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「8週間以上の自粛は耐えられる」約4割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症の拡大について、一般市民の意識の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、4月20日に2回目の「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った(1回目は3月20日に実施)。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。 同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。●調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2020年4月20日 対象:セルフ型アンケートツール“freeasy”の登録者300人(20歳以上)■アンケート結果の概要・新型コロナウイルス拡大について、約9割の人が「怖い」と思っている(前回より約22%増加)・新型コロナウイルス予防対策の実施は84.7%で、前回より約26%増加・新型コロナウィルスに感染しない自信はあるかは、「ない」38.0%が「ある」14.3%を上回った・新型コロナウィルスの正しい情報を取得できているは56.3%で、約4割は取得できていない・新型コロナウィルス情報の入手経路は、「TVなどのニュース」が89.7%で最も多い結果・新型コロナウィルスの拡大は、収入面に不安を与えているが57%(前回より約14%増加)・予防対策の1位は「手洗い」、2位は「マスク着用」、3位は「不要な外出を控える」(前回より20%以上増加した予防対策は3密に関する内容)・この状態にどの程度耐えられるかは、「あと8週間以上」が33.7%で最多■アンケート結果の詳細  質問1の「新型コロナウイルス拡大について、どう思いますか」では、「怖い」(92.0%)、「それ以外」(8.0%)の回答結果であり、前回よりも約22%も「怖い」が増加した。 質問2の「新型コロナウイルス予防対策を実施してますか」では、「実施している」(84.7%)、「どちらでもない」(8.3%)、「実施していない」(7.0%)の回答結果だった。前回よりも「実施している」が約26%増加したが、20・30代の約25%が「どちらでもない/実施していない」と回答するなど予防への意識の低さがうかがわれた。 質問3の「新型コロナウイルス感染症予防策として行っていることはなんですか(複数回答)」では、「手洗い」(91.3%)、「マスク着用」(76.7%)、「不要な外出を控える」(69.7%)、「人混みを避ける・時差通勤」、「集会・イベントなどに参加しない」、「うがい」などの順で多かった。とくに「不要な外出を控える」に関しては、70・80代の7割以上が控えている一方で、60代以下では約6割台と自粛浸透の低さが目立った。 質問4の「新型コロナウイルス感染症に感染しない自信はありますか」では、「自信がある」(14.3%)、「どちらでもない」(47.0%)、「自信がない」(38.0%)の回答だった。また、わずかながら「すでに陽性と診断」が0.7%存在していた。 質問5の「新型コロナウイルス感染症の正しい情報を取得できているか」では、「取得できている」(56.3%)、「どちらともいえない」(36.0%)、「取得できていない」(7.7%)だった。とくに40・50代で情報の取得がうまくできていない結果だった。 質問6の「新型コロナウイルス感染症の情報をどのような経路で入手していますか(複数回答)」では、「TVなどのニュース」(89.7%)、「ネットのニュース」(57.3%)、「TVなどのワイドショー」(48.7%)の順で多く、かかりつけのクリニックなどの医療者からは3.0%、保健所からは2.0%と医療機関からの情報取得は前回同様に少なかった。 質問7の「新型コロナウイルス感染症の拡大は、あなた自身の収入面に不安を与えていますか」では、「不安である」(57.0%)、「どちらとも言えない」(26.0%)、「不安でない」(17.0%)の回答で、半数近くは不安を抱えているという回答だった。前回と比較して「不安である」の回答が約14%増加した。 質問8の「あなたは、あとどの程度、この状態に耐えられることができますか」では、「もう限界」(8.7%)、「あと1週間」(6.7%)、「あと2~3週間」(27.3%)、「あと4~5週間」(18.7%)、「あと6~7週間」(5.0%)、「あと8週間以上」(33.7%)という回答だった。「あと8週間以上」という回答が1番多く、長期的な自粛への対応ができていることをうかがわせた。

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RA系阻害薬、COVID-19の重症度に関連みられず/JAMA Cardiol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院中、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を服用している高血圧患者が、COVID-19の重症度や死亡リスクを上昇したかどうかを中国・武漢市の華中科技大学のJuyi Li氏らが検討した。その結果、これらのRA系阻害薬の服用はCOVID-19の重症度や死亡率と関連しないことが示唆された。JAMA Cardiology誌オンライン版2020年4月23日号に掲載。 本研究では、2020年1月15日~3月15日に武漢中央病院に入院したCOVID-19患者1,178例を後ろ向きに調査した。COVID-19はRT-PCR検査で確認し、すべての患者の疫学、臨床、放射線、検査、薬物療法のデータを分析した。ACEI/ARBを服用している高血圧患者の割合を、COVID-19重症者と非重症者、および生存者と死亡者の間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・1,178例の平均年齢は55.5歳(四分位範囲:38~67歳)で、男性が545例(46.3%)だった。・入院中の全死亡率は11.0%だった。・高血圧患者は362例(30.7%)、平均年歳は66.0歳(四分位範囲:59~73歳)、男性が189例(52.2%)で、115例(31.8%)がACEI/ARBを服用していた。・高血圧患者の入院中の死亡率は 21.3%だった。・ACEI/ARBを服用していた高血圧患者の割合は、COVID-19重症者と非重症者の間で差はなく(32.9% vs.30.7%、p=0.65)、死亡者と生存者の間でも差はなかった(27.3% vs.33.0%、p=0.34)。・ACEI服用患者とARB服用患者のデータの分析でも同様の結果が観察された。

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新型コロナウイルスあれこれ(7)【Dr. 中島の 新・徒然草】(321)

三百二十一の段 新型コロナウイルスあれこれ(7)読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか?パンデミックであっても在宅勤務のできない我々医療従事者は、いつも通りの出勤ですね。私は、患者数、手術件数、会議、何もかも減ったので自分の時間が増えました。でも、物事が手につかないというか落ち着かないというか。経験のない疲れ方を毎日感じています。海外では、睡眠中に変な夢を見る人が増えたというニュースがありました。ツイッターでも#lockdowndreamというハシュタグで、人々が自分の見た夢を語り合っています。皆さん、色々な形でストレスを抱えているのでしょう。さて、4月9日に紹介したYouTubeの動画「ほんまに聞いてほしい マジでコロナを舐めたらアカン」のその後がアップされました。今度は「みなさんおはようございます」というタイトルです。ニューヨークのハーレムに住む日本人女性、ちずさんは、皆で協力しながら何とか生きているとのこと。でも、エクアドル出身ニューヨーク在住のマリアからは、親戚や友達合わせて17人が新型コロナで亡くなったと聞かされたそうです。人にもよるのでしょうが、やはり彼の地では大変な状況が続いています。最近のニュースとしては、パチンコ店関連のものが目を引きました。休業要請に応じない店舗の名前を大阪府が公表したところ、かえってそれらの店に客が殺到したという話。確かに、私の患者さんの中にもパチンコ依存やゲーム中毒の人がおられるので、なるほどと思います。ただ、ゲーム中毒の患者さんは部屋に引きこもっているので、コロナに関しては人畜無害。でもパチンコは、典型的な3密状態なので、コロナの流行に拍車をかける可能性があります。パチンコ騒ぎが今後どうなっていくのか、成り行きを見守りましょう。ということで最後に1句夜寝たら コロナが悪夢を 連れてくる

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第5回 コロナ対応で見えてきた政治家の実力

新型コロナウイルスへの対応が、政治家の実力や真価を浮き彫りにしている。北海道の鈴木 直道知事(39歳)や大阪府の吉村 洋文知事(44歳)、千葉市の熊谷 俊人市長(42歳)ら若手首長の行動力や情報発信力は際立っている。一方、ベテラン首長の行動力や知恵のなさ、国会議員に至っては金銭欲と自己顕示欲が露呈した。混沌としている状況下、今こそ政治力が必要なのに、若手首長のリーダーシップに頼らざるを得ないのが日本の現状だ。国会議員は、給与に当たる歳費を5月から1年間、2割削減されることになった。“年収”に相当する約1,552万円が、削減後は約1,240万円となるが、市民感覚からすれば十分高給だ。その上、領収書不要で「第2の給与」と呼ばれる文書通信交通滞在費約1,200万円、期末手当約640万円、立法事務費約780万円を合わせると、年トータルの支給額は約3,860万円となる。歳費の2割削減など痛くも痒くもないだろう。普段、安倍政権を批判することで存在感を発揮している野党から、文書通信交通滞在費返上の声でも聞きたいものだ。自治体に目を向けると、東京・神奈川・埼玉が事業者に休業を要請する中、千葉県は一貫して慎重な姿勢を示していたが、都内から茨城県のパチンコ店などに人が移動する状況が指摘されると、森田 健作知事(70歳)は、遅まきながら休業要請に一転。幕張メッセ(千葉市)を中等症の患者1,000人を受け入れる臨時医療施設として整備することを決めたのも、自民党県連の申し入れに押されてのことだった。また、新型コロナに感染、軽症ということで自宅待機していた男性2人が死亡した埼玉県では、大野 元裕知事(56歳)が「病床不足のため自宅待機もやむを得なかった」と釈明、今後は、軽症者・無症状者については原則ホテルでの療養に切り替える方針を明らかにした。埼玉県は長年、医師不足に悩んでいる。10万人当たりの医師数が全国で最も少ない中で、新型コロナに対する効率的な医療対応をするための策が必要だ。県はさいたまスーパーアリーナの施設管理者で運営会社の筆頭株主として、幕張メッセのように同アリーナを臨時医療施設として活用することを検討してはどうか。スーパーや商店街の「3密」状態が問題化している東京都では、小池 百合子知事(67歳)は混雑緩和策として当初、「名前のイニシャルや生まれ月などで時間帯を分ける」など非現実的な案を検討していた。例えばロンドンのスーパーのように、1人が出たら1人を入れる入店制限をしたり、店内各所に2m間隔のラインを引いて、客にソーシャルディスタンスを意識してもらったり、植木鉢を置くなどして脇道を塞ぎ店内を一方通行にして客同士の接触を防いだりするなど、具体的な行動を店と都民に要請したほうが実効性を持つのではないか。休業要請にもかかわらず、パチンコ店の営業続行が話題になっている。見せしめ的に店名公表をするのではなく、理由を聞き取りするなど対話の機会をつくったり、休業の見返りに駐車場に検査テントを設置させてもらい、利用料を払ったりするなどメリットを与えてはどうだろう。ただただ「3密を守れ」「外出自粛」「休業しろ」と指示するだけでは、人は簡単に行動変容できない。自治体の首長は、せめて防災行政無線放送などで住民や事業者のこれまでの努力を慰労してみてはどうか。リーダーシップをとっている若手首長は、市民目線でのコミュニケーションが上手だ。また、増産しても不足しているマスクは、薬局やドラッグストアにはほとんどなく、なぜか宝石店やCDショップ、洋服店など、普段はマスクなど扱うことがないような店先に並んでいる。本当に必要としている医療現場では、マスクをはじめあらゆる衛生資材が払底し、使いまわしや代替品を余儀なくされている状況下であるのに、政治家は何をしているのか。このいびつな状況に対して直ちに手を打つべきだ。それができないなら、無駄にマスクを消費せず、口を噤んでstay homeでよろしい。

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始まった感染症予防連携プロジェクト/日本感染症学会・日本環境感染学会

 新型コロナウイルス感染症の流行により、麻疹や風疹の被害が置き去りにされている中で、日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹氏)は、国際的な同一目的で集合した多人数の集団(マスギャザリング)に向けて注意すべき感染症について理解を広げるWEBサイト「FUSEGU ふせぐ2020」をオープンした。 これは感染症対策に取り組む医学会、企業・団体が連携し、マスギャザリングでリスクが高まる感染症の理解向上と、必要な予防手段の普及を目標に感染症予防連携プロジェクトとして推進しているものである。 同サイトでは、マスギャザリングと感染症をテーマに、「学ぶ」「触れる」「防ぐ」の3 つの視点から情報をまとめている。理解を深めたい感染症として、第1弾は「麻疹」「風疹」「侵襲性髄膜炎菌感染症」を取り上げ、感染経路や予防手段などを紹介している。 具体的には「学ぶ」では対象感染症の症状や特徴、感染拡大の歴史などを紹介し、「触れる」ではアンケート調査、感染症カレッジ、市民公開講座などの情報発信を予定している。「防ぐ」では手指衛生、マスク、ワクチンなどの予防方法が記載されている。とくにワクチンでは、“what(ワクチンの目的)、who(接種すべき人)、when(いつ接種するか)、where(接種できる場所)”と分類されイラストとともにわかりやすく説明されている。 今後は市民を対象とした意識調査やイベントなど、感染症予防啓発のため実施するプログラムの詳細についても順次公開予定としている。

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医師500人の本音、新型コロナのリスク対価はいくらが妥当?

 先日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化や、ほかの患者及び医療従事者への感染拡大を防ぐための管理評価を診療報酬に盛り込み、医療者の処遇改善に切り込んだ。しかし、直接的な処遇改善ではないため、現時点で医療者の士気向上や離職食い止め策には至っていない。 そんな中、大阪府や埼玉県などでは新型コロナ業務に従事した医療従事者には1日あたり4,000円の手当支給を検討している。また、勤務医の労働組合である全国医師ユニオンは、2020年4月16日、医師及び医療従事者の命と健康を守る支援を徹底すること求め、厚生労働省に対しCOVID-19への対応に関する要望書を提出。これにはCOVID-19患者に対応する医師への危険手当の支払いに関する内容が盛り込まれている。 しかし、現金給付である手当については医療者の中でも賛否両論があり、手当支給よりも防護服などの医療材料の調達に国や自治体予算を活用して欲しいという声もある。そこで、ケアネットでは医師の本音を探るべく、新型コロナ対応における現金給付の必要性とその理由について、会員医師約500名にアンケートを実施した。その結果、約9割の医師が現金給付を希望していることが明らかになった。また、1ヵ月あたりの支給希望額についても回答を得た。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。 新型コロナの「危険手当」、医師の本音は?/緊急アンケート

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第5回 里帰り出産妊婦に立ちはだかる現代の“関所”

破水した妊婦を県立病院が受け入れ拒否こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件について、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、まもなくゴールデンウィークですが、4月20日、日本山岳・スポーツクライミング協会など山岳関係の4団体は、新型コロナウイルス感染防止のため登山の自粛を求める、「スポーツ愛好者の皆様へ」という声明を出しました。私も恒例の春山登山はあきらめることにしました…。さらに、南アルプスについては山梨県が、北アルプスについては岐阜県が、登山自粛の要請や「遭難したら、救助にいつもより時間がかかる」と呼びかけるに至っています。また、都道府県をまたいでの移動も自粛の方向性が強まっています。江戸時代のように県と県の間に“関所”ができそうな勢いです。さて、そんな中、今週気になったのは、首都圏から岩手県内に帰省した妊婦が破水して救急搬送されたにもかかわらず、2つの県立病院に帰省して間もないことを理由に受け入れを拒否された、というニュースです。第1報は4月22日のNHKニュースでした。報道によれば、受け入れを断ったのは、一関市にある県立磐井病院と北上市にある県立中部病院です。詳細は以下です。4月17日朝、首都圏から帰省していた妊婦が破水し、磐井病院(一関市)に電話で相談。しかし、「感染対策が整っていない」として受け入れを断られました。ここで県の周産期コーディネーターが仲介し、中部病院にも受け入れを打診しましたが、同様の理由で断られたとのことです。最終的に、実家から盛岡市内の病院に救急搬送され、PCR検査で陰性が確認された後、深夜に帝王切開で無事出産した、というのです。「帰省分娩の予約をされた皆さまも、お住いの地域での出産を」と学会これはとても悩ましいニュースです。岩手県は、全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が確認されていない都道府県です(4月27日現在)。水際対策を徹底させたい達増拓也知事は3月30日、感染が拡大している東京、神奈川、埼玉の1都2県から来県する人に対し、到着してから2週間程度は不要不急の外出を控えるよう求めていました。その後、4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されると都道府県をまたいだ不要不急の移動の自粛を要請しています。里帰り出産を巡っては、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が「移動する方がリスクになりかねない」として、急な帰省を控えるよう全国の妊婦に呼びかけました(4月7日)。これに呼応するように、地方の病院では里帰り出産の受け入れ中止を決定するところが増えてました。「移動するリスク」というよりは、首都圏等から感染した妊婦やその家族が来院することの院内感染リスクを勘案した呼びかけであったことは確かです。16日の緊急事態宣言の拡大を受け、同学会・同医会は21日に改めて、「帰省分娩の予約をすでにされた皆さまもぜひ、予約されている施設とご相談の上、状況によっては現在お住いの地域での出産をご考慮いただきたく存じます」とのメッセージを発信しています。岩手における県立病院の産婦人科部長や院長の「受け入れ拒否」の判断は、こうした行政や学会の動きに素直に従ったまでなのでしょう。しかし、破水した妊婦を受け入れない、という選択が、最悪の場合、どんな状況を招くかを想像しなかったのでしょうか。その点がまず、気になります。岩手は県立病院が多く、各地域の急性期医療の拠点は県立病院が担っていることを考えると、その足並みが揃っていない点も心配になります。なお、その後、県立病院を統括する県医療局は対応の見直しに乗り出し、2病院では手術室に陰圧装置を設置するなど受け入れ態勢の整備を進めている、とのことです。自宅での「オンライン出産」が増える?この一件は「里帰り出産」のケースですが、学会と医会の呼びかけを契機に、新型コロナ感染症の患者が多い首都圏や大都市では、数多くの「出産難民」が生まれてしまっているようです。里帰り出産を予定していた地方の病院から受け入れを拒否され、かたや首都圏で通っていた産婦人科や近隣病院はすでに出産の予約で一杯と「出産する病院が見つからない!」という人が増えているわけです。地方の病院から受け入れを拒否は、妊婦にとってはまさに“関所”です。直近の報道では、東京や埼玉の産婦人科医会が受け入れ可能な病院の調査を行い、「出産難民」解消に向けて動き出しているようですが、出産を控えた妊婦の不安は尽きないでしょう。もはや感染の有無は関係なく、首都圏から地方への「移動」そのものがリスクとして捉えられてしまうのですから…。それは登山も里帰り出産も同じです。最近オンライン取材をしたある在宅専門医は「入院中の安定した高齢者の中に『病院は怖い』と、退院して在宅医療に切り替える人が出ている」と話していました。体制の整備や自宅の準備はあるにせよ、近い将来、オンライン診療(観察)しながらの自宅出産、いわゆる「オンライン出産」が増えてくるかもしれません。

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新型コロナの「危険手当」、医師の本音は?/緊急アンケート

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療は崩壊寸前である。そんな折、日本唯一の全国的な勤務医の労働組合である全国医師ユニオンは、2020年4月16日、厚生労働省に対し新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対応する医師への危険手当の支払いを要望。今後、国や勤務施設から手当が支給される可能性を踏まえ、ケアネットでは新型コロナ対応における現金給付の必要性とその理由について、会員医師約500名にアンケートを行った。全体の約90%が危険手当「必要」と回答Q1では危険手当として現金給付の要否を聞いた。その結果、全体で88%の医師が危険手当を「必要」と回答。年齢別では、20代:100%、30代:93.2%、40代:89.8%、50代:82.3%、60代:89.0 %、70代:100% となった。また、診療科別の結果は以下(図2)のとおりであった。(図1)画像を拡大する(図2)

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初診でもオンライン診療が可能に 薬局の課題は「なりすまし」をいかに防ぐか【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第46回

なかなか終わりが見えない新型コロナウイルス感染ですが、皆さんの薬局では何か影響はありましたでしょうか。日本保険薬局協会(NPhA)が実施したアンケートでは、会員企業のうち約60%が新型コロナウイルス感染拡大防止のためのオンライン診療に基づく処方箋を応需している一方で、約80%が「薬局の利用者が減っている」と回答するなど、患者さんの薬局利用や医療の流れが変わりつつあることがうかがえます。4月7日に緊急事態宣言が一部の地域に出され、その後その範囲が拡大されましたので、実際に来局される患者さんはさらに減って、オンライン診療・服薬指導が増えているのではないかと想像します。オンライン服薬指導は新型コロナウイルス感染拡大防止のために、2月28日の厚生労働省の事務連絡によって可能になりました。その後、4月10日にはさらに「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(いわゆる「0410通知」)が発出され、より具体的になりました。2月28日の事務連絡は廃止され、初診でもオンライン診療が可能になったことが一番の変化です。この通知では、オンライン診療・服薬指導の方法や処方箋のやり取り、医薬品の送付方法、患者のなりすまし防止措置など、具体的な事項が記載されています。「0410通知」の薬局における主な対応は以下のとおりです。初診で医師が患者の基礎疾患を把握できない場合は、処方日数は7日間が上限で、麻薬や向精神薬、抗がん剤などは調剤してはならない。患者がオンライン服薬指導を希望する場合は、備考欄に「0410対応」と記載した処方箋情報がFAXなどで保険薬局に送付される。保険薬局は送られてきた処方箋情報をもとに調剤し、その処方箋情報は後日入手した処方箋原本とともに保管する。患者のなりすまし防止のため、保険証の画像や口頭によって本人確認を行う。オンライン服薬指導が可能かどうかを薬剤師が判断し、対面での服薬指導が必要と判断した場合は対面を促すことができる。その場合の対応は薬剤師法の調剤応需義務に違反するものではない。調剤した薬剤は品質が保持され、確実に授与できる方法で患者へ配送し、実際に患者が授与したことを電話などで確認する。この通知を読んでオンライン服薬指導の具体的な運用を考えたときに、意外と患者のなりすましや虚偽申告が可能なのではないかと思ってしまいました。もちろん、初診で医師が基礎疾患を把握できない場合は、「処方日数は7日間まで」「麻薬や向精神薬、抗がん剤などは処方してはならない」とするなどの詐欺や悪用を阻止する対策はとられています。しかし、顔が見える通信手段ではなく普通の電話での処方も可能ですし、何度も通院している患者さんになりすました場合は上記から外れます。薬局でも本人確認のチェック項目を設け、患者さんと話をして感じ取った情報を薬歴に残すべきだと感じました。なお、そのような疑わしい事例があった場合は、都道府県に報告することが求められています。また、通知には記載されていませんが、偽造処方箋についても同様に注意が必要です。つい最近まで「オンライン診療って結局進まないよねー」なんて言っていたのが嘘のように、劇的に医療を取り巻く環境が変化しつつあります。現時点では新型コロナウイルス感染に対する特例ですが、オンラインで診察を受け、オンラインで服薬指導も受け、郵送で医薬品を受け取る…といういわゆるオンライン診療を経験した患者さんが増えていくのは間違いありません。少なくとも、この通知は「原則3ヵ月ごとに検証を行う」ことが明記されていますので、7月くらいまではこの通知が有効であると考えて、腰を据えて薬局内の手順を考えたほうがよさそうです。

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第5回 COVID-19ワクチン候補の1つ、初めてサルで感染を予防

中国・北京拠点のバイオテック企業Sinovac Biotech社の、mRNAでもプラスミドDNAでもウイルスベクターでもない昔かたぎのローテク不活化ワクチンが、数ある開発品の中で初めて動物・アカゲザルの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を防ぎました1,2)。8匹のサルにまずワクチンが3回投与され、気管に通した管からその3週間後に肺にSARS-CoV-2を入れて様子を見たところ、どのサルもウイルスに屈しませんでした。とくに高用量(6µg)投与群の反応は良好で、ウイルスを肺に入れてから7日時点で、肺や喉からウイルスは検出されませんでした。低用量(3µg)群ではウイルスが検出されたものの、対照群の4匹のサルに比べてウイルス量はほぼ完全に(95%)抑制されていました。安全性も良好であり、サルの体調・血液/生化学指標・組織解析で懸念は示唆されませんでした。また、低用量投与群の中和抗体価は比較的低かったにもかかわらず、抗体を介した感染促進副作用・ADE(antibody-dependent enhancement of infection)はどのワクチン接種サルにも認められませんでした。Sinovac社の海外部門リーダーMeng Weining氏は、今回の結果を受けて同ワクチンがヒトにも効くに違いないと確信していると述べており、すでに同社は中国江蘇省でプラセボ対照二重盲検第I/II相試験を開始しています3)。4月20日時点での登録情報によると、試験には18~59歳の健康な成人744人が参加し、不活化SARS-CoV-2ワクチン高用量、低用量、プラセボのいずれかが2週間あるいは4週間の間をおいて2回投与されます4)。Sinovac社は実績があるワクチンメーカーであり、手足口病、A/B型肝炎、インフルエンザに対する不活化ワクチンを販売しています。ただし、Weining氏によると作製できるワクチンは多く見積もっても約1億投与分であり、もし臨床試験で効果や安全性が確認されてCOVID-19ワクチンを作るなら他のメーカーの助けが必要かもしれません。世界保健機関(WHO)によると、4月26日時点で7つのCOVID-19ワクチンが臨床試験段階に至っており、さらに82候補の前臨床開発が進行中です5)。それらのワクチンのほとんどは目新しい人工遺伝子技術に基づいており、Sinovac社のような昔ながらの不活化技術頼りのワクチンは5つのみです。現在の流行のさなかで何よりも大事なのは、技術がどうあれ安全で有効なワクチンをできるだけ早く完成させることだと、Weining氏はScience誌に話しています。参考1)Rapid development of an inactivated vaccine for SARS-CoV-2.bioRxiv. April 19, 20202)COVID-19 vaccine protects monkeys from new coronavirus, Chinese biotech reports / Science3)Sinovac Announces Commencement of Phase I Human Clinical Trial for Vaccine Candidate Against COVID-19 / Sinovac Biotech4)Safety and Immunogenicity Study of 2019-nCoV Vaccine (Inactivated) for Prophylaxis SARS CoV-2 Infection (COVID-19) (ClinicalTrials.gov)5)DRAFT landscape of COVID-19 candidate vaccines – 26 April 2020

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COVID-19の実効再生産数は公衆衛生介入で抑制か/JAMA

 中国・湖北省武漢市のCOVID-19集団発生(outbreak)では、都市封鎖(city lockdown)や社会的距離(social distancing)、自宅隔離、集約化された検疫・治療、医療資源の拡充など一連の多面的な公衆衛生的介入により、初発の確定症例や実効再生産数(2次感染の指標)が経時的に抑制されたことが、中国・華中科技大学のAn Pan氏らの調査で示された。COVID-19の世界的な大流行(pandemic)では、さまざまな公衆衛生的介入が行われているが、これによって集団発生状況が改善されたか明確ではないという。JAMA誌オンライン版2020年4月10日号掲載の報告。3万例以上で、公衆衛生的介入が及ぼした影響を評価 研究グループは、武漢市のCOVID-19集団発生において、公衆衛生的介入と疫学的特徴の関連を評価する目的で、5つの時期に分けたコホート研究を実施した(中国・主要大学基礎研究基金などの助成による)。 市の法定伝染病報告システムを使用し、2019年12月8日~2020年3月8日に、検査によりCOVID-19と確定された3万2,583例のデータを抽出した。データには、患者の年齢、性別、居住地区、職業、発病日(患者の自己申告による発熱、咳、その他の呼吸器症状が発現した日)、確定日(生体試料からSARS-CoV-2を検出した日)、重症度(軽度、中等度、重度、重篤)などが含まれた。 COVID-19の確定は、鼻腔および咽頭のスワブ検体を用い、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)または次世代シークエンシング法でSARS-CoV-2ウイルス陽性の場合と定義した。 公衆衛生的介入(防疫線、交通規制、社会的距離、自宅隔離、集約化検疫、全例症状調査など)が、新型コロナウイルスの感染に及ぼした影響を評価した。イベントや介入で5つの時期に分類、2次感染の指標も評価 春運期間の開始(2020年1月10日)、武漢市防疫線の開始(1月23日)、4つのカテゴリー(確定症例、推定症例、発熱・呼吸器症状患者、濃厚接触者)に分けて集約化された治療・検疫戦略の開始(2月2日)、全例症状調査の開始(2月17日)を起点として、以下の5つの時期に分類し、年齢別、性別、市内地区別の新型コロナウイルスの感染率を算出した。 I期(初期の非強力介入期、2019年12月8日~2020年1月9日、33日間、確定症例数550例)、II期(春節による大移動期、1月10日~22日、13日間、5,091例)、III期(都市封鎖/交通規制/自宅検疫期、1月23日~2月1日、10日間、1万3,880例)、IV期(集約化検疫・治療/医療資源拡充期、2月2日~16日、15日間、9,972例)、V期(集約化検疫/全例症状調査期、2月17日~3月8日、21日間、3,090例)。 また、各時期のSARS-CoV-2の実効再生産数(2次感染の指標。集団のある時刻における、典型的な初発患者が生み出した2次感染者数の平均値)も推算した。発症から確定までの期間は徐々に短縮 3万2,583例の年齢中央値は56.7歳(範囲:0~103、四分位範囲:43.4~66.8)、女性が1万6,817例(51.6%)で、40~79歳が2万4,203例(74.3%)であった。 多くの患者は1月20日~2月6日の期間に発症し、2月1日にこの日だけの感染者数の急上昇が認められた。発症から確定までの期間は、初期には実質的な遅延が認められたが、この遅延は経時的に短縮した(I~V期の発症から確定までの期間中央値の推移:26、15、10、6、3日)。 集団発生は、武漢市の都市部で始まり、5つの時期を通じて郊外および農村部へと徐々に拡大した。確定症例の割合は、地区によって大きく異なり、感染率は都市部が最も高かった。III期にピーク、医療従事者感染率はPPE普及後に低下 1日の確定症例数の割合は、I期の100万人当たり2.0件(95%信頼区間[CI]:1.8~2.1)から、II期には45.9件(44.6~47.1)へと上昇し、III期には162.6件(159.9~165.3)とピークに達したが、その後、IV期には77.9件(76.3~79.4)、V期には17.2件(16.6~17.8)へと低下した。また、全期を通じて、女性の感染率がわずかに高かった(100万人当たり43.7件/日vs.39.4件/日)。 一方、医療従事者の確定症例(1,496例)の割合は4.6%であった(I期3.8%、II期8.7%、III期5.5%、IV期3.0%、V期1.8%)。全期を通じて、100万人当たりの1日の確定症例の割合は、医療従事者が130.5件(95%CI:123.9~137.2)と、一般人口の41.5件(41.0~41.9)に比べて高かった。医療従事者の感染率はIII期にピーク(617.4件[576.3~658.4]/日/100万人)に達したが、包括的な個人用保護具(PPE)が広く使用可能となったIV期(159.5件[141.4~177.6])およびV期(21.8件[16.1~27.4])には低下した。 20歳以上では、1日の確定症例の割合はIII期にピークに達し、それ以降は低下したのに対し、小児や青少年(20歳未満)はその後も増加し続け、とくに1歳未満の増加が顕著であった。1歳未満の1日の確定症例の割合は100万人当たり7.9件(5.8~10.0)で、20歳未満の他の年齢層は2.0~5.4件だった。高齢者ほど重症化リスク高い、実効再生産数は介入後低下 重症度別の解析では、重度/重篤症例の割合は、I期の53.1%から、II期35.1%、III期23.5%、IV期15.9%、V期10.3%へと低下した(I期との比較でいずれも有意差あり)。 また、重症化のリスクは年齢が高くなるに従って増加した。20~39歳の重度/重篤症例の割合12.1%と比較して、80歳以上は41.3%(リスク比[RR]:3.61、95%CI:3.31~3.95)、60~79歳は29.6%(2.33、2.16~2.52)、40~59歳は17.4%(1.41、1.30~1.53)であったのに対し、20歳未満は4.1%(0.47、0.31~0.70)であった(いずれもp<0.001)。 一方、実効再生産数は、1月26日以前は3.0以上で著しく上下動し、1月24日にピーク値の3.82に達し、以降は下降に転じた。2月6日には1.0未満に低下し、3月1日以降は0.3未満に抑制された。 著者は、「これらの知見は、COVID-19の世界的な大流行との闘いにおいて、他の国や地域の公衆衛生上の施策に有益な情報をもたらす可能性がある」としている。

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第5回 新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増

<先週の動き>1.新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増2.「サージカル」「N95」高性能医療用マスク、国から緊急配布へ3.オンライン診療の医療機関リスト公表4.在宅医療の臨時的対応、4月のみ電話等診療でも管理料算定可に5.歯科医によるPCR検体採取が認められる見込み1.新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増全日本病院協会の猪口 雄二会長が、東京新聞のインタビューに応じた。新型コロナ感染症以外の患者数減少に伴い、病院経営が厳しくなっており、多くの民間病院から「3月末以降、外来、入院、救急患者のいずれも減っているとの報告が寄せられている」と説明。6月には資金不足に直面する医療機関が増えることが懸念される。愛知県保険医協会の調査では、3月の前年同時期に比べて、外来患者数が「減った」と答えた医師が80.1%、保険診療報酬が「減った」との回答も76.4%に上り、地域への影響が明らかになりつつある。4月には緊急事態宣言の対象地域における健診実施機関の一時中止がされており、全国的に見ても、影響は広範に渡ると考えられる。厚生労働省は、新型コロナ感染者に応じた医療機関に対して診療報酬を上乗せする決定をしたが、通常診療に当たっている医療機関は恩恵を受けない。日本病院会の相澤 孝夫会長より、「新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書」が、4月23日、加藤 勝信厚生労働大臣に提出された。同様に、歯科医院も経営危機に直面していることが報道されており、厚労省にはいち早い対応が求められている。(参考)<新型コロナ>民間病院6月危機「資金底つく」コロナ以外の患者減「助成必要」/全日病会長(東京新聞)歯科医院も「医療崩壊」 感染拡大で相次ぐキャンセル(神奈川新聞)新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた特定健康診査・特定保健指導等における対応について(厚労省)新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書(第2報)(一般社団法人 日本病院会)2.「サージカル」「N95」高性能医療用マスク、国から緊急配布へ現在、深刻な問題となっているのが、医療従事者の新型コロナ感染である。院内感染の発生に伴い、3次救急医療機関で外来の受け入れ停止や、救急患者の受け入れ制限が複数報告されている状況だ。多くの新型コロナ感染者は感染症指定医療機関に入院しているが、受け入れ先でない医療機関においても、感染者の入院などが発生していると考えられる。一般病院でもクラスターが発生するなど、医療従事者が新型コロナに感染するケースが各地で発生しており、早期発見や感染拡大防止へのさらなる取り組みが求められる。医療機関における防護具の深刻な不足に早急に対策するべく、厚労省は、「サージカルマスク」や「N95」などの高性能の医療用マスクについて、在庫が足りなくなりそうな医療機関を対象に国から緊急配布する仕組みを今月中に導入することになった。(参考)10施設が受け入れ制限・停止 3次救急にコロナ影響―9道県「厳しい」・医療調査(時事通信)東京都内の感染者 約14%が医療機関の関係者 新型コロナ(NHK)医療用マスクを緊急配布へ 払底迫る医療機関が対象 新型コロナ(同)3.オンライン診療の医療機関リスト公表外来受診による感染リスク軽減のため、初診患者についても電話を含むオンライン診療が可能となり、現在導入を行っている医療機関のリストが厚労省のWebサイトに掲載された。4月24日の時点で、「オンライン診療」に対応している医療機関は全国でおよそ1万1,000件に上る。(参考)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について(厚労省)オンライン診療検索(JX通信社)4.在宅医療の臨時的対応、4月のみ電話等診療でも管理料算定可に4月24日に開催された中央社会保険医療協議会の総会において、「在宅医療における新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について」討議された。在宅時医学総合管理料(在医総管)や施設入居時等医学総合管理料(施設総管)について、「月2回以上訪問診療を行っている場合」を算定している例では、4月のみの特例的取り扱いとして、1回の訪問診療の後、もう1回を電話等で診療を行った場合または2回とも電話等で診療を行った場合も、月2回訪問の在医総管等を算定可能になるなど、臨時的対応が認められる。なお、2ヵ月以上連続で、訪問診療1回+電話等再診1回となった場合、2ヵ月目以降は診療計画を変更し、月1回訪問の管理料を算定する。また、新型コロナ感染症患者(疑い例を含む)に対して往診などを実施する際、必要な感染予防策を講じた上で当該患者の診療を行った場合には、「B001-2-5 院内トリアージ実施料(300点/回)」を上乗せして算定できる。訪問看護ステーションや訪問薬剤管理指導においても併せて討論され、それぞれの臨時的な取り扱いが示されている。(参考)新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について(中央社会保険医療協議会 総会 第456回 資料)5.歯科医によるPCR検体採取が認められる見込み厚労省は医師会などに働きかけ、PCR検査体制の拡充を急いでおり、4月26日に開催された有識者懇談会にて、歯科医にも検体の採取を認める方針が了承された。PCR実施可能数を1日2万件まで増やすと打ち出したにもかかわらず、現在も毎日9,000件程度であることに対応したもの。今回は、感染収束までの時限的措置であり、「歯科医の採取がないと提供が困難」、「歯科医が教育、研修を受けている」、「検査を受ける人が同意している」の3条件を満たす必要がある。(参考)PCR検体採取、歯科医にも認可へ…研修受講など条件近く提示(読売新聞)

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新型タバコにも含まれるニコチンによる免疫機能の低下【新型タバコの基礎知識】第18回

第18回 新型タバコにも含まれるニコチンによる免疫機能の低下Key Pointsニコチンは免疫機能の低下をもたらす加熱式タバコに替えても、ニコチンによる免疫機能の低下は防げない新型コロナウイルス対策の1つとして禁煙を推進してほしい今回の記事は予定を変更して、新型コロナ問題にも関連する「ニコチンによる免疫機能の低下」について解説します。アイコスなどの加熱式タバコにも、紙巻タバコと同様に多くのニコチンが含まれています(第3回記事参照)。ここでは、タバコ研究データの決定版、US Surgeon General Report 2014年号(図)から、喫煙と免疫システムの関連についてお伝えしたいと思います1)。画像を拡大する(出典)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK179276/pdf/Bookshelf_NBK179276.pdf喫煙と免疫システムの関係は?まず簡単に、喫煙と免疫の関係について述べます。免疫システムは、感染や病気から体を守るためのもの、風邪やインフルエンザなどのウイルスからがんなどの疾患に至るまで、あらゆる異物と戦っています。喫煙は免疫機能を低下させ、病気との戦いをうまくいかなくさせていきます。喫煙者は非喫煙者よりも呼吸器感染症に罹りやすくなるのです。これは、タバコに含まれる化学物質が、呼吸器感染症の原因となるウイルスや細菌を正常に攻撃するための、免疫システムの機能を低下させていることが理由の1つです。実際に、喫煙者は非喫煙者に比べて肺炎になりやすく、より重症化しやすくなります。ここまでの話だけなら、ある意味単純で簡単な話(ニコチンだけでなく、タバコが免疫機能を低下させ、感染症への罹患を増やし、肺炎などの重症化リスクを上げること)として理解されるものと思います。しかし、免疫に対するタバコの煙の悪影響があまり理解されていない理由は、免疫系の研究が複雑でややこしく、次のような研究の状況にあるからなのかもしれません。ニコチンは免疫系を抑制し、一方で刺激する?ニコチンは、免疫系を刺激する機序と抑制する機序の両方に作用すると考えられています。尿中マーカーから推測されるニコチンのレベル(すなわち通常の喫煙者と同等のニコチン量)で十分に、リウマチなどの自己免疫系疾患や感染症、がんといった免疫学的に誘導される疾患と関連していると考えられています2)。ニコチンは、ニコチンレセプターを介してその効果を発揮します3)。ニコチンは細胞に直接作用することができる一方、生体内ではそれ自体が強力な免疫調整機能を持つ交感神経系へも直接的に作用します。ニコチンを含んではいるが燃焼・不完全燃焼しきった紙巻タバコの煙由来成分は、まだ燃焼しきっていない紙巻タバコの煙由来成分(酸化作用を多く持つ)と比較して、免疫系への作用がかなり小さいとされています4,5)。禁煙補助薬として使用されるニコチンパッチまたはニコチン部分拮抗薬(たとえば、バレニクリン)は、ヒトでは免疫系への作用が少なく6)、またスヌース(スウェーデンでのみ広く使用されているニコチンを含む低ニトロサミンの無煙タバコ製品)ではニコチンを含むにもかかわらず、紙巻タバコと同等の免疫系への影響はみられません。このような結果の解釈として、紙巻タバコによる免疫への影響は、ニコチンによる影響だけでなく酸化作用等と関連しているものと考えられます7)。こうしたある意味で矛盾した、免疫抑制と免疫促進の両方向への影響がタバコにはあるようです。ニコチンが樹状細胞を抑制するのではなく、樹状細胞を刺激することで免疫系応答によりアテローム性動脈硬化へとつながるとされています8)。一方では、ニコチンは神経細胞のニコチンレセプターを介して作用し、in vivoおよびin vitroの両方で細胞性免疫を抑制するとされています。ニコチンはB細胞における抗体産生を抑制し、T細胞を減らし、T細胞受容体を介したシグナル伝達が減衰したアレルギー様状態を誘導します9,10)。動物実験で、ニコチンによる免疫系への作用により、動物は細菌およびウイルスに感染しやすくなると分かっているのです。前述したとおり、ニコチンは、免疫系を刺激する機序と抑制する機序の両方に作用するため話が理解されにくいようです。免疫促進と抑制のどちらの方向であっても行き過ぎると免疫機能は異常を来すと言えるでしょう。喫煙により、関節リウマチのような自己免疫疾患も、免疫機能の低下により誘導されやすくなるがんも増えると分かっているのです。そのため、「喫煙により免疫異常が引き起こされる」とまとめて書かれるわけです。ただし、今回の新型コロナ問題のように感染症に関して喫煙やニコチンの害を考える場合には、単純に「ニコチンにより免疫機能が低下する」と受け止めると分かりやすいでしょう。新型コロナ時代の禁煙のすゝめ新型コロナウイルスの感染および感染後の重症化を防ぐためにできることの一つとして禁煙があります。タバコ会社は「自宅では加熱式タバコを吸ってください」などとマーケティング活動に熱心だが、それにダマされてはなりません。加熱式タバコに替えてもニコチンは含まれますから、免疫機能の低下は防げないのです。しかし、すべてのタバコを止めれば、ニコチンによる免疫機能の低下から回復できます。その禁煙の効果は数日で得られ、何歳でも禁煙の効用が得られるものと考えられます。日本における新型コロナウイルスの蔓延はまだ始まったばかりであり、これから先に多くの人が新型コロナウイルスに感染する可能性があります。数ヵ月先かもしれないし、1年先かもしれません。日本に2千万人程度存在するすべての喫煙者が禁煙することにより、新型コロナウイルスの流行を収束させる一助としていただきたいと思います。第19回は、「禁煙をし続けるために本当に必要なこと(2)」です。1)US Surgeon General Report 2014.2)Cloez-Tayarani I1, Changeux JP. J Leukoc Biol. 2007 Mar;81:599-606.3)US Surgeon General Report 2010.4)Laan M,et al. J Immunol. 2004 Sep 15;173:4164-70.5)Bauer CM,et al. J Interferon Cytokine Res. 2008 Mar;28:167-79.6)Cahill K,et al. Cochrane Database Syst Rev. 2008 Jul 16:CD006103.7)McMaster SK,et al. Br J Pharmacol. 2008 Feb;153:536-43.8)Aicher A,et al. Circulation. 2003 Feb 4;107:604-11.9)Geng Y,et al. Toxicol Appl Pharmacol. 1995 Dec;135:268-78.10)Geng Y,et al. J Immunol. 1996 Apr 1;156:2384-90.

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COVID-19、各国腫瘍関連学会ががん治療のガイドラインを発表

 新型コロナウイルスの感染流行を受け、がん患者を感染から守り、治療をどう継続していくかについて、世界各国の腫瘍関連学会が提言やガイドラインを発表している。4月22日時点で発表されたもののなかから、主だったものをまとめた。国内でも、がん診療全般におけるガイドライン制定が見込まれている。米国臨床腫瘍学会(ASCO) がんとCOVID-19に関連する基本情報・これまでに発表された論文へのリンクのほか、専門家によるPPEやマスク装着をテーマとした動画セミナーを無料で公開している。https://www.asco.org/asco-coronavirus-information欧州臨床腫瘍学会(ESMO)  サイト上でがん種別、患者管理、緩和ケアなどの各種ガイドラインを発表するほか、がん種別に患者に対する治療の優先度分けを提示している。https://www.esmo.org/covid-19-and-cancer腫瘍外科学会(SSO) 乳がん、大腸がん、泌尿器がん、メラノーマなど、がん種ごとの患者の分類と治療の優先順位を提示。専門家によるポッドキャストを使ったヘルプガイドも公開している。https://www.surgonc.org/resources/covid-19-resources/欧州腫瘍外科学会(ESSO)  緊急の場合以外のクリニック受診を避けること、オンライン診療を取り入れること、など5つの項目の提言を行っている。https://www.essoweb.org/news/esso-statement-covid-19/米国外科学会(ACS) がんを中心に各領域別に手術の優先順位についての考え方をまとめたトリアージガイドラインを公開している。https://www.facs.org/covid-19/clinical-guidance/elective-case米国腫瘍放射線学会(ASTRO)  COVID-19推奨事項をはじめ、臨床的意思決定に直接関連する20項目のQ&A、有用な医学論文やウエブサイトへのリンクを掲載する。https://www.astro.org/Daily-Practice/COVID-19-Recommendations-and-Information欧州腫瘍放射線学会(ESTRO) 会長による声明のほか、関連する論文、資料などがまとめられている。https://www.estro.org/About/Newsroom/COVID-19-and-Radiotherapy

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COVID-19疑い例のPCR検査実施状況は?-会員医師アンケート

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴い、PCR検査の実施数を増やすべきとの声も高まっている。診療現場におけるCOVID-19疑い例数、PCR検査の照会数、PCR検査実施数、PCR陽性数はどのように推移しているのか。 ケアネットでは、2020年4月9日より週次で、病床を有していない診療所で働く会員医師を対象に「直近1週間のCOVID-19疑い例の診療状況」についてアンケートを行っている(現在2回目を終了)。 調査対象とした地域は関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、名古屋(愛知県)、関西(京都府、大阪府、兵庫県)、福岡(福岡県)の4エリア。 1回目(4月9~15日に調査)は892名、2回目(4月16~22日に調査)は876名から回答を得た。 主な結果は以下のとおり(第2回時点)。・「COVID-19を疑った患者」がいなかった診療所が全体の4割近くを占めた一方で、1~3人との回答も約4割。少数ながら20人超という回答もみられた。・前週をと比較すると、関東エリア以外では「疑い」患者数が増加の傾向(名古屋:平均2.5→3.2人、関西:平均2.2→2.6人、福岡:平均2.1→2.9人)。関東エリアでは平均2.8人と横ばいであった。・疑い患者のうち「PCR検査の照会をした患者」の割合は、全体平均で28.5%だったが、名古屋エリアが38.6%と高く、関西エリアが22.9%と低かった。・PCR検査照会患者のうち実際に「PCR検査を実施した患者」の割合は、全体平均で46.9%とほぼ半数となったが、ここでも名古屋エリアの52.7%から関西エリアの36.3%までバラツキが見られた。 自由記述欄には、「マスク、フェイスシールド、個人防護服が圧倒的に足りておらず、受け入れを躊躇する」「診療所での対応は、感染リスクや風評被害を考えると現実的には不可能に近い」「保健所に照会しても検査をしてもらえない。ドライブスルー検査など、間口を広げて欲しい」「院内トリアージのため定期受診患者へ待ち時間などの迷惑をかけている。病院外で検査できる場所をつくって欲しい」などの声が寄せられた。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。COVID-19疑い例の診療状況とPCR検査の実施率の推移-会員医師アンケート

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COVID-19の救世主現る?(解説:岡慎一氏)-1221

オリジナルのニュース重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM(2020/04/16掲載) たった53例のCOVID-19患者の、しかもCompassionate useのremdesivirの結果が、NEJM誌のOriginal Articleに掲載された。やや驚きである。いかに世界中がCOVID-19の治療薬を欲しているかがよくわかる。もともとは、エボラ出血熱の治療薬として開発されたものである。 急にこの世に現れ、致死率が高いにもかかわらず感染力が強く、あっという間にPandemicになってしまったCOVID-19である。当然、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2に対する特異的な治療薬などまだないため、抗HIV薬のロピナビルや抗マラリア薬のクロロキンなど、いろいろな薬剤が治療薬の候補として浮かび上がっていた。しかし、これらの薬剤は、臨床試験(randomized controlled trial)によりその有効性は、ほぼ否定されてきた。残る有望株が、このremdesivirである。Compassionate useであるので、重症者に対して投与された。北米、欧州、日本など先進国で行われた。53例中34例は挿管されていた最重症患者であるが、それでも82%が回復した(死亡率:18%)。全体で治療前の状態より改善したのは36例68%、悪化(死亡7例を含む)したのは8例15%であった。 微妙な結果である。COVID-19全体での死亡率は、地域や検査件数にもよるが2%以下と推定されている。いずれもLancet誌に掲載された3つの中国からの報告では、ARDSやICU管理を必要とする最重症例の死亡率は、38%、45%、65%と報告により異なるが、今回の結果(18%)よりはるかに高い。繰り返すが、微妙な結果である。重症の定義や医療レベルなどそれぞれであるため、単純な比較はできない。まもなく米国NIHが中心となったrandomized placebo-controlled trialの結果が出てくる。remdesivirの有効性に関する最終評価は、その結果を待ちたい。

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第4回 楽天は新型コロナ最前線のデストロイヤーか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの勃発以来、国内で常に議論となっているのが、PCR検査の対象範囲を巡る是非である。当初は中国ローカルな感染症と考えられていたため、PCR検査の基準には中国の渡航歴あるいは渡航者との接触が必須だったが、現在では緩和されている。とはいえ以前ほどではないにせよ、この議論は今も炭火のようにくすぶり続けている。背景には臨床医が検査の必要性を感じる患者に遭遇しても、地域によって検査にたどり着ける難易度の違いがあるとみられる。しかし、ここにきてこの議論に大砲がぶち込まれた。あの楽天が突如、法人向けと称した「新型コロナウイルスPCR検査キット(定価:1万4,900円/キット[税込])」を発売したからだ(現時点では東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県のみ)。楽天が発表したニュースリリースによると、同検査キットは個人向け遺伝子検査キットなどを発売しているジェネシスヘルスケア株式会社と連携し、医療法人社団 創世会の協力のもと開発したもので、国立感染症研究所のPCR検査法を厳守しているという。導入法人は、同キットを従業員などに配布し、各人が検査試料を自己採取後、防漏性容器に収め、これをジェネシスヘルスケアが回収し、最短即日から土日祝を除く約3日以内に結果が通知されるとうたっている。ちなみに、ニュースリリースには注意事項として「本検査キットを用いたリスク判定は、いかなる意味でも診断や医行為を行うものではありません」と付記され、「厚生労働省が新型コロナウイルス感染症に関する相談・受診の目安として挙げている症状の出ている方は本検査キットを使用いただけません」とも記述している。診断目的ではないとしているのは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)への抵触を避ける(すり抜ける?)ためだろう。早速、楽天に問い合わせてみた。ちなみに私たち報道関係者は企業への問い合わせ時は、おおむね各社広報担当部門(最近ではコーポレート・コミュニケーション部門ともいう)の直通電話に連絡するか、会社の代表番号に電話し、そこから広報部門に取り次いでもらうことが一般的。また、こうした問い合わせ連絡先はニュースリリースに記載されていることも多い。ところが楽天は企業HP・ニュースリリースともに問い合わせ連絡先の記載はなく、ニュースリリースのページに報道の問い合わせ先としてメールアドレスが記載してあるのみ。いわゆるネット時代を象徴する企業らしい対応とも言えるのだが、一方でネット時代に象徴されるスピード感には欠けると言わざるを得ない。とりあえずメールで問い合わせをしたところ、問い合わせて7時間後に広報担当者から電話がかかってきた。―今回発売した検査キットですが、そもそも検査の感度、特異度はどの程度なのでしょうか?【楽天・広報】検査キットの感度、特異度に関して「〇%です」という表現はできないのですが、提携先のジェネシスヘルスケアが医療機関向けに同種のサービスを提供しており、その検査手法とまったく同じです。医療機関で行っているPCR検査と今回の検査キットの違いは、お客様自身で(検体を)採っていただく点だけです。―ということは、医療機関あるいは保健所を経由する新型コロナウイルスのPCR検査と質は同等のものと捉えてよろしいのですね? ですが、一般の方が鼻の奥から正確に検体を採取できない可能性は?【楽天・広報】同等かはその通りです。慣れない個人が採取棒を鼻の奥に入れて検体採取が可能かどうかについてですが、そもそも医療機関での検体採取ですら100%の精度とは言えません。ではなぜ検査を提供するのかですが、在宅勤務ができない人の中で、無症状だが感染の不安を抱えている人、実は感染しながら無症状のため感染していないと信じて勤務し、周囲にも感染させている可能性がある人の判断にお役立ていただきたいということです。―現在、診断目的で行われている新型コロナウイルスに対するPCR検査は感度が7割程度と言われています。つまり約3割の陽性者は陰性と判断されてしまいます。この検査キットを使った対象法人がこの不確実性を認識せず、検査キットで陰性ながら実は陽性の従業員に「安全宣言」をしてしまう危険性があります。【楽天・広報】まず、この検査キットは診断目的ではないので、私たちは陽性、陰性と申し上げず、「新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が含まれているかどうかの判定」と表現しています。また、在宅勤務が可能な企業にではなく、在宅勤務が不可能でかつ無症候感染の可能性を持つ従業員を抱える企業のみへの販売を原則しています。そのうえで言えば、一般的にPCR検査の感度は100%ではないので、実際には感染しながら陰性と判定されてしまう人がいること、そしてその方が陰性の判定で安心して出歩くリスクは承知しています。ただ、現下の情勢を考えれば、導入した法人では「新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が含まれていなかった」と判定された従業員にも、感染予防・感染拡大防止のために「不要不急の外出は控えましょう」「万全の注意を払いましょう」となるはずで、当社もそこを大前提としています。―御社としては問い合わせのあった法人に対しては、この検査キットの結果が万全ではないと説明しているのですか?【楽天・広報】もちろんです。そもそもこの検査キットは医療行為ではないので、陽性・陰性を判断できるものではないとご説明しています。―では、もしこの検査で御社が言うところの「新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が含まれていた」という結果が出たらどうなりますか?【楽天・広報】それは新型コロナウイルスに感染している可能性が高いという一つのデータとして使っていただいて、たとえば現場で働いていた人に自宅待機をしてもらう判断が法人としてはできます。―しかし、検査で「新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が含まれていた」と判定が出た人は医療機関に向かう可能性が高く、結果として医療機関の負荷を高めてしまう可能性が高いと思われます。【楽天・広報】検査キットで感染の可能性が高いとなれば、自宅待機になるか、あるいは保健所に連絡を取るかということになるのかもしれませんが、当社が指示・強制するものではなく、利用する法人の判断になります。以上がやり取りの概略だが何とも隔靴掻痒感は否めない。確かに在宅勤務ができない人向けという点では、一見すると「大義」がありそうだが、結局のところ現時点はPCR検査で陽性と判定された人は、実際の感染確定にかかわらず医療機関受診か自宅待機、陰性と判定された人も実際の感染確定にかかわらず蔓延を防ぐためなるべく自宅待機、結果としてすべての人が「stay at home」で対応すべき情勢。だからこそ無症候の人への検査はリソースの無駄使いと思わざるを得ないのだが。既に日本医師会は常任理事の釜萢 敏氏が記者会見で、検査を受ける本人が検体採取を行う時の正確性への疑問、採取時に周囲へ感染がおよぶ危険性、偽陰性の可能性などに言及して、「この検査を普及させ、ご自身でやってみることについては、非常にリスクが高いと今考えざるを得ません」との認識を示している。ベンチャー出身の楽天らしい発想とも言える検査キット発売だが、やや使用する側のモラルに丸投げしすぎではないか? 今回はベンチャー得意のイノベーションと言うよりは、単なるカオスを生み出すデストロイヤー、漫画「ドラえもん」の登場人物でいうところのガキ大将・ジャイアンの暴走となってしまうと思うのは私だけだろうか?

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「外出自粛で運動ができない」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第30回

■外来NGワード「不要不急の外出は控えなさい」(すでに控えている)「3密を避けなさい」(具体性に欠ける指導)「家で何か運動しなさい!」(あいまいな運動指導)■解説 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化には、糖尿病と喫煙が関係しているとの報告があります。一般的に、血糖コントロールが不良であるとウイルスに対する抵抗力が低下し、インフルエンザなどの感染症リスクが高まることが知られていますので、COVID-19も例外ではないのでしょう。患者クラスター発生のリスクとして掲げられた「3密」という言葉は、もともとは仏教用語の「三密」です。それが、今では「換気の悪い密閉空間」(むんむん)、「多数が集まる密集場所」(ぎゅうぎゅう)、「間近で会話が発生する密接場面」(がやがや)の3つの“密”がそろった意味での「3密」として用いられています。この3密を徹底的に避けるため、不要不急の外出自粛で仕事は在宅体制になり、出掛けることもできず、運動不足になりがちです。家にいるとついつい何かをつまんでしまい、気付けば体重が増えている…なんてことにもなりかねません。そうやって患者さんの自己管理がおろそかになる前に、「もし(if)」を使った質問をしてみましょう。患者さんの運動嗜好を知ることができるかもしれません。新型コロナウイルス感染対策をきっかけに、家での運動習慣を付けられるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者新型コロナウイルスの影響で、運動ができなくて…。医師皆さん、そう言っておられますね。家ではどのように過ごされていますか?患者テレビばかり見ています。以前はジムで運動していたのですが。医師そうでしたか。今はどのくらい運動していますか?患者買い物で少し歩くぐらいです。ほかはほとんど運動していません。医師なるほど。3密を避けて運動場所を確保するのは、なかなか難しいですよね。もし、家で運動するとしたら、どんな運動がいいと思いますか?患者そうですね、ラジオ体操なんかはどうでしょう?医師いいですね。テレビでは、1日に2~3回体操を放送していますから、まずは時間になったらチャンネルを変える習慣付けから始めたいですね。患者えっ、そうなんですか。知らなかったです。まずは見ることからですね。医師はい。これを機に、1番だけでなく、2番までやると、食後血糖値が改善するかもしれませんよ。家でも歩数計を着けておくと、だいたいの運動量を把握することができます。この機会に、家の大掃除をしている患者さんもいますよ。患者確かに、工夫すればいろいろできそうです。頑張ってやってみます。■医師へのお勧めの言葉「もし、家で運動するとしたら、どんな運動がいいと思いますか?」「せっかくの機会ですから、家の中を掃除してみませんか?」

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新型コロナ危機に直面した米国ニューヨークの今【臨床留学通信 from NY】番外編3

番外編:新型コロナ危機に直面した米国ニューヨークの今(3)コロナの激震地となったニューヨークの患者総数は、4月22日現在で25万人を超えています1)。しかしながらクオモ知事の声明によりますと、総入院患者がマイナス傾向になったということで、ようやくピークを超えつつあるようです2)。また、ようやく(?)ニューヨークにおいてもマスクが義務付けられました。通常のマスクは、防御機構に関しては不明ですが、ウイルスを拡散しないという効果はあると私は思います。もちろん市民に対し早めに声明を出したかったのだとは思いますが、医療従事者への確保が先決であり、それがようやく担保されたためとも考えられます。当院(Mount Sinai Beth Israel)の現状は、相変わらずの病床拡大傾向ですが、それがそのままレジデントの労働時間の負担になっている訳ではなく、外部から委託することで人員を確保しているという状況です。実際に、待機的な一般病院や開業医の不要不急の外来はすべて閉鎖されており、そこから人的資源を確保していると考えられます。現在、市内中心部のマンハッタンよりも郊外に位置するクイーンズ地区などで医療崩壊が起きており、ピークを超えていても当院がいまなお病床拡大傾向にあるのは、そこの負担を軽減するための措置であります。確かに、マンハッタンには多くの病院がありますが、実際に住んでいるのは郊外のほうが多く、患者さんの数も同様に多いため、医療の需要と供給のアンバランスが起きやすいのです。それは東京都23区とそれ以外の関係にも似ているように思えますし、関東でパンデミックが起きると、人口が多く医者の数が少ない郊外エリアで医療崩壊が起きる懸念があります。私の病院はMount Sinai医科大学系列なので、経営母体が同じグループ内で疲弊している病院があれば、それらの患者を受け入れるたり人的資源を派遣することは合理的であり、経営的にも好ましいとも言えます。そのような協力は日本においてはなかなか難しく、パンデミックではない地区からのボランティアでしか成り立たないのかもしれませんが、一般病院だけでなく開業医の先生方の協力もニューヨークのように必要なのかもしれません。肝心の治療方法については、依然として模索状態が続いています。前稿で紹介したヒドロキシクロロキンおよびアジスロマイシンについては、ウイルス量を減らすかもしれないと言われていますが3)、あまり効果がないように思いつつ使い続けているというのが正直なところです。QT延長が双方に副作用があり、心電図を何度も取ることで医療従事者への曝露を助長しているようにも思われ、大規模な研究が待たれます。アクテムラ(トシリズマブ)は重症例に使用しておりますが、当院でRCTが始まったのは、同じIL-6 inhibitorのサリルマブでした。抗ウイルス薬のremdesivirについてもRCTも始まりましたが、観察研究の結果を見る限り、ある程度の期待は持てるのかなと思います4)。しかし、これらの治療法が正しいのかどうかも、やはり大規模な研究を待たなければわからない部分も多いです。また、D-Dimerが高値ならば、死亡率が上昇するというデータが出ており5)、D-Dimer高値の重症例については、当院では抗凝固療法を開始しておりますが6)、ほかの施設では推奨していないなど、まったくのエビデンス不足であり、欧米人より出血が多いと言われる日本人に当てはまるかどうかも不明です。ただ、治療に当たった実感としては、COVID-19の重症患者では凝固系が更新しているのだとは思います。ステロイドも予後を改善するというデータが出たため7)使い始めたところ、その後、真菌感染が発症したため、現時点では使用を控えております。ECMOについては、パンデミックになってしまうと医療資源の兼ね合いで推奨されるものではないように思えます8)。また、一度挿管すると抜管は非常に厳しく、低めの酸素飽和度であったとしても、なるべく避けたほうがいいのではないかという印象があります。いざ挿管が必要となった場合、管理は通常のARDSと異なるのかもしれません9)。以上は個人的見解が含まれており、治療法は刻一刻と変化すること、また当院の意見を代表するものではありませんので、その点をご了承ください。1)https://en.wikipedia.org/wiki/2020_coronavirus_pandemic_in_New_York_(state)2)https://twitter.com/NYGovCuomo3)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/322052044)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/322758125)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Lancet+2020%3B+395%3A+10546)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=322201127)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/321675248)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/322790189)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32228035

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COVID-19濃厚接触者の定義を変更し、網を拡大/国立感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「濃厚接触者」の定義について国立感染症研究所 感染症疫学センターは、4月20日に「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」を発表し、定義を変更した。 新しい「濃厚接触者」の定義では、「患者(確定例)」の感染可能期間(症状を呈した2日前から隔離開始までの間)に接触した者のうち、次の範囲に該当する者として4項目を示した。・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内などを含む)があった者・適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた者・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い者・その他:手で触れることのできる距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況など個々の状況周辺の環境や接触の状況など個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。 これにより、従来は発症日以降に接触した人から「発症の2日前から接触した人」に拡大され、また、「2m以内を目安に接触していた人」の定義を「1m以内を目安に15分以上接触した人」に変更された。 この定義は保健所などで聞き取り調査の際に使用され、より多くの感染疑い者の絞り込みに活用される。

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