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12~18歳のデルタ株への感染予防効果90%、ファイザー製ワクチン/NEJM

 デルタ変異株が流行しているイスラエルで、ファイザー製ワクチンの効果を12~18歳を対象とした観察コホート研究で調べたところ、2回目接種後7~21日の感染予防の有効率は90%、発症予防の有効率は93%だった。この結果から、ファイザー製ワクチンの接種完了後数週間は、デルタ株への感染とCOVID-19発症のどちらにも非常に有効であることが示唆された。米国・Boston Children's HospitalのBen Y. Reis氏らが、NEJM誌オンライン版2021年10月21日号のCORRESPONDENCEで報告した。 著者らは、デルタ変異株に対するファイザー製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の有効性を推定するために、イスラエル最大の医療機関であるClalit Health Servicesのデータを使用し、2021年6月8日~9月14日にワクチン接種を受けていた新型コロナウイルス感染歴のない12~18歳を対象に観察コホート研究を実施した。ワクチンの有効率は、1からリスク比を引いた数字とした。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種者18万4,905人のうち、13万464人が適格要件を満たし、このうち9万4,354人がワクチン未接種の対照9万4,354人と一致した。・PCR検査の頻度は、ワクチン接種群とワクチン未接種群で同様だった。・感染のカプランマイヤー曲線は、最初の数日間はワクチン接種群と未接種群で類似していたが、その後ワクチン接種群で上昇が遅れ始めた。・新型コロナウイルス感染に対する推定有効率は、初回接種後14~20日で59%(95%信頼区間[CI]:52~65)、初回接種後21~27日で66%(同:59~72)、2回目接種後7~21日で90%(同:88~92)だった。・COVID-19発症に対する推定有効率は、初回接種後14〜20日で57%(95%CI:39〜71)、初回接種後21〜27日で82%(同:73〜91)、2回目接種後7〜21日目で93%(同:88〜97)だった。

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新型コロナウイルスワクチン接種によりギラン・バレー症候群の発症リスクは4倍に高まる(解説:内山真一郎氏)

 米国食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルスワクチンAd26.COV2.S(ヤンセン/ジョンソン・エンド・ジョンソン)接種後のギラン・バレー症候群(GBS)に懸念を表明しているが、2021年7月までに全米で報告された130例を分析している。平均年齢は56歳、65歳未満が86%、男性が60%であった。ワクチン接種後GBS発症までの平均日数は13日、93%は重症、死亡は1例であった。これはワクチン接種10万回に1件発症する計算になる。期待値に対する観察値の比率は4.18であり、ワクチン接種によりGBSの発症リスクは4倍以上に高まることになり、年間10万人当たり6.36例発症すると推計される。このように、ワクチン接種後の発症率は低いものの、発症リスクは有意に高まることから、本ワクチン接種には安全性に懸念を持たざるを得ないと結論している。ただし、本研究は受動登録システムによる診療記録の分析であり、GBSの確定診断も確立する必要があることを課題として挙げている。 ところで、欧州医薬品庁(EMA)は、7月末までにアストラゼネカ製ワクチン5億9,200万回のうち、GBSが833件発症したことを報告している。また、英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、10月13日までにGBSがアストラゼネカのワクチンで432件、ファイザー/ビオンテックのワクチンで59件、モデルナのワクチンで4件発症したことを報告している。日本でも厚生労働省からの報告が待たれる。

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第81回 週刊誌にトンデモ記事を載せないためコロナ第6波予測で重要視するのは…

医療をテーマにしたフリージャーナリストという立場になると、今回の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)関連では週刊誌からはよくコメントを求められることがある。大概は医師が捉まらない時の代役のようなものである。もっとも1ヵ月前くらいから新規感染者報告数が激減したことにより落ち着いてきたが、ここに来てまたぽつぽつと連絡が入るようになった。しかもそのすべてが判で押したように同じことを聞く。 「第6波はいつ来るんですかね?」こういう未来予測的なものが一番答えにくい。というか、こうしたことはたいてい予測通りにはならない。そもそも今回の新型コロナに関しては感染症専門医ですら悪い意味で何度も予測を外しているはずだ。具体例を挙げるなら、中国でのパンデミック勃発当初、全世界にこれほど広がるとは思っていなかっただろうし、発症前の無症状期に感染力があったというのも意外だったろう。そして比較的容易に飛沫感染するため、これまでの感染症対策としてのマスクの位置付けを大きく変えてしまった。また、ウイルスの生存原理としては変異株で感染力が増せば、ウイルスは弱毒化すると考えられているが、新型コロナの変異株では感染力も毒性も高くなっていると報告されている。唯一良い意味で予測が外れたのは、わずか1年弱でワクチンが登場したことぐらいではないか。そんなこんなもあって前述のような問いには「来る可能性はあるかもしれないが、まったく来ない可能性もあるかも」とぼやかしているが、そう答えると「では、来るとしたらいつですか?」と突っ込まれてしまう。「冬じゃないですか?」と答えると、「冬のいつですか?年内ですか、年明け以降ですか?」と続くので、結局何らかの予測を答えざるを得ない状況に追い込まれる。答えないという手もあるのだが、そうすると時に記者が完全なトンデモ系の人に流れて“トンデモ記事の一丁あがり”になることもある。自分は一応、かなり抑制的に答えているつもりなので、それを防ぐ意味でも答えざるを得なくなる。今私が答えている内容はこんな感じだ。まず、冬期は低湿度・水分摂取量の減少で気道の絨毛の働きが弱くなるため、一般論として多くの人で呼吸器感染症にかかるリスクが高まる。たとえば東京都内で見ると、平均相対湿度が50%台と最も低水準になるのは12月~3月にかけてである。一方、第6波の到来に影響を与えるのが、当然ながらワクチン接種率である。10月27日時点で全人口に占めるワクチン接種完了率は70.6%とついに7割超となった。しかし、デルタ株の基本再生産数5.0~9.5人から算出できる、今時点で必要な接種率は80~89%(集団免疫獲得に必要な全人口に占めるワクチン接種完了者率)とかなり高めで、この達成はかなり難しい。ただ、希望者全員への接種完了は11月中と予想されており、そう考えるとある意味まだフレッシュな抗体を獲得した人がいる年内に第6波は考えにくい。一方、国内で優先接種対象になった医療従事者や高齢者では徐々に抗体価が低下してくる。先日Lancet誌に公表された論文でのファイザーのコミナティ筋注の感染予防効果はワクチン接種5ヵ月後で47%である。その意味でワクチンによる感染予防効果の低下を考えると、優先接種対象者はすでにややリスクが高い状態である。もっとも医療従事者は一般人よりも厳格な感染予防対策を行っており、高齢者はそのほかの年齢層以上に冬期の外出を控えがちになるので、これらの人たちで感染が再燃して拡大する可能性は低いのではないだろうか? また、3回目のブースター接種が年内にスタートすれば、医療従事者や高齢者での感染者増加の可能性はかなり低くなると考えられる。となると高齢者や基礎疾患保有者以外の一般接種が本格化した7月から5~6ヵ月後ということになり、この点からも第6波が到来するとしたら年明けの1月以降と予測される。もっともこの予測に大きく影響を与えるファクターが2つある。1つはこれまた「ワクチン接種率」で、運よく集団免疫達成の80%ラインを超えた場合、第6波はかなり後ろにずれ込むか、来ても小規模なものになる、あるいはベストのシナリオとして「来ない」ということもありうる。もう1つのファクターが「人流の増加」で、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全国で解除され、今後極端に人流が増加した場合に第6波到来は年内に前倒しになるかもしれない。だが、いずれにせよワクチン接種率が7割超なのでブレイクスルー感染を考慮しても第5波に比べてかなり規模が小さくなるのではないか。これが正解であるかはわからない。むしろこの予測が良い意味では外れて「第6波到来せず」のシナリオであってほしいと本気で考えている。

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ファイザー社製COVID-19ワクチンの変異株に対する有効性の経時的変化(解説:小金丸博氏)

 ファイザー社製のCOVID-19ワクチンのリアルワールドにおける有効性を評価した後ろ向きコホート研究がLancet誌に報告された。ワクチンの有効性は6ヵ月間持続するのか、デルタ変異株に対しても予防効果はあるのか、といった疑問に対する1つの答えを提示している。 ワクチンのSARS-CoV-2感染に対する有効性は73%(95%信頼区間[CI]:72~74)だったが、ワクチン接種1ヵ月後と5ヵ月後を比べると、88%(同:86~89)から47%(同:43~51)に低下した。この現象はデルタ株、非デルタ株ともに認めており、ワクチンの感染予防効果は変異株の種類にかかわらず、経時的に低下することが示された。 ワクチンのCOVID-19関連の入院に対する有効性は90%(95%信頼区間[CI]:89~92)だった。ワクチン接種6ヵ月後までのデルタ変異株によるCOVID-19関連の入院に対する予防効果は93%(同:84~96)と高率であり、入院予防効果が6ヵ月間は持続することが示された。ワクチンによる入院予防効果がいつまで維持されるのか、今後の研究結果を待ちたい。 2021年6月~7月にかけて世界中でデルタ変異株が流行した。イスラエルや米国からの報告によると、デルタ変異株に対してワクチンの有効性が低下する可能性が示唆されていたが、本研究の結果からは、ワクチン有効性の低下の原因は変異株の影響より、時間経過とともに免疫力が低下したことが主な要因と考えられた。COVID-19ワクチンに関する今後の課題として、新たな変異株に対する有効性の評価や、ブースター(追加)接種スケジュールの確立などが挙げられる。感染予防効果を維持するためにはワクチンのブースター接種は必須と考えられるため、的確なワクチン接種スケジュールの確立のために、さらなる知見の集積が必要である。

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第81回 新型コロナに「新たな変異株」が確認されたロシアの今

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数が連日3万人を超えるロシアで、デルタ株よりも感染力が強いとみられる変異株の感染が確認された。専門家によると、新たな変異株「AY.4.2」の感染力は、デルタ株を10%程度上回る可能性があり、流行すれば感染者が一層増える懸念がある。ロシア政府の国産ワクチンへのこだわり、国民のワクチンに対する不信や危機意識の薄さが、接種率の低迷(2回目は32%)、ひいては感染拡大の背景にあると指摘されている。国際的に経済活動が活発化しつつある中、ロシア発の新型変異株が拡散するようなことはあってはならない。自国ワクチンと政府に対する国民の不信ロシアは新型コロナのパンデミックに際し、世界初のワクチン生産と接種に動いた。しかし、接種は自国製ワクチンの「スプートニクV」に限定され、その有効性に対する国民の不信感もあり、接種率はすこぶる低調だ。また、9月に実施された総選挙では、野党指導者の身柄拘束や立候補禁止措置、バラ撒き政策など、政府・与党のなりふり構わぬ選挙対策が国民の政治不信を招き、これらもまたワクチン接種率が上がらない一因となっている。ロシア政府は、世界保健機関(WHO)に対し「スプートニクV」の緊急使用の申請をしたが、「承認に必要なデータや法的な手続きに不足がある」との理由で承認されず、ワクチン売り込みで競う中国製ワクチンは、すでに2種類が承認されている。11月8日から始まる米国の新たな入国規制では、入国に必要なワクチン接種証明はWHOの承認を得たものに限られるため、「スプートニクV」の接種証明では入国許可の対象外となる。ロシア政府のワクチン外交に打撃となっていることは想像に難くない。金融市場は活況でも実態経済は悪化の懸念ロシアでは昨年、新型コロナ感染対策として大都市部を中心に外出禁止令などを実施したが、実体経済に悪影響を及ぼしたため、その後は行動制限に及び腰の対応が続いた。しかし、感染拡大に歯止めが掛からない中、プーチン大統領は先ごろ、国内全土の企業や学校などを休みにする「非労働日」を設ける大統領令を発表。モスクワやサンクトペテルブルクでは、生活必需品を扱う店以外の営業を停止するなど経済活動を制限し、不要不急の外出を控えるよう市民に呼び掛けている。金融市場では、原油高や金融引き締めを追い風にルーブル相場や株価は堅調に推移しているものの、実体経済への悪影響が今後の市場環境を激変させる可能性もある。自国ワクチン偏重主義や、国民の信用が得られない政府の在り方がワクチン接種率の低迷をもたらしているロシア。政治と感染症対策が一蓮托生であるということをつくづく思い知らされる。

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6~12歳未満にコロナワクチン半量投与で強い抗体、第III相試験中間解析/モデルナ

 米国・モデルナ社は10月25日付のプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、12歳未満の小児を対象にした第II/III相試験の中間解析のデータを公表した。公表したのは6歳~12歳未満のコホートで、良好な安全性プロファイルを有するmRNA-1273ワクチン50μg(通常100μgのところ、その半量)を2回投与したところ、強い中和抗体応答を示したという。モデルナは、本解析結果を近く米国食品医薬品局(FDA)をはじめ、海外諸国の規制当局に提出する。 モデルナが6ヵ月~12歳未満の小児を対象に実施している第II/III相試験(KidCOVE試験)では、6ヵ月~2歳未満、2~6歳未満、6歳~12歳未満の3つの年齢層に分け、mRNA-1273ワクチン50μgを2回接種した際の安全性、忍容性、反応原性および有効性を評価している。このうち6歳から12歳未満のコホートには4,753例が登録。第III相COVE試験(18歳以上対象、mRNA-1273ワクチン100μg×2回接種)で得られた若年成人と本コホートを比べたSARS-Cov-2血清中和抗体価の幾何平均比(GMR)は1.5(95%信頼区間[CI]:1.3~1.8)、血清反応率は99.3%だった。2回目接種の1ヵ月後に本コホートで強い免疫応答を示し、主要評価項目である第III相COVE試験を対照群として比較した免疫原性における非劣性を達成した。有害事象の大半は軽度または中等度で、最も一般的な誘発有害事象は、疲労、頭痛、発熱、注射部位の痛みだった。KidCOVE試験では、引き続き6ヵ月~6歳未満の小児の登録を継続し、研究が続いている。 COVID-19ワクチンを巡っては、米国・ファイザー社でも小児を対象とした臨床試験を進めている。同試験では、5~11歳の小児に対し、BNT162b2ワクチンの2回接種後7日以降の発症予防率が90.7%を示すデータが先ごろ公表され、FDAの諮問委員会は10月26日、ファイザー製ワクチンの緊急使用承認(EUA)の対象を5~11歳にも拡大するよう勧告した。

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D-ダイマー高値のコロナ中等症、ヘパリン治療量の有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院したD-ダイマー高値の中等症患者において、治療量のヘパリンは主要評価項目の有意な改善には至らなかったが、28日死亡リスクは低下し、大出血リスクは低いと考えられることが、カナダ・トロント大学のMichelle Sholzberg氏らによる医師主導の多施設共同無作為化非盲検(評価者盲検)比較試験「RAPID試験」で示された。これまで、無作為化試験において、治療量のヘパリンは中等症のCOVID-19入院患者には有益であるが、重症患者には効果がなく、治療量ヘパリンの開始時期が重要であることが示唆されていた。BMJ誌2021年10月14日号掲載の報告。治療量または予防量のヘパリンを28日間投与 研究グループは、中等症のCOVID-19入院患者に対するヘパリンの治療量と予防量の有効性を比較する目的で、ブラジル、カナダ、アイルランド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦および米国の28施設においてRAPID試験を実施した。 対象は、2020年5月29日~2021年4月12日に中等症COVID-19で入院し、D-ダイマー値上昇が認められた成人465例。治療量ヘパリン群(228例)または予防量ヘパリン群(237例)に、施設と年齢(≦65歳、>65歳)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化後24時間以内にヘパリン(低分子ヘパリンまたは未分画ヘパリン)による各用量での治療を開始し、退院、28日目、試験中止または死亡のいずれか早い時期まで継続した。 主要評価項目は、28日目までの全死因死亡、侵襲的機械換気、非侵襲的機械換気または集中治療室(ICU)入室の複合エンドポイント。副次評価項目は、全死因死亡、全死亡または機械的換気の複合、および静脈血栓塞栓症などで、安全性評価項目は大出血などであった。治療量ヘパリン群、28日全死因死亡リスクが有意に低下 被験者465例の背景は、平均年齢60歳、264例(56.8%)が男性、BMI平均値は30.3であった。 28日時点で主要評価項目のイベントは、治療量ヘパリン群で16.2%(37/228例)、予防量ヘパリン群で21.9%(52/237例)に発生した(オッズ比[OR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.43~1.10、p=0.12)。 死亡は、それぞれ4例(1.8%)および18例(7.6%)に発生(OR:0.22、95%CI:0.07~0.65、p=0.006)、全死因死亡と機械的換気の複合イベントはそれぞれ23例(10.1%)および38例(16.0%)に認められた(0.59、0.34~1.02、p=0.06)。 静脈血栓塞栓症の発生は、治療量ヘパリン群2例(0.9%)、予防量ヘパリン群6例(2.5%)で(OR:0.34、95%CI:0.07~1.71、p=0.19)、大出血はそれぞれ2例(0.9%)、4例(1.7%)(0.52、0.09~2.85、p=0.69)報告された。

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「トルリシティ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第75回

第75回 「トルリシティ」の名称の由来は?販売名トルリシティ®皮下注0.75mg アテオス®一般名(和名[命名法])デュラグルチド(遺伝子組換え)(JAN)効能又は効果2型糖尿病用法及び用量通常、成人には、デュラグルチド(遺伝子組換え)として、0.75 mgを週に1回、皮下注射する。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[インスリン製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない。] 3. 重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない。]※本内容は2021年10月27日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2021年3月改訂(第9版)医薬品インタビューフォーム「トルリシティ®皮下注0.75mgアテオス®」2)Lillymedical.jp:製品情報

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第81回 国立病院機構とJCHOに法律に基づく病床確保要求、民間への「要求」法制化の“前哨戦”か?

営業時間短縮の要請解除こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。各都道府県に出されていた緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除されて3週間余り、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では、飲食店の21時までの営業時間短縮要請が10月24日で解除され、25日からは通常営業が可能となりました。ということで先週末は、通常営業再開の事前お祝いのために、大学時代の山仲間と丹沢の塔ノ岳(お昼の頂上は200人近くの登山者で大賑わいでした)に登った後、「第75回 行動制限緩和の前に、あのナンセンスな制限だけは先行して撤廃を」でも書いた、横浜・関内にある友人が経営する焼肉屋に行ってきました。「お客さんに、ウーロン茶やノンアルコール飲料で焼肉を食べてもらわなければならないのがつらかった。時短要請解除はありがたい」と話す友人は本当にほっとした表情でした。思わず皆で高いワインを数本空けてしまいました。一方で、第6波を想定しての国の準備も進んではいるようです。今回は後藤 茂之厚生労働大臣が10月19日に行った、独立行政法人国立病院機構と独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の病院に対する新型コロナウイルス感染症の患者向け病床の確保要求について書いてみたいと思います。今夏の感染拡大のピーク時より2割以上増やせ後藤厚労相が国立病院機構、JCHOに対して行った今回の要求は、以下のようなものです1)。1)新型コロナウイルス感染症患者等の最大入院受入数及び確保病床数(人材供給を行った医療機関や臨時の医療施設等の病床数を含む)について、それぞれ今夏の感染拡大のピーク時と比べ2割以上増加させること。2)1の検討は、貴法人の有する施設・設備、人材をできる限り活用するとともに、一般医療の制限等を視野に入れ、行うこと。その際、重症用病床の確保に特段の配慮をすること。また、病床確保を第一としつつ、特段の事情によりこれが難しい場合には、臨時の医療施設等に対する人材供給を行うこと。3)現在、都道府県において策定中の保健・医療提供体制確保計画の策定に最大限協力すること。また、都道府県から即応病床化の要請があった場合にはできる限り速やかに対応するとともに、新型コロナウイルス感染症患者等の入院受入要請があった場合は、できる限り対応し、正当な理由なく断らないこと。端的に言えば、「重症病床中心に、今夏の感染拡大のピーク時と比べて2割以上増加させよ。都道府県からの即応病床化の要請や入院受け入れ要請には、できる限り対応せよ」ということです。国立病院機構とJCHOに対しては、10月29日までに対応方針を、11月22日までに対応の具体的内容を回答するよう求めています。厚労省によると、両機構の病院でのコロナ病床はこれまで計3,000床程度を確保しており、今回の要求によって600床以上の増床につながるとしています。法律に基づくコロナ病床の「要求」は初めてこれまでのコロナ病床の確保は“お願い”ベースの「要請」でした。しかし、今回はより強制力がある「要求」。法律に基づくコロナ病床の要求は、今回が初めてです。ここでいう法律とは、両機構の業務内容などを定めた、独立行政法人国立病院機構法(第21条第1項)と独立行政法人地域医療機能推進機構法(第21条第1項)です。これらの法律は、公衆衛生上重大な危害が生じる緊急事態に対処するため、厚労相が必要な業務の実施を求めることができると規定しており、その条項をコロナ病床の確保に適用したかたちです。ただし、これらの法律に罰則規定は設けられていません。日本赤十字社、済生会、労災病に対しては文書要請今回の要求は政府が10月15日に示した、第6波を想定した今後の新型コロナ対策の骨格に基づいて行われました。この骨格では、ウイルスの感染力が今夏の第5波の2倍になっても対処できる医療提供体制の整備を基本とし、(1)感染拡大時の確保病床の確実な稼働(利用率8割以上)、(2)公的病院の専用病床化・現行法下での権限の発動、(3)臨時医療施設・入院待機施設の確保、(4)医療人材の確保、(5)ITを活用した稼働状況の徹底的な見える化──などの施策を盛り込んでいます。この中の「公的病院の専用病床化・現行法下での権限の発動」を、国立病院機構とJCHOを対象に行ったというわけです。なお、厚労省は省の関連3法人(日本赤十字社、済生会、労災病院)やその他の公的病院に対しても、それぞれの管理部局から文書要請を行う予定です。こちらは法に基づかない要請として、入院患者の受け入れ数は「今夏のピーク時から2割以上」、確保病床数は「1割以上」の増加を求めるとしています。2機構への要求は「遅きに失した」感も岸田政権、そして後藤厚労省のコロナ関連の初仕事としては、とても意味のあることだとは思います。ただ、第5波が収まってからの病床確保の要求は、遅きに失した感が否めません。どちらの病院も、厚労省管轄で法律による要求が可能なのはわかっていたはずです。どうして菅政権下で行わなかったのか謎です。これまで、法律での要請はほとんど効果を上げていません。第5波ピーク時の9月初旬、東京都と厚生労働省が2月に改正した感染症法に基づいて出した病床確保の協力要請(「第72回 今さら「手紙」で協力求める日医・中川会長、“野戦病院”提言も動かない会員たちにお手上げ?」参照)では、すぐ使える病床の上積みはわずか150床に留まり、失敗に終わっています。幸いなことに第5波は収束に向かい、緊急の病床確保の必要度は下がりました。しかし、感染症法に基づく協力要請が無力に終わったことは、国や厚労省にとっては相当ショックだったはずです。ゆえに、来たるべき第6波に向けた病床確保には、強制力を発揮できる厚労省管轄の病院への「要求」が優先事項として上がったのかもしれません。中等症2や重症用ベッドにどこまで対応できるかは未知数今回、国立病院機構140病院、JCHO57病院への病床確保要求が行われたわけですが、単に病床を確保するだけでは不十分であることを、第5波などの経験から現場は十分認識していることでしょう。たとえば、第5波では、軽症、中等症、中等症2、重症といった各種コロナ病床の需給のバランスが大きく崩れました。中等症2以上の入院が優先された結果、中等症、重症者用ベッドが満床になる一方で、軽症用のベッドはガラガラという地域もあったと報告されています。今回、病床確保の要求がなされた国立病院、JCHO病院は、すべてが急性期の先進病院というわけではありません。中小の民間病院と同程度の医療内容、陣容だったり、慢性期主体だったり、医師や看護師不足にあえいでいたりする病院も少なくありません。厚労相の要求は「重症用病床の確保に特段の配慮」となっていますが、どれだけの数の病院が中等症2や重症用病床の確保に対応できるかは未知数です。厚労省は来年の通常国会を見据え、医療従事者や病床の確保などで強制力のある措置を可能にする感染症法改正を検討していると伝えられています。今回の「要求」で重症病床の確保が実現すれば、民間病院等にも「要求」できる法改正へとコマが進められると考えられます。その意味では、国立病院機構、JCHOへの「要求」は、民間にも対象を広げるための”前哨戦”と言えるかもしれません。その成否が気になります。参考1)独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構への要求等について

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新型コロナへのイベルメクチン使用、中毒症状の報告が急増

 腸管糞線虫症または疥癬の経口治療薬のイベルメクチン(商品名:ストロメクトール)を新型コロナウイルス治療薬として使用することに対し、製薬メーカーや米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)などから、安全性と有効性を支持するデータはなく使用を推奨しない旨の声明が重ねて出されている。さらに、イベルメクチン服用後の中毒症状を訴えて医療機関を受診する人が急増しているとの報告が、NEJM誌オンライン版2021年10月20日号「CORRESPONDENCE」に掲載された。イベルメクチンの不適切使用は重篤な副作用を引き起こす可能性 この報告は米国・ポートランドのオレゴン健康科学大学のCourtney Temple氏らによるもの。米国では獣医によるイベルメクチン使用が増加しており、人に対する処方数もパンデミック前の24倍になっており、2021年8月の処方数は前月比4倍と急増している。 オレゴン州のOregon Poison Centerは、専門的な訓練を受けた看護師、薬剤師、医師が常駐する電話相談センターであり、オレゴン・アラスカ・グアム州において、一般市民への治療アドバイスや患者をケアする医療従事者への包括的な治療相談を行っている。同センターには、最近、COVID-19に関連したイベルメクチン暴露に関する問い合わせが増えている。 イベルメクチンに関する通報の全通報に対する割合は、2020年には月0.25件だったが、2021年1月~7月までは月0.86件に増加し、2021年8月にセンターは21件の通報を受けた(毒物曝露に関する全通報数は2020年と2021年で大きな差はなかった)。 8月のイベルメクチンに関する通報21例のうち11例が男性で、大半が60歳以上だった(年齢中央値64、範囲20~81)。約半数(11例)はCOVID-19の予防目的で、残り10例は治療目的でイベルメクチンを使用していた。3例は医師または獣医師から処方を受け、17例は獣医師用の製剤を購入して使用していた(残り1例の入手先は未確認)。 大半の人は初回の大量かつ単回の投与後2時間以内に症状が発現した。6例では、1日おきまたは週2回の服用を数日から数週間繰り返した後、症状が徐々に現れた。1例は治療または予防目的でビタミンDも併せて摂取していた。 動物用医薬品の使用者は、1.87%ペーストで6.8mg~125mg、1%溶液で20~50mgのイベルメクチンを使用していた。人用錠剤の使用者は、予防目的で1回21mgを週2回使用していた。 通報した21例中6例がイベルメクチン使用による中毒症状で入院したが、処方により入手した 3例を含め、6例全員が予防目的の使用だった。4例は集中治療室で治療を受けたが、死亡例はなかった。症状は、胃腸障害が4例、錯乱が3例、運動失調と脱力が2例、低血圧が2例、痙攣が1例だった。入院しなかった人の多くは、胃腸障害、めまい、錯乱、視覚症状、発疹などの症状を報告した。 著者らは、これらの症例は、錯乱、運動失調、痙攣、低血圧などの重篤なエピソードを含むイベルメクチンの潜在的な毒性作用と不適切な使用が増加していることを表しており、COVID-19の治療や予防を目的としてイベルメクチンを使用することを支持する十分な証拠はなく、不適切な使用や薬物相互作用の発生は、入院を必要とする重篤な副作用を引き起こす可能性がある、と警告している。

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やせ過ぎは尿路感染症の死亡の危険因子に/国立国際医療研究センター

 尿路感染症のために入院している患者は年間約10万人と推定され、高齢になるほど患者は増え、90歳以上では1年間で100人に1人が入院し、その入院医療費は年間660億円にのぼると見積もられている。その実態はどのようなものであろう。 国立国際医療研究センターの酒匂 赤人氏(国府台病院総合内科)らは、東京大学などとの共同研究により、尿路感染症で入院した23万人の大規模入院データをもとに、尿路感染症による入院の発生率、患者の特徴、死亡率などを明らかにすることを目的に調査を行い、今回その結果を発表した。 その結果、年間約10万人が入院し、患者平均年齢は73.5歳で、女性が64.9%を占め、入院中の死亡率は4.5%だった。また、年代や性別にかかわらず、夏に入院患者が多く、冬と春に少ないという季節変動がみられた。23万人のデータを解析【研究の背景・目的】 尿路感染症は敗血症やDIC(播種性血管内凝固症候群)といった重篤な状態に至ることもあり、死亡率は1~20%程度と報告され、高齢、免疫機能の低下、敗血症などが死亡の危険因子だと言われているが、日本での大規模なデータはなかった。わが国の大規模入院データベースであるDPCデータを利用し、尿路感染症による入院の発生率などを明らかにすることを目的に研究を行った。【方法】 DPCデータベースを用い、2010~15年に退院した約3,100万人のうち、尿路感染症や腎盂腎炎の診断により入院した15歳以上の患者23万人のデータを後ろ向きに調査(除く膀胱炎)。年間入院患者数を推定し、患者の特徴や治療内容、死亡率とその危険因子などを調査した。【結果】・患者の平均年齢は73.5歳、女性が64.9%を占めた・年代や性別にかかわらず、夏に入院患者が多く、冬と春に少ないという季節変動がみられた・尿路感染症による入院の発生率は人口1万人当たりで男性は6.8回、女性は12.4回・高齢になるほど入院の発生率が高くなり、70代では1万人当たり約20回、80代では約60回、90歳以上では約100回・15~39歳の女性のうち、11%が妊娠していた・入院初日に使用した抗菌薬はペニシリン系21.6%、第1世代セフェム5.1%、第2世代セフェム18.5%、第3世代セフェム37.9%、第4世代セフェム4.4%、カルバペネム10.7%、フルオロキノロン4.5%・集中治療室に入ったのは2%、結石や腫瘍による尿路閉塞に対して尿管ステントを要したのは8%だった・入院日数の中央値は12日で、医療費の中央値は43万円・入院中の死亡率は4.5%で、男性、高齢、小規模病院、市中病院、冬の入院、合併症の多さ・重さ、低BMI、入院時の意識障害、救急搬送、DIC、敗血症、腎不全、心不全、心血管疾患、肺炎、悪性腫瘍、糖尿病薬の使用、ステロイドや免疫抑制薬の使用などが危険因子だった尿路感染症の死亡の危険因子で体型が関係 今回の調査を踏まえ、酒匂氏らは次のようにコメントしている。「尿路感染症は女性に多いことが知られているが、高齢者では人口当たりの男性患者は女性と同程度であることもわかった。夏に尿路感染症が多いことが、今回の研究でも確かめられ、さらに年代や性別によらないことがわかった。また、冬に死亡率が高いこともわかった。一方で、なぜ季節による変化があるのかについてはわからず、今後の他の研究が待たれる。患者一人当たりの平均入院医療費は約62万円(日本全体で年間約660億円と推定)がかかっており、医療経済的な観点でも重要な疾患であることが確かめられた。尿路感染症には軽症から重症なものまであり、死亡率は1~20%とかなり幅があるが、今回の研究では4.5%だった。死亡の危険因子として、従来わかっている年齢や免疫抑制などのほかにBMIが低いことも危険因子であることがわかった。近年、さまざまな疾患で太り過ぎよりもやせ過ぎていることが体によくないということがわかってきたが、今回の研究でもBMI18.5未満の低体重ではそれ以上と比べて死亡率が高いことがわかった」。 なお、今回の研究にはいくつかの限界があり、内容を解釈するうえで注意を要するとしている。

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第83回 小児にCOVID-19抗体は生じ難い~ワクチンは有望で効果91%

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した成人はほとんど(90%超)が抗体反応を示し、それらの抗体は少なくとも12ヵ月間は持続するようです1)。感染を経て抗体ができた成人の更なる感染は7~9割ほど少なくて済むようになることが示されています2,3)。一方、SARS-CoV-2感染(COVID-19)小児のどれほどが抗体を備えるかはわかっていませんでした。無症状や軽症の小児はなおさらそうです。そこでオーストラリアのMurdoch Children’s Research Instituteの感染/免疫研究者Paul Licciardi氏等は同国メルボルンの非入院の無症状か軽症のSARS-CoV-2感染患者108人を募って小児の抗体反応が成人とどう違うかを調べました4,5)。その結果、小児と成人のウイルス量は同程度だったにもかかわらずSARS-CoV-2への抗体ができていた小児の割合は成人のおよそ半分ほどでしかありませんでした。小児57人の年齢中央値は4歳で、それらのうち解析が可能だった54人のおよそ4割(37%;20/54人)にしかSARS-CoV-2への抗体ができていませんでした。成人は51人(年齢中央値37歳)のうち解析が可能だった42人の8割ほど(76%;32/42人)に抗体ができていました。抗体ができていた成人には細胞免疫も認められましたが、小児はそうなっておらず、小児が感染で確かな細胞免疫を確立することは難しいのかもしれません。SARS-CoV-2感染小児のほとんどは無症状か軽症で済んでいて入院を必要とすることはほとんどありません。しかしデルタ変異株をはじめとするSARS-CoV-2変異株の出現を受けて小児のSARS-CoV-2感染は2021年になって増えており、小児の免疫を危ぶむ声も上がっています。SARS-CoV-2に感染しても抗体ができなかった小児は再感染する恐れがあり、抗体ができ難い小児は長い目で見て成人に比べてSARS-CoV-2感染をより許してしまうのかもしれません。今回の結果によると小児をCOVID-19から守るためにワクチン接種を含む手立てを講じる必要があるようです5)。実際COVID-19ワクチンは成人や10代の若者と同様に幼い小児の感染予防の手立てとなりうることが今週開催される米国FDA諮問委員会に先立って先週末に公表された解析結果6,7)で示されています。第II/III相試験の第1集団2,268人の10月8日までのデータ解析の結果、Pfizer/BioNTechのmRNAワクチンBNT162b2は5~11歳小児のCOVID-19発症のほとんどを防ぎました。2,268人は2対1の割合でBNT162b2かプラセボに割り付けられ、BNT162b2投与群は1,518人、プラセボ群はその約半数の750人となりました。先立つ感染経験がない小児のCOVID-19発症数はBNT162b2投与群ではわずか3人でした。一方、プラセボ群はBNT162b2投与群より人数が少ないにもかかわらず16人がCOVID-19を発症し、BNT162b2は先立つ感染経験がない5~11歳小児のCOVID-19発症の90.7%を防ぎました。米国FDAの承認や疾病管理予防センター(CDC)の後押しが得られて事がすべてうまく運べば同国の5~11歳小児へのワクチン接種は来月11月の最初の週かその次の週には可能になるだろうと同国政府感染症対策のリーダーAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏は述べています8)。参考1)Feng C,et al. Nat Commun. 2021 Aug 17;12:4984.2)Rovida F,et al. Int J Infect Dis. 2021 Aug;109:199-202.3)Lumley SF, et al. N Engl J Med. 2021 Feb 11;384:533-540.4)Children with mild COVID-19 may lack antibodies afterward / Reuters5)Reduced seroconversion in children compared to adults with mild COVID-19. medRxiv. October 18, 20216)Pfizer Briefing Document / Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting October 26, 20217)FDA Briefing Document / Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting October 26, 20218)Wuhan research theory 'molecularly impossible': Fauci / abcNEWS

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COVID-19アルファ株とデルタ株の組換え体を検出/感染研

 国立感染症研究所は、10月18日に同研究所のホームページでアルファ株とデルタ株の組換え体のウイルスを6体検出したと発表した。 この検体は8月12日~9月1日に採取された検体で、検体の遺伝子配列のアライメント解析を行ったところ、21A(デルタ)系統であるものの、ORF6遺伝子からN遺伝子にかけて、20I(アルファ、V1)系統と同一の変異プロファイルを有する配列が存在した。また、ORF6遺伝子とORF7a遺伝子の間に組換えが起きた箇所と考えられる部位が存在した。 遺伝子解読において、当該検体に2種類のウイルスが混入していた可能性を示す所見はなく、両変異株の同時感染や他検体の混入によるものではないと考えられる。 6検体の遺伝子配列はほぼ同一で、共通起源を有するウイルスと考えられ、デルタ株の部分は国内で流行するデルタ株由来と考えられ、組換えが生じた箇所はORF6遺伝子以降で、感染性・免疫逃避に影響が生じる箇所ではなく、デルタ株と比較して感染・伝播性や免疫等への影響が強くなる可能性はないと考えられるという。よって、現時点では、本組換え体による追加的な公衆衛生リスクはないと考えられるが、今後の動向に注意するとしている。 異なる系統間のSARS-CoV-2ウイルスの組換え事例については、英国から報告があるが、アルファ株とデルタ株の組換え事例はこれまで報告がなかった。 これらの遺伝子配列はすべてGISAIDに登録済みであり、当該ウイルスの分離に成功しており、現在配列の確認作業を行っているという。 研究所では、引き続きゲノムサーベイランスによる発生動向の監視を行っていくとしている。

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COVID-19に対する薬物治療の考え方 第9版公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、10月11日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第9版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、前回8版以降の新しい知見やエビデンスの追加のほか、抗ウイルス薬、中和抗体薬に関しての追記、とくにソトロビマブが新しく追加された。中和抗体薬の項目をさらに厚く解説 新しく改訂、追加された項目は下記の通り。【抗ウイルス薬】 レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)についてRCTの記載が追加。軽症肺炎例を対象にしたレムデシビル5日投与群、レムデシビル10日投与群、標準治療群の3群に割り付け、11日目の評価にて5日投与群は標準治療群と比較し有意に臨床的改善を認めた患者が多かったものの、10日治療群ではプラセボ群に比し有意差が認められなかった。また、入手方法についても、2021年10月18日より一般流通することが追加された。 ファビピラビル(商品名:アビガン錠200mg)については、海外での臨床報告が追加された。 インドで行われたRCTで、主要評価項目であるPCR陰性化までの期間の中央値がファビピラビル投与群で5日、標準治療群では7日だった(P=0.129)。また、副次評価項目である臨床的軽快までの期間の中央値が前者で3日、後者で5日(P=0.030)だった。 また、国内での臨床報告として発熱から10日以内の中等症I患者156例を対象としたプラセボ対照単盲検RCT(企業治験)では、主要評価項目(解熱、酸素飽和度改善、胸部画像改善、PCR陰性化の複合アウトカム)の達成がファビピラビル群で11.9日、プラセボ群で14.7日であった(P=0.0136)ことが追加された。【中和抗体薬】 新しく特例承認されたソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)が追加された。ソトロビマブはSARS(重症急性呼吸器症候群)に感染した患者から得られた抗体を基にしたモノクローナル抗体。少なくとも1つ以上の重症化リスク因子を持つ軽症COVID-19患者を対象とした第III相のランダム化比較試験では、中間解析においてソトロビマブ500mg単回投与群(291例)では、プラセボ投与群(292例)と比較して、主要評価項目である投与29日目までの入院または死亡が85%減少した(p=0.002)。また、重篤な有害事象は,ソトロビマブ投与群で2%、プラセボ投与群で6%と,ソトロビマブ投与群のほうが少なかった。・投与方法通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として 500mg を単回点滴静注する。・投与時の注意点カシリビマブ/イムデビマブ参照・入手方法本剤は、一般流通は行わず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡される。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

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細胞培養由来4価ワクチン、小児で良好なインフル予防効果/NEJM

 インフルエンザ流行期の健康な小児/青少年における感染予防では、細胞培養由来4価不活化インフルエンザワクチン(IIV4c、Flucelvax Quadrivalent、英国・Seqirus製)は非インフルエンザワクチンと比較して、インフルエンザワクチン接種歴の有無を問わず良好な有効性が認められ、有害事象の発現は両者でほぼ同様であることが、オーストラリア・メルボルン大学のTerence Nolan氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年10月14日号で報告された。3回の流行期、8ヵ国の無作為化第III/IV相試験 研究グループは、8ヵ国の小児/青少年において、Madin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞株を用いたIIV4c(A/H1N1、A/H3N2、B/Yamagata、B/Victoria)の有効性、免疫原性、安全性の、非インフルエンザワクチン(髄膜炎菌ACWY[A、C、W-135、Y群]ワクチン)との比較を目的に、観察者盲検化層別無作為化第III/IV相試験を行った(Seqirusの助成による)。 3回のインフルエンザ流行期に、8ヵ国(39施設)で参加者(2~<18歳)が募集された。各流行期の参加国は、シーズン1(2017年の南半球の流行期[~2017年12月31日])がオーストラリア、フィリピン、タイ、シーズン2(2017~18年の北半球の流行期[~2018年6月30日])がエストニアとフィンランドで、シーズン3(2018~19年の北半球の流行期[~2019年6月30日])はエストニア、フィンランド、リトアニア、ポーランド、スペインだった。 参加者は、IIV4cまたは髄膜炎菌ACWYワクチンの接種を受ける群(比較群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。全参加者が、試験ワクチンの1回目の接種を受けた。インフルエンザワクチン接種歴がなく、IIV4c群に割り付けられた2~<9歳の小児は、29日目に2回目の接種を受け、比較群に割り付けられた小児にはプラセボが接種された。有効性と安全性に関して、少なくとも180日間の追跡が行われた。 インフルエンザ様疾患に罹患した参加者は、鼻咽頭拭い液を採取され、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法およびウイルス培養でインフルエンザウイルスの有無が確定された。 主要エンドポイントは、2~<18歳の集団における、最終接種から14日以降、流行期最終日までに検査で確認されたA型またはB型インフルエンザの初回発生であった。有効率は、A/H1N1が80.7%、A/H3N2は42.1%、B型は47.6% 3回の流行期に4,514例(平均[SD]年齢8.8±4.1歳、女性48.5%)が登録され、IIV4c群に2,258例、比較群に2,256例が割り付けられた。全体の65.9%がインフルエンザワクチン接種歴を有し、50.7%が2~<9歳であった。 全体のインフルエンザウイルス感染者は、IIV4c群が7.8%(175/2,257例)、比較群は16.2%(364/2,252例)であり、IIV4c群の有効率は54.6%(95%信頼区間[CI]:45.7~62.1)であった。 A型インフルエンザのうちA/H1N1に対するIIV4c群の有効率は80.7%(95%CI:69.2~87.9)、A/H3N2に対する有効率は42.1%(20.3~57.9)であり、B型インフルエンザに対する有効率は47.6%(31.4~60.0)であった。年齢別、性別、人種別、インフルエンザワクチン接種歴の有無別のサブグループで、IIV4c群の有効性(有効率42.1~82.3%)が一貫して認められた。 免疫原性の評価には721例(2~<9歳、IIV4c群364例、比較群357例)が含まれた。IIV4c群における2つの流行期(シーズン2と3)のワクチン接種後の幾何平均抗体価(GMT)は、A/H1N1で283.5から380.7へ、B/Victoriaで45.3から66.8へ、B/Yamagataでは52.8から108.5へと、それぞれ増加した。比較群では、シーズン2と3で接種後のGMT増加は観察されなかった。 接種後6時間~7日までに非自発的に報告された有害事象の割合は、IIV4c群が51.4%、比較群は48.6%であった。発熱(体温≧38.0℃)は、IIV4c群が5.3%、比較群は4.5%にみられ、重度発熱(≧40.0℃)はそれぞれ0.3%および0.2%で発現した。また、重篤な有害事象は、1.1%および1.3%に認められた。担当医によってワクチン関連と判定された有害事象はなく、試験中止の原因となった有害事象もなかった。 著者は、「IIV4cは、卵を使用しないインフルエンザワクチン製造プラットフォームで作製されており、卵馴化変異の回避や、新型のインフルエンザウイルス発生時の対応に要する時間の短縮など、一定の利点を有する」と指摘している。

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第75回 新たに81件のワクチン健康被害が救済認定、計147件に/厚労省

<先週の動き>1.新たに81件のワクチン健康被害が救済認定、計147件に/厚労省2.国保、高所得者の保険料上限額を年3万円引き上げへ/厚労省3.主治医による小児アレルギーの情報提供が診療報酬の対象に/中医協4.帝王切開を架空請求、沖縄の産婦人科医院長を逮捕/沖縄県警5.贈収賄事件で製薬企業の会員資格停止、再発防止を/製薬協6.日大背任事件、大学理事長にも6,000万円の資金還流か/特捜部1.新たに81件のワクチン健康被害が救済認定、計147件に/厚労省厚生労働省は、22日に「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」を開催し、新型コロナウイルスのワクチン接種後に「アナフィラキシー」などを発症した81例について、予防接種との因果関係を審議し、全件を認定した。今回認定された81件のうち、70件が女性で、男女合わせた年齢別では40代が22件ともっとも多く、その次は20代・50代がそれぞれ15件、30代・60代は11件であった。このうちアナフィラキシーが45件、アナフィラキシー様症状が18件として認定された。これにより、新型コロナワクチン接種に関する健康被害の救済認定は計147人となった。(参考)コロナワクチン接種 81人を救済認定 医療費など支給へ 厚労省(NHK)アナフィラキシーなど「接種が原因」、新たに81人認定…国の救済適用計147人に(読売新聞)資料 副反応疑い報告の状況について(第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)2.国保、高所得者の保険料上限額を年3万円引き上げへ/厚労省厚労省は、22日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、国民健康保険の加入者のうち、高所得者の保険料について、財政基盤の安定化、保険料の国民負担に関する公平性の確保のため、高所得者が保険料の賦課限度額までしか負担しない仕組みを改め、保険料の賦課限度額を引き上げるべきとして、保険料上限を現在の年99万円から3万円引き上げ、102万円とする案を示した。引き上げは、2022年度に実施する方針で、2年ぶりとなる。(参考)国民健康保険 高所得者の保険料上限額 引き上げ案了承(NHK)国民保険料の限度額上げ 厚労省案、3万円増え102万円に(日経新聞)資料 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について(厚労省)3.主治医による小児アレルギーの情報提供が診療報酬の対象に/中医協厚労省は、22日に開催された中央社会保険医療協議会において、アレルギー疾患を持つ子供の主治医が、生活の注意点などを記載した文書を作り、学校や保育所に提供した場合、新たに診療報酬対象とすることについて提案し、了承された。今後、厚労省は来年4月の診療報酬改定に向け、対象となる学校など施設の範囲、年齢、疾患などの具体的調整を進める。(参考)アレルギー対応保険適用へ 主治医と学校の連携強化 来年4月にも、厚労省(産経新聞)アレルギー疾患の情報提供、診療報酬で評価へ 中医協・総会(CBnewsマネジメント)4.帝王切開を架空請求、沖縄の産婦人科医院長を逮捕/沖縄県警沖縄県警は、帝王切開を行ったように装って診療報酬を受け取った沖縄市内の産婦人科医師を20日に詐欺容疑で逮捕した。この医師は2018年6月に自らが経営する産婦人科医院で、自然分娩の妊婦について、緊急帝王切開術を行ったと偽って診療報酬を請求し、82万円を保険団体から受け取っていた。警察は、関係者からの情報を受け、今年の7月に病院から資料を押収し、捜査を進めて本事件が発覚した。その後の捜査によって、妊婦健康診査でも、実際には診察を行っていないのに、行ったとカルテを偽造し、架空請求を繰り返したことも明らかとなっている。(参考)診療報酬不正で産婦人科医を逮捕 詐欺容疑で沖縄県警(琉球新報)診療報酬だまし取った疑い 沖縄市の産婦人科院長を逮捕(NHK)妊婦健診でも架空請求か 「私一人だけで少なくとも50件」 複数の関係者が証言(沖縄タイムス)5.贈収賄事件で製薬企業の会員資格停止、再発防止を/製薬協日本製薬工業協会は21日の記者会見において、小野薬品工業による資金提供を受けた三重大学の贈収賄事件を受け、再発防止を目的に奨学寄付金の提供の在り方について再徹底するよう通知を発出した。製薬協は、奨学寄付金を自社医薬品に関する臨床研究に対する資金提供の方法として用いないことや、営業部門から独立した組織で利益相反を十分確認のうえ決定することなどの遵守を求めている。日本製薬工業協会は、社員2名が贈賄罪の有罪判決になったのを受け、小野薬品の製薬協の会員資格停止を9月に公表している。(参考)会員会社に対する処分について(製薬協)「処方拡大の見返り」賄賂認定…奨学寄付金の落とし穴(Answers)製薬協 奨学寄附金の在り方再徹底で通知発出 第三者供賄で小野薬品の会員資格停止受け(ミクスonline)6.日大背任事件、大学理事長にも6,000万円の資金還流か/特捜部日本大学附属病院の建て替え工事をめぐって、大学の資金2億円超を流出させた事件で逮捕された大阪の医療法人グループ理事長が、日本大学の理事長に「現金3,000万円を2回渡した」と供述していることが明らかになった。大阪の理事長は、業者選定前に大学側から入手した内部資料を都内の設計事務所に提供したことも明らかになっている。さらに、逮捕された日大元理事が、付属病院の医療機器調達に絡んで大学に約1億5,000万円を不正に支出させた疑いが23日に発覚し、特捜部は真相解明のために捜査を続けている。(参考)日大背任事件 元理事 実態のない契約書作り資金の一部還流か(NHK)「日大理事長に5000万円」複数回提供も供述 理事長は否定(産経新聞)「日大理事長側に6000万円」本人は否定、医療法人元トップ供述(日経新聞)医療機器巡り資金流出か 背任容疑の日大元理事1.5億円、地検解明へ(同)

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J&Jコロナワクチン、ギラン・バレー症候群発症が約4倍/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するAd26.COV2.Sワクチン(Janssen/Johnson & Johnson製)の接種により、ギラン・バレー症候群の発症リスクがわずかではあるものの統計学的に有意に高まることが、米国食品医薬品局(FDA)のEmily Jane Woo氏らの解析で明らかとなった。FDAは、承認後安全性サーベイランスにおいてAd26.COV2.Sワクチン接種後のギラン・バレー症候群発症に関し懸念を示していた。なお、著者は今回の結果について、「受動的な報告システムと推定症例の定義の限界があり、確定診断を下すための医療記録の分析が終わるまでは予備的なものと考えなければならない」との見解を述べている。JAMA誌オンライン版2021年10月7日号掲載の報告。ワクチン有害事象報告システム(VAERS)のデータを解析 研究グループは、米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)を用い、2021年2月~7月の期間で、Ad26.COV2.Sワクチン接種後に発生したギラン・バレー症候群と推定される症例を特定し、患者背景、臨床所見ならびに関連病歴などについて調査した。 報告率を推定するとともに、ワクチン接種データと自然発生率の公表データを用いて、年齢で層別化したワクチン接種後42日および21日のリスク期間でO/E(observed to expected)解析を行った。O/E解析では、自発的な報告による観察値と、標準化された症例定義に基づいて推定・公表された一般集団(ワクチン未接種者)におけるギラン・バレー症候群の自然発生率に基づく期待値の率比を算出した。自然発生率と比較すると、ワクチン接種後の報告例は約4倍多い 2021年7月24日時点で、VAERSにおいてAd26.COV2.Sワクチン接種後のギラン・バレー症候群(推定)発症の報告は130例確認された。年齢中央値は56歳(四分位範囲[IQR]:45~62歳)、65歳未満が111例(86.0%)、男性が77例(59.7%)であった。ワクチン接種後発症までの期間中央値は13日(IQR:10~18日)で、105例(81.4%)が21日以内、123例(95.3%)が42日以内に発症した。121例(93.1%)は重篤で、うち1例は死亡した。 米国成人におけるワクチン接種回数は約1,320万9,858回であることから、推定粗報告率は接種10万回当たり1例であった。42日間のリスク期間における全体の推定率比は4.18(95%信頼区間[CI]:3.47~4.98)となり、18歳以上の成人を対象とした最悪シナリオ解析の場合、推定絶対頻度として10万人年当たり6.36の増加に相当した(自然発生では10万人年当たり約2、ワクチン接種後は10万人年当たり約8.36[147万2,162人年で123例の報告に基づく])。いずれのリスク期間においても、18~29歳を除くすべての年齢層で率比が上昇していた。

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コロナ外来患者へのアスピリン・アピキサバン投与は?/JAMA

 臨床的に安定した症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、アスピリンまたはアピキサバンによる治療はプラセボと比較し複合臨床アウトカムを改善しなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJean M. Connors氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ACTIV-4B試験」の結果を報告した。急性期のCOVID-19入院患者は通常、抗血栓療法を受けるが、COVID-19外来患者における抗血栓療法のリスクとベネフィットは確立されていなかった。なお、本試験は、イベント発生率が予想より低かったため、予定症例数の9%が登録された時点で試験中止となった。JAMA誌オンライン版2021年10月11日号掲載の報告。アスピリン、アピキサバンの予防用量と治療用量、プラセボの4群を比較 研究グループは2020年9月~2021年6月に米国の52施設において、新たに症候性のCOVID-19と診断された40~80歳の外来患者を、アスピリン群(81mg、1日1回経口投与)、アピキサバン予防用量群(2.5mg、1日2回経口投与)、アピキサバン治療用量群(5mg、1日2回経口投与)、またはプラセボ群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、45日間投与した後、30日間の安全性追跡調査を行った(最終追跡調査日2021年8月5日)。血小板数が10万/mm3以上、クレアチニンクリアランスが30mL/分/1.73m2以上の患者を適格とした。 主要評価項目は、投与開始後45日までの症候性深部静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓塞栓症、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管または肺イベントによる入院、および全死亡の複合エンドポイントである。治験薬を少なくとも1回服用した患者を対象に、有効性および出血イベントに関する主要解析を行った。 なお、本試験はイベント発生率が予想よりも低かったため、2021年6月18日、データおよび安全性モニタリング委員会によって早期終了が勧告された。この時点で657例が無作為化されていた(年齢中央値54歳[四分位範囲:46~59歳]、女性59%)。抗血栓療法は効果なし、安全性ではプラセボより出血リスクが高い 無作為化された657例中、22例(3.3%)は治療開始前にCOVID-19で入院し、558例が治療を開始していた。診断から無作為化までの期間および無作為化から治療開始までの期間(ともに中央値)は、それぞれ7日および3日であった。 主要解析対象集団の558例において、主要評価項目のイベントはアスピリン群で1例(0.7%)、アピキサバン予防用量群で1例(0.7%)、アピキサバン治療用量群で2例(1.4%)、プラセボ群で1例(0.7%)に発生した。プラセボ群とのリスク差は、アスピリン群で0.0%(95%信頼区間[CI]は算出不能)、アピキサバン予防用量群で0.7%(95%CI:-2.1~4.1)、アピキサバン治療用量群で1.4%(-1.5~5.0)であった。 有害事象については、大出血、播種性血管内凝固症候群の発生は報告されなかった。出血イベントのプラセボ群とのリスク差は、アスピリン群2.0%(95%CI:-2.7~6.8)、アピキサバン予防用量群4.5%(-0.7~10.2)、アピキサバン治療用量群6.9%(1.4~12.9)であった。

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コロナワクチン3回目接種の有効率95.6%、第III相試験結果/ファイザー

 米国・ファイザーは10月21日に発表したプレスリリースで、同社の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて、3回目のブースター接種の効果を検証した第III相臨床試験の結果、95.6%の有効性を示したことを公表した。ファイザー製ワクチンを巡っては、米国においては9月22日より、65歳以上および重症化リスクが高い18〜64歳、SARS-CoV-2への頻繁な曝露を伴う18〜64歳へのブースター接種がすでに実施されているほか、日本を含むワクチン使用国で検討が進んでいる。ファイザーは、「本結果はブースター接種のメリットを示すさらなるエビデンスを提供するものだ」とコメントしている。 第III相臨床試験は、16歳以上で、ファイザー/BioNTech製ワクチンをすでに2回接種済みの1万人超を対象に実施。参加者の年齢中央値は53歳で、参加者の55.5%が16歳~55歳、65歳以上は23.3%だった。2回目接種までと同量のワクチン(30μg)を接種する3回目ブースター群とプラセボ群に1:1で無作為に割り付けた。2回目投与からブースターまたはプラセボ投与までの中央値は約11ヵ月。有症状のCOVID-19発症については、ブースターまたはプラセボ投与の7日後から測定され、フォローアップ期間の中央値は2.5ヵ月だった。期間中に確認されたCOVID-19症例は、ブースター群で5例、プラセボ群では109例で、相対ワクチン有効率は95.6%(95%信頼区間[CI]:89.3~98.6)だった。有害事象プロファイルは、ほかのワクチンの臨床安全性データと同程度で、安全性に関する懸念は特定されなかった。 ファイザーは、今回のデータを国内外の規制当局に提出し、ブースター接種の必要性を裏付ける論拠としたい考えだ。

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第80回 身近なコロナ死から考える、ワクチン接種キャンペーンへのもやもや感

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の新規感染者報告数が急激な減少を続けている。10月18日の全国での新規感染者報告数は230人。この日の東京都の新規感染者報告数は29人。これ以前に東京都で同じ数の新規感染者報告だったのは2020年6月22日だから、実に1年4ヵ月ぶりの低水準である。この感染者急減の原因については諸説あるが、ワクチン接種の進展が一因であるだろうということは多くの専門家の共通した認識のようだ。10月20日公表の日本国内でのワクチン接種完了率は68.3%、高齢者に限ると90.2%にものぼる。全世界での接種完了率で見ても、日本はすでにアメリカ、イギリス、フランス、ドイツも追い抜いている。ワクチン接種の本格スタートが先進国の中でも遅かったとの指摘はあったものの、その後は先頭集団に追いつき、一部は追い抜くというこの結果は、高度経済成長期に見せた「日本らしさ」なのかとも思ったりする。もっとも従来から国が希望者への2回接種を11月中までに完了したいと言っていることを考えれば、これから接種スピードは減速し、徐々にプラトーになることは自明である。そうした中で、現在本格接種が最も遅くなった若年層へのワクチン接種率向上策が一部の自治体で行われている。「若年層のワクチン接種率向上へパソコンなどあたるキャンペーン」 (長野県、NHK)「泉佐野市、ワクチン接種完了でピーチポイント 若年層に動機付け 、4600人に」 (Aviation Wire.jp)「ワクチン接種率向上へ マツダ車などをプレゼント 広島県」 (広島ホームテレビ)「ワクチン接種で石垣島旅行が当たる! 浦添市が接種率向上に向けキャンペーン」 (沖縄テレビ放送)若者向けにインセンティブを用意したキャンペーンを行うのは、若年世代は重症化する危険性が低いために新型コロナを自分事としてとらえきれない、また若年ゆえに長期的な副反応などへの懸念が起きやすいことなどから、ワクチン忌避がほかの年代と比べて多いと指摘されていることも影響しているだろう。たとえば、東京都が行ったアンケート調査結果でも若年層に接種忌避の割合が高いことが明らかになっている。こうした「モノで釣る」的なことに対してはさまざまな意見があるだろう。私個人についていえば、賛成半分、反対半分なのである。そもそも今回、日本でワクチン接種が始まった後に感染力が高い変異株・デルタ株が登場している。米国疾病予防管理センター(CDC)が試算したデルタ株の基本再生産数は5~9.5人。ここから計算すると集団免疫獲得のために求められる接種率は80~89%になる。ところが現在世界を見回しても、接種完了率80%を超えているのは、アラブ首長国連邦(UAE)とポルトガル、地中海の小国マルタしかない。この事実だけでも接種完了率80%以上を実現するのは容易ではないことは明らか。とりわけ人口が1億人を超える日本にとって難易度は高いと言わざるを得ない。そうした中で少なくとも80%を実現するためには、既成概念にとらわれていてはいけないというのがインセンティブ政策へ一定の賛意を示す理由である。一方で反対とも考えてしまう理由は、行政施策の平等性の観点からである。民間企業の戦略ならまだしも、行政施策で特定層に限定したインセンティブ供与は不公平と言うべきである。しかも、今回の新型コロナに対するmRNAワクチンは「副反応自慢大会」とまで言われるほど、SNS上では各人が経験した副反応経過が書き込まれている。高齢ほど発熱などの副反応は軽いと言われているものの、高齢者の中にも副反応経験者はそこそこにいる。それだけ苦痛を伴うものを自ら進んで接種した人ではなく、ワクチン接種をためらっている人にインセンティブを与えるのは、いわば「ゴネ得」にもなりかねない。その意味では若年層へのワクチン接種インセンティブ政策を行う自治体には、ぜひともほかの年代層へも広く薄くて良いので何らかのメリットを提供してほしいと思うのである。また、接種率向上という意味で地方自治体に今一度奮起してほしいことがある。それはアナフィラキシーなどの理由以外で1回接種に留まっている人、あるいは高齢層での未接種者に対する再度の啓発・勧奨アプローチである。現状のように65歳以上の高齢者での接種完了率が90.2%にまで達していることを考えれば、対象者は絞り込みやすいだろう。さらに付け加えれば、接種の優先順位も影響したと思われるが、基礎疾患などがあれば重症化や死に至る可能性がある40代、50代の接種率も向上可能な余地がまだ残されていそうだ。まあ、このように思う理由の一つには最近の私個人の経験も影響している。先週、私用のため東海地方の某市の安ホテルに宿泊していた時のことだ。午前3時半過ぎに珍しく中途覚醒してスマホを手に取った際、LINEにしばらく連絡を取っていなかった中学の同級生からメッセージが着信していることに気づいた。寝ぼけ眼でメッセージを開くと次のように書いてあった。「○○、コロナで亡くなったって、明日お通夜で明後日告別式です」○○は52歳で私の中学、高校の同級生だ。基礎疾患があることは本人からは聞いていたのでリスクは高かったのだろうが、後に聞いたところ入院後すぐ重症化してECMOを装着し、2ヵ月間も眠り続けて力尽きたとのこと。通夜に参列した同級生などによると、たまたま間に合わなかったのか、本人が避けていたのか、単に面倒で後回しになっていたのかはわからないが、ワクチンは未接種だったという。いまさら言っても詮無き事ではあっても、もし接種していたらと考えずにはいられない。私事をつらつら書いて恐縮だが、彼とは6年間も同じ学校にいたが、中学も高校も1学年で350人超というマンモス学校だったので同じクラスになったことは一度もない。ただ、中学1年生の時はクラスが隣同士。中学時代は体育の授業が男女別で2クラス合同なので互いに見知ってはいた。中学は各種運動部を中心とする任意参加の部活動と、全員がどれかに参加する文化系の必修クラブがあった。自分の部活動は水泳部、必修クラブは写真クラブ。彼の部活動はテニス部だった。ちなみに中総体といわれる全国中学校体育大会の地元の予選は、水泳競技以外がほぼ1週間程度のメイン日程の中で集中的に行われ、そこから2週間ほど経ってから水泳競技だけが行われる。ということで、私の場合は中学3年間、メイン日程中は写真クラブの活動が中心だった。カメラを持って各競技場に配置され、3年間担当したのが今回亡くなった彼が所属していたテニス会場だった。中学1年時に撮影に行った際は同じクラスにテニス部員がいなかったこともあり、自分は昼食時に同じ中学のテニス部員たちが陣取っていた場所からちょっと離れたところに座り込み一人で弁当を食べていた。2、3口ほど食べた時、いきなり背中に誰かがぶつかった。振り返ると体育の授業で見知っていた彼が、自分の背中をこっちの背中にくっつけてニッコリ笑いながら自分の弁当を食べ始めた。背中をくっつけ合いながら互いに弁当をほおばって時々会話をした。テニス部OBが差し入れたジュースが余った時にわざわざ持ってきてくれたのも彼だ。心細かった時の事なので、この時のことははっきり覚えている。そんな彼も中年になり、肥満気味になり頭部も薄くなった。でも相変わらず性格は明るかった。最後に会った時も前歯が欠けたままガハガハ笑いながらタバコを吸っていた。今回、LINEをくれた同級生から教わった葬祭場に連絡を取り供花の手配をしたが、そんな花が最も似合わない中年男性の彼に花を贈ることになるなんて思いもしなかった。もうこんな思いはごめんである。だからこそ自分も今一度、一般向けにどのようなワクチン情報を発信すべきかと思いを巡らしている。

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