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冬季の高齢者の感染症対策はワクチンで

 2018年9月6日、ファイザー株式会社は都内において、高齢者の冬場の感染症対策に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、冬季の肺炎についてや同社が行った肺炎球菌ワクチンに関するアンケート結果が公表された。高齢者が陥る肺炎の「負のスパイラル」 セミナーでは、講師に長谷川 直樹氏(慶應義塾大学医学部 感染症制御センター 教授)を迎え、「今から取り組む冬場に向けての高齢者の感染症対策~65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種についてのコミュニケーション実態調査を踏まえて~」をテーマにレクチャーが行われた。 高齢化の進行するわが国では、65歳以上の97.9%が肺炎で死亡するなど肺炎への対応は大きな課題となっている(厚生労働省 平成29年人口動態統計)。高齢者では、肺炎を発症し入院などするとADLが低下し、それにより退院後も心身機能が低下、寝たきりになったり、嚥下機能が弱ったりすることで、さらに肺炎を再発する「負のスパイラル」を引き起こすと危惧されている。 市中肺炎における原因微生物では、圧倒的に肺炎球菌が多く、医療・介護関連でも肺炎球菌が一番多い検出菌として報告されている。また、基礎疾患として、COPDなどの慢性肺疾患、喘息、慢性心疾患、糖尿病などがある65歳以上の高齢者では肺炎発症リスクが高く1)、さらには重症インフルエンザに罹患後、肺炎に感染するリスクも報告されている(日本呼吸器学会インフルエンザ・インターネットサーベイ)。肺炎、インフルエンザはワクチンの併用接種でリスクを縮小 こうした肺炎には予防ワクチンが有効であるが、現在わが国で成人に接種できる肺炎球菌ワクチンは2種類ある。 1つは23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックス)で、2歳以上から接種ができる多糖体ワクチンである。接種経路は筋肉内または皮下となっている。幅広い年代で使用できる反面、約5年で抗体価が低下するために再接種の必要があるとされている。もう1つは13価肺炎球菌結合型ワクチン(同:プレベナー)で、2ヵ月齢~6歳未満(接種経路は皮下)、65歳以上(接種経路は筋肉内)で接種できる。主に小児の肺炎予防ワクチンとして定期接種され、修正免疫を獲得するワクチンであるとされる。 両ワクチンの使い分けについては、長谷川氏は私見としながらも「高齢者や慢性疾患のある患者には両方接種が望ましい選択。外来などでは、日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会表明の『65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方』などに従って患者と相談し決めていくことになる」と考えを述べた。 また、インフルエンザワクチンとの併用接種については、「『成人肺炎診療ガイドライン』や日本内科医会の見解にもあるように併用接種が強く推奨されていることから、機会を捉えて高齢者や肺炎リスクの高い患者などには接種の必要性を説明・実施するなど、医療者側の対応が必要だ」と強調した。ワクチン接種について医師と患者で大きな溝 つぎに医師と患者のワクチンギャップに関するアンケート調査結果を報告した。この アンケートは、全国の呼吸器内科の医師150名および65歳以上の男女300名を対象に、「成人の肺炎球菌ワクチンについてのコミュニケーション実態調査」を行ったもの(2018年3月30日~31日・インターネット調査、ファイザー株式会社が実施)。 「肺炎球菌ワクチン接種の考え方」ついて、医師の80%が「定期接種に限らず任意接種制度も上手に利用すべき」と考えているのに対し、患者では17.7%しか同様の考えを持っておらず、53.7%の患者は「定期接種またはその予定で十分」と考えていること(医師の同じ考えは18.0%)が判明した。また、「ワクチン接種に関する患者との質問のやり取り」では、医師の72.7%(109/150)が「患者は疑問に思うことを医師に十分に伝えていない」と考えているのに対し、5分以上診療で話している患者の77.1%(54/70)が「気になることは医師に質問できている」と回答するなど、両者の意識の違いも明らかとなった。 こうしたアンケートを踏まえ同氏は、「ワクチンが肺炎罹患の減少と健康寿命延伸の1つとして活かされるには、患者が納得して接種できるように、両者でよりよいコミュニケーションがなされる必要があり、呼吸器内科だけでなく診療科を超えた取り組みがカギとなる」と期待を語り、講演を終えた。●文献1)Shea KM, et al. Open Forum Infect Dis. 2014;1:ofu024.■参考65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種についてのコミュニケーション実態調査(ファイザー社調査結果)

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成人のインフルエンザに対するバロキサビル マルボキシルの効果(解説:吉田敦氏)-913

 本邦で2018年2月23日に製造承認された新規の抗インフルエンザ薬、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ錠)に関する2つの二重盲検ランダム化比較試験の結果がNEJM誌上に発表された。本剤はウイルスのポリメラーゼを構成する3つのサブユニットのうち、polymerase acidic protein(PA)を選択的に阻害するプロドラッグであり、エンドヌクレアーゼ阻害薬に分類される。A型、B型いずれにも効果を示し、動物実験では肺内のウイルス量を早期に減少させること、さらに人体内では長い半減期を有する(49~91時間)ことが判明していた。 第II相試験では、バロキサビル1回投与の3用量(10mg、20mg、40mg)とプラセボの4つについて比較した。さらに第III相試験では、12~64歳の外来患者をバロキサビル(体重80kg未満では40mgを1回投与)、オセルタミビル(75mgを1日2回、5日間)、プラセボの3つに割り付けた(ただし12~19歳の患者はバロキサビルとプラセボの2群のみ)。インフルエンザと診断した対象患者は、38℃以上の発熱と、全身症状の少なくとも1つ、呼吸器症状の少なくとも1つを有する者とし、妊婦や体重40kg未満の者、入院を要した患者は除外した。インフルエンザ抗原検査陽性は第II相の対象患者のみ必要とし、第III相ではその結果は問わなかった。開始後は症状、所見を追うとともに、鼻咽腔のウイルス検出と感受性検査、ペア血清による抗体検査、安全性の確認として血液・尿検査を行った。プライマリーエンドポイントは、すべての症状が消失する、あるいは軽度になってから既定の時間が過ぎるまでの期間とした。 第II相では389人が試験を完了したが、およそ6~7割はH1N1 pdm09ウイルスによるもので、プラセボ群では症状軽減(中央値)まで77.7時間であったものが、バロキサビル群では49.5~54.2時間で(40mg群が最も短い)、有症期間は有意に短縮された。2群の有害事象報告率は同程度で、事象が重症であったり、投与中止に至ったものはなかった。第III相では1,064人が解析できたが、80%以上はH3N2ウイルスによるものであり、症状軽減までの時間(中央値)は、バロキサビル群53.7時間、オセルタミビル群53.8時間、プラセボ群80.2時間であった。ウイルスの減少速度はバロキサビルで大きかったが、感染性のウイルスが検出された期間(中央値)はそれぞれ24時間、72時間、96時間であった。なお本試験に関連すると思われる有害事象はそれぞれ4.4%、8.4%、3.9%であった。またバロキサビル低感受性に関与するとされるPAの遺伝子変異(I38T/M/F)を生じたのは、第II相では2.2%、第III相では9.7%であった。 バロキサビルは合併症のないインフルエンザにおいて1回投与でも有意に有症期間を短縮し、さらに速やかにウイルス量を減少させることができ、有望な抗インフルエンザ薬であることが裏付けられた。なお本検討にはいくつかの興味ある点が見受けられる:(1)投与開始が早いほうが成績がよい、(2)オセルタミビルよりも早くウイルス量は減少するが、有症期間は同等である、(3)ウイルス量の早い減少は感染伝播を減らす面ではやや有利かもしれない。しかしバロキサビル投与によって低感受性関連変異を来すと、ウイルス排泄は長引き、有症期間も長くなってしまう(30%ではプラセボよりも延長する)。合併症を有する例、小児・高齢者、免疫不全者における成績や、低感受性ウイルスに関する具体的な解釈もこれからではあるが、本剤の使用にあたっては、オセルタミビルに比べ優れている点と上記のような特徴を理解したうえで、考慮すべきであろう。また、とくに強調したいのは、本検討の8割近い被検者が日本人であったことである。この点は日常診療上の解釈においても、かつ臨床研究上の意義においても、非常に大きいといえよう。

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統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。20~64歳、12~64歳の合併症のないインフルエンザ患者を対象に試験 研究グループは、合併症のない急性インフルエンザを発症し、それ以外は健康な患者を対象に2つの無作為化試験を行った。1つ目は、2015年12月~2016年3月にかけて20~64歳の日本人成人を対象に行った、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化用量範囲探索試験。被験者を4群に分け、バロキサビルを10mg、20mg、40mg、プラセボをそれぞれ単回投与した。 もう1つの試験は、2016年12月~2017年3月にかけて、インフルエンザ様症状で外来受診した12~64歳の米国人・日本人を対象に行った、第III相の二重盲検プラセボ/オセルタミビル対照無作為化試験「CAPSTONE-1」。20~64歳の被験者を無作為に3群に分け、バロキサビル(体重80kg未満は40mg、体重80kg以上は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回5日間)、プラセボをそれぞれ投与した。12~19歳の患者は、2対1の割合で無作為に割り付けてバロキサビルまたはプラセボを投与した。 有効性の主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までに要した時間だった。バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間早く症状が緩和 第II相試験では、症状緩和までの時間中央値は、バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間短かった(p<0.05)。 CAPSTONE-1試験では、ITT感染集団1,064例のうち、インフルエンザA型(H3N2)感染が各群で84.8~88.1%に認められた。症状緩和までの時間中央値は、プラセボ群80.2時間(95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)に対し、バロキサビル群53.7時間(同:49.5~58.5)だった(p<0.001)。また、バロキサビル群では、プラセボ群やオセルタミビル群と比べ、レジメン開始1日後のウイルス量が有意に減少した。 なお、バロキサビル群とオセルタミビル群の症状緩和までの時間中央値は類似していた。 有害事象の発生は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で認められた。バロキサビルへの感受性低下につながるI38T/M/F置換を伴うポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異は、第II相試験とCAPSTONE-1試験で、それぞれバロキサビル投与例の2.2%と9.7%で認められた。

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ファブリー病〔Fabry disease〕

ファブリー病のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 定義α-ガラクトシダーゼAの酵素欠損により心臓、腎臓などの組織を中心にグロボトリオシルセラミド(GL-3)が蓄積することにより、心不全、腎不全を来す疾患である。遺伝形式はX-連鎖の遺伝形式をとる。■ 疫学約4万人に1人と推定される。腎不全患者の0.2~0.5%、左室肥大の患者の4%、女性左室肥大の12%、男性脳卒中患者の4.9%、女性患者の2.4%。イタリアでは新生児男児3,100人に1人の頻度、台湾では1,250人に1人と患者頻度は高い。■ 病因ライソゾーム酵素であるα-ガラクトシダーゼの酵素欠損により全身組織にグロボトリオシルセラミド(GL-3)などの糖脂質が蓄積する(図1)。とくに血管内皮細胞に蓄積、心筋、腎臓、リンパ節、神経節など、全身組織に蓄積する。画像を拡大する■ 臨床症状(表1)ファブリー病の臨床症状は多彩である。小児期からの四肢の激痛、無痛、無汗などの自律神経症状、蛋白尿、腎不全などの臨床症状、不整脈、弁膜症、心不全などの心症状、頭痛、脳梗塞、知能障害などの神経症状、精神症状、皮膚症状として被角血管腫、難聴、めまい、耳鳴り、角膜混濁などの眼科症状、咳などの呼吸器症状などを認める。ファブリー病の臨床症状の進展は図1を参照。画像を拡大する■ 分類臨床的には「古典型」、心型、腎型といわれる「亜型」、「ヘテロ接合体女性患者」に分類される古典型(表2)では皮膚症状(被角血管腫)、自律神経症状(低汗、無痛、四肢痛など)を有する。心型、腎型ではこれらの症状は少ない。ヘテロ接合体女性患者では心症状が主体であるが、痛みなどは男性患者と同様に認められる。画像を拡大する■ 予後古典型の患者は早期の酵素補充療法をしないと、腎不全、心不全、脳梗塞で40~50代で死亡する患者が多い。心型、腎型では60~70代で死亡、ヘテロ女性患者は60~70代で心不全にて死亡する患者が多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)次の流れに従い、診断を行う。(1)臨床症状:小児期からの四肢の激痛、無汗、皮膚の被角血管腫、心不全、蛋白尿、腎不全、脳梗塞などの症状(2)血清、白血球、尿などでα-ガラクトシダーゼの酵素欠損を証明する(3)尿中GL-3の蓄積(4)皮膚での病理所見:電子顕微鏡でミエリン様蓄積物質を認める(5)遺伝子診断 3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ファブリー病の治療として対症療法と根治療法がある。表3に概略をまとめた。画像を拡大する1)対症療法(1)疼痛ファブリー病での痛みは、患者に大きな負担である。幼少時から四肢の灼熱感のある痛みが生じ、思春期はとくに強い。女性患者でも4~5歳から四肢の痛みを感じる患者がいる。痛みは四肢以外にも下顎、頸部などさまざまである。とくに梅雨の時期、夏などは疼痛が強い。カルバマゼピン(商品名:テグレトールほか)、ガバぺンチン(同:ガバペン)などが有効である。(2)消化器症状腹痛、胃痛、下痢などがみられ、整腸剤などの投与が有効である。(3)心肥大、心不全、不整脈徐脈性不整脈には、ペースメーカーが有効である。心筋保護作用としてのACE阻害薬、 ARBの投与が推奨される。高血圧、高脂血症の予防は重要である。(4)腎障害腎保護策のためにARB、ACE阻害薬は有効との報告がある。蛋白食制限、減塩は必要である。腎不全に対しての腹膜あるいは血液透析療法、さらには腎移植が試みられている。(5)脳梗塞脳梗塞の予防のためのアスピリン、抗血小板凝集薬の投与などの抗凝固療法が必要。(6)その他めまい、難聴などに対する対症療法として、めまいにはベタヒスチンメシル(同:メリスロンほか)、突発性難聴にはステロイドが使用される。2)酵素補充療法酵素補充療法は、現在遺伝子工学的手法の進歩に伴いαガラクトシダーゼAの酵素製剤が2製剤開発されている。アガルシダーゼ アルファ(商品名:リプレガル)とアガルシダーゼ ベータ(同:ファブラザイムほか)が開発されている。アガルシダーゼ ベータはCHO(Chinese Hamster Ovary)細胞から遺伝子工学手法で作成された。投与量としては体重1kgあたりアガルシダーゼ アルファは0.2mg、アガルシダーゼ ベータは1mgを2週間に1回投与する。副作用としては蕁麻疹、悪寒、吐き気、鼻汁、軽度血圧低下、気道に違和感などの症状が見られるが、抗ヒスタミン薬、ステロイドの投与で軽快する場合が多い。副作用は投与後3~5ヵ月後に多く見られ、その後は軽快する場合が多い。そして、効果のポイントは次のとおりである。(1)痛みへの効果痛みは軽減傾向にある。発汗障害は改善傾向にある。(2)腎臓への効果腎臓、とくに腎血管内皮細胞でのGL-3の蓄積は除去される。糸球体のたこ足細胞でのGL-3の蓄積の除去には時間がかかる。GFRが60mL/min/1.73m2以上であれば治療後も維持できる。また、60mL/min/1.73m2 以下であれば、治療にかかわらず機能は低下することが明らかにされている。尿蛋白質では、蛋白の排泄が+1以上であれば酵素治療しても腎機能は低下するが、尿蛋白がマイナスであれば腎機能は悪化しない。(3)心機能への効果心筋の肥厚、左室心筋重量は酵素補充療法により減少する。左室機能改善の改善を認める。(4)脳神経系への効果酵素補充療法により血管の内皮細胞への蓄積は軽快するが、脳梗塞の所見は治療により変化はないと考えられる。また、白質変性への効果も少ない。(5)耳鼻科的効果酵素補充による聴力への効果はあまり期待できない。聴力検査で効果が認められていない。(6)眼症状への効果角膜に対する効果は軽快する傾向にある。網膜動脈閉塞で失明する。(7)皮膚症状への効果被角血管腫への効果は少ない。低(無)汗症への効果はみられ、酵素治療により汗をかくようになりQOLは上がる。(8)消化器症状への効果酵素補充療法により下痢などに対する効果が報告され、酵素治療とともに下痢、腹痛は改善傾向にある。体重は増加する患者が多い。4 今後の展望1)シャペロン治療低分子薬(デオキシノジリマイシンなど)は、ライソゾーム酵素のゴルジーライソゾーム系での酵素の合成、分解過程で作用する。すなわち変異酵素が分解促進、あるいは活性基が障害されている場合、シャペロンは有効であり、全体の約50~60%の患者の遺伝子異常に効果があるといわれている。ミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)は、2018年5月に発売され、わが国でも保険適用となった。今後、効果や安全性について、さらに知見の積み重ねがなされる。2)遺伝子治療・細胞治療ファブリー病の最終治療としては、遺伝子治療法の開発が重要である。ファブリー病マウスを用いて「アデノ随伴ウイルス」(AAV)あるいは「レンチウイルスベクター」を用いての治療研究が進められており、モデルマウスではGL-3の臓器からの除去に成功している。また、骨髄幹細胞、あるいは間質幹細胞を用いて、遺伝子治療と組み合わせての治療効果も研究されている。3)ファブリー病のスクリーニングファブリー病の治療のためには、早期診断が重要である。早期診断のための新生児マス・スクリーニングも報告され、ガスリー濾紙血を用いて酵素診断することにより可能である。濾紙血による新生児スクリーニングでは、台湾でのファブリー病患者頻度は1/1,250(男児)、イタリアでは1/3,500(男児)、日本では1/6,500の頻度であり、決して珍しい疾患でないことが証明されている。また、ハイリスク患者スクリーニングとして、心筋症患者、左室肥大患者、腎不全患者、若年性脳梗塞患者にはファブリー病の患者の頻度が高いことが報告されている。早期診断により治療効果をあげることが重要である。5 主たる診療科腎臓内科、循環器内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻科 など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療情報難病情報センター ライソゾーム病(ファブリー病を含む)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報ふくろうの会(ファブリー病患者と家族の会)1)Desnick RJ, et al. α-Galactosidase A deficiency: Fabry disease. In: Scriver CR et al, editors. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York: McGraw Hill; 2001. p. 3733–3774. 2)Eng CM, et al. N Engl J Med. 2001; 345: 9–16.3)Rolfs A, et al. Lancet. 2005; 366: 1794–1796.4)Sims K, et al. Stroke. 2009; 40: 788-794.5)衛藤義勝. 日本内科学雑誌.2009; 98: 163-170.公開履歴初回2013年2月28日更新2018年9月11日

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第4回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (後編)【 適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析 】

前編 Q1処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?Q2患者さんに確認することは?Q3患者さんに何を伝える?Q4 疑義照会をする?しない?疑義照会するアモキシシリンの処方日数 児玉暁人中耳炎の抗菌薬効果判定は3日目なので、アモキシシリンの処方日数を確認したいです。エンテロノン®-Rの投与量 わらび餅アセトアミノフェンの用量からは、患者の体重は14kg。2歳児としては大きい方で、かつアモキシシリンも高用量なので、エンテロノン®-Rは1g/日以上飲んでもいいのではと考えます。整腸剤自体は毒性の高いものではないので、少なめにする必要はないかと考えます。抗菌薬変更、検査の有無、アセトアミノフェンの頻度 JITHURYOU直近1カ月の抗菌薬の使用状況を聞き、抗菌薬を連用している場合は耐性菌の可能性があるのでセフジトレンピボキシルなどへの変更を提案します。膿や痰などの培養検査の有無の確認。検査をしていなければ検査依頼をします。アセトアミノフェンの使用頻度を確認したいです。医師によっては、炎症が強いと考えられる場合は特別に指示をしている可能性(夜間の発熱や疼痛)があります。場合によっては坐薬への変更提案をします。カルボシステインの服用回数 柏木紀久カルボシステインは1日量としてはいいのですが、分2投与に疑問があります。夜間睡眠中は副腎皮質ホルモンの分泌低下や繊毛運動の低下による排膿機能の低下、仰臥位による後鼻漏も起こりうるので、これらを考慮してあえて分2にしたとも考えられますが、確認を含めて疑義照会します。投与3日後の症状によっては抗菌薬の変更を提案 荒川隆之「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」では、中等症以上の中耳炎の場合、アモキシシリンは25~30mg/kgを1日3回投与とありますので、1回420mg投与は妥当と考えます。ただ、このガイドでは投与期間が3日となっているので、3日治療をしても効果が見られない場合は、抗菌薬の変更を医師に提案します。疑義照会をしないガイドラインに則った投与量 清水直明小児急性中耳炎の起因菌としては肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く、それらはPISP、PRSP、BLNAR※などといったペニシリンに対する耐性株の分離が多いことが報告されており、アモキシシリンは高用量投与が推奨されています。本処方のアモキシシリン投与量は添付文書上の最大用量ですが、「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」に則った投与量であり、このままの処方でOKとします。※PISP;Penicillin-intermediate Streptococcus pneumoniae(ペニシリン中等度耐性肺炎球菌) PRSP;Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae(ペニシリン耐性肺炎球菌) BLNAR;β-lactamase-negative ampicillin-resistant Haemophilus influenzae(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)気になるところはあるが… 中堅薬剤師エンテロノン®-Rの投与量が少ない気はします。症例の子供の体重は14kgと思われ、60kgの成人は3g/日が標準とすれば、14kgでは0.7g/日と比例計算したのでしょう。しかし、これまでの経験から多くの小児科処方では体重1kgあたり0.1~0.15g/日くらいでしたので、14kgの子供であれば1.4~2.1gくらいと考えます。ただ、乳酸菌製剤には小児の用量設定がなく、医師に疑義照会できるだけの根拠がありません。問題があるわけではないので、実際にはこのまま調剤します。協力メンバーの意見をまとめました今回の抗菌薬処方で患者さんに確認することは・・・(通常の確認事項は除く)ペニシリンや牛乳のアレルギー・・・3名最近中耳炎になったかどうか・・・2名再受診を指示されているか・・・2名昼の服用について・・・1名鼓膜切開しているかどうか・・・1名集団保育・兄弟の有無・・・1名患者さんに伝えることは・・・抗菌薬は飲み忘れなく最後まで飲みきること・・・6名副作用の下痢がひどい場合は連絡すること・・・4名アモキシシリンとエンテロノン®-Rは指示通りの服薬時間でなくても、1日3回飲むこと・・・3名再受診を促すこと・・・1名服用後3日経っても症状が改善しない場合は連絡すること・・・1名アセトアミノフェンの使用方法(頻度)・・・1名鼻汁をとること、耳漏の処置・・・1名疑義照会については・・・ 疑義照会する カルボシステインの分2処方・・・5名アモキシシリンの処方日数・・・2名アセトアミノフェンの使用について。場合によっては坐薬への変更提案・・・2名エンテロノン®-Rの投与量・・・1名セフジトレンピボキシルなどへの変更提案・・・1名培養検査の依頼・・・1名 疑義照会をしない 6名

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寝返りができない軽症型SMAの現実

 2018年8月27日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注12mg)が発売から1年を超えたのを期し、「新薬の登場により、SMA治療が変わる」をテーマとする、第2回目のメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、主に成人の脊髄性筋萎縮症(以下「SMA」と略す)患者について、日常の様子や治療効果などの説明が行われた。軽症でも30歳までに患者の約半数が歩行機能を喪失 講演では、斎藤 利雄氏(刀根山病院 神経内科・小児神経内科 神経内科医長/臨床研究部神経筋研究室長)を講師に迎え、「脊髄性筋萎縮症と神経内科 ヌシネルセン投与でどう変わる?」をテーマにレクチャーが行われた。 SMAは、進行性の運動ニューロン病として、体幹・四肢の近位部優位の筋力が低下する疾患で、指定難病の指定を受けている。斎藤氏の所属する刀根山病院では、生後6ヵ月までに発症する重症のI型が8例、生後1歳6ヵ月までに発症する中間型のII型が32例、生後1歳6ヵ月以降に発症する軽症型のIII型が8例と全48例のSMA患児・患者が治療を受けている。 今回解説されたIII型の病型は、運動機能発達のマイルストーンの最高到達点が「支えなしでの歩行」であり、平均余命は健康な人と同様であるなど、ほかのI・II型と比較すると予後はよいとされている。ただし、運動機能について、IIIa型(生後18ヵ月~3歳までに発症)では10歳までに、IIIb型(12歳未満発症)では30歳までに、その約半数が歩行機能を喪失するとされている1)。SMAの軽症型はけっして軽症ではない 講演では9歳、12歳、32歳、49歳の症例を挙げ、実際、いずれの症例でも歩行障害があり、成人例では中学生のころから健康な人と同じ運動ができなくなり、徐々に運動機能が低下する経過が説明されたほか、顕著な運動障害として「寝返りができない」「コップを持ち上げて飲めない」「座るときへたり込むように座る」など、障害が患者QOLに与える影響を報告した。SMAのIII型は軽症とされているが、健康な人ならば簡単にできる動作でも、困難を伴い、日常生活に苦慮している状況を説明した。さらに、この運動機能の低下が、「患者の就労などに大きなハードルとなっている」と齋藤氏は指摘する。とくに本症では、精神遅滞などがないため、就業への意欲があっても道が閉ざされる患者の失望や運動機能のさらなる悪化へ不安を覚える患者の声なども報告された。 つぎに32歳・男性へのヌシネルセン投与例について自験例を説明。運動機能の回復は認められなかったが、易疲労感の減少などはあったと紹介した。 最後に齋藤氏は、「ヌシネルセンの登場によりSMA患児・患者の予後が変わるかもしれないが、そのためには新生児期からの早期診断・早期介入が必要である。また、小児科と神経内科の連携、麻酔科など他科との連携も必要で医療的ケアの充実も求められる。解決すべき問題としては、本剤の髄腔内投与の方法や長期投与による諸臓器への影響、薬価など課題も多いが、患者の生活をどう変えるか長い目でみていきたい」と期待を語り、講演を終えた。■文献1)Wadman RI,et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88:365-367.■参考SMA特設サイト(バイオジェン・ジャパン株式会社提供)SMA患者登録システムSMART(SMARTコンソーシアム)■関連記事SMA患児の運動機能が大きく変わった

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FHの発掘は内科と皮膚科・小児科の連携がカギ

 わが国における家族性高コレステロール血症(FH)の患者総数は、25万人以上と推定され、意外にも、日常診療において高頻度に遭遇する疾患と言われている。2018年8月22日に日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「FH(家族性高コレステロール血症)について」において、斯波 真理子氏(国立循環器病研究センター研究所病態代謝部部長)が登壇した。FHが襲った悲劇 競泳男子平泳ぎ100m 北島康介選手の最大のライバル、ノルウェーのダーレ・オーウェン選手(享年26歳)が2012年4月に急死したのをご存じだろうか。死因が遺伝性の心疾患と判定された彼は、もともと冠動脈疾患を抱え、急死する1、2ヵ月前にも軽い心臓発作を起こしていたという。にもかかわらず、治療を行っていなかった可能性があり、さらに、この選手の祖父は42歳の時に心臓病で急死しているとの報告もある。斯波氏によると、「トップアスリートは、スタチン系がもたらす運動機能低下の副作用を懸念し1)、薬物治療を拒むことがある」という。 また、FH患者は、冠動脈疾患(CAD)を発症し、その後10~15年経過後に脳血管疾患に陥る場合が多いと言われている。この理由について同氏は、「コレステロールは力が加わる部分に溜まりやすい。そのため、アキレス腱、大動脈や心臓弁に溜まり、CADを発症しやすい」と解説した。FHの種類と診断意義 FHはLDL受容体、PCSK9遺伝子の変異が原因とされ、大きく2種類に分類される。ヘテロ接合体、ホモ接合体、それぞれの主な特徴(15歳以上の場合)を以下に示す。FHヘテロ接合体・LDL受容体関連遺伝子変異・罹患率:200~500人に1人(遺伝性代謝疾患中、頻度最大)・血清総コレステロール値:230~500mg/dL・所見:皮膚および腱黄色腫・若年性動脈硬化症やCADの早期罹患FHホモ接合体・LDL受容体遺伝子変異・罹患率:100万人に1人以上・血清総コレステロール値:500~1,000mg/dL・所見:著明な皮膚および腱黄色腫・確定診断:LDL受容体活性測定やLDL受容体遺伝子解析の利用 各分類別に累積LDL-CとCADの発症を調べた研究2)における、CAD発症に係る累積LDL-C閾値到達年数は、ヘテロ接合体患者は35年、ホモ接合体患者は12.5年と報告されており、非FH患者の53年と比較しても両者のCADリスクの高さがうかがえる。同氏は「この報告が示すように、いかに早期発見し、適切な治療を開始するかがFH診断の鍵となる」と、診断の意義を語った。早期発見にはレントゲン・超音波・家系図を FHの最も有効な診断は遺伝子検査だが、同氏は「まずは、アキレス腱などの肥厚や皮膚結節性黄色腫、FHあるいは早発性CADの家族歴(2親等以内)を発見することが望ましい」と述べ、「アキレス腱厚は超音波[カットオフ値(mm):男性6.0、女性5.5]、レントゲン[カットオフ値(mm):9.0]で診断できるため、通常の診察において腹部や胸部だけでなく、アキレス腱のチェックをしてほしい」と、画像診断の有用性を訴えた。 さらに、LDL-C値が高い患者にはFHや心筋梗塞の家族歴の確認が重要となる。FHは家族を1人診断するとほかの家族の診断にも繋がるため、同氏は「医師がフリーハンドで家系図を描き、患者に家族一人ひとりをイメージしてもらいながら答えてもらう。それをカルテに残しておく」など、家族歴を尋ねるコツも紹介した。小児の健康診断に導入される日を目指して 小児の場合、腱黄色腫などの臨床症状が乏しく(ホモ接合体を除く)、健康診断などによるLDL-C値の早期発見が難しい。現時点で、10歳前後の血液検査を実施している自治体は非常に少なく、香川県や富山県の一部などにとどまることから、家族のFHから診断することが重要となる。 日本動脈硬化学会と日本小児科学会が合同でガイドラインを作成したことを踏まえ、同氏は「合併症がある場合は管理目標値140mg/dL未満を維持し、リスクが高い患児にはスタチン系を第1選択薬として考慮する」など治療ポイントについても述べた。 最後に同氏は「患者にとって、がんや高血圧の認知度は高いが、この疾患はほとんど知られていない。この疾患や早期発見、小児での血液検査の重要性を理解してもらうために、9月24日に世界FH Dayを制定し、啓発活動を行っている」と取り組みへの思いを綴った。 なお、日本動脈硬化学会では、より多くの先生方にFH診療を理解していただくために、医薬教育倫理協会(AMEE)と共同でeラーニングプログラムを開発、公開している。ケアネット医師会員は、ケアネットのID/パスワードにてこちらから受講可能である。■参考1)Sinzinger H,et al.Br J Clin Pharmacol. 2004;57:525-528.2)Nordestgaard BG et al. Eur Heart J 2013;34:3478-3490

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滲出性中耳炎の難聴、経口ステロイドは有効か?/Lancet

 滲出性中耳炎で3ヵ月以上の難聴が確認された小児について、経口ステロイド薬の有効性を調べた初となる二重盲検プラセボ対照無作為化試験「OSTRICH試験」の結果、忍容性は良好だったが有意な改善効果は示されず、自然治癒率が高いことが明らかにされた。英国・カーディフ大学のNick A. Francis氏らによる検討で、「今回の結果は、経過観察やその他の外科的介入を支持するエビデンスとなった」と述べている。滲出性中耳炎による持続的な難聴に対しては、薬物療法の有効性は否定されており、概して外科的介入による治療が行われるが、治療選択肢に安全・安価で有効な薬物療法が加わることへの期待は高い。研究グループは、Cochraneレビューで見つけた、経口ステロイド薬の短期投与の有益性を示唆した試験結果(ただし検出力が低く、質的に低い)について、大規模試験で検証を行った。Lancet誌2018年8月18日号掲載の報告。2~8歳の患児を対象にプラセボ対照試験、5週時点の聴力改善を評価 OSTRICH試験は、滲出性中耳炎に起因する症状が3ヵ月以上持続および両側性難聴が確認された2~8歳児を対象とし、経口ステロイドの短期投与により、容認できる聴力を取り戻せるかどうかが検証された。 被験者は2014年3月20日~2016年4月5日に、イングランドおよびウェールズの20施設(耳・鼻・咽喉[ENT]、小児耳鼻科、耳鼻科外来部門)で集め、スクリーニング後、適格患児を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、プレドニゾロン(経口ステロイド)またはプラセボを投与した。 主要評価項目は、5週時点の純音聴力検査で容認できる聴力(少なくとも片耳が20dB HL以下で0.5、1、2、4kHzの周波数帯域が平均的に聞こえると定義)が確認された被験者の割合。すべての解析は、intention-to-treatにて行われた。経口ステロイド群40%、プラセボ群33%で聴力改善 1,018例がスクリーニングを受け、389例が無作為化を受けた(経口ステロイド群200例、プラセボ群189例)。 5週時点の聴力検査を受けたのは、経口ステロイド群183例、プラセボ群180例。容認できる聴力が確認されたのは、それぞれ73例(40%)、59例(33%)であった。群間の絶対差は7%(95%信頼区間[CI]:-3~17)、必要治療数(NNT)は14であり、補正後オッズ比は1.36(95%CI:0.88~2.11、p=0.16)であった。 有害事象やQOL指標に関するあらゆる有意な群間差は認められなかった。 著者は、「経口ステロイド薬により14人に1人の聞こえは改善するが、QOLは変わらなかった」と指摘している。

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第3回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?細菌性中耳炎・・・12名全員 佐々木康弘耳鼻科医の処方であり、小児へのペニシリン系抗菌薬投与に加え、アセトアミノフェンの発熱および痛いときの指示から、細菌性中耳炎であると判断しました。急性副鼻腔炎,急性咽頭炎・扁桃炎 ふな3耳鼻科の処方であり、高用量アモキシシリンの処方やカルボシステインの併用があることから中耳炎を第1候補として考えます。ただし、併用薬がある場合や症状の聞き取り、医師の処方の傾向によっては、推測した疾患と異なる場合があるため、急性副鼻腔炎、急性咽頭炎・扁桃炎などの可能性も含めて柔軟に対応できるようにします。副鼻腔炎、中耳炎 中西剛明処方元が小児科であれば肺炎も念頭に入れるなど判断に迷うところですが、耳鼻科なので、副鼻腔炎か中耳炎を疑います。Q2 患者さんに確認することは? (通常の確認事項は除く)副鼻腔炎、中耳炎の症状 柏木紀久急性副鼻腔炎の場合: 鼻汁の色と、口呼吸やいびきがあるかどうか(鼻閉は2歳児ではわからないので)。急性中耳炎の場合: 痛みで眠れていないかどうか、最近、慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎になっていないか。医師からの指示内容 ふな3アモキシシリンの分割処方の可能性も考慮して、5日後の再受診を指示されているかどうか。カルボシステインだけが1日2回になっているため、そのような指示があったか、症状が合致しているか。アレルギーの有無 児玉暁人ペニシリンアレルギーと牛乳アレルギーの有無。痛みのある部位と昼の服用 中西剛明副鼻腔炎の可能性を考慮して眉間の痛みや頭痛、中耳炎であれば耳の痛みについて。昼の薬を保育園で飲ませるのか、家で飲ませるのか。症状や抗菌薬の服薬状況、通園 JITHURYOU中耳炎と推測して対応します。症状がいつ頃からあるのか鼓膜を切開しているかどうか。切開を何回も繰り返している場合、ペネム系内服やセフトリアキソンなどの点滴を検討した方がいいかもしれません。中耳炎を反復していないかどうか。抗菌薬を直近1カ月で使用していないか。集団保育、兄弟の有無。園児間や兄弟間では水平感染が起こりやすく、さらに集団保育ではアモキシシリンの耐性菌の分離頻度が高いため、薬剤変更を提案するのが良いと考えます。なお、保育所への通園は医師の確認が取れないうちは避けるようにしなければならないと思います。Q3 患者さんに何を伝える?抗菌薬を飲みきること 柏木紀久アモキシシリンとカルボシステインは飲みきるように伝えます。再受診を勧める 奥村雪男抗菌薬の治療期間についてDynamedTMで検索すると、2~5歳で中等度の症状がある場合、7日間の継続が推奨されているようなので、再受診して鼓膜所見を診断後、抗生物質の継続必要の有無を判断していただくことを勧めます。副作用と服薬の工夫 清水直明「お薬(アモキシシリン)の影響でお腹がゆるくなるかもしれません。そのために整腸剤も一緒に飲んでいただきますが、お腹が痛くなったり下痢がひどいようであればいつでも遠慮なく連絡してくださいね」「 1回に飲む量が多くなるので、そのまま飲むのが難しかったら、アイスやジャム、プリンなど好きなものに混ぜて飲ませてあげてくださいね」3日後の改善具合 荒川隆之3日間お薬を飲んでも良くならない場合は電話してもらうよう伝えます。「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」(日本感染症学会・日本化学療法学会発行)などでも1次治療の効果判定は3日後が望ましいとされています。服薬時間 ふな3「アモキシシリンとエンテロノン®-Rは毎食後で処方されていますが、通園などでどうしても毎食後に服用できない場合は、朝・帰宅後・就寝前で構いませんので、必ず1日3回の服用を心がけてください」処方医はアモキシシリンの時間依存性やコンプライアンス向上を考慮して、アモキシシリンとエンテロノン®-Rを毎食後で処方したと思われます。ただし、添付文書上の用法は両薬剤とも食後に限定されていません。通園などで「お昼は飲めないから朝と夕だけ飲めばいい」と保護者が判断しないように、「食事にかかわらず、1日3回飲み続けることが重要」だと伝えたいです。日常生活での注意点 JITHURYOUアセトアミノフェンの使用方法(使用頻度)。できるだけ鼻汁をとること。菌量が多いと抗菌薬の活性が低下することが知られているので、ドレナージはするべきです。また、鼓室に鼻汁が流れ込むため鼻をすすることは避けるべきで、鼻のかみかたの指導も一緒に行いたいです。耳漏がある場合、ガーゼなどの交換すること。分泌液をそのままにしておくと、かぶれて炎症を起こす可能性があります。下痢をする可能性があるので、できるだけ消化の良いものを摂らせること。後編では、本症例の疑義照会をする/しない 理由を聞きます。

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抗インフルエンザ薬、使用上の注意改訂指示

 2018年8月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、抗インフルエンザウイルス薬の「使用上の注意」改訂指示の通知が出された。これは、5月と7月に行われた薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の結果を踏まえ、改訂が必要と判断されたもの。通知には、「オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)を含む抗インフルエンザ薬7成分の添付文書を速やかに改訂し、医薬関係者への情報提供など必要な措置を講ずること」と記されている。オセルタミビル10代への使用制限解除へ 添付文書の変更について、オセルタミビルの[警告]欄から、10歳以上の未成年の患者において、原則として使用を差し控える旨の記載が削除され、[重要な基本的注意]欄と[重大な副作用]欄に、「異常行動」についての追記が指示された。ほか6成分についても、オセルタミビルと同様の記載に改めるよう具体的な改訂指示がなされている。異常行動による事故を予防するために 医療従事者に向けた注意喚起では、「抗インフルエンザウイルス薬服用の有無や種類にかかわらず、異常行動に関連すると考えられる転落死などが報告されている」として、具体的な事例と防止策が示された。 異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多く、発熱から2日間以内に発現することが多いことが知られている。具体例として以下が挙げられている。 ・突然立ち上がって部屋から出ようとする ・興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする ・人に襲われる感覚を覚え、外に走り出す ・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする ・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない ・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る など保護者に注意を呼びかけること 保護者には、インフルエンザが疑われる発熱から少なくとも2日間は、就寝中を含め、とくに小児・未成年者が容易に住居外へ飛び出さないよう注意を伝え、以下のような対策を講じるよう具体的な説明が必要とされている。 ・玄関やすべての部屋の窓を確実に施錠する  (内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む) ・ベランダに面していない部屋で寝かせる ・窓に格子のある部屋がある場合は、その部屋に寝かせる ・一戸建ての場合は、できる限り1階に寝かせる インフルエンザにかかった際は、飛び降りなどの異常行動を起こす恐れがあることを医療従事者・患者の家族が十分に理解し、異常行動に備えた対策を徹底することが求められる。

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小児うつ病治療のランダム化プラセボ対照試験のアップデート

 大うつ病性障害(MDD)に対する抗うつ薬治療は、過去10年間に多数のプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)が報告されており、引き続き関心が集まっている。米国・ハーバード大学医学大学院のMartha J. Ignaszewski氏らは、2007 Bridgeメタ解析以降に更新された文献レビューを行い、治療緊急性の高い自殺傾向の予兆について、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS:Columbia Suicide Severity Rating Scale)を用いて、安全性データの再評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2018年7月31日号の報告。 PubMedより、2007年以降に報告されたRCTの論文とその補足資料を検索し、文献レビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・治療群およびプラセボ群の治療反応率の高い7つの試験(企業スポンサー:5件、NIMHによる助成:1件、その他:1件)が、本システマティックレビューに含まれた。・fluoxetineとエスシタロプラムによる治療のみが、統計学的に有意であった。・fluoxetineは、プラセボ群と比較し、継続治療によるMDD再発予防のオッズ比が3.2であり、再発予防効果が認められた。・CSSR-Sをシステマティックに用いて自殺率を測定した試験では、抗うつ薬治療による治療緊急性の高い自殺傾向の増加は認められなかった。 著者らは「小児うつ病患者では、抗うつ薬治療群とプラセボ群において同様の反応が示されており、最近の研究においても、より新しい抗うつ薬治療がプラセボよりも明らかに有用であるとの結果は認められなかった。これらのエビデンスでは、fluoxetineとエスシタロプラムを第1選択治療薬として支持し続けており、再発予防効果も実証されている。これまでの有害事象データを用いた自殺の予兆増加を示唆する研究とは対照的に、治療緊急性の高い自殺傾向は、抗うつ薬治療群とプラセボ群で同様であることが、新しい評価尺度により明らかとなった。抗うつ薬治療は全般的に安全であり、小児において十分に許容される」としている。■関連記事思春期の少年少女における自殺念慮の予測大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告うつ病診断後の小児および青年における12ヵ月間の治療経過の変化

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1型糖尿病、若年発症で死亡・心血管リスク増大/Lancet

 1型糖尿病の発症時年齢は、生存および心血管系アウトカムの重要な決定因子であることが明らかにされた。0~10歳の人は26~30歳の人に比べ、死亡や心血管疾患などの過剰リスク差は最大で5倍に上り、同リスクは女性で高く、10歳未満時の発症は、男性が14.2生存年の損失に対し女性では17.7生存年の損失につながることが示された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のAraz Rawshani氏らが、スウェーデンの全国糖尿病患者登録者約2万7,200例と適合対照一般集団を対象に行ったコホート試験の結果で、Lancet誌2018年8月11日号で発表した。1型糖尿病患者の死亡および心血管疾患リスクの上昇は知られているが、現行ガイドラインでは、リスク層別化において診断時年齢は考慮されていなかった。診断時年齢を0~10歳と、11~30歳を5歳ごとに分類し検討 研究グループは、1型糖尿病の診断時年齢が、過剰な死亡・心血管リスクと関連するかを調べるため、1998年1月1日~2012年12月31日に、スウェーデン全国糖尿病レジスターに1回以上登録された1型糖尿病患者2万7,195例と、適合対照一般集団13万5,178例を対象に、コホート試験を行った。 糖尿病罹病期間を補正したCox回帰分析により、全死因死亡、心血管死、非心血管死、急性心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患(急性心筋梗塞と脳卒中の複合)、冠動脈性心疾患、心不全、心房細動の過剰リスクを推定した。 1型糖尿病患者は診断時の年齢により、0~10歳、11~15歳、16~20歳、21~25歳、26~30歳の5群に分類した。CHD・MIリスク、診断時年齢0~10歳が約31倍、26~30歳は約6倍 追跡期間中央値10年において、死亡は、1型糖尿病群959例と、対照群1,501例で報告された。 診断時年齢0~10歳群の、全死因死亡のハザード比(HR)は4.11(95%信頼区間[CI]:3.24~5.22)、心血管死HRは7.38(同:3.65~14.94)、非心血管死HRは3.96(同:3.06~5.11)、心血管疾患HRは11.44(同:7.95~16.44)、冠動脈性心疾患HRは30.50(同:19.98~46.57)、急性心筋梗塞HRは30.95(同:17.59~54.45)、脳卒中HRは6.45(同:4.04~10.31)、心不全HRは12.90(同:7.39~22.51)だった。 一方、診断時年齢が26~30歳群は、全死因死亡HRは2.83(同:2.38~3.37)、心血管死HRは3.64(同:2.34~5.66)、非心血管死HRは2.78(同:2.29~3.38)、心血管疾患HRは3.85(同:3.05~4.87)、冠動脈性心疾患HRは6.08(同:4.71~7.84)、急性心筋梗塞HRは5.77(同:4.08~8.16)、脳卒中HRは3.22(同:2.35~4.42)、心不全HRは5.07(同:3.55~7.22)だった。 診断時年齢が0~10歳群は、同26~30歳群に比べ、死亡や心血管疾患などの過剰リスクの差は最大で5倍に上った。 また、1型糖尿病群で罹患率が最も高値だったのは全死因死亡率で、1.9/10万人年だった。1型糖尿病の10歳未満の発症は、女性で17.7生存年(95%CI:14.5~20.4)の、男性では14.2生存年(12.1~18.2)の損失につながった。

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応答的子育て介入が、小児のBMIを改善/JAMA

 小児期早期の急速な成長や体重増加は、その後の肥満リスクを増加させるが、子供の成長軌跡(growth trajectory)を改善する介入は確立されていないという。米国・Penn State College of MedicineのIan M. Paul氏らは、両親への教育的介入により、3歳時の子供のBMIが改善することを示し、JAMA誌2018年8月7日号で報告した。幼児期の急速な体重増加や若年期の過体重の予防に関する研究の成果は少ないが、応答的養育(responsive parenting)の枠組みを用いた教育的戦略は、後年の肥満に寄与する幼児期の行動の是正に有望と考えられている。応答的養育は、「小児のニードに対する、発育上適切で迅速、かつ条件に応じた養育的な反応」と定義される。体重増加の抑制効果を評価する単施設の無作為化試験 本研究(INSIGHT試験)は、小児の体重増加の抑制における応答的養育の有効性を評価する、単施設(Penn State Milton S. Hershey Medical Center)で実施された無作為化試験(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所[NIDDK]などの助成による)。 初産の母親と子供を1組とし、小児期の肥満の予防を目的とした応答的養育に関する介入を行う群(介入群)、または家庭での安全性介入を行う群(対照群)に無作為に割り付けた。応答的養育の介入では、食事(feeding)、睡眠(sleep)、ふれあい遊び(interactive play)、情動調節(emotion regulation)に関する反応の仕方について、両親に専門的な助言が行われた。 2012年1月~2014年3月の期間に登録され、初回の各家庭の訪問が行われた279組(介入群:140組、対照群:139組)を、子供が3歳になるまで追跡した(2017年4月に完了)。初回訪問以降、看護師が各家庭を4回訪問し、各家庭は年1回、計3回受診した(最後の3歳の受診時は介入を行わなかった)。 主要アウトカムは、3年時のBMIのzスコア(0:母平均、1:平均+1SD、-1:平均-1SD)であった。BMIパーセンタイル値には有意差なし ベースラインにおいて子供は男児が介入群54%、対照群50%で、出生時のBMIはそれぞれ13.1(SD 1.2)、13.3(1.3)であった。また、母親の平均年齢は、介入群が28.7歳(4.6)、対照群は28.7歳(4.9)で、白人がそれぞれ87.1%、91.4%を占め、妊娠前のBMIは25.5(5.0)、25.3(5.6)だった。232組(83.2%)が3年間の試験を完了した。 3歳時の平均BMIのzスコアは、介入群が-0.13と、対照群の0.15に比べ有意に低かった(絶対差:-0.28、95%信頼区間[CI]:-0.53~-0.01、p=0.04)。一方、平均BMIパーセンタイル値は、介入群が47、対照群は54であり、有意差を認めなかった(介入群で6.9ポイント低下、95%CI:-14.5~0.6、p=0.07)。 3歳時の過体重の割合は、介入群が11.2%(13/116例)、対照群は19.8%(23/116例)と、両群間に有意な差はなく(絶対差:-8.6%、95%CI:-17.9~0.0、オッズ比[OR]:0.51、95%CI:0.25~1.06、p=0.07)、肥満もそれぞれ2.6%(3例)、7.8%(9例)であり、有意差を認めなかった(-5.2%、-10.8~0.0、0.32、0.08~1.20、p=0.09)。 7回の評価時点でのBMIの平均差(介入群-対照群)は、-0.43(95%CI:-0.67~-0.19)であり、介入群で有意に低かった。 著者は、「介入の長期的な有効性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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公共サービスが受けられない就学前児童への肥満予防介入の効果/JAMA

 十分な公共サービスが受けられない就学前児童を対象に、肥満予防のための多相的な行動変容介入を36ヵ月間行ったが、BMI値への影響はみられなかった。米国・Vanderbilt University School of MedicineのShari L. Barkin氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年8月7日号で発表された。十分な公共サービスが受けられない集団の小児は、肥満有病率と慢性疾患リスクが最も高く、小児期の肥満予防が重大な課題になっているという。36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入vs.スクールレディネスの効果を検証 研究グループは、肥満リスクが高い就学前児童を対象に、36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入が、同期間中のBMI成長曲線に影響するのかを検証した。テネシー州ナッシュビルの、公共サービスが十分に行き届いていないコミュニティに属する610例の親子を、36ヵ月間の健康行動をターゲットとした介入を受ける群またはスクールレディネスを受ける対照群に無作為に割り付け追跡調査した。対象小児は3~5歳児で肥満リスクはあるが非肥満児を適格とした。 介入群(304例)には、36ヵ月間の家族ベースでコミュニティを対象としたプログラムが提供された。具体的には段階的に介入の強度を減じるプログラムで次の3相から成るものであった。(1)12週間の集中強化相:毎週1回90分のスキル(目標設定、セルフモニタリング、問題解決など)を身につけるセッション、(2)9ヵ月間の維持管理相:月1回の電話コーチング、(3)24ヵ月間の継続相:定期的な行動機会(テキストや個別レター送付、月1回の訪問など)の提供。 対照群(306例)は、36ヵ月の試験期間中、ナッシュビルの公立図書館で行われた6回のスクールレディネス(ベースライン、3、9、12、24、36ヵ月時に開催・データ収集、1回30分の集団学習)を受けた。このスクールレディネスは、介入群も受けた。 試験登録は2012年8月~2014年5月に行われ、36ヵ月時のフォローアップは、2015年10月~2017年6月までに行われた。 主要評価項目は、36ヵ月間の小児のBMI成長曲線であった。事前に規定した副次評価項目は7つ(保護者が報告した子供の食事摂取量、コミュニティセンターの利用など)であった。多重比較のため、Benjamini-Hochberg法を用いて補正を行った。36ヵ月間のBMI成長曲線に有意差みられず 被験者の大部分がラテン系アメリカ人(91.4%)で、ベースラインの平均年齢は4.3歳(SD 0.9)、女児が51.9%、世帯収入2万5,000ドル未満の家族が56.7%であった。 90.2%が36ヵ月のフォローアップを完了した。36ヵ月時点の平均BMIは、介入群17.8(SD 2.2)、対照群17.8(2.1)であった。主要評価項目の、36ヵ月間のBMI成長曲線について、群間の有意差はみられなかった(結合尤度比検定のp=0.39)。 子供の平均エネルギー摂取量は、介入群(1,227kcal/日)が対照群(1,323kcal/日)に比べて有意に少なかった(補正後群間差:-99.4kcal、95%信頼区間[CI]:-160.7~-38.0、補正後p=0.003)。また、介入群の保護者のほうが対照群の保護者と比べて、子供と一緒にコミュニティセンターを利用した割合が有意に高率であった(56.8% vs.44.4%、リスク比:1.29[95%CI:1.08~1.53]、補正後p=0.006)。 これらの結果を踏まえて著者は、「その他タイプの行動変容介入の効果や、他市での介入効果について、さらなる試験を行う必要があるだろう」と述べている。

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妊娠・授乳期のビタミンD投与は胎児・乳児に有益か/NEJM

 分娩前のビタミンD欠乏症や胎児・乳児の発育不全が広く認められる集団において、妊娠中期から分娩時までまたは分娩後6ヵ月まで、母体にビタミンDサプリメント投与を行っても、胎児や乳児の成長は改善されなかった。カナダ・トロント大学のDaniel E. Roth氏らが、バングラデシュで行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2018年8月9日号で報告した。ビタミンD欠乏症が蔓延している地域において、妊娠中および授乳期の母体へのビタミンD投与が、胎児や乳児の成長を改善するかどうかは確認されていなかった。5つの投与パターンで検証 検討は、分娩前(妊娠17~24週から出産まで)および分娩後の、週1回のビタミンD投与の効果を評価するため、2014年3月~2015年9月に、バングラデシュの公的病院1施設で行われた。 被験者は無作為に次の5群に割り付けられた。1)分娩前、分娩後ともにビタミンD投与を受けない(プラセボ群)、2)分娩前のみ用量4,200IUを受ける群(分娩前4,200群)、3)同1万6,800IUを受ける群(分娩前1万6,800群)、4)同2万8,000IUを受ける群(分娩前2万8,000群)、5)分娩前および分娩後26週間に用量2万8,000IUを受ける群(分娩前・分娩後2万8,000群)。 主要アウトカムは、1年(364~420日)時点の年齢別身長zスコア(WHO Child Growth Standardsに基づく)であった。また副次アウトカムとして、乳児の身体諸計測値、早産(妊娠37週未満)、妊娠高血圧症、分娩特性、死産、母体および乳児の罹患や入院、死亡、先天奇形などについて評価した。1歳時の年齢別身長zスコア、群間の有意差は認められず 総計1,300例の妊婦が登録され、5群のうちの1つに無作為に割り付けられた。全体でビタミンD欠乏症の女性は64%。群間で授乳パターンなどに有意差はなかった。 1歳時のフォローアップを受けたのは1,164例(89.5%)であった。それら被験者において、群間の年齢別身長zスコアの有意差は認められなかった。スコアは、プラセボ群:-0.93±1.05、分娩前4,200群:-1.11±1.12、分娩前1万6,800群:-0.97±0.97、分娩前2万8,000群:-1.06±1.07、分娩前・分娩後2万8,000群:-0.94±1.00であった(全体的な群間差検定のp=0.23)。その他の身体諸計測指数(年齢別体重zスコア、身長別体重zスコアなど)、出生アウトカム、罹患率にも有意差がみられなかった。 一方で、ビタミンD投与による予想どおりの用量依存効果が、母体と乳児の血清25ヒドロキシビタミンD値および血清カルシウム値、母体の尿中カルシウム排出量、母体の副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度に認められた。分娩後6ヵ月時点の母体iPTHは、分娩前・分娩後2万8,000群が他の群と比べて有意に低値であった。 また、最大量投与群で高カルシウム尿症の割合が高率となる可能性を除き、群間の有害事象の発現頻度について有意差は認められなかった。

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リジン尿性蛋白不耐症〔LPI:lysinuric protein intolerance〕

1 疾患概要■ 定義二塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、オルニチン)の輸送蛋白の1つである y+LAT-1(y+L amino acid transporter-1)の機能異常によって、これらのアミノ酸の小腸での吸収障害、腎での再吸収障害を生じるために、アミノ酸バランスの破綻から、高アンモニア血症をはじめとした多彩な症状を来す疾患である。本疾患は常染色体劣性遺伝を呈し、責任遺伝子SLC7A7の病因変異が認められる。現在は指定難病となっている。■ 疫学わが国での患者数は30~40人と推定されている。■ 病因y+LAT-1 は主に腎、小腸などの上皮細胞基底膜側に存在する(図)。12の膜貫通領域をもった蛋白構造をとり、分子量は約40kDaである。調節ユニットである 4F2hc(the heavy chain of the cell-surface antigen 4F2)とジスルフィド結合を介してヘテロダイマーを形成することで、機能発現する。本蛋白の異常により二塩基性アミノ酸の吸収障害、腎尿細管上皮での再吸収障害を来す結果、これらの体内プールの減少、アミノ酸バランスの破綻を招き、諸症状を来す。所見の1つである高アンモニア血症は、尿素回路基質であるアルギニンとオルニチンの欠乏に基づくと推定されるが、詳細は不明である。また、SLC7A7 mRNAは全身の諸臓器(白血球、肺、肝、脾など)でも発現が確認されており、本疾患の多彩な症状は各々の膜輸送障害に基づく。上述の病態に加え、細胞内から細胞外への輸送障害に起因する細胞内アルギニンの増加、一酸化窒素(NO)産生の過剰なども関与していることが推定されている。画像を拡大する■ 症状離乳期以降、低身長(四肢・体幹均衡型)、低体重が認められるようになる。肝腫大も受診の契機となる。蛋白過剰摂取後には約半数で高アンモニア血症による神経症状を呈する。加えて飢餓、感染、ストレスなども高アンモニア血症の誘因となる。多くの症例においては1歳前後から、牛乳、肉、魚、卵などの高蛋白食品を摂取すると嘔気・嘔吐、腹痛、めまい、下痢などを呈するため、自然にこれらの食品を嫌うようになる。この「蛋白嫌い」は、本疾患の特徴の1つでもある。そのほか患者の2割に骨折の既往を、半数近くに骨粗鬆症を認める。さらにまばらな毛髪、皮膚や関節の過伸展がみられることもある。一方、本疾患では、約1/3の症例に何らかの血液免疫学的異常所見を有する。水痘の重症化、EBウイルスDNA持続高値、麻疹脳炎合併などのウイルス感染の重症化や感染防御能の低下が報告されている。さらに血球貪食症候群、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎、関節リウマチ)合併の報告がある。成人期以降には肺合併症として、間質性肺炎、肺胞蛋白症などが増える傾向にある。無症状でも画像上の肺の線維化がたびたび認められる。また、腎尿細管病変や糸球体腎炎も比較的多い。循環器症状は少ないが、運動負荷後の心筋虚血性変化や脳梗塞を来した症例もあり、注意が必要である。■ 分類本疾患の臨床症状と重症度は多彩である。一般には出生時には症状を認めず、蛋白摂取量が増える離乳期以後に症状を認める例が多い。1)発症前型同胞が診断されたことを契機に、診断に至る例がある。この場合も軽度の低身長などを認めることが多い。2)急性発症型小児期の発症形態としては、高アンモニア血症に伴う意識障害や痙攣、嘔吐、精神運動発達遅滞などが多い。しかし、一部では間質性肺炎、易感染、血球貪食症候群、自己免疫疾患、血球減少などが初発症状となる例もある。3)慢性進行型軽症例は成人まで気付かれず、てんかんなどの神経疾患の精査から診断されることがある。■ 予後早期診断例が増え、精神運動発達遅延を呈する割合は減少傾向にある。しかし、肺合併症や腎病変は、アミノ酸補充にもかかわらず進行を抑えられないため、生命予後に大きく影響する。水痘や一般的な細菌感染は、腎臓・肺病変の重症化を招きうる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)高アンモニア血症を来す尿素サイクル異常症の各疾患の鑑別のため血中・尿中アミノ酸分析を提出する。加えてLDHやフェリチンが上昇していれば本疾患の可能性が高まる。確定診断には遺伝子解析を検討する。■ 一般血液検査所見1)血清LDH上昇:600~1,000IU/L程度が多い。2)血清フェリチン上昇:程度は症例によって異なる。3)高アンモニア血症:血中アンモニア高値の既往はほとんどの例でみられる。最高値は180~240μmol/L(300~400μg/dL)の範囲であることが多いが、時に600μmol/L (1,000μg/dL)程度まで上昇する例もある。また、食後に採血することで蛋白摂取後の一過性高アンモニア血症が判明し、診断に至ることがある。4)末梢白血球減少・血小板減少・貧血上記検査所見のほか、AST/ALTの軽度上昇(AST>ALT)、TG/TC上昇、貧血、甲状腺結合蛋白(TBG)増加、IgGサブクラスの異常、白血球貪食能や殺菌能の低下、NK細胞活性低下、補体低下、CD4/CD8比の低下などがみられることがある。■ 血中・尿中アミノ酸分析1)血中二塩基性アミノ酸値(リジン、アルギニン、オルニチン)正常下限の1/3程度から正常域まで分布する。また、二次的変化として、血中グルタミン、アラニン、グリシン、セリン、プロリンなどの上昇を認めることがある。2)尿の二塩基性アミノ酸濃度は通常増加(リジンは多量、アルギニン、オルニチンは中等度、シスチンは軽度)なかでもリジンの増加はほぼ全例にみられる。まれに(血中リジン量が極端に低い場合など)、これらのアミノ酸の腎クリアランスの計算が必要となる場合がある。(参考所見)尿中有機酸分析における尿中オロト酸測定:高アンモニア血症に付随して尿中オロト酸の増加を認める。■ 診断の根拠となる特殊検査1)遺伝子解析SLC7A7(y+LAT-1をコードする遺伝子)に病因変異を認める。遺伝子変異は今まで50種以上の報告がある。ただし本疾患の5%程度では遺伝子変異が同定されていない。■ 鑑別診断初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。1)尿素サイクル異常症の各疾患2)ライソゾーム病3)周期性嘔吐症、食物アレルギー、慢性腹痛、吸収不良症候群などの消化器疾患 4)てんかん、精神運動発達遅滞5)免疫不全症、血球貪食症候群、間質性肺炎初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。<診断に関して留意する点>低栄養状態では血中アミノ酸値が全体に低値となり、尿中排泄も低下していることがある。また、新生児や未熟児では尿のアミノ酸排泄が多く、新生児尿中アミノ酸の評価においては注意が必要である。逆にアミノ酸製剤投与下、ファンコーニ症候群などでは尿アミノ酸排泄過多を呈するので慎重に評価する。3 急性発作で発症した場合の診療高アンモニア血症の急性期で種々の臨床症状を認める場合は、速やかに窒素負荷となる蛋白を一旦除去するとともに、中心静脈栄養などにより十分なカロリーを補充することで蛋白異化の抑制を図る。さらに薬物療法として、L-アルギニン(商品名:アルギU)、フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウムなどが投与される。ほとんどの場合は、前述の薬物療法によって血中アンモニア値の低下が得られるが、無効な場合は持続的血液透析(CHD)の導入を図る。■ 慢性期の管理1)食事療法十分なカロリー摂取と蛋白制限が主体となる。小児では摂取蛋白0.8~1.5g/kg/日、成人では0.5~0.8g/kg/日が推奨される。一方、カロリーおよびCa、Fe、ZnやビタミンDなどは不足しやすく、特殊ミルクである蛋白除去粉乳(S-23)の併用も考慮する。2)薬物療法(1)L-シトルリン(日本では医薬品として認可されていない)中性アミノ酸であるため吸収障害はなく、肝でアルギニン、オルニチンに変換されるため、本疾患に有効である。投与により血中アンモニア値の低下や嘔気減少、食事摂取量の増加、活動性の増加、肝腫大の軽減などが認められている。(2)L-アルギニン(同:アルギU)有効だが、吸収障害のため効果が限られ、また浸透圧性下痢を来しうるため注意して使用する。なおL-アルギニンは、急性期の高アンモニア血症の治療としては有効であるが、本症における細胞内でのアルギニンの増加、NO産生過剰の観点からは、議論の余地があると思われる。(3)L-カルニチン2次性の低カルニチン血症を来している場合に併用する。(4)フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウム血中アンモニア値が不安定な例ではこれらの定期内服を検討する。その他対症療法として、免疫能改善のためのγグロブリン投与、肺・腎合併症に対するステロイド投与、骨粗鬆症へのビタミンD製剤やビスホスホネート薬の投与、成長ホルモン分泌不全性低身長への成長ホルモンの投与、重炭酸ナトリウム、抗痙攣薬、レボチロキシン(同:チラーヂンS)の投与などが試みられている。4 今後の展望小児期の発達予後に関する最重要課題は、高アンモニア血症をいかに防ぐかである。近年では、早期診断例が徐々に増えることによって正常発達例も増えてきた。その一方で、早期から食事・薬物療法を継続したとしても、成人期の肺・腎合併症は予防しきれていない。その病因として、尿素サイクルに起因する病態のみならず、各組織におけるアミノ酸の輸送障害やNO代謝の変化が想定されており、これらの病態解明と治療の開発が望まれる。5 主たる診療科小児科、神経内科。症状により精神科、腎臓内科、泌尿器科、呼吸器内科への受診も適宜行われている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター リジン尿性蛋白不耐症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Sperandeo MP, et al. Hum Mutat. 2008;29:14-21.2)Torrents D, et al. Nat Genet. 1999;21:293-296.3)高橋勉. 厚労省研究班「リジン尿性蛋白不耐症における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究」厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 平成22年度総括分担研究報告書;2011.p.1-27.4)Charles Scriver, et al(editor). The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York City:McGraw-Hill;2001:pp.4933-4956.5)Sebastio G, et al. Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2011;157:54-62.公開履歴初回2018年8月14日

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東京医大入試減点問題、若いほど理解できる? 男女の医師1,000人に聞きました

東京医科大学の入学試験で、女性の受験者への一律減点が行われていたことが明らかになった。この問題を受け、文科省は全国に81ある医学部医学科を対象に、入試の公正性に関する緊急調査を開始している。現場で働く医師たちにとって、この問題はありえないことなのか、理解できることなのか。ケアネットはCareNet.com会員である男性医師504人、女性医師501人の計1,005人にその実情と意見を聞いた。結果概要男性で67.9%、女性で69.5%が女性の減点問題に一定の理解入試での女性減点問題に「理解できる」と答えた医師は、男性14.9%、女性13.8%と若干男性医師に多い傾向がみられたが、「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、男性67.9%、女性69.5%と女性のほうが多い傾向となり、減点される側の立場である女性医師も、この問題に一定の理解を示していることがうかがえる。その理由としては、「実際に常勤医で戦力として残っている女医は少ないから(麻酔科・40代女性)」、「男性に向いている科は確かに存在するし、力が必要な時もあるから。制限をつけないでとると、女性だらけになってしまう(小児科・20代女性)」、「女医が増えたら、眼科・皮膚科だらけになる。今でも医師の偏在が問題になっているのに、もっと困ることになる(内科・40代女性)」などの声が上がっている。また、「医局で働いている途中で、とくに若手で妊娠してしまうと、当直やオンコールはじめ周囲へのしわ寄せが大きくなってしまうので、罪悪感からとてもこのような状況では妊娠できないと感じていた(内科・30代女性)」、「子持ち女医ですが、夜も休日も働けず、迷惑をかけています。男性は子持ちでもそれがない。周りの多くの女医は、クリニックや健診など、楽で給料のよいところに行ってしまい、人の足りない総合病院には残らない。やはり男性が必要でしょう(産婦人科・40代女性)」など、出産・育児と医師として求められる仕事の両立に、難しさや周囲への罪悪感を感じていることがうかがえた。男性側も、「子供ができたのちキャリアダウンしようとする女医の数は少なくないので、仕方がない(循環器内科・30代男性)」、「現実問題として現在の医療現場の忙しさからいえば、女性医師が増えると回らなくなるのは正直なところ(皮膚科・20代男性)」などの声がある一方で、「父親も育児参加が求められる中で、女性医師ばかりが当直免除などの恩恵を受けるのは仕方ないと思う反面、腑に落ちない面も残る(精神科・30代男性)」、「男女平等は強調されるが、男女公平が議論されない。男性医師が育児休暇を公平にとれる体制や理解が、現状の医療体制で整うとは思えない(神経内科・30代男性)」など、出産・育児による休暇取得や当直免除などが、男性ではより実現しにくい現状も垣間見えた。画像を拡大する男女ともに年代が低いほど理解を示す傾向年代別に回答を見てみると、「理解できる」と答えた医師は、男女ともに年齢が上がるにつれ減少。「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、50代の男女で最も少なく、「理解できない」と答えた医師の割合が高かった(男性:39.9%、女性:42.2%)。画像を拡大する診療科別では、外科(42.9%)、泌尿器科(38.5%)、精神科(38.2%)、小児科(36.5%)、脳神経外科(36.2%)の順に「理解できない」という回答が多かった。画像を拡大する男性で38.5%、女性で28.3%が入試での女性比率の制限は「必要」と回答入試での女性比率の制限については、男性の38.5%が「必要」と答え、「不要」と答えた人(34.9%)を上回った。「必要」と答えた人の理由としては、「差別ではなく区別は必要。定員として男子・女子各何人と明確にすればよいと思う(皮膚科・40代男性)」、「こっそり減点は駄目だと思うが、制限するとあらかじめオープンにして試験をすればよい(眼科・50代男性)」などの声がきかれた。また、「年代別に男性、女性が医師として働いている割合、どのような形態(常勤/非常勤、終日/パート、当直の有無、回数、勤務場所など)で勤務しているか調べてみればよい(整形外科・60代男性)」、「データに基づいて比率を決定すべき(眼科・30代男性)」といった意見や、「男女平等を言うならすべて同じにしないといけない。女性医師は出産・育児で優遇される。その分のしわ寄せは男性医師にくる。最初から比率を決めて入試すればすむ(外科・40代男性)」といった意見もみられた。女性では、「不要」と答えた人(37.9%)が最も多く、「どちらともいえない」と答えた人(33.7%)も多かった。「不要」と答えた人の理由としては、「診療科による偏りの是正は必要だが、それを男女の制限に落とし込むことは論点が違い差別である(神経内科・20代女性)」、「入試時の性別ではなく、医師になってからの科ごとの人数・男女制限が必要だと思う(精神科・30代女性)」、「入試における操作で医師の男女比を調整するのではなく、医師の労働環境そのものを改善する必要がある(神経内科・30代女性)」など、性差のみで判断することへの懸念の声が上がっていた。画像を拡大する20~40代の男性医師が最も「比率制限が必要」と感じている?年代別では、39歳以下および40代の男性医師で、それぞれ4割以上が入試による女性比率の制限が「必要」と回答。60歳以上で唯一、「必要」と答えた割合が女性で上回ったが(男性:32.9%、女性36.7%)、その他の年代ではそれぞれ10%ほど、女性よりも男性で「必要」と答える人が多かった。画像を拡大する診療科別では、産婦人科(40.6%)、泌尿器科(38.5%)、循環器内科(38.5%)などで「必要」と答えた割合が高く、外科(14.3%)、精神科(25.0%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(26.9%)などで低かった。画像を拡大する設問詳細Q1.医学部入試での女子減点問題、先生はどう思いますか?理解できる不公平ではあるが、ある程度理解できる理解できないQ2.入試における女性比率の制限は必要だと思いますか?必要不要どちらともいえないQ3.Q1、Q2について、その理由やご意見をお寄せください。アンケート概要内容緊急アンケート!東京医大女子減点問題、先生はどう思いますか?実施日2018年8月9~10日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師1,005名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)実情について妊娠出産、育児があるとこの仕事は無理だと思う。子供を産むと10年くらい求められる仕事はこなせない。調整されても仕方がない(救急科・30代女性)出産や育児でいきなり穴をあける・時短になるなどで、常勤として働いていても周りにしわ寄せがいっている。また周りの女医をみてもバイトだけの生活をしている割合が多く、女性医師が増えすぎると上に立ったり指導できる人がいなくなる(内科・30代女性)産後、当直している女性医師は限りなく少ない。また年代が上がると、男性医師も当直回数が減り、若手男性医師が多くを担っていると思われる。実際当直している女性はどれほどいるか知りたい(皮膚科・30代女性)外科系医師、ERの医師、当直医など、女性でしっかり勤められている先生もいるが、少数(眼科・40代女性)女性医師は男性医師の7割程度のマンパワーと感じる(呼吸器内科・40代女性)男女平等といっても体格差があり、長時間手術や激務に耐えうるのは男性であるため。専門医制度も変わり、きつい科は避けられる傾向にある(呼吸器内科・40代女性)人口の半分は女性。女性は女医を希望する方が多い。小児科や婦人科はなおさら。確かに力がいる整形外科などもあるが、周りで協力すればよい。直腸診など女性患者には男性医師は女性の立会いが必要ですよ(内科・40代女性)外科系に進む研修医が激減し、将来的に外科系医師がいなくなってしまうから理解はできます。しかしそれ以上に女性医師が働きやすいように外科の環境を急ピッチで変えるべきですし、環境だけでなく外科の上級医のマインドも変えないといけないと思います(精神科・40代女性)女性医師の多くが結婚や出産でリタイアし、復帰後も効率の良いアルバイトをしている現実をみると国費の無駄遣いと感じます。男女問わず実戦で活躍する覚悟が必要だと思います。覚悟を持って入学するべきで、そこに男女の差はありません(眼科・50代女性)男性医師、独身女医の負担が大き過ぎ。家庭を抱え努力している女医はいるが、「家庭があることを利用して嫌な仕事は受けない、しかし美味しい業務には参加する」女医が一定数いるのは確か。穴埋めに感謝の意を示してくれればまだしも、当然の権利と主張する女医がいかに多いことか! むしろ逆性差別、逆ハラスメントです(小児科・50代女性)結婚、妊娠、子育て等に伴う職場整備を進めない限り、一部の女性医師が十分に働けない状態は続く(小児科・50代女性)健診や一般外来など、負担が少なく給料のよいバイトがある現状では、産後にフルタイムで復帰する女医さんは増えないと思う。女医さんを支えるだけの十分なフルタイムの医師がいない。僻地医療が崩壊する(内科・30代男性)緊急、呼び出しがある診療科では、現状の市中病院の勤務体系では育児を両立することは難しいと思います。女性を優遇することで男性勤務医への時間外待機、突然の女性医師欠勤時の勤務負担は確実に増えますが、当番の交代を女性医師に依頼することができるわけではなく、暗黙のうちに相殺され不公平感を感じると思います(内科・30代男性)女性は男性よりも早く医局をやめる。先輩からするとせっかく育ってきたときにやめるため、また一からやり直ししないといけない(皮膚科・40代男性)実際の現場では、家庭を両立させながら救急、当直などきつい仕事を行うことは困難であり、その分の負担が男性医師にきている(呼吸器内科・40代男性)女性は結婚や出産により現場を離れる可能性が高く、そのまま戻って来ないことも往々にしてある。その女性が診ていた患者は、結局残された人間で診ることになり負担が増える。とくに忙しい外科系には男性のみで十分であると思うことがある(泌尿器科・40代男性)夜勤や夜間・休日のオンコールに対応している医師の割合を詳細に調べれば、現在の問題がわかると思います。結婚・出産が女医さんのキャリアを中断させてしまうのは事実であり、しかもその時期が医師として一番活躍できる時期と一致してしまう。日本は女性が家庭を守るといった感覚がそこかしこに残っているので、女医さんが家庭の事情でそうなることは仕方がなく、まだまだ男女平等と呼べる社会には遠いように思います。さらに全体として、夜勤を必要としない科を希望する若い医師が多いのも事実であり、女医さんの問題だけを解決してもしょうがないのかもしれません(麻酔科・40代男性)当直は常勤の人間が安い当直料で疲弊しながら働き、女医は高いバイト代をもらって楽な日勤をやっている。昼の楽な日勤を週3回すれば常勤並みのお金をもらえるので、常勤に戻らずバイトで稼ぐ女医がかなり多い(産婦人科・50代男性)現状の医療現場では、これ以上の女医の増加は他の男性医師の限りない負担増加へつながる。男女同権を貫くなら、欧米並みに勤務交代制や育児保育施設の整備を充足しなければ、絵空事である(皮膚科・60代男性)入試による女性比率の制限に対する意見について制限するなら、募集要項にちゃんと記載するべきだと思います。東京医大のやり方はアンフェアでまったく賛成できません(循環器内科・30代女性)それよりも卒業生の子弟を加点するほうがもっと問題だと思う(眼科・30代女性)面接での加点は致し方ないとしても(印象点という意味で)減点はさすがにひどいと思う。あと、現場には産後も、もっと働きたいのに働けない先生もたくさんいるので、もっと働きやすい環境になってほしいと思う(麻酔科・30代女性)入試要項に女性制限が記載されていればよいと思う(耳鼻咽喉科・40代女性)国公立大学の場合は制限できないと思います(循環器内科・50代女性)入試で制限するより、女性がどうしたらやめないか、働きやすいかを考えるべき(小児科・30代男性)募集要項に明記すればいい(皮膚科・40代男性)入試制度だけで解決できる問題ではない。医師だけ女性制限を認めると、他の業種とのバランスがとれない(精神科・40代男性)性別や浪人回数で差別はいけない。努力して勉強しているのだから(内科・50代男性)入試に際して女性が上位を占めることは明らかである。女性が向かない体力を要する診療科があることを示したうえで、合格者に占める男女の人数を明示しておくのがよいと思う(腎臓内科・70代男性)解決策について女医でも働きやすい環境にすればよい。キツイ診療科は主治医複数制、産休育休当たり前にするとか、保育所増やすとか(麻酔科・30代女性)入試は公平に行い大学病院勤務の際に制限してはどうか。女性医師を受け入れると表明したほうが結果的には人手が増えると思うが…。国家試験である以上、入試での制限は認められないと思う(循環器内科・40代女性)女性医師のライフプランについては入学後に教育することも可能であるはず(麻酔科・40代女性)男性医師を増やしたい気持ちはよくわかるが、入試時点で差別するのは問題。医局入局もしくは病院就職の時点で選別すれば、普通の一般企業と同じだから問題ない(眼科・50代女性)現場の疲弊と性差別の問題は別で考えるべき。むしろ、女性が長く残れる環境作りがあらゆる問題の解決方法である、という共通認識を確立するいい機会(内科・50代女性)育児、介護問題を女性特有の問題と認識すること自体を改めるべきである。男性も含めて、個人的理由で短時間勤務をする必要が生じる可能性のあることを踏まえた人員配置が必要なのではないか(麻酔科・50代女性)医師全体の勤務状況を改善すればよい。男性勤務医でも当直後の連続勤務、時間外労働賃金がきちんと管理され支払われてないことが問題で、女性に限ったことではない(内科・60代女性)男性医師が現状を維持するのではなく、働き方について医療関係者、患者とその家族も意識を変えていく必要がある。女性が入れないような勤務体制自体を見直さなければ早晩医療崩壊するのは免れない。「仕方がない」「男性と同じように女性も働くべき」ではただの足の引っ張り合いでしかない(精神科・30代男性)一番しんどいのは夜間救急であり、それができるかできないかは医師という仕事を考えるうえで最も重要な議論であり、絶対に避けてはいけない(腎臓内科・30代男性)女子医大もあるので、医学部定員を男6~7、女3~4で分ける。もしくは男女関係なく卒後5~6年の内科、外科、救急など多忙な科の勤務義務化など(消化器内科・40代男性)女性医師がフルタイムで働かない比率が高いため、このようなことが起こる。出産育児早期は仕方ないがその後はしっかり働いてもらう制度、そのための保育所などの整備が必要(麻酔科・40代男性)女性が増えればアルバイト医のみが増え続け、3Kを担う医師は減り、実労働可能な医師不足が加速します。国民の医療に対する考えを根本的に変えないと、女性も働ける医療現場は増えません(内科・50代男性)そもそもフルタイムとはどのような働き方かを討論しないと結論は出ない(脳神経外科・50代男性)

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