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大地震から4年後における青年期のPTSD有病率

 2008年の四川大地震から4年以上経過した時点における青年期の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の有病率とその因子について、中国・四川大学のQiaolan Liu氏らが、調査を行った。Disaster medicine and public health preparedness誌オンライン版2018年9月12日号の報告。 大地震を経験した2校の中学校の青年1,125例を対象に3年間フォローアップを行った。53ヵ月後に精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-IV)および中国精神障害分類(CCMD-2-R)に基づく自己評価PTSD尺度をまとめ、決定因子データを収集した。決定因子の分析には、ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・PTSD有病率は、23.4%であった。・PTSDのリスク因子は、年上(オッズ比[OR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.20~1.92)、地震による家族の死亡または負傷(OR:1.61、95%CI:1.09~2.37)であった。・中等度から重度の一般的なメンタルヘルスの問題を有する青年は、PTDS症状を有する可能性が高かった(OR:3.98~17.67、すべてのp<0.05)。・ポジティブコーピングは、青年が年を重ねた際のPTSDの保護因子であったのに対し、自尊心は、年齢にかかわらずPTSDの保護因子であった。 著者らは「大地震を経験した青年のPTSD症状は、長期間持続するように思われる。この症状を緩和するためには、長期的な介入が必要である」としている。■関連記事東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大身体活動がPTSDに及ぼす影響震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善

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妊娠糖尿病の母親は糖代謝疾患リスク増、子への影響は?/JAMA

 国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)の診断基準に基づき妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親は、非GDMの母親と比較し妊娠後の長期的な糖代謝疾患のリスクが有意に高い。一方、GDMの母親から生まれた子供と、非GDMの母親から生まれた子供で、小児期の過体重/肥満症に統計学的な有意差はなかった。米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院のWilliam L. Lowe Jr氏らが、大規模コホート研究の解析結果を報告した。現在のIADPSG基準が用いられるようになってから、従来のCarpenter-Coustan基準の約2倍もの女性がGDMと診断されているが、IADPSG基準を満たすGDMの母親とその子供に関する長期的なアウトカムについては不明であった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。HAPO研究とHAPO Follow-up研究に参加した母親と子供各約5千人について評価 研究グループは、妊娠期間中の血糖値と周産期転帰の関連性を検討したHyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome(HAPO)研究と、その後の長期転帰を評価したHAPO Follow-up研究のデータを解析した。IADPSGの基準を用い、75g経口ブドウ糖負荷試験で空腹時血糖値≧92mg/dL、1時間値≧180mg/dL、2時間値≧153mg/dLのうち1つ以上を満たした場合に、GDMと事後診断した。 主要評価項目は、母親の糖代謝疾患(2型糖尿病または前糖尿病)と、生まれた子供の過体重/肥満症、副次評価項目は、肥満症、体脂肪率、胴囲、皮下脂肪厚。 解析コホートには、2013年2月13日~2016年12月13日の期間に研究に参加した母親4,697例(平均年齢41.7±5.7歳)と、子供4,832例(平均11.4±1.2歳、男児51.0%)が組み込まれた。追跡調査期間は平均11.4年であった。GDMの母親は糖代謝疾患のリスクが約3倍、子供の過体重/肥満症には有意差なし 解析対象の母親は14.3%(672/4,697例)、解析に組み込まれた子供の母親は14.1%(683/4,832例)がGDMであった。糖代謝疾患を発症したのは、GDMの母親で52.2%(346/663例)、非GDMの母親で20.1%(791/3,946例)であった(オッズ比[OR]:3.44、95%信頼区間[CI]:2.85~4.14、リスク差:25.7%、95%CI:21.7~29.7)。 GDMの母親の子供のうち39.5%(269/681例)が過体重/肥満症、19.1%(130/681例)が小児肥満症であったのに対し、非GDMの母親の子供ではそれぞれ28.6%(1,172/4,094例)および9.9%(405/4,094例)であった。母親の妊娠中のBMIで調整すると、子供の過体重/肥満症のORは1.21(95%CI:1.00~1.46)、リスク差は3.7%(95%CI:-0.16~7.5)で、小児肥満症はそれぞれ1.58(95%CI:1.24~2.01)および5.0%(95%CI:2.0~8.0)、体脂肪率は1.35(95%CI:1.08~1.68)および4.2%(95%CI:0.9~7.4)、腹囲が1.34(95%CI:1.08~1.67)および4.1%(95%CI:0.8~7.3)、皮下脂肪厚が1.57(95%CI:1.27~1.95)および6.5%(95%CI:3.1~9.9)であった。

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発症時年齢は1型糖尿病患者の心血管疾患リスクに関連する(解説:住谷哲氏)-917

 1型糖尿病患者の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが2型糖尿病と同様に増加することは、本論文の著者らによってスウェーデンの1型糖尿病レジストリを用いて詳細に検討されて報告された1)。今回、著者らは1型糖尿病の発症時年齢とASCVDとの関連を同じレジストリを用いて解析した。その結果、発症時の年齢は糖尿病罹病期間を調整した後も、ASCVDリスクと有意に関連することが明らかにされた。 1型糖尿病の主病態はインスリン分泌不全であり、インスリン抵抗性の寄与は2型糖尿病とは異なりほとんどない。したがって1型糖尿病患者では、高血糖そのものによりASCVDのリスクが増大していると考えられる。本論文では、とくに急性心筋梗塞のリスクが1型糖尿病患者において約30倍に増加しているのが注目される。これは2型糖尿病患者における厳格な血糖管理の影響を検討したメタ分析において、非致死性心筋梗塞が強化治療により有意に減少したことと一致しており、冠動脈疾患の発症には高血糖が強く関連することを示唆している2)。一方、脳卒中の増加は約6倍であり、加齢の影響を差し引いて考えることが当然必要であるが、同じASCVDである冠動脈疾患と脳卒中に対する高血糖の影響は大きく異なっていることが示唆される。 若年1型糖尿病患者のASCVDの発症を主要評価項目として、スタチンおよびRAS系阻害薬の有効性を検討したランダム化比較試験は存在しない。ASCVDの代用エンドポイントである内頚動脈内膜中膜複合体厚を副次評価項目として、若年1型糖尿病患者に対するACE阻害薬およびスタチンの効果を検討したランダム化比較試験としてAdDIT(Adolescent Type 1 Diabetes Cardio-Renal Intervention Trial)が昨年報告されたが3)、両薬剤ともにプラセボ群と差はなかった。しかしASCVDの発症メカニズムは1型糖尿病と2型糖尿病とに共通すると考えられることから、2型糖尿病治療における包括的心血管リスク管理のストラテジーはそのまま1型糖尿病にも適用できると思われる。1型糖尿病患者の治療は2型糖尿病患者以上に血糖管理にのみ注目してしまうことが多い。とくに若年発症の1型糖尿病患者の治療の際にはASCVDの抑制に留意した治療を心掛けることが必要である。

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風疹にいま一度気を付けろっ! その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。リマインド! 成人風疹の臨床像前回は風疹の流行状況、そしてワクチン接種の重要性についてお話しいたしました。2回目となる今回は「成人風疹の臨床像」についてご紹介したいと思います。「おいおい、おまえ風疹の臨床像って、そんなに語れるほど診たことあるんかい、このダボォ!」と思われるかもしれませんが、こう見えて私、前回2013年の流行の際に風疹の症例けっこう診たんですよ。その証拠にほら、NEJMにclinical picture1)が載ってるでしょ? あ、すいません、そうです、自慢したかっただけです、はい。しかし、実際に当時かなりの患者さんを診たうえで読者の皆さまにご提言したいことは「成人風疹は教科書的な臨床像とは異なる」ということですッ! これ重要ですのでメモしておいてください!!教科書的な記載とは何かと言いますと、表のようなヤツです。風疹よりも麻疹のほうが高熱が出るとか、カタル症状が弱いとか、皮疹の癒合がないとか、色素沈着を残さないとか、そういったヤツです。画像を拡大するしかしッ! 確かに小児の臨床像はこうした違いがあるのかもしれませんが、成人ではこれらは必ずしも風疹の特徴とはいえませんッ! 高熱も出ますし、カタル症状も強く出ることがありますし、皮疹は癒合して色素沈着を残すこともありますッ!臨床経過についてはおおむね教科書的な記載と同様かと思います(ただし関節痛は成人で強く、関節炎を呈することもある)。図1は典型的な風疹の経過です。発熱、皮疹、上気道症状がみられます。画像を拡大する図2は典型的な風疹患者の皮疹で、いわゆる紅斑を呈します。しかし、図3のように癒合したり、紅丘疹となることもあります。図2 風疹の典型的な皮疹画像を拡大する画像を拡大する図3 成人風疹患者の皮疹。盛り上がりのある紅丘疹であり癒合している画像を拡大する画像を拡大するさらには、図4のように圧迫しても消退しない紫斑を呈することまであります。図4 紫斑を呈した成人風疹患者(風疹脳炎)画像を拡大するというわけで、成人風疹については皮疹の性状だけで麻疹と鑑別することは困難です。風疹では、眼球結膜充血と後頸部リンパ節腫脹がみられることが多いため、これが診断のカギとなります(図5)。図5 風疹患者の眼球結膜充血画像を拡大する画像を拡大する風疹が疑われた後の対応こうした臨床像から風疹が疑われたら、(麻疹の可能性も考慮して)できれば陰圧の個室に隔離したうえで空気感染対策を実施し、管轄の保健所に連絡をしましょう。風疹なのか麻疹なのか鑑別が困難な場合もあるかと思いますが、臨床像のみで厳密にこれらを区別する必要はないと考えます。保健所を介して都道府県の衛生研究所で検査してくれるということになれば、咽頭スワブなどの検体を採取してPCR検査を実施してもらいましょう。抗体検査のために血清も採取するのがよいと思います。保健所の検査の基準を満たさなかったものの、それでも風疹が疑われるという場合には、外注検査で風疹IgM抗体を測定することもできます。風疹と診断されれば、治療は対症療法となります。感染性がなくなるまで自宅療養していただきましょう。小児では学校保健法に「皮疹が消失するまで学校を休むこと」と定められていますが、成人についてもこれに準じて皮疹が消失するまでは会社は休んでもらいましょう。というわけで、2回にわたって現在流行中の風疹についてご紹介いたしました。次回ですが、毎回「次こそバベシアについて書きます」って書いていますが、そうなった試しがありませんので、あまり期待しないでください。※風疹の皮膚所見の掲載に当たっては、患者ご本人から許可を得ております1)Kutsuna S, et al. N Engl J Med. 2013;369:558.2)Banatvala JE, et al. Lancet. 2004;363:1127-1137.

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風疹にいま一度気を付けろっ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。忘れたころにやってくる「風疹」月日が経つのは早いもので、前回のラッサ熱から5ヵ月が経ちました。その間にコンゴ民主共和国でエボラ出血熱が流行し、終息し、そしてまたコンゴ民主共和国の別のところで流行し、そして現在落ち着いてきているところです。光陰矢の如し、ということで感染症の世界も刻一刻と疫学が変化しているわけです。当初、隔週の連載で、ということで始まったこの「新興再興感染症に気を付けろッ!」ですが、もはや5ヵ月間原稿を書かなくともまったく心が揺るがない「無の境地」に達することができました。これもひとえに読者の皆さま(少数のマニア)のおかげです。今後とも本連載を、どうぞよろしくお願い申し上げます。さて、そんな中、わが国でまた「風疹」が流行しようとしています。東京都、千葉県を中心に8月から症例数が増加してきています。2018年9月11日時点での報告数は362例となっており、これは昨年の4倍のペースです(国立感染症研究所 感染症疫学センター発表)。今回もワクチン未接種者の30~40代が罹患風疹といえば思い出されるのは2013年の大流行です。5年前も関東を中心に1万7千人を超える感染者が出たことは、記憶に新しいことと思います1)。このときは45例もの先天性風疹症候群が報告されました。前回の流行では中年男性が77%を占めたわけですが、今回の流行でも30~40代の男性に多いことがわかっています。これはなぜかと言いますと、この世代の男性(1962~1978年度生まれ:2018年現在39~55歳)は、定期接種として風疹ワクチンを接種していないからであります! 図1は、前回の流行時に風疹に罹患した男性患者を風疹ワクチン接種歴ごとに見たものです。画像を拡大するご覧のとおり、見事なまでに30~40代に集中しており、かつ症例の95%以上が「ワクチン接種歴不明、なし、1回」のいずれかです。「風疹の予防のためにはワクチンを2回接種すべしッ!」ということが、この結果からもはっきりとわかるわけです。ちなみに今回の流行でも東京都の報告によりますと30~40代の男性に多く、ワクチン接種歴不明、なし、1回の方が多いとのことです(東京都感染症情報センター)。ワクチン接種の重要性については前回の流行時にさんざん強調され、「免疫のない人はワクチンを打ちましょうッ!」つって各メディアでも取り上げられていたわけですが、流行が去ってしまえば皆、風疹ワクチンや先天性風疹症候群のことなんか忘れてしまい…結果としてわれわれは同じ過ちを繰り返しているわけです。結局のところ私たちは前回の流行から何も学んでいなかったのではないでしょうか…はっきり言ってわれわれ医療従事者一人ひとりにできることなんて、感染症の流行の前には手も足も出ないのではないか…そんな無力感にさいなまれる医療従事者も多いのではないでしょうか。そんな皆さまのために、5年前にわれわれ有志が作った超チープな風疹啓発動画(いまや完全に黒歴史)を見ていただきましょう。風疹の流行を止めるためにどうですか。めっちゃ寒いでしょう。でも何というか、若気の至りなりに「風疹の流行を止めよう!」という思いが伝わってきませんか。ちょうど当時は林修先生の「今でしょ!」が流行ってたんでしょうね。今では「今でしょ!」って言ってる人は見かけなくなりましたけど、むしろ今こそ風疹ワクチンを接種するべきタイミングでありまして、林修先生にはいま一度「今でしょ」リバイバルを巻き起こしてほしいところであります。再度確認、ワクチンの重要性画像を拡大する図2 母子手帳の予防接種歴を確認しましょうポスターこの流行を前回のような規模にしないためには、予防接種が重要であることがおわかりいただけたかと思います。では、患者さんが風疹ワクチンを接種しているかどうかという予防接種歴を確認するためにはどうすればよいかですが…几帳面な人はご自身の母子手帳を持っていると思いますので、母子手帳を確認し、風疹ワクチンの接種について記載があるかどうか確認しましょう。国立国際医療研究センター 国際感染症センターでは、「母子手帳の予防接種歴を確認しましょうポスター」を作成しております(図2)。こちらのポスターはホームページからダウンロードできますので、啓発にご活用ください。下の白い四角のところに施設名や連絡先を記載して使っていただいて結構です。そして、もし母子手帳がなくて予防接種歴がわからない場合は…抗体価を測定して低ければ接種するという方法もありますが、もう抗体価の測定をせずに打ってしまうというのも手です。仮に接種歴や十分な抗体があった場合も免疫が強化されるだけですから問題ありません。明確な接種歴が合計2回となるように接種を行いましょう。そして、これを機に風疹だけでなく麻疹、おたふくかぜ、水痘の接種歴についてもキャッチアップを行いましょう!風疹ワクチンについては、これまた国際感染症センター制作「ももたんの風疹教室」を要チェックですッ! ももたん萌え~。風疹ワクチンを打つ前に ~ももたんの風疹教室~次回は、流行する風疹の患者を早期に診断するために「成人の風疹臨床像」についてご紹介しますッ!1) CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2013;62:457-462.

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第9回 かぶれやすい乳幼児の口まわりのスキンケア方法【使える!服薬指導箋】

第9回 かぶれやすい乳幼児の口まわりのスキンケア方法1)馬場 直子 著. 最新の皮膚科学に基づいた湿疹のケア. 助産雑誌;2014. 68巻8号2)五十嵐 隆(監), 大矢 幸弘(編). 国立成育医療研究センターBookシリーズ こどものアレルギー. メディカルトリビューン;2013.

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ストレスやうつ病に対する朝食の質の重要性

 スペインの青少年527例を対象に、ストレスやうつ病の認知に基づき、朝食の摂取および質と、健康関連QOL(HRQOL)との関連について、スペイン・アリカンテ大学のRosario Ferrer-Cascales氏らが調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2018年8月19日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・HRQOLでは、気分、感情、両親との関係、家庭生活について、朝食摂取の有無により差が認められた。・朝食摂取者において、HRQOLが低かった。・ストレスも同様に差が認められ、朝食摂取者において、ストレスのレベルが高かった。・朝食摂取者の朝食の質を分析したところ、良質な朝食摂取は、低質または超低質の朝食摂取と比較し、より良いHRQOLが示唆され、ストレスとうつ病のレベルも低かった。・非朝食摂取者では、朝食が低質または超低質の朝食摂取者と比較し、より良いHRQOLおよび、ストレスとうつ病が低いレベルを示した。 著者らは「本知見は、朝食摂取の有無よりも、良質な朝食を摂取することの重要性を示唆している。このことは、臨床医や栄養士にとってとくに重要であり、青少年におけるHRQOL、ストレス、うつ病に対して、朝食の質が有意に影響を及ぼすことを考慮する必要がある」としている。■関連記事魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当かうつ病患者に対する地中海スタイルの食事介入に関するランダム化比較試験食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

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冬季の高齢者の感染症対策はワクチンで

 2018年9月6日、ファイザー株式会社は都内において、高齢者の冬場の感染症対策に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、冬季の肺炎についてや同社が行った肺炎球菌ワクチンに関するアンケート結果が公表された。高齢者が陥る肺炎の「負のスパイラル」 セミナーでは、講師に長谷川 直樹氏(慶應義塾大学医学部 感染症制御センター 教授)を迎え、「今から取り組む冬場に向けての高齢者の感染症対策~65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種についてのコミュニケーション実態調査を踏まえて~」をテーマにレクチャーが行われた。 高齢化の進行するわが国では、65歳以上の97.9%が肺炎で死亡するなど肺炎への対応は大きな課題となっている(厚生労働省 平成29年人口動態統計)。高齢者では、肺炎を発症し入院などするとADLが低下し、それにより退院後も心身機能が低下、寝たきりになったり、嚥下機能が弱ったりすることで、さらに肺炎を再発する「負のスパイラル」を引き起こすと危惧されている。 市中肺炎における原因微生物では、圧倒的に肺炎球菌が多く、医療・介護関連でも肺炎球菌が一番多い検出菌として報告されている。また、基礎疾患として、COPDなどの慢性肺疾患、喘息、慢性心疾患、糖尿病などがある65歳以上の高齢者では肺炎発症リスクが高く1)、さらには重症インフルエンザに罹患後、肺炎に感染するリスクも報告されている(日本呼吸器学会インフルエンザ・インターネットサーベイ)。肺炎、インフルエンザはワクチンの併用接種でリスクを縮小 こうした肺炎には予防ワクチンが有効であるが、現在わが国で成人に接種できる肺炎球菌ワクチンは2種類ある。 1つは23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(商品名:ニューモバックス)で、2歳以上から接種ができる多糖体ワクチンである。接種経路は筋肉内または皮下となっている。幅広い年代で使用できる反面、約5年で抗体価が低下するために再接種の必要があるとされている。もう1つは13価肺炎球菌結合型ワクチン(同:プレベナー)で、2ヵ月齢~6歳未満(接種経路は皮下)、65歳以上(接種経路は筋肉内)で接種できる。主に小児の肺炎予防ワクチンとして定期接種され、修正免疫を獲得するワクチンであるとされる。 両ワクチンの使い分けについては、長谷川氏は私見としながらも「高齢者や慢性疾患のある患者には両方接種が望ましい選択。外来などでは、日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会表明の『65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方』などに従って患者と相談し決めていくことになる」と考えを述べた。 また、インフルエンザワクチンとの併用接種については、「『成人肺炎診療ガイドライン』や日本内科医会の見解にもあるように併用接種が強く推奨されていることから、機会を捉えて高齢者や肺炎リスクの高い患者などには接種の必要性を説明・実施するなど、医療者側の対応が必要だ」と強調した。ワクチン接種について医師と患者で大きな溝 つぎに医師と患者のワクチンギャップに関するアンケート調査結果を報告した。この アンケートは、全国の呼吸器内科の医師150名および65歳以上の男女300名を対象に、「成人の肺炎球菌ワクチンについてのコミュニケーション実態調査」を行ったもの(2018年3月30日~31日・インターネット調査、ファイザー株式会社が実施)。 「肺炎球菌ワクチン接種の考え方」ついて、医師の80%が「定期接種に限らず任意接種制度も上手に利用すべき」と考えているのに対し、患者では17.7%しか同様の考えを持っておらず、53.7%の患者は「定期接種またはその予定で十分」と考えていること(医師の同じ考えは18.0%)が判明した。また、「ワクチン接種に関する患者との質問のやり取り」では、医師の72.7%(109/150)が「患者は疑問に思うことを医師に十分に伝えていない」と考えているのに対し、5分以上診療で話している患者の77.1%(54/70)が「気になることは医師に質問できている」と回答するなど、両者の意識の違いも明らかとなった。 こうしたアンケートを踏まえ同氏は、「ワクチンが肺炎罹患の減少と健康寿命延伸の1つとして活かされるには、患者が納得して接種できるように、両者でよりよいコミュニケーションがなされる必要があり、呼吸器内科だけでなく診療科を超えた取り組みがカギとなる」と期待を語り、講演を終えた。●文献1)Shea KM, et al. Open Forum Infect Dis. 2014;1:ofu024.■参考65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種についてのコミュニケーション実態調査(ファイザー社調査結果)

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成人のインフルエンザに対するバロキサビル マルボキシルの効果(解説:吉田敦氏)-913

 本邦で2018年2月23日に製造承認された新規の抗インフルエンザ薬、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ錠)に関する2つの二重盲検ランダム化比較試験の結果がNEJM誌上に発表された。本剤はウイルスのポリメラーゼを構成する3つのサブユニットのうち、polymerase acidic protein(PA)を選択的に阻害するプロドラッグであり、エンドヌクレアーゼ阻害薬に分類される。A型、B型いずれにも効果を示し、動物実験では肺内のウイルス量を早期に減少させること、さらに人体内では長い半減期を有する(49~91時間)ことが判明していた。 第II相試験では、バロキサビル1回投与の3用量(10mg、20mg、40mg)とプラセボの4つについて比較した。さらに第III相試験では、12~64歳の外来患者をバロキサビル(体重80kg未満では40mgを1回投与)、オセルタミビル(75mgを1日2回、5日間)、プラセボの3つに割り付けた(ただし12~19歳の患者はバロキサビルとプラセボの2群のみ)。インフルエンザと診断した対象患者は、38℃以上の発熱と、全身症状の少なくとも1つ、呼吸器症状の少なくとも1つを有する者とし、妊婦や体重40kg未満の者、入院を要した患者は除外した。インフルエンザ抗原検査陽性は第II相の対象患者のみ必要とし、第III相ではその結果は問わなかった。開始後は症状、所見を追うとともに、鼻咽腔のウイルス検出と感受性検査、ペア血清による抗体検査、安全性の確認として血液・尿検査を行った。プライマリーエンドポイントは、すべての症状が消失する、あるいは軽度になってから既定の時間が過ぎるまでの期間とした。 第II相では389人が試験を完了したが、およそ6~7割はH1N1 pdm09ウイルスによるもので、プラセボ群では症状軽減(中央値)まで77.7時間であったものが、バロキサビル群では49.5~54.2時間で(40mg群が最も短い)、有症期間は有意に短縮された。2群の有害事象報告率は同程度で、事象が重症であったり、投与中止に至ったものはなかった。第III相では1,064人が解析できたが、80%以上はH3N2ウイルスによるものであり、症状軽減までの時間(中央値)は、バロキサビル群53.7時間、オセルタミビル群53.8時間、プラセボ群80.2時間であった。ウイルスの減少速度はバロキサビルで大きかったが、感染性のウイルスが検出された期間(中央値)はそれぞれ24時間、72時間、96時間であった。なお本試験に関連すると思われる有害事象はそれぞれ4.4%、8.4%、3.9%であった。またバロキサビル低感受性に関与するとされるPAの遺伝子変異(I38T/M/F)を生じたのは、第II相では2.2%、第III相では9.7%であった。 バロキサビルは合併症のないインフルエンザにおいて1回投与でも有意に有症期間を短縮し、さらに速やかにウイルス量を減少させることができ、有望な抗インフルエンザ薬であることが裏付けられた。なお本検討にはいくつかの興味ある点が見受けられる:(1)投与開始が早いほうが成績がよい、(2)オセルタミビルよりも早くウイルス量は減少するが、有症期間は同等である、(3)ウイルス量の早い減少は感染伝播を減らす面ではやや有利かもしれない。しかしバロキサビル投与によって低感受性関連変異を来すと、ウイルス排泄は長引き、有症期間も長くなってしまう(30%ではプラセボよりも延長する)。合併症を有する例、小児・高齢者、免疫不全者における成績や、低感受性ウイルスに関する具体的な解釈もこれからではあるが、本剤の使用にあたっては、オセルタミビルに比べ優れている点と上記のような特徴を理解したうえで、考慮すべきであろう。また、とくに強調したいのは、本検討の8割近い被検者が日本人であったことである。この点は日常診療上の解釈においても、かつ臨床研究上の意義においても、非常に大きいといえよう。

2111.

統合失調症患者のADHD有病率

 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。 統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。 著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。

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抗インフル薬バロキサビルの第II相・第III相試験の結果/NEJM

 合併症を伴わない急性インフルエンザの思春期・成人患者へのバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の単回投与は、症状緩和についてプラセボに対し優越性を示し、投与開始1日後時点のウイルス量低下についてプラセボおよびオセルタミビルに対する優越性が示された。安全性に関する明らかな懸念はなかったが、治療後にバロキサビルに対する感受性の低下を示す知見も観察されたという。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らによる、日本と米国の患者を対象に行った2件の無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年9月6日号で発表された。バロキサビル マルボキシルは、インフルエンザウイルス・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬。前臨床モデル試験で、既存の抗ウイルス薬では効果が認められない耐性株を含むインフルエンザA型とB型に対して、治療活性が示されていた。20~64歳、12~64歳の合併症のないインフルエンザ患者を対象に試験 研究グループは、合併症のない急性インフルエンザを発症し、それ以外は健康な患者を対象に2つの無作為化試験を行った。1つ目は、2015年12月~2016年3月にかけて20~64歳の日本人成人を対象に行った、第II相の二重盲検プラセボ対照無作為化用量範囲探索試験。被験者を4群に分け、バロキサビルを10mg、20mg、40mg、プラセボをそれぞれ単回投与した。 もう1つの試験は、2016年12月~2017年3月にかけて、インフルエンザ様症状で外来受診した12~64歳の米国人・日本人を対象に行った、第III相の二重盲検プラセボ/オセルタミビル対照無作為化試験「CAPSTONE-1」。20~64歳の被験者を無作為に3群に分け、バロキサビル(体重80kg未満は40mg、体重80kg以上は80mgを1回)、オセルタミビル(75mgを1日2回5日間)、プラセボをそれぞれ投与した。12~19歳の患者は、2対1の割合で無作為に割り付けてバロキサビルまたはプラセボを投与した。 有効性の主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までに要した時間だった。バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間早く症状が緩和 第II相試験では、症状緩和までの時間中央値は、バロキサビル群がプラセボ群よりも23.4~28.2時間短かった(p<0.05)。 CAPSTONE-1試験では、ITT感染集団1,064例のうち、インフルエンザA型(H3N2)感染が各群で84.8~88.1%に認められた。症状緩和までの時間中央値は、プラセボ群80.2時間(95%信頼区間[CI]:72.6~87.1)に対し、バロキサビル群53.7時間(同:49.5~58.5)だった(p<0.001)。また、バロキサビル群では、プラセボ群やオセルタミビル群と比べ、レジメン開始1日後のウイルス量が有意に減少した。 なお、バロキサビル群とオセルタミビル群の症状緩和までの時間中央値は類似していた。 有害事象の発生は、バロキサビル群20.7%、プラセボ群24.6%、オセルタミビル群24.8%で認められた。バロキサビルへの感受性低下につながるI38T/M/F置換を伴うポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異は、第II相試験とCAPSTONE-1試験で、それぞれバロキサビル投与例の2.2%と9.7%で認められた。

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ファブリー病〔Fabry disease〕

ファブリー病のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 定義α-ガラクトシダーゼAの酵素欠損により心臓、腎臓などの組織を中心にグロボトリオシルセラミド(GL-3)が蓄積することにより、心不全、腎不全を来す疾患である。遺伝形式はX-連鎖の遺伝形式をとる。■ 疫学約4万人に1人と推定される。腎不全患者の0.2~0.5%、左室肥大の患者の4%、女性左室肥大の12%、男性脳卒中患者の4.9%、女性患者の2.4%。イタリアでは新生児男児3,100人に1人の頻度、台湾では1,250人に1人と患者頻度は高い。■ 病因ライソゾーム酵素であるα-ガラクトシダーゼの酵素欠損により全身組織にグロボトリオシルセラミド(GL-3)などの糖脂質が蓄積する(図1)。とくに血管内皮細胞に蓄積、心筋、腎臓、リンパ節、神経節など、全身組織に蓄積する。画像を拡大する■ 臨床症状(表1)ファブリー病の臨床症状は多彩である。小児期からの四肢の激痛、無痛、無汗などの自律神経症状、蛋白尿、腎不全などの臨床症状、不整脈、弁膜症、心不全などの心症状、頭痛、脳梗塞、知能障害などの神経症状、精神症状、皮膚症状として被角血管腫、難聴、めまい、耳鳴り、角膜混濁などの眼科症状、咳などの呼吸器症状などを認める。ファブリー病の臨床症状の進展は図1を参照。画像を拡大する■ 分類臨床的には「古典型」、心型、腎型といわれる「亜型」、「ヘテロ接合体女性患者」に分類される古典型(表2)では皮膚症状(被角血管腫)、自律神経症状(低汗、無痛、四肢痛など)を有する。心型、腎型ではこれらの症状は少ない。ヘテロ接合体女性患者では心症状が主体であるが、痛みなどは男性患者と同様に認められる。画像を拡大する■ 予後古典型の患者は早期の酵素補充療法をしないと、腎不全、心不全、脳梗塞で40~50代で死亡する患者が多い。心型、腎型では60~70代で死亡、ヘテロ女性患者は60~70代で心不全にて死亡する患者が多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)次の流れに従い、診断を行う。(1)臨床症状:小児期からの四肢の激痛、無汗、皮膚の被角血管腫、心不全、蛋白尿、腎不全、脳梗塞などの症状(2)血清、白血球、尿などでα-ガラクトシダーゼの酵素欠損を証明する(3)尿中GL-3の蓄積(4)皮膚での病理所見:電子顕微鏡でミエリン様蓄積物質を認める(5)遺伝子診断 3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ファブリー病の治療として対症療法と根治療法がある。表3に概略をまとめた。画像を拡大する1)対症療法(1)疼痛ファブリー病での痛みは、患者に大きな負担である。幼少時から四肢の灼熱感のある痛みが生じ、思春期はとくに強い。女性患者でも4~5歳から四肢の痛みを感じる患者がいる。痛みは四肢以外にも下顎、頸部などさまざまである。とくに梅雨の時期、夏などは疼痛が強い。カルバマゼピン(商品名:テグレトールほか)、ガバぺンチン(同:ガバペン)などが有効である。(2)消化器症状腹痛、胃痛、下痢などがみられ、整腸剤などの投与が有効である。(3)心肥大、心不全、不整脈徐脈性不整脈には、ペースメーカーが有効である。心筋保護作用としてのACE阻害薬、 ARBの投与が推奨される。高血圧、高脂血症の予防は重要である。(4)腎障害腎保護策のためにARB、ACE阻害薬は有効との報告がある。蛋白食制限、減塩は必要である。腎不全に対しての腹膜あるいは血液透析療法、さらには腎移植が試みられている。(5)脳梗塞脳梗塞の予防のためのアスピリン、抗血小板凝集薬の投与などの抗凝固療法が必要。(6)その他めまい、難聴などに対する対症療法として、めまいにはベタヒスチンメシル(同:メリスロンほか)、突発性難聴にはステロイドが使用される。2)酵素補充療法酵素補充療法は、現在遺伝子工学的手法の進歩に伴いαガラクトシダーゼAの酵素製剤が2製剤開発されている。アガルシダーゼ アルファ(商品名:リプレガル)とアガルシダーゼ ベータ(同:ファブラザイムほか)が開発されている。アガルシダーゼ ベータはCHO(Chinese Hamster Ovary)細胞から遺伝子工学手法で作成された。投与量としては体重1kgあたりアガルシダーゼ アルファは0.2mg、アガルシダーゼ ベータは1mgを2週間に1回投与する。副作用としては蕁麻疹、悪寒、吐き気、鼻汁、軽度血圧低下、気道に違和感などの症状が見られるが、抗ヒスタミン薬、ステロイドの投与で軽快する場合が多い。副作用は投与後3~5ヵ月後に多く見られ、その後は軽快する場合が多い。そして、効果のポイントは次のとおりである。(1)痛みへの効果痛みは軽減傾向にある。発汗障害は改善傾向にある。(2)腎臓への効果腎臓、とくに腎血管内皮細胞でのGL-3の蓄積は除去される。糸球体のたこ足細胞でのGL-3の蓄積の除去には時間がかかる。GFRが60mL/min/1.73m2以上であれば治療後も維持できる。また、60mL/min/1.73m2 以下であれば、治療にかかわらず機能は低下することが明らかにされている。尿蛋白質では、蛋白の排泄が+1以上であれば酵素治療しても腎機能は低下するが、尿蛋白がマイナスであれば腎機能は悪化しない。(3)心機能への効果心筋の肥厚、左室心筋重量は酵素補充療法により減少する。左室機能改善の改善を認める。(4)脳神経系への効果酵素補充療法により血管の内皮細胞への蓄積は軽快するが、脳梗塞の所見は治療により変化はないと考えられる。また、白質変性への効果も少ない。(5)耳鼻科的効果酵素補充による聴力への効果はあまり期待できない。聴力検査で効果が認められていない。(6)眼症状への効果角膜に対する効果は軽快する傾向にある。網膜動脈閉塞で失明する。(7)皮膚症状への効果被角血管腫への効果は少ない。低(無)汗症への効果はみられ、酵素治療により汗をかくようになりQOLは上がる。(8)消化器症状への効果酵素補充療法により下痢などに対する効果が報告され、酵素治療とともに下痢、腹痛は改善傾向にある。体重は増加する患者が多い。4 今後の展望1)シャペロン治療低分子薬(デオキシノジリマイシンなど)は、ライソゾーム酵素のゴルジーライソゾーム系での酵素の合成、分解過程で作用する。すなわち変異酵素が分解促進、あるいは活性基が障害されている場合、シャペロンは有効であり、全体の約50~60%の患者の遺伝子異常に効果があるといわれている。ミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)は、2018年5月に発売され、わが国でも保険適用となった。今後、効果や安全性について、さらに知見の積み重ねがなされる。2)遺伝子治療・細胞治療ファブリー病の最終治療としては、遺伝子治療法の開発が重要である。ファブリー病マウスを用いて「アデノ随伴ウイルス」(AAV)あるいは「レンチウイルスベクター」を用いての治療研究が進められており、モデルマウスではGL-3の臓器からの除去に成功している。また、骨髄幹細胞、あるいは間質幹細胞を用いて、遺伝子治療と組み合わせての治療効果も研究されている。3)ファブリー病のスクリーニングファブリー病の治療のためには、早期診断が重要である。早期診断のための新生児マス・スクリーニングも報告され、ガスリー濾紙血を用いて酵素診断することにより可能である。濾紙血による新生児スクリーニングでは、台湾でのファブリー病患者頻度は1/1,250(男児)、イタリアでは1/3,500(男児)、日本では1/6,500の頻度であり、決して珍しい疾患でないことが証明されている。また、ハイリスク患者スクリーニングとして、心筋症患者、左室肥大患者、腎不全患者、若年性脳梗塞患者にはファブリー病の患者の頻度が高いことが報告されている。早期診断により治療効果をあげることが重要である。5 主たる診療科腎臓内科、循環器内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻科 など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療情報難病情報センター ライソゾーム病(ファブリー病を含む)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報ふくろうの会(ファブリー病患者と家族の会)1)Desnick RJ, et al. α-Galactosidase A deficiency: Fabry disease. In: Scriver CR et al, editors. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th ed. New York: McGraw Hill; 2001. p. 3733–3774. 2)Eng CM, et al. N Engl J Med. 2001; 345: 9–16.3)Rolfs A, et al. Lancet. 2005; 366: 1794–1796.4)Sims K, et al. Stroke. 2009; 40: 788-794.5)衛藤義勝. 日本内科学雑誌.2009; 98: 163-170.公開履歴初回2013年2月28日更新2018年9月11日

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第4回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (後編)【 適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析 】

前編 Q1処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?Q2患者さんに確認することは?Q3患者さんに何を伝える?Q4 疑義照会をする?しない?疑義照会するアモキシシリンの処方日数 児玉暁人中耳炎の抗菌薬効果判定は3日目なので、アモキシシリンの処方日数を確認したいです。エンテロノン®-Rの投与量 わらび餅アセトアミノフェンの用量からは、患者の体重は14kg。2歳児としては大きい方で、かつアモキシシリンも高用量なので、エンテロノン®-Rは1g/日以上飲んでもいいのではと考えます。整腸剤自体は毒性の高いものではないので、少なめにする必要はないかと考えます。抗菌薬変更、検査の有無、アセトアミノフェンの頻度 JITHURYOU直近1カ月の抗菌薬の使用状況を聞き、抗菌薬を連用している場合は耐性菌の可能性があるのでセフジトレンピボキシルなどへの変更を提案します。膿や痰などの培養検査の有無の確認。検査をしていなければ検査依頼をします。アセトアミノフェンの使用頻度を確認したいです。医師によっては、炎症が強いと考えられる場合は特別に指示をしている可能性(夜間の発熱や疼痛)があります。場合によっては坐薬への変更提案をします。カルボシステインの服用回数 柏木紀久カルボシステインは1日量としてはいいのですが、分2投与に疑問があります。夜間睡眠中は副腎皮質ホルモンの分泌低下や繊毛運動の低下による排膿機能の低下、仰臥位による後鼻漏も起こりうるので、これらを考慮してあえて分2にしたとも考えられますが、確認を含めて疑義照会します。投与3日後の症状によっては抗菌薬の変更を提案 荒川隆之「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」では、中等症以上の中耳炎の場合、アモキシシリンは25~30mg/kgを1日3回投与とありますので、1回420mg投与は妥当と考えます。ただ、このガイドでは投与期間が3日となっているので、3日治療をしても効果が見られない場合は、抗菌薬の変更を医師に提案します。疑義照会をしないガイドラインに則った投与量 清水直明小児急性中耳炎の起因菌としては肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く、それらはPISP、PRSP、BLNAR※などといったペニシリンに対する耐性株の分離が多いことが報告されており、アモキシシリンは高用量投与が推奨されています。本処方のアモキシシリン投与量は添付文書上の最大用量ですが、「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」に則った投与量であり、このままの処方でOKとします。※PISP;Penicillin-intermediate Streptococcus pneumoniae(ペニシリン中等度耐性肺炎球菌) PRSP;Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae(ペニシリン耐性肺炎球菌) BLNAR;β-lactamase-negative ampicillin-resistant Haemophilus influenzae(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌)気になるところはあるが… 中堅薬剤師エンテロノン®-Rの投与量が少ない気はします。症例の子供の体重は14kgと思われ、60kgの成人は3g/日が標準とすれば、14kgでは0.7g/日と比例計算したのでしょう。しかし、これまでの経験から多くの小児科処方では体重1kgあたり0.1~0.15g/日くらいでしたので、14kgの子供であれば1.4~2.1gくらいと考えます。ただ、乳酸菌製剤には小児の用量設定がなく、医師に疑義照会できるだけの根拠がありません。問題があるわけではないので、実際にはこのまま調剤します。協力メンバーの意見をまとめました今回の抗菌薬処方で患者さんに確認することは・・・(通常の確認事項は除く)ペニシリンや牛乳のアレルギー・・・3名最近中耳炎になったかどうか・・・2名再受診を指示されているか・・・2名昼の服用について・・・1名鼓膜切開しているかどうか・・・1名集団保育・兄弟の有無・・・1名患者さんに伝えることは・・・抗菌薬は飲み忘れなく最後まで飲みきること・・・6名副作用の下痢がひどい場合は連絡すること・・・4名アモキシシリンとエンテロノン®-Rは指示通りの服薬時間でなくても、1日3回飲むこと・・・3名再受診を促すこと・・・1名服用後3日経っても症状が改善しない場合は連絡すること・・・1名アセトアミノフェンの使用方法(頻度)・・・1名鼻汁をとること、耳漏の処置・・・1名疑義照会については・・・ 疑義照会する カルボシステインの分2処方・・・5名アモキシシリンの処方日数・・・2名アセトアミノフェンの使用について。場合によっては坐薬への変更提案・・・2名エンテロノン®-Rの投与量・・・1名セフジトレンピボキシルなどへの変更提案・・・1名培養検査の依頼・・・1名 疑義照会をしない 6名

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寝返りができない軽症型SMAの現実

 2018年8月27日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、脊髄性筋萎縮症治療薬ヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ髄注12mg)が発売から1年を超えたのを期し、「新薬の登場により、SMA治療が変わる」をテーマとする、第2回目のメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、主に成人の脊髄性筋萎縮症(以下「SMA」と略す)患者について、日常の様子や治療効果などの説明が行われた。軽症でも30歳までに患者の約半数が歩行機能を喪失 講演では、斎藤 利雄氏(刀根山病院 神経内科・小児神経内科 神経内科医長/臨床研究部神経筋研究室長)を講師に迎え、「脊髄性筋萎縮症と神経内科 ヌシネルセン投与でどう変わる?」をテーマにレクチャーが行われた。 SMAは、進行性の運動ニューロン病として、体幹・四肢の近位部優位の筋力が低下する疾患で、指定難病の指定を受けている。斎藤氏の所属する刀根山病院では、生後6ヵ月までに発症する重症のI型が8例、生後1歳6ヵ月までに発症する中間型のII型が32例、生後1歳6ヵ月以降に発症する軽症型のIII型が8例と全48例のSMA患児・患者が治療を受けている。 今回解説されたIII型の病型は、運動機能発達のマイルストーンの最高到達点が「支えなしでの歩行」であり、平均余命は健康な人と同様であるなど、ほかのI・II型と比較すると予後はよいとされている。ただし、運動機能について、IIIa型(生後18ヵ月~3歳までに発症)では10歳までに、IIIb型(12歳未満発症)では30歳までに、その約半数が歩行機能を喪失するとされている1)。SMAの軽症型はけっして軽症ではない 講演では9歳、12歳、32歳、49歳の症例を挙げ、実際、いずれの症例でも歩行障害があり、成人例では中学生のころから健康な人と同じ運動ができなくなり、徐々に運動機能が低下する経過が説明されたほか、顕著な運動障害として「寝返りができない」「コップを持ち上げて飲めない」「座るときへたり込むように座る」など、障害が患者QOLに与える影響を報告した。SMAのIII型は軽症とされているが、健康な人ならば簡単にできる動作でも、困難を伴い、日常生活に苦慮している状況を説明した。さらに、この運動機能の低下が、「患者の就労などに大きなハードルとなっている」と齋藤氏は指摘する。とくに本症では、精神遅滞などがないため、就業への意欲があっても道が閉ざされる患者の失望や運動機能のさらなる悪化へ不安を覚える患者の声なども報告された。 つぎに32歳・男性へのヌシネルセン投与例について自験例を説明。運動機能の回復は認められなかったが、易疲労感の減少などはあったと紹介した。 最後に齋藤氏は、「ヌシネルセンの登場によりSMA患児・患者の予後が変わるかもしれないが、そのためには新生児期からの早期診断・早期介入が必要である。また、小児科と神経内科の連携、麻酔科など他科との連携も必要で医療的ケアの充実も求められる。解決すべき問題としては、本剤の髄腔内投与の方法や長期投与による諸臓器への影響、薬価など課題も多いが、患者の生活をどう変えるか長い目でみていきたい」と期待を語り、講演を終えた。■文献1)Wadman RI,et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017;88:365-367.■参考SMA特設サイト(バイオジェン・ジャパン株式会社提供)SMA患者登録システムSMART(SMARTコンソーシアム)■関連記事SMA患児の運動機能が大きく変わった

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FHの発掘は内科と皮膚科・小児科の連携がカギ

 わが国における家族性高コレステロール血症(FH)の患者総数は、25万人以上と推定され、意外にも、日常診療において高頻度に遭遇する疾患と言われている。2018年8月22日に日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「FH(家族性高コレステロール血症)について」において、斯波 真理子氏(国立循環器病研究センター研究所病態代謝部部長)が登壇した。FHが襲った悲劇 競泳男子平泳ぎ100m 北島康介選手の最大のライバル、ノルウェーのダーレ・オーウェン選手(享年26歳)が2012年4月に急死したのをご存じだろうか。死因が遺伝性の心疾患と判定された彼は、もともと冠動脈疾患を抱え、急死する1、2ヵ月前にも軽い心臓発作を起こしていたという。にもかかわらず、治療を行っていなかった可能性があり、さらに、この選手の祖父は42歳の時に心臓病で急死しているとの報告もある。斯波氏によると、「トップアスリートは、スタチン系がもたらす運動機能低下の副作用を懸念し1)、薬物治療を拒むことがある」という。 また、FH患者は、冠動脈疾患(CAD)を発症し、その後10~15年経過後に脳血管疾患に陥る場合が多いと言われている。この理由について同氏は、「コレステロールは力が加わる部分に溜まりやすい。そのため、アキレス腱、大動脈や心臓弁に溜まり、CADを発症しやすい」と解説した。FHの種類と診断意義 FHはLDL受容体、PCSK9遺伝子の変異が原因とされ、大きく2種類に分類される。ヘテロ接合体、ホモ接合体、それぞれの主な特徴(15歳以上の場合)を以下に示す。FHヘテロ接合体・LDL受容体関連遺伝子変異・罹患率:200~500人に1人(遺伝性代謝疾患中、頻度最大)・血清総コレステロール値:230~500mg/dL・所見:皮膚および腱黄色腫・若年性動脈硬化症やCADの早期罹患FHホモ接合体・LDL受容体遺伝子変異・罹患率:100万人に1人以上・血清総コレステロール値:500~1,000mg/dL・所見:著明な皮膚および腱黄色腫・確定診断:LDL受容体活性測定やLDL受容体遺伝子解析の利用 各分類別に累積LDL-CとCADの発症を調べた研究2)における、CAD発症に係る累積LDL-C閾値到達年数は、ヘテロ接合体患者は35年、ホモ接合体患者は12.5年と報告されており、非FH患者の53年と比較しても両者のCADリスクの高さがうかがえる。同氏は「この報告が示すように、いかに早期発見し、適切な治療を開始するかがFH診断の鍵となる」と、診断の意義を語った。早期発見にはレントゲン・超音波・家系図を FHの最も有効な診断は遺伝子検査だが、同氏は「まずは、アキレス腱などの肥厚や皮膚結節性黄色腫、FHあるいは早発性CADの家族歴(2親等以内)を発見することが望ましい」と述べ、「アキレス腱厚は超音波[カットオフ値(mm):男性6.0、女性5.5]、レントゲン[カットオフ値(mm):9.0]で診断できるため、通常の診察において腹部や胸部だけでなく、アキレス腱のチェックをしてほしい」と、画像診断の有用性を訴えた。 さらに、LDL-C値が高い患者にはFHや心筋梗塞の家族歴の確認が重要となる。FHは家族を1人診断するとほかの家族の診断にも繋がるため、同氏は「医師がフリーハンドで家系図を描き、患者に家族一人ひとりをイメージしてもらいながら答えてもらう。それをカルテに残しておく」など、家族歴を尋ねるコツも紹介した。小児の健康診断に導入される日を目指して 小児の場合、腱黄色腫などの臨床症状が乏しく(ホモ接合体を除く)、健康診断などによるLDL-C値の早期発見が難しい。現時点で、10歳前後の血液検査を実施している自治体は非常に少なく、香川県や富山県の一部などにとどまることから、家族のFHから診断することが重要となる。 日本動脈硬化学会と日本小児科学会が合同でガイドラインを作成したことを踏まえ、同氏は「合併症がある場合は管理目標値140mg/dL未満を維持し、リスクが高い患児にはスタチン系を第1選択薬として考慮する」など治療ポイントについても述べた。 最後に同氏は「患者にとって、がんや高血圧の認知度は高いが、この疾患はほとんど知られていない。この疾患や早期発見、小児での血液検査の重要性を理解してもらうために、9月24日に世界FH Dayを制定し、啓発活動を行っている」と取り組みへの思いを綴った。 なお、日本動脈硬化学会では、より多くの先生方にFH診療を理解していただくために、医薬教育倫理協会(AMEE)と共同でeラーニングプログラムを開発、公開している。ケアネット医師会員は、ケアネットのID/パスワードにてこちらから受講可能である。■参考1)Sinzinger H,et al.Br J Clin Pharmacol. 2004;57:525-528.2)Nordestgaard BG et al. Eur Heart J 2013;34:3478-3490

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滲出性中耳炎の難聴、経口ステロイドは有効か?/Lancet

 滲出性中耳炎で3ヵ月以上の難聴が確認された小児について、経口ステロイド薬の有効性を調べた初となる二重盲検プラセボ対照無作為化試験「OSTRICH試験」の結果、忍容性は良好だったが有意な改善効果は示されず、自然治癒率が高いことが明らかにされた。英国・カーディフ大学のNick A. Francis氏らによる検討で、「今回の結果は、経過観察やその他の外科的介入を支持するエビデンスとなった」と述べている。滲出性中耳炎による持続的な難聴に対しては、薬物療法の有効性は否定されており、概して外科的介入による治療が行われるが、治療選択肢に安全・安価で有効な薬物療法が加わることへの期待は高い。研究グループは、Cochraneレビューで見つけた、経口ステロイド薬の短期投与の有益性を示唆した試験結果(ただし検出力が低く、質的に低い)について、大規模試験で検証を行った。Lancet誌2018年8月18日号掲載の報告。2~8歳の患児を対象にプラセボ対照試験、5週時点の聴力改善を評価 OSTRICH試験は、滲出性中耳炎に起因する症状が3ヵ月以上持続および両側性難聴が確認された2~8歳児を対象とし、経口ステロイドの短期投与により、容認できる聴力を取り戻せるかどうかが検証された。 被験者は2014年3月20日~2016年4月5日に、イングランドおよびウェールズの20施設(耳・鼻・咽喉[ENT]、小児耳鼻科、耳鼻科外来部門)で集め、スクリーニング後、適格患児を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、プレドニゾロン(経口ステロイド)またはプラセボを投与した。 主要評価項目は、5週時点の純音聴力検査で容認できる聴力(少なくとも片耳が20dB HL以下で0.5、1、2、4kHzの周波数帯域が平均的に聞こえると定義)が確認された被験者の割合。すべての解析は、intention-to-treatにて行われた。経口ステロイド群40%、プラセボ群33%で聴力改善 1,018例がスクリーニングを受け、389例が無作為化を受けた(経口ステロイド群200例、プラセボ群189例)。 5週時点の聴力検査を受けたのは、経口ステロイド群183例、プラセボ群180例。容認できる聴力が確認されたのは、それぞれ73例(40%)、59例(33%)であった。群間の絶対差は7%(95%信頼区間[CI]:-3~17)、必要治療数(NNT)は14であり、補正後オッズ比は1.36(95%CI:0.88~2.11、p=0.16)であった。 有害事象やQOL指標に関するあらゆる有意な群間差は認められなかった。 著者は、「経口ステロイド薬により14人に1人の聞こえは改善するが、QOLは変わらなかった」と指摘している。

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第3回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?細菌性中耳炎・・・12名全員 佐々木康弘耳鼻科医の処方であり、小児へのペニシリン系抗菌薬投与に加え、アセトアミノフェンの発熱および痛いときの指示から、細菌性中耳炎であると判断しました。急性副鼻腔炎,急性咽頭炎・扁桃炎 ふな3耳鼻科の処方であり、高用量アモキシシリンの処方やカルボシステインの併用があることから中耳炎を第1候補として考えます。ただし、併用薬がある場合や症状の聞き取り、医師の処方の傾向によっては、推測した疾患と異なる場合があるため、急性副鼻腔炎、急性咽頭炎・扁桃炎などの可能性も含めて柔軟に対応できるようにします。副鼻腔炎、中耳炎 中西剛明処方元が小児科であれば肺炎も念頭に入れるなど判断に迷うところですが、耳鼻科なので、副鼻腔炎か中耳炎を疑います。Q2 患者さんに確認することは? (通常の確認事項は除く)副鼻腔炎、中耳炎の症状 柏木紀久急性副鼻腔炎の場合: 鼻汁の色と、口呼吸やいびきがあるかどうか(鼻閉は2歳児ではわからないので)。急性中耳炎の場合: 痛みで眠れていないかどうか、最近、慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎になっていないか。医師からの指示内容 ふな3アモキシシリンの分割処方の可能性も考慮して、5日後の再受診を指示されているかどうか。カルボシステインだけが1日2回になっているため、そのような指示があったか、症状が合致しているか。アレルギーの有無 児玉暁人ペニシリンアレルギーと牛乳アレルギーの有無。痛みのある部位と昼の服用 中西剛明副鼻腔炎の可能性を考慮して眉間の痛みや頭痛、中耳炎であれば耳の痛みについて。昼の薬を保育園で飲ませるのか、家で飲ませるのか。症状や抗菌薬の服薬状況、通園 JITHURYOU中耳炎と推測して対応します。症状がいつ頃からあるのか鼓膜を切開しているかどうか。切開を何回も繰り返している場合、ペネム系内服やセフトリアキソンなどの点滴を検討した方がいいかもしれません。中耳炎を反復していないかどうか。抗菌薬を直近1カ月で使用していないか。集団保育、兄弟の有無。園児間や兄弟間では水平感染が起こりやすく、さらに集団保育ではアモキシシリンの耐性菌の分離頻度が高いため、薬剤変更を提案するのが良いと考えます。なお、保育所への通園は医師の確認が取れないうちは避けるようにしなければならないと思います。Q3 患者さんに何を伝える?抗菌薬を飲みきること 柏木紀久アモキシシリンとカルボシステインは飲みきるように伝えます。再受診を勧める 奥村雪男抗菌薬の治療期間についてDynamedTMで検索すると、2~5歳で中等度の症状がある場合、7日間の継続が推奨されているようなので、再受診して鼓膜所見を診断後、抗生物質の継続必要の有無を判断していただくことを勧めます。副作用と服薬の工夫 清水直明「お薬(アモキシシリン)の影響でお腹がゆるくなるかもしれません。そのために整腸剤も一緒に飲んでいただきますが、お腹が痛くなったり下痢がひどいようであればいつでも遠慮なく連絡してくださいね」「 1回に飲む量が多くなるので、そのまま飲むのが難しかったら、アイスやジャム、プリンなど好きなものに混ぜて飲ませてあげてくださいね」3日後の改善具合 荒川隆之3日間お薬を飲んでも良くならない場合は電話してもらうよう伝えます。「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」(日本感染症学会・日本化学療法学会発行)などでも1次治療の効果判定は3日後が望ましいとされています。服薬時間 ふな3「アモキシシリンとエンテロノン®-Rは毎食後で処方されていますが、通園などでどうしても毎食後に服用できない場合は、朝・帰宅後・就寝前で構いませんので、必ず1日3回の服用を心がけてください」処方医はアモキシシリンの時間依存性やコンプライアンス向上を考慮して、アモキシシリンとエンテロノン®-Rを毎食後で処方したと思われます。ただし、添付文書上の用法は両薬剤とも食後に限定されていません。通園などで「お昼は飲めないから朝と夕だけ飲めばいい」と保護者が判断しないように、「食事にかかわらず、1日3回飲み続けることが重要」だと伝えたいです。日常生活での注意点 JITHURYOUアセトアミノフェンの使用方法(使用頻度)。できるだけ鼻汁をとること。菌量が多いと抗菌薬の活性が低下することが知られているので、ドレナージはするべきです。また、鼓室に鼻汁が流れ込むため鼻をすすることは避けるべきで、鼻のかみかたの指導も一緒に行いたいです。耳漏がある場合、ガーゼなどの交換すること。分泌液をそのままにしておくと、かぶれて炎症を起こす可能性があります。下痢をする可能性があるので、できるだけ消化の良いものを摂らせること。後編では、本症例の疑義照会をする/しない 理由を聞きます。

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抗インフルエンザ薬、使用上の注意改訂指示

 2018年8月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課から、抗インフルエンザウイルス薬の「使用上の注意」改訂指示の通知が出された。これは、5月と7月に行われた薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の結果を踏まえ、改訂が必要と判断されたもの。通知には、「オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)を含む抗インフルエンザ薬7成分の添付文書を速やかに改訂し、医薬関係者への情報提供など必要な措置を講ずること」と記されている。オセルタミビル10代への使用制限解除へ 添付文書の変更について、オセルタミビルの[警告]欄から、10歳以上の未成年の患者において、原則として使用を差し控える旨の記載が削除され、[重要な基本的注意]欄と[重大な副作用]欄に、「異常行動」についての追記が指示された。ほか6成分についても、オセルタミビルと同様の記載に改めるよう具体的な改訂指示がなされている。異常行動による事故を予防するために 医療従事者に向けた注意喚起では、「抗インフルエンザウイルス薬服用の有無や種類にかかわらず、異常行動に関連すると考えられる転落死などが報告されている」として、具体的な事例と防止策が示された。 異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多く、発熱から2日間以内に発現することが多いことが知られている。具体例として以下が挙げられている。 ・突然立ち上がって部屋から出ようとする ・興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする ・人に襲われる感覚を覚え、外に走り出す ・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする ・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない ・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る など保護者に注意を呼びかけること 保護者には、インフルエンザが疑われる発熱から少なくとも2日間は、就寝中を含め、とくに小児・未成年者が容易に住居外へ飛び出さないよう注意を伝え、以下のような対策を講じるよう具体的な説明が必要とされている。 ・玄関やすべての部屋の窓を確実に施錠する  (内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合は、その活用を含む) ・ベランダに面していない部屋で寝かせる ・窓に格子のある部屋がある場合は、その部屋に寝かせる ・一戸建ての場合は、できる限り1階に寝かせる インフルエンザにかかった際は、飛び降りなどの異常行動を起こす恐れがあることを医療従事者・患者の家族が十分に理解し、異常行動に備えた対策を徹底することが求められる。

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