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画像を拡大するTake home messageEnterococcus faecalis菌血症を見た際には、DENOVAスコアを計算して経食道心エコー(TEE)が必要かどうかの判断に役立てよう。Enterococcus faecalis菌血症を見たとき、感染性心内膜炎(IE)の可能性を考慮するために経食道心エコー(TEE)を行うかの判断は、しばしば臨床上の悩ましいポイントです。TEEは感度の高い検査ですが、侵襲的かつリソースも限られる中で、全例に実施することは現実的ではありません。皆さんも臨床現場で悩むことがあるかと思います。そこで今回は、腸球菌菌血症におけるTEEの適用判断の参考となる「DENOVAスコア」1)を紹介します。DENOVAスコアとは?DENOVAスコアとは、腸球菌菌血症におけるTEEの適用を判断するための予測スコアとして、スウェーデンから報告されたものです。これは従来のNOVAスコア2)の改訂版で、より診断精度の高いスコアとされています。DENOVAスコアは以下の6項目からなり、各1点を加算します。Duration of symptoms症状が7日以上継続Embolization塞栓症の既往Number of positive cultures血液培養陽性数が2本以上Origin of infection unknown感染経路不明Valve disease弁膜症の既往Auscultation of murmur心雑音の聴取計6点満点で、3点以上のカットオフにおける感度は100%、特異度は83%と高い診断精度が報告されています。したがって、3点以上の場合にはTEEの実施を検討します。注意点としては、DENOVAスコアはE. faecalis単独の菌血症を対象としており、E. faecium菌血症や複数菌による菌血症には適用できないことが挙げられます。このDENOVAスコアが2019年に報告された後に、外的妥当性やほかの因子の比較も検討されているものの3,4)、現在のところ臨床現場で最もよく使用されているのは、この6項目のDENOVAスコアです。とはいえ、患者さんに十分なリスクとベネフィットを説明し、適用に関しては患者さんごとに慎重な判断が求められることが基本です。1)Berge A, et al. Infection. 2019;47:45-50.2)Bouza E, et al. Clin Infect Dis. 2015;60:528-535.3)Danneels P, et al. J Infect. 2023;87:571-573.4)Perez-Rodriguez MT, et al. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2024;43:1481-1486.