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胎内で若年成人までのBMIが決まる?

 出生時体重がその後のBMIと相関するという報告があるが、遺伝もしくは胎内環境によるのかは不明である。フィンランド・ヘルシンキ大学のAline Jelenkovic氏らが、約8万人の双子のコホートデータを分析したところ、双子の出生時体重と乳児期~成人期のBMIが相関していた。このことから、少なくとも若年成人までは、各々に特有な胎内環境が出生時体重とその後のBMIの関連に重要な役割を果たすことが示唆された。International Journal of Epidemiology誌オンライン版2017年3月19日号に掲載。 17ヵ国の27の双子コホートのデータから、出生時体重と1~49歳におけるBMI測定値の情報のある7万8,642人の双子(一卵性双生児2万635ペア、同性の二卵性双生児1万8,686ペア)のデータをプールした。線形回帰分析を用い、出生時体重とその後のBMIの関連性を個人およびペアで分析した。 主な結果は以下のとおり。・個人での分析では、出生時体重の1kg増加がBMIの最大0.9増加と線形の相関を示した(p<0.001)。・ペアでの分析では、回帰係数が個人での分析よりも概して大きかった(出生時体重1kg増加あたり、BMIが最大1.2増加、p<0.001)。・ペア間の出生時体重とその後のBMIの関連性は、一卵性と二卵性および男性と女性で類似しており、成人期のほうが低かった。

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MRワクチン接種後に失明、偶然か必然かは不明

 予防接種後、まれに眼炎症が観察されることがあるが、ほとんどは永続的な視覚障害を生じることなく回復する。今回、近畿大学医学部眼科学教室の國吉一樹氏らは、インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン、肺炎球菌結合型ワクチンならびに麻疹風疹混合(MR)ワクチン接種後に、両眼の急性失明を来した生後13ヵ月の日本人の健康な男児について報告した。後ろ向きの調査の結果、感染により滲出性網膜剥離とともに重篤な脈絡網膜炎が誘発されてリカバリンに対する自己抗体が産生され、自己抗体が急速に光受容体の機能を変化させたものと推察された。著者らは、「初期の感染はMRワクチン接種に起因した可能性がある」との見解を示したうえで、「われわれの知る限り過去に報告例はないので、ワクチン接種後の失明は偶然の一致によるものかもしれないし、ワクチン接種に関連しているのかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。MRワクチン接種24日後に両眼の急性失明 研究グループは、急性失明を来した生後13ヵ月の日本人の健康な男児のカルテを後ろ向きに調査し、眼底およびフルオレセイン血管造影所見、超音波検査および光干渉断層計(OCT)所見、網膜電図検査所見について検討した。 ワクチン接種後に両眼の急性失明を来した男児のデータを検討した主な結果は以下のとおり。・男児が両眼の急性失明を来したのは、Hibワクチンと肺炎球菌結合型ワクチン接種31日後であり、MRワクチン接種24日後であった。・男児は、失明する10日前に風邪を呈していた。・視力低下発症1日後、超音波検査で滲出性網膜剥離が認められたが、4日後、眼底は正常であった。・男児の眼は物体を追わず、瞳孔対光反射はみられなかった。・前部ぶどう膜炎の徴候はなかった。・副腎皮質ステロイドで治療が行われたが、視力は改善しなかった。・網膜血管は次第に減少し、深部網膜にびまん性の小さな白い斑点状病変が現れた。・OCTで、外顆粒層の菲薄化とエリプソイドゾーンの消失が認められた。・網膜電図は記録できなかった。・これらの所見から、とくに外節の光受容体の重篤な機能障害が示唆された。・血清のウェスタンブロット法の結果、光受容体のカルシウム結合タンパク質であるリカバリンの抗体が検出された。

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うつ病の診断年齢を分析、とくに注意が必要なのは

 年齢、性別によるうつ病の診断および抗うつ薬の使用動向について、デンマーク・コペンハーゲン大学のCharlotte Wessel Skovlund氏らが分析を行った。Nordic journal of psychiatry誌オンライン版2017年3月31日号の報告。 2000~13年、デンマーク在住の10~49歳のすべての男女を含む全国コホート研究。精神医学および処方箋レジストリより、うつ病診断および抗うつ薬に関するデータを抽出した。発症率および1年間の有病率を算出した。主な結果は以下のとおり。・うつ病診断の発症率および1年間の有病率は、2000年から2013年にかけて増加していた。・男女比は、1年間のうつ病診断の有病率および抗うつ薬使用の両方について、女性が男性の2.0倍であった。・若年(adolescent)女性における増加絶対値は、うつ病診断で1,000人当たり3人、抗うつ薬使用で1,000人当たり8人であった。若年男性では、各々、1,000人当たり1.1人、3人の増加であった。・思春期(puberty)前の男女において、同期間中のうつ病診断および抗うつ薬使用の割合は、同程度であった。・思春期後では、女性は男性よりも発症率が有意に高く、研究期間中に男性よりも急激に増加していた。・うつ病診断の男女比を年齢別にみると、女性は、10~11歳の0.8から12~19歳の2.7へ増加し、以降45~49歳の1.5まで、年齢の増加とともに減少した。 著者らは「2000~13年におけるうつ病診断および抗うつ薬の初回使用は、12~19歳の女性において男性よりも多かった。思春期前の発症率は男女間で同様であったが、思春期以降は女性で高くなっていた」としている。関連医療ニュース たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大 うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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IQや社会的地位の低さは、幼少期の鉛曝露と関連/JAMA

 幼少時の鉛曝露が38歳時の認知機能や社会経済学的地位の低さと関連していることが示された。社会経済学的地位の低さの原因の約4割は、知能指数(IQ)の低さと関連していたという。米国・デューク大学のAaron Reuben氏らが、1970年代初頭生まれのニュージーランド出生コホートを前向きに追跡した試験を基に検証したもので、JAMA誌2017年3月28日号で発表した。ニュージーランドでは、1970~80年代の車の排ガス規制が低く、都市部の鉛曝露は国際基準よりも一貫して高かった。また、他のコホートと比べて鉛曝露の社会的格差による違いが観察されておらず、鉛曝露がIQや社会経済学的地位に与える影響について、より信頼性が高い結果が得られた試験だという。11歳で血中鉛値を測定、38歳で成人IQと社会経済的地位を評価 研究グループは、ニュージーランドで行われた1972〜73年の出生から38歳までを追跡した前向きコホート試験「Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study」を基に、幼少期の鉛曝露と成人期の認知機能、社会経済学的地位などについて、その関連を検証した。 具体的には、11歳時点における血中鉛値により鉛曝露の程度を判定した。主要評価項目は、38歳時点の「ウェクスラー成人知能検査-IV」(WAIS-IV)によるIQで、副次的評価項目は言語理解、知覚推理、作業記憶、処理速度の指標だった。また、社会経済学的地位について、38歳時点で「ニュージーランド社会経済学的地位指標-2006」(NZSEI-06)に基づいて評価した。幼少時血中鉛値の5μg/dL増加ごとに、成人時のIQスコアは1.61低下 同コホート試験の当初の被験者数は1,037例で、そのうち38歳で生存が確認できたのは1,007例だった。また、11歳で鉛曝露の検査を受けたのは565例で、血中鉛値の平均値(SD)は10.99(4.63)μg/dLだった。 鉛曝露検査を受けた被験者の38歳時点のWAIS-IVスコア平均値は101.16(14.82)、NZSEI-06スコア平均値は49.75(17.12)だった。 母親のIQ、幼少時IQ、幼少時の社会経済学的地位を補正後、幼少時の血中鉛値の5μg/dL増加ごとに、成人時のIQスコアは1.61ポイント低下、知覚推理指標は2.07ポイント低下、作業記憶指標は1.26ポイント低下がそれぞれ認められた。一方、言語理解や処理速度指標については、有意な関連はみられなかった。 交絡因子で補正後、幼少時の血中鉛値5μg/dL増加ごとに、成人時の社会経済学的地位1.79ポイント低下との関連がみられた。 幼少時の血中鉛値と幼少~成人時のIQ・社会経済学的地位の低下について、その関連の40%は幼少時からのIQ低下が原因であると示唆された。

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ポンペ病は早く気付いてほしい難病

 2017年3月30日、都内においてサノフィ株式会社は、4月15日の「国際ポンペ病の日」を前に、「治療方法がありながらも診断がつきにくい希少疾患『ポンペ病』」をテーマとしたメディアセミナーを開催した。セミナーでは、ポンペ病の概要についての講演のほか、患者・患者家族から「早く確定診断がなされ、治療ができる体制を望みたい」と要望が寄せられた。ポンペ病は小児だけの疾患ではない はじめに埜中 征哉氏(国立精神・神経医療研究センター病院 名誉院長)が、「治療可能になった遺伝性筋疾患~糖原病II型(ポンペ病)~」と題して、疾患概要を解説した。 ポンペ病は、筋疾患の中でも遺伝性代謝疾患である糖原病の1つに分類され、グリコーゲン分解に不可欠なライソゾーム酵素の欠損により、グリコーゲンの蓄積とライソゾームの巨大化を招き、筋肉に多量のグリコーゲンが蓄積される病態である。 ポンペ病の患者数は、わが国では10万人当たり0.1~0.3例とされているが、多くの見逃し例があると考えられている(参考にオランダでは10万人当たり2.5例、台湾では10万人当り5.9例)。 ポンペ病の症状は、大きく乳児型と遅発型(小児/成人型)の2種類に分けられる。 乳児型は生後数ヵ月より発育の遅れが観察され、特徴として頸屈筋の筋力低下、早期からの呼吸障害、心筋障害、肝臓腫大のほか、独歩・歩行困難がみられ、大腿部の筋肉の成長がみられないという。 遅発型は1~70歳と幅広い年代で発症が報告され、特徴として筋ジストロフィーに似た筋力低下(とくに下肢)、高血清クレアチンキナーゼ(CK)値の異常、呼吸筋が侵されやすいなどが挙げられる。とくに背部筋肉の萎縮は強く、側彎などもみられるという。ポンペ病は新生児スクリーニングで早期診断を ポンペ病の診断としては、臨床的診断のほか、病理診断で筋生検によるライソゾームの確認、生化学診断によるろ紙スクリーニング検査での酵素活性測定などが行われる(現在、国立成育医療センターをはじめ国内4ヵ所で可能)。また、遅発型であれば、CT所見で筋肉の萎縮(手の筋肉は維持されているのに、下腿が萎縮しているのが特徴)なども診断の助けとなる。 ポンペ病の治療では、呼吸管理、嚥下障害や歩行困難への対症療法のほかに、ヒト型酵素アルグルコシダーゼ アルファ(商品名:マイオザイム)が酵素補充療法として使用されている。マイオザイムは、隔週にて点滴静脈内投与を行うもので、患者は生涯続けることとなる。わが国では2017年3月現在、86例(乳児型11例、遅発型75例)のポンペ病患者が同薬で治療中という。 実際の効果について台湾から新生児スクリーニングで見いだされた5例の乳児型(生後11週以内に治療開始)では、24ヵ月を超えて生存できなかった従来群と比較して生存率が80ヵ月を超え、独歩ができない従来群と比較し20ヵ月までには独歩できる状態まで回復したことが報告され、早期の治療介入がより有効であることが示された1)。また、遅発型での治療では、乳児型のような劇的な効果は期待できないが、症状の進展を防ぐ、たとえば呼吸機能の維持などが期待できるという。 最後に埜中氏は、「本症は、まだ臨床現場で見逃されている可能性があり、とくに(1)筋ジストロフィーと診断された例、(2)筋疾患で診断がついていない例、(3)CK値が高い患者には、本症も念頭に入れて診断していただきたい。また、ポンペ病の簡単な診断法としてろ紙血による酵素活性測定があるので、わが国でも新生児の網羅的な検査ができるようになれば、早期の診断で有効な治療ができるのだから、早く制度化されることを望む」と述べ、講演を締めくくった。ポンペ病コールセンター 電話番号 0120-740-540 2017年4月15日(土)~5月12日(金)の期間限定 平日 9:00~17:00(土日祝日はお休み。ただし4月15・16日は受付)

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Dr.宮本のママもナットク!小児科コモンプラクティス

第1回 熱性けいれん 第2回 運動発達の遅れ 第3回 母乳育児と体重増加不良 第4回 発達障害 第5回 食物アレルギー 第6回 子どもの風邪薬 子どもの診療には単に病気を治すという以上の難しさがあります。診断や薬剤の選択だけでなく、慌てるお母さんへ説明してもなかなか納得してもらえなくて困ったことはありませんか? このDVDでは、小児科専門医である宮本雄策先生が、小児を診療しているとよく出合う問題をピックアップし、臨床上のポイントをわかりやすくレクチャーします。それだけでなく、お母さんに対しての接し方や説明の仕方をロールプレーで実演するので、実際の診療に役立つこと間違いなしです。 宮本先生によるGノート(羊土社)での好評連載「小児科医 宮本先生,ちょっと教えてください!」との連動企画!ぜひGノートもチェックしてください!第1回 熱性けいれん2回目の熱性けいれんを起こした2歳児の母親が、診察室に駆け込んできました。「坐薬使ったほうがいい?」と心配しています。子どもはけいれんがおさまって、すっかり元の状態です。さてこんなとき、どんな対応をすればよいのでしょうか?熱が出たらすぐにジアゼパムを投与?慌てているお母さんを落ち着かせるためには?小児科専門医の宮本雄策先生が、わかりやすくレクチャーします。第2回 運動発達の遅れ 「1歳の息子がまだハイハイもつかまり立ちもしない」と話すお母さん。発達の遅れが疑われる子どもに対して、どんなところを確認すればよいのでしょうか?ポイントは、消えるべき反射、出現すべき反射。宮本先生が実際に行っているお母さんへの説明の仕方をぜひ参考にしてください。第3回 母乳育児と体重増加不良 母乳育児を続けたお母さんが、4ヵ月検診で「赤ちゃんの体重が増えてない」と怒られたとのこと。まず確認するのは、赤ちゃんの成長曲線です。どのような経過をたどれば正常で、どのような状況だと母乳不足なのか。大切なのは、「成長の過程を見る」ことです。第4回 発達障害 最近、「落ち着きがない」「集団生活になじめない」と、発達障害を心配して相談にくる親子が増えています。そもそも、発達障害とは何でしょうか?発達障害の子どもは叱ってはいけない?情報が錯綜する分野だからこそ、しっかりと筋道立てた宮本先生の解説はまさに納得です。第5回 食物アレルギー 外出先で親子丼を食べたら蕁麻疹が出た1歳6ヵ月の男児。即時型症状のある食物アレルギーの診断においては、最初の問診が重要です。いつ、何を、どのくらい食べて、症状が出たか。今までに食べられたものをきちんと確認しましょう。「もうその食材は食べさせられないの?」と心配するお母さんへの対応も必見です。第6回 子どもの風邪薬風邪症状の1歳6ヵ月男児。風邪薬をまったく飲まなくなったと、お母さんが困っています。薬を飲ませるときの宮本先生おすすめの方法や、それぞれの薬のメリットとデメリットについてわかりやすく解説。抗ヒスタミン薬を処方する際の、宮本先生が実践しているルールはとても参考になります。

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若年糖尿病の合併症は1型よりも2型のほうが多い(解説:小川 大輔 氏)-658

 世の中の関心は高齢者に向かっている。2017年1月、日本老年学会などが高齢者の定義を、現在の65歳以上から10歳引き上げて75歳以上に見直すよう提言した。また、3月12日から改正道路交通法がスタートし、75歳以上の高齢者が運転免許証を更新するときに認知機能検査が義務付けられ、認知症の恐れがあれば医師の診断が必要となった。 糖尿病関連でも2016年に高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が発表され、認知機能やADLなどに応じて治療目標を設定することがようやく推奨されるようになった。ただ、合併症予防のための血糖コントロール目標はHbA1c 7.0%未満であり、さらに若年者などで血糖正常化を目指す際の目標は6.0%未満であることは現在も変わっていない1)。 合併症といえばつい高齢者を連想してしまうが、若年者でも発症することを忘れてはいけない。成人前に1型あるいは2型糖尿病と診断された患者の、合併症の頻度を比較した試験はこれまであまりないが、このたびJAMA誌に、若年発症の1型および2型糖尿病患者の合併症を比較した結果が報告された。 この試験は、米国で1型または2型糖尿病と診断された20歳未満の若年糖尿病患者を対象に、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害や高血圧症などの調査が行われた。解析対象は2,018例で、これまでに行われた若年糖尿病患者の試験より規模が大きい。糖尿病罹病期間は、1型および2型糖尿病とも平均7.9年であったが、糖尿病合併症の有病率は1型で32%、2型で72%と、2型糖尿病のほうがかなり高いという結果であった。また驚いたことに、種々のリスク因子で補正しても、2型のほうが1型よりも糖尿病合併症の有病率が高いことが示された。この差が病態の違いに起因するものかどうなのか、さらなる検討が必要である。 小児期や思春期に診断された若年糖尿病患者は、1型および2型糖尿病とも合併症の有病率が高く、早期からの合併症予防対策が必要であることはいうまでもない。そのためには高齢者と同様に、若年者にも関心を寄せることが大切であろう。

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患者・家族とのトラブル、どう解決すべき!? 2017年“モンスターペイシェント”事情

“モンスターペイシェント”という言葉が使われるようになって久しいですが、診療で対応した患者やその家族とのトラブルや事件は後を絶ちません。「モンスター化させないことが大切」とは言うものの、実際皆さんどのように対応していますか? 医師1,000人から聞いたその実態と、対応策とは…。結果概要2人に1人以上が暴言や暴力、“通常の域を超え、診察に著しい影響を及ぼすレベル”の要求やクレーム経験あり全体では55.1%の医師が「経験がある」と回答した。2013年にケアネットが行った同調査では67.1%であったのと比較してやや減少したものの、依然として2人に1人以上が何らかの経験があることがわかった。経験の頻度は、1年に1度以下が最も多かったが、「月に1度」以上の人があわせて11.5%にのぼり、わずかではあるが「週に2~3度以上」(1.3%)と答えた人も。暴言、ネットへの誹謗中傷の書き込み、なかには立件レベルの事案も内容としては、「スタッフの対応が気に食わないなどのクレーム」が最も多く(47.2%)、「自分を優先した診療ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く」(33.4%)、「治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張」(30.3%)、「不要な投薬・過剰な投薬を要求」(23.6%)などが続いた。とくに悪質なケースとしては、「『訴える』『殺す』『暴力団関係者を連れてくる』『マスコミに流す』などと脅迫」(18.3%)や、「自身やスタッフに暴力を振るう」(15.1%)などがあり、「看護師の首を跡が残るくらい絞めた」「病室で拳銃を発砲」といったエピソードも寄せられた。3割超で対応マニュアル・ガイドライン整備。現場では警察OBが活躍、悪質なケースでは110番通報も患者やその家族とトラブルになった場合の最終的な対応として、およそ3人に1人が「以後の診察を拒否した」と回答。以下、「他の医師と担当を交代」(18.7%)「転院させた」(17.8%)などが続いた。一方、「とくに対応はしなかった」人は33.4%にのぼり、全選択肢の中で最も多い回答だった。「なるべく話を妨げずに聞き、嵐が去るのを待つ」など、ひたすら傾聴するというコメントも少なくなかったが、「カルテに詳細を記録する」「ICレコーダーは必須」などの証拠保全策、「すぐに対応部署に介入してもらう」「警察への通報を躊躇してはいけない」などの回避策も挙がった。また、「警察OBを雇用している」との回答は14.0%で、対応を一任できる安心感があるとのコメントが多かった。このほか、ネットの掲示板への誹謗中傷の書き込みや、患者のストーカー化など、精神的負担を強いられるエピソードも複数見られた。設問詳細診療で関わった患者・家族とのトラブルが発端となった事件が後を絶ちません。医療現場では今、何が起こっているのでしょうか。そこで、患者・家族からの暴言や暴力、通常の域を超えた要求やクレームにまつわる経験や対応について、皆さんが日常診療の中で遭遇した実例や対応策を、ぜひお聞かせください。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動や要求、クレームを受けたことがありますかあるないQ2.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その頻度について最も近いものをお答え下さい週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヵ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q3.(Q1で「ある」と回答した方のみ)その内容について当てはまるものをすべてお答え下さい(複数回答可)自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返す診察を受けずに投薬のみ要求不要な投薬・過剰な投薬を要求治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張検査・診察・食事・内服等を拒否入院を強要退院を拒否治療費・入院費を払わない「スタッフの対応が気に食わない」などのクレーム事実と異なることを吹聴(SNSへの書き込みなども含む)土下座など度を越した謝罪を要求「訴える」「殺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫自身やスタッフに暴力を振るうQ4.(Q1で「ある」と回答した方のみ)上記の患者・家族への対応で、ご経験があるものをお答え下さい(複数回答可)他の医師と担当を交代転院させた以後の診察を拒否弁護士・司法書士等に相談警察に相談警察に通報、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したとくに対応はしなかったQ5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい(複数回答可)対応マニュアルやガイドラインがある対策システムがある防犯・対策セミナーや訓練を実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板等を掲示しているICレコーダー・カメラ等を設置しているとくに対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内体制など何でも結構です)コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)エピソード夫が暴力団関係者であると脅され、患者に有利になるよう診断書を書くことを強要された(50代、整形外科)。ほか、診断書の内容についてのクレーム・過度の要求2件。入院中に無断外出しアルコールを飲んだうえ、暴言をはかれた。スタッフの協力によって解決したが、そのために使った時間と体力、精神力は大きなものだった(30代、神経内科)。ほか、無断外出によるトラブル2件。酔っ払い相手で困った経験がある。殴られ、刑事事件とした(40代、消化器内科)。ほか、直接暴力を受けたというコメント2件。救急外来での対応に不満を持ち、いったん帰宅して包丁を持って来院した患者がおり、以来救急外来に監視カメラが設置された(50代、麻酔科)。ほか、救急・夜間診療でのトラブル5件。ミュンヒハウゼン症候群の患者への対応に苦慮。精神神経科医や臨床心理士のサポートが不足している病院が少なくないように感じる(50代、内科)。ほか、精神疾患や認知症患者への対応についてのコメント7件。生活保護受給者が、売買目的で不必要な薬を大量に要求してくることが毎日のようにある(50代、泌尿器科)。ほか、生活保護受給者に関するトラブル4件。治療が家族の見立て通りに進まないことへの苦言から、威嚇行為に発展したことがある(30代、膠原病・リウマチ科)。ほか、家族への対応でのトラブル7件。患者にストーカー状態でつきまとわれ、病棟まで追いかけてこられた(30代、皮膚科)。ほか、ストーカーまがいのトラブル1件。ネット上の口コミで辛辣な書き込みをされて困っている(50代、内科)。ほか、ネット上での誹謗中傷1件。対策<複数での対応>問題がありそうな患者に対応するときは医師以外に看護師、事務スタッフを横に置き、必ずメモを取り、カルテにも記載する(60代、産婦人科)。基本的には別のスタッフが対応したり、複数で対応することで鎮静化することが多い(50代、循環器内科)。ほか、複数での対応が有効というコメント46件。<情報共有・専任部署の設置>上位の責任者を決めておくことは必須(50代、神経内科)。ほか、上司・院長などへの報告システムが重要とのコメント12件。日ごろから問題に発展しそうな事例についての情報共有と対策検討が不可欠(40代、精神科)。ほか、情報共有が重要というコメント34件。専任の医療安全部看護師が対応する(40代、内科)。ほか、クレーム対応部署等専任者・部署の設置39件。医療安全カンファレンスを定期的に開催している(20代、臨床研修医)。ほか、研修会等の開催5件。院内放送で、職員が集まるシステムになっている(50代、糖尿病・代謝・内分泌内科)、ほか、院内放送の活用5件。<接遇・態度>理不尽な要求は対応できないとはっきり伝え、以後は警察等を通すように言う(50代、内科)。ほか、毅然とした態度が重要というコメント23件。できるだけ入院や手術治療前に対応する(40代、消化器外科)。ほか、早め早めの対応が重要というコメント7件。患者が興奮している時は、なるべく刺激するようなことを言わない(60代、リハビリテーション科)、なるべく話しを妨げずに聞いて落ち着くのを待つ(50代、皮膚科)。ほか、まずは傾聴・丁寧な姿勢で臨むというコメント30件。<記録・録音>目の前でICレコーダーで記録を取っていることを見せている(40代、腎臓内科)。ほか、ICレコーダーが有効とのコメント3件。言葉を選んで話し、カルテに詳細に記録を残す。カルテ開示を念頭に置き、冷静に記載する(50代、皮膚科)。ほか、カルテへの詳細記録が有効とのコメント6件。<マニュアル・ガイドライン>マニュアルを各部署に配布し、理不尽な要求には応じないよう徹底している(50代、消化器内科)。ほか、マニュアルについてのコメント21件。<弁護士・警察・警備会社>トラブルが起こりそうな場合は、弁護士に連絡する体制をとっている(40代、消化器内科)。ほか、弁護士への相談体制が重要とのコメント5件。病院が警察OBと契約し、暴力事例への不安が軽減された(50代、循環器内科)。ほか、警察OBの雇用・常駐が有効とのコメント15件。違法な行為があればすぐに通報する(40代、小児科)。ほか、躊躇せず、すばやい通報が重要とのコメント6件。警備会社の自動通報システムが有効(60代、精神科)。ほか、民間警備会社の活用4件。

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ネズミ由来の小児喘息に総合的有害生物管理は有効か/JAMA

 米国では、ネズミのまん延が、都市近郊の低所得層居住区に特有の問題となっており、ネズミに感作した喘息児がネズミ由来アレルゲンに曝露すると、感作あるいは曝露がない患児に比べ喘息症状の発現頻度が高いとの報告がある。また、専門家が行う総合的有害生物管理(integrated pest management:IPM)による介入は、ネズミ由来アレルゲン濃度を低下させることが知られている。そこで、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のElizabeth C Matsui氏ら研究グループは、有害生物管理教育へのIPMの併用による喘息症状の抑制効果を検証する無作為化臨床試験(MAAIT試験)を行った。研究の成果は、JAMA誌2017年3月6日号に掲載された。361例で喘息症状の発現日数を評価 MAAIT試験の対象は、ボストン市およびボルチモア市の都市部に居住する年齢5~17歳のネズミ感作およびネズミ由来アレルゲン曝露がみられる持続型喘息の青少年で、前年に増悪がみられた患者であった。 被験者は、専門家によるIPMと有害生物管理教育を受ける群または有害生物管理教育のみを受ける群にランダムに割り付けられ、1年間の治療が行われた。IPMには、殺鼠剤の使用、侵入口となり得る穴の封鎖、捕獲罠の設置、アレルゲン曝露源の除去を目的とする清掃、アレルゲンが確認されたマットレスと枕への防御カバーの装着、移動式空気清浄機が含まれた。 3ヵ月ごとにネズミの発生状況を評価し、まん延が持続または再発生した場合は治療を追加した。すべての被験者が、捕獲罠や穴の封鎖、清掃法に関する資料や実際のやり方の説明書などを用いた有害生物管理教育を受けた。 主要評価項目は、6、9、12ヵ月時の直近2週間における3つの症状(喘息による活動性の減弱、就寝中の喘息症状による覚醒、咳嗽・喘鳴・胸部圧迫感の発現)のうち、最も多い症状の発現日数とした。 2010年5月~2014年8月に、361例(平均年齢:9.8[SD 3.2]歳、女児:38%)が登録された。IPM追加群に181例、有害生物管理教育単独群には180例が割り付けられ、それぞれ166例、168例が主要評価項目の解析に含まれた。最大症状発現日数に差はない 全体として、低所得層とマイノリティが多くを占め、直近2週間の3症状の最大発症日数中央値は3.0日、前年の喘息による緊急受診中央値は2回であった。 有害事象は、IPM追加群が4件、有害生物管理教育単独群は2件認められたが、いずれもデータ収集作業に関連するものであった。 6、9、12ヵ月時の最大症状発現日数中央値は、IPM追加群が2.0日(IQR:0.7~4.7)、有害生物管理教育単独群は2.7日(同:1.3~5.0)であり、両群間に統計学的に有意な差は認めなかった(p=0.16)。また、追加群の単独群に対する症状発現率比は0.86(95%信頼区間[CI]:0.69~1.06)だった。 副次評価項目(3つの個々の症状、運動時の症状、短時間作用型β受容体刺激薬の使用、緊急受診、入院、救急診療部受診、肺機能、経口ステロイド薬の短期投与など)は、いずれも両群間に有意な差はなかった。 また、寝室のある階のネズミ由来アレルゲンが75%以上減少した患者の割合(IPM追加群:63% vs.有害生物管理教育単独群:58%、p=0.45)および90%以上減少した患者の割合(46% vs.41%、p=0.44)に、有意差はみられなかった。空中および寝台塵中のネズミ由来アレルゲンの減少についても、同様の結果であった。 著者は、「有害生物管理教育にIPMを併用しても、有害生物管理教育単独に比べ6~12ヵ月時の最大症状発現日数は改善しなかった」とまとめ、「IPMによる喘息症状の抑制には、住居内のネズミ由来アレルゲンの実質的な減少は関連しない可能性が示唆される」と指摘している。

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妊婦の肥満、子の脳性麻痺と関連?/JAMA

 母親の過体重や肥満は、早産、新生児仮死関連合併症、先天奇形のリスクを増加させ、これらの病態が新生児の脳性麻痺と関連することが知られているが、母親の過体重、肥満の重症度と子の脳性麻痺の直接的な関連やそのメカニズムは不明とされる。この問題を解明するために、米国・ミシガン大学/スウェーデン・カロリンスカ研究所のEduardo Villamor氏ら研究グループは、地域住民をベースとするレトロスペクティブなコホート研究を実施した。研究の成果は、JAMA誌2017年3月7日号に掲載された。142万例以上の子で、脳性麻痺と母親のBMIの関連を評価 本研究では、妊娠早期のBMI値と、妊娠期間別の脳性麻痺発生率の関連が検討され、媒介因子の評価が行われた。1997~2011年にスウェーデンで単胎児として出生した子と母親の全国的な登録データが用いられた。子の脳性麻痺の追跡調査は2012年まで行われた。 妊娠早期のBMIは、妊娠中の初回受診時に妊婦によって報告された身長と体重から算出した。妊婦の90%は、妊娠14週以内に初回の受診をしていた。WHO基準に従い、低体重(BMI<18.5)、標準体重(同18.5~24.9)、過体重(同25.0~29.9)、肥満1度(同30.0~34.9)、肥満2度(同35.0~39.9)、肥満3度(同≧40.0)に分類した。妊娠期間は、正期産(≧37週)、中等度早産(32~36週)、超早産(28~31週)、極早産(22~27週)に分けて解析した。 主要評価項目は脳性麻痺の発生とした。妊婦の出産時年齢、出身国、学歴、パートナーとの同居、身長、妊娠中の喫煙、出産年で補正したハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 142万3,929人の子が解析の対象となった。平均妊娠期間は39.8(SD 1.8)週、51.4%が男児であった。母親の肥満度が上がるほど増加、早産児では関連なし フォローアップ期間中央値7.8年(IQR:4.3~11.7)の間に、3,029人の子が脳性麻痺と診断された(発生リスク:生児出生1,000人当たり2.13人、発生率:1万人年当たり2.63人)。 母親の脳性麻痺リスク因子として、低学歴、北欧以外の国の出身、パートナーと同居していない、初産および経産回数が4回以上、低身長、妊娠中の喫煙、糖尿病性疾患、高血圧性疾患が挙げられた。 また、子の脳性麻痺リスク因子は、男児、短い在胎週数、器械分娩、分娩時外傷、出生時体重が<10および>97パーセンタイル、新生児感染症、新生児仮死関連合併症(胎便吸引、低酸素性虚血性脳症と関連疾患、新生児発作)、Apgarスコアが<7点、先天奇形(染色体異常、心血管奇形、神経系奇形など)であった。 母親の妊娠早期の平均BMIは24.5(SD 4.4)であった。低体重が2.4%、標準体重が61.8%、過体重が24.8%、肥満1度が7.8%、肥満2度が2.4%、肥満3度は0.8%であった。母親のBMIカテゴリー別の脳性麻痺児の数は、低体重64人、標準体重1,487人、過体重728人、肥満1度239人、2度88人、3度38人であり、1万人年当たりの発生率は、それぞれ2.58、2.35、2.92、3.15、4.00、5.19人だった。 標準体重の母親の子との比較における脳性麻痺の補正HRは、低体重が1.09(95%CI:0.84~1.41)、過体重が1.22(同:1.11~1.33)、肥満1度が1.28(同:1.11~1.47)、2度が1.54(同:1.24~1.93)、3度は2.02(同:1.46~2.79)と、肥満度が上がるほど上昇し、有意な関連が認められた(傾向検定:p<0.001)。 脳性麻痺児のうち、正期産は71%、中等度早産は13%、超早産は10%、極早産は6%であった。脳性麻痺発生率が、母親の過体重、肥満の重症度が上がるにしたがって上昇したのは、正期産の子のみであり(傾向検定:p<0.001)、早産児では有意な関連を認めなかった。 媒介分析では、母親の肥満が正期産児の脳性麻痺を引き起こす可能性と最も関連の強い媒介因子は新生児仮死関連合併症(45%)であり、次いで低Apgarスコア(30%)、器械分娩(17%)、神経系奇形(13%)の順であった。 著者は、「母親の過体重、肥満は子の脳性麻痺の発生率と有意に関連するが、これは正期産児に限られ、新生児仮死関連合併症の寄与が大きいと考えられる」とまとめ、「高い肥満有病率と、最も重症度の高い肥満の持続的な増加を考慮すると、母親の肥満と子の脳性麻痺の用量-反応的な関連は、公衆衛生学上の深刻な問題となる可能性がある」と指摘している。

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膠芽腫〔GBM: glioblastoma multiforme〕

1 疾患概要 ■ 概念・定義 膠芽腫(glioblastoma multiforme: GBM)は、悪性脳腫瘍の中で最も頻度が高く、かつ生物学的にもっとも未分化な予後不良の悪性新生物(brain cancer)である。高齢者の大脳半球、ことに前頭葉と側頭葉に好発し、浸潤性増殖を特徴とする。 病理学的に腫瘍細胞は異型性が強く、未分化細胞、類円形細胞、紡錘形細胞、多角細胞および多核巨細胞より構成され、壊死を取り囲む偽柵状配列を特徴とする(pseudopalisading necrosis)。 WHO grade IVに分類され5年生存率は10%、平均余命は15ヵ月。分子生物学的特徴から2型に分類される。イソクエン酸脱水素酵素(IDH1: isocitrate dehydrogenase 1)遺伝子のコドン132のアルギニン(R)がヒスチジン(H)に点変異を有することにより、分化度の高いWHO grade II、IIIの星細胞腫から悪性転換(malignant transformation)した続発性膠芽腫(secondary GBM)とIDH1の変異を伴わない原発性膠芽腫(primary GBM)とに区別される。両者ともGBMとしての予後に差異はなく、半年から1年程度である(表)。 前者では、TP53 mutation(>65%)、ATRX mutation(>65%)に続いてLOH 19q(50%)、LOH 10q(>60%)、TERT mutation(30%)が引き起こされる。一方、後者の遺伝子異常とその頻度はTERT mutation(70%)、EGFR amplification(35%)、TP53 mutation(30%)、PTEN mutation(25%)、LOH 10p(50%)、LOH 10q(70%)である。 画像を拡大する Grade Iは、小児に多い分化型腫瘍で予後が良い(10年生存は80%以上)。 Grade II、IIIは、1年から数年でGrade IVに悪性転換する。これとは別に、初発から神経膠芽腫として発症するタイプがある。いずれの神経膠芽腫も予後はきわめて悪い(5年生存率10%)。 BRAF: B-Raf proto-oncogene、serine/threonine kinaseでRAS/RAF/MEK/MAPKシグナル伝達の主要な役割を担う。 TP53: p53をコードする遺伝子 G-CIMP: CpG island methylation phenotype DNA修復酵素MGMTのプロモーター領域のメチル化を示す表現型。この表現型ではMGMTの蛋白発現は抑制されるため、予後良好のマーカーとなる。GBM患者でCIMP+は若年者、腫瘍の遺伝子表現型がproneural typeに多く全生存期間の延長に寄与する。 ATRX: alpha-thalassemia/mental retardation syndrome x-linked geneで、この遺伝子の変異は、テロメアの機能異常からテロメアの伸長(alternative lengthening of telomeres: ATL)を来す。 なお、遺伝子表現型とグリオーマ予後との関連は、次の文献を参考にした。Siegal T. J Clin Neurosci. 2015;22:437-444. 欧州で施行された臨床試験においてテモゾロミド(TMZ[商品名:テモダール])併用群(2年生存率26.5%、平均全生存期間14.6ヵ月)が、放射線治療(RT)単独治療群(2年生存率10.4%、平均全生存期間12.1ヵ月)に比して、有意差をもって生存期間の延長が認められ、TMZ + RTがGBMの標準治療とされている。 GBMは、このように予後不良で“がんの中のがん”といい得るため、創薬の対象となり、さまざまな臨床試験や新規治療薬が開発されている。GBMの根本治療の創出が今後の大きな課題である。 ■ 疫学 国内における原発性脳腫瘍患者(年間2万人、人口10万人につき14人)のうち、GBMは2,220人で、悪性脳腫瘍の中で最も多く、11.1%を占める。 大脳半球白質に好発し(前頭葉35%、側頭葉25%、頭頂葉18%、後頭葉6%)、時に脳梁を介して対側半球へ浸潤する。平均発症年齢は60歳、45~75歳の中高年に多く、 原発性膠芽腫が9割を占め、その平均発症年齢は62歳、続発性膠芽腫は平均45歳と若い。男性が女性の1.4倍多く、小児ではまれであり、成人と異なり脳幹部、視床、基底核部に好発する。 ■ 病因 発生起源細胞の同定および腫瘍形成の分子機構は解明されていない。 BaileyとCushing(1926年)は、組織発生を念頭に起源細胞に基づいた組織分類を提唱し、脳腫瘍を16型に分類し、glioblastomaの起源細胞をbipolar spongioblast(双極性突起を持つ紡錘型細胞)とした。 WHO脳腫瘍分類に貢献した群馬大学の石田陽一は、膠芽腫を星細胞腫とともに星形グリアの腫瘍と定義した1)。石田の正常な星形グリアとグリオーマの電顕像での詳細な観察によると、 血管壁まで伸び足板を壁におく太い細胞突起には、8~9nmの中間径フィラメントと少量の20~25nmの微小管とグリコーゲン顆粒を有する星形グリアとしての形質が、分化型の星細胞種でよく保たれており、膠芽腫でも保持されていることから、グリオーマを腫瘍性グリアと考察した。さらに星芽細胞腫(astroblastoma)は、腫瘍細胞が血管を取り囲んで放射冠状に配列されていることから、血管足が強調された腫瘍型とした。このように多くの病理学者が、星細胞腫をアストロサイトの脱分化した腫瘍と定義している。 発生学的には、げっ歯類の観察から、成体脳においても脳室周囲の脳室下帯(SVZ)や海馬歯状回(DG)において、neural stem cell/glial progenitorの活発な嗅球や顆粒細胞層へのmigrationが確認されていた。James E Goldmanらは、グリオーマ細胞の特性である高い遊走能は、neural stem cell/glial progenitorの特性を反映していると推察している2)。Fred H Gageらは、ブロモデオキシウリジンをヒトに投与することで、高齢者においてもSVZとDGではDNA合成するNeuN陽性細胞を同定し、neural stem cell/neural progenitorの存在を確認したと報告した3)。Sanai Nらは、ヒトSVZ生検材料を用いた培養系の研究から、脳室壁ependyma直下のastrocyteが、neural progenitorであると判定した4)。状況証拠的には、 現時点で直接証明はなされていないがneural stem cell/glial progenitorが、グリオーマ細胞の起源細胞の有力な候補であると思われる。さらに原発性GBMと続発性GBMでは、前述したように遺伝子異常のパターンが異なるため、起源細胞が異なる可能性も示唆される5、6)。 以上のほか、歴史的にグリオーマの病因としては、グリア(アストロサイト)の脱分化とする考えと、前駆細胞のmaturation arrestとする説がある。 近年、携帯電話の普及に伴い、公衆衛生学的観点からは、ラジオ波電磁界の発がん性の懸念が提起されている。山口によると7)、携帯電話と神経膠腫に関する疫学調査では、デンマークの前向きコホート調査が実施されたが、10年以上の長期契約者でもリスクの上昇を認めなかった。スウェーデンにおける症例対照研究では、10年を超えて携帯電話端末を使用した群では、非使用群と比較して2.6倍のリスクが指摘された。日本も参加した国際共同研究「INTERPHONE研究」では、累積使用時間が1,640時間以上でオッズ比1.4倍と、有意な上昇を示した。 以上から、携帯電話は人にがんを生じさせる可能性があると判定されている。 ■ 症状 腫瘍塊周囲に脳浮腫を伴いながら急速に浸潤性に増殖するため、早ければ週単位で、少なくとも月単位で症状が進行する。初発症状としては頭痛(31%)が最も多く、次いで痙攣(18%)、性格変化(16%)や運動麻痺(13%)などの巣症状が多い。 症状は、腫瘍の発生した場所の脳機能の障害を反映するのが基本である。また、病変が進行し、広範に浸潤すると症状は顕著となる。たとえば両側前頭葉に浸潤する症例では、性格変化、意欲低下、尿失禁、下肢の麻痺が出現する。一側では、初期には徴候は目立たず、徐々に腫瘍塊を形成し、脳浮腫が顕著になると具現化する。側頭葉腫瘍では、優位半球の病変では失名詞などの失語症状や4分の1半盲などが出現しやすい。また、視野症状に、患者自身が気付いていないことが多い。 前述したように、腫瘍局在に応じた神経学的局在症状の出現が基本であるが、たとえば前頭葉に局在する腫瘍でも神経回路網(frontal-parietal networks)を介して、頭頂葉の症候が認められることがあるので注意しなければならない。 具体例として、右側前頭葉病変ではいつも通りに職場へ通勤できなくなるなどの空間認知能の低下や、左側前頭葉腫瘍では失書・失算や左右失認など優位半球頭頂葉症状としてのゲルストマン症状が認められるなどの例が挙げられる。このような症例では、画像検査で大脳白質を介する脳浮腫が顕著である場合が多い。 小児や若年者では、ひとたび頭痛や吐気などの頭蓋内圧亢進症状が出現すると、急速に脳ヘルニアへと進行し、致命的な事態になるので、時期を逸せず迅速に対応することが重要となる。時として脳腫瘍患者は、内科・小児科、精神科において感冒、インフルエンザ、下痢・嘔吐症、認知症、精神疾患として誤診されている場合もある。たまたま下痢・嘔吐症が、流行する時期に一致すると、症状のみの診断では見逃される可能性が高くなりやすい。 そのため、器質的疾患が強く疑わしい症例に限定して画像検査(MRI)を施行するのではなく、症状が軽快せず、進行・悪化している場合には、致命的な見逃しをなくすため、また、器質的な疾患をスクリーニングするためにも、脳画像検査を診療の早期に取り入れる視点が大切であろう。これによりカタストロフィックな見逃しは回避でき、患者の生命および機能予後の改善につなげることができるからである。強く疑わしい症例でなくとも、鑑別診断をするために、脳神経外科を紹介しておく心がけも重要である。 ■ 予後 標準治療、すなわち外科的な切除後にTMZを内服併用した放射線化学療法施行患者の全生存期間(OS)は、15ヵ月程度である。IDH1野生型で9.9ヵ月、IDH1変異型で24.0ヵ月である。ヒト化モノクロナール抗体のベバシズマブ(商品名: アバスチン)やインターフェロンの併用は、OSには寄与しない。組織学的にglioblastoma with oligodendroglioma component、giant cell GBM、 cystic GBMは悪性だが、古典的なGBMよりやや予後が良い傾向にある。分子基盤に基づいてMGMT非メチル化症例やIDH1野生型の予後不良例では、TMZに反応を示さない場合が多く、今後免疫療法や免疫チェックポイント阻害剤の応用が取り入れられるであろう。これらの治療には、腫瘍ペプチドワクチン療法WT1やさらに百日咳菌体をアジュバントしたWT1-W10、抗PD-1 (Programmed cell deah-1) 抗体療法などT細胞の免疫応答にかけられたブレーキを解除することでT細胞の活性化状態を維持し、がん細胞を細胞死に追いやる試みである。 同じくT細胞の表面に発現する抑制性因子CTLA (Cytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4 ) に対する抗体の併用も期待されている。 2 診断 (検査・鑑別診断も含む) ■ 検査 造影MRI、 脳血管撮影、 MRS、 PET(methionine、FDG)などの検査と合わせ、総合的に判断する。 ■ 鑑別診断 造影MRIや造影CTでは、不規則なリング状の造影効果を示す。GBM、転移性脳腫瘍、脳膿瘍との鑑別が必要である。GBMでは、造影部分は壊死を取り囲む血管新生を反映するので、より不規則なリング状になる。それに比べ脳膿瘍のリングは、円形でよりスムースである。転移性脳腫瘍は、GBMと脳膿瘍の中間を取るので目安になるが、さらに拡散強調MRIやMRスペクトルスコピーなど多種類の検査で、総合的に判断することが重要である。 術中迅速診断では、壊死を取り囲む偽柵状配列が明らかでないとHGG(high grade glioma)と診断されるので、確定診断は永久標本によることになる。摘出腔内にカルムスチン(脳内留置用徐放性製剤: BCNUウェハー[商品名: ギリアデル])の使用を予定するときは、時に悪性リンパ腫との鑑別が問題となる。 悪性リンパ腫では、血管中心性の腫瘍細胞の集簇に注目して診断するが、LCA、GFAP、MIB-1など免疫組織学的検査では、迅速標本の作成が必要となる症例もある。 転移性脳腫瘍との組織上の鑑別は容易であるが、きわめてまれにadenoid glioblastomaの症例で腺腔形成や扁平上皮性分化を示すので、注意が必要である。 3 治療 (治験中・研究中のものも含む) ■ 基本治療 腫瘍容量の減圧と確定診断を目的に、まず外科治療を行う。近年、ナビゲーションと術中MRIを用いた画像誘導による外科手術が、一般的となってきている。グリオーマの外科手術の目標は、機能を損なうことなく最大限の摘出をすることにある。 MRI Gd(Gadolinium)-DTPAにて造影された腫瘍塊が、全部摘出された症例の予後では期待でき、腫瘍摘出度が高いほど予後の改善に結び付くと、複数の報告がなされている。 次いで確定診断後には、TMZ併用の化学放射線療法が標準治療である。放射線療法は、拡大局所にtotal 60Gy(2Gy×30 fractions)を週5回、6週間かけて行うのが標準である。 最近は、周囲脳の保護を目的に強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)を行うことが多い。 初期治療終了後には、TMZの内服を月5日間行う。再発時にはインターフェロンβの併用や、血管内皮増殖因子に対するベバシズマブの併用などが行われている。 ■ その他の治療 手術前日にタラポルフィンナトリウム(商品名: レザフィリン)を投与し、病巣部位に集積させ、手術により最大限の摘出後にレーザー光を照射する摘出断端の浸潤部位に対する光線力学的療法やカルムスチンの摘出腔留置などがある。 4 今後の展望 陽子線、炭素線やホウ素中性子補足療法などの、新しい線源を用いた悪性脳腫瘍への応用やウイルス療法、脳内標的部位への薬剤分布を高める技術として開発されたconvection-enhanced delivery(CED)、免疫療法などがある。 免疫療法には、がん免疫に抑制性に働くものに対する解除を目的とする、T細胞活性化抑制抗原に対する抗PD-1抗体による治療やがん遺伝子WT1(Wilms tumor 1)を抗原標的として、自己のTリンパ球にがん細胞を攻撃させるWT1ペプチドワクチン療法がある。後者は、脳腫瘍の最新治療法として安全性や有効性が確立されつつあり、ランダム化比較試験の結果が期待される。 5 主たる診療科 脳神経外科 ※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。 6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など) 診療、研究に関する情報 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報) 一般社団法人 日本脳神経外科学会、日本脳神経外科コングレス 脳神経外科疾患情報ページ (一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報) 1)石田陽一. 北関東医. 1990;40:355-361.2)Cayre M, et al. Prog Neurobiol. 2009;88:41-63.3)Eriksson PS,et al. Nat Med. 1998;4:1313-1317.4)Sanai N, et al. Nature. 2004;427:740-744.5)Louis DN, et al. WHO Classification of Tumours of the Central Nervous System. Revised 4th Edition.Lyon;IARC Press:2016.pp52-56.6)Louis DN, et al. Acta Neuropathol. 2016;131:803-820.7)Yamaguchi N. Clin Neurosci. 2013;31:1145-1146.公開履歴初回2015年02月27日更新2017年03月21日

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小児クローン病の合併症予測モデル、治療選択肢も示唆/Lancet

 新規発症クローン病小児患者の合併症(狭窄や穿孔)リスクの予測モデルが、米国・エモリー大学のSubra Kugathasan氏らによって示された。小児および成人クローン病患者において狭窄や穿孔といった合併症を罹患する頻度は高く、医療コスト増の要因にもなっている。これまでに確証されたモデルはなく、合併症リスクへの有効な治療も知られていなかったが、今回のモデル開発で、抗TNFα治療の選択肢が有効であることも示されている。Lancet誌オンライン版2017年3月1日号掲載の報告。米国とカナダ28施設で913例の小児クローン病患者を包含し検証 試験は、米国およびカナダの28施設でクローン病と新規に診断された小児患者を前向きに追跡して行われた。 遺伝子型、血清中の抗体濃度、回腸の遺伝子発現、回腸・直腸および糞便微生物を評価し、独立した抽出群と検証群で、疾患合併症の比較リスクモデルを検証した。また傾向スコア適合法で、診断後90日以内の合併症リスクへの抗TNFα治療曝露の有効性についても調べた。 2008年11月1日~2012年6月30日の間に登録された913例が最終解析に組み込まれた。うち78例が合併症(狭窄54例、穿孔24例)を経験した。被験者の診断時年齢中央値は12.4歳、男子が62%、白人が75%であった。狭窄が認められた患者では、ASCA、CBir1、GM-CSF陽性との関連が認められた。また穿孔は、高年齢との関連が認められた。診断後90日以内で抗TNFα治療を受けていたのは191例(21%、180例がインフリキシマブ、11例がアダリムマブ)であった。合併症リスクに対し抗TNFα治療の選択が有効 年齢、人種、疾患部位、血清中抗体を包含した検証比較リスクモデルの感度は66%(95%信頼区間[CI]:51~82)、特異度は63%(55~71)で、陰性適中率は95%(94~97)であった。 また、抗TNFα治療を早期に受けた患者ほど、受けなかった患者との比較で、穿孔のリスクが低い傾向が認められた(ハザード比[HR]:0.30、95%CI:0.10~0.89、p=0.0296)。しかし、狭窄のリスクについては認められなかった(1.13、0.51~2.51、p=0.76)。 腸内細菌と合併症との関連では、Ruminococcusと狭窄、Veillonellaと穿孔の関連が認められた。診断時に調整し評価した細胞外基質産生を制御している回腸の発現遺伝子は、リスクモデルにおいて狭窄と関連していることが認められた(HR:1.70、95%CI:1.12~2.57、p=0.0120)。この遺伝子を包含したモデルでは、特異度が71%に改善された。 これらの結果を踏まえて著者は、「我々の開発したモデルは、小児のクローン病診断時のリスク層別化に有用であり、抗TNFα治療の選択を支持するものであった」とまとめている。

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小児がんサバイバー、放射線治療減少で新生物リスク低下/JAMA

 1990年代に診断を受けた小児がんサバイバーの初回診断後15年時の悪性腫瘍のリスクは、上昇してはいるものの、1970年代に診断されたサバイバーに比べると低くなっており、その主な要因は放射線治療の照射線量の減少であることが、米国・ミネソタ大学のLucie M Turcotte氏らの調査で明らかとなった。同氏らは、「現在も続けられている長期の治療毒性の軽減に向けた取り組みが、サバイバーの新生物罹患リスクの低減をもたらしている」と指摘する。JAMA誌2017年2月28日号掲載の報告。2万3,603例を治療年代別に後ろ向きに検討 研究グループは、小児がんサバイバーにおいて、時代による治療量の変化と新生物のリスクの関連を定量的に評価するレトロスペクティブな多施設共同コホート研究を行った(米国国立先進トランスレーショナル科学センターなどの助成による)。 対象は、1970~99年に米国およびカナダの小児病院で診断を受けた21歳未満の小児がん患者で、5年以上生存し、2015年12月にフォローアップが可能であった者とした。治療年代別の新生物の15年累積罹患率、累積疾病負担、悪性腫瘍の標準化罹患比(SIR:実測罹患数/期待罹患数)、5年ごとの相対罹患率(RR)の評価を行った。 2万3,603例が解析の対象となった。治療時期は1970年代(1970~79年)が6,223例、1980年代(1980~89年)が9,430例、1990年代(1990~99年)は7,950例であった。悪性腫瘍累積罹患率:2.1%→1.7%→1.3% 初回診断時の平均年齢は7.7(SD 6.0)歳、女児が46.3%であった。初回診断名は、急性リンパ芽球性白血病(35.1%)が最も多く、次いでホジキンリンパ腫(11.1%)、星状細胞腫(9.6%)、ウィルムス腫瘍(8.0%)、非ホジキンリンパ腫(7.2%)、神経芽細胞腫(6.8%)の順であった。 治療年代別の平均フォローアップ期間は、70年代が27.6年、80年代が21.1年、90年代は15.7年であった。全体の平均フォローアップ期間20.5年(37万4,638人年)の間に、1,639例が3,115個の新生物を発症し、そのうち1,026個が悪性腫瘍、233個が良性髄膜腫、1,856個が非黒色腫皮膚がんであった。最も頻度の高い悪性腫瘍は、乳がんおよび甲状腺がんであった。 放射線治療の施行率は、70年代の77%から90年代には33%まで低下し、照射線量中央値は70年代の30Gy(IQR:24~44)から90年代には26Gy(IQR:18~52)まで減少した。また、アルキル化薬やアンスラサイクリン系薬の使用率は経時的に上昇したが、用量中央値は減少した。プラチナ製剤の使用率は増加したが、エピポドフィロキシンは80年代には累積用量中央値が増加したが、90年代には減少した。 新生物の累積罹患率は、70年代が2.9%、80年代が2.4%、90年代は1.5%と、経時的に有意に低下した(70 vs.80年代:p=0.02、70 vs.90年代:p<0.001、80 vs.90年代:p<0.001)。サバイバー100例当たりの累積疾病負担は、70年代が3.6、80年代が2.8、90年代は1.7であり、やはり経時的に有意に軽減した(同p=0.02、p<0.001、p=0.001)。 悪性腫瘍の累積罹患率は、90年代が1.3%と、80年代の1.7%(p<0.001)、70年代の2.1%(p<0.001)に比し有意に低かった。同様の傾向が、非黒色腫皮膚がんにもみられたが、髄膜腫には認めなかった。 基準となる背景因子(化学療法非施行、脾臓摘出術、放射線治療、男性、28歳)のサバイバーにおける1,000人年当たりの絶対罹患率は、悪性腫瘍が1.12、髄膜腫が0.16、非黒色腫皮膚がんは1.71であった。 悪性腫瘍のSIRは、到達年齢が上がるにしたがって3つの治療年代とも低下した。性、診断時年齢、到達年齢で補正した新生物のRRは、5年経過するごとに有意に低下し(RR:0.81、95%CI:0.76~0.86、p<0.001)、悪性腫瘍(0.87、0.82~0.93、p<0.001)、髄膜腫(0.85、0.75~0.97、p=0.03)、非黒色腫皮膚がん(0.75、0.67~0.84、p<0.001)のRRも有意に低くなった。 媒介分析では、放射線治療の照射線量の変化は、治療年代関連の新生物罹患率の低下の主要な寄与因子であり、経時的な新生物罹患率低下と有意な関連を示す治療変量の唯一の構成要素であった。

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血友病A治療は個別化治療の時代へ

 血液凝固因子欠乏の遺伝性疾患である血友病。今回は、近年相次いで新薬が発売され、改めて注目されている血友病Aにフォーカスし、2016年6月にバイエル薬品株式会社(以下、バイエル薬品)により発売された「コバールトリイ(一般名:オクトコグ ベータ)」について広報担当者より話を聞いた。血友病治療の概要とコバールトリイの特徴 血友病は、第VIII因子欠乏である血友病Aと第IX因子欠乏である血友病Bに分類されている。2015年度の全国調査の結果では、血友病A患者の割合は血友病患者全体の約8割を占め、患者数は約5,000人であった1)。 血友病に対する治療は、欠乏した血液凝固因子を補充する「補充療法」で、そのタイミングや目的によって、(1)定期補充療法 (2)予備的補充療法 (3)出血時補充療法の3種類に分類される。なかでも、出血の有無に関わらず血液凝固因子の活性トラフ値が維持できるため、定期的に血液凝固因子を補充する定期補充療法が治療の主流である。 コバールトリイは、バイエル薬品が販売する「コージネイトFS(一般名:オクトコグ アルファ)」の後継品であり、コージネイトFSと同じアミノ酸配列を有した第VIII因子を有効成分とした製剤である。ウイルスろ過膜処理の導入、そして培養工程以降で動物・ヒト由来の原料を使用していない、といった製造工程の改良により、感染症の潜在的なリスクが排除されることが期待される。国際共同臨床試験:LEOPOLDプログラム コバールトリイは、国内外で実施した複数の国際共同臨床試験(LEOPOLDプログラム)の結果から有効性・安全性を確認した。主な試験結果は以下のとおりである。●LEOPOLD II試験2) <対象> 12~65歳の治療歴のある重症型血友病A患者80例(日本人8例) <投与量>  ・定期補充療法群(低用量):20~30IU/kg・週2回  ・定期補充療法群(高用量):30~40IU/kg・週3回  ・出血時補充療法群:コージネイトFSの用法・用量に準じる <主要評価項目> 推定年間出血率(ABR)  ・定期補充療法群一人あたりのABR:1.98回/年(中央値)  ・出血時補充療法群一人あたりのABR:59.96回/年(中央値) <結果> 出血時補充療法群に対する定期補充療法群の優越性を確認●LEOPOLD Kids試験(パートA※)2) <対象> 12歳以下(小児)の治療歴のある重症型血友病A患者51例 <投与量> 25~50IU/kg・週2回以上 <主要評価項目> 定期補充療法の各投与後48時間以内の全出血のABR  ・0.00回/年(中央値) <結果> 週2回、週3回または隔日投与の定期補充療法レジメンの有効性を確認※パートB(未治療患者を対象とするLEOPOLD Kids試験)は現在継続中である。  LEOPOLDプログラムにおいて認められた副作用は193例中10例(5.2%)で、主な副作用はそう痒2例(1.0%)であった。個別化治療の時代へ 現在、治療の主流は定期補充療法であるが、今後はさらに、個々に応じた定期補充療法が提案される時代になるといわれている。これは、生活スタイルや出血傾向が患者ごとに異なり、薬剤の投与量・投与間隔の調整など、個々に応じた治療が求められるためである。 コバールトリイを定期補充療法に使用する場合、成人に対しては「週2回または週3回投与」、12歳以下の小児に対しては「週2回、週3回または隔日投与」することが可能である。バイエル薬品の広報担当者は「コバールトリイは週2回または週3回投与による定期補充療法のエビデンスがあるため、個々の患者さんに合わせた柔軟な治療が1剤で提案できると考えられます」と話す。 新薬登場によって治療法の選択肢が増え、患者によって異なる出血傾向や生活スタイルに応じた治療が必要とされている。個別化治療にも対応できるコバールトリイが、患者のQOL向上をもたらす選択肢の1つとなるかもしれない。(ケアネット 木津 朋也)参考1)血液凝固異常症全国調査平成27年度報告書;2016.p.3.(公益財団法人エイズ予防財団.血液凝固異常症全国調査運営委員会. )2)News Release 2016年3月28日(バイエル薬品)

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妊娠中の潜在性甲状腺疾患治療は児のIQを改善するか/NEJM

 妊娠8~20週の妊婦の潜在性甲状腺機能低下症または低サイロキシン血症に、甲状腺ホルモン補充療法を行っても、児の5歳までの認知アウトカムは改善しないことが、米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのBrian M Casey氏らの検討で示された。妊娠中の潜在性甲状腺疾患は、児のIQが正常値より低いなどの有害なアウトカムに関連する可能性が指摘されている。レボチロキシンは、3歳児の認知機能を改善しないとのエビデンス(CATS試験)があるにもかかわらず、欧米のいくつかのガイドラインではいまだに推奨されているという。NEJM誌2017年3月2日号掲載の報告。約1,200例の妊婦を疾患別の2つの試験で評価 研究グループは、児のIQに及ぼす妊娠中の潜在性甲状腺機能低下症と低サイロキシン血症のスクリーニング、およびサイロキシン補充療法の有効性を評価するために、2つの多施設共同プラセボ対照無作為化試験を実施した(Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Developmentなどの助成による)。 妊娠8~20週の単胎妊娠女性において、潜在性甲状腺機能低下症および低サイロキシン血症のスクリーニングを行った。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺刺激ホルモンが≧4.00mU/L、遊離サイロキシン(T4)が正常値(0.86~1.90ng/dL[11~24pmol/L])と定義し、低サイロキシン血症は、甲状腺刺激ホルモンが正常値(0.08~3.99mU/L)、遊離T4が低値(<0.86ng/dL)と定義した。 試験は2つの疾患別に行い、被験者はレボチロキシンを投与する群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。甲状腺機能は毎月評価し、甲状腺刺激ホルモン(サイロトロピン)または遊離T4の正常値を達成するためにレボチロキシンの用量を調整し、プラセボは偽調整を行った。児には、発達および行動の評価が年1回、5年間行われた。 主要評価項目は、5歳時のIQスコア(検査データがない場合は3歳時)または3歳未満での死亡とした。IQの評価には、幼児版ウェクスラー知能検査(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence III[WPPSI-III])を用いた。 2006年10月~2009年10月に、潜在性甲状腺機能低下症677例(レボチロキシン群:339例、プラセボ群:338例)と、低サイロキシン血症526例(265例、261例)が登録された。割り付け時の平均妊娠週数は、それぞれ16.7週、17.8週であった。児のIQ、母子のアウトカムに差はない ベースラインの平均年齢は、潜在性甲状腺機能低下症のレボチロキシン群が27.7±5.7歳、プラセボ群は27.3±5.7歳、低サイロキシン血症はそれぞれ27.8±5.7歳、28.0±5.8歳であった。また、平均妊娠期間は、潜在性甲状腺機能低下症のレボチロキシン群が39.1±2.5週、プラセボ群は38.9±3.1週(p=0.57)、低サイロキシン血症はそれぞれ39.0±2.4週、38.8±3.1週(p=0.46)であった。 児の4%(47例、潜在性甲状腺機能低下症:28例、低サイロキシン血症:19例)で、IQのデータが得られなかった。妊婦および新生児の有害なアウトカムの頻度は低く、2つの試験とも2つの群に差はみられなかった。 潜在性甲状腺機能低下症の試験では、児のIQスコア中央値はレボチロキシン群が97(95%信頼区間[CI]:94~99)、プラセボ群は94(92~96)であり(差:0、95%CI:-3~2、p=0.71)、有意な差は認めなかった。また、低サイロキシン血症の試験では、レボチロキシン群が94(91~95)、プラセボ群は91(89~93)であり(-1、-4~1、p=0.30)、やはり有意差はなかった。 12、24ヵ月時のBayley乳幼児発達検査第3版(Bayley-III)の認知、運動、言語の各項目などを含む副次評価項目は、いずれも2つの試験の2つの群に差はみられなかった。 著者は、「本研究の結果は、英国とイタリアで2万1,846例の妊婦を対象に実施されたCATS試験と一致する」としている。

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糖尿病の若年発症は合併症リスクを高める/JAMA

 小児期や思春期に糖尿病と診断された10代ならびに若年成人患者は、糖尿病合併症および併存症の有病率が高く、とくに1型と比較して2型糖尿病患者で高値であることが示された。米国・コロラド公衆衛生大学院のDana Dabelea氏らが、小児・思春期糖尿病患者を対象とした観察研究の結果を報告した。著者は、「若年糖尿病患者では、早期から合併症発症に関するモニタリングを行うことが重要である」とまとめている。小児や思春期の1型および2型糖尿病有病率は世界的にも増加しているが、直近の若年糖尿病患者で合併症や併存症に関与する因子や有病率は不明であった。JAMA誌2017年2月28日号掲載の報告。20歳未満で糖尿病と診断された若年糖尿病患者を追跡し、予後調査を実施 研究グループは、米国5地域で進行していた住民を対象とする発生率登録ネットワークから、2002~06年または2008年に1型糖尿病または2型糖尿病と新たに診断された20歳未満の若年糖尿病患者を特定し、ベースラインならびに追跡調査時(1、2および5年後)に糖尿病合併症のリスク因子について評価した。このうち、糖尿病罹病期間が5年以上で10歳以上の参加者を対象に、2011~15年の間に糖尿病関連合併症に関する予後調査を行った。 リスク因子の測定項目は、BMI、腹囲、腹囲身長比、血圧(収縮期、拡張期:3回の測定の平均)、平均動脈圧、HbA1c値、空腹時Cペプチド、脂質、クレアチニン、尿中アルブミン量などで、予後調査時の主要評価項目は、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、末梢神経障害、心血管自律神経障害ならびに併存疾患(動脈壁硬化、高血圧症)とした。糖尿病罹病期間が平均約8年で、1型は3分の1、2型は3分の2が合併症を有する 解析対象は2,018例で、このうち1型糖尿病が1,746例(平均[±SD]年齢17.9±4.1歳、非ヒスパニック系白人1,327例[76.0%]、女性867例[49.7%])、2型糖尿病が272例(平均22.1±3.5歳、非ヒスパニック系白人72例[26.5%]、女性181例[66.5%])であった。糖尿病罹病期間は、1型および2型ともに平均7.9年であった。 2型糖尿病患者は1型糖尿病患者に比べ、心血管自律神経障害を除いたすべての合併症に関して年齢補正後有病率が有意に高かった(心血管自律神経障害の絶対差は1.2%、p=0.62)。 糖尿病罹病期間平均7.9年、推定21歳時の糖尿病合併症または併存症の有病率は、1型で32%、2型で72%であった。 また、経年的に測定されたリスク因子で補正すると、2型糖尿病患者は1型糖尿病患者より、糖尿病腎症(補正後オッズ比2.58、p=0.003)、糖尿病網膜症(2.24、p=0.02)、末梢神経障害(2.52、p=0.001)の補正後オッズ比が有意に高かったが、動脈壁硬化(1.07、p=0.80)と高血圧症(0.85、p=0.55)では差は認められなかった。

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カナキヌマブ効能追加承認への期待

 2017年2月27日、ノバルティス ファーマ株式会社は、都内にて「世界希少・難治性疾患の日」に合わせ「発熱・炎症発作を繰り返す難病『周期性発熱症候群』を知る」をテーマにメディアセミナーを開催した。セミナーでは、「周期性発熱症候群」の最新知見とともに、2016年12月に国内で3つの疾患に追加承認となった同社のカナキヌマブ(商品名:イラリス)についての説明が行われた。周期性発熱症候群治療への新たな選択肢 最初に同社の藤田 浩之氏(移植・皮膚・免疫メディカルフランチャイズ部 部長)が、イラリスの製品概要について説明した。 イラリスは、2009年に米国と欧州で、2011年にわが国で承認されたヒト型抗ヒトIL-1βモノクローナル抗体で、皮下注射の形で使用される。当初は、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)への適用だったものが、2016年12月にコルヒチン抵抗性の家族性地中海熱(crFMF)、メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD/保険適用名は高IgD症候群[HIDS])、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)にも追加承認された。 本剤の有効性として、寛解率をみた場合、crFMFでは約60%、HIDS(MKD)では約35%、TRAPSでは約45%と、プラセボ群(10%未満)と比較して高く、安全面では、169例中47例(27.8%)で副作用が認められ、主な副作用として注射部位反応13例(7.7%)、頭痛5例(3.0%)が報告された(いずれも国際共同試験結果)。 現在、イラリスの使用に際しては、医師要件(小児科専門医、リウマチ専門医など)と施設要件を満たすことが必要とされている。自己炎症性疾患は超希少疾患 続いて「自己炎症性疾患」をテーマに、平家 俊男氏(京都大学大学院医学研究科 発生発達医学講座 発達小児科学 教授)が、疾患の概要とイラリス追加承認の意義を解説した。 はじめに家族性地中海熱(FMF)、HIDS(MKD)、TRAPS、CAPSなどの自己炎症性疾患の特徴として、狭義には自然免疫系の遺伝子変異を原因とする疾患であること、周期熱で発症することが多く、皮疹、関節痛、消化器症状を伴い、患者さんのQOLを著しく低下させること、高度炎症が持続すると成長障害や臓器障害を来すこと、とくにAAアミロイドーシスによる臓器障害では生命予後に影響することが説明された。また、わが国全体の患者数をみても500例以上のFMFを除いて、いずれも100例以下の超希少疾患であることが述べられた。早期発見のため疾患の特徴を理解する 次に、今回追加承認された3つの疾患の特徴を説明した。実臨床では、皮膚科や耳鼻咽喉科を最初に受診する患者さんも多く、FMFでは一般内科の受診もあることから、広く知見の理解を期待しているという。 FMFは、周期性発熱と胸膜炎・腹膜炎などを主徴とする疾患で責任遺伝子は特定されている。とくに腹膜炎は重く、虫垂炎と誤診されることもある。重症例では、AAアミロイドーシスによる臓器障害を発症しやすい。治療では、コルヒチンを使用するが、約5%程度で無効であるという。 HIDS(MKD)は、乳幼児から周期性・遷延性の発熱を認め、多くで消化器症状を伴う疾患で責任遺伝子は特定されている。最重症をメバロン酸尿症、それ以外をHIDSと呼んでいる。慢性全身炎症により成長発達障害を伴い、肝・腎障害を合併する。治療では、副腎皮質ステロイドを使用する。 TRAPSは、5日以上続く周期性発熱に、筋肉痛、眼痛、関節痛などを伴う疾患で責任遺伝子は特定されている。AAアミロイドーシスによる臓器障害が問題となる。治療では、副腎皮質ステロイドを使用するが、効果減弱がみられ依存状態になり得る。 リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患と異なり、これら自己炎症性疾患では長期間の治療が必要とされ、コルヒチン、ステロイドの他に有効な治療薬が少なく、副腎皮質ステロイドなどへの依存度が高かった。コルヒチン無効やステロイドによる副作用が問題となり、長く疾患特異的治療薬が望まれていたという。抗IL-1β薬への期待 最近の研究では、いずれの疾患でもIL-1βが炎症に関与していることが推定され、抗IL-1β薬への期待が高まっていた。そうした中で今回の3つの疾患への追加承認は、根治治療とまでならないが、患者さんのQOLの改善には有益だと思われている。 実際、追加承認にあたり患者さんからの感想も「入院が減り、日常生活が送れている」、「不安な毎日が解消された」、「保険適用で経済的に負担が減った」など好評であるという。 最後に平家氏は「IL-1βが病態と推定される、他の自己炎症性疾患やリウマチ疾患に対しても臨床応用されることが期待される」と今後の展望を述べ、レクチャーを終了した。

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MRI撮影の必要性を小児に伝える必殺手段とは?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第86回

MRI撮影の必要性を小児に伝える必殺手段とは? 足成より使用 私が研修医のころ、といっても10年近く前の話ですが、MRI撮影が必要な3歳児がいました。ご存じのとおり、MRI撮影は時間がかかります。患児だけ閉鎖空間に置き去りにすると、ギャン泣き必至です。年齢によっては、MRI撮影の必要性を話せばわかるかもしれない。しかし私が担当した患児は、病院を受診して興奮気味のせいでしょう、撮影中じっとすることは不可能でした。母親が一緒にMRI室に入ったものの、イヤイヤがひどく鎮静剤を用いざるを得ませんでした。 Szeszak S, et al.Animated educational video to prepare children for MRI without sedation: evaluation of the appeal and value.Pediatr Radiol. 2016;46:1744-1750.小児科においてMRI撮影は、医師にとっても患児にとってもストレスが大きいものです。私も腰椎椎間板ヘルニアをもっているので、幾度となくMRI撮影を受けたことがありますが、あの閉鎖空間でじっと動かずに過ごすのはツライですよね。小児科では、MRI撮影に鎮静を要することがあります。ローテートする研修医は、患児と一緒にMRI室に入ることも。研修医時代、「うまくMRI撮影のことを子供に説明する方法があれば…」と思ったりしたものです。イギリスのある研究グループは、アニメビデオを用いて子供にMRI撮影について説明する方法が有効かどうか調べました。5~11歳の24例の健康な小児が本研究に登録されました。鎮静が必要だろうな、と思われる年齢よりはちょっと高めに設定したようですね。そりゃ2歳や3歳では、アニメビデオの内容が理解できませんからね。アニメビデオを見る前後に複数のアウトカムに対してリッカート尺度を用いて聴取し、その中央値の変化を調べました。さて結果はどうだったでしょうか。アニメビデオを見ることで、何の目的で検査をしているのか、金属がないかどうかをチェックする意義、検査中じっとしていることへの理解が有意に改善しました。また、検査に対する不安に関しても有意な改善がみられました。174秒のアニメビデオのうち、平均98.9%の時間、画面を見続けることができました。つまり、しっかりアニメビデオを見て、内容を理解してくれた患児が多かったということです。MRI撮影に関する小児向けのアニメビデオが普及すれば、鎮静剤の使用が減るだけでなく、医師・患児双方のストレスも大きく軽減するかもしれませんね。インデックスページへ戻る

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少関節型若年性特発性関節炎、MTX追加で寛解期間が延長/Lancet

 少関節型若年性特発性関節炎の治療において、副腎皮質ステロイド関節内注射に経口メトトレキサート(MTX)を追加すると、寛解率はほとんど変わらないものの、再燃までの期間が延長し、毒性はさほど増加しないことが、イタリア・Istituto Giannina GasliniのAngelo Ravelli氏らイタリア小児リウマチ性疾患研究グループの検討で示された。研究の成果は、Lancetオンライン版2017年2月2日号に掲載された。若年性特発性関節炎は、国際リウマチ連盟(ILAR)によって、「16歳未満で発症し、6週間以上持続する原因不明の関節炎」と定義され、このうち少関節型は「6ヵ月間の罹患関節が1~4ヵ所の場合」とされる。本症の治療指針となるエビデンスに基づく情報はほとんどないという。MTX追加の効果を無作為化試験で評価 研究グループは、少関節型若年性特発性関節炎患者への経口MTXの追加が、副腎皮質ステロイド関節内注射の効果を増強するかを検討する非盲検無作為化試験を実施した(Italian Agency of Drug Evaluationの助成による)。 年齢18歳未満の患者が、副腎皮質ステロイド関節内注射単独または経口MTX(15mg/m2、最大20mg、週1回)+副腎皮質ステロイド関節内注射を施行する群に無作為に割り付けられた。副腎皮質ステロイドは、トリアムシノロンヘキサセトニド(肩・肘・手首・膝関節、脛距関節)またはメチルプレドニゾロン酢酸エステル(距骨下関節、足根関節)を用いた。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における治療開始から12ヵ月後の、治療対象となった全関節の寛解率とした。 2009年7月7日~2013年3月31日に、イタリアの10施設に207例が登録され、関節内注射単独群に102例、MTX併用群には105例が割り付けられた。再燃までの期間が約4ヵ月延長 ベースラインの年齢中央値は、関節内注射単独群が4.5(IQR:2.2~10.4)歳、MTX併用群は4.1(2.4~8.9)歳、女児がそれぞれ72%、80%を占めた。発症時年齢中央値はそれぞれ2.8(1.6~6.0)歳、2.5(1.7~4.7)歳、罹患期間中央値は6.7(2.8~19.5)ヵ月、6.9(3~22.0)ヵ月だった。 注射が行われた関節が1ヵ所のみの患者は23%(48例)、2ヵ所以上の患者は77%(159例)であった。全部で490の関節に注射が行われ、膝関節と足関節が多くを占めた。 12ヵ月時の全関節寛解率は、関節内注射単独群が34%(35例)、MTX併用群は39%(41例)であり、両群間に有意な差を認めなかった(p=0.48)。 再燃の頻度が最も高かった関節は、関節内注射単独群が中手指節関節(60%)、肘関節(50%)、距骨下関節(48%)、足関節(41%)であり、MTX併用群は距骨下関節(41%)、足関節(26%)、肘関節(25%)、中手指節関節(10%)であった。膝関節の非寛解率は、それぞれ20%(23/113)、12%(13/106)だった。 再燃までの期間中央値は、関節内注射単独群の6.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.6~8.2)に比べ、MTX併用群は10.1ヵ月(7.6~>16)と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.46~0.97、log-rank検定のp=0.0321)。 MTX併用群の17%(20例)に有害事象が発現し、消化管不快感(悪心、嘔吐、便秘:14例)、肝トランスアミナーゼ上昇(8例)、疲労(2例)、易刺激性(2例)、脱毛(1例)、白血球減少(1例)が含まれた。恒久的な治療中止が2例(消化管不快感、肝トランスアミナーゼ上昇が1例ずつ)に認められた。重篤な有害事象はみられなかった。 著者は、「今後、関節炎の拡大を予防する治療介入の可能性の評価を目的とする臨床試験を行う必要がある」としている。

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しもやけ(凍瘡)

しもやけ(凍瘡)【皮膚疾患】◆症状冬の時季に手足や耳たぶなどが、腫れて、赤くなります。あたたまると、痒みを伴います。小児に多くみられます。◆原因寒さ(外気温約5℃くらい)により発症し、とくに寒暖の差の大きいところを行き来すると発症しやすいです。◆治療と予防・患部の保温と内服のお薬、外用薬で治療します。・予防では、肌の保温が大切です。●一言アドバイスとくに成人では、膠原病や動脈硬化による皮膚病変との鑑別が必要です。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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