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恫喝や暴言も、医療者への風評被害の実態/日医

 日本医師会・城守 国斗常任理事が、3日の記者会見で「新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査」について、結果を公表した。これは、昨年11月に開催された都道府県医師会長会議で問題提起され、各地域の被害状況について全47都道府県医師会が調査したもの。全国から698件の報告、「近寄るな」「責任を取れ」など心ない言葉も 風評被害を受けた対象としては、総回答数698件のうち「医師以外の医療従事者」に対する被害が277件(40%)と最も多かった。次いで「医療機関」が268件(38%)、「医師または医療従事者の家族」が112件(16%)、「医師」が21件(3%)、「その他」が20件(3%)という内訳だった。「医師以外の医療従事者」に対する風評被害は、主に看護師に対するものが多かったという。《具体的な事例1:医師》・濃厚接触者ではなく、新型コロナ患者の対応をしていないにもかかわらず、自治体より乳児健診前の2週間は勤務しないように要望された。・検死に赴いたにもかかわらず、当該関係者から、あたかも自分が新型コロナに罹患しているかのような対応を受けた。・防護服着用で診察などの対応をしていると、その格好を揶揄するような指摘をされた。・このような時だから、医師は遠出をするべきではないとを言われた。・医師が近隣に引っ越してくると知った住人から、「窓も開けられなくなる」「引っ越しを延期してもらえないか」といったクレームが出た。《具体的な事例2:医師以外の医療従事者》・新型コロナを診ている医療機関か否かにかかわらず、医療機関に勤務しているだけで、「近寄るな」「(集まりや習い事に)来ないで欲しい」「(美容院などの)予約を受けられない、しばらく利用を控えて欲しい」「一緒にエレベーターに乗るのが怖い」などの扱いや暴言を受けた。・保育園などに子供の預かりを拒否され、新型コロナの対応に当たっていないことを説明しても聞き入れられず、仕事を休むことを強いられた。・勤務先医療機関に初めて新型コロナ患者が入院した際、ほかの通院患者から「自分の家族は大丈夫なのか。何かあったら責任を取ってもらう」と言われた。・病院職員に陽性者が出たため、PCR検査を受けた。陰性だったが、自宅待機をしていたところ、近隣住民から電話が殺到、嫌がらせのようなものもあった。・買い物に行くと、知人である従業員から「何しに来たの?早く帰って」と言われた。・感染拡大地域から通勤していることで、同僚から避けられ、車が県外ナンバーであることで肩身の狭い思いをすることがあった。《具体的な事例3:医療機関》・「診療・検査医療機関」であることが県ホームページに掲載されると、受診患者数が大きく減少した。・近隣医療機関で新型コロナ患者が出たことを受け、「(当院でも)患者が出た」「スタッフが感染している」など、SNSに誤った情報を書き込まれた。・病院敷地内にユニットハウスを建て、発熱外来として利用していると、近隣住民から「窓を開けるな」など、クレームがあった。・医療機関に勤務していることを職員の家族らが心配し、職員の退職の原因となった。・「お前らのせいで学校が再開できなくなった。どうしてくれるんだ」「感染拡大の責任を取れ」「職員を外出させるな」「職員の住んでいる場所を教えろ」など、恫喝めいた問い合わせがあった。《具体的な事例4:医療従事者の家族》・子供が「学校に来てもいいのか?お母さんは看護師だろ?」と言われるだけでなく、本人が新型コロナに感染しているかのような扱いを受けた。・医療従事者の子供というだけで、別室保育や別室授業などの対応をされたほか、登園や登校をしばらく控えるように要望された。・子供の地域活動(友達付き合い、習い事、クラブ活動など)が、直接的・間接的に拒否され、子供が精神的に不安定となった。・家族が新型コロナを診療している医療機関に勤務しているため、親のデイサービス利用が断られたり、取引先から「取引を止める」と言われたり、会社内で「お前の家族はコロナじゃないのか」「お前も感染してるんじゃないのか」と言われた。 このように、新型コロナウイルス感染症に対する過剰な心配と思われる事例が多く見られた。中には、家族や親戚から交流を避けられるといった事例も散見され、医療従事者が精神的にも大きなダメージを受けていることが心配される。城守氏「風評被害というよりも“いわれなき差別”」 風評被害への対応としては、「不安で通院できないといった問い合わせがあった際は、保健所の指導の下、感染対策をしっかり行っているので安心して通院してほしいと説明した」「慢性疾患により定期的な通院が必要な患者には個別に連絡し、病院内では感染対策を行っていること、定期的な受診が重要であることを説明した」「周辺住民を対象に勉強会を開催し、正しい情報が広まるよう努めた」など、その多くが繰り返し丁寧に説明し、医療従事者・医療機関への理解を求めていた。 城守氏は、「全国規模で風評被害が発生していることが明らかとなった。中には、医療従事者に対する“いわれなき差別”とも言える事例が多く見られ、由々しき事態であると考えている。国に対しても何らかの早急な対応を求めたい」と述べた。なお、被害状況に地域差などは見られず、報告がなかった県は7つほどあったという。調査概要1.名称:新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査2.目的:令和2年度第2回都道府県医師会長会議(2020年11月17日開催)で新型コロナウイルス感染症に関する医療従事者などへの風評被害について問題提起されたことを受けて、日本医師会として医療従事者などに対する風評被害の実態を把握し、その結果を基に、医療の最前線で奮闘している医療従事者の置かれている状況について、国民に理解を求める。3.対象:2020年10月1日~12月25日までに各地域で起こった風評被害4.内容:風評被害の対象者(医療機関、医師、医師以外の医療従事者、医療従事者の家族、その他)、具体的事例、対応策5.方法:都道府県医師会の協力のもと、各地域の被害状況について調査し、その結果を、2021年1月15日を期限としてメールで回答いただいた。6.回答:47都道府県医師会すべてより回答(総回答数698件)

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第43回 病床協力だけでは見えないコロナ診療の実情

感染症法改正などの議論で、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに応じない病院に対し、病院名公表などの措置が検討されたり、大阪府の吉村 洋文知事が「民間でコロナを受け入れている病院の比率が低い」と発言したりするなど、民間病院に対する風当たりが厳しい。こうした「患者受入登録」だけで病院が評価されることに疑問を持った大阪府保険医協会は1月26日、民間病院のコロナ患者受け入れ状況を把握するため、府内全病院を対象に実施した緊急アンケートの結果を公表した。それによると、府の要請に応じて病床登録した民間病院は1割程度だった。その理由をひも解くと、「病院の構造的な問題」や「専門スタッフがいない」など物理的・人的な問題が浮かび上がった。一方、未登録であっても何らかの形でコロナ患者に対応している病院があることも明らかになった。未登録の民間病院もコロナ患者に対応大阪府保険医協会は1月19日、府内484病院を対象にアンケートを実施。1月26日現在、132施設から回答を得た。このうち、民間病院は122施設から回答があった。コロナ患者の受け入れ病床の状況については、府が昨年12月に各1~2床の確保を要請した108施設中40施設が回答。その結果、病床を登録したのは5施設(12.5%)にとどまった。登録しない理由(複数回答可)として、「動線確保や個室の数など病院の構造上の問題」(30施設)、「感染症専門スタッフがいない・少ない」(26施設)、「重症化した際の転送先に不安がある」(21施設)などが挙がった。一方、コロナ患者への対応についての実績・経験を尋ねたところ、いずれも未登録の民間病院79施設が、コロナ患者の入院受け入れや軽快後の後方病床を担うなど、何らかの形でコロナ患者を受け入れていることもわかった。病院が悪者にされ現場の士気が保てない自由回答では、「公立病院などでコロナ患者を受け入れている分、コロナ患者以外の疾患を民間病院が担ってくれている」(コロナ患者を受け入れている公立病院)、「頑張っている病院が悪者にされ、現場の士気が保てない」(コロナ患者を受け入れている民間病院)、「コロナ病床が埋まっている限り、通常の2次救急ができなくなっている」(コロナ患者の受け入れを要請されている民間病院)などの意見が寄せられた。大阪府保険医協会は「民間病院攻撃に繋がるような国や大阪府の方針や情報発信は、国民と医療機関に責任を転換し、さらに国民に“分断”を持ち込みかねないもので看過できない。国や大阪府は、これまでの政策の過ちを真摯に受け止め、十分な補償と情報提供、新型コロナウイルス感染防止対策への国民・府民の主体的・積極的参加を促す政策をとるよう、強く要望する」とコメントした。今回のアンケート結果からもわかるように、コロナ患者の受け入れ人数のみで評価するのは、あまりに問題の捉え方が表面的過ぎるということだ。コロナ以外の疾患診療や、軽快後の後方病床も重要な役割である。コロナ診療の最前線に立たない医療者、機関への逆風を煽るような行政のやり方では、直面する医療崩壊やひっ迫状況の打開に到底なり得ない。

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日本におけるCOVID-19第2波によるうつ病リスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる社会的混乱は今も続いており、これが国民の社会的抑制につながっている。北里大学の深瀬 裕子氏らは、COVID-19によるメンタルヘルス関連のリスク因子を明らかにし、具体的な対処方法について検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月12日号の報告。 日本でCOVID-19の第2波が起こっていた2020年7月に、Webベースの調査を実施した。人口統計、こころとからだの質問票(PHQ-9)、怒りの状態、怒りのコントロール、コーピング尺度(Brief COPE)を測定した。設定変数によるPHQ-9スコアの多変量ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者2,708人のうち、18.35%がうつ病であった。・ロジスティック回帰分析では、抑うつ症状発症の予測因子は、以下のとおりであった。●基礎疾患あり(オッズ比[OR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.32~2.92)●無職(OR:1.85、95%CI:1.22~2.80)●マイナスの経済状況の経験(OR:1.33、95%CI:1.01~1.77)●怒りの状態(OR:1.17、95%CI:1.14~1.21)●怒りのコントロール(OR:1.08、95%CI:1.04~1.13)・一方、抑うつ症状発症のORが1未満であった因子は以下のとおりであった。●年齢が高い(OR:0.97、95%CI:0.96~0.98)●世帯収入800万円以上の高収入(OR:0.45、95%CI:0.25~0.80)●既婚(OR:0.53、95%CI:0.38~0.74)・対処戦略と抑うつ症状との関連について、ORは以下の順であった。●プランニング(OR:0.84、95%CI:0.74~0.94)●機器的サポートの利用(OR:0.85、95%CI:0.76~0.95)●自粛(OR:0.88、95%CI:0.77~0.99)●行動の放棄(OR:1.28、95%CI:1.13~1.44)●自己非難(OR:1.47、95%CI:1.31~1.65) 著者らは「日本ではロックダウンは行われなかったが、COVID-19パンデミックに伴う長期的な心理的苦痛によって、抑うつ症状の有症率は、パンデミック前の2~9倍に増加した。社会的混乱への対処または回避する方法を、1人または他者と実践することは、メンタルヘルスの維持に役立つが、人口統計的影響が対処戦略より強く、高リスク因子を有する人への治療が求められる」としている。

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第43回 ドタバタ続きの旭川医大、ワンマン学長の言動を文科省が静観する理由

旭川医大、学長が院長を電撃解任こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今オフにニューヨーク・ヤンキースからフリー・エージェント(FA)になっていた、田中 将大投手の東北楽天ゴールデンイーグルス復帰が1月28日に正式発表され、30日には田中投手の記者会見も行われました。ヤンキースが再契約しなかったこと、MLBの他球団の獲得が実現しなかったことなど気になる点は多々ありますが、東北楽天ファンだけでなく、日本の野球ファンのほとんどは大歓迎ではないでしょうか。ヤンキースでの7年間のキャリアのうち、後半は早い回での降板も増え、好不調の波が激しかった気もします。ただ、全盛期を過ぎつつあるとはいえ、あの田中 将大です。本人も「キャリアの晩年ではなく、いいタイミングで、楽天でバリバリ投げたいという思いはあった」と語っています。今年は東日本大震災から10年目という節目でもあり、ひょっとして東北楽天に再び優勝をもたらしてくれるかもしれません。個人的には、引退間近とも言われる日本ハムの斎藤 佑樹との投げ合いが楽しみです。さて、今週は旭川医科大学のドタバタを取り上げます。旭川医大は26日、同大で記者会見を開き、旭川医大病院の古川 博之病院長を25日付で解任したことを明らかにしました。昨年11月、同大の吉田 晃敏学長が新型コロナウイルスのクラスターが発生した市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言をしていたことが「週刊文春」で報道されましたが、この発言を録音し、外部に漏らしたことなどが解任理由となっています。「不利益処分を基礎付ける具体的証拠は何もない」と前院長この会見には吉田学長に加え、2人の理事と顧問弁護士が出席。理事は古川氏の解任理由について、(1)昨年11月の学内の会議をひそかに録画するなどし、外部に漏えいした、(2)11月、クラスターが発生した吉田病院の感染患者受け入れに関する吉田学長との協議内容を恣意的に報道機関に話した、(3)報道を受けた12月、難局を団結して乗り越えることを学内で確認したにもかかわらず、その後も取材に応じ続けた、という3点を挙げました。一方、解任された古川氏は25日夜に、報道関係者向けのコメント文書を出しています。それによると、15日に同大の役員会から辞任を求められたものの「解任相当とする具体的事実が事前に告知されておらず、告知・聴聞の手続きにおいては不適正」「ヒアリングでの質問内容は十分な反論も受け入れず、結論ありきのもの」と批判。役員会が指摘する情報漏洩の疑いも否定した、とし、「不利益処分を基礎付けるような具体的証拠は何もない」としています。さらに、文部科学省が吉田学長の不適切発言問題などで旭川医大を調査している最中に院長辞任を求めるのは、「真実隠しと思わざるを得ない」とし、旭川市の病院の新型コロナウイルス対策において「リーダーシップをとってきた私を解任することは、地域医療をないがしろにしている」と書いています。「吉田病院のコロナがなくなればいい、という趣旨だった」と弁明26日の旭川医大の記者会見において、吉田学長はそれまでの自身の発言について以下のようにコメントしました。「週刊文春」の2020年12月24日号で報道された市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言、「コロナを完全になくすためには、あの病院がなくなるしかない。ここの旭川市の吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」については、「あのときの真意は吉田病院のコロナがなくなればいい、という趣旨だった。それが切り取られてしまった」と苦しい弁明。さらに、吉田病院の患者受け入れを巡り、吉田学長が古川氏に「受け入れるならおまえが辞めろ」などと発言したことについては、「11月8日と13日に私はある病院からの軽症者を断った。それは、私の教員として培ってきた知識と動物的な勘でそういう対応を取った。その後はコロナ対応の病床が32床使えるようになったことからも、(当時許可しなかった)私の判断は間違っていなかった」と話しました。 吉田学長のリコールを求める署名運動も「おまえが辞めろ」発言については、文科省がパワーハラスメントに当たるかどうかを調査中とのことです。萩生田 光一文科相は26日の閣議後会見で、旭川医大が古川病院長を解任したことについて「学長と付属病院長が争うことそのものが、道民や患者に不安を与える」と述べ、地域医療への影響に懸念を示すとともに、「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」とした上で、「学内で冷静な対応をしてもらいたい」と語ったとのことです。なお、週刊文春の暴言報道をきっかけとして、昨年末には同大OBが中心となった吉田学長のリコールを求める全国有志の会が発足し、署名運動が始まっています。同会は1万筆の署名を目指しており、3月を目標として文科省に提出予定とのことです。旭川医大の1期生学長による老害の数々一連の報道を読んでいて浮かんだのは、“老害”という言葉です。吉田学長は68歳。旭川医大1979年卒の1期生で眼科が専門です。2007年の学長選で同大出身者初の学長となり、その後、実に14年にわたって学長の座に就いています。ちなみに旭川医大の職員(教授など)の定年は多くの国立大と同じ65歳です。国立大学法人法では「学長の任期は、2年以上6年を超えない範囲内で、学長選考会議の議に基づき、国立大学法人が定める」とされています。旭川医大の場合、かつては「学長は1期4年を任期とし再任を1回だけ認め、再任後の任期は2年とする」という常識的なものでしたが、吉田学長になって「1期4年、再任は無限」に変更となりました。どこかの共産主義政権と同じことを強権で実行したわけです。もう一つ気になったのは、吉田学長の眼科学教室主任教授への返り咲きです。通常、学長をはじめ大学の運営に関与する役員は臨床から離れ、教授職などは返上して後任に譲ります。そもそも大学の経営をしながら、バリバリ手術や、診察、指導、研究はできないでしょう。ところが吉田学長は現在、眼科教授を兼任しています。報道等によれば、2020年、前任の教授(東大出身)を解任し、自らが眼科学講座の主任教授も兼任することにしたのです。1月15日付のFRIDAYデジタルは、昨年秋に学内に掲出された、吉田学長の第4代教授就任を伝えるポスターを掲載しており、これが笑えます。着物姿の吉田学長が色紙を掲げている写真なのですが、色紙には「二冠 学長・第四代教授」と書かれているのです。記事によれば、将棋二冠の藤井 聡太棋士を真似たとのことです。吉田学長を巡っては、2019~20年に麻酔科教授の不正報酬問題(本連載の「第2回 全国の麻酔科教室が肝を冷やしただろう事件」参照)など不祥事が続き、大学トップとして管理体制が問われていましたが、病院長解任直後の報道では、自身も公立病院とアドバイザー契約を結び月40万円(14年間で計6,920万円)受け取っていたことも明らかになっています。ちなみに、旭川医大眼科教室のWebサイトの医局員紹介を見てみると、教授が3人います。1人は主任教授の吉田学長、1人は旭川医大病院経営企画部教授、そしてもう1人は医工連携総研講座教授です。地方の医大に眼科医局所属の教授が3人とは、これも何らかの力が働いたのかもしれません。国立大学の学長は簡単にクビにはできない中央の目があまり届かない北の地の国立大学でやりたいようにやってきた吉田学長ですが、週刊文春やFRIDAYといった厳しいメディアの“目”に晒されたためか、北海道新聞など地元紙の報道もかなり批判的になってきているようです。しかし、文科省は今のところ「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」と静観の構えです。任命するのは国なのですから、交代させることも可能だと考えがちですが、そうは簡単にはいかない理由があります。国立大学法人法は「学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う」(同法12条)となっています。ただ、その申し出を文科相が拒否することはほとんどありません。国立大学法人が、同法人の規則に則って学長を選出、それを文科相に申し出ます。この申し出に明白に形式的な違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、法人の申し出を国が拒否することはできない(申し出には法的拘束力がある)とされているのです。なにやら昨年話題となった日本学術会議会員の任命拒否問題とも似ていますが、考え方はまったく同じです。学術会議会員の任命拒否問題でもあれだけ大騒ぎとなりました。ですから、大学の自治尊重の考え方の下、国立大学の教職員が国家公務員だった時代でさえ行われなかった学長の任命拒否やクビのすげ替えが、そう簡単にできるわけがないのです。もっとも、昨年10月、学術会議の任命拒否問題が騒がれていた頃、国立大学学長の任命について聞かれた萩生田文科相は「基本的には(大学側の)申し出を尊重したい」とした上で、「文科相の判断で任命しないこともありうる」との認識も示しています。仮に老害を撒き散らしている学長だとしても、学内のルールに則ってことを収めてほしい、というのが国、文科省の強い意向だと言えそうです。とはいえ、今後、旭川医大がとくに学長を交代させることなく、今回の一連の事件をうやむやにしようとするならば、国も「明らかに不適切と客観的に認められる場合」として“立件”すべく、積極的な情報収集に動くかもしれません。今後の文科省の動きに注目したいと思います。

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新型コロナ抗体薬、第III相試験で最大8割の予防効果/リリー

 米国・イーライリリーは1月21日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発したモノクローナル抗体薬bamlanivimab(LY-CoV555)の第III相試験(BLAZE-2)において、感染リスクを大幅に減少させることが確認されたと発表した。bamlanivimabは、成人および小児(12歳以上、体重が少なくとも40kg)における軽症~中等症COVID-19治療薬として、米国FDAが2020年11月より緊急使用を許可している。 BLAZE-2は、高齢者施設の入居者およびスタッフ965例(入居者:299例、スタッフ666例)を対象に実施。ベースラインでSARS-CoV-2陰性を確認した上で、bamlanivimab投与群とプラセボ群に無作為に割り付け、8週間後に追跡調査した。その結果、全体では投与群のCOVID-19発症リスクは、プラセボ群に比べ57%低かった(オッズ比[OR]:0.43、p=0.00021)。入居者に限って見ると、投与群ではプラセボ群よりも発症リスクが最大80%低下した(OR:0.20、p=0.00026)。 本結果についてリリー社は、発表したニュースリリースにおいて「bamlanivimabが社会で最も脆弱な集団の1つである高齢者施設の入居者においてCOVID-19発症を大幅に減らせることを示唆したことに満足している」とのコメントを掲載し、本剤の予防効果がCOVID-19パンデミックの潮流を変える上で重要な役割を果たすことができると期待感を示している。

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COVID-19入院患者、ACEI/ARB継続は転帰に影響しない/JAMA

 入院前にアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与を受けていた軽度~中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者では、これらの薬剤を中止した患者と継続した患者とで、30日後の平均生存・退院日数に有意な差はないことが、米国・デューク大学臨床研究所のRenato D. Lopes氏らが実施した「BRACE CORONA試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年1月19日号で報告された。アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の機能的な受容体である。また、RAAS阻害薬(ACEI、ARB)は、ACE2をアップレギュレートすることが、前臨床試験で確認されている。そのためCOVID-19患者におけるACEI、ARBの安全性に対する懸念が高まっているが、これらの薬剤が軽度~中等度のCOVID-19入院患者の臨床転帰に及ぼす影響(改善、中間的、悪化)は知られていないという。ブラジルの29施設が参加した無作為化試験 本研究は、軽度~中等度のCOVID-19入院患者において、ACEIまたはARBの中止と継続で、30日までの生存・退院日数に違いがあるかを検証する無作為化試験であり、2020年4月9日~6月26日の期間にブラジルの29の施設で患者登録が行われた。最終フォローアップ日は2020年7月26日であった。 対象は、年齢18歳以上、軽度~中等度のCOVID-19と診断され、入院前にACEIまたはARBの投与を受けていた入院患者であった。被験者は、ACEI/ARBを中止する群、またはこれを継続する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、無作為化から30日までの期間における生存・退院日数(入院日数と、死亡からフォローアップ終了までの日数の合計を、30日から差し引いた日数)とした。副次アウトカムには、全死亡、心血管死、COVID-19の進行などが含まれた。全死亡、心血管死、COVID-19の進行にも差はない 659例が登録され、ACEI/ARB中止群に334例、継続群には325例が割り付けられた。100%が試験を完了した。全体の年齢中央値は55.1歳(IQR:46.1~65.0)、このうち14.7%が70歳以上で、40.4%が女性であり、52.2%が肥満、100%が高血圧、1.4%が心不全であった。無作為化前に中央値で5年間(IQR:3~8)、16.7%がACEI、83.3%がARBの投与を受けていた。β遮断薬は14.6%、利尿薬は31.3%、カルシウム拮抗薬は18.4%で投与されていた。 入院時に最も頻度が高かった症状は、咳、発熱、息切れであった。発症から入院までの期間中央値は6日(IQR:4~9)で、27.2%の患者が酸素飽和度(室内気)94%未満であった。入院時のCOVID-19の臨床的重症度は、57.1%が軽度、42.9%は中等度だった。 30日までの生存・退院日数の平均値は、中止群が21.9(SD 8)日、継続群は22.9(7.1)日であり、平均値の比は0.95(95%信頼区間[CI]:0.90~1.01)と、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.09)。また、30日時の生存・退院の割合は、中止群91.9%、継続群94.8%であり、生存・退院日数が0日の割合は、それぞれ7.5%および4.6%だった。 全死亡(中止群2.7% vs.継続群2.8%、オッズ比[OR]:0.97、95%CI:0.38~2.52)、心血管死(0.6% vs.0.3%、1.95、0.19~42.12)、COVID-19の進行(38.3% vs.32.3%、1.30、0.95~1.80)についても、両群間に有意な差はみられなかった。 最も頻度が高い有害事象は、侵襲的人工呼吸器を要する呼吸不全(中止群9.6% vs.継続群7.7%)、昇圧薬を要するショック(8.4% vs.7.1%)、急性心筋梗塞(7.5% vs.4.6%)、心不全の新規発症または悪化(4.2% vs.4.9%)、血液透析を要する急性腎不全(3.3% vs.2.8%)であった。 著者は、「これらの知見は、軽度~中等度のCOVID-19入院患者では、ACEI/ARBの適応がある場合に、これらの薬剤をルーチンに中止するアプローチを支持しない」としている。

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1回接種のコロナワクチンの有効率66%/J&J

 米国ジョンソン・エンド・ジョンソンは、現地時間の1月29日に第III相ENSEMBLE臨床試験から得られたトップライン有効性・安全性データを発表し、同社の医薬部門であるヤンセンで開発中のCOVID-19単回投与ワクチン候補(以下「ワクチン候補」という)が、すべての主要評価項目および主な副次評価項目を満たしたと発表した。 第III相ENSEMBLE試験は、18歳以上の成人を対象に、1回接種ワクチンの安全性と有効性をプラセボと比較して評価するために設計された無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験。被験者の45%が女性、55%が男性であり、参加者の41%は、重症化するリスク増加に関連する併存疾患を有していた(肥満が28.5%、2型糖尿病が7.3%、高血圧が10.3%、HIVが2.8%)。 このトップラインにおける有効性および安全性のデータは、43,783例の被験者(468例のCOVID-19症候性症例を含む)で行われ、この試験では本ワクチン候補が中等症から重症のCOVID-19感染症を予防する有効性と安全性を評価するよう設計され、ワクチン1回接種後14日以降と28日以降の評価を2つの主要評価項目(コプライマリ・エンドポイント)として設定した。 新興ウイルス変異株への感染例を含むさまざまな地域の被験者で、本ワクチン候補による接種後28日以降の中等症から重症のCOVID-19感染症の予防効果は、全体で66%だった。また、その予防効果は、接種後14日という早い段階で確認された。中等症から重症のCOVID-19感染症の予防率は、ワクチン接種後28日以降では、米国で72%、ラテンアメリカで66%、南アフリカで57%だった。重症例を予防し、2~8℃で安定保存もできる このワクチン候補は、1回接種後28日以降の、全試験対象地域の全成人被験者(18歳以上)において、重症疾患への予防効果が85%だった。重症疾患に対する有効性は経時的に増加し、49日目以降は、ワクチン接種者において重症例は報告されなかったま。また、本ワクチン候補は、COVID-19感染症による入院および死亡に対して、ワクチン接種後28日以降に被験者の全員に予防効果を示した。医学的介入を要するCOVID-19の症例(入院、集中治療室(ICU)入室、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)使用)に対するワクチンの明らかな効果が認められ、1回接種後28日以降で、本ワクチン候補の接種を受けた被験者に、そのような症例は報告されなかった。 なお、本ワクチン候補は標準的なワクチン流通手段に対応し、承認された場合、ワクチン候補は-20℃で2年間安定保存可能と想定され、少なくとも3ヵ月間は2~8℃で安定保存することができる。 同社では「できる限り多くの人に簡便で効果的な解決策を生み出し、パンデミックの終息にむけて最大限に貢献したい」と目標を語っている。

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希少がんのオンライン・セカンドオピニオンを開設/国立がん研究センター

 新型コロナウイルス感染症流行に収束の目処が立たない中、患者の受診控えが続いている。国立がん研究センター中央病院は、オンラインでのセカンドオピニオン外来をスタートすることを発表した。2021年2月15日(月)13時より予約を開始する。 利用者としては、原則として、希少がんなど専門医が限られる種類のがん患者を想定し、細かく分類したうえでそれぞれの専門医が対応する。同院が民間会社と共同開発した検査画像の閲覧ができるオンライン診察システムサービスを用い、PC、スマホ、タブレット等を使って受診する。感染リスクを考えて受診を控えていた患者や、地方在住者に利用を促す。(オンライン・セカンドオピニオンの対象患者)【治療開始前】・診断が正しいかどうか不安な方・がん治療が妊娠や出産に与える影響や対応方法等について知りたい方・主治医からの治療方針を確認したい方・複数の選択肢があるために当院の見解を知りたい方・主治医から診断や治療方針の決定が難しいと言われた方【治療中】・研究的な治療の相談(ゲノム検査結果を踏まえた治療など) 従来の対面でのセカンドオピニオンも引き続き行っており、「主治医から提示された治療が希望に合わず、当院で他の治療法がないかを知りたい」「転院を相談したい」という場合は対面を利用するよう推奨している。 患者本人からの相談を原則とし、家族からの相談は本人の同意書が必要。国外在住者の受診は不可となっている。完全予約制で時間は60分以内、料金は自費診療となり49,940円(税込、病理診断実施の場合は55,440円)。がん診療を中心に、オンラインでのセカンドオピニオンの開設は広がっており、がん研有明病院や亀田総合病院でも既に導入されている。申し込み・詳細は下記よりオンライン・セカンドオピニオン/国立がん研究センター中央病院

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第45回 南ア株にワクチンは確かに効き難く、先立つ感染も通用しなさそう/エボラ潜伏の恐れ

南アフリカ変異株にワクチンは確かに効き難く、先立つ感染も通用しなさそう世界屈指の製薬会社Johnson & Johnson(J&J)と米国メリーランド州のバイオテクノロジー企業Novavax(ノババックス)社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)予防ワクチンそれぞれの試験結果が先週末に相次いで発表され、南アフリカで最初に見つかってとりわけ心配されている変異株B.1.351への効果はどちらのワクチンもだいぶ低めでした1)。J&JのワクチンJNJ-78436735(Ad26COVS1)の第III相試験における米国での予防効果は72%、南アフリカでは57%であり、南アフリカでの感染のほぼすべて(95%)は変異株B.1.351によるものでした2)。NovavaxのワクチンNVX-CoV2373は英国での第III相試験結果と南アフリカでの後期第II相試験結果が報告され、英国試験での効果は大変有望な89%でした。しかし南アフリカ試験での効果はJ&Jのワクチンと同様に低く49%(HIV陰性被験者では60%)であり、ウイルス配列が調べられた感染のほぼすべて(93%)はJ&Jワクチンの試験と同様に変異株B.1.351によるものでした3)。Novavaxワクチンの南アフリカでの試験に組み入れられた被験者のおよそ3分の1は先立つ感染経験があることを裏付ける抗体保有者(seropositive)でした。上述の解析ではそれら3分の1の被験者は除外されていますが、それら被験者を含めたプラセボ群のCOVID-19発現率は抗SARS-CoV-2抗体を有していようといまいと変わらず、変異前のウイルスに感染したところで変異株B.1.351の感染は防げないようです4)。効果は低めとはいえワクチンがB.1.351に有効なことは朗報ですが、先立つ感染がどうやら通用しないというのは心配です。米国の有力なアナリスト会社Leerinkの見通しは不吉で、B.1.351のような厄介な変異株はこれから世界に広がり、先立つ感染やワクチンの普及は新たな変異株の出現をひたすら後押しするだろうと予想しています1)。Novavaxのワクチンは先月中頃に英国での承認申請がすでに始まっており、J&Jのワクチンは今月中に米国に認可申請されます。どちらも世に出ることになるでしょうが、変異株への対応などに追われ、ワクチン開発の一段落まではまだまだ長い時間がかかりそうです。Moderna社がB.1.351に対するワクチンの開発に着手したのと同様にNovavaxも変異株を標的とする新たなワクチンの開発を先月の早くから開始しています3)。その臨床試験がまもなく今春(第2四半期)に始まる予定です。Pfizerも同様です。新たに出回る変異株が見つかったらワクチンの効果をその都度検証し、必要とあらば変異株に対応できるようにワクチンに手を加えていくと同社CEO・Albert BourlaはBloombergニュースに話しています5)。エボラ感染後の抗体が周期的に増減~潜伏ウイルスの仕業?エボラウイルス(EBOV)感染を切り抜けてもはや健康な115人の感染後30~500日の血液中の抗EBOV抗体を調べたところその量がどうやら周期的に増減を繰り返しうると示唆されました6,7)。その理由はこれから調べる必要がありますが、一つの可能性として眼・中枢神経系・精巣などの免疫が手加減(immunologically privileged)する組織で細々と増える潜伏EBOVが抗体減少につけ込んでその都度引き起こす小ぶりな感染が周期的な抗体反応をもたらすことによるのかもしれません7)。COVID-19を経た人がそうであるようにEBOV感染を経た人の多くも頭痛、疲労、視覚障害、筋肉痛などを特徴とする長患い・エボラ後症候群(post-Ebola syndrome)に陥ります。アフリカのリベリアでの試験(PREVAIL)によるとEBOVのRNAはおよそ3人に1人の精液から検出され、その検出は最長で発症から40ヵ月後にも認められました8)。免疫が手加減する組織・精巣は感染を繰り返し引き起こして抗体生成を突発させるEBOVの潜伏先かもしれません7)。PREVAIL試験の結果はEBOVの細々とした複製が抗体の時おりの急増を招くという考えを支持しています。しかしPREVAIL試験では抗体量とエボラ後症候群の症状の関連は認められておらず、抗体分泌細胞(プラズマ細胞)や抗体量の維持に寄与するまだよく分かっていない仕組みが存在しているようです。今回の研究を実施した英国リバプール大学のチームはCOVID-19を経た人の抗体の推移も調べ始めています9)。参考1)Novavax and J&J join the Covid-19 vaccine push / Evaluate2)Johnson & Johnson Announces Single-Shot Janssen COVID-19 Vaccine Candidate Met Primary Endpoints in Interim Analysis of its Phase 3 ENSEMBLE Trial / PRNewswire3)Novavax COVID-19 Vaccine Demonstrates 89.3% Efficacy in UK Phase 3 Trial / GlobeNewswire4)Announcement of UK and South Africa Trial Results / Novavax5)Pfizer to Deliver U.S. Vaccine Doses Faster Than Expected / Bloomberg6)Adaken C, et al.Nature. 2021 Jan 27:1-5.7)Antibodies periodically wax and wane in survivors of Ebola / Nature8)PREVAIL III Study Group, N Engl J Med. 2019 Mar 7;380:924-934.9)Antibody highs and lows in survivors of Ebola / Eurekalert

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COVID-19、陽性者の3分の1以上が無症状

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において、無症状の感染者が一定数いることは知られているが、実際にその割合はどのくらいなのか。米国Scripps ResearchのDaniel P. Oran氏らがこれまでに発表されたCOVID-19関連論文のシステマティックレビューを行った結果、少なくとも3分の1が無症状であることがわかったという。Annals of Internal Medicine誌2021年1月22日オンライン版の報告。COVID-19論文を検索し無症状者数などを記録 著者らは、2020年11月17日までに発表されたCOVID-19に関する論文を検索し、1万人以上の被験者、被験者のランダムな選択等の条件から適格な論文を選択したうえで、検査を受けた人数、陽性者数、有症状者・無症状者数を記録。検査方法はPCR検査または抗体検査とした。PCR検査を用いた横断研究の場合、診断は一度しか行われず、症状がなかったとしても、それが発症前なのか無症状感染なのかを区別することができない。一方、過去の感染を判定する抗体検査、PCR検査でも複数回の診断を行う縦断研究では、発症前と無症状感染を区別することができる。このため、3つの手法を分類したうえでの解析も行われた。 新型コロナウイルス感染症において無症状の感染者の割合を調査した主な結果は以下のとおり。・基準を満たす論文または調査は61で、PCR検査を使ったものが43、抗体検査を使ったものが18だった。最大のデータは英国の93万2,072例の調査だった。・PCR検査を使用した調査では、陽性判定者のうち無症状だった例(無症状感染者)の割合中央値は65.9%(IQR:42.8~87.0)だった。・PCR検査を使用した縦断研究は19あり、追跡期間中央値は14日(IQR:14.0~15.8)、無症状感染者の割合中央値は42.5%(IQR:29.6~77.8)、追跡期間中に無症状のままだった割合中央値は72.3%(IQR:56.7~89.7)だった。・抗体検査を使用した調査では、無症状感染者の割合中央値は41.2%(IQR:32.6~48.1)だった。・統合されたデータから、陽性者の少なくとも3分の1が無症状感染者である可能性が高いことがわかった。

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第40回 日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件

<先週の動き>1.日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件2.ワクチン接種体制の確立に追われる医療機関と地方自治体3.第3次補正予算、病床確保などで医療機関を支援4.地域医療構想、重点支援区域に山形県・置賜と岐阜県・東濃を追加5.積極的なコロナ患者受け入れで黒字化に成功した徳洲会病院G1.日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件日医・中川 俊男会長は、2月7日に予定されている緊急事態宣言の解除について、現状では厳しいとの見方を定例記者会見で述べた。今回の措置によって、一定の感染拡大防止効果が表れているようにもみえるが、「決して気を抜ける状況ではない」という。中川会長は、緊急事態宣言の解除について、都道府県の医療提供体制などの状況の判断に用いる6つの指標を示した。1)病床のひっ迫具合2)療養者数3)PCR検査陽性率4)感染者の新規報告数5)直近1週間と前の週の感染者数の比較6)感染経路不明割合上記のすべてがステージ2相当となるか、ステージ3ではあるものの、この状況が続けばステージ2になるのが確実となった時点で検討を開始すべきであると主張した。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について(日本医師会)2.ワクチン接種体制の確立に追われる医療機関と地方自治体各都道府県の医療機関と地方自治体は、この2月から開始される新型コロナワクチン接種開始に向けて体制作りに動いているが、情報不足と医師不足に直面している。厚労省はワクチンについての情報ページに資料を掲載するなど、情報提供を行っているが、集団接種の会場手配や医師・看護師など人手のほか、ワクチンの供給についてさまざまな問題がある。地域の医師会や看護協会と連携しながら、対応が急がれる。(参考)新型コロナワクチンについて(厚労省)自治体9割、医師確保できず 7割が情報提供不十分 新型コロナワクチン、全国調査(毎日新聞)3.第3次補正予算、病床確保などで医療機関を支援1月28日の参議院本会議にて、コロナなど追加対策19兆円を含む、20年度3次補正予算が成立した。厚労省の予算は、新型コロナウイルス感染の拡大防止策を含む、追加額4兆7,330億円。さらなる感染拡大防止対策の支援、検査体制の充実、ワクチン接種体制や情報収集・分析体制の整備などが含まれた。ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現のためには、雇用就業機会の確保や、子供を産み育てやすい環境作りのほか、介護・福祉分野におけるデジタル化の推進など、デジタル改革の実現を狙う内容となっている。(参考)令和2年度厚生労働省第三次補正予算案の概要(厚労省)医療機関への支援などで1兆6千億円余り増額 20年度第3次補正予算(CBnewsマネジメント)4.地域医療構想、重点支援区域に山形県・置賜と岐阜県・東濃を追加厚労省も2025年までの地域医療構想の実現に向けて、国が集中的な支援を行う重点支援区域として、昨年1月から重点支援区域を2回に分けて指定していた。今年に入ってさらに山形県・置賜と岐阜県・東濃の2区域を追加した。各都道府県は、域医療構想調整会議において、重点支援区域申請を行う旨合意を得た上で、「重点支援区域」に申請することになっており、地域医療介護総合確保基金の優先配分や新たな病床ダウンサイジング支援を一層手厚く実施することとなっている。今後も重点支援区域申請は随時募集されることで、地域医療構想の実現に向け、促進されることになる。(参考)公立と民間の3病院を再編、国の支援対象に 山形・米沢(日経新聞)重点支援、山形県・置賜と岐阜県・東濃の2区域追加 地域医療構想の実現へ、厚労省(CBnewsマネジメント)当面の地域医療構想の推進に向けた取組について(厚労省)重点支援区域の状況について(第25回 地域医療構想に関するWG)5.積極的なコロナ患者受け入れで黒字化に成功した徳洲会病院G2020年度の病院業界は、コロナウイルス感染拡大により、多くの医療機関が経営悪化に陥った。一方、大手民間病院グループである徳洲会病院グループでは、当初は受診抑制や救急車の搬送件数減少に見舞われたものの、その後、湘南鎌倉病院や千葉西総合病院、羽生総合病院などにコロナ専門病棟を開設することで、重症患者と棲み分けしつつ、急性期医療を継続することで、黒字経営を維持している。感染拡大により、国は「5疾病・5事業および在宅医療」に2024年度からの第8次医療計画には新たに「感染症」を加えることとしており、地域医療構想の実現には感染症対策は重要課題となると考えられる。(参考)鎌倉の臨時医療施設、最後の1棟患者受け入れ開始 県(神奈川新聞)大手の民間病院がコロナ患者を積極的に受け入れる理由(東洋経済オンライン)

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新型コロナ無症状者の医療機関での一斉検査、プール法など活用可能に/厚労省

 医療機関・高齢者施設等において、無症状者に対し幅広く検査を実施する場合の検査法として、検体プール検査法と抗原簡易キットが新たに行政検査として実施可能となった。1月22日の事務連絡で都道府県等に通知された。併せて同日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」が公表され、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」ではこれらの変更が反映されている。地域の感染状況に応じ、医療機関・高齢者施設での一斉検査実施を要請 厚生労働省では、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域(とくに直近 1 週間で中規模[5人以上を目安]以上のクラスターが複数発生している地域)においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、一斉・定期的な検査を積極的に実施するよう要請を行っている1-3)。今回、医療機関・高齢者施設等において幅広く検査を実施する場合の検査法として、1)複数の検体を混合して同時にPCR検査等を実施する検体プール検査法2)結果が陰性であった場合も感染予防策の継続を徹底すること等一定の要件下における無症状者に対する抗原簡易キットの使用の2つが、行政検査として新たに実施可能となった4)。検体プール検査法とは? 検体プール検査法は、陽性率の低い集団に対して効率的に検体をスクリーニングする目的で、複数の検体をまとめて検査を行う方法。一般に個別検体を用いた検査と比較し感度・特異度が下がることから、検査体制に余裕がある場合には個別検査が推奨される。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」5)では、実際に検査を実施するにあたっての指針を下記7項目についてまとめている:1)適切な検査機器と試薬について2)検体プール検査法実施前に必要となる精度管理3)リスク評価と検体の適正管理の実施について4)適正なプール化検体の数および試料の種類について5)適正な対象集団の設定について6)プール検査を実施した場合の結果の解釈について7)その他抗原簡易キットとは? 抗原定性検査については、これまで無症状者に使用することは推奨されてこなかった経緯がある。しかし、感染拡大地域の医療機関および高齢者施設等において、PCR検査等による実施が困難な場合に抗原定性検査により幅広く検査を実施することは、重症化リスクの高い者が多い医療機関や高齢者施設等における感染拡大を防止する観点から有効であるとの観点から、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」6)では、「感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能」と変更された。 無症状者に対する抗原定性検査は、以下の1)~4)のいずれにも該当することを実施要件としている4):1)医療機関または高齢者施設等の職員、入院・入所者(新規の入院・入所者を含む)等に対して幅広く実施する検査であること2)とくに検体中のウイルス量が少ない場合には、感染していても結果が陰性となる場合があるため、陰性の場合でも感染予防策の継続を徹底すること3)結果が陽性であった場合であり、医師が必要と認めるときは、PCR検査、抗原定量検査等を実施すること(※)4)実施した実績・結果について厚生労働省に報告すること※検査結果の解釈・注意点については、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」を参考にすること。 その他、対象者の考え方、行政検査で用いることができる抗原簡易キットと入手方法についても、1月22日付けの事務連絡4)に明記されている。■参考文献・参考サイトはこちら1)厚生労働省.令和2年11月16日付け事務連絡:「医療機関、高齢者施設等の検査について(再周知)」2)厚生労働省.令和2年11月19日付け事務連絡:「高齢者施設等への重点的な検査の徹底について(要請)」3)厚生労働省.令和2年11月20日付け事務連絡:「クラスターが複数発生している地域における積極的な検査の実施について(要請)」4)厚生労働省.令和3年1月22日付け事務連絡:医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請))」5)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」6)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」

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「がん診療と新型コロナウイルス感染症」、患者向けQ&Aを改訂/日本臨床腫瘍学会

 2021年1月25日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)は合同で「がん診療と新型コロナウイルス感染症 がん患者さん向けQ&A」の改訂3版を公開した。これは3学会合同連携委員会の新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループがまとめたもので、「がん患者は新型コロナウイルスに感染しやすいのか」「検査はどこまですべきなのか」「現在の治療を延期したほうがよいのか」といった、多くのがん患者が抱える疑問に答える内容となっている。今回は各種文献やガイドラインのアップデートを反映した改訂となる。 ASCO(米国臨床腫瘍学会)やESMO(欧州臨床腫瘍学会)が提唱する基本治療方針へのリンクや、「血液がん」「肺がん」「乳がん」といったがん種別に分けたうえで細かく治療方針を解説する項目もあり、がん治療中の患者にとって必要な情報が網羅的にまとまっている。

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新型コロナ対応、現状の打開に何が必要か~東京都医師会尾崎会長インタビュー

 1都3県を皮切りに各地で2度目の緊急事態宣言が発令され、医療体制がひっ迫した状況が続いている。患者の急増で病床は不足。自宅・宿泊療養者のケアや回復後の転院調整などについて課題が指摘され、ワクチン接種への体制整備も求められる中、東京都医師会としてその役割をどのように捉え、どのような対策をとっていくのか。尾崎 治夫会長に聞いた。民間病院がもっと受け入れるべき? 1年あれば医療体制は整備できた? 連日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報が報道される中で、「民間病院がコロナ患者をほとんど受け入れていない」「医療崩壊というが1年あれば準備できたのではないか」などの意見もみられるようになった。「第1波のときから一貫して発信しているのは、日本の医療体制はCOVID-19のような感染症に対応できるようには作られていない。対応するには患者数の増加速度をできるだけゆるやかにして乗り越えていくしかないということ」と尾崎会長。コロナ前の東京都の指定感染症医療機関は15医療機関、118床。保健所も含め、無症状や軽症が多く感染力も強くて市中に急速に拡がって行くCOVID-19のような感染症に対応できる仕組みにはなっていなかった。 そのような枠組みの中では、通常医療を提供しながら、状況に応じて対応病床を増やすしかないが、急峻な患者数増加には対応できない。何度か波が来ることは避けられないが、その波の上がり方をできるだけゆるやかにして、その都度医療側も準備を整えて対応していくしかない。「そのためには国民の協力が欠かせないし、政府には一時経済を止めるという判断も含め、状況を的確に把握して指示を出す強力なリーダーシップが必要で、今後の課題としてパンデミック時の指示系統を担う新組織を立て、指揮系統をより明確にすることも必要だと考える」と同氏。公民の病院も診療所も高齢者施設も、一丸となって乗り越えるしかない 東京都では第1波以降、医師会主導で各地区にPCRセンターを設置し、インフルエンザとの同時流行に備え検査を担う診療所が約2,300、検査はできないが発熱患者を診療できる診療所も含めると診療検査医療機関が3千強設置されている。尾崎氏は、「民間病院も、現状ですでにある程度の病床数を持つところは受け入れてくれている」と話す。都立・公社3病院が重点医療機関となることで、今後病床数は一定数拡充できると考えられるが、それでも十分とは言えない。 「これ以上病床を増やす余地があるとしたら、やはり規模の大きい公的病院にもう一歩協力してもらうしかないだろう」と指摘。「民間病院は、経営が厳しくなれば本当に潰れてしまいかねない。コロナ後の医療を保つためにも、民間病院にはコロナ以外の医療と、感染力のない回復後患者の受け入れにまわってもらうのが現実的だと考えている」。 第3波で高齢者の感染が増えたことで、“コロナは軽症あるいは治ったが、体力低下などで自宅には帰れない”患者の受け入れ先がないことが課題となっている。「後方病院がない、あるいはこれまで急性期後の高齢患者の受け皿となっていた高齢者施設で受け入れてもらえないという問題が発生している」。これらの連携がスムーズにいくよう、仕組みづくりに着手しているという。宿泊療養施設はなぜフル活用されないのか? 現場で起こっていること 東京都の宿泊療養施設の運用について、1月中旬時点では利用率が3割程度に留まっていることが報道された。これに大きく影響しているのが、患者本人の希望だという。現状、陽性となって無症状または軽症の場合、保健所職員が電話で状況を確認する。自宅か宿泊療養を二択で提示すると、自宅を選ぶ患者が多いという。「無症状者は宿泊あるいは自宅療養でかかりつけ医や訪問看護で見守る体制を作り、軽症者については、場合によっては宿泊療養を義務づけるような法制整備も有効かもしれない」と指摘した。 また、検査の結果、陽性となった患者はすべて一度保健所で管理され、入院調整も保健所が行う。保健所の負担が増す中、地域によっては陽性後2~3日連絡を待つという状況も発生してしまっている。この間のプロセスに、法的には医師が関与できない仕組みとなっている。普段から診ているかかりつけ医がフォローすることで、異変を早期に察知できる可能性もある。トリアージのプロセスに制度として医師を加えてもらえないかと働きかけている、と同氏。「陽性が判明後、かかりつけ医がトリアージを行い、それに基づき保健所が受け入れ先を調整する仕組みにできないかと考えている」。 「東京都では現在、保健師や医師が常在し、急変時に対応するフォローアップセンターの設立を準備しており、それを地区医師会が支援する仕組みを作りたい。しかし、急変したことがわかっても受け入れ先がなければ意味がない。23区、そして多摩地区でそれぞれ数床ずつ、必ず空きベッドを用意する体制整備も必要」と話した。医療従事者へのワクチン接種、可能な限り自院で ワクチン対応について、まず目前に迫るのが医療従事者への接種だ。「どこか一ヵ所に集めて接種するというのは現実的ではない」と同氏。各地域で保管場所を作って、基本的には病院は自院で接種、診療所についても自院で接種するか地域のある程度スぺースのある診療所・病院で接種という形を現時点では想定しているという。 続く高齢者への接種についても、集団接種よりはかかりつけ医が実施するほうが望ましいとの見解を示した。「いま、日本の高齢者の多くがかかりつけ医をもっている。このシステムの良い部分を生かして、予診や接種後のフォローを含め、かかりつけ医が役割を果たしていけるのではないか」と話した。また、「医療者がどれだけワクチンの効果と副反応の可能性をわかりやすく説明できるかが大きなポイント」と指摘。副反応としてどんなものが起こる可能性があるのかをあらかじめわかりやすく伝え、理解してもらうことの重要性を強調した。尾崎 治夫(おざき はるお)氏東京都医師会会長・おざき内科循環器科クリニック院長1951年東京都生まれ。77年順天堂大卒。87年同大循環器内科講師。90年東久留米市・おざき内科循環器科クリニック開設。2002年東久留米医師会会長、11年東京都医師会副会長を経て15年より現職。

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第42回 新型コロナのPCR検査、偽陰性の解釈をほったらかすリスク

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者急増により、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県に新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出されて4週目に突入しようとしている。新型コロナのPCR検査陽性報告数は減少傾向を示しつつあるものの、東京都ではまだ1日の陽性報告数はおおむね1,000人以上である。私の場合、過去の本連載でも取り上げたように身近で初めて感染者が発生したのは昨年4月下旬とかなり早い時期で、その後は8月に知人の感染とスポーツジムでの陽性者とすれ違いが判明していたが、その後しばらくは周囲で感染者の報告はなかった。ところが、世の感染実態を反映してか、昨年12月以降、ポツリポツリとFacebook上で「陽性でした」という友人のカミングアウト投稿が目につくようになった。こうしたカミングアウトに又聞きでの知人の感染事例まで含めると周囲での感染者はこの2ヵ月で軽く二桁に上る。そうした中で先週経験した事例は今まで以上にヒヤッとしたものだった。10年以上の付き合いになる友人の編集者から「後輩が新型コロナ問題に関心を持っているので、紹介したい。ぜひ、バックグラウンドブリーフィングをしていただけないか」という打診が来たのが先週の火曜日。最近では取材もかなりリモート化し、私も他人との接触を限りなく減らしている。とはいえ人と会うのが商売のようなものであり、そのような立場にいながら私は初対面で相当緊張するので、共通の友人・知人がいるならば同席してもらえた方がありがたかった。ということで、まさに先週の金曜日の日中、友人とその後輩に会うことになった。その友人からまさに金曜日当日の約束の時間から2時間ほど前、LINEメッセージが着信した。曰く、月曜日に打ち合わせで同席した会社の先輩が保健所から感染者の濃厚接触者として認定され、自分自身も会社から自宅待機を指示されたとのこと。そしてたった今、会社が契約している医療機関でPCR検査を行うため唾液検体を発送したので、本日の同席は控えたいとの連絡だった。当然の対応である。結局、私は当初の約束の場所で緊張気味の友人の後輩と面談をすることになった。その日の夜のことだった。再び友人からLINEメッセージがあり、濃厚接触者として認定されていた先輩がPCR検査で陽性だったとの連絡。「ともかく、本日はご一緒しなくてよかったです」とのメッセージに、私もかなりほっとしたのが本心である。その後、より詳細な成り行きを聞かされ、LINEメッセージのやり取りが続いた。友人曰く、先輩とは著者との打ち合わせで同席し、先輩の対面に著者、先輩の隣に友人という位置関係。基本、お茶を飲むとき以外はマスクをして会話していたものの、打ち合わせは2時間以上に及んだという。この場合、濃厚接触者と認定される可能性はある。友人はこの日の昼、すなわちウイルスに曝露した可能性がある日から4日後に採取した検体を送付し、検査結果はまだ判明していない。だが、ここで私は新型コロナのPCR検査偽陰性に関するある研究のことを思い出した。簡単に言えば、曝露直後は検査をしても圧倒的に偽陰性率が高く、その後この確率は徐々に低下し、曝露から8日前後で最低の20%前後になるというものだ。ちなみに友人が検体を採取した曝露4日後の場合は、感染していても70%弱が陰性という結果になる。世間の一部では無症状の人も含めPCR検査を積極的に行って陽性者を炙り出し、残る陰性者で経済を回せば良いというような主張も見受けられるが、この研究の結果はそのロジックがいかに乱暴かを示している。私は友人にそのことを伝え、もしPCR検査で陰性と判明しても油断しないようにとメッセージを送った。結局、翌日に判明した友人の検査結果は陰性。そのまま週末にかかったため、彼の先輩の濃厚接触者の認定は週明けにずれこみ、最終的に濃厚接触者とも認定されず、今週火曜日には会社から出社しても良いとの指示があったという。ただ、友人は「無理していくほどの用事はない」として、今もリモートワークを続けている。だが、会社の出社解禁宣言もなんと危ういことかと思う。新型コロナウイルスの感染性に関する研究報告では、2次感染は発症3日前から発症5日後まで起こりうることはよく知られている。この感染症では無症候感染者も少なくないことを考えれば、平均的な潜伏期間といわれる5日強に二次感染が起こりやすい発症5日後まで加えた曝露10日後までは最低限人との接触は控えるべきだ。にもかかわらず、会社が出社して良いと指示したのは曝露8日後なのである。昨年来、1年以上もPCR検査のことについては耳にタコができるほど報道され、一部ではやや問題のある内容があるものの、最近のこの件に関する報道の主流は「PCR検査を妄信すべからず」だと認識している。だが、現実には今回私が見聞したようなケースはまだまだあるのだろう。そして今やテレビで特定のクリニックによるPCR検査のCMが流れてしまう状況である。私は医療機関による自由診療でのPCR検査実施を全面的に否定するつもりはない。だが、この手の検査を受けた人たちとやり取りするにつれ、検査の盲点があまりにも認識されていないことに愕然とすることが少なくない。実際、自由診療でPCR検査を行っている医療機関はこの点をどの程度時間をかけて説明しているのだろうか? 従来からかなり疑問に思っている。

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COVID-19によるうつ症状や孤独感と社会的および性的つながりとの関係

 米国・インディアナ大学のMolly Rosenberg氏らは、COVID-19によるうつ症状や孤独感の有症率を推定し、社会的および性的つながりの頻度との関係について調査を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2021年1月2日号の報告。 18~94歳の米国成人の代表的なサンプル1,010例を対象に2020年4月10日~20日にオンライン横断調査を実施した。うつ症状(CES-D-10スケール)、孤独感(UCLA3項目孤独感尺度)、対面およびリモートでの社会的つながりの頻度(家族とのハグ、ビデオチャットなど4項目)、性的関係の頻度(パートナーとの性的関係、マッチングアプリの使用など4項目)について調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象者の3分の1にうつ症状が認められ(32%)、孤独感が高かった(平均:4.4±1.7)。・うつ症状を有する人は、女性、20~29歳、未婚、低所得である可能性が高かった。・非常に頻繁な対面によるつながりは、うつ症状や孤独感の低下と関連が認められたが、頻繁なリモートによるつながりでは、この関連は認められなかった。 著者らは「米国におけるCOVID-19パンデミックの初期において、うつ症状や孤独感の上昇が認められた。リモートではなく、対面による社会的および性的つながりを維持した人では、メンタルヘルスのより良い結果が得られた。COVID-19に対する社会的な制限は依然として必要であるが、高リスクの人のためのメンタルヘルスサービスの拡充、リモートによる社会的および性的なつながりを維持する効果的な方法の特定が重要となる」としている。

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新型コロナ流行で糖尿病重症化予防ケアの実施数が減少

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は自社が保有する大規模診療データベースを用い、宮脇 敦士氏(東京大学大学院医学系研究科・公衆衛生学 助教)の研究チーム、中村 正樹氏(MDV)、二宮 英樹氏(慶應義塾大学医学部医療政策管理学教室/株式会社データック 代表取締役兼CEO)、および杉山 雄大氏(国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター 室長)らと共同で、昨年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の糖尿病重症化予防ケア(透析予防、フットケアなど)の実施数について調査を行った。その結果、外来で糖尿病患者が定期測定するHbA1cの1週間あたりの検査数などが減少していたことを明らかにした。この研究論文はJournal of General Internal Medicine誌2021年1月19日号に掲載された。 2020年4月の1回目の緊急事態宣言が発令される前後に、 COVID-19の感染リスクを警戒して糖尿病患者が定期受診を延期するケースが見られた。糖尿病ケアの実施数が減少すると公衆衛生上、重大な影響を与える可能性があったが、ケア実施数の実際はわかっていなかった。 本研究はMDVが構築した急性期病院の診療データベースを使用し、2020年の年初第2~8週と、同年の緊急事態宣言発令期間の前半を含む第9~17週目の間に、外来診療で実施された1週間当たりの糖尿病患者の定期検査およびケアの実施数を186の病院で比較。 その結果、糖尿病患者が定期測定するHbA1cの1週間あたりの検査数は、2020年第2~8週の5万2,392件/週から、同年第9~17週には4万4,406件/週と、15.2%減少していた。そのほかにも、血清クレアチニンや尿タンパク測定、眼底検査、糖尿病フットケアサービス、および糖尿病透析予防指導を含むすべての検査・ケア数も減少していたことが明らかになった。 宮脇氏は「糖尿病患者の血糖値コントロールがどのくらい悪くなったのか、それとも変わっていないのかが今後の検討課題になる」とコメントしている。

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新型コロナ感染拡大、Go Toトラベルが影響か

 西浦 博氏(京都大学環境衛生学 教授)が率いる研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中の旅行者向けキャンペーン(Go Toトラベル)実施による疫学的影響について、キャンペーン実施前後の旅行・観光関連の症例発生率を比較し検証を行った。その結果、Go Toトラベル開始後の1日当たりのCOVID-19発生率は、2020年6月22日~7月21日までの期間と比較して約3倍、7月15~19日の開始直前期間との比較では約1.5倍にまで増加していたことを明らかにした。また、観光目的で感染した人は、6月22日~7月21日の期間との比較では約8倍、7月15~19日との比較では2〜3倍も増加していた。研究者らは「日本での第2波は、8月中旬までに減少し始めたが、Go Toトラベル開始初期の7月22日~26日の間に旅行関連のCOVID-19症例が増加した可能性がある」としている。Journal of Clinical Medicine誌オンライン版2021年2月号掲載の報告。 日本政府は 7月22日よりGo Toトラベルを開始。ホテル料金の大幅割引を提供し、国内の旅行先での消費に使用できる地域共通クーポンを発行したが、人の移動性を高めることでCOVID-19感染拡大に繋がる恐れがあったため、世論からはキャンペーン実施に対して停止や延期が求められていた。 本研究では国内における旅行が原因とされるCOVID-19症例の疫学的パターンに焦点を当て、5月1日~8月31日までに県や政府から報告されたCOVID-19症例を分析した。旅行に関連するケースとして、県境を越えた人、国境を越えた人と接触した人と定義。旅行の目的は「ビジネス」「家族に会う」「観光(tourism/sightseeing)」に分類した。 主な結果は以下のとおり。・2020年5月1日~8月31日までに24都道府県で合計3,978件のCOVID-19症例が報告された。・症例のうち2,211例(57.3%)は男性で、119例は性別不明だった。・患者の平均年齢は42.6歳だった。・診断時に症状を有したのは3,060例(76.9%)で、そのうち軽症2,150例(70.3%)と無症状891例(29.1%) が含まれていた。・3,978例のうち817例(20.1%)は、県境を越えた旅行歴、または県境を越えた他人との接触歴があった。・旅行関連の症例の平均年齢は36.2歳で、残りの症例の平均年齢は44.2歳だった。・24都道府県の月別の全例報告数は、7月が2,074例(52.7%)、8月が1,597例(40.5%)で、そのうち旅行関連の症例は7月が482例(23.2%)、8月が289例(18.1%)だった。

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第42回 「病床過剰なのに病床逼迫」のなぜ? コロナ禍で露呈した国の先送り問題

欧米に比べて病床が過剰なのに、なぜ病床が逼迫するのか―。コロナ禍が「医療機能の分化と連携」の停滞ぶりを改めて浮き彫りにしている。82大学の医学部長・附属病院長などで構成する全国医学部長病院長会議が1月19日に公表した「新型コロナウイルス感染症患者の受入れ状況調査結果(1月6日午前0時現在)」によると、全大学病院(1,216床)の「中等症・軽床病床」における「無症状患者」の比率は27.3%を占め、緊急事態宣言下の4都県の21病院(494床)では33%にも上ることがわかった。転院できないコロナ患者が大学病院に滞留回答のあった67病院のうち、記載のあった65病院の集計結果によると、「後方施設の整備状況」について「整えられている」と回答した病院はわずか16病院(25%)だった。つまり、回復後も持病などで入院が必要な患者は、転院先の後方支援病院がないため、高度医療機関である大学病院に留まらざるを得ない。その結果、ベッドが空かず、重症患者が入院できない状態を招いている。大学病院は診療報酬が優遇される特定機能病院でもあり、医療資源の非効率な利用と言える。そんな中、日本医師会、四病院団体協議会の日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、そして全国自治体病院協議会の計6団体は1月20日、「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を設置し、新型コロナ感染症患者の受け入れ病床を確保するための具体策を協議することにした。日医の中川 俊男会長は同日の記者会見で、中小病院にはコロナから回復後も入院が必要な患者を受け入れる役割が期待されると具体案を述べた。前述の大学病院に関する調査結果然り、このような案が出るということ自体、大学病院と中小病院との連携ができていない実情が垣間見える。一方、厚生労働省が公表した設立主体別のコロナ患者受け入れ状況では「公立病院71%、公的病院83%、民間病院21%」となっている。全病院数の7割が民間病院ということもあり、民間病院の受け入れ率の低さが批判されがちだ。しかし、民間病院の病床数は全体の半分強で、経営の体力も人材調達力も脆弱な病院が多い。院内感染が起きて休院に追い込まれたり赤字になったりしても、誰も補填してくれない。コロナ対応できる中規模民間病院は1割未満医療ビッグデータの分析に基づき情報発信しているグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの調査によると、コロナ感染者に対応できる医療資源が比較的整っている中規模(200床)以上の民間病院は1割にも満たないことがわかった。政府は高額な支援金を用意したり、コロナ患者受け入れを拒否する病院名を公表する措置を感染症法改正で検討したりしているが、民間病院側としては受け入れようにも受け入れられない状況にあることをどれほど理解しているのだろうか。日本は欧米に比べて病院・病床数が多く、医師や看護師などの医療資源が分散している。OECD(経済協力開発機構)加盟国で比較すると、ドイツは1人の医師が2床、アメリカは1床、イギリスは0.8床を診ているのに対し、日本は5床と突出している。病床が逼迫する中、医療資源の充足状況に応じた病院間の役割分担の明確化と連携が必要だ。国が施策として掲げながらも先送りしてきた「医療機能の分化と連携」を、コロナ禍の緊急事態下で改めて指摘しなければいけない状況が情けない。

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春は他人の「くしゃみ」が気になる季節/ノバルティスファーマ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束をみせない中で迎える花粉症の季節。花粉症の患者さんは、くしゃみや目のかゆみ、鼻水などの諸症状で、マスクを外したり、顔を不用意に触れる機会が増えそうだ。 万が一、COVID-19の感染者であった場合、周囲に感染させる恐れとなる「くしゃみ」について、ノバルティスファーマ株式会社は、「新型コロナウイルス感染症流行下における、くしゃみに対する意識・実態調査」と題し、アンケート調査を行い、その結果を発表した。 今回の調査では、人のくしゃみに対する意識や、自分自身のくしゃみに対する意識と対策について探った。アンケート調査の概要 期間:2020年12月11日~12月13日 対象:首都圏在住の20~40代の男女 調査人数:600人アンケートの概要〔回答者の花粉症状況〕・花粉症と自覚する人が56.5%・花粉症と自覚する人のうち、1~4月の期間に症状が出るという人は85.5%・「くしゃみ」が重症花粉症にあたる「1日に11回以上」の人は約半数の49.8%・花粉症と自覚する人のうち、病院で治療を受けるという人は24.2%〔くしゃみに対する意識〕・COVID-19流行後、人の「くしゃみ」が気になる度合が増した人が80.3%・場面別にみると、「電車の同じ車両内で」人が「くしゃみ」をしていると気になる人が89.5%、「飲食店内で」が87.7%、「職場のデスクで」が80.0%。一方、「家庭内で」は61.2%・「くしゃみ」をする人がマスクをしていても「変わらず気になる」という人が8.7%、「少し安心するけどやはり気になる」という人が62.3%・新型コロナウイルス感染症の流行後、自身が「くしゃみ」をした際に周囲の目が気になる度合が増した人は88.4%。家庭内では「特に気にならない」が40.3%〔新型コロナウイルス感染症流行下における花粉症への意識〕・花粉症による「くしゃみ」が人に感染させるリスクになると思う人が83.8%・花粉症の治療に前年より力を入れたいと思っている人は23.9%(特に変わらない72.6%) 以上のアンケート結果を受け、大久保 公裕氏(日本医科大学大学院医学系研究科頭頸部感覚器科学分野 教授)は、「新型コロナウイルス感染症の流行下では『くしゃみ』や『目のかゆみ』など花粉症の症状はリスクになるので、今シーズンはとにかく症状が出ないようにしなければならない。この点、7割もの人が治療に関して昨年と変わらないとしていることは心配」と不安をのぞかせるとともに、「重症花粉症の場合には、症状のひどさだけではなく、花粉量が少なくても症状が出やすく、症状を抑えるのは簡単ではないということがあるので、しっかりした対処が必要。重症度が高い患者さんの症状を抑えるための治療というのもあるので、重症度に応じた治療法を選択し、今年はしっかりと症状の発現を抑えるように努めていただきたい」と花粉症治療でのCOVID-19リスクへの対応を提案している。

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