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妊娠中の飲酒、子供の認知機能に及ぼす影響

 妊娠中のアルコール摂取は、子供の発育の危険因子であると考えられている。子宮内アルコール曝露の子供におけるバイオマーカーについては、ほとんど研究されていない。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルクのAnna Eichler氏らは、胎便中のアルコール代謝物(エチルグルクロニド:EtG)が、小学校就学年齢の子供における認知機能の発達、ADHD関連行動、注意および執行制御の神経生理学的マーカーと関連しているかを調査した。Journal of child psychology and psychiatry, and allied disciplines誌オンライン版2017年9月11日号の報告。 母親は、妊娠第3期にアルコール摂取に関する自己アンケートを提出した。胎便のサンプルは、出生時に収集した。検出限界(10ng/g以上)を上回る胎便中EtGを有する44例と、そうではない対照群44例の比較を行った。検出量の影響を調査するため、第2の閾値(154ng/g以上)を設定した。子供が小学校就学年齢に達した際、母親はADHD関連行動を評価し、子供の認知機能の発達はIQテストバッテリーを用いて測定され、イベント関連の可能性の測定にはgo/nogoタスクを用いた。 主な結果は以下のとおり。・両方のEtG陽性群は、対照群と比較しgo/nogoタスクに対する注意力リソースが少なかった(goタスクにおけるP3が減少)。・胎便中EtGが154ng/g以上の群は、他の群よりもIQが6ポイント低かった。・EtG 154ng/g以上の群は、EtG値とADHD関連行動との間に正の相関が認められた。・これらの有意な影響は、母親の自己報告データでは観察されなかった。 著者らは「EtGと認知機能障害、注意力リソース能力、ADHD関連行動との関連は、部分的に検出量に依存的な影響が認められた。母親の自己報告に加え、この子宮内アルコール曝露のバイオマーカーは、子供の発達の予測因子と考えられる」としている。■関連記事ADHD発症しやすい家庭の傾向妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は

 東京都立小児総合医療センターの市川 宏伸氏らは、日本人小児(6~17歳)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に対する、アリピプラゾールの長期安全性および有効性を評価した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年9月23日号の報告。 本研究は、以前行われた8週間の二重盲検無作為化プラセボ対照試験のオープンラベル後続研究として実施された。登録患者には、アリピプラゾールが本邦で自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の適応を取得するまで、フレキシブルドーズ(1~15mg/日)にて投与を行った。 主な結果は以下のとおり。・登録された86例のうち、70例(81%)が48週間の評価を完了した。・平均治療期間は、694.9日であった。・治療期間中のアリピプラゾール1日平均用量は7.2mg、最終平均用量は8.5mgであった。・最も一般的な治療中の有害事象(20%以上)は、鼻咽頭炎、傾眠、インフルエンザ、体重増加であった。・これらの有害事象の大部分は軽度から中等度であり、死亡例はなく、プロラクチン低下、バイタルサイン、身長、ECGパラメータを除く臨床検査値に関連する所見は認められなかった。・48週時の、異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)の易刺激性サブスケールスコアにおけるベースラインからの平均変化量は、以前の試験のプラセボ群と比較し-6.3、以前の試験のアリピプラゾール群と比較し-2.6であった。 著者らは「アリピプラゾールは、日本人小児の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の長期治療に対し、一般的に安全であり、良好な忍容性と有効性が認められた」としている。■関連記事日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの効果は母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は

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妊婦のマルチビタミン摂取、児のASDリスク減/BMJ

 妊娠中のマルチビタミン・サプリメントの摂取は、出産児の知的障害を伴う自閉症スペクトル障害(ASD)と、逆相関となる可能性が示された。米国・ドレクセル大学のElizabeth A. DeVilbiss氏らが、スウェーデン・ストックホルムの登録住民をベースにした前向き観察コホート研究の結果を報告した。著者は、「母体栄養と自閉症発症への影響を、さらに詳しく調査することが推奨される」とまとめている。母体のマルチビタミン、鉄分または葉酸のサプリメント摂取が、出産児のASDを予防するかについて、これまでの観察研究では一貫したエビデンスは得られていない。ASDの原因は知的障害の有無によって異なるが、認知機能レベルをベースに栄養サプリメントとASDの関連を調べた研究は、ほとんどなかった。BMJ誌2017年10月4日号掲載の報告。マルチビタミン、鉄分、葉酸サプリの摂取とASDとの関連を調査 研究グループは、住民レジスターから試験サンプルとして、1996~2007年に生まれた4~15歳の子供とその母親のペア27万3,107例を特定し、2011年12月31日まで追跡調査を行った。被験者の母親は、妊娠中の初回受診時に、マルチビタミン、鉄分、葉酸のサプリメントの摂取について報告していた。 主要評価項目は、2011年12月31日までのレジスターデータで確認された、知的障害の有無を問わずASDと診断された子供の割合で、多変量ロジスティック回帰分析にてオッズ比を算出して栄養サプリメントとASDの関連を評価した。兄弟姉妹および傾向スコア適合群を対照とする検討も行った。鉄分または葉酸サプリメントの摂取では逆相関の関連は認められず 知的障害を伴うASDの有病率は、母体マルチビタミン摂取群0.26%(158/6万1,934例)、栄養サプリメント非摂取群0.48%(430/9万480例)であった。 栄養サプリメント非摂取群との比較において、母体マルチビタミン摂取群は鉄分や葉酸の追加摂取を問わず、知的障害を伴うASDのオッズ比が低かった(オッズ比:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.84)。同様の結果は、傾向スコア適合対照群でも認められた(0.68、0.54~0.86)。兄弟姉妹対照群においても認められたが(0.77、0.52~1.15)、信頼区間値が1.0を超えており統計的に有意ではなかった。 鉄分または葉酸サプリメントの摂取では、ASD有病率と逆相関を示す、一貫したエビデンスはみられなかった。

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流行性耳下腺炎アウトブレイク時のMMRワクチン追加接種の有効性(解説:小金丸博氏)-744

 流行性耳下腺炎(ムンプス)は、ワクチンで予防可能なウイルス疾患である。米国では麻疹・ムンプス・風疹混合ワクチン(MMRワクチン)の2回接種がワクチンプログラムに組み込まれており、ムンプス症例は2005年までに99%減少したが、近年も数千人規模のアウトブレイク事例が報告されている。ムンプスのアウトブレイクは、90%以上がきちんとワクチンの2回接種を済ましている大学生の間でも、たびたび報告されている。アウトブレイクを制御するための手段の1つにMMRワクチン3回目の追加接種が挙げられるが、この方法の有効性は明確になっていなかった。 本研究は、2015年アイオワ大学で発生したムンプスのアウトブレイク時にMMRワクチンの追加接種を呼びかけ、その有効性を検討した観察研究である。アウトブレイクは、98.1%の学生がMMRワクチンを2回以上接種していた集団で発生した。ムンプスの発生率は、3回目の追加接種を受けた群が、2回接種済みだが追加接種を受けなかった群と比べて、有意に低かった(1,000人当たり6.7例 vs.14.5例、p<0.001)。3回目のワクチンを追加接種することで、2回接種のみの群と比べて、接種後28日の時点で78.1%ムンプスのリスクが低下した。また、ワクチン2回接種群と未接種群を比較すると、2回目のワクチン接種から時間が経過しているほど、ワクチンの有効性が低下していることが示された。 本研究では、ムンプスのアウトブレイク時にMMRワクチン3回目の追加接種を行うことで、発生リスクを低下させうることが示された。とくに2回目のワクチン接種から13年以上経過している学生ではムンプスの発生リスクが高くなっており、アウトブレイク時に追加接種を検討する価値は高いと思われる。小児期に接種したワクチンの効果が減衰することがアウトブレイクの拡大に関与すると考えられるため、今後は10代前半で追加接種を行うようなプログラムが検討されるかもしれない。 ムンプスワクチンに関する日本の現状は、世界とはまったく異なる。世界ではMMRワクチンの2回接種が標準となっているが、日本においてはまだ任意接種であり、定期の予防接種の対象にもなっていない。当然、本論文で議論されている内容をそのまま日本に当てはめることはできない。日本の子供たちに世界標準のワクチンを公費で接種できる日が早く訪れることを強く望む。

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スタージ・ウェーバー症候群〔SWS:Sturge-Weber syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義スタージ・ウェーバー症候群(Sturge-Weber syndrome:SWS)は、顔面におけるポートワイン母斑(2014年、国際的に共通認識となっているISSVA分類において、「ポートワイン母斑」は「毛細血管奇形」へと名称変更された)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫これを起因とした緑内障を3主徴とする疾患である。本症は、神経皮膚症候群の範疇とされている。■ 疫学23万人に1人の発症といわれる。遺伝性はない。ほとんどの症状が出生時から認められる。■病因顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内軟膜血管腫の病理組織標本の検討から、Gタンパク質のαサブユニットをコードするGNAQ遺伝子の異常が証明された。GNAQ遺伝子異常は、一塩基変異体(p.Arg183Glnをコードするc.548G→A)である。すなわち、GNAQ遺伝子の体細胞モザイク変異が原因と同定された。脳、皮膚、眼での特定の血管領域が障害される。脳では頭蓋内血流が障害され、脳機能低下や脳萎縮に陥り、精神運動や発達遅滞を発症する。皮膚では真皮毛細血管が障害され、皮膚に血管腫を思わせる赤い“ポートワイン”色の母斑(毛細血管奇形)を発症する。眼では脈絡膜血管が障害され、血流うっ滞から緑内障を発症する。■ 症状1)脳(頭蓋内)頭蓋内軟膜に血管奇形が生じ、うっ滞から軟膜血管虚血となり、局所の石灰化や壊死に至る。さまざまな障害となるので、臨床経過も多様である。痙攣、精神運動発達遅滞、運動片麻痺、片頭痛などが知られる。障害される脳の部位では、頭頂葉、後頭葉、前頭葉の頻度となっている。病変範囲が広いほど、てんかん発症年齢も早く難治化する。運動麻痺は、顔面皮疹と反対側の半身麻痺が多い。2)皮膚顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は、その名のとおりポートワインのような色をした“赤あざ”と呼ばれる斑点である。時に薄ピンク色から深紫色まで個人差がある。部位は、三叉神経第1枝、第2枝領域が多い。3)眼脈絡膜血管腫は、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と同側である。そして緑内障を発症する。当然、視力・視野障害が発症してしまう。■ 分類定義で示した顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)、頭蓋内の軟膜血管腫、眼の脈絡膜血管腫の3主徴が必ずしも、すべてでみられるわけではない。1型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)と頭蓋内の軟膜血管腫の両方が認められるタイプ2型:顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)は認められるが、頭蓋内の軟膜血管腫がないタイプ3型:頭蓋内の軟膜血管腫は認められるが、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)がないタイプに分類される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)厚生労働省では、スタージ・ウェーバー症候群関連研究班が3つ存在することに着目し、その統一を図っている。以下に、改正された診断基準・重症度分類を表に示す。脳症状に関する検査には、脳MRIでガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張がある。脳CTで頭蓋内石灰化、Single photon emission computed tomography(SPECT:単一光子放射断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域、Positron emission tomography(FDG-PET:陽電子放出断層撮影)で頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝がある。また、脳波は患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波が知られている。表 スタージ・ウェーバー症候群の新規診断基準・重症度分類<診断基準>A 基本所見1頭蓋内軟膜血管腫2顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)3脈絡膜血管腫または緑内障B 症状1てんかん2精神運動発達遅滞3運動麻痺4視力・視野障害5片頭痛C 検査所見1 画像検査所見MRI:ガドリニウム増強において明瞭となる頭蓋内軟膜血管腫、罹患部位の脳萎縮、患側脈絡叢の腫大、白質内横断静脈の拡張CT:頭蓋内石灰化を認めるSPECT:頭蓋内軟膜血管腫部位の低血流域FDG-PET:頭蓋内軟膜血管腫部位の糖低代謝2 生理学的所見脳波:患側の低電位徐波、発作時の律動性棘波または鋭波D 鑑別診断その他の神経皮膚症候群E 遺伝学的検査GNAQ遺伝子の変異頭蓋内軟膜血管腫と顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)に関して<診断のカテゴリー>以下の場合に確定診断される。Aの1項目以上を満たし、かつBの2項目以上を有するもの<臨床所見(該当する項目の□にレ印を記入する)>てんかん発作型(複数選択可)□全般発作 □単純部分発作 □複雑部分発作 □二次性全般化発作 □てんかん重積状態頭蓋内軟膜血管腫の脳内局在□前頭葉 □側頭葉 □頭頂葉 □後頭葉 □その他 □両側てんかん外科治療□焦点切除術 □脳梁離断術 □多脳葉手術 □半球離断術 □迷走神経刺激療法顔面ポートワイン斑(毛細血管奇形)□顔面の5%以下 □顔面の5~30% □顔面の30%以上運動麻痺□なし □あり視力・視野障害□なし □あり片頭痛□なし □あり<重症度分類>●てんかんおよび精神運動発達遅滞精神保健福祉手帳診断書における「G40てんかん」の障害等級判定区分、障害者総合支援法における障害支援区分、精神症状・能力障害二軸評価を用いて、以下のいずれかに該当する患者を対象とする。「G40てんかん」の障害等級の能力評価区分「G40てんかん」の障害等級判定区分*「てんかん発作のタイプ」イ 意識障害はないが、随意運動が失われる発作ロ 意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作ハ 意識障害の有無を問わず、転倒する発作ニ 意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作●能力障害評価判定に当たっては、以下のことを考慮する。1)日常生活あるいは社会生活において必要な「支援」とは、助言、指導、介助などをいう。2)保護的な環境(たとえば入院・施設入所しているような状態)ではなく、たとえばアパートなどで単身生活を行った場合を想定して、その場合の生活能力の障害の状態を判定する。(1)精神障害や知的障害を認めないか、または、精神障害、知的障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる。適切な食事摂取、身辺の清潔保持、金銭管理や買い物、通院や服薬、適切な対人交流、身辺の安全保持や危機対応、社会的手続きや公共施設の利用、趣味や娯楽あるいは文化的・社会的活動への参加などが自発的にできる、あるいは適切にできる。精神障害を持たない人と同じように、日常生活および社会生活を送ることができる。(2)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける。(1)に記載のことが自発的あるいはおおむねできるが、一部支援を必要とする場合がある。たとえば、1人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難である。デイケアや就労継続支援事業などに参加するもの、あるいは保護的配慮のある事業所で、雇用契約による一般就労をしている者も含まれる。日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じることがある。清潔保持は困難が少ない。対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理はおおむねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。(3)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて支援を必要とする。(1)に記載のことがおおむねできるが、支援を必要とする場合が多い。たとえば、付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である。医療機関などに行くなどの習慣化された外出はできる。また、デイケアや就労継続支援事業などに参加することができる。食事をバランスよく用意するなどの家事をこなすために、助言などの支援を必要とする。清潔保持が自発的かつ適切にはできない。社会的な対人交流は乏しいが、引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと症状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。(4)精神障害、知的障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時支援を要する。(1)に記載のことは常時支援がなければできない。たとえば、親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである、自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり、不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来しやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。(5)精神障害、知的障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。(1)に記載のことは支援があってもほとんどできない。入院・入所施設などの患者においては、院内・施設内などの生活に常時支援を必要とする。在宅患者においては、医療機関などへの外出も自発的にできず、付き添いが必要である。家庭生活においても、適切な食事を用意したり、後片付けなどの家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時支援を必要とする。●運動麻痺下記の“Modified Rankin Scale”を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :0~2中等症:3~4重症 :5Modified Rankin Scale0まったく症候がない。1症候があっても明らかな障害はない。日常の勤めや活動は行える。2軽度の障害:発症以前の活動がすべて行えるわけではないが、自分の身の回りのことは介助なしに行える。3中等度の障害:何らかの介助を必要とするが、歩行は介助なしに行える。4中等度から重度の障害:歩行や身体的要求には介助が必要である。5寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを必要とする。参考0自覚症状および他覚徴候がともにない状態である。1自覚症状および他覚徴候はあるが、発症以前から行っていた仕事や活動に制限はない状態である。2発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、日常生活は自立している状態である。3買い物や公共交通機関を利用した外出などには介助を必要とするが、通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要としない状態である。4通常歩行、食事、身だしなみの維持、トイレなどには介助を必要とするが、持続的な介護は必要としない状態である。5常に誰かの介助を必要とする状態である。●視力・視野障害下記の尺度を用いて、中等症以上に該当する患者を対象とする。軽症 :1中等症:2重症 :3~4判定に当たっては、矯正視力、視野ともに良好な眼の測定値を用いる。1矯正視力0.7以上かつ視野狭窄なし2矯正視力0.7以上、視野狭窄あり3矯正視力0.2~0.74矯正視力0.2未満3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■脳(頭蓋内)症状てんかん発作を抑制し、精神運動発達障害を未然に防ぐ必要がある。まず、抗てんかん薬による治療が行われ、約50%の症例で効果が認められる。しかし、残りの約50%は、抗てんかん薬でコントロール不良であり、外科的治療が考慮される。広範囲に病変がある症例、すなわち半球性および両側性の軟膜血管腫を持つ症例は、内科的治療でのてんかん発作とそれによる精神運動発達障害が回避できないので、早期の脳梁離断術、多脳葉切除(離断)術、迷走神経刺激療法などが考慮される。しかし、術後には運動麻痺、視野欠損、言語障害といった副作用が十分起こりうる。患児の脳可塑性に期待しなければならないことも多い。部分的な軟膜血管腫を持つ症例は、手術適応の判断が困難であるが、早期手術のほうが術後の発達改善効果は高いので、判断を先延ばしにしてはならない。1歳までが手術治療の適応を決める最初のポイントになる。■皮膚症状顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に伴う外見上の問題は、内面的な苦痛を生み出しQOLの著しい低下を招いている。1980年代からPDL(flashlamp pumped-pulsed dye laser)が使用されてきた。しかし、施術後の浮腫や色調の残存から、患者のニーズに十分応えられていない。1990年代後半、皮膚冷却を装備したパルス可変式のレーザー機器が開発され、深部の血管および血管径が大きい血管への治療が可能になった。■眼症状眼圧を下げるために点眼薬をまず使用する。効果が乏しいときは、隅角切開術や線維柱帯切開術が行われる。4 今後の展望皮膚と脳組織からGNAQ遺伝子の異常が証明されたので、血液検査のみでGNAQ遺伝子異常を検出可能か否かが、今後の検討課題となる。すなわち、血液で診断ができれば、早期発見・早期介入さらに出生前診断へと展望が開けてくる。この点を踏まえて厚生労働省関係3班を中心に多施設共同の臨床研究が開始された。また、脳(頭蓋内)症状に対する外科的治療をどう選択するか、顔面ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に対するレーザー治療をいかに有効に施術していくのかなど、治療にはまだまだ難渋している。5 主たる診療科皮膚科、小児科、脳外科、形成外科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報難病情報センター スタージ・ウェーバー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)希少疾患患者情報登録システム(J-RARE)※現在、「J-RARE」という希少疾患患者情報登録システムが開設され、本症の登録に向けて準備が進んでいる(2017年10月現在未登録)。患者会情報スタージ・ウェーバー家族会(患者とその家族の会)1)Shirley MD, et al. New Engl J Med. 2013;368:1971-1979.公開履歴初回2017年10月10日

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小児不安症に効果的な治療は

 小児における不安症は、一般的に認められる。複数の治療オプションが存在するが、既存のガイドラインでは、どの治療を使用するかについて一貫性がない。米国・メイヨー・クリニックのZhen Wang氏らは、小児不安症に対する認知行動療法(CBT)および薬物療法の有効性および有害事象を比較し、評価を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2017年8月31日号の報告。 各種データベースを用いて2017年2月1日までの文献を検索した。選択した研究は、パニック障害、社交不安症、特定の不安症(specific phobias)、全般不安症、分離不安症と診断された小児および青年を対象に認知行動療法(CBT)、薬物療法、またはそれらの併用治療を行った無作為化および非無作為化比較試験とした。独立したレビューアーにより研究を選択し、データ抽出を行った。ランダム効果メタ解析を用いてデータをプールした。主なアウトカムは、主要不安症状(患者、親、臨床医による報告)、寛解、治療反応、有害事象とした。 主な結果は以下のとおり。・115研究より、7,719例が抽出された。・このうち、4,290例(55.6%)は女性であり、平均年齢は9.2歳(範囲:5.4~16.1歳)であった。・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、プラセボと比較し、主要不安症状を有意に減少させ、寛解(RR:2.04、95%CI:1.37~3.04)および治療反応(RR:1.96、95%CI:1.60~2.40)を有意に増加させた。・セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、臨床医により報告された主要不安症状を有意に減少させた。・ベンゾジアゼピンおよび三環系抗うつ薬は、不安症状の有意な減少が認められなかった。・CBTと待機および未治療を比較した場合、CBTは主要不安症状、寛解、治療反応を有意に改善した。・CBTは、fluoxetineより主要不安症状を軽減し、セルトラリンより寛解の改善が認められた。・セルトラリンとCBTの併用療法は、いずれかの単独療法よりも、臨床医により報告された主要不安症状、治療反応を有意に減少させた。・直接比較した研究はまれであり、ネットワークメタ解析の推計は不正確であった。・有害事象は、薬物治療で共通して認められたが、重度ではなかった。また、CBTでは認められなかった。・SSRIまたはSNRIによる自殺率を評価するには、研究サイズが小さく、研究期間が短かった。・1つの研究において、ベンラファキシンの自殺念慮に関して、統計学的に有意ではない増加が認められた。・CBTは、プラセボまたは薬物療法よりも、脱落が少なかった。 著者らは「小児の不安症状を軽減するためにCBTとSSRIの有効性を裏付けるエビデンスが確認された。SNRIも有効であると考えられるが、エビデンスの一貫性が低かった。各種薬物療法とCBTの直接比較については、臨床現場での研究が必要である」としている。■関連記事ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

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米国で経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが非推奨へ変更された理由(解説:小金丸博氏)-739

 米国では2003年より、経鼻タイプの弱毒生インフルエンザワクチンが導入された。経鼻弱毒生ワクチンは一般的な不活化ワクチンと比べて予防効果が高いとされ、とくに小児領域で高い評価を受けてきた。日本でも2016年に承認申請が出され、国内での流通開始が待ち望まれていたワクチンだったが、米国予防接種諮問委員会(ACIP)は一転「2016-17年シーズンの弱毒生インフルエンザワクチンの接種を推奨しない」と勧告した。本論文を読むことで、経鼻弱毒生ワクチンが非推奨へ変わった理由を知ることができる。 本研究は、米国における2015-16年シーズンのインフルエンザワクチンの有効性をtest-negative designを用いて評価した症例対照研究である。急性呼吸器疾患で受診した生後6ヵ月以上の患者を対象とし、鼻咽頭スワブ検体のRT-PCR陽性をもって確定診断とした。その結果、あらゆるインフルエンザ疾患に対するインフルエンザワクチンの効果は48%(95%信頼区間:41~55、p<0.001)だった。2~17歳の小児における効果をワクチンのタイプ別にみてみると、不活化ワクチンの効果は60%だったが、弱毒生ワクチンは5%と効果を確認できなかった。とくに、インフルエンザA(H1N1)pdm09に対して弱毒生ワクチンは予防効果を示さなかった。 本試験で用いられたtest-negative designは、診断陰性例を対照(コントロール)としてワクチン効果を判定する方法である。毎年、各国から報告されるインフルエンザワクチンの効果判定の多くはtest-negative designを用いて行われており、世界的には広く浸透している手法である。 2013-14年シーズンから弱毒生インフルエンザワクチンの効果が落ちていることが報告されはじめた。その傾向が2014-15年シーズン、2015-16年シーズンと続き、米国では経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが推奨から外れることにつながった。日本での導入にも少なからず影響が出ると思われる。これらのシーズンでは不活化ワクチンは有効性を示しており、ワクチン株と流行株が不一致だったわけではない。弱毒生ワクチンの効果が低くなってしまった理由として、ワクチン株の耐熱性やワクチンに含まれるウイルス間の干渉などが指摘されているが、明確な理由は判明しておらず、今後の原因究明を期待したい。

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01)吸入手技の大切さ【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容この動画の目的について説明します。治療効果を上げるための吸入薬の使い方は、正しい吸入法で吸入することが重要です。しかし、個々の吸入薬は吸入方法が異なるために、間違った使い方をすると期待した効果がでず、患者さんが自己中断する原因ともなります。そこで、医師や薬剤師の説明だけでは覚えられなかったり、忘れてしまったときに家庭で、この動画をみて確認、練習できるようにと作成されました。患者、患者家族だけでなく、医療従事者も視聴することで正しい知識を得て、正確な指導できるようにぜひご確認ください。

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流行性耳下腺炎のMMRワクチン接種 3回 vs.2回/NEJM

 麻疹・流行性耳下腺炎・風疹の3種混合ワクチン(MMRワクチン)について、米国疾病予防管理センター(CDC)のCristina V. Cardemil氏らが大学生を対象とした検討で、3回接種者では2回接種者よりも流行性耳下腺炎のリスクが低下したことを明らかにした。米国では、小児期にMMRワクチンの2回接種がプログラムされている。しかし、大学生での流行性耳下腺炎のアウトブレイクがたびたび報告されており、2015年夏~秋にはアイオワ大学で集団発生が起きた。本報告は、そのアウトブレイクの後半に保健当局者がMMRワクチン接種キャンペーンを呼びかけ、3回目の接種に応じた学生の有効性を2回目の接種時期からの年数で補正を行い検討した結果で、2回目の接種時期が、今回のアウトブレイクよりも13年以上前であった学生は、流行性耳下腺炎のリスクが高かったことも明らかにした。これまで、MMRワクチンの3回投与が流行性耳下腺炎のアウトブレイクを制御するかについては明らかになっていなかった。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。2回目接種からの年数で補正後、接種回数別にワクチンの有効性を評価 アイオワ大学では2015~16年の1学年の間に、学生2万496例のうち259例が流行性耳下腺炎と診断された。研究グループはFisher正確確率検定を用いて、MMRワクチンの接種状況と2回目接種からの年数に基づく未補正発生率を比較した。多変量時間依存性Cox回帰モデルを用いて、2回目の接種からの年数で補正後、接種回数別(3回 vs.2回、2回 vs.未接種)にワクチンの有効性を評価した。3回接種群で発生率が有意に低下 アウトブレイク前にMMRワクチン接種を2回以上受けていた学生は、98.1%であった。アウトブレイク中に3回目の接種を受けたのは4,783例であった。 発生率は、3回接種を受けた学生(1,000人当たり6.7例)が2回接種の学生(同14.5例)よりも有意に低かった(p<0.001)。また、2回目接種を、アウトブレイク前2年以内に受けていた学生と比べて、13~15年前に受けていた学生では、流行性耳下腺炎のリスクは9.1倍高かった。16~24年前に受けていた学生では14.3倍高かった。 3回目のワクチン接種後28日時点で、流行性耳下腺炎のリスクは2回接種の学生よりも78.1%低下していた(補正後ハザード比:0.22、95%信頼区間:0.12~0.39)。 2回接種 vs.未接種の比較検討において、2回目の接種から今回のアウトブレイクまでの年月が経っているほど、ワクチンの有効性が低下していることが示された。 著者は、「結果は、MMRワクチンの3回接種キャンペーンが流行性耳下腺炎アウトブレイクの制御を改善したことを、また、免疫の減衰がアウトブレイクの拡大に寄与したと思われることを示すものであった」とまとめている。

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ワクチンの安全性をどう伝えるか

 2017年8月23日、国立国際医療研究センターの国際感染症センター予防接種支援センターと、国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターは、国立国際医療研究センター病院内で「予防接種とコミュニケーション~メディアや専門家が伝えていること、いないこと~」をテーマに、講演とパネルディスカッションを開催した。ワクチンの正しい知識の底上げが大事 はじめに医療者の立場から氏家 無限氏(同センター予防接種支援センター)が、「定期の予防接種における一時中止・積極的勧奨の差し控え」と題して、講演を行った。 わが国では、国民の健康保持と予防接種被害の救済の目的のもと制定されている予防接種法に基づき、小児、成人への予防接種が行われている。また、万が一、健康被害が起こっても副反応報告制度とともに、予防接種健康被害救済制度などにより、被接種者の保護がなされている。 実際、1975年のDPT(三種混合)ワクチン、2000年のポリオワクチン(Lot.39)の一時中止、2005年の日本脳炎ワクチンの積極的勧奨差し控えを例に挙げ、いずれもその後に、安全性の確認されたワクチンなどが上市されても、社会的な影響は大きく長く続き、ワクチン未接種者を生む結果となったと問題を提起した。 そして今、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが同じような状態になっていると指摘する。2013年の積極的勧奨差し控え以降(公費助成は継続)、それまで実施対象者の75.3%が接種していたワクチン実施率も、2014年には0.7%にまで落ち込んだという。 同ワクチンは、現在も厚生労働省の審議会で安全性の審議がされているが、「デメリットが強調されやすいワクチンの特性を理解したうえで、医療従事者やメディアが中心となって、全体の関心、知識、理解の底上げを行っていくことが重要であろう」と述べ、レクチャーを終えた。若者の健康を守ることは次代への投資 同じく医療者の立場から北村 邦夫氏(一般社団法人 日本家族計画協会 理事長)が、「女性の健康」と題して、レクチャーを行った。 最初に『世界人口白書(2003年)』からの引用として「思春期の若者の健康と権利への投資は次世代に大きな利益をもたらす」と若年者への健康配慮の重要性を説いた。具体的には10代での避妊や性感染症の検査・治療、とくにコストについて触れ、クリニックの利用などほぼ公費で無料である欧米各国と比べ、わが国には補助制度がなく、著しく遅れている現状を紹介。デリケートな内容だけに、親や社会が触れることに積極的ではないと指摘する。 また、HPVワクチンについて言及し、わが国では1年間に約1万人の女性に子宮頸がんが発症し、1年間に約3,000人の女性が本症で死亡し、20~30代女性で罹患率・死亡率ともに増加している中で、ワクチン非接種の女性が出産年齢を迎えている。早急にワクチンの有効性をエビデンス1-4)を基に説明し、ワクチン接種の必要性と重要性を啓発する必要があると提案する。「諸外国より遅れているワクチンギャプを一刻も早く解消することが若者を救う近道」と述べ、レクチャーを終えた。●参考文献1)Ozawa N, et al. Tohoku J Exp Med. 2016;240:147-151.2)Tanaka H, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2017 Jul 14. [Epub ahead of print]3)Matsumoto K, et al. Int J Cancer. 2017;141:1704-1706.4)World Health Organaization. Weekly epidemiological record. 2017;92:393-404.メディアは科学的根拠に基づいた報道で世論形成を 続いて報道の立場から岩永 直子氏(BuzzFeeD JAPAN)が、「子宮頸がんワクチンの報道について」をテーマに、現在の報道の在り方と今後の方向性についてレクチャーを行った。 HPVワクチンは、2013年6月の「積極勧奨の中止」以降、医療者の間でも接種に消極的な医師が増え、事実上、わが国では接種がストップしてしまった。 これについてメディアは、接種が再開されないことに疑問を呈しながらも、副反応やネガティブな情報の両論併記をすることで、一般の受け手の不安を増大させたと、同氏は指摘する。また、ワクチンの専門家が、接種中止の弊害を発信しても、それが一般の受け手に届いていないという現実もあるという。今、世界中でHPVワクチンの科学的知見が蓄積されている。これらの客観的な価値判断をメディアは行い、伝える必要性があると指摘する。 具体的には、「行政、医学界、メディアが科学的な根拠を捻じ曲げた判断をせずに、最新の科学的根拠を、この三者が連携して絶えず発信することで、世論形成をするべきではないか」と提案し、レクチャーを終えた。求められる情報の受け手に配慮した情報発信 続いて、堀 成美氏(国際感染症センター 感染症対策専門職)が、情報を受ける側の立場から、メディアへの要望などを述べた。 HPVワクチンの報道では、メディアが不安をあおるようなものが多数見られた。その情報を得て、受け手が不安になりWebなどで検索することで、さらに不安を増大させる現象があったと指摘する。問題は、メディアが「続報」をきちんと伝えないことであり、一度流れた情報が修正されないまま、今日まで来ているという。また、医学系学会などの情報発信も一般の受け手を意識した発信を行っているかどうか(たとえば専門用語で難しい、読みやすさなど工夫がないなど)、受け入れ易い情報発信をしているかどうか検討する必要があると語った。各国各様のワクチン啓発事情 後半では、ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランド(イギリス)、デンマーク、アイルランドからのパネリストも交え「報道、専門家は何を伝え、伝えていないか~海外のHPVワクチン事情を例に~」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。 ブータン、マレーシア、オーストラリア、スコットランドでは、HPVワクチンの学校接種が行われ、印刷物、ラジオ、テレビなどを使用し、予防接種推奨のメッセージを発信し続けている。その成果もあり、ワクチンに否定的なメディアもあまり見られないという。 一方、デンマークでは、2015年に放映された副反応を取り上げたテレビ番組などにより、日本と同様の問題に直面している。また、アイルランドでも、副反応の刺激的な取り上げ方がメディアで行われたものの、厚生大臣が先頭に立ち、政府がエビデンスに基づいた情報を発信、ワクチン接種推奨の啓発活動を行っていると紹介した。 このほか、今後の情報発信ツールとして「FacebookなどのSNS」を通じて、「短いメッセージでさまざまなワクチンの有効性を発信する」、「同じ内容を繰り返し動画配信する」などさまざまな事例や建設的な提案がなされディスカッションを終えた。■参考厚生労働省 予防接種情報

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日本脳炎に気を付けろッ! その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回は日本脳炎の続きのお話をしたいと思います。前回、日本国内での日本脳炎症例は戦後年間5,000例超を数えていましたが、現在では年間10例未満ほどまで減少しているというお話をしました。もはや「制圧寸前」と言っても過言ではないッ!では、日本脳炎ウイルスは、日本国内から消えようとしているというのかッ!? 実はそうではありません…日本脳炎ウイルスは今もわれわれの周りに存在しているのですッ!日本脳炎患者の発症傾向は「西高東低」画像を拡大する図は、国立感染症研究所が行ったブタさんの日本脳炎ウイルス抗体を地域ごとに調べたものです。なぜブタの抗体を調べるのかといいますと、1つは前回お話したとおり、ブタが日本脳炎ウイルスのリザーバーだからです。そしてもう1つは、ブタさんは必ず1年以内に出荷されてしまうからですッ!(泣) つまり、その地域のブタの抗体陽性率は、リアルタイムにその地域における日本脳炎ウイルスの流行状況を反映していると言えるのですッ! そういう点を踏まえて図をもう一度見てみましょう。2015年9月時点で、北海道から東北地方にかけては抗体陽性率が0%になっています。これらの地域では日本脳炎ウイルスは、蔓延しているとは言えないでしょう。福島県あたりから抗体陽性率<50%の地域が出てきます。そして、関東から西日本にかけては、抗体陽性率が高い地域が多くなってきます。九州・四国では抗体陽性率が80%以上の地域も珍しくありません。実際にこのブタさんの抗体陽性率と一致して、ヒトでの感染例も西高東低の傾向にあります。昨年も長崎県対馬市で4例の日本脳炎症が報告されています。というわけで、ヒトへの日本脳炎の感染者数は減ってはいますが、日本脳炎ウイルス自体は、日本国内でまだまだ蔓延している状況がおわかりいただけましたでしょうか。急がれる「より早期のワクチン接種」では、なぜここまでヒトでの感染者数が減ったのかといいますと、やはり日本脳炎ワクチンの接種率向上によるものが大きいと考えられています。ワクチン、素晴らしいッ! 定期接種、最高ッ! それでは現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールが最高のものなのかというと…異議ありッ! というのが私の意見です。2015年に千葉県で生後11ヵ月児の日本脳炎感染例が報告されました。生後11ヵ月児が日本脳炎に…ここに現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールの落とし穴があるのです!現在の日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールは、次の表のとおりです。画像を拡大する上のように、3〜4歳から接種を開始することになっているのです。だから0歳児には罹患するリスクがあるというわけです。ほかにも過去10年くらいでは、熊本県で2006年に3歳児、高知県で2009年に1歳児、沖縄県で2011年に1歳児が日本脳炎に罹患したと報告されています。3歳になるまでにも日本脳炎に罹患することがあるのに、なぜ3歳から接種開始なのか…それは誰にもわからないのですッ!!(泣) 先日、ワクチンの専門家にこの話を伺ったところ、とくに3歳からである必然性はないとのことでした。実は定期接種1期として接種可能な時期は生後6~90ヵ月となっており、生後6ヵ月以上であればいつでも接種可能なのです。実際に、千葉県などでは日本脳炎ワクチンの定期接種スケジュールを前倒しにして、生後6ヵ月から接種を開始している都道府県もあります(素晴らしいッ!泣)。最近、日本小児科学会も日本脳炎患者が発生した地域やブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6ヵ月からの日本脳炎ワクチンの接種を推奨しています。この動きが広がると良いなあと思っております。アジアからアフリカに渡った日本脳炎さて、最後に今年の日本脳炎のトピックをご紹介いたします。日本脳炎といえば前回お話したとおり、アジアで流行している感染症なのですが、なんと最近アフリカでも日本脳炎の症例が報告されました1)。アフリカで日本脳炎って…すごい世の中になったものです。昨年、アンゴラで黄熱がアウトブレイクしたことは本連載「黄熱に気を付けろッ その1」でもご紹介したとおりですが、そのときの黄熱の症例の中に日本脳炎との共感染の事例があったという報告が先日“The New England Journal of Medicine”に掲載されました。前回のその1でもお話したとおり、人は最終宿主ですから、人がアジアからアフリカまでウイルスを運んだわけではないでしょう。そうすると蚊か鳥かブタかということになりますが、蚊はそんなに距離を移動できませんし、ブタは紅の豚以外は飛べませんし、だとすると渡り鳥が運んだのでしょうか…非常に興味深い事例であります。これからはアフリカ帰国後の脳炎患者では、日本脳炎を鑑別に挙げる必要が…あるのでしょうかねえ…。さて、次回は日本でも罹患するかもしれない感染症「バベシア症」についてご紹介したいと思いますッ!1)Simon-Loriere E, et al. N Engl J Med. 2017;376:1483-1485.

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低・中所得国では新生児の2割が胎児発育遅延/BMJ

 低・中所得国では、新生児のうちおよそ5人に1人が胎児発育遅延(Small for gestational age:SGA)で出生し、そのうち4人に1人が新生児期(生後28日以内)に死亡しているという。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAnne CC Lee氏らが、低・中所得国の14の集団ベースから成る出生コホートChild Health Epidemiology Reference Group(CHERG)のデータを分析して明らかにした。BMJ誌2017年8月17日号掲載の報告。2012年の低・中所得国14の出生コホートのデータを分析 CHERGには、14の出生コホートの在胎期間、出生時体重、新生児追跡調査のデータが含まれていた。SGAは、在胎期間と性別および民族性を反映したINTERGROWTH-21stの出生児体重標準値から、出生時の体重が10パーセンタイル値未満の場合と定義。SGA児の出生率と新生児死亡リスク比を、地域レベルのデータセットで算出しプールした。また、入手できた国レベルのSGA出生率と、SGA起因の新生児死亡率も推算した。 主要評価項目は、2012年の低・中所得国における、新生児のSGA数と割合であった。SGA起因の新生児死亡数と割合を評価し、またSGA出生率を10%に減らすことで回避可能な新生児の死亡数と割合を評価した。SGA児の新生児期の死亡は全新生児死亡の21.9% 2012年に低・中所得国で誕生したSGA児は、約2,330万例(不確定範囲[UR]:1,760万~3,190万)であった(SGA出生率19.3%)。また、満期産かつ非低体重(2,500g以上)の児は1,120万例(UR:80万~1,580万)、満期産だが低体重(2,500g未満)の児は1,070万例(UR:760万~1,500万)で、早産児は150万例(UR:90万~260万)であった。 低・中所得国でのSGA児の新生児期の死亡数は約60万6,500例(UR:49万5,000~77万3,000)で、全新生児死亡の21.9%であった。負荷が最も大きかったのは南アジアで、SGA出生率は最も高率の34%で、新生児死亡の約26%をSGA児が占めていた。 これらの国で、SGA出生率を19.3%から10.0%に減らした場合、新生児死亡率は9.2%(25万4,600例:UR:16万4,800~44万9,700)にまで減らすことが可能と推算された。 著者は、「低・中所得国における高リスク新生児の生存のためにも、ケアの質を改善する、さらなる努力が求められる」とまとめている。

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スマホ依存症になりやすい性格タイプ

 レバノン・Notre Dame University-LouaizeのJocelyne Matar Boumosleh氏らは、大学生サンプルにおけるスマートフォン依存症の有病率とうつ病や不安症との関連を評価した。PLOS ONE誌2017年8月4日号の報告。 対象は、レバノンの大学生688人(平均年齢:20.64±1.88歳、男性:53%)のランダムサンプル。社会人口統計学、大学、ライフスタイル、性格特性、スマートフォン使用に関連する項目について質問を行った。26項目のスマートフォン依存尺度(Smartphone Addiction Inventory:SPAI)、うつ病および全般不安症の2つの中心的なDSM-IV項目を構成する簡潔なスクリーニングPHQ-2およびGAD-2を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・スマートフォンに関連した強迫行動、機能障害、耐容性、禁断症状の有病率は非常に高かった。・深夜のスマートフォン使用によって日中の疲れを感じる人35.9%、睡眠の質が低下した人38.1%、スマートフォン使用により睡眠時間が4時間未満の人35.8%であった。・性別、居住地、週の労働時間、学部、学業成績、生活習慣(喫煙、アルコール摂取)、宗教は、スマートフォン依存症と関連が認められなかった。・一方、スマートフォン依存症と統計学的に有意な関連が示されたのは、性格タイプA、学年(2年 vs.3年)、スマートフォン使用開始年齢の低さ、平日の過度な使用、家族への電話に使用することなく娯楽のために使用、うつや不安症を有する、であった。・うつ病および不安症スコアは、交絡因子で調整した後、スマートフォン依存症の独立した正の予測因子であった。 著者らは「性格タイプAの若者が、高ストレスや低気分を経験すると、ストレスに対処するメカニズムや気分をコントロールするスキルが不足し、スマートフォン依存症に非常に陥りやすい可能性がある」としている。■関連記事スマホSNS、2時間日以上でうつ病リスク増加:名大女子学生の摂食障害への有効な対処法たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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ADHD発症しやすい家庭の傾向

 ADHDの有症率は貧困層で高いことが多くの研究で報告されているが、その関係性が親のADHD歴によって、どのように変化するかはほとんど考察されていない。米国・UNM Health Sciences CenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。Journal of child psychology and psychiatry誌オンライン版2017年8月12日号の報告。 米国・ノースカロライナ州の1つの群にある17校1~5学年のすべての子供を対象に、教師評価尺度と親1,160人の面接を用いて評価し、これにはADHD構造化インタビュー(DISC)を含んだ。親と教師の評価を組み合わせて、DSM-IVのADHD状態を判定した。データ分析の対象は、親のADHD歴に関する情報を有する967人の子供に絞り込んだ。SESは、家庭の所得と回答者の教育により測定した。 主な結果は以下のとおり。・家庭の所得と親のADHD診断歴との間に、相互の影響が認められた(p=0.016)。・SESの傾度は、親にADHD歴がない家庭で強く、親がADHD歴を持つ子供ではより弱かった。・親にADHD診断歴がない子供のうち、低所得家庭の子供のADHDの割合は、共変量で調整した後、高所得家庭の子供の6.2倍であった。・親がADHD歴を有する子供のADHDのオッズ比は、親にADHD歴がない高所得家庭の子供の10倍以上であったが、高所得と低所得家庭の子供間のSES傾度はそれほど顕著ではなかった(オッズ比:1.4、95%CI:0.6~3.5)。 著者らは「SESと親のADHD歴はそれぞれ、子供のADHDに対する強力なリスク因子であり、相互に影響を及ぼす。ADHDリスクに影響するSESの要因を分析するためには、より多くの調査が必要である。今後のADHDの調査では、他の環境リスク因子の強さが、親のADHD歴によって異なるかどうかを評価すべきである。低いSESの家庭の子供や親がADHD歴を有する子供については、早期の症状発見と早期介入が検討されるべきである」としている。■関連記事母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連かADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向小児ADHDの合併症有病率と治療成績

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成人スティル病〔ASD: Adult Still's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義「難病の患者に対する医療等に関する法律」(いわゆる難病法)の制定によってわが国の難病制度は大きく変化し、指定難病数は法制化前の56疾患から平成29年4月1日には330疾患へと大幅に増加した。多くの疾患とともに成人スティル病(ASD)も新たに難病として指定された。診療レベルの向上を目指して、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業における自己免疫疾患に関する調査研究班(代表;住田孝之 筑波大学教授)で、住田氏と筆者が責任者としてエビデンスに基づいた本症の診療ガイドラインを作成した。関連学会にも承認され、現在書籍化を急ピッチで進めている。主症状として「繰り返す高熱(1日中に39℃まで達するが、その後平熱に戻る;弛張熱)」、「関節炎」、「皮疹」を示す原因不明の疾患で、小児慢性炎症性疾患のスティル病(Still's disease;現在の全身型若年性特発性関節炎〔sJIA〕)に、その臨床所見が類似している成人症例を成人発症スティル病(Adult Onset Still's Disease;AOSD)と称する1)。リウマトイド因子陰性で、通常は副腎皮質ステロイドに反応するが、再発・再燃を来すことが多い。広義の自己炎症性疾患に属する。不明熱の代表的疾患で鑑別診断が重要である。上記のとおりに成人発症例をAOSDと呼び、sJIA(16歳以上)になったものも合わせて、「成人スティル病」(Adult Still's Disease;ASD)と定義する。■ 疫学2011年の厚生労働省研究班(研究代表者;住田 孝之)による全国疫学調査では、罹病者は4,760人と推定され、人口10万人当たり3.9人である2)。発症は若年に多いが、高齢発症者もあり、発症平均年齢は 46歳±19、男女比ではやや女性に多い。家族内発症はない。■ 病因病因・原因は不明であるが、ウイルス感染などを契機とした単球・マクロファージの活性化により炎症性サイトカイン(インターロイキン[IL]-1、IL-2、IL-6、IL-18、腫瘍壊死因子[TNF]-α、インターフェロン-γなど)が、持続的かつ過剰に産生・放出されることが本態であると考えられている。自己抗体や自己反応性T細胞は認めず、自己免疫疾患というより、自然免疫系の制御異常による自己炎症性疾患に属すると理解される。■ 症状1)自覚症状発熱は94%にみられ、午前中は平熱で夕方から夜にかけて上昇し、39℃以上まで達する弛張熱となることが多い。関節痛は80%以上の頻度で主に手指、手、膝関節の多発関節炎で骨びらんや骨性強直を認める場合もある。皮疹は60%以上に典型的皮疹(サーモンピンク疹;四肢や体幹の淡いピンク色の平坦な皮疹で、掻痒感はほとんどなく平熱時には消褪する)を認める。ほかに咽頭痛(60%程度)などがある2)。2)他覚症状リンパ節腫脹、肝脾腫などが認められる。20%程度に薬剤アレルギーがあることに注意する。■ 分類臨床経過から病型は、(1)単周期性全身型(30~40%)(2)多周期性全身型(30~40%)(3)慢性関節型(20~30%)の3つに分類される。全身型は高熱など全身症状が強いのが特徴で、そのうち単周期型は自然軽快する場合もある。一方、慢性関節型は末梢関節炎が持続し、関節リウマチのように関節破壊(主に骨性強直)を来す場合がある。■ 予後一般的に重篤な合併症がなければ、予後は比較的良好と考えられるが、合併症によっては予後不良の可能性がある。重篤な合併症には、マクロファージ活性化症候群/反応性血球貪食症候群があり、その頻度は12~14%で通常の膠原病に比して多い。その他、播種性血管内凝固(DIC)や肺障害(急性肺障害、間質性肺炎)、漿膜炎(胸膜炎、心膜炎)、心筋炎などがある。長期間の炎症反応高値持続症例では、アミロイドーシスも合併し得る。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、国際的にも頻用されている山口らの成人スティル病分類基準3)による(表1)。表1 ASD診断基準●大項目1.39℃以上の発熱が1週間以上持続2.関節痛が2週間以上持続3.定型的皮疹4.80%以上の好中球増加を伴う白血球増加(10,000/mL以上)●小項目1.咽頭痛2.リンパ節腫脹または脾腫3.肝機能異常4.リウマトイド因子陰性および抗核抗体陰性●除外項目I.  感染(とくに敗血症、伝染性単核球症)II. 悪性腫瘍(とくに悪性リンパ腫)III.膠原病(とくに結節性多発動脈炎、悪性関節リウマチ)除外診断に当たらないことを確認したうえで、大項目2つを含む5項目以上でAOSDと診断する。近年は、これに血清フェリチン高値(正常値の5倍以上)を参考値として加える場合がある。検査所見では、白血球増多、血小板増多、CRP高値、赤沈亢進、肝酵素上昇、フェリチン著増が認められる。保険適用外であるが血清IL-18も著増となる。鑑別診断では、除外診断にも挙げられている、感染症、悪性腫瘍および他の膠原病が重要である4)。1)感染症細菌感染症(とくに敗血症や感染性心内膜炎)やウイルス感染(Epstein-Barr[EB]ウイルス、パルボB19ウイルス、サイトメガロウイルスなど)の鑑別が必要。鑑別のポイントは、ウイルスの血清学的検査、ASDにおけるフェリチン異常高値である。2)悪性腫瘍悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫)、白血病が鑑別疾患として挙げられる。悪性疾患の可能性を否定できなければ、ガリウムシンチグラフィー、リンパ節生検、骨髄穿刺などのより高度・専門的な検査も必要となる。3)膠原病全身性エリテマトーデス(CRP陰性、抗核抗体陽性、低補体血症)、関節リウマチ(リウマトイド因子/抗CCP抗体陽性)、血管炎症候群、サルコイドーシス、キャッスルマン病やリウマチ性多発筋痛症などとの鑑別を要する。弛張熱、血清フェリチン著増、白血球高値、皮疹などが鑑別のポイントとなる。その他、自己炎症性疾患では家族歴が参考になる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発症早期に寛解導入を目的として、主に副腎皮質ステロイド(CS)中等量(プレドニン換算で0.5mg/kg)以上を用いる。初期治療にて、解熱、炎症反応(CRP)陰性化、血清フェリチン値正常化がなければ、CSの増量(プレドニン換算で1mg/kgまで)、CSパルス療法、免疫抑制薬(メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムスなど)または生物学的抗リウマチ薬(トシリズマブ、TNF阻害薬など)の併用が一般的である。なお、海外も含めたエビデンスを基に作成した前記診療ガイドラインでは、表2のようにASD治療薬の推奨度を示している。CSは初期量にて反応があれば、通常の膠原病治療に準じて減量する。CSの減量困難時にも免疫抑制薬の併用が選択される。ただし、免疫抑制薬はASDには保険適用外である。CS不応、免疫抑制薬効果不十分例に関しては、生物学的抗リウマチ薬の使用を考慮する。IL-6刺激阻害薬(トシリズマブ;抗IL-6受容体抗体)の有効性が近年多数報告されている。とくに、sJIA(当初のスティル病)に対して保険適用もあり、セカンドライン治療薬として有効であるトシリズマブは、類似の病態があると想像されるAOSDに対しても有効な可能性がある。しかし、バイアスを排除したエビデンスレベルに基づく診療ガイドラインではIL-6刺激阻害薬はTNF阻害薬とともに弱い推奨度である。トシリズマブをはじめとした生物学的抗リウマチ薬は、ASDには保険適用外であることを理解し、安易な使用は避け、使用に際しては十分な対策が必要である。慢性関節型に対しては、経口抗リウマチ薬が有効である。画像を拡大する4 今後の展望生物学的抗リウマチ薬として、IL-6受容体抗体(TCZ)、およびIL-1受容体阻害薬(アナキンラ、カナキヌマブ)が有望視されていることから、今後保険適用を取得する可能性がある。また、海外では新規IL-1阻害薬やIL-18阻害薬が臨床研究段階にある。その他、自己炎症性疾患という見方をすれば、インフラマソームの制御異常が病態の中心に位置する可能性もあり、将来的にはインフラマソーム制御薬の応用も予想される。5 主たる診療科鑑別診断の複雑さや合併症発症時の重症度および治療難度から考えて、大学病院や総合病院の内科系リウマチ膠原病科に紹介されるべきである。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 成人スチル病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Bywaters EGL. Ann Rheu Dis.1971;30:121-133.2)Asanuma YF, et al. Mod Rheumatol. 2015;25:393-400.3)Yamaguchi M, et al. J Rheumatol.1992;19:424-430.4)Mahroum N, et al. J Autoimmunity.2014;2-3:48-49/34-37.公開履歴初回2015年6月23日更新2017年8月29日

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日本の成人の身長低下、低出生体重が原因か

 国立成育医療研究センターの森崎 菜穂氏らが、わが国における1969年以降の出生特性と成人の平均身長の推移を調査したところ、20世紀は増加し続けていた成人の身長は1980年生まれから低下し始めていた。一方、低出生体重(LBW)での出生はU字型を示し、成人の身長の低下がLBW出生の増加に起因する可能性が示された。Journal of Epidemiology and Community Health誌オンライン版2017年8月19日号に掲載。 著者らは、1969~2014年の人口統計における6,411万5,249人の出生特性の長期的推移と、全国・地方・地域で実施された79の調査から、1969~96年に生まれた成人314万5,521人の平均身長の推移を観察した。 主な結果は以下のとおり。・LBWの割合は1978~79年(5.5%)まで減少した後増加するU字型を示し、逆に、成人の平均身長はその同じ時期に生まれた人(男性:171.5cm、女性:158.5cm)でピークに達し、その後減少していた。・LBWの割合と成人の身長は、強い逆相関を示した(男性:r=-0.98、女性:r=-0.88)。・出生と経済的特性に基づく予測モデルによると、成人の身長の全国平均は低下し続け、2014年に生まれた人では、男性170.0cm(95%CI:169.6~170.3)、女性157.9cm(95%CI:157.5~158.3)になると予測された。

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早産児の神経発達遅延リスクは改善したか/BMJ

 在胎期間22~34週の早産児の2歳時の神経発達アウトカムは過去20年で、重度または中等度の運動/感覚器障害のない生存が有意に増大していたが、発達遅延のリスクは高いままであることが、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のVeronique Pierrat氏らによる、同国の早産児に関する住民コホート研究「EPIPAGE(1997年)」「EPIPAGE-2(2011年)」の結果、報告された。世界的に早産児の生存は増加しており、重度の新生児罹患率は低下している。しかし、最近の2000年代に生まれた早産児のアウトカムに関する研究は、超早産児に焦点が集まっており、在胎期間がある程度ある早産児についての報告はまれだという。BMJ誌2017年8月16日号掲載の報告。在胎期間22~34週の早産児の2歳時のアウトカムを検討 研究グループは、2011年に生まれた在胎期間22~26週、27~31週、32~34週の各早産児について、2歳時の神経発達アウトカムを検討し、さらに1997年のデータと比較した。 2011年に在胎期間22~34週で生まれた新生児は5,567例。そのうち2歳時に生存していた4,199例がフォローアップに包含された。アウトカムの比較は、両研究に参加する国内9地域における、1997年3,334例、2011年2,418例の新生児について報告された。 生存児について以下の評価を行った。1)脳性麻痺(2000 European consensusで定義)、2)神経発達の程度:保護者によるASQ(Ages and Stages Questionnaire)の評価で神経発達に関するスコアが閾値以下(5領域のうち少なくとも1つ以上)。データは、修正月齢22~26ヵ月、脳性麻痺・失明・聴覚障害のない児に行われたものを解析に含んだ。3)重度または中等度の運動/感覚器障害(脳性麻痺のレベルはGross Motor Function Classification Systemで2~5、片側性または両側性の失明もしくは聴覚障害)のない生存。 結果は、95%信頼区間(CI)とともに、アウトカム評価の割合で示した。1997年と2011年で重度障害児の割合は減少したが発達遅延のリスクは高いまま 5,170例の早産生存児において、2歳時の生存率は、在胎期間22~26週群が51.7%(95%CI:48.6~54.7)、27~31週群が93.1%(同:92.1~94.0)、32~34週群が98.6%(同:97.8~99.2)であった。22~23週群では、生存例は1例のみであった。 脳性麻痺に関するデータは、3,599例で得られた(適格集団の81.0%)。脳性麻痺児の割合は、22~26週群6.9%(95%CI:4.7~9.6)、27~31週群4.3%(同:3.5~5.2)、32~34週群1.0%(同:0.5~1.9)であった。 ASQデータは、2,506例について得られた(適格集団の56.4%)。スコア閾値以下の児の割合は、22~26週群50.2%(95%CI:44.5~55.8)、27~31週群40.7%(同:38.3~43.2)、32~34週群36.2%(同:32.4~40.1)であった。 重度または中等度の運動/感覚器障害のない生存児の割合は、1997年と比べて2011年は増加していた。しかし、在胎期間が25~26週群では45.5%(95%CI:39.2~51.8)から62.3%(同:57.1~67.5)へ増加していたが、22~24週群では変化が観察されなかった。また、32~34週群では、統計的に有意な増加はみられなかったが(p=0.61)、脳性麻痺の生存児の割合は有意に減少していた(p=0.01)。

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