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公共サービスが受けられない就学前児童への肥満予防介入の効果/JAMA

 十分な公共サービスが受けられない就学前児童を対象に、肥満予防のための多相的な行動変容介入を36ヵ月間行ったが、BMI値への影響はみられなかった。米国・Vanderbilt University School of MedicineのShari L. Barkin氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年8月7日号で発表された。十分な公共サービスが受けられない集団の小児は、肥満有病率と慢性疾患リスクが最も高く、小児期の肥満予防が重大な課題になっているという。36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入vs.スクールレディネスの効果を検証 研究グループは、肥満リスクが高い就学前児童を対象に、36ヵ月間にわたる多相的な行動変容介入が、同期間中のBMI成長曲線に影響するのかを検証した。テネシー州ナッシュビルの、公共サービスが十分に行き届いていないコミュニティに属する610例の親子を、36ヵ月間の健康行動をターゲットとした介入を受ける群またはスクールレディネスを受ける対照群に無作為に割り付け追跡調査した。対象小児は3~5歳児で肥満リスクはあるが非肥満児を適格とした。 介入群(304例)には、36ヵ月間の家族ベースでコミュニティを対象としたプログラムが提供された。具体的には段階的に介入の強度を減じるプログラムで次の3相から成るものであった。(1)12週間の集中強化相:毎週1回90分のスキル(目標設定、セルフモニタリング、問題解決など)を身につけるセッション、(2)9ヵ月間の維持管理相:月1回の電話コーチング、(3)24ヵ月間の継続相:定期的な行動機会(テキストや個別レター送付、月1回の訪問など)の提供。 対照群(306例)は、36ヵ月の試験期間中、ナッシュビルの公立図書館で行われた6回のスクールレディネス(ベースライン、3、9、12、24、36ヵ月時に開催・データ収集、1回30分の集団学習)を受けた。このスクールレディネスは、介入群も受けた。 試験登録は2012年8月~2014年5月に行われ、36ヵ月時のフォローアップは、2015年10月~2017年6月までに行われた。 主要評価項目は、36ヵ月間の小児のBMI成長曲線であった。事前に規定した副次評価項目は7つ(保護者が報告した子供の食事摂取量、コミュニティセンターの利用など)であった。多重比較のため、Benjamini-Hochberg法を用いて補正を行った。36ヵ月間のBMI成長曲線に有意差みられず 被験者の大部分がラテン系アメリカ人(91.4%)で、ベースラインの平均年齢は4.3歳(SD 0.9)、女児が51.9%、世帯収入2万5,000ドル未満の家族が56.7%であった。 90.2%が36ヵ月のフォローアップを完了した。36ヵ月時点の平均BMIは、介入群17.8(SD 2.2)、対照群17.8(2.1)であった。主要評価項目の、36ヵ月間のBMI成長曲線について、群間の有意差はみられなかった(結合尤度比検定のp=0.39)。 子供の平均エネルギー摂取量は、介入群(1,227kcal/日)が対照群(1,323kcal/日)に比べて有意に少なかった(補正後群間差:-99.4kcal、95%信頼区間[CI]:-160.7~-38.0、補正後p=0.003)。また、介入群の保護者のほうが対照群の保護者と比べて、子供と一緒にコミュニティセンターを利用した割合が有意に高率であった(56.8% vs.44.4%、リスク比:1.29[95%CI:1.08~1.53]、補正後p=0.006)。 これらの結果を踏まえて著者は、「その他タイプの行動変容介入の効果や、他市での介入効果について、さらなる試験を行う必要があるだろう」と述べている。

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妊娠・授乳期のビタミンD投与は胎児・乳児に有益か/NEJM

 分娩前のビタミンD欠乏症や胎児・乳児の発育不全が広く認められる集団において、妊娠中期から分娩時までまたは分娩後6ヵ月まで、母体にビタミンDサプリメント投与を行っても、胎児や乳児の成長は改善されなかった。カナダ・トロント大学のDaniel E. Roth氏らが、バングラデシュで行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2018年8月9日号で報告した。ビタミンD欠乏症が蔓延している地域において、妊娠中および授乳期の母体へのビタミンD投与が、胎児や乳児の成長を改善するかどうかは確認されていなかった。5つの投与パターンで検証 検討は、分娩前(妊娠17~24週から出産まで)および分娩後の、週1回のビタミンD投与の効果を評価するため、2014年3月~2015年9月に、バングラデシュの公的病院1施設で行われた。 被験者は無作為に次の5群に割り付けられた。1)分娩前、分娩後ともにビタミンD投与を受けない(プラセボ群)、2)分娩前のみ用量4,200IUを受ける群(分娩前4,200群)、3)同1万6,800IUを受ける群(分娩前1万6,800群)、4)同2万8,000IUを受ける群(分娩前2万8,000群)、5)分娩前および分娩後26週間に用量2万8,000IUを受ける群(分娩前・分娩後2万8,000群)。 主要アウトカムは、1年(364~420日)時点の年齢別身長zスコア(WHO Child Growth Standardsに基づく)であった。また副次アウトカムとして、乳児の身体諸計測値、早産(妊娠37週未満)、妊娠高血圧症、分娩特性、死産、母体および乳児の罹患や入院、死亡、先天奇形などについて評価した。1歳時の年齢別身長zスコア、群間の有意差は認められず 総計1,300例の妊婦が登録され、5群のうちの1つに無作為に割り付けられた。全体でビタミンD欠乏症の女性は64%。群間で授乳パターンなどに有意差はなかった。 1歳時のフォローアップを受けたのは1,164例(89.5%)であった。それら被験者において、群間の年齢別身長zスコアの有意差は認められなかった。スコアは、プラセボ群:-0.93±1.05、分娩前4,200群:-1.11±1.12、分娩前1万6,800群:-0.97±0.97、分娩前2万8,000群:-1.06±1.07、分娩前・分娩後2万8,000群:-0.94±1.00であった(全体的な群間差検定のp=0.23)。その他の身体諸計測指数(年齢別体重zスコア、身長別体重zスコアなど)、出生アウトカム、罹患率にも有意差がみられなかった。 一方で、ビタミンD投与による予想どおりの用量依存効果が、母体と乳児の血清25ヒドロキシビタミンD値および血清カルシウム値、母体の尿中カルシウム排出量、母体の副甲状腺ホルモン(iPTH)濃度に認められた。分娩後6ヵ月時点の母体iPTHは、分娩前・分娩後2万8,000群が他の群と比べて有意に低値であった。 また、最大量投与群で高カルシウム尿症の割合が高率となる可能性を除き、群間の有害事象の発現頻度について有意差は認められなかった。

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リジン尿性蛋白不耐症〔LPI:lysinuric protein intolerance〕

1 疾患概要■ 定義二塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、オルニチン)の輸送蛋白の1つである y+LAT-1(y+L amino acid transporter-1)の機能異常によって、これらのアミノ酸の小腸での吸収障害、腎での再吸収障害を生じるために、アミノ酸バランスの破綻から、高アンモニア血症をはじめとした多彩な症状を来す疾患である。本疾患は常染色体劣性遺伝を呈し、責任遺伝子SLC7A7の病因変異が認められる。現在は指定難病となっている。■ 疫学わが国での患者数は30~40人と推定されている。■ 病因y+LAT-1 は主に腎、小腸などの上皮細胞基底膜側に存在する(図)。12の膜貫通領域をもった蛋白構造をとり、分子量は約40kDaである。調節ユニットである 4F2hc(the heavy chain of the cell-surface antigen 4F2)とジスルフィド結合を介してヘテロダイマーを形成することで、機能発現する。本蛋白の異常により二塩基性アミノ酸の吸収障害、腎尿細管上皮での再吸収障害を来す結果、これらの体内プールの減少、アミノ酸バランスの破綻を招き、諸症状を来す。所見の1つである高アンモニア血症は、尿素回路基質であるアルギニンとオルニチンの欠乏に基づくと推定されるが、詳細は不明である。また、SLC7A7 mRNAは全身の諸臓器(白血球、肺、肝、脾など)でも発現が確認されており、本疾患の多彩な症状は各々の膜輸送障害に基づく。上述の病態に加え、細胞内から細胞外への輸送障害に起因する細胞内アルギニンの増加、一酸化窒素(NO)産生の過剰なども関与していることが推定されている。画像を拡大する■ 症状離乳期以降、低身長(四肢・体幹均衡型)、低体重が認められるようになる。肝腫大も受診の契機となる。蛋白過剰摂取後には約半数で高アンモニア血症による神経症状を呈する。加えて飢餓、感染、ストレスなども高アンモニア血症の誘因となる。多くの症例においては1歳前後から、牛乳、肉、魚、卵などの高蛋白食品を摂取すると嘔気・嘔吐、腹痛、めまい、下痢などを呈するため、自然にこれらの食品を嫌うようになる。この「蛋白嫌い」は、本疾患の特徴の1つでもある。そのほか患者の2割に骨折の既往を、半数近くに骨粗鬆症を認める。さらにまばらな毛髪、皮膚や関節の過伸展がみられることもある。一方、本疾患では、約1/3の症例に何らかの血液免疫学的異常所見を有する。水痘の重症化、EBウイルスDNA持続高値、麻疹脳炎合併などのウイルス感染の重症化や感染防御能の低下が報告されている。さらに血球貪食症候群、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎、関節リウマチ)合併の報告がある。成人期以降には肺合併症として、間質性肺炎、肺胞蛋白症などが増える傾向にある。無症状でも画像上の肺の線維化がたびたび認められる。また、腎尿細管病変や糸球体腎炎も比較的多い。循環器症状は少ないが、運動負荷後の心筋虚血性変化や脳梗塞を来した症例もあり、注意が必要である。■ 分類本疾患の臨床症状と重症度は多彩である。一般には出生時には症状を認めず、蛋白摂取量が増える離乳期以後に症状を認める例が多い。1)発症前型同胞が診断されたことを契機に、診断に至る例がある。この場合も軽度の低身長などを認めることが多い。2)急性発症型小児期の発症形態としては、高アンモニア血症に伴う意識障害や痙攣、嘔吐、精神運動発達遅滞などが多い。しかし、一部では間質性肺炎、易感染、血球貪食症候群、自己免疫疾患、血球減少などが初発症状となる例もある。3)慢性進行型軽症例は成人まで気付かれず、てんかんなどの神経疾患の精査から診断されることがある。■ 予後早期診断例が増え、精神運動発達遅延を呈する割合は減少傾向にある。しかし、肺合併症や腎病変は、アミノ酸補充にもかかわらず進行を抑えられないため、生命予後に大きく影響する。水痘や一般的な細菌感染は、腎臓・肺病変の重症化を招きうる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)高アンモニア血症を来す尿素サイクル異常症の各疾患の鑑別のため血中・尿中アミノ酸分析を提出する。加えてLDHやフェリチンが上昇していれば本疾患の可能性が高まる。確定診断には遺伝子解析を検討する。■ 一般血液検査所見1)血清LDH上昇:600~1,000IU/L程度が多い。2)血清フェリチン上昇:程度は症例によって異なる。3)高アンモニア血症:血中アンモニア高値の既往はほとんどの例でみられる。最高値は180~240μmol/L(300~400μg/dL)の範囲であることが多いが、時に600μmol/L (1,000μg/dL)程度まで上昇する例もある。また、食後に採血することで蛋白摂取後の一過性高アンモニア血症が判明し、診断に至ることがある。4)末梢白血球減少・血小板減少・貧血上記検査所見のほか、AST/ALTの軽度上昇(AST>ALT)、TG/TC上昇、貧血、甲状腺結合蛋白(TBG)増加、IgGサブクラスの異常、白血球貪食能や殺菌能の低下、NK細胞活性低下、補体低下、CD4/CD8比の低下などがみられることがある。■ 血中・尿中アミノ酸分析1)血中二塩基性アミノ酸値(リジン、アルギニン、オルニチン)正常下限の1/3程度から正常域まで分布する。また、二次的変化として、血中グルタミン、アラニン、グリシン、セリン、プロリンなどの上昇を認めることがある。2)尿の二塩基性アミノ酸濃度は通常増加(リジンは多量、アルギニン、オルニチンは中等度、シスチンは軽度)なかでもリジンの増加はほぼ全例にみられる。まれに(血中リジン量が極端に低い場合など)、これらのアミノ酸の腎クリアランスの計算が必要となる場合がある。(参考所見)尿中有機酸分析における尿中オロト酸測定:高アンモニア血症に付随して尿中オロト酸の増加を認める。■ 診断の根拠となる特殊検査1)遺伝子解析SLC7A7(y+LAT-1をコードする遺伝子)に病因変異を認める。遺伝子変異は今まで50種以上の報告がある。ただし本疾患の5%程度では遺伝子変異が同定されていない。■ 鑑別診断初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。1)尿素サイクル異常症の各疾患2)ライソゾーム病3)周期性嘔吐症、食物アレルギー、慢性腹痛、吸収不良症候群などの消化器疾患 4)てんかん、精神運動発達遅滞5)免疫不全症、血球貪食症候群、間質性肺炎初発症状や病型の違いによって、鑑別疾患も多岐にわたる。<診断に関して留意する点>低栄養状態では血中アミノ酸値が全体に低値となり、尿中排泄も低下していることがある。また、新生児や未熟児では尿のアミノ酸排泄が多く、新生児尿中アミノ酸の評価においては注意が必要である。逆にアミノ酸製剤投与下、ファンコーニ症候群などでは尿アミノ酸排泄過多を呈するので慎重に評価する。3 急性発作で発症した場合の診療高アンモニア血症の急性期で種々の臨床症状を認める場合は、速やかに窒素負荷となる蛋白を一旦除去するとともに、中心静脈栄養などにより十分なカロリーを補充することで蛋白異化の抑制を図る。さらに薬物療法として、L-アルギニン(商品名:アルギU)、フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウムなどが投与される。ほとんどの場合は、前述の薬物療法によって血中アンモニア値の低下が得られるが、無効な場合は持続的血液透析(CHD)の導入を図る。■ 慢性期の管理1)食事療法十分なカロリー摂取と蛋白制限が主体となる。小児では摂取蛋白0.8~1.5g/kg/日、成人では0.5~0.8g/kg/日が推奨される。一方、カロリーおよびCa、Fe、ZnやビタミンDなどは不足しやすく、特殊ミルクである蛋白除去粉乳(S-23)の併用も考慮する。2)薬物療法(1)L-シトルリン(日本では医薬品として認可されていない)中性アミノ酸であるため吸収障害はなく、肝でアルギニン、オルニチンに変換されるため、本疾患に有効である。投与により血中アンモニア値の低下や嘔気減少、食事摂取量の増加、活動性の増加、肝腫大の軽減などが認められている。(2)L-アルギニン(同:アルギU)有効だが、吸収障害のため効果が限られ、また浸透圧性下痢を来しうるため注意して使用する。なおL-アルギニンは、急性期の高アンモニア血症の治療としては有効であるが、本症における細胞内でのアルギニンの増加、NO産生過剰の観点からは、議論の余地があると思われる。(3)L-カルニチン2次性の低カルニチン血症を来している場合に併用する。(4)フェニル酪酸ナトリウム(同:ブフェニール)、安息香酸ナトリウム血中アンモニア値が不安定な例ではこれらの定期内服を検討する。その他対症療法として、免疫能改善のためのγグロブリン投与、肺・腎合併症に対するステロイド投与、骨粗鬆症へのビタミンD製剤やビスホスホネート薬の投与、成長ホルモン分泌不全性低身長への成長ホルモンの投与、重炭酸ナトリウム、抗痙攣薬、レボチロキシン(同:チラーヂンS)の投与などが試みられている。4 今後の展望小児期の発達予後に関する最重要課題は、高アンモニア血症をいかに防ぐかである。近年では、早期診断例が徐々に増えることによって正常発達例も増えてきた。その一方で、早期から食事・薬物療法を継続したとしても、成人期の肺・腎合併症は予防しきれていない。その病因として、尿素サイクルに起因する病態のみならず、各組織におけるアミノ酸の輸送障害やNO代謝の変化が想定されており、これらの病態解明と治療の開発が望まれる。5 主たる診療科小児科、神経内科。症状により精神科、腎臓内科、泌尿器科、呼吸器内科への受診も適宜行われている。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター リジン尿性蛋白不耐症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Sperandeo MP, et al. Hum Mutat. 2008;29:14-21.2)Torrents D, et al. Nat Genet. 1999;21:293-296.3)高橋勉. 厚労省研究班「リジン尿性蛋白不耐症における最終診断への診断プロトコールと治療指針の作成に関する研究」厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業 平成22年度総括分担研究報告書;2011.p.1-27.4)Charles Scriver, et al(editor). The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York City:McGraw-Hill;2001:pp.4933-4956.5)Sebastio G, et al. Am J Med Genet C Semin Med Genet. 2011;157:54-62.公開履歴初回2018年8月14日

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東京医大入試減点問題、若いほど理解できる? 男女の医師1,000人に聞きました

東京医科大学の入学試験で、女性の受験者への一律減点が行われていたことが明らかになった。この問題を受け、文科省は全国に81ある医学部医学科を対象に、入試の公正性に関する緊急調査を開始している。現場で働く医師たちにとって、この問題はありえないことなのか、理解できることなのか。ケアネットはCareNet.com会員である男性医師504人、女性医師501人の計1,005人にその実情と意見を聞いた。結果概要男性で67.9%、女性で69.5%が女性の減点問題に一定の理解入試での女性減点問題に「理解できる」と答えた医師は、男性14.9%、女性13.8%と若干男性医師に多い傾向がみられたが、「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、男性67.9%、女性69.5%と女性のほうが多い傾向となり、減点される側の立場である女性医師も、この問題に一定の理解を示していることがうかがえる。その理由としては、「実際に常勤医で戦力として残っている女医は少ないから(麻酔科・40代女性)」、「男性に向いている科は確かに存在するし、力が必要な時もあるから。制限をつけないでとると、女性だらけになってしまう(小児科・20代女性)」、「女医が増えたら、眼科・皮膚科だらけになる。今でも医師の偏在が問題になっているのに、もっと困ることになる(内科・40代女性)」などの声が上がっている。また、「医局で働いている途中で、とくに若手で妊娠してしまうと、当直やオンコールはじめ周囲へのしわ寄せが大きくなってしまうので、罪悪感からとてもこのような状況では妊娠できないと感じていた(内科・30代女性)」、「子持ち女医ですが、夜も休日も働けず、迷惑をかけています。男性は子持ちでもそれがない。周りの多くの女医は、クリニックや健診など、楽で給料のよいところに行ってしまい、人の足りない総合病院には残らない。やはり男性が必要でしょう(産婦人科・40代女性)」など、出産・育児と医師として求められる仕事の両立に、難しさや周囲への罪悪感を感じていることがうかがえた。男性側も、「子供ができたのちキャリアダウンしようとする女医の数は少なくないので、仕方がない(循環器内科・30代男性)」、「現実問題として現在の医療現場の忙しさからいえば、女性医師が増えると回らなくなるのは正直なところ(皮膚科・20代男性)」などの声がある一方で、「父親も育児参加が求められる中で、女性医師ばかりが当直免除などの恩恵を受けるのは仕方ないと思う反面、腑に落ちない面も残る(精神科・30代男性)」、「男女平等は強調されるが、男女公平が議論されない。男性医師が育児休暇を公平にとれる体制や理解が、現状の医療体制で整うとは思えない(神経内科・30代男性)」など、出産・育児による休暇取得や当直免除などが、男性ではより実現しにくい現状も垣間見えた。画像を拡大する男女ともに年代が低いほど理解を示す傾向年代別に回答を見てみると、「理解できる」と答えた医師は、男女ともに年齢が上がるにつれ減少。「不公平ではあるが、ある程度理解できる」という医師を含めると、50代の男女で最も少なく、「理解できない」と答えた医師の割合が高かった(男性:39.9%、女性:42.2%)。画像を拡大する診療科別では、外科(42.9%)、泌尿器科(38.5%)、精神科(38.2%)、小児科(36.5%)、脳神経外科(36.2%)の順に「理解できない」という回答が多かった。画像を拡大する男性で38.5%、女性で28.3%が入試での女性比率の制限は「必要」と回答入試での女性比率の制限については、男性の38.5%が「必要」と答え、「不要」と答えた人(34.9%)を上回った。「必要」と答えた人の理由としては、「差別ではなく区別は必要。定員として男子・女子各何人と明確にすればよいと思う(皮膚科・40代男性)」、「こっそり減点は駄目だと思うが、制限するとあらかじめオープンにして試験をすればよい(眼科・50代男性)」などの声がきかれた。また、「年代別に男性、女性が医師として働いている割合、どのような形態(常勤/非常勤、終日/パート、当直の有無、回数、勤務場所など)で勤務しているか調べてみればよい(整形外科・60代男性)」、「データに基づいて比率を決定すべき(眼科・30代男性)」といった意見や、「男女平等を言うならすべて同じにしないといけない。女性医師は出産・育児で優遇される。その分のしわ寄せは男性医師にくる。最初から比率を決めて入試すればすむ(外科・40代男性)」といった意見もみられた。女性では、「不要」と答えた人(37.9%)が最も多く、「どちらともいえない」と答えた人(33.7%)も多かった。「不要」と答えた人の理由としては、「診療科による偏りの是正は必要だが、それを男女の制限に落とし込むことは論点が違い差別である(神経内科・20代女性)」、「入試時の性別ではなく、医師になってからの科ごとの人数・男女制限が必要だと思う(精神科・30代女性)」、「入試における操作で医師の男女比を調整するのではなく、医師の労働環境そのものを改善する必要がある(神経内科・30代女性)」など、性差のみで判断することへの懸念の声が上がっていた。画像を拡大する20~40代の男性医師が最も「比率制限が必要」と感じている?年代別では、39歳以下および40代の男性医師で、それぞれ4割以上が入試による女性比率の制限が「必要」と回答。60歳以上で唯一、「必要」と答えた割合が女性で上回ったが(男性:32.9%、女性36.7%)、その他の年代ではそれぞれ10%ほど、女性よりも男性で「必要」と答える人が多かった。画像を拡大する診療科別では、産婦人科(40.6%)、泌尿器科(38.5%)、循環器内科(38.5%)などで「必要」と答えた割合が高く、外科(14.3%)、精神科(25.0%)、糖尿病・代謝・内分泌内科(26.9%)などで低かった。画像を拡大する設問詳細Q1.医学部入試での女子減点問題、先生はどう思いますか?理解できる不公平ではあるが、ある程度理解できる理解できないQ2.入試における女性比率の制限は必要だと思いますか?必要不要どちらともいえないQ3.Q1、Q2について、その理由やご意見をお寄せください。アンケート概要内容緊急アンケート!東京医大女子減点問題、先生はどう思いますか?実施日2018年8月9~10日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師1,005名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)実情について妊娠出産、育児があるとこの仕事は無理だと思う。子供を産むと10年くらい求められる仕事はこなせない。調整されても仕方がない(救急科・30代女性)出産や育児でいきなり穴をあける・時短になるなどで、常勤として働いていても周りにしわ寄せがいっている。また周りの女医をみてもバイトだけの生活をしている割合が多く、女性医師が増えすぎると上に立ったり指導できる人がいなくなる(内科・30代女性)産後、当直している女性医師は限りなく少ない。また年代が上がると、男性医師も当直回数が減り、若手男性医師が多くを担っていると思われる。実際当直している女性はどれほどいるか知りたい(皮膚科・30代女性)外科系医師、ERの医師、当直医など、女性でしっかり勤められている先生もいるが、少数(眼科・40代女性)女性医師は男性医師の7割程度のマンパワーと感じる(呼吸器内科・40代女性)男女平等といっても体格差があり、長時間手術や激務に耐えうるのは男性であるため。専門医制度も変わり、きつい科は避けられる傾向にある(呼吸器内科・40代女性)人口の半分は女性。女性は女医を希望する方が多い。小児科や婦人科はなおさら。確かに力がいる整形外科などもあるが、周りで協力すればよい。直腸診など女性患者には男性医師は女性の立会いが必要ですよ(内科・40代女性)外科系に進む研修医が激減し、将来的に外科系医師がいなくなってしまうから理解はできます。しかしそれ以上に女性医師が働きやすいように外科の環境を急ピッチで変えるべきですし、環境だけでなく外科の上級医のマインドも変えないといけないと思います(精神科・40代女性)女性医師の多くが結婚や出産でリタイアし、復帰後も効率の良いアルバイトをしている現実をみると国費の無駄遣いと感じます。男女問わず実戦で活躍する覚悟が必要だと思います。覚悟を持って入学するべきで、そこに男女の差はありません(眼科・50代女性)男性医師、独身女医の負担が大き過ぎ。家庭を抱え努力している女医はいるが、「家庭があることを利用して嫌な仕事は受けない、しかし美味しい業務には参加する」女医が一定数いるのは確か。穴埋めに感謝の意を示してくれればまだしも、当然の権利と主張する女医がいかに多いことか! むしろ逆性差別、逆ハラスメントです(小児科・50代女性)結婚、妊娠、子育て等に伴う職場整備を進めない限り、一部の女性医師が十分に働けない状態は続く(小児科・50代女性)健診や一般外来など、負担が少なく給料のよいバイトがある現状では、産後にフルタイムで復帰する女医さんは増えないと思う。女医さんを支えるだけの十分なフルタイムの医師がいない。僻地医療が崩壊する(内科・30代男性)緊急、呼び出しがある診療科では、現状の市中病院の勤務体系では育児を両立することは難しいと思います。女性を優遇することで男性勤務医への時間外待機、突然の女性医師欠勤時の勤務負担は確実に増えますが、当番の交代を女性医師に依頼することができるわけではなく、暗黙のうちに相殺され不公平感を感じると思います(内科・30代男性)女性は男性よりも早く医局をやめる。先輩からするとせっかく育ってきたときにやめるため、また一からやり直ししないといけない(皮膚科・40代男性)実際の現場では、家庭を両立させながら救急、当直などきつい仕事を行うことは困難であり、その分の負担が男性医師にきている(呼吸器内科・40代男性)女性は結婚や出産により現場を離れる可能性が高く、そのまま戻って来ないことも往々にしてある。その女性が診ていた患者は、結局残された人間で診ることになり負担が増える。とくに忙しい外科系には男性のみで十分であると思うことがある(泌尿器科・40代男性)夜勤や夜間・休日のオンコールに対応している医師の割合を詳細に調べれば、現在の問題がわかると思います。結婚・出産が女医さんのキャリアを中断させてしまうのは事実であり、しかもその時期が医師として一番活躍できる時期と一致してしまう。日本は女性が家庭を守るといった感覚がそこかしこに残っているので、女医さんが家庭の事情でそうなることは仕方がなく、まだまだ男女平等と呼べる社会には遠いように思います。さらに全体として、夜勤を必要としない科を希望する若い医師が多いのも事実であり、女医さんの問題だけを解決してもしょうがないのかもしれません(麻酔科・40代男性)当直は常勤の人間が安い当直料で疲弊しながら働き、女医は高いバイト代をもらって楽な日勤をやっている。昼の楽な日勤を週3回すれば常勤並みのお金をもらえるので、常勤に戻らずバイトで稼ぐ女医がかなり多い(産婦人科・50代男性)現状の医療現場では、これ以上の女医の増加は他の男性医師の限りない負担増加へつながる。男女同権を貫くなら、欧米並みに勤務交代制や育児保育施設の整備を充足しなければ、絵空事である(皮膚科・60代男性)入試による女性比率の制限に対する意見について制限するなら、募集要項にちゃんと記載するべきだと思います。東京医大のやり方はアンフェアでまったく賛成できません(循環器内科・30代女性)それよりも卒業生の子弟を加点するほうがもっと問題だと思う(眼科・30代女性)面接での加点は致し方ないとしても(印象点という意味で)減点はさすがにひどいと思う。あと、現場には産後も、もっと働きたいのに働けない先生もたくさんいるので、もっと働きやすい環境になってほしいと思う(麻酔科・30代女性)入試要項に女性制限が記載されていればよいと思う(耳鼻咽喉科・40代女性)国公立大学の場合は制限できないと思います(循環器内科・50代女性)入試で制限するより、女性がどうしたらやめないか、働きやすいかを考えるべき(小児科・30代男性)募集要項に明記すればいい(皮膚科・40代男性)入試制度だけで解決できる問題ではない。医師だけ女性制限を認めると、他の業種とのバランスがとれない(精神科・40代男性)性別や浪人回数で差別はいけない。努力して勉強しているのだから(内科・50代男性)入試に際して女性が上位を占めることは明らかである。女性が向かない体力を要する診療科があることを示したうえで、合格者に占める男女の人数を明示しておくのがよいと思う(腎臓内科・70代男性)解決策について女医でも働きやすい環境にすればよい。キツイ診療科は主治医複数制、産休育休当たり前にするとか、保育所増やすとか(麻酔科・30代女性)入試は公平に行い大学病院勤務の際に制限してはどうか。女性医師を受け入れると表明したほうが結果的には人手が増えると思うが…。国家試験である以上、入試での制限は認められないと思う(循環器内科・40代女性)女性医師のライフプランについては入学後に教育することも可能であるはず(麻酔科・40代女性)男性医師を増やしたい気持ちはよくわかるが、入試時点で差別するのは問題。医局入局もしくは病院就職の時点で選別すれば、普通の一般企業と同じだから問題ない(眼科・50代女性)現場の疲弊と性差別の問題は別で考えるべき。むしろ、女性が長く残れる環境作りがあらゆる問題の解決方法である、という共通認識を確立するいい機会(内科・50代女性)育児、介護問題を女性特有の問題と認識すること自体を改めるべきである。男性も含めて、個人的理由で短時間勤務をする必要が生じる可能性のあることを踏まえた人員配置が必要なのではないか(麻酔科・50代女性)医師全体の勤務状況を改善すればよい。男性勤務医でも当直後の連続勤務、時間外労働賃金がきちんと管理され支払われてないことが問題で、女性に限ったことではない(内科・60代女性)男性医師が現状を維持するのではなく、働き方について医療関係者、患者とその家族も意識を変えていく必要がある。女性が入れないような勤務体制自体を見直さなければ早晩医療崩壊するのは免れない。「仕方がない」「男性と同じように女性も働くべき」ではただの足の引っ張り合いでしかない(精神科・30代男性)一番しんどいのは夜間救急であり、それができるかできないかは医師という仕事を考えるうえで最も重要な議論であり、絶対に避けてはいけない(腎臓内科・30代男性)女子医大もあるので、医学部定員を男6~7、女3~4で分ける。もしくは男女関係なく卒後5~6年の内科、外科、救急など多忙な科の勤務義務化など(消化器内科・40代男性)女性医師がフルタイムで働かない比率が高いため、このようなことが起こる。出産育児早期は仕方ないがその後はしっかり働いてもらう制度、そのための保育所などの整備が必要(麻酔科・40代男性)女性が増えればアルバイト医のみが増え続け、3Kを担う医師は減り、実労働可能な医師不足が加速します。国民の医療に対する考えを根本的に変えないと、女性も働ける医療現場は増えません(内科・50代男性)そもそもフルタイムとはどのような働き方かを討論しないと結論は出ない(脳神経外科・50代男性)

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小児期のストレスと将来の認知症発症との関連

 小児期の環境と晩年の慢性疾患との関連を分析するライフコース研究は、あまり行われていない。とくに、認知症の早期予測を可能とする研究はほとんど存在しない。東フィンランド大学のGwendolyn A. R. Donley氏らは、小児期のストレスと将来の認知症(とくにアルツハイマー病[AD])との関連について検討を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年7月17日号の報告。 1984~89年に実施された広範なベースライン健康診断およびインタビュー調査である、人口ベースのKuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor Studyに参加した、当時42~61歳の男性2,682例のデータを使用した。これらの構造化されたインタビューには、小児期のイベントが記録されていた。保護施設や児童養護施設での生活、小児期の危機的な経験、教師による問題、戦争による移住など、複合的な小児ストレス変数を作成した。ADを含む認知症に関するデータは、2014年までの健康レジストリより取得した。認知症発症リスクは、ベースライン時の年齢、教育、所得、先天性疾患の既往で調整し、Cox回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・小児期のストレスは、認知症リスクの増加と関連が認められた(HR:1.86、95%CI:1.12~3.10)。・年齢、教育、所得およびその他の共変量で調整した後でも、この関連は統計学的に有意であった(HR:1.93、95%CI:1.14~3.25)。・この関連は、ADにおいてもわずかに有意であり、同様なHRを有していた。 著者らは「小児期のストレスは、男性において、将来の認知症リスクに重要な影響を及ぼす。そのため、ストレス状態に苦しんでいる小児に対しての、支援システムの開発が求められる。多様な集団において、将来の罹患率に関わる小児期の社会的および環境的影響を検討するさらなる調査は、ライフコースの疾患による負荷を理解するために必要である」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能か子供はよく遊ばせておいたほうがよい

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SMA患児の運動機能が大きく変わった

 2018年7月31日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注12mg)が発売から1年を超えたのを期し、「新薬の登場により、SMA治療が変わる」をテーマに都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、脊髄性筋萎縮症(以下「SMA」と略す)の概要、治療の効果などが説明された。「呼吸が弱い」「いつもグニャとしている」新生児がいたら 講演では、弓削 康太郎氏(久留米大学医学部 小児科学教室 助教)を講師に迎え、「SMAが変わる」をテーマに、疾患概要とヌシネルセンナトリウム処方後の効果について説明が行われた。 SMAは、進行性する運動ニューロン病として、体幹・四肢の近位部優位の筋肉が低下する難病。常染色体劣性遺伝形式で原因遺伝子はSMN1遺伝子と同定されている。SMAは発症年齢と重症度で4つに分類され、I型は重症型(生後6ヵ月までに発症)、II型は中間型(生後1歳6ヵ月までに発症)、III型は軽症型(生後1歳6ヵ月以降に発症)、IV型は成人型(20歳以降で発症)となっている。患児・患者発生は10万人当たり1~2人、年間発生は約50~60人と推定され、SMN1遺伝子の保因者は100人に1人と推定されている。現在、治療では、対症療法を主体に行われている。 主な症状としては、新生児であれば体が柔らかく、手・足・首がだらりと垂れたり、筋肉の萎縮、背骨が曲がったりする。幼児から成人まででは、歩行困難や体幹の筋肉の萎縮などが起こる。顕著な症状としては、呼吸が弱く、咳ができない、痰が出せないなどの呼吸症状がみられ、急変しやすく最悪の場合には呼吸不全となる。成人型では、側湾に障害が起こる場合もあり、骨成長が脆弱な点も特徴的であるという。そして、早期診断の重要性を強調するとともに、一般的な外来診察では気付きにくく、医師以外に患児の祖父母や保健師などからの「寝返りしない」「手指の細かい震え」などの報告や意見が診断の助けとなるというポイントを示した。SMAの治療ができるステージへの期待 つぎにヌシネルセンナトリウムの効果について、主に自院の患児症例について報告が行われた。それによると今まで押せなかったリモコンボタンが押せるようになった例、頸がしっかりとした例、痰排出が容易になった例、咀嚼の改善などの運動機能の改善例が報告された。また、呼吸機能の大きな改善はないものの、睡眠時の中途覚醒が少なくなり、患児のADLだけでなくQOLの改善も報告された。 今後のヌシネルセンナトリウムの課題について、薬価が高価であること、重症側弯症へのアプローチ、長期成績・安全性の確立、進行例へのエビデンス不足などがあるという。 最後に同氏は「SMAはヌシネルセンナトリウムの登場で治療可能な疾患となりつつある。今後は、積極的な診断、治療、評価が必要であり、患者・家族の生き方にも変化を起こすと考えられる(たとえば次子の妊娠希望や出生前診断など)。今後は、遺伝子スクリーニングや発症前治療の是非などの課題を解決しつつ、早期診断、早期治療に努めていきたい」と展望を語り、講演を終えた。ヌシネルセンナトリウムの概要 製品名:スピンラザ髄注12mg 一般名:ヌシネルセンナトリウム 効能・効果:脊髄性筋萎縮症 用法・用量:通常、1回につき決められた用量を投与する。乳児型では初回投与後、2週、4週および9週に投与し、以降4ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。乳児型以外では初回投与後、4週および12週に投与し、以降6ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。 副作用:発熱、頻脈、貧血母斑、蜂巣円、処置後腫脹、眼振、血管炎など 製造販売承認日:2017年7月3日 薬価:932万424円(4ヵ月毎、年3回投与における年間薬剤費は2,796万1,272円) 製造販売元:バイオジェン・ジャパン株式会社 ※なお、本年1月より全国の大学・主要病院で新生児スクリーニング研究を開始。■参考SMA特設サイト(バイオジェン・ジャパン株式会社提供)SMA患者登録システムSMART(SMARTコンソーシアム)

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小児の敗血症バンドルの1時間完遂で、院内死亡リスクが低減/JAMA

 3項目から成る小児の1時間敗血症バンドル(1-hour sepsis bundle)を1時間以内に完遂すると、これを1時間で完遂しなかった場合に比べ院内死亡率が改善し、入院期間が短縮することが、米国・ピッツバーグ大学のIdris V. R. Evans氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年7月24日号に掲載された。2013年、ニューヨーク州は、小児の敗血症治療を一括したバンドルとして、血液培養、広域抗菌薬、20mL/kg輸液静脈内ボーラス投与を1時間以内に行うよう規定したが、1時間以内の完遂がアウトカムを改善するかは不明であった。ニューヨーク州の小児敗血症治療規則の有用性を検証 本コホート研究は、ニューヨーク州の救急診療部、入院治療部、集中治療室が参加し、2014年4月1日~2016年12月31日の期間に行われた(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以下で、敗血症または敗血症性ショックで敗血症プロトコールが開始され、ニューヨーク州保健局(NYSDOH)に報告された患者であった。1時間敗血症バンドルには、抗菌薬投与前の血液培養、広域抗菌薬の投与、20mL/kg輸液の静脈内ボーラス投与が含まれた。 1時間敗血症バンドルが1時間以内に完遂された場合と、これが1時間以内に完遂されなかった場合のリスク補正後院内死亡率を評価した。個々の項目の1時間完遂に死亡率抑制効果はない 54施設から報告された1,179例が解析の対象となった。平均年齢は7.2(SD 6.2)歳、男児が54.2%、試験参加前に罹病歴のない健康な小児が44.5%で、敗血症性ショックが68.8%にみられた。139例(11.8%)が院内で死亡した。 294例(24.9%)が、1時間敗血症バンドルを1時間以内に完遂した。血液培養は740例(62.8%)が、抗菌薬投与は798例(67.7%)が、輸液ボーラス投与は548例(46.5%)が、それぞれ1時間以内に完遂した。 敗血症バンドルの1時間完遂例のリスク補正後院内死亡率は8.7%であり、非完遂例の12.7%に比べ有意に低かった(補正オッズ比[OR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.38~0.93、p=0.02、予測リスク差[RD]:4.0、95%CI:0.9~7.0)。 一方、敗血症バンドル個々の項目の1時間完遂例のリスク補正後院内死亡率は、いずれも非完遂例との比較において有意差を認めなかった。血液培養はOR:0.73(95%CI:0.51~1.06、p=0.10)、RD:2.6%(95%CI:-0.5~5.7%)であり、抗菌薬投与は0.78(0.55~1.12、p=0.18)、2.1%(-1.1~5.2%)、輸液ボーラス投与は0.88(0.56~1.37、p=0.56)、1.1%(-2.6~4.8%)であった。 敗血症バンドルの完遂に2、3、4時間を要した場合の平均予測院内死亡率は、1時間が経過するごとに約2%ずつ上昇した。また、ニューヨーク州の典型的な小児敗血症の症例で、1時間敗血症バンドルの院内死亡リスクを推算したところ、1時間以内で完遂した場合は8%、完遂に4時間を要した場合は13%だった。 入院期間は、敗血症バンドルの1時間完遂により、全例で有意に短縮し(補正後発生率比[IRR]:0.76、95%CI:0.64~0.89、p=0.001)、生存例でも有意に短縮したが(0.71、0.60~0.84、p<0.001)、死亡例では短縮しなかった(1.09、0.71~1.69、p=0.68)。 著者は、「これらの知見は、小児敗血症治療を一括化したバンドルはアウトカムの改善効果を示したとする単一施設の結果と一致する」としている。

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アスリートにおけるADHDに関連する神経認知障害のシステマティックレビュー

 注意欠如・多動症(ADHD)は一般的に小児の疾患であるが、若年成人においても頻繁に診断される。最近の研究では、ADHDと脳震盪との関連が示唆されている。米国・ワシントン大学のPoyrung Poysophon氏らは、ADHDを有するアスリートにおいて、脳震盪リスク、症状の報告、回復に関連する神経認知障害のリスクが高いかどうかについて、システマティックレビューを行った。Sports Health誌2018年7、8月号の報告。 PubMed、CINAHL、Psychinfo、コクラン・ライブラリのデータベースで包括的な検索を行った。2006~17年の研究を調査したが、包括基準を満たす研究があったのは2013~17年のみだった。ADHDを有する15~19歳の青年および若年成人アスリートを対象としており、神経心理評価ツールを用いて神経認知障害を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・包括基準を満たした研究は、17件であった。・アスリートのADHD有病率は、4.2~8.1%であった。・全体として、ADHDを有するアスリートは、ImPACT(Immediate Post-Concussion Assessment and Cognitive Test)のような神経認知テストのスコアが低く、脳震盪リスクが増加しており、症状の報告が多かった。・中枢神経刺激薬による治療が、これらのリスクを変化させることを示すエビデンスは、認められなかった。 著者らは「ADHDを有するアスリートにおいて、神経認知障害増加との関連が認められたが、その病態生理は不明であった。また、ADHDを有するアスリートに対する、中枢神経刺激薬での治療に関するエビデンスは、不十分である」としている。■関連記事ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのかアスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させるスポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は?

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小児の胃酸関連疾患の治療課題とPPIなどの薬物療法

 2018年7月13日アストラゼネカ株式会社は、第一三共株式会社と共同販売するプロトンポンプ阻害薬(PPI)エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)が、1歳以上の小児への追加承認を本年1月に受け、4月に同薬の懸濁用顆粒分包が新発売されたことを期し、「進化する酸関連疾患治療~子どもの酸関連疾患の治療課題とPPIがもたらす変革を考える~」をテーマとするメディアセミナーを開催した。セミナーでは、小児の胃食道逆流症など酸関連疾患の診療と今後の展望などが解説された(写真は、左:中山 佳子氏、右上:木下 芳一氏、右下:清水 俊明氏)。小児向け治療薬の臨床試験数が少ない日本の現状 はじめに中山 佳子氏(信州大学医学部小児医学教室 講師)を講師に迎え、「小児酸関連疾患の実情とアンメットニーズ」をテーマに講演が行われた。 冒頭、エソメプラゾールが、ほかの国から10年近く遅れて小児適応が承認されたことに触れ、わが国の小児医薬品の開発状況を概説した。今回の小児適応拡大は、2006年に日本小児栄養消化器肝臓学会から出された要望が、ようやく実ったもの。現在でも成人治療薬の約20%程度しか小児適応がないという。とくに小児領域では、対象年齢層(新生児~思春期)が広いこと、対象患者数・投与量の少なさによる採算性からメーカの躊躇などの理由があると、世界的にみても治験数が少ないわが国の問題点を指摘した。 つぎに小児の酸関連疾患の特徴として胃食道逆流症と胃潰瘍、十二指腸潰瘍について説明を行った。小児の胃潰瘍、十二指腸潰瘍ではPPIが有効 小児の胃食道逆流症は、10歳未満の患児3.2%にあると推測され、14歳まででは約3.7万の患児がいると推計されている。こうした患児の主訴は「嘔吐・嘔気」「腹痛」であり、胸やけや呑酸の訴えがない、またはできないために、見逃されやすいという。そのため、咳嗽や喘鳴、体重減少・成長不良、胸痛など消化管外症状について、医療者が医療面接で気付き、本症を想定できるかが重要だと語る。 小児の胃食道逆流症診療では、診断として上部消化管造影検査、食道pHモニタリング、上部消化管内視鏡検査などが実施される。また、鑑別診断では、好酸球性食道炎、消化性潰瘍、代謝性アシドーシスなどとの鑑別が必要となる。治療では、家族への説明、生活指導から始まり、授乳方法の改善(少量頻回、増粘ミルク、アレルギー疾患用ミルクなど)、そして、PPIなどの薬物療法へと移行する。実際、エソメプラゾールで治療する場合、1日10~20mgを約2週間投与し、症状の改善を確認。有効ならば、4~8週間の治療継続を行うことになるが、無効・再燃例では、小児専門医に紹介が必要となる。 小児の胃潰瘍、十二指腸潰瘍では、十二指腸潰瘍の頻度が高く、主症状は年齢により異なるという。新生児~乳児期では反復性の嘔吐、消化管出血、幼児期では臍周囲痛など非特異的な痛み、学童期では上腹部圧痛を伴う心窩部痛が多くなる。とくに患児が主訴で「お腹がモヤモヤする」と訴えた場合、十二指腸潰瘍を疑い、必要な検査などの施行が望まれる。また、危険兆候として、夜間睡眠中の腹痛による覚醒、嘔吐や貧血、ヘリコバクター・ピロリ感染の家族歴も参考になる。診断では、臨床所見のほか、検査で腹部エコーや上部消化管内視鏡検査で潰瘍の診断を確実にすることが必要とされる。治療では、PPIが著効するため、1歳以上の本症確定例の小児ではエソメプラゾール10~20mgを第1選択薬として、早期の症状消失、潰瘍治癒を促すとしている。 最後に中山氏は、「小児の酸関連疾患では、腹痛や嘔吐などを繰り返すため、患児は活動制約、成長障害などの合併症を来しうるとともに その保護者もケアの負担や成長への不安など日常で苦労が重積する。こうした疾患に早期診断、早期治療介入をすることで、患児と保護者のQOLの改善につなげていく必要がある。また、PPIのアンメットニーズとして、長期投与、1歳未満の乳児への使用、ヘリコバクター・ピロリ除菌への補助などまだ解決されるべきことも多い」と課題を呈し、講演を終了した。小児に使用できない治療薬の保険承認への呼び水に セミナー後半では、木下 芳一氏(島根大学医学部内科学講座第二 教授)を座長に、清水 俊明氏(順天堂大学大学院医学研究科 小児思春期発達・病態学講座 主任教授)と中山氏をパネリストに「幼児・小児の酸関連疾患の早期発見、早期診断・治療につなげるには」をテーマにパネルディスカッションが行われた。 ディスカッションでは、「酸関連疾患、早期発見のコツ」について木下氏が尋ねたところ、清水氏が「不規則な位置や時間に腹痛があれば酸関連疾患を疑う。家族歴の聴取も大事だ」と回答し、中山氏が「患児向けに『胸やけ』などの言葉の言いかえをあらかじめ示しておく。保護者に患児の表情や気になる点を細かく聴取するべき」と回答し、臨床に役立つポイントが語られた。また、今後の展望について、清水氏は「今回のエソメプラゾールの保険適用が、別の小児に使用できない治療薬の保険承認への呼び水になればよいと思う」と述べ、中山氏は「安全に患児に使える治療薬の拡大を望みたい」と語り、ディスカッションを終えた。■参考アストラゼネカ ニュースリリースプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」の小児用法・用量の追加を目指し、新たに臨床試験を開始

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ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】

今回のキーワード思春期好奇心反抗同調認知行動療法ブリーフセラピーみなさんは、10代の子どもにどう接して良いか困っていませんか? 例えば、リアクションが薄い、急にキレる、言うことを聞かない、勝手なことをする、友達関係に悩む、そして不登校などです。なぜ彼らは困ったことをするのでしょうか? そもそもなぜ困ったことが「ある」のでしょうか? そして、私たち大人はどうすれば良いでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、まず思春期のメンタルヘルスを、発達心理学的に、比較動物学的に、そして進化心理学的に掘り下げます。そして、子どものメンタルヘルスに使えるドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。と言っても、もちろん本物の道具ではありません。その道具の発想です。これらを使って、思春期の子どもへのより良いかかわり方をいっしょに探っていきましょう。思春期の子どもはなぜ困ったことをするの?発達心理学的に考えれば、思春期は、体と同じように、心(脳)も劇的に成長する時期です。そして、自分のことは自分でやる、つまり、自分の行動を自分で決めることができるようになります。まさに子どもから大人になる過渡期です。親から心理的に離れていく、心の独り立ち、つまり心理的自立の時期です(アイデンティティ確立)。彼らにしてみれば、早く大人になりたい、早く大人と思われたいと思うでしょう。ただ実際には、能力や経験値としては完全な大人ではありません。そのギャップに葛藤が生まれ、困ってしまい、困ったことをしてしまうというわけです。つまり、彼らが困ったことをするのは、彼ら自身が困っているからです。それでは、ここから困りごとを引き起こす思春期の心理を主に3つあげてみましょう。さらに、私たち人間と同じ社会的動物であるベルベットモンキーというサルの思春期の行動と重ねながら、比較動物学的に掘り下げてみましょう。(1)好奇心1つ目は好奇心です。思春期になると、いろんなこと、特に大人のやっていることに興味を持ち、自分で調べたり、確かめたりするようになります。例えば、それは、セックス、暴力、危険行為、アルコール、ドラッグなどです。それが行き過ぎてしまい、ませて身勝手なことをしているように見えるのです。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、向こう見ずで血気盛んになり、天敵がいるところでも動き回ります。逆に言えば、恐怖心は減っています。(2)反抗2つ目は反抗です。思春期になると、生意気になり、学校の先生をわざと怒らせたりもします。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、わざと親から離れて、天敵に近付いて挑発したりもします。自分の身は自分で守る、「もう大人なんだ」という親へのアピールをします。(3)同調3つ目は同調です。思春期になると、子どもは、親ではなく、同性同年代の仲間といっしょにいようとします。そのために、仲間の行動に合わせようとします。親よりも、友達という社会が大事ということです。逆に言えば、その社会を大事にしないように見える集団の変わり者をのけ者にしようともします。これが、いじめの心理でもあります。ベルベットモンキーも同じように、思春期になると、親からは離れつつ、群れ全体の行動に合わせようとします。思春期の子どもになぜ困ったことが「ある」の?これらの3つの思春期の心理は、同性へのマウンティングと異性へのセックスアピールが根底にあることが分かります。つまり、進化心理学的に考えれば、思春期の子どもに困ったことがそもそも「ある」のは、私たちが社会的動物の霊長類になった太古の時代から、生存や生殖に必要だったからであると言えるでしょう。大人はどうすれば良いの?思春期の3つの心理を踏まえると、児童期までの「教え込む」というかかわりには限界が見えてきます。それどころか、逆効果になって、ますます困ったことになる可能性もあるでしょう。そう考えると、私たち大人が思春期の子どもにできることは、大人扱いをして「考えさせる」というかかわりであることが分かります。その具体的なやり方として、ドラえもんのひみつ道具を3つご紹介します。(1)入れかえロープ1つ目は、入れかえロープです。これは、自分と相手が同時にそれぞれ両端を握ると心はそのままで体だけ入れ替わる道具です。のび太は、しずかちゃんと入れ替わりますが、うまく行かないことに変わりはなく、「どうしてなんだろ?」「しずかちゃんになったらもっと楽しいはずなのに」とドラえもんに泣きつきます。すると、ドラえもんから「それはもっと根本的な人間としてのきみがだめなんだよ」とストレートに言われてしまいます。ドラえもんのエピソードの中では、人は外見が変わっても中身は変わらないという教訓が示されています。もっと言えば、外見を変えるのではなく、中身を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこの入れかえロープを使って、以下のそれぞれの視点や状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんの入れかえロープを使って・・・」に続けてみてください。a. 自分が相手になる視点友達と仲が悪くなった時:「きみがその友達になったら何を考えてる?」いじめられているクラスメートを見つけた時:「きみがそのクラスメートになったら何を思う?」自分が憧れる有名人がいる時:「きみがその人になったら、何をしたい?」b. 相手が自分になる視点友達から嫌われていると思い話しかけられない時:「好きなお笑い芸人の○○がきみになったら何て言うんだろう?」テストの点が悪かった時:「優等生の○○くんがきみになったらどうしてるだろう?」学校に行きたくなくなった時:「憧れのスポーツ選手の○○がきみになったら、どうするだろう?」入れかえロープの発想を使うことで、相手の立場に立ったり弱者の視点を持ち、相手の感じ方や考え方に気付くことができます。また、尊敬する人、憧れる人、好きな人などのロールモデルの視点も使うことで、うまく行かない自分ではなく、うまく行く誰かに目が向きます。そして、うまく行く人の視点を通して、自分自身を見つめ直すことができるようになります。こうして、ものの考え方に幅を持たせる想像力を高めることができるでしょう。ちなみに、入れかえロープの発想は、心理療法である認知行動療法のリフレーミングに通じます。(2)もしもボックス2つ目は、もしもボックスです。これは、「もしも」という仮定の世界を疑似体験することができる装置です。のび太は、「眠れば眠るほど偉くなる世界」をつくり、昼寝好きなのび太はもてはやされますが、同時にみんなが居眠りすることによって、世の中が回らなくなり、危険になってしまうというオチです。ドラえもんのエピソードの中では、世界を変えたとしても、必ずしも期待通りにはならないという教訓が示されています。もっと言えば、世界を変えるのではなく、自分を変えることが大事であるという教訓もあるでしょう。それでは、実際にこのもしもボックスを使って、以下のそれぞれの状況で子どもに質問するのはどうでしょうか? 「ドラえもんのもしもボックスを使って・・・」に続けてみてください。クラスメートたちの前で緊張する時:「緊張しなくなったら、クラスメートとどうしてる?」勉強ができない時:「勉強ができるようになったら、どんな気分かな?」不登校になっている時:「学校に楽しく行けるようになったら、どんな学校生活を送ってる?」もしもボックスの発想を使うことで、うまく行かない現実ではなく、うまく行っている理想に目が向きます。そして、うまく行く理想の視点を見据えて、やる気を高めることができるようになります。想像をすることは、それ自体で、やる気を高めています。これは、想像力とやる気に関係する脳内の物質(ドパミン)が活性化するからです。受け身でマイナス思考ではなく、自分から何かしようとする積極性やプラス思考を引き出します。そして、それが行動力になっていくでしょう。注意点は、もしもの変わる対象は周りではなく、自分であることです。変わる対象を周りにしてしまうと、自分が変わらないので、自分の行動力は高まらないからです。ちなみに、もしもボックスの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンに通じます。(3)タイムマシン3つ目は、タイムマシンです。これは、現在の世界から過去や未来の世界に行くことができる乗り物です。のび太が45年後の自分に会いに行った時、その45年後の自分から言われます。「僕はきみで良かった。きみの人生にはまだまだこの先にも嫌なことやうまくいかないことがたくさん起きる。でも、きみは何度つまずいても、その度に立ち直る強さだって持っているんだぞ」「この僕がきみに言うんだから間違いない」と。のび太は、未来ののび太に勇気付けられるのです。ドラえもんのエピソードの中では、未来を知ることで、現在の自分の進む道が分かるという教訓が示されています。もっと言えば、たとえ未来は見られなくても、未来を描くことでも、現在の自分の進む道は分かるという教訓もあるでしょう。それでは、タイムマシンを使って、以下のステップで、例えば不登校の子どもに質問するのはどうでしょうか?ステップ1:「ドラえもんのタイムマシンに乗って、成長した20歳の自分を見に行ったら、その自分はどんな1日を過ごしてる?」ステップ2:「今の自分は、20歳の自分に何を聞きたい?」ステップ3:「20歳の自分は、今の自分にまず何とアドバイスする?」タイムマシンの発想を使うことで、うまく行かない現在ではなく、うまく行っている未来に目が向きます。そして、うまく行く未来の視点を通して、現在の自分の行動を具体化することができるようになります。注意点は、「成長した」「うまく行っている」「幸せな」などのポジティブな言葉を必ず入れることです。これを入れないと、成長していないネガティブな未来を描いてしまう可能性があるからです。また、未来の設定時間は、「20歳」でなくても、1か月後でも10年後でも良いです。大事なのは、子どもにいつの未来を描いてほしいかということです。こうして、現在から未来への道筋を見いだすことができるでしょう。ちなみに、タイムマシンの発想は、心理療法であるブリーフセラピーのタイムマシン・クエスチョンに通じます。子育てとは?子育てとは、最終的に、子どもが「こうしたい」「こうなりたい」と自分で考える能力を育むことです。そして、その能力を十分に発揮できているのが、大人であると言えるでしょう。そう考えると、子育てのゴールとは、子どもが親の言う通りに生きるようになることではないでしょう。それは、子どもが親に言われなくても生きていけることでしょう。進化論的には、動物が子孫を残すために必要なことは、生存と生殖の2つです。ただし、人類を初めとする社会的動物の霊長類は、もう1つ必要なものがあります。それが、子育てです。これがないと、生存も生殖もできずに、子孫は残せません。さらに、人類ならではなのが、子育てを文化として世代から世代へ受け継ぐことです。そういう意味では、子育てとは、第2の遺伝子であるとも言えるでしょう。のび太はドラえもんのひみつ道具を通して成長し、やがてしずかちゃんと結婚するという夢を叶えます。それと同じように、私たちも3つのひみつ道具の発想を使うことで、子どもが夢を持ち、より豊かな人生を歩んでいくサポートができるのではないでしょうか?さらには、3つのひみつ道具の発想は、子どものメンタルヘルスだけでなく、思春期を過ぎた私たち大人のメンタルヘルスにも生かせることが、もちろんできます。つまり、私たち自身も子どもたちと同じように、夢を持ち、より豊かな子育て、そしてより豊かな人生を歩んでいくことです。そんな私たちの背中を見せることも、思春期の子どもへのより良いかかわり方であると言えるのではないでしょうか?1)ドラえもん最新ひみつ道具大辞典:藤子F・不二雄、小学館、20082)家族進化論:山極寿一、東京大学出版会、20123)解決志向ブリーフセラピー:森俊夫、黒澤幸子、ほんの森出版、20024)タイムマシン心理療法:黒沢幸子、日本評論社、2008

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ファブリー病に世界初の経口治療薬が登場

 2018年7月7日、アミカス・セラピューティスク株式会社は、同社が製造・販売する指定難病のファブリー病治療薬のミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)が、5月に承認・発売されたことを期し、「ファブリー病治療:新たな選択肢~患者さんを取り巻く環境と最新情報~」と題するメディアラウンドテーブルを開催した。希少代謝性疾患の患者に治療を届けるのが使命 はじめに同社の会長兼CEOのジョン・F・クラウリー氏が挨拶し、「『希少代謝性疾患の患者に高品質の治療を届けるように目指す』ことが我々の使命」と述べた。また、企業責任は「患者、患者家族、社会に希少疾病を通じてコミットすることで『治療にとどまらない癒しをもたらすこと』」と企業概要を説明した。今後は、根治を目標に遺伝子治療薬の開発も行っていくと展望を語った。なお、クラウリー氏は、実子がポンぺ病を発症したことから製薬会社を起業し、治療薬を開発したことが映画化されるなど世界的に著名な人物である。治療選択肢が増えたファブリー病 つぎに衞藤 義勝氏(脳神経疾患研究所 先端医療研究センター長、東京慈恵会医科大学名誉教授)が、「日本におけるファブリー病と治療の現状」をテーマに、同疾患の概要を解説した。 ライソゾーム病の一種であるファブリー病は、ライソゾームのαガラクトシダーゼの欠損または活性低下から代謝されるべき糖脂質(GL-3)が細胞内に蓄積することで、全身にさまざまな症状を起こす希少疾病である。 ファブリー病は教科書的な疫学では4万例に1例とされているが、実際には人種、地域によってかなり異なり、わが国では新生児マススクリーニングで7,000例に1例と報告されている。臨床型ではファブリー病は、古典型(I型)、遅発型(II型)、ヘテロ女性型に分類され、古典型が半数以上を占めるとされる。 ファブリー病の主な臨床症状としては、脳血管障害、難聴、角膜混濁・白内障、左室肥大・冠攣縮性狭心症・心弁膜障害・不整脈、被角血管腫・低汗症、タンパク尿・腎不全、四肢疼痛・知覚異常、腹痛・下痢・便秘・嘔気・嘔吐など全身に症状がみられる。また、年代によってもファブリー病は症状の現れ方が異なり、小児・思春期では、慢性末梢神経痛、四肢疼痛、角膜混濁が多く、成人期(40歳以降)では心機能障害が多くなるという。 診断では、臨床症状のほか、臨床検査で酵素欠損の証明、尿中のGL-3蓄積、遺伝子診断などで確定診断が行われる。また、早期診断できれば、治療介入で症状改善も期待できることから、新生児スクリーニング、ハイリスク群のスクリーニングが重要だと同氏は指摘する。とくに女性患者は軽症で症状がでないこともあり、放置されている場合も多く、医療者の介入が必要だと強調した。 ファブリー病の治療では、疼痛、心・腎障害、脳梗塞などへの対症療法のほか、根治的治療として現在は酵素補充療法(以下「ERT」と略す)が主に行われ、腎臓などの臓器移植、造血幹細胞などの細胞治療が行われている。とくにERTでは、アガルシダーゼαなどを2週間に1回、1~4時間かけて点滴する治療が行われているが、患者への身体的負担は大きい。そこで登場したのが、シャペロン治療法と呼ばれている治療で、ミガーラスタットは、この治療法の薬に当たる。同薬の機序としては、体内の変異した酵素を安定化させ、リソソームへの適切な輸送を促進することで、蓄積した物質の分解を促す。また、経口治療薬であり、患者のアドヒアランス向上、QOL改善に期待が持たれている。将来的には、学童期の小児にも適用できるように欧州では臨床研究が進められている。 最後に同氏は、「ファブリー病では、治療の選択肢が拡大している一方で、個々の治療法の効果は不明なことも多い。現在、診療ガイドラインを作成しているが、エビデンスをきちんと積んでいくことが重要だと考える」と語り、講演を終えた。酵素補充保療法とスイッチできるミガーラスタット つぎにデリリン・A・ヒューズ氏(ロイヤルフリーロンドンNHS財団信託 血液学領域、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)が、「ファブリー病治療の新たな選択肢:ミガーラスタット塩酸塩」をテーマに講演を行った。 はじめに自院の状況について、ライソゾーム病の中ではファブリー病がもっとも多いこと、患者数が年15%程度増加していることを報告し、家族内で潜在性の患者も多いことも知られているため、早期スクリーニングの重要性などを強調した。 英国のガイドラインでは、診断後の治療でERTを行うとされているが、その限界も現在指摘されている。ERTの最大の課題は、治療を継続していくと抗体が形成されることであり、そのため酵素活性が中和され、薬の効果が出にくくなるという。また、細胞組織内の分泌が変化すると、末期では細胞壊死や線維化が起こり、この段階に至るとERTでは対応できなくなるほか、点滴静注という治療方法は患者の活動性を阻害することも挙げられている。実際、15年にわたるERTのフォローアップでは、心不全、腎不全、ペースメーカー、突然死のイベント発生が報告され、効果が限定的であることが判明しつつあるという1)。そして、ミガーラスタットは、こうした課題の解決に期待されている。 ミガーラスタットの使用に際しては、ファブリー病の確定診断と使用に際しての適格性チェック(たとえば分泌酵素量や遺伝子検査)が必要となる。ERTと異なる点は、使用年齢が16歳以上という点(ERTは8歳から治療可能)、GFRの検査が必要という点である。 最後に同氏は、シャペロン療法の可能性について触れ「病態生理、診療前段階、治療とその後の期間、実臨床でもデータの積み重ねが大切だ」と語り、講演を終えた。ミガーラスタットの概要一般名:ミガーラスタット製品名:ガラフォルド カプセル 123mg効能・効果:ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病用法・用量:通常、16歳以上の患者に、1回123mgを隔日経口投与。なお、食事の前後2時間を避けて投与。薬価:14万2,662.10円/カプセル承認取得日:2018年3月23日発売日:2018年5月30日

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鎌状赤血球症の疼痛にL-グルタミンが有効/NEJM

 鎌状赤血球貧血症の小児/成人患者において、医薬品グレードのL-グルタミン単独またはヒドロキシ尿素併用経口投与は、プラセボ±ヒドロキシ尿素と比較し、48週間の疼痛発作回数を著明に低下させた。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の新原 豊氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の結果を報告した。医薬品グレードのL-グルタミン経口粉末薬は、鎌状細胞赤血球中の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの割合を上昇させることが認められており、この作用が鎌状赤血球症の複雑な病態生理に関与している酸化ストレスを減少させ、鎌状赤血球症に関連する疼痛を改善すると考えられていた。NEJM誌2018年7月19日号掲載の報告。鎌状赤血球症患者230例でL-グルタミンの有効性および安全性をプラセボと比較 研究グループは、2010年6月~2013年12月に、鎌状赤血球貧血症または鎌状赤血球-β0サラセミアで、過去1年間に2回以上の疼痛発作(外来または入院期間中に、救急治療部で麻薬性鎮痛薬または非ステロイド性抗炎症薬ケトロラクの非経口投与による治療を要する疼痛)の既往がある患者230例を登録し、医薬品グレードのL-グルタミン投与群(1回0.3g/kg体重を1日2回経口投与)とプラセボ投与群に2対1の割合で無作為に割り付け、48週間治療した。スクリーニングの少なくとも3ヵ月前から安定用量のヒドロキシ尿素を投与されていた患者は、48週間の治療期間中も継続可とした。 有効性の主要評価項目は、48週間の疼痛発作回数とし、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いてintention-to-treat解析を行った。L-グルタミンで疼痛発作が25%、入院回数が33%減少 230例(年齢5~58歳、女性53.9%)のうち、156例が試験を完遂した(L-グルタミン群152例中97例、プラセボ群78例中59例)。 疼痛発作回数中央値はL-グルタミン群3.0回、プラセボ群4.0回で、プラセボ群に比しL-グルタミン群で有意に減少した(p=0.005)。同様に入院回数中央値も、L-グルタミン群2.0回、プラセボ群3.0回で、L-グルタミン群が有意に少なかった(p=0.005)。 両群とも3分の2の患者がヒドロキシ尿素の併用投与を受けていた。プラセボ群と比較しL-グルタミン群で発現率が約5%以上高かった有害事象は、悪心、非心臓性胸痛、疲労、四肢の疼痛、背部痛であった。 なお今回の第III相試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は2017年7月に医薬品グレードのL-グルタミンについて、5歳以上の小児および成人における鎌状赤血球症による急性合併症の軽減を適応症として承認した。

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10代のSNS使用頻度がADHD発症と関連か/JAMA

 2年以上にわたる観察研究で、10代の学生において頻繁なデジタルメディアの使用とその後の注意欠如・多動症(ADHD)症状発現との間に、わずかではあるが統計学的に有意な関連性があることが認められた。米国・南カリフォルニア大学Keck School of MedicineのChaelin K. Ra氏らが、著しいADHD症状のない15~16歳の学生を対象に行った縦断コホート研究の結果を報告した。今回の研究には、参加者の自己報告に基づくことや、デジタルメディアの使用頻度の測定法は確立されていないこと、データが得られなかった参加者が除外されている、ベースライン時に検出されなかったADHD症状が影響した可能性は除外できない、などの限界があり、著者は「この関連が原因であるかどうかを結論付けるには、今後のさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。高校1年生約3千人で、デジタルメディアの使用頻度とADHD症状を2年間追跡 研究グループは、カリフォルニア州ロサンゼルスにある高等学校10校の学生を対象として、2014年9月(10学年[高校1年])~2016年12月(12学年[高校3年])の期間で、6ヵ月ごとに2年間追跡調査を実施した。適格学生4,100例中、高校1年生3,051例(74%)がベースラインの調査を受けた。14種類のデジタルメディアについて、それぞれ1週間の使用頻度を0回、1~2回/週、1~2回/日、複数回/日で自己報告してもらい、複数回/日と回答した場合を「高頻度」と分類するとともに、「高頻度」に該当するデジタルメディア数の合計を算出した(範囲:0~14)。 主要評価項目は、自己評価による調査前6ヵ月間のADHD症状の頻度(まったくない/めったにない[never/rare]、時々[sometimes]、頻繁[often]、非常に頻繁[very often])。9つの不注意症状および9つの多動・衝動症状について、それぞれ「頻繁」または「非常に頻繁」と評価した症状の合計数を算出した。また、どちらかの症状分類で「頻繁」または「非常に頻繁」の症状が6つ以上の場合にADHD症状陽性とした。「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、ADHD症状発現が有意に高率 解析対象は、ベースライン時に著しいADHD症状を有していなかった2,587例(適格学生の63%、女性54.4%、平均年齢15.5歳[SD 0.5])で、追跡期間中央値は22.6ヵ月(四分位範囲[IQR]:21.8~23.0ヵ月)であった。 ベースライン時に、使用が「高頻度」であった平均デジタルメディア数は3.62(SD 3.30)であった。追跡期間中、「高頻度」の割合が最も高かったのは「ソーシャルメディアのチェック」であった(1,398/2,587例、54.1%)。 ベースライン時に「高頻度」のデジタルメディア数が多いほど、追跡期間中にADHD症状を有する可能性が有意に高率であった(オッズ比[OR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.06~1.16)。この関連は共変量調整後も示された(OR:1.10、95%CI:1.05~1.15)。 追跡期間中にADHD症状が認められた学生の割合は、ベースライン時のデジタルメディア使用が高頻度ではなかった学生495例では4.6%であったのに対して、「高頻度」のデジタルメディアが7種あった学生114例では9.5%(差:4.9%、95%CI:2.5~7.3%)、14種すべてが「高頻度」であった学生51例では10.5%であった(差:5.9%、95%CI:2.6~9.2%)。

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南アジア新生児の重症市中感染症、原因と罹患状況/Lancet

 年間50万人以上の新生児が、重症細菌感染症が疑われる病態(possible serious bacterial infections:pSBI)により死亡しているが、その原因はほとんど知られていないという。バングラデシュ・Dhaka Shishu HospitalのSamir K. Saha氏らは、南アジアの新生児における市中感染症の罹患状況を、原因病原体別に調査するコホート研究「ANISA試験」を行い、Lancet誌2018年7月14日号で報告した。南アジア3国で、生後0~59日の新生児を調査 本研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成によって行われ、2011~14年の期間に、バングラデシュ、インド、パキスタンの5施設で、地域住民ベースの妊娠調査を通じて新生児が同定された。 コミュニティ・ヘルス・ワーカーが、最多で10回、生後0~59日までの新生児の自宅を訪問した。WHOのpSBIの定義を満たす徴候がみられる新生児と、ランダムに選択された健康な新生児を解析に含めた。 血液培養および血液と呼吸器のサンプルの分子アッセイによる解析で、特異的な感染原因の評価を行った。多くが原因不明、死亡例の原因は細菌が多い、RSウイルスの予防が重要 6万3,114例の新生児が登録された。このうち6,022例にpSBIのエピソードがみられ(95.4例/生児出生1,000人)、2,498例が早発型(<3日)、3,524例は遅発型(3~59日)だった。 エピソードの28%で感染原因が同定され、細菌が16%、ウイルスが12%であった。最も頻度が高かったのはRSウイルス(6.5%[95%確信区間[CrI]:5.8~7.6])で、次いでウレアプラズマspp(2.8%[1.9~3.8])であり、1%超にみられた病原体は肺炎桿菌、大腸菌、エンテロウイルス/ライノウイルス、サルモネラspp、肺炎連鎖球菌、B群連鎖球菌、黄色ブドウ球菌であった。 細菌感染症の平均罹患率は13.2例(95%CrI:11.2~15.6)/生児出生1,000人、ウイルス感染症の平均罹患率は10.1例(9.4~11.6)/生児出生1,000人であった。最も平均罹患率の高い病原体は、RSウイルス(5.39例[4.84~6.31]/生児出生1,000人)で、次いでウレアプラズマspp(2.38例[1.62~3.17]/生児出生1,000人)であった。 全生児出生7万1,361例のうち、3,061例(4%)が生後60日までに死亡し、このうち1,377例(45%)が非登録新生児(7日以内に死亡:1,284例、7日以降に死亡:93例)であり、登録新生児は1,684例(55%)だった。 死亡したpSBIの新生児の46%で原因が同定され、生存新生児の27%に比べ高率であった。死亡したpSBI罹患新生児の92%が細菌感染であり、大腸菌(8.70%[95%CrI:5.23~13.36])とウレアプラズマspp(8.26%[4.10~12.27])の割合が高かった。 これらの結果に基づき、著者は以下のようにまとめている。1)患者の多くで原因が不明であったことから、pSBIのエピソードの多くが感染によるものではない可能性が示唆される。2)死亡した新生児では細菌が原因となる割合が高く、新生児死亡率には、適切な予防措置や管理が実質的に影響を及ぼす可能性がある。3)非定型菌が優勢で、RSウイルスの罹患率が高かったことから、治療および予防のための管理戦略は、変更を要することが示された。4)疾病の負担を考慮すると、RSウイルスの予防が、全体的な保健システムと「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal:SDG)」の達成に大きな効果をもたらすと考えられる。

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熱中症対策は小児と高齢者に注目

 総務省消防庁発表の速報によると熱中症により救急搬送された人は、全国で9,956人にのぼる(2018年7月15日現在)。今後もこの暑さは全国的に続くと予想され、患者数も増加すると思われる。 こうした事態を受け2018年7月20日、日本救急医学会・熱中症に関する委員会は、「熱中症予防に関する緊急提言」を発表した。緊急提言では、次の理由を掲げ小児や高齢者、持病のある人を熱中症にかかり易い『熱中症弱者』と定義している。・小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱い・高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になり易い。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる・小児では身長が低いため、地面からの輻射熱の影響を受けやすい・(小児・高齢者などでは)自分で予防する能力が乏しい そして、日本救急医学会・熱中症に関する委員会では、次の4つの緊急提言を発表した。(1)暑さ指数を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!(2)水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!(3)適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!(4)周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う! また、補足事項として上記の提言の具体的な実施手段を下記のように解説する。WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)暑さ指数(熱中症指数)の認識と活用 WBGTは熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標。この暑さ指数を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要。小児の場合はさらに厳格な対応が必要。・WBGTが31℃以上(危険)の場合:運動は原則中止 原則的にはすべての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。また、屋内であっても空調の無い部屋での活動は避ける。・WBGTが28~31℃(厳重警戒)の場合:激しい運動は中止 原則すべての授業での運動や課外活動を中止するのが望ましい。また、屋内であっても空調の無い部屋での活動は避ける。運動競技会などでやむを得ない場合は、適切な医療機関の指導を受け、十分な準備のもと競技実施を検討する。その際も頻繁な水分・塩分補給と休憩を義務化する。・WBGTが21~25℃(注意)、25~28℃(警戒)の場合 頻繁な水分・塩分補給と休憩を行った上で、屋外活動を実施するべきである。体調のチェック:おかしいなと思ったらすぐアクションを! 少しぼーっとしたり、息が荒く呼吸回数が多い、脈が速いなどの兆候を認めた場合には注意が必要。とくに低学年児童では自分の体調をうまく言葉に表わせない点に注意が必要。「足がつった」と訴える筋痙攣や集中力や運動能力の低下を、単純に疲労や弛みと判断するのは危険であり、熱中症の初期症状を見逃さないこと。また、「顔の紅潮」は体温上昇を示唆する所見であり、「大量の発汗」も体温上昇を示唆し、逆にまったく発汗を認めない状態も体温低下という重要な機能が働いていない証拠であり注意が必要となる。基本的に集団活動を行った際には、最も体力的に厳しい状態に陥った児童を基準にその後の方針を決定することも大事。同様の体調不良が示唆されれば、可及的速やかにその屋外活動や授業における運動を中止すべき。適切な重症度判断と応急処置を。改善がなければすぐ医療機関へ! 熱中症を疑った場合、まず涼しい場所で休憩させる。その際は、必ず付き添いの者をつける。周囲の見守りも非常に重要。患者の意識がない場合、水分を自力で摂取できない場合、そして水分を自力で摂取しても十分に体調が回復しない場合は救急搬送を要請。 大切なことはまず、熱中症だと考え、休憩をさせ、必要な場合は躊躇なく救急搬送を要請し、医療機関へ搬送するように示している。応急処置で十分に体調が回復しても、熱中症再発の可能性が極めて高く、屋外活動には復帰させず、涼しい場所での経過観察や帰宅後の体調変化にも注意するなど、小児ついては保護者とコミュニケーションを密に行うようにと提言を行っている。

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抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ高リスク患者にも良好な成績(CAPSTONE-2)/シオノギ

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象としたバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の第III相臨床試験(CAPSTONE-2)において、主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)がプラセボに対する優越性を示し、本試験の主要目的を達成したと発表。また、主要副次評価項目である抗ウイルス効果(ウイルス排出期間の短縮や体内ウイルス量の減少効果など)においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示した。さらに、インフルエンザ関連合併症の発現率をプラセボに対して有意に低下させた。一方,本試験での本薬の忍容性は良好であり、安全性について懸念は示されなかった。本試験の詳細な結果は、今後学会にて発表する予定。 バロキサビル マルボキシルは、新しい作用機序であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用を有し、これによりインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。すでに実施した、重症化および合併症のリスク要因をもたないインフルエンザ患者を対象とした第III相臨床試験(CAPSTONE-1)においても、インフルエンザ罹病期間がプラセボに対して有意に短縮し、ウイルス排出期間および体内ウイルス量などの抗ウイルス効果においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示している。 同薬は、2018年2月23日に日本国内で製造販売承認を取得し、成人および小児におけるA型およびB型インフルエンザウイルス感染症を対象に販売されている。米国では、2018年4月24 日に、12歳以上の急性の合併症のないインフルエンザウイルス感染症を適応症として、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請を行い、受理されている。■関連記事新規抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」発売

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20)レスピマット(スピリーバ)/吸入方法【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、レスピマット(スピリーバ)の吸入手順を説明します。手順としては、キャップをつけたまま、本体下部を180度回転させる→キャップを開けて、空気口をふさがないように持つ→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口を隙間なくくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、親指で噴射ボタンを押すのと同時に、普通の呼吸で深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回以上の指示がある場合は、呼吸を整えてからもう一度はじめから繰り返す→キャップを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)レスピマット(スピリーバ)

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抗精神病薬の代謝への影響に関するランダム化比較試験

 青少年の非精神病性の破壊的行動障害の治療において、抗精神病薬は一般的に使用されている。米国・セントルイス・ワシントン大学のGinger E. Nicol氏らは、青少年の初回抗精神病薬曝露と代謝への影響を検討するため、身体計測とインスリン感受性の標準的な評価を用いて調査を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2018年6月13日号の報告。 1つ以上の精神疾患および臨床的に有意な攻撃性を有すると診断され、抗精神病薬治療が考慮された、ミズーリ州セントルイスの抗精神病薬を処方されていない青少年(6~18歳)を対象とし、ランダム化臨床試験を実施した。対象は、2006年6月12日~2010年11月10日に登録され、小児の破壊的行動障害に一般的に使用される3種類の経口抗精神病薬のいずれかを投与する群にランダムに割り付けられ、12週間の評価を受けた。データ解析は、2011年1月17日~2017年8月9日に実施された。主要アウトカムは、全体脂肪率(DXA法[二重エネルギーX線吸収法]で測定)と筋肉のインスリン感受性(安定同位体でラベルされたトレーサーによる高インスリンクランプを介して測定)とした。副次的アウトカムは、腹部肥満(MRIで測定)、脂肪および肝組織のインスリン感受性(トレーサーによるクランプを介して測定)とした。 主な結果は以下のとおり。・対象は144例(男性:98例[68.1%]、平均年齢[SD]:11.3[2.8]歳)、アフリカ系米国人が74例(51.4%)、ベースライン時の過体重または肥満患者は43例(29.9%)であった。・アリピプラゾール群49例、オランザピン群46例、リスペリドン群49例にランダムに割り付けられ、12週間の治療が行われた。・ベースラインから12週目までの主要アウトカムについて、DXAによる全体脂肪率は、リスペリドン群1.18%増加、オランザピン群4.12%増加、アリピプラゾール群1.66%増加であり、リスペリドン群およびアリピプラゾール群よりもオランザピン群において有意に大きかった(治療相互作用による時間:p<0.001)。・ベースラインから12週目までのインスリン刺激による骨格筋の糖取り込み率の変化は、リスペリドン群2.30%増加、オランザピン群29.34%減少、アリピプラゾール群30.26%減少であり、薬剤間に有意な差は認められなかった(治療相互作用による時間:p<0.07)。・インスリン感受性の主要な測定値は、プールされた試験サンプルにおいて、12週間有意に減少した。・ベースラインから12週目までの副次的アウトカムについては、リスペリドン群またはアリピプラゾール群よりもオランザピン群において、皮下脂肪の有意な増加が認められた(治療による時間:p=0.003)。・すべての群において、行動の改善が認められた。 著者らは「青少年に対する12週間の抗精神病薬治療中に、脂肪量およびインスリン感受性の有害な変化が認められ、オランザピンにおいて最も大きな脂肪量の増加が認められた。このような変化は、治療に起因するものであると考えられ、早期の心筋代謝性罹患率および死亡率のリスクと関連している可能性がある」とし、「青少年に対する抗精神病薬使用はリスクとベネフィットを考慮する必要がある」としている。■関連記事破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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希少疾病の海外情報紹介サイト開設

 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(センター長:福島雅典氏、以下「TRI」と略す)は、希少・難治性疾患の海外情報を国内へ届けるウェブサイト“Orphanet Japan Website”を開設した。 TRIは日本医療研究開発機構(AMED)からの推薦を受け、2017年10月、希少疾患情報を収集・管理している国際的な機関であるOrphanet*(本部:フランス)にアジアで初めて加盟。その目的は、国内における難病情報の充実と、海外への情報共有からもたらされる難治性疾患の克服と説明する。そして、この加盟を受けて、今回同サイトの開設に至ったものである。 具体的なサイトメニューとしては、ニュース、国際ニュース、イベント、一般情報、ドキュメントなどの項目に分かれていて、さまざまなコンテンツが順次公開されていく。*Orphanetとは1997年、フランス国立保健医学研究所(Inserm)によって設立され、世界のあらゆる人々へ高品質な難病情報を提供し、診断・治療の向上を目指している。現在、ヨーロッパを中心に、約40ヵ国が参加。6,000を超える難病情報を保有。 今後、TRIではOrphanet加盟国として、次の活動を予定している。1)Orphanetが保有する難病情報などを日本語に翻訳し、同サイトより発信2)日本国内の難病領域に関する医療・検査施設などの情報をOrphanetデータベースに登録(Orphanet International Websiteから閲覧可能) なお、これらの活動は、Orphanet加盟各国で同じように実施されており、Orphanet Japan Websiteは日本での発信ツールとして位置付けられている。■参考オーファネットジャパン■関連記事希少疾病ライブラリ

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