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RSウイルス2週連続増加/国立感染症研究所

 RSウイルス感染症は乳幼児期において重要な疾患であり、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こす場合がある。RSウイルスは冬期に報告数のピークが見られ、夏季は報告数が少ない状態が続いていたが、2011年以降、7月頃から報告数の増加傾向がみられている。 本年(2013年)の報告数は6月中下旬から徐々に増加傾向がみられ、特に8月から9月にかけて急激な増加がみられており、第44週(10月28日の週)の報告数は4,195例と2週連続で増加し、6月中下旬以降で最多となった。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約71%を占めている。感染症発生動向調査週報(IDWR)2013年第44号(2013年10月28日~11月3日)

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インフルエンザワクチンに心血管イベント抑制効果(コメンテーター:西山 信一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(144)より-

従来からインフルエンザ感染が心血管イベントに関連することが指摘されていた。 今回著者らは3つの医学データベースを用いて、質が高いと判定した無作為試験の論文を検索し、6,735例を対象にメタ解析を行った。対象の内訳は平均年齢67歳、女性51.3%、心疾患の既往歴を有するもの36.2%で、平均追跡期間は7.9ヵ月であった。 その結果、1年以内の複合心血管イベントの発生率は、インフルエンザワクチン施行群が2.9%と、非施行群の4.7%に比べて36%有意に低かった。さらに割り付け前1年以内にACSの既往歴のある患者と既往のない安定した患者で比較すると、安定した患者ではインフルエンザワクチン接種により有意な複合心血管イベントの抑制効果は見られなかったのに対し、ACS既往歴のある患者では複合心血管イベントが55%低下していた。 今回の検討では、ワクチン接種施行の有無で1年以内の心血管死および全死亡には有意の差を認めていないが、心筋梗塞や脳卒中など、非致死的な個々のエンドポイントの評価はなされていない。 現在わが国でも、インフルエンザに罹患すると重症化しやすい心臓の機能に障害のある患者には、インフルエンザワクチンの摂取が勧められているが、今回の結果を参照すると、心機能が低下していなくても、ACSの既往を有するなど高リスクと考えられる患者には積極的にワクチン接種を勧めるのがよいと考える。

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中国でのH7N9感染、家禽市場閉鎖がヒトへの感染予防に効果/Lancet

 中国での鳥インフルエンザA(H7N9)のヒトへの感染について、家禽市場の閉鎖によって大きな抑制効果が上がることを、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが報告した。感染者データを基に分析を行い明らかにしたもので、著者は「生きた家禽やヒトへのH7N9の感染が認められた場合には、ただちに家禽市場を閉鎖すべきである」と報告をまとめている。上海では2013年3月31日に、H7N9の最初の確定感染者が報告され、4月に家禽市場を閉鎖していた。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。統計モデルにより、ヒトへの伝播経路パターンを分析 Hongjie Yu氏らは、CDCのデータベースから、中国の上海、杭州、湖州、南京の4都市で、今年6月7日までに発生し、検査で確定したH7N9感染者について調査を行った。 統計モデルにより、ヒトへの伝播経路パターンについて分析した。具体的には、感染者の年齢、性、所在地、地域のタイプ(農村または都市部)、発症日を入手し、家禽市場の情報は公式ソースから入手し、各市で報告された発生症例パターンを調べるため、家禽市場閉鎖前および閉鎖後のそれぞれの想定感染力に基づき統計モデルを作成した。家禽市場閉鎖により感染者数は97~99%減少 4都市で報告されたH7N9への感染者は85例であり、そのうち60例について分析を行った。その結果、家禽市場閉鎖により1日当たり平均感染者数は、上海で99%減少(95%信頼区間:93~100)、杭州でも99%減少(同:92~100)した。湖州では97%減少(同:68~100)、南京でも97%減少(同:81~100)した。 H7N9の感染確認例の感染経路は、大部分が家禽市場を経由していたことから、同研究グループはH7N9の潜伏期間について、平均3.3日(同:1.4~5.7)と推定した。 研究グループは、家禽市場の閉鎖はH7N9のヒトへの感染リスク抑制に効果的であったとしたうえで、「生きた家禽やヒトへのH7N9の感染が認められた場合には、ただちに家禽市場を閉鎖すべきである」とまとめている。

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自家幹細胞移植、中悪性度非ホジキンリンパ腫の地固め療法として有効/NEJM

 自家幹細胞移植は、高中リスクおよび高リスクのびまん性中悪性度(aggressive)非ホジキンリンパ腫(NHL)の地固め療法として有効であることが、米国・ロヨラ大学医療センターのPatrick J Stiff氏らが行ったSWOG9704試験で示された。NHL治療は、「リツキシマブ時代」と呼ばれる状況下で、さらなる予後改善に向けさまざまな治療アプローチの探索が進められている。国際予後指標(IPI)により、診断時に持続的寛解の可能性が50%未満の患者の同定が可能となり、自家幹細胞移植の早期治療への導入が図られているが、高リスク例に対する地固め療法としての有効性は、その可能性が指摘されながらも長期にわたり確立されていなかった。NEJM誌2013年10月31日号掲載の報告。導入療法奏効例での有用性を無作為化試験で評価 SWOG9704試験は、米国のSWOG、ECOG、CALGBおよびカナダNCIC-CTGに所属する40施設が参加した無作為化試験。対象は、年齢15~65歳、生検でNHLが確認され、IPIで年齢調整リスクが高中または高と判定されたびまん性aggressive NHL患者であった。 1999年8月15日~2007年12月15日までに397例が登録され、導入療法としてシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(prednisone)(CHOP)療法またはリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)療法が5コース施行された。このうち奏効が得られた患者が、地固め療法としてさらに3コースの導入療法レジメンを施行する群(対照群)または1コースの導入療法レジメン施行後に自家幹細胞移植を行う群(移植群)に無作為に割り付けられた。 有効性に関する主要エンドポイントは、2年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)であった。高リスク群では、OSも有意に改善 適格基準を満たした370例のうち、導入療法が奏効した253例が無作為割り付けの対象となった(移植群125例、対照群128例)。370例の患者背景は、年齢中央値51(18.3~65.9)歳、男性59%で、B細胞リンパ腫が89%、T細胞リンパ腫は11%であった。 追跡期間中に病態が進行または死亡した患者は、移植群が46/125例、対照群は68/128例で、推定2年PFSはそれぞれ69%、55%であった。リスクスコアで調整したCox回帰モデルによる多変量解析では、ハザード比(HR)は1.72(95%信頼区間[CI]:1.18~2.51、p=0.005)であり、移植群が有意に良好だった。 死亡例数は移植群が37例、対照群は47例で、2年OSはそれぞれ74%、71%であり、両群に差は認めなかった(HR:1.26、95%CI:0.82~1.94、p=0.30)。 探索的解析では、高中リスク例と高リスク例で治療効果が異なることが示された。すなわち、高中リスク群の2年PFSは、移植群が66%、対照群は63%と同等であった(p=0.32)が、高リスク群ではそれぞれ75%、41%であり、有意差が認められた(p=0.001)。2年OSも、高中リスク群では移植群が70%、対照群は75%と差は認めなかった(p=0.48)のに対し、高リスク群では移植群が82%と、対照群の64%に比べ有意に良好だった(p=0.01)。 予測されたように、移植群では対照群に比べGrade 3/4の有害事象が多くみられた。治療関連死は移植群が6例(5%)(肺障害3例、出血と腎不全1例、感染症1例、多臓器不全1例)、対照群は3例(2%)(心血管障害1例、感染症1例、原因不明1例)に認められた。 著者は、「自家幹細胞移植の早期導入により、導入療法で奏効が得られた高中および高リスク患者のPFSが改善された」とまとめ、「対照群の再発例62例(48%)のうち29例(47%)にサルベージ療法として化学療法や移植が行われており、これがOSに有意差がなかった理由と考えられる」と指摘している。

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糖尿病患者、約8割に皮膚疾患

 糖尿病患者の皮膚疾患と皮膚以外の疾患との関連について、同患者における皮膚疾患は約8割に認められ、そのうち半数近くが皮膚感染症であったこと、また腎障害との関連が深い皮膚疾患の特徴や、血糖値と皮膚疾患との関連などが明らかにされた。トルコ・Ataturk Training and Research HospitalのDuriye Deniz Demirseren氏らが、患者750例を前向きに登録調査し報告した。結果を踏まえて著者は、「皮膚疾患は、糖尿病患者において微小血管合併症の有無を知る手がかりとなりうるだろう」と結論している。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2013年10月18日号の掲載報告。 糖尿病患者における皮膚疾患とそれ以外の疾患との関連は明らかになっていない。研究グループは、同患者における皮膚疾患と糖尿病性神経障害、腎症、網膜症との関連を調べることを目的に、750例の患者を前向きに登録し分析した。 人口統計学的および臨床的特性、皮膚疾患、HbA1c値および神経障害、腎症、網膜症について調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者(750例)のうち、38.0%の患者が神経障害を、23.3%が腎症を、22.9%が網膜症を有していた。・皮膚疾患を有していた患者は79.2%(594例)であった。・皮膚疾患のうち最も多かったのは、皮膚感染症(47.5%)、次いで乾皮症(26.4%)、炎症性皮膚疾患(20.7%)であった。・腎症を有する患者においては、皮膚感染症、真菌性感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、色素性紫斑が、腎症を有さない患者と比べて多かった。・神経障害を有する患者では概して、皮膚感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、糖尿病性皮膚障害がみられた。・網膜症を有する患者では、真菌性感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、糖尿病性皮膚障害、色素性紫斑の頻度が高かった。・HbA1c値が8mmol/mL以上の患者では、同値が8mmol/mL未満の患者より皮膚疾患を有する患者が有意に多かった(p<0.05)。

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CV-A6感染の非定型手足口病、既往皮膚病変の拡大が特徴

 急性ウイルス性疾患の手足口病は、一般にコクサッキーウイルス(CV)-A16またはエンテロウイルス(EV)71感染により発症するが、近年、CV-A6が関連した非定型手足口病が報告されるようになっている。米国・エール大学のJason P. Lott氏らは、その臨床像および検査結果の特徴などを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年11月号(オンライン版2013年9月10日号)の掲載報告。 研究グループは、2012年1月~7月の間に受診した、非定型手足口病を示唆する患者の病歴と検査値を特定して分析した。 皮膚病変の形態、分布を記録し、EV感染の検査はリアルタイムPCR(RT-PCR)法を用いて調べられた。EV属型は、カプシド蛋白質遺伝子配列を測定して評価した。 主な結果は以下のとおり。・同期間中に、成人2例、小児3例の非定型手足口病患者が特定された。・それら5例のうち4例は、広範な皮膚疾患を有した。・アトピー性皮膚炎の病歴を有する患者は2例おり、病変の広がりがみられた。・5例のうち4例において、緊急治療を要する全身症状が認められた。また成人2例はいずれも検査入院を要した。・全患者で、CV-A6感染が確認された。・著者は、本検討の結果は単施設調査という点で限定的であるが、CV-A6感染に起因する非定型手足口病において皮膚疾患の拡大がみられたという点は、診断および治療において臨床医を支援する情報となりうると報告している。

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エキスパートに聞く!「糖尿病診療」Q&A 2013 Part1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。今回は「糖尿病診療」のなかでも「インスリン療法」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。早期から基礎インスリン療法を開始すべきかどうか教えてください。2型糖尿病診断初期から基礎インスリンのみならず、強化インスリン療法を用いて血糖値を正常化することが、経口糖尿病薬で治療するよりも、その後インスリン治療を止めて1年後の膵β細胞機能にとって望ましく、無治療でいられる人の割合も高いことが報告されています1)。また、平均推定罹病期間4.5年の2型糖尿病においても、中間型インスリンの2回打ちと超速効型インスリン3回の強化インスリン療法で、4週間血糖値を正常近くまでコントロールすることがインスリンのGIPとGLP-1に対する反応を改善することも報告されています2)。わが国においても、私の前職の順天堂大学にて、1型/2型糖尿病において持効型インスリンが外来で安全に使用でき、非常に有効な手段であることを報告してきました3)。HbA1c7%以上が続いている場合には、基礎インスリンによるBasal-supported Oral Therapy(BOT)でもよいので4)、積極的にインスリンを導入することが大切でしょう。●引用文献1)Weng J, et al. Lancet. 2008; 371: 1753-1760.2)Hojberg PV, et al. Diabetologia. 2009; 52: 199-207.3)Kanazawa Y, et al. Endocr J. 2007; 54: 975-983.4)弘世貴久. 続これなら簡単 今すぐできる外来インスリン導入. メディカルレビュー社; 2009.インスリンを使用したほうがよい患者さん、そうでない患者さんの鑑別をご教示ください。(1) 絶対的適応1型糖尿病が疑われる例、血糖コントロール不良の妊娠希望の女性、急性代謝失調発症者、または発症する危険性が高い患者さん(2) 相対的適応SU薬2次無効、無治療高血糖放置例、肝疾患、腎疾患合併例(3) 一時的なインスリン療法の適応急性感染症などのシックデイ、ステロイド治療時、中程度以上の外科手術時さらに詳しい解説は、以下の文献をご参照ください。●熊代尚記: 治療の目的と適応となる症例. インスリン療法最前線 第2版. 河盛隆造監, 弘世貴久, 綿田裕孝編, 日本医事新報社; 2008.p.21-24.●熊代尚記: インスリン療法開始の適応. 糖尿病薬物療法 BRUSHUP. 河盛隆造監, 綿田裕孝, 弘世貴久編, 日本医事新報社; 2011.p.82-84.インスリン導入を恐れる患者さんを説得するのに、よい言葉やいい回しをご教示ください。初めに血糖コントロール状況と合併症について説明します。自覚症状がなくても、慢性の高血糖が3大合併症や大血管障害の発症に関連していることを説明します。次に、患者を取り巻く家族や社会の状況を一緒に考え、本当に合併症が起きてもよいのか、合併症で身体が不自由な生活になっても困らないか話し合います。独り身で将来に希望がないような状況では、血糖コントロールをよくすることにまったく関心を持っていただけないかもしれません。しかし、糖尿病で通院を続けている患者さんたちは、何とかして欲しいという気持ちを少なからず持っているはずです。大事な家族や仕事、趣味などがあれば、それを守るために何とかしましょうと説得します。入院が望ましくても忙しくて入院ができない患者さんには、外来でも改善できますと安心させます。ここまで話して、インスリンについて話をします。安全性・有効性について、私はよく妊婦の話を出します。妊娠して、赤ちゃんがお腹にいて、糖尿病になる患者さんにわが国で唯一認められている治療薬がインスリンです。最も安全で生理的な薬だと説明します。そして、量を増やすことで確実に血糖値を下げることができると説明します。早ければ早いほど少量のインスリンで済むことが多いとも伝えます。さらに、どうしても不安、不信に思う患者さんには一時的な使用でもまったく構わないと伝えます。このような話に10~20分程度を要しますが、これで受け入れてもらえることが多いです。外来診療という限られた時間内で、どのようにインスリンを導入し、その後のフォローをしていけばよいか教えてください。インスリン注射に同意された後、実際にインスリンを導入する際に重要となるのは、いきなり低血糖を起こさないことです。ごく少量の基礎インスリン4単位くらいから始めると低血糖は問題になりません。受け入れの難しそうな患者さんには、まずはインスリン自己注射のみを指導して、後日、血糖自己測定(SMBG)を導入するほうが、抵抗が少ないです。実は痛みも、インスリン注射ではほとんどありませんが、SMBGでは針が太めでそこそこ痛いのです。また、効果が少ないインスリン量で始めているので、せっかく始めたインスリン療法に幻滅する恐れもあります。したがって、始めはインスリン自己注射のみ指導することが一つの有効な手段です。SMBG導入後、数日でインスリンの効果判定ができますが、診察間隔は予約状況次第です。数日おきに診察できるなら速やかにきめ細かくインスリン調節ができますが、予約の関係で1~数週間おきのフォローになるなら緩徐なインスリン調節が必要でしょう。このようなインスリン導入の際には、それまでの内服薬を一気に中止しないことも、導入後の急激な悪化を防ぐために重要です。そのほか、外来での導入では、看護師やその他のスタッフ教育もしっかり行い、協力していただくことが不可欠です。インスリンとほかの薬剤との安全な組み合わせの方法や、治療中に専門医へ紹介するタイミングなどをご教示ください。持効型インスリンとの併用としては、速効型インスリン分泌促進薬1)やα-グルコシダーゼ阻害薬やDPP-4阻害薬2)がよいでしょう。持効型インスリンは食前の血糖コントロールに適しているので、食後の血糖コントロールに適した内服を組み合わせることが望ましいです。一方、超速効型インスリンとの併用としては、グリメピリド(商品名:アマリール)0.5mgなどのごく少量のSU薬を夕食時に内服するかビグアナイド薬、チアゾリジン薬との併用がよいでしょう。超速効型インスリンは、食後の血糖コントロールに適しており、上述の内服で食前の血糖コントロールにも対応することができます。いずれの場合も注射薬の種類だけでなく病態によっても併用薬の選択肢は変わってきます。最近は高齢化で、患者さんも糖尿病以外にさまざまな合併症を患っていたりするので、併用する前にそれぞれの薬の適応の良否も判断しなければなりません。したがって、病状が複雑になってきた場合には、ご遠慮なく専門医へ紹介いただくのがよろしいかと思われます。●引用文献1)Kumashiro N, et al. Endocr J. 2007; 54: 163-166.2)Barnett AH, et al. Lancet. 2013 Aug 12.[Epub ahead of print].

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汚染メチルプレドニゾロン注射による真菌感染症、詳細が明らかに/NEJM

 米国で発生した汚染されたメチルプレドニゾロン酢酸エステル注射が原因の真菌感染症集団発生の患者について詳細が報告された。末梢関節感染が認められない人のうち、中枢神経系感染症は81%であり、また、E. rostratum(エクセロヒルム・ロストラツム)が検出されたのは36%だったことなどが明らかにされた。米国疾病管理予防センター(CDC)のTom M. Chiller氏らが、症例数が最も多かった6州の患者の診療記録を調査し明らかにしたもので、NEJM誌2013年10月24日号で発表した。なお、主な集団発生関連病原体のE. rostratumが原因の感染症については、その詳細はあまり明らかになっていないのが現状だという。症例数が多かった、フロリダ、インディアナなど6州の患者診療記録を調査 研究グループは、報告された真菌感染症の症例数が最も多かった、フロリダ、インディアナ、ミシガン、ニュージャージー、テネシー、バージニアの6州について、2012年11月19日までにCDCに報告された集団発生に関する診療記録を調査した。末梢関節の感染がある人は除外した。 臨床分離株と組織検体について、ポリメラーゼ連鎖反応法と免疫組織化学的検査を行い、病原菌の同定を行った。硬膜外膿瘍などの非CNS感染症、集団発生の後期に発生頻度増加 その結果、被験者328例のうち、中枢神経系(CNS)感染症が認められたのは81%にあたる265例で、非CNS感染症のみが認められたのは63例(19%)だった。 検体が入手可能だった268例のうち、96例(36%)でE. rostratumが検出された。 CNS感染症が認められた人において、脳卒中の発症は、脳脊髄液中の白血球数値が高く、グルコース値が低いことと関連していた。(p<0.001)。 非CNS感染症は、メチルプレドニゾロン注射の最終投与から診断までの日数中央値が、硬膜外膿瘍が39日、脳卒中が21日と、集団発生の後期に発生頻度が高かった。また、こうした非CNS感染症は、髄膜炎を伴う場合と伴わない場合があった。

5009.

洗口剤や歯周病治療の併用で胃内H.pylori除菌率UP

 アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン3剤併用療法による胃内ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、以下HP)除菌療法は、洗口剤や歯周病治療を併用し、口腔内HP感染率を減少させることで、胃内HP除菌率が有意に高まることが、中国医科大学附属盛京医院のHan-Yi Song氏らによる研究で明らかになった。World journal of gastroenterology誌2013年10月21日号の報告。 本研究の目的は、胃内HP除菌成功に口腔内HPが及ぼす影響について検討することである。 対象は、消化不良を訴える患者391人。HP感染の診断には、唾液HP抗原検査(HPS)、13C尿素呼気試験(UBT)を用いた。胃内HP感染を認めた233人を、口腔内HP感染の有無と治療内容により以下の4群に割り付けた。 <口腔内HP(-) 胃内HP(+)>   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン           : A群(53人) <口腔内HP(+) 胃内HP(+)>   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン           : B群(53人)   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン+洗口剤       : C群(65人)   アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン+洗口剤+歯周病治療 : D群(62人)治療終了から4週後に再度HPSおよびUBTを行い、各群の胃内HP除菌率と口腔内HP感染率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・各群の胃内HP除菌率は、以下のとおりであった(p値は対B群)。   A群:93.3%(p=0.039)   B群:78.4%   C群:90.0%(p=0.092)   D群:94.7%(p=0.012)・胃内HP除菌率は、内用薬のみの群よりも、内用薬に洗口液や歯周病治療を併用した群のほうが有意に高かった。・治療後の口腔内HP感染率は、以下のとおりであった(p値は対B群)。   A群:0%  (p<0.0001)   B群:76.5%   C群:53.3%(p=0.011)   D群:50.9%(p=0.006)・口腔内HP感染率は、内用薬に洗口剤のみ併用した群、内用薬に洗口剤と歯周病治療を併用した群で有意に減少した。

5010.

インフルエンザワクチン接種者で心血管イベント減少/JAMA

 心血管疾患リスクの高い患者に対するインフルエンザワクチンの接種により、心血管イベントが抑制されることが、カナダ・トロント大学のJacob A Udell氏らの検討で示された。非古典的な心血管リスク因子のうち、気道感染症の原因となるインフルエンザやインフルエンザ様感染が、致死的および非致死的なアテローム血栓性イベントと関連することが指摘されている。また、インフルエンザワクチン接種により心血管イベントが抑制されることが、いくつかの疫学試験で示唆されている。JAMA誌2013年10月23日号掲載の報告。心血管イベント予防効果をメタ解析で評価 研究グループは、インフルエンザワクチンによる心血管イベントの予防効果を検証するために、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った。対象は、高い心血管疾患リスクを有する患者においてインフルエンザワクチン接種とプラセボまたは対照を比較した無作為化試験で、有効性あるいは安全性のイベントとしての心血管アウトカムについて報告している論文とした。 3つの医学データベース(MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library Central Register of Controlled Trials)を用いて、2013年までに発表された無作為化試験の論文を検索した。選出された論文から、2名の研究者が別個に、試験デザイン、ベースラインの患者背景、アウトカム、安全性などのデータを抽出した。無作為化、割り付け情報のマスク、盲検法、フォローアップの完全性に関する適切な方法の記述がある論文を質の高い試験と判定した。 複合心血管イベント(心筋梗塞による死亡または入院、不安定狭心症、脳卒中、心不全、緊急冠動脈血行再建術)、心血管死、全死因死亡について、ランダム効果モデルを用いてMantel-Haenszel法によりリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、割り付け前の1年以内の急性冠症候群(ACS)の有無で層別化した。複合心血管イベントが有意に36%低下 発表済みの5試験と未発表の1試験に参加した6,735例(ワクチン群3,373例、プラセボ/対照群3,362例)が解析の対象となった。全体の患者背景は、平均年齢67歳、女性51.3%、心疾患の既往歴36.2%で、平均フォローアップ期間は7.9ヵ月であった。 発表済みの5試験の解析では、1年以内の複合心血管イベントの発症率はインフルエンザワクチン群が2.9%(95/3,238例)であり、プラセボ/対照群の4.7%(151/3,231例)に比べ有意に低かった(RR:0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)。 ACSの既往歴のある患者では、インフルエンザワクチン接種による複合心血管イベントの抑制効果が認められた(RR:0.45、95%CI:0.32~0.63、p<0.001)が、既往歴のない患者では有意な抑制効果はみられず(0.94、0.55~1.61、p=0.82)、ACSによる交互作用が示唆された(交互作用検定:p=0.02)。 1年以内の心血管死(ワクチン群1.3% vs プラセボ/対照群1.7%、RR:0.81、95%CI:0.36~1.83、p=0.61)および全死因死亡(1.9 vs 2.1%、0.85、0.45~1.61、p=0.62)には有意な差はみられなかった。 未発表の1試験のデータを加えても、結果は同様であった。 著者は、「インフルエンザワクチン接種により、心血管疾患のリスクが高い患者において有害な心血管イベントのリスクが低下した」と結論し、「これらの知見を検証し、心筋梗塞や脳卒中などの個々の心血管エンドポイントを評価するために、適切なパワーを備えた大規模な多施設共同試験を行う必要がある」と指摘している。

5011.

関節への培養幹細胞注入は安全

 整形外科領域において、関節病変に対する幹細胞治療が期待されている。筋骨格系障害は非致命的な疾患であるため、幹細胞治療は安全性が必要条件となるが、オランダ・エラスムス大学医療センターのC.M.M. Peeters氏らはシステマティックレビューにより、関節への培養幹細胞注入は安全であることを報告した。潜在的な有害事象に十分注意しながら、幹細胞の関節内注入療法の開発を続けることは妥当と考えられる、と結論している。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年10月号(オンライン版2013年7月4日号)の掲載報告。 システマティックレビューは、PubMed、EMBASE、Web of ScienceおよびCINAHLを用い、2013年2月までに発表された培養増殖幹細胞の関節内注入療法に関する論文を検索して行った。 条件を満たした論文は8本特定され、合計844例の有害事象を解析した(平均追跡期間21ヵ月間)。 主な結果は以下のとおり。・すべての研究で、軟骨修復および変形性関節症の治療のために自家骨髄間葉系幹細胞が使用されていた。・重篤な有害事象は4例報告された。骨髄穿刺後の感染症1例(おそらく関連あり、抗菌薬で回復)、骨髄穿刺2週後に発生した肺塞栓症1例(おそらく関連あり)、腫瘍2例(2例とも注入部位とは異なる場所に発生、関連なし)。・治療に関連した有害事象は、ほかに22例報告され、うち7例が幹細胞生成物と関連ありとされた。・治療に関連した主な有害事象は、疼痛や腫脹の増加と骨髄穿刺後の脱水であった。・疼痛や腫脹の増加は、幹細胞生成物と関連ありと報告された唯一の有害事象であった。・以上を踏まえて著者は、「直近の文献レビューの結果、関節病変に対する幹細胞治療は安全であると結論する」と述べ、「潜在的な有害事象への注意は引き続き必要と考えるが、幹細胞の関節内注入療法の開発を続けることが妥当と考えられる」とまとめている。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する

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わが国のHIVの現状 ~抗HIV療法関連の骨粗鬆症、腎機能障害、代謝性疾患が問題に~

約30年前は死に至る病と言われていたHIV感染症。現在は、定期的な受診と適切な服薬継続により長期にわたり日常生活を続けることが可能になり、慢性疾患と考えられるようになりつつある。しかしながら、日本では感染者が増加傾向にあり、新たに抗HIV療法に関連した代謝性疾患などが問題となっている。このたび、途上国のエイズ対策を支援する『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』の支持を決定する技術審査委員の1人である、しらかば診療所 院長の井戸田 一朗氏が、ヤンセンファーマHIV/AIDSメディアセミナー(2013年10月29日開催)でHIVの現状や課題を紹介した。性感染症にかかるとHIVにかかりやすい井戸田氏のクリニックは、セクシャル・マイノリティ(同性愛者、バイセクシャル、トランスジェンダーなど)を主な対象として2007年に東京都新宿区に開院した。現在、同クリニックには約400人のHIV陽性者が定期的に通院しているという。井戸田氏が性感染症にかかった男性にHIV検査を勧めて検査した結果(自分で希望した人は除外)、淋菌感染症患者では20%、梅毒患者では13%、尖圭コンジローマ患者では26%がHIV陽性であった。井戸田氏は、「性感染症、とくに淋菌感染症、梅毒、尖圭コンジローマにかかった人は、HIV感染症も検査することが大切」と強調した。男性間の性的接触による感染が増加わが国の性感染症の報告数は全体的に減少傾向にあるが、新規HIV感染者とAIDS患者数は年々増加している。その内訳をみると、異性間性的接触による感染はほとんど変化がないのに比べて、男性間性的接触による感染の増加は著しく、2011年では全体の64%を占めていた。人口当たりのHIV陽性累積数は、都道府県別では、東京、大阪、茨城、長野、山梨の順で多く、HIV感染者とAIDS患者の6割が関東に集中している。男性間性的接触をする男性(MSM:men who have sex with men)の割合については、2005年度国勢調査における対象地域(関東、東海、近畿、九州)の男性では、性交渉の相手が同性のみ、もしくは両性である割合が2.0%(95%CI:1.32~2.66%)と報告されている。井戸田氏は、MSMにおけるHIVや性感染症の流行の背景として、解剖学的差異、性交渉の様式、ハッテン場・インターネットでの出会い、薬物(アルコール含む)、心理的要因を挙げた。HIV陽性者の予後と今後の課題HIV陽性者の予後は、抗HIV療法の登場により、20歳時の平均余命が36.1歳(1996~1999年)から49.4歳(2003~2005年)に延長した。また、抗HIV療法の登場により、カポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫などのエイズ関連悪性腫瘍が減少する一方で、非エイズ関連悪性腫瘍(肛門がん、ホジキンリンパ腫、肝がん、皮膚がん、肺がん、頭頸部がん)が増加してきている。HIV陽性者においては脳心血管イベントの発生率が上昇する。禁煙によりそのリスクを下げることができるが、井戸田氏によると、同院を訪れるHIV陽性MSMでは喫煙者が多く52%に喫煙歴があったという。また、最近、抗HIV療法に関連した骨粗鬆症、腎機能障害、代謝性疾患(脂質異常症、糖尿病)が問題となっている。井戸田氏は、HIVに直接関係のないこれらの疾患について、「それぞれの分野の先生に診てもらえるとHIV陽性者や拠点病院にとって大きな支えになる」と各領域の医師からの協力を期待した。(ケアネット 金沢 浩子)

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MRSA陽性の皮膚・軟部組織感染症患者、4分の1がMSSAに移行

 皮膚・軟部組織感染症(SSTI)でかつメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)陽性患者のうち、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)に移行する患者が顕著な頻度で存在することが、米国・オレゴン健康科学大学のAnisha B. Patel氏らによる外来・入院該当患者の後ろ向き調査研究の結果、明らかになった。215例のうち25.6%がMSSAに移行していたという。JAMA Dermatology誌2013年10月号の掲載報告。 外来でのMRSA感染患者の増加は、MRSAに対する経験的抗菌薬治療のさらなる増加をもたらしているが、有効な経口抗菌薬は限られていること、またさらなる耐性菌への懸念から、同治療傾向については議論の的となっている。 そこで研究グループは、MRSA SSTI患者のMSSAへの移行率を調べることを目的とし、同大学病院およびクリニックの入院・外来患者の医療記録を後ろ向きにレビューした。 2000年1月1日~2010年12月31日の間に、MRSA陽性SSTIであったが、その後1ヵ月以降に黄色ブドウ球菌の SSTIが培養で証明されていた患者のデータを対象とした。社会人口統計学的制限は設けなかった。本調査は最低200例を被験者とすることを条件とした。 主要評価項目は、SSTI患者がMRSA陽性のままであったかMSSAに移行したかどうかであった。 主な結果は以下のとおり。・データベースを遡って1,681例の患者の医療記録をレビューした。そのうち215例が試験基準を満たした。・215例のうち64例(29.8%)が、少なくとも1回はMSSAに移行していた。移行後の試験期間中MSSAであった患者は55例(25.6%)であった。・MSSAへの移行を増減する因子についても調べた結果、侵襲的処置ありが唯一、MRSA陽性のままとする、統計的に有意なリスク因子であった(相対リスク:1.20、95%CI:1.02~1.41、p=0.03)。・以上から、MRSA SSTI患者は、その後MSSA SSTIに顕著な頻度で移行する能力を有していることが示された。・MRSAリスク因子に関するさらなる検討と、それらリスク因子のその後の感染への影響が、経験的治療を行う際に役立つ可能性がある。・MRSA陽性であった患者において新たな感染を認めた場合は、黄色ブドウ球菌は変化するということを認識しながらの治療戦略を慎重に行う必要がある。

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ストレス潰瘍の予防薬と心臓外科患者における院内肺炎のリスク:コホート研究(コメンテーター:上村 直実 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(141)より-

本論文では、米国の約500病院からの患者データが集積されているPremier Research Databaseを用いた後ろ向きコホート研究において、冠動脈バイパス術(CABG)の術後早期にストレス潰瘍の予防目的で投与された胃酸分泌抑制薬と術後院内肺炎の発症について検討した結果、プロトンポンプ阻害薬(PPI)使用群の術後の肺炎リスクがH2ブロッカー(H2RA)使用群に比べて有意に高いと結論されている。 ICDコードを用いた大規模な病院患者データベースを利用した後ろ向きコホート研究という研究デザインである点、また、集積期間のCABG症例27万7,892例のうち、入院3日目以降にCABGを施行された12万6,608例中、術後2日間にPPIないしはH2RAの投与を受けた患者9万5,459例をリクルートして、さらにCABG施行前に抗生物質やPPIなどの胃酸分泌抑制薬の投与を受けた6万9,036例(72.3%)などを除外した2万1,214例(22.2%)のみがコホートの対象となっている点を考慮した解釈が必要であるが、CABG術後早期に用いる胃酸分泌抑制薬としてはH2RA(4.3%)に比べてPPI(5%)の方が術後肺炎のリスクが高いことは確かと思われる。 著者も考察しているように、PPI群とH2RA群の両者において術後の消化管出血の発症リスクに差がなかったにも関わらず、肺炎リスクはPPI群が有意に高値であった点は意外であり、今後の研究課題と思われる。 しかし、いずれにせよ、CABG後に胃酸分泌抑制剤、とくにPPIを使用する際には、術後経過中の肺炎に注意した対応が重要であろう。さらに、日本でもNational Data Baseが構築されつつあり、今後、大規模データベースを用いたエビデンスの構築を考える際には、研究デザインや対象の取り方が重要となることについても教えられる研究論文である。

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臨床スコアに基づく抗菌薬処方、症状と抗菌薬使用を抑制/BMJ

 プライマリ・ケアにおいて、レンサ球菌感染を予測する臨床スコアに基づく抗菌薬処方は、症状のコントロールを改善し抗菌薬の使用を減少させることが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏らが実施したPRISM試験で示された。プライマリ・ケアでは、急性咽頭炎患者のほとんどに抗菌薬が処方されている。抗菌薬使用の可否や薬剤の選定には、迅速抗原検査や臨床スコアが使用されることが多いが、これを支持する強固なエビデンスはこれまでなかったという。BMJ誌オンライン版2013年10月10日号掲載の報告。臨床スコア、迅速抗原検査の有効性を無作為化試験で評価 PRISM(primary care streptococcal management)試験は、プライマリ・ケアにおけるレンサ球菌感染症の臨床スコアおよび迅速抗原検査に基づく抗菌薬処方の有効性を待機的抗菌薬処方と比較する無作為化対照比較試験。3歳以上の急性咽頭炎(発症後2週間以内)および咽頭の肉眼的異常(紅斑、膿)がみられる患者を対象とした。 被験者は、以下の3群に無作為に割り付けられた。(1)待機的抗菌薬処方(対照群):処方薬を用意して保管し、患者には症状が安定しなかったり、かなり悪化した場合には、3~5日後に受け取るよう指示する、(2)レンサ球菌感染症を予測するよう設計された臨床スコア:0/1点の患者には抗菌薬を処方せず、≧4点にはただちに処方し、2/3点には待機的抗菌薬処方を行う、(3)臨床スコアに基づく迅速抗体検査:臨床スコアが0/1点の患者には抗菌薬の処方や迅速抗体検査は行わず、2点には待機的抗菌薬処方を行い、≧3点には迅速抗体検査を行って陰性の場合、抗菌薬は処方しない。 主要評価項目は、リッカート尺度(0~6の7点法による診察後2~4日の咽頭炎/嚥下困難の平均重症度)を用いた患者の自己申告による症状の重症度とし、症状発現の期間や抗菌薬の使用状況の評価も行った。合併症や再診率の増加はない 2008年10月~2011年4月までに、英国の21のプライマリ・ケア施設から631例が登録され、対照群に207例(平均年齢29歳、女性67%、受診時の罹病期間4.9日)、臨床スコア群に211例(31歳、60%、4.5日)、臨床スコア+迅速抗体検査群には213例(29歳、65%、5.0日)が割り付けられた。症状の重症度のデータは、502例(80%)から得られた(各群168例、168例、166例)。 受診後2~4日の咽頭炎/嚥下困難の平均スコアは、対照群に比べ臨床スコア群で有意に低下し(補正後Likertスコアの平均差:-0.33、95%信頼区間[CI]:-0.64~-0.02、p=0.04)、迅速抗体検査+臨床スコア群でもほぼ同等の効果が得られた(-0.30、-0.61~0.004、p=0.05)。 対照群では、「やや悪い症状または症状の増悪」の持続期間(中央値)は5日間であった。対照群に比べ、臨床スコア群ではこれらの症状がより速やかに改善した(ハザード比[HR]:1.30、95%CI:1.03~1.63、p=0.03)が、迅速抗体検査+臨床スコア群では有意差は認めなかった(1.11、0.88~1.40、p=0.37)。 対照群の抗菌薬使用率は46%(75/164例)であった。これに対し、臨床スコア群の使用率は37%(60/161例)、迅速抗体検査+臨床スコア群は35%(58/164例)であり、それぞれ29%(補正リスク比:0.71、95%CI:0.50~0.95、p=0.02)、27%(0.73、0.52~0.98、p=0.03)の有意な低下が認められた。 合併症(中耳炎、副鼻腔炎、化膿性扁桃腺炎、蜂巣炎)の発症率や、咽頭炎による再診率は3群間に差はなかった。 著者は、「急性咽頭炎に対する、臨床スコアを用いた抗菌薬処方により、症状のコントロールが改善され、抗菌薬使用が低下した。臨床スコアに基づく迅速抗体検査も同等のベネフィットをもたらしたが、臨床スコア単独を超える明確なベネフィットは確認できなかった」とまとめ、「2つの検査は共に臨床スコアを用いるため、電話トリアージに妥当かは不明である」と指摘している。

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成人市中肺炎のリスクとなるライフスタイル・基礎疾患は?

 市中肺炎は、成人、とくに高齢者において高い罹患率および死亡率をもたらす。スペイン・バルセロナ大学のAntoni Torres氏らは、PubMedの構造化検索により、欧州における成人市中肺炎発症率の最新データとライフスタイルや市中肺炎の危険因子に関するデータを同定し、成人市中肺炎のリスク増加と喫煙などのライフスタイル因子や基礎疾患との関連を検討した。Thorax誌2013年11月号に掲載報告。市中肺炎のリスク増加に関連したライフスタイルの因子は? 主な結果は以下のとおり。・成人市中肺炎全体の年間発症率は、1,000人年当たり1.07~1.2、人口1,000人当たり1.54~1.7であり、年齢の上昇とともに増加した(65歳以上で1,000人年あたり14)。・男性のほうが、女性、慢性呼吸器疾患患者、HIV感染症患者より、市中肺炎発症率が高かった。・市中肺炎のリスク増加に関連したライフスタイルの因子は、喫煙、過度の飲酒、低体重、子どもや歯科衛生状態が悪い人々との定期的な接触であった。・合併症(慢性呼吸器疾患、慢性心血管疾患、脳血管疾患、パーキンソン病、てんかん、認知症、嚥下障害、HIV、慢性腎疾患、慢性肝疾患)が存在すると、市中肺炎リスクが2~4倍増加した。

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ICUの耐性菌感染率、手袋とガウン常用を義務づけても低下せず/JAMA

 ICUにおいて、患者と接する際には常に手袋とガウンを着用することを義務づけても、処置や手術時に着用する通常ケアの場合と比べて、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の感染率について有意な差は認められなかったことが、米国・メリーランド大学のAnthony D. Harris氏らによる無作為化試験の結果、報告された。これまでICUでのユニバーサルな対応が耐性菌の感染を抑制するかどうかは不明であったという。JAMA誌2013年10月16日号掲載の報告より。通常ケアとユニバーサルな着用義務づけ介入とを多施設で比較検討 試験は、ICUにおいて、全患者に対して手袋とガウンの着用を義務づける介入が、通常ケアと比較してMRSAやVREの感染を抑制するかを評価することを目的とした。2012年1月4日~2012年10月4日の間、全米20病院のICUにて行われたクラスター無作為化試験であった。 介入群では、医療従事者は全員、ICUに入室する際に、接触する患者を問わず手袋とガウンを着用することが要求された。 主要アウトカムは、MRSAまたはVREの感染率で、入院時およびICU退出時のサーベイランス培養に基づいて評価した。副次アウトカムとして、VRE、MRSAそれぞれの感染率、医療従事者が入室した回数、手指消毒コンプライアンス、医療従事者が関連した感染、有害イベントなども評価した。MRSA感染率単独では減少みられたが、限定的な結果とみるべき 試験期間中の患者2万6,180例から、主要アウトカムの解析に9万2,241件のスワブが集まった。 介入群の感染率は、ベースライン時1,000患者・日当たり21.35(95%信頼区間[CI]:17.57~25.94)から、試験期間中は同16.91(同:14.09~20.28)に低下していた。一方、対照群も、同19.02(同:14.20~25.49)から16.29(同13.48~19.68)に低下しており、両群に統計的な有意差は認められなかった(1,000患者・日当たりの感染格差:-1.71、95%CI:-6.15~2.73、p=0.57)。 また、副次アウトカムでは、VRE感染率は差がみられなかったが(格差:0.89、95%CI:-4.27~6.04、p=0.70)、MRSA感染率はわずかに減少がみられたが有意差はなかった(同:-2.98、-5.58~-0.38、p=0.46)。 介入群では、医療従事者の入室回数が有意に減り(1時間につき4.28回vs.5.24回、格差:-0.96、95%CI:-1.71~-0.21、p=0.02)、入退室時の手指消毒コンプライアンス率が上昇した(78.3%vs.62.9%、格差:15.4%、95%CI:8.99~21.8、p=0.02)。しかし、有害イベントへの統計的に有意な効果はみられなかった(有害イベント発生率は1,000患者・日当たり58.7件vs. 74.4件、格差:-15.7、95%CI:-40.7~9.2、p=0.24)。 著者は、「ICUにおいて手袋とガウンの常用が通常ケアと比べて、主要アウトカムのMRSAまたはVRE感染率の差には結びつかなかった。MRSA単独では感染率の低下がみられたが、有害イベント発生率には差はみられず、これらの結果は限定的なものであり、さらなる検証が求められる」と結論している。

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統合失調症では自己免疫疾患リスクが1.53倍

 自己免疫疾患を有する者、およびわずかでも有意な自己免疫疾患の家族歴を有する者において、統合失調症のリスクが増加することが、これまでの研究で示されている。デンマーク・オーフス大学のMichael E. Benros氏らは、統合失調症と自己免疫疾患との関連、および感染症の影響について検討を行った。その結果、統合失調症患者では自己免疫疾患を続発するリスクが高く、罹患率が1.53倍であること、感染症は自己免疫疾患の発症に、より大きく関与していることが示唆されたことを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月16日号の掲載報告。 本研究では、まず、統合失調症とそれに続く自己免疫疾患との関連を検討し、さらに統合失調症と自己免疫疾患の両者におけるリスクファクターである感染症の影響について考察した。デンマーク全国レジスターに登録されている383万人のうち、統合失調症様精神病患者 3万9,364例、自己免疫疾患患者14万2,328例を特定し、年齢および性別で補正し生存解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では自己免疫疾患を続発するリスクが高く、発生率は1.53倍(95%CI:1.46~1.62)であった。・感染症で病院を受診していない患者において、統合失調症罹患に及ぼす影響は小さかった。一方で、自己免疫疾患は発生率が1.32倍(95%CI:1.22~1.43)増大した。・統合失調症患者と感染症で受診した患者の、自己免疫疾患の統合リスクは2.70(95%CI:2.51~2.89)であった。・統合失調症の家族歴は、自己免疫疾患が続発するリスクをやや上昇させた(罹患率比:1.06、95%CI:1.02~1.09)。・統合失調症患者の3.6%が自己免疫疾患を発症し、自己免疫疾患患者の3.1%に統合失調症の家族歴があった。・以上より、統合失調症患者において自己免疫疾患が続発するリスクの増加は、未診断の自己免疫疾患からの神経精神徴候、統合失調症に関連する治療や生活習慣、感染症や遺伝要因などの病因メカニズムを含んでいる可能性が示唆された。関連医療ニュース 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

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今シーズンのタミフル供給計画が発表される

 中外製薬は24日、スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュ社から輸入し、製造・販売している抗インフルエンザウイルス剤「タミフルカプセル75」「タミフルドライシロップ3%」(一般名:オセルタミビルリン酸塩/以下、タミフル)について、2013-2014年シーズン(以下、今シーズン)に向けての供給計画がまとまったと発表した。 今シーズンのタミフル供給計画(2013年10月24日時点)は以下のとおり。 タミフルカプセル75   500万人分 タミフルドライシロップ3%  300万人分 合計   800万人分 同社は、インフルエンザウイルスの流行拡大の状況に応じて追加供給も検討するという。詳細はプレスリリースへ

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