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単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。 対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・入院患者全体で、自殺念慮が14.5%、自殺企図が38.6%に認められた。いずれもUD患者で高かった。・女性は、男性と比較し、自殺企図の割合が高かった(OR:1.13、95%CI:1.09~1.16)。・交絡因子で調整した後、UD患者はBD患者と比較し、自殺企図のORがわずかに高く(OR:1.06、95%CI:1.02~1.11)、自殺念慮のORは1.2倍高かった(95%CI:1.11~1.26)。・自殺企図が認められた患者では、93.2%がBD、6.8%がUDであった。・自殺企図の大部分は、BDの入院女性患者(74.6%)で認められた(UD:67.3%)。 著者らは「自殺行動を最小限に食い止める適切な治療を行うには、UDとBDの早期鑑別診断が重要であり、治療ガイドラインに基づいたマネジメントやさらなる研究が求められる」としている。

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あまりにも過酷な勤務体制(解説:野間重孝氏)-1257

 本研究は医師の長時間労働を改善することにより医療事故の発生率を引き下げることができるという仮説のもとに、研修2年目・3年目のレジデントを対象として、ICUにおける24時間以上の長時間連続勤務を行う群(対照群)と16時間以内の日中・夜間の交代制スケジュールで勤務する群(介入群)との間で、重大な医療ミスの発生頻度を比較したものである。 評者は現在の米国のレジデントの研修体制について疎いのだが、本研究に違和感を覚えたのは、このような過酷な勤務体制が米国の研修体制では普通に受け入れられているのだろうかという点に強い疑問を持ったからである。24時間以上の勤務については言うまでもないが、交代制とはいえ16時間の連続ICU勤務というのは十分に過酷な勤務体制であると思われるからだ。Appendixに目を通しても実際の勤務表は載せられていないので、両群ともにどのような休息の取り方をしながらの勤務であったのか明らかではないが、少なくとも(研修期間中はともかくとして)長く勤務できる体制であるとはとても思えない。 本研究では対照群と介入群との間で予期せぬ成績の逆転がみられ、受け持ち患者数を交絡因子として補正したところ両群で差が認められなかったというのだが、両群ともに十分に過重労働であることを考えると、この比較にそもそも意味があったのだろうか。実際、重大医療ミスの発生が対照群で79.0件/1,000患者、介入群で97.1件/1,000患者となっているが、これがとてつもなく高い割合であることは理解されるだろう。少なくとも評者はこのような施設に自分の子弟の治療を依頼したくはない。 わが国でもいわゆる働き方改革が叫ばれて久しい。しかし、労働時間の短縮、労働日数の削減は生産性の向上があって初めて実行できるものである。しかし医療の世界では生産性の向上は簡単には図れない(そもそも医療における生産性とは何かという定義から難しい)。しかし改革は難しかったとしても、そこにはおのずから常識というものが存在する。評者は循環器内科が専門であるが、緊急PCIのなかった研修医時代、急性心筋梗塞の患者が入院すると何日か交替でCCUに泊まり込んでいたものだった。それでも仲間同士で話し合って、余りに過重な勤務にはならないように協力し合ったものだった。 この論文評が、評者が米国の医師研修体制に無知であるために的外れなものになっていた場合はただちに謝罪させていただくが、ごく素直に論文を読むと上記のような感想しか出てこないのだが、いかがだろうか。

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第15回 コロナ禍での面談で自己啓発本に溺れるMRの多さが浮き彫りに?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる受診患者減少が医療機関の経営を直撃していることは繰り返し伝えられている。従来、医療は景気の波や社会情勢などに左右されにくい安定職種と考えられてきたものの、今回は院内・院外での感染回避のため、社会全体で外出自粛のような非常に原始的な戦略がとられた結果、慢性疾患患者を中心とする受診抑制という予想もしなかった事態にさらされた。同時に、この事態は医療機関周辺の患者以外のステークホルダーにも影響を及ぼしている。代表例が製薬企業、とりわけ医療機関を訪問し、医師に直接自社製品の情報提供を行う医薬情報担当者(MR)だ。彼らが感染源となって医療機関で感染者が発生した場合、業界全体の信用低下となってしまうこともあり、2~4月にかけて各社とも訪問を自粛するようになった。この訪問自粛を契機に各社とも盛んに行っているのがMicrosoft Teams、Zoom、Cisco WebexなどのWeb会議システムを通じた医師とのリモート面談である。企業によっては、チャットボットを利用したリモート面談予約機能を備えたり、AIを利用した音声での情報提供などを行ったりしている。医師にとっては自分が聞きたい時間に聞きたいことが聞ける、MRにとっては移動の手間暇がないメリットが挙げられる。もっとも、新型コロナパンデミック以降、知り合いの医師やMRに接触するたびにリモート面談の“使い心地”を尋ねているのだが、双方ともになかなかの“鬼門”だという。結局、こうしたシステムを利用して話すことは日時を設定したアポイントメント面談と同じで、互いに身構えて向き合わなければならない。全体の傾向を代表していそうな個別感想を紹介すると次のようになる。「結局、病院内でMRさんが出待ちして声をかけられるのは自分たちもある種、気が楽だったんですよ。とくに聞くべき情報がない時は歩きながら形式的な会話をして『ごめん、今日は忙しいんで』とほどほどに切り上げればいいし、ちょうど聞きたいことがあったら『ねえねえ…』と聞けばいいし。Webシステムを使って1週間先の日時のアポイントメントを入れたいと提案されると、『なんか聞きたいことあったっけ? まあ、今は思い当たらないし、別にいいや』となっちゃうんですよね」(30代:循環器内科医)「難なくリモート面談ができる医師というのは、ほとんどが普段から対面でそこそこ以上に話せる関係ができている医師です。結局、人間関係ができているので、その時々に応じてコンタクト手段を変えることができるということ。だから、今春に転勤で担当医療機関が変わった他社のMRなんかを見ていると苦労してますよね」(30代:外資系製薬企業MR)昨今では厚生労働省がMRによる不適正な情報提供を是正するため「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」を策定し、一部ではMR不要論もささやかれている。では、本当にMRは不要なのだろうか? このコロナ禍の最中に私が接触した医師たち(ざっと30人程度)に尋ねた結果を総合すると、「いなくてもめちゃくちゃ困ることはないが、いたほうがいい」という何とも曖昧な結果となった。ある基幹病院勤務の産婦人科医が絶妙な言い方をしてくれた。「簡単に言うと、風呂の蓋なんですよね。『要る(風呂に入る)時に要らなくて、要らない(風呂を出る)時に要る』みたいな。何か聞きたいことがある時ほど院内にいなくて、忙しくて話をしている時間もない時に限って『先生、先生』って追いかけてくるみたいな。でも聞きたいことがあると言ってもその内容は千差万別で、わざわざMR本人にメールや電話をしたり、製薬企業のDI部門に電話して聞きたいことも多かったり。だから結局、アポを取ってもらってまで訪問してもらうほどではないんです。なんかうまくかみ合わず難しいんですよね」では、MRから聞けるならばぜひ聞きたい情報は何かと尋ねると、意外にも共通していたのは“ほかの医師がどのような処方を行っているか”。「医学部の同級生や研修医時代の同期などに聞いても同じような悩みを抱え、彼らから答えは得られない。しかも、いわゆるKOL医師が講演会などで語る処方の考え方は建前であることも多く、必ずしも参考にはならない」(40代精神科医)からだという。要は、医師は必ずしも自分の処方に自信満々というわけではないということだ。もっともこうしたほかの医師の処方に関する情報をどの程度提供できるかは、製薬業界の自主基準(プロモーションコード)や各社のコンプライアンスに照らすと微妙な側面もある。ただ、いずれにせよ医師側は「今までのような訪問頻度は必要ない」という点でほぼ一致する。そして直接面談の一部がリモート面談に置き換わるだけでなく、医療機関によっては今回の訪問自粛を契機にMR訪問の意義を再検討し、今まで以上に訪問規制をする動きも容易に想像できる。最終的にはMRと医師のコンタクト総量そのものが減少することは必至だろう。もっともMRから聞きたい情報とて、どんなMRからでもいいというわけではない。大学病院の消化器内科で長らく勤務し、現在は開業する50代の医師は次のようにもらした。「基本的にMRの皆さんは一様に賢くて真面目なんですよね。でも、それだけなんですよ。話を聞くと、いろいろとセミナーに行って勉強している人も少なくないのに深みを感じない。非常に酷な言い方をすれば、頭は良いはずなのに教養は高くない。たとえば、私たち医師は多様な患者さんに接して単純にエビデンスで割り切れないことを数多く経験している。在宅医療をやっている開業医は亡くなる患者の看取りもするので生や死のことも考える。そんなことはMRの皆さんは百も承知なはずなのに、なぜか話していて、彼らに共感することも、彼らに共感されたと感じることもないんです。うるさいこと言っていると思われるかもしれないけど、どうせ直接面談するならそうした感性が共有できるMRさんと面談したいですよね」知り合いの製薬企業関係者には不快に思われてしまうかもしれないが、実は私はこの言葉に大きくうなずいてしまった。しかもこのコロナ禍の最中にそれを顕著に感じた瞬間があった。外出自粛で在宅勤務の人が増え、Web上ではこの退屈な雰囲気の中で楽しみながら人とつながるという動きが顕在化した。それがZoomなどを利用したオンライン飲み会であり、SNS上であるテーマについて人をつないで投稿する“バトン”である。このバトンの一つに自分が感銘を受けた本の表紙を1週間にわたって紹介する「ブックカバーチャレンジ」というものがあった。私自身も私の周囲もFacebookでブックカバーチャレンジの投稿をしていたが、私がFacebookでつながっている製薬企業関係者(私のつながっている友達の2割弱)の取り上げる本にはある種の共通した特徴があった。それは老いも若きも紹介する本は、事実上、ビジネスハウツーや自己啓発系に著しく偏るのである。少なくとも私のFacebook上では他の業界の人と比べ、あまりにも顕著過ぎた。これをn=1の事例と言ってしまえばそれまでだが、実は似たような経験は過去にもある。私は製薬産業や医療業界に関わるある研究会の裏方を務めているが、そこで開催する講演会では、まさにハウツー的なテーマではすぐ満席になるが、倫理などやや概念的なテーマになるとあっという間に閑古鳥が鳴く。さらに言えば、私の見立てでは製薬業界の人はかなりの比率でMBA(経営学修士)の取得を目指す人が目立つ。要は“人に勝つため”のテクニックに異常なまでに興味を示す。あまりに“現金”過ぎて思わず笑ってしまうほどだ。だが、医療はいま大きな変革期にある。これまではどちらかというとエビデンスという名の正義に押しやられていた患者個人の価値観が台頭し、国内の医療制度では「地域包括ケア」という概念が登場している。端的に言えば、医療の中に多様化の波が押し寄せ、“解”は一つではなくなっている。しかし、製薬企業関係者はその波に逆行するかのように、やたらと唯一絶対の“解”を求めているかのようだ。しかも、その求める“解”とは患者や医療をより高めるものというよりは、あまりにも自分を高みに置くことにより過ぎているように映る。そんなこんなでふと思い出した言葉がある。それはイギリスの経済学者アルフレッド・マーシャルがケンブリッジ大学教授となった際に唱えた「Cool head but warm heart(冷静な頭脳と温かい心)」。経済学とはお金の動きも含め、世の経済現象を探求する学問。ロンドンの貧民街を目にしたマーシャルは、冷静に経済を分析することで苦難にあえぐ人々を助けるのが経済学者の矜持だと指摘したのである。ちなみに経済学の世界では有名なケインズ経済学で有名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズはこのマーシャルの直弟子である。この“warm heart”は共感と読み解くことができる。泥臭いと言われるかもしれないが、私はAI時代、直接面談減少時代に生き残れるMRに必要な資質の一つはこの“warm heart”なのではないかとの意を強くしている。

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コロナ自粛でイライラや暴力行為、低年齢ほど傾向強く

 新型コロナウイルスの流行は、感染への不安や恐れもさることながら、さまざまな社会・経済行動の自粛とstay homeによる生活の変化がもたらした緊張やストレスも大きかった。国立成育医療センターは、全国の7~17歳までの子供および0~17歳の子供がいる保護者を対象に、インターネットでアンケートを実施。その回答結果によると、すぐにイライラしたり、自傷や他人への危害といった何らかのストレス反応を呈したりした子供が75%にのぼった一方、保護者の62%が心に何らかの負担を感じていたことがわかり、これまでに経験したことのない自粛生活が親・子の双方に大きく影響を及ぼしていた様子がうかがえる。 本調査は、4月30日~5 月31日、インターネット上で実施された。アンケート内容は、(1)コロナ関連(2)学校・勉強・友人への連絡状況(3)外出頻度・運動・スクリーンタイム・生活リズム(4)子供たちの健康とQOL(5)ストレス反応(6)親子の関わり(7)保護者のメンタルヘルス(8)子供たちが必要としている支援や情報について、などを選択式で回答する項目と、自由記述で構成。2,591人の子供と6,116人の保護者、計8,707人が回答した。 このうち、ストレス反応についての項目で、「最近集中できない」は、小学4~6年生と中学生が40%、高校生が42%だった。「すぐにイライラする」は、小学4~6年生が38%と最も多く、小学1~3年生が33%、中学生が30%、高校生が29%だった。「自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるうことがある」(原文ママ)は、小学1~3年生の16%、小学4~6年生の10%が該当し、中学生・高校生は各5%だった。イライラしたり、暴力的になったりする傾向は低学年ほど強く表れる結果となった。 一方、保護者の回答では、子供に対して「感情的に怒鳴った」が49%と約半数が該当し、とくに年少~年長、小学1年~3年の保護者では6割にのぼった。こうした家庭内のトラブルについて、コロナ流行前の今年1月時点と比べて「少し増えた」「とても増えた」と回答したのは、年少の保護者が45%ともっとも多く、以下、小学1年~3年(38%)、小学4~6年(27%)、未就学児(26%)の保護者の順に多かった。 学校や園の季節休暇以外で、今回ほど長期の休みが続き、外出を制限されるという経験は誰もしたことがなく、在宅ワークが急きょ始まって戸惑う保護者も多かった。こうした状況下で、子供全体の78%が保護者について「一緒にいると安心できる」と回答しているのに対し、保護者のメンタルヘルスを問う6項目の質問について5段階に点数化したところ、全体の62%が中等度(心に何らかの負担がある状況)~極強度(深刻な心の状態のおそれがある)に該当した。家の中で、大人への安心感を感じる子供と、仕事やコロナ感染への不安、子供の教育などに対する情報不足などが相まって大きなストレスを抱えている保護者のあり様が対照的な結果となった。 本調査をまとめた報告書の終わりには、「急性期には目立たなかった影響が、少し時間が経ってから顕在化していることもある。今後もし感染が早期に完全に終息して日常が取り戻されたとしても、子供たちの様子はしばらくの間、注意深く見守る必要がある」と記されている。また、本調査に関し、「より強いストレスや苦しい生活状況に直面している子供や保護者には、本調査の案内が届かなかったり、協力いただけなかったりした可能性もある」とし、国立成育医療センターでは、同調査を今後も継続的に実施する予定だ。 コロナ収束には今しばらくかかる様相だが、学校が再開され、社会が本格的に再稼働し始めた。かかりつけ医の皆さんには、子供や保護者と顔を合わせた際、長い自粛期間を経た後に、心身の小さな変化がないか、注意してみていただきたい。

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セルメチニブが希少疾病用医薬品に指定/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、セルメチニブ硫酸塩(以下「セルメチニブ」という)が希少遺伝性疾患の神経線維腫症1型(以下「NF1」という)の治療薬として、わが国で希少疾病用医薬品指定*を取得したと発表した。*希少疾病用医薬品指定とは、患者数が5万人未満で、アンメットメディカルニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して行われている指定。通常の保険適用とは異なる。幼児期から始まり、平均余命も削る希少疾病 NF1は3,000~4,000人に1人が罹患する遺伝性疾患。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)、および患者の30~50%にみられる叢状神経線維腫(以下「PN」という)を含む多くの症状を伴う。これらのPNは、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性がある。PNは幼児期に始まり、重症度は多岐にわたる。また、この疾患により、平均余命が8~15年短縮する可能性もある。がんの活性化を抑えるセルメチニブの特徴 治療薬として期待されるセルメチニブは、同社とMSDが共同開発、商業化を進めている薬剤で、2020年4月に「症候性かつ手術不能なPNを有する2歳以上のNF1小児患者に対する治療薬」として米国では承認されている。また、PNを有するNF1を適応症とする承認申請が欧州医薬品庁によって受理・審査中であり、その他の地域でも承認申請を検討している。なお本剤はわが国では現在未承認。 同薬剤は分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)である。MEK1/2タンパクは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)経路の上流調節因子で、MEKとERKはともに、RASによって調節されるRAF-MEK-ERK経路の重要な構成要素であり、さまざまな種類のがんで活性化されることが多い。単剤投与で66%の客観的奏効率 米国国立がん研究所の米国癌治療評価プログラムによるSPRINT試験(手術不能なPNを有するNF1小児患者を対象にセルメチニブ単剤療法を行い、客観的奏効率や患者報告アウトカムおよび機能転機への影響を評価するもの)の第I相および第II相のStratum1における客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2回)したPNを有するNF1の小児患者において66%(50例中33例、部分奏効を含む)を示した。ORRは、完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者数から算出している。 同社では、「NF1は、ほとんどの国でその治療選択肢は限られており、今回の指定は、NF1に対する初の治療薬を日本の小児患者に提供できる重要な一歩となる」と今後の発展に期待を寄せている。■関連記事コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

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早産児のApgarスコアは、新生児死亡リスクと関連するか/NEJM

 在胎期間は、早産児における新生児死亡(生後28日以内の死亡)の主要な決定因子だが、在胎期間とApgarスコアの組み合わせの新生児死亡リスクへの影響は明確でないという。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSven Cnattingius氏らは、新生児死亡率は在胎期間が短くなるに従って実質的に増加することから、Apgarスコアに関連する新生児死亡率の絶対値の差(新生児の超過死亡数)は、早産児の在胎期間が短いほど増加するとの仮説を立て、検証を行った。その結果、出生5分後と10分後のApgarスコア、および5~10分後のスコアの変化は、5つに分けた在胎期間のすべての早産児で、新生児死亡率と関連することが示された。NEJM誌2020年7月2日号掲載の報告。早産児の在胎期間別に、Apgarスコアと新生児死亡の関連を評価 研究グループは、スウェーデンの医療出生登録のデータを用いて、1992~2016年に出生した11万3,300例の早産児(在胎期間22週0日~36週6日)を同定し、解析を行った(スウェーデン保健・労働生活・福祉研究評議会などの助成による)。 これらの早産児は、在胎期間によって5つの群(22~24週、25~27週、28~31週、32~34週、35~36週)に層別化された。出生5分後と10分後のApgarスコア、および5~10分後までのApgarスコアの変化に基づき、新生児死亡の補正後の相対リスクと、新生児死亡率の絶対値の差(出生100人当たりの新生児の超過死亡数)を推算した。 Apgarスコアは、5つの要素(心拍数、呼吸、筋緊張、反射、皮膚色)から成り、それぞれ0~2点で評価する。最高点は10点で、点数が高いほど、新生児の身体の状態が良好であることを示す。 アウトカムは新生児死亡であり、出生から27日が終了するまでの死亡と定義された。すべての在胎期間の早産児の健康評価に有用 新生児死亡は、11万3,300例中1,986例(1.8%)で発生した。新生児死亡率は、在胎期間が短いほど増加し、0.2%(在胎期間36週)~76.5%(在胎期間22週)の幅が認められた。また、新生児死亡率は、Apgarスコアが正常(7~10点)の範囲内であっても、5分後と10分後のApgarスコアが低下するに従って増加した。さらに、新生児死亡の補正後相対リスクは、在胎期間が短縮するに従って、また5分後、10分後のApgarスコアが低下するに従って実質的に増加した。 5つの在胎期間のすべてにおいて、低いApgarスコアは、新生児死亡の相対リスクが高いこと、および新生児死亡率の絶対値の差が大きいことと関連した。たとえば、在胎期間28~31週の出生児では、5分後のApgarスコアによる補正後の絶対値の差は、9~10点の出生児を参照群とした場合、0~1点で51.7(95%信頼区間[CI]:38.1~65.4)、2~3点で25.5(18.3~32.8)、4~6点で7.1(5.1~9.1)、7~8点で1.2(0.5~1.9)であった。 5分後から10分後までのApgarスコアの上昇は、この間のスコアに変動がない場合に比べ、新生児死亡率が低く、新生児死亡率の絶対値の差が小さかった。 著者は、「Apgarスコアは、すべての在胎期間の早産児において、新生児死亡のリスクに関して重要な情報をもたらすことが明らかとなった。これらの知見は、すべての在胎期間の早産児の健康の評価において、Apgarスコアは有用であるとの仮説を支持するものである」としている。

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肺炎小児へのアモキシシリン推奨は妥当か/NEJM

 5歳未満の非重症肺炎小児の治療において、治療失敗の頻度はアモキシシリンよりもプラセボのほうが高く、この差はプラセボの非劣性マージンを満たさないことから、現在の世界保健機関(WHO)の推奨は有効であることが、パキスタン・アガカーン大学のFyezah Jehan氏らが実施した「RETAPP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年7月2日号に掲載された。WHOは、頻呼吸を伴う肺炎患者に経口アモキシシリンを推奨している。一方、この病態の治療にアモキシシリンを使用しなくても、使用した場合に対して非劣性である可能性を示唆するデータがあるという。プラセボを試験レジメンとする無作為化非劣性試験 研究グループは、パキスタン・カラチ市のHIV感染がなく、マラリアの発生率が低い低所得地域の1次医療施設を受診した小児を対象に、頻呼吸を伴う肺炎の管理におけるプラセボのアモキシシリンに対する非劣性を検証する目的で、二重盲検無作為化対照比較試験を行った(英国国際開発省、英国医学研究評議会[MRC]、ウェルカム・トラストの共同グローバルヘルス試験計画[JGHT]などの助成による)。 対象は、頻呼吸を伴う非重症肺炎がみられ、WHOの基準を満たす生後2~59ヵ月の患児であった。被験者は、アモキシシリンシロップ(実薬対照)またはプラセボ(試験レジメン)を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 アモキシシリンは、WHOの総合的小児疾患管理(WHO-IMCI)の体重別の用量に従って、3日間投与された(体重4~<10kg:500mgを12時間ごと、10~<14kg:1,000mgを12時間ごと、14~<20kg:1,500mgを12時間ごと)。14日間のフォローアップが行われた。 主要アウトカムは、3日間の投与期間中の治療失敗とした。治療失敗は、患者が死亡またはWHOの定義による危険な徴候や下部胸壁の陥凹が発生した場合、患者が入院した場合、新規感染症や重篤な有害事象のため担当医が試験薬を変更した場合とされた。事前に規定された非劣性マージンは1.75ポイントだった。PP解析とITT解析で、ほぼ同様の結果 2014年11月9日~2017年11月30日の期間に、4,002例が無作為化され、プラセボ群に1,999例(平均年齢16.5±13.9ヵ月、男児53.9%)、アモキシシリン群には2,003例(16.4±14.0ヵ月、51.1%)が割り付けられた(intention-to-treat[ITT]集団)。このうち、プラセボ群の1,927例(96.4%)およびアモキシシリン群の1,929例(96.3%)がper-protocol(PP)解析に含まれた。 PP解析では、治療失敗はプラセボ群が1,927例中95例(4.9%)、アモキシシリン群は1,929例中51例(2.6%)で発生した(群間差:2.3ポイント、95%信頼区間[CI]:0.9~3.7)。非劣性マージンを超えていることから、プラセボ群のアモキシシリン群に対する非劣性は示されなかった。この95%CIは、アモキシシリン群の優越性を示唆するものであった。ITT解析でも、同様の結果だった(4.8% vs.2.5%、群間差2.3ポイント、95%CI:0.9~3.6)。 探索的解析では、アモキシシリン群はプラセボ群に比べ治療失敗のリスクが低かった(オッズ比[OR]:0.52、95%CI:0.37~0.74)。治療失敗の他の独立の予測因子として、呼吸数(45回/分以上)、喘鳴、発熱、発熱の既往歴、下痢の既往歴、室内空気の質の悪さが挙げられた。 14日目までに、再発はプラセボ群40例(2.2%)、アモキシシリン群58例(3.1%)で認められた(平均群間差:0.9ポイント、95%CI:-2.1~0.3)。3日目までに、有害事象はプラセボ群63例(3.3%)、アモキシシリン群43例(2.2%)で発現した(1.0ポイント、-0.2~2.2)。両群1例(<0.1%)ずつが死亡した。また、1件の治療失敗の予防に必要な治療数は44例(95%CI:31~80)だった。 著者は、「これらの知見は、現行のWHOの推奨が妥当であることを示唆する」とまとめ、「1件の治療失敗を防ぐのに必要な治療数(44例)は比較的高く、この数値は多くの小児は抗菌薬の投与が不要である可能性を示唆するが、その一方で抗菌薬治療を必要とする重症のサブグループも存在する。これらを判別して標的治療を行うことで、不必要な抗菌薬使用を抑制できると考えられる」と指摘している。

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第14回 日医8年ぶりのトップ交代、診療報酬のツケが行く手を阻む?

「人が決まって嘘をつく時。それは狩りの後、戦争の最中、そして選挙の前」といったのは世界史の教科書で『鉄血宰相』の異名でも取り上げられるドイツのオットー・フォン・ビスマルクである。先日の東京都知事選で圧勝した現職が前回選挙時の公約実現率ほぼゼロという現実は、まさにこの言葉を体現したとも言えるが、それ以上に今回の結果は、今から10年以上前の同選挙のある候補が金切り声をあげて政見放送で言った「所詮選挙なんか多数派のお祭りに過ぎない」との言葉を体現した、といったほうが良いかもしれない。そんな白けた選挙の直前には手に汗握る極めて興味深い選挙があったことは、このサイトの読者ならばよくご存じだろう。日本医師会(日医)会長選挙である。結果は、5選目を目指した横倉 義武氏が174票、これに挑んだ中川 俊男氏が191票。中川氏側から9票動けば横倉氏の勝利となっていたわけだから、ボクシングでいうところのスプリット・デシジョン*である。だが、この近年まれに見る接戦となった会長選挙の結果は、今後日医という組織に瞬殺のアッパーカットのような強烈なダメージを与える可能性がある。*:ボクシングの試合判定で、3人の判定が2対1に分かれること既に各所で報じられているように当初、横倉氏は中川氏に会長職を禅譲する予定だったが、中川氏に代替わりすることを懸念した政治・官僚サイドが横倉氏を慰留。結果、横倉氏が翻意したが、こうした横倉氏の姿勢や官邸・自民党と距離の近さゆえ、政治と妥協的姿勢を図ることへの嫌悪が中川氏が接戦を制した要因と分析されている。中川氏の会長当選後の第一声が「国民の健康と命を守るためならどんな圧力にも決して負けない、そして堂々とものを言える新しい日本医師会に変えていこうと思っている」だったのも、この勝因を意識したものに映る。中川氏側だったある日医の代議員は次のように語る。「横倉会長時代の診療報酬改定では本体は常にプラスだったが、実際のところそのほとんどが0.5%前後。原中 勝征会長時代とは比べ物にならず、結果として現場の運用次第ではマイナスだった」どうやらこの代議員の頭にあるのは、横倉氏の前任だった原中会長時代の2010年度改定の本体改定率1.55%プラス、2012年改定の本体改定率1.379%プラスという数字らしい。しかし、当時の状況を知る人からすれば、この数字こそ異例というのが正しい認識なはずだ。そもそもこの2回の改定時は旧民主党政権時のこと。「聖域なき構造改革」を掲げた自民党・小泉 純一郎政権下での2006年の診療報酬・介護報酬同時改定時の本体1.36%マイナスに対する政治的アンチテーゼとして行われたのが2010年、2012年のプラス改定である。その意味では2018年の診療報酬・介護報酬同時改定時は将来の財源不安なども考慮すれば、本体マイナス改定が必至の情勢で、財務省もそこにはギリギリまでこだわった。にもかかわらず、この時0.55%プラスでおさまったのは、「勝つには勝つが、一人勝ちはしない」という「横倉マジック」で無い袖を振らせた結果だった。逆に言えば、本来マイナスすべきだったツケがたまっているのが現下の状況とも言える。しかも、2025年の地域包括ケア完成に向けて、残すところは2022年の診療報酬改定、2024年の診療報酬・介護報酬同時改定の2回しか残されていない。日医が「堂々とものを言う」方法を間違えれば、財源論と世論を味方に本体マイナス改定という「伝家の宝刀」が抜かれる可能性は否定できない。このように言うと、「日医の集票力を自民党も無視はできない」としたり顔で口にする面々が登場する。戦後、日医会長として25年の長期政権を維持した武見 太郎会長時代は「医師のかばんの中には10票が入っている」と言われ、日医の組織内候補への集票力は100万票超と称されてきた。しかし、その集票力はもはや蜃気楼である。2019年参議院選挙(参院選)で日医組織内候補だった自民党の羽生田 俊議員(元日医副会長)の得票は15万2,807票。日本看護協会、日本薬剤師会の組織内候補よりも得票数は下回り、2013年参院選に初当選した時の24万9,818票から大きく減らした。そもそも日医は2000年代半ばごろからは、病院建設などで激しく対立してきた徳洲会関係者から全国比例区で3~4万票分の支援を受けてもいる。旧民主党政権への失望から国政選挙で保守系野党の得票が伸び悩み、なんとなく空気で自民党が大勝を続ける今、17万人超の会員平均1票にも満たない日医の集票力はとても政治的山を動かせる原動力にはなり得ないのが現実だ。実際、今回の日医選挙の結果に永田町界隈では「中川会長のお手並み拝見」とのささやきも聞かれる。つまるところ、舌鋒の鋭さで知られる中川会長率いる日医の新執行部の言動が傍目に「欲張り村の村長」にしか見えない状況が続くようになれば、巨大なブーメランの直撃を受ける可能性は少なくないといえる。

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喘息治療薬2剤の製造販売承認を取得/ノバルティス ファーマ

 ノバルティス ファーマ株式会社は、6月29日、LABA/LAMA/ICS配合喘息治療剤インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:エナジア)とLABA/ICS配合喘息治療剤インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル(同:アテキュラ)の製造販売承認を取得したと発表した。1日1回で3成分を同時に吸入 喘息は世界中で3億5,800万人(うちわが国では約800万人が罹患)の患者が推定され、症状がコントロール不十分な場合、個人的、健康的、経済的負担の点から重大な問題が生じるリスクが高くなる。また、症状コントロールが不十分な喘息患者は、疾患の重症度を軽視または過小評価する傾向があり、増悪、入院または死亡のリスクが高くなるという報告もある。そのため、治療法が合わない、経口ステロイド剤の安全性、生物学的製剤の不適応など喘息に対するアンメット・メディカル・ニーズはまだ多く存在する。今回承認された両剤は、こうした臨床現場からの要望に応えたもので単一吸入器による1日1回投与で3成分を同時に吸入でき、十分な喘息コントロールが得られるものと期待されている。スマホと連動し、患者の服薬状態もチェックできる 今回発売されたエナジアは、長時間作用性β2刺激剤(以下「LABA」という)のインダカテロール酢酸塩、長時間作用性抗コリン剤(以下「LAMA」という)のグリコピロニウム臭化物、吸入ステロイド剤(以下「ICS」という)のモメタゾンフランカルボン酸エステルのLABA/LAMA/ICS配合剤で、専用の吸入器「ブリーズヘラー」による1日1回投与で気管支拡張作用および抗炎症作用を発揮する。中用量および高用量の2規格ともにインダカテロールは150μg、グリコピロニウムは50μgを含有し、モメタゾンフランカルボン酸エステルはそれぞれ80μgおよび160μgを含有する。同じくアテキュラも、ブリーズヘラーを用いて1日1回投与するLABA/ICS配合剤で、低用量、中用量および高用量の3規格ともにインダカテロールは150μgを含有し、モメタゾンフランカルボン酸エステルはそれぞれ80μg、160μg、320μgを含有する。 また、特色として、両剤は日本で初めて吸入器に装着してスマートフォンと連動させ、日々の服薬記録や服薬リマインダー機能を持つブリーズヘラー用センサーにより医師を通じて提供される仕組みが付き、アドヒアランス向上などに役立てることができる。エナジアの概要製品名:「エナジア」(吸入用カプセル中用量/高用量)一般名:インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル効能または効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤および長時間作用性吸入抗コリン剤の併用が必要な場合)用法および用量:通常、成人にはエナジア吸入用カプセル中用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。なお、症状に応じてエナジア吸入用カプセル高用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。承認取得日:2020年6月29日製造販売:ノバルティス ファーマ株式会社なお、薬価・発売日は未定。アテキュラの概要製品名:「アテキュラ」(吸入用カプセル低用量/中用量/高用量)一般名:インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル効能または効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤および長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)用法および用量:通常、成人にはアテキュラ吸入用カプセル低用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。なお、症状に応じて以下用量の1回1カプセルを1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。・アテキュラ吸入用カプセル中用量(インダカテロールとして150μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)・アテキュラ吸入用カプセル高用量(インダカテロールとして150μgおよびモメタゾンフランカルボン酸エステルとして320μg)承認取得日:2020年6月29日製造販売:ノバルティス ファーマ株式会社なお、薬価・発売日は未定。

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新型コロナ感染の川崎病様小児患者、大半で心機能障害/NEJM

 米国ニューヨーク州では5月上旬時点で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染が認められた小児発症性多系統炎症症候群(MIS-C)は95例に上ったことが、米国・ニューヨーク州保健局(New York State Department of Health:NYSDOH)のElizabeth M. Dufort氏らによる調査により明らかにされた。そのほとんどで、C反応性蛋白(CRP)値、Dダイマー値、トロポニン値が上昇し、心機能障害との関連が認められたという。MIS-Cは、皮膚・皮膚粘膜症状、消化器系症状を伴うhyperinflammatory syndromeで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連が示唆されており、NYSDOHでは、同症状を呈した入院患者の記述的サーベイランスを州全体で強化していたという。NEJM誌オンライン版2020年6月29日号掲載の報告。川崎病、MIS-C疑い例など21歳未満の入院患者を対象に調査 研究グループは、2020年3月1日~5月10日にNYSDOHに報告された川崎病、毒素性ショック症候群、心筋炎、およびMIS-Cが疑われる21歳未満の入院患者を対象に調査を行った。 NYSDOHのMIS-C症例基準に適合した患者について、臨床症状、合併症、アウトカムを要約した記述的分析を行った。ICU治療は80%、昇圧剤サポートは62% 2020年5月10日時点で191例の症例がNYSDOHに報告された。 このうち、MIS-Cと診断(急性または最近のSARS-CoV-2感染が検査で確認)されたのは95例、また臨床・疫学的基準に適合しMIS-Cの疑いがあると判断された症例が4例で、54%(53例)が男性だった。人種別では、31/78例(40%)が黒人、31/85例(36%)がヒスパニック系だった。年齢別では、0~5歳が31例(31%)、6~12歳が42例(42%)、13~20歳が26例(26%)だった。 全例で主観的な発熱または寒気があり、頻拍は97%、消化器系症状は80%、発疹は60%、結膜充血は56%、粘膜変化は27%にそれぞれ認められた。 CRP値、Dダイマー値、トロポニン値の上昇は、それぞれ100%、91%、71%で認められた。昇圧剤サポートを要したのは62%、心筋炎のエビデンスが認められたのは53%、集中治療室(ICU)での治療を要したのは80%、死亡は2例だった。 入院期間の中央値は6日だった。

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ダウン症者のアルツハイマー病は予測可能、異常は20代から/Lancet

 ダウン症者におけるアルツハイマー病は、20年以上にわたる前臨床段階を有し、バイオマーカーの変化で予測可能であることが明らかにされた。スペイン・Barcelona Down Medical CenterのJuan Fortea氏らが、ダウン症候群者388例を含む横断研究の結果を報告した。アルツハイマー病とその合併症は、ダウン症の成人における主な死因となっている。先行研究で、ダウン症者のアルツハイマー病について評価は行われたが、ダウン症者におけるバイオマーカーの変化の経過は確認されていなかった。Lancet誌2020年6月27日号掲載の報告。ダウン症者のアルツハイマー病について横断試験 研究グループは、スペイン・バルセロナのSant Pau病院と、英国・ケンブリッジ大学で、ダウン症者とその対照群を集めて横断研究を行った。バルセロナでは、住民ベースの医療保険プランを通じて、またケンブリッジでは、英国とスコットランドの知的障害者支援サービスを通じて、18歳以上のダウン症者を集めた。 被験者の適格条件は、軽度~中等度の障害を持ち、次のアルツハイマー病の指標や検査で陽性が1つ以上認められる場合とした。アポリポ蛋白E対立遺伝子の状況、アミロイドβペプチド1-42と1-40血清濃度とその比率(Aβ1-42/1-40)、総タウタンパク質、ニューロフィラメント軽鎖タンパク質(NFL)、脳脊髄液中(CSF)のスレオニン181でリン酸化されたタウ(p-tau)やNFL、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)によるPET、アミロイドトレーサーによるPET、磁気共鳴画像(MRI)。 対照群は、バイオマーカーに異常がなく、認知能力が正常な18~75歳とした。 1次LOESS平滑化曲線により、バイオマーカー変化の順番と年齢、分岐となる最低年齢などを求めて評価した。ダウン症者におけるアルツハイマー病の有病率は年齢とともに上昇 バルセロナでは2013年2月~2019年6月、ケンブリッジでは2009年6月~2014年12月にかけて、ダウン症者388例(無症状257例[66%]、アルツハイマー病前駆症状48例[12%]、認知症を伴うアルツハイマー病83例[21%])と、その対照群242例を集めた。 ダウン症者では、CSF Aβ1-42/1-40と血清NFLの変化が20代で認められ、アミロイドPETの変化は30代で認められた。18F-FDG PETやCSF p-tauの変化は30代後半に、その後40代になると海馬萎縮や認知能力に変化が起きていた。 前駆期アルツハイマー病の診断年齢中央値は50.2歳(IQR:47.5~54.1)、認知症を伴うアルツハイマー病は同53.7歳(49.5~57.2)だった。 ダウン症者におけるアルツハイマー病の有病率は年齢とともに上昇し、60代には90~100%に達していた。 結果を踏まえて著者は、「被験者集団は、散発性および常染色体優性アルツハイマー病と類似しており、ダウン症候群の有病率も高いことから、アルツハイマー病の予防治療のターゲットとして適していると考えられる」と述べている。

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開発中の遅発型ポンペ病治療薬の有効性/サノフィ

 サノフィ株式会社は、6月16日、酵素補充療法剤として現在開発中のavalglucosidase alfa(以下「本剤」という)が、遅発型ポンペ病の患者の臨床症状(呼吸障害と運動性の低下)に対し臨床上意義ある改善をもたらしたと報告した。世界には推定5万人の患者がいるポンペ病 ポンペ病は、ライソゾーム酵素の1つである酸性α-グリコシダーゼ(GAA)の遺伝子欠損または活性低下が原因で生じる疾患。グリコーゲンが近位筋肉や横隔膜をはじめとする筋肉内に蓄積し、進行性の不可逆的な筋疾患が生じる。世界の患者数は約5万人と推定され、乳児期から成人後期のいずれの時期にも発症する可能性がある。 本症は、遅発型と乳児型に分類され、遅発型では1歳以降から成人後期までのいずれかの時期に発症する。遅発型の特徴的な症状は、呼吸機能の低下と筋力低下で、多くの場合、運動機能の低下に至る。患者は、歩行が困難となり、車椅子での生活を余儀なくされることが多く、呼吸困難が現れ人工呼吸器が必要となることもあり、主な死因は呼吸不全となっている。乳児型は生後1年以内に発症し、骨格筋の筋力低下に加え、心機能障害がみられる。 COMET試験の概要 今回報告されたCOMET試験は、無作為化二重盲検第III相試験で、20ヵ国56施設において治療経験のない遅発型ポンペ病の小児患者または成人患者100例が対象。患者を無作為化し、本剤群またはアルグルコシダーゼアルファ(標準治療薬)群に割り付け、いずれの群とも49週間にわたり1回20mg/kgの点滴静脈内投与を隔週で受ける。49週間後、非盲検の継続投与を行い、標準治療群については本剤20mg/kgによる治療に切り替える。 主要評価項目は、呼吸筋機能の変化で、立位での予測値に対する比率をパーセントで表した努力性肺活量(%FVC)に基づき評価した。本剤群の患者は、アルファグリコシダーゼの標準治療群の患者に比べ、%FVCが2.4ポイント改善し(95%信頼区間[CI]:-0.13/4.99)、試験計画で規定した非劣性の基準を上回る呼吸機能の改善を示した(p=0.0074)。ただ、主要評価項目の優越性については、本剤群は統計学的に有意な優越性を示すには至らなかった(p=0.0626)ため、試験計画で定めた解析の実施順序に従い、副次評価項目に関する正式な統計学的検討は行わなかった。主な副次評価項目は、6分間歩行試験による運動性の評価、呼吸筋力、運動機能と生活の質(QOL)を評価など。 本剤の安全性プロファイルは標準治療薬と同様で、49週間の二重盲検試験の期間中、本剤群44例、標準治療群45例に有害事象が現れた。重度の有害事象は、本剤群6例、標準治療群7例。重篤な有害事象が現れた患者数は、本剤群(8例、うち1例は投与との因果関係が否定できない重篤な有害事象)の方が標準治療群(12例、うち3例は投与との因果関係が否定できない重篤な有害事象)より少数だった。標準治療群では、4例が有害事象のため投与中止に至り、1例は急性心筋梗塞(投与との因果関係なし)のため死亡した。本剤群での投与中止や死亡はなかった。avalglucosidase alfaの概要 ポンペ病の酵素補充療法の目標は、筋細胞の中にあるライソゾームに酵素を送り届け、欠損しているか機能低下がみられる酸性α-グルコシダーゼに代わって筋肉内のグリコーゲン蓄積を防ぐことにある。本剤は、筋肉内、とくに骨格筋の細胞に酵素を送り届ける機能を高めるよう設計されていて、標準治療で用いられるアルグルコシダーゼアルファに比べ、-マンノース-6-リン酸の含量を約15倍に高めた物質で、酵素の細胞内への取り込みを向上させ、標的組織において高いグリコーゲン除去効果を得る目的で開発された。ただ、この差の臨床的意義は、まだ確認されていない。 同社では、「今回の試験結果により、avalglucosidase alfaをポンペ病の新たな標準治療薬として確立させるという目標に向けた歩みがまた一歩進んだ」と期待をにじませている。 また、今回のデータに基づき、2020年下半期に世界各国で承認申請を行う予定であり、米国食品医薬品局(FDA)は、ポンペ病と確定診断された患者に対する治療薬候補として画期的新薬として、ファストトラック審査の対象に指定している。

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デキサメタゾンは小児心臓手術時の重度合併症を抑制せず/JAMA

 人工心肺装置(CPB)を使用する心臓手術を受けた生後12ヵ月以下の乳児において、術中のデキサメタゾン投与はプラセボと比較して、30日以内の重度合併症や死亡のリスクを低減しないことが、ロシア・E. N. Meshalkin国立医療研究センターのVladimir Lomivorotov氏らが実施した「DECISION試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年6月23日号に掲載された。米国のデータでは、1998年以降、CPBを伴う心臓手術を受けた先天性心疾患小児の死亡率は約3%まで低下しているが、重度合併症の発生率は30~40%と、高率のままとされる。CPBによって引き起こされる全身性の炎症反応が臓器機能を低下させ、長期の集中治療室(ICU)入室や、入院の長期化をもたらすことが知られている。この全身性炎症反応や合併症の低減を目的に、コルチコステロイドが広く用いられているが、その臨床的有効性は確実ではないという。デキサメタゾンまたはプラセボに小児患者を1対1で割り付け 本研究は、小児の心臓手術における、術中デキサメタゾン投与による重度合併症や死亡の抑制効果を評価する医師主導の二重盲検無作為化試験であり、3ヵ国(中国、ブラジル、ロシア)の4施設の参加の下、2015年12月~2018年10月の期間に患者登録が行われた(各参加施設の研究助成のみで実施)。 対象は、生後12ヵ月以下で、CPBを伴う待機的心臓手術が予定されている患児であった。これらの患児は、麻酔導入後にデキサメタゾン(1mg/kg)またはプラセボ(0.9%塩化ナトリウム水溶液)の静脈内投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、術後30日以内の死亡、非致死的心筋梗塞、体外式膜型人工肺の必要性、心肺蘇生法の必要性、急性腎障害、長期の機械的換気、神経学的合併症の複合とした。副次エンドポイントは、主要エンドポイントの個々の構成要素のほか、機械的換気の期間、変力指標、ICU入室期間、ICU再入室、入院期間など17項目であった。デキサメタゾンとプラセボは副次エンドポイントのすべてで有意差なし 小児患者394例(月齢中央値6ヵ月、男児47.2%)が登録され、全例が試験を完遂した。デキサメタゾン群に194例、プラセボ群には200例が割り付けられた。CPB時間中央値は、デキサメタゾン群が50分、プラセボ群は46分だった。 主要複合エンドポイントの発生は、デキサメタゾン群が74例(38.1%)、プラセボ群は91例(45.5%)であり、両群間に有意な差は認められなかった(絶対リスク減少:7.4%、95%信頼区間[CI]:-0.8~15.3、ハザード比[HR]:0.82、95%CI:0.60~1.10、p=0.20)。事前に規定されたすべてのサブグループで、両群間に治療効果の差はみられなかった。 主要エンドポイントの個々の構成要素を含む副次エンドポイントのすべてで、両群間に有意差はなかった。デキサメタゾン群で2例(1.0%)、プラセボ群で4例(2.0%)の小児患者が死亡した。急性腎障害はそれぞれ10例(5.1%)および14例(7.0%)で発生し、長時間の換気(24時間以上)は70例(36.1%)および84例(42.0%)で認められ、神経学的イベントは6例(3.1%)および13例(6.5%)で発現した。 感染症は、デキサメタゾン群が4例(2.0%)、プラセボ群は3例(1.5%)で発生した。デキサメタゾン群の3例で肺炎、1例で縦隔炎がみられ、プラセボ群の2例で肺炎(1例は創感染を伴う)、1例で深部胸骨感染が発生した。敗血症は認めなかった。 著者は、「本試験は、治療効果を過大評価している可能性があり、主要エンドポイントの群間差の95%CIの範囲内に、臨床的に意義のある最小変化量(15%)が含まれていることから、検出力が十分でない可能性がある」としている。

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混合性の双極性うつ病の小児・青年に対するルラシドンの有用性

 混合性(亜症候性躁病)の双極性うつ病の小児および青年の治療に対するルラシドンの有効性と安全性について、米国・スタンフォード大学のManpreet K. Singh氏らが、事後分析により評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年5月8日号の報告。 DSM-Vで双極I型うつ病と診断された10~17歳の患者を対象に、6週間のランダム化二重盲検試験を実施した。対象患者は、ルラシドン20~80mg(フレキシブルドーズ)またはプラセボを1日1回投与する群にランダムに割り付けられた。混合性(亜症候性躁病)は、ベースライン時のヤング躁病評価尺度(YMRS)5以上と定義した。評価項目は、ベースラインから6週目までのChildren's Depression Rating Scale-Revised(CDRS-R)スコア(主要評価項目)および臨床全般印象度-双極性障害 重症度(CGI-BP-S)スコアとし、反復測定分析による混合モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に亜症候性躁病が認められた患者の割合は、54.2%であった。・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCDRS-Rスコアを有意に減少させた。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-21.5)vs.プラセボ(-15.9)、p<0.01、エフェクトサイズd=0.43 ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-20.5)vs.プラセボ(-14.9)、p<0.01、d=0.44・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCGI-BP-Sスコアを有意に減少させた。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-1.6)vs.プラセボ(-1.1)、p<0.001、d=0.51 ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-1.3)vs.プラセボ(-1.0)、p=0.05、d=0.31・治療中に認められた軽躁病および躁病の発生率は、ルラシドンとプラセボで同等であった。 ●亜症候性躁病あり:ルラシドン(8.2%)vs.プラセボ(9.0%) ●亜症候性躁病なし:ルラシドン(1.3%)vs.プラセボ(3.7%) 著者らは「ルラシドンは、混合性の双極性うつ病の小児・青年の治療に有効であり、治療に伴う躁病リスクを含む安全性プロファイルは、プラセボとの差が認められなかった」としている。

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次亜塩素酸水は物品消毒に有効、空間噴霧は勧められない

 6月26日、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)が実施した新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を踏まえ、経済産業省、厚生労働省、消費者庁が合同で、消毒・除菌方法に関する情報を取りまとめた。次亜塩素酸水は、物品における新型コロナウイルスの消毒に対して、一定条件下での有効性を報告した一方、手指消毒や空間噴霧の有効性・安全性は評価されておらず、まわりに人がいる中での空間噴霧はお勧めできないと注意喚起している。有効塩素濃度35ppm以上の次亜塩素酸水が物品消毒に有効 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アルコール消毒液が手に入りにくい状況が続いたことを受け、家庭や職場でアルコール以外による物品の消毒の選択肢を増やすため、経済産業省の要請を受けたNITEが消毒方法の有効性評価を進めていた。 新型コロナウイルスに対する消毒方法として新しく有効と判断されたのは、界面活性剤の純石けん分(脂肪酸カリウム 0.24%以上/脂肪酸ナトリウム 0.22%以上)と、有効塩素濃度35ppm以上の次亜塩素酸水(電解型/非電解型)。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かす場合は、有効塩素濃度100ppm以上で有効とされる。 なお、検証結果を踏まえ、次亜塩素酸水の利用に当たっては(1)汚れ(手垢、油脂など)をあらかじめ除去すること、(2)対象物に対して十分な量を使用することなどの注意が必要だ。次亜塩素酸水の空間噴霧は勧められない 経済産業省の取りまとめサイトでは、新型コロナウイルスに有効な消毒・除菌方法についてまとめた以下のポスターが公開されている。・次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)など既存の消毒・除菌方法について・界面活性剤の使い方について・次亜塩素酸水の使い方について なお、次亜塩素酸水に関しては、製造・販売事業者向けにも、有効性・使い方・販売方法などについてのお知らせが出されている。これによると、次亜塩素酸水の手指などへの影響、空間噴霧の有効性・安全性は評価されておらず、利用する際の注意として「塩素に過敏な方は使用を控えるべきこと」、「飲み込んだり、吸い込んだりしないよう注意すること」、「次亜塩素酸水を、まわりに人がいる中で空間噴霧することはお勧めできないこと」が明記されている。 これ以外にも、次亜塩素酸ナトリウムとは異なることや、酸性の製品と混ぜると塩素ガスが発生して危険であることなど、適切な表示をするよう呼び掛けられている。国民一人ひとりが目的にあった製品を正しく選び、正しい方法で使用するために、情報の周知が重要だ。

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