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オセルタミビル、その予防・治療効果に疑問符

ザナミビル(商品名:リレンザ)、オセルタミビル(同:タミフル)といったノイラミニダーゼ阻害薬の、健康成人のインフルエンザ症状に対する効果は「ささやかなものである」との報告が、Tom Jefferson氏らコクラン・急性呼吸器感染症共同研究グループによって発表された。ノイラミニダーゼ阻害薬(特にオセルタミビル)は世界的な抗インフルエンザ薬となり、インフルエンザ症状に対し予防効果があり、症状発現から48時間以内に服用すれば疾患期間が1日短くなると言われる一方、合併症への効果や毒性が議論の的にもなっている。BMJ誌2009年12月12日号(オンライン版2009年12月8日号)より。コクランデータベースから20試験を抽出・解析Jefferson氏らは、2005コクラン・レビューを更新するため、ノイラミニダーゼ阻害薬の効果(健康成人におけるインフルエンザ症状および感染拡大、合併症の予防と改善)と、有害反応の頻度推計を目的に、システマティックレビューとメタ解析を行った。論文検索は、コクランライブラリー2009(issue 2)、急性呼吸器感染症研究グループ専門レジスター、Medline(1950年~2009年8月)、Embase(1980年~2009年8月)、市販後調査データ、比較安全コホート研究から行った。選択基準は、季節性インフルエンザに罹患した健康成人に関するノイラミニダーゼ阻害薬の無作為化プラセボ対照試験とし、予防4試験、治療12試験、曝露後予防4試験の計20試験を選択した。主要評価項目は下気道感染症または類する症状の継続期間と発現率、有害事象とした。2人のレビュアーが基準を適用して、試験の質の評価、データ抽出を行った。データは予防、治療、有害事象ごとに、アウトカムと投与量でさらに細分化され解析された。合併症に効果なく、副作用データは過少報告か?予防に関しては、ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザ様疾患または無症候性インフルエンザに対する効果は認められなかった。診断がついたインフルエンザでの経口オセルタミビルは、75mg/日で有効率61%(リスク比:0.39、95%信頼区間:0.18~0.85)、150mg/日で73%(0.27、0.11~0.67)だった。吸入型のザナミビルは、10mg/日で62%(0.38、0.17~0.85)だった。曝露後予防では、オセルタミビルは家庭で行われた2試験でそれぞれ58%(95% CI 15~79%)と84%(49~95%)の有効率だった。ザナミビルも同様の試験が行われ、インフルエンザ様疾患が軽減するまでの時間に関するハザード比は、オセルタミビル1.20(1.06~1.35)、ザナミビル1.24(1.13~1.36)だった。合併症に関する試験(未発表8試験)は不適格として除外された。残った試験データのエビデンスから、オセルタミビルがインフルエンザに関連した下気道合併症を緩和しなかったこと(リスク比:0.55、95%信頼区間:0.22~1.35)、また嘔気を誘発することも明らかになった(オッズ比:1.79、95%信頼区間:1.10~2.93)。なお、研究グループは、市販後調査の「ごくまれ」とする有害事象のエビデンスは、質が悪いか、過少報告された可能性があると指摘している。以上を踏まえ研究グループは、「ノイラミニダーゼ阻害薬の効果はささやかで、曝露後のインフルエンザには効果的だが、これはインフルエンザ様疾患の一部に過ぎず、このアウトカムでは効果的な治療薬とは言えない。季節性インフルエンザの症状を軽減させるオプションと考えるべき」と述べている。また、良質なデータが不足していることは、オセルタミビルのインフルエンザ合併症予防に関する過去の所見を蝕んでしまった。それによって生じた疑念を解消するには独立した無作為化試験が必要だと結論づけている。

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ICU患者の半数以上が感染症、75ヵ国の調査結果

集中治療室(ICU)で治療を受ける患者のおよそ半数以上が、感染症を発症していることが、75ヵ国の調査結果で明らかになった。ベルギーのErasme大学病院集中治療部門のJean-Louis Vincent氏らEPIC 2研究グループが、約1万4,000人のICU患者を調べた結果で、JAMA誌2009年12月2日号で発表された。ICU患者の感染症に関する、世界的な調査結果報告がほとんどない中、本試験は1992年に行われたEPIC研究(西欧17ヵ国、ICU 1,417ヵ所)データのup-to-dateを目的に行われた。感染者のうち気道感染が64%Vincent氏らは、2007年5月8日に、75ヵ国、1265ヵ所のICUで治療を受けていた、合わせて1万4,414人の患者について調査を行った。分析対象となったのは、そのうちの1万3,796人(18歳超)についてだった。被験者のうち、感染症が認められたのは、51%にあたる7,087人で、抗菌薬の投与を受けていたのは71%の9,084人だった。そのうち、気道感染は4,503人(感染者の64%)、微生物培養の結果が陽性だったのは4,947人(同70%)だった。分離菌がグラム陰性菌だったのは62%、グラム陽性菌は47%、また真菌への感染は19%だった。感染者の院内死亡率は、非感染者の1.51倍調査日までのICU滞在日数が長い患者の方が、感染率は高く、特に耐性ブドウ球菌、アシネトバクター、シュードモナス、カンジダへの感染が多かった。感染者のICU死亡率は25%で、非感染者の同率は11%、また院内死亡率も、感染者が33%に対し非感染者が15%と、それぞれ2倍以上だった(p

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HIV感染症:進歩と進化

11月5日に開催された、アボット ジャパン株式会社 メディアセミナー「HIV/AIDS診療最前線―女性における感染の現状と対策」のレポートをお届けする。国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター センター長の岡慎一氏は、HIV/AIDS診療のこれまでの変遷と今後の展望について、最新の知見や自身の施設におけるデータも交え、講演した。近年、HIV/AIDSの治療法は目覚しい進歩を遂げ、HIV感染症は薬剤によりコントロールし得る時代となった。岡氏は、その一方で、ウイルス側の変化やHIV抗体検査の現状から、これまでの「AIDSの常識」が変容しているとし、4つの点を指摘した。1点目は、「治療法の進歩により、AIDSによる死亡者はほとんどいなくなった」というものである。1996年以前、すなわちHAART(Highly Active AntiRetroviral Therapy:多剤併用療法)の導入以前のHIV感染症診断後の平均余命は7年であったが、現在では約40年となっている(デンマーク・コホートより)。国立国際医療センターにおいて、日和見感染症で死亡する頻度は1000人に1人程度であり、2000年からほぼ変化していない。しかし、HIV感染症診断時に80%がHAARTを受けておらず、末梢血中のCD4陽性細胞は200/μl以下がほとんどを占める患者群においては、8割近くが診断後1年以内に死亡している。すなわち、HIV感染症と診断された時点でAIDSを発症している場合(いわゆる「いきなりエイズ」)では、死亡は十分にありえる。また、最近は悪性リンパ腫やカリニ肺炎などによるエイズ関連死より、非エイズ関連死が増加しており、死亡原因が変わりつつあるとのことである。岡氏は、2点目として、「治療は3剤併用である」ということを挙げた。現在の治療ガイドラインでは、全ての患者はバックボーンドラッグとして2剤のNRTIs(核酸系逆転写酵素阻害薬、2NRTIs)を必ず投与され、キードラッグとしてNNRTI(非核酸系逆転写酵素阻害薬)とPI(プロテアーゼ阻害剤)のどちらかが投与されるが、仮に初回に2NRTIsとNNRTIを投与したとすると、次の治療では2NRTIsとPIの投与となり、2NRTIsがクロスすることが弱点となる。NRTIはミトコンドリア障害を起こすため、治療の長期化が避けられない患者のリスクとなっている。岡氏は、今後、ウイルスの進入阻害やインテグラーゼ阻害など新規機序の薬剤が導入されることが期待されており、2NRTIsを入れない治療も視野に入れられるのではないかと語った。3点目は、「感染からAIDS発病まで約10年の潜伏期がある」という「常識」である。国立国際医療センターにおいて、HIV急性感染が確認された82例を対象に、CD4が350以下、もしくは治療を必要とするレベルになるまでの期間を解析したところ、半分の症例は半年でCD4が350以下となり、3年後には8割の症例が350以下となった。 350ではまだAIDSとはいえないため、ここから確定的なことは導けないが、発症までの期間が短縮している感覚がある、と岡氏は語った。また、1985年以前の非加熱製剤投与によるHIV感染血友病患者との比較においては、3年後350を維持している血友病患者が50%弱であったのに対し、最近のHIV感染患者では13%と、有意に減少している。施設による偏りなどのバイアスは否定できないが、なぜ発症が加速しているのか。岡氏は、HLA型とウイルス変異の関連があるとした。HIVの封じ込めには、細胞傷害性T細胞(CTL)が重要と考えられている。HIV感染細胞膜において、HLAとHIVの一部が複合体となり、CTLに抗原提示する。その際、HLAに遺伝子多型の1つであるB*51アリルがあると、ワイルドタイプのHIVを完全に排除できる。HIV陽性の血友病患者で10年以上進行しない、Slow Progressorと呼ばれる長期未発症症例では、B*51を持つことが確認されており、日本人では唯一のウイルス抵抗型であった。しかし、近年、ウイルス変異によって以上の機序から逃避するHIVが広まっており、むしろB*51を持っている方が早く進行するとのことである。こういったことからも、「発病前に見つかれば」の猶予が10年から3年になり、「いきなりエイズ」の増加につながっている。4点目に挙げられたのは、「抗体検査は無料匿名で保健所でできる」ことである。現在、HIVの検査件数は右肩上がりであるが、死亡者数はほとんど変化していない。現状は、保健所での検査件数は上限に近づいているが、医療機関では検査が進んでいない。国立国際医療センターの例では、ウイルス検査目的で見つかったのは3割、他の疾患精査中に発見されたのがほぼ5割と、医療機関における検査の余地が示唆された。また、性感染症(STD)既往時のHIV検査率は35%と低く、医療側にも意識が少ない、と岡氏は指摘した。STD診断時のHIV検査は保険適応となっているが、それが医療者に浸透していないことも、検査率が低い理由の一つと考えられる。検査をしなければHIV感染は判明しない。また、AIDSを発症してからでは治療の効果も期待できないことから、発症までが加速している現在、ますます早期診断が重要となっているとして、岡氏は講演を終えた。 《関連リンク》国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター: http://www.acc.go.jp/accmenu.htm (ケアネット 板坂 倫子)

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小児尿路感染症の再発予防目的での抗菌薬投与は有効?

オーストラリア・シドニー大学公衆衛生校のJonathan C. Craig氏らが、オーストラリアの4つの施設で、低用量の経口抗菌薬を持続的に投与することで、再発の可能性のある小児の尿路感染症を予防できるかどうか検討した結果について、「発生数の減少と関連」と報告した。これまでも同手技は広く行われていたが、有効性に関する十分なプラセボ対照試験は行われていなかった。NEJM誌2009年10月29日号より。中央年齢14ヵ月児576例を、抗菌薬の低用量長期投与群とプラセボ群に無作為化試験は、1998年12月~2007年3月に、尿路感染症に1回以上感染(細菌学的に確定)したことがある18歳未満児を対象に行われた。被験者は、ST合剤(トリメトプリム2mg/kg体重+スルファメトキサゾール10mg/kg体重)連日・12ヵ月投与群と、プラセボ投与群に無作為に割り付けられた。期間中に無作為化された被験者は576例(当初予定は780例)。登録時の年齢中央値は14ヵ月、女児が64%を占めた。被験者のうち、42%が膀胱尿管逆流を有しており(そのうちグレード3以上が53%)、71%が試験登録前に尿路感染症の初回診断を受けていた。主要転帰は、症候性尿路感染症の細菌学的な確定例とし、イベント発生までの時間にて、Intention-to-treat解析を行った。発症は抗菌薬群13%、プラセボ19%、絶対リスクの減少は6パーセントポイント期間中に尿路感染症を発症したのは、ST合剤群(抗菌薬群)は、36/288例(13%)、プラセボ群は55/288例(19%)だった(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.40~0.93、P=0.02)。抗菌薬群の尿路感染症の絶対リスク減少は、6パーセントポイントであり、これはサブグループ全体で一貫しているようだった(各サブグループ相互作用に対するP≧0.20)。Craig氏は、「ST合剤の低用量・長期投与は、再発の可能性のある小児において、尿路感染症発生数の減少と関連していた。治療効果は、サブグループ全体で一貫していたが、大きなものではない」とまとめている。(医療ライター:武藤まき)

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特定の環境下において、二酸化塩素ガスがネコカリシウイルスに対して除去効果あり

大幸薬品株式会社は5日、10月30日に東京で開催された「第58回日本感染症学会(東日本地方会学術会)・第56回日本化学療法学会(東日本支部総会)合同学会」にて「モデル環境内及び部屋内での付着したネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替)に対する二酸化塩素ガスの有効性の検討」という演題で、特定の環境下において、二酸化塩素ガス(以下「ClO2ガス」)がネコカリシウイルス(以下「FCV」)に対して除去効果があることを発表したと報告した。この発表内容は、実際の部屋内(39 m3)において、付着した乾燥FCV に対する低濃度ClO2 ガスの除去効果を検討し確認したもの。具体的には、ノロウイルスの代替として知られるFCV懸濁液をガラスシャーレ上に100μl滴下し、十分に乾燥させた試料を相対湿度45-55%、又は75-85%に設定した低濃度ClO2ガス(0.08ppm)のモデル環境内(150L、20℃)に入れ、ガスに一定時間暴露させ、ウイルス感染価を求めて評価した。また、同時に、実際の部屋内で低濃度ClO2ガス発生装置(0.05ppm)を用いて同様の実験を行った。この実験の結果、低濃度ClO2ガス(平均0.08 ppm; 0.22 μg/l)はモデル環境内(RH 75-85%)に置かれた乾燥FCV(2% ウシ胎児血清負荷)を10時間の暴露により除去(> 3 log10 低下)できることがわかった。一方、RH 45-55%環境下では低濃度ClO2ガスの効果をほとんど確認できなかった。これらの結果は乾燥したFCVに対してClO2ガスを有効に作用させるには高湿度環境が必要であることを表しているという。さらに、実際の部屋内でClO2ガス発生装置(0.05 ppm)と加湿器(相対湿度75-85%)を併用することにより、上記のモデル空間と同様の効果を得られることがわかったとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.seirogan.co.jp/dl_news/file0045.pdf

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抗生物質「VIBATIVTM(テラバンシン)」米国で新発売

アステラス製薬株式会社は6日、米国テラバンス社より導入した抗生物質「VIBATIVTM(一般名:テラバンシン)」について、当社の米国子会社アステラス ファーマ US, Inc.が「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を含むグラム陽性菌に起因する複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI)」を適応症として新発売した。テラバンシンは、細菌の細胞壁合成を阻害するとともに細胞膜透過性の増大作用をあわせ持つ、1日1回投与の脂質化グリコペプチド系の注射剤。同剤については、2006年12月にテラバンス社がcSSSIの適応症で米国食品医薬品局(FDA)に申請しており、2009年9月に承認を取得している。また、追加適応の院内肺炎については、現在、FDAにおいて審査中とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/vibativtm-1.html

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第一三共 抗インフルエンザウイルス薬CS-8958第III相臨床試験を開始

第一三共株式会社は5日、抗インフルエンザウイルス薬CS-8958の日本での予防適応取得に向けた第III相臨床試験を開始したと発表した。CS-8958は、laninamivirのプロドラッグ体であり長時間作用型のノイラミニダーゼ阻害剤。インフルエンザウイルスの感染部位である、気道において直接作用を発揮する吸入治療剤で、1回の投与でインフルエンザに対する効果を示すとのこと。今回開始した第III相臨床試験は、A 型またはB 型のインフルエンザ感染症患者の同居家族を対象に、CS-8958の有効性(予防効果)と安全性を検討することを目的とした、プラセボ対照二重盲検試験。有効性は、CS-8958投与群とプラセボ投与群のインフルエンザ発症割合を比較し、CS-8958のインフルエンザ発症予防効果を評価するという。CS-8958は、同社が創製した「純国産ノイラミニダーゼ阻害剤」で、新型インフルエンザ(H1N1)および鳥インフルエンザ(H5N1)に対して非臨床レベルでの効果を確認しているとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/1035/20091105%20CS8958%E4%BA%88%E9%98%B2P3%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9_final.pdf

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5q-を伴う低/中間-1リスクの骨髄異形成症候群による貧血治療 -レナリドミドを承認申請

2009年11月4日、セルジーン株式会社は新規免疫調節薬の1つである「レナリドミド水和物(以下、レナリドミド)」を「5番染色体長腕部異常を伴う骨髄異形成症候群(以下、MDS)による貧血治療薬」として、医薬品製造販売承認申請を行った。同日、帝国ホテルでプレスセミナーが開催され、東京医科大学内科学第1講座主任教授の大屋敷一馬氏がMDSの概要と、レナリドミドを含めた今後の治療薬について講演を行った。 なお、本年6月には「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の治療薬としてデキサメタゾンとの併用によるレナリドミドの承認申請を行っている。MDSは血液腫瘍の一種で、血液細胞を造る骨髄中の造血幹細胞に異常を来たす疾患であり、予後が悪く、進行すると急性骨髄性白血病へ移行することもある。わが国における患者数は7,100例と推定され、60~75歳に好発し、男性にやや多い疾患である。大屋敷氏によると、わが国におけるMDSの標準治療はなく、代替治療として免疫抑制療法、ステロイド療法が行われている。化学療法の治療効果は低く、また同種幹細胞移植は65歳以下の健康状態が良好な患者が対象のため、高齢者には適応できない。また、MDSでは輸血などの対症療法が行われるが、繰り返しの輸血に伴う感染症や鉄過剰症のリスクが増大する。実際に、輸血量が多くなるにつれてMDS患者の生存率が低下することや、鉄キレート療法により生存期間が延長することが報告されている。一方、MDSの病型を分類したWHO分類では、単独の5番染色体長腕に染色体異常を認めるMDSを「5q-症候群」と分類している。5q-症候群は欧米人では多いが、日本人ではきわめて稀な病型であり、MDSの約1~2%で患者数が131例程度、年間発生率10例程度(特発性造血障害調査研究班による調査報告、平成19年)と推測されている。女性に多く、中等症~重症の貧血、血小板増多症、芽球の増加がないのが特徴である。今回、レナリドミドは、この5q-を伴うMDSによる貧血治療薬としてわが国で承認申請を行った。大屋敷氏は、レナリドミドの海外における第II相試験の結果とともに、国内における多施設共同オープン試験の結果について紹介した。対象は、5q-を伴う低あるいは中間-1リスクのMDSによる貧血症状を有する患者11例で、4週1サイクルとして、レナリドミド10mg/日を1~21日目に経口投与し、32週目に反応があった患者を最長156週まで継続した。中間解析では、約1.5ヵ月で全例が貧血改善を示し、ヘモグロビン値の中央値は、7.0g/dLから、最大値12.7g/dLと改善が見られた。有害事象については、好中球減少がGrade3/4が10例(90.9%)など、骨髄抑制が主であった。さらに大屋敷氏は、高リスク群のMDSに対する治療薬について、欧米ではすでに使用されている脱メチル化薬(アザシチジン、デシタビン)の有用性を紹介し、今後、これらの薬剤も重要な位置付けになってくると述べた。最後に大屋敷氏は、MDSの治療について、どのような患者さんにどうすれば一番よいのか、今後リスクをさらに層別化していく必要があるかもしれない、同種骨髄移植や化学療法のほか、レナリドミドや脱メチル化薬といった選択肢が増えてくることによって治療が幅広くなってきていると将来の展望を述べ、講演を締めくくった。(ケアネット 金沢 浩子)

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抗生物質「テラバンシン」欧州にて承認申請へ

アステラス製薬株式会社は10月29日、米国テラバンス社(本社:カリフォルニア州サウス・サンフランシスコ)より導入した抗生物質「テラバンシン(一般名)」について、同社の欧州子会社アステラス ファーマヨーロッパB.V.が、成人における「人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎」および「複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSTI)」を目標適応症として10月26日(現地時間)に欧州医薬品審査庁(EMEA)に承認申請を行ったと発表した。テラバンシンは、細菌の細胞壁合成を阻害するとともに細胞膜透過性の増大作用をあわせ持つ、1日1回投与の脂質化グリコペプチド系の注射剤。米国においては、「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)を含むグラム陽性菌に起因する複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI)」の適応症について9月に承認を取得しているほか、「院内肺炎」についても現在、申請中とのこと。また、日本では「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症」を目標適応症として第I相臨床試験段階にあるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-70.html

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国内初、小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」承認取得

ワイス株式会社は16日、7価肺炎球菌結合型ワクチン(製品名:プレベナー 水性懸濁皮下注)の製造販売承認を取得したと発表した。プレベナーは、細菌性髄膜炎、菌血症などの侵襲性肺炎球菌感染症を予防する国内初の小児用肺炎球菌結合型ワクチン。今後検定などの諸手続きを経て、2010年春までには発売を開始する予定とのこと。2000年からプレベナーを小児期の定期接種ワクチンとして導入した米国では、導入前と比較し、侵襲性肺炎球菌感染症の発症頻度が5歳未満で98%減少したことが報告された。また、定期接種として導入した米国では、間接的な効果として、このワクチンを接種していない高齢者においても侵襲性肺炎球菌感染症の発症頻度が65%減少したことが報告されている。プレベナーの接種は2ヵ月齢以上9歳以下の小児に対して、任意接種により行われるとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2009/1016_2.asp

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遺伝子組換え血液凝固第IX因子製剤「ベネフィクス」 承認取得

ワイス株式会社は16日、血液凝固IX因子製剤としては国内で唯一、また初めてとなる遺伝子組換え製剤である「ベネフィクス 静注用」(一般名:ノナコグアルファ)の承認を取得したと発表した。ベネフィクスは、血友病B(先天性血液凝固第Ⅸ因子欠乏症)患者の出血傾向を抑制する。薬価収載を得た後に販売開始される。ベネフィクスはHIVや肝炎など血漿由来の感染症リスクを低減する目的で開発された製剤で、最新のDNAテクノロジーを駆使し、ヒトおよび動物の血漿成分を用いずに製造されている。今回承認を取得したベネフィクス静注用では手技の簡便性を追求し、あらかじめシリンジに溶解液を充填しているプレフィルド・シリンジを同梱している。また溶解容量はいずれの製剤も5mLで、注射の準備や注射にかかる時間にも配慮されているという。ベネフィクスは、1997年に米国で承認を受け、現在は50の国と地域で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2009/1016.asp

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喘息患者の8割以上が新型インフルエンザに不安 “インフルエンザ”に関するアンケート調査結果より 

グラクソ・スミスクライン株式会社は15日、喘息患者が新型インフルエンザの流行に関してどのように感じ、行動しているかを探るため、全国の喘息患者500人を対象にインターネットによるアンケート調査を行い、その結果を報告した。ニューヨーク市における事例では、新型インフルエンザによる死亡者の約1/4が喘息を含む呼吸器障害を持っていたとの報告もあり、喘息の患者は新型インフルエンザ感染によるリスクが高いと考えられることから、今回の調査を実施したという。その結果、8割以上の患者が新型インフルエンザに不安を感じているものの、医師に相談したり、医師から説明を受けている患者は全体の2割と少ないことがわかった。喘息患者は、インフルエンザなどのウイルス感染症にかかった時の喘息症状の重症化(急性増悪)を防ぐためにも日常の喘息コントロールをしっかり行うことが大切だが、調査に参加した患者の 42%が、喘息コントロールが「不良」の状態であり、喘息コントロールが不良の患者は、より大きな不安を抱えている傾向があったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000583.html

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インフルエンザ感染拡大予防は、シンプル・低コストの手洗い・マスク対策から

世界的な新型インフルエンザのパンデミックが懸念される中、Tom Jefferson氏らイタリア・Cochrane Collaboration急性呼吸器感染症研究グループは、呼吸器系ウイルスの感染防御策に関するシステマティックレビュー解析を行い、BMJ誌2009年10月3日号(オンライン版2009年9月22日号)で報告した。結果は、より低コストな対策(手洗い、マスク着用、外出規制・自粛の要請)については効果的とのエビデンスが確認されたが、高コストの対策については確たるエビデンスは確認できていないことが明らかになったという。物理的な介入効果のエビデンス検証を目的にシステマティックレビューレビューは、ウイルスの感染拡大を防ぐ、もしくは減じるための物理的な介入効果のエビデンスを検証することを目的とした。文献データベース(Cochrane Library、Medline、OldMedline、Embase、CINAHL)で、呼吸器感染症ウイルスの感染拡大防止介入(隔離、検疫、外出規制・自粛の要請、検問所等のバリア設置、個々人による予防、手洗いなどの励行)に関する研究論文(無作為化・コホート・ケースコントロール・前向き・後向き・前後比較に研究デザインされたもの)を選定し検討した。論文選定に関して、適格性、バイアスについても留意された。2007~2009年分から該当すると思われる研究論文は2,958件あったが、最終的にレビューに相当する研究論文として、59試験・58論文が選ばれた。オッズ比は、手洗い0.45、マスク着用0.32、ただし高価なN95マスク着用は0.09対象研究の質は、無作為化対照試験4件すべてと、対象論文として最も多かった14件のクラスター無作為化試験は、いずれも不十分なもので、観察研究の質は玉石混合だった。メタ解析されたのは、6件のケースコントロール試験で、物理的な介入が、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大に非常に効果的であることを示すものだった。具体的には、「1日10回以上の手洗い」は、オッズ比:0.45、治療必要数(Number needed to treat;NNT):4例。「マスク着用」では、オッズ比:0.32、NNT:6例。高性能とされ高価格の「N95マスク着用」は、オッズ比:0.09、NNT:3例。「グローブ着用」は、オッズ比:0.43、NNT:5例。「ガウン着用」は、オッズ比:0.23、NNT:5例。「手洗い・マスク・グローブ・ガウン着用の複合」は、オッズ比:0.09、NNT:3例だった。複合対策は、家庭でインフルエンザが拡がるのを防ぐのにも有効であることが示されていた。また、クラスター無作為化試験で最も質の高かった研究報告では、手洗い励行等の衛生対策が、若年者および家庭でのウイルス感染の拡大に有効であることが示されていた。手洗い後の消毒液の効果はなお不明一方で、高価で付け心地も悪いN95マスク着用は、マスク機能は優れていたが、皮膚刺激を起こすという点で限界が認められた。手洗い後に消毒液を付加することの効果については、なお不明のままだった。検疫については、適切な評価が行われていなかった。外出規制・自粛についてのエビデンスは限定的で、特に曝露リスクがより高く、リスクが高い疾患で、長期間にわたるような場合は効果的とは言えなかった。これらを踏まえ研究グループは、「呼吸器系ウイルス感染拡大防御の長期に有効なルーチン策として、これと言えるものは今のところない。ただし、シンプルかつ低コストな対策が感染拡大を減じることは確認できた。最も有効でフレキシブルで費用対効果の高い対策を講じるためにも、研究費を投じて検証をする必要がある」と報告をまとめている。

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社会的貧困と死亡率との関連は100年経っても変わっていない

英国ランカスター大学人文社会科学学部のIan N Gregory氏は、イギリスおよびウェールズの中で、社会的に貧困状態にある人々に焦点をあてた死亡率の、20世紀初頭と21世紀初頭における変化を調査した。イギリスおよびウェールズは、20世紀において死亡率パターンに劇的な改善が見られた。乳幼児死亡率が激減し、男女とも寿命は30歳以上延び、死因についてもかつては約2割を感染症や寄生虫症が占めていたが、現在は替わって、がん・虚血性心疾患・脳卒中が主因を占める。一方でこの1世紀の間に、貧困は一部地域(行政区)に住まう人々だけのものとなった。そうした人々に焦点をあてた死亡率の変化を見たような国家的研究はほとんどないという。BMJ誌2009年9月19日号(オンライン版2009年9月10日号)より。1世紀の間に、貧困が死亡率に与える影響は変化したのかを調査同様の研究として、ロンドンを対象とした1890年代と1990年代との死亡率を比較した調査があり、一部エリアの結果で貧困状態と死亡率との関連を示す報告があるという。今回のGregory氏の調査も、貧困状態と死亡率との地域的関連を調べることを目的に行われた。1世紀の間に、その関連の度合いが強まったのか弱まったのか、前世紀と現在の、死亡率と貧困状態とを行政区単位で、国勢調査のデータをもとに調べ検討した。貧困は、現代の死因にも主要な影響を与えている各地区の貧困度合いは、Carstairs scoresによって割り出された。1900年代と2001年の貧困指数と死亡率のデータが揃ったのは、614の行政区分だった。分析の結果、20世紀初頭と終わりでは、貧困状態と死亡率との関連の強さに有意な変化があったことが証明された。前世紀に貧困状態および死亡率が最も高かったのはロンドン中心部、南ウェールズなど工業都市だった。一方で、国全体としては豊かではなく貧困状態だったが、イギリス南東部を中心とする地方で死亡率が低い傾向が見て取れた。そして貧困状態と死亡率のパターンは、現代においても1世紀前のパターンと変わっていなかった。現代における社会的貧困要因で補正後も、死亡率と死亡要因との関連は1900年代の標準的な死亡率パターンと有意に変わらなかった。工業都市での死亡率は高く、一方で大きく変わっていたのは高い死亡率を有する農村部が見られるようになったこと、イギリス南東部地方に見られた死亡率が低い傾向は見られなくなっていた。Gregory氏は、「医療、公衆衛生、社会・経済・政治的な変化にもかかわらず、貧困状態と死亡率との関連は、世紀が変わっても根強く残ったままである。そして貧困がなお現代の死因の主要な要因を占めていることを示している」と結論している。

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HIV感染症治療薬「アイセントレス錠400mg」未治療の成人HIV患者の使用が可能に

 万有製薬株式会社は5日、HIV感染症治療薬「アイセントレス錠400mg」(一般名:ラルテグラビルカリウム)の添付文書改訂を受け、未治療の成人HIV患者に対する同剤の使用制限が解除されたことを発表した。これにより、アイセントレス錠400mgは従来の治療経験のある成人HIV患者に加え、未治療の成人HIV患者さんの治療にも使用できるようになった。 世界初のインテグラーゼ阻害薬アイセントレスは、2008年7月に国内10年ぶりとなる新しい作用機序のHIV感染症治療薬として発売され、治療経験のある成人HIV患者を対象に、現在世界80ヵ国以上で承認されている。海外では本年7月に米国、9月に欧州でそれぞれ未治療成人HIV患者への使用が追加承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/product_news_1005.html

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米国での成人を対象としたインフルエンザA 型(H1N1)ワクチン単回接種後の臨床試験結果を発表

仏サノフィ・アベンティス社は1日(現地時間)、サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールが同日、18歳から64歳、また65歳以上の成人を対象として、米国ですでに承認されている2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの臨床試験データの中間報告を発表したと公表した。報告では、サノフィパスツールの2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチン15μgを高齢の被験者を含め、健康な成人に単回接種し、接種後21日で予防効果が期待できる抗体反応が誘導されたという。この成人849人によるプラセボ対照試験結果は、先に国立衛生研究所(NIH)の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が実施した試験でのH1N1ワクチン接種10日後の結果を裏付けるものとのこと。サノフィパスツールは、2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの免疫原性と安全性を検討するために、8月6日に米国で臨床試験を開始。臨床試験は、65歳以上を含めた18歳以上の成人、また6ヵ月齢から9歳の乳幼児を対象に行われている。今後追加接種を含めた臨床試験の最終結果が報告され、これらの結果を参考にして、上記2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの最適な用量、接種回数、接種スケジュールが決められるとのこと。なお、上記2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンは、サノフィパスツールの既承認の季節性インフルエンザワクチンのひとつのウイルス株変更として、9月15日に米国食品医薬局(FDA:Food and Drug Administration)より承認されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/F3CFA269-E095-4D4D-A319-61504415DE6F.pdf

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新型インフルエンザの地域感染発生の突き止め方:イギリス

イギリス、バーミンガムのHealth Protection Agency Realtime Syndromic Surveillance TeamのAlex J Elliot氏らは、今般の新型インフルエンザ(いわゆる豚インフル、A/H1N1)の、イギリスにおける最初の地域感染を突き止めるため、2つのモニタリング方法について評価を行った。1つは、風邪症状あるいはインフルエンザ症状もしくは両方の症状を有し、NHSの健康電話サービスを利用した患者から同意提供を受けた自己検体からの感染結果。もう1つは、Health Protection Agency(HPA)地方マイクロバイオロジー研究室で、インフルエンザ疑い症例に対する臨床アルゴリズムに従い検査が行われた患者検体からの感染結果である。結果報告は、BMJ誌2009年9月12日号(オンライン版2009年8月27日号)にて掲載されている。5月末~6月末のイギリス6地域の新型インフル発現動向を調査評価調査は、2009年5月24日~6月30日に、6つの地域を対象に行われた。主要転帰尺度は、新型インフルエンザと確認されたラボ検体の割合とされた。結果、新型インフルエンザ(A/H1N1)の感染は、自己検体1,385例からは91例(7%)が見つかった。加えて、インフルエンザA/H3感染が8例、インフルエンザB型感染が2例も見つかった。NHS健康電話サービス利用増加とラボでの検出増加はぴったりマッチ自己検体からの感染症例の割合の週ごとの変化は、HPA地方マイクロバイオロジー研究室から報告された感染事例の割合増加とぴったり適合していた。そして両モニタリング結果の比較から、6月23日~30日の週に地域感染がロンドンとウェスト・ミッドランズで起きていたことが判明した。1ヵ所のHPA地方マイクロバイオロジー研究室からだけで100例以上の新型インフルエンザが見つかり始め、毎週、検体のうち20%以上で陽性が見つかり始めていた。Elliot氏は、「地域感染の傾向は臨床マネジメントを通じて検知された。その傾向は、NHS電話サービスの利用率とHPAラボで感染が確認された割合を反映していた」と述べ、「HPAラボからの報告だけでは限りがある。それは、渡航歴および既感染者との接触に関する情報が不明だからである。HPAラボからの報告は、地域感染が起きていることを確認するのに用いるべきだろう」とまとめている。

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炎症マーカーCRP測定試薬「スポットケム i-Line CRP」発売

アークレイ株式会社は28日、診療所やクリニック向けに炎症マーカーCRPの測定試薬 スポットケム i-Line CRP(アイライン シーアールピー)を9月28日に発売した。これは、同社が2008年9月に発売した迅速検査装置スポットケム IL SL-4720の新しい専用試薬となり、従来のインフルエンザの簡易検査に加え、CRPを追加することで医療機関の感染症診断に対応できるという。スポットケム i-Line CRPは、全血検体を用いて10分で自動測定します。専用装置(スポットケムIL SL-4720)がCRP値(0~12.5 mg/dL)を8段階ランクで判定するので、従来のラテックス凝集法(定性法)と比較して、個人による判定誤差がなく検査結果を客観的に得ることができるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.arkray.co.jp/press/press/2009_09_28.html

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下気道感染症、PCT値に基づく治療で抗生物質投与量を削減、治療効果は同等

下気道感染症の治療に際し、プロカルシトニン(PCT)値に基づくアルゴリズムに沿って治療をしたほうが、標準ガイドラインによる治療に比べ、治療効果は同等で抗生物質投与量を抑えられることが報告された。この点を示した試験結果はこれまでにも発表されているが、大規模な多施設共同試験はあまりなかった。スイスKantonsspital AarauのPhilipp Schuetz氏らが、1,359人の下気道感染症患者を対象に行った無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年9月9日号で発表した。スイス6ヵ所の病院救急室の患者が対象Schuetz氏らは、2006年10月~2008年3月にかけて、スイス6ヵ所の病院の救急室を訪れた、重症の下気道感染症の患者1,359人を、無作為に2群に分けた。一方の群では、PCT値を元にしたアルゴリズムを使い、あらかじめ定めたカットオフ値によって、抗生物質の投与開始や中止などを決めた。もう一方の群では、標準ガイドラインに沿って治療を行った。主要アウトカムは、治療の非劣性を示す有害アウトカムとして、死亡、集中治療室への入室、疾患特異的な合併症、抗生物質投与が必要となる感染症の30日以内の再発――などとした。なお非劣性の限界値は7.5%と定義した。PCT群で抗生物質投与期間を3割以上短縮結果、有害アウトカムの発生率は、PCT群15.4%、対照群18.9%と、その差は-3.5%で同等だった。一方で、抗生物質の平均投与期間は、PCT群が5.7日に対し、対照群は8.7日と、PCT群が相対差で-34.8%短かった(95%信頼区間:-40.3~-28.7)。サブグループ解析では、市中肺炎の患者(925人)における同相対格差は-32.4%、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪患者(228人)における同相対格差は-50.4%、急性気管支炎(151人)の同相対格差は-65.0%だった。また、抗生物質関連の有害事象の発生率も、対照群が28.1%に対しPCT群が19.8%と、絶対格差が-8.2%だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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HIV抗薬「プリジスタナイーブ錠」新発売

ヤンセンファーマ株式会社は17日、HIV感染症に適応を有する抗ウイルス化学療法剤「プリジスタナイーブ錠400mg」(一般名:ダルナビル エタノール付加物、以下「プリジスタナイーブ錠」)を新発売したと発表した。「プリジスタナイーブ錠」はJ&J傘下の米ティボテック社(Tibotec Pharmaceuticals Ltd.)により開発された新規プロテアーゼ阻害剤(PI)。同剤は既治療の患者を対象とした「プリジスタ錠300mg」(発売済)とは異なり、抗HIV薬による治療経験のない未治療のHIV感染患者を対象とした薬剤。「プリジスタ錠300mg」は多剤耐性HIVに効果を示す新しい抗HIV薬として米国FDA、欧州EMEAの早期承認制度の適用を受け、2006年6月に米国、2007年2月には英国を含む欧州において既治療の患者に対する薬剤として承認され、日本においては、2007年1月に希少疾病用医薬品指定を受け、同年11月に承認を取得した。その後、未治療患者を対象とした海外第III相比較試験の結果によって、「プリジスタナイーブ錠」は治療経験のないHIV感染患者さんに対する薬剤として、米国で2008年10月に承認を取得し、日本においても、本年8月に承認を取得するに至った。「プリジスタナイーブ錠」は本年7月時点、米独はじめ、世界34の国又は地域で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/inforest/public/home/?paf_gear_id=2100029&paf_gm=content&paf_dm=full&vid=v11&cid=cnt60964

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