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「ワクチンを打つのが不安」と言われたら…【非専門医のための緩和ケアTips】第11回

第11回 「ワクチンを打つのが不安」と言われたら…COVID-19のパンデミックで大変な思いをされている医療者の方が多いと思います。今回はパンデミック下における緩和ケアについての話題を紹介します。今日の質問かかりつけの患者さんから、「私はワクチンを打ってもいいですか?」と質問されることが多いです。話を聞くと「副反応などの話を聞くので怖い」と感じているようです。どのようにアドバイスするとよいのでしょう?これは、多くの方がすでに経験している状況ではないでしょうか。「新しいワクチンの効果と安全性をどのように考えるか」という視点だけでなく、マスコミの報道の在り方やリスクコミュニケーションなど、さまざまな論点が複雑に絡み合った難しい問題です。一挙に解決する魔法のような策はないのですが、ここでも、緩和ケアのスキルが役立ちます。まず、患者さんやご家族は「ワクチンを受けるかどうか」について、どういった媒体の情報を得て決めたのでしょうか。厚生労働省のような公的機関や新聞やテレビのニュースの情報が十分届いているかというと、少し疑問です。米国の調査1)では、調査対象となった患者と家族の約80%がワクチン接種に関する相談先に「医師や看護師などの医療専門職」と回答しました。これは米国疾病予防管理センター(CDC)の60%や家族や友人の58%よりもはるかに高い数字です。いかがでしょう。こうした結果を見ると、私たち医療者の責任は重大です。このCenter to Advance Palliative Careのサイトには、医療者がワクチン接種に不安を感じる患者と対話するときのポイントも紹介されています。1)Start with Open-Ended Questions開かれた質問から対話を始める2)Acknowledge Patient Concerns without Judging判断をせずに、患者の気掛かりを認める3)Avoid Criticizing the Patient’s Information Sources患者の情報源を批判しない4)Show Awareness of Your Status as a Messenger必要なワクチンを必要な人に提供するという、自分の立場を明確にする5)Link Vaccine Acceptance to the Patient’s Hopes and Goals患者の希望や目標と、ワクチン接種の受け入れを関連付ける私の意訳を含んでいるので、少しニュアンスが異なるかもしれません。興味を持った方は、原文を読んでみてください。ちなみに、この原文には次のような力強い言葉が書いてあります。「緩和ケア医は多くの場合、すでに患者から信頼されている」さまざまな診療を通じて構築してきた、医師と患者の関係を基盤として、ワクチンに対する不安について「対話」をすることが重要なのです。ともすれば、患者さんの情報源を批判する態度を取ったり、医療者としての意見を一方的に伝えたりしがちではないでしょうか。「患者さんの真意を聞き、不安な気持ちを受け止める」という緩和ケアのアプローチは、ワクチン接種にも活用できるのです。今回のTips今回のTips緩和ケアにおける意思決定の支援法は、ワクチン接種にも活かせる!1)Center to Advance Palliative Care(capc). How to Address Vaccine Hesitancy for Patients Living with Serious Illness(2021年3月11日)

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米国の10代で糖尿病の有病率が増加/JAMA

 米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)のJean M. Lawrence氏らSEARCH for Diabetes in Youth Studyの研究グループは、2001~17年に、米国の20歳未満における糖尿病の推定有病率がどう推移したかを調査した。その結果、この16年間に19歳以下では1型糖尿病の有病率が1,000人当たり1.48から2.15へ、10~19歳では2型糖尿病の有病率が1,000人当たり0.34から0.67へと、それぞれ統計学的に有意に増加したことが明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2021年8月24・31日号で報告された。6地域の2001、2009、2017年のデータを解析 本研究は、米国の青少年における、2001~17年の糖尿病有病率の推移の調査を目的とする横断的観察研究である(米国・Kaiser Permanente Southern California’s Marilyn Owsley Clinical Research Centerなどによる助成を受けた)。 解析には、米国の6地域(コロラド、オハイオ、サウスカロライナ、ワシントンの4州と、カリフォルニア州のカイザーパーマネンテ南カリフォルニア会員、アリゾナ州とニューメキシコ州のアメリカインディアン居留地)において、医師によって糖尿病と診断された20歳未満の人口の2001、2009、2017年のデータが用いられた。 2001、2009、2017年の1,000人当たりの1型および2型糖尿病の有病率を推定し、95%信頼区間(CI)を算出した。人種/民族別、年齢別、性別の解析も行った。増加率:1型45.1%、2型95.3%、1,000人当たりで0.67、0.32 19歳以下では、1型糖尿病が、2001年に335万人中4,958人、2009年に346万人中6,672人、2017年には361万人中7,759人で認められた。また、10~19歳では、2型糖尿病が、2001年に173万人中588人、2009年に185万人中814人、2017年には185万人中1,230人でみられた。 19歳以下における1,000人当たりの1型糖尿病の推定有病率は、2001年の1.48(95%CI:1.44~1.52)から、2009年には1.93(1.88~1.98)へ、2017年には2.15(2.10~2.20)へと有意に増加し、16年間に絶対値で0.67/1,000人(0.64~0.70)、相対値で45.1%(40.0~50.4)の増加が確認された。 また、この推定有病率の絶対値の増加は、非ヒスパニック系白人(0.93/1,000人、95%CI:0.88~0.98)と非ヒスパニック系黒人(0.89/1,000人、0.88~0.98)が他の人種/民族よりも高く、男性(0.71、0.66~0.75)は女性(0.63、0.58~0.67)よりも高く、年齢が進むに従って高くなる傾向がみられた。 一方、10~19歳における1,000人当たりの2型糖尿病の推定有病率は、2001年の0.34(95%CI:0.31~0.37)から、2009年には0.46(0.43~0.49)へ、2017年には0.67(0.63~0.70)へと有意に増加し、16年間に絶対値で0.32/1,000人(0.30~0.35)、相対値で95.3%(77.0~115.4)の増加が認められた。 この推定有病率の絶対値の増加は、非ヒスパニック系黒人(0.85/1,000人、95%CI:0.74~0.97)とヒスパニック系(0.57/1,000人、0.51~0.64)が他の人種/民族よりも高く、女性(0.40、0.36~0.44)は男性(0.25、0.22~0.28)よりも高く、年齢が進むに従って高くなる傾向がみられた。 著者は、「有病率の増加率は、2型糖尿病が1型よりも大きかったが、有病率の絶対値の増加は1型糖尿病のほうが大きく、青少年では依然として2型よりも多くみられた。また、2型糖尿病は、人種/民族的に少数派の青少年に多くみられ、有病率の絶対値の増加は黒人とヒスパニック系で大きかった」とまとめている。

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妊婦のケアを厚く追記した改訂COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 8月31日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」を公開した。 今回の改訂では、主に以下の5点が追記・修正された。【2 臨床像の「5.小児例の特徴」の重症度、家族内感染率などについて一部追記】 最新(2021年8月時点)の陽性患児の特徴などが追加された。【4 重症度分類とマネジメントの「5.妊産婦の管理」の項を追加】 追加項目では、自宅療養中の妊婦の訪問時の確認事項、妊婦への指導事項のほか、妊婦搬送の判断の注意点、産科的管理以外のバイタルの留意事項、COVID-19患者の妊婦から産まれた新生児への検査が追加された。【同「自宅療養者に対して行う診療プロトコール」「経口ステロイド薬投与における留意点」などについて追記】 自宅療養・宿泊療養を行っている患者で酸素投与の適応となる場合の経口ステロイド薬投与における留意点」として、ステロイド投与を行う際の病状評価および治療適応の判断では、原則として自宅に赴いた往診医や宿泊施設内における担当医師などによる対面診療のもと、処方することを推奨(処方例:デキサメタゾン 6mg 分1 10日間または症状軽快まで)している。また、緊急時対応のために事前処方や内服の目安(例:咳嗽などの呼吸器症状があり、SpO2 93%以下)などが記されている。その際、電話、オンラインなどで医師が指示したり、フォローアップすることが望ましいと詳しい項目が記載されている。【5 薬物療法の各種薬剤の項目(レムデシビル、バリシチニブなど)に一部追記】 レムデシビルの保険適用(2021年8月4日)や「腎機能障害のある患者への投与」が追加され、重度の腎機能障害がある患者には投与は推奨されないが、治療の有益性が上回ると判断される場合のみに投与とされた。また、「バリシチニブ」について、入院患者1,525人を対象とした二重盲検試験(COV-BARRIER)の結果、主要評価項目の人工呼吸管理/死亡に至った割合に差は認められなかったが、治療開始28日以内の死亡はバリシチニブ群で有意に低かった試験結果が追加された。【6の院内感染対策の「表6-1」「1.個人防護具」「5.患者寝具類の洗濯」「8.職員の健康管理」などについて一部追記】 「表6-1 感染防止策」の確定例の感染防止策を実施する期間が大きく改訂され、発症者と人工呼吸器など要した患者に場合分けされ記載された。 「1.個人防護具」では、エアロゾルが発生しやすい状況として、歯科口腔処置、非侵襲的換気、ネーザルハイフロー、生理食塩水を用いた喀痰誘発、下気道検体採取、吸引を伴う上部消化管内視鏡などが追加された。 「5.患者寝具類の洗濯」では、患者が使用したリネン類の洗濯について、具体的かつ詳細な洗濯法が追加された。 「8.職員の健康管理」では、参考として「医療従事者が濃厚接触者となった場合の外出自粛の考え方」が新たに追加された。 なお、本手引きは5月以降、毎月追加改訂がなされているので、下記のリンクなどより確認をいただきたい。

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小児マラリア、ワクチン+化学予防で入院・死亡を大幅抑制/NEJM

 合併症のない臨床的に軽症の小児マラリアの予防治療において、季節性のRTS,S/AS01Eワクチン接種は化学予防に対し非劣性であり、RTS,S/AS01Eワクチンと化学予防の併用はワクチン単独および化学予防単独と比較して、軽症マラリア、重症マラリアによる入院、マラリアによる死亡を大幅に抑制することが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のDaniel Chandramohan氏らが西アフリカで行った臨床試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年8月25日号で報告された。ブルキナファソとマリの無作為化対照比較試験 研究グループは、西アフリカのブルキナファソとマリの小児を対象に、RTS,S/AS01Eを用いた季節性ワクチン接種の季節性化学予防に対する非劣性と、RTS,S/AS01Eワクチンと化学予防の併用は、このうち一方による単独療法と比較して優越性を有するかを検証する目的で、二重盲検無作為化対照比較試験を実施した(英国・Joint Global Health Trialsと米国・PATH Malaria Vaccine Initiativeの助成を受けた)。 2017年4月1日の時点で、生後5~17ヵ月の小児がいる試験地域内の全世帯が対象となった。6,861例の小児が登録され、このうち2,287例がsulfadoxine/pyrimethamine+amodiaquine(年4回投与)とRTS,S/AS01Eワクチンのプラセボの接種を受ける群(化学予防単独群)、2,288例がRTS,S/AS01Eワクチン接種と化学予防薬のプラセボの投与を受ける群(ワクチン単独群)、2,286例が化学予防+RTS,S/AS01Eワクチン接種を受ける群(併用群)に無作為に割り付けられた。RTS,S/AS01Eワクチンは、5回(2017年4月、5月、6月、2018年6月、2019年6月)接種された。 5,920例(化学予防単独群1,965例、ワクチン単独群1,988例、併用群1,967例)が、割り付けられた介入の初回投与を受け、3年間のフォローアップが行われた。2020年3月31日の時点で、それぞれ1,716例(87.3%)、1,734例(87.2%)、1,740例(88.5%)がフォローアップを終了した。接種後の熱性痙攣は回復、髄膜炎の発現はなかった 合併症のない臨床的マラリア(体温37.5℃以上または直近48時間以内の発熱の既往、かつ熱帯熱マラリア原虫[Plasmodium falciparum]による原虫血症[≧5,000/mm3])は、1,000人年当たり化学予防単独群で305イベント、ワクチン単独群で278イベント、併用群で113イベント認められた。 ワクチン単独群の、化学予防単独群との比較における予防効果のハザード比は0.92(95%信頼区間[CI]:0.84~1.01)であり、事前に規定された非劣性マージン(1.20)を満たしたため、3年間を通じたワクチン接種の化学予防に対する非劣性が確認された。 一方、併用群では、化学予防単独群との比較における臨床的なマラリアの予防効果は62.8%(95%CI:58.4~66.8)であり、世界保健機関(WHO)の定義による重症マラリアに伴う入院の予防効果は70.5%(41.9~85.0)、マラリアによる死亡の予防効果は72.9%(2.9~92.4)であった。 また、併用群では、ワクチン単独群との比較における臨床的なマラリアの予防効果は59.6%(95%CI:54.7~64.0)、WHO定義の重症マラリアによる入院の予防効果は70.6%(42.3~85.0)、マラリアによる死亡の予防効果は75.3%(12.5~93.0)だった。 ワクチン接種後に熱性痙攣が5例(ワクチン単独群3例、併用群2例、初回接種[プライミング]後3例、追加接種[ブースター]後2例)で発現したが、いずれも回復し、後遺症は認められなかった。8例(化学予防単独群4例、ワクチン単独群3例、併用群1例)で臨床的に髄膜炎が疑われたが、いずれも確定されなかった。また、RTS,S/AS01Eワクチン接種者で、入院や死亡が男児よりも女児で多いとの証拠は得られなかった。 著者は、「アフリカの季節性マラリアがみられる広範な地域では、マラリアのコントロールが現在も不十分であるため、季節性の化学予防と季節性のRTS,S/AS01Eワクチン接種の併用は有望な予防法となる。サヘル地域やサブサヘル地域のマラリアの負担が大きい地方では、今後、これらの併用の最適な方法を検討する必要があるだろう」としている。

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嚢胞性線維症、3剤併用療法で肺機能が改善/NEJM

 Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者の治療において、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorによる3剤併用療法は、肺機能の改善に有効で安全性も良好であり、既存の嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)調節薬(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)よりも大きな利益をもたらすことが、英国・マンチェスター大学のPeter J. Barry氏らが行った「VX18-445-104試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年8月26日号に掲載された。北米、欧州、オーストラリアの無作為化実薬対照第III相試験 本研究は、北米、欧州、オーストラリアの96施設が参加した二重盲検無作為化実薬対照第III相試験であり、2019年8月~2020年6月の期間に実施された(米国・Vertex Pharmaceuticalsの助成による)。 対象は、年齢12歳以上で、Phe508del-ゲーティング遺伝子型またはPhe508del-機能残存遺伝子型を有する嚢胞性線維症患者であった。 被験者は、4週間の導入期間にivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftorの投与を受けたのち、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorを8週間投与する群または実薬対照(ivacaftorまたはtezacaftor+ivacaftor)群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftor群における、予測1秒量に対する比率(%FEV1)のベースライン(導入期間終了時)から8週までの絶対変化量であった。汗中塩化物イオン濃度とQOLの改善効果も良好 258例(Phe508del-ゲーティング遺伝子型95例、Phe508del-機能残存遺伝子型163例)が登録され、導入期間終了後に、3剤併用群に132例(平均年齢[±SD]37.7±14.7歳、女性50.8%)、実薬対照群に126例(37.6±14.3歳、48.4%)が割り付けられた。ベースラインの%FEV1の平均値は、3剤併用群が67.1±15.7%、実薬対照群は68.1±16.4%だった。 %FEV1は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で3.7ポイント(95%信頼区間[CI]:2.8~4.6、p<0.001)増加したのに対し、実薬対照群は0.2ポイント(-0.7~1.1)の増加であった。両群間の差は3.5ポイント(2.2~4.7)と3剤併用群で良好で、有意な差が認められた(p<0.001)。 また、汗中塩化物イオン濃度は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で22.3mmol/L(95%CI:20.2~24.5、p<0.001)低下したのに対し、実薬対照群では0.7mmo/L(-1.4~2.8)増加しており、両群間の差は23.1mmol/L(20.1~26.1)と3剤併用群で有意に良好だった(p<0.001)。 一方、嚢胞性線維症質問票改訂版(CFQ-R)の呼吸器領域のスコア(0~100点、点数が高いほどQOLが良好、臨床的に意義のある最小変化量4点)は、ベースラインから8週までに、3剤併用群で10.3点(95%CI:8.0~12.7)上昇したのに対し、実薬対照群では1.6点(-0.8~4.1)の上昇で、両群間の差は8.7点(5.3~12.1)であった。 1件以上の有害事象が発現した患者の割合は両群でほぼ同様であり(3剤併用群66.7%、実薬対照群65.9%)、ほとんどが軽度~中等度で試験期間中に消退した。両群とも頭痛の頻度が最も高かった(8.3%、15.1%)。重篤な有害事象は、3剤併用群5例(3.8%)、実薬対照群11例(8.7%)で発現した。投与中止の原因となった有害事象は、3剤併用群で1例(0.8%、アミノトランスフェラーゼ値上昇)、実薬対照群で2例(1.6%、不安または抑うつ、呼吸器症状の増悪)に認められた。 著者は、「これらの結果は、elexacaftor+tezacaftor+ivacaftorの投与によるCFTR機能の改善を反映しており、少なくとも1つのPhe508del対立遺伝子を有する嚢胞性線維症患者におけるこの3剤併用療法の有効性と安全性を確定するものである」としている。

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第73回  HPVワクチン普及と勧奨早期再開は地方医師会の腕の見せ所?

一歩前進なのか、それともまだ停滞なのか? 定期接種のワクチンに組み入れられながら、2013年6月以降、実に8年以上も「積極的な接種勧奨の差し控え」が続いているヒトパピロ―マウイルス(HPV)ワクチン。8月31日の閣議後の記者会見で田村 憲久厚労相は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で積極的な接種勧奨の再開に向けて議論をする準備を進めていくとの方針を明らかにした。すでにこのワクチンの存在意義を揺るがす、とりわけ安全性面に関する新たなエビデンスが登場するとは考えにくい。その意味で個人的には積極的接種勧奨の再開はもう政治決断でも良いのではないかと思うが、中止の際は専門家の意見を聴取したうえでの判断だったことを考えれば、再度分科会に諮るというのは役所の手続き上外せないのだろう。これを受けた各紙の報道は以下のようなものだ。読売新聞だけは会見の日の早朝に関係各所からの取材で裏を取ったとみられる記事を出した翌日、田村厚労相が再開を表明した旨のごく一行程度の短信を発信している。「子宮頸がんワクチン接種 『積極勧奨』の再開、議論」(朝日新聞)「子宮頸がんワクチン『積極勧奨』検討 田村厚労相」(産経新聞)「子宮頸がんワクチンの積極勧奨検討 厚労相が正式表明」(日本経済新聞)「子宮頸がんワクチン、積極的な接種呼びかけ再開に議論準備」(毎日新聞)「子宮頸がんワクチンの『接種勧奨』再開を検討へ…近く厚労相表明」(読売新聞)各記事を読めばわかる通り、どこも淡々と記事化している。もし「副反応が…」と言いたければ、メディアの習性として必ずこの後に論評的な記事が掲載されるのだが、そういったものは今のところ1本もない。少なくとも上記の大手紙は積極的な接種勧奨の再開に向けてほぼ足並みが揃ったと言っていい。一方で私個人はここ最近の各地方ブロック紙、地方紙の報じ方も気になった。首都圏や関西圏を除けば、まだまだ地方紙の影響力は小さくないからだ。そこでこの再開報道が出る直前の1年間(2020年8月28日~2021年8月29日)に地方紙がどう報じてきたか、新聞記事データベースで「子宮頸がん AND ワクチン」のキーワードで検索してみた。対象となったのは地方紙44紙。検索の結果、出てきた記事は136件だった。もっとも地方紙の場合、自社のマンパワーでカバーできない記事は、共同通信や時事通信といった通信社の記事をそのまま掲載することも少なくない。そこでそうした配信記事をまずはカウントしてみた。まず通信社記事として最も多く掲載されていたのは、昨年10月に大阪大学の研究グループがHPVワクチンの接種勧奨差し控えによる子宮頸がん罹患者や死亡者の推計を発表したことに関する記事が16件。このほかは、世界保健機関(WHO)が昨年11月に子宮頸がんの撲滅に向け、HPVワクチン接種率を2030年までに15歳以下の女子の90%にまで高めることを盛り込んだ新たな目標を発表したとの記事が13件、昨年10月に厚労省が都道府県に対し、HPVワクチンの定期接種対象者に情報伝達するように通知したことを受けて接種者が増加しているとの現状を報じた記事が12件、9価のHPVワクチン発売の記事が10件、接種勧奨の中止によりHPVワクチンの定期接種の機会を逃した人を救済する独自のキャッチアップ制度を青森県平川市がスタートさせたという記事が5件など。このほかにも、採用した新聞社が5社未満の通信社記事もいくつかあり、136件の記事のうち約半数強は通信社による記事だった。各地方紙が独自に配信した残る約半数の記事をざっと眺めまわすと、主要な記事としてはおおむね2つのカテゴリーがあることが分かった。まず一つは前述の昨年10月の厚労省の通達を受けて、各都道府県の市区町村による接種対象者向けの情報発信の現状とそれに伴う接種者の増加を報じたもの、もう一つは各地の医師会や医師個人がHPVワクチン接種率向上に向けて行っている取組みや呼びかけを紹介したものだ。前者はある種、国の動きに応じた一時的なニュースともいえるが、後者は情報を発信する医師会や医師個人、それを報じる記者個人の努力に依存した結果とも言える。後者のような記事は、検索対象とした44紙で平均すると1年間に2~3紙当たり1記事程度に過ぎないが、接種勧奨中止の影響で国や地方自治体からの情報発信が限られる中、一般向けの情報としては発信当事者が思っている以上に実は受け手にとって重要な情報源となっている可能性は少なくない。国はこれまでHPVワクチンの積極的な接種勧奨再開に当たって「国民の理解を得ることが重要」との主張を繰り返してきたが、その「国民の理解」をどのような指標で測るのかは明確にしてこなかった。もっとも単純な政党支持率などと違って、医療のような医療従事者と医療受益者との情報の非対称性が著しい領域では、個別政策に対する国民の支持を定量的指標で測るというのは非常に困難ではある。その意味でもし「国民の理解」を間接的に定量化できる指標があるとするならば、それは「現情勢下でのHPVワクチンの接種率向上」ぐらいだろう。昨年10月の通達に基づく地方自治体からの接種対象者への情報発信は、前述のように記事化されるほど接種率向上に役に立ったと言える。ただ、その際に使われたリーフレットには、HPVワクチンに関する情報を詳細に紹介しながらも「現時点で国は積極的な接種勧奨をしていない」とのただし書きが付くなんとも分かりにくい物になっている。その意味では接種勧奨再開に動きそうな今だからこそ、その動きを確実化あるいは加速化させるために、首都圏のような大都市部よりも互いに顔が見えやすい地方の医師会や医師個人、地方メディア同士による連携したHPVワクチンに関する情報発信が重要な局面になっていると改めて思っている。

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新型コロナとインフルのワクチン接種間隔、現時点の考え方/日医

 今冬の季節性インフルエンザワクチンの供給予定量とそれに伴う予約の設定についての留意点、新型コロナウイルスワクチン接種との接種間隔の考え方について、日本医師会の釜萢 敏常任理事は9月1日の定例会見で情報提供を行った。昨シーズンと比較すると供給量減る見込み、予約の組み立てに注意を 今冬の季節性インフルエンザワクチンの供給予定量は、8月時点で約2,567万本から約2,792万本(1mLを1本に換算)の見込みであり、昨シーズンより減る見通しとなっている。同日開催された厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会)において示された1)。とくに接種開始の10月供給量が少なく、供給時期が12月2週目まで続くことから、例年と比較して後ろにずれる見込みという。 昨年は供給量3,342万本に対し使用量は3,274万本と製造効率等がとくに良好だったために供給量が多く、使用量も平成8年以降最大となっていた。しかし一昨年は供給量2,964万本に対し使用量は2,825万本となっており、昨年と比較すると少ないが、例年の使用量に相当する程度は供給される見込みという2)。 釜萢氏は、「11~12月には増えていく見込みとなっているが、接種開始の10月の供給量が少ない。“早く打ちたい”という方への情報提供が重要になる。各医療機関が自分のところに供給されるワクチンの見通しを把握したうえで、希望される方への予約を設定していく必要がある」と説明。とくに小児(13歳未満)の場合は2回接種が推奨されるため、それを踏まえた予約の組み立てをお願いしたいと呼びかけた。新型コロナワクチンは他のワクチンと前後2週間の接種間隔が必要 また、現在接種が進む新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔についても留意が必要になる。9月1日時点で、わが国では新型コロナウイルスワクチンは他のワクチンと前後2週間の接種間隔をとることとされている3)。同氏は、「たとえばファイザー社のワクチンは1回目と2回目の間隔が3週間となっており、この間にインフルエンザワクチン接種をスケジュールすることは難しい」とした。 一方、米国疾病予防管理センター(CDC)では、以前は他のワクチンと前後2週間の接種間隔をとることが推奨されていたが、現在では変更され、新型コロナウイルスワクチンを他のワクチンの接種タイミングと関係なく接種することが可能とされている4)。釜萢氏は日本でも今後変更される可能性はあるが、現時点では前後2週間の接種間隔が必要なことに留意が必要とした。

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切り傷の縫合処置(手術器具、糸、針の選択)【漫画でわかる創傷治療のコツ】第5回

第5回 切り傷の縫合処置(手術器具、糸、針の選択)《解説》お待たせしていましたが、今回は、縫合の主役である手術器具の選択について、知っておくべきポイントを説明していきます。形成外科の縫合で使われる器械は、外科系の他科よりも繊細で細かい操作が可能なものが多いです。とはいっても、人によって好みが分かれるので、一例として参考にしていただければと思います。(1)器械の選択持針器(じしんき)へガール型、マチュー型などがあります。通常、形成外科では3−0~7−0といった細手の針付き縫合糸を使用することが多く、繊細な操作がしやすいへガール型を使います。一方、これより太く、大きな針を使う縫合糸や、弾機針(針の根元が糸を通しやすい構造になっているもの)に絹糸などを掛けて使用する場合は、マチュー型を使用します。大きな針を繊細なヘガール型でつかむと器具が傷むので注意しましょう。鑷子、スキンフック形成外科では、先が細くなっている鑷子(セッシ、ピンセット)の中でも小さいものを使います。マッカンドー、アドソン、ビショップハーモンの3種類が代表的で、大きさで適切なものを選んでいきます。それぞれ、先端部に「鈎(こう)」がついている有鈎と、ついていない無鈎があります。ほかに、形成外科や皮膚科は、スキンフックもよく使います。どれを使うにせよ、組織をがっちりつかんではいけません! 皮膚の縫合、剥離に用いる鑷子は、好みにもよりますが、「有鈎」が多いです。皮膚を直接つかむのではなく、漫画の図のように皮下組織をつかみます。または、スキンフック(有鈎)の鈎を引っ掛けて使います。剪刀やメスも必要に応じて使用しますが、ここでの説明は省きます(解説は別の回で行う予定です)。そのほか、縫合セットには筋鈎やモスキート鉗子、メッツェンバウム剪刀などもあると安心です。(2)縫合糸の選択縫合糸の種類について、大きく分けると吸収糸と非吸収糸に分けられます。天然素材(わが国では絹糸のみ)か合成素材かでも分かれますが、外来で取り扱う創傷の縫合においては、ほぼ合成繊維の糸しか使いません。また、それぞれモノフィラメント(単繊維糸)とマルチフィラメント(多繊維の撚糸)があります。図1:縫合糸の種類非吸収性縫合糸:治癒後の抜糸が必要なので、表皮組織を中心に使用モノフィラメントの成分としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブテステル、ポリフッ化ビニリデンなど(商品名:エチロン、ノバフィル、プロリーンなど)がありますが、ポリアミド系のナイロンは使用頻度が高く、多くの病院に置いてあると思います。マルチフィラメントの成分にはナイロンとポリエステル(同:サージロン、ベアブレードなど)があります。吸収性縫合糸:生体内で加水分解を受けて吸収されるため、主に真皮・皮下組織に使用モノフィラメントの成分としては、ポリジオキサノン、ポリグリコネート、ポリグレカプロン25など(商品名:PDSII、マクソン、モノクリルなど)、マルチフィラメントの成分は、ポリグラクチン910やラクトマー9-1など(同:バイクリル、ポリゾーブなど)が使われています。より吸収時間が短くなるように加工されている製品もあります。種類によって、強度持続時間や吸収日数が異なるので、必要に応じて選びます。たとえば、頬部の真皮縫合は6-0吸収性合成モノフィラメント糸、表皮縫合は7-0非吸収性合成モノフィラメント糸など。強度が持続するものは傷痕を小さくし、創部がきれいになるメリットがありますが、細菌感染などによる縫合糸膿瘍のリスクもあるので、メリット・デメリットのバランスを考えて選びましょう。(3)針の選択針の形状(と、使用する糸の太さ)は、図のようにパッケージに表示されています。形成外科では、皮膚表面や軟部組織を扱うことが多いです。皮膚の縫合では糸付きの角針、とくに逆三角形の3/8円の弱彎針がよく使われます。深部の縫合になると1/2円の強彎または5/8円の強強彎が便利です。裂けてしまいそうな組織、たとえば口腔内の粘膜などには丸針を使うこともあります。図2:縫合針の分類そのほか、糸を切るための糸切りばさみ(眼科用セーレ、太めの糸であればクーパー)、出血などを拭く滅菌ガーゼなども忘れずに準備しましょう。また、今回紹介した内容は、あくまでも縫合をするために必要な最低限のセットなので、デブリードマンなど追加の処置をする場合は、道具も適宜追加してください。参考1)McCarthy J.G. Introduction to plastic surgery. Plastic Surgery. Vol 1. Philadelphia:W. B. Saunders Co.;1990.p.42-53.2)小林 寛伊. 縫合材料の歴史と問題点. 医科器械学雑誌. 1975;45:627−634.3)日本医療用縫合糸協会ホームページ4)波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書I 形成外科の基本手技1. 克誠堂出版;2016.5)菅又 章 編. PEPARS(ペパーズ)123 実践!よくわかる縫合の基本講座<増大号>. 全日本病院出版会;2017.6)上田 晃一 編. PEPARS(ペパーズ)88 コツがわかる!形成外科の基本手技―後期臨床研修医・外科系医師のために―. 全日本病院出版会;2014.

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新学期に向けてCOVID-19感染対策の提言/感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株の猛威に社会が混乱している。とくに小児などの低年齢層のCOVID-19感染者数の増加により、新学期を前に学校・塾などの教育機関は、生徒を受け入れるべきか、リモートで授業を行うべきかの判断に悩み、その扱いは全国的に感染の強弱もあり一律ではない。 こうした状況の中で国立感染症研究所は、「乳幼児から大学生までの福祉施設・教育機関(学習塾等を含む)関係者の皆様への提案」を8月26日に公開した。 提案では、教職員の感染予防法の習熟やICTの活用の推進、ワクチン接種、体調確認アプリの活用など具体的な取り組みが示されている。中学生以上では部活などで広がる可能性 はじめに代表的な所見として下記の8つを示している。・10代以下の感染者数が増加傾向にある。保育所・幼稚園において、これまで保育士・教員における感染の検出が主であったが、園児の感染例が増加している・とくに小学生を中心とする授業の場で、教職員を発端とした、比較的規模の大きなクラスターが複数発生した・小学校において、児童を端緒とした、同じクラス内などの規模の小さな感染伝播は多く見受けられたが、児童間の感染伝播が規模の大きなクラスターに至ったケースは確認できなかった・障害児通所支援事業所での感染が各地で散発しており、長期化する場合がある・学習塾における比較的規模の大きなクラスターが散見される・中学生以上では、部活動など・寮生活において、適切なマスク着用や身体的距離の確保などの感染予防策の不十分な生徒・学生間の長時間に渡る交流が、感染伝播に寄与していた。とくに部活動などにおいて、最近は大会や遠征時のクラスターが複数発生した・感染しても無症状・軽症が多く行動範囲も広い大学生は市中で感染が拡大する要因の一部を占める・とくにデルタ株流行後、小児から家庭内に広がるケースが増えている予防は、今までの感染予防策の徹底とワクチン接種の両輪で 次に共通する対策に関する提案として、具体的な事項が示されている。・初等中等段階ではやむを得ず学校に登校できない児童生徒などに対する学びの保障を確保することを主目的として、加えて高等学校・大学ではオンライン(オンデマンド)の促進により、理解をより高める側面を含めて、ICTなどを活用した授業の取組を進める・教職員(塾を含む)それぞれがCOVID-19の感染経路に基づいた適切な予防法、消毒法について習熟し、園児・児童・生徒・学生、保護者、自施設に出入りする関係者に対して正しく指導できるようにする・上記を目的とした、地域の感染管理専門家(感染管理認定看護師など)からの指導・協力を仰ぐ体制を構築する・教職員、園児・児童・生徒・学生は、全員が出勤・登園・登校前の体調の確認、体調不良時のすみやかな欠席連絡および自宅待機時の行動管理をより徹底する。中学生以下の有症時には受診を原則とする・各施設の健康管理責任者は、当該施設の教職員、園児・児童・生徒・学生がCOVID-19の検査対象になった場合の情報を迅速に把握する。対象者の検査結果判明まで、範囲を大きく、たとえばクラス全体として、園児・児童・生徒・学生・教職員などに対して感染予防に関する注意喚起を厳重に行う・対象者が陽性となった場合の施設のスクリーニング検査の実施と施設内の対策は保健所からの指示に従う。流行状況などによって、保健所による迅速な指示が困難な場合には、クラス全体など幅広な自宅待機と健康観察、有症状時の医療機関への相談を基本に対応する。体調確認アプリ(例:N-CHAT)や抗原定性検査の活用は、施設における発生時の自主的な対応として有用である・教室、通学バス(移動時全般)、職員室などにおける良好な換気の徹底に努める。施設内では、効率的な換気を行うための二酸化炭素センサーの活用も推奨される・塾では児童・生徒・学生・講師などの体調管理を徹底した上で、密にならない工夫とともに換気の徹底(とくに入れ替わり時。場合によって二酸化炭素センサーの活用)、リモート授業の活用も検討することが推奨される・人の密集が過度になるリスクが高いイベント(文化祭、学園祭、体育祭など)においては延期や中止を検討し、感染リスクの低い、あるいはリスクを低減できると考えられたイベントについては事前の対策を十分に行う・教職員は、健康上などの明確な理由がなければ、新型コロナワクチン接種を積極的に受ける・部活動については日々の体調の把握や行動管理への注意を基本とした活動を行う一方で、やむを得ず県境をまたいだ遠征が必要な場合には、2週間前から引率者、児童・生徒における上記注意事項の遵守を強化し、出発前3日以内(できるだけ出発当日)を目途に、抗原定量検査あるいはPCR検査を受ける・大会遠征時には教職員を含む引率者や児童・生徒ともに、競技外での他校との交流は部活動の範囲に留める・これまで以上に保健所との連携(報告や相談)を強化する。保健所が多忙を極める場合、とくに発生時の対応については、当センター(感染研)は保健所と連携を取りながら施設へ助言を行うことも可能である

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子供たちはどこで感染しているのか/厚労省アドバイザリーボード

 全国的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染者数が増加している。デルタ株の特徴は、広範かつ強力な感染力であり、陽性者も従来の高齢者や基礎疾患のある者から若年・中年層へと変化している。こうした社会環境の中で、新学期を控え、子供たちをこのまま就学をさせてよいかどうか、社会が揺れている。 8月25日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第49回)の資料で、「3~18歳の新型コロナウイルスの感染場所等」が示された。自宅と学校とではどちらで感染数が多いか 調査はHER-SYSデータを用いて、年齢階級別(3~5歳、6~12歳、13~15歳、16~18歳)の感染場所について、それぞれの割合を算出した。なお、感染場所の入力率が非常に少ないという点に留意が必要(期間は2021年4月1日~2021年7月22日)。また、COVID-19陽性者のうち、17.8%が感染場所抽出可能であり、そのデータを利用した。 調査の結果、下記の事項が判明した。・3~15歳は自宅での感染が多かった。・児童・生徒については、年齢が上がるほど学校などでの感染が多くなっていた。・4月~7月にかけて直近になるほど、児童・生徒の学校などでの感染の割合は低くなっており、自宅での感染の割合が高くなっていた。・幼児(3~5歳)の感染場所は、自宅が最も多く、続いて福祉施設(児童)・学校などでの感染が多かった。 年齢階級別による感染の多い場所は下記の通り(上位2つ)。・3~5歳:自宅(59.8%)、福祉施設[児童](19.8%)・6~12歳:自宅(76.6%)、学校など(14.6%)・13~15歳:自宅(60%)、学校など(33%)・16~18歳:学校など(45.7%)、自宅(39.4%) 以上より、3~15歳は自宅での感染が多かったが、児童・生徒は年齢が上がるほど学校などでの感染が多かった。

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家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)〔FH:familial hypercholesterolaemia〕

1 疾患概要■ 定義家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)は、low-density lipoprotein(LDL)受容体経路に関わる遺伝子変異のために、LDL代謝に遅延を来し、高LDL-C血症による動脈硬化が若年齢より進行する遺伝病である。FHは、高low density lipoprotein (LDL)コレステロール血症、皮膚および腱黄色腫、若年性動脈硬化症による冠動脈疾患を三主徴とし、LDL受容体経路に関わる遺伝子の1つのアレルに病的変異を持つものをFHヘテロ接合体、2つのアレルに病的変異を持つものを、FHホモ接合体という1)。■ 疫学FHホモ接合体患者は以前には100万人に1人の頻度とされていたが、現在は30万人に1人以上の頻度であると推定されている。FHホモ接合体は、指定難病とされ、令和元年の受給者証所持者数は320人である。■ 病因FHは、LDL受容体経路に関わる遺伝子の変異、すなわち、LDL受容体の病的遺伝子変異、あるいはPCSK9の機能獲得型変異、アポリポタンパクBの病的遺伝子変異により、LDL受容体蛋白が欠損しあるいはその機能が大きく障害されて、高LDL-C血症が引き起こされる先天的疾患である。通常は血漿LDLの約70%が肝臓で代謝される。FHホモ接合体患者では約10%に低下しており、低下の程度に反比例して血漿LDL濃度は上昇し、血管壁へのコレステロールの沈着のリスクが高まる。■ 症状身体所見としては、皮膚や腱にLDL由来のコレステロールが沈着し、皮膚黄色腫、腱黄色腫と呼ばれる。黄色腫の頻度は、LDL-C値の上昇の度合いと期間の長さに比例する。黄色腫は、皮膚では肘関節、膝関節の伸側、手首、臀部など、機械的刺激が加わる部位に多く発生する(図1)。腱黄色腫はアキレス腱のものが一番良く知られており、診断に用いられるが、手背伸筋腱にも発生する。図1 HoFH患者の皮膚黄色腫所見画像を拡大する■ 分類LDL受容体経路に関わる遺伝子の変異による遺伝病であり、原因遺伝子としてはLDL受容体の病的変異が1番多いが、PCSK9機能獲得型変異、アポリポタンパクBの病的変異も報告されている。同一の遺伝子の同じ変異が2つ存在する真性ホモ接合体、同じ遺伝子に異なった変異を認める複合ヘテロ接合体、別の遺伝子に変異を認めるダブルヘテロ接合体もFHホモ接合体と考えられている(図2)。図2  FHホモ接合体の遺伝子変異の組み合わせ■ 予後FHホモ接合体の動脈硬化症としては、大動脈弁上狭窄、弁狭窄、冠動脈狭窄が乳幼児期に出現し、進行する。未治療では30歳までに狭心症、心筋梗塞、突然死を引き起こすことが知られている。胸部大動脈、腹部大動脈や肺動脈にも強い動脈硬化を引き起こす。そのため、冠動脈狭窄に対するPCI、CABG、大動脈弁上狭窄・弁狭窄に対する大動脈弁置換術が必要になる例も多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)血清LDL-C値は370~1,000mg/dLである。FHの血清中に増加しているコレステロールは主にLDLであり、IIa型の高脂血症病型を示す例が多い。身体症状としては、皮膚黄色腫の存在、家族歴として両親がFHヘテロ接合体であることなどが、診断上の根拠となる。線維芽細胞やリンパ球におけるLDL受容体活性の低下(正常の20%以下)、LDL受容体遺伝子変異により診断を下すことも可能であるが、正確な診断をするには、遺伝子解析を行うことが重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)FHホモ接合体の治療の基本は、冠動脈疾患など若年齢から起きる動脈硬化症の発症および進展の予防であり、早期診断と適切な治療が最も重要である。FHホモ接合体のLDL-C値の治療目標値は、一次予防で100mg/dL、二次予防で70mg/dLである。これらの目標値に向けて、多くの薬剤やLDLアフェレシス治療を組み合わせ、LDL-C値をできる限り低下させることが重要である。また、動脈硬化の危険因子である、糖尿病、高血圧、高トリグリセリド血症などは、厳格にコントロールする。FHホモ接合体は、薬剤に対する反応性が悪いことが多いが、まずはスタチンを開始、増量、さらにエゼチミブを加えてその反応性を観察する。さらにPCSK9阻害薬エボロクマブ(商品名:レパーサ)140mgを2週間に1回皮下注射で行う。FHホモ接合体の中でもLDL受容体活性がまったくないタイプ(negative type)では効果を認めないが、活性がわずかに残っているタイプ(defective type)であればある程度の効果が期待できる3)。効果が十分でない場合には、エボロクマブ420mgのオートミニドーザーを用いて2週間に1回皮下注射で行う。これらの薬剤の効果が十分でない場合、MTP阻害薬ロミタピド(同:ジャクスタピッド)が適応になる。MTP阻害薬は、開始前に脂肪摂取制限の栄養指導を行い、5mgから徐々に増量する。LDL-Cの低下効果とともに、下痢や肝機能障害などの副作用をチェックしながら、至適用量を決定する。さらに、LDL-C値のコントロールを行うためには、1~2週間に1回のLDL-アフェレシス治療が必要な場合も多い。FHホモ接合体に対する薬物療法は、LDLアフェレシス開始前の乳幼児に対して行い、LDLアフェレシス開始後の患者に対しては、治療施行にて低下したLDLの再上昇を抑制する補助的な目的で行う。4 今後の展望1)Angiopoietin-Like Protein 3(ANGPTL3)抗体医薬(evinacumab)ANGPTL3は、機能低下型変異により、低LDL-C、低TG、低HDL-C血症を示し、冠動脈疾患リスクも低いことが知られていた。ANGPTL3抗体医薬が、FHホモ接合体に効果があることが示され、全世界で治験が進行中である4)。2)PCSK9 siRNA(inclisiran)siRNAを用いてPCSK9の産生を抑制する薬剤の開発が行われている5)。1回の注射で6ヵ月間、LDL-C値の低下を認める薬剤であり、すでに欧州で承認されており、わが国では治験が進行中である。5 主たる診療科小児科、代謝内科、循環器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「原発性脂質異常症に関する調査研究班」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)原発性脂質異常症の予後調査(PROLIPID)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本動脈硬化学会 家族性高コレステロール血症について(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本動脈硬化学会 家族性高コレステロール血症紹介可能施設(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報難治性家族性高コレステロール血症患者会(患者とその家族および支援者の会)1)Defesche JC,et al. Nat Rev Dis Primers. 2017;3:17093.2)Nohara A, et al. J Atherosclr Thromb. 2021;28:665-678.3)Raal FJ, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017;5:280-290.4)Dewey FE, et a. N Engl J Med. 2017;377:211-221.5)Ray KK, et al. N Engl J Med. 2017;376:1430-1440.公開履歴初回2021年8月30日

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先生!その縫合の目的は何ですか?~縫合の歴史と目的~【漫画でわかる創傷治療のコツ】第4回

第4回 先生!その縫合の目的は何ですか?~縫合の歴史と目的~《解説》さて、前回から切り傷の縫合処置について解説していますが、まずは準備段階として、創部確認~局所麻酔~消毒を中心にお話ししました。今回は、実際の縫合処置に入る前のアイスブレイクとして、縫合処置の歴史と目的を確認しておきましょう。そもそも、縫合は何のために行われるのでしょうか? 創面積の縮小が1つの目的ではありますが、組織の欠損が大きくなければ、縫合しなくても適切な軟膏処置などで傷自体は治ります。縫合するということは、組織の一部が血行不良となるので、誤った処置はむしろ創縁の壊死や創離開の原因となり、治癒が遅くなることさえあるのです。では、わざわざ異物である縫合糸を使って縫合する理由は何でしょうか。縫合は、大きく分けると、皮膚表面を縫う縫合と皮下(真皮も含む)を縫う縫合の2つがあります。これらの縫合によって、創傷の一次治癒を達成できるだけでなく、最小の瘢痕形成にとどめられるという利点があります。切り傷によって、本来の生体構造にはない空間(死腔)ができると、そこに浸出液や壊死組織がたまって感染源になってしまいます。感染すると傷の治りが遅れ、一次治癒が阻害されて傷痕が残ります。つまり、適切な縫合処置をすることで、傷の治りが良く(早く)なるだけでなく、傷自体も小さくすることができるのです!次回は、実際の縫合処置を行うために用意する道具(器械、糸、針)について説明します!参考1)McCarthy J.G. Introduction to plastic surgery. Plastic Surgery. Vol 1. Philadelphia: W. B. Saunders Co.;1990.p.42-53.2)小林寛伊. 縫合材料の歴史と問題点. 医科器械学雑誌. 1975;45:627−634.3)日本医療用縫合糸協会ホームページ

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カレには言えない私のケイカク【結婚をすっ飛ばして子どもが欲しい!?そのメリットとリスクは?(生殖戦略)】Part 1

今回のキーワード選択的シングルマザー精子バンク社会的不妊毒親ピアサポート生殖心理女系社会「社会間競争」最近、結婚しないで子どもを生む有名人がたびたび話題になっていますね。そんな彼女たちは、選択的シングルマザーと呼ばれています。これは、離婚後や未婚で仕方なくシングルマザーになるのではなく、結婚しないことを最初から自ら選んで子どもを持つ女性を意味します。とくに、海外の先進国では、彼女たちがどんどん増えています。結婚しないで子どもを持つメリットは何でしょうか? 逆に、そのリスクは何でしょうか? 選択的シングルマザーは日本でも増えていくのでしょうか? 少子化への1つの解決策にはならないでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、ラブコメディの映画「カレには言えない私のケイカク」を取り上げます。この映画を通して、これからの生殖のあり方、そして生殖の未来を、生殖戦略という視点で一緒に考えてみましょう。結婚しないで子どもを持つメリットは?主人公はゾーイ。ニューヨークでペットショップを経営する独身女性。彼女は、ずっと理想の男性を追い求めてデートを繰り返してきました。そして、その愛の結晶である子どもを待ち望んでいました。しかし、そんな男性はいつまで経っても現れません。彼女は「いろんな可能性を考えて、最も合理的な結論に至った」と言います。まず、男友達に「(セックスしないで)ただ精子だけちょうだい」と迫ります。しかし、理解されません。そして、産婦人科病院へ行き、精子バンクから提供された精子によって、人工授精に挑むのです。それでは、まず、結婚しないで子どもを持つメリットを大きく3つ挙げてみましょう。(1)結婚というハードルがなくなる産婦人科病院からの帰り道、ゾーイはスタンに出会います。その後、彼の猛烈なアプローチによって、彼女は彼を好きになってしまいます。同時に、人工受精での妊娠が判明してしまい、どうすれば良いかと思い悩むのでした。そして、とうとう彼女は、彼に「(精子バンクから提供された精子で)妊娠してるの」「子どもが欲しかったの。タイムリミットになるのが怖かったの」と打ち明けます。1つ目のメリットは、結婚というハードルがなくなることです。つまり、時間切れにならずに、産みたいときに産めるようになります。結婚しないということは、結婚するための時間と労力(コスト)がかからなくなるということです。もちろん、多くの人は結婚相手に巡り会いたいと思っているでしょう。しかし、そうならない現実もあります。すると、子どもを産みたくても産めなくなります。これは、子どもを身体的に産めない身体的不妊に対して、社会的に産めないという点で社会的不妊と呼ばれています。また、最初から結婚を望まない人もいます。セックスを望まない人もいます。同性愛の人もいます。それでも、子どもが欲しい女性のために、精子バンクがあるのです。なお、現時点で、日本では精子の提供や売買を規制する法律はありません。一方で、日本の精子バンクは、日本産婦人科学会が登録する施設にありますが、その対象は不妊の夫婦に限定されています。よって、独身女性が精子の提供を受けるには、海外の精子バンクから購入する、知人の男性から譲り受ける、SNSを介したボランティアから譲り受けるなどの方法があります。ただし、知人男性から譲り受ける場合、父親を認知しないこと、養育費(養育義務)を請求しないこと、そして子育てへの介入(養育権)を受け付けないことを明確にする必要があります。また、ボランティアから譲り受ける場合、遺伝負因や性感染症などの安全面が不透明であるという問題があります。(2)結婚生活を維持する負担がなくなるゾーイは、友達から「あなたのことを30年知ってるけど、あなたは人を信用しないよね。精子ドナーは完璧な相手ね。だって絶対に裏切らないから」と指摘されます。2つ目のメリットは、結婚生活を維持する負担がなくなることです。実際に、共同生活をすれば、それぞれの生活の仕方の違いから、夫婦げんかに発展することは多々あります。そうならないように、日々話し合いをする必要があります。しかし、共同生活をしないということは、その時間と労力(コスト)がかからなくなるということです。もちろん、最初から結婚していないので、離婚の心配もありません。親権で争う必要もありません。養育費の交渉をする必要もありません。なぜなら、最初から当てにしていないからです。(3)自分の思い通りの子育てができるゾーイは、産婦人科医からシングルママの会という自助グループを紹介され、参加します。そこで、シングルマザーたちに「私たちは、シングルであり、ママであることにプライドがあるの。養子縁組でも、人工授精でも同じよ。子どもを望み、自力で実現したっていう点でね」と説かれます。3つ目のメリットは、自分の思い通りの子育てができることです。これは、夫がいなくて、「自力」で人生設計をして初めて可能になります。この心理は、実際に、「男性は中途半端に育児に関わってほしくない」という選択的シングルマザーの発言から、うかがい知ることができます。そもそも、先ほどにも触れた夫婦げんかの原因で多いのが、子育てへの価値観の違いであるという現実もあります。次のページへ >>

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カレには言えない私のケイカク【結婚をすっ飛ばして子どもが欲しい!?そのメリットとリスクは?(生殖戦略)】Part 2

結婚しないで子どもを持つリスクは?結婚しないで子どもを持つメリットは、結婚というハードルがなくなる、結婚生活を維持する負担がなくなる、自分の思い通りの子育てができるということであることが分かりました。それでは、そのリスクは何でしょう? 大きく3つ挙げてみましょう。(1)子育てへのサポートが脆弱になるゾーイとスタンは、すったもんだの末、一緒に暮らすようになります。そして、スタンは、精子バンクによって生まれてきた双子の育児を献身的にするのです。もしも、スタンがいなかったら、ゾーイはいきなり自分だけで双子の育児をすることができるでしょうか?1つ目のリスクは、子育てへのサポートが脆弱になることです。これは、身体的にだけでなく、経済的に、そして心理的にもです。もしも、タイミング悪く、自分が病気を患ったらどうしましょうか? 仕事の収入が不安定になったら、どうしましょうか? そして、子どもに障害が見つかったら、どうしましょうか? これらの起こりうる事態をあらかじめシミュレーションする必要があります。(2)子どもを私物化してしまう産婦人科病院で、ゾーイは、産婦人科医から「あなたとCRM-1014(精子が入った容器に記載された登録番号)の間には素敵な赤ちゃんができますよ」と励まされます。この産婦人科医は、まったく悪気はないのでしょうが、私たちには命がモノ扱いにされているように感じてしまいます。この映画では描かれていませんでしたが、その後に妊娠したゾーイは、スタンとの恋愛を最優先して、黙って中絶する選択肢だってありえるわけです。2つ目のリスクは、子どもを私物化してしまうことです。実際に、精子バンクのホームページでは、精子ドナーの身長、体重、血液型、人種、肌や目の色、髪の色や髪質、IQ、学歴、職業などがすべてカタログ化され、値段が付いています。あたかも商品のようです。これは、生まれる前だけでなく、生まれた後もです。たとえば、子どもに障害が見つかったら、どうなるでしょうか? 実際に、海外では、ある同じドナー精子によって生まれた子どもたち(ドナー兄弟)が、高い確率で自閉症を発症していたため、精子バンクが訴訟を起こされたというケースもあります。これは、「注文したのと違う」「不良品だ」「返品したい」という発想になってしまう危うさがあります。そして、これは、虐待のリスクでもあります。また、自分だけが子育てを独り占めできるということは、その子育てが独りよがりになる危うさがあります。子育てについて夫婦で話し合いをしなくて済むメリットの裏返しのリスクです。これは、毒親になるリスクでもあります。なお、毒親の心理の詳細については、関連記事1をご覧ください。(3)子どものアイデンティティが揺らぐスタンは、生まれてきた双子の育ての父親になりました。この双子は、スタンを実の父親と思うでしょう。しかし、テリング(真実告知)をすれば、どうなるでしょうか? 彼らは、思春期になったら、生みの父親を知りたくなります。そして、分からない場合は、どうなるでしょうか?3つ目は、子どものアイデンティティが揺らぐことです。思春期になると、より抽象的な思考ができるようになります。そして、自分のルーツや自分らしさなど、自分探しをするようになります。アイデンティティの確立です。この時、精子バンクによって生まれた子どもは、「お金で買ったモノから生まれた」というレッテルを払いぬぐうために、精子ドナー探しをするようになります。実際に、精子ドナーの身元を明らかにすることは、子どもの人権(出自を知る権利)として、すでにいくつかの先進国では制度化しており、日本でも制度化しようとする動きがあります。さらに、その子どもが生みの父親を知り、その認知を求めることは現実的にありえます。これは、精子ドナーの死後に、遺産相続のトラブルを引き起こす可能性があるということです。これを回避するためには、精子ドナーを独身主義(非婚)の人に限定する必要があるでしょう。選択的シングルマザーがうまく行くにはどうすればいいの?結婚しないで子ども持つリスクは、子育てへのサポートが脆弱になる、子どもを私物化してしまう、子どものアイデンティティが揺らぐことであることが分かりました。それでは、これらのリスクを踏まえて、選択的シングルマザーがうまく行くにはどうすれば良いでしょうか? 主に3つのサポートが挙げられます。(1)実父母からのサポート1つ目は、実父母からのサポートです。たとえば、近くに住むか同居して、定期的にも臨時的にも子育ての身体的な負担を肩代わりしてもらうことを確約することです。いざというときは、経済的なサポートをしてもらうことです。もともと、日本では里帰り出産や離婚後に出戻りをする文化があるので、実父母からの抵抗は少ないでしょう。これは、子育てのサポートが脆弱になるリスクを減らします。また、結果的に、実父母が子育てに介入することになるので、子どもを私物化してしまうリスクを減らすこともできるでしょう。(2)ピアサポートゾーイが参加したシングルママの会では、自助グループとして、シングルマザーたちだけが、励まし合ったり、時には出産に立ち会うなど、お互いに助け合っています。2つ目は、仲間からのサポート、つまりピアサポートのことです。これは、自分に仲間ができることで、心理的な安心感が得られることです。心理的な面での子育てのサポートが脆弱になるリスクを減らします。海外ではすでに大きな団体がありますが、日本では小規模な交流会などがあるようです。(3)ソーシャルサポート3つ目は、社会制度としてのサポート、つまりソーシャルサポートです。残念ながら、現時点では、海外の先進国に比べて、日本の子育て支援は極めて限られています。とくに、シングルマザーの貧困は社会問題になっています。これが、少子化対策として、海外から遅れを取っている原因であると指摘されています。少子化対策のためにも、子育て支援を拡充することが望まれます。たとえば、妊娠・出産、保育、義務教育、医療など、成人までかかる子育ての費用をほぼ無償にすることです。そして、児童手当は、家計が潤うくらいのインセンティブをつけることです。子育ても1つの労働と考えれば、当然のことと言えます。これは、結果的に、選択的シングルマザーの子育てへのサポートが脆弱になるリスクも減らすでしょう。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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カレには言えない私のケイカク【結婚をすっ飛ばして子どもが欲しい!?そのメリットとリスクは?(生殖戦略)】Part 3

選択的シングルマザーは日本でも増えていくの!?選択的シングルマザーがうまく行くための対策として、実父母からのサポート、ピアサポート、そしてソーシャルサポートがあることが分かりました。それでは、選択的シングルマザーは、海外の先進国と同じように日本でも増えていくでしょうか?その可能性は高いと思われます。それどころか、子育て支援などの大胆な政策によっては少子化対策へのウルトラCの解決策になる可能性も秘めています。そもそも少子化対策がうまくいっている先進国の多くは、子育て支援が手厚く、婚外子が多い国でもあります。これは、時代の流れ、もっと言えば、進化の流れとも言えそうです。それでは、ここから、その理由を、子育ての起源を踏まえて、進化心理学的に3つの段階に分けて、解き明かしてみましょう。(1)母親が子育てをする10数億年前に太古の原始生物が誕生してから、自分の遺伝子を残すように行動する種が進化の歴史の中で現在までに生き残りました。逆に言えば、遺伝子を残すように行動しない種は、その遺伝子が残らないわけなので、そもそも現在に存在しないです。この生殖は、食べることや安全を守るなどの生存と並ぶ動物の根源的な行動です。約2億年前に哺乳類が誕生してから、その母親は子どもに自分の乳を与えて育てるというメカニズム(哺乳)を進化させました。1つ目の段階は、母親が子育てをすることです。ちなみに、それを動機付けるのが、生殖心理です。この詳細については、関連記事2をご覧ください。(2)子育てのために結婚する700万年前に人類が誕生し、二足歩行によって手の自由ができたことで、獲った食料を余分に持ち帰ることができるようになりました。そして、男性はその食料を女性にプレゼントして、そのお返しとして、女性がその男性とセックスして、生まれた子どもを育てるように進化しました(性別役割分業)。300万年前に人類が森から草原に出て行ってから、頭が徐々に大きくなっていったことに伴い、生まれるときに母親の産道を通るために、未熟児で生まれるように進化しました(生理的早産)。すると、生まれた赤ちゃんは草原で一定期間寝たきりになります。しかし、動物の生存競争のなかで、獲物として狙われるのは一番小さくて弱い個体、つまり赤ちゃんや子どもです。自然界の頂点にいるライオンでさえ、その子どもは母親が目を離したすきにハイエナなどのほかの動物にあっさり捕食されます。言うまでもなく、人類の赤ちゃんもです。それを防ぐために、父親が、母親と一緒に生活して、子どもを協力して守るようになりました。これが、結婚(一夫一妻型の生殖)の起源であり、家族の起源です。その後、血縁で集まって部族をつくり、より協力行動を進化させていきました。これが、社会(社会脳)の起源です。2つ目の段階は、子育てのために結婚することです。一方、人間に近い種であるチンパンジーやゴリラは違いました。チンパンジーの生態環境は、エサが密集した森の中です。オスとメスが出会いやすく、不特定のオスと不特定のメスが生殖を行う乱婚(多夫多妻型の生殖)になりました。ゴリラの生態環境は、エサが少なく散在した森の中です。オスとメスが出会いにくく、特定の1頭のオスと特定の複数のメスが集まるハーレム(一夫多妻型の生殖)をつくるようになりました。どちらにしても、その子どもたちは森の中で守られていたので、人類ほど夫婦として、そして集団として協力行動が進化しなかったと考えられます。(3)結婚しなくても子育てできる20世紀後半の情報革命から、男女平等(男女共同参画)が高まり、とくに先進国で経済的に自立する女性が増えていきました。そんな女性は、男性の経済的サポートを必要としなくなります。3つ目の段階は、結婚しなくても子育てができることです。もともと私たちには、結婚(協力の約束)をしたから子どもをつくるという考え方が文化的に根付いています。しかし、進化心理学的に考えると、逆です。子どもをつくったから結婚する(子どもを守るために協力する)のです。現代の社会では、結婚という形式に目が行き過ぎて、協力して子育てをするという中身に目が行かなくなっています。言い換えれば、結婚は、そもそも夫婦が協力して子育てをするための手段であり、目的そのものではありません。よって、必ずしも協力する必要がなくなった現代の社会構造では、もはや結婚の意味は薄れていくでしょう。ましてや、結婚していてもしてしなくても、ソーシャルサポートとして子育て支援が充分に得られれば、なおさらです。また、とくに実母(祖母)がその娘の子育てのサポート(孫育て)をするのは、もともと包括的な生殖適応度を上げるように進化した結果と考えられています(おばあさん仮説)。よって、選択的シングルマザーが実母、本人、子どもの3世代による女系家族をつくることは、持続可能な新しい家族の形になるでしょう。これは、カップル文化が強い欧米と比べて、親子文化の強い東アジアでは、とくにです。未来の生殖戦略は?人類の生殖の進化の歴史から、選択的シングルマザーが、これからの社会構造(生態環境)で適応的であることが分かりました。非婚(生涯未婚)が増えている日本では、とくにです。さらに長期的には、選択的シングルマザーは、未来の生殖として多数派になる可能性も秘めています。ただし、これは同時に、人類から父親がいなくなっていき、女系社会になっていくことを意味します。現在の価値観では受け入れにくいかもしれませんが、未来では当たり前になっているかもしれません。そもそも、自然界では、人類のような一夫一妻型の生殖のほうが珍しいので、その可能性は否定できません。ここから、精子バンクの登場を踏まえて、人類の生殖戦略の未来を、チンパンジーやゴリラと比べて、精子レベルで掘り下げてみましょう。(1)チンパンジー-精子間競争チンパンジーの生殖戦略は、乱婚(多夫多妻型)です。よって、生殖適応度が高いのは、より数が多くてより動きが速い精子をつくる妊孕性の高い個体になります。これは、精子間競争です。そのため、精子をよりつくり出すため、チンパンジーの睾丸はかなり大きいです。(2)ゴリラ-個体間競争ゴリラの生殖戦略は、ハーレム形成(一夫多妻型)です。よって、生殖適応度が高いのは、オス同士のケンカで勝つために、より気性が荒くてより大きい体格の個体になります。これは、個体間競争です。そのため、ゴリラのオスとメスの体格差はかなり大きいです。一方で、精子間競争がないので、睾丸はかなり小さいです。ちなみに、チンパンジーは、個体間競争がないため、オスとメスの体格差はほとんどありません。(3)人類-「社会間競争」人類の生殖戦略は、結婚(一夫一妻型)です。よって、生殖適応度が高いのは、男性と女性が協力行動を維持する個体になります。さらに言えば、時として不倫という裏切り行動もすることです。つまり、人類の生殖は、チンパンジーほど相手を特定していないわけではなく、ゴリラほど相手を特定しているわけでもないです。そのため、人間の男女の体格差にしても、睾丸の大きさにしても、ゴリラとチンパンジーの中間になっています。なお、不倫の心理の詳細については、関連記事3をご覧ください人類の生殖において、その結婚相手は、本人の意思以上に、親や親族などの部族集団(社会)の評価によって、ある程度決められてきました。これは、「社会間競争」と言えるでしょう。現代は、本人の意思が尊重されています。しかし、その判断基準はどうでしょうか? 結局、社会で望ましいとされるスペック(要素)が内面化されています。たとえば、男性なら、高身長、高収入です。女性なら、美しさと若さです。ひと言で言えば、「周りに見せて恥ずかしくない」「ちゃんとした」相手です。とくに、世間体を気にする集団主義の根強い日本では、なおさらです。これまで、これらの男性と女性の望みがお互いに叶わなければ、生殖は成り立ちませんでした。ところが、精子バンクの登場によって、女性にとっては、その望みをお金で解決できる時代が来ています。たとえば、金髪、青い目、高身長、高IQ、大学院卒、医師、スーパーモデルなど、精子ドナーのランキングで人気の「アイテム」を課金によって手に入れることができます。これからの人類の生殖戦略は、より望ましい精子ドナーが選ばれる点で、ゴリラ的でしょう。精子レベルのハーレムです。選ばれない精子(男性)は、ハーレムに君臨できなかった多数のオスゴリラです。一方、第一子と第二子の精子ドナーは必ずしも同じく選ばれない点で、その生殖戦略はチンパンジー的でもあるでしょう。精子レベルの乱婚です。さらに、精子ドナーのランキングを、国家が操作したらどうなるでしょうか? 一部の独裁国家などが、国家に従順で優秀な精子ドナーを選抜したり、逆に国家に反逆的な家族や親族がいる精子ドナーを排除することも可能になるわけです。これは、新たな優生思想が強まる可能性もあります。「私のケイカク」とは?この映画「カレには言えない私のケイカク」のもともとのタイトルは「バックアッププラン」です。さらに当初は「プランB」というタイトルで公開が予定されていました。つまり、ゾーイにとってのプランAは理想の男性と結婚して子どもをつくること、そしてプランBは精子バンクを利用して子どもをつくることでした。さらに、その先も想像できます。加齢により身体的不妊になった場合のプランCとして、自分の凍結卵子と精子バンクによる提供精子で体外受精をすることです。そして、凍結卵子のストックがなくなった場合のプランDとして、自分の男兄弟による提供精子と卵子バンクによる提供卵子を使って体外受精をすることです。男兄弟を精子ドナーとするのは、甥っ子(姪っ子)を産むという認識が得られ、血のつながりを意識できるからです。なお、厳密には、ゾーイには男兄弟がいないキャラクターとして設定されています。最後に、出産できなくなった場合のプランEとして、代理出産が考えられます。しかし、現在、代理出産は、人権問題から各国が次々と禁止しているため、現実的ではないでしょう。このように、壮大な生殖戦略が、ゾーイの「私のケイカク」として考えられるわけです。少なくとも、精子バンクの利用は、卵子バンクや体外受精と違って、その手軽さから、良いか悪いかは別にして、規制がしにくい現実があります。かつてある政治家が「女性は子どもを産む機械だ」と発言して厳しく批判されました。精子バンクの発展によって、未来では逆に「男性は種をつくる植物だ」と発想されてしまう危うさもあるでしょう。そんな偏った社会にならないためにも、私たちは、ゾーイとスタンのようにお互いを思いやれる、そして協力し合える社会を築いていくことがますます重要であると言えるのではないでしょうか? そして、そのためにも、私たちは、もっと生殖について話題にして、多くの議論をしていくことが必要なのではないでしょうか? この記事がその判断材料の1つになれば、幸いです。1)生殖医療はヒトを幸せにするのか:小林亜津子、光文社新書、20142)ルポ生殖ビジネス:日比野由利、朝日新聞出版、20153)「選択的シングルマザー」とは?未婚のまま出産を選ぶ女性の生き方:志水なほみ、All About 20th暮らし、2020<< 前のページへ■関連記事八日目の蝉【なぜ人を好きになれないの?毒親だったから!?どうすれば良いの?(好きの心理)】コウノドリ(その2)【なんで子どもがほしいの? 逆になんでほしくないの?(生殖心理)】昼顔【不倫はなぜ「ある」の?どうすれば?】Part 2

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「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第24回

第24回 「えっ!こんなに高く売れるの!?」、専任契約前の「見せ値」に注意漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継案件を仲介する仕事は、不動産の仲介と似ている部分があります。それは、まず売り手から「専任契約」を獲得するための営業に注力する、という点においてです。専任契約は、医業承継の仲介業者を1社に絞って買い手探しを行うことです。仲介業者にとってはこの専任契約によって他社に先を越される可能性がなくなり、営業的に大きなメリットがあります。一方、売り手から見ると、この専任契約にはメリットとデメリットの双方があります。【メリット】専任契約を結んだ仲介業者が自院の案件に注力する。他社に成約される可能性がなくなって成約率が上がるため、非専任契約の案件よりも優先して取り組む。【デメリット】専任契約中は他社に依頼ができない。専任契約をした仲介業者の力量が低い場合には、承継が失敗に終わるリスクがある。そして、この専任契約を締結するために、多くの仲介業者が行っているのが「最初に設定する売却額を高くする」という手法です。売り手は「そんなに高い値段で売ってくれるのか!」と期待するあまり、仲介業者を選択する際のほかの重要な比較軸を忘れてしまうのです。こうした点も不動産の売買と似ているのではないでしょうか。こうしたいわゆる「見せ値」で専任契約を獲得した仲介業者は、その後に「もう少し売却額を下げましょう」と提案をします。もちろん、相場並みの売却額に設定していたものの相手が見つからないので売却額を下げる、という提案は仲介業者の通常業務の範囲であり、問題はありません。注意すべきは、契約前にあり得ないような高額な売却額を設定しておいて、専任契約を結んだ後から大きく下げる、という悪質なケースです。売り手の方には、ぜひとも「売却額以外」の仲介業者を選ぶ基準を知っていただきたいと思います。私たちは、医業承継の仲介において、最も重要な点は「成約率」だと考えています。適切な価格を提示し、適切な買い手を紹介するからこそ、成約率が向上するのです。専任契約を持ち掛けられた際は、ぜひこうした多角的な視点をもって、業者を比較検討してください。

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モデルナ製ワクチン、12~17歳に対する安全性と有効性を確認/NEJM

 mRNA-1273ワクチン(Moderna製)は、12~17歳の若年者において良好な安全性プロファイルと、若年成人(18~25歳)と同等の免疫反応を示し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に有効であることが認められた。米国・DM Clinical ResearchのKashif Ali氏らが、mRNA-1273ワクチンの第II/III相プラセボ対照比較試験「Teen COVE試験(Teen Coronavirus Efficacy trial)」の中間解析結果を報告した。2021年4月1日~6月11日における米国12~17歳のCOVID-19発生率は、約900/10万人とされるが、若年者におけるmRNA-1273ワクチンの安全性、免疫原性および有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2021年8月11日号掲載の報告。12~17歳3,732例を対象に、プラセボと比較 研究グループは、健康な12~17歳の若年者3,732例を、mRNA-1273ワクチン群(2,489例)またはプラセボ(生理食塩水)群(1,243例)に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1回100μgを28日間隔で2回接種した。 主要評価項目は、mRNA-1273の安全性ならびに、免疫反応の非劣性(18~25歳の若年成人を対象とした第III相試験との比較)。副次評価項目は、COVID-19発症予防または、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の無症候性感染に対する有効性などとした。安全性は良好、免疫原性は若年成人に対して非劣性 1回目および2回目接種後に高頻度にみられた非自発的な報告による副反応は、mRNA-1273群が注射部位痛(それぞれ93.1%、92.4%)、頭痛(44.6%、70.2%)、疲労(47.9%、67.8%)、プラセボ群が同様に注射部位痛(それぞれ34.8%、30.3%)、頭痛(38.5%、30.2%)、疲労(36.6%、28.9%)であった。mRNA-1273またはプラセボに関連した重篤な有害事象の報告はなかった。 若年成人に対する若年者のSARS-CoV-2疑似ウイルス中和抗体価の幾何平均抗体価比は、1.08(95%信頼区間[CI]:0.94~1.24)、血清反応の絶対差は0.2ポイント(95%CI:-1.8~2.4)であり、非劣性基準を満たした。 2回目接種の14日後におけるCOVID-19発症例は、mRNA-1273群では報告されなかったが、プラセボ群では4例確認された。

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「セレニカR」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第65回

第65回 「セレニカR」の名称の由来は?販売名セレニカR顆粒40%セレニカR錠200mgセレニカR錠400mg一般名(和名[命名法])バルプロ酸ナトリウム(JAN)効能又は効果○各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療。○躁病および躁うつ病の躁状態の治療。○片頭痛発作の発症抑制。用法及び用量〈各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療〉通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~1200mgを1日1回経口投与する。ただし、年齢、症状に応じ適宜増減する。〈片頭痛発作の発症抑制〉通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~800mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量として1000mgを超えないこと。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)〈効能共通〉1.重篤な肝障害のある患者2.カルバペネム系抗生物質を投与中の患者3.尿素サイクル異常症の患者[重篤な高アンモニア血症があらわれることがある。]〈片頭痛発作の発症抑制〉4.妊婦又は妊娠している可能性のある女性※本内容は2021年8月18日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年9月改訂(第20版)医薬品インタビューフォーム「セレニカ®R顆粒40%、セレニカ®R錠200mg/R錠400mg」2)興和株式会社:製品情報検索

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脊髄性筋萎縮症で初の経口治療薬エブリスディ発売/中外製薬

 中外製薬株式会社は、8月12日に乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬であるリスジプラム(商品名:エブリスディ)のドライシロップ60mgの販売を開始した。本製品はSMAで初の経口の治療薬であり、患者・患児の治療での利便性の向上が期待される。 SMAは、脊髄の運動神経細胞の変性により筋萎縮や筋力低下を示す遺伝性の神経筋疾患。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患で、乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人とされる。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患。 リスジプラムは、SMN(survival motor neuron)タンパクの欠損につながる5番染色体の変異によって引き起こされる、SMAを治療するためにデザインされたSMN2スプライシング修飾剤。SMNタンパクレベルを増加させ、維持することでSMAを治療するよう設計されている。SMNタンパクは全身にみられ、運動神経と運動機能の維持に重要な働きをする。リスジプラムは、2020年8月に米国で、2021年3月に欧州で承認を取得し、わが国では同年6月23日に製造販売承認を取得している。 同社では、「本治療薬は、乳児から成人までの広い年齢層で有効性を示し、経口剤のため在宅治療が可能となる。SMAの患者とその家族の皆様に、新たな治療選択肢によるこれまでにない価値を届けられるように、適正使用の推進に努めていきたい」と抱負を語っている。製品概要販売名:エブリスディ ドライシロップ 60mg一般名:リスジプラム効能・効果:脊髄性筋萎縮症用法・用量:通常、生後2ヵ月以上2歳未満の患者にはリスジプラムとして、0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与する。通常、2歳以上の患者にはリスジプラムとして、体重20kg未満では0.25mg/kgを、体重20kg以上では5mgを1日1回食後に経口投与する。薬価:エブリスディ ドライシロップ60mg 97万4,463.70円/1瓶承認日:2021年6月23日薬価基準収載日:2021年8月12日販売開始日:2021年8月12日

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小児に対する向精神薬の使用とリスク

 メンタルヘルスの問題と関連する自殺企図は、成人および小児において増加している。メンタルヘルスに問題を抱える患者が増加しているため、成人だけでなく小児においても向精神薬の使用が増加している。しかし、小児に対する向精神薬の使用は、潜在的な有害リスクと関連している可能性がある。米国・Le Bonheur Children's HospitalのKiley Hunter氏らは、米国中毒管理センター協会(AAPCC)の国立中毒データシステム(NPDS)に報告されたデータを用いて、小児に対する向精神薬使用の傾向とアウトカムについて、調査を行った。Clinical Toxicology誌オンライン版2021年7月1日号の報告。 2009~18年にAAPCCのNPDSに報告された18歳以下の小児のデータをレトロスペクティブにレビューした。非定型抗精神病薬、bupropion、buspirone、クロニジン、リチウム、メチルフェニデート、ミルタザピン、MAO阻害薬、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、トラゾドン、三環系抗うつ薬の単回投与について、調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・小児に対する向精神薬使用に関するNPDSへの報告は、10年間で35万6,548件であった。・最も報告数が多かった薬剤はSSRI(34%)、次いで非定型抗精神病薬(17%)、メチルフェニデート(15%)であった。・0~12歳では適応外使用が多かったが(79%)、13~18歳では適応に準じた使用が多かった(76%)。・SSRI使用の68%の症例は、無症候性であった。・クロニジンおよびbupropionの使用による臨床効果では、中程度(29%)から高度(25%)の割合が高かった。・全体として以下29例の死亡が確認された。そのうち、19例(65%)は青年患者であった。 ●非定型抗精神病薬:4例 ●bupropion:10例 ●リチウム:1例 ●SNRI:1例 ●SSRI:7例 ●三環系抗うつ薬:6例 著者らは「小児に対する向精神薬の潜在的に有害な使用を防ぐために、予防戦略が求められる」としている。

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