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90歳代高齢者の認知機能とADL、10年前世代と比べて有意に良好/Lancet

 90歳代高齢者の身体機能と認知機能について、出生年が10年離れている2つのコホート(1905年生まれと1915年生まれ)を比較した結果、後に生まれた年代コホート(1915年生まれ)のほうが日常生活動作(ADL)スコアも認知機能テストの結果も、有意に良好であったことが示された。南デンマーク大学のKaare Christensen氏らがデンマーク人を対象としたコホート研究の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2013年7月10日号掲載の報告より。1915年生まれと1905年生まれを比較 高所得国では、100歳代まで生存する人々の割合が急速に増大している。たとえば米国でも90歳代以上人口は、1980年は72万人だったが、2010年には150万人に倍増しているという。このような長寿の傾向の下、超高齢者が虚弱や身体的不自由な状態で生存しているという懸念が広がっているが、65~85歳コホートを対象とした研究で、若い年代ほど健康に老いていく可能性があることが示唆された。そこで研究グループは、90歳代で出生年が10年離れている2つのコホートを対象に、同様の傾向が認められるかを検討した。 第1コホートは1905年生まれの2,262例で93歳時に評価を、第2コホートは1915年生まれの1,584例で95歳時に評価が行われた。被験者の適格性について、居住タイプは問わなかった。 両コホートの生存についての評価は、同一のデザインとツールを用いて行われ、有効回答率は63%とほぼ同一だった。 認知機能評価はMMSE評価や5つの認知機能テストの複合結果により行われ、年齢変化による感度を調べた。身体機能評価は、ADLスコアと運動テスト(握力、いすからの立ち上がり、歩行速度)で評価した。1915年生まれの90歳代高齢者のほうが、MMSE最高スコアの獲得割合が10ポイント高い 93歳まで生存する可能性は、1915年生まれのほうが1905年生まれより28%高かった(6.50%対5.06%)。また、95歳まで生存する可能性も1915年生まれのほうが32%高かった(3.93%対2.98%)。 MMSE評価のスコアは、1915年生まれのほうが有意に良好だった[22.8(SD 5.6)対21.4(同6.0)、p<0.0001]。最高スコア(28~30ポイント)を獲得した被験者の割合は大幅に有意に高率だった(23%対13%、p<0.0001)。 同様に、認知機能テスト複合のスコアも有意に良好だった[0.49(SD 3.6)対0.01(同3.6)、p=0.0003]。 運動テストの結果には一貫した差異は認められなかった。しかし、1915年生まれのほうがADLスコアは有意に良好だった[2.0(SD 0.8)対1.8(同0.7)、p<0.0001]。

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うつ病は、脳卒中発症リスクと顕著に関連

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のIffat Rahman氏らは、うつ病ならびに抗うつ薬使用が及ぼす心血管疾患(CVD)発症への影響について、脳卒中と冠動脈疾患に分けて検討を行った。その結果、抗うつ薬を使用していないうつ病患者でCVD発症リスクが高く、脳卒中との間に顕著な関連がみられることを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2013年7月9日号の掲載報告。 うつ病がCVDの発症リスクを高めることは、多くの研究で示されている。抗うつ薬の使用とCVD発症との関連についても過去に検討されているが、その結果は相反するものであった。また、うつ病ならびに抗うつ薬の使用とCVD発症リスクとの関連は、脳卒中よりもむしろ冠動脈疾患との関連においてより広く研究されていた。それら先行研究を踏まえて、研究グループは、スウェーデン人高齢者双生児3万6,654例からなる集団ベースのコホート研究を実施した。追跡期間は最長4年間であった。治療内容、アウトカム、共変数に関する情報は、スウェーデン全国患者登録、スウェーデン処方薬登録およびスウェーデン双子登録から収集した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と、抗うつ薬使用は、両者ともCVD発症と関連していた。・抗うつ薬を使用していないうつ病患者のリスクが、最も高かった(ハザード比:1.48、CI:1.10~2.00)。・CVDの2つの主要なアウトカムである冠動脈疾患と虚血性脳卒中を別々に評価したところ、冠動脈疾患のない虚血性脳卒中において顕著な関連が認められた。・ベースライン時より10年以上前にうつ病と診断された場合に限った検討でも、うつ病と脳卒中との間に有意な関連が維持されていた。・本研究の結果は、うつ病がCVD発症に関連しうるリスクファクターであることを支持している。・さらに、CVDアウトカムに対するハザード比は抗うつ薬を使用していないうつ病患者で最も高いこと、うつ病との関連は脳卒中において著しいこと、冠動脈疾患との関連は薄いことが明らかとなった。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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アリピプラゾール経口剤⇒注射剤への切り替え、その安全性は?

 米国・カリフォルニア大学のSteven G. Potkin氏らは、経口抗精神病薬から月1回投与の持続性注射剤アリピプラゾールに切り替える際の安全性と忍容性の評価を行った。その結果、経口抗精神病薬の中間安定期を経ることなく、月1回投与のアリピプラゾールに安全に切り替え可能であることが示されたことを報告した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2013年7月3日号の掲載報告。 本試験は、経口抗精神病薬から月1回投与の持続性注射剤アリピプラゾールに切り替える際の安全性と忍容性を評価する目的で行われた。登録対象は、アリピプラゾール以外の経口非定型抗精神病薬治療を受けており、アリピプラゾールの忍容性が確認されている統合失調症患者とした。まず、スクリーニング期に、主治医の判断で固定用量の経口非定型抗精神病薬を14日間以上投与した。その後、服用中の経口非定型抗精神病薬を中/低用量に減量して14±1日間併用しつつ、月1回投与のアリピプラゾール(400 mg)による治療を開始した。28日間の治療期における安全性と忍容性を評価した。また、投与開始7、14、28日目に血漿中アリピプラゾール濃度を測定し、薬物動態を評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録被験者は60例であった。・治療期間中、経口オランザピン(3例)、クエチアピン(28例)、リスペリドン(24例)、ジプラシドン(5例、国内未承認)の併用を継続した。これら併用経口抗精神病薬の投与期間は0~15日間とさまざまであった。・忍容性は良好であった。最も高頻度に発現した治療関連有害事象(TEAEs)は、注射部疼痛と歯痛であり(各々 4/60例、6.7%)、次いでジストニア、疲労、血清クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇、不眠および不穏であった(各々 3/60例、5.0%)。・TEAEsの大半は、経口抗精神病薬併用後、最初の8日間に出現した。・臨床検査値または空腹時の代謝パラメータにおいて、臨床的に意味のあるベースラインからの変化は認められなかった。・精神症状は安定していた。・血中アリピプラゾール濃度は、経口アリピプラゾール連日投与のデータと同様であった。・月1回投与のアリピプラゾールをアリピプラゾール以外の経口抗精神病薬と併用した際の有害事象プロファイルは、既報告と一致するものであった。・前治療の非定型抗精神病薬の種類および投与期間にかかわらず有害事象は同様であり、経口抗精神病薬の中間安定期を経ることなく、月1回投与のアリピプラゾールに安全に切り替え可能であることが示された。・なお、試験デザイン(オープンラベル、短期間)と患者集団(男性、アフリカ系アメリカ人が圧倒的多数)の側面から、これら知見を一般化するには限界があった。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は? どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

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寝室での夜間光曝露がうつ病に関連

 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。 著者らは、高齢者516人(平均年齢72.8歳)において、夜間尿中メラトニン排泄量と夜間の寝室および日中光の曝露照度を測定した。抑うつ症状は老年期うつ尺度を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・夜間曝露照度中央値は0.8ルクスであった(四分位範囲:0.2~3.3)。・日中光曝露、不眠、高血圧、睡眠時間、身体活動を調整した多変量ロジスティック回帰モデルにより、うつ群(n=101)は非うつ群(n=415)と比べて、夜間光曝露(平均照度5ルクス以上)の割合が有意に高いことが認められた(調整オッズ比[OR]:1.89、95%信頼区間[CI]:1.10~3.25、p=0.02)。・同様に、夜間光曝露のもう1つのパラメータ(10ルクス以上の時間:30分以上)の割合も、非うつ群に比べてうつ群で有意に高いことが認められた(調整OR:1.71、95%CI:1.01~2.89、p=0.046)。・一方、尿中メラトニン排泄量と抑うつ症状の間に有意な関連は認められなかった。

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抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

 「高齢うつ病患者に対し手紙を出すという介入で、抑うつ状態を改善できるのか」というプラグマティックな無作為化試験が、京都大学東南アジア研究所フィールド医学の今井必生氏、同教授・松林公蔵氏らにより開始された。「手紙による介入」は1976年に米国で、大うつ病退院患者の自殺予防を目的に初めて行われたが、地域在住の抑うつ状態の高齢者への適用は本試験が初めてだという。Trials誌オンライン版2013年7月9日号で、その試験概要が報告された。 米国で行われた手紙による介入試験は、5年間で24通の手紙を出したというもので、介入後2年間の自殺率が有意に減少し、全体では13年間にわたり介入群の自殺率が低かったことが認められたという。同様の手法を用いた試験はその後、イスラエル、オーストラリアでも行われ(目的は過量服薬または自傷行為防止、計3試験)、介入群に有意な効果が認められたことが報告されていた。 今回、抑うつ状態の高齢者に同介入を試みることについて、研究グループは「高齢者における抑うつはQOLを低下させ、罹病率や死亡率、さらに医療費を増大している。この疾患負荷への対策は、医学的政策と社会的政策が相まったものでなければならないが、既存の研究のほとんどが長期にわたる精神療法をベースとしたもので、なおかつそれらは地域での応用には不適当なものである」ことが背景にあると述べている。手紙による介入に着目した理由としては、「人的および予算的コストがほとんどかからない」ことを挙げている。そして、「本研究で、手紙による介入が有効であることが実証されれば、地域での介入のマイルストーンになるだろう」としている。 本試験の主な概要は以下のとおり。・試験デザインは、プラグマティック非盲検並行群間比較無作為化試験である。・試験地は、高齢化が進んだ地方の町(四国の中央部、人口4,407人、65歳以上高齢者割合38.8%、農業と林業が主産業)とする。・被験者適格条件は、「地域在住の高齢者(65歳以上)」「社会的支援が限られている(食事を一人でとっている)」「うつ症状が認められる(GDS-15得点が4点以上)」とする。・介入の手紙の送付は、月1回、8ヵ月間行われた。送られる手紙は、手書きのメッセージ(被験者の返信があればそれに答えるなど、社会的関係性や自尊心を高める内容)と、時候だよりのプリント(京都からの季節の挨拶やイベントニュースなどを知らせる内容)から構成される。また、返信用封筒(利便性を考慮して宛名、切手貼付をしておくが、返信は任意)も同送する。・主要アウトカムは、GDSスコアの変化で、毎年1回実施される住民健診の際に測定する。・副次アウトカムは、視覚アナログスケールで測定したQOL、自己評価基本ADL、自己評価進行ADLとする。・その他、受容性の検証として被験者は介入を有効と感じたか、ならびに記憶している受け取った手紙の回数、返信した回数も調べる。・被験者数は、70%脱落を想定して180例登録を予定している。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 うつ病治療に「チューインガム」が良い!? 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

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デイサービス介護中に失踪した認知症老人が水死体で発見されたケース

精神最終判決平成13年9月25日 静岡地方裁判所 判決概要失語症をともなう重度の老人性認知症と診断されていた高齢男性。次第に家族の負担が重くなり、主治医から老人介護施設のデイサービス(通所介護)を勧められた。約3週間後、通算6回目となるデイサービスで、職員が目を離したわずか3分間程度の間に、高さ84㎝の窓をよじ登って施設外に脱出、そのまま行方不明となった。施設や家族は懸命な捜索を行ったが、約1ヵ月後、施設からは遠く離れた砂浜に水死体として打ち上げられた。詳細な経過患者情報平成7年(1995)11月27日 失語をともなう重度の老人性認知症と診断された高齢男性経過平成8(1996)年10月31日失語症により身体障害者4級の認定。認知症の程度:妻との意思疎通は可能で、普通の感情はあり、家庭内であれば衣服の着脱や排泄は自力ででき、歩行には問題なく徘徊もなかった。ただし、妻に精神的に依存しており、不在の時に捜して出歩くことがあった。次第に家族は介護の負担が大きく疲労も増してきたため、担当医師に勧められ、老人介護施設のデイサービス(通所介護)を利用することになる。4月30日体験入所。5月2日施設のバスを利用して、週2回のデイサービスを開始。デイサービス中の状況:職員と1対1で精神状態が安定するような状況であれば、職員とも簡単な会話はでき、衣服の着脱などもできたが、多人数でいる場合には緊張して冷や汗をかいたり、ほとんどしゃべれなくなったり、何もできなくなったりした。また、感情的に不安定になり、帰宅したがったり、廊下をうろうろすることがあり、職員もそのような状態を把握していた。5月21日通算6回目のデイサービス。当日の利用者は、男性4名、女性5名の合計9名であり、施設側は2名の職員が担当した。10:15入浴開始。入浴サービスを受けている時は落ち着いており、衣服の着脱や歩行には介助不要であった。10:50入浴を終えて遊戯室の席に戻る。やがてほかの利用者を意識してだんだん落着きがなくなり、席を離れて遊戯室を出て、ほかの男性の靴を持って遊戯室に入ってきたところ、その男性が自分の靴と気づいて注意したため、職員とともに靴を下駄箱に返しにいく。その後遊戯室に戻ったが、何度も玄関へいき、そのつど職員に誘導されて遊戯室に戻った。11:40職員がほかの利用者のトイレ誘導をする時、廊下にいるのをみつけ、遊戯室に戻るように促す。ところが、みかけてから1~2分程度で廊下に戻ったところ、本人の姿はなく、館内を探したが発見することができなかった。失踪時の状況:施設の北側玄関は暗証番号を押さなければ内側からは開かないようになっており、裏口は開けると大きなベルとブザーが鳴る仕組みになっていて、失踪当時、北側玄関および裏口は開いた形跡はなかった。そして、靴箱には本人の靴はなく、1階廊下の窓の網戸(当時窓ガラスは開けられ、サッシ網戸が閉められていた)のうちひとつが開かれたままの状態となっていた。そのため、靴箱から自己の靴を取ってきて、網戸の開いた窓(高さは84cm程度)によじ登り、そこから飛び降りたものと推測された。5月22日09:03翌日から家族は懸命な捜索活動を行う。親戚たちと協力して約150枚の立看板を作ったり、施設に捜索経過を聞きにいったりして必死に捜したが、消息はつかめなかった。6月21日約1ヵ月後、施設から遠く離れた砂浜に死体となって打ち上げられているのを発見された。当事者の主張患者側(原告)の主張もともと重度の老人性認知症により、どのような行動を起こすか予測できない状態であり、とくに失踪直前は不安定な状態であったから、施設側は窓を閉めて施錠し、あるいは行動を注視して、窓から脱出しないようにする義務があったのに怠り、結果的に死亡へとつながった。デイサービスを行う施設であれば、認知症患者などが建物などから外へ出て徘徊しないための防止装置を施すべきであるにもかかわらず、廊下北側の網戸付サッシ窓を廊下面より約84cmに設置し、この窓から外へ出るのを防止する配慮を怠っていたため、施設の建物および設備に瑕疵があったものといえる。病院側(被告)の主張失踪当時の状況は、本人を最後にみかけてから失踪に気づくまでわずか3分程度であった。その時の目撃者はいないが、施設の玄関は施錠されたままの状態で、靴箱に本人の靴はなく、1階廊下西側の窓の網戸(当時窓ガラスは開けられサッシ網戸が閉められていた)が開かれたままの状態となっていることが発見され、ほかの窓の網戸はすべて閉まっていたことから、1階廊下西側の窓から飛び降りた蓋然性が高い。当該施設は法令等に定められた限られた適正な人員の中でデイサービスを実施していたのだから、このような失踪経過に照らしても、施設から失踪したことは不可抗力であって過失ではない。裁判所の判断もともと失語を伴う重度の老人性認知症と診断されている高齢者が単独で施設外に出れば、自力で施設または自宅に戻ることは困難であり、また、人の助けを得ることも難しい。そして、失踪直前には、靴を取ってこようとしたり、廊下でうろうろしているところを施設の職員に目撃されており、職員は施設から出ていくことを予見可能であった。したがって、デイサービス中には行動を十分に注視して、施設から脱出しないようにする義務があった。しかし、デイサービスの担当職員は2名のみであり、1名は入浴介助、ほかの1名はトイレ介助を行っていて、当該患者を注視する者はいなかったため、網戸の開いた窓に登り、そこから飛び降り、そのまま行方不明となった。身体的には健康な認知症老人が、84cm程度の高さの施錠していない窓(84cm程度の高さの窓であればよじ登ることは可能であることは明白)から脱出することは予見可能であった。したがって、施設職員の過失により当該患者が行方不明となり、家族は多大な精神的苦痛を被ったといえる。施設側の主張するように、たしかに2人の職員で、男性4名、女性5名の合計9名の認知症老人を介助し、入浴介助、トイレ介助をするかたわら、当該患者の挙動も注視しなければならないのは過大な負担である。さらに施設側は、法令等に定められた限られた適正な人員の中でデイサービス事業を実施しているので過失はないと主張する。しかし、法令等に定められた人員で定められたサービスを提供するとサービスに従事している者にとっては、たとえ過大な負担となるような場合であっても、サービスに従事している者の注意義務が軽減されるものではない。そして、失踪後の行動については、具体的に示す証拠はなく、施設からはるか離れた砂浜に死体となって打ち上げられるにいたった経緯はまったく不明である。当時の状況は、老人性認知症があるといっても事理弁識能力を喪失していたわけではなく、知った道であれば自力で帰宅することができていたのであり、身体的には健康で問題がなかったのであるから、自らの生命身体に及ぶ危険から身を守る能力まで喪失していたとは認めがたい。おそらく施設から出た後に帰宅しようとしたが、道がわからず、他人とコミュニケーションができないため、家族と連絡がとれないまま放浪していたものと推認できる。そうすると失踪からただちに同人の死を予見できるとは認めがたく、職員の過失と死亡との間の相当因果関係はない。原告(患者)側4,664万円の請求に対し、285万円の判決考察デイサービスに来所していた認知症老人が、わずか3分程度職員が目を離した隙に、施設を抜け出して失踪してしまいました。当時、玄関や裏口から脱出するのは難しかったので、たまたま近くにあった窓をよじ登って外へ飛び降りたと推定されます。その当時、9名の通所者に対して2名の職員が対応しており、それぞれ入浴介助とトイレ誘導を行っていて、けっしていい加減な介護を提供していたわけではありません。したがってわれわれ医療従事者からみれば、まさに不可抗力ともいえる事件ではないかと思います。もし失踪後すみやかに発見されていれば、このような医事紛争へと発展することはないのですが、不幸なことに行方不明となった1ヵ月後、砂浜に水死体として打ち上げられました。これからますます高齢者が増えるにしたがって、同様の紛争事例も増加することが予測されます。これは病院、診療所、介護施設を問わず、高齢者の医療・福祉・保健を担当するものにとっては避けて通ることのできない事態といっても過言ではありません。なぜなら、裁判官が下す判断は、「安全配慮義務」にもとづいて、「予見義務」と「結果回避義務」という2つの基準から過失の有無を推定し、かつ、医療・福祉・保健の担当者に対しては非常にハイレベルの安全配慮を求める傾向があるからです。本件では、失踪直前にそわそわして遊戯室の席に座ろうとしなかったり、他人の靴を持ち出して玄関に行こうとしたところが目撃されていました。とすれば、徘徊して失踪するかもしれないという可能性を事前に察知可能、つまり「予見義務」が発生することになります。さらに、そのような徘徊、失踪の可能性があるのなら、「結果回避義務」をつくさねばならず、具体的には、すべての出入口、窓などを施錠する、あるいは、つきっきりで監視せよ、ということになります。われわれ医療従事者の立場からすると、玄関・裏口などの出入口にバリアを設けておけば十分ではないか、外の空気を入れるために窓も開けられないのか、と考えたくもなります。そして、施設側の主張どおり、厚生労働省が定めた施設基準をきちんとクリアしているのだから、それを上回るような、通所者全員の常時監視は職員への過大な負担となる、といった考え方も十分に首肯できる内容です。ところが裁判では、「法令等に定められた人員で定められたサービスを提供するとサービスに従事している者にとっては、たとえ過大な負担となるような場合であっても、サービスに従事している者の注意義務が軽減されるものではない」という杓子定規な理由で、施設側の事情はすべて却下されました。このような背景があると、高齢者を担当する病院、診療所、介護施設で発生する可能性のある次のような事故の責任は、われわれ医療従事者に求められる可能性がかなり高いということがいえます。徘徊、無断離院、無断離設による不幸な事態(転倒による骨折、交通事故など)暴力および破壊行為による不幸な事態(患者本人のみならず、他人への危害)嚥下障害に伴う誤嚥、窒息よくよく考えると、上記の病態は「疾病」に起因するものであり、けっして医療従事者や介護担当者の責任を追及すべきものではないように思います。つまり、悪いのは患者さんではなく、医療従事者でもなく、まさに「病気」といえるのではないでしょうか。ところが昨今の考え方では、そのような病気を認識したうえで患者さんを預かるのであれば、事故は十分に「予見可能」なので、「結果回避」をしなければけしからん、だから賠償せよ、という考え方となってしまいます。誤解を恐れずにいうと、長生きして大往生をとげるはずのおじいさん、おばあさんが、家で面倒をみるのが難しくなって病院や施設へ入所したのち、高齢者にとっては予測されるような事態が発生して残念な結果となった場合に、医療過誤や注意義務違反の名目で、大往生に加えて賠償金も受け取ることができる、となってしまいます。それに対する明確な解決策を呈示するのは非常に難しいのですが、やはり第一に考えられることは、紛争を水際で防止するために、患者およびその家族とのコミュニケーションを深めておくことがとても大事だと思います。高齢者にとって、歩行が不安定になったり、飲み込みが悪くなったり、認知が障害されるような症状は、なかなか避けて通ることはできません。したがって、事故が発生する前から高齢者特有の病態について家族へは十分に説明し、ご理解をいただいておくことが重要でしょう。まったく説明がない状況で事故が発生すると、家族の受け入れは相当難しいものになります。そして、一般的に家族の期待はわれわれの想像以上ともいえますので、本件のよう場合には不可抗力という言葉はなるべく使わずに、家族の心情を十分にくみ取った対応が望まれます。そして、同様の事例が発生しないように、認知症老人を扱うときには物理的なバリアをできるだけ活用し、入り口や窓はしっかり施錠する、徘徊センサーを利用するなどの対応策をマニュアル化しておくことが望まれます。精神

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統合失調症、双極性障害の家族特性を検証!

 米国・ロザリンドフランクリン医科学大学S. Kristian Hill氏らは、統合失調症と双極性障害の神経心理学的機能障害の特徴について調べた。その結果、両疾患ともに強い認知障害が認められ、それは家族性であること、一親等の認知機能障害は、統合失調症よりも双極性障害においてより緊密にパーソナリティ障害と関連していることなどを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。 家族性の神経心理学的機能障害は統合失調症では立証されているが、その他の精神障害においては明らかにされていない。研究グループは、Bipolar and Schizophrenia Network on Intermediate Phenotypes(B-SNIP)の登録者データから、次の4つについて検討した。(1)統合失調症と双極性障害における認知障害の比較、(2)精神病性障害の認知機能障害連続モデルの検証、(3)精神病性障害における認知障害の家族性についての報告、(4)非精神病の家族(クラスターA人格特性を有する人と有さない人)における認知障害の評価であった。 分析の対象は、統合失調症(293例)、双極性障害(227例)、統合失調感情障害(躁型:110例、うつ型:55例)、それら患者の一親等家族(各316例、259例、133例、64例)、および健常対照被験者(295例)であった。全員が統合失調症認知評価尺度(BACS)による神経心理学的評価を受けた。主な結果は以下のとおり。・精神病の家系的発端者の認知障害は、健常対照と比較して、双極性障害(z=-0.77)、統合失調感情障害(躁型:z=-1.08、うつ型:z=-1.25)、統合失調症(z=-1.42)の順で強かった。・BACSサブテストのプロファイルは、疾患全体で同等性を示した。・障害の家族性は、統合失調症と双極性障害で有意であり、両疾患で匹敵していた。・とくに興味深かったのは、クラスターA人格特性を有する家系的発端者の親族では、発端者の疾患にかかわらず神経心理学的障害が同程度であることであった。・統合失調症かつクラスターA人格特性を有さない家系的発端者の非精神病家族において、有意な認知障害がみられた。一方、家系的発端者が双極性障害で、かつ人格特性を有さない場合、その家族で認知障害は示されなかった。関連医療ニュース 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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せん妄や認知症の高齢者、専門病棟への入院で患者の精神状態や家族満足度は改善/BMJ

 せん妄や認知症の高齢者は、精神的ケアの専門家と医療者が連携する専門病棟に入院することで、通常の老人病棟への入院に比べ、患者の精神状態や家族介護者の満足度が改善することが報告された。一方で、自宅への一時帰宅日数や死亡率などについては改善は認められなかった。英国・ノッティンガム大学のSarah E Goldberg氏らが行った、無作為化比較試験「NIHR TEAM」の結果で、BMJ誌2013年7月2日号で発表した。専門病棟と老人病棟で、3ヵ月以内の在宅滞在日数を比較 研究グループは本検討で、認知症高齢者に対する総合病院での最適な急性期治療モデルを開発し評価することを目的とした。 65歳以上で“意識の混乱”が診断され入院をした600例の高齢者を対象に無作為化試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方は、せん妄や認知症の患者への最適治療を目的にした専門病棟へ、もう一方は通常の急性期老人病棟への、それぞれの入院が割り付けられた。 専門病棟は、内科的および精神的ケア専門家との連携を特徴とし、せん妄や認知症のスタッフトレーニング強化や、患者中心の認知症ケア(チーム医療、環境調整、せん妄予防、家族ケアなど)が行われた。 主要評価項目は、入院割り付け後90日時点までの自宅で過ごした日数とした。副次アウトカムは、客観的に第三者が確認した患者の経験(家族介護者による病院ケアの満足度)だった。評価にあたり、割り付け情報は可能な限りブラインド化された。患者の精神状態や家族介護者の満足度は改善したが、在宅滞在日数などは同程度 結果、入院後90日時点までの在宅滞在日数の中央値は、専門病棟群51日、対照群45日と、両群で有意差はなかった(両群格差の95%信頼区間:-12~24、p=0.3)。当初の入院日数中央値についても、それぞれ11日だった。死亡率もそれぞれ22%と25%、再入院率も32%と35%、介護施設への入所率も20%と28%と、いずれも両群で有意差はなかった。 自宅に戻った患者は、専門病棟群は中央値70.5日を対照群は同71.0日を過ごしていた。 一方、肯定的な気分で周囲への関心を示した時間を有したのは、専門病棟群の患者が79%と、対照群の68%と比べ有意に多く(p=0.03)、感情的・精神的ニーズに見合ったスタッフとのやり取りも多かった(p<0.001)。 また、家族介護者の満足度も、専門病棟群のほうが対照群に比べ、有意に高く(p=0.004)、重大な不満は少なかった(p=0.05)。 著者は、「健康状態やサービス利用については十分なベネフィットは認められなかったが、せん妄や認知症の専門的なケアは、患者の経験や介護者の満足度を改善した」と述べ、「患者の経験や介護者の満足度は、高齢患者が豊かな終末期を迎えられるかを図る適切な方法といえるだろう」と結論している。

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高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは?

 順天堂大学医学部附属病院練馬病院・先任准教授の八田 耕太郎氏らは、一般病院入院中にせん妄を発症した高齢者を対象に1年間の前向き観察研究を実施し、抗精神病薬による有害事象の発現状況を検討した。その結果、重篤な有害事象の発現頻度は0.2%であり、死亡例もなく、リスクは低いことを報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年6月25日号の掲載報告。 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクについて注意が喚起されているが、研究グループは、「一般病院においても、リスクが有効性を上回るかどうかは臨床上の疑問である」として、1人以上の常勤精神科医のいる一般病院33施設において1年間の前向き観察研究を行った。対象は、急性身体疾患または手術のため入院中にせん妄を発症し、せん妄に対する治療が行われた患者とした。主要アウトカムは、重篤な有害事象の発現率と種類であった。 主な結果は以下のとおり。・せん妄を発症したのは2,834例であった。・そのうち2,453例が、リスペリドン(34%)、クエチアピン(32%)、非経口ハロペリドール(20%)などの抗精神病薬を投与された。・2,453例中、重篤な有害事象は22例(0.9%)報告された。誤嚥性肺炎が最も多く(17例、0.7%)、次いで心血管イベント(4例、0.2%)、血栓塞栓症(1例、0.0%)の順であった。・転倒による骨折または頭蓋内外傷を認めた患者はいなかった。・抗精神病薬の副作用により死亡した患者はいなかった。・臨床全般印象改善尺度(Clinical Global Impressions-Improvement Scale)の平均スコアは、2.02(SD:1.09)であった。・半数以上の患者(54%)で、せん妄は1週間以内に回復した。・以上より、一般病院でも適切な用量調整と副作用の早期発見が行われれば、高齢者せん妄に対する抗精神病薬のリスクは、介護施設あるいは外来の認知症患者に対する抗精神病薬のリスクに比べて低いと考えられた。ポイントは、抗精神病薬の使用を避けることではなく、リスクをいかに観察するかである。関連医療ニュース 抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か? せん妄の早期発見が可能に せん妄はレビー小体型認知症のサイン?!

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青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

 青年期の統合失調症に対するアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)の症状改善は、服用開始後早期にみられ、寛解を予測する時期は服用開始3週時点が最も適切であることが、米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析の結果、明らかにされた。Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry誌2013年7月号(オンライン版2013年6月5日号)の掲載報告。 成人の慢性統合失調症において、症状改善の大半は抗精神病薬服用後2、3週に認められ、2週時点で無反応の場合は、その後の無反応が予測される。研究グループは、そのようなデータ(抗精神病薬に対する反応の軌跡と、早期の抗精神病薬効果から最終的なアウトカムが予測されることについて)が、いまだ得られていない青年期の統合失調症について調べることを目的に、6週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析を行った。被験者は、13~17歳の統合失調症患者(アリピプラゾール群196例、プラセボ群98例)であった。アリピプラゾール治療により重大症状の改善が服用開始直後の2、3週間で認められるのか、および早期反応(ER:PANSS総スコア改善≧20%)vs.早期無反応(ENR:同改善<20%)の臨床アウトカムの予測について評価した。評価は、服用開始2週時点(ER2/ENR2)と3週時点(ER3/ENR3)について行い、また最終的な反応はPANSS総スコア改善≧40%とした。 主な結果は以下のとおり。・2週時点までに50%近いPANSS総スコア改善の達成が認められた。3週時点までには最大75%のPANSS総スコア改善達成が認められた。・ER2/ER3群は、ENR群よりも、PANSS総スコア、PANSSの陽性・陰性サブスケールスコア、至適な機能的アウトカムの改善が有意に大きかった。・概してER3のほうがER2よりも、アウトカム予測についての感度、特異度、陽性・陰性適中率が良好であった。・6週時点の寛解達成は、ER2群はENR2群よりも8.8倍(95%CI:4.0~19.4)、ER3群はENR3群よりも8.6倍(同:4.5~16.6)有意に多かった(p<0.0001)。有害事象の発生は同程度であった。・以上のように、成人の慢性統合失調症と同様に、早期の青年期統合失調症においても、アリピプラゾール治療開始早期で大半の症状が改善された。また3週時点の改善が、臨床アウトカムを予測するのに最も適切であった。・これらの結果を踏まえて著者は、「試験を延長して実施する必要はあるが、今回の試験の結果は、臨床意思決定に活かしてよいであろう」と結論している。関連医療ニュース アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度? 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は?

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統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

 前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方で吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者における、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し検討した。その結果、統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者と健常対照者について、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し比較検討した。その結果、両群では対照的な変化がみられ、健常対照者では腹外側前頭前野(VLPFC)の両側性に有意な血流増大がみられたが、統合失調症患者では認められなかった。また、健常対照者では背外側前頭前野(DLPFC)や前頭極皮質(FpC)の血流は有意に低下するが、統合失調症患者の同分野では広範囲に血流増大が認められたことを報告した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。 DLPFCやVLPFCを含む前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方でFpCのような吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。機能的MRIによる先行研究において、認知負荷の変化に対するDLPFC活性パターンが、統合失調症患者と健常対照者では、異なることが示されていた。しかし、前頭前野と吻側野との関連について、非限定的条件下における評価はなされていなかったという。 研究グループは、統合失調症患者と健常対象者について、異なる認知負荷を与えるNバック課題ワーキングメモリタスク中の血流変化を、多チャンネル近赤外線分光法(NIRS)を用いて測定し、両群の脳内活性について評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者26例、健常対照者(年齢、性、プレ発症知能で適合)26例であった。・健常対照者は、両側性VLPFCでは有意なタスク関連の血流増大を示し、DLPFCでは有意なタスク関連の血流低下が示された。認知負荷のタスクがより大きくなるほど、より強いシグナル変化が認められた。・対照的に統合失調症患者は、両側性DLPFCとFpCを含む広範囲の吻側野において血流増大が認められた。しかし、認知負荷増大に関連した血流の低下および増大は、いずれもみられなかった。・今回の多チャンネルNIRS研究の結果、統合失調症患者では認知負荷と関連した血流増大はみられなかったことが示された。すなわち統合失調症では、前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。・また、統合失調症患者では、両側性DLPFCとFpCというより広範な前頭前野における血流増大が認められた。それは前頭葉の血流増大を補完的に図る反応であることが示唆された。関連医療ニュース 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

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アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

 カナダ・ダルハウジ大学のAutumn R. Meek氏らは、ヒト脳内に存在する内因性分子の特定を試み、それらのβ-アミロイド領域への親和性ならびにβ-アミロイド凝集抑制作用を検討した。その結果、L-PSと3-HAAという2種類の内因性脳内分子を特定し、それらがβ-アミロイド領域に結合し、凝集を抑制することを報告した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2013年7月号の掲載報告。 アルツハイマー病は神経細胞が破壊される疾患で、顕著な個体内変動がみられる。本研究は、ヒト脳内に内因性分子が存在し、アルツハイマー病の進行を抑制あるいは緩徐にする凝集抑制活性を発揮しているのではないかという仮定の下、実施された。in silico(コンピュータ上の実験)において、内因性小分子であるL-ホスホセリン(L-PS)および3-ヒドロキシアントラニル酸(3-HAA)の、タンパク質misfoldingの責任領域であるβ-アミロイド標的部位への親和性を検討した。さらに、in vitroにおいてこれら分子の各種濃度での凝集抑制作用を検討した。  主な結果は以下のとおり。・in silicoの検討により、L-PSと3-HAAはmisfolding が惹起されているβ-アミロイドのhistidine13-histidine-glutamine-lysine16(HHQK)領域に結合できることが示された。・これらの相互作用は強力であった。・in vitroの検討により、L-PSと3-HAAともに用量依存的にβ-アミロイドの凝集を抑制し、その作用はL-PSよりも3-HAAのほうが強力であった。 ・本研究は、in vivoではなくin silicoおよびin vitroであるという点で限界がある。・本研究から、L-PSおよび3-HAAという2種類の内因性の脳内分子が、タンパク質misfoldingにより神経毒性を惹起するβ-アミロイドの領域に結合しうることがわかった。・また、L-PSと3-HAAは、各種濃度でβ-アミロイドの凝集を抑制した。脳内におけるこれら分子の濃度がβ-アミロイドの凝集を抑制あるいは緩徐にする効果に影響を及ぼす可能性がある。関連医療ニュース アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか? Aβ沈着は認知機能にどのような影響を与えるか 治療介入により認知症発症率はどこまで減らせるか?

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抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

 ノルウェー・ベルゲン大学のJorunn Drageset氏らは、介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者を対象に、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した。その結果、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることを報告した。Cancer Nursing誌2013年7-8月号の掲載報告。 介護施設に入居中の認知機能低下を認めない高齢者において、がんの有無別に不安と抑うつ症状の死亡への影響を検討した研究は少ない。本研究は、不安または抑うつが生存率と関連しており、がんに罹患していない者に比べがんに罹患している者に対して、より大きな影響を及ぼすのではないかという仮定の下で実施された。介護施設30施設の、認知機能低下を認めない(Clinical Dementia Rating scale score≦0.5)高齢入居者コホート227例(がん罹患60例、がん非罹患167例)について、2004~2005年から2010年まで追跡調査を行った。データは面談により収集した。不安および抑うつは、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)サブスケールを用いて評価し、診療録を基に社会人口統計学的背景ならびに既往歴を特定した。 主な結果は以下のとおり。・5年後の全生存率は、がん罹患者が17%、がん非罹患者が22%であった。・抑うつは、がん罹患と独立して生存不良と有意に関連していた。・がんに罹患していて不安症状のある者(サブスコア最低値8)は、不安症状のない者に比べ生存率が不良であったが(p=0.02)、この傾向はがん非罹患者では認められなかった。・以上のことから、がんの有無にかかわらず、抑うつ症状は認知機能低下を認めない介護施設入居者の死亡率に関連していることが明らかになった。また、がんに罹患しており不安症状を有する場合は、生存期間がより短くなることが予測された。関連医療ニュース 皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用 がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 高齢者介護ロボット、認知症対応でも効果を発揮できる?

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リチウムが気分障害患者の自殺リスクを低減/BMJ

 リチウムは気分障害患者における自殺リスクの抑制に有効な治療法であることが、イタリア・ベローナ大学のAndrea Cipriani氏らの検討で示された。精神疾患の中でも、単極性障害(うつ病エピソード)および双極性障害(躁病もしくは軽躁病で、通常、中等度のうつ病エピソードを伴う)からなる気分障害は自殺リスクが最も高いとされる。自殺予防戦略における薬物療法の役割は相対的に小さいが、抗精神病薬の効果は過小評価されている可能性があるという。気分障害患者におけるリチウムの自殺や自傷の予防効果は、これまで知られていなかった。BMJ誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。自殺、自傷行為の予防効果をメタ解析で評価 研究グループは、単極性および双極性の気分障害患者におけるリチウムによる自殺、自傷行為の予防効果を評価するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。 文献の収集には、医学文献データベース、ウェブベースの臨床試験レジストリー、主要教科書、製薬会社のウェブサイトなどを利用し、重要論文の著者や専門家にも問い合わせた。対象は、2013年1月までに発表された、気分障害の長期治療においてリチウムとプラセボまたは実薬を比較した無作為化対照比較試験とした。 主要評価項目は、自殺完遂、意図的自傷行為の実行、全死因死亡であった。全般的に実薬より良好な傾向も 1968~2013年までに発表された48件の無作為化対照比較試験の論文から抽出された6,674例が解析の対象となった。対照は、プラセボ(24件)のほか、アミトリプチリン、カルバマゼピン、バルプロ酸など14の実薬(24件)であった。フォローアップ期間中央値は19.1ヵ月。 プラセボ対照試験の解析では、自殺者数はリチウム群が244例中0例と、プラセボ群の241例中6例に比べ有意に低下した(Peto法によるオッズ比[OR]:0.13、95%信頼区間[CI]:0.03~0.66、p=0.01)。 全死因死亡数もリチウム群が392例中5例と、プラセボ群の390例中14例よりも有意に良好であった(OR:0.38、95%CI:0.15~0.95、p=0.04)が、自傷行為者数はそれぞれ623例中10例、608例中16例で、リチウムによる明確な予防効果は認めなかった(同:0.60、0.27~1.32、p=0.21)。 単極性障害に限定した解析では、自殺者数はリチウム群が143例中0例、プラセボ群は137例中5例(OR:0.13、95%CI:0.02~0.76、p=0.02)、全死因死亡数はそれぞれ291例中4例、286例中12例(同:0.36、0.13~0.98、p=0.04)であり、いずれもリチウム群で有意に良好であった。 実薬対照試験の解析では、全般的にリチウム群は他の実薬よりも有用性が良好な傾向が認められたが、リチウムが統計学的に有意に優れたのはカルバマゼピンと比較した試験の自傷行為数のみであった(139例中0例 vs 146例中5例、OR:0.14、95%CI:0.02~0.83、p=0.03)。 著者は、「リチウムは気分障害患者における自殺リスクの低減に有効な治療法である」と結論づけ、「リチウムは、気分障害の再発を抑制することで抗自殺作用を発揮する可能性があるが、攻撃性や衝動性を低下させるとのエビデンスがあることから、抗自殺作用を誘導する他の付加的メカニズムも考慮すべき」と指摘している。

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アルツハイマー病およびその他の認知症疾患が中国社会に及ぼす影響は甚大である(コメンテーター:粟田 主一 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(110)より-

厚生労働省より示される介護保険 要介護認定調査(認知症高齢者の日常生活自立度II以上)に基づく認知症高齢者数推計値は、2010年の段階では280万人(65歳以上の9.5%)であったが、このほど、厚生労働科学研究の調査結果に基づき、439万人(15%)に上方修正された。認知症疾患がわが国の社会に及ぼす影響は、従来の予想をはるかに上回るものである。 しかし、急速な経済発展、平均寿命の延伸、一人っ子政策などによって高齢化が急速に進む中国においては、認知症疾患が社会経済に及ぼす影響はさらに甚大である。このことはインド、ブラジル、南アフリカなどの低~中所得国においてもあてはまる。 本研究は、急速に高齢化が進む中国の今後の保健政策決定の基礎資料を得ることを目的に、1990年~2010年までの中国のアルツハイマー病および他の認知症疾患に関する疫学調査をレビューしたものである。採用基準に適合した89文献、対象者数34万247例(うちアルツハイマー病患者3,543例)のデータを系統的に分析した結果、中国における認知症患者数は 1990年で368万人、2000年で562万人、2010年で919万人、アルツハイマー病患者数は1990年で193万人、2000年で371万人、2010年で569万人、認知症発症率は1,000人・年当たり9.87、アルツハイマー病発症率は同6.25、血管性認知症発症率は同2.42であり、認知症患者の標準化死亡率の中央値は健常者の1.94倍であった。 本研究では、この数値が従来の国家予測をはるかに上回るものであり、政府の迅速かつ効果的な対応が必要であることを強調している。人口14億人、高齢化率9%の中国において、この数値は決して驚くべきものではない。しかし、中国の高齢化率は2050年には約30%に達する。21世紀の前半に、認知症は、確実に、国家を超えた保健医療福祉施策の最大の課題となる。

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統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大

 抗精神病薬治療中の統合失調症患者に対し、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬の追加併用療法は、抗精神病効果および一部の認知機能(注意力)を増大することが、ロシア医科学アカデミー国立精神保健センターのMorozova MA氏らによるパイロット試験の結果、報告された。CNS Spectrums誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。 統合失調症患者へのアドオン治療として、セロトニン作動薬は有望視されている。研究グループは、抗精神病薬治療により症状が安定している統合失調症患者において、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬のAVN-211(CD-008-0173)が、臨床的および認知機能的効果を増大するかを明らかにすることを目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験のパイロット試験を4週(4r-week)にわたって行った。治療効果は、臨床的評価スケールと注意力テストにて測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は47例(試験薬追加併用群21例、プラセボ併用群26例)であり、そのうち併用群17例、プラセボ群25例が試験を完了した。・陽性・陰性症状スケール(PANSS)について、ベースラインでは両群に差はみられなかったが、試験終了時点では陽性サブスケールスコアについて有意差が認められ(p=0.058)、試験薬併用群の症状がより改善していた。・PANSS陽性サブスコア(p=0.0068)、臨床上の医師の印象による重症度(CGI-S)スコア(p=0.048)は、治療群のみにおいて有意な変化がみられた。・プラセボ群だけでみられた有意な変化は、カルガリー抑うつ評価スケール(CDRS)総スコアであった。・注意力テストの結果は試験終了時においても両群間の差を認めなかった。ただし、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)のサブテストVIIIの結果は例外であり、試験薬群において有意に変化が大きかった(p=0.02)。・試験薬併用群内のみにおいて、選択的および持続的注意力の有意な変化が認められた。標準注意検査法(CAT)において、総正解率(p=0.0038)、反応時間(p=0.058)で有意な変化がみられた。関連医療ニュース 精神科薬物治療で注目される5-HT1A受容体 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか?

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小児および思春期うつ病に対し三環系抗うつ薬の有用性は示されるか

 オーストラリア・トーマスウォーカー病院のPhilip Hazell氏らは、小児および思春期うつ病に対する三環系抗うつ薬の有効性を評価することを目的に、Cochrane reviewの最新版について報告を行った。その結果、小児うつ病の治療に三環系抗うつ薬は有用でなく、思春期患者に対してはその使用を支持するエビデンスはわずかであることを報告した。成人のうつ病に三環系抗うつ薬は有効であるが、小児および思春期患者を含む個別の研究においては疑問の余地が残されており、これら患者集団への処方は一般的ではない。研究グループは、小児および思春期のうつ病に対する三環系抗うつ薬の有効性を正確に評価することは、同世代のうつ病における他の薬剤治療の有効性と比較するうえでも有用であるとして本レビューを行った。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月18日の掲載報告。 小児および思春期うつ病に対する三環系抗うつ薬の効果をプラセボと比較検討するとともに、これら患者集団で三環系抗うつ薬に対する反応性に相違があるか否かを評価することを目的として、Cochrane reviewを行った。同様の検討は2000年に最初の報告がなされ、以降2002年、2006年、2010年と更新されており、本報告は最新版である。2013年4月12日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Register(CCDANCTR)を基に検索を行った。CCDANCTRには、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(すべての年)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)およびPsycINFO(1967~)などの文献データベース中の無作為化対照試験が含まれる。過去に発表されたレビュー文献および未発表の研究について言及している文献についてクロスチェックを行った。また、米国児童思春期精神医学学会(American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)の学会誌において関連する抄録にもあたり、1978~1999年の同学会誌を手作業で検索した。そして、これらの中から6~18歳のうつ病患者を対象に、経口三環系抗うつ薬とプラセボを比較検討している無作為化対照試験を選択した。 主な結果は以下のとおり。・14試験の590例を解析対象とした。主要アウトカム(プラセボと比較した有効性)において全般的に相違はみられなかった(リスク比[RR]:1.07、95%信頼区間[CI]:0.91~1.26、9試験、454例)。・うつ症状のわずかな軽減が認められたが(標準平均差[SMD]:-0.32、95%CI:-0.59~-0.04、13試験、533例)、エビデンスの質は低かった。・サブグループ解析では、うつ症状の若干の軽減が思春期患者で認められ(SMD:-0.45、95%CI:-0.83~-0.007)、小児においてはごくわずかな変化にとどまった(SMD:0.15、95%CI:-0.34~0.64)。・三環系抗うつ薬群では、めまい(RR:2.76、95%CI:1.73~4.43、5試験、324例)、起立性低血圧(RR:4.86、95%CI:1.69~13.97、5試験、324例)、振戦(RR:5.43、95%CI:1.64~17.98、4試験、308例)、口渇(RR:3.35、95%CI:1.98~5.64、5試験、324例)がプラセボ群に比べ高頻度に認められたが、その他の有害事象の発現に差はみられなかった。・信頼区間の幅が広かったことから、有害事象に対するエビデンスの質は非常に低いと考えられた。・年齢、治療方法、三環系抗うつ薬の種類、アウトカム指標などに関して試験間で不均質性がみられた。・うつ症状の軽減に対し統計学的な不均質性が確認されたが、寛解または有効率については確認されなかった。・このように、統合データの解析結果については慎重に評価すべきである。・これら試験においては、バイアスのリスク、高い脱落率、評価手段、アウトカムの臨床的意義など、各試験で異なることの多いこれらについて情報が限られており、いずれの試験もバイアスのリスクが低いとは判断しなかった。・以上より、三環系抗うつ薬は小児うつ病の治療に有用ではなく、思春期患者に対してはその使用を支持するわずかなエビデンスがあると言える。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆

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抗精神病薬の効果はすべて同じ、ではない/Lancet

 統合失調症の治療に使用される抗精神病薬は、個々の薬剤で副作用が大きく異なり、有効性にも小さいながら確固とした差があることが、ドイツ・ミュンヘン工科大学rechts der IsarクリニックのStefan Leucht氏らの検討で示された。同氏は「抗精神病薬の効果は第1世代と第2世代で同じとの定説を覆すもの」としている。統合失調症の治療に、どの抗精神病薬が望ましいかとの問いへの答えは、主に費用対効果の問題で錯綜しており、従来のpairwise法によるメタ解析では、有効性および忍容性のエビデンスに基づく序列(evidence-based hierarchy)は確立されていないという。Lancet誌オンライン版2013年6月27日号掲載の報告。15薬剤の7アウトカムをmultiple-treatmentsメタ解析で評価 研究グループは、統合失調症治療における抗精神病薬のエビデンスを統合し、有用性の序列(ヒエラルキー)の創出を目的に、直接および間接比較を用いたベイズ分析に基づくmultiple-treatmentsメタ解析を実施した。 医学文献データベースを検索し、2012年9月1日までに報告された、統合失調症またはその関連疾患の急性期治療として15の抗精神病薬とプラセボを盲検下に比較した無作為化対照比較試験の論文を抽出した。検索結果は、米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトの文献や製薬会社の要請によるデータで補足された。 陰性症状が優勢な患者や併発疾患、治療抵抗性がみられる患者に関する試験、病態が安定した患者を対象とした試験は除外した。主要評価項目は有効性(陽性・陰性症状評価尺度[PANSS]に基づく総合的な症状の改善効果)とし、全原因による治療中止、体重増加、錐体外路症状、プロラクチン値上昇、心電図QTc延長、鎮静作用を合わせて全7項目のアウトカムについて検討した。個々の患者の必要に応じた薬剤選択に有用 1955年10月~2012年9月までに発表された212試験に参加した4万3,049例について解析した。その結果、15の薬剤のすべてが、プラセボよりも有意に有効性が優れたが、プラセボとの比較における有効性に関する各薬剤の標準化平均差(standardized mean difference:SMD)には小さいながら差がみられた。15の薬剤は、有効性が高い順に以下のとおりであった[括弧内の数値は95%確信区間(credible interval:CrI)]。 クロザピン:0.88(0.73~1.03)、アミスルピリド(amisulpride・国内未承認):0.66(0.53~0.78)、オランザピン:0.59(0.53~0.65)、リスペリドン:0.56(0.50~0.63)、パリペリドン:0.50(0.39~0.60)、ゾテピン:0.49(0.31~0.66)、ハロペリドール:0.45(0.39~0.51)、クエチアピン:0.44(0.35~0.52)、アリピプラゾール:0.43(0.34~0.52)、セルチンドール(sertindole・同):0.39(0.26~0.52)、ジプラシドン(ziprasidone・同):0.39(0.30~0.49)、クロルプロマジン:0.38(0.23~0.54)、アセナピン(asenapine・同):0.38(0.25~0.51)、ルラシドン(lurasidone・同):0.33(0.21~0.45)、イロペリドン(iloperidone・同):0.33(0.22~0.43)。 副作用には差があり、各薬剤の特性が認められた。すなわち、プラセボとの比較における全原因治療中止のオッズ比(OR)が最も優れていたのはアミスルピリドの0.43で、ハロペリドールの0.80が最も不良であった。同様に、錐体外路症状のORの範囲はクロザピンの0.30からハロペリドールの4.76まで、鎮静作用はアミスルピリドの1.42からクロザピンの8.82までであった。 体重増加のSMDはハロペリドールの-0.09が最良で、オランザピンの-0.74が最も不良であり、同様にプロラクチン値上昇のSMDの範囲はアリピプラゾールの0.22からパリペリドンの-1.30、心電図QTc延長のSMDはルラシドンの0.10からセルチンドールの-0.90までであった。 著者は、「個々の抗精神病薬の副作用は大きく異なっており、有効性にも小さいながら確固とした差が認められた」とまとめ、「これらmultiple-treatmentsメタ解析による知見は従来のpairwiseメタ解析の限界を克服するもので、『第1世代と第2世代の抗精神病薬の効果は同じ』とする定説に異議を唱え、このような単純なカテゴリーには分類できないことを示唆する。7項目のアウトカムに関する序列は、個々の患者の必要に応じた抗精神病薬の選択に有用であり、心の健康に関する施策を立案する際や診療ガイドラインの改訂時に考慮すべきである」と指摘している。

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「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか?

 2008年にFDAより、抗てんかん薬服用中の患者における自殺リスクの増加について注意喚起がなされた。てんかん患者の標準化死亡比は5.1と報告されているが(95%CI:3.9~6.6)、これには精神疾患の合併なども影響していると考えられる。イタリア・トリニティ病院のMarco Mula氏らは、てんかん患者の気分障害の現象学や抗てんかん薬の向精神作用を考慮に入れたうえで、てんかん、自殺、抗てんかん薬における相互作用について検討を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2013年6月12日号の報告。 てんかん、抗てんかん薬、自殺のキーワードを用い、Medline/PubMedから検索した。国際的なピア・レビュー誌の英語論文のみを抽出し、参考文献に関しても調査した。 主な結果は以下のとおり。・研究結果は一貫しておらず、FDAの結論を支持するものと支持しないものとがあった。・この結果は、方法論的ないくつかの制限(過去の自殺経験、てんかんの交絡効果などによる調整)に起因する可能性がある。・てんかん患者のサブグループにおいては、抗てんかん薬の特定のメカニズムとは独立して、試験治療下での精神医学的な有害事象の発現リスクがあると考えられた。・てんかん患者の薬物治療においては、抗てんかん薬の選択の際に発作パターンに注意を払うだけでなく、多くの異なるパラメーター、とくに個々の患者の精神状態を考慮する必要があると考えられる。関連医療ニュース 小児てんかん患者、最大の死因は? 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者への治療 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには

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たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

 スペイン・ミシェル・セルヴェ大学病院のTirso Ventura氏らは、年齢と誕生日を尋ねる2つの単純な質問が、臨床において概して認知症をルールアウトするのに有効であるという仮説について検証した。その結果、特異度および陰性適中率がほぼ100%近かったことが明らかになった。感度は約61%、陽性適中率は約45%であった。これらの結果を踏まえて著者は、「この単純な質問テストは現在までに報告された最善の方法であり、認知症のルールアウトに用いることが普遍化されるかもしれない」と述べている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2013年6月15日号の掲載報告。 研究グループは、認知症発症について注目した住民ベースの長期前向き研究を行った。ベースラインで、認知症の症例群と非症例群を特定するために2つの標準化されたスケール、構造化面接(Geriatric Mental State)とHistory and Aetiological Schedule(HAS)を用いて認知機能の評価を行った。症例の診断はDSM-IV基準を用いて行い、参照基準とした。本検討では、単純認知機能テストとして、2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」に答えることを課していた。 主な結果は以下のとおり。・参加者のテストの受け入れは良好で、30秒以内に回答が得られた。・参照基準と比較して、「2つの質問への回答がどちらも誤答である場合は認知症である」とする判定について、感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。・この超短時間での試験は、特異性と陰性の検出力が非常に良好であった。関連医療ニュース せん妄はレビー小体型認知症のサイン?! アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか? アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり?  担当者へのご意見箱はこちら

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