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医師のバーンアウト研究、ばらつき過大でメタ解析不可能/JAMA

 臨床医のバーンアウト(燃え尽き症候群)の推定有病率には、研究間に重大なばらつきが存在し、定義や評価法、試験の質には顕著な差異があることが、米国・ハーバード大学医学大学院のLisa S. Rotenstein氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年9月18日号に掲載された。バーンアウトは、自己報告による職業関連症候群であり、医師とその患者に影響を及ぼす重要な因子としての認識が高まっている。医師のバーンアウトの有病率の正確な推定値は、保健施策において重大な意味を持つが、総合的な有病率は知られていないという。定量的なデータの統合は不適切、研究を記述的に要約 研究グループは、バーンアウトの評価に使用される方法の特性を明らかにし、医師のバーンアウトの推定有病率を知るために、系統的レビューを行った(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 医学データベースを検索して、2018年6月1日までに出版された医師(研修中の医師は除く)のバーンアウトに関する論文を選出した。3人の研究者が独立に、バーンアウトの有病率および研究の特性に関するデータを抽出した。 メタ解析のために研究データを統合する計画であったが、統計学的な異質性だけでなく、研究デザインやバーンアウトの確定の方法にもばらつきが認められ、定量的なデータの統合は不適切と考えられた。 そこで、研究を記述的に要約し、定性的な評価を行った。主要アウトカムは、質問票で評価したバーンアウトの点有病率または期間有病率とした。コンセンサスに基づく定義と、評価ツールの標準化が重要 バーンアウトの有病率のデータは、1991~2018年に45ヵ国で出版された182件(日本の3件の研究を含む)の研究(参加者10万9,628例)から抽出された。全研究の85.7%(156/182件)が、バーンアウトの評価にMaslach Burnout Inventory(MBI)を用いていた。 バーンアウト全体の推定有病率を報告した研究の割合は67.0%(122/182件)であり、バーンアウトの3つの下位尺度のうち、情緒的消耗感の推定有病率を報告した研究は72.0%(131/182件)、脱人格化は68.1%(124/182件)、個人的達成感の低下は63.2%(115/182件)と、一定していなかった。 また、バーンアウト全体およびその下位尺度の判定基準を満たすために、少なくとも142の独自の定義が使用されており、バーンアウトの構成要素に関して、文献上の重大な不一致が示された。さらに、研究によって、所定のカットオフ値などに基づくバーンアウトの定義も一定しておらず、著しく異なるカットオフの定義が使用されていた。 MBIに基づく評価法を用いた研究のうち、バーンアウト全体の有病率の定義は少なくとも47種が存在し、情緒的消耗感の定義は29種、脱人格化は26種、個人的達成感の低下も26種に及んでいた。 バーンアウト全体の有病率には、研究によって0~80.5%の幅があり、情緒的消耗感の有病率は0~86.2%、脱人格化は0~89.9%、個人的達成感の低下は0~87.1%の幅が認められた。 このように、研究全体におけるバーンアウトの定義および評価法の不一致により、バーンアウトと性別、年齢、地域、うつ症状などとの関連を、明確にすることはできなかった。 著者は、「これらの知見は、バーンアウトの有病率に関する明確な結論の提示を不可能にするものである」とし、「コンセンサスに基づくバーンアウトの定義の開発、および職業上の慢性的なストレスが医師に及ぼす影響を評価する測定ツールの標準化の重要性が浮き彫りとなった」と指摘している。

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出産、流産とアルツハイマー病リスク

 女性における出産および流産(incomplete pregnancy)が、高齢期の認知機能やアルツハイマー病(AD)リスクに影響を及ぼすかを、韓国・ソウル大学のHyesue Jang氏らが検討を行った。Neurology誌2018年8月14日号の報告。 対象は、2つの集団ベースのコホート研究のデータを統合した3,549例の女性。出産・流産と軽度認知障害、ADリスクとの関連は、ロジスティック回帰分析を用いて、レトロスペクティブに検討を行った。非認知症女性については、共分散分析を行い、出産・流産とミニメンタルステート検査(MMSE)スコアとの比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・出産経験5回以上(多産)の女性は、1~4回の女性と比較し、ADリスクが約1.7倍高かった(オッズ比[OR]:1.68、95%信頼区間[CI]:1.04~2.72)。・流産を経験した女性は、未経験の女性と比較し、ADリスクが半分であった(1回の流産[OR:0.43、95%CI:0.24~0.76]、2回以上の流産[OR:0.56、95%CI:0.34~0.92])。・非認知症女性において、多産女性は、出産経験1~4回の女性と比較し、MMSEスコアが不良であった(p<0.001)。・また、流産を経験した女性では、未経験の女性と比較し、MMSEスコアが良好であった(p=0.008)。 著者らは「高齢期のADリスクは、出産経験5回以上の女性で高く、流産を経験した女性で低いことが示唆された」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビュー産後うつ病になりやすい女性の特徴:高知大父親の産後うつ病、日本での有病率は

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統合失調症の重症度や認知機能に対する抗精神病薬のドパミン受容体占有率の影響

 病識の障害(impaired illness awareness:IIA)とドパミンD2受容体(D2R)占有率との関係は、よくわかっていない。IIAは、疾患重症度や認知機能障害と関連が認められる。統合失調症の主な治療に用いられる抗精神病薬は、IIAを間接的に改善するが、同時に治療用量において、認知機能障害を引き起こす可能性がある。カナダ・トロント大学のMiracle Ozzoude氏らは、抗精神病薬による推定D2R占有率が、IIAと疾患重症度および認知機能との関係に及ぼす影響について調査を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2018年8月30日号の報告。 CATIEデータを用いて、18~62歳の統合失調症患者373例を対象に、IIAの評価を行った。IIAは、PANSSのG12項目(判断力と病識の欠如)を用いて測定した。D2R占有レベルは、リスペリドン、オランザピン、ziprasidoneの血中濃度から推定した。IIAと疾患重症度、認知機能、推定D2R占有率との関係についての分析には、相関分析、回帰分析、経路分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・疾患重症度は、IIAの予測因子であった。・しかし、病前IQ、認知機能、推定D2R占有率は、IIAを予測しなかった。・推定D2R占有率は、回帰分析、経路分析のいずれにおいても、中間変数および調整変数ではなかった。 著者らは「これまでの研究結果と同様に、成人統合失調症患者の疾患重症度は、IIAと関連していることが示唆された。今後の研究において、認知機能、IIA、抗精神病薬の感受性に対する加齢の影響を考慮すると、60歳以上の高齢統合失調症患者におけるD2R占有率が、IIAと疾患重症度および認知機能障害に影響を及ぼすかを検討すべきである」としている。■関連記事ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

3564.

日本人研修医のうつ病とストレス対処能力の関係

 研修医にとって、うつ病は重大な問題となりうる。うつ病の早期発見と適切なケアを提供することは、臨床研修中の健康状態を維持するために必要である。筑波大学附属病院 総合診療グループの伊藤 慎氏らは、ストレス対処能力の指標であるSense of Coherence(SOC:首尾一貫感覚)が、臨床研修開始2年後のうつ病を予測する因子であるかを調査するため、全国縦断研究を実施した。Journal of Clinical Medicine Research誌2018年9月号の報告。 臨床研修開始直前に、臨床研修病院251件の研修医に自己報告アンケートを配布した。アンケートには、うつ病スクリーニングツールであるCES-D(うつ病自己評価尺度)、SOC、人口統計的要因が含まれた。事前調査の回答者に対し、2年後にアンケートを配布した。フォローアップ調査には、CES-Dおよび労働状態に関する質問が含まれた。SOCスコアに基づき回答者を3群(低、中、高)に分類し、フォローアップ調査にて各SOC群とうつ症状との関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・事前調査に対し、2,935人中1,738人(59.2%)が回答を行った。・このうち、1,169人(67.3%)がフォローアップ調査に回答した。・事前調査において、うつ症状が陽性となった169人は除外された。・フォローアップ調査では、新規うつ病発症者数は187人(19.5%)であった。各群における割合は、低SOC群33.3%、中SOC群18.2%、高SOC群11.4%であった(p<0.01)。・高SOC群と比較し、低SOC群におけるうつ症状の新規発症のオッズ比は、2.04(95%CI:1.02~4.05)であった(人口統計的要因、ベースライン時のCES-Dスコア、平均就労時間で調整後)。 著者らは「臨床研修2年後における研修医のうつ症状は、SOCスコアと有意な関連が認められた。低SOC群は、高SOC群と比較し、将来のうつ症状リスクが2倍高かった。SOCスケールは、将来のうつ病を予測するうえで有用であり、研修医に対する適切な支援提供を可能とする」としている。■関連記事職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学重度のストレスやうつ病からの復職に効果的なリハビリは

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日本人高齢者のライフスタイル活動と認知症リスク

 高齢化や慢性疾患状態の増加に伴い、認知症の有病率は上昇している。国立長寿医療研究センターの島田 裕之氏らは、日本の地域在住の高齢者における、日常生活や社会的役割を含むライフスタイル活動と認知症発症との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2018年8月21日号の報告。 65歳以上の高齢者4,564例を対象に、年齢、性別で層別化し、縦断的研究を行った。ライフスタイル活動、認知症のリスク因子、認知症の新規発症を調査した。 主な結果は以下のとおり。・平均42.6ヵ月後、認知症の新規発症は219例(4.8%)であった。・Cox比例ハザード回帰モデルを用いた生存分析において、認知症発症率が有意に低かった因子は以下のとおりであった。 ●日常的な会話(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.35~0.89、p=0.015) ●自動車運転(HR:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007) ●ショッピング(HR:0.57、95%CI:0.34~0.96、p=0.033) ●フィールドワークまたはガーデニング(HR:0.71、95%CI:0.54~0.94、p=0.016) 著者らは「高齢者における特定のライフスタイル活動は、認知症を予防するうえで、重要な役割を果たすと考えられる。また、認知症の予防のための活動は、年齢や性別により異なる可能性がある」としている。■関連記事認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要か魚を食べると認知症は予防できるのか脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減

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社員のうつ病と自殺傾向に対する保護因子としての性格

 これまでの職場におけるメンタルヘルスに関する研究では、仕事に関連する環境リスク要因に焦点が当てられており、従業員の保護や個性に関する要因については、考えられていなかった。韓国・中央大学校のHye Ri Kim氏らは、韓国人従業員の抑うつ症状や自殺念慮の保護因子となる性格的長所を特定するため、検討を行った。BMC Public Health誌2018年8月31日号の報告。 男性84例および女性151例の従業員(19~50歳)を対象に、社会人口学的特性(抑うつ症状、自殺率、性格的長所)を収集した。抑うつ症状の測定にはベック抑うつ質問票(BDI-II)、自殺率は精神疾患簡易構造化面接法韓国語版(MINI)、性格的長所は24 Character Strength Alphas VIA Survey-72を用いた。抑うつ症状と自殺念慮をカテゴリカルな結果変数として、階層的ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・女性における、抑うつ症状の統計学的に有意な性格的長所の予測因子は以下であった。 ●好奇心(B=1.107、Wald=10.207、オッズ比:3.026、p=0.001) ●愛(B=0.862、Wald=5.767、オッズ比:2.367、p=0.016)・女性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●判断(B=-1.405、Wald=5.663、オッズ比:0.245、p=0.017) ●優しさ(B=-1.456、Wald=6.486、オッズ比:0.233、p=0.011)・男性における、抑うつ症状の性格的長所の予測因子は以下であった。 ●愛(B=1.746、Wald=4.279、オッズ比:5.729、p=0.039)・男性の抑うつ症状に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●チームワーク(B=-2.204、Wald=4.666、オッズ比:0.110、p=0.031)・男性の自殺念慮に対する性格的長所の保護因子は以下であった。 ●創造性(B=-1.384、Wald=4.202、オッズ比:0.251、p=0.040) 著者らは「職場におけるうつ病や自殺念慮の予防には、女性では判断や優しさ、男性ではチームワークや創造性に焦点を当て、これらの強みを生かした活動に従事することが重要である。今後の研究では、職場における従業員の性格的長所を促進するための介入の開発に焦点を当てるべきである」としている。■関連記事うつ病になりやすい性格職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大

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不眠症におけるデュアルオレキシン受容体拮抗薬とその潜在的な役割に関するアップデート

 現在の不眠症に対する薬物治療は、すべての不眠症患者のニーズを十分に満たしているわけではない。承認されている治療は、入眠および睡眠維持の改善において一貫して効果的とはいえず、安全性プロファイルも複雑である。これらのことからも、追加の薬物療法や治療戦略が求められている。初期研究において、一部の不眠症患者に対して、デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)が追加の薬物治療選択肢として有用であると示されている。米国・セント・トーマス大学のKayla Janto氏らは、DORAとその潜在的な役割について、既存の文献を調査しアップデートを行った。Journal of Clinical Sleep Medicine誌2018年8月15日号の報告。 DORAに関する既存の文献は、PubMedデータベースより、「オレキシン受容体拮抗薬」「almorexant」「filorexant」「lemborexant」「スボレキサント」の検索キーワードを用いて検索を行った。検索対象は、英語の主要な研究論文、臨床試験、レビューに限定した。 主な結果は以下のとおり。・不眠症治療においてオレキシン受容体系を標的とすることは、より一般的に用いられるGABA作動性催眠鎮静薬治療に対する追加および代替的な薬物治療である。・現在の文献において、その有効性が示唆されているものの、まだ十分に確立されていない。・前臨床報告では、アルツハイマー病と不眠症を合併した患者に対する治療の可能性が示唆されている。 著者らは「DORAは、不眠症に対する追加の治療選択肢として使用可能である。いくつかの不眠症サブタイプにおいて、その安全性および有効性をきちんと評価するために、より多くの臨床試験が必要とされる。不眠症に対する既存治療とのhead-to-head比較研究が求められている」としている。■関連記事日本人高齢不眠症患者に対するスボレキサントの費用対効果分析不眠症へのスボレキサント切り替えと追加併用を比較したレトロスペクティブ研究不眠症患者におけるスボレキサントの覚醒状態軽減効果に関する分析

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日本の地方救急診療における認知症者の臨床的特徴

 岡山大学の田所 功氏らは、救急診療における認知症者の臨床的特徴を明らかにするため、検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2018年8月21日号の報告。 岡山県・倉敷平成病院の救急診療を受診した認知症者をレトロスペクティブに検討を行った。2014~17年の3年間に救急診療を受診した患者1万6,764例のうち、認知症者2,574例(15.4%)に焦点を当てた。 主な結果は以下のとおり。・認知症者の平均年齢は、84.9±0.1歳であり、これは全救急診療受診患者の平均年齢58.1±0.2歳よりも非常に高かった。・認知症者の入院率は54.9%であり、非認知症者の2倍以上(23.3%、p<0.01)高く、75歳以上の非認知症者(44.3%)よりも高かった。・救急診療受診および入院の最も主要な原因は、感染症(42.4%)、転倒(20.9%)であった。・認知症者の入院期間は、脳卒中、転倒、感染症、てんかん、湿疹、意識喪失、その他の原因または脱水によって延長された。・延長日数は脳卒中(64.0±5.3日)および転倒(51.9±2.1日)が、感染症、てんかん、湿疹、意識喪失、その他の原因(各々のp<0.001)または脱水(p≦0.005)よりも長かった。 著者らは「認知症者は、救急診療を受診することが多く、非認知症者よりも、高年齢、高入院率であり、とくに脳卒中および転倒により入院期間が長くなる」としている。■関連記事年間37%の認知症高齢者が転倒を経験!:浜松医大精神疾患患者、救急受診の現状は急性期病院での認知症看護、その課題は:愛媛大

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ストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性

 スペインの青少年527例を対象に、ストレスやうつ病の認知に基づき、朝食の摂取および質と、健康関連QOL(HRQOL)との関連について、スペイン・アリカンテ大学のRosario Ferrer-Cascales氏らが調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2018年8月19日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・HRQOLでは、気分、感情、両親との関係、家庭生活について、朝食摂取の有無により差が認められた。・朝食摂取者において、HRQOLが低かった。・ストレスも同様に差が認められ、朝食摂取者において、ストレスのレベルが高かった。・朝食摂取者の朝食の質を分析したところ、良質な朝食摂取は、低質または超低質の朝食摂取と比較し、より良いHRQOLが示唆され、ストレスとうつ病のレベルも低かった。・非朝食摂取者では、朝食が低質または超低質の朝食摂取者と比較し、より良いHRQOLおよび、ストレスとうつ病が低いレベルを示した。 著者らは「本知見は、朝食摂取の有無よりも、良質な朝食を摂取することの重要性を示唆している。このことは、臨床医や栄養士にとってとくに重要であり、青少年におけるHRQOL、ストレス、うつ病に対して、朝食の質が有意に影響を及ぼすことを考慮する必要がある」としている。■関連記事魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当かうつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

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うつ病、治療抵抗性うつ病、自殺行動に対するブプレノルフィンの有効性に関するシステマティックレビュー

 うつ病治療において、いくつかの薬理学的な選択肢が実施可能であるが、抗うつ薬治療を実施した患者の3分の1では、十分な治療反応が得られず、完全寛解には達していない。そのため、抗うつ薬による薬物治療で治療反応が得られなかった、または治療反応が不十分だった患者に対処するための、新たな戦略が必要とされている。イタリア・ジェノバ大学のGianluca Serafini氏らの研究結果によると、オピオイド系が気分やインセンティブの調整に有意に関与しており、新規治療薬としての適切なターゲットとなりうることが明らかとなった。International Journal of Molecular Sciences誌2018年8月15日号の報告。 本研究では、うつ病、治療抵抗性うつ病、非自殺的な自傷行為、自殺行動に対するブプレノルフィンの使用に関する文献についてシステマティックレビューを行った。ブプレノルフィンとうつ病または治療抵抗性うつ病、自殺、難治性うつ病のキーワードを使用し、PubMedおよびScopusのデータベースより検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・低用量のブプレノルフィンは、抑うつ症状、重度な自殺念慮、非自殺自傷を軽減するために有効かつ忍容性が高く、安全な選択肢であることが、いくつかのエビデンスにより示された。これは、治療抵抗性うつ病患者においても認められた。・しかし、ブプレノルフィンの長期的な効果や、ブプレノルフィンと特定の薬剤(たとえば、samidorphan、ナロキソン、naltrexone)との併用、ブプレノルフィンの単独療法または標準的な抗うつ薬治療への補助療法による相対的な有効性の評価、ならびに最適な投与間隔についての均一なガイダンスを得るためには、より多くの研究が必要である。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

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治療抵抗性統合失調症患者の陰性症状に対するエスシタロプラム増強療法の無作為化比較試験

 統合失調症では、血清インターロイキン(IL)-6レベルが陰性症状の重症度と関連するといわれている。中国・Shandong Mental Health CenterのNing Ding氏らは、治療抵抗性統合失調症患者におけるSSRI増強療法の潜在的な免疫メカニズムを調査し、IL-6およびC反応性蛋白(CRP)量を評価した。Neuroscience Letters誌2018年8月10日号の報告。 2016~17年に同センターで治療された統合失調症患者62例を対象に、エスシタロプラム増強の8週間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。対照群として、健康な参加者29例を含んだ。主要アウトカムは、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・8週間の治療後、PANSS総スコア、陰性症状サブスコア、情動性サブスコアにおいて、エスシタロプラム群は対照群と比較し、より良い改善が認められた(いずれも、p<0.05)。・エスシタロプラム群では、CRPおよびIL-6レベルの有意な低下が認められた(いずれも、p<0.05)。・陰性症状、認知症状に対するIL-6の影響は、ベースライン時でそれぞれ16.2%、20.1%。8週目では22.7%、20.8%であった。・CRP量はPANSSスコアに影響を及ぼさなかった。 著者らは「全体として、持続的な陰性症状を有する統合失調症患者に対するエスシタロプラム増強療法は、有用な選択肢であると考えられる。IL-6量は、陰性症状および認知症状に関連する可能性がある」としている。■関連記事陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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地方病院の認知症やせん妄患者に対するボランティア介入が再入院率に及ぼす影響

 地方の急性期病院における、認知症、せん妄、せん妄リスクを有する患者に対するパーソン・センタード(person-centered)のボランティアプログラムが臨床アウトカムに及ぼす影響について、オーストラリア・Southern NSW Local Health DistrictのAnnaliese Blair氏らが検討を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2018年8月13日号の報告。 本研究は、非無作為化比較試験として実施された。対象は、オーストラリアの農村部にある急性期病院7施設に入院している高齢患者。介入群270例は、65歳超の認知症またはせん妄の診断を受けた、もしくはせん妄のリスク因子を有する患者で、ボランティアサービスを受けていた。対照群188例は、ボランティアプログラム開始12ヵ月前に同じ病院に入院し、時期が違えばボランティアプログラムの適格基準を満たしていただけであろう患者。ボランティアプログラム介入では、訓練を受けたボランティアスタッフによる、栄養・水分補給、聴覚・視覚補助、活動、オリエンテーションに焦点を当てた1:1のパーソン・センタード・ケアを提供した。ボランティアの訪問、診断、入院日数、インシデント行動、再入院、指定率、死亡、介護施設への入所、転倒、褥瘡、薬剤使用について、医療記録より評価した。 主な結果は以下のとおり。・全施設において、介入群では、1:1指定率、28日再入院率に有意な低下が認められた。・入院日数は、対照群において有意に短かった。・介入群と対照群において、その他のアウトカムに差は認められなかった。 著者らは「ボランティア介入は、地方の病院における認知症、せん妄、せん妄のリスク因子を有する急性期の高齢患者をサポートするうえで、安全かつ効果的で、再現可能な介入である。今後は、コストへの影響、家族の介護者、ボランティア、スタッフ経験に関しても報告を行う予定である」としている。■関連記事日本の認知症者、在院期間短縮のために必要なのは認知症患者と介護者のコミュニケーションスキル向上のために米国の長期介護における向精神薬を使用した認知症ケア改善に関する研究

3573.

認知症は1種類だけではないはず(解説:野間重孝氏)-912

 認知症とは「後天的要因(脳疾患、全身疾患、その他の外因)が原因で社会生活や職業の遂行が困難なレベルにまで多領域の認知機能が障害された状態」と定義され、わが国では65歳以上の15%、85歳以上では4割を超えると報告されている。 少し回りくどいようだが、この論文を検討するに当たって重要なことなので、認知症に関する基本的な知識を整理してみよう。まず認知症は変性性認知症と血管性認知症に2大別される。前者の代表がアルツハイマー病であり、その他レビー小体認知症、前頭側頭型認知症(ピック病を含む)が含まれる。前者が人格変化を伴うのに対して、血管性のものでは人格は保たれる例が多い。進行は前者が緩徐ながら常に進行していくのに対し、後者では段階的に進行することが特徴とされる。 ここで重要なことが2点ある。まず認知症のかなりの部分を占める変性性認知症(アルツハイマーだけで認知症の約半分を占める)では原因が特定できないことで、高血圧・糖尿病・心疾患などとの明らかな相関が認められているのは血管性のものだけだということ。第2点はマスコミがアルツハイマー病による若年性認知症などを取り上げて話題にすることが多いため、変性性認知症は年齢と関係がないと思っている向きも多いが、高齢者に多い、つまり年齢との相関があることははっきりしている。一方、逆に血管性というと高齢者の病気とばかり考えられがちだが、若年型も相当数いるという事実である。血管性認知症が全認知症に占める割合は20%~30%とされており、予防・治療には血圧の管理が最も重要であることはすでにわかっている事実である。 このような点を踏まえてこの論文を読み返してみると、奇妙な点に気付くはずである。認知症の型分類がなされていないのである。米国心臓協会の提示するライフ シンプル7が健康寿命を延長するということには誰も異論がないとして、ではどの型の認知症をどの程度予防するのか。こうした健康基準がアルツハイマー病やピック病の予防にも適応されるというのだろうか。 評者はフランスにおける認知症事情については決して詳しくはないが、同国では本年(2018年)8月にアルツハイマー病に対する薬物療法の有効性が問題となり、かなり広い範囲の認知症治療薬が保険適用外になることが議論を呼んでいることは承知している。つまり認知症の型分類は当然重要問題として認識されているものと考えられる。「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」といった健康増進のための標語のような結論が、なぜこのような有力雑誌で受け入れられたのか、評者には謎に思われてならない。

3574.

強迫症の最適治療に関する研究

 強迫症(OCD)の治療では、認知行動療法(CBT)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物療法が行われる。単独療法よりも併用療法が優れている可能性があるものの、これを調査した研究はほとんどなかった。英国・Hertfordshire Partnership University NHS Foundation TrustのNaomi A. Fineberg氏らは、成人OCD患者を対象に、CBT、SSRI治療の単独または併用療法の治療効果について、比較検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2018年8月15日号の報告。 成人OCD患者49例を、CBT群、SSRI群、SSRI+CBT群にランダムに割り付けた。SSRI治療では、セルトラリン(50~200mg/日)が52週間投与された。16時間のマニュアル化されたCBTを8週間、4つのフォローアップセッションと共に実施した。治療の割り付けは、評価者には盲検化された。予備的な健康経済評価を実施した。 主な結果は以下のとおり。・症例分析では、16週目において、SSRI+CBT群(13例)で最も大きな改善効果が認められた。次いで、SSRI群(7例)、CBT群(9例)であった。・Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)での改善を比較したエフェクトサイズ(Cohen's d)は、CBT群とSSRI+CBT群との比較で-0.39、CBT群とSSRI群との比較で-0.27であった。・16週目と52週目を比較すると、SSRI群で最も臨床的改善効果が認められたが、中止率が高く、信頼できる分析には至らなかった。・平均費用は、SSRI群と比較し、CBT群およびSSRI+CBT群で高かった。・SSRI群の平均質調整生存年(Quality Adjusted Life Years:QALY)スコアは、CBT群よりも0.1823(95%CI:0.0447~0.3199)高く、SSRI+CBT群よりも0.1135(95%CI:-0.0290~0.2560)高かった。 著者らは「成人OCD患者へのSSRI治療とCBTの併用療法は、とくにCBT単独療法に対して、最も臨床的に有効な治療選択肢であったが、SSRI単独療法を超える利点は16週以上持続しなかった。また、SSRI単独療法が、最も費用対効果に優れていた」としている。■関連記事治療抵抗性強迫症に対する増強療法、抗精神病薬の評価は難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何かSSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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治療抵抗性うつ病と自殺率

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の30%では、生涯にわたり1回以上の自殺企図が認められる。しかし、治療開始後のTRD患者における、自殺企図および自殺完遂の発生率、特定の治療による自殺企図の増減については、不明であった。オランダ・アムステルダム大学のIsidoor O. Bergfeld氏らは、TRD患者における自殺率について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2018年8月1日号の報告。 うつ病患者を対象とした研究のうち、2剤以上の抗うつ薬治療に奏効せず、治療開始後3ヵ月以上フォローアップしたものをPubMedより検索した。自殺企図と自殺完遂の発生率は、ポアソンメタ解析を用いて推定した。比較対照が不足していることから、治療法による自殺企図や自殺完遂の発生率の違いを推定するため、メタ回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32のTRDサンプルにおける自殺率を調査した30件の研究が抽出された。・内訳は、脳深部刺激療法(DBS:9件)、迷走神経刺激療法(VNS:9件)、電気けいれん療法(ECT:5件)、通常治療(3件)、内包前脚切裁術(2件)、認知行動療法(2件)、ケタミン療法(1件)、硬膜外皮質刺激療法(1件)であった。・全体発生率は、自殺完遂で100患者年当たり0.47(95%CI:0.22~1.00)、自殺企図で100患者年当たり4.66(95%CI:3.53~6.23)であった。・DBS、VNS、ECT後の発生率に差は認められなかった。・なお、多くの研究で、自殺率の記録は不十分であり、利用可能な研究数が制限された。 著者らは「自殺完遂および自殺企図の発生率は高いが、3つの治療法(DBS、VNS、ECT)で差はなかった。TRD患者の自殺リスクが高いことを考慮すると、臨床試験においては、自殺率を明確なアウトカム指標とみなすべきである」としている。■関連記事うつ病および自殺に関連する遺伝学的治療標的大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのは治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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なぜ美容整形手術を受けるのか、初の前向き観察研究

 美容整形手術の人気が高まっているにもかかわらず、手術を受ける患者の動機付けとなっている社会文化的な要因やQOLに関わる因子はあまり解明されていない。米国・ノースウェスタン大学のAmanda Maisel氏らは、患者がなぜ侵襲の少ない美容整形手術を受けるのかを包括的に評価する、初となる検討を行った。その結果、一般的な理由は、外見を良くしたいという願望に加えて、感情的、心理的、そして実用的な動機であることが明らかになったという。著者は、「患者の年齢や求める手術における相対的差異については、さらなる調査が必要だろう」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。 研究グループは、侵襲の少ない美容整形手術を受ける患者の動機となる因子の相対的な重要度を評価する目的で、米国すべての地域を代表する大学2施設および皮膚科の診療所11施設にて多施設共同前向き観察研究を行った。2016年12月4日~2017年8月9日の期間に、美容整形に関する診察または治療のために受診した成人患者を対象とし、最近開発された主観的動機付けの枠組みと人口統計学的質問調査票の回答に基づいて調査ツールを完成させた。 主要評価項目は、QOLの各カテゴリーにおいて自己報告された最も一般的な動機であった。副次評価項目は、多く報告されたその他の動機、および特定の手術に関連した動機であった。 主な結果は以下のとおり。・適格患者529例中、511例が研究への参加に同意し登録、調査を完了した。・511例の患者背景は、女性が440例(86.1%)、45歳以上が286例(56.0%)、白人386例(75.5%)、大卒469例(91.8%)、美容整形手術歴2回以上270例(52.8%)であった。・審美的外見(美しい皮膚と若く魅力的な外見に対する願望など)に関連する動機を除くと、身体的健康(健康状態または症状悪化の予防)は475例中253例(53.3%)、心理社会的well-being(幸せを感じたい、自信を持ちたい、QOLを全般的に改善したいなど)は467例中314例(67.2%)、自分へのご褒美またはお祝いは463例中284例(61.3%)、職業上の見栄えは476例中261例(54.8%)が一般的な動機として報告された。・費用や利便性に関連した動機は、低い位置付けだった(483例中68例[14.1%])。・大部分の動機は、内面に生じ、他人ではなく患者自身が満足することを目的としたもので、患者自身が美容整形手術を受けることを決めていた。そのため、配偶者の影響はほとんどなかった。・45歳未満の患者は、老化予防の目的で手術を受けることが有意に多かった(45歳未満:212例中54例[25.5%]vs.45歳以上:286例中42例[14.7%]、p<0.001)。・特定の手術(体形補正、ざ瘡瘢痕治療、入れ墨除去など)を希望する患者は、心理的・感情的な動機が多い傾向が見られた(それぞれ、22例中19例[86.4%]、42例中36例[85.7%]、11例中8例[72.7%])。

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第2世代抗精神病薬と短期的死亡率に関するメタ解析

 重篤な精神疾患患者における寿命の短縮には、抗精神病薬の急速かつ生命に影響を及ぼす副作用が関与している可能性がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らは、この仮説を検証するため、抗精神病薬のプラセボ対照試験における死亡発生のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。The Lancet Psychiatry誌2018年8月号の報告。 本システマティックレビューおよびメタ解析は、各診断カテゴリにわたる第2世代抗精神病薬とプラセボを比較した、ランダム化比較試験を対象とした。2017年1月21日までのデータをMEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL、BIOSIS、PsycINFO、PubMed、ClinicalTrials.gov、WHO ICTRPより検索し、さらに適格試験を抽出するため、製薬企業および規制当局に連絡を取った。すべての原因による死亡率(主要アウトカム)、自然原因による死亡率、自殺率、非自然原因による死亡率について調査を行った。共通効果メタ解析において、オッズ比(OR)を用いて結果を検討した。サブグループおよびメタ回帰分析において、年齢、診断カテゴリ、性別、研究期間、使用された抗精神病薬、投与量、多剤併用の影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・1978~2017年に発表された596件のランダム化比較試験より、10万8,747例を抽出した。・入手可能な死亡率データを有する352件の研究(8万4,988例)を、メタ解析データの主なデータセットとした。・死亡報告数は、抗精神病薬使用群5万3,804例中207例(0.4%)、プラセボ群3万1,184例中99例(0.3%)であった。・352件中300件(85%)の研究は、13週(3ヵ月)以下の研究期間であった(中央値:6週間、IQR:4~10)。・抗精神病薬使用群とプラセボ群との間に、死亡率の差は認められなかった。 ●すべての原因による死亡率 OR:1.19、95%CI:0.93~1.53 ●自然原因による死亡率 OR:1.29、95%CI:0.85~1.94 ●自殺率 OR:1.15、95%CI:0.47~2.81 ●非自然原因による死亡率 OR:1.55、95%CI:0.66~3.63・ほとんどのサブグループおよびメタ回帰分析において、重要な影響調整因子は認められなかったが、例外として以下の場合に死亡率の増加が確認された。 ●認知症者 OR:1.56、95%CI:1.10~2.21 ●高齢者 OR:1.38、95%CI:1.01~1.89 ●アリピプラゾール使用 OR:2.20、95%CI:1.00~4.86 ●女性の割合が高い研究 回帰係数:0.025、95%CI:0.010~0.040・しかし、高齢者、アリピプラゾール使用、女性の割合が高い研究における影響は、主に認知症者に対する試験が含まれていた。・統合失調症患者では、死亡リスク増加は認められなかった(OR:0.69、95%CI:0.35~1.35)。 著者らは「全体として、統合失調症に対する抗精神病薬の使用が死亡率を増加させるとするエビデンスは、ランダム化試験より認められなかった。しかし、とくに認知症などの集団においては、死亡リスクが高い可能性が示唆された。本研究では、死亡率に対する抗精神病薬の長期的な影響ではなく、急性期治療による短期的な影響についてのみ検証可能であった」としている。■関連記事アルツハイマー型認知症、抗精神病薬で死亡率上昇認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加統合失調症患者における抗精神病薬使用と死亡率

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睡眠改革で睡眠上手な日本へ

 9月3日の「睡眠の日」にちなみ、目覚め方改革プロジェクト主催のメディアセミナーが、2018年8月29日に都内で開催された。 今まで、わが国でも語られることが少なかった「睡眠」にスポットを当てた目覚め方改革プロジェクトは、「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」を目的に設立され、医師をはじめとする有識者で構成されている。今後はウェブサイト「目覚め方改革プロジェクト」を通じて睡眠や体内リズムに関連するさまざまな情報を発信していく。先進国で一番睡眠時間が短い日本 はじめにプロジェクトリーダーの内村 直尚氏(久留米大学 医学部 神経精神医学講座 教授)が、「『目覚め方改革プロジェクト』設立について」をテーマに、日本人の睡眠の現状と本プロジェクト設立の意義について説明した。 平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)と現状を報告した。 「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。そして、この睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係しているとして、このプロジェクトを立ち上げた」と内村氏は経緯を述べ、「今後、このプロジェクトのウェブサイトから、『目覚めと体内リズムの重要性』に関する情報発信をしていく」と抱負を述べた。睡眠関連で約15兆円の経済損失 次に「睡眠の基本、睡眠の乱れによる健康問題と生活への影響」をテーマに、岡島 義氏(東京家政大学 人文学部 心理カウンセリング学科 准教授)が、睡眠のメカニズムと睡眠不足、不眠がもたらす弊害を説明した。 睡眠には、疲労回復、エネルギー保存、身体の成長、免疫機能増加などの役割があるが、睡眠不足や不眠になると倦怠感や頭重感、交通・産業事故の誘因、仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、認知症発症の誘因を起こすとされている。米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。 とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05~0.10%はビール1~2本、日本酒1~2合に相当)。 最後に岡島氏は「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」と述べ、説明を終えた。夜のブルーライトは体内リズムに影響 次に「体内リズムの重要性~睡眠負債とソーシャルジェットラグ~」をテーマに、駒田 陽子氏(明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授)が、睡眠と体内リズムの重要性について説明を行った。 体内時計は、さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、体内リズムを作り出している。そのため睡眠においても、「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。また、体内リズムと光の関係につき、朝の強い光はリズムを進行させ、夜の光はリズムを遅らせるとともに、夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。 続いて最近問題となっている「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」に触れた。ソーシャルジェットラグとは、蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、休日に寝だめなどを行った結果、体内リズムが乱れ、起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、「起床時間を休日でも変えない」「6~8時間の睡眠時間の確保」「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など体内リズムを整えることが重要だと説明する。 最後に駒田氏は「昼間、生き生きと過ごすために、朝、すっきりと目覚めることが大事」と語り、説明を終えた。 体内リズムを整えるアスパラプロリン 次に協力企業から只野 健太郎氏(大塚製薬株式会社) が、「『目覚め方改革プロジェクト』協力にあたって」をテーマに、今回のプロジェクトへの期待を語った。 一般的に食事や運動に気を付ける人が多い中で、睡眠に気を配る人は少なく、睡眠に起因する健康被害も多数ある。「今後協力企業として、たとえば体内リズムを整えるアスパラプロリンなどの食品素材の開発・提供を通じて良い睡眠をサポートしていきたい。こうした食品を使うことで、覚醒と睡眠の良循環を作っていきたい」と述べ、講演を終えた。■文献1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237. ■参考目覚め方改革プロジェクト■関連記事CareNet.com特集「睡眠障害」診療よろず相談TV 第33回「不眠症」 回答者:日本大学医学部精神医学系 内山 真氏

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“酒は百薬の長されど万病の元”という故事は飲酒の健康への利害を端的に語っており、認知症も例外にあらず!(解説:島田俊夫氏)-908

 高齢者の認知症が大きな社会問題としてクローズアップされている。2018年8月1日にBMJ誌に掲載されたフランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らの「Whitehall IIコホート研究」の結果は、飲酒と認知症の関連を取り上げた時宜にかなう論文で興味深く、この小稿で取り上げた。これまで過度な飲酒が身体に悪影響を及ぼすことは広く周知されている。一般的に適量の飲酒は認知症に関して低リスク1)と考えられてきたが、詳細については不明な点も多い。研究要約 本研究は英国ロンドン市の公務員を対象とした前向きコホート研究で、1985~88年の期間に35~55歳の1万308人(男/女:6,895/3,413人)を登録し、4~5年ごとに追跡調査が行われた。飲酒と認知症の関連性を評価し、心血管代謝疾患(脳卒中、冠動脈疾患、心房細動、心不全、糖尿病)を考慮の下で検討が行われた。 飲酒量は、1985~88年、1989~90年、1991~93年(中年期)の3回の調査平均値を用い、非飲酒、1~14単位/週(適度飲酒)、14単位超/週(過度飲酒)に分類した。中年期の飲酒量を調査した時点でのコホートの平均年齢は50.3歳であった。 さらに、1985~88年から2002~04年にわたる17年の期間中の調査結果を5パターン([1]長期非飲酒、[2]飲酒量減少、[3]長期飲酒量が1~14単位/週、[4]飲酒量増加、[5]長期飲酒量14単位超/週)に分けて検討した。 1991~93年の調査では、CAGE質問表(4項目2点以上でアルコール依存性あり)を用いてアルコール依存症の有無を評価、1991~2017年の期間におけるアルコール関連疾患による入院状況も併せ調査した。結果 中年期の非飲酒群は基準群(適度飲酒群)と比べ認知症のリスクが高かった(ハザード比[HR]:1.47、95%信頼区間[CI]:1.15~1.89、p<0.05)。14単位超/週群の認知症リスクは、基準群と比べ有意差を認めなかった(1.08、0.82~1.43)が、そのうち飲酒量が7単位増加/週群では認知症リスクが17%有意に増加した(1.17、1.04~1.32、p<0.05)。 非飲酒群でフォローアップ期間に認知症の高リスクを認めたことは心血管代謝疾患の関与で部分的に説明可能であり、非飲酒群全体の認知症のハザード比が1.47(1.15~1.89)であったのに対して疾患のない非飲酒群ではハザード比1.33(0.88~2.02)と基準群と比べ有意差を認めなかった。 中年期~初老期の飲酒量推移による検討では、長期飲酒では基準群と比べ長期非飲酒群の認知症リスクは74%と高く(HR:1.74、95%CI:1.31~2.30、p<0.05)、飲酒量減少群で55%増加(1.55、1.08~2.22、p<0.05)、長期14単位超/週群では40%増加(1.40、1.02~1.93、p<0.05)した。コメント 飲酒と総死亡率の関係はUまたはJ-カーブを示すと考えられている2)。昔から“酒は百薬の長されど万病の元”という故事は飲酒の影響を端的に表現している。わかりやすく言い換えると適度な飲酒は健康にとりプラスになり、過度な飲酒は命を縮め、適量飲酒に比べて非飲酒は思いのほか利益なく、かえってマイナスに作用すると言い換えできる。本論文の著者は、これまでの飲酒による知見が認知症に対して当てはまるか否かを、経時的要素を加味し、交絡因子、データエラーを最小にする工夫の下で統計解析を行い、U-カーブの存在を確認し認知症への飲酒によるこれまでの知見の適用の妥当性を確認した。しかしながら、適量飲酒の効用を過大に期待することは飲み過ぎにつながる恐れがあり慎むべきと考える。“酒は百薬の長されど万病(認知症)の元”を肝に銘じ忘れないことが大事です。

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