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ネモリズマブ、6~12歳のアトピー性皮膚炎にも有用

 ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎(AD)に伴うそう痒を有し、外用薬や経口抗ヒスタミン薬で効果不十分な6~12歳の小児患者にとって、新たな治療選択肢となる可能性が示された。いがらし皮膚科東五反田院長(前NTT東日本関東病院 皮膚科部長)の五十嵐 敦之氏らが、6~12歳の日本人AD患者を対象に行った第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。ヒト化抗IL-31受容体Aモノクローナル抗体ネモリズマブは、13歳以上のAD患者において外用薬との併用でそう痒を軽減し、QOLを改善することが示されていたが、13歳未満のAD患者における有効性および安全性に関するデータは不足していた。British Journal of Dermatology誌オンライン版2023年7月31日号掲載の報告。ネモリズマブによるそう痒の改善は投与2日目から観察された 研究グループは、ADに伴う中等度~重度のそう痒を有し、外用薬や経口抗ヒスタミン薬で効果不十分な6~12歳の日本人小児患者を対象とした試験を2020年9月より実施し、外用薬との併用投与によるネモリズマブの有効性と安全性を評価した。 被験者を1対1の割合で無作為にネモリズマブ30mgを投与する群(ネモリズマブ群)またはプラセボを投与する群(プラセボ群)に割り付け、4週ごとに投与し、16週間追跡比較した。 ネモリズマブの有効性の主要エンドポイントは、かゆみスコア(範囲:0~4、点数が高いほどそう痒が重度、3点以上を効果不十分と定義)の週平均値のベースライン時から16週時までの変化とした。ネモリズマブの有効性の副次エンドポイントは、そう痒(かゆみスコアのベースライン時から2週時までの変化、16週時における1点以下の達成率など)、AD指標(Eczema area and severity index[EASI]のベースライン時から16週時までの変化など)およびQOLであった。安全性は、有害事象および臨床検査値によって評価した。 ネモリズマブの有効性と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・合計で89例が無作為化され試験を完了した(ネモリズマブ群45例、プラセボ群44例)。・ベースライン時のネモリズマブ群とプラセボ群の患者特性は類似していた。被験者の平均年齢(標準偏差[SD])は9.1歳(1.9)、AD平均罹病期間(SD)は8.5年(2.7)であった。・かゆみスコアのベースライン時から16週時までの変化は、ネモリズマブ群-1.3点、プラセボ群-0.5点であり、ネモリズマブ群がプラセボ群と比較して有意に改善した(最小二乗平均差:-0.8、95%信頼区間[CI]:-1.1~-0.5、p<0.0001)。・ネモリズマブによるそう痒の改善は、投与2日目から観察された。・副次エンドポイントについても、ネモリズマブ群が良好であった。・投与中止に至った有害事象は報告されなかった。また、6~12歳のAD患者における安全性プロファイルは、13歳以上のAD患者におけるものと一貫していた。

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12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」【下平博士のDIノート】第127回

12歳から使用可能な経口の円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル50mg」今回は、JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬「リトレシチニブ(商品名:リットフーロカプセル50mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、12歳以上の小児から使用できる円形脱毛症治療の経口薬であり、広い患者におけるQOL向上が期待されます。<効能・効果>円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。本剤投与開始時に、頭部全体のおおむね50%以上に脱毛が認められ、過去6ヵ月程度毛髪に自然再生が認められない患者に投与します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与しますなお、本剤による治療反応は、通常投与開始から48週までには得られるため、48週までに治療反応が得られない場合は投与中止を考慮します。<安全性>1%以上に認められた臨床検査値異常を含む副作用として、悪心、下痢、腹痛、疲労、気道感染、咽頭炎、毛包炎、尿路感染、頭痛、ざ瘡、蕁麻疹が報告されています。なお、重大な副作用として、感染症(帯状疱疹[0.9%]、口腔ヘルペス[0.8%]、単純ヘルペス[0.5%]、COVID-19[0.2%]、敗血症[0.1%]など)、リンパ球減少(1.6%)、血小板減少(0.3%)、ヘモグロビン減少(0.2%)、好中球減少(0.2%)、静脈血栓塞栓症(頻度不明)、肝機能障害(ALT上昇[0.9%]、AST上昇[0.5%])、出血(鼻出血[0.5%]、尿中血陽性[0.1%]、挫傷[0.1%]など)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、脱毛の原因となる免疫関連の酵素の働きを抑えることで、円形脱毛症の症状を改善します。2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体のだるさ、咳の継続などの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。4.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。妊娠する可能性のある人は、この薬を使用している間および使用終了後1ヵ月間は、適切な避妊を行ってください。5.ふくらはぎの色の変化、痛み、腫れ、息苦しさなどの症状が現れた場合は、すぐに医師にご連絡ください。<Shimo's eyes>円形脱毛症は、ストレスや疲労、感染症などをきっかけとして、自己の免疫細胞が毛包を攻撃することで脱毛症状が起こる疾患です。急性期と症状固定期(脱毛症状が約半年超)に分けられ、急性期で脱毛斑が単発または少数の場合には発症後1年以内の回復が期待できます。一方、急性期後に自然再生が認められず、脱毛症状が継続する重症の円形脱毛症では回復率は低いとされ、診療ガイドラインには局所免疫療法や紫外線療法などの治療が記載されていますが、より簡便で効果的な治療法が求められていました。本剤は、JAK3および5種類のTECファミリーキナーゼを不可逆的に阻害する共有結合形成型の経口投与可能な低分子製剤です。円形脱毛症の病態に関与するIL-15、IL-21などの共通γ鎖受容体のシグナル伝達をJAK3阻害により強力に抑制し、CD8陽性T細胞およびNK細胞の細胞溶解能をTECファミリーキナーゼ阻害により抑制することで治療効果を発揮します。全頭型および汎発型を含む円形脱毛症を有する患者を対象とした国際共同治験(ALLEGRO-2b/3、ALLEGRO-LT)で、本剤投与群は、24週時のSALT≦20(頭部脱毛が20%以下)達成割合はプラセボと比較して統計的に有意な改善を示しました。なお、円形脱毛症に使用する経口JAK阻害薬として、すでにバリシチニブ(商品名:オルミエント)が2022年6月に適応追加になっています。バリシチニブは15歳以上が対象ですが、本剤は12歳以上の小児でも使用可能です。本剤はほかのJAK阻害薬と同様に、活動性結核、妊娠中、血球減少は禁忌となっています。また、感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。円形脱毛症は、多くの場合は頭皮で脱毛しますが、ときには眉毛、まつ毛を含む頭部全体や全身に症状が出ることでQOLが著しく低下する疾患です。ストレスが多い現代社会で、ニーズの高い医薬品と言えます。

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第159回 新型コロナ感染拡大時の注意喚起に、4つの指標を作成/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ感染拡大時の注意喚起に、4つの指標を作成/厚労省2.コロナワクチン接種、定期接種移行の議論に着手/厚労省3.ポストコロナで動き出す病院再編、地域住民が抗議相次ぐ/厚労省4.子宮頸がん検診の指針見直し、5年毎のHPV検査の導入も検討/厚労省5.医療資源を活用する「紹介受診重点医療機関」を初公表/厚労省6.地域に根ざした医師会活動プロジェクトを始動/日医1.新型コロナ感染拡大時の注意喚起に、4つの指標を作成/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大時の都道府県の注意喚起のための指標を示し、全国の自治体などに通知した。これによると、医療機関の外来が逼迫している割合が25%を超えたり、病床使用率が50%を超えたりした場合に注意喚起が行われることとなる。また、感染者数については、最近のオミクロン型感染拡大で外来の逼迫状況がピークとなる2週間前の感染者数を基準としている。さらに、感染拡大の際、医療機関の受診者数などを報告するシステムが外来逼迫割合が25%を超えるなどの指標に達した場合、各都道府県は住民に対して注意喚起や医療提供体制の強化を行うよう求めている。すでに都道府県で独自の基準を設けているところもあり、国の目安を使用するかどうかは、自治体が地域の医療提供体制や特性を踏まえて判断することになる。これらの指標は、新型コロナウイルス感染拡大の進行による医療逼迫に備えるための措置であり、今後、変更される可能性がある。各都道府県はこうした指標を参考にし、適切な注意喚起や対策を実施していくことが求められている。参考1)新型コロナウイルス感染症に関する住民への注意喚起等の目安について(厚労省)2)コロナ感染拡大時の注意喚起に目安 厚労省、医療逼迫で判断(日経新聞)3)コロナ感染拡大時“注意喚起の目安”4指標作成 厚生労働省(NHK)2.コロナワクチン接種、定期接種移行の議論に着手/厚労省厚生労働省は、8月9日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催し、新型コロナウイルスワクチン接種に関する議論を行った。新型コロナウイルスのワクチン接種は、オミクロン株の流行と重症化率の低下から、定期接種化を検討しているが、現在の公費負担による臨時接種であり、今後は自己負担が発生する定期接種への移行を視野に入れ、年内に結論を出す予定。9月20日から行われるオミクロン株の派生型に対応したワクチン接種は、生後6ヵ月以上のすべての人を対象に無料で来年3月まで行うことが承認されたが、積極的な勧奨は高齢者や重症化リスクの高い人に限定して行う。来年度以降の接種について厚労省は、WHOの新指針に基づき、定期的な追加接種を推奨せず、努力義務や接種勧奨は重症化リスクの高い人にのみ適用する。なお、定期接種化は2024年度からの実施を検討しており、今年中に部会で対象者や費用負担について結論を出す予定。参考1)第49回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(厚労省)2)今後の新型コロナワクチン接種について(その7)(同)3)コロナワクチン、来年度以降のあり方議論始まる 定期接種化も視野に(朝日新聞)4)新型コロナワクチン 秋接種、高齢者や重症化リスクのみ勧奨(毎日新聞)3.ポストコロナで動き出す病院再編、地域住民が抗議相次ぐ/厚労省厚生労働省が、新型コロナウイルス感染拡大前から取り組んでいる、「地域医療構想に基づいた病院再編・統合の方針」に対して、地域住民から地域医療の充実を求める意見が相次いでいる。岩手県の県立病院の再編、新潟県では上越市の新潟労災病院の閉院に伴う再編など、人口減少に伴う地域の医療機関の再編はコロナ対策でも必要とする行政側の方針に対して、地域住民からは医療態勢の確保と充実が求める声があげられている。今後、行政では地域のニーズに即した対応が求められている。参考1)県立病院の縮小・統合に反対 署名1万8千筆を県に提出 いわて労連など(デーリー東北)2)上越の病院再編 安心できる将来像確実に(新潟日報)3)三田市民病院の存続求める 市民団体が神戸市長に申し入れ(サンテレビ)4)病院の再編って必要なの? 感染症・高齢化対応で重要に(日経新聞)4.子宮頸がん検診の指針見直し、5年毎のHPV検査の導入も検討/厚労省厚生労働省はがん検診のあり方に関する検討会を開き、子宮頸がんの早期発見を促すため、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染を調べる検査を公的検診に導入するため、指針を改正する方針を決定した。厚労省は、30歳以上の女性に対しては2年毎の細胞診と5年おきのHPV検査のどちらかを選ぶことができるように提案。これにより、検診間隔が長くなり、受診者の負担が軽減される一方で、精度管理体制の整備が必要となる。新たな指針は2023年度中に見直され、24年度から導入される見通し。ただし、細胞診とHPV検査は異なるアプローチで、受診者の特定と負担軽減を図るための選択肢として提供される。新たな検診方法では、がんの発症前に高リスクな人を特定し、受診者の負担を軽減する上でのメリットがある。ただし、導入には自治体ごとの準備期間や陽性者のフォローが必要であり、実際の導入は限定的となる可能性がある。HPV検査導入については、自治体が従来の細胞診とHPV検査のどちらかを選択できる形で実施する予定。また、従来通りHPV感染を防ぐワクチンの定期接種も行われる。参考1)HPV検査導入へ指針改正、子宮頸がん早期発見に期待 厚労省検討会(産経新聞)2)指針での子宮頸がん検診、30歳以上にHPV検査も可 各自治体が判断、年度内に指針見直し(CB news)3)子宮頸がん検診、「2年毎の細胞診単独法」のほか、体制整った市町村では「5年毎のHPV検査単独法」も可能に-がん検診あり方検討会(Gem Med)4)第39回がん検診のあり方に関する検討会[資料](厚労省)5.医療資源を活用する「紹介受診重点医療機関」を初公表/厚労省東京都は、医療資源を重点的に活用するための外来施設である「紹介受診重点医療機関」83ヵ所を初めて公表した。この制度は、外来機能報告をもとに地域ごとの「協議の場」で承認されており、病院や診療所の医療実績データを使って医療関係者の協議を通じて決定される。紹介受診重点医療機関は、外来での特定の領域に特化した医療を提供する施設で、病院の外来診療の役割分担と連携を進め、患者の受診をスムーズにし、医療従事者の負担を軽減することを目指している。区中央部では大規模病院が多く、一方、医療資源の少ない地域では施設数は限られている。紹介受診重点医療機関の明示によって、東京都は医療資源の集中と均衡を促進し、地域医療の充実を図りたい考え、また、紹介受診重点医療機関では、病院の外来患者の待ち時間の短縮や勤務医の外来負担の軽減等の効果を見込んでいる。東京都以外の各道府県でも公表を進めており、厚生労働省はこれらをまとめた一覧を掲載している。参考1)紹介受診重点医療機関を都が初公表、計83カ所 1日時点(CB news)2)紹介受診重点医療機関について(厚労省)3)都道府県紹介受診重点医療機関リスト(同)4)紹介受診重点医療機関になると何が変わるのか?(PRRISM)6.地域に根ざした医師会活動プロジェクトを始動/日本医師会日本医師会は「地域に根ざした医師会活動プロジェクト」を発表し、市民への理解を深めることを目指すことを明らかにした。プロジェクトはシンポジウム形式で、実地とWebのハイブリッド開催を予定している。第1回のテーマは「有事の医師会活動」で、大規模災害時の対応や新型コロナウイルス感染症の対策などを取り上げる。シンポジウムはアーカイブ動画や電子パンフレットで提供され、多くの市民が参加できるようにする。プロジェクトを通して、医師会の活動の周知と理解を促進し、地域医療の充実に寄与する目的を持つ。渡辺 弘司常任理事は、地域の時間外や災害時の医療対応など、医師会の多様な活動を通じて地域を支える重要性を語った。また、地域医師会と専門基幹病院の連携事例も紹介され、全国の医師会の活動を通じて地域の医療を支える取り組みを広く知らしめる狙いがある。参考1)日医、市民への新規プロジェクトを開始(時事通信)2)地域に根ざした医師会活動プロジェクトについて(日本医師会)

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花粉症患者が豆乳でアレルギー症状、今後避けるべきは豆腐?納豆?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第7回

花粉症患者が豆乳でアレルギー症状、今後避けるべきは豆腐?納豆?講師福井赤十字病院 耳鼻咽喉科 主任部長 大澤 陽子 氏【今回の症例】41歳女性。10年ほど前から2月~5月に花粉症を自覚している。かかりつけ医での血液検査では、スギ5+、ヒノキ3+、ハンノキ3+、シラカンバ2+、カモガヤ1+であった。花粉症を自覚したころから、モモやリンゴを食べた時に口の中がかゆくなっていたが、すぐに改善するため放置していた。豆乳を久しぶりに飲んだ時に口唇の腫れと両眼瞼の腫脹が出現し、その後声が出しにくくなったため、救急外来を受診した。後日、外来受診でモモ、リンゴ、大豆の食物アレルギーを疑いプリックテストと血液検査を実施し、モモとリンゴのプリックテストは陽性であったが、大豆のプリックテストは陰性であった。血液検査では、モモ3+、リンゴ1+、大豆0、Gly m 4 2+であった。今後の生活指導として適切なものはどれか?1.納豆や味噌は食べてもよい2.豆腐やモヤシは食べてもよい3.すべての大豆加工製品は避けたほうがよい

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出生前母体ステロイド投与、児の重篤な感染症のリスク大/BMJ

 出生前ステロイド投与1コースが行われた母親から生まれた児は、生後12ヵ月間、重篤な感染症のリスクが有意に高いことが、台湾・長庚記念病院のTsung-Chieh Yao氏らによる全国コホート研究の結果で示された。新生児の死亡率および罹患率の減少における出生前ステロイド投与の有益性が多くの研究で報告されているが、小児の重篤な感染症に対する出生前ステロイド曝露の潜在的な有害性に関するデータは乏しく、とくに地域住民を対象とした大規模なコホートに基づく厳密なエビデンスは不足していた。著者は今回の結果について、「治療を開始する前に、出生前ステロイド投与による周産期の有益性と、まれではあるが重篤な感染症の長期的リスクについて慎重に比較検討する必要がある」とまとめている。BMJ誌2023年8月2日号掲載の報告。生後12ヵ月以内の重篤な感染症の発生率を出生前ステロイド曝露児と非曝露児で比較 研究グループは、台湾のNational Health Insurance Research Database、Birth Reporting DatabaseおよびMaternal and Child Health Databaseを用い、2008年1月1日~2019年12月31日における台湾のすべての妊婦とその出生児を特定し解析した。 主要アウトカムは、出生前に副腎皮質ステロイド曝露があった児と非曝露児における、生後3ヵ月、6ヵ月および12ヵ月時の入院を要する重篤な感染症、とくに敗血症、肺炎、急性胃腸炎、腎盂腎炎、髄膜炎または脳炎、蜂窩織炎または軟部組織感染症、敗血症性関節炎または骨髄炎、心内膜炎の発生率で、Cox比例ハザードモデルを用い補正後ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出して評価した。 台湾において一般的な母体出生前ステロイド投与は、ベタメタゾン12mgを24時間間隔で2回筋肉内投与、またはデキサメタゾン6mgを12時間間隔で4回筋肉内投与である。すべての重篤な感染症、敗血症、肺炎、急性胃腸炎のリスクが有意に増加 解析対象は、196万545組の妊婦(単胎妊娠)とその出生児で、出生前に副腎皮質ステロイド曝露があった児が4万5,232例、非曝露児が191万5,313例であった。 生後6ヵ月において、出生前ステロイド曝露児は非曝露児と比較し、すべての重篤な感染症、敗血症、肺炎および急性胃腸炎の補正後HRが有意に高かった。補正後HRは、すべての重篤な感染症1.32(95%CI:1.18~1.47、p<0.001)、敗血症1.74(1.16~2.61、p=0.01)、肺炎1.39(1.17~1.65、p<0.001)、急性胃腸炎1.35(1.10~1.65、p<0.001)であった。 同様に、生後12ヵ月において、すべての重篤な感染症(p<0.001)、敗血症(p=0.02)、肺炎(p<0.001)、急性胃腸炎(p<0.001)の補正後HRも有意に高かった。 きょうだいをマッチさせたコホートにおいても、コホート全体で観察された結果と同様、生後6ヵ月(p=0.01)および12ヵ月(p=0.04)において敗血症のリスクが有意に高かった。

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カラダワンダーランド、子供たちに医学視点を

医学専門出版社のメディカルレビュー社は、フジテレビジョン主催で4年ぶりの開催となるお台場冒険王2023に「ORGAN ROOMS カラダワンダーランド」を出展した。これは人々の健康維持・予防に取り組む社会を目指す啓発活動・寄付活動「ORGAN ROOMS PROJECT」の一環であり、出展ブースは子供たちが自分の身体の仕組みに興味をもってもらうことを目指したもの。フジテレビ本社屋1階フジテレビモールに8月27日(日)まで出展している。3つの臓器を体感できるORGAN ROOMS カラダワンダーランドには脳・心臓・肺の3つのエリアが設けられ、各臓器をイメージしたゲーム(のぞいてみよう!のうウォッチング、歩いて走って!心臓ゲーム、吸って吐いて!はいゲーム)ができる。このほか、9つの臓器スタンプを集めてカラダを完成させるコーナー、大人も知っておきたい“体のトリビア”が書かれている外壁など、随所に工夫が散りばめられており、子供だけではなく大人も楽しめる。来場時間によっては公式キャラクター「のうポン」とも一緒に記念撮影ができる。また、本ブースではのうポンなどのグッズを販売しており、その売上の一部は、病気と向き合う子供たちの医療、生活環境のサポートのための寄付に役立てる。寄付先は一般社団法人 日本小児総合医療施設協議会(JACHRI)会員施設の38施設をはじめ、小児医療に携わる病院に行う予定だ。プロジェクトは一冊の本との出会いからこのプロジェクトの発端となった「ORGAN ROOMS」はイユダエマ氏(大阪芸術大学デザイン学科グラフィックデザインコース卒)が卒業制作で制作し、学長賞を受賞した作品だ。実際には9つの臓器をデザインしているが、今回の体験ブースには、とくに子供たちに知ってほしい臓器(脳、心臓、肺)をピックアップしている。イユダエマ氏は本インタビューに対し以下のように回答している。-なぜ、身体をテーマにしようと思ったのでしょうか?もともと理科の授業が好きだったこと、コロナの影響で健康や人体というものをみつめ直すことで興味を持ったからです。そして、自分の理科のノートに描いてあった人体図の進化系を作ってみたかったんです。また、人体は一番身近なものにも関わらず、その働きが目に見えないので、それを目に見える形に表現したいと思ったこともきっかけです。-このようなデザインを思いついたきっかけを教えてください大学の講義中に紹介された“内経図”(内丹術の修煉過程を象徴的身体として表現した図)が発想のきっかけです。一見、山のように見えるのですが実は座する身体の側面図にもなっています。おそらく、体内の気の流れを環境に見立てて表現しているのではないでしょうか。この表現方法はおもしろいなと思い、われわれにとって身近でもっとわかりやすい“部屋”で見立てて表現してみたらどうか? と思いました。-今後も医学や身体をテーマにした創作活動を続けられますか?機会があれば、ほかのシリーズを作ってみたいなと思います。高校の生物の授業で苦戦したホルモンのインフォグラフィックスにも挑戦してみたいですね。本書を通じて自分の体に興味を持ち、学びや将来の道を決めるきっかけを与えられたらと思います。いつか、多言語で翻訳されて世界中の人たちに見てもらえれば最高ですね。現在、書籍「臓器がわかる3Dグラフィックス ORGAN ROOMS」が全国の各書店で販売されており、本ブース内での販売も行っている。キャラクターはポケモンのデザイナーが担当本プロジェクトの公式キャラクター「からだっポン」の世界観やキャラクター設定を担当したのは、うたの☆プリンスさまっ♪などの企画・開発経験のある関 彩絵子氏。「からだっポンを通して子供たちに ”自分のからだ” に興味を持ってもらい、予防医療について楽しく知ってほしいと考えた。今回、にしだあつこさんのデザインの魅力がベースにあり、からだっポンたちの設定に、知れば知るほどクスっと笑える魅力を散りばめたので、感じてもらえたらとても嬉しい」と本稿に言葉を寄せた。また、関氏が手掛けた世界観に沿ってキャラクターデザインを担当したのは、にしだ あつこ氏。にしだ氏はこれまでにピカチュウをはじめ、さまざまな人気ポケモンのデザインを担当してきたそう。写真に登場するのうポンこと脳のキャラクター誕生について、「キャラクターを通じて、体のことに興味を持ってもらえるようシンプルでわかりやすく、愛着の湧くようなデザインを目指し作成した。たとえば、のうポンは、真面目でしっかりものの先生タイプだと思う」とし、「からだっポンたちを通じて、医療者と患者さんとのコミュニケーションが取りやすくなると良いなと思っている」とコメントした。子供自身が健康を意識するためにプロジェクト代表の松岡 武志氏(メディカルレビュー社 代表取締役社長)は、「予防医療」「病気と向き合う子供たちへの包括的なサポート」を社会課題に挙げており、これらの啓発・寄付を目的とした「ORGAN ROOMS PROJECT」を立ち上げたが、医療者の賛同も不可欠である。賛同者の一人で国立成育医療研究センター理事長の五十嵐 隆氏は本プロジェクトに対し、「子供が自分の体の仕組みを正しく理解することは“身体”の健康を目指すうえで不可欠なだけではなく、“身体”と“心理”あるいは“社会”との相互作用について理解することにもつながる」とメッセージを寄せている。メディカルレビュー社広報担当者によると「身体の仕組みを知る、たとえば、お腹いっぱいになると体内でどんなことが起こるのかなどを理解することで、自身の身体の変化や違和感などを大人に伝えられるようになることも重要だと考える。今回は本プロジェクトのキックオフに過ぎず、これからの活動が要となるが、将来的にはデジタル絵本を作成し、小児病棟などで身体と病気に関する啓発活動を行っていきたい」と今後の方向性を説明した。参考ORGAN ROOMS PROJECTメディカルレビュー社:臓器がわかる3Dグラフィックス ORGAN ROOMSフジテレビジョン:お台場冒険王

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医療者が小学生に「がん教育」を行ううえでの“Tips”

 小学生向けの「がん教育」では、到達目標を“がんについて考える「きっかけづくり」”に置くことが大事だという。また「新聞作り」のようなアウトプット機会の提供も有用であるようだ。 今回は、がん教育のワークショップを例に、医療者が小学生にがん教育を行ううえでの、ヒントとなる内容を紹介する。 2023年8月5日、小学生親子向けの夏休み自由研究応援プログラム『がんと「未来」新聞づくり』ワークショップが、都内にて開催された(主催:武田薬品工業)。【クイズ形式や新聞作成で、対話を大切に】 本プログラムでは、クイズ形式や講演内容からの新聞作り、といったいくつかの工夫が見られた。 冒頭の「医師から学ぼう!がんのこと」と題した、渡邊 清高氏(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授)の講演も小学生向けに構成された平易なスライドに加え、クイズを交えた構成が印象的であった。「日本人の何人にひとりが一生のうち、がんになるでしょう?」「がん検診を受けるタイミングは?」「この中でがんの原因にならないものは?」などのクイズに回答しながら、子供たちは「がん」の知識を自然に得られる。 講演後の取材で渡邊氏は、医療者が小学生向けにがん教育を行う際は、つい正しい知識の伝達ばかりに重きを置きがちだが、一方通行の講義ではなく、子供にがんを知ってもらう「きっかけ」を提供する意識が大事だ、と述べた。子供たちの意見を聞きながら、対話形式で取り組むことが望ましく、可能であれば医師だけでなく、患者さん側の体験を共有する機会を設けると、より身近にがんを意識させることができるという。 なお、必ずしも患者さん側からの講演である必要はなく、医師が患者さんと接した際のエピソードの紹介、といった医師の経験談の共有も有用だという。【軍手を使った、化学療法による副作用体験】 今回は実際に、「がん体験者のお話を聞こう」という形で、桜井 なおみ氏(一般社団法人CSRプロジェクト代表理事)の体験が語られた。演台での講義スタイルではなく、会場を歩きながら子供に語りかけるように話す姿が印象的であった。 講演内では、抗がん剤服用で生じる末梢神経障害などの身体変化を体感してもらう目的で、参加者に軍手をはめてもらい、「ペットボトルを開ける」、「お箸を使って物を運ぶ」、「紙をめくる」、などの作業に挑戦してもらい、その感想を聞いた。 「紙がめくれないとイライラする」と述べる子供に、桜井氏は「もし自分のまわりの人が困っていたら、どんなサポートをしてあげたいかな?」と問いかけた。会場からは「ゆっくりでいいよ、と声をかける」「ドアを開けておいてあげる」 といった意見が挙がったのち、桜井氏は「がん患者はいろいろなつまずきがある。そんなときに手を差し伸べてあげてほしい」と伝え、がん患者の困り事がまとまった参考ウェブサイト「生活の工夫カード」(国立がん研究センター 中央病院)を紹介した。 また、「がんだから仕方ない」と患者さんは思ってしまいがち、との桜井氏のコメントに対し、渡邊氏からは医療者として「何か困っていることはないですか?」とアプローチすることも大事だ、との意見も述べられた。 講演後に行われた新聞作りでは、時間を超過しても残って作業を継続する親子が多く、参加者が主体的にワークに取り組む様子が伺えた。【“新聞作り”というアウトプットで学びを深める】 本プログラムを主催した武田薬品工業の馬目氏(日本オンコロジー事業部 ペイシェントアドボカシー&コミュニケーション部 課長代理)にも企画趣旨を取材した。 今回は、小学生にもわかりやすくがんをより身近に感じてもらう目的で、医師および患者さんの両者の視点から講演をしてもらい、子供たちに楽しみながら意見をアウトプットしてもらえる「新聞作り」という形式を考えたという。 学校がん教育の普及には、現在も都道府県での取り組みに差があることや、外部講師の成り手が少ないといった課題がある。武田薬品工業は、今年度初めて募集をかけ、がん教育プログラムを企画した。 本プログラム参加者は40人(家族16組)。事後アンケートでは「がん」に対する理解力の向上とともに「がん患者さんの気持ちを理解できて良かった、学んだことを身近な人に話したい、将来医師になりたい」という子供からのコメントや、保護者からも「親子で一緒に学び、考える時間を持つことができて良かった、患者さん目線で自分事として感じることができた」など多くの温かい感想が寄せられたようだ。 今回のような取り組みは、親子でのヘルスリテラシー向上にもつながると、期待される。

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英語プレゼン、数字の基本的な口語表現のコツ(5)乗数・累乗の表現【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第21回

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現のコツ(5)乗数・累乗の表現今回は、使う頻度はやや低くはなりますが、重要な数字表現として「累乗」を紹介します。日常会話で使うことは滅多にないですが、学会発表などではしばしば耳にすることがあるので、ぜひこの機会に覚えてしまいましょう。1)“WBC 5 × 103/μL (= 5 × 109/L)”はどう読む?たとえば、「白血球数」を記載する際には「5×103/μL」もしくは、「5×109/L」の単位を使用することが一般的です。この数字はどのように読めばよいのでしょうか?「乗数」(multiplication)の記号である“×”は“times”と読みます。例外的に、四角形の縦横の辺の長さを表すときなどには、“2 × 2”と表記して、“two by two”と読みます。“103”のような累乗の表示は、exponential (or power) expressionと呼び、右上の小さい数字は指数(exponent)と呼びます。これを読むときは、“ten to the third (power)”となります。この表現は、数学的な意味(103=10×10×10)を考えて、「10という数字が3番目まで掛け算されている」と考えるとわかりやすいでしょう。同様に、109は“ten to the ninth (power)”(=10×10×10×10×10×10×10×10×10)と読みます。どちらの場合も、“five thousand (5,000)”、“five billion (5,000,000,000)”と読むことも可能です。2)“m”、“m2”、“m3”はどう読む?これらは長さ、面積、容積の単位ですが、医学系の発表でも目にする表現です。個人的によく使う場面は、「体表面積」(body surface area)です。発表スライドに“BSA 1.2 m2”と記載したものを、“body surface area is 1.2 square meters”と読み上げます。この応用として、薬剤投与量における“10 mg/m2”は“ten milligram per square meters”となります。また“BMI 20 kg/m2”は、“body mass index is twenty kilogram per square meter-s”となります。講師紹介

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第57回 9月以降の「秋開始接種」の概要は?

XBB.1.5対応1価ワクチンが登場ソコストより使用医療従事者では最多で新型コロナワクチンを6回接種している方がいると思います。私も2023年6月に6回目接種を終えています。現在「令和5年春開始接種」が終盤になっていますが、新型コロナワクチンの接種率がかなり下がってきた印象です。1年以上経過すると、さすがに重症化リスクも上がってくるようなので、前回からの接種期間が空いている人は接種してもよいのではないかと思いますが。65歳以上の高齢者および5歳以上の基礎疾患を有する人やその他重症化リスクが高いと医師が認める方の場合は、基本的に接種が推奨されます。これ以外の健康な人は、予防接種法による接種勧奨・努力義務のいずれの適用もありません。「看護学生がワクチン接種していないと実習に参加できない」問題がわりとSNSで炎上していますが、デリケートな問題ですよね…(遠い目)。さて、9月20日以降使用されるXBB.1.5対応1価ワクチンは、マウスを用いた非臨床試験において、XBB.1.5に対して現行2価ワクチンよりも高い中和抗体価を誘導することが報告されています。XBB.1.5対応1価ワクチンの契約は、モデルナ社とファイザー社を合わせて2,500万回分がすでに済んでいます。数が少し少な目な気がしますが、第一三共の「ダイチロナ」がXBB.1.5対応1価ワクチンとして早期に参入してくるのかどうかは不明です。従来株でのダイチロナ承認となっていますが、変異ウイルス用のものを次々に出してくるのではないかと期待しています。「秋開始接種」の概要9月20日から始まる「秋開始接種」の概要は図のとおりになります。春開始接種では基礎疾患のない12~64歳は接種対象外だったのですが、今回再び対象になっています。とはいえ、「もう接種はいいや」と思っている人がかなり多いので、ヘタするとインフルエンザワクチンよりも打たれないという未来が待っているかもしれません。画像を拡大する図.新型コロナワクチン接種スケジュール(筆者作成)8月7日からオミクロン株対応2価ワクチンが初回接種可能にところで、あまり報道すらされていませんが、8月7日からオミクロン株対応2価ワクチンを初回接種できるようになりました。現状流通するのは5歳以上になります。生後6ヵ月~4歳に対するオミクロン株対応2価ワクチンも書面上は接種可能ですが、いずれXBB.1.5対応1価ワクチンを接種することになるため、こちらについては流通させない方針のようです。現在流行しているのはXBB系統ですが、従来型ワクチンと比べるとオミクロン株対応2価ワクチンでは、約7割の死亡予防効果が確認されています1)。そのため、「系統が違うから効かないのでは」と懸念しなくてもよいと思います。参考文献・参考サイト1)Lin DY, et al. Durability of Bivalent Boosters against Omicron Subvariants. N Engl J Med. 2023;388:1818-1820.

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不要な抗菌薬処方、60歳以上の医師に多く特定の医師に集中か

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含むウイルス感染症には、抗菌薬が無効であるにもかかわらず、抗菌薬が処方されている実態が報告されている1,2)。ただし、抗菌薬処方に関連する医師や患者の特徴については明らかになっていない。そこで、東京大学大学院医学系研究科の宮脇 敦士氏らは、本邦の一般開業医を対象としたデータベース(Japan Medical Data Survey:JAMDAS)を用いて、COVID-19の外来受診データを分析した。その結果、本邦の新型コロナのプライマリケアにおいて、抗菌薬の処方は少数の診療所に集中していた。また、60歳以上の医師は抗菌薬の処方が多かった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年7月25日号のリサーチレターで報告された。新型コロナの抗菌薬処方の傾向についてJAMDASを用いて解析 2020年4月1日~2023年2月28日の期間において、継続観察された843診療所の新型コロナの外来受診データ(JAMDAS)を分析し、抗菌薬処方の傾向について検討した。ロジスティック回帰モデル(月と都道府県で調整)を用いて、患者特性(性、年齢、合併症の有無)や医師特性(性、年齢)と抗菌薬処方の関連を調べた。なお、抗菌薬の処方が適切である可能性のある疾患の診断を有する患者の受診データは除外した。 JAMDASを用いて新型コロナの抗菌薬処方の傾向について検討した主な結果は以下のとおり。・COVID-19患者52万8,676例(年齢中央値33歳[四分位範囲:15~49]、女性51.6%)のうち、4万7,329例(9.0%)に抗菌薬が処方された。・新型コロナで最も多く処方された抗菌薬は、クラリスロマイシン(25.1%)であった。次いで、セフカペン(19.9%)、セフジトレン(10.2%)、レボフロキサシン(9.9%)、アモキシシリン(9.4%)の順に多かった。・新型コロナの抗菌薬処方絶対数の上位10%の診療所で、全体の処方数の85.2%を占めていた。・新型コロナの抗菌薬処方絶対数の上位10%の診療所における抗菌薬の平均処方率が29.0%であったのに対し、残りの90%の診療所における抗菌薬の平均処方率は1.9%であった。・医師が新型コロナに抗菌薬を処方する割合は、44歳以下の医師と比較して、60歳以上の医師で高かった(調整オッズ比[aOR]:2.38、95%信頼区間[CI]:1.19~4.47、p=0.03)。医師の性別によって、抗菌薬の処方に違いはなかった。・新型コロナ患者が抗菌薬を処方される割合は、18歳未満の患者と比較して、18~39歳(aOR:1.69、95%CI:1.37~2.09、p<0.001)および40~64歳(aOR:1.36、95%CI:1.11~1.66、p=0.01)の患者で高かった。・併存疾患のない新型コロナ患者と比較して、併存疾患を有する患者は抗菌薬を処方される割合が高かった(aOR:1.48、95%CI:1.09~2.00、p=0.03)。 本研究結果について、著者らは「本研究の限界として、患者の重症度など、未測定の交絡因子の影響を十分に考慮できないこと、JAMDASに含まれない診療所などへの一般化可能性には限界があることなどが挙げられる」としたうえで、「本研究結果は、抗菌薬の適正使用促進の取り組みに役立つ可能性がある」とまとめた。

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喘息の増悪発生に地域差/AZ

 アストラゼネカ(以下、AZ)は、喘息増悪の発生状況を地域別に検討した「Asthma heatmap研究」を実施し、喘息の増悪発生率に日本国内で地域差があることを初めて明らかにしたと発表した。本研究の結果を基に、地域の実情に即した喘息治療の適正化を目指した活動を実施していくとしている。 日本において、喘息に罹患している患者(小児を含む)は約800万人といわれている。喘息による死亡数は年々減少傾向にあり、2021年では1,038人と報告されている一方で、症状が残存する患者はいまだ残されており、患者の5~10%は従来の治療でコントロールできない重症喘息と推定されている。本研究では、複合アウトカム*で定義した喘息増悪が平均で100人年当たり39.87件生じており、その頻度に地域差があることが示された。都道府県別にみると、複合アウトカムに示された喘息増悪発生率は、最多の地域では最少の地域の6.7倍であった。*複合アウトカムの定義:入院、静注ステロイド、OCS(経口ステロイド:20mg以上/日の処方またはOCS10mg以上/日の増量)のすべて対象:基準日(2018年10月1日以前に喘息と診断され、かつ喘息関連薬を処方された最新の日)以前の1年間に4回以上ICS(吸入ステロイド)またはICS/LABAが処方されたICS継続投与喘息患者2万4,883例方法:保険データベースMedi-Scope(2016年10月1日~2019年12月31日までのデータ)を用いたレトロスペクティブコホート研究。フォローアップ期間(基準日以降の1年間)における地域別の喘息増悪発生率、およびベースライン期間(基準日以前の1年間)における患者背景因子と喘息増悪との関連を解析。 本研究結果から喘息増悪の地域差が明らかになったことを踏まえ、AZは日本呼吸器学会との共催、厚生労働省の後援の下、各地域で医師を対象とし、地域に根差した喘息増悪予防について検討するための講演会を順次実施している。講演会を地域別に行うことで、地域の特性に即した課題が医療関係者に共有され、治療の最適化や地域連携を通じての専門医への紹介等、地域の実情に根差した医療環境がより整うことを期待しているとし、今後、全国においてもオンラインにて全3回の講演会開催を予定している。AZは喘息領域において、適切な増悪予防と症状コントロールによって、患者が健康な人と変わらない生活を送ることを目指し、患者中心の医療へ今後も貢献していくとしている。

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第158回 コロナ新規患者報告数、今後も感染拡大の見通し/厚労省

<先週の動き>1.コロナ新規患者報告数、今後も感染拡大の見通し/厚労省2.膨らみ続ける社会保障給付費、高齢化とコロナ対策で過去最高額に/厚労省3.マイナンバーカード一体化続行、健康保険証の来秋廃止は延期に含み-岸田首相/政府4.診療報酬改定時期が6月に変更、医療機関などの負担軽減を目指す/厚労省5.不正アクセスで患者情報が4万8千件以上流出/福岡6.市民病院が経営難から来年3月に閉院へ/大阪1.コロナ新規患者報告数、今後も感染拡大の見通し/厚労省厚生労働省は、8月4日に新型コロナウイルス感染症の発生状況(7/24~7/30)を公表した。その結果、5類移行後も11週連続で増加が継続し、直近では全国約5,000の定点医療機関1施設当たり15.91人と前週比1.14倍に増加していた。地域別の新規患者数は、42都府県で前週より増加傾向にあり、沖縄県では7月上旬以降、減少傾向がみられていた(沖縄県、前週比0.78)が、全国の年代別新規患者数は、10歳代を除きすべての年代で前週より増加傾向にある。定点医療機関の報告に基づく過去の推計値と比較すると、全国で感染者が約10万人に上っていた2022年11月中旬と同水準であり、感染症法上の分類が5類に移行したことで、感染者数は8.8倍となっており、とくに西日本で感染が急速に拡大、新規入院者数も増加していることが明らかになっている。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード座長の脇田 隆字氏(国立感染症研究所長)は「今後も感染が拡大する」と見通しを公表し、「冷房中でもなるべく換気するように」と発言した。参考1)第124回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(厚労省)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第116回~)新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況の評価等2)コロナ新規患者報告数、42都府県で増加-厚労省が第30週の発生状況を公表(CB news)3)新型コロナ 感染警戒レベルの基準設定を検討 厚労省(毎日新聞)4)コロナ感染、定点あたり15人超 全国で1日10万人規模か(日経新聞)2.膨らみ続ける社会保障給付費、高齢化とコロナ対策で過去最高額に/厚労省厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、日本の社会保障給付費が2021(令和3)年度に過去最高の138兆7,000億円を記録したことを明らかにした。社会保障給付費の内訳は、年金(55兆8,151億円)、医療(47兆4,205億円)、介護・福祉(35兆5,076億円)。1人当たりの給付費は110万5,500円で、前年度と比べ5万7,400円、5.5%増加していたほか、国内総生産(GDP)比では25.2%と、初めて25%を超えていた。増加の原因として、高齢化による医療費の増加と新型コロナウイルスワクチン接種関連費用などのコロナ対策、子育て世帯への給付金などがあげられている。参考1)令和3(2021)年度 社会保障費用統計の集計結果を公表します(国立社会保障・人口問題研究所)2)社会保障給付費138兆円 コロナ影響で過去最高(産経新聞)3)社会保障給付費138兆円、過去最高 21年度(日経新聞)3.マイナンバーカード一体化続行、健康保険証の来秋廃止は延期に含み-岸田首相/政府岸田文雄総理大臣は、8月4日に記者会見を開き、2024年秋に予定されている健康保険証の廃止は当面は延期せず、マイナンバーカードの問題に対応する施策を続ける考えを示した。しかし、トラブルの総点検の結果によっては廃止を延期する可能性も示した。また、国民の不安を払拭するため、マイナンバーカードと一体化した保険証を持っていない人には「資格確認書」を発行する方針を明らかにした。さらに、デジタル化を進めて国民がメリットを実感できるように広報にも力を入れると述べた。岸田首相は、総点検の中間報告を近く公表する予定。ただ、資格確認書を有資格者全員に交付することについては、多額のコストを要するとして効率化の批判が集まっている。参考1)岸田首相、健康保険証の廃止時期など「適切に対応」-延期に含み(CNET)2)岸田首相会見 “健康保険証廃止は当面維持 不安払拭に努力”(NHK)3)資格確認書、有資格者全員交付は多額のコスト 遠のく効率化(産経新聞)4)保険証、来秋廃止を維持 岸田首相「総点検踏まえ判断」(日経新聞)4.診療報酬改定時期が6月に変更、医療機関などの負担軽減を目指す/厚労省厚生労働省は、8月2日に中央社会保険医療協議会の総会を開き、2024年度以降の診療報酬の改定時期を、従来の4月から6月に変更することを提案し、了承された。診療報酬の改定内容が早く決まることで医療機関などが対応しやすくなるよう準備期間が長くなる。これまで改定の時期は4月で医療機関や薬局、システム改修業者は短期間で準備をしなければならず、負担が大きいとして改善を求める声があったため、厚労省では6月に後ろ倒しすることで負担軽減を図る方針。一方、薬価の改定はこれまで通り4月に実施される予定で、24年度以降も引き続き4月となる見込み。診療側の委員からは、診療報酬と薬価の2回の改定を行うことに対する医療現場への負担や影響についての懸念が示された。参考1)中央社会保険医療協議会 総会[第551回]議事次第(厚労省)2)診療報酬改定、来年度から「6月実施」へ 2カ月後ろ倒し(朝日新聞)3)診療報酬改定6月1日施行、24年度から 薬価改定は4月1日施行を維持(CB news)5.不正アクセスで患者情報が4万8千件以上流出/福岡福岡徳洲会病院は、第三者から不正アクセスを受け、データベースに保存されていた患者の個人情報について、最大で約4万8,983件が流出した可能性を明らかにした。病院の発表によると、流出した情報には、病名や検査値も含まれていたが、悪用は確認されていない。不正アクセスは今年4月4日に、職員が業務用のパソコンで外部のホームページを閲覧していた際に、警告画面に記載された電話番号に連絡して指示に従って操作したところ、パソコンが遠隔操作に切り替わり、金銭を要求されたとしている。同病院はただちにシステムを中止し、より高度なセキュリティー水準のシステムに切り替えている。病院は福岡県警や厚生労働省、個人情報保護委員会へ報告し、専門業者に調査を依頼している。対象の患者には個別に謝罪し、専用の相談窓口を設けて対応しているほか、「再発防止に向けて、管理体制の強化に努める」とコメントしている。参考1)不正アクセスによる個人情報流出の可能性についてお知らせとお詫び(福岡徳洲会病院)2)福岡徳洲会病院、患者情報4万8千件流出か データベースに不正アクセス(産経新聞)3)福岡徳洲会病院 個人情報など5万件余が一時閲覧可能な状態に(NHK)4)福岡徳洲会病院で患者などの個人情報5万件が流出か 不正アクセス受け病名や検査の値も(福岡放送)6.市民病院が経営難から来年3月に閉院へ/藤井寺市民病院大阪府藤井寺市は市立藤井寺市民病院(病床数98床)を、令和6年3月31日で閉院する基本方針案を公表し、市民からの意見を募集している。同病院は厚生労働省から再検証要請対象医療機関に挙げられ、総務省の公立病院改革ガイドラインに基づき、改革(経営)プランを策定してきたが、経常損益も5年度で約8億5千万円、6年度も約9億2千万円の赤字が見込まれている。藤井寺市は平成10年頃から施設の更新を検討してきたが、老朽化も進み、建て替えに多額の費用が必要とされ、さらに医師派遣の減少で診療に制限が出ており、赤字が続くことから、市民病院の経営継続は困難と判断され、閉院が避けられないと結論付けられた。市側は市民説明会を開催し、閉院後の小児科の入院診療機能、災害医療などの機能移転に向けて努めるとしている。なお、「市立藤井寺市民病院のあり方に関する基本方針」に対するパブリックコメントの締め切りは8月16日まで。参考1)「市立藤井寺市民病院のあり方に関する基本方針」(案)についてパブリックコメントを実施します(藤井寺市)2)市民病院を来年3月に閉院案公表 大阪・藤井寺市(産経新聞)3)市民病院、経営難で3月に閉院へ 藤井寺市が方針(朝日新聞)

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軟骨無形成症〔ACH:achondroplasia〕

1 疾患概要■ 定義軟骨無形成症(achondroplasia:ACH、MIM100800)は四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患の代表である。成人身長は男性で約130cm、女性で約124cmと低く著明な四肢短縮のため、患者は日常生活でさまざまな制約をうける。脊柱管狭窄のため中高年になると両下肢麻痺を呈したり、下肢アライメントの異常による変形性関節症を発症し、歩行障害を生じたりすることが少なくない(指定難病)。■ 疫学ACHの頻度は出生10,000~30,000に1人と報告されている。■ 病因ACHの97%以上に、染色体4p26.3に位置するFGFR3遺伝子のGly380Arg病的バリアント(ほとんどがc.1138G>A、ごく一部がc.1138G>C)を認め、遺伝型としての均質度は高い。遺伝様式は常染色体顕性遺伝であるが、約80%は新規突然変異によるものとされる。変異FGFR3は恒常的に活性化された状態にあり、軟骨細胞の分化、軟骨基質の産生および増殖が抑制される。軟骨組織を介して骨が形成される軟骨内骨化が障害されるため、長管骨の伸長不良、頭蓋底の低形成などが生じると考えられている。■ 症状ACHでは、近位肢節により強い四肢短縮型の著しい低身長、特徴的な顔貌、三尖手などがみられる(表)。成長とともに低身長が目立つようになる。思春期の成長スパートがみられず、この間にも相対的に低身長の程度が悪化する。成人身長は男性130cm程度、女性124cm程度である。顔貌の特徴は出生時からみられる。乳幼児期(3歳頃まで)に問題となるのは、大後頭孔狭窄および頭蓋底の低形成による症状である。大後頭孔狭窄では延髄や上位頚髄の圧迫により、頚部の屈曲制限、後弓反張、四肢麻痺、深部腱反射の亢進、下肢のクローヌスがみられ、中枢性無呼吸、脊髄症、水頭症、突然死の原因となる。ACHの脳室拡大は、2歳までに生じる可能性が最も高く、一般的には交通性であり、真の水頭症(神経症状を伴う脳室拡大)はまれであるが、重篤な合併症の1つである。上気道閉塞はよくみられ、10~85%の患者が睡眠時無呼吸や慢性呼吸障害の治療が必要とされる。胸郭の低形成が高度な場合、拘束性肺疾患や呼吸器感染症の反復、重症化も問題になる。中耳炎の罹患も多く、ACHの約90%で2歳までに発症する。多くは慢性中耳炎に移行し、30~40%で伝音性難聴を伴う。脊柱管狭窄は必発であり、幼児期に症状が発現することはまれであるが、成長とともに狭窄が増強し、しびれ、脱力、間欠性跛行、下肢麻痺、神経因性膀胱による排尿障害などを呈することが多い。40歳までに約7%の患者が手術を受けると報告されている。胸腰椎後弯、内反膝をよく認め、腰痛、下肢痛もしばしばみられる。乳児期に運動発達の遅延はあるが、知能は正常である。このほか、咬合不整、歯列不整がみられる。表 軟骨無形成症の診断基準A.症状1.近位肢節により強い四肢短縮型の著しい低身長(−3SD以下の低身長、指極/身長<0.96の四肢短縮)2.特徴的な顔貌(頭蓋が相対的に大きい、前額部の突出、鼻根部の陥凹、顔面正中部の低形成、下顎が相対的に突出):頭囲>+1SD3.三尖手(手指を広げたときに中指と環指の間が広がる指)B.検査所見単純X線検査1.四肢(正面)管状骨は太く短い、長管骨の骨幹端は幅が広く不整で盃状変形(カッピング)、大腿骨頸部の短縮、大腿骨近位部の帯状透亮像、大腿骨遠位骨端は特徴的な逆V字型、腓骨が脛骨より長い(腓骨長/脛骨長>1.1、骨化が進行していないため乳幼児期には判定困難)。2.脊椎(正面、側面)腰椎椎弓根間距離の狭小化(椎弓根間距離L4/L1<1.0)(乳児期には目立たない)、腰椎椎体後方の陥凹。3.骨盤(正面)坐骨切痕の狭小化、腸骨翼は低形成で方形あるいは円形、臼蓋は水平、小骨盤腔はシャンパングラス様。4.頭部(正面、側面)頭蓋底の短縮、顔面骨低形成。5.手(正面)三尖手、管状骨は太く短い。C.鑑別診断以下の疾患を鑑別する。骨系統疾患(軟骨低形成症、変容性骨異形成症、偽性軟骨無形成症など。臨床症状、X線所見で鑑別し、鑑別困難な場合、遺伝子診断を行う)D.遺伝学的検査線維芽細胞増殖因子受容体3型(FGFR3)遺伝子のG380R変異を認める。<診断のカテゴリー>DefiniteAのうち3項目+Bのうち5項目すべてを満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの。または、Probable、PossibleのうちDを満たしたもの。ProbableAのうち2項目以上+、Bのうち3項目以上を満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの。PossibleAのうち2項目以上+Bのうち2項目以上を満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの。(出典:難病情報センター 軟骨無形成症)■ 予後積極的な医学的評価を行わない場合、乳幼児期に約2~5%の突然死が生じる。突然死の原因は主に無呼吸であると考えられている。大半が知能面では正常であり、平均余命も正常であるとされる。脊柱管狭窄に伴う両下肢麻痺や下肢のアライメント異常による下肢変形が経年的に増加する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)上記の症状と下記の骨単純X線所見と合わせて診断する(表)。骨X線所見にて、太く短い管状骨、長管骨の骨幹端は幅が広く不整で盃状変形(カッピング)、脛骨より長い腓骨、腰椎椎弓根間距離の狭小化、腰椎椎体後方の陥凹、坐骨切痕の狭小化などがみられる(表)。新生児期には、扁平椎を認めることがある。鑑別疾患として軟骨低形成症、変容性骨異形成症、偽性軟骨無形成症などが挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 成長ホルモン(GH)治療ACHのヒトGH治療開始時の適応基準として、3歳程度以上、現在の身長が同性、同年齢の標準値-3SD以下、手術的治療を考慮するほどの大後頭孔狭窄、脊柱管狭窄、水頭症、脊髄・馬尾圧迫などの合併症がMRI ・CT所見上認められないこと。また、これらのための圧迫による臨床上問題となる神経症状が認められないことなどがある。GH治療の身長に対する短期的な効果はいくつか報告されている。5年間に身長SDSが低用量で1.3SD、高用量で1.6SD改善したという報告や、治療開始前に比べて成長速度が1年目に2.6cm/年、2年目に0.7cm/年増加したという報告がある。一方、3年間のGH治療で身長SDSの改善が0.3SDにとどまったという報告もある。成人身長の検討では、男性で0.6SD(3.5cm)の増加、女性で0.5SD(2.8cm)の増加がみられたと報告されている。■ C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)アナログ治療ACHに対してCNPアナログであるボソリチド(商品名:ボックスゾゴ)が2022年に製造販売承認された。国際多施設共同治験においてボソリチド群ではプラセボ群に比べて、52週において1.57cm/年の成長促進効果を認めたことが報告された。この成長促進効果は104週でも維持されていた。今後の中長期的な効果の検討が必要である。なお、ボソリチドは3歳未満の患者でも投与可能である。■ 四肢延長術:ACHの低身長、四肢短縮の改善のため実施されることが多い。創外固定器を用いた下肢延長術は長期の治療期間、高頻度の合併症がみられるため、脚延長術開始の意思決定は患者自身で行うことが望ましい。下肢延長術では8.4~9.8cmの平均獲得身長とされている。後遺症として、尖足、腓骨神経麻痺の残存、膝関節・足関節の外反変形、骨折、股関節の拘縮などが報告されている。上腕骨延長術も施行されているがまとまった報告は少ない。4 今後の展望新規治療として以下の第II相臨床試験が行われている。TransCon CNP(CNPアナログ/週1回注射)、Infigratinib(FGFR阻害薬/経口投与)、塩酸メクリジン(抗ヒスタミン薬/経口投与)、RBM-007(FGF2 アプタマー/1~4週間隔注射)。今後、成長障害や他の症状により有効な治療法が実施可能となることが期待される。5 主たる診療科小児科、整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 軟骨無形成症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 軟骨無形成症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「先天性骨系統疾患の医療水準と患者QOLの向上を目的とした研究」(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報つくしんぼ-軟骨無形成症と骨疾患低身長の会(患者とその家族および支援者の会)つくしの会:軟骨無形成症患者・家族の会(患者とその家族および支援者の会)1)軟骨無形成症診療ガイドライン-日本小児内分泌学会2)GeneReviewsJapan:軟骨無形成症3)Hoover-Fong J, et al. Pediatrics. 2020;145(6):e20201010.4)Savarirayan R, et al. Nat Rev Endocrinol. 2022;18:173.公開履歴初回2023年8月7日

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8月7日 鼻の日【今日は何の日?】

【8月7日 鼻の日】〔由来〕「は(8)な(7)」の語呂合わせから、鼻の病気を減らすことを目的に、1961年に日本耳鼻咽喉科学会が制定。同会では、この日に全国各地で専門医の講演会や無料相談会などを行っている。関連コンテンツ耳鼻科の手技 その2【一般内科医が知っておきたい他科の基本処置】鼻が詰まったときの症状チェック【患者説明用スライド】花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい重症度に関係なく残る罹患後症状は倦怠感、味覚・嗅覚異常/大阪公立大学コロナによる嗅覚・味覚障害が長期持続する人の割合~メタ解析/BMJ

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小児の16%にコロナ後遺症、多くみられる症状は?~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経験した小児でも、コロナ後遺症(コロナ罹患後症状、long COVID)の報告が増加している。19歳以下の小児におけるSARS-CoV-2感染の長期的な臨床的特徴を明らかにするために、カナダ・トロントのThe Hospital for Sick ChildrenのLi Jiang氏らによって系統的レビューとメタ解析が実施された。その結果COVID-19小児患者の16.2%がコロナ後遺症を経験し、男児よりも女児に特定の症状が発生するリスクが高いことなどが判明した。Pediatrics誌オンライン版2023年7月21日号掲載の報告。女児は男児よりも睡眠障害や頭痛のコロナ後遺症を発症するリスクが高い 本研究では、2019年12月~2022年12月に発表された論文およびプレプリントの論文で、小児および青年(0~19歳)でSARS-CoV-2感染が確認されてから3ヵ月以降に新たに発生、再発、または持続する徴候、症状、検査所見を検討した研究が対象となった。使用したデータベースは、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library、WHO COVID-19 Research Database、China National Knowledge Infrastructure Database、WanFang Database、Latin American and Caribbean Health Sciences Literature、Google Scholar、medRxiv、bioRxiv、ChinaXiv。27 件のコホート研究(前向き19件、後ろ向き8件)と4件の横断研究が最終的な統計的レビューに含まれた。これらの研究から、2値転帰について加重平均有病率と95%信頼区間(CI)を算出した。転帰に関して複数の測定法が報告されている場合は、最も一般的に報告されている測定法を使用した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、異質性はI2統計量、χ2検定、フォレストプロットを用いて評価した。 小児におけるコロナ後遺症の特徴を明らかにするために実施したメタ解析の主な結果は以下のとおり。・19件の前向きコホート研究で、COVID-19と診断されてから少なくとも3ヵ月以上の追跡調査を受けた小児および青年の総数は1万5,000例以上だった。追跡期間の範囲は3~12ヵ月以上とさまざまだった。地域別に、ヨーロッパ13件、イラン2件、オーストラリア1件、中国1件、米国1件。・COVID-19の持続的症状の絶対数を報告した12件の前向きコホート研究(6,000例以上)をメタ解析したところ、COVID-19と診断された小児および青年の16.2%(95%CI:8.5~28.6)が、3~13ヵ月の追跡期間中に1つ以上の持続的症状を経験していた。・この集団において、COVID-19の長期的な症状として多かったのは、咽頭痛(n=3,106、統合推定値14.8%[95%CI:4.8~37.5])、持続的な発熱(n=5,128、10.9%[2.4~38.2])、睡眠障害(n=697、10.3%[4.9~20.4])、疲労(n=6,110、9.4%[4.1~20.2])、筋力低下(n=196、8.7%[5.5~13.6])、咳嗽(n=5,890、6.8%[2.4~17.7])、頭痛(n=5,809、4.6%[1.2~16.2])、呼吸困難(n=5,560、4.3%[1.1~15.1])、腹痛(n=3,718、3.7%[2.3~5.8])、下痢(n=3,564、3.5%[1.3~8.9])。・バイアスリスクの低い研究2件と中程度の研究5件から感度分析を行ったところ、長期的な症状として多かったのは、持続的な発熱(n=559、統合推定値7.9%)、疲労(n=5,654、7.4%)、嗅覚/味覚の変化(n=5,433、6.1%)、呼吸困難(n=5,560、4.3%)、頭痛(n=5,493、3.9%)であった。・追跡期間別のサブグループ解析では、3~6ヵ月で一般的な持続症状は、咽頭痛、持続的な発熱、筋力低下、疲労、咳嗽。6~12ヵ月では、睡眠障害、体重減少、持続的な発熱、疲労、筋力低下。12ヵ月以上では、疲労、動悸、関節痛、筋肉痛。・5件の研究をメタ回帰分析し、コロナ後遺症の潜在的なリスクを調べたところ、女児は男児よりも、COVID-19の長期的な症状として睡眠障害や頭痛を発症するリスクが高かった(p<0.01)。 著者は小児におけるコロナ後遺症の解析結果について「COVID-19小児患者は3ヵ月以上症状が持続することが一般的であり、症状は広範囲に及ぶ。今後も適切な管理のもと質の高い前向き研究が必要だ」と述べている。

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小児の急性副鼻腔炎、鼻汁の色で判断せず細菌検査を/JAMA

 急性副鼻腔炎の小児において、鼻咽頭から細菌が検出されなかった患児は検出された患児に比べ抗菌薬による治療効果が有意に低く、その有意差を鼻汁の色では認められなかったことが、米国・ピッツバーグ大学のNader Shaikh氏らによる多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で示された。急性副鼻腔炎とウイルス性上気道感染症の症状の大半は見分けることができない。そのため小児の中には、急性副鼻腔炎と診断されて抗菌薬による治療を受けても有益性がない集団が存在することが示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「診察時に特異的な細菌検査をすることが、急性副鼻腔炎の小児における抗菌薬の不適切使用を減らす戦略となりうる」とまとめている。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。急性副鼻腔炎の持続・増悪患児約500例を、抗菌薬群とプラセボ群に無作為化 研究グループは2016年2月~2022年4月に、米国の6機関に付属するプライマリケア診療所において、米国小児科学会の臨床診療ガイドラインに基づいて急性副鼻腔炎と診断された2~11歳の小児で、急性副鼻腔炎が持続または増悪している症例515例を、アモキシシリン(90mg/kg/日)+クラブラン酸(6.4mg/kg/日)投与群(抗菌薬群)またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、1日2回10日間経口投与した。 割り付けは、鼻汁の色の有無(黄色または緑色と透明)によって層別化した。また、試験開始前および試験終了時の来院時に鼻咽頭スワブを採取し、肺炎球菌、インフルエンザ菌およびモラクセラ・カタラーリスの同定を行った。 主要アウトカムは、適格患者(症状日誌の記入が1日以上あり)における診断後10日間の症状負荷で、小児鼻副鼻腔炎症状スコア(Pediatric Rhinosinusitis Symptom Scale:PRSS、範囲:0~40)に基づき判定した。また、鼻咽頭スワブ培養での細菌検出の有無、ならびに鼻汁色でサブグループ解析を行うことを事前に規定した。副次アウトカムは、治療失敗、臨床的に重大な下痢を含む有害事象などとした。診断時の鼻咽頭からの細菌検出の有無で治療効果に有意差あり 無作為化後に不適格であることが判明した5例を除く510例(抗菌薬群254例、プラセボ群256例)が試験対象集団となった。患者背景は、2~5歳が64%、男児54%、白人52%、非ヒスパニック系89%であった。このうち、主要アウトカムの解析対象は、抗菌薬群246例、プラセボ群250例であった。 平均症状スコアは、抗菌薬群9.04(95%信頼区間[CI]:8.71~9.37)、プラセボ群10.60(10.27~10.93)であり、抗菌薬群が有意に低かった(群間差:-1.69、95%CI:-2.07~-1.31)。症状消失までの期間(中央値)は、抗菌薬群(7.0日)がプラセボ群(9.0日)より有意に短縮した(p=0.003)。 サブグループ解析の結果、治療効果は細菌が検出された患児(抗菌薬群173例、プラセボ群182例)と検出されなかった患児(それぞれ73例、65例)で有意差が認められた。平均症状スコアの群間差は、検出群では-1.95(95%CI:-2.40~-1.51)に対し、非検出群では-0.88(95%CI:-1.63~-0.12)であった(交互作用のp=0.02)。 一方、色あり鼻汁の患児(抗菌薬群166例、プラセボ群167例)と透明の鼻汁の患児(それぞれ80例、83例)では、平均症状スコアの群間差はそれぞれ-1.62(95%CI:-2.09~-1.16)、-1.70(95%CI:-2.38~-1.03)であり、治療効果に差はなかった(交互作用のp=0.52)。 なお、著者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により試験登録が中断され症例数が目標に達しなかったこと、重症副鼻腔炎の小児は除外されたことなどを研究の限界として挙げている。

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モデルナとファイザーのコロナワクチン、対象年齢や初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナおよびファイザーは、8月2日に各社のプレスリリースにて、ワクチンの接種対象年齢や初回免疫について一部変更承認を取得したことを発表した。 モデルナ・ジャパンのプレスリリースによると、同社の新型コロナワクチン「スパイクバックス筋注」について、これまで接種対象年齢が12歳以上だったものを、6歳以上に引き下げ、6~11歳の用法用量を変更する承認事項の一変承認を取得した。今回の一変承認は、「スパイクバックス筋注(1価:起源株)」の6~11歳における初回免疫、および「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」と「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の6~11歳における追加免疫を対象としている。 ファイザーとビオンテックの新型コロナワクチンについては、今回の一変承認で2価ワクチンも初回免疫に使用することができるようになった。ファイザーのプレスリリースによると、初回免疫に関わる製造販売承認事項の一変承認を取得した。対象のワクチンは、これまで追加免疫のみに適応だった「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」、「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」、「コミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」。 また、「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用(1価:起源株)」の追加免疫、および「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の初回免疫と追加免疫に関わる一変承認も今回取得したが、並行して2023年7月7日に厚生労働省にオミクロン株XBB.1.5系統対応の1価ワクチンに関わる製造販売承認事項一部変更を申請している状況を踏まえ、日本国内において供給の予定はないという。

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マリンスポーツ好きの患者、要注意のアレルゲンは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第6回

マリンスポーツ好きの患者、要注意のアレルゲンは?講師富山大学医学部 小児科 病院特別助教 村上 将啓 氏【今回の症例】38歳の男性。既往歴は特記事項なし。3ヵ月前にアナフィラキシーのため医療機関を受診したが、原因食物は特定されず、対症療法のみで経過観察されていた。以降も夜に呼吸困難感、蕁麻疹を生じる発作を起こすことがあった。何回かの発作を経験するうちに、大豆製品は日常的に摂取しているものの、納豆を朝食に摂取した日の夜に症状が出現していることに気付き、精査目的に受診した。1.次に行う検査として、診断において最も有効なのはどれか?a)尿検査b)皮膚テストc)血液検査d)運動誘発試験2.当症例は、次のどれと関連が深いと考えられるか?a)魚介類アレルギーb)卵アレルギーc)クラゲ刺傷d)花粉症

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英語プレゼン、数字の基本的な口語表現(4)単位の頻用表現【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第20回

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現(4)単位の頻用表現英語で数字を表現する際に、「単位」の表現を学ぶことは欠かせません。薬剤量や検査値などを議論する時にはいろいろな単位が使われ、その伝達ミスは致命的になるからです。また、口語コミュニケーションでは、重要な単語や数字は「強調する(ストレスアクセント)」ために比較的ゆっくり、明確に発声されることが多く、聞き慣れない表現でも、音として聞き取りやすくなります。一方、単位の表現が強調されることはあまりなく、英語の聞き取りに不慣れな人には、とくに聞き取りが困難になります。また文脈から判断できないことも多いので、一般的な読み方を覚えることが重要です。1)薬剤投与量:mg、mg/kg、mg/m2薬剤投与量の一般的な単位は“mg”、“mg/kg”、“mg/m2”です。これらは日本語でも同様にアルファベットで記載されるため、視覚的には一目瞭然です。しかし、口語表現になると、その読み方に十分に慣れていない人も多いかもしれません。“mg”は普通に読むと“milligram”で日本語と同様ですが、発音には少し注意が必要です。発声の際は、[mil-i-gram]のように3音節で最初の音節が強調されます。また、第1音節は“L”、第3音節は“R”の音であるため、混同しないように意識的に発音する必要があります。“mg/kg”の“/”は“per”(パー)と発音されます。また、医療者同士の議論においては、“mg/kg”は“em gee per ke gee” (エム・ジー・パー・ケー・ジー)のように、そのままアルファベットで発音されることもよくあります。さらには、“meg per keg”(メグ・パー・ケグ)と発音されることもあります。個人的には、このような読み方は日本では聞いたことがなかったので、初めて聞いた時には驚きました。“m2”は“square meter”です。これは、省略されたり変則的になったりすることはまれで、そのまま読まれることが多い印象です。2)米国式vs.それ以外の世界各国:Imperial vs.Metric unit systems英語での単位の話で避けて通れないのが“Imperial unit system”です。米国の日常生活では、重量をオンス・ポンド、距離をインチ・フィートで表現する“Imperial system”が標準です。実はこの“Imperial system”は世界的にきわめてまれで、現在では米国、リベリア、ミャンマーの3ヵ国でしか使用されていないようです。米国の医療現場では、薬剤投与量などはすべて“Metric system”を使用するため、医療界全体で“Metric system”を使用することが一般的です。しかし、米国人には“Imperial system”のほうが直感的に理解できるため、医療者でも議論となると“Imperial system”が使われることがしばしばあります。学会発表などで自主的に使用すべきではありませんが、米国の発表者・質問者が使用した際にある程度理解できるとよいでしょう。十進法ではないこともあり、日本人には感覚的にわかりづらい単位です。講師紹介

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第55回 コロナ後遺症、どんな子供に多い?

スウェーデンの大規模研究Unsplashより使用小児におけるCOVID-19は、多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)を除くと、成人ほど医学的な影響は大きくないため、感染症としては比較的軽視されています。そのため、新型コロナワクチン接種率は非常に低いところでプラトーに達しています。最新のデータによると、2回目まで接種した児は23.4%、3回目の接種を受けている児はわずか9.8%です1)。さて、スウェーデンの集団ベース研究において、小児におけるCOVID-19罹患後症状(後遺症)が評価されました2)。この研究は、スウェーデンの2つの地域に居住する6~17歳の小児を対象とし、2020年1月31日~2022年2月9日のCOVID-19の症例を組み入れました。後遺症は、感染後28日以上経過してから発生したものとしました。合計16万2,383人の小児(男児8万1,789人、女児8万594人)が感染を経験し、本コホートに登録されました。平均年齢は12.0±3.5歳で、入院に至った症例はわずか529例(0.3%)でした。日本においても小児のCOVID-19入院のみならず、後遺症で入院に至ることは非常にまれですよね。性別・年齢・親の教育水準などで差結果、後遺症と診断されたのは、326例(0.2%)だけでした。女児における後遺症の発生率は男児よりも高いことが示されました(100人年あたり0.19[95%信頼区間[CI]:0.16~0.22]vs.0.12[95%CI:0.10~0.14])。また、6~11歳より12~17歳のほうが後遺症の発生率は高いという結果でした(12~17歳:100人年あたり0.19[95%CI:0.17~0.22]vs.6~11歳:0.11[95%CI:0.09~0.14])。さらに、当然ではありますが、入院COVID-19例のほうが非入院例よりも後遺症は多かったようです(100人年あたり1.25[95%CI:0.62~2.23]vs.0.15[95%CI:0.13~0.17])。興味深いことに後遺症の発生は親の教育水準によって異なっていました。初等教育卒業水準と比べて高等教育卒業水準のほうが、後遺症が多かったのです(高等教育卒業水準:100人年あたり0.15[95%CI:0.13~0.18]vs.初等教育卒業水準:0.10[95%CI:0.04~0.19])。そして、両親のいずれかが後遺症と診断された場合、児の後遺症発生が5倍多いことが示されました(100人年あたり0.70[95%CI:0.49~0.97]vs.0.14[95%CI:0.13~0.16])。教育水準が高い集団は医療アクセスが速やかなので、後遺症の診断につながりやすいという側面もあります。また、自身の後遺症の経験から子供の長引く症状に対して懸念を抱く両親が多いためと考えられます。考察では遺伝的影響もありうると書かれています。参考文献・参考サイト1)新型コロナワクチンについて(首相官邸)2)Bygdell M, et al. Incidence and Characteristics in Children with Post-COVID-19 Condition in Sweden. JAMA Netw Open. 2023 Jul 3;6(7):e2324246.

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