胆管炎を比較しながら解説します。まず原因に胆石性の有無を確認することが重要。無石胆嚢炎は、症状は胆石性胆嚢炎と同じですが、外傷、心臓手術後、敗血症など高ストレス下で発症し、重症化しやすく死亡率が高いため、早期発見・早期治療が必須。急性胆嚢炎の画像診断は、腹部エコーが第1選択。診断基準となる数値を押さえます。急性胆嚢炎・胆管炎の治療は、抗菌薬・ドレナージ・手術の使い分けがポイント。第6回 急性膵炎急性膵炎の2大原因はアルコールと胆石。強い腹痛を伴う疾患で、約7割が心窩部痛です。重症度診断のスコアとともに、重症垂炎を除外するためのHAPSというスコアも有用です。発症早期の多量輸液が死亡率を下げるため重要。治療については、抗菌薬や蛋白分解酵素阻害薬の有効性について、最新の見解を整理します。膵周囲の液体貯留の定義である「改訂Atlanta分類」を踏まえて、感染性膵壊死の治療法を押さえます。第7回 慢性膵炎 IPMN慢性膵炎の原因はアルコールが68%を占めています。飲酒と喫煙がリスク因子で、原因が不明瞭な場合は遺伝子検査の対象になります。試験で出題されやすい画像診断では、膵石・石灰化、主膵管不整拡張といった所見が重要。無症状で偶発的に見つかることが多い膵管内乳頭粘液性腫瘍IPMN。画像診断はMRCPが第1選択。浸潤がんや悪性所見を見落とさないように、MCNやSCNとの鑑別ポイントを確認します。

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第66回 医療法等改正、10月からの業務範囲拡大で救急救命士の争奪戦勃発か

今年の医療法等改正をおさらいこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。予想通り、7月12日から東京都は4回目の緊急事態宣言に突入しました。沖縄県に出されていた同宣言も延長となりました。オリンピック開催を至上命令として、マッチポンプのようにコロコロと変わる政府の施策に、国民の多くはさすがに辟易としてきているようです。7月13日に読売新聞社が公表した同社世論調査によれば、菅内閣の支持率は37%、昨年9月の内閣発足以降最低だった前回(6月4~6日調査)から横ばいです。一方、不支持率は53%(前回50%)に上がり、内閣発足後で最高となったそうです。中でも東京の菅内閣の支持率は28%で、全国平均の37%と比べて9ポイント低かったそうです。進まないワクチン接種や、酒提供に関して金融機関からの働き掛け方針の撤回など、政府の右往左往ぶりは既に末期症状かもしれません。さて、こんな時は野球観戦です。昨日(7月13日)は、MLBオールスターゲームのホームランダービーを朝から観戦していました。初出場のロサンゼルス・エンゼルスの大谷 翔平選手は、残念ながら1回戦でワシントン・ナショナルズのフアン・ソト選手に敗れてしまいました。それにしても、対戦後、ハアハア息をする大谷選手を見て、ホームランダービーの過酷さがわかりました。他の出場選手よりも息が荒かったのは、デンバーの球場が標高1,600mと高地にあり高度順応ができなかったからか、他の選手の心肺機能の方が高かったからかわかりませんが、あの対戦を2回連続(2019年と今年)制したニューヨーク・メッツのピート・アロンソ選手は本当にすごいです。さて、新型コロナ感染症による緊急事態宣言とオリンピック開催を巡る騒動の陰で、これからの医療現場に大きな影響を及ぼす法律改正が行われていました。今回は”事件”から少々離れて、それについて簡単におさらいしておきたいと思います。医療現場に大きな影響を及ぼす法律改正とは、ずばり医療法等の改正です。法律案の名称は「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」。医師の労働時間の短縮や新興感染症の感染拡大時における医療提供体制の確保など、医療現場が直面するさまざまな課題を解決するためにつくられた法律案です。関連する法律も医療法をはじめ、医師法や歯科医師法、診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法、救急救命士法と幅広く、それぞれの法律の改正を一括するかたちで、「……医療法等の一部を改正する法律案」として審議されてきました。2024年度からの時間外労働規制に向けた「医師の働き方改革」この医療法等改正法は5月21日の参議院本会議で可決・成立しました。柱は大きくは3つです。1)医師の働き方改革勤務医の時間外労働規制が2024年度から適用されることを受け、「長時間労働の医師の労働時間短縮および健康確保のための措置の整備」が講じられます。具体的には、勤務医が長時間労働となる医療機関での「医師労働時間短縮計画」の作成が義務付けられます。また、地域医療の確保や研修を集中的に実施する観点からやむを得ず、規定よりも多い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度がつくられます。指定された医療機関では連続勤務時間の制限といった健康確保措置が求められます。2)各医療関係職種の専門性の活用次に「各医療関係職種の専門性の活用」です。 これも「医師の働き方改革」に関連したもので、医師の負担軽減を目的に、4つの医療関係職種の業務範囲を拡大し、タスクシフト・シェアを推進することになりました。診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士の4職種の資格法が改正されています。いずれも施行は今年10月1日からで、医師が働く現場にすぐに影響が出るのは、このタスクシフト・シェアでしょう。これについては、あとからもう少し詳しく解説します。なお、「専門性の活用」については医師の養成課程の見直しも行われています。2025年4月から共用試験合格が医師国家試験の受験資格要件となります。また、同試験に合格した医学生は医師法第17条(医師でなければ、医業をなしてはならない)の規定にかかわらず、大学が行う臨床実習において、医師の指導監督のもとで医業(つまり診療)を行えるようになります。この措置は2023年4月からの施行です。医療計画に新興・再興感染症医療提供体制に関する事項追加そして法改正のもう一つの柱が、3)地域の実情に応じた医療提供体制の確保です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で露呈した医療提供体制のさまざまな課題に対応するため、2024年度からの第8次医療計画に「新興感染症等の感染拡大時における医療」の確保に関する事項が追加されます。具体的には、現行は「5疾病・5事業および在宅医療」の医療計画の記載事項が、「5疾病・6事業および在宅医療」に改められます。これまで、医療計画の中に、新興・再興感染症の感染拡大への対応が記載されていなかったのは国・厚生労働省の怠慢としか言いようがありませんが、とにかくそれに関する事項が追加されたことは評価したいと思います。また、2022年度からは、高度な医療機器など医療資源を重点的に活用する外来等について報告を求める「外来機能報告制度」が創設されます。これまで入院医療については「病床機能報告制度」があったのですが、それが外来にも拡大されるわけです。入院医療に加え外来医療も医療機能の分化と連携を進めるのが狙いとされています。外来機能報告制度の施行は2022年4月で、報告を基に、地域医療構想と同様不足する外来医療機能の確保といった問題を「地域の協議の場」などで話し合い、調整することになります。放射線技師、検査技師、臨床工学技士、救急救命士の業務拡大の中身さて、前述のように、こうしたさまざまな改革の中で、すぐに現場に影響を及ぼしそうなのが、医療関係職種の業務範囲拡大によるタスクシフト・シェアでしょう。何せこれまで医師にしかできなかった業務を他職種に任せることができるのですから。診療放射線技師法、臨床検査技師等に関する法律、臨床工学技士法、救急救命士法の改正により、各職種に新たに認められる業務は以下です(政省令改正で済むものを除く)。診療放射線技師造影剤を使用した検査・RI検査(放射性医薬品を用いる検査)のための静脈路確保RI検査医薬品を注入するための装置接続と操作RI検査医薬品投与終了後の抜針・止血医師・歯科医師が診察した患者に対する、その医師等の指示に基づく、医療機関以外の場所に出張して行う超音波検査臨床検査技師採血に伴う静脈路確保と、電解質輸液(ヘパリン加生理食塩水を含む)への接続静脈路を確保し、成分採血のための装置接続と操作、終了後の抜針・止血超音波検査に関連する行為としての静脈路確保、造影剤接続・注入、造影剤投与終了後の抜針・止血臨床工学技士手術室等で生命維持管理装置を使用して行う治療における▼静脈路確保と装置や輸液ポンプ・シリンジポンプとの接続▼輸液ポンプ・シリンジポンプを用いた薬剤(手術室等で使用する薬剤に限る)投与▼当該装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続された静脈路の抜針・止血心・血管カテーテル治療における生命維持管理装置を使用して行う治療に関連する業務として、身体に電気的負荷を与えるための当該負荷装置操作手術室での鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持、術野視野を確保するための内視鏡用ビデオカメラ操作救急救命士現行法における「医療機関に搬送されるまでの間(病院前)に重度傷病者に対して実施可能な救急救命処置」について、救急外来(救急診療を要する傷病者が来院してから入院に移行するまで〈入院しない場合は帰宅するまで〉に必要な診察・検査・処置等を提供される場)においても実施可能に救急救命士の業務範囲拡大は医療関係団体からの強い要望で実現最後の救急救命士の業務範囲拡大は、日本医師会、日本救急医学会、四病院団体協議会から要望が出され、厚労省の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」で議論がされてきました。一部には救急救命士が一定の医行為を実施することに強く反対する意見もあったそうですが、最終的には医師の負担軽減に必要、として了承されました。法改正が施行される今年10月1日からは、重度傷病者が搬送先医療機関に入院するまでの間、または入院を要さない場合はその医療機関に滞在している間、医療機関に勤務する救急救命士は特定行為を含む救急救命処置ができることになります。実際の運用面の議論も開始救急救命士法の改正を受け、厚労省は6月4日「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催し、救急救命士が救急外来において処置を実施する際の運用面の議論が行われています。この中では、救急救命士の質を担保するために医療機関に設置する委員会の詳細や、 救急救命士への院内研修項目なども提案されました。つまり、病院が救急救命士を救命救急業務に就かせるには相応の組織を設けたうえで、研修等の実施が必須になるようです。運用スタートまで3ヵ月を切っており、秋口までには詳細が決まると思いますが、他の職種のタスクシフト・シェアと比べても患者の生死に直結する業務だけに、拙速な議論だけは避けてもらいたいものです。救急救命士の効果的な活用は、急性期病院の命運を握る救急救命士が救急外来で働くことは、医師の仕事量の軽減だけでなく、病院経営にとっても大きなプラスになると考えられます。人件費の高い医師でなく、救急救命士を多数雇うことで、コストを抑えつつ救急外来を回すことができるからです。しかも、救急部門の充実は、病院が急性期病院として生き残るための経営の要でもあります。救急救命士の効果的な活用は、今後の急性期病院の命運を握ると言えるでしょう。実際、今回の法改正が行われる前から、救急救命士を雇用する病院は増加傾向のようで、病院勤務を志望する救急救命士も増えていると聞きます。来年にかけ、救急救命士の争奪戦が本格化しそうな気配です。

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統合失調症患者における末梢炎症レベルの再定義~FACE-SZコホート研究

 統合失調症の予後には、末梢炎症が関連しているといわれている。高感度C反応性蛋白(hs-CRP)は、日常的に最も使用されている炎症性バイオマーカーである。しかし、末梢炎症の有無を区分するための合意に基づくカットオフ値は、これまで明確に定義されていなかった。フランス・エクス=マルセイユ大学のG. Fond氏らは、hs-CRP 1~3mg/Lの統合失調症患者は、1mg/L未満の患者と比較し、治療転帰が不良であるかを検討した。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年4月29日号の報告。 対象は、2010~18年にフランス国内の専門学術センター10施設が参加したFACE-SZコホート研究より抽出したhs-CRP 3mg/L未満の統合失調症患者。炎症の潜在的な原因、社会人口統計、疾患の特徴、現在の疾患重症度、機能、QOLを、FACE-SZ標準化プロトコールに従って収集した。 主な結果は以下のとおり。・580例が抽出され、そのうち226例に軽度の炎症(hs-CRP 1~3mg/L)が認められた。・炎症の潜在的な原因として、過体重と歯科治療の欠如が特定された。・これらの因子で調整した後、炎症の認められた患者は、検出値(hs-CRP 1mg/L)未満の患者と比較し、より重度の精神症状、抑うつ症状、攻撃性、機能障害を有していた。・喫煙や身体活動レベルとの関連は認められなかった。 著者らは「hs-CRP 1~3mg/Lの統合失調症患者は、炎症関連障害のリスクがあると考える必要がある。末梢炎症の原因をコントロールするうえで、減量や積極的な歯科治療の実施が、有用な戦略である可能性が示唆された。カットオフ値hs-CRP 1mg/L超は、統合失調症患者の末梢炎症の検出において、信頼できるマーカーであると考えられる」としている。

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第60回 立法措置のないコロナワクチン「打ち手」拡大に保団連が疑義

政府は新型コロナワクチン接種を加速するため、不足している「打ち手」を救急救命士や臨床検査技師にまで広げようとしている。医師や看護師以外の職種で最初に候補に挙がった歯科医師に対し、厚生労働省が4月26日付で事務連絡を発出、歯科医師による新型コロナワクチン接種について法的な整理を示した。これに対し、全国の医師・歯科医師10万7,000人で構成する全国保険医団体連合会(保団連)は5月21日、宇佐美 宏副会長(歯科代表)名で、「歯科医師による新型コロナワクチン接種は法律により適法性を確保して実施すべき」との声明を発表、問題点を指摘した。行き当たりばったりの職種拡大方針に疑問歯科医師法第1条は歯科医師の任務を「公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保する」と規定している。声明では「新型コロナウイルス感染症が国民の生命と健康を脅かす中で、その対策に参画することは歯科医師の職業的使命である。必要に応じ、安全性を確保してワクチン接種に協力することは、歯科医師としてやぶさかではない」と、打ち手としての役割には前向きな姿勢を示した。一方、打ち手不足問題については「新型コロナワクチン接種のための体制確保は、ワクチンの開発・供給を巡る動向の中で十分に想定しえた課題である」と指摘。「厚労省が、円滑に対応できるようあらかじめ法律による対応に動かず、人材の逼迫が起こってから緊急避難的に解釈による対応をとったことには問題がある」と、行き当たりばったりの職種拡大方針に疑問を呈した。厚労省は事務連絡で、ワクチン接種のための筋肉内注射は医行為に該当し、医師法第17条に違反するとした上で、以下の3点の条件を示している。(1)歯科医師の協力なしにはワクチン接種が実施できない(2)歯科医師に筋肉内注射の経験があるか必要な研修を受けている(3)被接種者の同意がある。この3条件を満たす場合、「公衆衛生上の観点からやむを得ないものとして、医師法第17条との関係では違法性が阻却され得るものと考えられる」とした。そして集団接種会場に限り、医師の監督下で歯科医師によるワクチン接種の筋肉内注射を可能とした。これは、歯科医師によるPCR検査の検体採取についての法的整理と同じ手法だ。声明では「新型コロナワクチンについては、接種後一定頻度でのアナフィラキシーの発生や、死亡事例も報告されている。PCR検査の検体採取以上に深刻なリスクを伴うことは明らかであり、同じ医行為であっても検討には一層の慎重さが求められる。それにもかかわらず、PCR検査の検体採取と同様に、行政解釈により歯科医師の実施を可能とすることは不適切である」と、行政解釈による対応を批判した。国は解釈と条件を示すだけ、責任は現場任せ…その上で、「本来的に、国会審議を通じて必要性と安全性について広く合意し、立法により適法性を確保した上で実施されるべきものである」と提案。「医師法の定めを超えて歯科医師の協力が必要と判断するのであれば、責任を現場任せにして解釈と条件だけを示すのではなく、法律を根拠に実施できる条件を整えることが行政の責任である」と、現場視点からの問題点を示した。様々な職種の協力を得て新型コロナワクチンの接種が進んでも、今後も新たなウイルスの感染拡大が起こる可能性がある。声明では「これからも起こり得る緊急事態への対応も視野に、協力に当たる歯科医師の法律上の位置付けを明確にするよう、厚労省の責任ある対応を求める」と結んでいるが、ほかの職種に関しても同様の措置が必要だろう。医療人の善意に頼るだけでなく、安心して対応できる体制づくりが必要だ。

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ワクチン接種で役立つ地方発の知恵/首相官邸・戸田市

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の一般向けのワクチン接種が、全国的に始まり、軽微な不備はあるものの、現在は順調に進んでいる。 接種に際しては、会場設営、人口構成、医療者の分布など地域の個々の事情に応じた対応がなされている。 こうした状況の中で、首相官邸の「新型コロナウイルス感染症対策」の特設ページでは、一部の自治体だけでなく、他の自治体でも利用できる活動について収集したものを「ワクチン接種これいいね。自治体工夫集」としてまとめ、公開している。地域の状況に合わせて工夫する自治体の接種体制 工夫集は「医療従事者確保」「効率的な接種体制」「予約システム、円滑な予約体制」「大規模接種会場」の4つのパートに分かれ、各自治体の取り組みが紹介されている。【医療従事者確保】(研修医の活用や医師などのチーム編成接種会場の設置、潜在看護師の活用など)・集団接種会場への研修医の派遣(奈良県)・医師・歯科医師・看護師の「別動隊」による接種機会の拡大(神奈川県大和市)・潜在看護師の掘り起こし(滋賀県)【効率的な接種体制】(予約なしで地区ごとに接種、接種センター作り集中化、地域モデルの共有、医師が巡回して接種など)・地区ごとの集団接種(福島県相馬市)・ワクチンの集中管理(岡山県岡山市)・県内市町村のモデル事例の共有(長野県)・会場内医師巡回方式の導入(東京都調布市)【予約システム、円滑な予約体制】(独自のWEB抽選システムで申込受付)・予約抽選申込方式の導入(兵庫県加古川市)【大規模接種会場】(地元大学との連携やワクチン接種センターの設置、期間限定の高齢者接種センターの設置など)・県・市・国立大学の連携によるワクチン接種センターの開設(宮城県・仙台市)・空港・大学における大規模接種会場の設置(愛知県)・県営ワクチン接種センターの設置(群馬県)・大規模接種会場の設置(兵庫県神戸市)・県高齢者ワクチン接種センターの設置(埼玉県)いつあってもおかしくないワクチン接種のアクシデントはこれ! 埼玉県戸田市は、一般報道をもとにまとめたワクチン接種現場でのアクシデント事例集を作成し、市内の医療機関に配布した。この事例集は、ワクチン接種に携わる医療従事者向けにまとめられたもので、今後のワクチン接種活動での注意喚起を込め、同市の危機管理防災課が作成した。 アクシデント事例として「ワクチンの使用期限(6時間)の認識不足」、「保管・解凍・搬送に関する認識不足」「希釈・分注に関す認識不足」「バイアルの取り扱いに関する認識不足」「注射器の取り扱いに関する認識不足」「本人確認ミス」に分かれ、現在36項目の事例と原因が記載されている。 具体的事例として、「ワクチンに生理食塩水を注入する際、量を間違え使えなくなった。原因として調製方法がしっかりと伝わっていなかった」「中身が空である注射器を誤って接種した。原因として使用済みの注射器を廃棄せずにテーブルに置いてしまった」「集団接種会場で男性に1日2回接種した。原因として接種の案内係が男性の予診票を確認しなかった。接種した直後に誤りに気付いた」 などが記載されている。 いずれもどこの現場でも起りうる事例なので、先述の工夫集とともに今後の対策に役立てていただきたい。なお、首相官邸の工夫集、戸田市の事例集は今後も随時更新をしていく予定。

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日本におけるアルツハイマー病と歯数との関連

 日本人高齢者における残存または欠損している歯数とアルツハイマー病との関連について、日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、横断的な分析を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。 歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータを用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集した。これらの歯数に関するデータとアルツハイマー病の診断を含む医療データを組み合わせて分析を行った。残存する歯数および第3大臼歯(親知らず)を除く欠損している歯数は、歯科医療レセプトの歯科用式を用いて算出し、それぞれ3群に分類した。アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、年齢、性別で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・歯周病と診断された患者において、アルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の残存数別に以下のとおりであった。 ●残存歯数20~28本:1.95% ●残存歯数10~19本:3.87% ●残存歯数1~9本:6.86%・う蝕による抜歯を行った患者において、アルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の欠損数別に以下のとおりであった。 ●欠損歯数1~13本:2.67% ●欠損歯数14~27本:5.51% ●欠損歯数28本:8.70%・歯周病と診断された患者におけるアルツハイマー病のORは、残存歯数20~28本の患者と比較し、以下のとおりであり、残存歯数が少ないとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。 ●残存歯数10~19本:OR=1.11(95%CI:1.10~1.13) ●残存歯数1~9本:OR=1.34(95%CI:1.32~1.37)・う蝕による抜歯を行った患者におけるアルツハイマー病のORは、欠損歯数1~13本の患者と比較し、以下のとおりであり、欠損歯数が多いとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。 ●欠損歯数14~27本:OR=1.40(95%CI:1.36~1.44) ●欠損歯数28本:OR=1.81(95%CI:1.74~1.89) 著者らは「歯科医院を受診した高齢者において、残存歯数が少なく、欠損歯数が多い患者では、アルツハイマー病リスクが高いことが示唆された」としている。

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ゴーグルを買った【Dr. 中島の 新・徒然草】(373)

三百七十三の段 ゴーグルを買った大阪の某医療機関では、コロナ陽性の9割が変異型だと耳にしました。従来型に比べて感染しやすく、若者でも重症化しやすいそうです。おまけに感染性も長続きするのだとか。そのせいか、ノーマークの入院患者さんのコロナが後で発覚したとか、3回目のPCRでようやく陽性に出たとか、いろいろと危ない話を見聞きします。もう周囲の人たち全員がコロナを持っていると考えて対処すべきかもしれません。そう思った私は、マスクだけでなく目も保護することにしました。でも、フェイス・シールドの類は手に当たって邪魔。ホームセンターで買ってきた防塵めがねも鬱陶しいし、締め付けられた頭が痛い。なかなかピッタリ合うのにめぐり逢いません。そんな時にふと思いついたわけです。車の運転中に日光対策でしているサングラス。眼鏡の上からかけられて超便利。上も横も防護されているし。こいつの透明レンズ版を使ったらいいんじゃないか。そう思って眼鏡屋さんに買いに行きました。2軒目にしてイメージにピッタリのものを発見!中島「職場で必要なんですよ、医者やってるんで」そう言うと店員さんに妙に納得されました。店員1「先日、向かいの歯科の〇〇先生が買っていきました」店員2「介護施設の職員にもたくさん売れましたよ」店員1「曇り止めがあるからお風呂介助にいいらしいです」皆さん、考えることは一緒なんですね。もともとは、花粉症の人の目の保護用みたいです。眼鏡の上からかけることのできるオーバーグラスだし。これならストレスなくかけられそう。店員1「医療従事者にエールを送ろうってSNSでやってますけど」中島「ええ」店員2「私、自分がコロナにかからないのが一番だと思うんです」中島「その通り。御理解いただけて嬉しいです」店員1「やっぱり!」中島「歓送迎会とか、やめて欲しいです」店員2「偉い人たちも宴会やっていますよね」中島「社会的地位が高いからといって、コロナは見逃してくれませんからね」これ、つい勘違いしてしまうんですよ。人間社会で優遇されていても、自然は特別扱いをしてくれません。なので、偉い人も偉くない人も皆が注意深い行動をとる必要があります。中島「お蔭様でイメージ通りの物を買えました」店員1「お仕事頑張ってくださーい」中島「ありがとうございます」その後、あれこれ調べてみると、ほかにも役に立ちそうなものがありました。まずは度付き花粉対策眼鏡。花粉対策眼鏡の素通しレンズを、度の付いたものに入れ換えるだけです。眼鏡屋さんで作ってもらいました。いつもの眼鏡と同じ感覚なので、手術用顕微鏡を覗くこともできます。次に眼鏡カバー。これは普段かけている眼鏡につけるカバーで、即席の花粉対策眼鏡になるものです。カバーは内側からレンズに装着します。アマゾンで購入しましたが、これも悪くなさそう。使ってみた感想は、あらためて報告させていただきます。最後に1句コロナくん もらわぬためには 目も守れ※最近になって季語の入らない川柳に戻ってしまいました。

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第55回 コロナワクチン接種に駆り出される歯科医師、その心情は

新型コロナウイルスのワクチン接種の打ち手確保が難しくなる状況下、厚生労働省の検討会は4月23日、接種に必要な医師や看護師らを確保できない地域に限り、歯科医師が接種を行うことを特例で認める方針を決めた。厚労省は4月中にも各自治体に周知する。これに対し、各歯科医師会は4月24日現在、正式な声明を公表していない。これに対し、歯科医師からは前向きな声から反発までさまざまな声が上がっている。菅 義偉首相は19日、9月までにすべての対象者にワクチンが供給されるめどが立ったと胸を張った。しかし、ワクチンが確保できても、打ち手がいなければ、接種できないも同然だ。現行法上、ワクチン接種は原則として医師や看護師に限られており、実際すでに打ち手不足が表面化している。厚労省の3月25日時点の調査では、全国1,741市町村のうち、集団接種の予定会場で18.1%は医師が、22.8%は看護師が不足していると回答している。5月中旬以降、高齢者接種が本格化すれば、打ち手不足は一層深刻化するはずだ。そのような中、歯科医師のワクチン接種が認められたのだった。歯科医師は約10万5,000人おり、歯科医師によるワクチン接種が実施されたら、打ち手不足の緩和の助けにはなるだろう。「歯科医師を馬鹿にするな」の声もただ、歯科医師によるワクチン接種には、2時間程度の研修を受ける、接種を受ける人の同意を得る、医師らがいる集団接種会場に限定、などのいくつかの条件が設けられる。そもそも4月12日頃までの情報では、歯科医師の役割はワクチン接種を行う医師や看護師の補助を行うということになっていた。歯科医師会には、こうした状況に対しさまざまな声が寄せられているという。例えば、「医療従事者として可能な補助は行うべきだ」という前向きな声のほか、「手伝ってもいいが、報酬はどのくらいなのか」という現実的な疑問などだ。一方で、「歯科医師を馬鹿にするのもいい加減にしろ。医師のしもべ要請は、世界の笑いものだ」といった強い反発も見られるという。歯科医師のワクチン接種の話は、千葉県が千葉県歯科医師会に対しワクチン接種を依頼したことに端を発しているという。同会の役員はテレビ局の取材に対して、「大学で修業している時に採血とか、入院患者への点滴などは日常的に行っている。(注射そのものは)何も問題なくできると思う」と述べている。海外では薬剤師、医学生、ボランティアも担い手に感染者数が多い海外では、ワクチン接種に当たる職種は幅広い。米国の一部の州や英国では歯科医師や薬剤師も接種を行っている。米国の一部の州では、医学生や救急隊員も接種できる。英国では、医療資格を持たない一般のボランティアでも、条件を満たせば研修を受けて接種の資格が得られる。日本の場合、歯科医師の中から、どれだけの人数がワクチン接種の打ち手に名乗りを上げるか。ワクチン接種の安全性は重要だが、ここへ来て明らかに海外に遅れをとっている日本の現状もまた憂慮すべきである。接種のスピードを上げるには、さらなる医療職種の対象拡大を検討しなくて大丈夫なのだろうかと一市民ながら心配になる。

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