インフルエンザワクチン接種者で心血管イベント減少/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/06

 

 心血管疾患リスクの高い患者に対するインフルエンザワクチンの接種により、心血管イベントが抑制されることが、カナダ・トロント大学のJacob A Udell氏らの検討で示された。非古典的な心血管リスク因子のうち、気道感染症の原因となるインフルエンザやインフルエンザ様感染が、致死的および非致死的なアテローム血栓性イベントと関連することが指摘されている。また、インフルエンザワクチン接種により心血管イベントが抑制されることが、いくつかの疫学試験で示唆されている。JAMA誌2013年10月23日号掲載の報告。

心血管イベント予防効果をメタ解析で評価
 研究グループは、インフルエンザワクチンによる心血管イベントの予防効果を検証するために、文献を系統的にレビューし、メタ解析を行った。対象は、高い心血管疾患リスクを有する患者においてインフルエンザワクチン接種とプラセボまたは対照を比較した無作為化試験で、有効性あるいは安全性のイベントとしての心血管アウトカムについて報告している論文とした。

 3つの医学データベース(MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library Central Register of Controlled Trials)を用いて、2013年までに発表された無作為化試験の論文を検索した。選出された論文から、2名の研究者が別個に、試験デザイン、ベースラインの患者背景、アウトカム、安全性などのデータを抽出した。無作為化、割り付け情報のマスク、盲検法、フォローアップの完全性に関する適切な方法の記述がある論文を質の高い試験と判定した。

 複合心血管イベント(心筋梗塞による死亡または入院、不安定狭心症、脳卒中、心不全、緊急冠動脈血行再建術)、心血管死、全死因死亡について、ランダム効果モデルを用いてMantel-Haenszel法によりリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、割り付け前の1年以内の急性冠症候群(ACS)の有無で層別化した。

複合心血管イベントが有意に36%低下
 発表済みの5試験と未発表の1試験に参加した6,735例(ワクチン群3,373例、プラセボ/対照群3,362例)が解析の対象となった。全体の患者背景は、平均年齢67歳、女性51.3%、心疾患の既往歴36.2%で、平均フォローアップ期間は7.9ヵ月であった。

 発表済みの5試験の解析では、1年以内の複合心血管イベントの発症率はインフルエンザワクチン群が2.9%(95/3,238例)であり、プラセボ/対照群の4.7%(151/3,231例)に比べ有意に低かった(RR:0.64、95%CI:0.48~0.86、p=0.003)。

 ACSの既往歴のある患者では、インフルエンザワクチン接種による複合心血管イベントの抑制効果が認められた(RR:0.45、95%CI:0.32~0.63、p<0.001)が、既往歴のない患者では有意な抑制効果はみられず(0.94、0.55~1.61、p=0.82)、ACSによる交互作用が示唆された(交互作用検定:p=0.02)。

 1年以内の心血管死(ワクチン群1.3% vs プラセボ/対照群1.7%、RR:0.81、95%CI:0.36~1.83、p=0.61)および全死因死亡(1.9 vs 2.1%、0.85、0.45~1.61、p=0.62)には有意な差はみられなかった。

 未発表の1試験のデータを加えても、結果は同様であった。

 著者は、「インフルエンザワクチン接種により、心血管疾患のリスクが高い患者において有害な心血管イベントのリスクが低下した」と結論し、「これらの知見を検証し、心筋梗塞や脳卒中などの個々の心血管エンドポイントを評価するために、適切なパワーを備えた大規模な多施設共同試験を行う必要がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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コメンテーター : 西山 信一郎( にしやま しんいちろう ) 氏

大手町フィナンシャルシティ 西山クリニック 院長

J-CLEAR評議員