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第31回 ワクチン浸透のシナリオにインフルワクチン難民の出現は好機?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下でのインフルエンザ同時流行を懸念して今年のインフルエンザワクチンの接種は異例の事態となっている。厚生労働省が事前に「高齢者優先」を呼び掛けて10月1日からスタート。今シーズンは例年よりも多い成人量換算で約6,640万人分のワクチンが確保されたというが、高齢者以外への接種が本格的に始まった10月26日からわずか1週間ほど経た現在、すでにワクチン接種の予約受付を停止した医療機関も相次いでいるという。実は、私はまさにインフルエンザワクチンスタート日の10月1日に接種している。これはたまたま馴染みの医療機関がかかりつけの高齢者には既に9月中旬~下旬に接種を開始し、さらに高齢者での接種者増加も十分に見込んだ発注を終えていたこともあり、高齢者の接種希望者が多くない平日の午後を中心に高齢者以外の接種予約も進めていたからである。ちなみに面識のある複数の開業医に話を聞くと、一様に今年はインフルエンザワクチンの接種希望者が多く、しかも一見さんの割合が多いと口にする。ある知り合いの医師は、Facebookでの投稿で10月だけで3,000人に接種したと記述していたのだから驚く。ワクチン接種の予約を停止した医療機関の多くは、12月までの入荷を見越しても、もはやこれ以上の接種予約を受け付けるのは不可能という判断らしい。そうした中でワクチン接種を求めてさまよう「ワクチン難民」も出始めているという。私のような仕事をしていると、この手の状況や家族が重病になった時に「どこへ行けば?」的な相談が来ることが少なくない。実際、今回も「どこに行けば打てるんだろうか?」「子供が受験生なので何とかならないかな?」という相談がもはや10件以上来ている。たぶん医療従事者の皆さんは私以上にその手の相談攻勢にさらされていると思われる。これらに対しては相談者の居住地域の開業医一覧が乗っている医師会のHPがあれば、それを教えて個別の医療機関に問い合わせするよう促し、各医療機関にワクチンが再入荷するであろう11月下旬前後まで落ち着いて待つように伝えるぐらいしかできない。そして、今回そうした相談を寄せてくる人に見事に共通しているのが、これまでほとんどインフルエンザワクチンの接種歴がないこと。それゆえかかりつけ医もなく、情報も不足しているので「ワクチン難民」という状況である。これを自業自得と言ってしまうのは簡単だが、ちょっと見方を変えるとこれがワクチンへの一般人の理解を浸透させる新たなチャンスにも見えてくる。改めて言うまでもないが、ワクチンとは基本的に健康な人に接種するものである。しかも、その効果は予防あるいは重症化リスクの低下であり、接種者は実感しにくい。この点は検査値や自覚症状の改善が実感できる薬とは根本的に受け止め方が異なる。根拠の曖昧な反ワクチン派がはびこってしまう根底には、このように侵襲が伴うにもかかわらず効果を自覚しにくい、そして時として副反応が報告されてしまうワクチン特有の構造的な問題が一因と考えられる。そして、ワクチンの中でも比較的信頼度の低いものの代表格がインフルエンザワクチンである。これは一般人のワクチンに対する直感的な理解が「ワクチン=予防=打ったら完全にその感染症にかからない」であり、インフルエンザワクチンは麻疹、風疹のワクチンのようなほぼ完全に近い予防効果は期待できない。ところがこうした「誤解」が不信感の種になりやすいのである。実際、毎年インフルエンザシーズンになるとTwitterなどでは「インフルエンザワクチンは効かない」「ワクチン打ったのにかかったから、もう2度と打ちたくない」など、反ワクチン派に親和性の高い言説が飛び交う。ここでは釈迦に説法だが、インフルエンザワクチン接種による予防効果、つまり一般人の理解に基づく「ほぼ完全に予防できる効果」に近い数字は、たとえば小児では2013年のNEJMにVarsha K. Jainらが報告した6割前後というデータがある。これに加え重症化のリスクを低減でき、18歳未満でのインフルエンザ関連死は65%減らせるし、18歳以上の成人での入院リスクを5割強減らす。私は今回個人的に相談をしてきた人にはこうした話を必ずしている。彼らに知ってもらいたいのは「ワクチンの中には完全な予防効果が期待できないものの、重症化のリスクを減らす種類のものがあり、その接種でも意味がある」ということだ。とりわけ今のようなCOVID-19流行下では、医療機関は発熱患者が受診した際にその鑑別で頭を悩ませることになる。すでに日本感染症学会は「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」でインフルエンザとCOVID-19の鑑別について、患者の接触歴やその地域での両感染症の流行状況、さらにインフルエンザに特徴的な突然の発熱や関節痛、COVID-19に特徴的な味覚・嗅覚障害などの症状を加味して、どちらの検査を優先させるかを決定するよう提言している。しかし、それでも多くの医師は事前鑑別には苦労するだろう。その中で予めインフルエンザワクチンを接種していれば、鑑別の一助にはなるだろう。そうしたことも私は相談者に話している。前述した「チャンス」とはまさにこのような、なんだかよく分からないけど今の雰囲気の中でインフルエンザワクチン接種を切望し、今後流れ次第で親ワクチン派、反ワクチン派のいずれにでも転びかねない人に少しでも理解を深めてもらうチャンスである。正直、メディアの側にいるとワクチンの意義という非常に地味なニュースほど一般に浸透しにくいことを痛いほど自覚している。だからこそ繰り返し伝えること、そして身近な人に確実に伝えることを辛抱強くやるしか方法はないと常に考えている。そしてこれは多忙で患者とじっくり話す時間が取れないことが多い状況であることは承知のうえで、医療従事者の皆さんにも実践してほしいことである。

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「抗菌薬は風邪に効果あり」の誤認識、若年・高齢層でいまだ多く

 11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」である。今年は年初から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生・流行があったが、いま一度、抗菌薬および抗生物質の適切な認識と使用について考える契機としたい。国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターが先月取りまとめたインターネット調査の結果によると、10代・60代の7割および20代の6割近くが、抗菌薬・抗生物質は風邪に「効果がある」と誤って認識していることがわかった。一方、風邪症状で医療機関を受診した4割が抗菌薬を処方されており、回答者全体の2割が、風邪で今後受診する際に抗菌薬の処方を希望していることも明らかになった。 本調査は、抗菌薬・抗生物質および薬剤耐性について、一般の人がどう認識しているのかを把握し、問題点と今後の取り組みの方向性を提示することを目的に、2020年8月、全国の10~60歳代以上の男女700人を対象に、インターネット上で行われた。風邪症状で受診した43.0%に抗菌薬処方、患者側も効果を期待か 回答者全体の21.7%(152人)が、今年1~8月の期間に風邪症状を経験した。このうち、56.6%(86人)が医療機関を受診し、43.0%に対し抗菌薬が処方されていた。また、全体の26.4%が今後、風邪で受診した時に抗菌薬の処方を希望していた。 抗菌薬の知識を問う設問(「抗菌薬・抗生物質は風邪に効果がある」についての正誤、「あてはまらない」が正解)への正答率(「不明」を除く)を年代別に見ると、30~50歳代では50%程度が正しく回答した一方、10歳代の正答率は26%、20歳代では43%、60歳代以上も30%程度にとどまっていた。過去の調査結果と比較すると、「抗菌薬は風邪に効果がないことを知っている人が少しずつ増えている可能性がある」としているが、依然、多くの年代で風邪の治療に抗菌薬が有効であると認識されており、処方薬の多さもその一因になっているのではないだろうか。AMRの温床、抗菌薬の飲み残しの「保管」「転用」も 処方した抗菌薬・抗生物質を患者が自己判断で中止したり、以前の飲み残しを別の不調時に転用したりする不適切使用は、新たなAMRを生む温床になりかねない。しかし本調査では、全体の25.7%が「治ったら途中で飲むのを止める」、8.9%が「途中で忘れてしまい飲み切っていない」と回答していた。また、飲み残しの抗菌薬の取り扱いについての設問(複数回答可)に対し、「いつか使おうと思ってとってある」(31.6%)、「体調が悪い時に飲んだことがある」(21.0%)、「人にあげたことがある」(1.0%)など、不適切な取り扱い方を回答に挙げた人が少なくないことは注視すべきである。 COVID-19への厳しい警戒状態は依然続いている上、これからインフルエンザや風邪の流行期となる。ただ、コロナ対策を通じて市民の感染症予防への意識は例年より高まっているはずであり、これを適切な抗菌薬の使い方を再確認する好機としたいところだ。

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HPVワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第5回

ワクチンで予防できる疾患ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)ワクチンは、HPV感染と感染によって発症する疾患を予防する。その代表が子宮頸がんである。HPV感染は、女性では、子宮頸がんのほか、肛門がん、膣がん、外陰部がん、口腔咽頭がん、肛門性器疣贅(尖圭コンジローマ)、男性では、肛門がん、陰茎がん、口腔咽頭がん、肛門性器疣贅の原因となる。HPVはヒトのみに感染する2本鎖DNAウイルスで、性交渉によって感染する。HPV感染はほとんどが一時的で典型的には12ヵ月以内に消失するが、12ヵ月を超えて感染が持続した場合に、数年の経過でがんを発症することがある1)。HPVには200種類以上のジェノタイプがあり、ジェノタイプによって、がんの発症リスクと発症する疾患が異なる(表1)。子宮頸がんの発症リスクが高い高リスクなジェノタイプは16型と18型がよく知られている。子宮頸がんの組織型のうち、扁平上皮がん、腺がん、腺扁平上皮がんは、約70%が、高リスク群である16型と18型が原因となる。そのほかのジェノタイプ、31, 33, 45, 52, 58型を加えると、約90%を占める2,3)。表1 HPVジェノタイプと関連疾患画像を拡大する子宮頸がんは、持続的なHPV感染によって、前がん病変である子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia:CIN)やadenocarcinoma-in-situを経て発症する。CINは、組織学的にCIN1、CIN2、CIN3の3つに分類され、がんの発症リスクと関連している。CIN1やCIN2は通常がんへ進行することはまれで、正常組織へ戻るほうが多いと報告されている。CIN1からCIN3への進行は1年で1%程度だが、CIN2からCIN3への進行は2年以内に16%、5年以内に25%と上昇する。さらに、子宮頸がんやadenocarcinoma-in-situへの進行は、CIN2とCIN3は、CIN1と比較すると4.2倍のリスクがある。異形成が重度になるほどがん発症のリスクは高まる8)。ワクチンの概要(効果・副反応・生または不活化・定期または任意・接種方法)1)ワクチンの効果HPVワクチンには2価ワクチン(Cervarix)、4価ワクチン(Gardasil)、9価ワクチン(Gardasil 9、2020年に日本承認されたものは商品名をシルガード9という)の3種類が存在する。それぞれカバーするHPVの型が異なり、2価ワクチンは16, 18型、4価ワクチンは6, 11, 16, 18型、9価ワクチンは6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58型をカバーする(表2)。16, 18型は子宮頸がんの原因の約70%を占め、31, 33, 45, 52, 58型で約20%を占めるため、9価ワクチンでは子宮頸がんの原因の約90%をカバーできる。表2 HPVワクチンとカバーするHPVジェノタイプ画像を拡大するHPVワクチン接種により、HPV感染、子宮頸がんの前がん病変であるCIN2〜3、adenocarcinoma-in-situ、尖圭コンジローマ、肛門感染が減少することが示されてきた9)。前がん病変を確認した後に子宮頸がんが発症するまで放置するのは非倫理的であり、こうした病変は切除される。よって、がんに進行する前段階であり外科的治療の対象となる高悪性度の前がん病変の発生がエンドポイントに設定された。これまで、子宮頸がんの減少を直接示した報告はなかったが、本稿執筆中(2020年10月)に子宮頸がんが減少することを示した研究が発表された10)。若年女性に対する4価ワクチンの効果を検討した“FUTUREII”というランダム化比較試験では、15〜26歳の女性に4価ワクチン接種を行ったところ、48ヵ月の追跡期間で、プラセボと比較して、HPV16型または18型に関連したCIN2〜3、adenocarcinoma-in-situを含む前がん病変発症が98%減少した。CIN2単独では100%、CIN3では97%、adenocarcinoma-in-situでは100%の有効率が示された11)。また、10〜30歳の女性を対象とした、4価ワクチンの効果を検討したスウェーデンのコホート研究では、ワクチン接種者と非接種者を比較した場合、年齢補正後の子宮頸がんの発生率比は、0.51(95% CI,0.32-0.82)、暦年・居住地や親の特徴を追加補正した後の子宮頸がん発症率比は、0.37(95% CI,0.21-0.57)であり、初めて子宮頸がんが減少することが示された。4価ワクチンを17歳未満で接種した方が、17〜30歳で接種した場合よりも、子宮頸がんの発症が減少した10)。27〜45歳女性に対する4価ワクチンの研究では、予防効果は、CIN≧2の高度異形成は83.3%、尖圭コンジローマは100%と高く、接種後少なくとも10年間の予防効果が示された12)。9価ワクチンについては、16〜24歳の女性において、9価ワクチンと4価ワクチンの効果を48ヵ月追跡し比較した研究で、ワクチン接種前のHPV感染の有無に関わらず、高悪性度の子宮頸部や外陰部および膣の疾患(CIN、adenocarcinoma-in-situ、子宮頸がん、外陰上皮内腫瘍、膣がんを含む)の累積罹患率は100万人あたり14人と同等であった。また、9価ワクチンでカバーできる高悪性度の31, 33, 45, 52, 59型関連疾患(CIN, adenocarcinoma-in-situ, 子宮頸がん, 外陰上皮内腫瘍, 膣がんを含む)の罹患率については、9価ワクチンは100万人年あたり0.1人で、4価ワクチンは100万人年あたり1.6人であり、9価ワクチンの有効率は96.7%と高いことが示された13)。2)ワクチンの副反応主に報告されているワクチン接種後の有害事象は、注射部位の疼痛、腫脹、紅斑、掻痒感、全身症状は、頭痛、発熱、悪心、めまい、倦怠感などである14)。9価ワクチン接種者15,776例では、頭痛2,090例(13.2%)、発熱955例(6.1%)、失神36例(0.2%)が報告され、重篤な副反応は少なく0.1%未満であった15)。また、2009〜2015年にワクチン有害事象報告システムに報告された4価ワクチンの副反応は、合計60,461,220回接種のうち19,720例(0.03%)報告され、失神が100万接種あたり47例、体位性頻脈症候群(postural orthostatic tachycardia syndrome:POTS)やギラン・バレー症候群が100万接種あたり約1例、複雑性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)が100万接種あたり0.28例報告された16)。日本では、副反応としてCRPS、POTSに類似する病態、記憶障害や見当識障害などの高次脳機能障害や認知機能障害の報告が相次ぎ、それらは2014年に入り、HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HPV vaccine associated neuropathic syndrome:HANS)と呼ばれるようになった。HPVワクチンと、副反応と報告された症状との因果関係を調べる目的で行われた名古屋スタディでは、中学3年生〜大学3年生の女性約7万人を対象にアンケートを実施し、月経不順、疼痛、倦怠感、記憶障害、歩行困難、四肢の脱力を含む24の症状に関してワクチン接種者と非接種者とで比較したところ、症状発現に差はなく、ワクチンとそれらの症状との因果関係は示されなかった17)。接種スケジュールわが国では、HPVワクチンは2013年4月に定期接種化されたが、その後、副反応の報告が相次ぎ、同年6月に接種の積極的な勧奨が一時差し控えとなった。しかし、現在でも、A類の定期接種ワクチンに含まれている。画像を拡大する日本では、小学6年生〜高校1年生相当の女性に2価または4価ワクチンの3回接種が推奨されている。接種のタイミングは、2価ワクチンでは、初回接種、初回接種後1ヵ月、6ヵ月、4価ワクチンでは、初回接種、初回接種後2ヵ月、6ヵ月となっている。最近では、2020年7月21日に9価ワクチンであるシルガード9が、日本で製造販売承認された。9価ワクチンは、いまだ日本では定期接種化されていない(2020年10月現在)。画像を拡大する世界保健機関(World Health Organization:WHO)や米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)は図3のように9〜14歳の男女全員に最低6ヵ月あけて2回のワクチン接種(0、6〜12ヵ月)を推奨している(男性は4価と9価ワクチンのみ承認)。12〜15ヵ月以上はあけないこと、5ヵ月以内に2回目を接種した場合は、初回から少なくとも6ヵ月あけて3回目の接種を行うことを推奨している18)。HIV、悪性腫瘍、造血幹細胞移植後、固形臓器移植後、自己免疫性疾患、免疫抑制薬使用中などの免疫不全者や、15歳以上の場合には、3回接種(0、1〜2、6ヵ月)が推奨されている。当初は、すべての対象者に3回接種が推奨されていたが、9〜14歳の場合、2回接種(0、6ヵ月)と3回接種(0、1〜2、6ヵ月)では免疫原性に差がないことが示されたため、2014年にWHOは2回接種に推奨を変更した19-22)。最近では、子宮頸部の高悪性度病変の発症をエンドポイントとしたコホート研究が報告され、16歳以下で4価ワクチンを接種開始した女性において、1〜2回接種は、3回接種と同等にCIN3以上の高悪性度病変に対する有効性が示されている23)。また、2価または4価ワクチンで接種を開始した場合に、9価ワクチンでシリーズを終了することは可能となっている。ただし、2価または4価ワクチンを3回接種終了後に9価ワクチンを追加接種することは推奨されていない24)。27〜45歳については、HPVワクチン接種の推奨はない。ただし、感染していない型のHPVに対する新規感染を予防するメリットはあり、実際CIN、尖圭コンジローマを有意に減少されることは示されている25)。接種のメリットがある場合は、医師と話し合いの上、接種を行うことが考慮できるとなっている。図3 米国予防接種諮問委員会(ACIP)やWHOにおけるHPVワクチン接種スケジュール画像を拡大する日常診療で役立つ接種ポイント接種は、筋注で行う。まれに、失神の報告があることから、失神による転倒や怪我を予防するため、ワクチン接種は座位または臥位で実施し、接種後は座位で15分間経過観察するよう推奨されている。注意点は、妊婦に対する安全性は確立していないこと、接種の禁忌は、HPVワクチンでのアナフィラキシーの既往、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のアレルギーがある。今後の課題・展望WHOは2030年までにすべての国で、子宮頸がんの罹患率を100,000人年あたり4人未満、子宮頸がんの死亡率を30%減少させることを目標として掲げている。そのため、諸外国ではHPVワクチンプログラムが立ち上げられ、HPVワクチンの接種が積極的に行われている。オーストラリアでは、2019年10月の報告で、子宮頸がんの発症率は、2014年で100,000人年あたり7.4人だが、2020 年までに 100,000人年あたり6人未満、2028 年までに 100,000人年あたり4人未満に減少し、2066年には 100,000 人年あたり1人未満という非常にまれながんになることが予想されている26)。一方、日本は、2017年の子宮頸がんの罹患率は、100,000人年あたり16.9人で、ワクチン接種率は1%未満といった現状である27)。最近、オーストラリアの研究グループは、日本が2013年6月から現在に至るまで、HPVワクチン接種を差し控えたことによる、子宮頸がん罹患数や死亡数への影響について報告した。1994〜2007年に生まれた女性(2002年生まれ以降の女性の20歳までのワクチン接種率は1%未満)に関して、生涯における子宮頸がん罹患数が80,200〜82,100人、死亡数が16,500〜16,800人のところ、もし、2013年のワクチン接種の差し控えがなく接種率が70%で維持されていた場合、罹患数は52,900〜57,500人、死亡数は10,800〜11,800人となり、それぞれ24,600〜27,300人、5,000〜5,700人減少すると推定された。また、今後2020年以降の接種率が70%に回復し、キャッチアップも行った場合には、罹患数は64,000〜67,300人、死亡数は13,100〜13,800人となり、14,800〜16,200人の発症と3,000〜3,400人の死亡を防ぐことが可能であると推測した28)。9価ワクチンのシルガード9が承認され、ようやくHPVワクチンに対して、再度社会が動き始めたようだ。しかし、実際のところ、定期接種であることの周知や、積極的なワクチン接種までは進んでいない。早急に接種の積極的な勧奨を再開し、将来的には、子宮頸がんで苦しむ人がいなくなることを期待している。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト1)Joel M Palefsk. Up to date. Human papillomavirus infections: Epidemiology and disease associations.2)de Sanjose S, et al. Lancet Oncol. 2010;11:1048-1056.3)Schiffman M, et al. Lancet. 2007;370:890-907.4)EM Burd. Clin Microbiol Rev. 2003;16:1–17.5)Muñoz N, et al. N Engl J Med. 2003;348:518-527.6)D'Souza G, et al. N Engl J Med. 2007;356:1944-1956.7)Olesen TB, et al. Lancet Oncol. 2019;20:145-158.8)Holowaty P, et al. J Natl Cancer Inst. 1999;91:252-258.9)Bosch FX, et al. Vaccine. 2013;31:H1-31.10)Lei J, et al. N Engl J Med. 2020;383:1340-1348.11)FUTURE II Study Group. N Engl J Med. 2007;356:1915-1927.12)CDC.9vHPV Vaccine for Mid-Adult Persons (27-45 yo) Results from Clinical Studies.13)Joura EA, et al. N Engl J Med. 2015;372:711-723.14)Dahlström LA, et al. BMJ. 2013;347:f5906.15)Moreira ED Jr, et al. Pediatrics. 2016;138:e20154387.doi:10.1542/peds.2015-4387.16)Arana JE, et al. Vaccine. 2018;36:1781-1788.17)Suzuki S, et al. Papillomavirus Res. 2018;5:96-103.18)WHO.Comprehensive Cervical Cancer Control.19)Dobson SR, et al. JAMA. 2013;309:1793-1802.20)Puthanakit T, et al. J Infect Dis. 2016;214:525-536.21)Iversen OE, et al. JAMA. 2016;316:2411-2421.22)Huang LM, et al. J Infect Dis. 2017;215:1711–1719.23)Verdoodt F, et al. Clin Infect Dis. 2020;70:608-614.24)CDC.Supplemental information and guidance for vaccination providers regarding use of 9-valent HPV.25)FDA.FDA approves expanded use of Gardasil 9 to include individuals 27 through 45 years old.26)Hall MT, et al. Lancet Public Health. 2019;4:e19-e27.27)国立がん研究センター がん情報サービス.最新がん統計(2020年07月06日)28)Simms KT, et al. Lancet Public Health. 2020;5:e223-e234.講師紹介

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ロピナビル/リトナビル合剤が新型コロナに対して無効であった理由は?(解説:山口佳寿博氏)-1308

 新型コロナ感染症が中国・武漢において発生してから10ヵ月が経過した。この10ヵ月の間、感染症の分子生物学的/生理学的病態解明が進み、治療法に関しても抗ウイルス薬、ウイルス誘発免疫過剰状態(血栓過形成を含む)に対する多数の薬物に関する治験、ウイルスに対する不活化ワクチン、遺伝子工学的ワクチンの製造が驚くべきスピードで進行している。それらの結果として、新型コロナ感染症に対する有効な治療方針が整理されつつあり、同一施設における入院死亡率はパンデミック初期に比べ明らかに低下している(Horwitz L, et al. medRxiv. doi.org/10.1101/2020.08.11.20172775.)。初期治療に重要な抗ウイルス薬に関しては、種々の薬物が“篩(ふるい)”にかけられ、RNA-dependent RNA polymerase(RdRp)阻害薬であるレムデシビル(商品名:ベクルリー、Beigel JH, et al. N Engl J Med. 2020 Oct 8. [Epub ahead of print] , Wang Y, et al. Lancet. 2020;395:1569-1578.)ならびにファビピラビル(商品名:アビガン、Ivashchenko AA, et al. Clin Infect Dis. 2020 Aug 9. [Epub ahead of print], Cai Q, et al. Engineering (Beijing). 2020 Mar 18. [Epub ahead of print], 富士フイルム富山化学 9月23日付 News Release)が一定の効果を有することが確認された。一方、RdRpより上位で作用するウイルス―宿主細胞膜融合阻害薬であるクロロキン/ヒドロキシクロロキンならびに3-chymotrypsin protease阻害薬(Protease inhibitor)であるロピナビル/リトナビル(商品名:カレトラ、以下L/R合剤)の効果は確認されなかった。本論評においてはL/R合剤に焦点を合わせ、この薬物が臨床的効果を発揮できなかった理由について考察する。 抗ウイルス薬に関するメタ解析では、L/R合剤が新型コロナ患者の入院日数を短縮する可能性が示唆された(Siemieniuk RA, et al. BMJ. 2020;370:m2980.)。しかしながら、中国ならびに英国で施行された信憑性の高いRCTではL/R合剤の臨床的に意義のある有効性は確認されなかった(中国・LOTUS Study[Cao B, et al. N Engl J Med. 2020;382: 1787-1799.]対照群:100例、L/R群:99例、英国・RECOVERY Trial[RECOVERY Collaborative Group. Lancet. 2020 Oct 5. [Epub ahead of print]]対照群:3,424例、L/R群:1,616例)。 L/R合剤は、HIV-1(コロナと同様に1本鎖RNAウイルス)に対するキードラッグの1つとして、本邦では2000年12月に厚労省の薬事承認を受けたProtease inhibitorである。リトナビルは肝臓の薬物代謝酵素であるCYP3A4の活性を競合的に阻害しロピナビルの血中濃度を維持する。しかしながら、ロピナビルの95%以上は血漿タンパクと結合・不活化されるため、ロピナビルの生体内薬物活性はリトナビル共存下においても高く維持することは難しい。コロナウイルスが感染源である2002年のSARS、2012年のMERSが発生した時には、in vitroの検討でL/R合剤がSARS、MERSウイルスに対して感受性を有する可能性が示唆された。この時の検討結果(in vitro)では、ウイルス感染を50%抑制するL/R合剤の有効血中濃度(EC50)はSARSで17.1 μmol/L、MERSで6.6 μmol/Lであると報告された(日本小児科学会)。HIV-1を抑制するL/R合剤の血中濃度が7.2~12.1 μmol/Lであることを考慮すると(Lopez-Cortes LF, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2013;57:3746-3751.)、通常量のL/R合剤投与でMERSは抑制される可能性があるもののSARSの抑制は難しい。新型コロナに対するL/R合剤のin vitro EC50は26.1 μmol/Lであり(Choy KT, et al. Antiviral Res. 2020;178:104786.)、HIV-1を抑制する通常量のL/R合剤投与では到底到達できない濃度であることが理解できる。L/R合剤の投与量を増加すれば臨床的有効性が認められる可能性があるが、その場合には、生命を脅かす重篤な有害事象の発生が予想され臨床の現場で施行すべきものではない。以上のように、生体にとって安全な投与量が低く制限されていることがL/R合剤によって新型コロナ感染症を制御できなかった理由であり、L/R合剤が新型コロナウイルスに対して薬理学的にまったく無効であることを意味するものではない。  結論として、現状のL/R合剤を用いたこれ以上の臨床治験は無意味である。今後HIV-1をターゲットとしたProtease inhibitorを用いて新型コロナに対する臨床治験を実施するならば、近年新たに開発されたダルナビル製剤(商品名:プリジスタ、シムツーザ)などの新型コロナに対するEC50の測定を含めたin vitroの検討とその基礎的/薬理学的結果を踏まえた臨床治験を計画すべきである。

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第30回 東京女子医大麻酔科医6人書類送検、特定機能病院の再承認にも影響か

「厳重処分」意見付きで書類送検こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、米国MLB(メジャーリーグ)のワールドシリーズをテレビ観戦して過ごしました。今年のMLBのポストシーズンは、新型コロナ感染症対策のため、対戦するチームがそれぞれの本拠地球場を行き来する従来の方式ではなく、各チームとは関係ない都市に集まり、試合以外は選手全員がホテルに缶詰めとなって全試合を戦うバブル方式(まとまった泡の中で開催する、という意味)で行われています。ロサンゼルス・ドジャースとタンパベイ・レイズが対戦しているワールドシリーズの舞台は、テキサス・レンジャースの本拠地、テキサス州アーリントンに今年オープンしたばかりのグローブライフ・フィールドです。レイズには今シーズン、横浜DeNAベイスターズから移籍した筒香 嘉智選手がいるのですが、シーズン成績は打率1割9分7厘、本塁打8、打点24と低調に終わりました。ワールドシリーズも第5戦までの出場機会は代打でわずか3回。二ゴロ、三振、左飛に倒れ、来季についてはマイナー落ちの噂も出ています。日本であれだけ活躍した筒香選手の現実を見て、今後MLBを目指す日本の野手は減るかもしれません。さて、先週、またまた東京女子医大(東京都新宿区)が世間を騒がせました。東京女子医大病院で2014年2月、鎮静剤プロポフォールの投与を受けた男児(当時2歳)が死亡した事故について、警視庁が10月21日、当時の集中治療室(ICU)の実質的な責任者だった同大元准教授(60)ら男性麻酔科医6人を業務上過失致死容疑で東京地検に書類送検したのです。起訴を求める「厳重処分」の意見も全員に付けられています。なお、手術を担当した耳鼻咽喉科の医師らは「術後の処置への関与が薄い」として立件は見送られました。事件当初、「禁忌」の解釈が問題に新聞報道等によると、書類送検容疑は、6人が2014年2月18~21日、頸部嚢胞性リンパ管腫の手術後にICUで人工呼吸器を付けて経過観察中だった男児に、漫然と約70時間にわたってプロポフォールを投与。心電図や尿量に異常があったにもかかわらず、投与を中止してほかの薬剤に変更するなどの安全管理を怠り、副作用に伴う急性循環不全で21日夜に死亡させたというものです。病院が設けた事故調査委員会の報告書(2015年5月公表)によると、男児が死亡する前日の20日午前中、医師1人が心電図の異常に気付き、昼ごろにほかのICU担当医らに報告しています。しかし、詳しい検査は行われず、投与は21日午前まで計約70時間にわたって続けられました。投与量は成人の許容量の2.7倍に達していました。事故当時、プロポフォールはICUで人工呼吸器をつけた子供への投与は添付文書上「禁忌」でした。「禁忌」にも関わらず投与したことがクローズアップされましたが、実際の臨床現場では、「禁忌」であっても医師の裁量で薬剤が使用されるケースは少なくありません。厚生労働省も添付文書の「禁忌」については、薬剤投与の使用を法令上禁ずるものではない、としています。安全管理を怠ったことによる業務上過失致死容疑事故直後の2014年7月、厚労省は小児の集中治療における人工呼吸中の鎮静目的でのプロポフォール使用に関して見解を示しています。それによれば「禁忌であるため、投与すべきではない」としつつも、医師が治療に必要な医療行為として使用する場合には「特段の合理的な理由が必要」としています。つまり、「禁忌はあくまでも原則」というのが公式見解でした。そうした経緯から、今回の書類送検にあたり、警視庁はプロポフォールの投与自体は過失としておらず、安全管理を怠ったことに焦点をあてています。投与開始から48時間を超えると副作用のリスクが高まることが文献などで指摘される中、男児への投与量が成人許容量の約2.7倍にも達していたことから、医師らが重い副作用が出る可能性を認識できたにもかかわらず、投与を中止してほかの薬剤に変更するといった安全管理を怠ったことが業務上過失致死容疑にあたる、としているのです。2014年の事故調査委員会の報告書も、ICUの医師らが人工呼吸器を装着した小児に対してプロポフォールを投与する知識が十分でなかった、と指摘しています。ICUの小児にも緊急事態などでは使用なお、プロポフォールについては、手術時の全身麻酔や術後管理時の鎮静効果が高いことなどメリットも多く、現在も成人だけでなく、小児においても短時間の手術では使われています。「禁忌」とされているICUの小児に対しても、緊急事態などでは使用されているようです。10月22日付の日本経済新聞によれば「事故から約4年後の18年の日本臨床麻酔学会で開かれた総合討論では、参加して回答した医師ら60人のうち6割は使用を認めた」とのことです。この記事では、プロポフォールの小児に対する有効性に言及、単純に添付文書上で「禁忌」とし続けるのではなく、これまでの投与実績を調査して適用や用法を改善し、小児により使えるようにすべきだと訴えています。患者減や特定機能病院の再承認など経営にも影響か東京女子医大病院は10月21日、田邉 一成・病院長名で「ここに改めて亡くなられた患者様のご冥福をお祈りし、患者様のご遺族の方々に心よりお詫び申し上げます。当院は、本件を重く受け止め、薬剤処方の厳格な審査システムの採用等の再発 防止策を講じてきているところであり、今後も病院全体として患者様の安心安全の確保に努めてまいります」とのコメントを出しています。本連載、7月15日付の「第15回 凋落の東京女子医大、吸収合併も現実味?」でも書いたように、東京女子医大病院は、この事件をきっかけとして2015年に特定機能病院の承認を取り消されています(現在も取り消し中)。取り消しにあたっては、2009~2013年に同病院で死亡した男児以外の人工呼吸中の小児患者63人にもプロポフォールを投与、12人が死亡していたことも判断材料となっています。同病院の特定機能病院の承認取り消しはこの時が2回目でした。1回目は2002年で、この時は2001年に起こった日本心臓血圧研究所(心研、現在の心臓病センター)の医療事故がきっかけでした(2007年に再承認)。2014年の事故から6年以上経ってからの書類送検、しかも起訴を求める最も厳しい意見である「厳重処分」付きです。処分意見には法的拘束力はありませんが、起訴の可能性は十分に高いと考えられます。報道等の影響による患者減に加え、書類送検や起訴等が特定機能病院の再承認にも影響を及ぼす可能性もあります。東京女子医大の経営的な苦境はまだしばらく続きそうです。一方で、民事訴訟も現在進行中です。男児の遺族は2016年12月、耳鼻咽喉科医2人に損害賠償を求めて提訴。その後、麻酔科医らも提訴しています。これらの民事訴訟は2021年にいずれも結審予定とのことです。1つのうっかり、1つの事故が、人の命を奪ってしまうだけでなく、大学病院という巨大組織の命運も決めるかもしれません。東京女子医大の凋落に歯止めがかかる日は果たして来るのでしょうか。

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COVID-19検査法と結果どう考えるか/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部 教授])は、10月12日に「COVID-19検査法および結果の考え方」を提言としてまとめ、同会のホームページで公開した。 提言では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でさまざまな検査法、検査機器の登場により日々新しい情報が次々と発表されて行く中で、遺伝子検査で陽性を示す患者の感染性をどのように評価していくのかが検査の重要な課題として定義。その中でもCt値(Cycle Threshold)が重要な項目の1つとして将来的に遺伝子検査陽性が持続する患者に対し、Ct値や特異抗体の検出などを併用することで、正確に感染性を評価することができるようになると示唆している。 以下に「COVID-19検査法および結果の考え方」の概要をまとめた。なお、この内容は2020年10月初めの情報であり、今後変更される可能性があることも留意いただきたい。検査の適用は4つのタイプ 「検査の適用に関する基本的考え方」として、新型コロナウイルス感染症対策分科会から、COVID-19に対する検査の基本的考え方が下記のように示されている。(1)有症状者(COVID-19 を疑う症状がある患者)(2)無症状者 a 感染リスクおよび検査前確率が高い場合(例:クラスター発生時、医療機関や高齢者施設など) b 感染リスクおよび検査前確率が低い場合(例:海外渡航時、スポーツ選手、文化・芸能など) また、検査法ごとに使用できる検体および対象者として、検査法では「遺伝子検査」「高感度抗原検査」「簡易抗原検査」の3つが、検体では「鼻咽頭」「鼻腔」「唾液」の3つがあり、有症状者、無症状者により使い分けて使用することが厚生労働省より発表されている。 とくにインフルエンザ流行の秋冬においては、鼻咽頭あるいは鼻腔検体を用いてインフルエンザとCOVID-19 の検査を同時に実施することも想定し、同学会の過去の提言やCOVID-19病原体検査の指針を参考にしてほしいと述べている。各検査法の特徴と注意点・遺伝子検査法 特徴:数十コピーのウイルス遺伝子を検出できるほど感度が高い 注意点:検査時間が比較的長い(1~5時間)、専用機器・熟練した人材が必要、高コストなど おおむね感度90%以上、特異度はほぼ100%・抗原検査 特徴:検体採取ののち約30分で目視による判定が可能である(定性試験) 注意点:イムノクロマトグラフィー法では感度が低く、唾液検査は認められていない。ルミパルスは、遺伝子検査に近い感度が得られるとされている。高感度抗原検出検査は、無症状者の鼻咽頭拭い液および唾液を用いた検査でも承認・抗体測定法 特徴:COVID-19では抗体産生が、発症から受診まで2週間(通常、特異抗体産生は感染後2~3週間必要)ほどの経過である症例もあり、このような場合、患者血液の抗体の検出が診断に役立つ 注意点:感染・発症していても抗体検査が陽性にならない症例があることに注意。感度・特異度ともに他の方法と比較して劣り、製品ごとのばらつきも大きい感染性を評価するための指標としてCt値を提言 症状が軽快したのちも、数週間にわたって遺伝子検査が陽性を示すことが報告されている。長期間の遺伝子検査陽性を示す患者において、いつまで隔離を行う必要があるのか(感染性はいつまで続いているのか)の判断に苦慮することが多い。 そこで、感染性を評価するための指標として遺伝子コピー数(Ct値)を提言している。408症例の検討から発症時点でのCt値は20前後であったものが、日数が経過するごとにCt値は高くなり(ウイルス遺伝子数が減少)、発症9日の時点でCt値は30.1となっている1)。また、発症からの日数とCt値およびウイルス培養結果の関連では、Ct値が高くなるにしたがい(ウイルス遺伝子数が減少)、検体からのウイルスの分離率が低下していることがわかる。 これらの研究からウイルスの分離(すなわち感染性)は発症からの日数およびウイルスRNA量に強く依存している可能性を示すものであると説明している。退院基準の考え方 遺伝子検査がなかなか陰性化しないことで、無症状であっても退院させられない症例の増加が問題となっている。そこで、遺伝子検査の陰性結果(Test-based strategy)とともに、発症および症状消失からの日数を参考に退院を判断するSymptom-based strategy の導入が検討されている。 下記に「COVID-19陽性者の退院基準・解除基準」を示す。 1)有症状者の場合 (1)発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後、72時間経過した場合 (2)症状軽快の24時間後、2回のPCR検査(24時間間隔)で陰性確認 2)無症状者の病原体保有者の場合 (1)検体採取日から10日間経過した場合 (2)検体採取日から6日間経過後、2回のPCR検査(24時間間隔)で陰性確認 以上今後の検査、退院などに際し参考としていただきたい。■参考COVID-19検査法および結果の考え方

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引き継げると思っていた患者が来ない!?「特殊診療」のワナに注意せよ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第3回

第3回 引き継げると思っていた患者が来ない!?「特殊診療」のワナに注意せよ漫画・イラスト:かたぎりもとこ買い手側からすると、引き継ぐ診療所の患者数は多ければ多いほどありがたいものです。診療所を引き継いだ当初から黒字経営でき、集患対策などの間接業務に手を取られず、診療に集中できるからです。しかし、ここにも落とし穴が…。都心エリアのように、周囲に診療所(競合)が多いのにもかかわらず、際立って外来患者数の多い診療所は注意が必要です。こうしたケースには大きく分けて2つの要因が考えられます。(1)標榜科目が複数あり、幅広い患者を診ているケース(2)専門性が高く、一般的な診療圏を超えて患者が来院しているケース(1)のケースは、とくに外科出身の院長が運営している診療所でよく見られます。内科の慢性疾患の患者が多いことに加え、小児や皮膚科も診ており、かつ外科として手術などにも対応している、というケースです。このような場合、買い手側は、現在の患者のすべてを引き継げるのか、引き継げない場合はどのくらいの患者が離反してしまうのか、科目別で患者層を確認することが必要です。(2)のケースは、通常は診療所の患者は近隣住民であることがほとんどですが、例外もあります。たとえば「整形外科の中でも手のひらを専門で診ている(とくに専門性が高い)」、「美容外科の分野でよくメディアに出ている(とくに知名度が高い)」などの理由で、「どうしてもこの医師に診てほしい」というニーズが強い場合、一般的な診療圏を超えて、遠方から患者が来院しているのです。一般的な診療圏の定義は科目や都心or地方などで異なりますが、都心部の内科系診療所であれば半径500m~1kmとするのが一般的です。旧院長と面談で会話する際などに、遠方からの外来数の割合を確認し、それらが2割を超える場合は一度専門など、その理由を確認することをお薦めします。

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新たに診断された成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患

 成人の注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)に併存する精神疾患は、医療費の増大を招き、場合によっては診断遅延の原因となる。ギリシャ・国立カポディストリアコス・アテネ大学のArtemios Pehlivanidis氏らは、新たに診断された成人のADHDおよび/またはASDの有病率と精神疾患の生涯併存率を比較し、それらがもたらす臨床上の課題について検討を行った。BMC Psychiatry誌2020年8月26日号の報告。成人ADHDおよびASD患者では精神疾患の併存率が高かった 対象は、新たなADHDおよび/またはASDの診断のために臨床評価を行った、認知機能が正常な成人336例。最も頻繁に併存する10の精神医学的診断の生涯併存率を調査した。対象患者を、ADHD群(151例)、ASD群(58例)、ADHD+ASD群(28例)、非ADHD+非ASD(NN)群(88例)の4つに分類した。 成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患を調査した主な結果は以下のとおり。・各群における精神医学的診断の生涯併存率は以下のとおりであった(p=0.004)。 ●ADHD群:72.8% ●ASD群:50% ●ADHD+ASD群:72.4% ●NN群:76.1%・すべての群において、最も頻繁に併存する精神疾患は、うつ病であった。・ADHD群と非ADHD群(ASD群+NN群)の間における精神疾患の併存パターンは、物質使用障害でのみ統計学的に有意な差が認められた(p=0.001)。・双極性障害の割合は、ASD群と比較し、NN群で有意に高かった(p=0.025)。 著者らは「成人ADHDおよび/またはASD患者では精神疾患の併存率が高かったが、その中でASD患者での併存率は最も低かった。ADHD群と非ADHD群の最も有意な差は物質使用障害で認められた」とし、「ADHDおよび/またはASDの有無にかかわらず、これらの疾患が疑われるすべての患者に対して徹底的な臨床評価を行う必要性が示唆された」としている。

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第29回 置いてきぼりの男性不妊、菅政権で具体化される?

菅政権が発足して1ヵ月。総裁選の際に抽象的過ぎてよく分からなかったその政策の中でかなり具体性を持って突き進んでいるのが不妊治療の保険適用だ。この問題を耳にしてふと今から十数年前の記憶が蘇ってきた。新宿・歌舞伎町の路地裏にある、とあるカウンターのみのバーでの出来事だ。子供に恵まれたことが当たり前と思っていた30代このバーは歌舞伎町のど真ん中に位置する。映画界の一部の人には良く知られ、なおかつある著名な小説のモデルにもなっている。もっともそれだけ由緒ある店でありながら、生真面目な人からすると、治安が悪そうな近寄りがたい路地の奥にあるため、現在で言うところの「インスタ映え」を狙うようなミーハーな客はほとんど来ない。最近はすっかりご無沙汰になってしまったが、知り合いの編集者に連れて行ってもらったのをきっかけに一時は週2~3回も通っていた。私よりやや若い店のマスターの人柄と彼がハードなシェイクで作るカクテルが気に入っていた。たまたま、彼は息子、私は娘を持ち、しかも同い年でまだ2歳にも満たないかわいい盛りということもあり、マスターと子育て談義や愚痴で盛り上がることも少なくなかった。とくに客が私だけの時は決まって子供の話で盛り上がり、ほかの客が来店してからも、マスターは振り子のように先方とこちらの接客のために行き来しながらも子育て話が続くことが多かった。ある日、いつものように彼と子供の話をしていると、私も見かけたことだけはある常連客が来店した。互いに軽く会釈をし、私はカクテルを口にしながら、また合間合間にマスターに子供話を振っていた。ところがこの時だけはマスターが異常なまでに無愛想にこちらの話を流し続けた。私は異変に気付くものの、なぜかはわからない。そのまま話を続けていると、マスターが「チェイサー出しますね」と言い、水の入ったグラスを出す前にコースターだけをぐっとカウンターに接している私の胸元近くまで押し込んできたのでぎょっとした。マスターを見ると軽く目配せをしているように見えた。そして差し出されたコースターを手に取ると、その裏にはペンで「×」が記されていた。よく意味は分からないが、とにかく話題は変えようと思った。それから小一時間でその常連客が店を後にすると、マスターが口火を切った。「あんまりお客さんのプライバシーは話すべきではないんでしょうけど、僕たち、運が良いだけなんですよ」マスターによると件の常連客は既婚で現在子供はおらず、子供を持つことを望み夫婦で医療機関も受診しているとのこと。ほかの客がいない時はその大変さを愚痴ることもあるとのことだった。正直、30歳代前半で子供ができたばかりの新米父親の私は、当時は一部の未婚者が漠然と思うのと同じく、「結婚すると子供ができるのが自然」という極めて浅はかな考えだったのだ。不妊治療がついに保険適用かさて今回、菅政権が保険適用を目指すのは、不妊治療の中でも、運動能力の高い精子のみを選択して人工的に子宮に注入する「人工授精」、体外で人工受精させた卵子を子宮に戻す「体外受精」や「顕微授精」。いずれも現在は自由診療で行われ、人工授精は1回数万円、体外受精や顕微授精に至っては1回50万円超もザラ。治療が1回で成功することはまれで、繰り返しこうした治療を行うカップルには重い経済負担がのしかかる。保険適用は経済的負担を軽減する点が一番大きいものの、同時に保険適用で治療がより日常化することで、不妊治療への理解が深まることへの期待も寄せられているという。そうしたさまざまな期待がより良い方向に向かうことに私はまったく異論はないが、この種のニュースを見るたびに、やや違和感を覚えることもある。過去に世界保健機関(WHO)が不妊症の7,273組を対象に行った原因調査では、原因が男性のみにあるケースが24% 女性のみにあるケースが41% 男女ともにあるケースが24% 原因不明が11%と報告されている。単純計算すれば、男性に何らかの原因があるケースは48%となる。この件はよく「不妊の原因は男性にもありながら、なぜか女性のせいにばかりされている」という文脈で使われることが多い。ところが今この不妊治療の保険適用問題の段になると、匿名、実名を問わずメディアに登場して不妊治療の大変さを語るのは女性のみ。原因の半数と言われる男性の視点を目にすることは極めて少ない。「男性不妊」に対する情報の乏しさ件の歌舞伎町のバーでの出来事から3年後のこと。仕事でも付き合いがある友人の一人から相談したいことがあるとのメールが届いた。私が在住する最寄り駅近くの居酒屋に入店し、店員から「テーブル席にしますか?それともお座敷にしますか?」と聞かれると、彼は「静かなほうで」と真っ先に口にした。通されたのは4畳ほどの個室の座敷。そこで一献傾け始めながら、相談事を尋ねると、「評判の良い泌尿器科を教えて欲しい」とのこと。この仕事をしていると、親族が病気になったなどでどこの病院を受診すべきかなどの相談を受けることは多い。多くはがんだったりする。正直、それはそれでいつも対応には苦慮するが、それまで泌尿器科に関する相談を受けたことはなかった。そこで彼から打ち明けられたのが、医療機関を受診した結果、精子の数が少ない男性不妊だと診断されたということだった。彼曰く「主治医は対策として規則正しい生活を送ることを指導するだけ。正直、ヤブ医者なんじゃないかと思う」とのこと。これには私も困ってしまった。そもそも泌尿器科の取材経験は膀胱がんや前立腺がんのみで、生殖医療にはまったく明るくなかったため、何のアドバイスもしようがない。私がそのことをありのまま伝えると、彼は大きなため息をついた。いつもなら2人で飲み始めると、あっという間に4、5時間は経過しているのだが、この日は彼のため息を境にたわいもない会話に終始し2時間足らずで解散となった。後に彼はある大学病院を受診し、そこでも同じような生活指導を受けたのを機に観念したようにその指導を実践し、無事奥さんとの間に子供を授かった。父親になった後にふと彼が漏らした言葉が印象的だった。「男性不妊ではそのことを周囲に打ち明けても同情すらされず、老若男女問わず味方はゼロだった」男性不妊の解決にプライドが邪魔をする後に私も男性不妊に関して取材をする機会に恵まれた。そこで分かったのが女性不妊症はホルモンや生理周期、卵管の通過状況など検査項目が多いのに対し、男性不妊症は精液検査で精子の数や運動能力を調べれば、そこである程度診断がつく。そして男性不妊症の80%以上が無精子症や精子の数や運動能力が不十分な造精機能障害、残る10%強が勃起不全(ED)や射精障害に大別される。ところが診断は比較的簡単ながらも、いざ治療となると難題だという。この時取材した医師が語ったのは次のようなものだ。「造精機能障害の半数以上は特発性で、精子の数や運動能力が不十分である原因が分からない。あえて言えば一番の原因は加齢ですかね。この場合、現時点で科学的根拠があるとされている対処法は、十分な睡眠や運動、適正体重の維持、禁煙、バランスの良い食生活、さらにはストレスの少ない生活を送るというある意味馬鹿馬鹿しすぎると思われるほど当たり前のことぐらいしかないんですよ」少なくとも友人がその主治医から聞いた話は決して間違いではなかったのである。かくいう私もお恥ずかしながら、この時までまったく知らなかったのである。日本に限らず海外でもかつて不妊症は女性が原因と思われていた時代があり、日本では子供を産めない女性を「石女」と書いて「うまずめ」と読む、極めつけの差別的な用語も存在した。その反動もあってか、まだ十分ではないとはいえ、女性の不妊症にかかわる問題は少しずつ理解が進んでいる。しかし、一方で「男のプライド問題」と揶揄的にも表現された男性不妊症についての議論は反動も何もなく、もっと言えばその「プライド」の罰則(?)として、そのまま社会的理解は低空飛行状態に置かれているように思えてしまうのだ。

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COVID-19病原体検査の指針を発表/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の下、今後のインフルエンザの流行を控え一般の医療機関でもさまざまな感染症に関する検査をする機会が増大すると考えられる。 厚生労働省は、10月2日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1版)」および鼻腔検体採取における留意点等についてを公表し、全国の医療・保健関係機関に送付した。本指針は、第47回厚生科学審議会感染症部会で議論され、取りまとめられたもの。 COVID-19にかかわる核酸検出検査、抗原定量検査および抗原定性検査の検体として新たに鼻腔検体を活用することが可能となり、抗原定性検査(簡易キット)は、医療機関などに限らず実施することができ、短時間で結果を確認することができるようになった。 そのため、抗原定性検査はインフルエンザ流行期における発熱患者などへの検査に有効であることから、診療・検査医療機関においては、迅速・スムーズな診断・治療につなげるべく、簡易キットを最大限活用した検査体制の整備を検討してほしいと要望している。 具体的に本文には「各種検査法の実施時間」として・リアルタイムPCR 2~4時間・定性PCR+シークエンス確認 7~9時間・LAMP法 1時間・抗原定量 30分・抗原定性 40分などの現在の検査と結果判明までの時間のまとめや各種検体と適切な感染防護が次のように記載されている。・鼻咽頭ぬぐい液/鼻腔ぬぐい液:医療者に一定の曝露あり(フェイスガード、サージカルマスク、手袋・ガウンなど)・唾液:医療者の曝露は限定的(サージカルマスク、手袋) これに伴い、「SARS-CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」(6月16日最終改訂)は廃止となる。 また、これらに加え、「鼻腔検体採取を実施する場合の留意点等」については、「鼻孔から2cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、十分湿らせること。被検者自身が採取する際は、鼻出血が起こりやすい部位である点にも配慮し、医療従事者の管理下で実施すること」、「検体採取に当たり、医療従事者に一定の曝露があるため、フェイスシールド、サージカルマスク、手袋、ガウンといった個人防護具の装着による感染防御を要すること」など具体的な注意点が記されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 目次I 検査種類と各種検査の意義 1.検査の種類 2.検体の種類と採取 3.検体の取り扱い、保管と輸送 4.検査の解釈や検査精度など 5.検査の流れII 状況に応じた適切な検査実施 1.COVID-19を疑う有症状者 2.濃厚接触者 3.インフルエンザ流行期 4.無症状者の検査III 検体採取に応じた適切な感染防護

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喘息治療で初のLABA/LAMA/ICS配合吸入薬「エナジア吸入用カプセル中用量/高用量」【下平博士のDIノート】第60回

喘息治療で初のLABA/LAMA/ICS配合吸入薬「エナジア吸入用カプセル中用量/高用量」今回は、喘息治療薬「インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:エナジア吸入用カプセル中用量/高用量、製造販売元:ノバルティス ファーマ)」を紹介します。本剤は1カプセル中にLABA/LAMA/ICSの3成分を配合しており、1日1回1吸入で良好な喘息コントロールが得られることが期待されています。<効能・効果>本剤は、気管支喘息(吸入ステロイド剤[ICS]と長時間作用性吸入β2刺激薬[LABA]、長時間作用性吸入抗コリン薬[LAMA]の併用が必要な場合)の適応で、2020年6月29日に承認され、2020年8月26日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には中用量(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回1カプセル、本剤専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)を用いて吸入します。なお、症状に応じて高用量(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回1カプセル吸入することもできます。<安全性>国際共同QVM149B2302試験および国内B1304試験で本剤が投与された日本人被験者において、主な副作用として発声障害(8.7%)が認められました(承認時)。なお、重大な副作用として、アナフィラキシー、重篤な血清カリウム値の低下、心房細動(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、長時間作用する気管支拡張薬を2種類と、ステロイド薬を1種類含んだ吸入薬です。毎日同じ時間帯に規則正しく吸入することで、喘息の症状を改善します。2.専用の吸入用器具にカプセルを1つセットし、両脇の緑色のボタンを押してカプセルに穴を開けてから吸入します。うまく吸入できていたら、カラカラというカプセルの回転音が鳴ります。3.吸入が終わった後は、カプセルや粉末に触れないように気を付けて捨ててください。カプセル内に粉末が残っている場合は、再度吸入を行ってください。4.声枯れや感染症を予防するため、吸入後は必ず上を向いてうがいをして、うがいが困難な場合は口腔内をすすいでください。その際、口に含んだ水を飲み込まないように気を付けてください。5.吸入開始後に、動悸、手足の震え、尿が出にくいなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。<Shimo's eyes>本剤は、喘息治療吸入薬として世界で初めてのLABA/LAMA/ICS配合製剤です。『喘息予防・管理ガイドライン2018』において、治療ステップ3~4に該当する中用量または高用量ICS/LABAによる治療でも喘息コントロールが不十分な場合は、LAMAを追加することが治療選択肢の1つとして推奨されています。しかし、これまで喘息の適応を有するLABA/LAMA/ICS配合薬は販売されていませんでした。LABA/ICS配合薬の多くが1日2回吸入ですが、本剤は1日1回でLABA/LAMA/ICSの3成分を一度に吸入できるため、服薬アドヒアランスの向上が期待できます。また、複数の製剤を組み合わせて使用するよりも1日薬価が下がり、経済的負担が軽減できるというメリットもあります。専用の吸入器である「ブリーズヘラー」は、喘息治療薬として初めて適用されました。本吸入器は最大吸気流量が低下している患者でも比較的使用しやすいデバイスです。しかし、カプセルをセットする手間がかかり、カプセルの誤飲に注意する必要があります。主な副作用は発声障害なので、使用後のうがいを徹底することも大切です。本剤は、同時に発売された喘息治療配合薬「インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:アテキュラ)」にLAMA(グリコピロニウム)を加えたものです。本剤とはモメタゾンの用量が不一致ですが、効果発現が期待できるモメタゾンの粒子量としては同程度です。薬剤師にとっても、多種多様の吸入薬のデバイス操作と指導法を覚えるのは大変なことですが、2020年度の調剤報酬改定で「吸入薬指導加算」が導入されたように、薬剤師の活躍が期待されている分野です。治療方針の決定とデバイス選択は医師が行い、吸入指導は薬剤師が重要な担い手となるという密な病薬連携が吸入指導の成功の鍵になると考えられます。薬局では、処方医に指導・経過のフィードバックを細やかに行い、しっかりと情報共有することで、患者さんのよりよい治療継続を目指しましょう。参考1)PMDA 添付文書 エナジア吸入用カプセル中用量/エナジア吸入用カプセル高用量

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コロナ禍の医療者への不当な扱い、励ましの実態とは/医師500人の回答結果

 ケアネットと病院経営支援システムを開発・提供するメディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、医師・病院関係者が新型コロナウイルス感染症に対応する中で、どのような体験をしたかを調べる共同調査を実施した。その結果、医師・病院関係者の子どもが登園・登校を控えるよう要請されるなど誤解や過剰反応からの体験があった半面、地域住民や企業からの応援メッセージが届き、励まされるなどの体験が倍以上あったことが明らかとなった。励ましが差別や不当な扱いを大幅に上回る この調査はWEBを通じて実施し、ケアネットは会員医師511人(アンケート期間:9月30日のみ)、MDVは110病院(同:9月30日~10月7日)から回答を得た。  「コロナ禍の下でどのような体験をされましたか」という質問について、ケアネット会員医師は、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が7.4%(38人)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が27.6%(141人)、「とくになし」が66.3%(339人)だった。差別や不当な扱いと感じる体験をした方の内訳は、本人が6.7%(34人)、家族が2.2%(11人)で、本人・家族いずれもと回答したのは6人(1.1%)だった。また、自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。・実際には(PCR検査)陰性だったが、あたかもコロナに感染したかのような扱いを受けた・医療関係者かどうかを尋ねられた・アルバイト先から出勤を断られかけた・発熱外来をやるといったら、秘書が近寄らなくなった。1週間放置された・近所、子供の学校の先生に疎んじられた・国内での流行期前に海外渡航していたために職場で不当な差別をされた 「周囲から励まされるなどの体験をした」と回答した方は、本人が24%(123人)、家族が2.9%(15人)で、本人・家族いずれもと回答したのは2.3%(12人)だった。自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。・タクシー運転手に励まされた・医療に携わり、この時期大変ですねぇと励まされました・往診中にご苦労様と見知らぬ方より挨拶あり・外来の患者さんから声をかけられ、差し入れをもらうようになりました・患者から体調を気遣われた・患者さんからの感謝状・企業からの飲料水や消毒用具等の提供があった・地域の小学校、会社などから救急医療へのエールが届いた病院関係者向け調査では半数以上が励ましを受けていた MDVが行った病院関係者(本人、家族、同僚含む)向けアンケートでも同様の質問を行ったところ、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が24.5%(27施設)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が51.8%(57施設)、「とくになし」が38.2%(42施設)、その他が9.1%(10施設)だった。また、差別や不当な扱いと感じる体験を自由記述で聞いたところ、「看護師の子どもさんが保育園から預かりを拒否された」「親が医療関係者なので飲食関係のアルバイトのシフトから外された」「配偶者が出勤停止となった」「病院の職員でなくてよかったなどの言葉が聞こえてきた」といった声があった。 また、「周囲から励まされるなどの体験をした」の自由記述の回答では、地域住民や企業からの激励のメッセージや寄付などが相次いでいることも明らかになった。

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「アドエア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第21回

第21回 「アドエア」の名称の由来は?販売名アドエア100ディスカス28吸入用アドエア100ディスカス60吸入用アドエア250ディスカス28吸入用アドエア250ディスカス60吸入用アドエア500ディスカス28吸入用アドエア500ディスカス60吸入用アドエア50エアゾール120吸入用アドエア125エアゾール120吸入用アドエア250エアゾール120吸入用一般名(和名[命名法])サルメテロールキシナホ酸塩(JAN)フルチカゾンプロピオン酸エステル(JAN)効能又は効果○気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)○慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)用法及び用量<気管支喘息>成人通常、成人には1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして100µgを1日2回吸入投与する。アドエア100ディスカス 1回1吸入アドエア50エアゾール 1回2吸入なお、症状に応じて以下のいずれかの用法・用量に従い投与する。1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして250µgを1日2回吸入投与アドエア250ディスカス 1回1吸入アドエア125エアゾール 1回2吸入1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして500µgを1日2回吸入投与アドエア500ディスカス 1回1吸入アドエア250エアゾール 1回2吸入小児小児には、症状に応じて以下のいずれかの用法・用量に従い投与する。1回サルメテロールとして25µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして50µgを1日2回吸入投与アドエア50エアゾール 1回1吸入1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして100µgを1日2回吸入投与アドエア100ディスカス 1回1吸入アドエア50エアゾール 1回2吸入<慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解>成人には、1回サルメテロールとして50µg及びフルチカゾンプロピオン酸エステルとして250µgを1日2回吸入投与する。アドエア250ディスカス 1回1吸入アドエア125エアゾール 1回2吸入警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するおそれがある]2.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者※本内容は2020年10月14日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年3月改訂(第18版)医薬品インタビューフォーム「アドエア250ディスカス28・60吸入用/125エアゾール120吸入用、アドエア100・500ディスカス28・60吸入用/50・250エアゾール120吸入用」2)gsk:製品情報

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第28回 コロナで変わる私大医学部の学費事情、2022年以降に激変の予感

抗体カクテルをトランプ大統領が激賞こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。前回書いたトランプ米大統領に投与された抗体カクテル、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)社の「REGN-COV2」ですが、退院後、7日にツイッターに投稿した動画において同大統領は「信じられないほど効果があった」と激賞。「私が投与されたものをあなた方にも用意したいと思う。無料にするつもりだ」と語りました。リジェネロン社はこの動画が投稿された直後にアメリカ食品医薬品局 (FDA)に緊急承認を要請しました。米国内では数日または数週間で当局の承認が得られるとの期待が高まっているようです。また、ロイターなどの報道によれば、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も8日、トランプ米大統領の経過について、抗体カクテルに効果があった可能性があるとの見解を示しています。大統領個人の主観が、薬の承認や供給、価格に影響するとしたら問題ではありますが、初期症状や入院するほど症状の重くない患者向けの治療薬として、抗体カクテル・フィーバーはしばらく続きそうです。2021度入試で女子医大1200万円値上げさて、話題変わって今週は9月28日に朝日新聞が報じた「私大医学部 学費値上げの動き」のニュースについて考えたいと思います。同紙は「私立大学の医学部で学費を値上げする動きが出ている」として、東京女子医科大(東京)が2021度の入学生について、6年間で前年度入学生よりも計1,200万円上げ、私立医大で2番目に高くなったと伝えています。この連載では7月に「凋落の東京女子医大、吸収合併も現実味?」と題して、コロナ禍などによる経営難などを背景に、東京女子医大学病院の看護師の退職希望が400人を超えていること、同大が「夏季一時金を支給しない」と労組に回答したことなどについて書きましたが(その後、財源が確保できたとして基本給1ヵ月分が支給されたそうです)、学費値上げを報じた朝日新聞も「コロナ禍による大学病院の経営悪化の影響などが指摘されている」と分析しています。最高額は川崎医大、最低額は国際医療福祉大東京女子医大のホームページに行くと、学費の詳細を見ることができます。それによれば、初年度納入金が1,144万9,000円、2年目以降が695万3,000円で、6年間の学費は計4,621万4,000円となっています。学費のうち「施設整備費」という費目が新たに加わり、これが年間200万円、6年間で計1,200万円増えています。値上げの詳しい理由はホームページ上には記載されておらず、朝日新聞の取材にも回答していません。私立大医学部の2021年度の募集要項をまとめたサイト(医学部受験情報発信サイトなど)によれば、一般選抜など主な選抜方式における6年間学費が最も高いのは川崎医科大(岡山県)の4,736万5,000円。2位が値上げ後の東京女子医大、3位は金沢医科大(石川県)の4,054万3,000円、4位は埼玉医科大の3,957万円、5位は帝京大の3,938万140円です。東京女子医大は昨年度時点では約3,900万円で上から16番目、私立大医学部全体のほぼ真ん中でした。一方、学費総額が最も安いのは国際医療福祉大の1,850万円です。次いで順天堂大の2,080万円、日本医科大の2,200万円、慶応義塾大の2,205万9,500円、東京慈恵会医科大の2250万円と、偏差値が高い、東京の私立大医学部が続きます。2008年度からは値下げトレンドだったが実は、私立大医学部の学費は2000年代後半から低下傾向が続いていました。その先駆けは順天堂大でした。2008年度に順天堂大は6年間の学費をなんと900万円も下げました。その結果、志願者が増え、偏差値も上昇しました。学費値下げによって、ブランド力の向上を図ったわけです。その後、「優秀な学生を確保したい」と考える多くの私立大医学部がこれに追従しました。順天堂ショックに次いで医学部受験界に衝撃を与えたのが、2014年の帝京大の学費値下げでした。帝京大はかつて「日本一学費が高い医学部」として有名でした。その学費を6年間で1,000万円以上も下げたのです。ちなみに10年前、2011年度時点の帝京大の6年間学費は約4,900万円で、2位の川崎医大よりも350万円近くも高額でした。2021年度時点の帝京大学の学費は3,938万円と高額上位5位ではありますが、それでもかつてより1,000万円近く安い水準を保っています。なお、帝京大は学費値下げによって受験者数が増加し、学費の収入減は受験料収入で十分カバーできたと言われています。注目は再来年、2022年度の学費一連の学費改革によって、開業医はじめとした高額所得者の子女しか志望できなかった私立大医学部が一般サラリーマンの子女でも狙えるようになっていたのが、コロナ禍以前のトレンドでした。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、大学病院の経営状況は悪化、東京女子医大のような6年間で1,000万円超の値上げを行う私立大医学部は今後も出てくる可能性は大きいと考えられます。入試要項が発表済みの今年度ではなく、来年度以降の学費に注目したいと思います。以前、「新型コロナウイルス感染症によって、医療現場を恐れる受験生や親が出てくるかもしれない」と書きましたが(第4回 新型コロナで変わるか、医学部受験事情)、学費面でも医学部は敬遠される存在になっていくかもしれません。コロナ禍で、一般サラリーマンや自営業者の年収だけでなく、開業医の収入も大きな打撃を被っています。そんな中、私立大医学部はごく限られた高収入の家庭の子女しか入れない、”狭き門”になっていくかもしれません。それが果たして日本の医療にとっていいことなのか悪いことなのか…。なかなか悩ましい問題です。

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4価HPVワクチン、浸潤性子宮頸がんリスクを大幅に低減/NEJM

 スウェーデンの10~30歳の女児および女性は、4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種により、浸潤性子宮頸がんのリスクが大幅に低く、同リスクは接種開始年齢が若いほど低いことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJiayao Lei氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、NEJM誌2020年10月1日号に掲載された。これまでに、子宮頸部高度異形成(Grade2または3の子宮頸部上皮内腫瘍[CIN2+、CIN3+])の予防における4価HPVワクチンの効能と効果が確認されている。一方、4価HPVワクチン接種と接種後の浸潤性子宮頸がんリスクとの関連を示すデータはなかったという。全国的な登録データを用いたコホート研究 研究グループは、スウェーデンの全国的な登録データを用い、HPVワクチンと浸潤性子宮頸がんリスクの関連を評価するコホート研究を行った(スウェーデン戦略研究財団などの助成による)。 解析には、2006~17年に経時的に登録された10~30歳の女児および女性の集団(167万2,983人:4価HPVワクチンを少なくとも1回接種した群52万7,871人、非接種群114万5,112人)のデータが含まれた。 子宮頸がんの発生は、31歳の誕生日を迎えるまで評価が行われた。フォローアップ時の年齢、暦年、居住県、親の因子(学歴、世帯所得、母親の出生国、母親の病歴など)で調整したうえで、HPVワクチン接種と浸潤性子宮頸がんのリスクとの関連を評価した。83.2%が17歳以前に接種開始 ワクチン接種群のうち、43万8,939人(83.2%)が17歳になる前に初回の接種を受けていた。研究の期間中に、ワクチン接種群で19人、非接種群では538人が子宮頸がんの診断を受けた。 30歳までの子宮頸がんの累積発生率は、ワクチン接種群の女性では10万人当たり47件であり、非接種群では10万人当たり94件であった。17~30歳の間にワクチン接種を開始した女性では、30歳までの子宮頸がんの累積発生率は10万人当たり54件、17歳になる前に接種を開始した女性では、28歳までの子宮頸がんの累積発生率は10万人当たり4件であった。 フォローアップ時の年齢で補正すると、ワクチン接種群の非接種群に対する発生率比は0.51(95%信頼区間[CI]:0.32~0.82)であった。さらに暦年と居住県、親の因子を加えて補正すると、発生率比は0.37(0.21~0.57)となった。 すべての共変量で補正した場合の発生率比は、ワクチン接種を17歳になる前に受けた女性で0.12(95%CI:0.00~0.34)、17~30歳で受けた女性では0.47(0.27~0.75)であった。また、20歳になる前にワクチン接種を受けた女性は0.36(0.18~0.61)、20~30歳で受けた女性は0.38(0.12~0.72)だった。 著者は、「4価HPVワクチン接種は、HPVワクチン接種プログラムの最終的な目的である浸潤性子宮頸がんのリスク低減を達成した」とし、「これらの結果は、ワクチン接種は既存のHPV感染症に対する治療効果はないため、最大の効果を得るには、HPV感染症への曝露前における4価HPVワクチンの接種を推奨する見解を支持するものである」と指摘している。

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第29回 新型コロナウイルスはタンパク質生成3工程をどれも妨げてインターフェロンを抑え込む

ヒト細胞がウイルスの侵入を察知するとタンパク質生成の3工程―切り貼り(スプライシング)で成熟したmRNAの核外移行、リボソームでの成熟mRNA翻訳によるタンパク質製造、シグナル認識粒子(SRP)の働きによる細胞膜へのタンパク質誘導が稼働し、感染抑制と加勢要請の伝令役を担うタンパク質・インターフェロンが細胞外へと放たれます1)。とにかくインターフェロンが嫌いらしい新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はそれら3工程のどれも妨害する手立てを備えていることが先週8日にCell誌に掲載されたカリフォルニア工科大学(Caltech)Mitchell Guttman教授率いるチームの研究で明らかになりました1,2)。SARS-CoV-2が作るタンパク質はおよそ30種あり、Guttman教授のチームはそれらとヒト培養細胞の分子との相互作用を調べました。その結果、ウイルスタンパク質NSP16は3工程の最初の段階・mRNAスプライシングを妨害し、別のウイルスタンパク質NSP1はリボソームを目詰まりさせて第2工程のmRNA翻訳を妨害すると分かりました。それらの妨害をかいくぐってヒトタンパク質が作られたとしてもさらに2つのウイルスタンパク質NSP8とNSP9が行く手を阻みます。NSP8とNSP9はSRPの一部・7SL RNAに結合して細胞膜へのヒトタンパク質輸送を妨げます。そして、それら3工程の妨害はどれもウイルス感染へのインターフェロン反応を抑制すると分かりました。重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のインターフェロン応答は鈍いことが知られています1)。それに、1型インターフェロン伝達の不具合はCOVID-19の重症化に寄与するらしく、その感染予防にわれわれの体はどうやら他のウイルス感染予防に比べて1型インターフェロンをより頼りとしているようです3)。今回の研究でインターフェロン妨害の担い手が判明したことを受け、インターフェロン反応を底上げする治療薬が開発できそうです。たとえばリボソームRNAを標的とする低分子薬は多く存在し、ウイルスタンパク質NSP1とリボソームの18S rRNAの相互作用を阻害してCOVID-19防御を手助けする薬の開発が期待できます。また、SARS-CoV-2はなんと小賢しいことにNSP1による翻訳阻害がヒトmRNAにだけ及んで自前のウイルスmRNAには及ばないようにする通行手形のような仕組みを備えることも今回の研究で判明していますが、その仕組みを担うウイルスmRNA領域・SL1に結合してウイルスタンパク質生成を遮断する低分子薬の開発も可能でしょう。参考1)How SARS-CoV-2 Disables the Human Cellular Alarm System / Caltech (California Institute of Technology) 2)Abhik K, et al. Cell. 2020 October 08. [Epub ahead of print] 3)Hidden immune weakness found in 14% of gravely ill COVID-19 patients / Science

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内科医も知っておきたい小児感染症の特殊性/日本感染症学会

 2020年8月に現地とオンラインのハイブリッド方式で開催された日本感染症学会学術講演会において、名古屋大学医学部附属病院の手塚 宜行氏(中央感染制御部)が「内科医も知っておきたい小児感染症の特殊性」とのテーマで発表を行った。 手塚氏によると、小児感染症が成人と異なる事項は、以下の4点に集約される。1)年齢(月齢)によってかかる病気が変わる2)ウイルス感染症が多い 3)検体採取が困難なケースが多い4)病勢の進行が速い さらに小児感染症を診るときのチェックリストとして使う「R(A)IMS」という概念を紹介。これは以下の4つの視点から診療するという考え方だ。・R(Risk):基礎疾患の有無・I(Infected organ):感染臓器・M(Microbiology):原因微生物・S(Severity):重症度年齢月齢による違いは非常に大きい 小児感染症のリスク判断基準において、基礎疾患の有無が重要となるのは成人と同様だが、小児特有なのが月齢年齢差による違いだ。例として1998~2007年の米国コホート研究による細菌性髄膜炎の起炎菌についての研究では、新生児ではGBS(B群溶血性連鎖球菌)が多いが、1~3カ月児では腸内細菌科細菌が増え、3カ月~3歳児では肺炎球菌の割合が高くなり、3歳~10歳児以上では大半が肺炎球菌になるなど、年齢に応じて起炎菌の発生頻度が劇的に変化することを紹介した。また、「1年に2回以上肺炎にかかる」「気管支拡張症を発症する」など10のワーニングサインにあてはまるときは、原発性免疫不全症が隠れている可能性があるため、注意して診察する必要がある。本人からの病歴聴取が困難なケースも 感染臓器については、病歴聴取と身体診察から推定する流れは成人と変わらないものの、本人から病歴聴取できないことが多い点、家族や保育園からの感染が多くSick contactの把握が非常に重要となる点が成人と異なり、母子手帳から予防接種歴や育児環境情報を把握することが肝要とした。身体診察においても本人が症状を訴えられないことが多いため、保護者の協力を得ることが大切となり、小児に特徴的な部位である大泉門・小泉門などから重要な所見が得られることも多いという。 さらに、小児で見つけにくい感染臓器としては、尿路感染症、固形臓器の膿瘍(急性巣状性細菌性腎炎など)、関節炎・骨髄炎(とくに乳児)、髄膜炎・脳膿瘍(とくに新生児・乳児)、副鼻腔炎、潜在性菌血症などがあり、こうした疾患は兆候から見つけることは難しく、「見つけに行く」姿勢で診察することが重要とした。中でも潜在性菌血症は成人ではほぼ見られないが、結合型ワクチン導入前は、生後3~36カ月の小児における局所的異常のない原因不明の39度以上の発熱がある症例の約3~5%に認められており、無治療の場合は髄膜炎に至る可能性もある。ワクチン導入後の症例数は減っているものの、可能性は頭に入れておくべきという。ウイルス由来が大半だが、注意すべき細菌も 小児疾患はウイルス由来が多いが、日本がほかの先進国に比べてワクチン導入が遅れるという、いわゆる「ワクチンギャップ」は解消されつつあり、多くの小児感染症がワクチンによって感染・重症化予防できることが実証されつつある。小児感染症で注意すべき細菌は多くはないが、肺炎球菌とインフルエンザ菌は成人と比べて想定頻度が極めて高く、百日咳菌は新生児・乳児において重症化し、致死的な場合もあるので注意が必要だという。一方、クロストリディオイデス・ディフィシル菌は、小児の場合には保菌しても発症しないことが多く、多くの場合検査も不要だ。重症化はバイタルサインよりも「見た目」重視で 重症度に関しては、小児のバイタルサインは月齢年齢での変化が大きく、正常値の幅も大きいため、外観や皮膚の色、呼吸といった「見た目」を重視すべきという。 手塚氏は「感染症診療の原則である『感染臓器・原因微生物・抗菌薬をセットで考える』ことは小児でも成人でも同じ。あとはここで紹介した小児特有の事項さえ抑えておけば、内科の先生でも問題なく診察できるはず」とまとめた。

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売買契約が決まったのに、スタッフの大量退職で大ピンチ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第2回

第2回 売買契約が決まったのに、スタッフの大量退職で大ピンチ!漫画・イラスト:かたぎりもとこ診療所の買い手にとって、一番の価値はすでに通っている「患者さんを引き継げる」ということです。加えて、現在のスタッフを引き継げることも大きな魅力といえます。というのも、患者さんは、(売り手である)現院長やそこで働く顔なじみのスタッフへの信頼や安心感から通院しているのであり、スタッフを引き継ぐことは患者さんの離反防止にもつながるからです。また、スタッフも現院長や同僚、現在の雇用環境に満足しているからこそ働いているのです。医業承継が決まり、新院長に交代する話は、基本的に買い手との最終契約が締結されてからスタッフへ開示することが鉄則です。ここで一定の割合で発生するのが「そんな話は聞いていない! 院長が交代するなら辞めます!」と言ってスタッフが大量に離職してしまうケースです。スタッフを引き継ぎたいと考えている買い手にとって、これは大きな痛手です。実際、スタッフの離職が原因となって買い手に辞退されるケースもあるのです。では、このようなケースはどうしたら防ぐことができるでしょうか? 私たちは以下のようにアドバイスをしています。それは「最終契約を締結した後に、新院長になる方に引き継ぎ先の診療所にて数ヵ月の間アルバイトをしてもらい、スタッフとの関係性を築いたうえで情報を開示する」というものです。これでスタッフの不安を払拭し、院内での人間関係もできたタイミングでスムーズに開業することができます。設備や医療機器と違って、スタッフや患者さんは人間です。その気持ちに配慮しながら、上手にコミュニケーションをとることが開業の成功につながります。スタッフへの告知時期や方法は仲介会社などのアドバイスを受けて決定するとよいでしょう。

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Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト

第1回 【妊娠中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗インフルエンザ薬第2回 【妊娠中】抗てんかん薬・抗うつ薬・麻酔薬第3回 【妊娠中】β刺激薬・チアマゾール・レボチロキシン第4回 【妊娠中】経口血糖降下薬・ワルファリン・制酸薬第5回 【妊娠中】抗リウマチ薬・抗アレルギー薬・タクロリムス外用薬第6回 【妊娠中】漢方薬・CT,MRI検査・悪性疾患の治療方針第7回 【授乳中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗ウイルス薬第8回 【授乳中】抗てんかん薬・向精神薬・全身麻酔第9回 【授乳中】胃腸薬・降圧薬・抗アレルギー薬第10回 【授乳中】ステロイド・乳腺炎への対処・造影検査後の授乳再開 臨床では妊娠中・授乳中であっても薬が必要な場面は多いもの。ですが、薬剤の添付文書を見ると妊婦や授乳婦への処方は禁忌や注意ばかり。必要な治療を行うために、何なら使ってもいいのでしょうか?臨床医アンケートで集めた実際の症例をベースとした30のQ&Aで、妊娠中・授乳中の処方の疑問を解決します。産科医・総合診療医の水谷先生が、実臨床で使える、薬剤選択の基準の考え方、そして実際の処方案を提示します。第1回 【妊娠中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗インフルエンザ薬臨床医アンケートで集めた妊婦・授乳婦への処方の疑問を症例ベースで解説・解決していきます。初回は、妊娠中の解熱鎮痛薬、抗菌薬、抗インフルエンザ薬の選択についてです。明日から使える内容をぜひチェックしてください。第2回 【妊娠中】抗てんかん薬・抗うつ薬・麻酔薬妊娠を機に服薬を自己中断してしまう患者は少なくありません。そして症状の悪化とともに受診することはよくあります。今回は抗てんかん薬、抗うつ薬の自己中断症例から妊娠中の薬剤選択について解説します。緊急手術時に必須の麻酔薬の処方についても必見です。第3回 【妊娠中】β刺激薬・チアマゾール・レボチロキシン喘息は妊娠によって症状の軽快・不変・増悪いずれの経過もとりえます。悪化した場合にβ刺激薬やステロイド吸入など一般的な処方が可能のか?甲状腺関連の疾患では妊娠の希望に応じて、バセドウ病患者はチアマゾールを継続していいのか?橋本病ではレボチロキシンを変更すべきなのか?といった実臨床で遭遇する疑問を解決します。第4回 【妊娠中】経口血糖降下薬・ワルファリン・制酸薬今回のクエスチョンは弁置換術既往の妊婦の抗凝固薬選択。ワルファリンからヘパリンへの変更は適切なのでしょうか?降圧薬の選択では妊娠週数に応じて使用可能な薬剤が変わる点を必ず押さえましょう!そのほか、妊娠中の内視鏡検査の可否とその判断、2型糖尿病の薬剤選択についても取り上げます。2型糖尿病管理は、薬剤選択とともに血糖管理目標についてもチェックしてください。第5回 【妊娠中】抗リウマチ薬・抗アレルギー薬・タクロリムス外用薬膠原病があっても妊娠を継続するにはどのような薬剤選択が必要なのでしょうか?メトトレキサートや抗リウマチ薬の処方変更について解説します。花粉症症状に対する抗アレルギー薬処方、アトピー性皮膚炎へのタクロリムス外用薬の継続可否など、臨床で頻用される薬剤についての解説もお見逃しなく。第6回 【妊娠中】漢方薬・CT,MRI検査・悪性疾患の治療方針妊娠中に漢方薬を希望する患者は多いですが、どういうときに漢方薬を使用すべきなのでしょうか?上気道炎事例を入り口に、妊婦のよくある症状に対する漢方薬の処方について解説します。CTやMRIの適応判断に必要な放射線量や妊娠週数に応じたリスクを押さえ、がん治療については永久不妊リスクのある治療をチェックしておきましょう。第7回 【授乳中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗ウイルス薬今回から授乳中の処方に関する質問を取り上げます。授乳中処方のポイントはRID(相対的乳児投与量)とM/P比(母乳/母体濃度比)。この2つの概念を理解して乳児への影響を適切に検討できるようになりましょう。今回取り上げるのは、解熱鎮痛薬、抗菌薬、抗インフルエンザ薬といった日常診療に必要不可欠な薬剤。インフルエンザについては、推奨される薬剤はもちろん、家庭内での感染予防に対する考え方なども必見です。第8回 【授乳中】抗てんかん薬・向精神薬・全身麻酔ほとんどの母親は服薬中も授乳継続を希望します。多くの薬剤は添付文書上で授乳中止が推奨されていますが、実は授乳を中断しなくてはならないケースはあまり多くありません。育児疲労が増悪因子になりやすい、てんかんや精神疾患について取り上げ、こうした場合の対応を解説します。治療と母乳育児を継続するための、薬剤以外のサポートについても押さえておきましょう。第9回 【授乳中】胃腸薬・降圧薬・抗アレルギー薬授乳中の処方で気を付けるべきは、薬剤の児への移行だけではありません。見落としがちなのが、乳汁分泌の促進・抑制をする薬剤があるということ。症例ベースのQ&Aで、胃腸薬、降圧薬、抗アレルギー薬など日ごろよく処方する薬の注意点を解説していきます。OTC薬で気を付けるべき薬剤やピロリ菌除菌の可否なども押さえておきましょう。第10回 【授乳中】ステロイド・乳腺炎への対処・造影検査後の授乳再開ステロイド全身投与で議論になるのは児の副腎抑制と授乳間隔。どちらも闇雲に恐れる必要はありません。乳腺炎については、投与可能な薬剤だけでなく再発を予防するための知識を押さえておきましょう。造影剤使用後の授乳再開については日米での見解の違いを臨床に活かすための知識を伝授します。

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高齢者に特化した必読救急良書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第35回

【第35回】高齢者に特化した必読救急良書最近、救急搬送される高齢者が増えています。いや、というよりも、そもそも未曽有の高齢化社会なので、こればかりは仕方がない。小児科と産科以外の診療科では、必然的に高齢者が増えているのです。「高齢者診療の基本はDNARをとること」なんていう考え方を目にしたことがありますが、アレはいけない。20歳の若者と90歳の高齢者では、確かに救命スイッチの入り方は違うでしょう。しかし、助けられる命は助けたいと思うのが救急診療の本質。また、よくわからないので、頭からつま先まで全身CTを撮影して、異常があったら専門家をコールなんて、ちょっとダサいかもしれません。どこからがイケているのかは、結局主観なのでしょうが……。『高齢者ERレジデントマニュアル』増井 伸高/著. 医学書院. 2020年若手医師が敬遠するのは、高齢者救急が極めて複雑だからです。かといって、偽陽性と偽陰性がテンコモリでセオリーを無視している別の生き物というほどでもありません。研修医時代、「断らない救急」で当直をしていたとき、夜中にホームレスのおじいちゃんが運ばれてきました。酒臭いし、ただ酔っぱらっているだけじゃないかと思っていたら、39.1℃の発熱。研修医の十八番である、jolt accentuationやCVA tendernessをみましたが、おじいちゃんの反応がフニャフニャしていてよくわからない。熱源不明の場合、今ではコロナか!と騒がれる症例だと思いますが、身体所見だけで熱源を絞り込んだ指導医がいました。膝関節が熱感を持っていて、関節腔穿刺とGram染色で化膿性関節炎と診断したのです。こんな極端な神的ファインプレーはともかくとして、高齢者こそ基本的診察が大事なのだと痛感しました。実際に、この本には非高齢者成人ERと一線を画した対応として、身体所見を繰り返しとることで鑑別疾患を絞り込む作業の重要性が書かれています。この本で必読なのは、PART1とPART3です。高齢者特有の問題であるせん妄について、そして社会問題化しつつあるポリファーマシーや生活環境への介入など、痒いところに手が届くコラムが多いのが特徴です。とくに、入院したはいいけど、社会背景はどうなんだろう、というのは入院主治医だけでなく救急担当医にも把握してもらいたいところです。高齢者を診るということは、その人の生活を診るということ。私たち医療従事者が忘れてはいけないことです。『高齢者ERレジデントマニュアル』増井 伸高 /著出版社名医学書院定価本体3,600円+税サイズB6変刊行年2020年

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