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ADHD治療に対するカフェインの影響

 注意欠陥多動性障害(ADHD)は、不注意および/または多動性・衝動性の持続的なパターンを特徴とする神経発達障害である。ADHDは、主に前頭前野のドパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)回路の異常から発生すると考えられている。ADHD治療薬の副作用に対する懸念やADHDの診断率の向上により、薬理学的アプローチの代替/補完的な介入が求められている。ここ数年、ADHD治療に対するカフェイン摂取の潜在的な影響に関する動物実験レベルの研究は蓄積されているが、最新のエビデンスに基づくシステマティックレビューは十分に行われていなかった。スペイン・カタルーニャオベルタ大学のJavier C. Vazquez氏らは、前臨床レベルでのADHD治療に対するカフェインの影響について、システマティックレビューを実施した。Nutrients誌2022年2月10日号の報告。カフェイン摂取はADHD治療で注意力の向上や学習に対する改善が期待できる 2021年9月1日時点で入手可能な前臨床レベルでのADHD治療に対するカフェインの影響を検討したエビデンスを抽出し、PRISMAガイドラインに基づくシステマティックレビューを実施した。 ADHD治療に対するカフェインの影響についてのシステマティックレビューの主な結果は以下のとおり。・カフェイン摂取はADHD治療で、血圧や体重に影響を及ぼすことなく、注意力の向上、学習、記憶、嗅覚の識別に対する改善が期待できる。・これらの結果は、神経・分子レベルで支持されている。・しかし、多動性・衝動性の調整に対するADHD治療のカフェインの影響に関しては、矛盾した結果が得られており、さらなる解明が必要とされる。 著者らは「これら動物実験レベルで確認されたADHDに対するカフェインの影響は、とくに青年期ADHD治療に流用される可能性が示唆された」としている。

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求む、後見人【Dr. 中島の 新・徒然草】(417)

四百十七の段 求む、後見人ちょくちょく頼まれるのが、成年後見人制度用の診断書。皆さんのところにも来ますか?かかわりたくない先生もおられるようですが、私はできるだけ書くようにしています。というのも、後見人を決めないことには話が進まない患者さんが沢山いるからです。代表的なのは、身内がいないまま認知症になってしまった人ですね。このような人の財産管理や身上監護を、誰かがしなくてはなりません。そこで、我々医師が意見書を作成するわけです。長谷川式簡易知能評価スケールとか、 MMSE (Mini Mental State Examination) とかの簡単な検査を行い、御本人の記憶力や判断能力の程度について意見を述べます。判断能力は有る無しで述べるのではなく、症状が重いほうから軽い順に後見、保佐、補助という段階がつくことになります。今回頼まれたのは高齢女性。MMSEの点数だけで判断するわけにはいかないので、病室まで自分で顔を見に行きました。中島「私は中島です。ちょっと書類を書くのでいろいろ教えてください」患者「なんでも聞いてー」中島「じゃあ住所を教えてください」患者「住所はここや」ここって、病院に住んでいることになっているんですかね。中島「ナントカ町何丁目とかいうのがあるでしょう」患者「谷町六丁目かな」中島「番地はどうなってますか」患者「忘れた」谷町六丁目というのは病院の近所です。中島「じゃあ今はいつですか。西暦でも和暦でもいいですよ」患者「ワレキ?」中島「失礼しました。大正とか昭和とか」患者「令和や」中島「令和何年ですか?」患者「令和60何年かな」令和60年だったら、今上陛下は120歳くらいでしょうか。中島「じゃあ、お年はいくつですか?」患者「80歳とか、そんなもん違う?」実年齢よりわずかに低い。女性の場合、認知症の有無にかかわらずサバをよむ傾向があります。中島「生年月日は?」患者「昭和〇年〇月〇日や」中島「昭和ヒトケタじゃないですか。戦争中も大阪に住んでいたのですか?」患者「奈良に疎開しとったけどな」中島「爆弾が降ってきたんですか?」患者「いや、奈良には落ちてこんかった」中島「じゃあ、大阪空襲が見えたでしょう」患者「空が真っ赤やった」もう少しきいてみましょう。中島「やっぱり戦争は負けると思いましたか?」患者「もう食べるもんもなかったしな」終戦の時は10歳ちょっとだったわけですね。中島「ところで、身内はどなたがいてはるんですか?」患者「甥っ子がおる。天満やったかな。天神……」中島「天神橋?」患者「そうそう」戦争のことは鮮明に覚えているのに、最近のことは怪しいです。中島「じゃあ、書類作っときますね」患者「よろしゅうに」中島「ところで、僕の名前を憶えてますか?」患者「あかん、忘れた」中島「そのことも書いておきます」病室から外来に戻って書類作成にとりかかりました。ふと、書類の患者さんの名前が違っているのに気付きました。つまり全く違う人にインタビューしていたのです。ひょっとして、後見人が必要なのは私だったということ?とにかく書類作成前に気付いて良かったです。最後に1句間違いに 気付いてセーフ 春うらら※全部で8回あった大阪大空襲のうちの1回目は、1945年3月13~14日でした。ちょうど今から77年前ですね。

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抗うつ薬または抗精神病薬による薬剤誘発性せん妄発現率

 せん妄治療の成功の可否は、可逆的な原因の検出に依存している。せん妄の一般的な可逆的原因は、せん妄を誘発する薬剤であると考えられる。オーストリア・ウィーン医科大学のM. E. Friedrich氏らは、抗うつ薬および抗精神病薬による薬剤誘発性せん妄について、分析を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2022年2月2日号の報告。 精神科入院患者の重篤な副作用を記録するドイツ語圏の各国が参加する多施設薬物監視プログラムAMSP(Arzneimittelsicherheit in der Psychiatrie)のデータを用いて、観察研究を実施した。本研究では、抗うつ薬および抗精神病薬による治療中の薬剤誘発性せん妄について、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1993~2016年の観察期間中に、参加施設110施設において、精神科入院患者43万6,565例に対し抗うつ薬および/または抗精神病薬による治療が行われていた。・せん妄が報告された患者数は、254例(抗うつ薬および/または抗精神病薬治療を行った患者の0.06%)であった。・併用療法が、せん妄発生の70.1%に関与していた。・単独または併用療法により、せん妄の発生に最も関与していた薬剤は、クロミプラミン(0.24%)であり、次いでアミトリプチリン(0.21%)、クロザピン(0.18%)であった。・単独療法において、せん妄が認められた患者は98例であり、せん妄の発生に最も関与していた薬剤は、クロザピン(0.11%)であり、次いでアミトリプチリン(0.05%)であった。・強力な抗ムスカリン作用を有する薬剤は、一般的にせん妄リスクが高かった。 著者らは「AMSPプログラムにおけるせん妄発生率は0.1%未満であり、抗うつ薬および抗精神病薬の使用がせん妄発生に関連することは少なかった。三環系抗うつ薬およびクロザピンは、せん妄発生と最も関連する向精神薬であると考えられる。これらのデータは、せん妄における抗ムスカリン作用の影響を考える上で、役立つであろう」としている。

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「乳腺外科医事件」最高裁判決を受けて~担当弁護人の視点から

手術直後の女性患者への準強制わいせつ罪に問われた執刀医が、逮捕・勾留・起訴された事件。一審では無罪判決となったが、控訴審では懲役2年の実刑判決が東京高裁より言い渡されていた。執刀医側の上告を受けて出された今回の最高裁判決は「東京高裁への差戻し」。弁護人の1人である水沼 直樹氏に、実際に法廷で論じられた争点と今後について解説いただく。1.事件概要(1)概要本件は、2016年5月、右胸部の良性腫瘍(再発)摘出術を受けた患者Aが、術後約30分間に2度回診に訪れた執刀医Xから、健側の右胸部を舐められたと訴えたことから始まった事件です。科学捜査研究所は、Aの右胸からXのDNA型と一致するDNA(定量値1.612ng/μL)が検出され、またアミラーゼ検査が陽性であったと鑑定しています。これに対し、Xは、Aの被害申告は、Aが術後せん妄(覚醒時せん妄)により幻覚を体験したに過ぎない、と逮捕当初から一貫して主張しています。当時の患者がせん妄状態にあり幻覚体験をしたか否か、検出されたDNA定量検査の結果を信用できるかが争われました。(2)裁判の経緯東京地裁では、当時の患者がせん妄により幻覚体験をした可能性があることを主な根拠に、事件そのものがなかったと推認して無罪判決を言い渡しました(詳細は「判決の争点」前編・後編を参照)。これに対して東京高裁は、DSM-5等により診断した弁護側証人の証言の信用性を否定し、診断基準を使用せずせん妄による幻覚の可能性を否定した検察側証人の証言の信用性を肯定して、懲役2年の実刑判決を言い渡しました(詳細は「控訴審、逆転有罪判決の裏側」前編・後編を参照)。なお、東京高裁はDNA定量値については一切証拠調べをしませんでした(詳細は脚注1))。2.上告での活動弁護人は、上告するとともに、10名を超える専門家(大学教授を中心としたDNAの専門家およびせん妄の専門家)の意見書を提出しました。その要旨は、当時のAがせん妄状態にあり幻覚体験していた可能性が高いこと、DNA定量検査は検査原理に反し検査結果に信用性がないこと、鉛筆書きのワークシートが消しゴムで消されたり加筆されたりしており、科学鑑定とは言い難いこと、DNA抽出液が廃棄されているなど再現性がない等の意見が寄せられました(詳細は「判決の争点」前編を参照)。3.最高裁判決内容最高裁は、東京高裁が信用できるとした検察側証人の「見解が医学的に一般的なものではないことが相当程度うかがわれる」として、その証言の信用性を否定しました。他方で、DNAが多量に付着しているとすると、A証言の信用性が肯定できると見る余地もあるため、本件DNA定量検査が検査原理に反して実施されていたことや、標準資料の増幅曲線や検量線が作成されていないことが検査結果にどのような影響を与えるのか、いまだ不明なところがあるため、これを審理する必要があるとして、原判決を破棄し、東京高裁に差戻しました。4.最高裁判決の評価本判決に対しては、さまざまな評価があります(脚注1-2))。しかし少なくとも、一審で検査プロトコルに反したリアルタイムPCRの定量検査の結果に科学的信頼性のないことを専門家が証言しており、新たな証拠調べをする必要性が乏しいと思われます。また、アミラーゼ検査が陽性であったことを示す写真もゲル平板も存在しませんので、アミラーゼ検査が陽性であった証拠は、鉛筆書きされたワークシートの「+」との記載と、鉛筆書きして消しゴムで消したり書き直したりした検査担当者の法廷証言しかありません。このような事実関係に鑑みれば、本件については、最高裁は、新たに東京高裁で審理を求めるまでもなくすでに提出されている証拠を基に、破棄自判して無罪とすべきであったと思います(その意味で本判決は不当判決だと考えています)。なお、検察官は、控訴審の段階で、検査ノートを鉛筆書きして良いとの書籍等を証拠請求していますが、これらが明らかに科学的常識に反していることはいうまでもありません。5.今後の動向今後は、最高裁が指示した、DNA定量検査の結果である1.612ng/μLの正確性、その意味合い等について、東京高裁で審理されることとなります。そして、その結果を前提に、せん妄状態にあり幻覚体験をしたことが疑われるAの証言がどこまで事実として認定できるのか、すなわち被害体験が事実であったといえるのかどうかを、新たな裁判官で構成された東京高裁が判断することになります。脚注1)令和4(2022)年2月19日付東京新聞26面では、元東京高裁部総括判事の門野 博弁護士が『「まだ、科学鑑定で有罪にできる道がある」と検察側に助け舟を出したような印象だ。今回の事件ではDNA型鑑定に使われた試料が廃棄され再鑑定ができない上、実験記録が鉛筆で書かれるなど、捜査の過程に不備がある。科学的証拠の有罪の根拠とするには理論に寸分の緩みもあってはならず、最高裁がこの問題点に言及しなかったのは残念だ。』と述べたと報道されている2)江川 紹子氏著『“手術後わいせつ事件”の最高裁判断に江川紹子が疑義…「疑わしきは検察の利益」でよいのか』では「最高裁は、肝心の点で判断を避け、結論を先送りして、高裁に委ねた。最高裁が役割を放棄した以上、高裁は司法の責任において、司法における「科学的な証拠」とは何か、という問題に正面から向き合ってほしい。」と述べている講師紹介

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片頭痛と認知症との関係~メタ解析

 片頭痛と認知症リスクとの相関を明らかにするため、中国・The First Hospital of Jilin UniversityのWei Jiang氏らは、包括的なシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Aging Clinical and Experimental Research誌オンライン版2022年1月31日号の報告。 PubMed、EMBASE、Cochrane library databasesより、システマティックに検索した。血管性認知症を含む認知症患者の片頭痛について報告されたコホート研究(プロスペクティブおよびレトロスペクティブ)およびケースコントロール研究を抽出した。プールされた効果を分析し、95%信頼区間(CI)を用いて、相対リスクの評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・9件の研究(コホート研究:7件、ケースコントロール研究:2件)より、29万1,549例が抽出された。・片頭痛患者では、すべての原因による認知症リスクが高いことが示唆された(相対リスク:1.33、95%CI:1.16~1.53)。・4件の研究におけるプールされた結果の分析では、片頭痛が血管性認知症リスクの増加と関連していることが示唆された(相対リスク:1.85、95%CI:1.22~2.81、p=0.004)。 著者らは「片頭痛は、認知症とくに血管性認知症のリスク因子である可能性が示唆された。片頭痛と認知症との関連、その潜在的な病態生理学的メカニズムを明らかにするためには、さらなる研究が求められる」としている。

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英語で「違法薬物」は?【1分★医療英語】第19回

第19回 英語で「違法薬物」は?Do you use any recreational drugs?(娯楽目的の薬物を使っていますか?)I’ve never use them.(一度も使ったことがありません)《例文1》Do you take any medications or drugs for recreational purposes?(医薬品や薬物を娯楽目的で使用していますか?)《例文2》This patient has a history of recreational drug-induced seizure.(この患者は薬物使用によるてんかんの病歴があります)《解説》米国での臨床においては、すべての患者さんに、違法かどうかにかかわらず娯楽目的で医薬品や薬物を使用しているかを確認しています。その際、薬物の種類が限定的にならないよう、“For example, medications that have not been prescribed to you, or any street drugs.”(たとえば、処方されていない薬やストリート・ドラッグなどのことです)と付け加えます。私が住むカリフォルニア州では、娯楽用途のマリフアナ使用は認められているため、マリフアナについては処方薬や違法薬物とは別に「タバコを吸いますか?」という質問の流れで「マリフアナを吸ったり食べたりしますか?」と聞くようになりました。一方で、オピオイド中毒も深刻な問題となっており、「痛み止め等の薬を服用していますか?」という点も念入りに確認します。おまけの知識として、薬は“medication”や“drug”ですが、今回の会話例のように“drug”は使い方次第では、「違法・娯楽薬物」を連想させることがあります。日本語の場合も「薬」と「ドラッグ」では、ニュアンスが少し違いますよね。「~の薬を飲んでいる」という表現は、前置詞の“on”を使って、“I’m on antihypertensive medication.”(高血圧の薬を飲んでいます)となりますが、“What drug are you on?”(何の薬を飲んでいるのですか?)という表現にすると、“on”と“drug”の組み合わせによって、「何の(違法・娯楽)薬物を使っているの?」というニュアンスにも聞こえるので、私は仕事においては“drug”より“medication”を多く使います。ただ、医療現場では“drug”もよく使われており、多くの場合、問題は生じていません。講師紹介

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境界性パーソナリティ障害に対する心理療法~メタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)に対する心理療法の有効性は、最新のコクランレビューにより示唆されている。ドイツ・マインツ大学のJutta M. Stoffers-Winterling氏らは、単独および追加療法による心理療法の有効性をより簡潔に評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年1月28日号の報告。 成人サンプルに対する積極的な治療と非特異的な対照条件との比較に焦点を当て、2020年に実施されたコクランレビューと同様の方法で検討を行った。単独またはいくつかの治療コンポーネントの1つとして個別の心理療法を含む単独療法と既存のBPD治療を補完するために行った追加療法について、それぞれ分析した。主要アウトカムは、BPDの重症度、自傷行為、自殺関連アウトカム、心理社会的機能とした。副次的アウトカムは、その他のBPD診断基準、抑うつ症状、消耗(attrition)とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化比較試験31件より、1,870例が抽出された。・単独療法の中で、統計学的に有意な効果が観察されたのは、以下のとおりであった。 【弁証法的行動療法(DBT)】(確実性:低)  ●自傷行為(標準化平均差[SMD]:-0.54、p=0.006)  ●心理社会的機能(SMD:-0.51、p=0.01) 【メンタライゼーションに基づく治療】(確実性:低)  ●自傷行為(リスク比:0.51、p<0.0007)  ●自殺関連アウトカム(リスク比:0.10、p<0.0001)・併用療法の中で、統計学的に有意な効果が観察されたのは、以下のとおりであった。 【DBTスキルトレーニング】(確実性:中)  ●BPDの重症度(SMD:-0.66、p=0.002)  ●心理社会的機能(SMD:-0.45、p=0.002) 【感情調節グループセラピー】(確実性:低)  ●BPDの重症度(平均差:-8.49、p<0.00001) 【マニュアルアシスト認知療法】(確実性:低)  ●自傷行為(平均差:-3.03、p=0.03)  ●自殺関連アウトカム(SMD:-0.96、p=0.005) 【STEPPS療法】(確実性:低)  ●BPDの重症度(SMD:-0.48、p=0.002)  著者らは「BPD患者に対する心理療法的介入は、有用であると結論付ける合理的なエビデンスが示唆された。調査結果の確実性を高めるためにも、今後の複製研究が求められる」としている。

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治療抵抗性統合失調症の酸化ストレスバイオマーカー

 統合失調症は、世界で約2,000万人が罹患している精神疾患である。統合失調症の病態生理には、酸化ストレス(酸化促進作用と抗酸化作用の不均衡)などさまざまな因子が関与している。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio PretoのPatrick Buosi氏らは、統合失調症患者の臨床情報、人口統計学的データ、ライフスタイルを用いて、酸化ストレスのバイオマーカーと薬物治療反応との関連を評価した。Trends in Psychiatry and Psychotherapy誌2021年10~12月号の報告。 治療反応性統合失調症患者26例、治療抵抗性統合失調症患者27例、健康対照者36例を対象に、末梢血サンプル、質問票を用いて臨床および人口統計学的データを収集した。分光光度法を用いて分析した酸化ストレスマーカーは、カタラーゼ(CAT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、総グルタチオン(GSH-t)、マロンジアルデヒド(MDA)、トロロックス等価抗酸化能(TEAC、p<0.05)であった。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、対照者と比較し、SOD(p<0.0001)レベルが低く、MDA(p<0.0001)、CAT(p=0.0191)レベルが高かった。・その他のマーカーについては、3群間で差は認められなかった(p>0.05)。 著者らは「統合失調症患者では、薬理学的治療反応とは無関係に、低SOD、高MDA、高CATレベルが認められた。喫煙は酸化ストレスと関連していることに加え、統合失調症では家族歴と関連していることが示唆された。このことは、統合失調症の遺伝的関連性を反映している可能性がある」としている。

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統合失調症の再発予防、薬剤30種に有効性の差はない!? /Lancet

 統合失調症の成人患者における抗精神病薬による維持療法では、再発予防に関して30種の薬剤の有効性に明確な差はなく、治療薬の選択は主に忍容性を考慮して行うべきであることが、ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Schneider-Thoma氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年2月26日号に掲載された。無作為化プラセボ対照比較試験のベイジアンネットワークメタ解析 研究グループは、統合失調症成人患者における抗精神病薬による維持療法の有効性と忍容性を評価する目的で、文献を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(ドイツ教育科学研究技術省などの助成を受けた)。 Cochrane Schizophrenia Groupの専門登録(開設時~2020年4月27日)、PubMed(2020年4月1日~2021年1月15日)、関連のある系統的レビューで対象とされた試験リストの検索が、記述言語に制限を設けずに行われた。 対象は、抗精神病薬(単剤療法、経口薬または長時間作用型注射薬)またはプラセボの投与を受け、症状が安定した統合失調症または統合失調感情障害の成人患者を募集した無作為化対照比較試験(追跡期間12週以上)とされた。特定の併存疾患や治療抵抗性を有する参加者の試験は除外された。 主要アウトカムは再発した参加者数とされ、変量効果を用いてベイジアンネットワークメタ解析が行われた。忍容性アウトカムは薬剤によって明らかな差 系統的レビューには32種の抗精神病薬の127試験(1万8,152例)に関する501編の文献が、メタ解析には31種の抗精神病薬の115試験(1万7,594例)が含まれた。115試験の年齢中央値は40歳(IQR:38~43)、女性の割合の中央値は40%(IQR:30~50)、試験期間中央値は34週(IQR:24~52)で、99試験(86%)が二重盲検試験だった。主要アウトカムのネットワークメタ解析は、30種の抗精神病薬の100試験(1万6,812例)に関して実施された。 プラセボとの比較における抗精神病薬の再発のリスク比(RR)は、すべての薬剤で1.00未満であった。95%信用区間(CrI)は、cariprazine経口薬(RR:0.65、95%CrI:0.16~1.14)、ルラシドン経口薬(RR:0.63、95%CrI:0.25~1.02)、clopenthixol長時間作用型注射薬(RR:0.51、95%CrI:0.02~1.18)は「無効」の範囲内であったが、これら以外の薬剤の95%CrIは「無効」の範囲内ではなかった。 プラセボとの比較で再発のRRが最も小さいのは、zuclopenthixol長時間作用型注射薬(RR:0.07、95%CrI:0.00~0.34)であったが、これは2つの小規模試験(合計56例、イベント1件)に基づくもので不確実性が高かった。これを除くRRの範囲は、パリペリドン経口薬の0.20(95%CrI:0.05~0.41)からcariprazine経口薬の0.65(95%CrI:0.16~1.14)までであった。 全般に、抗精神病薬間の比較のほとんどでは差がない可能性があることから、再発予防に関して、特定の抗精神病薬の優越性の明確なエビデンスはないと考えられた。 症状全般、再入院、寛解、回復、生活の質、全体的な機能の結果は、主要アウトカムとほぼ同様であった。すなわち、ほとんどの抗精神病薬はプラセボに対し優越性を有し、薬剤間の差には明確なエビデンスはなかった。 忍容性のアウトカム(抗パーキンソン病薬の使用、遅発性ジスキネジア、QTc間隔延長、体重増加、血漿プロラクチン濃度上昇、鎮静)については、抗精神病薬間で明らかな差が認められた。 著者は、「治療薬の選択では、糖尿病患者では体重増加をもたらす抗精神病薬は避けるなど、個々の患者の必要や嗜好を考慮すべきである。また、急性期治療で重要な副作用が発現しなかった患者では、同じ薬剤の使用を続けるのが賢明かもしれない。この点は、維持療法は何年も継続しなければならない場合が多く、副作用が蓄積する可能性があるため、とくに重要である」としている。

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長時間作用型抗精神病薬の使用に対する障壁

 統合失調症は、日常機能やQOLを低下させる思考、知覚、行動の障害を伴う慢性的で重篤な精神疾患である。抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、経口剤よりも長期的アウトカムを改善する可能性があるが、多くの場合、LAI抗精神病薬は疾患経過の後半で最後の治療選択として用いられている。米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、統合失調症の現在の治療パターン、臨床医の考え、LAI抗精神病薬使用に対する障壁を評価し、精神科医の統合失調症のマネジメントにおける満たされていない教育ニーズを特定しようと試みた。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年1月26日号の報告。 米国の統合失調症患者のマネジメントを行っている臨床医2,330人を対象に電子メール調査を実施し、調査を完了した379人のデータを分析した。調査には、7つの決断ポイントを有する症例ベースの報告5症例が含まれた。データの分析には、定性および定量的な方法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・臨床医は、どのタイミングで治療を開始するかを決定することに対し最も自信があり、LAI抗精神病薬への移行や実施に対し最も自信がなかった。・臨床医は、LAI抗精神病薬に適している患者像として、アドヒアランス不良例、毎日の服薬や頻繁な治療に煩わしさを感じている患者を挙げていた。・統合失調症患者の最適なマネジメントにおいて、最も重要なポイントは、患者のアドヒアランスと考えていた。・臨床医の再発に対する認識は、LAI抗精神病薬の使用について患者と話し合う、推奨することを検討する強力な因子であった。 著者らは「現在の治療が良好な場合、臨床医は患者にLAI抗精神病薬への切り替えを推奨することを躊躇する可能性が示唆された。LAI抗精神病薬による治療でベネフィットがもたらされる可能性のある統合失調症患者のケアを行っている臨床医の自信、知識、能力を向上させることを目的とした今後の研究や継続的な教育に、これらの結果は役立つであろう」としている。

2171.

女性への暴力に関する論文への精神医学的なコメント(解説:岡村毅氏)

 21世紀に入ってから行われた主に国家規模の調査を世界中で集めてWHOにより分析された論文である。15歳から49歳の女性のうち、4人に1人以上がパートナーからの暴力(性的・身体的)を経験し、7人に1人以上は直近の過去1年で暴力を経験している。 21世紀も5分の1が過ぎたが、相変わらず人間は暴力的だ。ウクライナの戦争などを見ても19世紀から大して変わっていないように見える。 アクセス可能な方は論文のFigure 4をぜひご覧いただきたい。濃い赤は過去1年の女性への暴力が多い国であるが、アフガニスタン、南スーダン、コンゴ民主共和国、東ティモール、パプアニューギニアなどは言うまでもなく最近の紛争地域である。シリアやイラクやリビアに至ってはデータがない。 コミュニティが、いや国家が破綻したときに、弱者への暴力がむき出しになるということが視覚的に明らかである。 日本にももちろん暴力はあり被害者がいることは忘れてはならないが、一定の法の支配を享受できていることを認識し、子供たちの世代にそれを継承(そして改善)するのがわれわれの仕事であろう。 人類と暴力に関しては、著名な認知科学者であるピンカーによる、暴力は人類の存在に深く組み込まれた原罪であるという立場の大著(『暴力の人類史』)が話題になった。一方で人間の本性は善であるとする立場の本(『希望の歴史』)も最近話題になった。人類が暴力的かどうか論じるのは私には荷が重いので、最後に専門的なことを平易な言葉で述べよう。 ヒトは発達において、安定した関係の中で他者との交流を続ける中で脳が発達する。そして感情を調節し、大体のことが起きても対処できるようになっていく。これにより安定した人間関係を構築できるようになる。これが社会の基盤である。自分も他人も同じように感情を調節できる(突然暴力的になったりしない)という信念がなければ、社会は成立しない。 何かの理由でこれがうまくいかない場合に、感情を遮断することで防衛しようとしたりする(これが解離である)。また大人になってからでも、過酷なストレス(たとえば暴力を受ける体験、戦争など)はせっかく確立した安定を破綻させてしまう。破綻すると、より原始的な反応、つまり戦う(Fight)逃げる(Flight)すくむ(Freeze)といった反応しかできなくなってしまう。効果のある精神療法は、治療者との間に再び感情調整のチューニングをするという機能がある。もちろん精神療法だけが回復をもたらすものではなく、さまざまなやり方がある。 つまり、パートナーからの暴力も、戦争も、人間の人間らしさ、社会の基盤を壊すということである。これを再び築くのは、たとえば精神療法という手段をとった場合でも大変な労を要する。作るのは大変だが、壊れるのは一瞬だ。いち精神科医の臨床経験からも、暴力はまったく容認できないと考える理由である。

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アルツハイマー病治療薬aducanumabのFDA承認に対する世論調査

 FDAによるアルツハイマー病治療薬aducanumabの承認については、専門家の間でさまざまな意見が出されているが、このことに関する世論については、ほとんど知られていない。米国・ジョンズホプキンス大学School of Public HealthのMichael J. DiStefano氏らは、米国成人を対象に、aducanumabのFDA承認に対する世論調査を実施した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2022年2月7日号の報告。 対象は、35歳以上の米国成人。aducanumabの承認に関する意見、FDAに対する批判因子の特定、政策対応に関する意見(メディケアおよびメディケイドサービスセンターによる全国的な補償範囲決定に関連する対応など)を調査した。調査には、全国世論調査センターAmeriSpeakパネルから得られた確率ベースのサンプルを用いて、オンライン(英語およびスペイン語)で調査した。パネルおよび調査デザインの選択確率は、人口統計による人口分布と期待反応率の違いにより算出した。選択確率と無回答を調整するため、survey weightを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・調査完了者は、1,025人であった。・回答者の約4分の3は、当初aducanumabについてあまりよくわかっていなかったが、薬剤の潜在的な臨床効果および経済的影響に関する情報を提供したところ、薬剤承認に対する支持率は低かった。・回答者の63%は、ベネフィットを受ける可能性の最も高い患者に対するaducanumabへのアクセス制限を支持すると回答した。・aducanumabのさらなる研究を行うために、軽度アルツハイマー病患者の家族を臨床試験の待機リストに登録する(71%)、ランダム化プラセボ対照試験に登録する(60%)との意見が認められた。・回答者の81%は、試験が失敗した場合、aducanumabの承認を取り消すことに同意した。・aducanumabのためにメディケアプログラムのパートB(補足的医療保険)で1~5ドル(中央値)の支払いを許容していた。 著者らは「aducanumabの承認に対する政策への世論が明らかとなった。政策を策定する際には、情報に通じた一般市民の意見を考慮する必要がある」としている。

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新型コロナウイルス感染症のメンタルヘルス関連の後遺症(解説:岡村毅氏)

 新型コロナウイルス感染症の後遺症としてメンタルヘルス関連の症状は多い。この論文によると精神疾患の診断を受ける可能性は約1.5倍に、精神疾患に対する処方を受ける可能性は約1.9倍に増える。 さらに、新型コロナウイルス感染症で入院した人に限ると、精神疾患の診断を受ける可能性は約3.4倍に、精神疾患に対する処方を受ける可能性は約5.0倍に増えるとのことだ。 認知機能低下も約1.8倍に増えている点も注目したい。 本研究では、新型コロナウイルスに感染した米国の退役軍人15万人強(平均年齢63歳、男性が90%)でコホートをつくり、これを新型コロナウイルスに感染していない同時代の退役軍人の対照群と比較している。さらに、この時代に生きる人は世界的パンデミックを体験しているが、われわれ皆がそうであるように人生観・世界観に大いに影響を受けている。そこでその影響を除くべく、新型コロナウイルス出現前の時代でも対照群をつくっている。さらにさらに、インフルエンザでの入院とも比較するという、用意周到なデザインである。 ちなみにインフルエンザでの入院に比べても精神疾患は明らかに多い。 なお、オピオイドについても処方は約1.7倍、依存は約1.3倍に増えている。オピオイドは先日のバイデン大統領の一般教書演説でも国家の4つの統一課題に挙げられていた。4つの課題とはオピオイド、メンタルヘルス、退役軍人支援、がんであるが、がん以外はこの論文にすべて含まれている! 現代米国を代表する論文であるかもしれない。オピオイド中毒死は「絶望死」といわれ現代米国社会の闇を体現しているようであり1)、わが国においても今後重要な課題になるかもしれない。 本研究の対象は、あくまで退役軍人であるため、男性が多く、比較的高齢である点は、押さえておくべきだろう。 また、ウイルス感染後に精神症状というと、何かとてつもない危機が人類に迫っているかのように報道されるかもしれない。しかし、そもそもウイルス感染後はギランバレー症候群や慢性疲労症候群などが起こるものである。医療関係者にとっては周知の事実だ。冷静に対応することも重要だ。 厚労省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」の別冊として「罹患後症状のマネジメント」というものを出しており大変わかりやすいので一読をお勧めする2)。 新型コロナウイルス感染症は、おそらくすべての人に、この自分が死ぬ可能性を想起させたという点で、東日本大震災と同様に日本人の死生観に大きな影響を与えたことであろう。後遺症が、血栓症や炎症反応の影響が大きいのか、心理社会的影響が大きいのか、それは歴史が明らかにするだろう。

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口の中が燃えるように痛い!?口腔内灼熱症候群(BMS)【知って得する!?医療略語】第7回

第7回 口の中が燃えるように痛い!?口腔内灼熱症候群(BMS)最近、口の中が燃えるように痛い病気があると聞きました。本当にそんな病気があるのですか?そうなんです、本当にあるんです!文字通り、口の中の灼熱感を特徴とする口腔内灼熱症候群(BMS)という疾患があります。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】BMS【日本語】口腔内灼熱症候群【英字】burning mouth syndrome【分野】脳神経【診療科】耳鼻科・歯科口腔外科・疼痛治療科・心療内科【関連】一次性BMS・二次性BMS・舌痛症※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。口腔内のヒリヒリ、ピリピリした不快な灼熱感を訴える患者さんは、口腔内灼熱症候群(BMS:Burning mouth syndrome)を想定する必要があるかもしれません。恥ずかしながら、筆者が最近まで知らずに過ごしてしまった疾患の1つです。BMSは、幅広い診療科の医師が遭遇する可能性があるため、今回紹介いたします。BMSは国際頭痛分類第3版において、「3ヵ月を超えて、かつ1日2時間を超えて連日再発を繰り返す、口腔内の灼熱感または異常感覚で、臨床的に明らかな原因病巣を認めないもの」と定義されており、口腔粘膜は外見上正常、感覚検査を含めた臨床診察は正常とされています。BMSの原因は、歯科処置や口内炎などの局所的異常が原因とされていますが、発症契機が不明な場合も多いようです。また、BMSは心理社会課題や精神疾患の合併が多いことを指摘する研究報告がある一方、BMS患者の舌生検で粘膜上皮の神経線維に器質的変化を認めたことが報告され、近年はfMRIによる研究も進められています。さらに近年、BMSは一次性BMSと二次性BMSに区別される傾向にあります。二次性BMSの原因は、全身疾患と局所疾患に分類され、全身疾患に伴う二次性BMSの基礎疾患には薬剤誘発性、貧血(Plummer Vinson症候群)、シェーグレン症候群、糖尿病が挙げられており、BMS患者の診療では、血液検査による貧血、ビタミンB12、葉酸、微量金属(亜鉛・銅)のスクリーンニングの必要性が指摘されています。なお、BMSの口腔内疼痛症状は、日内変動も報告され午前より午後に強くなる傾向があるそうです。筆者が遭遇したBMS患者さんも同様の傾向が見られ、灼熱感を和らげるため冷水の多飲がみられたことを付記します。近年、増加傾向が指摘されているBMS。お時間が許せば、以下の論文をご一読ください。1)羽藤 裕之他. 1次性burning mouth syndrome患者の臨床的検討. 日口内誌. 2020;26:8-15.2)山村 幸江. 口腔灼熱症候群・舌痛症の診療. 耳鼻臨床. 2018;111:148-149.3)任 智美. 舌痛症の取り扱い. 日耳鼻. 2016. 119-144.4)日本頭痛学会:国際頭痛分類第3版(第3部)

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若者がADHD治療薬の使用を中止する理由

 注意欠如多動症(ADHD)は、成人期まで継続する可能性のある神経発達障害である。ADHD治療薬は、継続的に使用することが重要であるにもかかわらず、若者の多くは成人期にやめてしまうことが少なくない。そのため、成人期よりADHD治療薬を再開することもあり、中止が時期尚早であった可能性が示唆されている。英国・エクセター大学のDaniel Titheradge氏らは、若者がADHD治療薬を中止してしまう理由について、調査を行った。Child: Care, Health and Development誌オンライン版2022年1月31日号の報告。 CATCh-uS(Children and Adolescents with ADHD in Transition between Children's services and adult Services)プロジェクトの定性データを用いて、ADHD治療薬の使用中止理由を調査した。若者を次の3群に分類した。(1)成人向け治療介入移行前の若者21例(2)成人向け治療介入への移行が成功した若者22例(3)小児向け治療介入離脱後、成人向け治療介入を再度受けた若者21例。対象患者には、半構造化面接を実施し、主題分析およびフレームワーク分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療薬の使用を中止した理由は、以下のとおりであった。 ●薬物治療のベネフィットと副作用のバランス ●小児期のADHDの認識および教育障害 ●若者の生活環境と治療介入へのアクセスの課題 著者らは「ADHDの若者における長期的な予後やQOL改善のためには、ADHD治療薬の中止に対処するための多元的アプローチ、非薬理学的治療へのアクセスや心理教育の改善などが必要とされる。これら、若者のADHD治療薬の中止理由は、ADHD特有のものではないため、小児でみられる他の慢性疾患においても、服薬アドヒアランスと関連していると考えられる」としている。

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抗CGRP抗体フレマネズマブの使用継続による効果の変化

 片頭痛の予防的治療の主な目的は、発作頻度の減少、重症度の軽減、期間の改善、片頭痛関連障害の軽減などである。これまでの片頭痛予防薬では、投与を継続するたびに、次の投与を行う前に臨床症状の再発または悪化が認められる減弱効果が報告されている。米国・The Headache Center of Southern CaliforniaのAndrew M. Blumenfeld氏らは、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体フレマネズマブの四半期ごとまたは月1回投与において、継続投与により有効性の減弱効果が認められるかについて、検討を行った。Headache誌2020年11月号の報告。 慢性片頭痛(CM)または反復性片頭痛(EM)患者に対する12週間のフレマネズマブ投与を評価した第III相試験であるHALO試験および追加サブセットとして追加された312例の新規患者を対象に、12ヵ月間の長期多施設ランダム化二重盲検並行群間第III相試験を実施した。CMまたはEM患者に対し、月1回または四半期ごとのフレマネズマブ投与を行った。本事後分析では、投与後1~2週目と3~4週目、1~3週目と4週目、1~2週目と11~12週目における平均片頭痛日数の差を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は1,890例(CM:1,110例、EM:780例)であった。・3、6、9、15ヵ月目において、週ごとの平均片頭痛日数の差は、投与後1~2週目と3~4週目、1~3週目と4週目では認められなかった。・第1四半期(1~3ヵ月)または第2四半期(4~6ヵ月)において、1~2週目と11~12週目の週ごとの平均片頭痛日数に実質的な増加は認められなかった。・週ごとの平均片頭痛日数は、CMおよびEM患者のいずれにおいても、投与方法にかかわらず最初の2週間で大幅な減少(30~42%)が認められた。平均片頭痛日数の減少は、第1四半期の最後の2週間で安定しており、第2四半期以降も同様な反応が維持されていた。 著者らは「長期第III相試験のデータを用いた事後分析では、フレマネズマブの四半期ごとまたは月1回投与を行った患者では、投与間隔の終わりに向かって有効性の減弱効果が認められないことが示唆された」としている。

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高齢者に対するベンゾジアゼピン使用の安全性

 高齢者に対するベンゾジアゼピン(BZD)使用については、とくに長期使用に関して、各ガイドラインで違いが認められる。カナダ・トロント大学のSimon Jc Davies氏らは、高齢者に対する継続的または断続的なBZD使用に関連するリスクの比較を、人口ベースのデータを用いて実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2022年2月1日号の報告。 医療データベースよりBZDの初回使用で抽出されたカナダ・オンタリオ州の66歳以上の成人を対象に、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。初回使用から180日間の継続的および断続的なBZD使用は、性別、年齢、傾向スコアでマッチ(比率1:2)させ、その後最大360日フォローアップを行った。主要アウトカムは、転倒に伴う入院および救急受診とした。アウトカムのハザード比(HR)は、Cox回帰モデルを用い算出した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、継続的なBZD使用患者5万7,041例およびマッチさせた断続的なBZD使用患者11万3,839例。・フォローアップ期間中の転倒に伴う入院および救急受診率は、継続的なBZD使用患者で4.6%、断続的なBZD使用患者で3.2%であった(HR:1.13、95%信頼区間:1.08~1.19、p<0.0001)。・股関節骨折、入院および救急受診、要介護による入院、死亡などのほとんどの副次的アウトカムリスクは、継続的なBZD使用患者で有意に高かった。手首の骨折では、有意な差は認められなかった。・BZD使用量の調整により、HRへの影響を最小限に抑制することが可能であった。 著者らは「継続的なBZD使用は、断続的なBZD使用と比較し、BZD関連の有害リスクが有意に上昇することが示唆された。有害リスクの評価は、BZDの使用期間が症状に対する合理的な選択肢であるかを検討するうえで、患者および臨床医の意思決定に役立つ可能性がある」としている。

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複雑性PTSD診断におけるICD-11導入後の期待

 複雑性PTSDはICD-11で初めて定義された疾患であり、PTSD診断の特徴であるトラウマ的症状に加え、自己組織化の障害(感情調節障害など)が認められる疾患である。デンマーク・オールボー大学のAshild Nestgaard Rod氏らは、複雑性PTSDの診断に対するICD-11の臨床的有用性について、調査を行った。European Journal of Psychotraumatology誌2021年12月9日号の報告。 ICD-11に含まれる国際的なフィールド調査、構成および妥当性の分析をレビューし、診断方法、国際トラウマアンケート(ITQ)、国際トラウマインタビュー(ITI)を調査した。複雑性PTSDと境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療、臨床的関連性の違いを明らかにするため、独立した分析を実施した。複雑性PTSD治療への影響は、既存のガイドラインと臨床ニーズを参照し、検討した。 主な結果は以下のとおり。・ITQおよびITIの検証では、複雑性PTSDのさらなる臨床診療への定着に貢献し、臨床的コミュニケーションと治療促進の双方に対する構成の的確な評価、意図された有益な価値が提供されていた。・経験的研究では、複雑性PTSDは、PTSDおよびBPDと鑑別可能であることが示唆されているが、BPDとPTSDの併存症例は、複雑性PTSDとされる可能性が認められた。・複雑性PTSDの診断治療において、自己組織化の障害を考慮したうえで、PTSDの確立された診断方法を用いる必要がある。 著者らは「複雑性PTSDがICD-11で定義されたことにより、治療介入へのアクセスが改善されるだけでなく、とくにストレス関連障害の研究により注目が集まるであろう。このような追加診断による臨床的有用性の価値は、ICD-11が臨床診断に導入される2022年以降、さらに明らかになると考えられる。今後、複雑性PTSDの症状評価や治療にベネフィットがもたらされることが期待される」としている。

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精神科入院患者へのベンゾジアゼピン使用に対するCOVID-19の影響

 オーストラリア・Cumberland HospitalのNancy Zaki氏らは、COVID-19が急性期精神医学においてベンゾジアゼピンの使用増加に影響を及ぼすかについて、検討を行った。Australasian Psychiatry誌オンライン版2022年2月10日号の報告。 2019~20年の2年間にわたり、2つの急性期精神科入院患者ユニットにおけるベンゾジアゼピン使用率を評価した。同時期における経口アトルバスタチン使用率を比較対象として使用した。 主な結果は以下のとおり。・2020年の総入院患者数は減少したものの、2020年4月~12月のベンゾジアゼピン使用量は、2019年の同時期と比較し、有意な増加が認められた。・パンデミックの制限が緩和された後、使用量はさらにピークを迎えていた。これは、救急でのメンタルヘルス症状および急性期精神科入院の割合の高さによるものであると考えられる。・COVID-19による退院制限も、喫煙のさらなる制限につながっていた。 著者らは「COVID-19パンデミックにより、ベンゾジアゼピン使用は増加した。パンデミックが急性の精神医学的症状に及ぼす影響を理解するためには、より多くの研究が求められる」としている。

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富とうつ病との関係

 うつ病と収入との関係については、逆相関が認められるといわれている。しかし、富とうつ病との関連はあまりわかっていない。米国・ボストン大学のCatherine K. Ettman氏らは、富とうつ病との関係についてこれまでの文献から何がわかっているかについて調査するため、スコーピングレビューを実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2022年2月8日号の報告。 2020年7月19日までの報告を、Medline(PubMed経由)、Embase、PsycINFO、PsycArticles、EconLit、SocINDEXより検索した。抽出された96文献をレビューした。文献の主な特徴は、発行年、サンプルサイズ国、研究デザイン、うつ病の定義、富の定義、富とうつ病の関係であった。詳細なチャートレビューには、32の縦断研究を含めた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病の定義は、全体的に比較的標準的な方法で行われていた。・一方、富の定義と測定は、研究により大きく異なっていた。・フルレビュー研究の多く(56件、58%)および縦断チャートレビュー研究の半数(16件、50%)は、富とうつ病との関係に逆相関が認められると報告していた。・縦断チャートレビューにおいて、以下の影響が示唆された。(1)マクロ経済のイベントがうつ病に影響(2)富の状態は、ライフコース全体のうつ病に影響(3)失業などのストレスに直面した際の、富のうつ病保護作用(4)富の認識、相対的な比較、社会的地位などの主観的または心理社会学的因子が、富とうつ病との関係を変化(5)貯蓄は状況により異なるが、うつ病の軽減が期待 著者らは「これらの調査結果より、メンタルヘルスに関する検討などを行う上で、富を考慮するべきであることが示唆された」としている。

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