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SCIDの造血細胞移植にあらゆるドナーの可能性/NEJM

 重症複合免疫不全症(SCID)が、感染症の発現前に同定された幼児では、HLA適合同胞以外のドナーからの造血細胞移植であっても良好な生存率が期待できることが、米国・ボストン小児病院のSung-Yun Pai氏ら原発性免疫不全症治療コンソーシアム(PIDTC)の調査で示された。PIDTCは、SCIDおよび他の原発性免疫不全症の小児に対する造血細胞移植の成績の解析を目的に組織された。とくに出生時にSCIDと診断された小児において、より安全で有効な根治療法をデザインするためには、良好な移植のアウトカムに関連する因子の同定が求められる。NEJM誌2014年7月31日号掲載の報告。10年間、240例の患者データを後ろ向きに解析 PIDTCは、2000年1月1日~2009年12月31日までの10年間に、北米の25施設で造血細胞移植を受けたSCIDの患児240例のデータを後ろ向きに収集し、レビューを行った。対象は、T細胞数<300/mm3、T細胞のマイトジェンに対する反応がなく、同種造血細胞移植を受けた患児であった。 移植関連データとして、移植時年齢、感染症の有無、前処置レジメン、ドナーのタイプ、HLA適合度、移植細胞のソース、T細胞の除去法、移植片対宿主病(GVHD)の予防法を記録した。また、免疫再構築関連データとして、移植後100日、6ヵ月、1年、2年、5年、10年時のCD3陽性T細胞、CD19陽性またはCD20陽性B細胞、CD3陰性/CD56陽性またはCD16陽性/CD56陽性NK細胞の数などを抽出した。 移植時年齢が生後3.5ヵ月以下の患児は68例(28%)、3.5ヵ月以上は172例(72%)で、男児が173例(72%)であった。CD3陽性T細胞数中央値は20/mm3(0~9,708/mm3)であり、感染症歴ありは171例(71%)で、そのうち106例(62%)で移植時に活動性の感染症を認めた。5年生存率:3.5ヵ月以下で94%、3.5ヵ月以上/感染症ありで49% HLA適合同胞ドナーからの移植を受けた患児は、HLAの一致する血縁者以外のドナー(代替ドナー)から移植を受けた患児に比べ、5年生存率、免疫グロブリン補充が不要の率、CD3陽性T細胞やIgAの回復率が良好であった。 その一方で、ドナーのタイプにかかわらず生存率が良好なサブグループとして、1)生後3.5ヵ月以下で移植を受けた患児[5年生存率:94%]、2)生後3.5ヵ月以上で移植前に感染症を認めなかった患児[同:91%]、3)移植時には感染症が解消していた患児[同:83%]が挙げられた。生後3.5ヵ月以上で移植時に活動性の感染症がみられた患児の5年生存率は49%だった。 HLA適合同胞ドナーがなく、移植時に活動性の感染症がみられる場合は、前処置なしでハプロタイプ一致T細胞除去グラフトの移植が行われた患児の生存率が最も高かった。 生存患児では、強度減弱前処置または骨髄破壊的前処置により、CD3陽性T細胞数が1,000/mm3以上となる率、免疫グロブリン補充が不要の率、IgAの回復率が改善した。一方、これらの前処置は、CD4陽性T細胞の回復や、フィトヘマグルチニン誘導性T細胞増殖の回復には有意な影響を及ぼさなかった。 RAG1、RAG2、DCLRE1C遺伝子の変異を有する患児は、IL2RG遺伝子変異陽性患児に比べCD3陽性T細胞の回復が不良であった(単変量解析、p<0.001)。このような遺伝学的サブタイプの違いによる生存への影響は認められなかった。 著者は、「感染症の発現前にSCIDが同定された患児では、HLA適合同胞以外のドナーからの移植でも良好な生存率が達成された。無症状であれば、グラフトのソースを問わず良好な生存率が期待できる」と結論している。

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線維筋痛症、教育的介入より認知行動療法

 米国・エモリー大学のSoumitri Sil氏らは、認知行動療法に反応する若年性線維筋痛症患者の特定と予測因子について検討し、教育的介入より認知行動療法で治療反応率が高いこと、認知行動療法は治療開始時の機能障害が大きく自己効力感が高い患者でより有効であること、疼痛強度やうつ症状は治療反応性と無関係であることなどを明らかにした。Pain誌2014年7月号(オンライン版2014年3月17日号)の掲載報告。 本研究の主要目的は、若年性線維筋痛症に対する認知行動療法の治療反応例を特定する、臨床的に有意かつ定量可能な機能障害の変化を推定することであった。 また、副次目的は、試験開始時の機能障害(Functional Disability Inventory:FDI)、疼痛強度、うつ病(Children's Depression Inventory:CPI)、疼痛コーピング(Pain Coping Questionnaire:PCI)、両親の疼痛の既往歴が6ヵ月後の機能障害に関する治療反応を予測できたかどうかを検討することであった。 試験対象は、最近発表された、線維筋痛症に対する教育的介入と認知行動療法の比較試験に登録された11~18歳の若年性線維筋痛症患者100例であった。FDIが7.8ポイント以上の減少および臨床基準ポイントに基づいた障害グレードの低下の両方を満たした場合を治療反応例と定義した。 主な結果は以下のとおり。・定義に基づく治療反応率は、教育的介入群28%(14/50例)に対して、認知行動療法群は40%(20/50例)であった。・認知行動療法群では、試験開始時の機能障害がより大きく、自己効力感がより高い患者で、臨床的に有意な機能障害の改善が得られた。・疼痛強度、うつ症状および両親の疼痛既往歴は、治療反応性を予測しなかった。

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アトピー患児の睡眠障害をSCORADで予測

 アトピー性皮膚炎(AD)を有する子供の睡眠障害について、睡眠効率の低下がみられる頻度が高いことや、SCORAD(Scoring Atopic Dermatitis)指数で予測可能であること、メラトニンおよびIgEの関与の可能性などが、台湾・台北市立聯合医院のYung-Sen Chang氏らによる検討の結果、報告された。著者は、「さらなる検討を行い、メカニズムや臨床的意義について探求することが必要である」と述べている。また、「睡眠障害の評価ツールとしてアクトグラフィ(actigraphy)は有用と思われた」と報告している。Pediatrics誌オンライン版2014年7月14日号の掲載報告。 AD患児において睡眠障害は一般的だが、著者は「これまでは主に質問票ベースの研究が多く、病態生理は不明なままであった」と指摘。本検討において、客観的特徴、寄与因子および臨床的予測因子を明らかにすることを目的とした。 1~18歳時のAD患児72例と、対照32例について、アクトグラフィとポリソムノグラフィを用いて睡眠パラメーターを測定し、また、尿中6スルファトキシメラトニン値、血中サイトカイン、総合およびアレルゲン特異的IgE値も測定した。 主な結果は以下のとおり。・AD患児では、睡眠効率の低下、睡眠導入時間の延長、睡眠の断片化、非レム睡眠の減少が有意であった。・アクトグラフィの結果とポリソムノグラフィの結果の相関性は良好であった。・ADの重症度と睡眠障害の関連性が認められた(r=0.55~0.7)。・睡眠効率の低下は、SCORADスコアが48.7以上で有意に予測された。感度は83.3%、特異度は75%であった(AUC=0.81、p=0.001)。・夜間メラトニン分泌の低下と、AD患児の睡眠障害の有意な関連が認められた。・その他睡眠障害に関連する因子として、かゆみ、ひっかき行動、総IgE値の上昇、家ダニ感作やブドウ球菌腸毒素などがあった。

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妊娠中 抗うつ薬使用はリスク?

 妊娠中の抗うつ薬の使用が、出生児の先天性心疾患リスクにつながるか調査したところ、集団ベースでは妊娠初期3ヵ月間の抗うつ薬使用によるリスクの実質的な増加は示されなかった。米国ブリガム&ウィメンズ病院のKrista F Huybrechts氏らがコホート研究の結果、報告した。現在、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や他の抗うつ薬の使用が出生児の先天性心疾患のリスク増加と関連しているかどうかは不明であり、なかでもパロキセチン使用と右室流出路閉塞との関連、セルトラリン使用と心室中隔欠損症との関連性が懸念されていた。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。 研究グループは2000~2007年のメディケイド分析抽出のデータを用い、コホート研究を行った。対象は、最終月経期間前3ヵ月から分娩後1ヵ月までの妊娠女性94万9,504人およびその出生児であった。妊娠初期3ヵ月間に抗うつ薬を使用した女性から生まれた乳児群と、抗うつ薬を使用しなかった女性から生まれた乳児群に分け解析を行い、乳児らの重大な先天性心疾患リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・全体のうち、6万4,389人(6.8%)の女性が妊娠初期3ヵ月間に抗うつ薬を使用していた。・全体として、抗うつ薬未使用女性から生まれた乳児のうち先天性心疾患児は6,403例(乳児1万例あたり72.3例)、抗うつ薬を使用した女性では先天性心疾患児は580例(1万例あたり90.1例)であった。・抗うつ薬使用と先天性心疾患との関連性は、交絡因子の補正に伴って減少した。SSRIs使用に伴うあらゆる心疾患の相対リスク(ⅰ)未補正解析 1.25(95%信頼区間[CI]: 1.13~1.38)(ⅱ)うつ病の女性に限定した解析 1.12(95%CI:1.00~1.26)(ⅲ)うつ病の女性に限定しすべての補正を行った解析 1.06(95%CI:0.93~1.22)・パロキセチン使用と右室流出路狭窄、ならびにセルトラリン使用と心室中隔欠損症との間に有意な関連は確認されなかった(それぞれの相対リスク:1.07、95%CI:0.59~1.93、相対リスク:1.04、95%CI:0.76~1.41)。

2705.

ADHDには地域サポートが重要

 注意欠如・多動症(ADHD)に地域特性はどのような影響を及ぼすのか。米国・カリフォルニア大学のNooshin Razani氏らは、個人的および家族的要素を加味したうえで、ADHDと地域の社会的・物理的特性との関連について調査した。Journal of attention disorders誌オンライン版2014年7月15日号の報告。 2007年の全米小児健康調査データを使用した(n=64,076)。検討にあたっては、3つの地域スケールを設定した[社会的支援、設備(amenities)、秩序の乱れ(disorder)]、ロジスティックおよび順序ロジスティック回帰を用い、個人や家族の特性を調整したうえで、これらのスケールとADHDの診断および重症度との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD児は8%であった。重症度別にみると、軽度47%、中等度40%、重度13%であった。・調整モデルでは、地域サポートの低さはADHDの診断増加(OR=1.66 [1.05~2.63])や、重症度(OR=3.74 [1.71~8.15])と関連していた。地域の設備や秩序の乱れとの有意な関連は認められなかった。・親のメンタルヘルスが悪いことは、ADHDの有病率および重症度と関連していた。・地域の社会的サポートは、ADHD児やその保護者にとって重要な介入方法である可能性が示唆された。関連医療ニュース 小児ADHD、食事パターンで予防可能か ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学  担当者へのご意見箱はこちら

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がん医療、進む国際化と残る課題―臨床腫瘍学会2014

【田村会長インタビュー】 2014年7月17日〜19日、第12回 日本臨床腫瘍学会学術集会が福岡市で開催された。今回学術集会の有料参加者は4600名となり、昨年から1割増加した。終会にあたり、当学術集会会長である福岡大学医学部 腫瘍・血液感染症内科 田村和夫氏に学会を振り返っていただいた。若手医療者の教育の場として貢献 今まで以上に若い方にたくさん参加していだいたことは大変有意義でした。学術集会で最も重要なのは教育ですが、30の教育講演のほとんどが満席で、なかには会場に入りきれないものありました。また、今大会は、ポスターセッションを重視して広い会場で行いましたが、そこでも活発な議論が交わされていました。専門医と若い方たちの活発なディスカッションが進んだのではないかと思います。若い人たちの良い教育の場になったと思います。さらなる国際化へ努力 日本はアジアの玄関ですし、臨床腫瘍学会の大きなミッションの一つとして国際化があります。今大会では、海外からの一般公募演題も70にのぼりました。ヨーロッパの腫瘍学会ESMOなど海外がん関連学会との合同シンポジウム、インターナショナルセッションも合わせ国際的なセッションも増えています。 このような英語のセッションの増加に対しても、皆さん大分慣れてきたようです。そういう観点からも国際化が進んでいると感じます。今後は聞くだけではなく、本当の意味でディスカッションをできるようになっていただけけたら良いと思います。それにはまだ少し時間がかかるでしょうが、皆が国際化に向かって進歩していくべきだと思います。小児がんサバイバーに対する認識を高める 小児血液・がん学会と小児がんサバイバーシップの合同シンポジウムを行いました。このシンポジウムを通し、われわれ成人診療科医は、もっと小児がんサバイバーについて知る必要があると強く感じました。 小児がんの8割は治癒します。治癒した方は成長していく訳ですが、大人になっても小児科が引き続いて診ています。小児科から成人診療科へのシームレスな移行がなされていないのです。患者さんの年齢があがれば、生活習慣病など小児科では診ないような疾患が現れてきます。実際、そういった晩期合併症によって、小児がんサバイバーの3割が40歳代で亡くなっているという現実があります。 そういった観点からも、サバイバーの成長と共に小児科から引き継いで成人診療科が診る必要があります。少なくともわれわれ成人診療科は小児がんサバイバーについて認識を深め、小児がんのバックグラウンドがある患者さんの対応については見直す必要があります。コストも含め考えていくべき高齢者がん医療の問題 高齢者のがん治療は、非常に大きな問題であると同時に避けて通れない問題です。今学会では、合同シンポジウムとワークショップで取り上げました。 高齢者のがん薬物療法についての対応は遅れています。がん死亡者の8割が65歳以上です。しかし、薬物療法の臨床試験の適格条件は70歳程度で、現実の多くの患者さんより若年なのです。高齢者にどのような診療をするべきか、客観的にみていくシステムを作り、コンセンサスを取る必要があります。 医療費もそこにシフトしていく訳で、これからのがん医療の大きな問題といえます。これについては、医療者だけでなく国も議論していかなければいけない問題です。今回は時間が取れませんでしたが、来年以降はそこも考えていくべきだと思います。

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事例14 クロベタゾン(商品名: キンダベート)軟膏の査定【斬らレセプト】

解説1歳女児に投与した外用薬が、A査定(療養担当規則等に照らし、医学的に適応と認められない:社会保険)となった。事例のヒルドイド®とキンダベート®の混和剤には適用があるはずだが、どうしたものかと問い合わせがあった。ヒルドイド®にキンダベート®などの外用合成副腎皮質ホルモン剤を混ぜて使用すると、広範囲の湿疹やかゆみに効果があるとして、処方されていたという。両薬剤共に添付文書の効能・効果において、「アレルギー性じんま疹には適用がない」と医師に説明したところ、採用している電子レセプトチェックシステムではエラーが出ていないという。医事担当者に運用を確認したところ、誤って警告表示が出ないように修正されていた。このことを医師に伝え、審査支払機関では薬剤の添付文書に記載された効能・効果をもって電子レセプト点検が行われていること、その範囲を超える事例についてはあらかじめに病名もしくはコメントの追加が必要であることを説明した。もちろん医事担当にはコンピュータの修正をお願いした。

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セリアック病の遺伝的発症リスク/NEJM

 小児セリアック病の発症リスクをHLAハプロタイプとの関連で検討した結果、HLAハプロタイプがDR3-DQ2で、とくにホモ接合体を有する場合、小児早期でセリアック病自己免疫およびセリアック病のリスクが高いことが明らかになった。米国・デンバー小児病院のEdwin Liu氏らが前向き研究TEDDYの被験者を評価して報告した。セリアック病リスクとの関連については、HLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8が関連していること、また、発症児のほぼ全員が組織トランスグルタミナーゼ(tTG)の血清抗体を有していることは知られていた。NEJM誌2014年7月3日号掲載の報告より。HLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8を有する小児を前向きに追跡 TEDDY研究は、1型糖尿病の遺伝的リスクが高く、副次アウトカムとしてセリアック病を有する小児を追跡する多施設共同研究である。研究グループは、その一部被験者(出生時にHLAハプロタイプDR3-DQ2またはDR4-DQ8を有していた小児)についてセリアック病自己免疫およびセリアック病の発症について評価した。 研究は、米国3施設および欧州3施設(フィンランド、ドイツ、スウェーデン)の計6施設で行われた。 主要エンドポイントは、セリアック病自己免疫の発症で、3ヵ月間隔で行われた2回の試験でtTG抗体が認められた場合と定義した。副次エンドポイントは、セリアック病の発症とし、生検により診断またはtTG抗体高値が持続している場合と定義した。DR3-DQ2、とくにホモ接合体を有する小児で高リスク、環境要因の関連も浮上 2013年7月31日時点で、6,403例が抗体検査を1回以上受け、そのうち5,778例(90%)が2回以上の抗体検査を受けた。 追跡期間中央値は60ヵ月(四分位範囲:46~77ヵ月)であった。 セリアック病自己免疫を発症したのは、786例(12%)だった。また、350例が生検を受け、そのうち291例でセリアック病が確認された。さらに生検を受けなかった21例でtTG抗体高値の持続が確認された。 5歳時までの発症リスクは、DR3-DQ2ハプロタイプを1コピー有する小児では、セリアック病自己免疫は11%、セリアック病は3%であり、2コピー(DR3–DQ2ホモ接合)を有する小児ではそれぞれ26%、11%であった。 補正モデルにおけるセリアック病自己免疫のハザード比は、遺伝的リスクが最も低い小児(DR4-DQ8ヘテロ接合体またはホモ接合体を有する)と比べて、DR3-DQ2のヘテロ接合体を有する小児では2.09(95%信頼区間[CI]:1.70~2.56)、同ホモ接合体を有する小児では5.70(同:4.66~6.97)だった。 また、スウェーデン居住者で、セリアック病自己免疫の独立したリスク上昇が認められた(ハザード比:1.90、95%CI:1.61~2.25)。この点を踏まえて著者は、「スウェーデンで発症リスクが高かったことは、セリアック病との関連について環境要因を調べることの重要性を示唆するものである」と指摘している。

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18歳までに発症のネフローゼ症候群、リツキシマブで再発抑制/Lancet

 小児期発症の難治性頻回再発型ネフローゼ症候群(FRNS)、ステロイド依存性ネフローゼ症候群(SDNS)に対する、リツキシマブ(商品名:リツキサン)の有効性および安全性が実証された。神戸大学大学院小児科学分野教授の飯島 一誠氏らが、48例の患者を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、リツキシマブ投与により、無再発期間は2倍以上延長したことが報告された。Lancet誌オンライン版2014年6月23日号掲載の報告より。リツキシマブ週1回投与を4週間、1年間追跡 飯島氏らは2008年11月13日~2010年5月19日にかけて、日本国内9病院で、FRNSまたはSDNSの2歳以上の患者を対象に試験を行った。被験者は、当初1~18歳時にネフローゼ症候群との診断を受けており、またスクリーニング時に再発の寛解後であった患者を適格とした。 年齢、治療施設、治療歴、これまでの再発までの3期間について補正後、被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはリツキシマブ(375mg/m2)週1回を4週間、もう一方の群にはプラセボをそれぞれ投与した。患者、保護者、ケア担当者、担当医、アウトカム評価者は割り付けを知らされなかった。 試験開始スクリーニング時点で、被験者全員に、再発の治療として標準的ステロイド治療を行った。試験開始169日後に、免疫抑制薬の投与を中止した。 追跡期間は1年で、主要評価項目は無再発期間だった。安全性のエンドポイントは、有害事象の頻度と重症度で評価した。無再発期間中央値はリツキシマブ群267日、プラセボ群101日 無作為化は52例が受け、48例が割り付けられた治療を受けた(リツキシマブ群24例、プラセボ群24例)。 結果、無再発期間の中央値は、プラセボ群で101日(95%信頼区間:70~155)だったのに対し、リツキシマブ群では267日(同:223~374)と、大幅な延長が認められた(ハザード比:0.27、同:0.14~0.53、p<0.0001)。 1つ以上の重篤な有害事象が認められたのは、リツキシマブ群10例(42%)、プラセボ群6例(25%)で、両群に有意差はみられなかった(p=0.36)。 結果を踏まえて著者は、「リツキシマブは、小児期発症のFRNSまたはSDNSに対して有効かつ安全な治療である」と結論している。

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百日咳ブースターワクチン、思春期接種も必要?/BMJ

 英国では2001年に、就学前の百日咳ブースターワクチン接種が導入され、導入前には長引く咳でプライマリ・ケアを受診した学齢児の37%で、百日咳が見つかっていた。しかし導入後もいまだに5人に1人(20%)の割合で百日咳が見つかることが、オックスフォード大学Kay Wang氏らによる5~15歳児を対象とした前向きコホート研究の結果、明らかにされた。著者は、「ワクチン接種を完了した小児においても臨床的に重大な咳が起きる可能性が示された」と述べ、「今回の結果は、思春期における百日咳ブースターワクチン接種の必要性を考えるべきであることを知らしめるものとなるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年6月24日号掲載の報告より。2~8週間の長引く咳で受診した5~15歳の279例について検討 Wang氏らは、百日咳ブースターワクチン導入後の、プライマリ・ケアを長引く咳で受診した学齢児における百日咳の有病率と臨床的重症度を調べるため、前向きコホート研究を行った。 対象は、2010年11月~2012年12月に、テムズバレーの22人の一般医(GP)を受診し、2~8週間の持続性の咳を有していた5~15歳の279例であった。重篤な基礎疾患や、免疫不全症または免疫が低下、他の臨床試験に関与、および1年以内に百日咳ブースターワクチンを接種していた人は、評価から除外した。 主要評価項目は、最近の百日咳感染のエビデンスで、経口流体での抗百日咳毒素IgG力価が70単位以上の場合とした。咳の頻度は検査で百日咳が確認された6例の小児で測定された。ワクチン接種完了児の18%で最近の感染が確認、接種後7年以上でリスクは3倍 結果、56例(20%、95%信頼区間[CI]:16~25%)の小児において、最近の百日咳感染のエビデンスが確認された。そのうち39例はワクチン接種を完了しており、これらはワクチン接種完了児215例の18%(95%CI:13~24%)に該当した。 百日咳リスクは、就学前ブースターワクチン後7年未満だった小児(発生例:20/171例、12%、95%CI:7~17%)よりも、7年以上経っていた小児(同:21/53例、40%、26~54%)のほうが3倍高かった。 一方で百日咳リスクは、就学前に5回投与されていた群と3回投与されていた群では同程度であった(5回接種群に対する率比:1.14、95%CI:0.64~2.03)。 咳の頻度を検討した6例のうち、4例で24時間で400回超の咳が測定された。

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【JSMO見どころまとめ(2)】小児がん患者のサバイバーシップ

 2014年7月17日(木)から福岡国際会議場ほかにて開催される、第12回日本臨床腫瘍学会学術集会に先立ち、先月27日、東京都中央区にて日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催された。そこで行われた、石井 榮一氏(愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座)による講演「小児がん患者のサバイバーシップについて」を簡潔にまとめる。【まとめ】・小児がんの予後は、化学療法の進歩や、造血幹細胞移植の導入、分子標的薬の登場などにより飛躍的に改善した。・小児がんサバイバーは、成長とともにさまざまな晩期合併症を来すだけでなく、保険加入や就労の問題など、社会的な偏見も多く残っている。・小児がんサバイバーを長期的にサポートするシステム作りと、小児科から成人診療科へのシームレスな移行が必要である。 本学術集会では、日本小児血液・がん学会との合同シンポジウムを通し、小児がん経験者を社会全体で支援する体制作りについて議論していく。< 小児がんに関する注目演題 >・Presidential Symposium / 会長シンポジウム  第12回学術集会長/日本小児血液・がん学会 合同シンポジウムテーマ:“小児がんサバイバーシップ” 日時:2014年7月18日 15:50~17:50   会場:Room 3(福岡国際会議場3F「メインホール」)【第12回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2014年7月17日(木)~19日(土)■会場:福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センター■会長:田村 和夫氏(福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学 教授)■テーマ:包括的にがん医療を考える~橋渡し研究、がん薬物療法からサバイバーシップまで~第12回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページ

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ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は

 米国・カリフォルニア大学のIrene Tung氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)を有する親の子育て行動が、子供のADHD症状とどう関連するかを検討した。その結果、ADHDが子供に受け継がれる有意かつ独立した因子として“体罰”が挙げられることを報告した。子供のADHDの主要なリスク因子は、親のADHD症状を基礎とする複合的な関与の可能性が考えられているが、説明可能な因子は明らかになっていなかった。Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。 研究グループは、子育て行動における正ならびに負の側面(体罰、一貫性に欠けるしつけ、ポジティブな子育て行動、ネガティブな発言、ほめるなど)における相違が、親と子のADHDを関連づけるかどうかを検討した。アウトカム(子供のADHD症状)の予測因子(親のADHD症状など)ならびにメディエーター(子育て行動など)に着目したプロスペクティブ研究として実施した。ADHDの有無を問わず背景が明らかな小児120例(Wave 1:5~10歳、Wave 2:7~12歳)とその実の親を対象とし、複数の方法(観察、自己報告など) でポジティブおよびネガティブな子育て行動を評価し、Wave 1の親とWave 2の子供のADHD症状が連動して関連するかどうかを検討した。 主な結果は以下のとおり。・厳格なブートストラップ法からなる多様な媒介フレームワークを用いて検討した。・親のうつ症状、子供のベースライン時のADHDおよび反抗挑発症、子供の年齢を補正後、Wave 1の親のADHD症状とWave 2の子供のADHDを関連づけたのは、体罰が有意かつ唯一の因子であった。・子育て行動はADHDの世代間伝達に関連しており、これらの結果は小児ADHDへの介入と予防に応用可能と思われた。関連医療ニュース 小児ADHD、食事パターンで予防可能か 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 ADHDリスクファクターは「男児」「母親の就労」  担当者へのご意見箱はこちら

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喘息様気管支炎と診断した乳児が自宅で急死したケース

小児科最終判決判例タイムズ 844号224-232頁概要1歳1ヵ月の乳児。37.5℃の発熱と喘鳴を主訴に休日当番医を受診し、喘息性気管支炎と診断され注射と投薬を受けて帰宅した。ところが、まもなく顔面蒼白となり、救急車で再び同医を受診したが、すでに心肺停止、瞳孔散大の状態であったため、救命蘇生措置は行われず死亡確認となった。司法解剖では、肺水腫による肺機能障害から心不全を起こして死亡したものと推定された。詳細な経過経過1983年12月31日この頃から風邪気味であった。1984年1月1日37.2℃の発熱あり。1月2日午後37.5℃に上がり、声がしわがれてぜいぜいし、下痢をしたので、16:20頃A医院を受診。待合室で非常にぜいぜいと肩で息をするようになったため、17:20頃順番を繰り上げて診察を受ける。強い呼吸困難、喘鳴、声がれ、顔面蒼白、腹壁緊張減弱、皮膚光沢なし、胸部ラ音、下痢などの症状を認め、喘息性気管支炎と診断。担当医師は経過観察、ないしは入院の必要があると判断したが、地域の救急患者の転送受け入れをする輪番制の病院がないものと考え、転院の措置をとらなかった。呼吸困難改善のため、スメルモンコーワの注射(適応は急性気管支炎や感冒・上気道炎に伴う咳嗽)と、アセチルロイコマイシンシロップなどの投薬をし、隣室ベッドで待つように指示した。18:00若干呼吸困難が楽になったように感じたため、容態急変した場合には夜間診療所を受診するように指示されて帰宅した。18:20帰宅時、顔面が蒼白になり唇が青くなっていたため、救急車を要請。その直後急に立ち上がり、目を上に向け、唇をかみしめ、まったく動かなくなった。18:54救急車でA医院に到着したが、すでに心肺停止、瞳孔散大の状態であり、心肺蘇生術を施さずに死亡が確認された。司法解剖の結果、「結果的には肺水種による肺機能障害により死亡したものと推定」し、その肺水腫の原因として、(1)間質性肺炎(2)乳幼児急死症候群(SIDS)(3)感染によるエンドトキシンショック(4)薬物注射による不整脈(5)薬物ショックとそれに続く循環障害などが考えられるが、結論的には不詳とされた。当事者の主張患者側(原告)の主張1.医師の過失1回目の診察時にすでに呼吸不全に陥っているのを認めたのであるから、ただちに入院させて、X線写真、血液検査などの精査を行うとともに、気道確保、酸素吸入、人工換気などの呼吸管理、呼吸不全、心不全などの多臓器障害の防止措置などを行うべき義務があったのに、これらを怠った2.経過観察義務違反・転医措置義務違反呼吸不全を認めかつ入院の必要を認めたのであるから、少なくとも症状の進行、急変に備え逐一観察すべき義務があったのに怠った。さらに、転医を勧告するなど、緊急治療措置ないし検査を受けさせ、あるいは入院する機会を与えるべき義務があったのに、転医措置を一切講じなかった3.救命蘇生措置義務違反心肺停止で救急搬送されたのは、心臓停止後わずか10分程度しか経過していない時点であり救命措置をとるべき義務があったのに、これを怠った4.死因喘息性気管支炎から肺炎を引き起こして肺水腫となり、肺機能障害から心不全となって死亡した。病院側が主張する乳幼児突然死症候群(SIDS)ではない病院側(被告)の主張1.医師の過失死因が不明である以上、医師がどのような治療方法を講じたならば救命し得たかということも不明であり、不作為の過失があったとしても死亡との因果関係はない。しかも最初の診察を受けたのが17:20頃であり、死亡が18:10ないし18:25とすると、診療を開始してから死亡するまでわずか50~60分の時間的余裕しかなかったため、死亡の結果を回避することは不可能であった。また、当日は休日当番医で患者が多く(130名の患者で混みあっており、診察時も20~30名の患者が待っていた)、原告らの主張する治療措置を講ずべきであったというのは甚だ酷にすぎる2.経過観察義務違反・転医措置義務違反同様に、診療開始から50~60分の時間的余裕しかなかったのであれば、大規模医療施設に転送したからといって、死亡の結果を免れさせる決め手にはならなかった3.死因肺水腫による肺機能障害から心不全を起こして死亡したと推定されていて、肺水腫の原因として間質性肺炎、乳幼児突然死症候群などが挙げられているものの特定できず、結局死因は不明というほかない裁判所の判断1. 死因強い呼吸困難、喘鳴、顔面蒼白、腹壁緊張減弱、胸部ラ音、下痢などの臨床症状があったこと、肺浮腫、肺うっ血が、乳幼児突然死症候群に伴うような微小なものではなく、著しいあるいは著明なものであったことなどからすると、肺炎から肺水腫を引き起こして肺機能障害を来し、直接には心不全により死亡したものと考えられる(筆者注:司法解剖の所見で「死因は不詳」と判断されているにもかかわらず、裁判所が独自に死因を特定している)。2. 医師の過失原告の主張をそのまま採用。加えて、もし大規模病院へ転送するとしたら、酸素そのほかの救急措置が何らとられないまま搬送されるとも考えられないので、診察から死亡までの50~60分の間に適切な措置をとるのは困難であり死亡は免れなかったとする主張は是認できない。当時休日診療で多忙をきわめていたとしても、人命にかかわる業務に従事する医師としては、通常の開業医としての医療水準による適切な治療措置を施すべき義務を負うものであり、もし自らの能力を超えていて、自院での治療措置が不可能であると考えれば、ほかの病院に転送するべきであった。3. 経過観察義務違反・転医措置義務違反失原告の主張をそのまま採用。4. 救命蘇生措置義務違反救急車で来院した18:54頃には、呼吸停止、心停止、瞳孔の散大の死の3徴候を認めていたので、心肺蘇生術を実施しても救命の可能性があったかどうか疑問であり、その効果がないと判断して心肺蘇生術を実施しなかったのは不当ではない。原告側合計2,339万円の請求どおり、2,339万円の判決考察この事例は医師にとってかなり厳しい判決となっていますが、厳粛に受け止めなければならない重要な点が多々含まれていると思います。まず、本件は非常に急激な経過で死亡に至っていますので、はたしてどうすれば救命できたかという点について検討してみます。担当医師が主張しているとおり、最初の診察から死亡までわずか60分程度ですので、確かにすぐに大規模病院に転送しても、死亡を免れるのは至難の業であったと思います。裁判所は、「酸素などを投与していれば救命できたかも知れない」という理由で、医師の過失を問題視していますが、酸素投与くらいで救命できるような状況ではなかったと推定されます。おそらく、すぐに気管内挿管を施し、人工呼吸器管理としなければならないほど重症であり、担当医師が診察後すぐに救急車で総合病院に運んだとしても、同じ結果に終わったという可能性も考えられます。ここで問題なのは、当初から重症であると認識しておきながら、その次のアクションを起こさなかった点にあると思います。もし最初から、「これは重症だからすぐに総合病院へ行った方がよい」と一言家族に話していれば、たとえ死亡したとしても責任は及ばなかった可能性があります。次にこのようなケースでは、たとえ当時の状況が患者さんがあふれていて多忙をきわめていたとしても、まったく弁解にはならないという点です。とくに「人命にかかわる業務に従事する医師としては、病者を保護すべきものとして通常の開業医としての医療水準による適切な治療措置を施すべき義務がある」とまで指摘されると、抗弁の余地はまったくありません。当然といえば当然なのですが、手に負えそうにない患者さんとわかれば、早めに後方病院へ転送する手配をするのが肝心だと思います。最後に、ここまでは触れませんでしたが、本件では裁判官の心証を著しく悪くした要因として、「カルテの改竄」がありました。1回目の診察でスメルモンコーワの注射に際し(通常成人には1回0.5ないし1.0mL使用)、病院側は「0.3mL皮下注射した」と主張しています。ところがカルテには「スメルモン1.0」と記載し、保険請求上1アンプル使用したという旨であると説明され、さらに1行隔てた行外に「0.3」と記載されており、どうやら1歳1ヵ月の乳児にとっては過量を注射した疑いがもたれました。この点につき裁判所は、「0.3」の記載の位置と体裁は、不自然で後に書き加えられたものであることが窺われ、当時真実の使用量を正確に記載したものであるかどうかは疑わしいと判断し、さらに「診療録にはそのほかにも数カ所、後に削除加入されたとみられる記載がある」とあえて指摘しています。実際のカルテをみていないので真実はどうであったのかはわかりませんが、このような行為は厳に慎むべきであり、このためもあってか裁判では患者側の要求がすべて通りました。日常診療でこまめにカルテを書くことは大変重要ですが、後から削除・加筆するというのは絶対してはならないことであり、もし事情があって書き換える場合には、その理由をきちんと記載しておく必要があると思います。小児科

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乳幼児専用の腎代替療法機器が登場/Lancet

 多臓器不全を伴う新生児や乳幼児への持続的腎代替療法(CRRT)機器として開発された「CARPEDIEM」は、多様な治療やサポートを提供し有用であることがイタリア・聖ボルトロ病院のClaudio Ronco氏らにより報告された。腹膜透析導入を減らし、CRRT適用範囲を拡大し、CRRTによる外傷を減らし、その他の腎代替療法がなくても支持療法として用いることができるという。新生児の急性腎不全(AKI)例では腹膜透析が選択肢となるが、適用できなかったり効果的ではない場合がある。従来CRRT機器は、15kg未満の新生児には未承認使用されており、乳幼児向けにデザインされたものはなかった。Lancet誌2014年5月24日号掲載の報告より。承認後初となるヒトへの適用例を報告 CARPEDIEM(Cardio-Renal Pediatric Dialysis Emergency Machine)は、新生児および乳幼児向けに開発されたCRRT機器で、研究グループにより5年間の前向き開発プロジェクトによって考案、デザイン、作製されものだった。in-vitro試験評価と開発目的基準を満たし、ヒトでの使用ライセンスを取得。本報告は承認後初となる、重篤な新生児例への使用を評価したものであった。2.9kgの新生児に400時間適用、軽度腎機能障害のみで生存退院 CARPEDIEMの主な特徴は、低血流量(30mL未満)、小型ポンプ、1gの精度で調整可能な正確な濾過機能などで、in-vitro試験では、ハード面およびソフト面の両者で設計仕様が満たされたことが確認されていた。 研究グループは同機器を、出血性ショック、多臓器不全、重度体液過剰を伴う2.9kgの新生児に400時間超適用した。結果、65%体液過剰、クレアチニンおよびビリルビン値上昇、重度アシドーシスはすべて安全かつ効果的に管理され、重篤な疾患であったが、臓器機能は回復。新生児は命を取り留め、軽度腎機能障害のみで病院から腎代替療法を要しない状態で退院となったと報告されている。

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妊娠中のプロゲステロン低値 女児のアレルギー性気道疾患リスクを高める

 妊娠中のプロゲステロンの値が低いと、生まれた女児のアレルギー性気道疾患のリスクが高くなる可能性があることが、ドイツのハンブルク大学エッペンドルフメディカルセンターのIsabel R.V.Hartwig氏により報告された。Journal of Molecular Medicine誌オンライン版2014年6月3日号の掲載報告。 介入研究のみならず観察研究においても、母親が出産前にアレルギー抗原に曝露すると、生まれてくる子供のアレルギー性気道疾患のリスクが高くなることが報告されている。しかしながら、このリスクに関係しているバイオマーカーについての知見はあまり明らかになっていない。 そこで、妊婦を対象に、内因的・外因的要因(心理社会的、内分泌的、生活スタイルのパラメータを含め)と出生児におけるその後のアレルギー性気道疾患のリスクとの関係を調べた。さらに、その要因を特定するため、アレルギー性気道反応のマウスモデルにより、機能的なテストも実施した。 本研究は409人の妊婦(妊娠4~12週)を対象としたプロスペクティブ・コホート研究である。妊娠中の曝露環境と生まれた子供の3~5歳時点におけるアレルギー性気道疾患との関係を多重ロジスティック回帰分析により検討した。 また、出産前にストレスを与えたBALB/cの母マウスから生まれた成体マウスに対し、オボアルブミンの感作により喘息を誘発させた。出産前のストレスを与えることに加え、一部の妊娠している母マウスには、ジヒドロジドロゲステロンから産生するプロゲステロンにより治療を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・ヒトにおいては、妊娠初期にプロゲステロンの値が高かった場合、生まれた女児のアレルギー性気道疾患(喘息または鼻炎)のリスクが低かったが(調整後オッズ比:0.92、95%CI:0.84~1.00)、男児の場合には、その傾向は認められなかった(調整後オッズ比:1.02、95%CI:0.94~1.10)。・マウスにおいては、ストレスを与えた母マウスに出産前、ジヒドロジドロゲステロンを補充すると、生まれた子供のうち雌のみにストレス誘発による気道過敏性の減弱が認められた。

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Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術

第1回 心臓へのアプローチと評価第2回 肺・下大静脈・下肢へのアプローチと評価第3回 腹部へのアプローチ第4回 腹部の評価(1)第5回 腹部の評価(2)第6回 心肺エコー鑑別法とUB-FAST第7回 医学的管理・処置への活用法第8回 在宅医療でのポケットエコー活用法 日常診療に手軽に使えるポケットエコーが普及しつつあります。ポケットエコーを身体所見の一部として、体の中を診る聴診器のように活用することで、在宅をはじめ、救急、外来、病棟などあらゆるシーンでの診療スタイルが大きく変わることでしょう。ポケットエコーの上達のコツは繰り返し練習すること。失敗しても「なんくるないさ~(なんとかなるさ)!」の精神で、何度もチャレンジしてください。様々な活用術を網羅したこの番組を参考にして、あなたもポケットエコーの名人に!第1回 心臓へのアプローチと評価心臓を胸骨左縁と心尖部からアプローチする方法について、プローブの実演とエコー画像の2画面を用いてわかりやすく解説します。ポケットエコーは肋間などの狭い窓から体内を観察するのに適しています。その特徴を生かしたDr.ゴン流のアプローチ方法・ポイントは必見です。さらに心エコー像評価の基本となる左室機能、弁膜疾患、右心系の評価方法を、実際の症例を用いて解説します。第2回 肺・下大静脈・下肢へのアプローチと評価肺炎・心原性肺水腫・関節性肺炎など、代表的な肺疾患のエコー像を提示し、鑑別のポイントを指導します。さらに8カ所測定で行うポケットエコーの定量的評価の具体的なテクニックを実演。実際の症例を用いた評価方法と、肺・下大静脈・下肢へアプローチするわかりやすい実演を見れば、そのテクニックが確実に実に付きます。第3回 腹部へのアプローチ通常のエコー走査とは異なるポケットエコーならではの腹部アプローチを指南します。ポケットエコーではその特性上、距離の近い胆嚢が見えにくいのですが、通常目印にする胆嚢の検出にこだわらないのがDr.ゴン流。上腹部の走査方法を手元のプローブの実演とエコー画像の2画面を用いてわかりやすく説明します。さらに肋間~下腹部も合わせて、腹部への全体的なアプローチ方法を解説します。第4回 腹部の評価(1)腹部疾患の代表的なエコー画像をたっぷりと提示し、その画像の読み方・ポイントをお教えします。臓器が複雑に絡み合う腹部。臓器ごとの代表的な疾患の鑑別方法、ポケットエコー画像での特徴などを詳細に説明してきます。これだけのたくさんの症例を知っておけば、画像診断に自信がつくことでしょう。第5回 腹部の評価(2)卵巣腫瘍や妊娠の判別、腹部大動脈流もポケットエコーで観察することができます。ポケットエコーで検査をするときに大切なのは症状と理学所見を頭に置くこと。今回もたっぷりご紹介する代表的な腹部疾患鑑別の特徴を知っておくと、診断に役立つこと間違いなしです。第6回 心肺エコー鑑別法とUB-FAST呼吸困難の患者に対して行う心肺エコー鑑別法と熱発の原因検索に有効なUB-FAST法。臨床現場で実際に行っているゴン先生の、実演と演習を交えた解説はとても簡潔明瞭です。これまで学んできたアプローチ法や評価法を統合したこの2つの手法をぜひ覚えて、実践に役立ててください。第7回 医学的管理・処置への活用法胃瘻の管理やドレナージの処置をする際にもポケットエコーは有用です。すでに習った左肋骨弓下走査で胃瘻交換後のカテーテルの位置や形状を確認したり、ドレナージ可能箇所をエコーでチェックすることができます。手軽に使えるポケットエコーを活用し、より安全・正確な処置を学んでください。第8回 在宅医療でのポケットエコー活用法最終回はゴン先生の訪問診療に密着します。患者さんに対するエコー検査についての説明、ご家族への検査準備のお願い、検査の実施、そして結果の説明。在宅医療の現場でどのようにポケットエコーを使い役立てるのか?第7回までに学んだポケットエコーのテクニックを、ゴン先生のように、ぜひ臨床現場で生かしてください。

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熱射病で意識不明となった高校生を脳震盪と誤診したケース

救急医療最終判決判例時報 1534号89-104頁概要校内のマラソン大会中に意識不明のまま転倒しているところを発見された16歳高校生。頭部CTスキャンでは明かな異常所見がなかったため、顔面打撲、脳震盪などの診断で入院による経過観察が行われた。当初から意識障害があり、不穏状態が強く、鎮静薬の投与や四肢の抑制が行われた。入院から約3時間後に体温が40℃となり、意識障害も継続し、解熱薬、マンニトールなどが投与された。ところが病態は一向に改善せず、入院から約16時間後に施行した血液検査で高度の肝障害、腎障害が判明した。ただちに集中治療が行われたが、多臓器不全が進行し、入院から約20時間後に死亡確認となった。詳細な経過患者情報学校恒例のマラソン大会(15km走)に参加した16歳男性経過1987年10月30日13:30マラソンスタート(気温18℃、曇り、湿度85%)。14:45スタートから約11.5km地点で、意識不明のまま転倒しているところを発見され、救急室に運び込まれた。外傷として顔面打撲、口唇、前歯、舌、前胸部などの傷害があり、両手で防御することなくバッタリ倒れたような状況であった。診察した学校医は赤っぽい顔で上気していた生徒を診て脱水症を疑い、酸素投与、リンゲル500mLの点滴を行ったが、意識状態は不安定であった。15:41脳神経外科病院に搬送され入院となる(搬送時体動が激しかったためジアゼパム(商品名:セルシン1A)使用)。頭部・胸部X線写真、頭部CTスキャンでは異常所見なし。当時担当医は手術中であったため、学校医により転倒時に受傷した口唇、口腔内の縫合処置が行われた(鎮静目的で合計セルシン®4A使用)。18:30意識レベル3-3-9度方式で100、体動が激しかったため四肢が抑制された。血圧98(触診)、脈拍118、体温40℃。学校の教諭に対し「見た目ほど重症ではない、命に別状はない」と説明した。19:00スルピリン(同:メチロン)2A筋注。クーリング施行。下痢が始まる。21:00血圧116(触診)、体動が著明であったが、痛覚反応や発語はなし。マンニトール250mL点滴静注。10月31日00:00体温38.3℃のためメチロン®1A筋注、このときまでに大量の水様便あり。03:00体温38.0℃、四肢冷感あり。体動は消失し、外観上は入眠中とみられた。このときまでに1,700mLの排尿あり。引き続きマンニトール250mL点滴静注。その後排尿なくなる。06:00血圧測定不能、四肢の冷感は著明で、痛覚反応なし。血糖を測定したところ測定不能(40以下)であったため、50%ブドウ糖100mL投与。さらにカルニゲン®(製造中止)投与により、血圧104(触診)、脈拍102となった。06:40脈拍触知不能のため、ドパミン(同:セミニート(急性循環不全改善薬))投与。その後血圧74/32mmHg、脈拍142、体温38.3℃。08:00意識レベル3-3-9度方式で100-200、血糖値68のため50%ブドウ糖40mL静注。このときはじめて生化学検査用の採血を行い、大至急で依頼。09:00集中治療室でモニターを装着、中心静脈ライン挿入、CVP 2cmH2O。10:00採血結果:BUN 38.3、Cre 5.5、尿酸18.0、GOT 901、GPT 821、ALP 656、LDH 2,914、血液ガスpH7.079、HCO3 13.9、BE -16.9、pO2 32.0という著しい代謝性アシドーシス、低酸素血症が確認されたため、ただちに気管内挿管、人工呼吸器による間欠的陽圧呼吸実施、メイロン®200mL投与などが行われた10:50心停止となり、蘇生開始、エピネフリン(同:ボスミン)心腔内投与などを試みるが効果なし。11:27急性心不全として死亡確認となる。当事者の主張患者側(原告)の主張1.診察・検査における過失学校医や教諭から詳細な事情聴取を行わず、しかも意識障害がみられた患者に対し血液一般検査、血液ガス検査などを実施せず、単純な脳震盪という診断を維持し続け、熱射病と診断できなかった2.治療行為における過失脱水状態にある患者にマンニトールを投与し、医原性脱水による末梢循環不全、低血圧性ショックを起こして死亡した。そして、看護師は十分な観察を行わず、担当医師も電話で薬剤の投与を指示するだけで十分な診察を行わなかった3.死亡との因果関係病院搬入時には熱射病が不可逆的段階まで達していなかったのに、診察、検査、治療が不適切、不十分であったため、熱射病が改善されず、低血糖症を併発し、脱水症も伴って末梢循環不全のショック状態となって死亡した病院側(被告)の主張1.診察・検査における過失学校医は意識障害の原因が脳内の病変にあると診断して当院に転医させたのであるから、その診断を信頼して脳神経外科医の立場から診察、検査、経過観察を行ったので、診察・検査を怠ったわけではない。また、学校医が合計4Aのセルシン®を使用したので、意識障害の原因を鑑別することがきわめて困難であった2.治療行為における過失マンニトールは頭部外傷患者にもっとも一般的に使用される薬剤であり、本件でCTの異常がなく、嘔吐もなかったというだけでは脳内の異常を確認することはできないため、マンニトールの投与に落ち度はない3.死亡との因果関係搬入後しばらくは熱射病と診断できなかったが、輸液、解熱薬、クーリングなどの措置を施し、結果的には熱射病の治療を行っていた。さらに来院時にはすでに不可逆的段階まで病状が悪化しており、救命するに至らなかった裁判所の判断1. 診察・検査における過失転倒時からの詳細な事情聴取、諸検査の実施およびバイタルサインなどについての綿密な経過観察などにより、熱射病および脱水を疑うべきであったのに、容易に脳震盪によるものと即断した過失がある。2. 治療行為における過失病院側は搬送直後から輸液、解熱薬の投与、クーリングなどを施行し、結果的には熱射病の治療義務を尽くしたと主張するが、熱射病に対する措置や対策としては不十分である。さらに多量の水様便と十分な利尿があったのにマンニトールを漫然と使用したため、脱水状態を進展させ深刻なショック状態を引き起こした。さらに、夜間の全身状態の観察が不十分であり、ショック状態に陥ってからの対処が不適切であった。3. 死亡との因果関係病院側は、患者が搬送されてきた時点で、すでに熱射病が不可逆的状態にまで進行していたと主張するが、当初は血圧低下傾向もなく、乏尿もなく、呼吸状態に異常はなく、熱射病により多臓器障害が深刻な段階に進んでいるとはいえなかったため、適切な対策を講ずれば救命された可能性は高かった。8,602万円の請求に対し、6,102万円の支払命令考察まずこのケースの背景を説明すると、亡くなった患者は将来医師になることを目指していた高校生であり、その父親は現役の医師でした。そのため、患者側からはかなり専門的な内容の主張がくり返され、判決ではそのほとんどが採用されるに至りました。本件で何よりも大事なのは、脱水症や熱射病といった一見身近に感じるような病気でも、判断を誤ると生命に関わる重大な危機に陥ってしまうということだと思います。担当された先生はご専門が脳神経外科ということもあって、頭部CTで頭蓋内病変がなかったということで「少なくとも生命の危険はない」と判断し、それ以上の検索を行わずに「経過観察」し続けたのではないかと思います。しかも、前医(学校医)が投与したセルシン®を過大評価してしまい、CTで頭蓋内病変がないのならば意識が悪いのはセルシン®の影響だろうと判断しました。もちろん、搬入直後の評価であればそのような判断でも誤りではないと思いますが、「脳震盪」程度の影響で、セルシン®を合計4Aも使用しなければならないほどの不穏状態になったり、40℃を越える高熱を発することは考えにくいと思います。この時点で、「CTでは脳内病変がなかったが、この意識障害は普通ではない」という考えにたどりつけば、内科的疾患を疑って尿検査や血液検査を行っていたと思います。しかも、頭部CTで異常がないにもかかわらず、意識障害や不穏を頭蓋内病変によるものと考えて強力な利尿作用のあるマンニトールを使用するのであれば、少なくとも電解質や腎機能をチェックして脱水がないことを確認するべきであっと思います。ただし、今回の施設は脳神経外科単科病院であり、緊急で血液検査を行うには外注に出すしかなかったため、入院時に血液生化学検査をスクリーニングしたり、容態がおかしい時にすぐに検査をすることができなかったという不利な点もありました。とはいうものの、救急指定を受けた病院である以上、当然施行するべき診察・検査を怠ったと認定されてもやむを得ない事例であったと思います。本件から得られる重要な教訓は、「救急外来で意識障害と40℃を超える発熱をみた場合には、熱射病も鑑別診断の一つにおき、頭部CTや血液一般生化学検査を行う」という、基本的事項の再確認だと思います。救急医療

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小児喘息のモニタリングには呼気一酸化窒素より喀痰中の好酸球

 喘息を有する小児における炎症のモニタリングには呼気一酸化窒素より喀痰中の好酸球のほうがより適切であることが、スペイン・Nostra Senyora de Meritxell病院のG Vizmanos-Lamotte氏らにより報告された。Anales espanoles de pediatria誌オンライン版2014年5月22日の掲載報告。 喀痰中の好酸球と呼気一酸化窒素は喘息における気道炎症のマーカーである。この炎症の原因にはサイトカイン、システィニル・ロイコトリエン、ロイコトリエンB4などがある。本研究の目的は、小児における喘息治療のモニタリングにおいて、これらのマーカーが役立つかどうかを調べることである。 10例の子供(9~15歳)を対象に誘発喀痰中の呼気一酸化窒素、好酸球、ロイコトリエンB4を調べ、4ヵ月後に再度測定した。 主な結果は以下のとおり。・呼気一酸化窒素の濃度は減少の傾向であった(p=0.15)。・肺機能は改善傾向にあった(p=0.10)。・喀痰中の好酸球は減少していたが(p=0.003)、ロイコトリエンB4濃度はあまり変わらなかった(p=0.88)。

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うつぶせ寝にしておいた生後3日目の新生児が急死したケース

小児科最終判決判例タイムズ 988号264-271頁概要体重3,460g、身長51cm、正常分娩で出産した新生児。授乳は良好であったが、生後3日目の授乳後にミルクを吐き、腹満もみられたため、再度吐く可能性を考慮してうつぶせ寝で寝かせた。ところがその45分後に全身チアノーゼ、心肺停止状態で発見され、ただちに行われた救急蘇生により何とか自己心拍と自発呼吸が再開した。ところが低酸素脳症が原因で重度の脳性麻痺となり、気道分泌物による窒息のため生後7ヵ月で死亡した。詳細な経過経過1995年1月5日03:00陣痛が始まったためそれまで通院していた総合病院に入院。05:43正常分娩にて、体重3,460g、身長51cmの男児を出産。心拍数や呼吸などに異常はなかった。ミルクなど合計84cc1月6日ミルクなど合計204cc1月7日ミルクなど合計402cc1月8日03:00母親が授乳。04:00かん高く泣いたため看護師がミルクを授乳し、コットに仰向け寝で寝かせた。05:40さらに泣いたため、おやつとしてミルクを授乳(このとき担当看護師は授乳していないと主張)、そのときの排気でミルクを吐き、さらに腹満もあったことから、再度吐く可能性を考慮してうつぶせ寝(顔は横向き)で寝かせた(このときの勤務は深夜帯で、看護師1名が新生児室の新生児6~7名と、NICU室の重症児を含む3~4名の新生児を担当、NICU室から新生児室はみえない位置関係)。06:25それから約45分後、朝の授乳開始のため母親にわたそうとしたところ、顔を真下に向けた状態でうつぶせ寝となっており、抱き上げると全身チアノーゼ、呼吸停止状態であった(母親は枕代わりのタオルに直径6~7cmの吐乳を確認したと申告したが、担当看護師は嘔吐はなかったと反論)。ただちにNICU室に移し、産婦人科医師にコールするともに酸素投与、背中のタッピングを行ったが、反応なし。06:30産婦人科医師が到着し、心臓マッサージとバギングを行いつつ気管内挿管を試みたが気管内挿管できず、小児科医師の応援を要請。そのときミルク残査を含む液体が噴出したので吸引を行う。06:35小児科医師が到着して気管内挿管を試みたが挿管できず。06:40別の医師により挿管が完了した。このとき、吸引により乳白色の液体が吸引された。まもなく心拍音が聴取できるようになった。06:53自発呼吸が出現したが微弱であり、バギングが継続された。07:10口腔内から唾液様の液体が多量に吸引、挿管チューブからはごく少量の淡黄色液体が吸引された。07:35自発呼吸、心拍は安定し、クベースに収容された。しかし、低酸素脳症による重度の脳障害が発生した。08:30担当医師から、「戻したミルクを再度飲み込み、それが肺に入ったため事故が生じた」という説明あり。10:30産婦人科、および小児科担当医師から、「事故の原因としてミルクの誤嚥が考えられる、挿管チューブより粘調なミルクかすのようなものが多量に引けた、肺炎を想定し早めに抗菌薬を投与する」との説明を受けた(一連の説明の中で未然型乳幼児突然死症候群とは告げられていない)。8月9日気道分泌物による窒息のため死亡。カルテの記載(1)産婦人科入院記録「tapping吸引にて気管内よりmilk多量に引ける」(2)小児科入院記録「挿管よりmilk残査多量に吸引できる。milk誤嚥による窒息→呼吸停止→心臓停止の可能性大、誤嚥の原因は不明」「チューブより粘調なmilkかすのようなもの多量に引け、吸引性肺炎を想定し、早めに抗菌薬使用としました」当事者の主張患者側(原告)の主張うつぶせ寝にしたために吐乳吸引を引き起こして窒息し、発見が遅れたために心肺停止に至った。病院側(被告)の主張吐乳の事実はないので、うつぶせ寝が心肺停止の原因ではない。心肺停止で発見された時口、鼻、周囲にはミルクの付着や嘔吐の形跡はなかったうつぶせ寝では吐物は下に位置するので、位置的に上方になる気管に吐物がはいることはない窒息するほどの吐物誤嚥があれば、新生児であっても不穏な体動を示し看護師が気づくはずである蘇生時にみられた気管内からのミルク吸引は、バギングや心臓マッサージによって気管内に入ったものである嘔吐したミルクを誤嚥して窒息したのであれば、挿管チューブから細小泡沫が存在したはずである死亡原因は未然型乳幼児突然死症候群(SIDS)である裁判所の判断うつぶせ寝にしたことにより、ふとんや枕などで鼻口部が圧迫され低酸素状態となり、嘔吐に引き続き吐物を吸引して窒息した結果、心肺停止となったもので、乳幼児突然死症候群ではない。1.心肺停止で発見された時口、鼻、周囲にはミルクの付着や嘔吐の形跡はなかったと主張するが、母親が枕代わりに使用していたタオルに黄色い吐乳のようなシミを確認していること、動揺しながら少しでも早く蘇生措置を行おうとした看護師、そして、事故が起きた新生児室を通らず直接NICU室に出入りした医師は嘔吐の痕跡を確認できる状況ではなかったため、嘔吐の形跡がなかったという証言は採用できない2.うつぶせ寝では吐物は下に位置するので、位置的に上方になる気管に吐物がはいることはないと主張するが、うつぶせ寝にした場合に気道は食道よりも下になるため、咽喉頭部にたまった吐瀉物を吸引しやすくなるものである3.窒息するほどの吐物誤嚥があれば、新生児であっても不穏な体動を示し看護師が気づくはずであると主張するが、生後3日の乳幼児の運動能力からいって、寝具などに移動した痕跡がなくても不自然ではなく、また、新生児室はNICU室からはみえない位置関係なので看護師が気づかなくても不自然ではない4.蘇生時にみられた気管内からのミルク吸引は、バギングや心臓マッサージによって気管内に入ったものであるとするが、当時の担当医師は口から吹き出したミルク残査を吸引した後で心臓マッサージをしているので、この際に吐瀉された液体が後になって大量に気管内に移動したとは考えられない5.嘔吐したミルクを誤嚥して窒息したのであれば、挿管チューブから細小泡沫が存在したはずであるとするが、本件では粘調性の低いサラサラしたミルク様のものが引け、固まりや気泡は認めなかったと主張するが、担当医師のカルテには「粘調なmilkかすのようなもの大量にひけ」と記載していて、陳述内容と異なる。最小泡沫の存在はミルク誤嚥による窒息を確認する有力な方法ではあるがそれが唯一の方法ではない6.死亡原因は乳幼児突然死症候群(SIDS)であると主張するが、未然型乳幼児突然死症候群があったことを窺わせる何らかの徴候があったことを立証することはできない原告側合計6,881万円の請求に対し、4,855万円の判決考察乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、健康と思われていた乳幼児が主に睡眠中に死亡しているのを発見され、死亡直前の状況や剖検によってもその原因が解明できないという疾患です。1940年頃から欧米で注目され、1969年には米国において一疾患単位として定義され、わが国でも1981年に定義が行なわれました。近年になって、オランダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドから、うつぶせ寝をやめて仰向け寝とすることで、SIDSの発症頻度が低下したという報告が相次いでなされました。■この現象の解釈として(1)うつぶせ寝がSIDSの発症のリスクファクターとして働き、うつぶせ寝に伴うより深い睡眠、さらに覚醒反応遅延が関与して、SIDSの発症に間接的に関わっていたとする考え(小児科診療2000年3月号335頁)(2)うつぶせ寝を止めることにより単純にうつぶせ寝に伴う窒息死が減少したものとする考え。この場合、以前のSIDSとされていた症例には、なかにはうつぶせに伴う窒息死とされるべき症例も多く含まれていたということになる本件は病院側が未然型乳幼児突然死症候群と主張したように、救急蘇生が奏効していったんは救命することができましたので、いわゆる「乳幼児突発性危急事態:apparent life threatening event(ALTE)」という病態となります。厚生省研究班(当時)の定義によると、ALTEは「それまでの健康状態および既往歴からその発症が予想できず、しかも児が死亡するのではないかと観察者におもわしめるような無呼吸、チアノーゼ、顔面蒼白、筋緊張低下、呼吸窮迫などのエピソードで、その回復に強い刺激や蘇生処置を要したもののうちで原因が不詳のもの」とされています。本件では、気管内からミルク様のものを多量に吸引したという事実がありますので、何らかの原因で「嘔吐」したことと、その吐物を「誤嚥」して窒息したことは明らかであると思います。しかし、裁判でも最大の争点となったように、うつぶせ寝によって引き起こされた吐乳・窒息であったのか、それとも原因が不詳のALTE(未然型SIDS)と判断するべきなのか、本当のところはよくわからないと思います。そもそも、SIDSやALTEと判断する決め手となるような検査方法はなく、診断方法自体が除外診断となるため、さらに問題を複雑にしていると思います。もちろん、原告側の主張のように、吐乳が原因で窒息となり、その遠因としてうつぶせ寝にしたことが関与していたという可能性は十分に考えられます。しかし、生まれてから3日間まったく異常がみられなかったこの乳児に対し、今回の出来事を予見するのはまず不可能ではないでしょうか。裁判記録を読んでみると、当時の看護師はほかにも重症の新生児を担当していたので、とくに異常のみられないこの児に付きっきりの看護をするとは思えず、職務上の怠慢があったとか、不誠実な看護を施したとはけっしていえないと思います。もし、新生児室ではなく母親に預けられた段階で今回の出来事が発生していれば、「不幸な出来事」として誰もが納得し、裁判には至らなかったと思います。にもかかわらず、看護師の管理下で「うつぶせ寝にした」という事実だけが大きく取り上げられてしまい、医学的には適切と思える病院側の主張をことごとく否定し、高額賠償の判決へと至りました。もし、病院側に明らかな怠慢や過失が認められたのであれば、このような判決でも納得せざるを得ないのですが、けっしてそのようなことはなかったと思います。そのためもあってか本件は控訴へと至りましたが、一方で病院側の説明にも問題点を指摘することができると思います。それは事故直後から「戻したミルクを再度飲み込み、それが肺に入った」と担当医師は家族に説明し、「誤嚥、窒息」とカルテに記載したにもかかわらず、あとになってから「未然型乳幼児突然死症候群」を主張したり、容態急変時に「嘔吐はない」と異なる内容の証言をして、今回の不幸な出来事は不可抗力であったとしました。どうもこのような一貫しない主張に対し、裁判官の心証が大きく患者側に傾いたのではないかと思います。近年では、乳幼児をうつぶせ寝とすることに対する過剰な反応がみられますので、本件のような不幸な事故の際にうつぶせ寝としていたことがわかると、医療機関側にとってはきわめて不利になると思います。一方でうつぶせ寝にすることのメリットも確かにあり、とくに未熟児や病児には仰向けよりも生理学的に有利であることが示されていますが、SIDS予防キャンペーンなどで「仰向け寝にすること」が推奨されている以上、それに準じた方針を選択せざるを得ないと思います。小児科

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子供の湿疹、重症度の予測因子は?

 米国・オレゴン健康科学大学のJonathan I. Silverberg氏らは、小児湿疹の重症度の状況や関連因子を明らかにするため、住民ベースの検討を行った。米国住民における、湿疹重症度の予測因子は、ほとんど明らかになっていないという。Dermatitis誌2014年5・6月号の掲載報告。 検討は、2007米国小児健康サーベイのデータを分析して行われた。同サーベイでは、全米を代表する小児・青少年(0~17歳)9万1,642例を対象に、前向きな質問票ベースの研究が行われた。 主な結果は以下のとおり。・小児湿疹の有病率は12.97%であった(95%信頼区間[CI]:12.42~13.53%)。軽症が67.0%(同:64.8~69.2%)、中等症が26.0%(同:23.9~28.1%)、重症が7.0%(同:5.8~8.3%)であった。・湿疹重症度の分布には州単位での有意差がみられ(Rao-Scott χ2、p=0.004)、重症例は、中部大西洋岸から中西部の住民で高率に認められた。・単変量モデル解析の結果、湿疹重症度は、高年齢、アフリカ系米国人、ヒスパニック系、低所得、年上の兄・姉がいる、母子家庭、両親の教育レベルや母親の保健衛生、両親の情緒的健康、老朽化した家に住んでいる、住宅周辺が不衛生といった要因があると高まる傾向がみられた。・多変量サーベイロジスティック回帰モデルを用いた段階的および後ろ向き選択での分析では、中等症から重症の湿疹との関連がみられたのは、高年齢、低所得、母親の保健衛生であった。米国外出身者では逆相関の関連がみられた。 以上のデータから、環境および/またはライフスタイル因子が湿疹重症度に重大な影響を及ぼしていることが示唆された。

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