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小児期のストレスと将来の認知症発症との関連

 小児期の環境と晩年の慢性疾患との関連を分析するライフコース研究は、あまり行われていない。とくに、認知症の早期予測を可能とする研究はほとんど存在しない。東フィンランド大学のGwendolyn A. R. Donley氏らは、小児期のストレスと将来の認知症(とくにアルツハイマー病[AD])との関連について検討を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 1984~89年に実施された広範なベースライン健康診断およびインタビュー調査である、人口ベースのKuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Studyに参加した、当時42~61歳の男性2,682例のデータを使用した。これらの構造化されたインタビューには、小児期のイベントが記録されていた。保護施設や児童養護施設での生活、小児期の危機的な経験、教師による問題、戦争による移住など、複合的な小児ストレス変数を作成した。ADを含む認知症に関するデータは、2014年までの健康レジストリより取得した。認知症発症リスクは、ベースライン時の年齢、教育、所得、先天性疾患の既往で調整し、Cox回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・小児期のストレスは、認知症リスクの増加と関連が認められた(HR:1.86、95%CI:1.12~3.10)。・年齢、教育、所得およびその他の共変量で調整した後でも、この関連は統計学的に有意であった(HR:1.93、95%CI:1.14~3.25)。・この関連は、ADにおいてもわずかに有意であり、同様なHRを有していた。 著者らは「小児期のストレスは、男性において、将来の認知症リスクに重要な影響を及ぼす。そのため、ストレス状態に苦しんでいる小児に対しての、支援システムの開発が求められる。多様な集団において、将来の罹患率に関わる小児期の社会的および環境的影響を検討するさらなる調査は、ライフコースの疾患による負荷を理解するために必要である」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能か子供はよく遊ばせておいたほうがよい

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SMA患児の運動機能が大きく変わった

 2018年7月31日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注12mg)が発売から1年を超えたのを期し、「新薬の登場により、SMA治療が変わる」をテーマに都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、脊髄性筋萎縮症(以下「SMA」と略す)の概要、治療の効果などが説明された。「呼吸が弱い」「いつもグニャとしている」新生児がいたら 講演では、弓削 康太郎氏(久留米大学医学部 小児科学教室 助教)を講師に迎え、「SMAが変わる」をテーマに、疾患概要とヌシネルセンナトリウム処方後の効果について説明が行われた。 SMAは、進行性する運動ニューロン病として、体幹・四肢の近位部優位の筋肉が低下する難病。常染色体劣性遺伝形式で原因遺伝子はSMN1遺伝子と同定されている。SMAは発症年齢と重症度で4つに分類され、I型は重症型(生後6ヵ月までに発症)、II型は中間型(生後1歳6ヵ月までに発症)、III型は軽症型(生後1歳6ヵ月以降に発症)、IV型は成人型(20歳以降で発症)となっている。患児・患者発生は10万人当たり1~2人、年間発生は約50~60人と推定され、SMN1遺伝子の保因者は100人に1人と推定されている。現在、治療では、対症療法を主体に行われている。 主な症状としては、新生児であれば体が柔らかく、手・足・首がだらりと垂れたり、筋肉の萎縮、背骨が曲がったりする。幼児から成人まででは、歩行困難や体幹の筋肉の萎縮などが起こる。顕著な症状としては、呼吸が弱く、咳ができない、痰が出せないなどの呼吸症状がみられ、急変しやすく最悪の場合には呼吸不全となる。成人型では、側湾に障害が起こる場合もあり、骨成長が脆弱な点も特徴的であるという。そして、早期診断の重要性を強調するとともに、一般的な外来診察では気付きにくく、医師以外に患児の祖父母や保健師などからの「寝返りしない」「手指の細かい震え」などの報告や意見が診断の助けとなるというポイントを示した。SMAの治療ができるステージへの期待 つぎにヌシネルセンナトリウムの効果について、主に自院の患児症例について報告が行われた。それによると今まで押せなかったリモコンボタンが押せるようになった例、頸がしっかりとした例、痰排出が容易になった例、咀嚼の改善などの運動機能の改善例が報告された。また、呼吸機能の大きな改善はないものの、睡眠時の中途覚醒が少なくなり、患児のADLだけでなくQOLの改善も報告された。 今後のヌシネルセンナトリウムの課題について、薬価が高価であること、重症側弯症へのアプローチ、長期成績・安全性の確立、進行例へのエビデンス不足などがあるという。 最後に同氏は「SMAはヌシネルセンナトリウムの登場で治療可能な疾患となりつつある。今後は、積極的な診断、治療、評価が必要であり、患者・家族の生き方にも変化を起こすと考えられる(たとえば次子の妊娠希望や出生前診断など)。今後は、遺伝子スクリーニングや発症前治療の是非などの課題を解決しつつ、早期診断、早期治療に努めていきたい」と展望を語り、講演を終えた。ヌシネルセンナトリウムの概要 製品名:スピンラザ髄注12mg 一般名:ヌシネルセンナトリウム 効能・効果:脊髄性筋萎縮症 用法・用量:通常、1回につき決められた用量を投与する。乳児型では初回投与後、2週、4週および9週に投与し、以降4ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。乳児型以外では初回投与後、4週および12週に投与し、以降6ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。 副作用:発熱、頻脈、貧血母斑、蜂巣円、処置後腫脹、眼振、血管炎など 製造販売承認日:2017年7月3日 薬価:932万424円(4ヵ月毎、年3回投与における年間薬剤費は2,796万1,272円) 製造販売元:バイオジェン・ジャパン株式会社 ※なお、本年1月より全国の大学・主要病院で新生児スクリーニング研究を開始。■参考SMA特設サイト(バイオジェン・ジャパン株式会社提供)SMA患者登録システムSMART(SMARTコンソーシアム)

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小児の敗血症バンドルの1時間完遂で、院内死亡リスクが低減/JAMA

 3項目から成る小児の1時間敗血症バンドル(1-hour sepsis bundle)を1時間以内に完遂すると、これを1時間で完遂しなかった場合に比べ院内死亡率が改善し、入院期間が短縮することが、米国・ピッツバーグ大学のIdris V. R. Evans氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年7月24日号に掲載された。2013年、ニューヨーク州は、小児の敗血症治療を一括したバンドルとして、血液培養、広域抗菌薬、20mL/kg輸液静脈内ボーラス投与を1時間以内に行うよう規定したが、1時間以内の完遂がアウトカムを改善するかは不明であった。ニューヨーク州の小児敗血症治療規則の有用性を検証 本コホート研究は、ニューヨーク州の救急診療部、入院治療部、集中治療室が参加し、2014年4月1日~2016年12月31日の期間に行われた(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以下で、敗血症または敗血症性ショックで敗血症プロトコールが開始され、ニューヨーク州保健局(NYSDOH)に報告された患者であった。1時間敗血症バンドルには、抗菌薬投与前の血液培養、広域抗菌薬の投与、20mL/kg輸液の静脈内ボーラス投与が含まれた。 1時間敗血症バンドルが1時間以内に完遂された場合と、これが1時間以内に完遂されなかった場合のリスク補正後院内死亡率を評価した。個々の項目の1時間完遂に死亡率抑制効果はない 54施設から報告された1,179例が解析の対象となった。平均年齢は7.2(SD 6.2)歳、男児が54.2%、試験参加前に罹病歴のない健康な小児が44.5%で、敗血症性ショックが68.8%にみられた。139例(11.8%)が院内で死亡した。 294例(24.9%)が、1時間敗血症バンドルを1時間以内に完遂した。血液培養は740例(62.8%)が、抗菌薬投与は798例(67.7%)が、輸液ボーラス投与は548例(46.5%)が、それぞれ1時間以内に完遂した。 敗血症バンドルの1時間完遂例のリスク補正後院内死亡率は8.7%であり、非完遂例の12.7%に比べ有意に低かった(補正オッズ比[OR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.38~0.93、p=0.02、予測リスク差[RD]:4.0、95%CI:0.9~7.0)。 一方、敗血症バンドル個々の項目の1時間完遂例のリスク補正後院内死亡率は、いずれも非完遂例との比較において有意差を認めなかった。血液培養はOR:0.73(95%CI:0.51~1.06、p=0.10)、RD:2.6%(95%CI:-0.5~5.7%)であり、抗菌薬投与は0.78(0.55~1.12、p=0.18)、2.1%(-1.1~5.2%)、輸液ボーラス投与は0.88(0.56~1.37、p=0.56)、1.1%(-2.6~4.8%)であった。 敗血症バンドルの完遂に2、3、4時間を要した場合の平均予測院内死亡率は、1時間が経過するごとに約2%ずつ上昇した。また、ニューヨーク州の典型的な小児敗血症の症例で、1時間敗血症バンドルの院内死亡リスクを推算したところ、1時間以内で完遂した場合は8%、完遂に4時間を要した場合は13%だった。 入院期間は、敗血症バンドルの1時間完遂により、全例で有意に短縮し(補正後発生率比[IRR]:0.76、95%CI:0.64~0.89、p=0.001)、生存例でも有意に短縮したが(0.71、0.60~0.84、p<0.001)、死亡例では短縮しなかった(1.09、0.71~1.69、p=0.68)。 著者は、「これらの知見は、小児敗血症治療を一括化したバンドルはアウトカムの改善効果を示したとする単一施設の結果と一致する」としている。

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アスリートにおけるADHDに関連する神経認知障害のシステマティックレビュー

 注意欠如・多動症(ADHD)は一般的に小児の疾患であるが、若年成人においても頻繁に診断される。最近の研究では、ADHDと脳震盪との関連が示唆されている。米国・ワシントン大学のPoyrung Poysophon氏らは、ADHDを有するアスリートにおいて、脳震盪リスク、症状の報告、回復に関連する神経認知障害のリスクが高いかどうかについて、システマティックレビューを行った。Sports Health誌2018年7、8月号の報告。 PubMed、CINAHL、Psychinfo、コクラン・ライブラリのデータベースで包括的な検索を行った。2006~17年の研究を調査したが、包括基準を満たす研究があったのは2013~17年のみだった。ADHDを有する15~19歳の青年および若年成人アスリートを対象としており、神経心理評価ツールを用いて神経認知障害を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、17件であった。・アスリートのADHD有病率は、4.2~8.1%であった。・全体として、ADHDを有するアスリートは、ImPACT(Immediate Post-Concussion Assessment and Cognitive Test)のような神経認知テストのスコアが低く、脳震盪リスクが増加しており、症状の報告が多かった。・中枢神経刺激薬による治療が、これらのリスクを変化させることを示すエビデンスは、認められなかった。 著者らは「ADHDを有するアスリートにおいて、神経認知障害増加との関連が認められたが、その病態生理は不明であった。また、ADHDを有するアスリートに対する、中枢神経刺激薬での治療に関するエビデンスは、不十分である」としている。■関連記事ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのかアスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させるスポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?

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小児の胃酸関連疾患の治療課題とPPIなどの薬物療法

 2018年7月13日アストラゼネカ株式会社は、第一三共株式会社と共同販売するプロトンポンプ阻害薬(PPI)エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)が、1歳以上の小児への追加承認を本年1月に受け、4月に同薬の懸濁用顆粒分包が新発売されたことを期し、「進化する酸関連疾患治療~子どもの酸関連疾患の治療課題とPPIがもたらす変革を考える~」をテーマとするメディアセミナーを開催した。セミナーでは、小児の胃食道逆流症など酸関連疾患の診療と今後の展望などが解説された(写真は、左:中山 佳子氏、右上:木下 芳一氏、右下:清水 俊明氏)。小児向け治療薬の臨床試験数が少ない日本の現状 はじめに中山 佳子氏(信州大学医学部小児医学教室 講師)を講師に迎え、「小児酸関連疾患の実情とアンメットニーズ」をテーマに講演が行われた。 冒頭、エソメプラゾールが、ほかの国から10年近く遅れて小児適応が承認されたことに触れ、わが国の小児医薬品の開発状況を概説した。今回の小児適応拡大は、2006年に日本小児栄養消化器肝臓学会から出された要望が、ようやく実ったもの。現在でも成人治療薬の約20%程度しか小児適応がないという。とくに小児領域では、対象年齢層(新生児~思春期)が広いこと、対象患者数・投与量の少なさによる採算性からメーカの躊躇などの理由があると、世界的にみても治験数が少ないわが国の問題点を指摘した。 つぎに小児の酸関連疾患の特徴として胃食道逆流症と胃潰瘍、十二指腸潰瘍について説明を行った。小児の胃潰瘍、十二指腸潰瘍ではPPIが有効 小児の胃食道逆流症は、10歳未満の患児3.2%にあると推測され、14歳まででは約3.7万の患児がいると推計されている。こうした患児の主訴は「嘔吐・嘔気」「腹痛」であり、胸やけや呑酸の訴えがない、またはできないために、見逃されやすいという。そのため、咳嗽や喘鳴、体重減少・成長不良、胸痛など消化管外症状について、医療者が医療面接で気付き、本症を想定できるかが重要だと語る。 小児の胃食道逆流症診療では、診断として上部消化管造影検査、食道pHモニタリング、上部消化管内視鏡検査などが実施される。また、鑑別診断では、好酸球性食道炎、消化性潰瘍、代謝性アシドーシスなどとの鑑別が必要となる。治療では、家族への説明、生活指導から始まり、授乳方法の改善(少量頻回、増粘ミルク、アレルギー疾患用ミルクなど)、そして、PPIなどの薬物療法へと移行する。実際、エソメプラゾールで治療する場合、1日10~20mgを約2週間投与し、症状の改善を確認。有効ならば、4~8週間の治療継続を行うことになるが、無効・再燃例では、小児専門医に紹介が必要となる。 小児の胃潰瘍、十二指腸潰瘍では、十二指腸潰瘍の頻度が高く、主症状は年齢により異なるという。新生児~乳児期では反復性の嘔吐、消化管出血、幼児期では臍周囲痛など非特異的な痛み、学童期では上腹部圧痛を伴う心窩部痛が多くなる。とくに患児が主訴で「お腹がモヤモヤする」と訴えた場合、十二指腸潰瘍を疑い、必要な検査などの施行が望まれる。また、危険兆候として、夜間睡眠中の腹痛による覚醒、嘔吐や貧血、ヘリコバクター・ピロリ感染の家族歴も参考になる。診断では、臨床所見のほか、検査で腹部エコーや上部消化管内視鏡検査で潰瘍の診断を確実にすることが必要とされる。治療では、PPIが著効するため、1歳以上の本症確定例の小児ではエソメプラゾール10~20mgを第1選択薬として、早期の症状消失、潰瘍治癒を促すとしている。 最後に中山氏は、「小児の酸関連疾患では、腹痛や嘔吐などを繰り返すため、患児は活動制約、成長障害などの合併症を来しうるとともに その保護者もケアの負担や成長への不安など日常で苦労が重積する。こうした疾患に早期診断、早期治療介入をすることで、患児と保護者のQOLの改善につなげていく必要がある。また、PPIのアンメットニーズとして、長期投与、1歳未満の乳児への使用、ヘリコバクター・ピロリ除菌への補助などまだ解決されるべきことも多い」と課題を呈し、講演を終了した。小児に使用できない治療薬の保険承認への呼び水に セミナー後半では、木下 芳一氏(島根大学医学部内科学講座第二 教授)を座長に、清水 俊明氏(順天堂大学大学院医学研究科 小児思春期発達・病態学講座 主任教授)と中山氏をパネリストに「幼児・小児の酸関連疾患の早期発見、早期診断・治療につなげるには」をテーマにパネルディスカッションが行われた。 ディスカッションでは、「酸関連疾患、早期発見のコツ」について木下氏が尋ねたところ、清水氏が「不規則な位置や時間に腹痛があれば酸関連疾患を疑う。家族歴の聴取も大事だ」と回答し、中山氏が「患児向けに『胸やけ』などの言葉の言いかえをあらかじめ示しておく。保護者に患児の表情や気になる点を細かく聴取するべき」と回答し、臨床に役立つポイントが語られた。また、今後の展望について、清水氏は「今回のエソメプラゾールの保険適用が、別の小児に使用できない治療薬の保険承認への呼び水になればよいと思う」と述べ、中山氏は「安全に患児に使える治療薬の拡大を望みたい」と語り、ディスカッションを終えた。■参考アストラゼネカ ニュースリリースプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」の小児用法・用量の追加を目指し、新たに臨床試験を開始

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ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】

今回のキーワード思春期好奇心反抗同調認知行動療法ブリーフセラピーみなさんは、10代の子どもにどう接して良いか困っていませんか? 例えば、リアクションが薄い、急にキレる、言うことを聞かない、勝手なことをする、友達関係に悩む、そして不登校などです。なぜ彼らは困ったことをするのでしょうか? そもそもなぜ困ったことが「ある」のでしょうか? そして、私たち大人はどうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、まず思春期のメンタルヘルスを、発達心理学的に、比較動物学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。そして、子どものメンタルヘルスに使えるドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。と言っても、もちろん本物の道具ではありません。その道具の発想です。これらを使って、思春期の子どもへのより良いかかわり方をいっしょに探っていきましょう。思春期の子どもはなぜ困ったことをするの?発達心理学的に考えれば、思春期は、体と同じように、心(脳)も劇的に成長する時期です。そして、自分のことは自分でやる、つまり、自分の行動を自分で決めることができるようになります。まさに子どもから大人になる過渡期です。親から心理的に離れていく、心の独り立ち、つまり心理的自立の時期です(アイデンティティ確立)。彼らにしてみれば、早く大人になりたい、早く大人と思われたいと思うでしょう。ただ実際には、能力や経験値としては完全な大人ではありません。そのギャップに葛藤が生まれ、困ってしまい、困ったことをしてしまうというわけです。つまり、彼らが困ったことをするのは、彼ら自身が困っているからです。それでは、ここから困りごとを引き起こす思春期の心理を主に3つあげてみましょう。さらに、私たち人間と同じ社会的動物であるベルベットモンキーというサルの思春期の行動と重ねながら、比較動物学的に掘り下げてみましょう。(1)好奇心1つ目は好奇心です。思春期になると、いろんなこと、特に大人のやっていることに興味を持ち、自分で調べたり、確かめたりするようになります。例えば、それは、セックス、暴力、危険行為、アルコール、ドラッグなどです。それが行き過ぎてしまい、ませて身勝手なことをしているように見えるのです。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、向こう見ずで血気盛んになり、天敵がいるところでも動き回ります。逆に言えば、恐怖心は減っています。(2)反抗2つ目は反抗です。思春期になると、生意気になり、学校の先生をわざと怒らせたりもします。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、わざと親から離れて、天敵に近付いて挑発したりもします。自分の身は自分で守る、「もう大人なんだ」という親へのアピールをします。(3)同調3つ目は同調です。思春期になると、子どもは、親ではなく、同性同年代の仲間といっしょにいようとします。そのために、仲間の行動に合わせようとします。親よりも、友達という社会が大事ということです。逆に言えば、その社会を大事にしないように見える集団の変わり者をのけ者にしようともします。これが、いじめの心理でもあります。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、親からは離れつつ、群れ全体の行動に合わせようとします。思春期の子どもになぜ困ったことが「ある」の?これらの3つの思春期の心理は、同性へのマウンティングと異性へのセックスアピールが根底にあることが分かります。つまり、進化心理学的に考えれば、思春期の子どもに困ったことがそもそも「ある」のは、私たちが社会的動物の霊長類になった太古の時代から、生存や生殖に必要だったからであると言えるでしょう。大人はどうすれば良いの?思春期の3つの心理を踏まえると、児童期までの「教え込む」というかかわりには限界が見えてきます。それどころか、逆効果になって、ますます困ったことになる可能性もあるでしょう。そう考えると、私たち大人が思春期の子どもにできることは、大人扱いをして「考えさせる」というかかわりであることが分かります。その具体的なやり方として、ドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。(1)入れかえロープ1つ目は、入れかえロープです。これは、自分と相手が同時にそれぞれ両端を握ると心はそのままで体だけ入れ替わる道具です。のび太は、しずかちゃんと入れ替わりますが、うまく行かないことに変わりはなく、「どうしてなんだろ?」「しずかちゃんになったらもっと楽しいはずなのに」とドラえもんに泣きつきます。すると、ドラえもんから「それはもっと根本的な人間としてのきみがだめなんだよ」とストレートに言われてしまいます。ドラえもんのエピソードの中では、人は外見が変わっても中身は変わらないという教訓が示されています。もっと言えば、外見を変えるのではなく、中身を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこの入れかえロープを使って、以下のそれぞれの視点や状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんの入れかえロープを使って・・・」に続けてみてください。a. 自分が相手になる視点友達と仲が悪くなった時:「きみがその友達になったら何を考えてる?」いじめられているクラスメートを見つけた時:「きみがそのクラスメートになったら何を思う?」自分が憧れる有名人がいる時:「きみがその人になったら、何をしたい?」b. 相手が自分になる視点友達から嫌われていると思い話しかけられない時:「好きなお笑い芸人の○○がきみになったら何て言うんだろう?」テストの点が悪かった時:「優等生の○○くんがきみになったらどうしてるだろう?」学校に行きたくなくなった時:「憧れのスポーツ選手の○○がきみになったら、どうするだろう?」入れかえロープの発想を使うことで、相手の立場に立ったり弱者の視点を持ち、相手の感じ方や考え方に気付くことができます。また、尊敬する人、憧れる人、好きな人などのロールモデルの視点も使うことで、うまく行かない自分ではなく、うまく行く誰かに目が向きます。そして、うまく行く人の視点を通して、自分自身を見つめ直すことができるようになります。こうして、ものの考え方に幅を持たせる想像力を高めることができるでしょう。ちなみに、入れかえロープの発想は、心理療法である認知行動療法のリフレーミングに通じます。(2)もしもボックス2つ目は、もしもボックスです。これは、「もしも」という仮定の世界を疑似体験することができる装置です。のび太は、「眠れば眠るほど偉くなる世界」をつくり、昼寝好きなのび太はもてはやされますが、同時にみんなが居眠りすることによって、世の中が回らなくなり、危険になってしまうというオチです。ドラえもんのエピソードの中では、世界を変えたとしても、必ずしも期待通りにはならないという教訓が示されています。もっと言えば、世界を変えるのではなく、自分を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこのもしもボックスを使って、以下のそれぞれの状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんのもしもボックスを使って・・・」に続けてみてください。クラスメートたちの前で緊張する時:「緊張しなくなったら、クラスメートとどうしてる?」勉強ができない時:「勉強ができるようになったら、どんな気分かな?」不登校になっている時:「学校に楽しく行けるようになったら、どんな学校生活を送ってる?」もしもボックスの発想を使うことで、うまく行かない現実ではなく、うまく行っている理想に目が向きます。そして、うまく行く理想の視点を見据えて、やる気を高めることができるようになります。想像をすることは、それ自体で、やる気を高めています。これは、想像力とやる気に関係する脳内の物質(ドパミン)が活性化するからです。受け身でマイナス思考ではなく、自分から何かしようとする積極性やプラス思考を引き出します。そして、それが行動力になっていくでしょう。注意点は、もしもの変わる対象は周りではなく、自分であることです。変わる対象を周りにしてしまうと、自分が変わらないので、自分の行動力は高まらないからです。ちなみに、もしもボックスの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンに通じます。(3)タイムマシン3つ目は、タイムマシンです。これは、現在の世界から過去や未来の世界に行くことができる乗り物です。のび太が45年後の自分に会いに行った時、その45年後の自分から言われます。「僕はきみで良かった。きみの人生にはまだまだこの先にも嫌なことやうまくいかないことがたくさん起きる。でも、きみは何度つまずいても、その度に立ち直る強さだって持っているんだぞ」「この僕がきみに言うんだから間違いない」と。のび太は、未来ののび太に勇気付けられるのです。ドラえもんのエピソードの中では、未来を知ることで、現在の自分の進む道が分かるという教訓が示されています。もっと言えば、たとえ未来は見られなくても、未来を描くことでも、現在の自分の進む道は分かるという教訓もあるでしょう。それでは、タイムマシンを使って、以下のステップで、例えば不登校の子どもに質問するのはどうでしょうか?ステップ1:「ドラえもんのタイムマシンに乗って、成長した20歳の自分を見に行ったら、その自分はどんな1日を過ごしてる?」ステップ2:「今の自分は、20歳の自分に何を聞きたい?」ステップ3:「20歳の自分は、今の自分にまず何とアドバイスする?」タイムマシンの発想を使うことで、うまく行かない現在ではなく、うまく行っている未来に目が向きます。そして、うまく行く未来の視点を通して、現在の自分の行動を具体化することができるようになります。注意点は、「成長した」「うまく行っている」「幸せな」などのポジティブな言葉を必ず入れることです。これを入れないと、成長していないネガティブな未来を描いてしまう可能性があるからです。また、未来の設定時間は、「20歳」でなくても、1か月後でも10年後でも良いです。大事なのは、子どもにいつの未来を描いてほしいかということです。こうして、現在から未来への道筋を見いだすことができるでしょう。ちなみに、タイムマシンの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのタイムマシン・クエスチョンに通じます。子育てとは?子育てとは、最終的に、子どもが「こうしたい」「こうなりたい」と自分で考える能力を育むことです。そして、その能力を十分に発揮できているのが、大人であると言えるでしょう。そう考えると、子育てのゴールとは、子どもが親の言う通りに生きるようになることではないでしょう。それは、子どもが親に言われなくても生きていけることでしょう。進化論的には、動物が子孫を残すために必要なことは、生存と生殖の2つです。ただし、人類を初めとする社会的動物の霊長類は、もう1つ必要なものがあります。それが、子育てです。これがないと、生存も生殖もできずに、子孫は残せません。さらに、人類ならではなのが、子育てを文化として世代から世代へ受け継ぐことです。そういう意味では、子育てとは、第2の遺伝子であるとも言えるでしょう。のび太はドラえもんのひみつ道具を通して成長し、やがてしずかちゃんと結婚するという夢を叶えます。それと同じように、私たちも3つのひみつ道具の発想を使うことで、子どもが夢を持ち、より豊かな人生を歩んでいくサポートができるのではないでしょうか?さらには、3つのひみつ道具の発想は、子どものメンタルヘルスだけでなく、思春期を過ぎた私たち大人のメンタルヘルスにも生かせることが、もちろんできます。つまり、私たち自身も子どもたちと同じように、夢を持ち、より豊かな子育て、そしてより豊かな人生を歩んでいくことです。そんな私たちの背中を見せることも、思春期の子どもへのより良いかかわり方であると言えるのではないでしょうか?1)ドラえもん最新ひみつ道具大辞典:藤子F・不二雄、小学館、20082)家族進化論:山極寿一、東京大学出版会、20123)解決志向ブリーフセラピー:森俊夫、黒澤幸子、ほんの森出版、20024)タイムマシン心理療法:黒沢幸子、日本評論社、2008

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ファブリー病に世界初の経口治療薬が登場

 2018年7月7日、アミカス・セラピューティスク株式会社は、同社が製造・販売する指定難病のファブリー病治療薬のミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)が、5月に承認・発売されたことを期し、「ファブリー病治療:新たな選択肢~患者さんを取り巻く環境と最新情報~」と題するメディアラウンドテーブルを開催した。希少代謝性疾患の患者に治療を届けるのが使命 はじめに同社の会長兼CEOのジョン・F・クラウリー氏が挨拶し、「『希少代謝性疾患の患者に高品質の治療を届けるように目指す』ことが我々の使命」と述べた。また、企業責任は「患者、患者家族、社会に希少疾病を通じてコミットすることで『治療にとどまらない癒しをもたらすこと』」と企業概要を説明した。今後は、根治を目標に遺伝子治療薬の開発も行っていくと展望を語った。なお、クラウリー氏は、実子がポンぺ病を発症したことから製薬会社を起業し、治療薬を開発したことが映画化されるなど世界的に著名な人物である。治療選択肢が増えたファブリー病 つぎに衞藤 義勝氏(脳神経疾患研究所 先端医療研究センター長、東京慈恵会医科大学名誉教授)が、「日本におけるファブリー病と治療の現状」をテーマに、同疾患の概要を解説した。 ライソゾーム病の一種であるファブリー病は、ライソゾームのαガラクトシダーゼの欠損または活性低下から代謝されるべき糖脂質(GL-3)が細胞内に蓄積することで、全身にさまざまな症状を起こす希少疾病である。 ファブリー病は教科書的な疫学では4万例に1例とされているが、実際には人種、地域によってかなり異なり、わが国では新生児マススクリーニングで7,000例に1例と報告されている。臨床型ではファブリー病は、古典型(I型)、遅発型(II型)、ヘテロ女性型に分類され、古典型が半数以上を占めるとされる。 ファブリー病の主な臨床症状としては、脳血管障害、難聴、角膜混濁・白内障、左室肥大・冠攣縮性狭心症・心弁膜障害・不整脈、被角血管腫・低汗症、タンパク尿・腎不全、四肢疼痛・知覚異常、腹痛・下痢・便秘・嘔気・嘔吐など全身に症状がみられる。また、年代によってもファブリー病は症状の現れ方が異なり、小児・思春期では、慢性末梢神経痛、四肢疼痛、角膜混濁が多く、成人期(40歳以降)では心機能障害が多くなるという。 診断では、臨床症状のほか、臨床検査で酵素欠損の証明、尿中のGL-3蓄積、遺伝子診断などで確定診断が行われる。また、早期診断できれば、治療介入で症状改善も期待できることから、新生児スクリーニング、ハイリスク群のスクリーニングが重要だと同氏は指摘する。とくに女性患者は軽症で症状がでないこともあり、放置されている場合も多く、医療者の介入が必要だと強調した。 ファブリー病の治療では、疼痛、心・腎障害、脳梗塞などへの対症療法のほか、根治的治療として現在は酵素補充療法(以下「ERT」と略す)が主に行われ、腎臓などの臓器移植、造血幹細胞などの細胞治療が行われている。とくにERTでは、アガルシダーゼαなどを2週間に1回、1~4時間かけて点滴する治療が行われているが、患者への身体的負担は大きい。そこで登場したのが、シャペロン治療法と呼ばれている治療で、ミガーラスタットは、この治療法の薬に当たる。同薬の機序としては、体内の変異した酵素を安定化させ、リソソームへの適切な輸送を促進することで、蓄積した物質の分解を促す。また、経口治療薬であり、患者のアドヒアランス向上、QOL改善に期待が持たれている。将来的には、学童期の小児にも適用できるように欧州では臨床研究が進められている。 最後に同氏は、「ファブリー病では、治療の選択肢が拡大している一方で、個々の治療法の効果は不明なことも多い。現在、診療ガイドラインを作成しているが、エビデンスをきちんと積んでいくことが重要だと考える」と語り、講演を終えた。酵素補充保療法とスイッチできるミガーラスタット つぎにデリリン・A・ヒューズ氏(ロイヤルフリーロンドンNHS財団信託 血液学領域、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)が、「ファブリー病治療の新たな選択肢:ミガーラスタット塩酸塩」をテーマに講演を行った。 はじめに自院の状況について、ライソゾーム病の中ではファブリー病がもっとも多いこと、患者数が年15%程度増加していることを報告し、家族内で潜在性の患者も多いことも知られているため、早期スクリーニングの重要性などを強調した。 英国のガイドラインでは、診断後の治療でERTを行うとされているが、その限界も現在指摘されている。ERTの最大の課題は、治療を継続していくと抗体が形成されることであり、そのため酵素活性が中和され、薬の効果が出にくくなるという。また、細胞組織内の分泌が変化すると、末期では細胞壊死や線維化が起こり、この段階に至るとERTでは対応できなくなるほか、点滴静注という治療方法は患者の活動性を阻害することも挙げられている。実際、15年にわたるERTのフォローアップでは、心不全、腎不全、ペースメーカー、突然死のイベント発生が報告され、効果が限定的であることが判明しつつあるという1)。そして、ミガーラスタットは、こうした課題の解決に期待されている。 ミガーラスタットの使用に際しては、ファブリー病の確定診断と使用に際しての適格性チェック(たとえば分泌酵素量や遺伝子検査)が必要となる。ERTと異なる点は、使用年齢が16歳以上という点(ERTは8歳から治療可能)、GFRの検査が必要という点である。 最後に同氏は、シャペロン療法の可能性について触れ「病態生理、診療前段階、治療とその後の期間、実臨床でもデータの積み重ねが大切だ」と語り、講演を終えた。ミガーラスタットの概要一般名:ミガーラスタット製品名:ガラフォルド カプセル 123mg効能・効果:ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病用法・用量:通常、16歳以上の患者に、1回123mgを隔日経口投与。なお、食事の前後2時間を避けて投与。薬価:14万2,662.10円/カプセル承認取得日:2018年3月23日発売日:2018年5月30日

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鎌状赤血球症の疼痛にL-グルタミンが有効/NEJM

 鎌状赤血球貧血症の小児/成人患者において、医薬品グレードのL-グルタミン単独またはヒドロキシ尿素併用経口投与は、プラセボ±ヒドロキシ尿素と比較し、48週間の疼痛発作回数を著明に低下させた。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の新原 豊氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。医薬品グレードのL-グルタミン経口粉末薬は、鎌状細胞赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの割合を上昇させることが認められており、この作用が鎌状赤血球症の複雑な病態生理に関与している酸化ストレスを減少させ、鎌状赤血球症に関連する疼痛を改善すると考えられていた。NEJM誌2018年7月19日号掲載の報告。鎌状赤血球症患者230例でL-グルタミンの有効性および安全性をプラセボと比較 研究グループは、2010年6月~2013年12月に、鎌状赤血球貧血症または鎌状赤血球-β0サラセミアで、過去1年間に2回以上の疼痛発作(外来または入院期間中に、救急治療部で麻薬性鎮痛薬または非ステロイド性抗炎症薬ケトロラクの非経口投与による治療を要する疼痛)の既往がある患者230例を登録し、医薬品グレードのL-グルタミン投与群(1回0.3g/kg体重を1日2回経口投与)とプラセボ投与群に2対1の割合で無作為に割り付け、48週間治療した。スクリーニングの少なくとも3ヵ月前から安定用量のヒドロキシ尿素を投与されていた患者は、48週間の治療期間中も継続可とした。 有効性の主要評価項目は、48週間の疼痛発作回数とし、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いてintention-to-treat解析を行った。L-グルタミンで疼痛発作が25%、入院回数が33%減少 230例(年齢5~58歳、女性53.9%)のうち、156例が試験を完遂した(L-グルタミン群152例中97例、プラセボ群78例中59例)。 疼痛発作回数中央値はL-グルタミン群3.0回、プラセボ群4.0回で、プラセボ群に比しL-グルタミン群で有意に減少した(p=0.005)。同様に入院回数中央値も、L-グルタミン群2.0回、プラセボ群3.0回で、L-グルタミン群が有意に少なかった(p=0.005)。 両群とも3分の2の患者がヒドロキシ尿素の併用投与を受けていた。プラセボ群と比較しL-グルタミン群で発現率が約5%以上高かった有害事象は、悪心、非心臓性胸痛、疲労、四肢の疼痛、背部痛であった。 なお今回の第III相試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は2017年7月に医薬品グレードのL-グルタミンについて、5歳以上の小児および成人における鎌状赤血球症による急性合併症の軽減を適応症として承認した。

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10代のSNS使用頻度がADHD発症と関連か/JAMA

 2年以上にわたる観察研究で、10代の学生において頻繁なデジタルメディアの使用とその後の注意欠如・多動症(ADHD)症状発現との間に、わずかではあるが統計学的に有意な関連性があることが認められた。米国・南カリフォルニア大学Keck School of MedicineのChaelin K. Ra氏らが、著しいADHD症状のない15~16歳の学生を対象に行った縦断コホート研究の結果を報告した。今回の研究には、参加者の自己報告に基づくことや、デジタルメディアの使用頻度の測定法は確立されていないこと、データが得られなかった参加者が除外されている、ベースライン時に検出されなかったADHD症状が影響した可能性は除外できない、などの限界があり、著者は「この関連が原因であるかどうかを結論付けるには、今後のさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。高校1年生約3千人で、デジタルメディアの使用頻度とADHD症状を2年間追跡 研究グループは、カリフォルニア州ロサンゼルスにある高等学校10校の学生を対象として、2014年9月(10学年[高校1年])~2016年12月(12学年[高校3年])の期間で、6ヵ月ごとに2年間追跡調査を実施した。適格学生4,100例中、高校1年生3,051例(74%)がベースラインの調査を受けた。14種類のデジタルメディアについて、それぞれ1週間の使用頻度を0回、1~2回/週、1~2回/日、複数回/日で自己報告してもらい、複数回/日と回答した場合を「高頻度」と分類するとともに、「高頻度」に該当するデジタルメディア数の合計を算出した(範囲:0~14)。 主要評価項目は、自己評価による調査前6ヵ月間のADHD症状の頻度(まったくない/めったにない[never/rare]、時々[sometimes]、頻繁[often]、非常に頻繁[very often])。9つの不注意症状および9つの多動・衝動症状について、それぞれ「頻繁」または「非常に頻繁」と評価した症状の合計数を算出した。また、どちらかの症状分類で「頻繁」または「非常に頻繁」の症状が6つ以上の場合にADHD症状陽性とした。「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、ADHD症状発現が有意に高率 解析対象は、ベースライン時に著しいADHD症状を有していなかった2,587例(適格学生の63%、女性54.4%、平均年齢15.5歳[SD 0.5])で、追跡期間中央値は22.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:21.8~23.0ヵ月)であった。 ベースライン時に、使用が「高頻度」であった平均デジタルメディア数は3.62(SD 3.30)であった。追跡期間中、「高頻度」の割合が最も高かったのは「ソーシャルメディアのチェック」であった(1,398/2,587例、54.1%)。 ベースライン時に「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、追跡期間中にADHD症状を有する可能性が有意に高率であった(オッズ比[OR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.06~1.16)。この関連は共変量調整後も示された(OR:1.10、95%CI:1.05~1.15)。 追跡期間中にADHD症状が認められた学生の割合は、ベースライン時のデジタルメディア使用が高頻度ではなかった学生495例では4.6%であったのに対して、「高頻度」のデジタルメディアが7種あった学生114例では9.5%(差:4.9%、95%CI:2.5~7.3%)、14種すべてが「高頻度」であった学生51例では10.5%であった(差:5.9%、95%CI:2.6~9.2%)。

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南アジア新生児の重症市中感染症、原因と罹患状況/Lancet

 年間50万人以上の新生児が、重症細菌感染症が疑われる病態(possible serious bacterial infections:pSBI)により死亡しているが、その原因はほとんど知られていないという。バングラデシュ・Dhaka Shishu HospitalのSamir K. Saha氏らは、南アジアの新生児における市中感染症の罹患状況を、原因病原体別に調査するコホート研究「ANISA試験」を行い、Lancet誌2018年7月14日号で報告した。南アジア3国で、生後0~59日の新生児を調査 本研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成によって行われ、2011~14年の期間に、バングラデシュ、インド、パキスタンの5施設で、地域住民ベースの妊娠調査を通じて新生児が同定された。 コミュニティ・ヘルス・ワーカーが、最多で10回、生後0~59日までの新生児の自宅を訪問した。WHOのpSBIの定義を満たす徴候がみられる新生児と、ランダムに選択された健康な新生児を解析に含めた。 血液培養および血液と呼吸器のサンプルの分子アッセイによる解析で、特異的な感染原因の評価を行った。多くが原因不明、死亡例の原因は細菌が多い、RSウイルスの予防が重要 6万3,114例の新生児が登録された。このうち6,022例にpSBIのエピソードがみられ(95.4例/生児出生1,000人)、2,498例が早発型(<3日)、3,524例は遅発型(3~59日)だった。 エピソードの28%で感染原因が同定され、細菌が16%、ウイルスが12%であった。最も頻度が高かったのはRSウイルス(6.5%[95%確信区間[CrI]:5.8~7.6])で、次いでウレアプラズマspp(2.8%[1.9~3.8])であり、1%超にみられた病原体は肺炎桿菌、大腸菌、エンテロウイルス/ライノウイルス、サルモネラspp、肺炎連鎖球菌、B群連鎖球菌、黄色ブドウ球菌であった。 細菌感染症の平均罹患率は13.2例(95%CrI:11.2~15.6)/生児出生1,000人、ウイルス感染症の平均罹患率は10.1例(9.4~11.6)/生児出生1,000人であった。最も平均罹患率の高い病原体は、RSウイルス(5.39例[4.84~6.31]/生児出生1,000人)で、次いでウレアプラズマspp(2.38例[1.62~3.17]/生児出生1,000人)であった。 全生児出生7万1,361例のうち、3,061例(4%)が生後60日までに死亡し、このうち1,377例(45%)が非登録新生児(7日以内に死亡:1,284例、7日以降に死亡:93例)であり、登録新生児は1,684例(55%)だった。 死亡したpSBIの新生児の46%で原因が同定され、生存新生児の27%に比べ高率であった。死亡したpSBI罹患新生児の92%が細菌感染であり、大腸菌(8.70%[95%CrI:5.23~13.36])とウレアプラズマspp(8.26%[4.10~12.27])の割合が高かった。 これらの結果に基づき、著者は以下のようにまとめている。1)患者の多くで原因が不明であったことから、pSBIのエピソードの多くが感染によるものではない可能性が示唆される。2)死亡した新生児では細菌が原因となる割合が高く、新生児死亡率には、適切な予防措置や管理が実質的に影響を及ぼす可能性がある。3)非定型菌が優勢で、RSウイルスの罹患率が高かったことから、治療および予防のための管理戦略は、変更を要することが示された。4)疾病の負担を考慮すると、RSウイルスの予防が、全体的な保健システムと「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal:SDG)」の達成に大きな効果をもたらすと考えられる。

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熱中症対策は小児と高齢者に注目

 総務省消防庁発表の速報によると熱中症により救急搬送された人は、全国で9,956人にのぼる(2018年7月15日現在)。今後もこの暑さは全国的に続くと予想され、患者数も増加すると思われる。 こうした事態を受け2018年7月20日、日本救急医学会・熱中症に関する委員会は、「熱中症予防に関する緊急提言」を発表した。緊急提言では、次の理由を掲げ小児や高齢者、持病のある人を熱中症にかかり易い『熱中症弱者』と定義している。・小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱い・高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になり易い。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる・小児では身長が低いため、地面からの輻射熱の影響を受けやすい・(小児・高齢者などでは)自分で予防する能力が乏しい そして、日本救急医学会・熱中症に関する委員会では、次の4つの緊急提言を発表した。(1)暑さ指数を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!(2)水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!(3)適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!(4)周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う! また、補足事項として上記の提言の具体的な実施手段を下記のように解説する。WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)暑さ指数(熱中症指数)の認識と活用 WBGTは熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標。この暑さ指数を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要。小児の場合はさらに厳格な対応が必要。・WBGTが31℃以上(危険)の場合:運動は原則中止 原則的にはすべての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。また、屋内であっても空調の無い部屋での活動は避ける。・WBGTが28~31℃(厳重警戒)の場合:激しい運動は中止 原則すべての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。また、屋内であっても空調の無い部屋での活動は避ける。運動競技会などでやむを得ない場合は、適切な医療機関の指導を受け、十分な準備のもと競技実施を検討する。その際も頻繁な水分・塩分補給と休憩を義務化する。・WBGTが21~25℃(注意)、25~28℃(警戒)の場合 頻繁な水分・塩分補給と休憩を行った上で、屋外活動を実施するべきである。体調のチェック:おかしいなと思ったらすぐアクションを! 少しぼーっとしたり、息が荒く呼吸回数が多い、脈が速いなどの兆候を認めた場合には注意が必要。とくに低学年児童では自分の体調をうまく言葉に表わせない点に注意が必要。「足がつった」と訴える筋痙攣や集中力や運動能力の低下を、単純に疲労や弛みと判断するのは危険であり、熱中症の初期症状を見逃さないこと。また、「顔の紅潮」は体温上昇を示唆する所見であり、「大量の発汗」も体温上昇を示唆し、逆にまったく発汗を認めない状態も体温低下という重要な機能が働いていない証拠であり注意が必要となる。基本的に集団活動を行った際には、最も体力的に厳しい状態に陥った児童を基準にその後の方針を決定することも大事。同様の体調不良が示唆されれば、可及的速やかにその屋外活動や授業における運動を中止すべき。適切な重症度判断と応急処置を。改善がなければすぐ医療機関へ! 熱中症を疑った場合、まず涼しい場所で休憩させる。その際は、必ず付き添いの者をつける。周囲の見守りも非常に重要。患者の意識がない場合、水分を自力で摂取できない場合、そして水分を自力で摂取しても十分に体調が回復しない場合は救急搬送を要請。 大切なことはまず、熱中症だと考え、休憩をさせ、必要な場合は躊躇なく救急搬送を要請し、医療機関へ搬送するように示している。応急処置で十分に体調が回復しても、熱中症再発の可能性が極めて高く、屋外活動には復帰させず、涼しい場所での経過観察や帰宅後の体調変化にも注意するなど、小児ついては保護者とコミュニケーションを密に行うようにと提言を行っている。

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抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ高リスク患者にも良好な成績(CAPSTONE-2)/シオノギ

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象としたバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の第III相臨床試験(CAPSTONE-2)において、主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)がプラセボに対する優越性を示し、本試験の主要目的を達成したと発表。また、主要副次評価項目である抗ウイルス効果(ウイルス排出期間の短縮や体内ウイルス量の減少効果など)においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示した。さらに、インフルエンザ関連合併症の発現率をプラセボに対して有意に低下させた。一方,本試験での本薬の忍容性は良好であり、安全性について懸念は示されなかった。本試験の詳細な結果は、今後学会にて発表する予定。 バロキサビル マルボキシルは、新しい作用機序であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、これによりインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。すでに実施した、重症化および合併症のリスク要因をもたないインフルエンザ患者を対象とした第III相臨床試験(CAPSTONE-1)においても、インフルエンザ罹病期間がプラセボに対して有意に短縮し、ウイルス排出期間および体内ウイルス量などの抗ウイルス効果においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示している。 同薬は、2018年2月23日に日本国内で製造販売承認を取得し、成人および小児におけるA型およびB型インフルエンザウイルス感染症を対象に販売されている。米国では、2018年4月24 日に、12歳以上の急性の合併症のないインフルエンザウイルス感染症を適応症として、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を行い、受理されている。■関連記事新規抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」発売

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20)レスピマット(スピリーバ)/吸入方法【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、レスピマット(スピリーバ)の吸入手順を説明します。手順としては、キャップをつけたまま、本体下部を180度回転させる→キャップを開けて、空気口をふさがないように持つ→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口を隙間なくくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、親指で噴射ボタンを押すのと同時に、普通の呼吸で深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回以上の指示がある場合は、呼吸を整えてからもう一度はじめから繰り返す→キャップを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)レスピマット(スピリーバ)

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抗精神病薬の代謝への影響に関するランダム化比較試験

 青少年の非精神病性の破壊的行動障害の治療において、抗精神病薬は一般的に使用されている。米国・セントルイス・ワシントン大学のGinger E. Nicol氏らは、青少年の初回抗精神病薬曝露と代謝への影響を検討するため、身体計測とインスリン感受性の標準的な評価を用いて調査を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 1つ以上の精神疾患および臨床的に有意な攻撃性を有すると診断され、抗精神病薬治療が考慮された、ミズーリ州セントルイスの抗精神病薬を処方されていない青少年(6~18歳)を対象とし、ランダム化臨床試験を実施した。対象は、2006年6月12日~2010年11月10日に登録され、小児の破壊的行動障害に一般的に使用される3種類の経口抗精神病薬のいずれかを投与する群にランダムに割り付けられ、12週間の評価を受けた。データ解析は、2011年1月17日~2017年8月9日に実施された。主要アウトカムは、全体脂肪率(DXA法[二重エネルギーX線吸収法]で測定)と筋肉のインスリン感受性(安定同位体でラベルされたトレーサーによる高インスリンクランプを介して測定)とした。副次的アウトカムは、腹部肥満(MRIで測定)、脂肪および肝組織のインスリン感受性(トレーサーによるクランプを介して測定)とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は144例(男性:98例[68.1%]、平均年齢[SD]:11.3[2.8]歳)、アフリカ系米国人が74例(51.4%)、ベースライン時の過体重または肥満患者は43例(29.9%)であった。・アリピプラゾール群49例、オランザピン群46例、リスペリドン群49例にランダムに割り付けられ、12週間の治療が行われた。・ベースラインから12週目までの主要アウトカムについて、DXAによる全体脂肪率は、リスペリドン群1.18%増加、オランザピン群4.12%増加、アリピプラゾール群1.66%増加であり、リスペリドン群およびアリピプラゾール群よりもオランザピン群において有意に大きかった(治療相互作用による時間:p<0.001)。・ベースラインから12週目までのインスリン刺激による骨格筋の糖取り込み率の変化は、リスペリドン群2.30%増加、オランザピン群29.34%減少、アリピプラゾール群30.26%減少であり、薬剤間に有意な差は認められなかった(治療相互作用による時間:p<0.07)。・インスリン感受性の主要な測定値は、プールされた試験サンプルにおいて、12週間有意に減少した。・ベースラインから12週目までの副次的アウトカムについては、リスペリドン群またはアリピプラゾール群よりもオランザピン群において、皮下脂肪の有意な増加が認められた(治療による時間:p=0.003)。・すべての群において、行動の改善が認められた。 著者らは「青少年に対する12週間の抗精神病薬治療中に、脂肪量およびインスリン感受性の有害な変化が認められ、オランザピンにおいて最も大きな脂肪量の増加が認められた。このような変化は、治療に起因するものであると考えられ、早期の心筋代謝性罹患率および死亡率のリスクと関連している可能性がある」とし、「青少年に対する抗精神病薬使用はリスクとベネフィットを考慮する必要がある」としている。■関連記事破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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希少疾病の海外情報紹介サイト開設

 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(センター長:福島雅典氏、以下「TRI」と略す)は、希少・難治性疾患の海外情報を国内へ届けるウェブサイト“Orphanet Japan Website”を開設した。 TRIは日本医療研究開発機構(AMED)からの推薦を受け、2017年10月、希少疾患情報を収集・管理している国際的な機関であるOrphanet*(本部:フランス)にアジアで初めて加盟。その目的は、国内における難病情報の充実と、海外への情報共有からもたらされる難治性疾患の克服と説明する。そして、この加盟を受けて、今回同サイトの開設に至ったものである。 具体的なサイトメニューとしては、ニュース、国際ニュース、イベント、一般情報、ドキュメントなどの項目に分かれていて、さまざまなコンテンツが順次公開されていく。*Orphanetとは1997年、フランス国立保健医学研究所(Inserm)によって設立され、世界のあらゆる人々へ高品質な難病情報を提供し、診断・治療の向上を目指している。現在、ヨーロッパを中心に、約40ヵ国が参加。6,000を超える難病情報を保有。 今後、TRIではOrphanet加盟国として、次の活動を予定している。1)Orphanetが保有する難病情報などを日本語に翻訳し、同サイトより発信2)日本国内の難病領域に関する医療・検査施設などの情報をOrphanetデータベースに登録(Orphanet International Websiteから閲覧可能) なお、これらの活動は、Orphanet加盟各国で同じように実施されており、Orphanet Japan Websiteは日本での発信ツールとして位置付けられている。■参考オーファネットジャパン■関連記事希少疾病ライブラリ

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子どもに対する抗精神病薬の処方前後における血糖・プロラクチン検査実施率に関する研究

 多くの国で、抗精神病薬(主に統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられる薬剤)による治療を受ける子供が増加している。大人と同様に、子供に対する抗精神病薬の使用は、糖尿病発症リスクの増大と関連している。このような点から、米国やカナダの診療ガイドラインでは、子供に対して抗精神病薬を処方する際、定期的に血糖検査を実施することが推奨されている。また、一部の抗精神病薬の使用はプロラクチンの上昇と関連しており、高プロラクチン血症による無月経、乳汁漏出、女性化乳房などの有害事象が、短期間のうちに発現する可能性もある。しかし、子供にとってこのような有害事象の徴候を適切に訴えることは難しいため、抗精神病薬を処方する際には、血糖検査と同時に、プロラクチン検査も実施すべきと考えられる。 医療経済研究機構の奥村 泰之氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、日本における、子供に対する抗精神病薬の処方前後の、血糖・プロラクチン検査実施率を明らかにするため検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2018年6月11日号の報告。 NDBを用いて、15ヵ月間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。2014年4月~2015年3月に抗精神病薬を新規に処方された18歳以下の患者を、450日間フォローアップした。アウトカムは、処方前30日~処方後450日の間における、血糖・プロラクチン検査の実施状況とした。血糖・プロラクチン検査実施率は、次の4つの検査時期について評価した。(1)ベースライン期(処方前30日~処方日)、(2)1~3ヵ月期(処方後1~90日)、(3)4~9ヵ月期(処方後91~270日)、(4)10~15ヵ月期(処方後271~450日)。 主な結果は以下のとおり。・6,620施設から得られた、新規に抗精神病薬の処方を受けた4万3,608例のデータのうち、継続的に抗精神病薬を使用していた患者は、処方後90日で46.4%、270日で29.7%、450日で23.8%であった。・ベースライン期に検査を受けた患者の割合は、血糖検査13.5%(95%CI:13.2~13.8)、プロラクチン検査0.6%(95%CI:0.5~0.6)であった。・4つの検査時期すべてにおいて、定期的に血糖検査を受けた患者は、0.9%に減少していた。また、プロラクチン検査を受けた患者は、1~3ヵ月期で0.1%に減少していた。 著者らは、本研究結果について以下のようにまとめている。・本研究では、抗精神病薬の処方を受けた子供が血糖検査やプロラクチン検査を受けることは、まれであることが示唆された。・これらの検査実施率が低くなる背景として、抗精神病薬治療の一環として血糖検査やプロラクチン検査を実施する必要性が十分に認識されていないこと、採血に人手と時間を要すること、メンタルヘルスに関する相談の場で子供や保護者が採血を想定しておらず嫌がること、などが考えられる。また、子供のメンタルヘルスを診療できる医療機関が少なく、採血を苦痛として通院が阻害されてしまうことがないよう、医師が慎重にならざるを得ない状況も考えられる。・かかりつけ医が検査を実施して、その結果を、抗精神病薬を処方する医師と共有する体制を構築することも、解決策の1つであると考えられる。・抗精神病薬治療の一環として必要な検査を周知することに加えて、子供のメンタルヘルスを診療できる医療機関を増やし、かかりつけ医との診療連携を強化するなど、子供のメンタルヘルスに関する医療体制に対して総合的な観点からの解決が求められる。■関連記事小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状日本の児童・思春期におけるADHD治療薬の処方率に関する研究

2218.

『てんかん診療ガイドライン2018』発刊

 前回のガイドライン発刊から約8年。その間に、新規治療薬の登場や適応追加、改正道路交通法など、てんかんを取り巻く環境は大きく変化している。2018年7月2日、大塚製薬株式会社が主催したプレスセミナー「てんかん診療ガイドライン2018」にて、てんかん診療ガイドライン作成委員会委員長の宇川 義一氏(福島県立医科大学 神経再生医療学講座教授)が登壇し、日本神経学会が監修したガイドラインの主な改訂点について語った。てんかん診療ガイドライン2018はGRADEシステムを採用 本ガイドラインは、2部で構成されている。第1部は診療ガイドライン、第2部では3つのクリニカルクエスチョン(CQ)に対してシステマティック・レビュー(SR)を行っている。また、エビデンスの質の評価は、GRADE working groupが提唱する方法で行い、「高(high)」「中(moderate)」「低(low)」「非常に低(very low)」にグレーディングされている。“けいれん”と“てんかん” “けいれん”とは「全身または一部の骨格筋が、不随意な硬直性または間代性収縮を起こすこと」であり、患者は持続的あるいは断続的なぴくつきを訴える。眼瞼けいれんなど、てんかんと無関係な病態でもけいれんを起こす。一方、“てんかん”とは「大脳神経細胞群の突発的・同期性過剰放電に基づく現象」を示し、けいれんを起こす時も起こさない時もある。宇川氏によると、「“epilepsy”はてんかんという病名を意味し、発作そのものを意味しない。さらに“convulsion”と“spasms”はいずれもけいれんと訳されるが、前者は[てんかんによるけいれん]を指し、後者は[末梢神経由来・筋肉由来のものなど]を指す」と指摘。また、同氏は「てんかんという日本語は、病名として使う場合と症状として使う場合がある。これには英語の概念を日本語訳したことによる混乱が影響している」と日本語訳の解釈について言及した。てんかん診療ガイドラインに薬物開始時期が追加 薬物療法を開始するに当たり、開始時期とその予後についてしばしば議論される。本ガイドラインでは「初回てんかん発作で薬物療法を開始すべきか」というCQにおいて、「初回の非誘発性発作では、ある条件を除き原則として抗てんかん薬の治療は開始しない。ただし、高齢者では初回発作後の再発率が高いため、初回発作後に治療を開始することが多い」と記されるようになった。ただし、「医学的根拠があれば初回発作から開始する場合もある」と同氏は述べている。第2世代薬も第1選択へ 2006年以降、日本において第2世代に分類される薬剤では、11剤が承認・販売された。これらは全般てんかん・部分てんかん、それぞれの新規発症患者だけでなく、高齢発症患者に対しても使用が推奨されるようになった。てんかんとの鑑別に注意が必要な疾患 成人において、てんかんと鑑別されるべき疾患は11項目に上る。なかでも、失神(神経調節性、心原性など)と心因性非てんかん発作(PNES)は突然発症の意識消失で救急外来を訪れる患者の40%を占めるため、これらの患者のてんかんを否定することが必要である。失神発作は発作後に意識変化や疲労、倦怠感を伴わない点が特徴であるため、鑑別には一般の検査(脳波、MRI、CT)だけでなく、心血管性の原因を精査することが重要とされる。それでも鑑別が難しい場合はビデオ脳波同時記録も行う。これらの診断を誤ると「間違って、てんかん患者として抗てんかん薬を服用し続ける原因につながる」と同氏は注意を促している。 そして、てんかんを誘発する原因として、1)脳卒中、2)睡眠不足、3)急性中毒(薬物、アルコール)・薬物離脱・アルコール離脱の3項目が該当する。これについて同氏は「まずは原疾患治療に抗てんかん薬をオンして治療を行っていくが、症状の改善に応じて抗てんかん薬をオフすることが可能」と説明した。てんかん診療ガイドラインの今後の課題 最後に同氏は「毎年は改訂できないが、年に1回の頻度で追補版を学会ホームページに公開している。これからも先生方の意見を基にガイドラインをブラッシュアップしていきたい」と締めくくった。

2219.

親の年齢とてんかんリスクに関するレジストリベース調査

 出産時の母親、父親の年齢および親の年齢差と子供のてんかんリスクとの関連について、デンマーク・オーフス大学のJulie W. Dreier氏らが検討を行った。Epilepsia誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 研究グループは、1981~2012年にデンマークで生まれたすべての単生児について、プロスペクティブ人口ベースレジストリ研究を実施した。Cox回帰分析を用いて、てんかんのハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)を推定し、交絡調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・研究期間中に158万7,897例、合計2,500万人年をフォローアップし、てんかん患者2万1,797例を抽出した。・母親の年齢が20歳未満で、父親が母親より5歳以上年上の夫婦に生まれた子供において、てんかんの過剰なリスクが認められた(HR:1.17、95%CI:1.07~1.29)。・両親の年齢差が大きくなるとてんかんリスクが増加し、父親が母親よりも15歳以上年上で、そのリスクは最も高かった(調整HR:1.28、95%CI:1.16~1.41)。・両親の年齢差を考慮した際、母親の年齢とは対照的に、父親の年齢は子供のてんかんリスクに関連する独立因子ではなかった(p=0.1418)。・母親の年齢および両親の年齢差との関連は、てんかんのサブタイプにおいて不変であり、てんかん発症年齢により修正されたが、その影響は子供の生後10年間において最も顕著であった。 著者らは「母親の年齢および両親の年齢差は、父親の年齢と無関係に、子供のてんかんリスクとの関連が認められた。本結果は、父親の年齢が高いとde novo変異が子供のてんかんリスクを高めるとの仮説を支持しなかった」としている。■関連記事スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬使用に関する比較研究小児てんかんに対するレベチラセタムとフェノバルビタールの有効性比較母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か

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日本発の治療薬を世界中の患者さんへ

 2018年6月20日、ノーベルファーマ株式会社は、「ラパリムスゲル0.2%」(一般名:シロリムス外用ゲル剤)が、「結節性硬化症に伴う皮膚病変」の治療薬として6月6日に発売されたことを期し、本剤に関する記者発表会を都内で開催した。発表会では、結節性硬化症の概要のほか、本剤の開発経緯や特徴などの講演が行われた。患者さんの声に応えて研究・開発された治療薬 発表会では、金田 眞理氏(大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座 皮膚科学教室 講師)を講師に迎え、「結節性硬化症に伴う皮膚病変の治療革命」をテーマに講演が行われた。 「結節性硬化症」(以下「TSC」と略す)とは、タンパク質キナーゼのmTORが恒常的に活性化することで、皮膚、神経系、腎、肺、骨など諸部位に過誤腫や過誤組織を形成する疾患。最近では胎児期の心横紋筋腫をきっかけに発見される例も増えてきているという。精神遅滞、てんかん、血管線維腫が3主徴とされ、とくに皮膚症状は99%の患者で起こり、顔面にできる血管線維腫は、患者のQOLやADLを低下させ、長年苦しめてきた。治療では、根治療法はなく、個々の症状への対症療法が行われている。 皮膚病変の治療では、mTOR阻害薬の内服薬のほか外科的治療が行われてきたが、内服薬では効果が緩徐で長期服用が必要とされることから副作用の懸念があり、外科治療では全身麻酔による処置が必要なことも多く、患者や患者家族からは痛みのない、外用薬の開発が望まれていた。そうした患者らの声を受けて、同氏が研究・開発した外用薬が「ラパリムスゲル」である。 同氏による医師主導治験では、1日2回塗布で12週後の効果を検討すると、小さな腫瘤や白斑などは消失し、縮小効果は成人よりも小児の方に大きく効果がみられたほか、線維性局面も同様に小児の方に効果が大きくみられたという。 問題点について同氏は「塗布を中止すると再燃すること、塗布の継続期間や頻度、効果判定や長期使用の安全性など課題も多い」と指摘する。最後に「今回の治療薬開発プロセスが、今後のわが国の創薬モデルとなりうると考える」と展望を述べ、講演を終えた。先駆け審査指定制度の第1号として誕生 本剤は、日本から世界に発信をするという意味合いで、厚生労働省の定める先駆け審査指定制度*の第1号として認定され、承認された治療薬である。適用症は「TSCに伴う皮膚病変」であり、世界初となる。作用機序としては、TSCで恒常的に活性化しているmTORをシロリムスが阻害することで皮膚病変の症状を緩和する。 本剤は、2015年から検証試験および長期試験(国内第III相試験)が行われ、TSCに伴う血管線維腫に対し、ラパリムスゲル群(n=30)とプラセボ群(n=32)に分け、12週後の改善度を比較した結果、ラパリムスゲル群は改善率60.0%に対し、プラセボ群は0%(p<0.001 Fisherの直接確率検定)だった。また、線維性頭部局面の改善度に対し、ラパリムスゲル群(n=13)とプラセボ群(n=16)で同様に12週後の改善度を比較した結果、ラパリムスゲル群は改善率46.2%に対し、プラセボ群は6.3%(p=0.026 Fisherの直接確率検定)とラパリムスゲル群の有効性が確認された。安全面についてみると、12ヵ月の長期試験で有害事象を伴う中止にいたらなかった患者割合は97.9%だった。また、主な副作用としては、皮膚乾燥、適用部位刺激感、ざ瘡、そう痒症、ざ瘡様皮膚炎、眼刺激などが報告されたがいずれも重篤なものはないという。用法・用量は、通常1日2回患部に適量を塗布。薬価は3,855 円(0.2% 1g)となる。*先駆け審査指定制度とは、対象疾患の重篤性など、一定の要件を満たす画期的な新薬などについて、開発の早期段階から対象品目に指定し、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすることで、承認審査の期間を短縮することを目的としたもの。

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