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てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに

 PET画像診断により、てんかん発作時に関連する脳病変として脳炎が有意に認められることがラット試験において実証された。近年、てんかん治療のターゲットとして炎症カスケードが注目されている。本研究を行ったStefanie Dedeurwaerdere氏らは、「この結果は、てんかん発作時の脳炎の役割とてんかん発作に対する抗炎症薬の評価を、さらに長期的に進めていく後押しとなった」と報告している。EJNMMI Research誌オンライン版2012年11月8日号の掲載報告。 KASE(カイニン酸誘発てんかん重積状態)ラットモデルにおける、早期てんかん発作時の脳炎について、剖検による病理組織学的所見とin vivoでのPETで測定した[18F]-PBR111により調べた。研究は、てんかん重積状態(SE)モデルラット13例と対照群ラット9例を比較して行われた。SE後7日間の輸送体蛋白質(TSPO)の発現とミクログリアの活性化を、[125I]-CLINDEオートラジオグラフィとOX-42免疫組織化学的方法で評価した。またサブグループでは、剖検前に代謝物補正入力関数による[18F]-PBR111 PET測定を行った。 関心領域(VOIs)の[18F]-PBR111分布容量(Vt)を、反応速度モデリングとVOI/代謝物補正血漿濃度で定量化した。 主な結果は以下のとおり。・SEモデルラットの多くがin vivoにおいて、海馬や扁桃体といった関連する脳病変部位でTSPOの非常に過剰な発現を示した(p<0.001)。・症状が軽度のラットでは、扁桃体でのみTSPOのわずかな増大がみられた(p<0.001)。・TSPOの発現はOX-42シグナルと関連していたが、明らかな細胞の消失はみられなかった。・同様に、in vivoにおいて、海馬(p<0.005)や扁桃体(p<0.001)といったキー病変で、[18F]-PBR111の容量増大と濃度の上昇がみられた。・剖検およびin vivoいずれにおいても、てんかん発作において重要な脳の部位で、てんかん発作中に有意な脳炎が認められることがKASEモデルにおいて実証された。関連医療ニュース ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務 ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

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認知症患者が車で徘徊、発見方法は?

 認知症患者では徘徊行動がしばしば問題となる。そして、車での徘徊となるとさらに問題は大きくなる。Meredeth A Rowe氏らは、認知症患者が車で徘徊した際の発見方法やシルバーアラートの効果に関してレトロスペクティブに検討を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2012年11月7日号の報告。 2008年10月~2010年5月でフロリダシルバーアラートプログラムより抽出した156データを使用し分析を行った。アラートデータは、フロリダ州で認知症ドライバーの行方不明者を発見するために使われた。 主な結果は以下のとおり。・行方不明者の過半数は、配偶者に介護されている58~94歳の男性であった。・ほとんどの人は、介護者も把握しているいつもの場所への外出で行方不明になっていた。・発見時、運転していた人はわずか15%であり、停車中の車内やその近くで発見された。・大多数は警察により発見された。・行方不明になった場所と同じ郡で発見された人はわずか40%であり、10%は別の州で発見された。・対象の5%は死亡した状態で発見されており、一人暮らしの人のほうが死亡率が高かった。・15%は線路上など危険な場所に車を停止している状態で発見された。・32%は間違った道や人里離れた地域を運転したり、車道を歩いたりといった危険な行動をしていた。関連医療ニュース ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う? ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは…

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性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連

 性的強迫観念(sexual obsession)は、統合失調症患者で頻度が高く半数以上でみられ、次いで気分障害患者で3割強にみられる。また、統合失調症患者では女性よりも男性に多く、自殺行動の独立関連因子であることなどが、Liliana Dell Osso氏らによる研究の結果から、明らかになった。これまで性的強迫観念をトピックとした精神症状の研究は十分調査されておらず、結果を踏まえて著者は、「性的強迫観念に焦点を当てた研究と治療戦略の確立が、とくに気分障害や統合失調症を有する患者に着目して行われる必要がある」と提言している。Annals of general psychiatry誌オンライン版2012年10月30日号の掲載報告。 本研究の目的は、(1)気分障害患者(156例)、パニック障害患者(54例)、統合失調症患者(79例)と非精神疾患被験者(100例)における性的強迫観念の有無を調べること、(2)性的強迫観念と自殺行動との関連を社会人口統計学的に(精神障害に考慮)調査すること、の2つであった。計289例の精神疾患患者の被験者は、イタリアの大学病院の精神科から集められ、100例の対照群は同じ大学の眼科に定期視力検査で受診した人であった。性的強迫観念について、Structured Clinical Interview for DSM-IV-TR、Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)、Obsessive-Compulsive Spectrum Self-Report(OBS-SR)にて評価し、Mood Spectrum-Self Report lifetime version(MOODS-SR)などでの評価も行った。自殺傾向は、MOODS-SRの6項目で評価した。 主な結果は以下のとおり。・性的強迫観念は、統合失調症で頻度が高く(54.4%)、次いで気分障害で多く認められた(35.9%)。・統合失調症患者では、男性の方が女性よりも報告例が多かった(p<0.01)。・自殺行動(自殺念慮、計画および企図)が多く報告されたのは、女性(補正後OR:1.99)、精神障害患者ではとくに気分障害患者が多く(同:11.5)、統合失調症(同:3.7)、パニック障害(同:2.9)と続いた。また、生涯にわたり性的強迫観念があると報告した被験者(同:3.6)でも報告が多かった。・性的強迫観念は、あらゆる自殺行動と独立的に関連していた。・年齢、教育、配偶者の有無、雇用状況は、自殺行動と関連していなかった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺 ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用

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統合失調症における長期転帰の予測因子は「男性」「顕著な陰性症状」

 統合失調症患者の長期転帰を改善することは、重要な課題であり、さまざまな研究が行われている。しかし、過去の統合失調症における経過や転帰を研究した報告を比較するにあたっては、異なる診断システムが用いられていることにより限界があった。Lang FU氏らは、精神病理学的な観点から長期の転帰に焦点を当て、DSM-III、DSM-III-R、DSM-IV、ICD-10を用いたフォローアップ研究のレビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年11月9日号の報告。 2011年までに報告された統合失調症における経過や転帰に関する研究を、MEDLINE、コクラン比較試験レジスタ、EMBASE、PsycINFO、PSYNDEXで検索を行った。抽出された研究のうち、最終的には21報の研究が分析に用いられた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症の長期転帰は不均一であり、完全寛解ならびに重度の慢性期患者が含まれていた。・統合失調症では、統合失調感情障害や情動障害などの他診断群と比較し、非常に不利な結果が示された。・精神病理学的症状は比較的安定していた。・統合失調症患者における予後不良の予測因子は、男性、顕著な陰性症状であった。・統合失調症患者の長期転帰に対する治療介入の影響は依然として不明なままである。関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか? ・「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は…

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(34)〕 高齢者の不安―古くて新しい問題

本論文は、ベンゾジアゼピンの新規使用が認知症発症の危険因子であるという報告である。認知症の前駆期あるいは初期には抑うつが多くみられることから、ベンゾジアゼピンを処方される機会も多いはずだという批判に対して、本研究では抑うつ症状も統制した多変量解析の結果も示しており、この点もぬかりがない。 さて、高齢者へのベンゾジアゼピンの使用は古くからある難問である。例えばベンゾジアゼピン系薬剤の使用は、高齢者の大腿骨近位部骨折のリスクを大幅に増加させる1)。高齢者へのベンゾジアゼピンの使用を積極的に推奨するガイドラインはないと思われる。一方で、現実にはプライマリケアの領域では不安を訴える高齢者がそれこそ毎日受診していることだろう。このような場合、伝統的にエチゾラム少量投与などが行われることが多いようだ。一応触れておくと、不安障害は過小評価されるべきではなく、不安障害が心血管系合併症を伴うことで有意に死亡率を上昇させるという報告2)もある。 ガイドライン上は否定されるが、ベンゾジアゼピンは、わが国だけではなく現実には多く処方されているようだ。各国の高齢者が当該薬品を使用している(フランスで30%、カナダとスペインで20%、オーストラリアで15%)というIntroductionの記載は率直であり、興味深い。 高齢者の不安が根深いものであることにも配慮が必要だ。老年期に失うものは多く、地位、収入、健康、仲間、自立、居住設備、生命などがあげられる3)。精神病理学者の桜井図南男は「老人は不安に取り囲まれているといってよいと思う」と述べ、同時に「老人の心は、自分が老人になってみないと本当にはわからない」とも述べている4)。結論としては、やはり高齢者へのベンゾジアゼピンの使用は推奨されない、となるのだが、長年臨床現場では多用されていることの背景に少し触れてみた。 なお、不安が長期にわたる、不安内容が妄想的である、等の場合は精神科へ紹介していただきたい。このような場合はむしろベンゾジアゼピンを処方しない治療組立が必要になるかもしれない。いずれにしても、高齢者が不安を感じない世の中になってほしいものである。

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統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値

 若年統合失調症患者ではPET(陽電子断層撮影法)を用いた研究により、線条体ドパミンD2/3レセプター占有率を指標とした治療域は65~80%が適切であることが確認されている。慶應義塾大学の内田裕之氏らは、カナダ・Addiction and Mental Healthセンターにて、これまで検討されていなかった高齢統合失調症患者における同治療域の検討を行った。その結果、70%以上では錐体外路症状が出現し、70%未満で解消されることが示された。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は若年患者の場合と比べて治療域が低いことを示すものであり、高齢統合失調症患者ではさらなる治療薬の開発と臨床ガイドラインが重要なことを意味する」と結論した。The American journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2012年10月31日号の掲載報告。 Addiction and Mental Healthセンターで、オープンラベル介入試験を行った。主要試験目的は、高齢統合失調症患者の臨床アウトカムにおけるD2/3レセプター占有率の変化の影響(RRO)を評価することとした。被験者は、50歳以上で症状が安定しており、経口リスペリドンを6ヵ月以上服用している統合失調症患者で、リスペリドン投与を最大40%減量し3ヵ月間追跡した。背側被殻のドパミンD2/3 RROについて、投与前後にPETスキャンを行いC-ラクロプリドの領域解析にて評価した。臨床評価には、Positive and Negative Syndrome ScaleやSimpson-Angus Scaleなどを含んだ。 主な結果は以下のとおり。・被験者は9例(年齢58±7歳、ベースラインでのリスペリドン投与量3.4±1.6mg/日)であった。・錐体外路症状は被験者6例でみられた。これら被験者の被殻でのD2/3 RROは70%以上(範囲:70~87%)であった。・投与量減量後、5例の被験者で錐体外路症状は解消された。・被験者2例はD2/3 RROが52%および50%未満で臨床的悪化が認められた。関連医療ニュース ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか? ・初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響 ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

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双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現

 双極性障害患者の大半は、DSM-IV診断基準で定義されるうつ病エピソード以外のうつ症状を経験する。ドイツ・ドレスデン工科大学のBauer M氏らは、1~4日間の短期うつ症状エピソードの頻度を、デイリー自己申告気分評価(daily self-reported mood ratings)を用いて調査した。その結果、定義外うつ症状の日が全うつ症状の日の61%を占めたこと、I型とII型で発生に有意な差がないことが示された。さらに、中等度~重度の症状日が4分の1~3分の1を占め、また抗うつ薬服用者のほうがより多く経験していることなどが明らかとなった。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌2012年11月号の報告。 双極性障害患者の短期うつ病について、自己評価データを用いて解析した。ChronoRecord software(総計9万1,786日)を利用して患者448例(I型281例、II型167例)から気分評価のデータを入手。うつ病エピソードと定義外うつ病エピソードの日を判定し、うつ症状の強さを比較した(軽度 対 中等度~重度)。なお本研究では、非双極性障害患者の短期うつ病に関する言及は行われなかった。主な結果は以下のとおり。・DSM-IV診断基準を用いて判定した結果、うつ症状を呈したすべての日のうち61%が定義外うつ病エピソードの日であった。・エピソード期間の基準を最短2日とした場合、うつ病エピソードを経験した患者数は128例から317例に、各患者がうつ病エピソードを過ごした日の平均割合は7.9%から17.8%へと、いずれも約2倍となった。その場合も34.3%は定義外エピソードであった。・エピソード期間によって解析したところ、エピソード期間内で症状が重度であった日の割合は、14日間継続エピソードでは3分の1、2日間継続では4分の1であった。また、エピソードが1日間では4分の1であった。・短期うつ症状エピソードの頻度は、双極性障害I型とII型で有意な差は認められなかった。・全エピソード期間について、抗うつ薬服薬患者は非服薬患者よりも、うつ病エピソード日が4%、定義外うつ症状日は6%長かった。この結果を踏まえて著者は、「抗うつ病薬について、診断基準以下のうつ症状への影響について評価する対照比較試験が必要である」と提言している。関連医療ニュース ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関

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てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

 てんかんを持つ人は、生涯にわたってうつ病や不安症に罹患する可能性が高いが、その最大リスクは明らかとなっていない。そうした中で、潜在的に重大なリスク因子として心理社会的要因が示唆されている。オーストラリア・シドニー大学のGandy氏らは、システマティックレビューを行い、心理社会的要因が予測因子となうるのか、エビデンスを精緻に評価した。J Affect Disord誌2012年11月号の報告。 MEDLINE、PsycINFO、Web of Scienceの電子データベースを検索し、実証されている質問票を用いてうつ病および不安症の症状を評価し、潜在的に重要なてんかん因子の仕組みについて対照評価している試験を解析に組み込んだ。Quality Index Scale(QIS)を評価基準として用いた11試験が同定された。 主な結果は以下のとおり。・11試験中10試験で、1つ以上の有意なうつ病予測因子がみつかった。・不安症を評価していた全6試験でも、1つ以上の有意な予測因子がみつかった。・一方で本研究は、全体のQISスコアが15点中7.5点にとどまり、解析に含んだ多くの試験のデザインに限界があった。心理社会的要因の尺度について、試験間でのばらつきも大きかった。・結論として本研究では、てんかん患者のうつ病発症について、帰属的理論とスティグマの重要性は裏付けられなかった。・疾患表出の仕組みに関する裏付けは首尾一貫していなかった。しかし、ストレスと自己効力感の役割については支持できる可能性があった。・対処戦略と認知された社会的サポートの役割については、確固たる裏付けが認められた。・心理社会的因子は潜在的に修正可能であることから、てんかんを持つ人のうつ病発症の仕組みをより理解することは、効果的な治療を導くために急を要することである。関連医療ニュース ・レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院 ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」? ・体重に関する“いじめ”はうつ病のリスクファクター

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統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

 ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は脳内の細胞シグナルカスケードにおいて重要な役割を持つ脂肪酸である。通常の老化における脳組織の喪失は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の膜異常が関連していると言われている。また、統合失調症患者ではPUFAの膜異常が報告されている。van der Kemp氏らは、統合失調症患者の脳組織の喪失にPUFAが関連しているかについて、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行った。その結果、統合失調症患者では赤血球膜におけるPUFA濃度の減少が認められ、使用する薬剤によっても違いがあることが明らかとなった。Schizophr Res誌2012年11月号の報告。 赤血球膜のPUFAを統合失調症患者および対照群で比較した研究を、MEDLINE検索により抽出した。患者は薬物治療が実施されていない初発エピソード統合失調症患者、および定型または非定型抗精神病薬による治療を行っている患者に分類した。14報の研究から、統合失調症患者429例、コントロール群444例が抽出された。Cohen's dエフェクトサイズはランダム効果モデルを用いて、赤血球におけるPUFAを算出した。主な結果は以下のとおり。・薬物治療経験がない患者と定型抗精神病薬使用患者では、アラキドン酸(AA)、DHA、ドコサペンタエン酸(DPA)濃度の有意な減少が認められた(p

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ベンゾジアゼピンと認知症リスクの関連:PAQUID試験

 ベンゾジアゼピンの新規使用により認知症リスクが増大することが、フランス・ボルドー・セガレン大学のSophie Billioti de Gage氏らが実施したPAQUID試験で示された。多くの先進国では、診療ガイドラインの有無にかかわらず、高齢者へのベンゾジアゼピンの処方が広く行われ、習慣化している場合も多いという。ベンゾジアゼピンの短期投与の効果はよく知られているが長期投与の有害作用は明確ではなく、認知機能に対する遅発性の有害作用(認知機能低下、認知症)をもたらす可能性が、症例対照試験やコホート試験で指摘されている。BMJ誌2012年10月27日号(オンライン版2012年9月27日号)掲載の報告。認知症リスクを前向きコホート試験で評価 PAQUID試験は、加齢に伴う脳の変化の検討を目的に、南フランスで実施されたプロスペクティブなコホート試験。1987~1989年に、ジロンド県とドルドーニュ県に居住する65歳以上の一般住民から無作為に選ばれた3,777人が登録された。 今回の検討では、登録開始から3年間はベンゾジアゼピン系薬剤を使用しておらず、5年目までに認知症を発症していない住民1,063人(平均年齢78.2歳)を解析の対象とした。フォローアップ期間15年、ハザード比は1.60 15年のフォローアップ期間中に253人が認知症と診断された。ベンゾジアゼピンの新規使用により認知症のリスクが有意に増大した[多変量調整後ハザード比(HR):1.60、95%信頼区間(CI):1.08~2.38]。うつ症状の存在を考慮した感度分析でも同様の関連を認めた(HR:1.62、95%CI:1.08~2.43)。 フォローアップ期間中にベンゾジアゼピンの使用を開始した参加者のプール解析では、認知症の発症との有意な関連が認められた(HR:1.46、95%CI:1.10~1.94)。補足的なコホート内症例対照研究を行ったところ、ベンゾジアゼピン使用者は非使用者に比べ認知症のリスクが50%以上増大していた[調整オッズ比(OR):1.55、95%CI:1.24~1.95]。 使用歴があるが現在は使用していない者(OR:1.56、95%CI:1.23~1.98)と、現在使用中の者(OR:1.48、95%CI:0.83~2.63)の認知症リスクはほぼ同じだったが、有意差は前者にのみ確認された。 著者は、「ベンゾジアゼピンの新規使用により認知症リスクが増大することが示された」と結論し、「医師は有害事象の可能性を考慮しつつ、過度な頻用は慎むよう患者に注意をうながすべき」と指摘する。

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初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響

 統合失調症患者では皮質内抑制ネットワークの障害がしばしば認められる。これは、γ‐アミノ酪酸(GABA)作動性の伝達機能障害と関連すると考えられる。これまで初回エピソード発現リスクの高い未治療患者を対象とした研究は行われていなかったが、ドイツのHasan氏らによる断面研究の結果、リスクが高まった時には皮質抑制性の障害がすでに出現していることから、疾患進行と共に起きているようにみえるGABAの機能障害が、疾患早期から起きている可能性が示唆された。Biol Psychiatry誌2012年11月1日号の報告。 統合失調症リスクが高い18例、初回エピソードを呈した18例、健常対照者18例を本研究に組み込んだ。左主要運動野への経頭蓋磁気刺激にて、短潜時皮質内抑制、皮質内亢進、対側性の静止期間(CSP)を判定した。短潜時皮質内抑制はGABA A型[GABA(A)、抑制を伝達]を指標とみなすことができるとし、CSPはGABA B型[GABA(B)、皮質内抑制ネットワークを伝達]を調べることとした。主な結果は以下のとおり。・統合失調症の発症リスクが高い状態および初回エピソード時には、皮質内抑制ネットワークに特異的変化があらわれていることが明らかになった。・リスクが高い状態および初回エピソードを呈した被験者は、健常対照者と比べて、GABA(A)が低下を示し、短潜時皮質内抑制の低下が示された。・初回エピソード患者は、その他2つのグループと比較して、CSP期間が長期であった。これは、GABA(B)アンバランスが統合失調症顕在発症の患者でのみ認められることを意味する。・解析では、皮質内亢進について群間差はみられなかった。関連医療ニュース ・なぜ?第二世代抗精神病薬投与による“強迫症状”発現機序 ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」 ・統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子

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睡眠薬、長期使用でも効果は持続

 一般的に睡眠薬の長期使用にあたっては耐性や依存などに留意すべきである。また、長期使用時に効果の減弱が認められることもある。Randall氏らは世界で汎用されている睡眠薬であるゾルピデムの長期有効性を無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で検証した。Sleep誌2012年11月1日号の報告。 対象は、DSM-IV-TRにて原発性不眠症の基準を満たす健康成人91例(年齢23~70歳)。毎夜就寝30分前にゾルピデム10㎎(60歳超の患者では5㎎)またはプラセボを8ヵ月間投与した。1ヵ月目および8ヵ月目の2夜に睡眠ポリグラフ検査と朝の睡眠の評価を行った。主な結果は以下のとおり。・1ヵ月目と8ヵ月目の評価において、ゾルピデム群はプラセボ群と比較し、総睡眠時間と睡眠効率は有意に増加し、睡眠潜時と入眠後の覚醒は減少した。・全体として、効果の主観的評価は治療群間で差が認められなかった。・ゾルピデムの治療効果は8ヵ月間の継続使用期間においても維持された。関連医療ニュース ・【学会レポート】2012日本臨床精神神経薬理学会・日本精神神経薬理学会合同年会 ・不眠症に対する“はり治療”そのエビデンスは? ・寝不足は事故のもと!不眠による経済損失は他疾患より高い

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抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか?

 統合失調症治療では、初期の治療が長期予後に影響を与える。しかし、抗精神病薬の初期治療に対する反応の違いから、その後の症状変化を予測できるかは明らかになっていない。Levine氏らは統合失調症患者の最近のエピソードの治療に対し、投与された抗精神病薬が反応するまでの期間とその後の経過(18ヵ月間の症状変化)との関連を検討した。Schizophr Res誌2012年10月号の報告。 最近のエピソードを有する統合失調症患者263例を対象とした二重盲検無作為化試験。抗精神病薬投与4週時にPANSSトータルスコア20%改善達成に基づいて、患者をnon群(非反応)、early群(2週間以内に反応)、delayed群(3~4週間で反応)の3群に分け、比較した。群および時間、群-時間の交互作用からPANSSスコア変化を予測するため、混合モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・PANSSトータルスコアを分析した結果、群および時間、群-時間の交互作用に対する有意な影響が認められた(p

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統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

 統合失調症における遂行機能障害を改善するグルタミン酸を介した補助的治療として、抗酸化・抗糖化剤L-カルノシンは検討に値する可能性があることが明らかになった。米国・ピッツバーグ大学医学校のChengappa氏らが予備的な無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。Schizophr Res誌オンライン版2012年10月22日号の報告。グルタミン酸作動性の機能障害をターゲットとすることは、統合失調症の認知障害を改善する契機となりうる。よって、グルタミン酸作動性シナプスで不十分な抗酸化防御をターゲットとすることは、ひとつの治療アプローチとなる。NMDA拮抗薬は、動物およびヒトを対象とした試験で遂行・認知機能の統制を悪化させることが示されたが、抗酸化・抗糖化機能を有するL-カルノシンには遂行および認知機能を改善する可能性があると仮定し検討を行った。 症状が安定している統合失調症75例の成人を対象とした。二重盲検法にて、補助的療法としてL-カルノシン(2g/日)を投与する群とプラセボ群に無作為化し、3ヵ月間治療した。認知機能(遂行機能障害、記憶、注意、運動速度)について、ベースラインと4、12週時点でcomputerized batteryにて評価を行った。さらに、精神病理学評価と安全性についても評価した。主な結果は以下のとおり。・L-カルノシン投与群はプラセボ群と比較して、セットシフティング(状況の変化に直面した際の柔軟さの指標)の実行速度が有意に速かった。・反転反応の時間および誤認は、両群間で有意な差は認められなかった。・戦略的なターゲット検出試験において、L-カルノシン投与群はプラセボ群と比較して、有意な有効性の改善を示し、誤反応(perseverative errors)はほとんどみられなかった。・その他の認知機能検査で、両群間に有意な差はみられなかった。・精神病理学的評価スコアは、安定したままであった。・有害事象の報告は、L-カルノシン投与群(30%)が、プラセボ群(14%)より多かった。ラボ指標では忍容性の範囲内であった。関連医療ニュース ・統合失調症患者の認知機能や副作用に影響を及ぼす?「遊離トリヨードサイロニン」 ・双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸” ・【学会レポート】2012日本臨床精神神経薬理学会・日本精神神経薬理学会合同年会

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NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム

 アルツハイマー型認知症治療薬メマンチンはNMDA受容体拮抗作用を有する。このNMDA受容体は内分泌系にも影響を及ぼすと言われている。ドイツ リューベック大学のKlement氏らは、メマンチンと低血糖の関連を検討した。Diabetes Obes Metab誌オンライン版2012年10月16日号の報告。再発低血糖症は、低血糖症状とホルモンの拮抗反応(counterregulatory responses)の減弱へと結び付く。この現象は糖尿病患者の治療では重大な問題を引き起こすが、その神経内分泌系メカニズムは不明である。著者らは、動物実験の所見に基づき、拮抗反応の減弱は、シナプスの長期増強(LTP)あるいはうつ病における基本的適応学習プロセスを意味するものであるとの仮説を立て、検証試験を行った。 仮定が正しければ、拮抗反応の減弱はNMDA受容体の阻害によって防止されるはずだとした。健常成人16例を2群に分け、4週間介入。一方の群には、NMDA拮抗薬メマンチンを5日間(15mg/日)投与し、もう一方にはプラセボを投与した。服薬3日後、被験者は4日目および5日目に1回ずつ低血糖クランプ検査を受けた。低血糖の自覚症状に加えて拮抗ホルモン(コルチゾール、ACTH、エピネフリン、ノルエピネフリン、GH、グルカゴン)の血中濃度を評価し、また短期記憶のインジケーターとして単語リスト記憶力を評価した。主な結果は以下のとおり。・NMDA受容体阻害薬メマンチンにより、内分泌系の減弱および再発低血糖症の拮抗反応は阻止されなかった。・全ホルモンと同様に神経低血糖症の拮抗反応および自律神経症状評価は、低血糖症の初回時と比較して3回目のほうがより強い減弱を示した(p<0.05)。・メマンチンによるNMDA受容体拮抗は、記憶機能を障害したが、すべての神経内分泌系の拮抗減弱の尺度に変化はみられなかった(p>0.17)。・結果は、仮説(再発低血糖症に対する適応が、長期増強またはうつ病に関与しているNMDA受容体を介した伝達形成プロセスに依存しているとの見方)を支持しなかった。関連医療ニュース ・検証!向精神薬とワルファリンの相互作用 ・【11月の特集】糖尿病 ・【学会レポート】2012日本臨床精神神経薬理学会・日本精神神経薬理学会合同年会

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レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院

 本邦で2010年9月に承認された新規抗てんかん薬レベチラセタムについて、聖隷浜松病院の山添氏らが臨床での有効性と安全性を評価した結果、「部分てんかんに対して忍容性が良好であり、補助的療法として有効であった」ことを報告した。Brain Nerve 誌オンライン版2012年10月号の報告。 レベチラセタム(LEV)の日本発売以降の約1年間(2010年10月~2011年8月)の聖隷浜松病院のデータベースを用いて、有効性と安全性について後ろ向きに検討した。16歳以上の患者132例のデータのうち、部分てんかん112例、全般てんかん19例についてレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・部分てんかん患者のうち53.6%が、治療前と比べててんかん発作頻度が50%以上減少した。そのうち28.6%は、治療期間中、てんかん発作が消失した。・有害事象は、患者の27.3%で報告された。10.6%でLEV投与が中止となった。・最も頻度の高かった有害事象は、傾眠(14.1%)であり、興奮または攻撃性(6.1%)、抑うつ(4.5%)であった。しかし、大半の有害事象は軽度~中等度であった。・80%以上の患者が治療を継続した。・LEV治療開始後の有害事象の頻度と中止の割合は、開始用量(1,000mg/日以下)とは関連していなかった。■関連記事抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている?小児におけるレベチラセタム静注の有効性と安全性を確認【学会レポート】2012日本臨床精神神経薬理学会・日本精神神経薬理学会合同年会抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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なぜ?第二世代抗精神病薬投与による“強迫症状”発現機序

 大部分の統合失調症患者は、第二世代抗精神病薬(SGA)による治療中に強迫症状が発現する。近年の研究により、このような二次的な強迫症状の遺伝的危険因子として、グルタミン酸エステル搬送体遺伝子(SLC1A1)が関連することが示唆されている。Schirmbeck氏らは欧州での試験により、この結果を検証した。Psychiatr Genet誌2012年10月号の報告。 対象は、SGAで治療中の統合失調症患者103例。SGAによる二次的な強迫症状に関連すると考えられるSLC1A1の3つの単一塩基多型(rs2228622、rs3780412、rs3780413)について調べた。単一マーカーとハプロタイプの解析には、ロジスティック回帰分析が用いられた(年齢、性別、薬剤の種類を共変量として調整)。主な結果は以下のとおり。・クロザピンなどの著しい抗セロトニン作動性SGAによる治療を受けた患者では、強迫症状を合併することがより多かった(p

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日本臨床精神神経薬理学会

2012年10月18日~20日に開催された、第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会 合同年会。「Collaboraiton loops between bedside⇔bench-精神神経科領域の薬物治療個別化を目指して-」をテーマとし、臨床および基礎の精神神経薬理学分野のトピックスが提供され、活発な議論が交わされました。ケアネットでは、その中でも話題のトピックスを厳選してお届けします。レポートを随時更新しますので、ぜひご期待下さい。コンテンツ

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抗精神病薬と副作用―肥満、糖代謝異常、インスリン分泌に与える影響

統合失調症患者では一般と比べて平均寿命が15年短いことが報告されている。その死亡原因として最も多いのは自殺であるが、その他、統合失調症患者では陰性症状や不規則な生活習慣のために、肥満や脂質代謝異常などを有する割合が高く、それに起因した心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の合併率が高いことが知られている。さらに、抗精神病薬の副作用として脂質代謝異常や肥満を来すこともあり、欧米の研究から、抗精神病薬服用中の統合失調症患者ではメタボリックシンドローム(MetS)の合併率が高いことも報告されている(Newcomer JW. Am J Manag Care. 2007; 13: S170-177)。第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会の「抗精神病薬と代謝異常」のセッションのなかから、統合失調症患者の入院が体重や糖代謝に及ぼす影響、抗精神病薬がインスリン分泌に及ぼす影響、統合失調症患者におけるBMIやウエスト径とGIP遺伝子多型の関連を検討した報告を紹介する。統合失調症患者の精神科病棟入院により肥満や糖脂質代謝が改善されたわが国における横断研究によると、入院加療中の統合失調症患者のMetS有病率は15.8%と健常者と同程度であるが、外来患者ではMetSの有病率は48.1%と高いことが報告されている(Sugawara N, et al. Ann Gen Psychiatry. 2011;10:21)。さらに、わが国では欧米に比べて精神科病床数が多く、慢性期のみならず急性期でも平均在院日数が長期に及ぶという精神科医療の特徴がある。そこで三上剛明氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野)らは、精神科病棟入院により、統合失調症患者の体重や糖脂質代謝に関する検査値がどのように変化するのか検討を行った。研究の対象は、2008年1月~2011年8月に急性期治療のため、新潟大学医歯学総合病院精神科に2週間以上入院した統合失調症患者160例のうち、入院時のBody Mass Index(BMI)が25kg/m2以上の53例である。これらの患者のカルテから、身長、体重、空腹時血糖、総コレステロール、中性脂肪、HDLおよびLDLなどの血液生化学検査値を抽出し、入院時と退院時の値を比較した。患者背景は、平均年齢が34.0±8.4歳、男性が27例、平均BMIが28.7±3.2kg/m2、平均在院日数が114.4±90.0日、34例が措置入院であった。BMIの値は、退院時では26.9±3.3 kg/m2となり、入院時に比べ有意(p<0.001)に減少した。BMIの変化量と入院日数には負の相関が認められた(r=0.597、p<0.001)。空腹時血糖値も入院時99.9±27.3mg/dLから退院時89.1±14.2mg/dLと有意に(p=0.039)減少した。その他、HDL(52.5±14.9mg/dLから45.4±10.4mg/dL、p=0.003)、LDL(121.6±27.4mg/dLから107.9±25.7mg/dL、p=0.027)の値も有意に減少した。肥満(BMI≧30 kg/m2)の患者は入院時の16例から退院時には10例に、過体重(25kg/m2≦BMI<30kg/m2)の患者は37例から26例に減少し、一方、標準体重の患者は入院時0例から退院時には17例に増加した。これら肥満、過体重、標準体重の患者の割合の変化は有意(p<0.001)であった。総コレステロールおよびトリグリセライドの値には有意な変化はみられなかった。これらの結果より、外来で過体重や肥満を呈していた統合失調症患者は、精神科病棟へ入院することによって体重やBMI、空腹時血糖値が改善することが示された。入院で肥満や過体重が改善に向かう理由として、三上氏は、①入院により適切なカロリーとバランスのよい食事が提供されること、②入院により清涼飲料水や間食が制限されること、③精神状態の安定に伴い過食が減ることなどを挙げた。また三上氏は、外来の統合失調症患者の治療では、精神症状の治療だけでなく、積極的な栄養指導や生活習慣の改善が必要であると指摘した。さらに、わが国の医療独特の精神疾患における長期入院は、統合失調症患者の身体的健康を守るという観点からは評価されるべきであり、近年、わが国でも脱施設化が進み、統合失調症の治療は外来治療が主体となるため、外来での患者の健康管理がより重要であるとのコメントを述べた。抗精神病薬治療がインスリン分泌に与える影響統合失調症患者で、とくに第2世代抗精神病薬と糖代謝異常との関連を指摘した報告は多く、Perez-Iglesias氏らは未治療の患者を対象として、抗精神病薬治療開始から1年で糖脂質代謝パラメータが有意に悪化することを報告している(Perez-Iglesias R, et al. Schizophr Res. 2009;107:115-121)。さらに、抗精神病薬で治療されている患者のおよそ10.1%が治療開始後わずか6週間で、糖尿病(WHO基準)を発症することも報告されている(Saddichha S, et al. Acta Psychiatr Scand. 2008; 117: 342-347)。米国糖尿病学会では空腹時血糖異常(IFG:空腹時血糖100~125mg/dL)を前糖尿病段階とし、MetSの診断基準にも採用している。また、75g経口糖負荷試験(OGTT)後の2時間血糖値140~199mg/dLを耐糖能異常(IGT)として、心血管死亡のリスクとも相関する病態として重要視している。また、抗精神病薬服用中の統合失調症患者で空腹時血糖が正常域にあっても、75gOGTT後の2時間血糖値を測定すると、16.2%がIGTであり、3.5%が糖尿病であったとの報告もある(Ono S, et al.投稿中)。須貝拓朗氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野)らは、抗精神病薬を服用中の統合失調症患者に75gOGTTを実施し、血糖値および血中インスリン値の変化を健常者と比較検討した。研究方法は、新潟大学医歯学総合病院とその関連病院に入院中の統合失調症群(159例)と健常者(対照群、90例)に75gOGTTを実施した。統合失調症群では8週間以上同一の抗精神病薬単剤を服用し、少なくとも3週間は用量の変更がなかった。75gOGTTは空腹時および治療薬服用前に行い、血糖値および血中インスリン値の変化を対照群と比較した。また、IFGおよびIGTの患者を除外した集団においても同様の検討を行った。統合失調症群と対照群の患者背景は、平均年齢(34.6±9.2歳 vs. 32.8±7.1歳)、性別(男性の割合54.1% vs. 62.2%)、糖尿病の家族歴(31.4% vs. 28.9%)などに両群で差はなく、ウエスト径(82.2±11.1cm vs. 77.7±9.4cm)、総コレステロール(180.8±36.8mg/dL vs. 200.8±30.1mg/dL)、HDL(51.5±12.7mg/dL vs. 67.5±17.2mg/dL)に差が認められた。75gOGTT後120分までの血糖値と血中インスリン値の推移を比較したところ、血糖値はOGTT後1時間より統合失調症群の患者の方が有意(p=0.006)に高値を推移した。血中インスリン値でも同様にOGTT後30分より統合失調症群が有意(p<0.001)に高値となった。IFGおよびIGTを除外して検討を行っても同様の結果が保たれた。本研究の結果は、オランザピン服用群、リスペリドン服用群、および健常者群で糖負荷試験後の血糖値と血中インスリン値の推移を比較した研究(Yasui-Furukori N, et al. J Clin Psychiatry. 2009; 70: 95-100)における、オランザピンおよびリスペリドン服用群で、血糖値と血中インスリン値が健常群と比べ高値を推移したという結果とも一致していた。以上の結果から、須貝氏は「統合失調症に対する抗精神病薬治療は、インスリン抵抗性につながるインスリン分泌反応に影響している可能性が示唆された」と述べた。また、膵β細胞機能には人種差があり、抗精神病薬が耐糖能異常に及ぼす影響については、今後、同一個体を用い、プロスペクティブに検討する必要があると述べた。抗精神病薬服用中の統合失調症患者におけるBMI、ウエスト周囲径とGIP遺伝子多型との関連統合失調症の治療に用いる非定型抗精神病薬は体重増加や糖代謝異常を来し、とくにオランザピンやクロザピンはそのリスクが高いことが知られている。また、最近の大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)により、糖尿病や肥満と関連した遺伝子が同定され、福井直樹氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野)らはこれらの遺伝子のなかからglucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)遺伝子多型に注目し、抗精神病薬誘発性の糖代謝異常や体重増加との関連について検討している。GIPは消化管ホルモンのひとつで、食物刺激により小腸より分泌され、膵β細胞のGIP受容体(GIPR)を介して血糖依存性にインスリン分泌を促進するほか、脂肪細胞の受容体にも作用し体重増加をもたらすとされている。福井氏らは、オランザピンを服用している統合失調症患者でGIP遺伝子多型があると、糖負荷試験後の血中インスリン値が有意に高くなること(Ono S, et al. Pharmacogenomics J. 2011 July 12 [Epub ahead of print])や、BMIの増加率が大きいことを報告している。こうした背景に基づいて、今回福井氏らは、抗精神病薬服用中の統合失調症患者群と健常者群において、BMIやウエスト径、糖代謝関連因子と、GIP遺伝子のプロモーター領域に位置する-1920G/A多型との関連について検討を行った。抗精神病薬で治療中の統合失調症患者147例と健常者152例を対象とし、GIP遺伝子-1920G/Aの多型を同定し、Gアリルを有するGG+GA群とAアリルを有するAA群の2群に分け、BMIやウエスト径、空腹時血糖値、HbA1c、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)を比較検討した。統合失調症患者群では、102例が単剤を服用しており、主な薬剤はオランザピン(52例)、リスペリドン(41例)、ペロスピロン(16例)、クエチアピン(11例)、アリピプラゾール(10例)であった。統合失調症群においてGG+GA群とAA群を比較したところ、AA群ではBMI(24.2±4.2 vs. 22.2±3.7、p=0.004)およびウエスト径(85.0±12.0 vs. 80.2±10.7、p=0.012)が有意に大きかったが、健常者群では2群間でBMIやウエスト径に有意差はみられなかった。ウエスト径は統合失調症のAA群で最も大きく、次いで統合失調症群のGG+GA群、健常者群であった。福井氏はこれらの結果から、「抗精神病薬を服用中の統合失調症患者において、GIP遺伝子-1920G/A多型のうち、AA遺伝子型を有する患者ではGアリルを有する患者に比べて体重増加を来しやすいことが示唆された」と結論を述べた。健常者ではこのような関連は認められず、肥満という表現型でみた場合、GIP遺伝子多型と抗精神病薬の内服または統合失調症の罹患との間に交互作用がある可能性を指摘した。関連リンク

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