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中高年の睡眠時間とうつ病リスクとの関係~用量反応メタ解析

 中国・北京中医薬大学のXin-Lin Li氏らは、中年および高齢者における夜間の睡眠時間とうつ病リスクとの用量反応関係を調査するため、本研究を実施した。その結果、中高年のうつ病リスクが最も低い夜間の睡眠時間は7時間であり、睡眠時間がそれより長くても短くても、うつ病リスクが高まる可能性が示唆された。Frontiers in Physiology誌2023年3月2日号の報告。 2022年7月31日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Science、CNKI、VIP、Wanfangデータナレッジサービスプラットフォームより検索した。対象には、夜間の睡眠時間とうつ病との関連を評価したコホート研究およびケースコントロール研究を含めた。研究の質の評価には、Newcastle-Ottawa scaleを用いた。2人の研究者により、データ抽出と品質評価を行った。睡眠時間とうつ病リスクとの用量反応関係を評価するため、制限付き3次スプライン(RCS)および一般化最小二乗法(GLS)を用いた。推定エフェクトサイズを分析するため、Stata 12.0を用いて、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、6件のコホート研究より3万3,595例を含めた。・睡眠時間とうつ病リスクとの間にU字型の関連が認められた。・夜間の7時間睡眠と比較し、それよりも短時間および長時間睡眠のいずれにおいても、うつ病リスク増加との関連が認められた(非線形検定 p<0.05)。【5時間】RR:1.09(95%CI:1.07~1.12)【6時間】RR:1.03(同:1.02~1.04)【8時間】RR:1.10(同:1.05~1.15)【9時間】RR:1.31(同:1.17~1.47)【10時間】RR:1.59(同:1.31~1.92)・非アジア人では、短時間睡眠によりうつ病リスクが高まり、アジア人では短時間および長時間睡眠のいずれにおいてもうつ病リスクが高まる可能性が示唆された。 ●非アジア人【5時間】RR:1.09(同:1.02~1.17) ●アジア人【5時間】RR:1.10(同:1.07~1.13)【6時間】RR:1.04(同:1.02~1.05)【8時間】RR:1.09(同:1.05~1.14)【9時間】RR:1.35(同:1.18~1.53)【10時間】RR:1.70(同:1.36~2.12)

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リアルワールドにおけるフレマネズマブの長期有用性~FRIEND2試験

 イタリア・IRCCS San Raffaele RomaのPiero Barbanti氏らは、高頻度の反復性片頭痛(HFEM:1ヵ月当たりの片頭痛日数8日以上)または慢性片頭痛(CM:1ヵ月当たりの頭痛日数15日以上)患者を対象に、フレマネズマブの長期(24週間)有効性、安全性、忍容性の評価を実施した。その結果、フレマネズマブは、過去に複数の片頭痛の予防的治療に奏効しなかったHFEMおよびCM患者に対し早期かつ持続的な有効性を示し、安全性および忍容性プロファイルも良好であることが確認された。The Journal of Headache and Pain誌2023年3月23日号の報告。 対象は、過去に複数の片頭痛の予防的治療に奏効せず、フレマネズマブ皮下投与(1ヵ月ごとに225mg/3ヵ月ごとに675mg)を24週間以上実施したHFEMまたはCM患者。28の頭痛センター施設で連続登録方式により対象患者を募集し、プロスペクティブコホート・リアルライフ研究を実施した。HFEMおよびCM患者における主要評価項目は、それぞれベースライン時と比較した21~24週目における1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)および1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)とした。副次的評価項目は、ベースライン時と比較した21~24週目における1ヵ月当たりの鎮痛薬使用の変化、治療反応率(50%以上、75%以上、100%)、NRS(Numerical Rating Scale)、HIT-6(Headache Impact Test-6)、MIDAS(片頭痛評価尺度)スコアの変化とした。すべての評価項目は、4週目にもモニタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・フレマネズマブを1回以上使用した患者410例を安全性分析対象に含め、24週間以上治療を継続した患者148例を有効性分析対象に含めた。・フレマネズマブ使用後21~24週目では、ベースライン時と比較し、HFEMおよびCM患者のいずれにおいても、MMD、MHD、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用の変化、NRS、HIT-6、MIDASスコアの有意な減少が確認された(p<0.001)。・21~24週目における治療反応率は、以下のとおりであった。【HFEM】50%以上:75.0%、75%以上:30.8%、100%:9.6%【CM】50%以上:72.9%、75%以上:44.8%、100%:1.0%・HFEMおよびCM患者のいずれにおいても、4週目からMMD、MHD、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用の変化、NRS、HIT-6、MIDASスコアの有意な減少が認められた(p<0.001)。・4週目における治療反応率は、以下のとおりであった。【HFEM】50%以上:67.6%、75%以上:32.4%、100%:11.8%【CM】50%以上:67.3%、75%以上:40.0%、100%:1.8%・CM患者では、反復性片頭痛(24週目:83.3%、4週目:80.0%)および薬物乱用から非薬物乱用(24週目:75%、4週目:72.4%)への寛解が認められた。・有害事象の発現率は2.4%と稀であり、軽度および一過性であった。・すべての理由における投与中止例は、認められなかった。

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NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 1

今回のキーワード音の高さ(音高)音の共鳴(音素)言語能力連合学習(条件付け)臨界期相対音感フラッシュカード(瞬間記憶)音楽教育とくに幼い子供のいる皆さんは、習いごとを「いつから」そして「どれだけ」やらせればいいんだろうとお悩みじゃないですか? NHKの「おかあさんといっしょ」を見せてはいるけど、それだけじゃ足りないんじゃないか? 自分が怠けたせいであとあと隠れた才能を開花させられなかったと悔やむんじゃないか? たとえばそれが絶対音感だったり?前編では、「おかあさんといっしょ」をヒントに発語(発声学習)のメカニズムを説明し、その起源に迫りました。今回の後編では、前編を踏まえて、絶対音感という「才能」を例に挙げて、より良い音楽教育、そしてより良い幼児教育を一緒に考えてみましょう。絶対音感とは?「おかあさんといっしょ」の番組内では、音楽とともに歌ったり踊ったりして、幼児の音感が養われます。音感とは、まさに音に対する感覚で、音の高低、音色、メロディなどを聞きわける全般的な音楽の能力です。その中で、とくに絶対音感と聞くと、とても神秘的です。ある1つの音を聞くだけで(ほかの音との比較なしで)、瞬時にその音の高さ(音高)がわかり、ドレミの12音のどれかを言い当てることができるわけですから。聞いた曲をすぐに楽譜に書き起こせて便利そうです。この能力のある人は、一般人口の0.01%程度と言われています8)。絶対音感が言語能力である根拠は?絶対音感と聞くと、音楽的才能を連想します。しかし、実はこの正体は言語能力であることがわかっています。その根拠を3つ挙げてみましょう。(1)トレーニング方法1つ目は、絶対音感を身に付けるトレーニング方法です。自然に身に付くことは極めてまれで、特定の和音のパターンを使い、聞こえた音の高さをすぐにドレミの音高名に結びつけることを延々と繰り返します。そうするとやがて、特定の音高を聞くと、もはや抑えようとしても抑えられないくらい、自動的に音高名が頭の中に出てくるようになります。つまり、これは、特定の音高と特定の音高名(音素/言語)を結びつける連合学習(条件付け)であることがわかります8)。この点で、絶対音感は「音感」と表記されていますが、単に音高に限定された感覚であるため、厳密には「絶対音高感」という表記がより適切であると言われています。(2)脳の活動部位2つ目は、絶対音感を司る脳の活動部位です。メロディなどの音楽全般を司る部位が右半球優位であるのに対して、絶対音感を司るのは左半球優位であることがわかっています8)。これは、言語能力と同じです。(3)臨界期3つ目は、絶対音感が身に付けられる臨界期です。その年齢は概ね6歳です。この年齢を過ぎてトレーニングをしてもほぼ身に付かないことがわかっています8)。この年齢は、母語や第2言語の自然学習の臨界期に一致します。つまり、前編で子音や母音である音素(2種類の周波数/共鳴音)の識別能力の臨界期が1歳であると説明しましたが、この音高(1種類の周波数/単音)の識別能力の臨界期は6歳であると言えます。なお、6歳という言語能力に臨界期があるのは、6歳以降は単なる具体的な言葉を覚えるのではなく(それまでの語彙の記憶を固定化させて)、次のステップとしてそれらの言葉を駆使して、より抽象的な思考をすることに脳がエネルギーを注ぐ必要があるからと考えられます。同じように、絶対音感に臨界期があるのは、6歳以降は単なる音高の識別ではなく(それまでの音高識別の能力を固定化させて)、次のステップとしてそれらの音高の組み合わせ(メロディ)をつくり、より創造的な音感を発揮することに脳がエネルギーを注ぐ必要があるからでしょう。次のページへ >>

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NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 2

音感はいつ生まれたの?絶対音感が実は言語能力である根拠は、そのトレーニング方法、その脳の活動部位、そしてその臨界期が言語能力に共通するからであることがわかりました。それでは、そもそも音感はいつ生まれたのでしょうか?ここから、音感の起源を大きく2つに分けて迫ってみましょう。(1)絶対音感前編で約700万年前に人類が誕生して、やがて歌でコミュニケーションするようになったことを説明しました。その歌のうまさは、小鳥のさえずりのように、音の高さの正確さによって評価されていたでしょう。1つ目の起源は、絶対音感です。先ほど、絶対音感は言語能力であると説明しましたが、それは言語の能力を獲得した現代人がこの言語能力を使って音高を識別しているからです。原始の時代の人類は、まだ言語がないため音素(言語)の置き換え(連合学習)なしで、小鳥と同じようにそのまま音高を識別できていた可能性が考えられます。また、原始の時代の人類ももともと左脳で音高を調整していることが推定できることから、やはり歌(音高)が言語の土台(前適応)になっていたことを説明できます。なお、現代の絶対音感を持つ人は1オクターブ内の12音(トーンクロマ)の識別が可能なだけで、オクターブの違い(トーンハイト)までは識別できません。一方で、小鳥は最大音域の7オクターブすべての音、つまり12音×7の84音のすべての識別ができることがわかっています8)。わかりやすく言えば、鳥はピアノのどの鍵盤の音を聞いても特定できるという「超」絶対音感の持ち主というわけです。また、1オクターブ内がピアノの白鍵として7音に分けられているのは、虹が7色(欧米6色)であることや母音が7音前後(日本語5音~スウェーデン語9音)であることに共通していることが指摘されています8)。聴覚的にも視覚的にも、人間の識別能力は7つ程度に分けるのが限界であるようです。この点で、白鍵(7音)のみを識別できる部分的な絶対音感を持つ人は比較的多いのですが、黒鍵を含む12音すべてを識別できる完全な絶対音感を持つ人はかなりまれになってしまうわけです。そもそも、私たち(おそらくほかの哺乳類も)は、この識別能力に限界があるからこそ、聞こえる全ての音域については、周波数が倍になるごとに(倍音)、つまり1オクターブごとに同じドレミがまた聞こえるようにシステマチックに回帰していると考えられています(オクターブ等価性)。これは、虹が赤から始まり最後は紫という赤に近い色で終わって回帰していくことにも共通しています。ちょうど7オクターブまで聞こえるという事実も、7つという先ほどの識別の限界数に一致します。ちなみに、赤ちゃんの泣き声は、普遍的にドレミの中のラ(440Hz)に相当します。この音を基準として音階が成り立っています。(2)相対音感約20万年前に人類が言葉を話すようになり、約10万年前に貝の首飾りを感謝の証にするなど、シンボル(抽象的思考)を使うようになりました。この抽象的思考によって、歌のうまさは、単なる一つひとつの音高の純粋な正確さではなく、複数の音高が複雑に変化する流れ(メロディ)によって評価されるようになったのでしょう。こうして、約5万年前に人類最古の楽器である骨製のフルートが作られました。2つ目の起源は、相対音感です。これは、音の流れの中でほかの音との比較で音の高さがわかることです。これはちょうど、私たちが言葉を一つひとつの単語としてではなく、まとまった文章として認識しているのと同じです。このようにして、私たちは相手の話で一部聞き取れない単語があっても推測して理解することができます。この相対音感によって、本来人間の識別能力の限界である1オクターブ内に7音(白鍵)を超えて12音(黒鍵を含む)までの音高の識別を可能にしていると考えられます。そして、絶対音感がなくても、この相対音感によって、聞いた曲を楽譜に書き起こすことを可能にしていると考えられます。以上より、原始の時代の人類は、現代人よりも絶対音感があった可能性が考えられます。しかし、人類が相対音感を獲得したことで、もはや絶対音感に頼る必要がなくなったのでした。もっと言えば、言葉によってコミュニケーションができてしまうため、相対音感すら必ずしも必要なくなり、 音感が退化していっていると言えます。これが、いわゆる「音痴」です。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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NHK「おかあさんといっしょ」(後編)【絶対音感よりも○○!?才能よりも○○!?(幼児教育)】Part 3

より良い音楽教育とは?音感の進化の歴史からも、絶対音感より圧倒的に相対音感の方が現在の私たちの音楽に強く影響を及ぼしていることがわかります。つまり、より良い音楽教育とは、絶対音感よりも相対音感です。そして、幼児期に相対音感を育むために必要なことは、「おかあさんといっしょ」をまさに一緒に見て楽しむことでしょう。わざわざ絶対音感をトレーニングによって身に付けたとしても、そもそもその能力を使う必要がないからです。それどころか、絶対音感を身に付けると、逆に相対音感が鈍くなる可能性が指摘されています。実際のMRIや脳波の研究では、絶対音感を持つ人は右側頭葉の側頭平面(聴覚野)が一般人よりも縮小し、活動が抑制されていました8)。この訳は、絶対音感と相対音感はトレードオフの関係になっており、一つひとつの音の高さについ注意が向いてしまうことで、全体としての音の流れ(メロディ)に注意が向かなくなってしまうからであると考えられます。これは、絶対音感を手に入れる代償と言えます。より良い幼児教育とは?絶対音感と相対音感のトレードオフの関係から、幼児英才教育の危うさが見えてきます。それは、できるだけ早くやらせる、できるだけ多くやらせる、そしてできるだけ高度なことをやらせることは、形式や結果にとらわれて本質を見失うことです。たとえば、幼児英才教育でよく謳われるフラッシュカード(瞬間記憶)を考えてみましょう。これができるようになると、日常生活で便利そうです。暗記もすぐにできて試験勉強が楽になりそうです。しかし、これができたからといって、その後に知能が高くなったり、大人になってより高い収入が得られるようになったというエビデンスは見当たりません。それどころか、逆に丸ごと覚えることについ注意が向いてしまい、全体をかいつまんでまとめること(概念化)に注意が向かなくなってしまうおそれがあります。これもトレードオフの関係です。むしろ大人になって良い仕事をするために必要なのは、概念化をはじめとする抽象的思考によって、状況を整理して(余計なことは記憶しないで)、予測したり新しいアイデアを出したりすることです。ちなみに、チンパンジーは人間よりも瞬間記憶の能力が高いことがわかっています9)。その訳は、敵対する複数のチンパンジーが襲ってきた時に彼らを瞬時に記憶して反撃したり逃げたりするという生存の淘汰圧がかかってきたからでした。人間はそのような状況はまずありません。子供に瞬間記憶をトレーニングさせるということは、むしろチンパンジーに近い能力を間違って求めているように思えてきます。同じように、そろばん(暗算)の習いごとをしても数学的センスが高まるわけではないことも、速読のトレーニングをしても読解力が身に付くわけではないこともわかります。以上より、より良い幼児教育のあり方とは、形式や結果にとらわれず本質を見極めることです。それは、やはり子供がそれに楽しんで取り組んでいることです。この点で、子供がやりたそうならやらせてみる、やりたくないならやらせないという親が無理強いをしないことでしょう。言い換えれば、それは、毎日20分ほど「おかあさんといっしょ」を親子で一緒に見て楽しめば、それで十分ということです。実際に、行動遺伝学の研究では、音楽、美術、スポーツなどの才能において、遺伝の影響(遺伝率)が80%程度、社会(非共有環境)の影響が20%程度であり、親の取り組みの違い(共有環境)の影響はどれも0%であることがわかっています10)。なお、認知能力においての親の取り組みの違い(共有環境)の影響は、ある程度ありますが、子供が大人になるにつれてやはり目減りしていきます。この詳細については、関連記事3の最後をご覧ください。「おかあさんといっしょ」とは?子供の隠れた才能を見つけ出してあげなければならないと思う親心はよくわかります。ただ実は、そんなことはごく一般的な家庭がするようなことで十分であることもわかりました。確かに、音楽をまったく聞かせていないと、音楽の才能は開花しません。ただ、ほどほどに音楽を聞かせていれば、あとはその子に素質(遺伝の影響)があるのなら、楽しんでいれば勝手に才能が開花していくということです。つまり、才能よりもまず楽しむことです。親としては、そんな子供の様子を温かく見守ることこそが、今必要なのではないでしょうか? つまり、より良い幼児教育とは、できるだけ良い幼児教育ではなく、ほどよい幼児教育であるという逆説であるとも言えるのではないでしょうか?そう考えると、「おかあさんといっしょ」とは、「おとうさんもいっしょ」になり、やがて自立して「みんな(社会)といっしょ」に生きていくためのほどよいサポートをする最初の1歩と言えるのではないでしょうか?8)「絶対音感を科学する」P18、P81、P30、P216、P233、P235、P246、P251:阿部純一(編)、全音楽譜出版社、20219)「文化がヒトを進化させた」P40:ジョセフ・ヘンリック、201910)「遺伝マインド」P59:安藤寿康、有斐閣、2011<< 前のページへ

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アリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤の安全性~ピボタル試験

 アリピプラゾール2ヵ月持続性注射剤960mg(Ari 2MRTU 960)は、2ヵ月ごとに臀部筋投与を行う新たな長時間作用型注射剤の抗精神病薬であり、現在、統合失調症および双極I型障害の治療に対する研究が実施されている。米国・大塚ファーマシューティカル D&CのMatthew Harlin氏らは、統合失調症または双極I型障害の成人患者に対するAri 2MRTU 960の安全性および忍容性を評価し、同薬剤とアリピプラゾール月1回製剤400mg(AOM 400)の血中濃度の類似性を調査した。その結果、統合失調症または双極I型障害の成人患者において、Ari 2MRTU 960は良好な忍容性が認められ、AOM 400と同等の安全性プロファイルを有していることが確認された。CNS Drugs誌2023年4月号の報告。 32週間のオープンラベル試験を実施した。対象患者は、56±2日ごとのAri 2MRTU 960投与(4回実施予定)または28±2日ごとのAOM 400投与(8回実施予定)のいずれかに1:1でランダムに割り付けられた。初回投与時に、AOM 400で安定していた患者を除き、重複した経口抗精神病薬で治療を行った。安全性、忍容性、薬物動態の評価は、研究期間を通して実施した。主要安全性評価項目には、報告された有害事象、注射部位反応、錐体外路症状を含めた。主要薬物動態評価項目は、Ari 2MRTU 960の4回目投与から56日後およびAOM 400の8回目投与から28日後のアリピプラゾールの血中濃度、Ari 2MRTU 960の4回目投与後0~56日目のAUCまたはAOM 400の7回目および8回目投与後0~28日目のAUCとした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者266例(統合失調症:185例、双極I型障害:81例)は、Ari 2MRTU 960群132例、AOM 400群134例にランダムに割り付けられた。・男性の割合は66.2%、黒人またはアフリカ系米国人の割合は72.9%、平均年齢は47.3歳であり、人口統計学的特性およびベースライン時の疾患特性に両群間で差は認められなかった。・試験完了率は、Ari 2MRTU 960群77.3%、AOM 400群68.7%であった。・試験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)の発現率は、Ari 2MRTU 960群71.2%、AOM 400群70.9%と同程度であった。・頻度の高かったTEAEは、体重増加(Ari 2MRTU 960群:22.7%、AOM 400群:20.9%)、注射部位の痛み(Ari 2MRTU 960群:18.2%、AOM 400群:9.0%)であった。・Ari 2MRTU 960の4回目投与から56日後とAOM 400の8回目投与から28日後のアリピプラゾール血中濃度の幾何平均の比(GMR)は、1.011(90%信頼区間[CI]:0.893~1.145)であった。・Ari 2MRTU 960の4回目投与後0~56日目のAUCとAOM 400の7回目および8回目投与後0~28日目のAUCのGMRは、1.006(90%CI:0.851~1.190)であった。

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急速に進行する認知症(前編)【外来で役立つ!認知症Topics】第5回

急速に進行する認知症(前編)患者さんが認知症だと診断されたら、その次にご家族が期待されるのは治療効果である。つまり進行しないこと、進行が遅いことである。認知症の進行ぶりを客観的に評価するために、私のクリニックでは、定期的にMMSEや改訂長谷川式などの神経心理学的なテストをやっていただく。普通は緩徐に低下していくが、3、4割の人では意外ながらも前回よりも高得点が得られる。それを伝えると本人はにっこりされる。だが家族は怪訝そうな表情で、「家では、やることなすことみな悪化したのに」と述べられる。こうした経験から、とくにMCI(軽度認知障害)レベルでは、臨床経過において認知機能と日々の生活機能(IADL:道具的な日常生活機能)は平行しないと考えるようになった。対応に最も窮するのは、ご家族から、「うちの場合、認知症の進行がとくに速いのではないか?」と言われることだ。こうした場合、当方への批判や不信感がありありと伝わってくる。このとき筆者の胸に浮かぶのは、少なからず経験する急速進行性のアルツハイマー病や、まれながら絶対に見逃せないプリオン病である。そこで過去のカルテを読み返すが、症状や脳画像所見が否定型的だったり、どうも普通とは違うなと思われる過去の記述を発見したりした場合、「やだな」と不吉な思いが走る。確かに急速に進行する認知症(RPD:Rapid Progressive Dementia)という用語に合致しそうなケースはある。RPDの定義の1つに、MMSE得点の年間低下が6点以上というものがある。平均的な低下は2~3点(調査によって1.8点~4.5点と大きな開き)とされるだけに、確かに6点以上だと速いと実感する。急速進行性認知症に多い3タイプRPDにはいくつかタイプがある。まずこれまで4例経験したのが、古典的な狂牛病など致死的なプリオン病である。次に脳炎など炎症性疾患である。さらに、確かにアルツハイマー病など変性疾患なのに、というものである。これは2つに大別され、まず脳血管障害、硬膜下血種や正常圧水頭症などほかの病理が加わってくるもの、次にそうしたものがないのにぐんぐん悪化するものである。さて2022年のNature Reviews Neurology誌でRPDに関するレビューがあった1)。それを参考に概要をまとめた。まずその定義は最初の異常から認知症の診断までが1年以下としたものが多い。認知症一般を扱う病院からの報告で、RPDが認知症全体に占める割合を3.7%としたものがあった。当院の経験でも5%以内かと思う。またRPDの基礎疾患としては、プリオン病、変性疾患、炎症性疾患はそれぞれ3分の1を占めるとされる。そこで以下では、認知症一般を診る医師の立場で、こうしたRPDの鑑別のプロセスを示してみたい。プリオン病プリオン病では、自験例で早いものでは数ヵ月で死に至ったこともあり、まず早期の致死が基本である。当初はアルツハイマー病など普通の認知症と思えても、数ヵ月以内に認知機能も身体症状も急速に悪化する。担当医としては、ここで「おかしい、違うぞ!」と思わなければならない。診断根拠としてほぼ確実なのは、早期から見られるMRIの拡散強調画像における大脳皮質の高信号である。なお教科書的に有名な脳波の周期性同期性放電は中・後期にならないと認められない。そこでプリオン病が疑わしいと思ったら、放射線専門医に、皮質の変化を中心に読影してほしいと紹介状を依頼すべきだろう。炎症性脳炎次に各種の脳炎である。最も多いヘルペス脳炎、帯状疱疹脳炎は定型的な症状をもって急性発症することが多いが、ときにRPDのような認知症の1タイプを思わせるケースもある。炎症性疾患として古典的な神経梅毒は近年増加しているのに、見逃されがちであり、無治療例も多いとされる。さらにあるメタアナリシスでは、ヘルペス脳炎患者の42.6%に認知障害が見られると報告している。自己免疫性脳炎免疫介在性の脳炎は、全脳炎の20%余りにも上るとしたイギリスの報告があるように、RPDの鑑別疾患として重要である。自己免疫性脳炎は、その病態に自己免疫学的な機序が介在する脳炎・脳症である。腫瘍を合併し(腫瘍随伴性)、その遠隔効果、すなわち傍腫瘍性神経症候群(paraneoplastic neurological syndrome)として発症するものもある。これは、腫瘍に関連する神経筋障害のうち、免疫介在性の機序によるものをいう。傍腫瘍性免疫介在性は、神経抗原を異所性に発現した腫瘍に対する液性免疫反応(自己抗体)と細胞性免疫反応(細胞傷害性T細胞)が自己の神経組織を傷害すると考えられている。自己抗体には、細胞内抗原を認識する抗体、シナプス受容体、細胞膜表面抗原に対する抗体がある。いずれの自己免疫性脳炎においても、早期の腫瘍検索と腫瘍に対する治療が重要であることに変わりはない。そのほかでは、中枢神経領域の悪性腫瘍、繰り返す低血糖、また重度の甲状腺機能低下症などもRPDになりうることに留意したい。最後に、アルコール性認知症は代謝性のRPDとして最も重要ではないかと思われる。これはいわゆる若年性認知症の1割を占め、栄養の偏りや低栄養を伴うことも多い。筆者の経験でも、飲酒をやめてもこうした変性性認知症を思わせるような急速悪化が続いた印象深い症例がある。参考1)Hermann P, et al. Rapidly progressive dementias - aetiologies, diagnosis and management. Nat Rev Neurol. 2022 Jun;18(6):363-376.

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夜勤と認知症リスク~UK Biobankの縦断的研究

 中国・Jinan University First Affiliated HospitalのYitong Ling氏らは、夜勤労働とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症との関連性を調査し、夜勤労働の影響およびアルツハイマー病に対する遺伝的感受性を評価した。その結果、常に夜勤をしている労働者では、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症リスクが高いことが示唆された。また、アルツハイマー病の発症リスクは、アルツハイマー病の遺伝的リスクスコア(GRS)の違いにかかわらず、常に夜勤をしている労働者で高いことが報告された。Journal of Neurology誌オンライン版2023年4月6日号の報告。 データ抽出には、UK Biobankのデータベースを用いた。対象は24万5,570例、平均フォローアップ期間は13.1年であった。夜勤とすべての原因による認知症およびアルツハイマー病の発症との関連性を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・すべての原因による認知症を発症した患者は1,248例であった。・最終的な多変量調整済みモデルでは、認知症のリスクは、常に夜勤をしている労働者で最も高く(HR:1.465、95%信頼区間[CI]:1.058~2.028、p=0.022)、次いで不規則なシフト勤務の労働者であった(HR:1.197、95%CI:1.026~1.396、p=0.023)。・アルツハイマー病を発症した患者は474例であった。・最終的な多変量調整済みモデルでは、アルツハイマー病の発症リスクも同様に、常に夜勤をしている労働者で最も高かった(HR:2.031、95%CI:1.269~3.250、p=0.003)。・常に夜勤をしている労働者は、アルツハイマー病のGRSの低・中・高、いずれのグループにおいても、アルツハイマー病の発症リスクの高さと関連していた。

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FDA、AD型認知症に伴う行動障害へのブレクスピプラゾールを承認/大塚

 大塚製薬とH.ルンドベックA/Sは5月11日、同社の抗精神病薬ブレクスピプラゾール(商品名:レキサルティ)のアルツハイマー(AD)型認知症に伴う行動障害(アジテーション)の治療における効能追加の承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得したことを発表した。今回の承認により、本剤は米国において本適応を有する初めての抗精神病薬となる。なお本剤について、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)による優先審査が認められていた。 ブレクスピプラゾールは、2015年にFDAが「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認し、現在、統合失調症治療薬として約60の国と地域で使用されている。 AD型認知症を有する患者の約半数で、介護者に対する暴言、暴力、錯乱などの行動障害が認められている。行動障害を含む認知症に関連する症状は、介護者の負担を重くし、患者自身や家族、介護者の生活の質を低下させるとともに、患者が家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因となっている。 今回の承認は、AD型認知症の可能性があると診断され、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが5~22点であり、薬物療法を必要とする行動障害のある51~90歳の患者が対象となった「331-12-283試験」と「331-14-213試験」の2つの第III相臨床試験において、良好な結果が得られたことに基づいている。 331-12-283試験では、主要評価項目であるCohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)総スコアのベースラインから12週目までの平均変化量において、ブレクスピプラゾール2mg/日投与群は、プラセボ投与群に対して統計学的に有意な改善を示した(p<0.05)。 331-14-213試験では、本剤2mg/日および3mg/日投与群は、主要評価項目であるCMAI総スコアのベースラインから12週目までの平均変化量において、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意な改善を示した(p<0.05)。 本剤の忍容性は全般的に良好であり、投与中止の発生率は低く、ほかの適応症でみられた既知の安全性プロファイルと同様であった。 AD型認知症に伴う行動障害の治療における本剤の開始用量は、1日1回0.5mgを1~7日目に服用することが推奨される。8~14日目までは1日1回1mg、15日目では1日1回2mgに増量する。推奨される目標用量は1日1回2mgである。臨床効果および忍容性に基づいて、少なくとも14日後に1日1回3mgの最大推奨用量まで増量することができる。 本剤の最も一般的な副作用は、頭痛、めまい、尿路感染、鼻咽頭炎、睡眠障害(傾眠・不眠)である。本剤は、同クラスの抗精神病薬と同様に、抗精神病薬による治療を受けた認知症関連の精神症を有する高齢患者の死亡リスクが高いことについて黒枠警告される。

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第163回 GLP-1薬でがん予防? / アルツハイマー病アジテーション治療薬を米国が初承認

GLP-1受容体作動薬は肥満患者のがん予防効果も担いうるGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)が肥満患者の体重を減らすことに加えて、ともするとがん予防効果も担いうることが被験者20例の免疫細胞を調べた試験で示唆されました1)。肥満成人は今や世界で6億人を超えます。肥満は2型糖尿病、心血管疾患、多くのがん(乳房・腎臓・大腸がんなど)と関連します。また、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症の害を被りやすくします。ナチュラルキラー(NK)細胞は体内を巡るリンパ球の約10%を占める免疫細胞であり、病原体の侵略を食い止め、がんの発現を防ぐ役割を担います。しかし肥満はどうやらNK細胞を害するらしく、その数を減らし、機能を妨げることが先立つ研究で示されています。たとえばマウスの実験によると肥満のNK細胞は代謝が行き詰まっていて腫瘍と戦えず、腫瘍増殖を食い止めることができません2)。また、肥満小児のNK細胞を調べたところ合図に応じる能力が劣っており、増殖して腫瘍を除去するという本来の働きを全うできませんでした3)。すなわち肥満だとNK細胞は目当ての細胞に取り付いて除去することができなくなるようであり、肥満患者はそれゆえがんや感染症を被りやすいのかもしれません。先立ついくつかの研究でGLP-1薬はマクロファージやT細胞などの免疫細胞に手を加えることが知られています。アイルランドの2人の研究者・Andrew Hogan氏やDonal O’Shea氏などが携わった2016年の報告はそれらの1つで、脂肪組織のインバリアントナチュラルキラーT細胞(iNKT細胞)の活性化作用がGLP-1薬の体重減少効果に寄与しうることが示唆されました4)。その両氏が率いるチームは続いてNK細胞へのGLP-1薬の作用の検討にも乗り出し、体重管理のためにGLP-1薬投与を始める肥満患者を募ってNK細胞の変化を調べました。投与されたGLP-1薬はノボ ノルディスク ファーマのリラグルチドで、うれしいことに同剤投与はNK細胞のサイトカイン生成や目当ての細胞を壊す効果の向上と関連しました。リラグルチドでNK細胞機能が改善するのは体重減少のおかげというわけではなさそうで、同剤はNK細胞の代謝を底上げすることで体重減少とは関係なく直接的にその働きを回復させるようです。世界保健機関(WHO)の推定によると世界の成人の13%が肥満です5)。上述のとおり肥満は種々のがんを生じやすくし、たとえば米国で毎年診断されるがんの40%が太り過ぎや肥満と関連します6)。今回の発見はGLP-1薬を使う肥満患者を勇気づけるものであり、それら薬剤ががんを生じ難くするという効果さえ担うことを示唆しているとO’Shea氏は言っています7)。アルツハイマー病患者の行動障害治療薬を米国FDAが初めて承認アルツハイマー型認知症患者の暴言、暴力、錯乱などの行動障害(アジテーション)治療のFDA承認を抗精神病薬ブレクスピプラゾール(商品名:レキサルティ)が先週11日に取得し、米国でその用途を有する初めてにして唯一の薬剤となりました8)。大塚製薬のアルツハイマー型認知症アジテーション治療の取り組みはブレクスピプラゾールにとどまりません。10年ほど前の2014年に発表されたAvanir社買収で大塚製薬の手に権利が渡った別の薬剤AVP-786のその用途の第III相試験が進行中であり、来年2024年4月に完了する見込みです9)。参考1)De Barra C, et al. Obesity. 2023 May 9. [Epub ahead of print]2)Michelet X, etal. Nat Immunol. 2018;19:1330-1340.3)Tobin LM, et al. JCI Insight. 2017;2:e94939.4)Lynch L, et al. Cell Metab. 2016;24:510-519.5)Obesity and overweight / WHO6)Cancers Associated with Overweight and Obesity Make up 40 percent of Cancers Diagnosed in the United States / CDC7)Maynooth University research reveals cancer-killing benefits of popular obesity treatment / Eurekalert8)FDA Approves First Drug to Treat Agitation Symptoms Associated with Dementia due to Alzheimer's Disease / PRNewswire9)大塚ホールディングス株式会社 2022年度決算説明会

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術後せん妄予防にメラトニン投与が有望~メタ解析

 術後せん妄は、死亡率に影響を及ぼす問題である。術後せん妄の多くは予防可能であり、予防薬としてメラトニン投与が有望であるといわれている。英国・Bristol Royal InfirmaryのJonathan Barnes氏らは、術後せん妄の予防におけるメラトニンの有効性に関する最新のエビデンスのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、メラトニンは、成人の術後せん妄発生率を低下させる可能性が示唆された。BMJ Open誌2023年3月29日号の報告。術後せん妄の予防におけるメラトニンの有効性を患者1,244例で解析 1990年1月1日~2022年4月5日までに公表された術後せん妄に対するメラトニンのランダム化比較試験を、各種データベース(EMBASE、MEDLINE、CINAHL、PsycINFO)および臨床試験レジストリ(ClinicalTrials.org)から、システマティックに検索した。対象には、成人の術後せん妄発生率に対するメラトニンの影響を調査した研究を含めた。バイアスリスクの評価には、Cochrane risk of bias 2 toolを用いた。主要アウトカムは、術後せん妄の発生率、副次アウトカムは、術後せん妄の期間および入院期間とした。データの合成には、ランダム効果メタ解析を用い、フォレストプロットで図式化した。研究の方法論およびアウトカム測定の概要も調査した。 術後せん妄の予防におけるメラトニンの有効性を解析した主な結果は以下のとおり。・さまざまな外科の専門分野の患者1,244例を対象とした11件の研究をメタ解析に含めた。・7件の研究では、さまざまな用量でメラトニンが使用されており、4件の研究ではラメルテオンが使用されていた。・術後せん妄の診断には、8つの異なる診断ツールが使用されていた。・評価時期は、研究によりさまざまであった。・バイアスリスクは、6件の研究で低く、5件の研究でやや懸念があると評価された。・対照群と比較したメラトニン群の術後せん妄発症に対するcombined ORは0.41(95%信頼区間:0.21~0.80、p=0.01)であった。

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日本における双極性障害外来患者の入院の予測因子~MUSUBI研究

 双極性障害は、躁症状とうつ症状が繰り返し発現し、社会的機能低下や自殺リスクにつながる可能性のある疾患である。症状の増悪により入院せざるを得なかった双極性障害患者では、その後の心理社会的機能の低下が報告されていることから、できる限り入院リスクを減らす治療が求められる。しかし、双極性障害患者の実臨床における入院の予測因子に関するエビデンスは、これまで十分ではなかった。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本における双極性障害外来患者の入院の予測因子を明らかにするため、観察研究を実施した。その結果、対象となった双極性障害外来患者の3.06%が、ベースラインから1年間に精神科への入院を経験していることが明らかとなった。また、双極I型障害、ベースライン時の機能の全体的評定尺度(GAF)スコアの低さ、失業状態、薬物乱用、躁状態が入院の予測因子である可能性が示唆された。Frontiers in Psychiatry誌2023年3月16日号の報告。 日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査「MUSUBI研究」にて、実臨床における観察研究を実施。レトロスペクティブな医療記録調査の一環として、日本精神神経科診療所協会に加盟しているクリニック176施設を受診した双極性障害患者について、臨床医へのアンケート調査を行った。2016年9月~10月に収集したデータより、ベースライン時の患者の特徴(併存疾患、精神状態、治療期間、GAFスコア、薬理学的治療の詳細情報など)を抽出した。ベースラインから2017年9・10月までの期間(1年間)、双極性障害患者の入院発生率および予測因子を調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は2,389例。・ベースラインから1年間での精神科入院発生率は3.06%であった。・二項ロジスティック回帰分析では、精神科入院と関連が認められた因子は、双極I型障害、ベースライン時のGAFスコアの低さ、失業状態、薬物乱用、躁状態であった。・本結果は、臨床医が双極性障害患者の精神科への入院を予防するうえで、役立つ可能性がある。

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COVID-19パンデミックは日本人のうつ病リスクにどの程度の影響を及ぼしたのか

 北里大学の深瀬 裕子氏らは、長期にわたるCOVID-19パンデミックが日本の一般集団におけるうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の変化にどのような影響を及ぼしたかを評価し、そのリスク因子や適応/非適応戦略についても調査を行った。その結果、うつ病レベルは、パンデミックの初期段階で増大し、2022年1月には軽減したと考えられた。男性では、抑うつ症状を軽減するためには、経済的な状態を改善する必要があることが示唆された。パンデミックが長期間に及んだため、男女ともに適応戦略を特定することは困難であった。一方、PTSDについては、日本の一般集団において顕著な変化は認められなかった。BMC Psychiatry誌2023年3月20日号の報告。 2020~22年の間に5回のWebベースの縦断調査を実施した。抑うつ症状は「こころとからだの質問票(PHQ-9)」、PTSDは「出来事インパクト尺度(IES-R)」、対処戦略は「Brief Coping Orientation to Problems Experienced(Brief COPE)」を用いて評価した。なお、PHQ-9やIES-Rのスコアが高いほどより多くの症状を有していること、Brief COPEのスコアが高いほど、これらの対処方法の使用頻度が多くなることを示している。 主な結果は以下のとおり。・分析対象者は1,366人(平均年齢52.76±15.57歳)。・うつ病のレベルに関しては、2022年のPHQ-9スコアは、2020年および2021年よりも低かった(各々、p<0.01)。・PTSDのレベルに関しては、女性において2022年のIES-Rスコアは、2021年よりも低かった(p<0.001)。・男女ともにPHQ-9スコアの増加に影響を及ぼす因子として、若年(男性:β=-0.08、p<0.01、女性:β=-0.13、p<0.01)、自責思考(男性:β=0.12、p<0.01、女性:β=0.18、p<0.01)が特定された。・男性では、抑うつ症状のリスク因子として、仕事がないこと(β=0.09、p=0.004)、経済的影響(β=0.07、p=0.003)が挙げられ、積極的な対処(β=-0.10、p=0.005)は抑うつ症状の軽減に寄与することが示唆された。・女性では、物質(アルコールや薬物など)の使用(β=0.07、p=0.032)、行動の放棄(β=0.10、p=0.006)が抑うつ症状を増大させており、抑うつ症状の軽減に有効な対処方法は認められなかった。

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認知機能低下の早期発見にアイトラッキングはどの程度有用か

 アルツハイマー病(AD)患者では初期段階から、眼球運動に反映されるように、視空間処理障害が認められる。杏林大学の徳重 真一氏らは、ビジュアルタスク実行中の視線動向パターンを評価することで、認知機能低下の早期発見に役立つかを調査した。その結果、いくつかのタスクを組み合わせて視空間処理能力を可視化することで、高感度かつ特異的に認知機能の低下を早期に検出し、その後の進行の評価に役立つ可能性があることを報告した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年3月21日号の報告。 AD患者16例(平均年齢:79.1±7.9歳、ミニメンタルステート検査[MMSE]平均スコア:17.7±5.3)および健康対照者16例(平均年齢:79.4±4.6歳、MMSE平均スコア:26.9±2.4)を対象とし、視覚記憶タスク、視覚探索タスクの評価を行った。video-oculographyを用いて衝動性眼球運動(saccade)パラメータ、視線動向パターン、タスク遂行中の瞳孔サイズの変化を記録し、AD患者と健康対照者で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・視覚記憶タスクでは、AD患者は健康対照者と比較し、固定対象領域における記憶数の有意な減少が認められた。・視覚探索タスクでは、AD患者はpop out taskではなくserial search taskでターゲットを検出する際に、有意に長い時間と衝動性眼球運動数の増加が認められた。・両タスクともに、両群間での衝動性眼球運動の頻度と振幅に有意な差は認められなかった。・serial search task実行中の瞳孔サイズの変調は、AD患者で減少した。・視覚記憶タスクおよびserial search taskは、AD患者を高感度で鑑別可能であり、瞳孔サイズの変調や衝動性眼球運動は、高い特異性をもって認知機能低下から正常認知機能を確認するうえで効果的であった。

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ADHD患者の不安症やうつ病の併発、その影響はどの程度か

 注意欠如多動症(ADHD)患者では精神医学的疾患の併発が多く、診断に難渋したり、治療のアウトカムおよびコストに影響を及ぼしたりする可能性がある。米国・大塚ファーマシューティカルD&CのJeff Schein氏らは、同国におけるADHDおよび不安症やうつ病を併発した患者の治療パターンとコストを調査した。その結果、不安症やうつ病を併発したADHD患者では、これらの併存疾患がない患者と比較し、治療変更が行われる可能性が有意に高く、治療変更の追加によるコスト増加が発生することが明らかとなった。Advances in Therapy誌オンライン版2023年3月13日号の報告。 薬理学的治療を開始したADHD患者の特定には、IBM MarketScan Data(2014~18年)を用いた。最初に観察されたADHD治療の日付をインデックス日とした。併存疾患(不安症および/またはうつ病)のプロファイルは、ベースライン前6ヵ月間評価した。治療変更(中止、切り替え、併用、併用中止)は、治療開始後12ヵ月間調査した。治療変更に至るオッズ比(OR)を推定した。治療を変更した患者と変更しなかった患者において、調整された年間医療コストの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は17万2,010例(小児[6~12歳]:4万9,756例、青少年[13~17歳]:2万9,093例、成人[18歳以上]:9万3,161例)。・不安症および/またはうつ病の有病率は、年代別に以下のとおりであり、小児期から成人期にかけて増加していた。 【不安症】  小児期:11.0%、青少年期:17.7%、成人期:23.0% 【うつ病】  小児期:3.4%、青少年期:15.7%、成人期:19.0% 【不安症および/またはうつ病】  小児期:12.9%、青少年期:25.4%、成人期:32.2%・併存疾患がある患者は、併存疾患がない患者と比較し、治療変更の確率が有意に高かった。 【不安症】  小児期OR:1.37、青少年期OR:1.19、成人期OR:1.19 【うつ病】  小児期OR:1.37、青少年期OR:1.30、成人期OR:1.29 【不安症および/またはうつ病】  小児期OR:1.39、青少年期OR:1.25、成人期OR:1.21・医療コストは、一般的に治療変更の回数が増えるほど高額であった。・治療変更を3回以上行った場合の患者1人当たりの年間超過コストは以下のとおりであった。 【不安症】  小児期:2,234ドル、青少年期:6,557ドル、成人期:3,891ドル 【うつ病】  小児期:4,595ドル、青少年期:3,966ドル、成人期:4,997ドル 【不安症および/またはうつ病】  小児期:2,733ドル、青少年期:5,082ドル、成人期:3,483ドル

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第162回 Lillyのアルツハイマー病治療抗体も第III相試験成功 / 英国成人の5人に1人が音嫌悪症

Lillyの抗Aβ抗体もアルツハイマー病患者の認知や所作の衰えを抑制Eli Lilly and Company(以下、Lilly)の抗アミロイドβ(Aβ)抗体donanemabもエーザイのlecanemabと同様に初期アルツハイマー病患者対象の第III相試験で成功を収め、認知や身のこなしの指標であるiADRSの悪化をプラセボに比べて遅らせました1)。今回の発表ではiADRSを含む各転帰の経過のプラセボとの相対的な比較結果がひとまず示され、詳しい結果は再来月7月の学会Alzheimer's Association International Conferenceで報告される見込みです。donanemab投与群の各転帰の絶対的経過や同剤の効果がアルツハイマー病患者自身やその家族が察知できるほどのものであったかどうか2)はその学会報告を受けて検討されるでしょう。安全性はどうだったかというと、発作や出血へと至りうるアミロイド関連画像病変(amyloid-related imaging abnormalities:ARIA)の懸念が専門家の間で取り沙汰されているようです。ARIAの一種である一過性の脳浮腫(ARIA-E)はdonanemab治療群のほうがプラセボ群より4倍ほど多く、それぞれ24%と6.1%に認められました。小出血や血鉄素沈着を特徴とするARIA-Hも同様にdonanemab群で多く、プラセボ群では13.6%だったのがその2~3倍多い約3例に1例(31.4%)に認められました。LillyによるとARIAのほとんどは軽~中等度で、治療によって解消するか安定化しました。ただし、重度のARIAが1.6%に生じ、うち2例はそのために死亡しました。また、別の1例が重度ARIAの後に亡くなっています。認知症治療を研究する英国の精神科医Robert Howard氏はARIAを重くみており、donanemabはエーザイのlecanemabと同じぐらい危険なようだ(Looks as dangerous as lecanemab)とTwitterに投稿しています3)。lecanemabの試験に携わったソルボンヌ大学の神経科医Nicolas Villain氏の懸念はさらに大きいようで、donanemabのほうがより有害かもしれないと心配しています4)。そのような心配の声が上がる一方で、いわゆるアミロイド仮説を支持する科学者の多くはAβがアルツハイマー病の少なくとも有意な要因であることがdonanemabの今回の第III相試験でさらに確実になったとみるでしょう4)。たとえ害を差し引いた価値がいまひとつだったとしてもアミロイド蓄積を除去あるいは防ぐより有効で安全な手段の発案へと通じると期待できます。英国成人の5人に1人が不快な音をやり過ごせない音嫌悪症英国成人の約5人に1人(18%)は他の人がくちゃくちゃ言わせて物を食べたり鼻をすすったりするなどして生じる特定の不快な音をやり過ごせずに苦しむ音嫌悪症と推定されました5)。不快な音への一般的な反応は「いらつき」ですが、音嫌悪症の人は不快な音の出どころから離れられないと行き詰まってどうしようもなくなって何も手につかなくなります。また、音に過敏すぎることは自分に非があるとして自分を責めます6)。5人に1人もが音嫌悪症と推定されたにもかかわらず、そうと自覚していた人はほとんどおらずたった2.3%のみでした。不快な音で行き詰まってしまう音嫌悪症の人をそれが自分だけではないと今回の結果は安心させるに違いありません7)。音嫌悪症がよくある現象であることを今回の結果は示しました。音嫌悪症がどれほどひどいと体に差し障るかや治療が必要になるかなどを今後の研究で調べる必要があります。参考1)Lilly's Donanemab Significantly Slowed Cognitive and Functional Decline in Phase 3 Study of Early Alzheimer's Disease / PRNewswire2)Alzheimer’s drug donanemab: what promising trial means for treatments / Nature3)Robert Howard氏Twitter投稿4)‘It’s not a miracle drug’: Eli Lilly’s antibody slows Alzheimer’s disease but safety issues linger / Science5)Vitoratou S, et al. PLoS One. March 22, 2023. [Epub ahead of print]6)About a Fifth of Us Are Hypersensitive to Sounds / MedScape7)Nearly one in five UK adults may have misophonia, experiencing significant negative responses to sounds / Eurekalert

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ブレクスピプラゾールの治療継続に影響を及ぼす8つの因子

 治療中止に関連する未知の因子の特定は、自然言語処理(NLP)のテクノロジーを用いて精神科電子カルテのテキスト情報を分析および整理することにより可能であると考えられる。千葉大学の伊豫 雅臣氏らは、NLPのテクノロジーを用いたMENTATによるデータベースを使用し、ブレクスピプラゾールの治療継続率および治療中断に影響を及ぼす因子の評価を試みた。その結果、ブレクスピプラゾールの治療中止と関連する可能性のある、8つの潜在的な新たな因子が特定された。著者らは、今後の統合失調症患者に対する治療戦略や治療継続率の改善につながるとまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年3月27日号の報告。 2018年4月18日~2020年5月15日に新たにブレクスピプラゾール治療を開始した統合失調症患者を対象に、レトロスペクティブ観察研究を実施した。ブレクスピプラゾール初回投与から180日間フォローアップを行った。ブレクスピプラゾールの治療中止に関連する因子は、構造化および非構造化された患者データを用いて評価した(2017年4月18日~2020年12月31日)。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者は515例(平均年齢:48.0±15.3歳、男性の割合:47.8%)。・カプランマイヤー分析では、ブレクスピプラゾールの180日間の累積継続率は、29%(推定値:0.29、95%信頼区間[CI]:0.25~0.33)であった。・単変量Cox比例ハザード分析では、ブレクスピプラゾールの治療中止に関連する16の独立した因子を特定し、多変量Cox比例ハザード分析を実施した。・多変量解析で特定されたブレクスピプラゾールの治療中止に関連する8つの因子は以下のとおりであった。 ●身体合併症を有する(ハザード比[HR]:0.592、95%CI:0.46~0.76、p<0.001) ●入院期間が長い(HR:0.998、95%CI:0.997~0.999、p<0.001) ●過去1年間の抗精神病薬の投与量がクロルプロマジン等価換算量で200~400mg/日(vs.200mg/日以下、HR:0.626、95%CI:0.42~0.93、p=0.020) ●電気けいれん療法の治療歴(HR:1.655、95%CI:1.01~2.70、p=0.044) ●主な連絡先情報の入手が可能(HR:1.523、95%CI:1.14~2.03、p=0.004) ●犯罪歴(HR:1.367、95%CI:1.10~1.70、p=0.005) ●ブレクスピプラゾール用量2mgまでの増量期間が28日超(HR:1.600、95%CI:1.26~2.03、p<0.001) ●陽性症状以外の症状の出現・悪化(HR:2.120、95%CI:1.52~2.96、p<0.001)

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日本人救急医における不眠症・睡眠薬使用リスク

 救急医は、不眠症の有病率や睡眠薬の使用頻度が高いといわれている。救急医の睡眠薬使用に関するこれまで研究では、回答率の低さから、現状を十分に把握できていなかった。国際医療福祉大学の千葉 拓世氏らは、若手日本人救急医を対象に、不眠症の有病率および睡眠薬使用状況を調査し、不眠症や睡眠薬使用に関連する因子の評価を試みた。その結果、日本における若手救急医は慢性不眠症の有病率および睡眠薬の使用率が高く、慢性不眠症には長時間労働やストレスが、睡眠薬の使用には性別、婚姻状況、ストレスが関連していることが報告された。The Western Journal of Emergency Medicine誌2023年2月20日号の報告。 2019年と2020年に初めて日本救急医学会の専門医試験を受験した救急科専門医を対象に、慢性不眠症および睡眠薬使用に関する調査を実施した。データは、匿名かつ自発的な報告により収集した。不眠症の有病率および睡眠薬使用について調査し、それらに影響を及ぼす人口統計学的および仕事関連の因子を特定するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・回答率は、89.71%(732/816人)であった。・慢性不眠症の有病率は24.89%(95%信頼区間[CI]:21.78~28.29)、睡眠薬の使用率は23.77%(95%CI:20.69~27.15)であった。・慢性不眠症に関連する因子は、長時間労働(オッズ比[OR]:1.02、95%CI:1.01~1.03、1週間当たり1時間)、ストレス要因(OR:1.46、95%CI:1.13~1.90)であった。・睡眠薬使用に関連する因子は、男性(OR:1.71、95%CI:1.03~2.86)、未婚(OR:2.38、95%CI:1.39~4.10)、ストレス要因(OR:1.48、95%CI:1.13~1.94)であった。・ストレス要因は主に、患者/家族および同僚への対応、医療過誤に関する懸念、疲労のストレッサーによる影響を受けていた。

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統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着~メタ解析

 睡眠障害と認知機能障害は、統合失調症でみられる持続的な症状である。これまでのエビデンスにより、統合失調症患者は健康対照者と比較し、睡眠依存性の記憶の定着が損なわれている可能性が示唆されている。トルコ・Dokuz Eylul UniversityのCemal Demirlek氏らは、統合失調症における睡眠依存性の記憶の定着に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、健康成人においては睡眠が記憶の定着を改善するが、統合失調症患者では睡眠依存性の記憶の定着が不足していた。Schizophrenia Research誌2023年4月号の報告。 PRISMAガイドラインに従ってシステマティックレビューを実施した。エフェクトサイズ(Hedge's g)の算出には、変量効果モデルを用いた。定量的レビューでは、健康対照者、統合失調症患者、健康対照者と統合失調症患者の比較における手続き記憶(procedural memory)について、3つの個別のメタ解析を実施した。さらに、最も一般的に使用される指タッピング運動シークエンス課題(finger tapping motor sequence task)について、別のメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには、14研究(統合失調症患者304例、健康対照者209例)を含めた。・睡眠依存性の手続き記憶の定着に関するランダム効果モデル分析では、各エフェクトサイズは、統合失調症患者で小さく(g=0.26)、健康対照者で大きく(g=0.98)、健康対照者と統合失調症患者の比較では中程度(g=0.64)であった。・finger tapping motor sequence taskを用いた研究のメタ解析では、各エフェクトサイズは、統合失調症患者で小さく(g=0.19)、健康対照者で大きく(g=1.07)、健康対照者と統合失調症患者の比較では中程度(g=0.70)であった。・定性的レビューでは、統合失調症患者は健康対照者と比較し、睡眠依存性の陳述記憶(declarative memory)の定着も損なわれていた。・健康成人においては、睡眠が記憶の定着を改善するが、統合失調症患者では睡眠依存性の記憶の定着が損なわれていることが、本結果により支持された。・記憶のサブタイプごとに睡眠依存性の定着を調査するため、精神病性障害のさまざまな段階において睡眠ポリグラフを用いた研究が求められる。

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日本の父親・母親の産後うつ病リスクは?

 産後うつ病は、親に悪影響を及ぼすだけでなく、子供の認知機能、社会感情、行動発達などの障害につながる可能性がある。長崎大学の山川 裕子氏らは、出産後1年間の母親および父親の産後うつ病に関連する因子を調査した。その結果、父親と母親の双方にとって、ストレス対処スキルが産後1年間の産後うつ病に影響を及ぼす重要な因子であることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年3月13日号の報告。 自己記入式アンケートを用いて調査を行った。産後5日、3ヵ月、6ヵ月、1年後にアンケートを郵送した。参加者は、父親および母親107組。産後うつ病の評価には、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。首尾一貫感覚(ストレス対処力、SOC)、夫婦関係の満足度(QMI)、ソーシャル・サポート尺度、赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS)、社会人口学的変数に関するデータを収集した。父親と母親それぞれの調査期間ごとに、各変数とEPDSとの関連性の強さを重回帰分析で調査した。 主な結果は以下のとおり。・産後1年目の産後うつ病の有病率は、父親で12.1~23.4%、母親で7.5~8.4%の範囲であった。・SOCは、4つの調査期間すべてにおいて、父親と母親の双方のEPDSスコアに最も強い影響を及ぼす因子であった。・産後1年間の産後うつ病には、父親母親共に、ストレス対処スキルが重要な影響を及ぼすことが示唆された。

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