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酸化LDLが高値ほどメタボ発症率上昇

実験レベルでは、酸化LDLとメタボリックシンドロームの関与説が支持されているが、ヒトレベルではどうなのか。メタボリックシンドロームと酸化LDLの関係を検証していたオランダ・ルーヴァン・カトリック大学のPaul Holvoet氏らは、「血中の酸化LDLレベルが高いとメタボリックシンドロームの発症率は上昇する」との報告を行った。JAMA誌2008年5月21日号より。米国の都市住民1889例を20年間追跡調査住民ベースで前向きの観察研究「The coronary artery risk development in young adults」(CARDIA)に、1985~1986年に登録された、米国4大都市圏に居住する18歳~30歳の参加者1,889例(アフリカ系アメリカ人41%、女性56%)を対象に、登録から15年目(2000-2001年、年齢33~45歳)および20年目(2005-2006年)の時点で、血中酸化LDLレベルとメタボリックシンドローム発症の頻度を比較した。酸化LDLレベルは、モノクロナール抗体による検定法で測定。メタボリックシンドロームの定義は、米国の「Cholesterol Education Program」が規定した「Adult Treatment Panel III」によった。当初ゼロから20年後には12.9%が発症追跡調査15年時点ではメタボリックシンドローム事象が見られなかった参加者だが、20年時点では12.9%(1,889例中243例)がメタボリックシンドロームと診断された。この5年間の調査結果を、年齢、性別、人種、検査センター、喫煙、BMI、身体活動度、LDLコレステロール濃度で補正して、酸化LDLレベル5分位ごとに分け、メタボリックシンドローム発症オッズ比を対最小値(<55.4 U/L)群で見たところ 第2分位(55.4~69.1 U/L)では2.1(95%信頼区間:1.1~3.8) 第3分位(69.2~81.2 U/L)では2.4(1.3~4.3) 第4分位(81.3~97.3 U/L)では2.8(1.5~5.1) 第5分位(97.4 U/L以上)では3.5(1.9~6.6)とレベルが上がるほど高くなる相関が確認された。メタボリックシンドロームの各構成要素のオッズ比は、第1分位 vs 第5分位では腹部肥満が2.1(95%CI:1.2~3.6)、高血糖が2.4(95%CI:1.5~3.8)、高TG血症は2.1(95%CI:1.1~4.0)だった。しかし、LDLコレステロール値とメタボリックシンドローム発症との相関関係は確認されなかった。また、酸化LDLを組み込んだ完全調整モデルで構成要素の関連は確認されなかったが、Holvoet氏らは上記結果を踏まえ「血中の酸化LDLレベルが高いほど、個々の症状だけでなく、全体としてメタボリックシンドロームの発症増加に関係する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

1462.

複数バイオマーカーの使用が心血管系の死亡リスク予測に有用

心血管系に起因する高齢者の死亡リスクを予測するために、スウェーデン・ウプサラ大学のBjorn Zethelius氏らは、確立したリスク因子の他に、異なる疾患経路に複数のバイオマーカーを加えることの有用性を検討。心血管だけでなく腎の異常についてのバイオマーカーも加えると、心血管系の死亡リスクの層別化が改善されると報告している。NEJM誌2008年5月15日号より。高齢男性対象に腎不全と炎症のマーカーも追加高齢男性を対象とした地域ベースのコホート研究である「ウプサラ成人男性縦断研究」(ULSAM)のデータを使い、参加者1,135例(ベースラインの平均年齢71歳)について、追跡調査(中央値10.0年)を行った。心筋細胞傷害、左室機能不全、腎不全および炎症を反映するバイオマーカー(それぞれトロポニンI、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド、シスタチンC、C反応性蛋白)の組み合わせが、すでに確立している心血管疾患のリスク因子(年齢、収縮期血圧、降圧剤使用の有無、総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール、脂質降下剤使用の有無、糖尿病の有無、喫煙状態、肥満度指数)に基づく評価より、個人のリスク層別化を改善するかどうかを検討した。心血管疾患の有無にかかわらずリスク予測を改善追跡調査の間に1,135例中315例が死亡し、うち136例は心血管疾患による死亡だった。確立したリスク因子で補正したコックス比例ハザードモデルでは、すべてのバイオマーカーが、心血管系の原因による死亡リスクを有意に予測した。前記の4バイオマーカーを、確立したリスク因子のモデルに組み込むと、C統計量は、全コホート(バイオマーカー有:0.766対バイオマーカー無:0.664、P

1463.

英国移民女性、在住期間が長くなるに従い妊娠中の喫煙が増加し母乳哺育が低下

英国移民女性の母親としての健康行動は、在住期間が長くなるに従って悪化していることが、UCL小児保健研究所小児疫学・生物統計学センターのSummer Sherburne Hawkins氏らの調査により判明した。英国/アイルランド系の白人女性に比べ、少数民族出身の女性は子どもを母乳で育てる傾向があるが、妊娠中の喫煙やアルコール飲用、文化変容に伴う健康行動の変化に関する情報はこれまでなかったという。BMJ誌2008年5月10日号(オンライン版2008年4月10日号)掲載の報告。妊娠中および出産後の母親の健康行動を比較するコホート研究本試験は、妊娠中および出産後の母親の健康行動を英国/アイルランド系白人女性と少数民族出身女性で比較することを目的に、Millennium Cohort Study Child Health Groupが実施したプロスペクティブなコホート研究である。妊娠中の健康行動としては喫煙とアルコール飲用、出産後は母乳哺育の開始と継続期間について評価し、少数民族出身の母親では文化変容の指標(世代構成、家庭での会話に用いる言語、英国在住期間)がこれらの健康行動に及ぼす影響を検討した。英国/アイルランド系白人の母親6,478人と少数民族出身の母親2,110人が解析の対象となった。1世よりも2世、3世で。1世も在住期間が長くなるに従い健康行動が悪化英国/アイルランド系白人の母親に比べ、少数民族出身の母親は妊娠中の喫煙率(15% vs 37%)およびアルコール飲用率(14% vs 37%)が低く、母乳哺育の開始率(86% vs 69%)および母乳哺育の4ヵ月以上の継続率(40% vs 27%)が高かった。社会人口学的な背景因子で補正すると、少数民族出身の女性においては、1世に比べ2世、3世で妊娠中の喫煙率が高く[それぞれオッズ比:3.85(95%信頼区間:2.50~5.93)、4.70(2.49~8.90)]、母乳哺育の開始率[それぞれ0.92(0.88~0.97)、0.86(0.75~0.99)]および継続率[それぞれ0.72(0.62~0.83)、0.52(0.30~0.89)]が低かった。アルコール飲用については一貫性のある差は認めなかった。1世の女性でも、在住期間が5年経過するごとに、妊娠中の喫煙率が31%増加(4% vs 66%)し、母乳哺育継続率が5%低下(0% vs 10%)していた。Hawkins氏は、「少数民族出身の女性は、英国/アイルランド系白人の女性に比べ全般に母親としての健康行動が良好であったが、文化変容の指標である英国在住期間が長くなるに従って妊娠中の喫煙率、母乳哺育の継続率が悪化していた」と結論し、「医療従事者は、女性がリスクの高い健康行動をとる傾向について、民族を理由に過小評価すべきでない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1464.

同級生に影響力をもつ生徒の教室外での働きかけが、青少年の喫煙を抑制する

同級生に影響力をもつ生徒が教室外で友人に喫煙しないよう働きかける喫煙予防プログラムの有効性が確認された。青少年期の喫煙が中高年期における喫煙関連疾患への罹患、死亡をもたらすが、ニコチン依存症は青少年期に急速に確立されることを示すエビデンスがある。多くの国では学校が喫煙予防プログラムを行っているが、友人の働きかけによるアプローチの多くが教室内に限定されており、厳密な評価は少ないという。英国Bristol大学社会医学科のR Campbell氏がLancet誌2008年5月10日号で報告した。influential studentの働きかけによる喫煙抑制効果を評価研究グループは、中学校における喫煙予防を目的とした友人の働きかけによる介入の効果を評価するためにクラスター無作為化対照比較試験を実施した。対象は、イングランド/ウェールズの59校に通学する12~13歳の生徒1万730人。29校(5,372人)が通常の禁煙教育を継続する対照群に、30校(5,358人)が介入群に無作為に割り付けられた。介入法はASSIST(A Stop Smoking In Schools Trial)プログラムと呼ばれ、教室外での形式張らない交流の際に、友人が喫煙しないよう働きかける支援者として行動する生徒(influential student)を養成するものである。フォローアップは介入直後、1年後、2年後に実施した。ASSISTプログラムにより、喫煙率が22%低下対照群の学校に比べ、介入群の学校の生徒が喫煙者となるオッズ比は、介入直後(9,349人)が0.75(95%信頼区間:0.55~1.01)、フォローアップ1年後(9,147人)が0.77(0.59~0.99)、2年後(8,756人)が0.85(0.72~1.01)であった。高リスク群(ベースライン時に非習慣的喫煙者、試行的喫煙者、元喫煙者とされた群)のオッズ比は、介入直後(3,561人)が0.79(0.55~1.13)、フォローアップ1年後(3,483人)が0.75 (0.56~0.99)、2年後(3,294人が)0.85(0.70~1.02)であった。3回のフォローアップの全データを用いたマルチレベルモデルによる解析では、対照群の生徒に比べ介入群の生徒が喫煙者となるオッズ比は0.78(0.64~0.96)であり、介入群で22%低かった。Campbell氏は、「ASSISTプログラムを地域住民ベースで実施した場合、公衆衛生学的に重要な青少年の喫煙を低減できることが示唆された」と結論し、「このプログラムを毎年継続的に繰り返せば、学校全体の喫煙行動を取り巻く文化的規範に影響を及ぼし、介入の効果を増強する可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1465.

喫煙女性の肺疾患リスク、禁煙後20年で非喫煙者レベルに低下

喫煙は全体として死亡率上昇に関係しているが、喫煙継続あるいは禁煙後の、死亡率低下との関連については不確かで、とりわけ女性の喫煙と卵巣癌および結腸直腸癌との因果関係を推論する十分な証拠はなかった。米国ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院のStacey A. Kenfield氏らは、全米の看護師約10万5千人を対象に前向き観察研究を行った。その結果、癌死亡率のリスク増大に喫煙が関係していること、ただし禁煙によって改善する可能性があることを報告している。JAMA誌2008年5月7日号より。全米の看護師10万5千人弱を追跡調査研究は、1976年にスタートした「The Nurses’ Health Study」に基づくもので、1980~2004年の参加者10万4,519人を追跡調査したもの。参加女性の全死因(血管・呼吸器系疾患、肺癌、その他癌、その他)における喫煙と禁煙の関係を評価した。調査対象の死亡コホートは1万2,483例で、このうち全く喫煙経験のなかった者は4,485例(35.9%)、死亡時まで継続的に喫煙していた者は3,602例(28.9%)、過去に喫煙経験のあった者は4,396例(35.2%)だった。血管系疾患のリスクは禁煙後急激に低下喫煙群の総死亡率のリスクは非喫煙群と比較してハザード比は2.81で(95%信頼区間:2.68~2.95)、主要原因の死亡率についてもすべて同様に高かった。2004年版公衆衛生総監報告書(2004 surgeon general's report)の分類に基づく、喫煙に関連する癌リスクのハザード比は7.25(95%信頼区間:6.43~8.18)に達し、その他癌も1.58(1.45~1.73)だった。喫煙の結腸直腸癌リスクは非喫煙群と比較してハザード比1.63(1.29~2.05)、元喫煙群(現在は喫煙していない)との比較では1.23(1.02~1.49)だったが、卵巣癌については有意な関連が認められなかった。また喫煙を始めた年齢が若かった者について、全死亡率(P=0.003)、呼吸器疾患死亡率(P=0.001)、喫煙関連の癌の死亡率(P=0.001)に有意な傾向が認められた。なお、全死因死亡率の超過リスクは、禁煙後20年で非喫煙者のレベルに低下することがすべての転帰で観察された。おおむね死亡原因が喫煙に起因していたのは、喫煙者で約64%、元喫煙者では28%。Kenfield氏らは「喫煙女性の血管系疾患による死亡率の超過リスクは、禁煙すると急速に低下し、肺疾患でも20年以内に改善する可能性がある。喫煙開始年齢が遅いほど、呼吸器疾患や肺癌、その他喫煙関連の癌死リスクは低下するが、その他の疾患による死亡率にはほとんど影響が認められなかった」と結論した。

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喫煙者の7割がニコチン依存症

ファイザー株式会社が全国47都道府県の喫煙者9400人に対して行ったインターネット調査によると、7割が「ニコチン依存症」と判明した、という。そのうち、6割はニコチン依存症の自覚があるにもかかわらず、実際に医療関係者に禁煙について相談したのは1割以下だった。都道府県別にみると、ニコチン依存症の割合が最も高いのは鳥取県の79.5%で、最も低いのは京都府63.5%。 また、ニコチン依存症を最も自覚しているのは大阪府(78.9%)、最も自覚していないのは徳島県(48.9%)だった。 詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_05_15.html

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インドの急性冠症候群はSTEMIが多く、貧困層の30日死亡率が高い

インドの急性冠症候群(ACS)患者は先進国に比べST上昇心筋梗塞(STEMI)の割合が高く、貧困層はエビデンスに基づく治療を受けにくいために30日死亡率が高いことが、インドSt John's医科大学のDenis Xavier氏が実施したCREATE registryにより明らかとなった。2001年には世界で710万人が虚血性心疾患で死亡したが、そのうち570万人(80%)が低所得国の症例であった。インドは世界でACSによる負担がもっとも大きい国であるが、その治療およびアウトカムの実態はほとんど知られていない。Lancet誌2008年4月26日号掲載の報告。心筋梗塞疑い例を対象としたレジストリー研究CREATE registryは、インドの50都市89施設で実施されたプロスペクティブなレジストリー研究である。対象は、明確な心電図上の変化(STEMI、非STEMI、不安定狭心症)が見られ急性心筋梗塞(MI)が疑われる症例、あるいは心電図上の変化は見られないが虚血性心疾患の既往を有しMIが疑われる症例とした。臨床的アウトカムおよび30日全原因死亡率の評価を行った。70%以上が貧困層~中間所得下位層2002~2005年の間に2万937例が登録され、明確な心電図上の変化により診断がなされた2万468例のうち1万2,405例(60.6%)がSTEMIであった。全体の平均年齢は57.5歳であり、非STEMI例/不安定狭心症(59.3歳)よりもSTEMI例(56.3歳)のほうが若年であった。1万737例(52.5%)が中間所得層の下位層であり、3,999例(19.6%)が貧困層であった。症状発現から来院までの所要時間中央値は360分、来院から血栓溶解療法開始までの時間は50分。糖尿病が6,226例(30.4%)、高血圧が7,720例(37.7%)、喫煙者は8,242例(40.2%)であった。30日死亡率はSTEMI例および貧困層で有意に高いSTEMI例は非STEMI例よりも血栓溶解薬(96.3%がストレプトキナーゼ)(58.5% vs 3.4%)、抗血小板薬(98.2% vs 97.4%)、ACE阻害薬/アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)(60.5% vs 51.2%)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(8.0% vs 6.7%)の施行率が有意に高かった(いずれもp<0.0001)。逆に、STEMI例は非STEMI例/不安定狭心症に比べβ遮断薬(57.5% vs 61.9%)、脂質低下薬(50.8% vs 53.9%)、冠動脈バイパス移植術(CABG)(1.9% vs 4.4%)の施行率が有意に低かった(いずれもp<0.0001)。STEMI例の30日アウトカムが死亡8.6%、再梗塞2.3%、心停止3.4%、脳卒中0.7%であったのに対し、非STEMI例/不安定狭心症ではそれぞれ3.7%、1.2%、1.2%、0.3%と有意に良好であった(いずれもp<0.0001)。富裕層は貧困層に比べ血栓溶解療法(60.6% vs 52.3%)、β遮断薬(58.8% vs 49.6%)、脂質低下薬(61.2% vs 36.0%)、ACE阻害薬/ARB(63.2% vs 54.1%)、PCI(15.3% vs 2.0%)、CABG(7.5% vs 0.7%)の施行率が有意に高かった(いずれもp<0.0001)。貧困層の30日死亡率は富裕層よりも有意に高かった(8.2% vs 5.5%、p<0.0001)。治療法で補正するとこの差は消失したが、リスク因子およびベースライン時の患者背景で補正した場合は維持された。Xavier氏は、「インドのACSは先進国に比べSTEMI例が多かった。これらの患者の多くは貧困層であり、それゆえにエビデンスに基づく治療を受けにくく、30日死亡率が高かった」と結論し、「貧困層における病院へのアクセスの遅れを解消し、高額すぎない治療法を提供できれば、罹患率および死亡率が低減する可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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禁煙をサポートするウェブサイト「すぐ禁煙.jp」

ファイザー株式会社は、経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」の発売に合わせて、禁煙にチャレンジしたい喫煙者の禁煙治療をサポートするウェブサイト「すぐ禁煙.jp」(http://sugu-kinen.jp)を2008年5月8日にオープンする。禁煙治療のシミュレーションや禁煙カウンター、医療機関検索などのメニューを用意。

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日本初の経口禁煙補助薬「チャンピックス錠」新発売

ファイザー社は、5月8日(木)にニコチン依存症の喫煙者に対する新しい禁煙補助薬「チャンピックス錠」(一般名:バレニクリン酒石酸塩)を発売すると発表した。チャンピックスは日本初の経口禁煙補助薬。既存の禁煙補助薬がタバコの代わりにニコチンを補充することによって禁煙に伴うイライラや集中できないといった離脱症状を軽減する「ニコチン代替療法」であるのに対し、チャンピックスは脳内のニコチン受容体に選択的に働き、離脱症状やタバコに対する切望感を軽減するとともに、喫煙による満足感を抑制する。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_22_02.html

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禁煙成功率が2倍以上に、喫煙者に対する「肺年齢」の告知

喫煙者にスパイロメトリー検査に基づく「肺年齢」を伝えると、禁煙率が有意に改善されることが、英国Limes Surgery(ハートフォードシャー州ホデスドン)の一般医(GP)Gary Parkes氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。喫煙者の1/4が罹患するとされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的な死因の第4位を占める。英国には150万人のCOPD患者がいると推計されるが、その半数は診断されておらず、発症から診断までの期間は平均20年に及ぶという。BMJ誌2008年3月15日号(オンライン版2008年3月6日号)掲載の報告。肺年齢を告知する群とFEV1の数値を伝える群を比較研究グループは、禁煙の動機付けとして患者にスパイロメトリー検査で推計された肺年齢を告知し、その有効性を評価するための無作為化対照比較試験を行った。肺年齢とは、被験者のスパイロメトリー検査による1秒量(FEV1)と同等の肺機能を示す標準的な健常者の年齢である。ハートフォードシャー州の5つのGP診療所に、35歳以上の喫煙者561名が登録された。すべての参加者に対しスパイロメトリーによる肺機能の評価が行われた。介入群(280例)には肺年齢が告知され、対照群(281例)にはFEV1の数値がそのまま伝えられた。両群に禁煙のアドバイスを行い、国民保険サービス(NHS)の地域禁煙サービスを受けるよう提案した。主要評価項目は12ヵ月後の唾液コチニン検査で確認された禁煙、副次評価項目は1日喫煙本数の変化および新規に診断されたCOPDとした。禁煙成功率:13.6% vs. 6.4%89%が12ヵ月間のフォローアップが可能であった。禁煙成功率は対照群の6.4%に対し、介入群は13.6%と有意な改善効果が認められた(p=0.005)。1名の禁煙成功者を得るのに要する介入人数(NNT)は14名であった。両群とも、肺年齢が低い参加者のほうが正常な者に比べ禁煙率が優れるという傾向は認めなかった。禁煙に要する費用は1人当たり280ポンド(366ユーロ、556ドル)と推計された。COPDの新規診断率は介入群が17%、対照群が14%であり、全体では16%(89/561人)であった。Parkes氏は、「喫煙者に対する肺年齢の告知は禁煙率の改善に有効であるが、そのメカニズムは不明」と結論し、「35歳以上の喫煙者のスクリーニングにより、喫煙率を低下させ、COPDの早期診断率を改善する可能性がある。喫煙の重い健康負担と医療費負担を考慮すれば、この簡便な介入法の経済効果を評価する研究を優先的に進めるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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「BMI」だけで心血管系リスクの予測は可能:NHEFS

心血管系リスクの評価にあたり「肥満」を評価項目にすれば、必ずしも「コレステロール値」を測定しなくとも心血管系リスクの予測ができる可能性が出てきた。採血のためだけに医療機関を訪れる必要が減るのであれば、患者サイドにとっては朗報だろう。Lancet誌2008年3月15日号でBrigham & Women’s Hospital(米国)のThomas A Gaziano氏らが報告した。「採血なし」のCHDリスク評価の正確性を検討Gaziano氏らが今回検討したのは「採血なしで心血管系リスクをどこまで正確に評価できるか」という点である。そのため、「性別」「年齢」「収縮期血圧」「糖尿病」「喫煙習慣の有無」「高血圧治療の有無」に加え「総コレステロール値」を組み込んだ心血管系リスク予測モデル(コレステロール・モデル)と、「総コレステロール値」を「BMI」で置き換えた「BMIモデル」による心血管系リスク予測の正確性を比較した。検討に用いられたコホートはNHEFS(NHANES I Epidemiologic Follow-up Study)、1971~75年にかけて実施された全国的調査NHANES Iの対象から当時25~74歳だった14,407例を前向きに追跡しているコホートである。今回はNHANES Iの時点で心血管系疾患既往を認めなかった6,186例が対象となった。  コレステロール値を用いなくともリスク予知の正確性は同等21年間の追跡期間中、1,529例に心血管イベントが発生し、うち578例が死亡した。「コレステロール・モデル」と「BMIモデル」のイベント予知正確性に差はなかった。すなわち、リスクモデルの正確性の指標であるc-statisticを比較すると、女性では「コレステロール・モデル:0.829」 vs. 「BMIモデル:0.831」(p=0.116)。男性では「コレステロール・モデル:0.784」 vs. 「BMIモデル:0.783」(p=0.457)だった。ROCカーブも両モデルは、ほぼ同一に重なっていた。WHO(世界保健機関)は心血管系リスク評価からコレステロール値をすでに取り除いているが、その正当性を強く示唆するデータであるとGaziano氏らは述べ、前向きコホート研究のデータを持つ国はすべて、このような検討を行う価値はあるとしている。わが国でも、医療経済的考察を含む検討は興味深いのではないだろうか。(宇津貴史:医学レポーター)

1472.

第6回日本臨床腫瘍学会学術集会プレスセミナー

2008年3月20、21日に福岡国際会議場において開催された「第6回日本臨床腫瘍学会学術集会」に先立ち、19日にプレスセミナーが開催された。そのなかで、「承認相次ぐ分子標的治療薬-世界標準を見据えて-」についてレポートする。初めに、東京医科大学病院呼吸器外科の坪井正博氏より、非小細胞肺癌:エルロチニブ<上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤>が紹介された。国内外の臨床成績、ガイドラインの位置づけ、ゲフィチニブとの違いを紹介した。両剤とも、効果の得られやすい症例に使用したほうが良いと考えられ、その効果が期待できる集団として女性、非喫煙者などをあげたが、まだ明確な根拠はないという。エルロチニブは2次、3次治療として期待できる薬剤ではあるが、肺障害のリスクなどもあるため、リスクとベネフィットのバランスを患者さんと相談しながら薬剤選択することが重要とまとめた。続いて、東京慈恵会医科大学腫瘍・血液内科の薄井紀子氏より慢性骨髄性白血病(以下CML):分子標的療法の現状と課題が紹介された。薄井氏は、CMLの病態・治療についての概要、分子標的薬イマチニブ<ABLチロシンキナーゼ阻害剤>の治療成績、耐性の問題を紹介した。続いて新規チロシンキナーゼ阻害剤、ダサチニブ、ニロチニブなどについて、それぞれの特徴を交えて解説した。最後に薄井氏は、イマチニブをきちんと使うことが一番重要であり、イマチニブ耐性・無効例には変異に応じた薬剤を選択する時代になってくるだろう、その治療法はデータに基づき、きちんと選択しなければならないと結んだ。次に、国立がんセンター東病院内科の大津敦氏より、大腸がん:セツキシマブが紹介された。セツキシマブは2008年3月現在、未承認であることを冒頭に述べ、EGFRについて解説した。続いてセツキシマブの作用機序、特徴、海外・国内臨床成績、安全性を紹介し、大腸がん領域において、アバスチン、セツキシマブの登場により、本邦も海外と同じレベルの治療が出来るようになる、とまとめた。まとめとして、癌研究会有明病院化学療法科の畠清彦氏が、それぞれの講演におけるポイントを紹介し、さらに新規分子標的薬承認に向けて今後わが国において必要とされる対応について述べた。最後のディスカッションにおいては、韓国に比べて日本における申請から承認までの期間が長いこと、治験が中国や韓国に流れていること、分子標的治療薬では医療費が高額となり治療を続けられない患者さんが存在することなど、今後、解決していくべき問題があがった。

1473.

I期肺癌の早期再発はDNAメチル化が関与

非小細胞肺癌(NSCLC)は、最適で早期の外科的治療にもかかわらず、多くの患者が再発性のNSCLCで死亡している。ジョンズ・ホプキンス病院(米国メリーランド州ボルティモア)のMalcolm V. Brock氏らは、遺伝子のメチル化が腫瘍再発に関与しているのではないかと調査し、遺伝子のプロモーター領域のメチル化が関与していることを突き止めた。NEJM誌2008年3月13日号より。167例で7遺伝子のメチル化と腫瘍再発の関係を評価I期のNSCLCで治癒切除を受け、術後40ヵ月以内に再発した51例の患者(症例患者)と、同じくI期のNSCLCで治癒切除を受け、40ヵ月以内に再発しなかった116例(対照群)について、年齢、NSCLCのステージ、性別、手術時期をベースにマッチングを行った。調査では、腫瘍とリンパ節の7つの遺伝子のメチル化が腫瘍再発と関係しているかどうかを検討の対象とした。腫瘍および縦隔リンパ節でのp16とCDH13のメチル化が再発と強い相関多変量解析の結果、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A遺伝子p16、H-カドヘリン遺伝子CDH13、Ras関連ドメインファミリー1遺伝子RASSF1A、大腸腺腫性ポリポーシス遺伝子APC――これら4遺伝子におけるプロモーター領域のメチル化が、腫瘍および組織学的に腫瘍陰性であるリンパ節における腫瘍再発と関連していることが認められた。NSCLCの病期、年齢、性別、人種、喫煙歴、腫瘍の組織学的特徴とは関係ない。腫瘍および縦隔リンパ節のp16とCDH13のプロモーター領域のメチル化は、癌の再発と強く相関していた。治癒切除を受けた群167例のオッズ比は15.50。これにI期のNSCLCをもつ検証群20例を統合した場合のオッズ比は25.25に上ったと報告している。(武藤まき:医療ライター)

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糖尿病患者教育プログラムの有用性が無作為化試験で証明される

「DESMONDプログラム」と名付けられた1回の糖尿病集団教育により、1年後の血糖値改善傾向、体重や喫煙習慣が有意に減少し、病態への漠然たる不安やうつ症状も軽減され得ることが英国における無作為化研究の結果明らかになり、BMJ誌HPにて早期公開された(2008年2月14日付、本誌には2008年3月1日号に収載)。筆頭筆者は University of LeicesterのMelanie J Davies氏。一方通行ではない、患者の主体性を引き出すプログラム本試験の対象は、207件の一般診療所で2型糖尿病と新規に診断された成人824例。診療所ごとに「DESMONDプログラム実施」群と行なわない「対照」群に無作為割り付けされた。実施群では診断から12週間以内にプログラムを受講させた。「プログラム」は集団教育の形をとり、所要時間は6時間。1日、ないし2回に分けて受講することとした。訓練された専門家2名により行われ、食品選択や身体活動、また心血管系リスクファクターに関する教育が行われた。この教育は講師からの一方通行ではなく、主として受講者とのやりとりにより進められた。このプログラムにより受講者は、自らのリスクファクターと、改善できそうな生活習慣を認識できるようになっている。 体重減少、メンタルも改善1年後、プログラム実施群では対照群に比べ、有意に「体重」が有減少し(-2.98kg vs. 1.86kg、p=0.027)、「非喫煙率」は増加した(オッズ比:3.56、p=0.033)。ただし、HbA1c低下は「実施群」で1.49%と対照群の1.21%よりも高値だったが、有意差には至らなかった。メンタルな側面を見ると、「何か非常に悪いことが起きている」との認識(illness belief)は「実施群」で有意(p=0.001)に軽くなり、抑うつの程度も有意(p=0.032)に改善されていた。また興味深いことに、「体重」と「自己責任感」の間に有意な正の相関が認められた。Davies氏らも述べているが、試験開始時に平均92kgだったこれらの患者において、抑うつをもたらさず体重を減少し得るという点が、このプログラムの最大のメリットだろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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PTSD発症率は非派遣兵の3倍、戦闘に曝露したイラク/アフガニスタン帰還兵

米軍のイラク/アフガニスタン帰還兵のうち実際に戦闘に曝露した兵士の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症率は非派遣兵の約3倍にも達することが、BMJ誌2008年2月16日号(オンライン版2008年1月15日号)に掲載された米国海軍健康研究所(サンディエゴ)のTyler C Smith氏らの研究結果で明らかとなった。最近の報告では帰還兵の10%にPTSDの症状が見られるとされるため、同氏らは大規模な米軍コホートにおいて自己報告によるPTSDの実態調査を行った。約5万人の兵士のデータを解析本試験は、イラク/アフガニスタン戦争に先立つ2001年7月~2003年6月に7万7,047人の米軍兵士および予備兵/州兵を登録したミレニアムコホートのデータを用いたプロスペクティブな大規模コホート研究。2004年6月~2006年2月に実施されたフォローアップにより、5万184人から健康関連のアウトカムに関するデータが収集された。主要評価項目は自己報告によるPTSD発症率とし、PTSDチェックリストとして“Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders”第4版の一般向け判定規準を用いた。派兵そのものよりも戦闘への曝露が重大な影響2001~2006年にミレニアムコホートの40%以上が派兵され、ベースラインとフォローアップの間に初めての派兵としてイラク/アフガニスタン戦争の支援に赴任したのは24%であった。ミレニアムコホートのうち、1,000人年当たりのPTSDの新規発症率は10~13人であった。自己報告によるPTSDの症状発現率あるいは診断率は、戦闘に曝露したと報告した兵士が7.6~8.7%、戦闘に曝露しなかったと報告した兵士が1.4~2.1%、派遣されなかった兵士は2.3~3.0%であった。ベースライン時にPTSDの症状を報告した兵士においては、派兵が症状の持続に影響を及ぼすことはなかった。また、全般に女性兵士、離婚経験者、下士官兵、およびベースライン時に喫煙あるいはアルコール依存を報告した兵士で新たにPTSDの症状を訴えるリスクが高かった。Smith氏は、「ベースライン時の背景因子で補正したところ、派兵されて戦闘に曝露した兵士における自己報告によるPTSDの新規症状発現/診断率は、非派遣兵の約3倍にものぼった」と結論している。また、「これらの知見は、戦闘曝露兵におけるPTSDの重要性を明確化し、派兵後のPTSDの発症には派兵そのものもよりも特定の戦闘への曝露が有意な影響を及ぼすことを強調するものだ」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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下肢血管形成術でパクリタキセル・コーティング・バルーン使用は再狭窄を有意に減少

薬剤溶出ステントは冠動脈の再狭窄を減少させるものの、末梢動脈での有効性は臨床試験では証明されていなかった。そのため下肢血管形成術における、パクリタキセルでコーティングされた血管形成術用バルーンと、血管造影剤に溶解したパクリタキセルの効用について調査が、エーベルハルト・カール大学(ドイツ)Gunnar Tepe氏らによって行われた。NEJM誌2008年2月14日号より。大腿膝下動脈で遠隔期損失径を比較調査は、大腿膝窩動脈の狭窄、または閉塞を伴う患者154例を、パクリタキセルでコーティングされた標準的バルーンカテーテルによる治療群、コーティングなしのバルーン+造影剤に溶解したパクリタキセル治療群、コーティング・バルーンも含有造影剤もなしの群(対照群)にランダムに割り付け、小規模の多施設共同試験を行った。主要評価項目は6ヵ月後の遠隔期損失径。患者の平均年齢(±SD)は68歳(±8)、喫煙者が24%、そして糖尿病が49%だった。病変の27%は完全閉塞、36%は再狭窄であった。平均の病変長は7.4±6.5 cmで、治療群間のベースライン特性には有意差がなかった。パクリタキセル・コーティングに起因する有害事象は認められなかった。パクリタキセル・コーティング・バルーンで有意な効果6ヵ月後の対照群の遠隔期損失径の平均値は1.7±1.8mm、一方、パクリタキセル・コーティング・バルーンによる治療群は0.4±1.2mm(P

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大麻吸引は歯周疾患の危険因子

たばこ喫煙が歯周病の危険因子であることは広く知られているが、たばこだけでなく長期間の大麻吸引も歯周組織に有害で、たばことは独立した危険因子の可能性があるという。ニュージーランド・John Walsh 歯科大学口腔科のW. Murray Thomson氏がまとめ、JAMA誌2008年2月6日号に掲載された。ダニーデン生まれ1,015例の前向きコホート研究本研究は前向きコホート研究で、対象は1972~1973年にダニーデン市(ニュージーランド)で生まれた1,015例。出生後の18、21、26、32歳検診時に大麻吸引有無の確認が取れ、26、32歳時の歯科検診のデータが得られた者(対象の96%)が分析された。被験者32歳時点の最新データは2005年6月に収集されたもの。分析が完全にできたデータは903例(89.0%)だった。歯周病の症状は、26歳からの変化も含めて32歳時点で、1本の歯につき3ヵ所で歯肉付着位置の深さを測定する複合アタッチメント・ロス(combined attachment loss=CAL)を行い判断された。大麻曝露が高度なほど歯周病の症状が進行大麻曝露の状況は、非曝露群32.3%(293例)、中程度曝露群47.4%(428例)、高度曝露群20.2%(182例)だった。CALについては全体の29.3%(265例)にCAL 4mm以上が1ヵ所以上で認められ、12.3%(111例)はCAL 5mm以上が1ヵ所以上に認められた。3mm以上の新しいCALが1ヵ所以上の付随的アタッチメント・ロス(incident attachment loss)が認められたのは、非曝露群6.5%、中程度群11.2%、高度曝露群23.6%だった。たばこ喫煙と性差、不定期に行われた歯科治療と歯垢除去の有無を補正後、高度曝露群は大麻を吸引したことがない群と比較して、CAL 4mm以上が1ヵ所以上できるリスクは1.6(95%の信頼区間:1.2-2.2)、CAL 5mm以上が1ヵ所以上できるリスクは3.1(同1.5-6.4)、付随的アタッチメント・ロスは2.2(同1.2-3.9)だった。Thomson氏らは、「大麻吸引はたばこ喫煙とは独立した歯周疾患の危険因子である可能性があり、大麻吸引の蔓延を抑制する公衆衛生対策が、市民の歯周健康維持に貢献できることを示す」と結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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嚢胞性線維症患者への悪影響は間接喫煙曝露と遺伝子変異が相互に連関

嚢胞性線維症(CF)は白人に高頻度でみられる単一遺伝子疾患だが、Johns Hopkins医科大学遺伝学部門のJ. Michael Collaco氏らは、本疾患をめぐる遺伝子-環境の相互連関を調べることで疾患変異の洞察を試みた。具体的に間接喫煙曝露とCF患者の肺機能やその他転帰との関連性、また間接喫煙曝露と肺疾患重症度との社会経済学的側面からみた関連性、肺機能に影響を与える間接喫煙曝露は特異的な遺伝子-環境なのかを検証。JAMA誌2008年1月30日号で結果が掲載された。2000年10月~2006年10月の米国人CF患者を調査対象はUS Cystic Fibrosis Twin and Sibling Studyから集められ、2000年10月から2006年10月の間にCFと診断された主として米国人。欠落データについては嚢胞性線維症財団の登録データで補完された。このデータについて、環境因子および遺伝的因子で階層化し、肺機能に関するレトロスペクティブな評価を実施。主要評価項目は、横断的および縦断的肺機能測定時の疾患特異性。間接喫煙曝露群は横断・縦断的肺機能とも有意に低下家庭での間接喫煙有無が確認できた812例のうち188例(23.2%)が曝露群。妊娠期間中に母親の能動喫煙有無が確認できた780例のうちでは129例(16.5%)が曝露群だった。家庭での間接喫煙曝露群は非曝露群と比較して、横断的評価でも(パーセンタイル値9.8ポイント減、P<0.001)、縦断的評価でも(同6.1ポイント減、P=0.007)有意に肺機能が低かった。また回帰分析の結果、肺機能への間接喫煙曝露の有害性は社会経済的背景とは関連性は認められなかった。変異遺伝子と間接喫煙曝露の相互連関が肺機能の有意な低下を招いていることも明らかとなった(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子CFTR non-ΔF508 ホモ接合体はパーセンタイル値12.8ポイント(P=0.001)、トランスホーミング増殖因子TGFβ1-509 TTホモ接合体は同22.7ポイント(P=0.006)、トランスホーミング増殖因子TGFβ1codon10CCホモ接合体も同20.3ポイント(P=0.005)それぞれ低下)。このため「どのような間接喫煙曝露もCF患者の肺機能に悪影響を及ぼす。またCF遺伝子(CFTR)とCF変異遺伝子(TGFβ1)は、間接喫煙曝露の負の影響を増幅する」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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依然と低いCOPD(慢性閉塞性肺疾患)認知度

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社とファイザー株式会社が行ったCOPDに対する一般市民の意識調査(全国で40歳以上の男女を対象にインターネット調査、回答を得た4,744名を集計した結果)によると、COPDの認知度は34.0%と前回調査(2007年5月)時34.3%とほぼ横ばいの結果だった。咳、痰、息切れなどの自覚症状や喫煙暦の有無からCOPDが疑われる人でも、自分の症状を医師に相談しない人は82.1%にのぼり、その理由として、60.4%の人が「自分はCOPDではない」と回答、35.8%の人が「医師に相談するほど、自分の症状は深刻ではない」と回答している。さらに、COPDの重要なサインのひとつである咳が長引いた場合、COPDを疑う人は15.0%にとどまることが判明した。長引く咳の場合、68.9%の人が慢性気管支炎を、56.5%の人が肺炎を、44.8%の人がぜんそくを疑うと回答し、咳、痰、息切れといったCOPDの初期症状が充分に認知されていない実態が明らかとなった。詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/news/p-release/08_0125.html

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コレステロール低値の脳卒中死リスクは必ずしも低くない

観察研究のメタ解析としては最も信頼性の高いProspective Studies Collaboration(PSC)が、血清脂質と心血管系イベントに関する解析をLancet誌12月1日号で公表した。虚血性心疾患死のリスクは予想通り、血清総コレステロール(TC)低値例で年齢を問わず低かった。一方、脳卒中死では、TC高値がリスクとなっていたのは、相対的若年者と収縮期血圧がほぼ正常である場合のみだった。約90万例、1千万例・年のデータを解析解析対象となったのは、観察開始時に心血管系疾患の既往がなかった40~89歳の89万2,337人。前向きコホート研究61件のデータが集められた。わが国からのデータも含まれているが、主として欧米人の成績である。また一般的なメタ解析と異なり、PSC解析では原則として、オリジナルデータが入手可能だった。1,160万人・年のサンプル(平均追跡期間13年)中、55,262例が血管系イベントで死亡していた。内訳は「虚血性心疾患死」が33,744例、「脳卒中死」11,663例、「その他の血管死」が9,855例である。虚血性心疾患リスクはTC低値に従い減少性別、年齢と参加した試験で補正後、血清脂質と死亡リスクの関係を検討すると、以下が明らかになった。まず虚血性心疾患死のリスクだが、リスク対数値とTC値の間に正の相関を認めた。年齢の高低、性別を問わず、TC値が37.8mg/dL(1mmol/L)低いと虚血性心疾患死のリスクも有意に低かったが、相対リスクの減少率は若年者で顕著であり、高齢になるに従ってTC低値による相対リスク減少率は小さくなっていた。また、このTC低値における虚血性心疾患リスクの減少は、収縮期血圧の高低、喫煙習慣の有無、BMIの高低を問わず認められた。脳卒中リスクは血圧145mmHg以上では有意に大きい一方、脳卒中死リスク(対数値)とTC値は、40~59歳で弱い正の相関が認められるのみで、それより高齢では相関していなかった。試験開始時の収縮期血圧別に検討すると、「145mmHg未満」ではTC値が37.8mg/dL低値であれば脳卒中死リスクは有意に低くなっていたが、「145mmHg以上」であった場合、リスクは逆に有意に大きくなっていた。この脳卒中と総コレステロールの関係については、更に検討する必要があると著者らは記している。なお本コホートにおける「非血管系死亡」は42,865例。TCが37.8mg/dL低値だとリスクは相対的に10%有意に増加していた(95%信頼区間:1.08~1.11)。この結果を著者らは、TCを低下させる基礎疾患などによりリスクが増加した結果であろうと記している。TC値と総死亡の関係は示されていないが、TC低値は「虚血性心疾患死」のリスクは低いが、血圧コントロール不良例では「脳卒中」抑制に注力が必要であり、また一般的にTC低値例では続発性の低コレステロール血症を除外する重要性が示された。 (宇津貴史:医学レポーター)

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