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統合失調症に対するスタチン併用療法のメタ解析

 統合失調症の陰性症状に対するスタチン併用療法のベネフィットに関しては、相反する結果が報告されている。中国・南京医科大学のHong Shen氏らは、統合失調症の精神症状改善のために、スタチン併用療法が有用であるかについて検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2018年2月5日号の報告。 CENTRAL、PubMed、Embase、MEDLINEよりデータを検索した。検索に使用したキーワードは、スタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、lovastatin、mevastatin、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、cerivastatinおよび統合失調症、統合失調感情障害、精神病とした。包括基準は、統合失調症成人患者を対象とし、PANSSまたはSANSスコアにて評価を行った抗精神病薬とスタチンまたはプラセボのランダム化比較試験(RCT)とした。データの無い報告、同一研究による複数の報告は、除外対象とした。スタチン併用療法の有無にかかわらず、統合失調症患者の精神症状を比較するため、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・6件のRCTより、339例(治療群:169例、プラセボ群:170例)が抽出された。・全体的な効果については、スタチン併用療法を実施した患者において、PANSSの陽性および陰性症状スコアの有意な低下が認められた。 著者らは「本メタ解析により、スタチン併用療法は、精神症状(陰性症状または陽性症状)を改善可能であることが初めて明らかにされた」としている。■関連記事慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症への補助療法、その影響は:昭和大認知症にスタチンは有用か

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認知症と自動車運転~高齢ドライバー5万人の診断にどう対処するか

 2017年3月の道路交通法改正により、75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、「認知症のおそれがある」と判断された場合、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受け、診断書を提出しなければならなくなった。高齢者による交通事故防止のため、認知症対策がより強化されたこの新制度により、医師による臨時適性検査および診断書作成の対象者は、5万人にまで膨れ上がっている。 法改正から1年。本稿は、先日開かれた日本精神神経学会のプレスセミナーで、池田 学氏(大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室)が、医療現場の現状と今後の見通しについて述べた内容をまとめたものである。かかりつけ医にも求められる認知症診断 2017年3月12日に施行された改正道路交通法により、新たな制度がスタートした。すべての75歳以上のドライバーを対象に、3年に1度の免許証更新時に認知機能検査を実施し、第1~3分類に分ける。このうち、第1分類(認知症のおそれがある者)に該当する人は5万人程度。旧制度では、診断書を求められるのが一定期間内での違反者や事故を起こした人に限定されていたため、年間おおむね1,200~1,500人程度だったが、新制度では認知機能検査で第1分類に該当した時点で、違反や事故の履歴に関係なく、運転をやめるか、医師の診断書を提出するか、どちらかを選択しなければならない。つまり、全員が運転継続を望むとすれば、第1分類に該当する5万人が診断書作成の対象となる。現在、認知症関連学会員(認知症診療の専門医)の数は約2,000人である。当然のことながら、専門医のみで対応できる人数ではないため、かかりつけ医にも診断を求めざるを得ないのが現状である。運転継続か返納かを決める難しい判断と曖昧な境界 現場の医師が最も迷うのが、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)か、初期段階の認知症かの見極めである。軽度認知障害であれば運転は続行できるが、認知症と診断された場合には、原則として運転免許証を返納しなければならない。したがって、両者いずれかの判断が重要となってくるが、きわめて流動的で、専門医であっても線引きは非常に難しいところである。 例えば「健忘型MCI」の場合、物忘れに関しては同年齢と比べても明らかで、本人も自覚しており、周囲の家族も気付いているケースが多い。しかし、それ以外の認知機能は正常範囲で、日常生活動作(ADL)は必ずしも障害されていないというのがポイントである。ただ、MCIが認知症に移行するリスクは確実に高く、1年で10~15%がアルツハイマー型認知症に移行することもこれまでの研究でわかっている。 老年期のうつ病との鑑別も重要である。壮年期のそれとは異なり、抑うつや悲哀などの訴えは主ではなく、心気的、身体的な訴え(肩こりや頑固な便秘、全身倦怠、睡眠障害など)が多いのが特徴で、悪化するとほぼ必発で認知機能の障害を伴う。しかしこれはあくまでも仮性認知症であり、免許更新時の診断には、こうした人を慎重に除外しなければ重大なミスにつながりかねないので注意が必要である。半数以上が「6ヵ月後の診断書」判断に 公安委員会に提出する診断書では、(1)アルツハイマー型認知症、(2)レビー小体型認知症、(3)血管性認知症、(4)前頭側頭型認知症、(5)その他の認知症(慢性硬膜下血腫など治療可能な疾患。6ヵ月後に要再検査)、(6)軽度認知障害、(7)認知症ではない、のいずれに該当するかを判断する。その際、ミニメンタルステート検査(MMSE)または改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)による認知機能検査を必ず実施し、検査が実施できなかった場合にはその理由を明記しなければならない。さらに、可能な限り画像検査を実施し、所見を記入することも求められている。つまり、限りなく専門医の診断書に近い様式となっており、専門外の医師にとってはかなりの負担であろう。 警察庁が取りまとめた改正法施行から半年時点でのデータによると、認知機能検査で第1分類に該当し、医師の診断を受けて免許取り消しや停止になった人は全体の9.3%、条件なしで免許証の所持を継続できた人が22.2%、そして6ヵ月後の診断書提出となった人は56.6%にも上った。この結果から、いかに多くの医師が診断に迷っているかがわかる。この中には治療可能な疾患の人もいるが、MCIか初期の認知症かの判断に迷うため、6ヵ月後に再検査となったケースが相当数あるとみられる。こうした「判断の先送り」が経年的に累積していけば、今後の大きな問題になる懸念があり、次善策を講ずる必要がある。 高齢者ドライバーの中には、免許更新の検査で初めて認知症疑いが指摘されるケースも少なくない。これを前向きに捉え、早期発見・治療の機会と考えられれば良いが、一方で患者は診断名を告げられる心の準備ができていない状況であるため、非常にセンシティブな問題をはらんでいる。かかりつけ医の場合には、これまで経験していない対応を迫られる機会が今後増えることも予測される。このため、日本医師会がかなり詳細な対応マニュアル(かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き)を作成しており、診断の際の参考にしてほしい。9割近くが新制度認識するも、ほとんどが臨時適性検査は未経験 ケアネットでは、昨年の道路交通法改正について、会員医師にアンケート調査を行った(内科医および精神科/心療内科医を対象に、2017年3月8~9日、インターネット上で実施。有効回答数500)。 このうち、「75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、認知機能検査において『認知症のおそれがある』と判断された場合、過去の違反・事故歴の有無を問わず、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受けなければならない」という新たな制度については、86%(430人)が認識していた。 また、「昨年3月の法改正以降、75歳以上のドライバーの免許更新に伴う臨時適性検査を実施した患者数」については、「0人」(76.8%)が最も多く、以下、「1~5人」(14.8%)、「6~10人」(3.2%)、「11~20人」(2.4%)、「31人以上」(1.6%)、「21~30人」(1.2%)となった。今回の調査では、大半の医師が臨時適性検査について未経験だった一方、この1年間で検査を実施した患者数が、すでに200人を超えているという人もわずかながらいた。

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4年間の記憶喪失はウソだった1例【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第111回

4年間の記憶喪失はウソだった1例 いらすとやより使用 2回続けて精神医学の論文を紹介しますが、とくに他意はありません。今回紹介するのは、詐病の1例です。「詐病って病気じゃないじゃん」と言われるとそれまでなんですが、ミュンヒハウゼン症候群とは異なり、扱いにくいですよね…。 上島 国利.全生活史健忘を装った詐病の1例精神医学. 1975;17:455-461.これは今から40年以上前の論文です。私なんてまだ生まれていませんよ。さて、“全生活史健忘”というのは、自分の名前、生い立ち、自分に関する何もかも、すべての記憶を失うことを指しています。皆さんは、ピアノマンって覚えていますか? 以下、Wikipediaからの引用です。「2005年4月8日、イングランドのケント州シアネスの浜辺で、びしょ濡れの黒いスーツとネクタイ姿の20代から30代男性が発見された。病院に収容されたが、記憶喪失だったのか、いくつかの言語で話しかけても一言も話さなかった。また、衣服からラベルが取られており、身元を証明する物が何一つなく、個人情報が一切不明であった。病院の関係者が男性に鉛筆と紙を渡したところ、精緻なグランドピアノの絵を描いた。そこで男性にピアノを弾かせてみると、上手に演奏した。ピアノ演奏が上手かったことから、[ピアノマン]と呼ばれるようになった。」「ピアノマン」(2017年9月17日(日)12:37 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』。これって紛れもなく全生活史健忘なんですよね。ですが、その後、本当に全生活史健忘だったかどうか怪しいという意見が出ており、いまだに真実は謎のままです。全生活史健忘のすべてが詐病だとは思いませんが、そういった詐病例が存在するのも事実です。通常、全生活史健忘は比較的短期間で記憶を取り戻すことが多いとされています。早ければ数日以内、長くても1ヵ月くらいでしょうか。ただ、全生活史健忘と詐病の鑑別はきわめて困難です。この精神医学の症例は、当時の精神衛生法により強制入院となった男性が、4年にわたって何ら記憶を呼び起こすことができないというものです。しかし、彼はとんでもないことを口にしました。「ええっと…、実は最初から全部ウソでした。住所氏名、生活史のすべてを最初から知っていました…」と。ええええええ! ウソやったんかーい!関わった人たちは何とも言えないため息をつくしかありませんが、こういう詐病例も紛れているので、全生活史健忘を診る場合には注意が必要かもしれませんね。まぁ、私のような内科医が診ることはないでしょうが。それにしても、彼にとってこの4年間は一体何だったのか…。

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乳がんの手術方法とうつ病発症に関するメタ解析

 術後の平均期間1年以上の乳がん女性において、異なる術式により、うつ病の発症率に違いがあるかについて、中国・上海交通大学医学院のChengjiao Zhang氏らが、文献のシステマティックレビューとメタ解析を実施した。World journal of surgery誌オンライン版2018年2月9日号の報告。 PubMed、Web of Science、EMBASE、OvidSP、EBSCO、PsycARTICLESより、システマティックに文献検索を行った。異なる術式群におけるうつ病発症率を比較し、経験的な所見を確認した観察的臨床研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・乳がん患者のうつ病に関する研究は、乳房全摘術と乳房温存術の比較研究5件、乳房全摘術と乳房再建術の比較研究4件、乳房温存術と乳房再建術の比較研究2件、すべての術式の比較研究5件の合計16件であった。・乳がん女性のうつ病に関して多変量解析を実施した5件中、うつ病発症に対する術式の有意な影響が認められた研究は1件のみであった。・本メタ解析の結果では、いずれの術式においても、うつ病発症に有意な影響は認められなかった。 ◆乳房温存術 vs.乳房全摘術(相対リスク:0.89、95%CI:0.78~1.01、p=0.06) ◆乳房再建術 vs.乳房全摘術(相対リスク:0.87、95%CI:0.71~1.06、p=0.16) ◆乳房温存術 vs.乳房再建術(相対リスク:1.10、95%CI:0.89~1.35、p=0.37) 著者らは「術後の平均期間1年以上の乳がん患者において、うつ病の発症に、3つの術式(乳房全摘術、乳房温存術、乳房再建術)による統計学的に有意な差は認められなかった」としている。■関連記事がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには抗うつ薬治療は乳がんリスクに影響しているのか抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連

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統合失調症におけるパリペリドンパルミチン酸とリスペリドンの持効性注射剤の比較

 統合失調症患者の初回入院期間、再入院リスク、治療期間に関して、パリペリドンパルミチン酸(PP)またはリスペリドン持効性注射剤(RLAI)による治療の影響を、フランス・Corentin-Celton HospitalのFrederic Limosin氏らが、比較検討を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌2018年2月号の報告。 初回入院時にPPまたはRLAI治療を開始した統合失調症患者を対象に、フランスの43施設で観察的レトロスペクティブコホート研究を実施した。フォローアップは、RLAI群では2012年9月より開始し(フォローアップ期間中央値:233日間)、PP群では2013年6月より開始した(フォローアップ期間中央値:259日間)。統計分析は、患者の特性を考慮して傾向スコア加重を用い、Cox回帰モデルに基づいて実施された。 主な結果は以下のとおり。・分析には、347例(PP群197例、RLAI群150例)が含まれた。・PP群は、RLAI群と比較し、精神疾患以外の合併症の併発、過去に抗精神病薬での治療歴、前年に精神科治療のための入院歴を有する傾向が有意に強かった。・初回入院時の在院期間は、両群間に統計学的な有意差は認められなかった(ハザード比:1.13、95%CI:0.97~1.31)。・PP群の1回目の再入院までの期間は、RLAI群と比較し同様であった(ハザード比:0.92、95%CI:0.65~1.30)。 著者らは「潜在的な統計力の欠如のため、PP群とRLAI群の間に、初回入院期間および再入院までの期間に関する有意な差は認められなかった。治療中止までの期間に関しては、PP群において良い傾向が認められたものの、この結果は、RLAIからPPへの切り替えが行われた患者において低下した」としている。■関連記事統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較2つの抗精神病薬持効性注射剤、その違いを分析パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

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心房細動と認知症リスク~1万3千人を20年追跡

 これまでに心房細動(AF)と認知機能低下および認知症との関連が報告されている。しかし、これらの研究は追跡期間が限られ、ほとんどが白人や選択された集団に基づいており、また認知機能の減衰を考慮していなかった。今回、ミネソタ大学のLin Y. Chen氏らは、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究において、認知機能の20年間の変化(減衰を考慮)および認知症発症との関連を評価した。その結果、虚血性脳卒中と関係なく、AFが認知機能のより大きな低下や認知症リスクの増加と関連することが示された。Journal of the American Heart Association誌2018年3月7日号に掲載。 本研究(ARIC-NCS:ARIC Neurocognitive Study)は、1万2,515人の参加者(1990~92年における平均年齢:56.9歳[SD:5.7歳]、女性56%、黒人24%)の1990~92年から2011~13年までのデータを分析。AF発症は心電図検査と退院コードで確認した。認知テストは、1990~92年、1996~98年、2011~13年に実施し、認知症発症は臨床医の判断とした。AFと認知テストにおけるZ scoreの変化および認知症発症との時間依存性の関連について、一般化推定方程式(GEE)とCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・20年間に2,106人がAFを発症し、1,157人が認知症を発症した。・虚血性脳卒中などの心血管リスク因子を調整後、global cognitive Z scoreの20年にわたる低下の平均は、AFがない参加者よりAFのある参加者のほうが大きく、0.115 (95%CI:0.014~0.215)であった。MICE(連鎖方程式による多変量補定)により減弱を調整すると、関連はさらに強くなった。・さらに、虚血性脳卒中を含む心血管リスク因子について調整すると、AF発症は認知症リスクの増加と関連していた(ハザード比:1.23、95%CI:1.04~1.45)。 著者らは、「認知機能低下は認知症の前段階であるため、この結果から、AF患者の認知機能低下を遅らせ、認知症を予防するAFの治療法を調べるために、さらなる調査が推進される」としている。

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男女における握力とうつ病との関連

 筋力は、高齢者のメンタルヘルスにおける、修正可能な保護的要因である。性差のエビデンスにおいて、メンタルヘルスとその関連は限られている。アイルランド・リムリック大学のCillian P. McDowell氏らは、握力とうつ症状やうつ状態との横断的および将来的な関連について、性差の評価を行った。Experimental gerontology誌オンライン版2018年2月14日号の報告。 対象は、50歳以上の一般成人4,505例(女性:56.5%)。筋力の尺度として、ベースライン時に、手持ち式の握力計を用いて利き手の握力(kg)を測定した。対象者は、握力別に三分位に振り分けられた。ベースライン時と2年後のうつ症状は、疫学研究用うつ病尺度(CES-D:Center for Epidemiological Studies Depression Scale)で評価し、16点以上をうつ病例とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状は、ベースライン時では女性において有意に高かった(p<0.001)。・将来モデルは、年齢、性別、腹囲、社会階級、喫煙、健康状態で調整した。・男性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で32.9%減少し(p=0.21)、上位で9.9%減少したが(p=0.74)、それぞれ有意な関連ではなかった。・女性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で28.5%減少し(p=0.13)、有意な差は認められなかったが、上位では43.4%の有意な減少が認められた(p=0.01)。・全サンプルにおけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で31.5%減少し(p=0.04)、上位で34.1%減少しており(p=0.02)、それぞれ有意な関連が認められた。・性別と握力の相互の影響は、統計学的に有意ではなかった(p=0.25)。 著者らは「高齢者において、握力とうつ病との逆相関が認められた。この関連は、男性よりも女性において強かった」としている。■関連記事少し歩くだけでもうつ病は予防できるうつ病患者への運動介入、脱落させないコツは高齢者うつ病患者への運動療法は有効

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統合失調症患者の自傷リスクに対する抗精神病薬の効果比較

 統合失調症患者の自傷行為による入院について、治療に用いられる抗精神病薬により違いがあるかについて、台湾・国立台湾大学のC-H. Ma氏らが、調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年2月11日号の報告。 台湾健康保険データベースに基づいて、レトロスペクティブコホート研究を行った。対象は、2001~12年に新規に統合失調症と診断された15~45歳の患者。アウトカムは、統合失調症診断後の自傷行為または原因不明の傷害による最初の入院とした。抗精神病薬の服薬状況は、時間依存性変数としてモデル化された。規定された1日投与量(defined daily dose:DDD)に基づく抗精神病薬の投与量により層別化し、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・50万355患者年の追跡調査の結果、7万380例から2,272件の自傷行為による入院エピソードが抽出された。・DDDまたはそれ以上の用量での第2世代抗精神病薬(amisulpride、アリピプラゾール、クロザピン、リスペリドン、スルピリド)の使用は、未使用患者と比較し、自傷行為による入院リスクの低下と関連が認められ、中でもクロザピンが最も強い効果を示した(調整率比:0.26、95%CI:0.15~0.47)。 著者らは「自傷行為に対する保護効果は、抗精神病薬の種類により異なる可能性がある。本知見を再現するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

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歯の残存数と認知症リスクに関するメタ解析

 高齢期の歯の損失は、認知症の発症率を高める可能性があることが示唆されている。韓国・SMG-SNU Boramae Medical CenterのBumjo Oh氏らは、高齢期の歯の残存数と認知症発症との関連について、現在のエビデンスからシステマティックレビューを行った。BMC geriatrics誌2018年2月17日号の報告。 2017年3月25日までに公表された文献を、複数の科学的論文データベースより、関連パラメータを用いて検索を行った。高齢期における認知症発症と歯の残存数に関して報告された複数のコホート研究における観察期間の範囲は、2.4~32年であった。高齢期における歯の残存数の多さと認知症リスク低下が関連しているかについて、ランダム効果のプールされたオッズ比[OR]と95%信頼区間[CI]を推定した。異質性は、I2を用いて測定した。GRADEシステムを用いて、全体的なエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・文献検索では、最初に419報の論文が抽出され、最終的には11件の研究(試験開始時年齢:52~75歳、2万8,894例)が分析に含まれた。・歯の残存数が多い群では、少ない群と比較し、認知症リスクの約50%低下と関連が認められた(OR:0.483、95%CI:0.315~0.740、p<0.001、I2:92.421%)。・しかし、全体的なエビデンスの質は非常に低いと評価された。 著者らは「限られた科学的エビデンスではあるものの、現在のメタ解析では、高齢期において歯の残存数が多いほど、認知症発症リスクが低いこととの関連が示唆された」としている。■関連記事「歯は大切に」認知症発症にも影響:久山町研究高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連統合失調症患者の口腔ケア、その重要性は:東医大

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1994~2014年の30ヵ国におけるうつ病有病率調査

 うつ病の有病率は、過去20年間の精神医学的治療の変化やオンラインメンタルヘルス情報の入手による影響を受けている可能性がある。オーストラリア・モナッシュ大学のGrace Y. Lim氏らは、1994~2014年にかけて、異なる国と地域におけるうつ病の有病率を評価し、地理的、方法論的、社会経済的な要因によって層別化された有病率の変動を調査した。Scientific reports誌2018年2月12日号の報告。 合計90件の研究が特定され、成人111万2,573例が包括基準を満たした。調査の内訳は、時点有病率調査が68件、1年間の期間有病率調査が9件、生涯有病率調査が13件であった。 主な結果は以下のとおり。・ランダム効果モデルによるメタ解析では、うつ病の時点有病率は12.9%、1年間の期間有病率は7.2%、生涯有病率は10.8%であった。・時点有病率が有意に高かったのは、女性(14.4%)、人間開発指数(平均余命、教育、所得の複合統計指数:29.2%)、2004~14年に公表された研究(15.4%)、自己報告によるうつ病評価の場合(17.3%)であった。・異質性がメタ回帰分析、サブグループ解析により同定され、治療反応率、女性の割合、公表年は、それぞれうつ病の有病率に影響すると判断された。 著者らは「本メタ解析は、オンラインヘルス情報が出現したこの時代において、うつ病蔓延のベンチマークを可能とし、将来の比較を容易にするであろう」としている。■関連記事米国のうつ病、どのような患者で増加しているかこれからのうつ病治療、どんな介入を行うべきかうつ病再発予防へ、インターネット介入の可能性は

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統合失調症の維持治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性評価研究

 ブレクスピプラゾールは、統合失調症の急性期や再燃予防において有効性を発揮するセロトニン・ドパミンアクティビティモデュレーター(SDAM)である。米国・大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のAndy Forbes氏らは、フェーズIIIの多施設共同研究において、ブレクスピプラゾールのフレキシブルドーズ1~4mg/日における長期安全性、忍容性、有効性の評価を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年2月3日号の報告。 対象は、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照フェーズIII試験から、52週間(最終的に26週間へ変更)のオープンラベル試験へ移行した患者。対象患者は、これまでの研究の一部としてではなく、新たに登録を行った。主要アウトカムは、治療下で発現した有害事象(TEAE:treatment-emergent adverse event)の頻度と重要度とした。有効性は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)、PSP(個人的・社会的機能遂行度尺度)を用いて、副次的目的として評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・合計1,072例(52週間:952例、26週間:120例)が登録され、そのうち47.4%が試験を完了した。・ブレクスピプラゾール投与を1回以上実施した患者において、TEAEにより投与を中止した患者は14.6%であった。その主な内訳は、統合失調症8.8%、精神病性障害1.5%であった。・発生率5%以上のTEAEは、統合失調症(11.6%)、不眠症(8.6%)、体重増加(7.8%)、頭痛(6.4%)、激越(5.4%)であった。・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。・平均体重増加は、ベースラインから26週目までで1.3kg、52週目までで2.1kgであった。・プロラクチン、脂質、グルコース、QT延長に関連する臨床的な知見は認められなかった。・患者の症状および機能は、継続的な改善がおおむね認められた。 著者らは「統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール1~4mg/日による治療は、最大52週間の忍容性が良好であることが確認された」としている。■関連記事新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール開発中のブレクスピプラゾール、その実力はアリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

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抗うつ薬は効果があるのか?(解説:岡村毅氏)-822

 抗うつ薬に関するネットワークアナリシスである。臨床的には納得できる点が多い。 「良薬口に苦し」とはよく言ったもので、いわゆる三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンは効果が大きいが、抗コリン作用(口渇、眠気、便秘、不整脈等)が強く、高齢社会においてはますます使いにくい。SSRIの登場によりうつ病の薬物治療が新時代を迎えたころ、華々しく登場したfluoxetineやパロキセチンは、やはりスタディ数が圧倒的に多い。バランスが良いのはセルトラリンやエスシタロプラムであるが、従来いわれていた知見と合致する1)。 うつ病というのは複雑な現象であり、「抗うつ薬は効果があるのか?」は、「ライオンとシャチはどっちが強い?」みたいな答えにくい質問である。 たとえば会社で、毎日終電まで仕事が終わらないうえにほぼ最低賃金で、上司からは、ばかだ、能なしだとののしられ、部下は言うことを聞かない…そういう状況で徐々に不眠になり、考えがまとまらなくなり、興味を失い、体重が減って、という場合は、抗うつ薬では本質的にはよくならないだろう。まず休んで身の振り方を考えるべきである。この場合は環境調整が最も効果的なのである(並行して抗うつ薬による治療を行うことは十分に効果的であるので誤解なきよう)。 あるいは、このような状況にもかかわらず患者さんが「言われたことを断わってはいけない」「断ると自分の価値がなくなる」「求められることをこなすことが自分の価値である」と強く信じているような場合は、うまく断るやり方を考えたり、たとえ無理な依頼を断っても個人の価値は何ら棄損しないことを共有し、場合によっては頼まれたことをこなしてきた人生を振り返り、少し生き方を変えてもいいかもと語り合うことが良いかもしれない。つまり、精神療法が最も効果的なのである(並行して抗うつ薬による治療を行うことは十分に効果的であるので誤解なきよう)。 高齢者がちょっとした体の不調で元気がない場合、抗うつ薬も良いが、漢方薬程度にして、気晴らしができる場所や信頼できる人を見つけてもらうのが最良であろう。 しかし、若い人がストレッサーに曝露したことでみるみる元気をなくし、思考制止ともいうべき状況で活動量が低下して部屋で動かなくなっている場合は、個人的にはすぐに抗うつ薬による治療を勧める。 うつ病という現象はあまりにも変数が多く、また得られた情報が場合によっては歪んでいたりするので、意思決定は難しい。しかし、「こころの不調」や「子供の教育」は多くの人が経験するからだろうか、自分の経験のみを基にマスコミなどで発信している人が多いと感じるのは私だけだろうか。このコラムを「抗うつ薬は効果があるのか?」という挑戦的なタイトルにしたのも、その現象は本当にうつ病といえるのかということを考えないといけない、うつ病の治療では精神療法や環境調整も薬物治療と同じように重要である、年齢・既往歴・社会的状況によって抗うつ薬の適応は変化する、このように考えると「はい」「いいえ」で答えられない問題であるということを伝えたかったからである。冒頭の質問は「陸の上ならライオン、海の中はシャチ」というのが正解か。狭義のうつ病に対して抗うつ薬は効果があることは、(そして魔法ではないのでいわゆる「副作用」があることは)科学的事実であろう。そして、さまざまな判断に基づき抗うつ薬を使う場合には、効果と忍容性を勘案するべきであり、本論文の果たす役割はあまりにも大きい。

3773.

早期の認知症発見とコンピュータ使用との関連性の検証

 高齢者が多様なコンピュータを使用する動作から、認知機能に問題がないか、または認知機能低下の初期段階にあるか判断することはできるか、そしてこれらの動作が認知機能低下と関連しているかについて、英国・マンチェスター大学のG. Stringer氏らが調査を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2018年2月9日号の報告。 認知機能低下の高齢者(認知機能低下群)20例および健常な高齢者(対照群)24例を対象に、認識および機能できる力、一連の半構造化コンピュータタスクの評価を行った。コンピュータの使用動作は、別注のソフトウェアで受動的に収集した。 主な結果は以下のとおり。・認知機能低下群のコンピュータ使用動作のプロファイルは、より頻繁な一時的停止、タイピングの遅さ、マウスクリックの多さについて、対照群と比較し、有意な違いが認められた。・これらの動作は、認識および機能できる力(とくに記憶関連)の評価で、有意な関連が認められた。 著者らは「コンピュータの使用動作を目立たないように調査することは、臨床現場以外での神経変性の早期発見の可能性を表している。それは、長期的なアウトカムを改善するためのタイムリーな治療介入を可能とする」としている。■関連記事脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減どのくらい前から認知症発症は予測可能か軽度認知障害、5年後の認知症発症率は

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小児てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性比較

 新規にてんかんを発症した小児の半数以上は、既知の脳波・臨床症候群に適合しない非症候性てんかんの脳波および臨床的特徴を有する。レベチラセタムおよびフェノバルビタールは、小児のてんかんに対し最も一般的に処方される薬剤ではあるが、これらの有効性の比較についてはよくわかっていない。米国・ワイルコーネル大学のZachary M. Grinspan氏らは、小児の非症候性てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性の比較を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2018年2月12日号の報告。 本研究は、2012年3月~2015年4月に実施されたプロスペクティブ多施設共同観察コホート研究である小児てんかん研究(Early Life Epilepsy Study)である。対象は、米国メディカルセンター17施設において、生後1ヵ月から1歳までに初めて無熱性発作を経験した非症候性てんかんの小児。初回発作から1年以内に初回単剤療法としてレベチラセタムまたはフェノバルビタールを使用した。2値アウトカムは、6ヵ月における単剤療法からの離脱とした(他の抗てんかん薬が処方されず、治療開始から3ヵ月以内に発作が認められないと定義)。アウトカムは、人口統計、てんかんの特徴、神経系の病歴、傾向スコア加重を用いた観察可能な選択バイアス、一般化された推定式を用いた中心内相関(within-center correlation)にて調整された。 主な結果は以下のとおり。・対象患者155例(女児:81例、男児:74例)の年齢中央値は4.7ヵ月(四分位範囲:3.0~7.1ヵ月)であった。・レベチラセタム治療患者(レベチラセタム群)117例、フェノバルビタール治療患者(フェノバルビタール群)38例であった。・レベチラセタム群の初回発作時の年齢中央値は、5.2ヵ月(四分位範囲:3.5~8.2ヵ月)であり、フェノバルビタール群の3.0ヵ月(四分位範囲:2.0~4.4ヵ月)より高かった(p<0.001)。・その他においては、両群に有意な差が認められなかった。・単剤療法からの離脱は、フェノバルビタール群(6例、15.8%)と比較し、レベチラセタム群(47例、40.2%)の方が多かった(p=0.01)。・レベチラセタム群のフェノバルビタール群に対する優位性は、共変量、観察可能な選択バイアス、中心内相関で調整した後も持続していた(オッズ比:4.2[95%CI:1.1~16]、NNT:3.5[95%CI:1.7~60])。 著者らは「レベチラセタムは、小児の非症候性てんかんに対する最初の単剤療法として、フェノバルビタールと比較し、優れた有効性を示す。100人の小児にフェノバルビタール治療の代わりにレベチラセタム治療を実施した場合、単独療法からの離脱は、この研究の推定値16例から44例に増加すると考えられる。これらの知見を確認するためには、無作為化臨床試験が必要である」としている。■関連記事抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証小児外傷後てんかんの予防にレベチラセタムは有用難治性てんかんに対するレベチラセタムの評価:群馬大

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ドンファン【どう愛する?】

今回のキーワード認知再構築(リフレーミング)妄想性障害統合失調症スペクトラム障害創造性夫婦カウンセリング(カップルセラピー)「ロマンス病」みなさんは、誰かを愛していますか? 愛とは何かと考えたことはありますか? 世の中には、あまたの「恋愛マニュアル」があります。そこには、どうしたら相手から愛されるか、モテるかというやり方が紹介されています。もちろん、それはそれで大事でしょう。ただそれ以上に大事なことは、どうしたら相手をうまく愛せるかという心のあり方ではないでしょうか?今回は、愛をテーマに、映画「ドンファン」を取り上げます。主人公は「愛の貴公子ドンファン」と名乗る青年。現代のニューヨークに、マント衣装に黒マスクという時代錯誤な格好で現れます。失恋を理由にビルの屋上に上がり、「名誉の死」を望むと言って騒ぎを起こしたことで、精神鑑定のために精神科病院に入院することになります。そこで彼は、主治医になったジャックに自分の愛の遍歴を語り始めます。彼の語る壮大な愛のストーリーにジャックは引き込まれ、やがてジャックも愛を語り始めるのです。それでは、「ドンファン」という恋愛ファンタジーを通して、創造性と妄想の二面性のメンタルヘルスを学びつつ、愛するとは何か、どうしたら相手をうまく愛せるのか、そして、より良いパートナーシップとは何かを探り、いっしょに愛の本質に迫っていきましょう。どう相手を見るの?ドンファンは、ジャックに「自分はドンファン。あなたはドンオクタビオ。ここはあなたの館だろう。」と言い、客人のように振る舞っています。ジャックが「もしここが精神科病院できみが患者で私が主治医だと言う人がいたら?」と問いかけると、ドンファンは「その人は狭いものの見方しかできないのだ」「私はものごとを心の目で見るからだ」と言い返します。彼は続けて、「例えば、私が美しいという女性を『美しくない』と言う人もいる。鼻が大きいとか、やれお尻が大きすぎるとか、胸が小さいとか。だが、私には女の真価が分かる。どの女性も美しく神々しく完璧だ。なぜなら、私は一面的な物の見方をしないからだ」と説きます。さらに、「女性は、私の前では素直だ。なぜなら、私が、女の奥に秘められた美しさを見いだし、それを愛するからだ。それと同じように、ここが病院だとしても、私の目にはあなたのすばらしい館なのだ。そして、あなたは私と同じ愛の貴公子。今は道を見失っているだけだ」と言い切ります。実は、ジャックは、初老を迎え、仕事への情熱を失い、数日後の引退を決意していました。妻とも倦怠期を迎え、人生に飽き飽きしていました。ドンファンは、そんなジャックの心の内を見抜き、言い当てたのでした。ものごとには、プラス面とマイナス面があります。問題なのは、マイナス面があることではなく、プラス面に目を向けない自分の考え方であり、心のあり方であるということです。そして、それは、ものごとだけでなく、人間にも当てはまります。相手をどう見るのか? どう見たいのか? もっと言えばどう見いだしたいのか? つまり、マイナスな点をいくつも探し出して不平不満を言い続けるのか、プラスな点を見いだしてより良い関係を築きたいのか? それは自分次第であるということです。ちなみに、ドンファンの考え方は、心理セラピーで行われている認知行動療法の認知再構築(リフレーミング)、ナラティブセラピーのオルタナティブストーリー、交流分析の脚本などに重なります。ドンファンは正常なの?ドンファンは、叙事詩やオペラに登場する伝説上の愛の貴公子になりきっていました。彼は、メキシコで生まれ育ち、家庭教師の人妻と不倫して、父親が愛と名誉の決闘で亡くなり、その後に母は修道女になったと語ります。続けて、彼は不運にも奴隷船でアラブの国に連れて行かれ、なりゆきでハーレムにいる1000人以上の女性と愛を交わします。そして、その後に乗った船が難破して彼一人だけエロス島に漂着し、最愛の恋人のドンナアナに巡り合い、激しく愛し合い、やがて失恋します。彼の語る生い立ちは、壮大なストーリーなのでした。一方で、ジャックが入手した情報によると、ドンファンには本名があります。アメリカの片田舎で生まれ育ち、父親は交通事故で亡くなり、母親は確かに修道女になっていますが、彼とのかかわりははっきりしません。3か月前から祖母宅で暮らし始めますが、彼の部屋の壁には黒マスクをしているグラビアアイドルの写真が張り巡らされ、机には「ドンファン」の叙事詩が置いてありました。ドンファンは、ジャックに「ここが精神科病院であなたが精神科医だということは私も承知している」とも言っています。強制入院が継続されるかを判定する審問会では、ドンファンは判事に「好きだったグラビアアイドルが連絡しても相手にしてくれなかった。生きる望みがなくなって死にたい気持ちになった。それをみんなに知ってもらいたくてハデな騒ぎを起こしただけです。本当に死のうと思ったわけではない」とまともな振る舞いをして、無事に自由の身になります。果たしてドンファンは正常なのでしょうか? 答えは、正常とは言えないです。客観的に考えれば、彼の話は事実と大きく異なっており、突飛で荒唐無稽です。体系化した誇大妄想があります。誇大妄想をもとにして自殺企図もみられていました。ただし、自殺企図は一度だけであり、反省を見せています。このように、ある程度の病識があり、周りに合わせることができている点で、社会生活は著しく障害されているとは言えなくなります。よって、診断は、妄想性障害となります。ドンファンには治療が必要なの?気難しい精神科病院の院長は、「ドンファンは統合失調症だ。早く薬を飲ませてほしい」とジャックに何度も迫ります。果たしてドンファンに薬物治療が必要でしょうか? 答えは、現時点では必ずしも必要ではないです。確かに、より広い診断では、統合失調症スペクトラム障害と言えますが、統合失調症と限定はできないです(グラフ1)。統合失調症は、妄想性障害よりも症状の種類が多く、また症状の程度が重いです。一方、ドンファンは妄想の世界と現実の世界の折り合いを付けて、社会生活を送っています。これが治療不要の理由です。ただし、今後に心理的なストレスが強まるなどで重症化して社会生活が難しくなれば、統合失調症に診断変更されます。このように、統合失調症スペクトラム障害は、「スペクトラム(連続体)」としてつながっていると理解することができます。なぜ妄想は「ある」の?それにしても、ドンファンが語る愛の言葉は神秘的で、聞く者の五感をしびれさせ、くすぐります。出会う女性たちを喜ばせるだけでなく、ジャックをも、妻を恋する男に変貌させます。そして、何より、完璧な愛の世界こそが、ドンファンの生きる支えになっています。彼の信念とも言えます。ジャックは、ドンファンの妄想のプラス面に気付いたのでした。そもそも、なぜ妄想は「ある」のでしょうか? 病気の症状と言ってしまえばそれまでですが、時代や場所を問わず、ある一定の人に見られ、普遍性があります。その答えを進化心理学的に掘り下げてみましょう。原始の時代、私たちヒトは、チンパンジーと共通の祖先と別れた700万年前から、体と同じく心(脳)も進化させました。特に、約10~20万年前に喉の構造が進化して、複雑な発声ができるようになり、言葉を話すようになりました。そして、言葉によって、抽象的な思考ができるようになりました。その時からです。道具、建築、芸術、文学、宗教、政治などの文化が爆発的に発展していきました(文化のビッグバン)。これが、創造性です。一方、この創造性の心理が過剰になれば、思い込みや思い入れとなり、合理性とは相容れないマイナス面が出てきます。この状態が妄想と呼ばれているのです。つまり、創造性と妄想はコインの表と裏ということです。そして、妄想という診断は、一面的なものの見方に過ぎないということです。愛するとは?ドンファンはジャックに説きます。「五感全てが愛で満たされるような女に出会ったことはあるか?」「心の安らぎを与えてくれる女だ」「彼女に出会ったことで私は生を受け、彼女を失うことは死を意味する」「人生で大切な問題は4つしかない。神聖とは何か?心は何からできているのか?何のために生きるのか?何のために死ぬのか?その答えは全て同じ。愛だけだ」と。ドンファンは情熱的です。彼には打算やコスパなどの合理的な発想はありません。まさに妄想とも言える相手への一途な思い入れこそが、結び付きをより強めます。進化心理学的に考えれば、創造性は、男女の仲を深め子孫を残すという恋愛において特に重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。「愛は盲目」とはよく言ったものです。これこそが人間らしさであり、恋愛の魅力でもあります。どう愛する?ドンファンは「愛の達人が本当の快楽を感じるのは、エクスタシーそのものよりも、彼の腕の中で女が花開いたと知る瞬間だ」と語ります。彼の語る愛とは、相手を満たすことに満たされることです。つまり、相手に喜びを与えることが大事であるということです。そんなドンファンの話を聞いていくうちに、やがてジャックは「情熱なくして人生はない」と言い始めます。ドンファンによって、ジャックの消えかけた情熱の心に火が点いたのでした。ジャックは30年以上連れ添った妻のマリリンへの情熱を取り戻し、愛を語るようになっていくのです。ジャックは、ドンファンを治そうとして、逆に治されたのでした。より良いパートナーシップとは?ここから、ジャックがマリリンにどう愛を伝えるようになったかを通して、夫婦関係(パートナーシップ)をより良いものするための夫婦カウンセリング(カップルセラピー)のエッセンスを主に3つ挙げてみましょう。(1)どう喜ばせる?-愛情表現-愛情の燃料タンクを満たす1つ目は、相手を喜ばせるための愛情表現です。その方法を具体的に5つ挙げてみましょう。ジャックは、マリリンを見つめ続け、「君の目がきれいだ」「きみは素晴らしい女性だ」と言い始めます。1つ目は相手への賞賛、感謝、思いやりなどの愛の言葉です。その後に、ジャックはマリリンを豪華なディナーに誘い、宝石を差し出します。2つ目はプレゼントです。プレゼントは愛情を形にするシンボルです。さらに、ジャックは、マリリンに「寝室に行こう」とよく誘うようになり、肌の触れ合いが増えます。3つ目は、手つなぎ、キス、ハグ、セックスなどのスキンシップです。また、ジャックは太っていますが、筋トレマシンを購入して筋トレに励むようになります。痩せて、マリリンに見直してもらうためです。4つ目は、相手のために労力をかけ尽くすサービスです。分かりやすいのは、家事や育児を率先してやることでもあります。ある時は、ジャックは勤務時間中にマリリンに会いたくなり、早退します。そして、家でマリリンとポップコーンを飛ばして遊びます。5つ目は、いっしょに充実した時を過ごす夫婦の時間です。これは、ただ話を聞く、ただそばにいることも含めて、相手を最優先にすることです。このように、5つの愛情表現を日々行うことで、相手とのパートナーシップをより強めることができます。例えるなら、愛情表現という燃料をこつこつ溜めることによって、相手の愛情の燃料タンクを満たしておくことができます。パートナーシップの強さは、この燃料タンクの満たされ具合であり、空っぽでは危ういというわけです。(2)どう向き合う?-愛情の決め事-愛情の羅針盤を持つジャックはマリリンに「今まで自分のことばかり考えてて、君が何を望んでいるか気付かなかったんだよ」と打ち明けます。2つ目は、相手と向き合うための愛情の決め事です。相手と本音で語り、相手が何を望んで、何を望んでいないかを理解し、受け入れることです。その方法を具体的に3つ挙げてみましょう。1つ目は、完遂です。これは、できる限り相手の望みを叶えると決めることです。これは、自分がしてあげたいことではなく、相手がしてもらいたいことをすることです。例えば、先ほどの5つの愛情表現について、女性が男性に望みやすいのは、愛の言葉やプレゼントです。一方、男性が女性に望みやすいのは、スキンシップやサービスです。さらに、子どもができれば、女性は男性に育児の分担のサービスをより望むようになるでしょう。男女ともにパートナーシップが長くなれば、夫婦の時間をより望むようになるでしょう。このように、性別やライフステージによって相手の望みが変わることを踏まえて、相手の望みを探り、できるだけ叶えると自発的に決めることです。中には、自分が自然にやりたくない相手の望みもあるでしょう。たとえそうだとしても、相手への愛のためにやるのです。やる価値があると信じることです。その分、それだけ大きな愛情表現となるのです。この意味でも、愛は妄想でもあり、信念でもあります。2つ目は、折り合いです。これは、どうしてもできないことには折り合いを付けることです。相手の望みでどうしてもできないこともあるでしょう。例えば、能力、体力、金銭、絶対的な時間においてできないこともあります。必ずしも相手の望みを全て受け入れることが愛ではないです。そうしてしまうと、一方が言いなりになり、もう一方がわがままになりやすくなります。このようなフラットではない関係(共依存)は危ういです。どうしてもできない場合は、お互いに歩み寄る理性的な話し合いをすることです。また、その時に一方が譲歩したとしても、その次はもう一方が譲歩するというバランス感覚が重要です。その時は不公平であっても、長い目で見たら公平になることを目指すことです。つまり、愛情の決意は、お互いに敬意を払うという対等な友情関係に根ざしていることです。そして、これを可能にするのは、やはり日々、相手の望みを叶えてパートナーシップを強めていることです。3つ目は、棚上げです。これは、どうしても折り合わないことは棚上げすることです。そもそも生まれ育った家族の文化はお互いに違います。特に、信条、信念、支持政党、時に宗教などの抽象的なことにまで、折り合いを付ける必要はないでしょう。折り合わなくても、理解することはできます。その話題に触れなければ良いだけの話です。折り合いを付けるのは、主に共同生活を心地良くするための具体的な行動です。大事なのは、折り合うことではなく、折り合わなくてもぶつからないようにすることです。また、たとえぶつかって言い合いになった時も、最後にはユーモアやおふざけをあえてして、場を和ませることです(リペアメントアテンプト)。このように、3つの愛情の決め事を意識することで、相手とのパートナーシップをより強めることができます。例えるなら、自分の愛情の羅針盤を持つことです。この羅針盤によって、進むべき道を知り、やるべきことがブレにくくないます。パートナーシップの強さは、この羅針盤の正確さであり、羅針盤を持たなければ危ういというわけです。(3)どう分かち合う?-愛情の再確認-愛情の航路を描くジャックはマリリンに「引退した日に、これから旅に出よう。きみの全てが知りたい。君の希望とか夢とか」と問いかけます。マリリンは「そう言ってくれるなんて今まで思わなかった」と微笑むのです。3つ目は、相手と分かり合うための愛情の再確認です。その方法を具体的に3つ挙げてみましょう。1つ目は、夫婦の歴史です。これは、これまで相手と苦楽を共にした過去を良い思い出として振り返ることです。それは、いっしょに苦しいことを乗り越えて楽しいことを分かち合えたという夫婦のロマンスの積み重ねでもあります。2つ目は、夫婦の心のつながりです。これは、今いっしょにいることが幸せであると相手に伝えることです。相手の今がんばっていることや逆に不安に思っていることに興味を持ち、相手をより良く知り、分かち合っていてつながっていることにロマンスを感じることです。3つ目は、夫婦の夢です。これは、これから相手といっしょに成し遂げたい未来に思いを馳せることです。夫婦としていっしょにいることは、それ自体が目的であると同時に、夫婦のこれからのロマンスを実現するための手段でもあると考えることです。このように、過去、現在、未来という3つの愛情の再確認をすることで、相手とのパートナーシップをより強めることができます。例えるなら、相手との愛情の航路を描くことです。そうすることによって、夫婦としていっしょにいる価値を見いだし、パートナーシップは揺るぎないものになるでしょう。愛とは「ロマンス病」ジャックはラストシーンで「私の名はドンオクタビオ。世界一の精神科医だ。1000人以上の患者を治療した」「妻は、麗しのドンナルシータ。私の人生の灯火だ」と語ります。そして、「ドンファンは『ロマンス病』だった。残念なことに治療法はない」「しかも困ったことに伝染性が高いのだ」と結びます。ドンファンのおかげで、ジャックも愛の貴公子になれたのでした。愛するとは、愛情の燃料タンクを満たし、愛情の羅針盤を頼りに、愛情の航路を描くことで、順風満帆な時や嵐の時を経て、人生という大海原をパートナーといっしょに進み続けることでしょう。そして、この古くて新しい「ドンファン」をより良く理解することで、私たちも「ロマンス病」に伝染して、明日から愛の貴公子を名乗ることができるのではないでしょうか?1)井村裕夫:進化医学、羊土社、20132)臨床精神医学、心の進化と精神医学、アークメディア、2011年6月号3)ジョン・M・ゴッドマン:結婚生活を成功させる七つの原則、第三文明社、20074)ゲーリー・チャップマン:愛を伝える5つの方法、いのちのことば社、2007

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自閉スペクトラム症小児のうつ病や発達障害併発と兄弟姉妹の関連

 兄や姉を持つ自閉スペクトラム症(ASD)の小児において、標準的なメンタルヘルスの社会的要因(家庭の収入、親の教育、小児期の逆境的体験など)を管理した後のうつ病、不安、行動の問題または注意欠如症(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の有病率について、米国・セント・ジョン・フィッシャー大学のGuillermo Montes氏が調査を行った。Maternal and child health journal誌オンライン版2018年2月10日号の報告。 2011~12年の米国子ども健康調査(National Survey of Children's Health)のデータを用いて、ASD小児1,624例を、一人っ子、長子、兄姉ありの3群に分類した。クロス集計の補正デザイン、単変量・多変量ロジスティック回帰を推定した。 主な結果は以下のとおり。・3群のASD小児は、年齢を除く人口統計学的特徴、小児期の逆境的体験、親によるASD重症度の報告について同程度であった。・兄姉のいるASD小児では、うつ病、不安、行動の問題を有する割合が有意に低かった。また、ADDまたはADHD診断率も低かった。・調整されたオッズ比は、0.12~0.53の範囲であり、強い関連性が示唆された。 著者らは「兄や姉のいるASD小児は、他のASD小児と比較し、メンタルヘルスの障害を併発する可能性が低かった。逆に、長子や一人っ子のASD小児は、これらのリスクが高かった。ASD小児においてこのことがどのように寄与するか理解するため、さらなる研究が必要である。また、一人っ子や長子のASD小児に対する介入に、それが適応できるかを検討することが求められる」としている。■関連記事自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較ADHD発症しやすい家庭の傾向母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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宇宙語で2年間会話し続けた夫婦【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第110回

宇宙語で2年間会話し続けた夫婦 いらすとやより使用 宇宙に関する医学論文を電子データベースで調べていたら、な…な…なんと、宇宙語に関する論文を見つけました! かれこれ20年以上前の日本語の論文ですが、テーマが結構ドラマチック! 堀端 廣直ほか.Folie a deuxを呈し“宇宙語”で交話する1夫婦例精神医学. 1995;37:297-302.この論文は、夫婦で5年間続いた二人組精神病を報告したもののようです。夫婦は、2人で鍼灸治療所を開いていたそうですが、次第に妻が宇宙からの通信を受け始め、被害妄想も生じてしまったそうです。通信の内容は「宇宙から素晴らしい人がやってくる」などの理解不能のものだったようです。それだけならまだしも、なんとその後、夫も宇宙からの通信を受け始め、同様の妄想を持ったではありませんか!2人ともこういう状況になってしまいましたから、夫婦は鍼灸業を止めて近隣から孤立していくことになります。そして、約2年後に夫は“宇宙語”と称する言葉をしゃべり始め、その半年後には妻も“宇宙語”を話し始めました。そして、2年間夫婦の会話は宇宙語で続けられたのです。うわあ…、宇宙語ってどんなんだろう。「私ハ、宇宙人ダ、ハラガヘッタ」『私ハ、宇宙人ダ、ハイドウゾ』みたいな感じかな。…あ、でもこれって日本語じゃん(笑)。本文を読んでみると、宇宙語は中国語やスペイン語に似た言葉のように聞こえたとのことです。彼らには、子供が3人いましたが、全員、宇宙語は理解できなかったそうです。果たして、宇宙語だけで2年間も意思が通じるのだろうか。そう思っていたら、どうやら夫の父親が近所の人々からの苦情に対応していたおかげで、生活ができていたそうです。しかし、通行人への暴力がきっかけで妻は措置入院になってしまいます。妻と夫を分離したことで、妄想症状は次第に軽快していきました。本当に宇宙語が成立していたのかは2人にしかわかりませんが、ドラマチックな症例報告を読ませていただきました。※読者の方から一部齟齬を指摘いただきました。修正するとともにお詫び申し上げます。

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日本人医師の飲酒量に関連する因子

 日本医師会会員の男女7,500人に飲酒習慣に関するアンケートを実施したところ、喫煙、運動、睡眠障害が、飲酒もしくは大量飲酒習慣と相関していることが示された。日本大学医学部公衆衛生学の大井田 隆教授らの研究グループが報告した。Asia-Pacific Journal of Public Health誌オンライン版2018年2月1日号に掲載。 本研究では、日本医師会会員の中から、男性医師6,000人および女性医師1,500人に自記式アンケートを送付し、年齢、診療科、喫煙状況、運動状況、職場環境、睡眠障害、メンタルヘルスと飲酒習慣との相関を調べた。 主な結果は以下のとおり。・回答率は79.4%であった。・大量飲酒の習慣がある医師は、60代男性および20~50代女性で最も多かった。・飲酒もしくは大量飲酒の傾向は、年齢が上がると減少した。・喫煙は大量飲酒と相関していた。・運動は男性の飲酒、女性の飲酒/大量飲酒と相関していた。・メンタルヘルスは飲酒習慣と相関していなかった。・睡眠障害は大量飲酒習慣と相関していた。 著者らは、これらの結果は医師の飲酒率を低下させるための対策を講ずる必要があることを示唆する、としている。

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夢遊病に関するシステマティックレビュー

 夢遊病を誘発する薬剤は、患者自身だけでなく他人に対しても傷害のリスクをもたらし、服薬アドヒアランスに対しても影響を及ぼす。オーストラリア・南オーストラリア大学のHelen M. Stallman氏らは、夢遊病リスクを高める可能性のある薬剤を特定するため、文献のシステマティックレビューを行った。Sleep medicine reviews誌2018年2月号の報告。 夢遊病(「sleepwalking」「somnambulism」)をキーワードとして、CINAHL、EMBASE、PsycINFO、PubMed、ScienceDirectより検索を行った。83件が抽出され、そのうち基準を満たした62件をレビュー対象とした。 主な結果は以下のとおり。・主に以下の4クラス(29薬剤)が、夢遊病のトリガーであると同定された。 (1)ベンゾジアゼピン受容体アゴニストおよび他のGABAモジュレーター (2)抗うつ薬および他のセロトニン作動薬 (3)抗精神病薬 (4)β遮断薬・薬剤誘発性夢遊病の最も強力なエビデンスは、ゾルピデムとsodium oxybateであった。・その他すべての関連は、症例報告に基づいていた。 著者らは「本研究は、臨床試験のリスクプロファイルにおける夢遊病の重要性を示唆しており、とくにGABAA受容体でのGABA活性およびセロトニン作動活性の増強、β遮断薬によるノルアドレナリン活性の遮断を伴う薬剤で注意が必要である。薬剤による夢遊病リスクの懸念がある場合には、患者に対し安全な睡眠環境についての教育を行い、夢遊病の発症または悪化を報告することが推奨され、発症した際の代替治療の検討を行うべきである」としている。■関連記事夢遊病にビペリデンは有望!?がん患者の悪夢に有効な治療法はベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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抗うつ薬21種の有効性と忍容性を検討~522試験のメタ解析/Lancet

 うつ病(大うつ病性障害)成人患者において、検討した21種の抗うつ薬は、すべてプラセボより有効であることが確認された。ただし、プラセボに対するオッズ比は有効性が2.13~1.37、忍容性(中止率)が0.84~1.30と幅があった。英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らが、これまでに実施された抗うつ薬21種に関する比較臨床試験計522件のシステマティックレビューとメタ解析で明らかにした。うつ病は、世界的に最も頻度が高く、疾病負荷が大きな、医療費がかかる精神障害の1つで、一般的に心理学的介入よりも抗うつ薬による治療が行われている。新規抗うつ薬の増加に伴い、個々の患者に最善の治療薬を選択するためのエビデンスが必要とされていた。著者は、「今回の結果は、エビデンスに基づいた治療を行ううえで患者と医師にとって重要なものであり、ガイドラインや医療政策の策定においてもさまざまな抗うつ薬の相対的なメリットを参照すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版、2018年2月21日号掲載の報告。抗うつ薬の無作為化二重盲検比較試験のデータを統合 研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、EMBASE、LILACS database、MEDLINE、MEDLINE In-Process、PsycINFO、規制当局のウェブサイトにて、2016年1月8日までに報告された抗うつ薬の無作為化二重盲検比較試験(非公表も含む)について検索し、うつ病成人患者(18歳以上の男女)の急性期治療として使用された第1および第2世代の抗うつ薬21種に関するプラセボまたは実薬対照比較試験を解析に組み込んだ。準ランダム化試験や、双極性障害、精神病性うつ病または治療抵抗性うつ病患者を20%以上組み込んだ試験などは除外した。 Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに従い試験のバイアスリスクを評価するとともに、GRADE frameworkを用いてエビデンスの質を評価した。主要評価項目は、有効性(奏効率)と忍容性(治療中止率:あらゆる理由で治療を中止した患者の割合)とし、ランダム効果モデルによるペアワイズおよびネットワーク・メタ解析を用い、要約オッズ比(ORs)を算出した。21種の抗うつ薬すべてがプラセボと比較すると有効 検索した論文2万8,552報から、適格試験522件(計11万6,477例)が解析に組み込まれた。有効性については、ネットワーク・メタ解析の結果、プラセボと比較すると21種の抗うつ薬すべてが有効であった。ORsはアミトリプチリンの2.13(95%確信区間[CrI]:1.89~2.41)が最も高く、reboxetineの1.37(95%CrI:1.16~1.63)が最も低かった。忍容性については、agomelatine(0.84、95%CrI:0.72~0.97)とfluoxetine(0.88、0.80~0.96)のみがプラセボより有意に中止が少なく、クロミプラミン(1.30、95%CrI:1.01~1.68)はプラセボより有意に中止が多かった。 実薬の直接比較では、agomelatine、アミトリプチリン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシン、vortioxetineは他の抗うつ薬よりも有効であったが(ORs範囲:1.19~1.96)、fluoxetine、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドンは効果が低かった(ORs範囲:0.51~0.84)。 忍容性については、agomelatine、シタロプラム、エスシタロプラム、fluoxetine、セルトラリン、vortioxetineは他の抗うつ薬よりも良好であったが(ORs範囲:0.43~0.77)、アミトリプチリン、クロミプラミン、デュロキセチン、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドン、ベンラファキシンは中止率が高かった(ORs範囲 1.30~2.32)。 522試験中、46試験(9%)はバイアスリスクが高く、エビデンスの質は「非常に低い」~「中」にわたるもので、380試験(73%)が「中」、96試験(18%)が「低」であった。

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