サイト内検索|page:74

検索結果 合計:3114件 表示位置:1461 - 1480

1461.

接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性

 副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPVワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であるという報告が、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版11月12日号に掲載された。 米国マウントサイナイ医科大のStephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。 3年間の基礎試験は18ヵ国71施設で実施された。対象は異性愛者の男性(16~23歳)または男性と性交渉を持つ男性(=MSM、16~26歳)で、スクリーニング時にHPV以外の性感染症への感染を示唆する肛門性疣贅や性器病変がある、またはそのような所見の既往歴がある例は除外された。参加者は4価HPVワクチンまたはプラセボのいずれかを、1日目、2ヵ月目、6ヵ月目の計3回接種した(両群比1対1)。 続く7年間の長期フォローアップ試験は、16ヵ国46施設で行われた。基礎試験の期間中に4価HPVワクチンを1回以上接種した参加者が登録可能とされた(早期群)。プラセボ群は、基本試験の終了時に4価HPVワクチンの3回接種を行い、1回以上接種した時点で長期フォローアップの対象となった(キャッチアップ群)。 有効性に関する主要評価項目は以下のとおり。・全被験者におけるHPV6または11に関連した外性器疣贅の発生率・HPV6、11、16、18に関連した性器病変の発生率・MSM例におけるHPV6、11、16、18に関連した肛門上皮内新生物(肛門疣贅と扁平病変を含む)または肛門がんの発生率 早期群のper-protocol集団における主要な効果分析は、1)3回のワクチン接種を受けた、2)1日目に血清陰性、1日目から7ヵ月目まで分析対象となるHPV型のPCR検査陰性、3)ワクチン効果の評価に影響を与えるプロトコル違反がない、4)長期フォローアップ中に1回以上の診察を受けた参加者を対象とした。 キャッチアップ群における有効性は修正intention-to-treat集団で評価され、1)1回以上ワクチン接種を受けた、2)ワクチン接種前の基本試験1日目から最終フォローアップ診察日までのPCR検査陰性、3)長期フォローアップ中に1回以上の診察を受けた参加者を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・2010年8月10日~2017年4月3日の間に1,803例が登録され、うち936例(異性愛:827例、MSM:109例)が早期群に、867例(異性愛:739例、MSM:128例)がキャッチアップ群に組み入れられた。・早期群はワクチン3回目接種後に中央値9.5(範囲:0.1~11.5)年、キャッチアップ群は3回目接種後に中央値4.7(0.0~6.6)年のフォローアップ調査を受けた。・「長期フォローアップ中の早期群」と「基本試験中のプラセボ群」を比較した1万人年当たりの発生率は以下のとおり。●外性器疣贅:0.0(95%CI:0.0~8.7)対137.3(83.9~212.1)●外性器病変:0.0(0.0~7.7)対140.4(89.0~210.7)●MSMの肛門上皮内新生物または肛門がん:20.5(0.5~114.4)対906.2(553.5~1,399.5)・キャッチアップ群の「ワクチン接種前の基本調査中」と「ワクチン接種後のフォローアップ中」を比較したの1万人年当たりの発生率は以下のとおり。●外性器疣贅:149.6(101.6~212.3)対0(0.0~13.5)●MSMの肛門上皮内新生物または肛門がん:886.0(583.9~1289.1)対101.3(32.9~236.3)・フォローアップ中のキャッチアップ群において、外性器病変の新規報告例はなかった。・ワクチンに関連した重篤な有害事象は報告されなかった。 著者らは「4価のHPVワクチンは、HPV6、11、16、18に関連する肛門性器疾患に対する持続的な保護を提供する。この結果は、キャッチアップ接種を含む男性への4価HPVワクチン接種を支持するものである」としている。 国内におけるHPVワクチンの承認状況は、女性対象は2価(商品名:サーバリックス)、4価(ガーダシル)、9価(シルガード9)が承認済みだが、男性対象は4価のみで公費助成は対象外、適応は肛門がん(扁平上皮がん)およびその前駆病変、尖圭コンジローマとなる。海外では男性に対しても接種勧奨や公費助成の対象とする国も多い。

1462.

新型コロナ「罹患後症状のマネジメント」を公開/厚労省

 厚生労働省は、12月1日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(暫定版)」を公開し、全国の自治体に周知を行った。 本別冊「罹患後症状のマネジメント」は、COVID-19感染・回復後の患者の経過を診ているかかりつけ医などが、自身でそれらの症状に悩む患者に対して、どこまでどのようにアプローチ・フォローアップをすればよいのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのか、などについて標準的な診療とケアについてまとめることを目的に、それぞれの分野で経験のある専門家が参集し、発刊したもの。「罹患後症状のマネジメント」はさまざまな視点から解説 「罹患後症状のマネジメント」のおもな内容として下記の解説が行われている。・WHOの定義:COVID-19の罹患後症状(いわゆる遷延症状あるいは後遺症)の紹介・現時点の知見などを基にした、かかりつけ医などの医療従事者向けの診療や経過観察のあり方のまとめ・かかりつけ医などがどの範囲まで対応し経過観察するのか、どのタイミングで専門医の受診を勧めるのかなどについて、各症状(呼吸器、循環器、嗅覚・味覚、精神・神経、痛み)ごとに記載・小児へのアプローチや筋力低下などに対するリハビリテーション、および職場などへの復帰に関する産業医学的アプローチも記載別冊「罹患後症状のマネジメント」の目次1)罹患後症状2)罹患後症状を訴える患者へのアプローチ3)呼吸器症状へのアプローチ4)循環器症状へのアプローチ5)嗅覚・味覚症状へのアプローチ6)精神・神経症状へのアプローチ7)“ 痛み”へのアプローチ8)小児へのアプローチ9)罹患後症状に対するリハビリテーション10)罹患後症状と産業医学的アプローチ また、注意点として「罹患後症状のマネジメント」の内容は、2021年11月26日現在の情報を基に作成したもので、今後の知見より内容修正が必要となる場合があること、厚生労働省、国立感染症研究所などのホームページから常に最新の情報を得るようにと注意を喚起している。

1463.

HPVワクチンの接種個別勧奨を自治体へ指示/厚労省

 11月26日、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出した。 同省は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種の積極勧奨について、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的にみられたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとし、平成25年6月14日発出の通知により接種の積極的な勧奨とならないよう留意するなどの対応を勧告してきた。 今回の通知はその勧告を変更するもので、先の平成25年の通知は廃止され、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなる。現在の状況を終わらせフォローを厚く 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会および薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会での同ワクチンの有効性・安全性、接種後に生じた症状への対応、ワクチンについての情報提供の取組みなどについて議論が行われた。その結果、第72回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第22回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)で最新の知見を踏まえ、改めて同ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないこと、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたことから、現在の状態を終了させることが妥当とされた。 ただし、引き続き同ワクチンの安全性の評価、接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の診療実態の継続的な把握や体制強化は行い、都道府県や地域の医療機関などの関係機関の連携を強化し地域の支援体制の充実、同ワクチンの情報提供の充実はさせていく。具体的な動きについて1)HPVワクチンの個別の勧奨について 市町村長は、予防接種法第8条規定による勧奨を行うこと。具体的には、対象者またはその保護者に対し、予診票の個別送付を行うことなどにより、接種を個別に勧奨することが考えられる。2)HPVワクチンの個別勧奨および接種を進めるに当たっての留意点(1)個別勧奨を進めるに当たり、標準的な接種期間に当たる者(13歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある女子)に対して行うことに加え、これまで個別勧奨を受けていない令和4年度に14~16歳になる女子についても、同ワクチンの供給・接種体制などを踏まえつつ、必要に応じて配慮する。(2)同ワクチンの接種を進めるに当たっては、対象者などに対しワクチン接種について検討・判断するために必要な情報提供が行われるとともに、被接種者が接種後に体調の変化を感じた際に、地域において適切に相談や診療などの対応が行われるよう、医療機関や医師会などの関係者の連携の下、十分な相談支援体制や医療体制の確保に遺漏なきを期す。(3)市町村長は、管内の医療機関に対して、HPV感染症に係る定期接種の対象者などが接種のために受診した場合には、同ワクチン接種の有効性および安全性などについて十分に説明した上で、対象者などが接種を希望した場合に接種することを引き続き周知する。(4)HPV感染症の定期接種を含め、予防接種による副反応疑いの報告が適切に行われるよう、市町村長は管内の医療機関に対し「定期の予防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについて」の周知を引き続き図る。3)その他 平成25年通知が廃止されるまでの間、積極的な勧奨の差控えにより接種機会を逃した方への対応については、公費による接種機会の提供などに向けて対象者や期間などについての議論を開始した。今後、方針が決定次第、速やかに周知する予定。 なお、この通知にともない「予防接種法第5条第一項の規定による予防接種の実施について」も改訂され、令和3年11月26日より施行された。

1464.

第86回 世界で猛威を振るうランサムウェア、徳島の町立病院を襲う

ランサムウェアに感染、1ヵ月経つも電子カルテ復旧せずこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今年の日本シリーズはとても見応えがありました。第1、2戦の日本を代表する投手たちによる息詰まる投手戦や、オリックスが神戸に戻るために必死で1勝を手にした第5戦など、野球の醍醐味が詰まったシリーズでした。私はヤクルト球団で働いている知人の伝手で、第3戦を東京ドームで観戦したのですが、ドームのカクテル光線にキラキラ光る大量の応援傘は壮観でした。それにしても、優勝したヤクルト、惜しくも敗れたオリックス共に打撃陣が抑え込まれたのは、やはりデータ野球の成果なのでしょう。もっとも、データ野球の先進国、米国のMLBのワールドシリーズは、乱打戦が多かった印象です。あちらのトップ選手には、データをねじ伏せるだけの技術とパワーが備わっているからでしょうか。今年の筒香 嘉智選手に続き、来年のメジャー移籍を目指す鈴木 誠也選手が少々心配です。さて、今回は徳島県内陸部、吉野川沿いにあるつるぎ町の町立半田病院(120床)を襲った、電子カルテのランサムウェア(身代金要求型ウイルス)感染事件について書いてみたいと思います。10月31日未明に同病院で起きたこの事件、1ヵ月経った現在も事態は収束していません。当初は地元紙が報じるだけだったのですが、NHKや全国紙も大きく扱う事態となっています。受付から、診察、会計まですべてのシステムがダウン事件が起こったのは、10月31日の未明でした。NHKや徳島新聞等の報道を基に、事件の流れを整理してみました。31日午前0時半ごろ、町立半田病院の電子カルテに不具合があり、複数プリンターから勝手に不審な書類が大量に印刷されはじめました。紙には英語で「あなたのデータは盗んで暗号化された。ランサムにお金を払わないとダークウェブにデータを公開する(Your data are stolen and encrypted. The data will be published on TOR website……,if you don‘t pay the ransom.)」などと書かれてありました。この時既に、バックアップ用も含めて、院内のサーバーのデータは暗号化されており、受付から、診察、会計まですべてのシステムがダウンしていました。英語の書類が大量に自動印刷されるのを見つけた当直の看護師が、システム担当の職員や電子カルテシステムのメーカーなどに連絡したものの対応不能で、同病院は早朝、開院前に美馬署と県警本部に連絡、ランサムウェアに感染した可能性があるとして被害届を提出しました。同病院は、31日朝から救急患者の受け入れを停止、11月1日以降の新規の外来や入院の受け入れの停止も決めました。同病院では平日1日当たり200~300人の外来患者がいるとのことです。なお、予約再診や予防接種、透析は実施することとしました。31日に同病院は会見を開き、被害にあった事実を公表しました。病院事業管理者の須藤泰史氏は「多くの方にご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。警察と今後の対応を検討して参ります」と陳謝したとのことです。バックアップサーバーのデータも暗号化され使えず感染したのはシステムのメインサーバーとバックアップサーバーで、患者約8万5,000人分の個人記録が保存されていました。同日午後9時時点で、流出したデータが公開されているダークウェブには町立半田病院の情報はありませんでした。同病院によると、電子カルテシステムと連係した検査システムや画像システム、診療報酬システムなども使用不能となったとのことです。同病院の電子カルテシステムは、県内の医療ネットワークなどと専用回線のみで接続され、セキュリティーソフトなど不正アクセスを防ぐ対策も取っていたとしています。入院や外来患者のカルテは手書きの記録へ町立半田病院では災害対策本部を立ち上げ、対応に乗り出しました。しかし、その後の復旧は遅々として進みませんでした。電子カルテが使えないため、入院や外来患者のカルテは手書きで紙に記録することになりました。紹介状などの作成も手書きなので、職員の負担は相当なものとなりました。倉庫で眠っていた古いパソコンを再利用して共有データの入力も始めました。この間、システムのセキュリティー専門会社がメインサーバーの復旧作業にあたりましたが、効果はなかったそうです。なお、同病院とネットワークで患者情報共有している県内の97医療機関では、システム被害は報告されていません。その後、1週間たってもメインサーバーは復旧せず、外来診療は予約のある再診患者や透析、予防接種に限定しての対応が続き、休日診療や小児救急は、近隣の医療機関にサポートを頼んだりしたそうです。なお、会計もできないため診療費の請求は後日に延期しているとのことです。共同通信の取材に、病院事業管理者の須藤氏は「過去の診察記録が全部見られなくなった。災害レベルの事態だ。南海トラフ巨大地震を想定した非常事態と同じ対応をしている」と語ったそうです。身代金は支払わず、電子カルテのシステムを一からつくり直すことに11月30日現在、サーバーの復旧のメドは立っていません。紙カルテでの作業が続く中、小児科は11月15日から通常診療を開始、19日からは産科部門で新規妊産婦や救急患者の受け入れを始めました。内科や外科、泌尿器科などは新規患者を受け入れられない状態が続いています。同病院は11月26日に会見を開き、身代金は支払わず電子カルテのシステムを一からつくり直す、と表明しました。現在、ホームページには、「通常診療の再開は2022年1月4日(火)よりを予定しております」と掲示されています。プリンターを使用して脅迫文を自動印刷するランサムウェア「LockBit2.0」各紙報道によれば、町立半田病院のサーバーを襲ったのは、「LockBit2.0」と名乗る国際的なハッカー集団が仕掛けるランサムウェアとのことです。感染するとデータが勝手に暗号化され、LockBit2.0側が公開停止や復旧と引き換えに金を要求する、というものです。調べてみるとこのLockBit2.0、今年に入ってから世界中でさまざまな企業の攻撃を繰り返しているようです。2019年9月に「LockBit」という名前で出現したこのグループは、2021年6月に活動を再開。6月末にダークウェブ上のWebサイトで「アフィリエイト」と呼ばれる攻撃部隊の募集をはじめ、7月中旬からはダークウェブ上のリークサイトに、多数の被害組織への攻撃声明を掲載するようになりました。リークサイトには、被害組織の具体名を掲載。被害組織と交渉中(またはコンタクト待ち)の段階では組織名公開に留め、暗号化した窃取データは公開しない、としています。そして、窃取データの公開までの残り時間をサイトに表示し、身代金の支払いを促すという流れです。LockBit2.0の特徴の1つが、プリンターを使用して脅迫文を自動印刷することで、ランサムウェアでは珍しいタイプとのことです。なお、YouTubeでは、LockBit2.0によってプリンターが脅迫文を印刷する実際の様子の動画が公開されています。興味のある方は見てみて下さい(「LockBit2.0、印刷」で検索)。なぜ、町立半田病院が狙われたのか?LockBitの被害企業として有名なのは、米最大級の石油パイプライン企業「コロニアル・パイプライン」で、同社は440万ドル(約4億8,000万円)の身代金を支払っています。また、日本企業でも光学機器大手HOYAのアメリカの子会社が攻撃を受け、顧客の視力に関するデータを含む書類などが公開されたことが明らかになっています。また昨年11月には、ゲームソフト大手のカプコンが攻撃を受け、社員など1万5,000人余りの個人情報が流出しています。では、今回なぜ町立半田病院が狙われたのでしょうか。ハッカー側は、企業の大小や業態で攻撃対象を選別しているわけではなさそうです。11月20日のNHKニュースは、「セキュリティーの専門家によれば、半田病院を狙ったわけではなく、攻撃対象を無作為に探していたハッカー集団側が、弱点のあるシステムを見つけ、侵入できた先が、結果的に半田病院だったとみられている」と報じています。VPN経由での攻撃の可能性セキュリティー対策をしていた同院のシステムが、ウイルスに感染した原因もわかっていません。11月28日の朝日新聞によれば、「院内のネットに外部からアクセスできる『VPN(仮想プラベートネットワーク)』の通信機器が複数、接続されていた。電子カルテシステムを遠隔操作で業者がメンテナンスしたり、県内の医療機関と患者の情報を交換したりするため」とのことで、VPN経由での攻撃の可能性が示唆されています。同病院のVPNの機器は、過去に認証情報の流出が問題になった米国製のものだった、との報道もあります。NHKの報道によれば、「近年、ランサムウェアによる被害は、国内外で民間企業だけでなく、医療機関でも増えている」そうです。海外の病院では、カルテ情報の大量漏洩やシステム停止による診療中止によって、患者が死亡する事例も出ているとのことです。日本の病院、特に中小病院は、情報システムの担当者を置いていないことが多く、セキュリティー対策も専門業者任せのところがほとんどだと言われています。ハッカーたちは、「田舎の小さい病院だから攻撃は止めておこう」とは考えません。セキュリティーに穴があれば、すぐさまそこを突いてきます。感染症を引き起こすウイルスだけではなく、コンピュータウイルスに対しても、医療機関は万全の感染防止体制を求められる時代になった、と言えそうです。

1465.

ワクチン接種の目的は“次世代の健康”/EFPIA Japan

 EFPIA(欧州製薬団体連合会)Japanは、2021年11月22日に感染症領域のエキスパートである岡部 信彦氏(川崎市健康安全研究所 所長)を講師に迎え、ワクチンに関するオンラインプレスセミナーを開催した。セミナーでは、ワクチンが人類に果たしてきた役割について、その軌跡をたどるとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の盾を担うmRNAワクチンにも触れて講演が行われた。ワクチンギャップは解消しつつある日本 岡部氏を講師に「生涯を通じての感染症予防(Life Course Immunization)-COVID-19の経験を含めて-」をテーマにレクチャーが行われた。 はじめに予防接種の歴史について振り返り、天然痘の予防としてわが国では江戸時代末期から種痘が行われたこと、その際に種痘後にお土産を渡すなど予防接種へのインセンティブをもたらす取り組みがこの時代から行われていたことを現代のCOVID-19ワクチン接種の現状と重ねて説明した。 次に戦後のわが国の予防接種制度と社会状況の変化との関連について振り返り、その時代時代と予防接種は強い関係にあると説明した。現在、日本で接種できるワクチンは定時/臨時接種で21種類、任意接種で10種類、計31種類の接種ができ、世界から遅れていたワクチンギャップも解消に向かいつつあるという(2021年9月現在)。また、近年では「院内感染対策としてのワクチンガイドライン」(日本環境感染学会)や「医療関係者のためのワクチンガイドライン」(同学会)も整備され、医療者の感染予防と他者への感染源とならないための予防などの指針も整備されていると解説を行った。子供がかかる感染症に大人がかかるとリスクが上がる 次にCOVID-19を例にとり、現在までのクラスターの発生状況を振り返った上で、「ワクチン接種のターゲットとして、まず医療機関が守られることであり、医療が動くことが重要」と述べ、ワクチンのポリシーとしては「死亡者を出さないことが大事だ」と語った。 次に大人がかかる子供の感染症について解説を行った。 大人がかかるとリスクが高い感染症として、「水ぼうそう」「はしか」「おたふくかぜ」「ポリオ」「手足口病」「伝染性紅斑」「百日咳」などを代表感染症に挙げ、沖縄県で起こった麻疹のクラスター、近年の風疹のクラスターについて解説。いずれもワクチン接種をしていない、接種不明や1回のみ接種などで抗体ができていない大人が感染し、拡大させていたことを報告した。大人でもワクチンを接種しておけばクラスターを予防できた可能性を述べるとともに、社会的事象としておたふくかぜと難聴の関係、大規模災害と破傷風の流行なども示し、ワクチンの重要性を強調した。これからのワクチン接種で大切な“ISRR” 予防接種の目的は、「感染症罹患予防」「個人の健康保持」「次世代の健康を守る」「社会を守る」「感染症の制圧・根絶」「がんの予防」などさまざまな目的があることを示し、とくに「次世代の健康を守る」「社会を守る」ことが重要だと同氏は語る。また、COVID-19ワクチンとして現在広く接種されているmRNAワクチンについても触れ、開発は過去の研究から積み重ねられて製作されたこと、新しいものを含めワクチンの接種では、感染症患者、健康被害者、健康な人のどこに視点をおいて守るかにより接種機会は変わってくることを説明し、ワクチンの接種では、「いつも接種のメリットとデメリットを衡量することが重要」と同氏は指摘した。また、最近ワクチン接種で注目されているトピックスとして、予防接種ストレス関連反応(Immunization stress related response:ISRR)について触れ、「接種時に医療者はISRRも考慮し、丁寧な説明、接種手技、科学的・医学的対応をする必要がある」と警鐘を鳴らした。 最後に同氏は成人のワクチンの課題として、「効果・安全性に関する説明法やその内容、費用の負担、接種への動機付けなどがある」と指摘し、「ワクチンの安全性を高めるためにも医療者も被接種者も『焦らない・慌てない・数を競わない』ようにしてほしい」と結びレクチャーを終えた。

1466.

第79回 新たなコロナウイルス変異株「オミクロン型」に警戒を/WHO

<先週の動き>1.新たなコロナウイルス変異株「オミクロン型」に警戒を/WHO2.子宮頸がんワクチン積極的勧奨、来年4月から/厚労省3.医療費適正化に向け、リフィル処方箋の導入求める声も/経済諮問会議4.コロナ赤字を抱える病院、診療報酬改定をめぐる攻防の行方は?5.サイバー攻撃を受けた電子カルテ、約2億円をかけ復旧目指す/徳島県1.新たなコロナウイルス変異株「オミクロン型」に警戒を/WHO世界保健機関(WHO)は26日、南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルスの変異型を最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類し、「オミクロン型」と名付けた。アフリカ以外に、香港やイギリス、オランダ、ベルギーなどでも感染が確認されており、多くの国が南アフリカとその周辺地域からの直行便の運航を禁止するなど、各国で対応を急いでいる。わが国でも国際便を運航する空港で水際対策強化を進めている。(参考)WHO、新変異型「オミクロン」と命名 警戒最大に(日経新聞)新変異ウイルス「オミクロン株」 懸念される変異株に指定 WHO(NHK)オミクロン株、英独伊で検出 ジョンソン首相、行動規制の復活発表(毎日新聞)成田や羽田で「オミクロン株」対策始まる、誓約書記入も…帰国の男性「細かいが仕方ない」(読売新聞)2.子宮頸がんワクチン積極的勧奨、来年4月から/厚労省厚生労働省は26日に、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス感染を防ぐHPVワクチンについて、従来行ってきた定期接種ではなく、積極的に個別勧奨することを自治体に向けて通知した。これまでの積極的勧奨の差し控えを求めていた2013年の勧告は廃止した。接種の再開時期は2022年4月としているが、体制が整った自治体では前倒しも可能としている。(参考)子宮頸がんワクチン積極勧奨 来春再開、空白世代も救済 公費での接種調整(日経新聞)子宮頸がんワクチン 来年4月 接種の積極的呼びかけ再開 厚労省(NHK)ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について(厚労省)3.医療費適正化に向け、リフィル処方箋の導入求める声も/経済諮問会議政府は25日に開催した経済諮問会議(議長:岸田首相)で、来年度の予算編成に向けて、社会保障改革や今後の財政運営について議論を行った。この中で、諮問会議民間委員は「診療報酬本体のメリハリのある見直しを行い、国民負担を軽減すべき」とし、通院回数を減らすことによる感染症拡大中の患者負担軽減や医療費の抑制、さらに残薬の削減に向け、かかりつけ薬剤師による適切な服薬指導の下、リフィル処方を導入すべきとの意見を出した。また、一人当たり医療費・介護費の地域差半減・縮減の推進のために、地域医療構想のPDCAサイクルの強化や医療費適正化計画の在り方の見直しを求めた。(参考)諮問会議で鈴木財務相 22年度改定は「“医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし”の姿勢で臨む」(ミクスonline)令和3年11月25日 経済財政諮問会議(首相官邸)4.コロナ赤字を抱える病院、診療報酬改定をめぐる攻防の行方は?厚労省は24日の中央社会保険医療協議会の総会において、医療機関の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を公表した。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により受診控えが生じたため、一般病院の損益は6.9%の赤字となり、前年度の赤字(3.1%)を上回ることが明らかとなった。政府が行った新型コロナウイルス対策で、一般病院に対して1施設当たり平均約2.4億円、コロナ専用病棟を持つ重点医療機関には約10億円を支払った補助金を含めると0.4%の黒字となったものの、2021年6月に至っても感染拡大の影響が残り、赤字基調のままだった。医療界は診療報酬のプラス改定を求めているが、財務省はコロナ対策を契機に医療費適正化のため診療報酬の引き上げに対しては否定的であり、年末まで各団体との調整が続くと見られる。(参考)診療報酬めぐり「日医」「財務省」攻防激化(産経新聞)来年度の改定“診療報酬 引き下げを” 健保連など厚労省に要請(NHK)病院の利益率、マイナス6.9% コロナ補助金で黒字化 20年度(毎日新聞)5.サイバー攻撃を受けた電子カルテ、約2億円をかけ復旧目指す/徳島県 徳島県つるぎ町(人口7,877人)にある町立半田病院の電子カルテが、10月31日にサイバー攻撃を受け、カルテ情報が暗号化されアクセスできなくなって約1ヵ月、病院側はランサムウェア攻撃の犯行声明を出した国際的なハッカー集団に身代金を支払うことなく、約2億円をかけて新システムによる電子カルテの復旧を行うことになった。これまでのサイバー犯罪は企業をターゲットにした犯行が多かったが、電子カルテについても今後増えていく可能性が高く、対策強化が必要となる。(参考)消えた電子カルテ、お産もできない…田舎の病院を襲ったサイバー攻撃(朝日新聞)身代金払わず2億円で新システム 徳島サイバー被害病院(日経新聞)サイバー被害の徳島・半田病院、通常診療を一部再開 小児科と産科部門を先行(徳島新聞)

1467.

HPVワクチン接種行動は変わったか?

 HPVワクチンは2010年の接種開始以降、副反応忌避が続き接種率1%未満が続いていたが、昨年自治体から接種対象者への個別通知が再開し、今年は積極的受診勧奨再開に向けた検討会が開かれるなど動きが出てきた。 現在どのように接種行動や意識は変化しているのだろうか。HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)が、現在のHPVワクチンに対する意識・実態調査を行った。接種率は約14% 調査はインターネット上で行われた。9,219名の回答者から無料接種対象年齢の本人として高校1年生の女子473名を抽出しHPVワクチン接種の有無を尋ねたところ、接種した、もしくは接種中が14.4%だった。接種へのハードルは情報提供 未接種者の接種意向とどのような情報提供が必要か知るために、高校1年生の女子245名(以下本人)と高校1年生の女子を子供に持つ女性245名(以下親)を対象にアンケートを行った。そのうち未接種者の接種意向は、本人(32.4%)、親(12.6%)で、本人の接種意向がより高い傾向にあった。接種意向のある本人におけるハードルは、安全性への懸念(約16%)や副反応への懸念(約13%)が多く、次いでHPVワクチンの情報不足(約11%)や申し込み方法がわからない(約11%)といった手続き上の不安が挙がった。手続きについての不安は自治体からの個別通知が有効である可能性が高い。接種意欲を向上させる情報は? 上記の不安を踏まえ、どのような情報が接種を促すだろうか。アンケート内でHPVワクチンに関して無料接種対象年齢やHPV感染率、ワクチンの有効性、安全性といった情報提供を行い、再度接種意向を聞いたところ示唆に富む結果が出ている。 本人では「HPV感染率-生涯で約8割がHPVに感染する」ことの認知度は接種者・未接種者ともに低かった。そしてこの情報提供後に未接種者の約56%が接種意向を示した。 親ではHPV感染率の情報提供で約32%が接種意向を示した。本人に比べて情報提示後の変化は少ないが、本人・親ともにHPV感染率についての情報提供が接種への寄与度が高いといえる。 さらに有効性に関する詳細な情報提供も行った中でも本人と親に違いがみられた。本人では子宮頸がんを発症した場合9割は子宮摘出などの侵襲治療が必要という情報の認知度が低く、情報提供後の接種意向の上昇に寄与している。 親ではHPVワクチンが中咽頭がんや肛門がんなどほかのがん予防になるという情報が意向に寄与した。情報の入手経路 子供は学校とSNS、親はテレビや病院から知りたい ワクチンに関する情報入手経路は、本人は親からが最多。親はテレビ新聞などのオールドメディアや自治体広報が上位を占めた。今後どのような媒体からの情報を希望するかという問いに対して多い回答は、本人は約40%が学校から、約25%がSNSからの情報提供を望んでいた。SNSの中ではYouTubeの希望度が高かった。親は約40%がテレビ番組やCM、約38%が病院や医療機関からの情報入手を望んでいることがわかった。 同団体は昨年クラウドファンディングで資金調達し、説明に時間のかかる安全性情報の提供をサポートするパンフレットの無償配布や学校での情報提供などで啓発を行っている。クラウドファンディングは継続しており、アンケートで希望があったYouTubeをはじめとしたSNSでの展開拡大などを予定している。 結果の詳細はみんパピ!ホームページで確認できる。

1468.

甲状腺ホルモン不応症〔RTH:Syndrome of Resistance to Thyroid Hormone〕

1 疾患概要■ 定義甲状腺ホルモン不応症は、甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性が減弱している家族性症候群として、1967年にRefetoffらによって初めて報告された。そのため、かつては「レフェトフ症候群」という名称が一般的であった。本疾患における甲状腺ホルモンに対する反応性の低下は、甲状腺ホルモン受容体を介した作用の低下が主な原因である。甲状腺ホルモン受容体はα型とβ型の二つがあるが、本疾患は先天性・家族性のβ型甲状腺ホルモン受容体異常症である。■ 疫学わが国と米国で別個に行われたスクリーニング調査の結果、いずれの調査でも、甲状腺ホルモン不応症の発症頻度は約40,000人に1人と推定された。もし、この数字をそのまま日本の総人口に当てはめると、わが国には約3,000人の症例が存在することになる。しかし、わが国でこれまでに報告されているのは100例程度で、現状では大部分の症例がきちんと診断されていないという可能性もある。■ 病因本疾患は常染色体顕性(優性)遺伝形式の先天性・家族性疾患であり、50%の確率で遺伝する。甲状腺ホルモン不応症家系の約85%にβ型受容体遺伝子変異が認められる。残りの約15%の家系も同様の遺伝形式となり、その病因は明らかではないが、遺伝子変異を伴う家系と変異が認められない家系との臨床症状は区別がつかないことから、何らかの原因でβ型受容体の機能が障害され発症するものと考えられている。β型甲状腺ホルモン受容体は視床下部・下垂体におけるネガティブフィードバック機構を制御しており、甲状腺ホルモンが多くなると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)およびTSH放出ホルモン(TRH)の産生を抑制して、甲状腺ホルモンが過剰になるのを防いでいる。そのため、本疾患では、フィードバック機構が障害され、甲状腺ホルモン高値にもかかわらずTSH値が抑制されない「不適切TSH分泌症候群」(syndrome of inappropriate secretion of TSH:SITSH)となる。■ 症状前述のSITSHにより高値となった甲状腺ホルモンに対する反応性の程度によって、甲状腺機能亢進症症状から低下症の症状まで症例によって多様である。各臓器では変異のないα型およびβ型甲状腺ホルモン受容体がさまざまな程度で発現しており、その作用を変異β型受容体がさまざまな程度で阻害するため、ホルモンに対する反応性は各臓器および個体で異なる。このことが症状の多様性の大きな理由の一つと考えられる。甲状腺ホルモンに対する反応性の減弱が過剰な甲状腺ホルモンにより代償された状態となるため、結果としてほとんど自覚症状がない症例や軽度の頻脈のみを呈する症例が多い。ただし、甲状腺機能亢進症症状が強く注意欠如・多動症や著しい頻脈を示す症例や、先天性甲状腺機能低下症の症状である知能発達遅延や低身長、難聴などを伴う症例も存在する。一方、甲状腺腫大は、TSHによる刺激が原因で生じる所見であり、比較的頻度が高い。■ 分類かつては、甲状腺機能亢進症症状が強い症例を下垂体型、その他の症例を全身型と分類していたが、現在ではあまり用いられていない。■ 予後一般的に生命予後は健常人と変わらないとされているが、そのエビデンスは確立されていない。女性症例が変異を持たない児を妊娠した場合、母体から移行してくる過剰な甲状腺ホルモンによって児が甲状腺中毒症になり、流産や低出生体重児となることがある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)血清遊離サイロキシン(T4)が高値でTSHが基準値下限以上であればSITSHと判断され、甲状腺ホルモン不応症診断の出発点となる。これまでに、研究班によって診断のためのアルゴリズムが策定されており、後述する日本甲状腺学会臨床重要課題ウェブサイト上で、診断基準ならびに重症度分類第2次案の一部として公開されている。1回の血液検査でSITSHの所見が得られた場合も、単に「見かけ上のSITSH」を呈していることが多い。たとえば、TSHの変動はT4の変動に遅れるため、破壊性甲状腺炎やバセドウ病など甲状腺中毒症の初期に、TSHの抑制がT4の上昇に一時的に追いついていない場合がある。また、患者(被検者)が抗T4抗体や抗マウス抗体を持っていた場合にT4測定系やTSH測定系に干渉するアーチファクト、T4製剤(商品名:チラーヂンS)補充療法に伴うT4高値、アミオダロンなどヨウ素を含有する薬剤の影響などでも見かけ上のSITSHを呈することがある。「真の」あるいは「確からしい」SITSHであることを示すために、再検査を1ヵ月後以降に、さらに3ヵ月後に行い、これら再検査の際、可能なら検査方法を変えて測定することが推奨される。真のSITSHを来す疾患は、甲状腺ホルモン不応症とTSH産生下垂体腺腫であり、これらの鑑別が重要である。TSH産生下垂体腺腫症例では、画像検査で明らかな下垂体腫瘍(マクロアデノーマ)を認めることが多い。画像検査でマクロアデノーマを認めない症例では鑑別が困難である。確定診断にはβ型甲状腺ホルモン受容体遺伝子検査が有用である。ただし、甲状腺ホルモン不応症家系の15%は遺伝子変異を持たず、病因も不明である。現在、β型甲状腺ホルモン受容体遺伝子検査は保険収載となっており、倫理面に配慮して施行する。指定難病および小児慢性特定疾病となっており、診断された場合は医療費助成の申請を検討する。指定難病制度では重症度分類中等度以上が助成の対象となる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)SITSHに対して、抗甲状腺薬や放射性ヨウ素内用療法、甲状腺摘出術などのバセドウ病に対する治療を行うと、TSH分泌が促進されて甲状腺腫増大(摘出術の場合を除く)や下垂体のTSH産生細胞の過形成をまねく可能性があり、推奨できない。多くの症例では、甲状腺ホルモンに対する標的臓器の反応性の低下がホルモン高値になることで代償されており、治療を必要としない。頻脈を呈する症例では、β遮断薬による対症療法が有効であることが多い。先天性甲状腺機能低下症の症状を示す症例では、血清甲状腺ホルモンは高値だが、甲状腺ホルモン製剤の投与により症状が緩和される。4 今後の展望診断基準ならびに重症度分類について、日本甲状腺学会臨床重要課題のウェブサイト上では第2次案が公開されているが、厚生労働省および難病情報センターでは改訂前の第1次案が使用されており、現在第2次案に変更する手続きを行なっている。また、現在診療ガイドラインを策定中である。エビデンスに乏しい中での策定であるが、公開されれば今後の診療に寄与することが期待される。これらはいずれも2021年10月時点の情報であり、遠くないうちに実現することが予想される。一方、α型甲状腺ホルモン受容体遺伝子異常症も存在し、β型受容体異常症とは表現型が異なることが知られている。2012年に初めて報告された疾患であり、関連疾患として今後の研究の発展が期待される。5 主たる診療科内分泌内科、小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本甲状腺学会臨床重要課題 甲状腺ホルモン不応症診断基準(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 甲状腺ホルモン不応症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 甲状腺ホルモン不応症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)Thyroid Disease Manager(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2021年11月25日

1469.

「ラピアクタ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第79回

第79回 「ラピアクタ」の名称の由来は?販売名ラピアクタ®点滴静注液バッグ300mgラピアクタ®点滴静注液バイアル150mg一般名(和名[命名法])ペラミビル水和物(JAN)効能又は効果A型又はB型インフルエンザウイルス感染症用法及び用量〈成人〉通常、ペラミビルとして300mgを15分以上かけて単回点滴静注する。合併症等により重症化するおそれのある患者には、1日1回600mgを15分以上かけて単回点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与できる。なお、年齢、症状に応じて適宜減量する。〈小児〉通常、ペラミビルとして1日1回10mg/kg を15分以上かけて単回点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与できる。投与量の上限は、1回量として600mgまでとする。警告内容とその理由警告1.本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。2.本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年11月24日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年10月改訂(改訂第9版)医薬品インタビューフォーム「ラピアクタ®点滴静注液バッグ300mg・ラピアクタ®点滴静注液バイアル150mg」2)シオノギ製薬:製品情報一覧

1470.

日本人低出生体重児におけるADHDリスク

 小児の注意欠如多動症(ADHD)特性には、出生時の体重を含む遺伝的要因および出生前、周産期の因子が関連している。浜松医科大学のMohammad Shafiur Rahman氏らは、日本人小児の出生時体重とADHD特性との関連に対するADHDの遺伝的リスクの影響について、調査を行った。BMC Medicine誌2021年9月24日号の報告。 日本人小児におけるADHDの遺伝的リスクや低出生体重とADHD特性との関連を調査するため、縦断的出生コホート研究(浜松母と子の出生コホート研究)を実施した。小児1,258人のうちフォローアップを完了した8~9歳児796人を対象に分析を行った。出生体重別に、2,000g未満、2,000~2,499g、2,500g以上の3群に分類した。ADHDのポリジーンリスクスコアは、大規模ゲノムワイド関連解析のサマリーデータを用いて生成した。ADHD評価尺度IV(ADHD-RS)は、親からの報告に基づきADHD特性(不注意および多動性/衝動性)を評価した。以前の研究と同様に、性別、子供の出生順位、出生時の在胎週数、出産時の母親の年齢、学歴、妊娠前のBMI、妊娠前または妊娠中の喫煙状況、妊娠中のアルコール摂取、父親の年齢、教育、年間世帯収入を共変量とした。出生時の体重とADHD特性との関連を評価するため、潜在的な共変量で調整した後、多変量負の二項分布を用いた。出生時の体重群とバイナリーポリジーンリスクとの相互作用をモデルに追加した。 主な結果は以下のとおり。・出生体重2,000~2,499g群では、ADHD特性との関連は認められなかった。・出生体重2,000g未満群では、不注意および多動性との有意な関連が認められた。・ADHDの遺伝的リスクとの関連については、遺伝的リスクが高く、出生体重2,000g未満群の場合のみ、不注意(RR:1.56、95%CI:1.07~2.27)および多動性(RR:1.87、95%CI:1.14~3.06)との関連が認められた。 著者らは「2,000g未満の低出生体重は、ADHDの遺伝的リスクとともに、8~9歳の日本人小児のADHD特性レベルを上昇させる因子であることが示唆された。この低出生体重とADHDとの関連は、ADHDに対する遺伝的感受性を有する小児に限定されており、病因における遺伝的環境の相互作用との関連が認められた」としている。

1471.

「後輩に譲りたい」、その先輩心で売価7割減!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第30回

第30回 「後輩に譲りたい」、その先輩心で売価7割減!漫画・イラスト:かたぎりもとこ弊社にお問い合わせいただく医業承継の売り手の方のうち、実に3割の方が持つ、ある「思い」があります。それは…、「できれば、同門の医師に譲渡したい」「本当は知人に譲りたいと思って、自分でも後継者を探している」というものです。当然、売り手が希望する方へ引き継ぐことが理想なのですが、「後輩への譲渡」にはデメリットもあるため、その点もしっかり考慮しておく必要があります。そのデメリットとは、ずばり「譲渡額が相場よりも安くなってしまう」ことです。なぜ安くなってしまうのか、それには下記のような理由があります。(1)買い手候補が知り合いだと、売り手に遠慮が働き、お金の交渉がしづらくなる(2)売り手と買い手の双方が譲渡額の相場や算定方法を知らないため、売り手が「買い手の懐事情」という観点だけで譲渡額の設定をしてしまう(買い手が融資を受けない場合は、高額の支払いは難しい)(3)売り手と買い手が譲渡額のすり合わせなしで協議を始めてしまい、後からお金の話をしづらくなる弊社への相談では「知人で譲り受けてくれそうな医師がいたが、結局破談になってしまったので後継者探しをしてほしい」というケースも多くあり、こうした方の大半が、弊社の算定した売却価格の3~5割程度で知人に譲ろうとしていました。「知人とお金の交渉はしにくい」のは誰しも覚えがあることでしょうが、思い入れのある診療所の譲渡となると、そこをつい忘れてしまうことも多いようです。自分で後継者探しをするデメリットとして、「譲渡額が相場よりも安くなりがち」ということは、知っておきましょう。

1472.

英語で「予防接種を受けましたか」は?【1分★医療英語】第3回

第3回 英語で「予防接種を受けましたか」は?Did you receive a measles shot as a child?(子供のころに麻疹の予防接種を受けましたか?)Yes, I did. And I think all my vaccines are fully up-to-date.(はい、受けました。必要なワクチンはすべて受けていると思います)《例文1》I’ll get vaccinated against the flu tomorrow.(明日、インフルエンザのワクチンを受けます)《例文2》The patient has just received the second COVID shot/jab.(その患者は2回目のコロナワクチンを接種したばかりだ)《解説》予防接種を受ける行為やプログラムのことを“vaccination”と表現します。日本でもよく聞く“vaccine”のほうは、予防接種時に投与する薬剤そのものを指します。また、簡易的な表現として米国では“shot”、英国では“jab”という表現もよく使われます。注射全般を指す“injection”も文脈次第でワクチンを意味することがあり、「予防」という意味の“protection”もワクチンを指すことがあります。また、抗体検査をしてワクチンの効果を確認したり、必要なワクチン接種を追加接種したりすることを“To update one’s vaccine status”ということがあります。“Which of my vaccines need to be updated?”(受け直したほうがいい予防接種はありますか?)などのように使います。講師紹介

1473.

5~11歳へのファイザー製ワクチンの安全性と有効性~第II/III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の5~11歳への投与(21日間隔で10μgを2回投与)は、安全で、免疫原性を有し、有効率も約91%と高いことが示された。米国・Duke Human Vaccine InstituteのEmmanuel B. Walter氏らによる、5~11歳を対象とした第I相および進行中の第II/III相の無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年11月9日号で発表された。第I相で投与量を10μgに、第II/III相で有効率を評価 第I相無作為化試験は2021年3月24日~4月14日に米国内4地点でスクリーニングをして包含した5~11歳の48例を対象に行われた。1対1対1の割合で3群に無作為に割り付け、BNT162b2ワクチン10μg、20μg、30μgをそれぞれ投与し、安全性と免疫原性の所見から適切な投与量を決定した。 そのうえで、2021年6月7日~19日に計2,316例の5~11歳児についてスクリーニングを行い第II/III相無作為化試験を開始。対象児を2対1の割合で2群に割り付け第I相試験で同定した投与量のBNT162b2ワクチンまたはプラセボを投与し、有効率などを検証した。 BNT162b2ワクチン2回投与後1ヵ月の免疫応答を、16~25歳を対象に30μgを投与した主研究とイミュノブリッジングし、免疫原性データから有効率を推測した。COVID-19に対するワクチン有効率は、BNT162b2ワクチン2回投与後7日以降について評価した。5~11歳児2,268例を中央値2.3ヵ月追跡 第I相試験の反応原性と免疫原性に基づき、5~11歳への投与量は10μgが選定された。 第II/III相試験では、5~11歳児2,268例が無作為化され、BNT162b2ワクチン(10μg、1,517例)、またはプラセボ(751例)を、21日間隔で投与された。2021年9月6日のカットオフ時点で、追跡期間中央値は2.3ヵ月だった。 他の年齢と同様5~11歳でも、安全性プロファイルは良好で、ワクチン関連の重篤な有害イベントは認められなかった。 ワクチン2回投与から1ヵ月後の、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)中和抗体価の、16~25歳群に対する5~11歳群の幾何平均比は1.04(95%信頼区間[CI]:0.93~1.18)で、事前に規定した免疫原性の成功基準(両側95%CIの下限値:0.67超、推定幾何平均比:0.8以上)を満たした。 2回投与後7日以降のCOVID-19の発症は、BNT162b2群3例、プラセボ群16例が報告された(ワクチン有効率:90.7%、95%CI:67.7~98.3)。

1474.

アトピー性皮膚炎の精神面への影響、4歳児でも

 英国の小児1万1千例超を長期10年にわたって追跡したコホート研究で、小児におけるアトピー性皮膚炎(AD)とメンタルヘルスの関連が明らかにされた。重症ADは、小児期のうつ症状および内在化症状を呈する可能性を約2倍増大することが、また、軽症~中等症ADはうつ症状との関連は認められなかったが、4歳という早い時期に内在化問題行動との関連が認められたという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChloe Kern氏らが報告した。 先行研究で成人におけるADとメンタルヘルス状態の関連は明らかにされているが、小児に関しては、世界中でADの大きな負荷が問題になっているが、メンタルヘルス併存疾患の発症に関する文献は限られている。JAMA Dermatology誌2021年10月号掲載の報告。 研究グループは、小児および思春期の複数時点で、ADと内在化問題行動およびうつ症状との関連を調べ、また喘息/鼻炎、睡眠、炎症など潜在的な媒介因子を調べる住民ベースの縦断的出生コホート研究を行った。UK Avon Longitudinal Study of Parents and Childrenの登録児について、出生から平均10.0年間(SD 2.9)追跡した児のデータを解析した。データの収集期間は1990年9月6日~2009年12月31日で、解析は2019年8月30日~2020年7月30日に行われた。 屈面性皮膚炎(flexural dermatitis)に関する標準化質問票によって測定した年間AD有病率を、月齢6ヵ月~18歳の11時点で評価。主要評価項目は、うつ病の症状(10~18歳の5時点でShort Moods and Feelings Questionnaireを用いて得た小児からの回答で測定)、内在化問題行動(4~16歳の7時点でEmotional Symptoms subscale of the Strength and Difficulties Questionnaireを用いて得た母親からの回答で測定)であった。 主な結果は以下のとおり。・解析には、1万1,181例の小児が含まれた(男子5,721例[51.2%])。・期間中のうつ症状有病率は、6.0~21.6%、内在化問題行動は10.4~16.0%であった。・軽症~中等症ADは、うつ症状との関連は認められなかったが、内在化問題行動は4歳という早い時期に関連が認められた(補正後モデルにおける小児期全体の平均増大オッズ:29~84%)。・重症ADは、うつ症状(補正後オッズ比:2.38、95%信頼区間[CI]:1.21~4.72)、内在化問題行動(1.90、1.14~3.16)と関連していた。・睡眠の質は、上記の関連の一部を媒介していたが、睡眠時間、喘息/鼻炎、炎症マーカー(IL-6、CRP)値の違いによる関連は認められなかった。

1475.

第78回 HPVワクチン積極的勧奨がついに再開、キャッチアップ接種も検討

<先週の動き>1.HPVワクチン積極的勧奨がついに再開、キャッチアップ接種も検討2.コロナワクチン3回目接種を特例承認、12月から実施へ/厚労省3.大手医薬品卸6社の談合疑惑で立ち入り検査/公取委4.介護・保育職で3%の賃上げ、看護師なども給与水準UPを5.急性期医療の集約化をめぐって議論白熱/中医協6.財務省、診療報酬のマイナス改定を求める/財政制度等審議会1.HPVワクチン積極的勧奨がついに再開、キャッチアップ接種も検討厚生労働省は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を開催し、子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の呼びかけ再開について検討された。海外の大規模調査で子宮頸がんに対する予防効果が示されたことや、接種後の副反応について診療・相談体制など強化を行っていること、ワクチンの安全性と有効性について十分な情報提供が行われるようになっていることから、再開を妨げる要素はないとし、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開を了承した。2013年6月以降、定期接種の機会を逃した人へのキャッチアップ接種などの対応についても、予防接種・ワクチン分科会において引き続き議論を行っていくことになった。(参考)HPVワクチン、積極的勧奨の再開を了承 厚労省の審議会(buzzfeed)HPVワクチン接種の積極勧奨再開へ 専門部会が了承、厚労省近く決定(CBnewsマネジメント)子宮頸がんワクチン、8年ぶりに積極勧奨再開 自民の一部「性の乱れ」と抵抗、コロナ追い風に(東京新聞)資料 HPVワクチンについて(厚労省)2.コロナワクチン3回目接種を特例承認、12月から実施へ/厚労省厚労省は11日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」について、3回目接種の用法・用量追加を特例承認した。2回目のワクチン接種後8ヵ月以上経った18歳以上の希望者に来月から3回目の接種を行うため、本日より全国の自治体や医療機関に配送が開始される。(参考)3回目接種用のワクチン 約400万回分 あすから全国に配送(NHK)厚労省 新型コロナワクチン「コミナティ」の3回目接種を特例承認(ミクスonline)ファイザー製ワクチン、18歳以上のブースター接種を厚労省が承認(ケアネット)3.大手医薬品卸6社の談合疑惑で立ち入り検査/公取委独立行政法人「国立病院機構」が発注する医薬品の入札をめぐり談合を繰り返した疑いがあるとして、公正取引委員会が大手医薬品卸会社の福岡支店などに立ち入り検査したことが明らかになった。検査を受けたのは、九州シェア首位のアステム(本社・大分市)、アトル、翔薬、九州東邦(いずれも同・福岡市)、富田薬品(同・熊本市)、アルフレッサ(同・東京)の九州拠点。関係者によると、6社は2016年度以降、国立病院機構本部が発注する医薬品の一般競争入札で、事前に話し合って受注者を決めていた疑いがある。公取委は昨年12月、別の独占禁止法発注の入札を巡る談合容疑で大手卸系の3社を刑事告発しており、これを調べる過程で今回の容疑が新たに浮上したとみられる。(参考)医薬品の入札めぐり談合容疑 卸会社の支店などに立ち入り検査(NHK)国立病院機構など発注の医薬品、6社で談合か…公取委が立ち入り検査(読売新聞)地方の卸にもメス、公取委の狙いは 医薬品卸に再び談合容疑(朝日新聞)4.介護・保育職で3%の賃上げ、看護師なども給与水準UPを政府は介護職員や保育士の処遇改善策として、賃金の引き上げ幅を現行月収の3%程度とする方針を決めた。看護師も同程度の引き上げを検討し、幼稚園教諭などの賃金も上げる。19日に決定する経済対策に盛り込むこととなった。現在の介護職や看護職の給与水準については、全職種平均と比べて低い状況であり、岸田首相も、介護職員や保育士らの収入増を最優先課題に掲げており、早急な手当てが必要としてきた。(参考)保育士や介護職、3%賃上げへ…事業者支援は最大250万円(読売新聞)介護・保育・看護の賃金3%アップへ 政府調整、一部対象絞る案も(朝日新聞)介護・保育3%賃上げ、看護師も検討 経済対策政府検討 困窮世帯に30万円の再支給も(日経新聞)5.急性期医療の集約化をめぐって議論白熱/中医協厚労省は、来年度に実施される診療報酬改定に向けて中医協の総会を13日に開催し、急性期医療や地域包括ケア病棟について議論を行った。支払い側からは、医療・看護必要度や重症度患者割合を厳格化し、高度急性期について集約化を求める意見が出されたが、診療側からはコロナ禍の影響を受けている中でのデータを元にした見直しに慎重な姿勢を示した。また、地域包括ケア病棟では、「自院の急性期病棟から転棟」の患者が中心となっているなど、受け入れ患者が大きく偏っている病棟があり、次の診療報酬改定にどのように行っていくか議論が佳境に入っている。(参考)中医協総会で支払側 コロナ禍での脆弱性是正へ急性期入院医療で「医療資源の集約化」求める(ミクスonline)地ケア病棟、機能の差で「評価のめりはり付けを」中医協・支払側が要望、診療側は反対姿勢(CBnewsマネジメント)ICU看護必要度のB項目廃止案、支払側は理解示すが、診療側は反対し入院医療分科会の批判も―中医協総会(Gem Med)看護必要度、一般病棟用「心電図モニター」等の除外を巡り意見が対立 支払い側は賛成、診療側は「2022年度改定での削除はあり得ない」と猛反発(日経ヘルスケア)6.財務省、診療報酬のマイナス改定を求める/財政制度等審議会財務省は財政制度等審議会財政制度分科会を8日に開催し、2022年度の予算編成に当たって、これまでの診療報酬改定は医療費の適正化とは程遠い対応を繰り返してきたとし、引き続き医療費の適正化を図るため、躊躇なく「マイナス改定」をすべきと主張した。症状が安定している患者については、医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方についても時機を逸することなく導入すべきだとした。なお、リフィル処方の導入に当たっては向精神薬等については避けるべきであり、生活習慣病等に対象を限るべきだと方向性が示された。(参考)財務省ふくらむ医療費に注文 診療報酬の「マイナス改定」も想定(朝日新聞)診療報酬本体、財務省「ためらわず下げを」高止まりを指摘、DRG導入も主張(CBnewsマネジメント)資料 財政制度分科会(令和3年11月8日開催)

1476.

小児アレルギーのトリセツ

「小児トリセツシリーズ」始動!アレルギー診療をマスターせよ小児におけるアレルギー疾患は増加の一途をたどっている。今やアレルギー診療は小児医療にとってコモンスキルといえる。しかし、アレルギー診療は外来のなかで話を聞き、診察と鑑別を繰り返し、対応を考えるということを短時間に行わなければならない非常にタフな分野である。専門性の高い食物アレルギーや気管支喘息の長期管理などは専門医にお任せ、という医師も多いだろう。しかし「誰でも、アレルギーは診れる」。本書は専門医ではないけれど、患者に相談されたときに的確に専門医レベルの対応ができるようになるためのマニュアルである。臨床で知りたいことがすぐわかる!「小児感染症のトリセツREMAKE」に続く、第一線・気鋭の単独著者による小児トリセツシリーズがついに始動。「トリセツ」で小児科医療はもっと面白くなる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    小児アレルギーのトリセツ定価3,960円(税込)判型B6変判頁数240頁発行2021年10月監修笠井 正志編集岡藤 郁夫著者田中 裕也電子版でご購入の場合はこちら

1477.

妊娠中の抗うつ薬、子供の数学の成績に影響か/JAMA

 妊娠中に抗うつ薬を処方された母親の子供は、処方されなかった母親の子供と比較して、数学のテストの点数は2点低く有意差が認められ、国語のテストの点数には差がなかったことが、デンマーク・オーフス大学のJakob Christensen氏らの調査で示された。結果について著者は、「数学の平均点は曝露群で低かったが、差は小さいことから臨床的な意義は不確実である。この研究結果は、妊娠中の母親にうつ病治療を行うことの利点と比較して検討する必要がある」としている。JAMA誌2021年11月2日号掲載の報告。デンマークの後ろ向きコホート研究 研究グループは、妊娠中の抗うつ薬の処方が、義務教育期の子供の標準化されたテストの成績に影響を及ぼすかを評価する目的で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を行った(Central Denmark Regionなどの助成を受けた)。 解析には、1997年1月1日~2009年12月31日の期間にデンマークで出生し、公立の小学校または中学校に通い、2010年1月1日~2018年12月31日の期間に「デンマーク全国テストプログラム」の国語(2、4、6、8年生が対象)または数学(3、6、8年生が対象)のテストを受けた7~17歳の児童生徒が含まれた。「デンマーク処方箋登録」から、妊娠中に抗うつ薬の処方を受けた母親の情報が収集された。 関連する交絡因子を補正した線形回帰モデルを用いて、母親が抗うつ薬を処方された子供と処方されなかった子供で、数学と国語の標準化された点数(1~100点、得点が高いほどテスト成績が良い)の差が推算された。数学:52.1点vs.57.4点、国語:53.4点vs.56.6点 57万5,369例(男児51.1%)の児童生徒が解析に含まれ、このうち1万198例(1.8%)が妊娠中に抗うつ薬を処方された母親の子供(抗うつ薬曝露群)であった。テストを受けた時の児童生徒の平均年齢(SD)は、2年生の8.9(0.4)歳から8年生の14.9(0.4)歳の範囲だった。 数学のテストの平均点は、抗うつ薬曝露群が52.1点(95%信頼区間[CI]:51.7~52.6)と、非曝露群の57.4点(57.3~57.4)に比べて有意に低かったが、群間の差は小さかった(補正後群間差:-2.2点、95%CI:-2.7~-1.6)。 一方、国語のテストの平均点は、曝露群が53.4点(95%CI:53.1~53.7)、非曝露群は56.6点(56.5~56.6)であり、両群間に差は認められなかった(補正後群間差:-0.1[95%CI:-0.6~0.3])。

1478.

第83回 街中の会話にヒントが!?若者や副反応経験者に3回目ワクチンを促す策とは

つい先日、昼食のために入ったラーメン屋で私の右側のカウンターに座っていた男性3人組の会話が耳に入ってきた。この3人を私から近い順にA君、B君、C君としよう。ちょうど私のすぐ隣にいたA君が「どうだった?」とB君とC君に尋ねていた。B君うん、めっちゃ熱出て、体もだるくてきつかったA君3回目の接種もあるって話じゃんB君いや、もう3回目はいいやC君俺も3回目はなしだな職業病のせいか、ついつい周囲の会話に聞き耳を立ててしまう癖はなかなか抜けない。この時もそうだったのだが、会話の内容も内容だったから余計のこと真剣に聞き耳を立ててしまった。多くの人にとって察しはついただろうが、新型コロナワクチン接種に関してである。このラーメン屋の近傍には複数の大学がある。その後も彼らの会話に聞き耳を立てていたが、どうやら彼らは付近のある私大の学生で、大学でモデルナ製ワクチンによる職域接種が行われ、B君とC君は接種、A君は様子見で今も接種するかどうかを迷っているらしい。私はファイザー製ワクチンの接種者だが、周知のようにモデルナ製ワクチンは投与量が多いため、効果もやや高い分、副反応も強めと言われ、モデルナ接種者での副反応に関する愚痴はよく耳にする。新型コロナに限らず、ワクチンでは接種者が効果を実感できることは稀で、むしろ自覚できる副反応があれば、そちらのほうの印象が強くなるのは必然のこと。いわゆる反ワクチン派の存在も多分にそうした現実に由来している。その意味で副反応の最小化はワクチン接種の浸透では必須事項となるが、そもそも個々のワクチンの特性により一定の頻度の副反応は避けがたい。たとえば今回の新型コロナのmRNAワクチンでは、極めて高頻度な発熱や倦怠感は減らそうと思って減らせるものではない。あとは症状が発現した際の適切な軽減策の周知であり、今回はすでに解熱鎮痛薬の使用推奨はかなり行われている。だが、それでも前述の学生の反応は非常に気になった。ワクチン接種完了者が国民のほぼ4分の3に達し、新規感染者数報告も小康状態とは言え、今後の新型コロナの動向はまだ完全に読み切れていない。そのうえで3回目接種も現実となった今、「3回目はもういいや」という人が一定数出ることは感染拡大の火種になる。そんなこんなを抱えながらネットサーフィンをしたら思いもかけないレポートに遭遇した。モデルナ製ワクチンの職域接種を行った岡山大学のアンケート調査結果である。ざっくりまとめると、学生を中心とした接種後のアンケート調査で副反応は局所性、全身性とも98%以上が1週間以内に消失し、90%弱が接種に満足、80%強が身近な人への接種を勧め、かつ3回目の接種を希望するというもの。非常に喜ばしい結果だ。また、副反応の発熱で解熱薬を服薬した人は66.0%で、これと別に予防内服を行った人が4.8%。私が一番驚いたのは、予防内服をした人が思ったよりも少なかったことだ。報道やSNSを通じて新型コロナワクチンでの発熱の副反応が周知され、それゆえに逆に接種前にやや怖くなっていた人も少なくなかったはず。一方で副反応回避策としての予防的解熱薬服用は推奨されていない。その中で予防内服が少なかった現実は若年層もかなりしっかりとした情報入手をしていた傍証でもある。では不安材料はないかと言えば、そうとは言えない。たとえば「インフルエンザワクチンと比べて副反応が重かった」との回答者が84.9%だった一方で、「打つ前の想像と比べて(副反応が)重かった」との回答者が43.3%だったことから、「副反応の重さがある程度周知されていたと思われる」との分析を示しているが、本当にそうだと言えるだろうか?前述の身近な人に勧めるか、あるいは3回目接種を希望するかとの問いに、否定的な回答は5%に満たないが、「どちらとも言えない」という動揺層が10数%いる現実は副反応の結果と推定される。また、3回目接種を希望するかについて「ワクチンの種類は検討するが希望する」が 22.0%もいたことも見逃せない。これはご存じのようにモデルナ製ワクチンで報告されている若年層での心筋炎の副反応を恐れてのことだろう。また、本レポートではワクチン接種との因果関係は不明ながらも、極めてごくわずかな人たちが接種1ヵ月後にも不調を訴えており、そのケアの必要性を強調している。こうした不安に単純に「みんな経験する副反応だから」あるいは「それは科学的に見て副反応ではない」と対処することは科学的には正しくとも、後々のワクチン不信を増幅させる可能性がある。こう訴える人たちに医療従事者だけでなく、行政、メディアもどのように対処すべきかはまだ課題は少なくないだろう。俗な言い方になるが、恐怖心を抱く人への寄り添いは最低限必要と感じる。また、そんなこんなを考えていた矢先、以下のような新たな情報も飛び出してきた。【独自】大規模会場2930人の急性期副反応、9割が不安に伴うストレス原因…若者が3割強(読売新聞)要は防衛省が運営していた大規模接種会場で、接種への不安などが原因の迷走神経反射などの急性副反応がインフルエンザワクチンなどより高頻度で発生しており、その中心は若年者だったという現実である。こうした急性反応は一定程度医学的にも対処可能なものである。すでに年代別の接種率を見ると50代以降は接種完了率が85%以上に達する中、1回以上接種が70%台の10~30代はまだまだ接種率向上の余地は高い。こうした層の底上げと全国民の確実な3回目接種の実現のため、医学的にも社会的にもまだまだやれることは残されていると言えそうだ。

1479.

避けたいワクチン接種時のケアレスミス/厚労省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が全国で順調に行われ、満12歳以上への接種も始まり、3回目の接種についても細部が決まりつつある。また、インフルエンザの流行を控え、COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンの接種というケースも散見されるようになってきた。こうした環境の中ではワクチン接種時の事故は避けたいものである。 厚生労働省は、令和3年9月30日までに報告された予防接種の間違いの概要をまとめた「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その3)」を10月29日に全国の自治体に発出し、注意を喚起した。 同省では、インフルエンザワクチンが多く接種される時期でもあり、これらの留意点を参考に、あらためて予防接種の手順を再確認することにより、間違いの発生防止とCOVID-19ワクチン接種の適切な実施に向けた取り組みを進めてほしいと記している。一番多い接種上の間違いは「接種間隔」1)間違いとして報告のあった回数(10万回当たり数)延べ接種回数163,738,220回のうち・間違い報告件数:1,805回(1.102)・重大な報告件数:739回(0.451)・上記以外の報告件数:1,066回(0.651)2)間違いの態様別の上位5つ(10万回当たり数)(1)接種間隔の間違い:526件(0.321)(2)接種器具の扱いが不適切:350件(0.214)(3)不必要な接種:246件(0.15)(4)血液感染を起こし得る間違い:170件(0.104)(5)接種量の間違い:99件(0.06)トレイを分ける、声を出すなどでミスを防ぐ COVID-19ワクチン接種の具体的な3つの事例と対策、これら問題の背景を下記に紹介する。〔事例1〕1日の同じ時間帯の中で、COVID-19ワクチンの接種と他のワクチンの接種の両方が行われていた。〔対策〕可能な限り、COVID-19ワクチンと他のワクチンを接種する曜日や時間帯を分ける。〔事例2〕次のようなさまざまな理由により、同一の診察室内に、COVID-19ワクチンと他のワクチンが持ち込まれ、接種者の手が届く範囲に複数種類のワクチンが置かれた。・同一の診察室で、新型コロナワクチンと他のワクチンの両方を接種している。・本来は、COVID-19と他のワクチンと接種用の診察室を分けていたが、院内の都合でCOVID-19ワクチン仕様になり他のワクチンが持ち込まれた。・本来は、ワクチンにより接種用の診察室を分けていたが、たまたま誘導員が間違えて誤った診察室に案内してしまった。〔対策〕1トレイに1種類(可能な限り、1トレイに1人分)のワクチンを準備することとし、診察室内において、接種者の手が届く範囲に異なる種類のワクチンを置かない。〔事例3〕接種者は、予診票の確認を行い他のワクチンの接種を受ける者であることを認識しながらも、無意識にCOVID-19ワクチンを手にとり接種してしまった。〔対策〕接種直前は一呼吸おき、接種者と被接種者とで接種するワクチン名を声に出して確認する。【間違いの背景】・同じ時間帯に新型コロナワクチンと他のワクチンの予約を受け付けており、物理的に患者が混在していた。・接種者の手が届く範囲に、複数の異なる種類のワクチンが置かれていた。・新型コロナワクチンの接種数が多く、接種に慣れてしまっていた(無意識、惰性で打ってしまった)。・接種者が、接種直前に接種するワクチン名を確認していなかった。※インフルエンザワクチンなどのバイアル製剤だけでなく、シリンジ製剤でも接種間違いは起こっている。

1480.

小児市中肺炎、退院後の経口アモキシシリン投与量と期間/JAMA

 救急部門または入院病棟から退院(48時間以内)した市中肺炎の小児患者において、外来での経口アモキシシリン投与は、低用量群は高用量群に対して、また3日間群は7日間群に対して、いずれも非劣性であることが示された。英国・ロンドン大学セントジョージ校のJulia A. Bielicki氏らが、患児824例を対象に行った多施設共同2×2要因デザイン非劣性無作為化試験の結果を報告した。なお著者は、「今回の試験結果の解釈については、重症度、治療環境、抗菌薬投与歴、非劣性マージンの受容性について考慮する必要がある」と指摘している。JAMA誌2021年11月2日号掲載の報告。英国28ヵ所、アイルランド1ヵ所で小児824例を対象に試験 研究グループは、英国28ヵ所、アイルランド1ヵ所の医療機関を通じ、市中肺炎の臨床診断を受け、救急部門・入院病棟からの退院後に外来でアモキシシリン治療を受けた月齢6ヵ月以上の小児824例を対象に試験を行った。 被験児を、アモキシシリン低用量(35~50mg/kg/日、410例)、または高用量(70~90mg/kg/日、404例)投与群と、両群について投与期間を3日間(413例)、7日間(401例)とする群に、それぞれ無作為化した。 主要アウトカムは、無作為化後28日以内の、呼吸器感染症に対する抗菌薬再投与(非劣性マージン8%)。副次アウトカムは、保護者の9項目の市中肺炎症状の報告に基づく重症度/期間、3項目の抗菌薬関連有害事象、肺炎球菌分離株のコロニー形成における表現型耐性などだった。重症市中肺炎児の再投与発生率も有意差なし 被験児824例が4群のいずれか1群に無作為化され、814例(年齢中央値2.5歳[IQR:1.6~2.7]、男児421例[52%])が少なくとも1回の試験薬投与を受けた。主要アウトカムは789例(97%)で入手できた。 低用量群vs.高用量群の主要アウトカムの発生率は12.6% vs.12.4%(群間差:0.2%[片側95%信頼区間[CI]:-∞~4.0])、3日間投与群vs.7日間投与群の同発生率はともに12.5%だった(0.1%[-∞~3.9])。投与量、投与期間ともに非劣性が示され、投与量と投与期間に有意な交互作用は認められなかった(p=0.63)。 事前に規定した14項目の副次アウトカムのうち、有意差が認められたのは、3日間投与群vs.7日間投与群の咳症状の期間(それぞれ、中央値12日vs.10日、ハザード比[HR]:1.2[95%CI:1.0~1.4]、p=0.04)と、咳による睡眠障害の期間(中央値4日vs.4日、HR:1.2[95%CI:1.0~1.4]、p=0.03)だった。 また、サブグループ解析での重症市中肺炎児の主要アウトカム発生率も有意差は示されなかった。低用量群17.3% vs.高用量群13.5%(群間差:3.8%[片側95%CI:-∞~10]、交互作用に関するp=0.18)、3日間投与群16.0% vs.7日間投与群14.8%(1.2%[-∞~7.4]、p=0.73)だった。

検索結果 合計:3114件 表示位置:1461 - 1480