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抗生物質テラバンシン、米国で承認取得

アステラス製薬株式会社は14日、米国テラバンス社より導入し、同社が米国において申請していた抗生物質「VIBATIV(一般名:テラバンシン)」に関し、9月11日(現地時間)に「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を含むグラム陽性菌に起因する複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI)」の適応症について米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表した。テラバンシンは、細菌の細胞壁合成を阻害するとともに細胞膜透過性の増大作用をあわせ持つ、1日1回投与の脂質化グリコペプチド系の注射剤。同剤については、2006年12月にテラバンス社がFDAに申請していた。また、本剤の追加適応の院内肺炎については、現在FDAにおいて審査中とのこと。VIBATIVの販売は、同社の米国子会社アステラス ファーマ US, Inc.より、2009年中に開始される予定。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/vibativtm.html

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インフルエンザだけじゃない!―赤ちゃんを脅かす秋冬の感染症

 8月27日、大手町ファーストスクエアにて開催された「周産期医療最前線 ―インフルエンザより早く来る!ママの知らないRSウイルス感染症」セミナーの第2報をお届けする。福島県立医科大学の細矢光亮氏は、RSウイルス(RSV)感染症の特徴や疫学、治療について述べ、罹患しやすい2歳未満の乳幼児の状況に加え、後年に及ぼす影響に関しても言及した。 RSVは、チンパンジーの鼻炎例から初めて分離され、その後呼吸器疾患の患児からも同様のウイルスとして分離された。細胞変性効果としてsyncytiumが特徴的に見られることから、Respiratory Syncytial Virusと命名されている。 感染経路は接触および飛沫であり、生体外でも長時間感染力を保つ(カウンターで6時間後でもウイルス分離可能)。通常は鼻炎などの上気道炎の原因となるが、乳児や高齢者では、細気管支や肺胞で増殖して下気道炎を起こすことが問題となっている。 2歳までにほぼ100%が初感染するRSVであるが、およそ30%が下気道炎を起こし、3%が重症化して入院加療を要する。細矢氏によれば、1歳までの患児の月齢別分布は、3~6ヵ月齢が比較的多いものの大きな差はなく、母親からの移行抗体で完全には防御できないとのことである。さらに、在胎32週未満の早産児では移行抗体が少ないため、重症化のリスクが高い。 また、3ヵ月齢未満と3ヵ月齢以上を比較すると、主な症状の出現率はほぼ同等であったが、陥没呼吸や喘鳴などの持続期間は3ヵ月齢未満で有意に延長しており、呼吸管理や入院加療を必要とした例も有意に多かった。 ワクチンや有効な治療法がないRSV感染症の重篤化を抑制する唯一の薬剤として、RSVのF蛋白特異的な中和抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)がある。第1報でも触れたように、早産児など高リスクのRSV感染症における入院率が、パリビズマブによって非投与群の半分以下に減少したと報告されている。 ここで、RSV感染による細気管支炎と、後年の喘鳴・喘息の発症の有意な関連性がこれまでの複数の調査結果で示された。細矢氏は、免疫学的な見地から、その機序について述べた。 まず、新生児~乳幼児では相対的にTh-2優位である。その上で、細矢氏は、RSV感染児におけるTh-2/Th-1バランスを非感染群と比較すると、有意にTh-2優位となっているデータを示した。さらに、RSV感染症の回復期には、他のインフルエンザ感染症などと異なり、好酸球数が有意に増加し、アレルギー性炎症に関与するケモカインであるRANTESも有意に濃度上昇するとのことである。すなわち、もともとアレルギーリスクの高い新生児期にRSV感染すると、リスクはさらに増大すると考えられる。 一方、乳児期のRSV感染と、81ヵ月後までの喘鳴および91ヵ月後の喘息の有意な関連が報告されている。細矢氏は、RSV感染によってTh-2優位となり、気道過敏状態が持続することで、反復性喘鳴を呈すると述べた。 そこで、パリビズマブによる喘息発症予防を検討した、WOO-353 Studyが紹介された。その結果であるが、パリビズマブ投与群における反復性喘鳴の発症率は、非投与群の半分程度と有意に減少した。 細矢氏は、パリビズマブによって、3歳までの早期喘鳴の罹患率を減らせるだけでなく、5歳ごろをピークとする後年の非アトピー性反復性喘鳴の罹患率も減ずることができるであろうとし、講演を締めくくった。

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新しい骨粗鬆症治療薬として期待されるdenosumab:FREEDOM

 骨粗鬆症の治療に有用ではないかと期待されているdenosumabは、破骨細胞の形成、作用に不可欠なサイトカインであるRANKL(receptor activator of nuclear factor-κB ligand)に作用し、骨吸収を抑制し骨密度を増加する完全ヒトモノクローナル抗体である。骨粗鬆症、がんの骨転移、関節リウマチによる関節破壊などさまざまな骨代謝異常の治療・予防を目的に開発が行われている。本論は、FREEDOMと呼ばれる国際間無作為プラセボ試験からの報告。NEJM誌2009年8月20日号(オンライン版2009年8月11日号発表)にて掲載された。骨密度-2.5未満の60~90歳女性7,868例をdenosumab 60mg群とプラセボ群に無作為化 REEDOM試験(Fracture Reduction Evaluation of Denosumab in Osteoporosis Every 6 Months)は、60~90歳の女性で腰椎または股関節の骨密度Tスコアが、-2.5未満(-4.0まで)の7,868例が参加し行われた。 被験者は無作為に、denosumab 60mg群とプラセボ群に割り付けられ、皮下投与が6ヵ月毎に36ヵ月間行われた。 主要エンドポイントは、X線上の新規の椎体骨折。副次エンドポイントは、非椎体および股関節の骨折とされた。新規の椎体骨折リスク68%低いなど骨折リスクが低減 プラセボ群と比べてdenosumab群は、新規の椎体骨折リスク発生が相対的に68%低かった。累積発生率は、プラセボ群7.2%に対しdenosumab群2.3%で、リスク比は0.32(95%信頼区間:0.26~0.41、P<0.001)。 股関節骨折もdenosumab群のほうが、相対的に40%低かった。累積発生率は、プラセボ群1.2%に対しdenosumab群0.7%で、ハザード比は0.60(同:0.37~0.97、P=0.04)。 非椎体骨折もdenosumab群のほうが、相対的に20%低かった。累積発生率は、プラセボ群8.0%に対しdenosumab群6.5%で、ハザード比は0.80(同:0.67~0.95、P=0.01)。 がん、感染症、心血管疾患、治癒の遅れ、低カルシウム血症のリスク増加は認められず、顎骨壊死例やdenosumabの投与有害反応はなかった。

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米国で急性気道感染症への抗生物質投与率、過去10年間も継続的に減少

米国で、過去10年間の急性気道感染症への抗生物質投与率が低下してきていることがわかった。米国Vanderbilt大学のCarlos G. Grijalva氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年8月19日号で発表した。同投与率は、1990年代に減少傾向にあったが、その後も同傾向が続いていることが確認された。抗生物質耐性菌の感染症による死亡率が増加する中では朗報と言える。ARTIへの年間抗生物質投与率、5歳未満で36%、5歳以上で18%減少Grijalva氏らは、米国の外来治療に関するデータベース、「National Ambulatory Medical Care Survey」と「National Hospital Ambulatory Medical Care Survey」(1995~2006)をもとに調査を行った。その結果、5歳未満の中耳炎を含む急性気道感染症(acute respiratory tract infection;ARTI)による年間受診率は、1995~1996年と2005~2006年との比較で、人口1,000人当たり1,883件から同1,560件へと、17%(95%信頼区間:9~24)減少していた。これは、中耳炎による診察率が33%(同:22~43)減少したことが主な原因だった。それに伴い、ARTIへの年間抗生物質投与率は前述比較期間で、人口1,000人当たり1,216件から同779件へと、36%(同:26~45)減少した。年齢5歳以上については、ARTIによる年間受診率の減少は見られなかったものの、ARTIへの年間抗生物質投与率は同期間比較で、人口1,000人当たり178件から同146件へと、18%(同:6~29)減少した。アジスロマイシンがARTIと中耳炎の最も一般的処方薬になり投与率増加なかでも、抗生物質投与の適応が稀な、中耳炎以外のARTIに対する抗生物質投与率については、5歳未満では41%(同:22~55)減少し、5歳以上でも24%(同:10~37)減少した。また、抗生物質の種類についてみてみると、ペニシリン、セファロスポリン、サルファ薬やテトロサイクリンの投与率が減少した。一方で、アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)はARTIと中耳炎の際の最も一般的な処方薬となり、処方率は増加した。成人投与の中では、キノロン系の処方率も増加していた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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経口カルバペネム系抗菌剤「オラペネム小児用細粒10%」新発売

明治製菓株式会社は、経口カルバペネム系抗菌剤「オラペネム小児用細粒10%」(一般名:テビペネム ピボキシル)を、26日に発売した。オラペネム小児用細粒10%は、ワイス株式会社が創製し、明治製菓が開発した世界初のプロドラッグ型経口カルバペネム系抗菌剤で、幅広い抗菌スペクトラムを有している。特にペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)やマクロライド耐性肺炎球菌、β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)等の薬剤耐性菌に対して非常に強い抗菌力を示す。肺炎球菌やインフルエンザ菌は小児の中耳炎・副鼻腔炎・肺炎の原因菌となるが、近年、これら主たる原因菌の薬剤耐性化によって引き起こされる小児感染症に対し効果の高い薬剤が少なく、重症化・難治化する状況が問題となっている。同社は、PRSPやマクロライド耐性肺炎球菌、BLNARといった薬剤耐性菌に対し強い抗菌力を示す同剤の特長を活かし、これら耐性菌の検出頻度が高く治療に難渋する小児の中耳炎・副鼻腔炎・肺炎の3疾患に適応症を絞って製造販売承認を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://www.meiji.co.jp/corp/news/2009/0826_2.html

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インテグラーゼ阻害薬/HIV感染症治療薬「アイセントレス」FDAが成人未治療HIV-1患者への使用を承認

 Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.は、米国食品医薬品局(FDA)が、インテグラーゼ阻害薬/HIV感染症治療薬「アイセントレス」の適応拡大(治療経験のない成人HIV-1患者への投与)を承認したことを発表した。子会社である万有製薬株式会社が27日に報告した。 この結果、アイセントレスは治療経験のある成人患者に加え、治療経験のない成人HIV-1患者の治療にも使用できることになる。 アイセントレスは他の抗レトロウイルス(ARV)薬と併用して成人のHIV-1治療に使用される薬剤。アイセントレスの適応は、3つの二重盲検試験における48週までの血漿中HIV-1 RNA量の分析に基づいたもの。このうち2つの試験は、3つのクラスの抗HIV薬[非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NRTI)、プロテアーゼ阻害薬(PI)]による治療経験があり、臨床的に進行した成人患者で実施され、1つの試験は治療の経験のない成人患者で実施された。小児患者に対するアイセントレスの安全性及び有効性は確立されていないとのこと。アイセントレスとその他の有効な抗HIV治療薬との併用は、治療反応性をより高める可能性があるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_0827.html

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インフルエンザより早く来る!―予防の一歩は『知る』ことから

8月27日、大手町ファーストスクエアにて開催された「周産期医療最前線 ―インフルエンザより早く来る!ママの知らないRSウイルス感染症」セミナー(主催:アボット ジャパン株式会社)について、2回に分けてお届けする。東京女子医科大学の楠田聡氏は、2歳未満の子を持つ母親の、RSウイルス(RSV)に関する意識調査の結果を発表した。日本において、早産児(在胎22~36週)の割合は増加傾向にあり、中でも32~36週での出生率が年々上昇している。一方、2歳までにほぼ100%の乳幼児が罹患するといわれるRSV感染症は、特に早産児や生後6ヵ月齢以下において、細気管支炎や肺炎などの重篤な下気道炎を引き起こし、緊急入院となったり、最悪の場合は死に至ることもある。RSV感染症に予防ワクチンおよび有効な治療法はなく、発症した場合は重篤化させないことが肝要である。楠田氏は、早産児のRSV感染による入院の割合が10%前後であり、入院児の死亡率が1%以上という日米のデータを示した。RSV感染症は9月から流行し始め、12月にピークを迎えて4月ごろ収束する。現在、RSVに対する特異的モノクローナル抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)がRSV感染による重篤な呼吸器疾患(下気道疾患)の発症を抑制する唯一の薬剤であり、早産児など高リスク群での入院率を半分以下に下げることが報告されている。そのような現状を踏まえ、楠田氏はまず、2歳未満の子を持つ母親約1万名にインターネット調査を行った結果を述べた。子が在胎35週以下をハイリスク群とし、対象の4%弱が該当した。また、それ以外を一般群とした。母親の疾患認知は、インフルエンザや水痘などではほぼ100%であったが、RSVは一般群で約30%、ハイリスク群でも約50%という結果であった。また、子がRSV感染症にかかったことがある群とかかったことがない群の比較では、RSV感染症が気になる割合はそれぞれおよそ90%と60%であった。しかし、RSV感染症において、早産児が重症化しやすいことや、パリビズマブの事前投与で重症化が防止できることについては、どちらも同じ程度の認知度であった。母親に疾病情報を提示した前後を比較すると、「RSV感染症が健康に重大な影響を及ぼすと思う」とした割合が増えた。中でも、提示前にRSVを知らなかった群では、25%から80%以上に増加した。一方、パリビズマブの認知度は、ハイリスクの在胎33週群においては比較的高かった。しかし、RSV感染症による入院率が33週群とほぼ同じである在胎35週群では、その半分以下にとどまった。パリビズマブ非投与の理由としては、「パリビズマブを知らない」「医師に薦められなかった」「RSVを知らない」がほとんどを占め、価格や副作用など他の理由は少なかった。以上より、楠田氏は、早産児では重症RSV感染症のリスクが高く、パリビズマブでその重症化を抑制できることを知らせていくことが重要であるとまとめた。(ケアネット 板坂 倫子/呉 晨)

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診察時の小冊子活用で、小児呼吸器感染症の受診および抗生物質処方を抑制できる

小児期の呼吸器感染症は、ほとんどが受診の必要がなく、ましてや抗生物質によるベネフィットはほとんどないにもかかわらず、再受診を含む受療率は高いままで、抗生物質も頻繁に処方されている。英国の公的医療保険であるNHSでは、小児の急性の咳だけで5,140万ドル以上の医療費が費やされており、その大半が、開業医の診察によるもので、ガイドラインも整備されているが改善の兆しはなく問題視されている。そこで、英国カーディフ大学医学部プライマリ・ケア/公衆衛生学部門のNick A Francis氏らは、小児呼吸器感染症に関する小冊子をプライマリ・ケア医に提供し、診察時に使うようトレーニングをすることで、再受診率や抗生物質の処方率が減るのではないかと、クラスター無作為化試験を行い検討した。BMJ誌2009年8月15日号(オンライン版2009年7月29日号)より。小冊子活用を訓練された開業医とそうでない開業医のもとでの再受診率等を調査本試験は、小冊子の使用が、ケアに対する患児の親の満足度を維持しつつ、同一疾患での再受診の低下、抗生物質使用の低下に結びつき、将来的な受診動向に影響をおよぼすことを立証することを目的に行われた。ウェールズとイングランドの開業医61人の協力のもと、急性の呼吸器感染症(7日以内)を訴え受診した小児(6ヵ月~14歳)558例を被験者として行われた。このうち、肺炎、喘息、重篤な随伴疾患、即時入院の必要性が疑われる小児は除外された。その結果、3例が除外され、また27例は追跡ができず解析から除外された。最終的に528例(94.6%)で評価が行われた。被験者は、介入群(受診した医師が小冊子の使用を訓練・指示されている)と対照群(特別な訓練を受けずいつも通りの診察が行われる)に無作為化された。主要転帰は、追跡期間2週間の間に同一疾患で対面診察を受けた小児の割合とした。副次転帰は、抗生物質の処方率、同消費量、将来的な受診動向、両親の満足度、安心度、理解度。抗生物質の処方は劇的に低下再受診率は、介入群は12.9%だったが、対照群は16.2%で、3.3%(95%信頼区間:-2.7%~9.3%、P=0.29)の絶対リスクの差が生じた。ただしクラスター形成を説明するための多平面モデリング(開業医と患者個々人レベルで)の結果からは、再受診率の違いは見られなかった(オッズ比:0.75、95%信頼区間:0.41~1.38)。抗生物質の処方率は、介入群では19.5%、一方対照群では40.8%で、21.3%(同:13.7~28.9、P

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【緊急】「新型インフルエンザ 秋冬の大流行に備えて」 新型インフルエンザ対策フォーラムを開催!

今春発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)は、季節性のインフルエンザ並みの毒性にも拘らず、医療・教育機関、自治体は対応に追われ、企業は経済的打撃を受けました。今秋冬予想される大流行に対し、今何を備えどのような対策をとったらよいのでしょうか?新型インフルエンザの最新情報や医療機関等での実践対策などのフォーラムを開催します。 ◆日  時  平成21年9月1日(火)13:30~16:30(13:00開場)◆会  場  文京シビックホール(小ホール)◆対  象  医療機関、教育機関、企業・事業所、自治体◆定  員  350名◆参 加 費  無料(事前申込みが必要です) ◆内  容●講演1「新型インフルエンザ 今何が起きているのか?医療機関の対策は?」 医学博士 高橋 央先生(東京都感染症医療対策アドバイザー)●講演2「新型インフルエンザ 行政の取組みと医療・教育機関、事業所との連携」 医学博士 青山キヨミ先生(港区みなと保健所長)●パネルディスカッション 1.正則高校 永原三千郎校長「もしも生徒・教員が感染したら」 2.大幸薬品 柴田高副社長 「いかにして企業は事業を継続するか」●質疑応答 ■主  催  社団法人 日本厚生協会■詳細・申込みは下記へ(社)日本厚生協会 info@kousei-kyoukai.comhttp://www.kousei-kyoukai.com/ivent.influ.forum.html

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新型インフルエンザ感染妊婦は迅速に治療を

汎発性H1N1 2009インフルエンザウイルスに感染した妊婦は重症化しやすく、合併症をきたして入院に至る可能性が高いため、確定例のみならず可能性例を含め迅速に治療を開始すべきことが、アメリカ国立慢性疾患予防・健康増進センターのDenise J Jamieson氏らが実施した調査で明らかとなった。アメリカを含む世界規模で広範に発生した発熱性呼吸器感染症の原因として、汎発性H1N1 2009インフルエンザウイルスが同定された。症状は軽度~重度までさまざまだが、妊婦への影響に関する報告はほとんどないという。Lancet誌2009年8月8日号(オンライン版2009年7月29日号)掲載の報告。CDCによる強化サーベイランスの一環として調査研究グループは、今回の発生から1ヵ月以内にアメリカ国内の妊婦におけるH1N1ウイルスの感染状況および発生後2ヵ月以内の感染死亡例について解析を行った。妊婦感染の初回報告後、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は強化サーベイランス(enhanced surveillance)の一環として、汎発性H1N1ウイルス感染妊婦の病態および死亡について系統的な情報収集を開始した。急性呼吸器感染症の症状を呈し、リアルタイムRT-PCR法あるいはウイルス培養にて汎発性H1N1ウイルスが確認された場合を「確定例(confirmed case)」と定義した。発熱をともなう急性呼吸器感染症の症状がみられ、インフルエンザA型は陽性だがH1およびH3が陰性の場合を「可能性例(probable case)」とした。感染妊婦は合併症発現リスクが増大、日頃から妊婦へ情報提供を2009年4月15日~5月18日までに、13州から34人の妊婦が確定例および可能性例としてCDCに報告された。入院例は11例(32%)であった。発生1ヵ月以内におけるH1N1ウイルス感染者の推定入院者数(10万人当たり)は、一般人口の0.076人に対し妊婦は0.32人と高率であった。4月15~6月16日までに、CDCには6人の感染妊婦の死亡が報告されたが、いずれも肺炎を発症し機械的人工換気を要する急性呼吸促迫症候群を呈してした。著者は、「妊婦は汎発性H1N1ウイルス感染による合併症の発現リスクが増大している可能性がある。これらのデータは、H1N1ウイルス感染妊婦には迅速に抗インフルエンザ薬による治療を行うべきとする現行の勧告を支持するものである」と結論し、「妊婦には、H1N1ウイルスや他の新たな病原体について、どのような公衆衛生上の対策があるかの情報を伝えることが重要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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【書籍紹介】市中感染症診療の考え方と進め方-IDATEN感染症セミナー

日常診療で誰もが遭遇する市中感染症だが、医師は目の前の患者をどう診断し、治療していったらよいのか? 日本における臨床感染症診療と教育の普及・確立・発展を目的として設立された「IDATEN(日本感染症教育研究会)」メンバーが、そのプロセスをわかりやすく解説する。 主な内容第1章 市中感染症へのアプローチ  感染症診療の基本原則(青木 眞)  初期治療に反応しない場合の評価と治療のストラテジー(大野博司) 第2章 臨床でよく出遭う市中感染症のマネジメント  1.肺炎のマネジメント(岩渕千太郎)  2.細菌性髄膜炎のマネジメント(笹原鉄平)  3.皮膚・軟部組織感染症のマネジメント(大曲貴夫)  4.骨・関節・軟部組織感染症のマネジメント(岩田健太郎)  5.感染性心内膜炎のマネジメント(大曲貴夫)  6.胆道系感染症のマネジメント(矢野晴美)  7.急性下痢症のマネジメント(土井朝子)  8.尿路感染症のマネジメント(藤田崇宏)  9.急性腹症のマネジメント(岩田健太郎)  10.STI・骨盤内炎症性疾患のマネジメント(本郷偉元)  11.敗血症のマネジメント(大野博司)  12.急性咽頭炎・急性副鼻腔炎のマネジメント(上田晃弘)  13.深頸部感染症のマネジメント(具 芳明)  14.腹腔内感染症・腸管穿孔のマネジメント(大野博司) 第3章 臨床で重要な微生物  Introduction  グラム陽性球菌(山本舜悟)  グラム陰性桿菌(山本舜悟)  嫌気性菌(岩渕千太郎) 第4章 臨床で重要な抗菌薬  ペニシリン系抗菌薬(大野博司)  セフェム系抗菌薬(大野博司)  マクロライド系抗菌薬(大野博司)  キノロン系抗菌薬(大野博司)  判型 B5 頁 216 発行 2009年08月 定価 3,675円 (本体3,500円+税5%) ISBN978-4-260-00869-3  詳細はこちらへhttp://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=63002

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乳幼児向けの13価肺炎球菌結合型ワクチン「Prevenar 13」世界で初の承認

米国ワイス (本社:米国ニュージャージー州マディソン)の医療用医薬品事業部門であるワイス・ファーマシューティカルズは、7月14日、乳幼児向けの13価肺炎球菌結合型ワクチン「Prevenar 13」が世界で初めて、チリ保健省より承認されたことを発表した。Prevenar13は生後6週間から5歳までの乳幼児に対し、13種の肺炎球菌血清型に起因する侵襲性の肺炎球菌感染症、肺炎、中耳炎を予防するワクチン。肺炎球菌感染症は、世界的にみて5歳以下の子どもにおけるワクチンで予防できる死亡の主要原因であり、その死亡者数は毎年最大100万人と推定されている。Prevenar13は、7価肺炎球菌結合型ワクチンPrevenarを基に、より幅広い血清型をカバーできるように開発。Prevenar13にはPrevenarに含まれる7種(4,6B,9V,14,18C,19F,23F)の血清型に加え、重い侵襲性感染症に関わる6種(1,3,5,6A,7F,19A)の血清型が含まれている。なかでも、血清型19Aは世界の多くの地域で高い頻度で認められ、また、薬剤耐性化が進んでいるという。なお、日本において、7価肺炎球菌結合型ワクチンは現在承認申請中で、また13価肺炎球菌結合型ワクチンは第II/III相試験中とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2009/0724.asp

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空間除菌剤(低濃度 二酸化塩素ガス発生ゲル)配置により小学校生徒の欠席率減少

大幸薬品株式会社は、北京にて開催された学会「World Summit of Antivirals」において、「呼吸器ウイルス感染症に対する低濃度二酸化塩素の効果( Effect of low-concentration chlorine dioxide gas against respiratory virus infection)」の研究結果について発表、その中で、空間除菌剤(低濃度 二酸化塩素ガス発生ゲル)配置により小学校生徒の欠席率が減少したと報告した。本研究では、小学校において二酸化塩素ガスを発生させる機材(今回は『クレベリン G* 150g』を使用)を3 個配置した教室と、何も配置しなかった教室(ともに約65 平方メートル)において、在籍する児童の欠席数/欠席率を比較。その結果、二酸化塩素ガスを発生させなかった17の教室(生徒数:593 名)ののべ出席日数が21634 日(96.0%)、のべ欠席日数が900 日(4.0%)だったのに対し、低濃度の二酸化塩素ガスを発生させた教室(生徒数:34名)ではのべ出席日数が1272 日(98.5%)、のべ欠席日数は20 日(1.5%)となり、教室内で二酸化塩素ガスを発生させることによる生徒の欠席率における有意な差が見られたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.seirogan.co.jp/dl_news/file0028.pdf

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急性中耳炎感染初期の抗菌薬投与、非投与に比べ再発リスクが20%高い

幼児で最も多い感染症の1つである急性中耳炎治療に関しては、感染初期は抗菌薬非投与による経過観察が推奨されているが、一方で、抗菌薬投与後の再発に関する研究報告は少ない。ユトレヒト大学メディカルセンター(オランダ)健康科学/プライマリ・ケア部門のNatalia Bezakova氏らは、6ヵ月~2歳の急性中耳炎の小児168例を対象に、二重盲検無作為化プラセボ対照試験にて、追跡調査3年にわたる前向き調査を行った。BMJ誌2009年7月11日号(オンライン版2009年6月30日号)より。投与群で63%が再発被験者は、オランダの一般診療所53ヵ所から集められ行われた。一方には、アモキシシリン(商品名:サワシリン、など)40mg/kg体重/日(3回に分けて服用)が、もう一方にはプラセボが投与され、急性中耳炎の再発、2次医療への紹介、耳鼻咽喉頭手術の各転帰について3年間追跡された。再発に至ったのは、アモキシシリン群は63%(47/75例)、プラセボ群は43%(37/86例)で、アモキシシリン群のほうが20%(95%信頼区間:5%~35%)リスクが高かった。2次医療への紹介に至ったのは、両群とも約30%(アモキシシリン群24/78例、プラセボ群27/89例)だった。耳鼻咽喉頭手術を受けたのは、アモキシシリン群は21%(16/78例)、プラセボ群は30%(27/90例)で、アモキシシリン群のほうが9%リスクが低かった(リスク差-9%、95%信頼区間:-23%~4%)。著者は、「急性中耳炎の再発は、アモキシシリンを投与された小児のほうがより多かった。このことは、抗菌薬を慎重に投与することの新たな根拠の1つであろう」と結論している。

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薬剤中絶後の抗菌薬投与義務化で重篤な感染症は減ったか?

全米880のヘルスセンターを統括するPPFA(Planned Parenthood Federation of America)によると、人工中絶は同連盟のおよそ300のセンターで行われており、2001年~2006年3月まではもっぱら、mifepristone経口投与後24~48時間にミソプロストール(商品名:サイトテック)を膣内投与する方法が行われていた。しかし、同療法による重篤な感染症への懸念から、PPFAは2006年初旬に、ミソプロストールの投与ルートを膣内ではなく経口とすること、さらにルーチンの抗菌薬投与か、普遍的なクラミジアのスクリーニングおよび治療のいずれかを行うことを義務付けた。2007年7月からは、すべての薬剤中絶でルーチンな抗菌薬投与を義務付けている。本報告は、PPFAのMary Fjerstad氏らによる一連の対策前後の感染症発生の変化を報告したもので、NEJM誌2009年7月9日号で掲載された。重篤な感染症は、対策導入後73%減少薬剤中絶後の重篤な感染症は、対策導入前までアメリカとカナダで4例の死亡例が報告されていた。しかしヨーロッパではそのような症例は報告されておらず、PPFAは両者の違いとして、ミソプロストールの投与ルートの違い(ヨーロッパでは経口投与がほとんど)、抗菌薬投与の有無(イギリスではルーチンだったがアメリカでは行われていなかった)に着目し、投薬ルートの変更等を勧告するに至った。調査は、ミソプロストールが膣内投与されていた2005年~2006年3月までを基線期間とし(Period 1)、経口投与に変更し抗菌薬投与などが義務化された同年4月以降2007年6月まで(Period 2)、さらに全例に抗菌薬投与を義務付けて以降(同年7~12月:Period 3、2008年1~6月:Period 4)の、感染症発生率を比較評価する後ろ向き調査として行われた。結果、基線のPeriod 1と比べて感染症減少対策を行ったPeriod 2とでは、重篤な感染症は有意に減少していた。発生率は両期間比較で73%減少、流産1,000例当たりで0.93例(Period 1)から0.25例(Period 2)へと(絶対的減少:0.67/1,000例、95%信頼区間:0.44~0.94、P

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乳児へのPCV7接種、低減効果は2歳時点で2、3回接種ともに同等

乳児への肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7:7-valent pneumococcal conjugate vaccine )接種は、2回接種と3回接種があるが、2歳時点の鼻咽頭への保菌率低減効果については同等であるようだ。これまでの研究から、乳児へのPCV7接種によって、年齢を問わず肺炎球菌感染症の発症率が減少していることが明らかになっている。その要因として、乳児の肺炎球菌保菌率の減少によるものだと推測されていたが、具体的な研究結果はほとんど示されていなかった。オランダWilhelmina小児病院のElske J. M. van Gils氏らが、1,000人超の新生児を対象に行った、無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年7月8日号で発表した。生後12ヵ月の鼻咽頭保菌率、2回接種、3回接種ともに減少Gils氏らは、2005年7月~2008年2月にかけて、1,003人の新生児について、生後24ヵ月まで追跡を行った。被験者を無作為に3群に分け、一群には生後2ヵ月と4ヵ月に計2回PCV7を接種、次の一群には2、4、11ヵ月の計3回PCV7を接種、もう一群は対照群として接種を行わなかった。生後12ヵ月時点で、ワクチン血清型肺炎球菌の鼻咽頭保菌率は、2回接種群は25%(95%信頼区間:20%~30%)へ、3回接種群は20%(同:16%~25%)へ、ともに減少した。一方対照群では、同保菌率は38%(同:33%~44%)だった(p

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抗インフルエンザウイルス薬「ペラミビル」の第3相臨床試験について

塩野義製薬株式会社は17日、ノイラミニダーゼ阻害剤・ペラミビル (開発コード番号:S-021812) が、第3相試験において主要目標を達成したことを発表した。本剤の第3相単回投与試験 (二重盲検試験) を多施設国際共同治験 (日本100施設、韓国*25施設、台湾21施設) として1099例の季節性インフルエンザ感染症患者を対象に実施した結果、主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間において、ペラミビル300mgおよび600mgを単回静脈内投与した両群で、オセルタミビルリン酸塩(タミフル)経口投与群(1回75mgを1日2回、5日間)に対する非劣性を証明することができたという。インフルエンザ罹病期間の中央値は、300mg群:78.0時間、600mg群:81.0時間、タミフル群:81.8時間。また、300mg投与群はタミフル群に対して有意に低い副作用発現率を示したという。なお、二次的な有効性評価項目や安全性データの詳細については、現在解析中とのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/090717.pdf

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1日1回投与のクラビット錠500mg/250mg・細粒10%新発売

第一三共株式会社は7日、日本国内において、1日1回投与の広範囲経口抗菌製剤「クラビット錠500mg/250mg・細粒10%」(一般名:レボフロキサシン水和物)を発売した。同剤は、4月22日に製造販売を取得し、6月19日薬価基準に収載されている。クラビット500mg 1日1回投与法は、PK-PD理論に基づき開発され、従来の100mg 1日3回投与法と比較して最高血中濃度を上げることにより、殺菌作用が増強されると共に耐性菌の出現を抑制することが期待できるという。同投与法は、すでに海外においては120以上の国または地域で承認されており、世界の標準的用法・用量になっている。従来の用量のクラビットは、1993年12月に発売され、これまでに各種感染症に対して43の適応症と32の適応菌種を取得している。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/news/yymmdd_nn.html?b_newsrelease_n1.detail[id]=1128.5&b_newsrelease_n1.year_selector[id]=1128.5&b_newsrelease_n1.category_selector[id]=1128.5

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小児急性リンパ性白血病治療における予防的頭蓋照射は必要か

予防的頭蓋照射は、中枢神経系(CNS)再発リスクの高い小児急性リンパ性白血病(ALL)の標準治療とされてきたが、長期生存が可能になるにつれてその副作用が問題となっている。聖ユダ小児研究病院(米国テネシー州メンフィス)のChing-Hon Pui氏らのグループは、新たにALLと診断された小児全例で、化学療法と併用される予防的頭蓋照射を除外できるかどうかを調べるため臨床試験を実施した。NEJM誌2009年6月25日号掲載より。非照射群71例と照射群56例の5年完全寛解期間を比較2000年6月から2007年10月にかけて、評価可能とされた1歳から18歳まで498例のALL患者が対象として登録された。化学療法の強度は寛解導入治療後の所見と微小残存病変のレベルに基づいて決定された。以前であれば予防的頭蓋照射となる71例の非照射群と、すでに照射を受けた56例の対照群とで、完全寛解の持続期間を比較した。498例の患者の5年イベントフリー生存率と全生存率はそれぞれ、85.6%(95%信頼区間:79.9~91.3)と93.5%(89.8~97.2)だった。CNS単独再発5年累積リスクは2.7%(1.1~4.3)、全CNS再発率(CNS単独再発と合併再発の計)は3.9%(1.9~5.9)だった。非照射群の完全寛解期間が有意に持続71例の非照射群の完全寛解期間は、56例の照射群より有意に長期間持続した(P=0.04)。CNS単独再発患者は11例で、全例、第2寛解期を0.4~5.5年間持続した。CNS白血病(CNS-3)または診断時に腰椎穿刺で芽細胞が認められることと、寛解導入療法後6週の微小残存病変が高レベル(≧1%)であることは、イベントフリー生存率の有意な低下と関連していた。CNS再発のリスクファクターとしては、t(1;19)(TCF3-PBX1)遺伝子変異、診断時にわずかでもCNS併発が見られること、そしてT細胞免疫表現型であることが挙げられた。よく見られた有害事象としては、アスパラギナーゼに対するアレルギー反応、骨壊死、血栓症、播種性真菌感染症などだった。これらから研究グループは、リスク調整した効果的化学療法を施行すれば、予防的頭蓋照射を小児期ALLの治療から除外することに問題はないと結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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新型インフル流行前、2005年末から散見されていたトリプル再集合体ウイルス:CDC

すでに各メディアで報じられているので耳にしたことがあると思われるが、本論は、米国疾病管理予防センター(CDC)Vivek Shinde氏らがNEJM誌2009年5月7日号で発表した、新型ウイルスパンデミック前夜に散見されていた、トリ・ヒト・ブタのインフルエンザウイルスの遺伝子を有する「トリプル再集合体ブタインフルエンザA(H1)ウイルス」の感染症例に関する報告である。本誌では2009年6月18日号で収載された(データは、5月22日にアップデートされたものが掲載されている)。1990年代以降北米のブタで大流行し続けているトリプル再集合体ウイルストリプル再集合体ブタインフルエンザA(H1)ウイルス(以下、トリプル再集合体ウイルス)は、1990年代後半、北米においてブタに出現し、以後、同地域のブタの支配的な風土病となっているウイルスタイプである。本来同地域のブタ風土病は、古典的なタイプのブタインフルエンザA(H1N1)ウイルスによるもので、インフルエンザウイルスがブタおよびヒトで疾患原因として同定された1930年代以降、ほぼウイルスタイプが変化することなく、ブタの間で流行を繰り返してきていた。なお、A(H1N1)型のヒトへの感染については、過去35年間で50症例ほどが世界で報告されており、ブタに曝露する職業に就く人々では感染リスクが高いことが示唆されていたが、2009年4月まで、ヒト-ヒト感染については非常に限られた報告しかなかった。しかし今回、A(H1N1)型がヒト-ヒト感染に至っているばかりか、さらにその中から4例(カナダ2例、アメリカ2例)のトリプル再集合体ウイルスの感染例が報告された。米国内で2009年2月までに11例のヒトでの感染報告トリプル再集合体ウイルスのヒトへの感染を、CDCが初めて確認したのは2005年12月。以後、2009年2月までに11例の感染報告を受けている(そのうち8例は、2007年6月の動物由来のインフルエンザウイルスのヒトへの感染報告が義務付けられて以降のもの)。11例の年齢中央値は10歳(16ヵ月~48歳)。4例には基礎疾患があった。ブタ曝露が確認されたのは9例で、5例はブタに直接接触、4例はブタがいる場所には行ったが直接は接触していなかった。また、その他1例については曝露が確認できなかった、残り1例についてはヒト-ヒト感染が疑われた。直近の曝露から発症までの期間(潜伏期間)は、3~9日だった。症状は、10例で、「発熱」90%、「せき」100%、「頭痛」60%、またインフルエンザではまれな「下痢」30%などが見られた。CBC(全血球計算値)が入手できた4例から、白血球減少が2例で見られ、またリンパ球減少が1例で、血小板減少が1例で見られた。入院例は4例だった。そのうち2例が重度の下気道疾患に至り人工呼吸器による治療を受けた。また4例がオセルタミビル(商品名:タミフル)投与を受けた。全例が回復に至っている。(朝田哲明:医療ライター)

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