サイト内検索|page:145

検索結果 合計:5819件 表示位置:2881 - 2900

2881.

認知症関連の行方不明発生とその後の死亡の関連因子

 認知症患者の増加に伴い、認知症に関連する行方不明やその後の死亡が深刻な問題となっている。しかし、認知症関連の行方不明発生率、その後の死亡率、リスク因子についてはよくわかっていない。国立循環器病研究センター研究所の村田 峻輔氏らは、日本の都道府県別に集計されたデータを用いて、生態学的研究を行った。Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年6月27日号の報告。 2018年の警察庁の統計より、認知症関連の行方不明とその後の死亡に関するデータを抽出し、これらに影響を及ぼす候補変数として、高齢者の特性、ケア、安全性に関する変数を抽出した。候補変数と行方不明発生率および死亡率との関連は、交絡因子で調整した後、一般化線形モデルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・認知症関連の行方不明発生率は10万人年当たり21.72であり、その後の死亡率は10万人年当たり0.652であった。・高齢者向け介護福祉施設の数が65歳以上の人口10万人当たり1施設増加すると、行方不明発生率は7.9%低下した(95%CI:3.3~12.4)。・保健師の数が10万人当たり1人増加すると、行方不明発生率が3.2%低下した(95%CI:1.6~4.9)。・都市部に在住する割合が10%増加すると、行方不明発生率が20.3%上昇し(95%CI:8.7~33.2)、その後の死亡率は12.9%低下した(95%CI:5.6~19.8)。 著者らは「本研究結果は、認知症関連の行方不明発生やその後の死亡を予防もしくは予測するうえで役立つ可能性がある」としている。

2882.

自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別症状

 自閉スペクトラム症(ASD)と統合失調症(SZ)は、類似症状を呈する異種性の神経発達障害である。米国・イェール大学のDominic A. Trevisan氏らは、ASDとSZの重複および鑑別する症状の特定を試みた。Frontiers in Psychiatry誌2020年6月11日号の報告。 対象は、成人のASD患者53例、SZ患者39例、定型発達者40例。すべての対象者に、ASD評価のための半構造化観察検査(ADOS-2)および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)による評価を行った。ADOSの感度と特異性は、診断カットオフ値を用いて評価した。群間の重複症状の分析には、IQと性別分布による群間差をコントロールした後、ANOVA、ROC曲線、ANCOVAを用いた。 主な結果は以下のとおり。・成人のASDとSZの鑑別にADOSは有用であったが、DSM-VでASD基準を満たさないSZ患者では、偽陽性率が高かった。・SZ患者の特異性が低い理由を特定するため、ASDとSZの症状を正の症状(異常行動あり)と負の症状(通常行動なし)に分類した。・ASDとSZでは、典型的な社会的およびコミュニケーション上の行動の欠如に関連する負の症状に重複が認められたが、疾患特有の正の症状では違いが認められた。・ASDでは、反復繰り返し行動や常同的な言語のスコアが高く、SZでは、幻覚・妄想などの精神病性症状のスコアが高かった。 著者らは「ASDとSZの鑑別では、正の症状に焦点を当てることが有用である可能性が示唆された。ASD症状を正と負に分類するための標準化された測定法は開発されていないが、実行可能な臨床ツールであると考えられる」としている。

2883.

小児精神疾患における80種の向精神薬の安全性~メタ解析

 精神疾患は、小児期や青年期にしばしば発症する。小児精神疾患の治療に適応を有する向精神薬はさまざまあり、適応外での使用が往々にして行われる。しかし、これら向精神薬の副作用については、発達途上期間中であることを踏まえ、とくに注意が必要である。イタリア・パドヴァ大学のMarco Solmi氏らは、小児および青年の精神疾患に対する抗うつ薬、抗精神病薬、注意欠如多動症(ADHD)治療薬、気分安定薬を含む19カテゴリ、80種の向精神薬における78の有害事象を報告したランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析およびメタ解析、個別のRCT、コホート研究をシステマティックに検索し、メタ解析を行った。World Psychiatry誌2020年6月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ネットワークメタ解析9件、メタ解析39件、個別のRCT90件、コホート研究8件が抽出され、分析対象患者は33万7,686例であった。・78の有害事象について20%以上のデータを有していた薬剤は以下のとおりであった。 ●6種の抗うつ薬:セルトラリン、エスシタロプラム、パロキセチン、fluoxetine、ベンラファキシン、vilazodone ●8種の抗精神病薬:リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ルラシドン、パリペリドン、ziprasidone、オランザピン、アセナピン ●3種のADHD治療薬:メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン ●2種の気分安定薬:バルプロ酸、リチウム・これらの薬剤のうち、カテゴリごとにより安全なプロファイルを有していた薬剤は以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:エスシタロプラム、fluoxetine ●抗精神病薬:ルラシドン ●ADHD治療薬:メチルフェニデート ●気分安定薬:リチウム・入手可能な文献より、安全性の懸念が最も高かった薬剤は以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:ベンラファキシン ●抗精神病薬:オランザピン ●ADHD治療薬:アトモキセチン、グアンファシン ●気分安定薬:バルプロ酸・カテゴリごとに最も関連が認められた有害事象は以下のとおりであった。 ●抗うつ薬:悪心・嘔吐、有害事象による中止 ●抗精神病薬:過鎮静、錐体外路症状、体重増加 ●ADHD治療薬:拒食、不眠 ●気分安定薬:過鎮静、体重増加 著者らは「本結果は、臨床診療、研究、治療ガイドライン作成を行ううえで役立つであろう」としている。

2884.

精神科入院患者のリハビリテーション、マインドフルネスグループの導入効果

 精神科リハビリテーションサービスを受けている患者は、複雑な長期にわたる問題を抱えており、しばしば治療抵抗性といわれる。このような患者では、統合失調症などのメンタルヘルス診断と合わせて、複雑なトラウマ歴、アルコール依存や薬物乱用、認知障害が頻繁にみられる。治療抵抗性統合失調症の治療では、クロザピン療法以外の効果的な治療法は知られていないが、マインドフルネスがストレス体験に対処する能力を向上させることが予備的エビデンスで示されている。英国・エディンバラ大学のAudrey Millar氏らは、マインドフルネスプラクティスグループが、入院患者のリハビリ環境下で許容できる治療介入であるかについて検討を行った。また、ウェルビーイングのモニタリングも実施した。BMC Psychiatry誌2020年6月20日号の報告。 マインドフルネスプラクティスグループは、精神科病院の15床のリハビリテーション病棟で実施した。A区では3回/週、5ヵ月間実施し、B区では1回/週、18ヵ月間実施した。介入は、臨床心理士より行った。A区では、Warwick-Edinburgh well-being scaleを用いたウェルビーイングの測定も行った。介入の許容可能性に関する補足情報として、患者、グループファシリテーター、スタッフより定性的インタビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・A、B区ともに1回以上参加した患者は約3分の2(65%および67%)、定期的に参加した患者は約3分の1であった。・ウェルビーイングへの影響は認められなかった。・質的インタビューでは、参加した患者には多くのベネフィットがあり、グループが病棟内の治療文化を強化する可能性が示唆された。 著者らは「臨床ガイドラインでは、精神疾患と診断されたすべての患者に心理療法が利用されるべきであることが示唆されているが、入院患者のリハビリテーションでの心理療法の利用は困難な場合がある。マインドフルネスプラクティスグループは、許容可能な介入であり、治療抵抗性精神疾患に対するマインドフルネスの有効性を検討するためのさらなる研究は価値がある」としている。

2885.

ダウン症候群とアルツハイマー型認知症の深い関係(解説:岡村毅氏)-1262

 ダウン症候群の人(通常は2本ある21番染色体を3本持っている人)は比較的早期からアルツハイマー型認知症になりやすいことは昔から知られていた。アルツハイマー型認知症の病理の中核にある「アミロイドβ」の前駆体の遺伝子は、まさに21番染色体に存在するので、理論上も合致する。家族性アルツハイマー型認知症も21番染色体に連鎖することが知られている。ダウン症候群とアルツハイマー型認知症は、21番染色体が鍵という点でつながっている。 この論文では、多数のダウン症候群の人に詳細な認知機能検査を行うと同時に、さまざまなバイオマーカー(血液、脳脊髄液、脳機能画像、脳構造画像)を測定し、ダウン症候群の人々におけるアルツハイマー型認知症の病理の進展を分析したものである。 本研究は横断研究であるが、ADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)のような思想で認知症の病理の進展に迫っている。 これにより、ダウン症候群の人ではアルツハイマーの病理が早期に始まり非常にゆっくりと進行していくことがわかった。最も早く(30歳ごろ)変化が始まるのは血漿ニューロフィラメント軽鎖と脳脊髄液アミロイドβ比であり、それは実際に発症する20年以上前である。 さて近年、アルツハイマー型認知症の根本治療薬開発のために、プレクリニカル期(アミロイドはたまり始めているが症状はまだない時期)から先制的にアミロイドを減らすような薬剤が試されてきた。しかし成果はまだ出ていない。著者らは、ダウン症候群の人々がこのような介入の受益者であると論じている。同時に、治験においては説明と同意の問題から排除されているとしている。そして、本研究で彼らが経験したさまざまな(時には痛いし面倒だし)検査を現実に受けることができたのであるから、治験に参加することも可能だとも述べている。 最後に、答えの出ないことを語ってこのコラムを終えよう。著者らはダウン症候群の人が科学の進歩を享受できていないと述べており、私はその善き意思を疑うつもりは毛頭ない。同時に、今後ダウン症の人を対象にして認知症の治験が多く行われるようになる時に、人間の尊厳が脅かされないかという不安もある。実は私は学生時代にダウン症候群などを持つ子供たちに水泳を教えるボランティアをやっていた(こう見えても水泳部だったのだ)。とはいえ「倫理的にどうよ?」というのがいつも正義とは限らない。得るものも確かにあるのだから、学生時代に私の接した親御さんたちは「この子が将来認知症になって苦労しないために治験に参加します」と、本人たちも「役に立てるならどうぞ」とあっさりと言いそうな気もする。きちんと本人とも対話して、オープンに進めるべきだ、としか言いようがない。そういう点では最近の外国雑誌に多いpatient and public involvementが(見落としていなければ)この論文に載っていないことが気になる。いまこそ出番じゃないか…と思うのだが。私の少ない経験では、ダウン症候群の当事者や家族の会などは活発だし、きちんと説明して納得したらきっと応援してくれると思う。 なお3月21日は「世界ダウン症の日」です。

2886.

子供の教育費と親のうつ病との関係

 韓国では、社会文化的背景の影響により高等教育(higher education)が急速に成長しており、子供の教育には、世帯収入の大部分が費やされている。学習塾や予備校などの私教育(private education)は、子供の心理や行動に影響を与えると考えられてきた。しかし、これらの費用を支払う両親を対象とした研究は、これまで行われていなかった。世帯収入や教育レベルは、社会経済的地位(SES)を決定する重要な因子であり、教育費の捻出は、抑うつ症状の発症に影響を及ぼす可能性がある。韓国・延世大学校のByeong Cheol Oh氏らは、韓国における私教育費と両親のうつ病との関係について調査を行った。BMC Public Health誌2020年6月20日号の報告。 2015年と2018年のKoWePS福祉パネルよりデータを収集した。分析対象は、父親397人(2015年)と337人(2018年)、母親403人(2015年)と370人(2018年)であった。本研究の独立変数は、私教育費の割合とした。この比率は、各世帯の等価可処分所得に占める私教育費の割合として算出した。主な目的変数は、両親のうつ病自己評価尺度(CESD-11)に対する反応とした。私教育費の割合が両親のうつ病に及ぼす影響を調査するため、一般線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・私教育費の割合が高い父親は、低い父親と比較し、CESD-11スコアが高く(moderate:β=0.419、S.E=0.164、p=0.0105、high:β=0.476、S.E=0.178、p=0.0076)、私教育費の比率が高いほど、父親のうつ病に悪影響を及ぼす可能性があることが示唆された。・母親では、識別可能な相関関係は認められなかった(moderate:β=-0.078、S.E=0.250、p=0.7555、high:β=0.003、S.E=0.215、p=0.9882)。 著者らは「父親と母親で差がみられたことは、韓国社会では父親は母親よりも経済的負担が大きい傾向にあることが要因かもしれない」としている。

2887.

双極性障害の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、双極I型障害および双極II型障害の精神薬理学的治療に関する日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医によるコンセンサスガイドラインを作成することを目的に本研究を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年6月17日号の報告。 日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医を対象に、双極性障害治療における19の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。119件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。 主な結果は以下のとおり。・双極I型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.0±2.2)●うつ病エピソード(7.1±2.0)●維持期(7.8±1.8)・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、以下の場合に推奨された。●躁病エピソード(7.7±1.7)●うつ病エピソード(7.1±2.0)●混合性の特徴を伴わない(6.9±2.2)●維持期(6.9±2.1)・双極II型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.3±2.2)●うつ病エピソード(7.0±2.2)●維持期(7.3±2.3)・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、躁病エピソード(6.9±2.4)に推奨された。・抗精神病薬単独療法または抗うつ薬治療は、いずれの場合においても第1選択として推奨されなかった。 著者らは「本知見は、現在のエビデンスを反映しており、双極性障害に対するリチウム治療のエキスパートコンセンサスが得られた。また、双極性障害に対する抗精神病薬および抗うつ薬の使用では、有効性と忍容性を考慮する必要がある」としている。

2888.

第17回 COVID-19の疲労症候群~筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群研究のまたとない機会

ウイルス感染が去ってすぐの疲労感は珍しいことではなく、たいていすぐに消失しますが、長引く疲労を特徴とする筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)に時に陥る恐れがあります。かつて単に慢性疲労症候群(CFS)と呼ばれていたME/CFSは運動や頭を使った後に疲労が悪化することを特徴とし、軽く歩いただけ、または質問に答えただけで何日も、悪くすると何週間も起き上がれなくなることがあります1)。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染(COVID-19)を経た患者の長患いも最近明らかになっており、COVID-19を経た640人へのアンケートでは多くが胸痛や胃腸不調、認知障害や酷い疲労が収まらないと回答しました2)。米国国立アレルギー感染病研究所(NIAID)を率いるAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏もCOVID-19一段落後のそういった症状を認識しており、長きにわたる疲労症候群がCOVID-19に伴う場合があり、その症状はME/CFSに似ているとの見解を今月初めのAIDS学会での記者会見で表明しています3)。ME/CFSは謎に包まれており、それ故に偏見を通り越して無きものとする医師や研究者も少なくありません。ウイルス感染や神経疾患などの何らかの診断を試みた上でどこも悪くないとし、挙げ句にはもっと運動することを勧める医師もいるほどです。運動はME/CFSを悪化させる恐れがあります1)。無きものとして長くみなされていたため患者の多くは病因と思しき脳や脊髄の炎症の関与を見て取れる病名・筋痛性脳脊髄炎(ME)と呼ばれることを好みます。しかしながら脳脊髄炎の裏付けといえば脳の炎症マーカー上昇や脊髄液のサイトカイン変化を報告している日本での被験者20人ほどの試験4)ぐらいであり、米国疾病管理センター(CDC)を含む研究団体のほとんどはME/CFSと呼ぶようになっています。ME/CFSの原因は謎ですが、感染症との関連が示唆されており、米国・英国・ノルウェーでの調査によるとME/CFS患者の75%近くがその発症前にウイルス感染症を患っていました5)。また、西ナイルウイルス(WNV)、エボラウイルス(EBV)、エプスタインバーウイルス(EBV)等の特定の病原体とME/CFS様症状発現の関連が相当数の患者で認められています。2003年に蔓延したSARS-CoV-2近縁種SARS-CoVの感染患者の退院から1年後を調べた試験6)では、実に6割が疲労を訴え、4割以上(44%)が睡眠困難に陥っており、6人に1人(17%)は長引く不調で仕事に復帰できていませんでした。そういった試験結果を鑑みるに、SARS-CoV-2感染患者の体の不具合が収まらずに続く場合があることはほとんど疑いの余地がないとME/CFS研究連携を率いるモントリオール大学のAlain Moreau氏は言っており、同氏や他の研究者の関心は今やSARS-CoV-2がME/CFSを引き起こすかどうかではなく、どう誘発しうるのかに移っています。いくつか想定されている誘発の仕組みの中で自己免疫反応の寄与を米国NIHの神経ウイルス学者Avindra Nath氏はとくに有力視しています。最近イタリアの医師は重度のSARS-CoV-2感染症(COVID-19)患者に自己免疫様症状・ギランバレー症候群(GBS)が認められたことを報告しており7)、ME/CFS患者を調べた2015年報告の試験8)では自律神経系受容体への自己抗体上昇が認められています。もしCOVID-19が自己免疫疾患を招きうるなら何らかのタンパク質へのT細胞やその他の免疫の担い手の反応が血液中に現れるはずです。そこでエール大学の免疫学者岩崎 明子氏等はCOVID-19入院患者数百人の血液検体を採取し、すぐに元気になった場合とそうでない場合の免疫特徴を比較する試験を開始しています。Moreau氏とNath氏等もCOVID-19患者を長く追跡してME/CFSの原因を探る試験9)を始めており、それらの試験結果はCOVID-19を経た人のみならず世界中のME/CFS患者のためにもなるはずです。研究所や政府はCOVID-19患者がME/CFSに陥りうることに目を向け、資源や人を配して事に当たるべきであり、さもないとME/CFSの謎の解明のまたとない機会がふいになってしまうとNath氏は言っています1)。参考1)Could COVID-19 Trigger Chronic Disease in Some People? 2)What Does COVID-19 Recovery Actually Look Like? An Analysis of the Prolonged COVID-19 Symptoms Survey by Patient-Led Research Team3)Coronavirus may cause fatigue syndrome, Fauci says4)Nakatomi Y, et al. J Nucl Med. 2014 Jun;55:945-50.5)Pendergrast TR, et al. Chronic Illn. 2016 Dec;12:292-307.6)Tansey CM, et al. Arch Intern Med. 2007 Jun 25;167:1312-20. 7)Toscano G, et al. N Engl J Med. 2020 Jun 25;382:2574-2576.8)Loebel M, et al. Brain Behav Immun. 2016 Feb;52:32-39.9)OMF Funded Study: COVID-19 and ME / CFS

2889.

認知症発症に対する修正可能なリスク因子~メタ解析

 高齢者の認知症発症に対する修正可能なリスク因子について、中国・蘇州大学のJing-Hong Liang氏らが、システマティックレビューおよびベイジアン・ネットワークメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年6月17日号の報告。 複数の電子データベースより、2019年5月1日までのプロスペクティブコホート研究を網羅的かつ包括的に検索した。認知症でない参加者は、50歳以上とした。ベイジアン・ネットワークメタ解析を行うため、必要なデータを適格研究より抽出した。 主な結果は以下のとおり。・43件のコホート研究より27万7,294例が抽出された。・抗酸化物質を除く、以下の定義されたリスク因子は、すべての原因による認知症発症リスクの低下と関連していた。 ●睡眠障害なし(オッズ比[OR]:0.43、95%確信区間[CrI]:0.24~0.62) ●教育水準の高さ(OR:0.50、95%CrI:0.34~0.66) ●糖尿病の既往歴なし(OR:0.57、95%CrI:0.36~0.78) ●非肥満(OR:0.61、95%CrI:0.39~0.83) ●喫煙歴なし(OR:0.62、95%CrI:0.45~0.79) ●家族との同居(OR:0.67、95%CrI:0.45~0.89) ●運動の実施(OR:0.73、95%CrI:0.46~0.94) ●禁酒(OR:0.78、95%CrI:0.56~0.99) ●高血圧症の既往歴なし(OR:0.80、95%CrI:0.65~0.96) 著者らは「修正可能な身体的およびライフスタイル因子が、すべての原因による認知症の強力な予測因子であることが示唆された」としている。

2890.

M-1グランプリ(続編・その1)【実はツッコミはセラピー!?】Part 1

今回のキーワード教える行動療法支える支持療法考えさせる認知行動療法前回は、お笑いのボケについて詳しく分析しました。今回は、ツッコミです。なぜツッコミをするのでしょうか? 前回に、ボケがメンタルヘルスで見られる症状に重なることを指摘しましたが、実は、ツッコミは、メンタルヘルスで行われるセラピーに重なります。今回は、そのスタイルをテレビ番組の「M-1グランプリ」でのネタを通して、精神医学的に分類し、普段目にしないそれぞれのセラピーをイメージアップしてみましょう。なお、お笑い芸人の表記は通称として、敬称は省略しています。なぜツッコミするの?お笑いのツッコミとは、ボケ(異常)を指摘する(=突っ込む)ことです。そして、ツッコミする理由は、笑いどころを見ている人に分かりやすく伝えるためです。ここから、そのツッコミのスタイルを大きく3つに分けてみましょう。教える1つ目は、教えるスタイルです。これは、主に3つ挙げられます。(1)罰して分からせる―行動療法・カミナリの「どつき漫才」(2017)ボケ:「この世の中で一番強い生物って何だと思う?」ツッコミ:「クマだな」(中略)ボケ:「実はね。(自分は)ホオジロザメだと思うんだ」(中略)「だってクマは水中で息できないから溺れちゃう。そこをホオジロザメが食べちゃう。よって、ホオジロザメが一番強いんです!」ツッコミ:(ボケの頭を平手で思いっきり叩き)「バトルフィールドが海前提の話だな!」→ボケを叱る(=どつく)。これは、ツッコミ(罰)が与えられることで、悪い行動(ボケ)が減るというセラピーに当たります(正の罰)。いわゆる「アメとムチ」のムチです。実際のメンタルヘルスでは、抗酒剤がこれに当てはまります。抗酒剤とは、この内服中は、飲酒すると気持ち悪くなる作用があります。よって、アルコール依存症の人は、気持ち悪くなることで、飲酒しなくなります。・オードリー若林の「すかしツッコミ」(2008)春日:「皆さん、夢でお会いして以来ですね」若林:「だいぶ、寝汗かいたと思いますけどね。今日も楽しく漫才をやっていきたいなと思いますけどね」→あえて取り合わない(=すかす)。ツッコミ(この場合はご褒美)がなくなる(与えられない)ことで、悪い行動(ボケ)が減るというセラピーに当たります(負の罰)。実際のメンタルヘルスでは、行動制限がこれに当てはまります。落ち着かないなら、自由を制限します。よって、発達障害の子どもは、自由がなくなることで、暴れなくなります(タイムアウト)。1つ目は、罰して分からせることです。これは、セラピーの中で、行動療法に分類されます。行動療法とは、罰や報酬によって行動を変えていくセラピーです(オペラント条件づけ)。なお、体罰、暴力、ハラスメントに敏感な時代の流れから、従来の「どつき漫才」は受け入れられなくなってきています。「どつく」にしても、身体的には叩くふりや腕を引っ張るなどマイルドなスタイルに変わってきています。ちなみに、トム・ブラウン(2018)は、頭を叩いたあとに、ぺたっと手をくっつけて痛そうに見えない工夫をしています。逆に、この分類でまだツッコミのスタイルとして使われていないのは、褒めることです。たとえば、ベタにボケるところで真面目になること(ある意味ボケ)で、びっくりして褒めるというツッコミをすることです。これは、ご褒美がもらえることで、良い行動(真面目)が増えるというオーソドックスなセラピーに当たります(正の強化)。これは、「アメとムチ」のアメです。また、同じく、ベタにボケるところで真面目になること(ある意味ボケ)で、激しくどつくツッコミ(罰)ができずに肩すかしになる展開です。「すかしボケ」と名付けられそうです。これは、ツッコミ(罰)が与えられないことで、良い行動(真面目)が増えるというセラピーに当たります(負の強化)。分かりやすい例は、拷問です。実際のメンタルヘルスでは、最初から行動制限を行うことです。ルールを守っているなら、少しずつ自由が拡大します。よって、発達障害の子どもは、自由が得られることでルールを守るように学習するようになります。(2)説明する―心理教育・ナイツ(2008)ボケ:「ヤホーってサイトで調べてきたんですけど」ツッコミ:「ヤフーね。ヤフーって読むんだわ、あれ」→丁寧に説明・フットボールアワー後藤の「たとえツッコミ」一発ギャグがスベった芸人に「おまえ、ようそんなギャグ出せたな。陶芸家やったら割ってるヤツやで」→分かりやすく説明2つ目は、説明することです。これは、セラピーの中では、心理教育に分類されます。クライエントに、心理状態についての説明、内服継続が必要な理由、家族の対応の仕方などを説明することです。逆に、この分類でまだツッコミのスタイルとして使われていないのは、現実を突き付ける(直面化)、矛盾を問い詰める(知性化)、細かく口出しする(過干渉)などが挙げられます。やりすぎると、ツッコミがボケになっていくおもしろさもあるでしょう。(3)主張する―アサーション・南海キャンディーズ山ちゃん(2004)相方のしずちゃんについてのツッコミレパートリー「だめだ、俺、こんな状況、生まれて初めてだ…」「ナイスざわざわ」「やばい、涙で明日が見えない」「あれ、左から妖気を感じる」→受け入れやすい言い方3つ目は、主張することです。これは、セラピーの中では、アサーションに分類されます。これは、ネガティブなことを伝える時に、主語が「あなた」(あなたメッセージ)ではなく、「私」(私メッセージ)であることによって、「あなたが悪いと決め付けているわけではない」というメッセージを伝えることです。 次のページへ >>

2891.

M-1グランプリ(続編・その1)【実はツッコミはセラピー!?】Part 2

支える2つ目は、支えるスタイルです。これは、セラピーの中では、支持療法に分類されます。支持療法とは、味方になることによってクライエントの自尊心を満たすセラピーです。主に3つのスキルが挙げられます。 (1)受け止める―受容・ハライチの「ノリボケ漫才」(2009)岩井:「ペットを飼いたい。飼いたいペットの条件みたいなものはある。やっぱねえ、大人しいペットがいい」澤部:「まあまあねえ、周りでわあわあ騒ぐよりはねえ、かわいらしいですからねえ」(中略)岩井:「空気読むペット」澤部:「別れ話とかしてるときにきゃんきゃん来られてもね、空気読め、バカってなりますからね」(中略)岩井:「食べられるペット」澤部:「最悪な。最悪、最悪食料が底を突いたらな。あいつ、食べよ」→ナンセンスなボケに対してツッコミせずに、乗っかってさらにボケる。必死に食らいつく澤部の様子におかしさがあります。ちなみに、ノリボケとは違い、ノリツッコミは、一時的にボケに乗っかりますが、最後はツッコミするので、教えるスタイルに分類されます。1つ目は、肯定も否定もせず、そのまま受け止めることです。これは、受容というスキルです。「そう感じたんですね」とクライエントを受容するのは、セラピーの基本中の基本です。(2)一緒に感じる―共感・モノマネ→特徴をデフォルメすることで共感を呼ぶ。・テツandトモの「何でだろう」(2002年)トモ:「♪何でだろう~何でだろう(中略)集合写真をみんなで撮って、できあがった写真を見ると、必ずこんなヤツがいる。目が半開きになってるヤツ~♪」テツ:トモの周りでリズムに合わせてキレのある動きをし続けて、変顔をする→「あるあるネタ」。さらに、リズム芸、顔芸、モノマネとのコンビネーション。・レギュラーの「あるある探検隊」松本:「あるある探検隊♪あるある探検隊♪秋田のなまはげ怖すぎる。あるある探検隊♪あるある探検隊♪リストラされても絶好調」西川:「ちょ、ちょ、ちょっと待てや。それ『あるある』か?」→「あるあるネタ」。ただし、「あるある」と言っておきながら、まったくありえないこと、つまり「なしなしネタ」を適度に織り交ぜることで、予定調和を崩している。「あるある」というツッコミと見せかけたボケであることがポイント。2つ目は、一緒に感じることです。これは、共感というスキルです。厳密に言えば、共感するのは、ボケとツッコミの間よりも、ツッコミと見ている人の間です。「そういうことありますよね」とクライエントに共感するのも、セラピーの基本です。(3)耳を傾ける―傾聴・笑い飯の「ダブルボケ漫才」(2009)西田:「きみは本当に鳥が好きなんだね。私が鳥人だよ。人間の体に鳥の頭が付いてるだろ」(中略)「友達の証にこのタキシードの胸元を開いて、人間の体と鳥の頭のちょうど境目を見せてあげるよ」哲夫:「子ども、変なトラウマなるやろ」「こんどは俺がやる」(中略)「鳥進一だよ。見てごらん。ぼくは森進一の胴体に鳥の頭が付いてるんだよ」西田:「なんやそれ?」→お互いにボケる。お互いに多少ツッコミしつつ聞き流す。「言いっ放し聞きっ放し」で、反論をしたり結論を出さない、噛み合わなくても話をし続けるのが特徴。自助グループなどの集団療法やママ友グループの会話に近い。・スリムクラブの「ゆったり漫才」(2010)・笑い飯の「ダブルボケ漫才」(2009)内間:(お葬式で)「故人とはどのようなご関係で?」前田:「町で1回…見たことがあります」内間:「…(戸惑いの表情)。非常識です」→ツッコミのスピードが遅すぎる。ツッコミが、間(ま)でボケる。漫才のスピード化の真逆を行くという漫才スタイルで、予定調和を崩している。3つ目は、ゆっくりと間を取ったり話を聞き続ける姿勢を見せるなどして耳を傾けることです。これは、傾聴のスキルです。「そうなんですね」「なるほど」とクライエントに傾聴するのも、セラピーの基本です。 << 前のページへ | 次のページへ >>

2892.

M-1グランプリ(続編・その1)【実はツッコミはセラピー!?】Part 3

考えさせる3つ目は、考えさせることです。主に3つ挙げられます。これは、認知行動療法に分類されます。認知行動療法とは、考え方(認知)に働きかけて、感じ方(感情)や行動を変えていくセラピーです。主に3つの特徴を紹介します。(1)一緒に考える・ミルクボーイの「リターン漫才」(2019)ボケ:「うちのオカンが好きな朝ご飯の名前を忘れたらしく」ツッコミ:「ほな俺がオカンの好きな朝ご飯、一緒に考えてあげるから」ボケ:「甘くてカリカリしてて、牛乳とかかけて食べるやつ」ツッコミ:「そりゃコーンフレークやないか。その特徴は完全にコーンフレークやないか」ボケ:「死ぬ前の最後のご飯もそれでいいと言っている」ツッコミ:「ほなコーンフレークと違うか。人生の最後がコーンフレークでええわけないもんね。コーンフレークはね、まだ寿命に余裕があるから食べてられんのよね。コーンフレーク側もね、最後のご飯に任命されたら荷が重いよ」→広げるツッコミ。ボケを真面目に理解しようとするあまりに、ツッコミが振り回されているおかしさがあります。(2)プラス面に目を向ける・ぺこぱの「肯定ツッコミ」(2019)ボケ:「どうも~ぺこぱのしゅうぺいでーす!」(ツッコミの前に立つ)ツッコミ:「いや、かぶってる…なら俺がよければいい」(中略)ボケ:(タクシー運転手になって)「ぶーん、どーん!」ツッコミ:「いやー痛ってーな…て言えてる時点で無事で良かった。無事であることが何より大切なんだ。時を戻そう」ボケ:「ぶーん、どーん!」ツッコミ:「いや、2回もぶつかる…ってことはおれが車道側に立っていたのかもしれない。もう誰かのせいにするのはやめにしよう」→ボケを否定せずに何とか理解しようとするツッコミ。ツッコミでありながら見た目、しゃべり方、動きが奇妙というボケ。2つ目は、プラス面に目を向けることです。これは、リフレーミングというスキルです。セラピスト(ツッコミ)にスキがあったりわざとぼけることで、クライエントの主体性を引き出すことができます。(3)俯瞰する・マヂカルラブリー(2018)野田クリスタル:フレンチのマナーについてシミュレーションをすると言って、何かになりきった演技をする。村上:「ねー、もう違うよね、ねー。地面に魔方陣描いて、自分の血を垂らすなんて。何を召喚しようとしてる?化け物みたいなやつ出てきちゃってる」→ボケの状況を説明し続けるツッコミ・FUJIWARA藤本「全然ウケへんやんけ、これ!」「自信満々に言ったのにスベったやんけ!」「なんやねん、この変な空気!」→セルフツッコミ・オードリー(2008)春日:「風呂だけにかくせき(客席)をゆざませて(湯冷めさせて)…」若林:「噛んでんじゃねえよ!」春日:「おまえが何とかしろよ!」若林:「できねーよ。これ何とかできたら、もっと最初から来れるだろ決勝に!」→ボケが噛んでしまったことに対して、即興的(即興風?)に自分たちの漫才自体にツッコミを入れる。「メタ漫才」と呼ばれます。3つ目は、俯瞰することです。これは、マインドフルネスに通じます。マインドフルネスとは、自分自身を実況生中継すること(メタ認知)で意識を研ぎ澄まし冷静になることです。 << 前のページへ

2893.

単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・入院患者全体で、自殺念慮が14.5%、自殺企図が38.6%に認められた。いずれもUD患者で高かった。・女性は、男性と比較し、自殺企図の割合が高かった(OR:1.13、95%CI:1.09~1.16)。・交絡因子で調整した後、UD患者はBD患者と比較し、自殺企図のORがわずかに高く(OR:1.06、95%CI:1.02~1.11)、自殺念慮のORは1.2倍高かった(95%CI:1.11~1.26)。・自殺企図が認められた患者では、93.2%がBD、6.8%がUDであった。・自殺企図の大部分は、BDの入院女性患者(74.6%)で認められた(UD:67.3%)。 著者らは「自殺行動を最小限に食い止める適切な治療を行うには、UDとBDの早期鑑別診断が重要であり、治療ガイドラインに基づいたマネジメントやさらなる研究が求められる」としている。

2894.

重度統合失調症に対する抗精神病薬とECT増強療法

 統合失調症の治療において、電気けいれん療法(ECT)を支持する肯定的なエビデンスが増加しているが、これが実臨床の状況をどの程度反映しているかはよくわかっていない。トルコ・Erenkoy Training and Research Hospital for Psychiatry and Neurological DiseasesのNazife Gamze Usta Saglam氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬とECT増強療法の有効性を、自然主義的観察環境で調査した。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、急性増悪のために入院した統合失調症患者81例。抗精神病薬のみで治療された患者(AP群)とECT増強療法を併用した患者(ECT群)の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコアの変化を比較した。 主な結果は以下のとおり。・両群において、すべてのPANSSサブスケールの有意な減少が認められた。・治療反応率は、ECT群95%(39例)、AP群75%(30例)であった(χ2=6.496、df=1、p=0.011)。・急性増悪の統合失調症患者において、ECT群はAP群と比較し、治療反応(PANSSスコア25%以上減少)率が有意に上昇することが示唆された。 著者らは「急性期治療中の重度な統合失調症患者に対するECT増強療法の併用は、治療反応を高めることが示唆された。抗精神病薬治療後のPANSSスコア25%以上の減少率は、将来の症状再発時にECT増強療法によるベネフィットがもたらされる患者を特定するうえで役立つであろう」としている。

2895.

アルツハイマー病や軽度認知障害に対する高気圧酸素療法

 低酸素症などの環境的要因がアルツハイマー病(AD)の発症に影響を及ぼす可能性が報告されている。体内組織の酸素供給や脳の低酸素状態を改善する高気圧酸素療法は、ADおよび健忘型軽度認知障害(aMCI)の代替療法となりうる可能性がある。中国・大連医科大学のJianwen Chen氏らは、ADおよびaMCIに対する高気圧酸素療法の潜在的な治療効果について調査を行った。Alzheimer's & Dementia(New York, N. Y.)誌2020年6月14日号の報告。 対象は、高気圧酸素療法を受けたAD群42例、aMCI群11例および高気圧酸素療法を受けなかった対照AD群30例。AD群およびaMCI群には、1日1回40分間の高気圧酸素療法を20日間実施し、治療1、3、6ヵ月後のフォローアップ時にミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、ADL尺度を含む神経精神医学的評価を行った。対照AD群の臨床プロファイルは、AD群と同様であった。AD/aMCI群の10例については、FDG-PET検査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・自己比較研究では、1コースの高気圧酸素療法において以下の改善が認められた。 ●1ヵ月後、AD群のMMSE、MoCAスコアの有意な改善 ●3ヵ月後、aMCI群のMMSEスコアの有意な改善 ●1、3ヵ月後、aMCI群のMoCAスコアの有意な改善 ●1、3ヵ月後、AD群のADLスコアの有意な改善・AD群は、対照AD群と比較し、1ヵ月後のMMSE、MoCAスコアの有意な改善が認められた。・高気圧酸素療法は、一部のAD群およびaMCI群の脳グルコース代謝の低下を改善した。 著者らは「以前の研究と今回の結果によると、高気圧酸素療法は、ADやaMCIの有望な代替療法となりうる可能性が示唆された」としている。

2896.

「ルネスタ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第8回

第8回 「ルネスタ錠」の名称の由来は?販売名ルネスタ®錠 1mgルネスタ®錠 2mgルネスタ®錠 3mg一般名(和名[命名法])エスゾピクロン(JAN)効能又は効果不眠症用法及び用量通常、成人にはエスゾピクロンとして1回2mgを、高齢者には1回1mgを就寝前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、成人では1回3mg、高齢者では1回2mgを超えないこととする。警告内容とその理由本剤の服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがある。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意すること。禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)(1)禁忌1)本剤の成分又はゾピクロンに対し過敏症の既往歴のある患者2)重症筋無力症の患者[筋弛緩作用により症状を悪化させるおそれがある。]3)急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。](2)原則禁忌肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している場合[炭酸ガスナルコーシスを起こしやすい。]※本内容は2020年7月15日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年8月改訂(改訂第8版)医薬品インタビューフォーム「ルネスタ®錠1mg/2mg/3mg」2)エーザイ:製品情報

2897.

うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の影響

 うつ病の特徴の1つとして、再発リスクの高さが挙げられる。中国・重慶医科大学のDongdong Zhou氏らは、さまざまな抗うつ薬の再発予防効果を比較した。Psychological Medicine誌オンライン版2020年6月5日号の報告。 2019年7月4日にPubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embase、Web of Scienceより検索を行った。ベイジアンフレームワークを用いて、パラメトリック生存曲線のプール分析を行った。主要アウトカムは、ハザード比、無再発生存期間、平均無再発月数とした。 主な結果は以下のとおり。・40件のランダム化比較試験が抽出された。・抗うつ薬の無再発生存率は76%であり、対照群の56%よりも有意に良好であった。・再発の差の多くは、最初の6ヵ月間で認められた(86.5%)。・ハザード比は、時間経過とともに一定ではなかった。・6ヵ月後の抗うつ薬群と対照群との違いはわずかで、6ヵ月フォローアップ後の抗うつ薬のベネフィットは確立できなかった。・ほとんどの研究は、ランダム化中止試験を使用しているため、反応者のみに強化(enriched)されており、このことが最初の6ヵ月間の再発率の差に影響を及ぼしている可能性がある。 著者らは「うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の優位性は、最初の6ヵ月間でみられていた。その予防効果は、長期にわたり一定ではないことが、本研究で示唆されており、6ヵ月以降の新規エピソードが予防できるかは疑問が残る」としている。

2898.

コロナ自粛でイライラや暴力行為、低年齢ほど傾向強く

 新型コロナウイルスの流行は、感染への不安や恐れもさることながら、さまざまな社会・経済行動の自粛とstay homeによる生活の変化がもたらした緊張やストレスも大きかった。国立成育医療センターは、全国の7~17歳までの子供および0~17歳の子供がいる保護者を対象に、インターネットでアンケートを実施。その回答結果によると、すぐにイライラしたり、自傷や他人への危害といった何らかのストレス反応を呈したりした子供が75%にのぼった一方、保護者の62%が心に何らかの負担を感じていたことがわかり、これまでに経験したことのない自粛生活が親・子の双方に大きく影響を及ぼしていた様子がうかがえる。 本調査は、4月30日~5 月31日、インターネット上で実施された。アンケート内容は、(1)コロナ関連(2)学校・勉強・友人への連絡状況(3)外出頻度・運動・スクリーンタイム・生活リズム(4)子供たちの健康とQOL(5)ストレス反応(6)親子の関わり(7)保護者のメンタルヘルス(8)子供たちが必要としている支援や情報について、などを選択式で回答する項目と、自由記述で構成。2,591人の子供と6,116人の保護者、計8,707人が回答した。 このうち、ストレス反応についての項目で、「最近集中できない」は、小学4~6年生と中学生が40%、高校生が42%だった。「すぐにイライラする」は、小学4~6年生が38%と最も多く、小学1~3年生が33%、中学生が30%、高校生が29%だった。「自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるうことがある」(原文ママ)は、小学1~3年生の16%、小学4~6年生の10%が該当し、中学生・高校生は各5%だった。イライラしたり、暴力的になったりする傾向は低学年ほど強く表れる結果となった。 一方、保護者の回答では、子供に対して「感情的に怒鳴った」が49%と約半数が該当し、とくに年少~年長、小学1年~3年の保護者では6割にのぼった。こうした家庭内のトラブルについて、コロナ流行前の今年1月時点と比べて「少し増えた」「とても増えた」と回答したのは、年少の保護者が45%ともっとも多く、以下、小学1年~3年(38%)、小学4~6年(27%)、未就学児(26%)の保護者の順に多かった。 学校や園の季節休暇以外で、今回ほど長期の休みが続き、外出を制限されるという経験は誰もしたことがなく、在宅ワークが急きょ始まって戸惑う保護者も多かった。こうした状況下で、子供全体の78%が保護者について「一緒にいると安心できる」と回答しているのに対し、保護者のメンタルヘルスを問う6項目の質問について5段階に点数化したところ、全体の62%が中等度(心に何らかの負担がある状況)~極強度(深刻な心の状態のおそれがある)に該当した。家の中で、大人への安心感を感じる子供と、仕事やコロナ感染への不安、子供の教育などに対する情報不足などが相まって大きなストレスを抱えている保護者のあり様が対照的な結果となった。 本調査をまとめた報告書の終わりには、「急性期には目立たなかった影響が、少し時間が経ってから顕在化していることもある。今後もし感染が早期に完全に終息して日常が取り戻されたとしても、子供たちの様子はしばらくの間、注意深く見守る必要がある」と記されている。また、本調査に関し、「より強いストレスや苦しい生活状況に直面している子供や保護者には、本調査の案内が届かなかったり、協力いただけなかったりした可能性もある」とし、国立成育医療センターでは、同調査を今後も継続的に実施する予定だ。 コロナ収束には今しばらくかかる様相だが、学校が再開され、社会が本格的に再稼働し始めた。かかりつけ医の皆さんには、子供や保護者と顔を合わせた際、長い自粛期間を経た後に、心身の小さな変化がないか、注意してみていただきたい。

2899.

成人の不眠症、アルコール摂取とADHD症状との関係

 薬物使用障害や不眠症は、成人の注意欠如多動症(ADHD)患者でよくみられる。ノルウェー・ベルゲン大学のAstri J. Lundervold氏らは、不眠症やアルコール摂取とADHD症状との関係を調査した。Frontiers in Psychology誌2020年5月27日号の報告。 成人ADHD患者235例(男性の割合:41.3%)と対照群184例(男性の割合:38%)を対象に、不眠症、アルコール摂取、ADHD症状をアンケートで収集した。不眠症はBergen Insomnia Scale(BIS)、アルコール摂取は飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)、ADHD症状は成人ADHD自己記入式症状チェックリストを用いて評価した。対象の大部分(95%)より、小児期のADHD症状はWender Utah Rating Scaleを用いて追加情報として収集し、内在化障害の生涯発生に関する情報は、背景情報の一部に含めた。 主な結果は以下のとおり。・ADHD患者は対照群と比較し、不眠症の頻度が高く、アルコール摂取量が多く、内在化障害の頻度が高かった。・不眠症を有する患者は、不眠症を有さない患者と比較し、現在および小児期のADHD症状がより重度であった。・ADHD症状のスコアは、不眠症や内在化障害の影響を受けていたが、アルコール摂取からは対照群に限定的であった。 著者らは「不眠症、アルコール摂取、内在化障害は、機能的影響が大きいことが知られている。本研究では、ADHD症状との関係に焦点を当てたことにより、機能的影響との強い関連は、ADHDの臨床診断を受けた成人に限定されないことがわかった。このことから、ADHD症状と併発する問題の測定基準を含む、さらなる研究が求められる」としている。

2900.

セロトニン5-HT2B拮抗作用と選択的セロトニン再取り込み阻害作用の影響

 これまでの研究では、抗うつ作用に対するセロトニン2B(5-HT2B)受容体の関与が示唆されている。アリピプラゾールは、治療抵抗性うつ病に対し選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との併用で有効性が認められており、すべての受容体のうち5-HT2B受容体への親和性が最も高い薬剤である。しかし、治療抵抗性うつ病の補助療法において5-HT2B受容体拮抗作用の潜在的な影響はあまり知られていなかった。カナダ・オタワ大学のRami Hamati氏らは、SSRI存在下における5-HT2B受容体拮抗作用の神経ニューロンに対する影響を検討した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2020年5月30日号の報告。 麻酔後のSprague-Dawleyラットに5-HT2B受容体リガンドを単独またはSSRI(エスシタロプラム)との組み合わせで投与し、腹側被蓋野(VTA)のドパミンニューロン、背側縫線核(DRN)のセロトニンニューロン、内側前頭前野(mPFC)および海馬の錐体ニューロンのin vivo電気生理学的記録を行った。 主な結果は以下のとおり。・5-HT2B受容体の発火活性ではなく、SSRI誘発のドパミン減少は、選択的5-HT2B受容体拮抗薬(LY266097)の2日間併用投与により回復した。・mPFCにおいて、SSRIの14日間単独投与では錐体ニューロンの発火やバースト活性に影響を及ぼさなかったが、アリピプラゾールを単独またはSSRIとの組み合わせで14日間投与すると、錐体ニューロンの発火やバースト活性の増加が認められた。・LY266097の14日間単独投与または14日間のうち最後の3日間にSSRI追加投与では、錐体ニューロンの発火やバースト活性の増加が認められた。・これらの結果は、5-HT2B受容体が少なくとも部分的に、この増強に関与していることを示唆している。・海馬では、BW723c86による5-HT2B受容体の活性化が、SSRIによるセロトニン再取り込み阻害を減少させたが、5-HT2B受容体拮抗薬により回復した。 著者らは「5-HT2B受容体拮抗作用は、SSRIで治療中のうつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法の治療効果に寄与すると考えられる」としている。

検索結果 合計:5819件 表示位置:2881 - 2900