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飲酒と喫煙に対する健康政策はがん死を減らせるのか

 長期の飲酒と喫煙はがんの危険因子として認識されているが、飲酒と喫煙に対する公衆衛生政策ががんの死亡率に与える影響は検討されていない。今回、オーストラリア・メルボルン大学のHeng Jiang氏らが、オーストラリアにおける1950年代~2013年の飲酒および喫煙に関する政策とがん死亡率の変化との関連を検討した結果、いくつかの政策変更が飲酒・喫煙の変化とその後20年間のがん死亡率の変化に関連することが示された。BMC Medicine誌2019年11月号に掲載。 本研究では、アルコールとタバコの1人当たり消費量の1911~2013年における集団ベースの時系列データと、1950年代~2013年の頭頸部(口唇、口腔、咽頭、喉頭、食道)がん、肺がん、乳がん、大腸および肛門がん、肝臓がん、がん全体の死亡率を、オーストラリア統計局(Australian Bureau of Statistics)、ビクトリア州がん協会(Cancer Council Victoria)、WHOがん死亡データベース(WHO Cancer Mortality Database)、オーストラリア保健福祉研究所(Australian Institute of Health and Welfare)から収集した。アルコールとタバコの消費量の変化と重大な関係がある政策を初期モデルで特定後、主要な公衆衛生政策やイベントに基づいて推定遅延を伴う介入ダミーを作成し、時系列モデルに挿入して、政策変更とがん死亡率との関係を推定した。 主な結果は以下のとおり。・1960年代のアルコール販売免許の自由化は、飲酒人口の増加とその後の男性のがん死亡率の増加と有意に関連していた。・1976年以降のオーストラリアにおける任意呼気検査の導入は、飲酒人口の減少とその後の男女両方のがん死亡率の減少に関連していた。・1962年と1964年のタバコに関する英国と米国の公衆衛生報告書の発表と1976年のテレビとラジオでのタバコ広告禁止は、オーストラリアにおけるタバコ消費量の減少とその後のがん(肝臓がん除く)の死亡率の減少に関連していた。・1960年代~1980年代の飲酒と喫煙に関する政策の変更は、女性より男性でより大きな変化と関連していた(とくに頭頸部がん、肺がん、大腸がん)。

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新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(2)【新型タバコの基礎知識】第13回

第13回 新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(2)Key Pointsなぜ新型タバコに関心を持ったのか、その背景にある事情を尊重する。多くの人は、自分および他人へのタバコの害に配慮して、アイコスなど加熱式タバコを使うようになっている。新型タバコにより害を軽減することができるとの科学的根拠は得られていない。いま一度、すべてのタバコをやめるという選択肢を提示したい。タバコを吸いにくい場所で吸うために、新型タバコに替えようとしている人もいる。その場合には、新型タバコのせいで、ニコチン依存症から逃れることがより困難になることを伝える。禁煙支援の現場でも新型タバコが問題になっています。世の中では新型タバコを吸っている人が急増しているわけですが、新型タバコに関してそれぞれの診療の場にノウハウがあるわけでもなく、どのように対応すればよいのか混乱が起きている状況です。「加熱式タバコを吸おうかと考えている人へ伝えたい、伝えてほしいこと」を書かせてもらう前に、人々がどういう理由で新型タバコを使うようになっているのかについて先にお伝えしたいと思います。インターネット調査*1を実施して、どんな理由で加熱式タバコを使っているのかについて調べました。質問文と選択肢は次の通りです:「あなたが、加熱式タバコを使用した理由として次の1~9は、あてはまりますか。それぞれについてお答えください。1.家族・親戚が使っているから2.友人・知人が使っているから3.加熱式タバコで仲間とコミュニケーションをとるため4.ほかのタバコよりも害が少ないと思ったから5.加熱式タバコのデザインや機能がよかったから6.禁煙するため7.タバコの煙で他人に迷惑をかけるのを避けるため8.ほかのタバコが吸えない場所で吸うため9.喫煙本数を減らすため選択肢1.あてはまる2.ややあてはまる3.あまりあてはまらない4.あてはまらない※1~9のそれぞれの項目について「あてはまる」もしくは「ややあてはまる」と回答した場合に、その理由で加熱式タバコを使っていると判定した。調査結果を集計したのが下記の表です。2018年の調査時に加熱式タバコを吸っていた680人のうち、60.6%の412人が加熱式タバコを使用した理由として「ほかのタバコよりも害が少ないと思ったから」と回答していました。これが最も多い理由でした。次に多かった理由は「タバコの煙で他人に迷惑をかけるのを避けるため」であり、その次に多い理由が「友人・知人が使っているから」でした。多くの人は、自分および他人へのタバコの害に配慮して、アイコスなど加熱式タバコを使うようになっていると分かりました。一方で、30%程度の人は「ほかのタバコが吸えない場所で吸うため」と答えていました。それぞれの人が新型タバコを使っている理由というのは非常に重要な情報であり、各個人における新型タバコへの対処方法をどうするのがよいかという、これからお伝えする話と密接に関連しています。*1:このインターネット調査は、通称JASTIS研究と呼ばれる2015年から毎年およそ1万人を対象として実施されている追跡調査です。加熱式タバコの使用状況を世界で初めて報告した研究など、新型タバコに関する最新の研究成果がこの研究プロジェクトから発信されています。参考文献:Tabuchi T, et al. J Epidemiol. 2019 Nov 5;29:444-450.画像を拡大する加熱式タバコを吸おうかと考えている人へ伝えたいこと、伝えてほしいことまず聴いてみてほしいのは、なぜ新型タバコを吸おうと思っているか、です。「あなたが新型タバコに関心を持っていることを、まずは尊重したいと思っている」ということを伝え、その関心の背景にある事情をちゃんと聴きたいと伝えます。タバコを吸っている人が新型タバコに関心を持つ理由は、上述したように主に2つあります。1つは、自分の健康被害やほかの人への受動喫煙の害に配慮して、禁煙する代わりに加熱式タバコに替えるという理由です。非常に多くの人がこういった理由で加熱式タバコにスイッチしていっています。私は、自分やほかの人へのタバコの害に配慮しようとしてくれていることを尊重したいと考えています。まずは、タバコの害を理解していただき、ありがとうございます、と伝えたい。しかし、実際にスイッチする前に考えてほしいことがあります。スイッチする代わりに、完全にタバコをやめることはできないでしょうか。紙巻タバコをせっかくやめるのですから、すべてのタバコをやめてしまって、禁煙のすばらしいメリットを享受してほしいです。さらに、スイッチする理由としてあげた目的がスイッチすることで本当に達成できるかどうかが分かっていません。新型タバコを吸う人での健康被害は紙巻タバコによる害と変わらない可能性があると考えています(第7回参照)。未知の健康リスクもあります(第6回参照)。そして新型タバコを吸ったら、紙巻タバコをやめることができるかどうかも、まだ分かっていません(第10回参照)。新型タバコに替えることで、受動喫煙を減らすことはある程度できるかもしれません(第8回参照)。タバコを吸っている人が新型タバコに関心を持つもう1つの理由は、タバコを吸いにくい環境も増えてきたため、吸いにくい場所でも吸えるように新型タバコに替えようというものです。この理由で新型タバコを吸おうとしている人は、より多くの機会に吸うことができるようになり、結果的に新型タバコのせいで、ニコチン依存症から逃れることがより困難になってしまいます。世の中にはニコチンの害はたいしたことないと伝える人もいますが、ニコチンは幸せを感じる大切な感覚を奪っていることを知ってほしいです(第9回参照)。また、この2つめの理由で新型タバコを吸おうとしている人には、紙巻タバコもやめるということについていま一度考えてみてほしいと思っています。当然のことですが、本人がやめる気になれなければ、禁煙はできません。いつかタバコをやめたいと思ってもらえるように、タバコ問題に関する本人の理解や環境の整備が進むよう、少しずつでも支援していくことが大切だと感じています。さらにタバコが値上げされたり、職場や家庭が禁煙化されるなどタバコを取り巻く環境を変えることができれば、タバコをやめる動機にしていくことができるかもしれません。第14回は、「新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(3)」です。

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急増する電子タバコ関連肺損傷の臨床像が明らかに/Lancet

 電子タバコまたはベイピング関連肺損傷(lung injury associated with e-cigarettes or vaping:EVALI)は、重度の肺損傷や、全身および消化器症状と関連する新たな疾患であり、重症度は多岐にわたること、多くが抗菌薬やステロイドで治療されているが、臨床的に改善しても異常が残存する患者が多いことが、多施設共同前向き観察コホート研究で示された。米国・Intermountain HealthcareのDenitza P. Blagev氏らが報告した。米国では2019年3月からEVALIの発生が急増し現在も報告が相次いでいるが、本疾患の原因、診断、治療および経過は明らかになっていなかった。著者は、「EVALIの臨床診断は、感染症や他の肺疾患とオーバーラップしているままで、原因、適切な治療および長期的アウトカムを理解するには本疾患を疑う高度な指標が必要である」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年11月8日号掲載の報告。米国ユタ州の総合医療システムで、前向き観察研究を実施 研究グループは2019年6月27日~10月4日の期間で、米国ユタ州の総合医療システムIntermountain Healthcareにおいて確認されたEVALI患者全例のデータを収集した。 中央管理組織としてソルトレークシティーに拠点を置くTeleCritical Careに肺疾患専門医および救命救急医からなる委員会を設け、症例の検証と分析を行った。また、カルテの再評価とユタ州保健局が実施した患者面接から、患者の症状、治療および退院後2週間のデータを抽出し、短期追跡結果をまとめた。電子タバコ関連肺損傷では、呼吸器症状のみならず消化器症状も顕著 Intermountain Healthcareの13施設において確認されたEVALI患者は60例であった。 60例中、33例(55%)が集中治療室(ICU)に入室し、53例(88%)が全身症状、59例(98%)が呼吸器症状、54例(90%)が消化器症状を呈していた。 57例(95%)にステロイドが投与され、54例(90%)はオーバーラップした症状と診断の不確実性のために抗菌薬が投与されていた。 6例(10%)は、2週間以内にICUまたは病院に再入院となった。そのうち3例(50%)は電子タバコまたはベイピングを再開していた。 退院後2週間の追跡調査を行った26例において、全例で臨床症状が改善しX線検査でも急性所見の改善は認められたが、症例の多くが、X線検査(15例中10例、67%)および肺機能検査(9例中6例、67%)で異常の残存が確認された。 死亡は2例であった。2例ともEVALIが死因ではなかったが寄与因子と考えられた。 なお、TeleCritical Careの委員会は今回の調査結果を基に、EVALIの診断と治療のガイドライン案を作成し公表もしている。

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COPDの3成分配合吸入エアゾール薬「ビレーズトリエアロスフィア56吸入」【下平博士のDIノート】第37回

COPDの3成分配合吸入エアゾール薬「ビレーズトリエアロスフィア56吸入」今回は、COPD治療薬「ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤(商品名:ビレーズトリエアロスフィア56吸入)」を紹介します。本剤は、吸入薬を複数使用してもコントロールが不十分なCOPD患者に対し、治療効果とアドヒアランス双方の改善が期待されています。<効能・効果>本剤は、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入抗コリン薬および長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年9月4日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には、1回2吸入(ブデソニドとして320μg、グリコピロニウムとして14.4μg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6μg)を1日2回吸入投与します。<副作用>第III相試験(KRONOS試験、PT010007試験、PT010008試験)の併合成績において、本剤が投与された639例のうち、臨床検査値異常を含む副作用が126例(19.7%)において認められました。主な副作用は、発声障害(3.1%)、筋痙縮、口腔カンジダ症(各1.4%)、上気道感染(1.3%)などでした。なお、重大な副作用として、心房細動(0.2%)、重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.本剤は、気管支を広げるとともに炎症を抑えることで、呼吸を楽にして身体の活動性を改善するCOPDの治療薬です。2.1日2回、1回2吸入を、毎日なるべく同じ時間帯に、よく振ってから吸入してください。3.声枯れや感染症を予防するため、吸入後は必ず数回うがいをしてください。4.吸入器の小窓には、20きざみでおおよその残り回数が示されています。小窓の中央に「0」が表示され、それ以上進まなくなったら使用を中止して、新しいものに交換してください。開封するときは、キャップを外し、よく振って1度空噴霧する、という一連の操作を4回繰り返してください。5.口の渇き、目のピントが合いにくい、尿が出にくい、動悸、手足の震えなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。6.COPDの治療では禁煙が大切なので、薬物治療とともに禁煙を徹底しましょう。7.週1回、本体から薬剤の入った缶と吸入口のキャップを外してプラスチック部分(アクチュエーター)をぬるま湯で洗浄し、洗った後はよく乾かしてください。<Shimo's eyes>本剤は、吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)の3成分が配合されたCOPD治療薬です。3成分配合のCOPD治療薬として、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩ドライパウダーインヘラー(商品名:テリルジー100エリプタ)に続く2剤目となります。COPDの15~20%は喘息が合併していると見込まれているため、LAMAやLABAなどの気管支拡張薬だけでは症状のコントロールが難しい患者さんが少なくありません。本剤は、ICS/LABAやLAMA/LABAで治療していても症状が残存している患者さん、時折抗菌薬や経口ステロイド薬が必要となる患者さんなどで切り替えて使用することが想定されます。本剤はLAMA+LABA+ICSのトリプルセラピーを1剤で行うことができますが、3成分それぞれの薬剤に関する副作用には注意する必要があります。患者さんへ確認するポイントとしては、LAMAによる口渇、視調節障害、排尿困難、LABAによる不整脈、頭痛、手足の震え、ICSによる口腔カンジダ症などが挙げられます。本剤は、デバイスに世界で初めて「エアロスフィア」というpMDI(加圧噴霧式定量吸入器)が採用され、薬剤送達技術を駆使して調製された多孔性粒子が3種の薬剤を肺の末梢まで届けることが期待されています。pMDIなので、吸気力が低下している場合でも少ない負荷で吸入できますが、ボンベを押す力が弱い患者さんには吸入補助器具(プッシュサポーター)、ボンベを押すタイミングと吸入の同調が難しい患者さんにはスペーサー(エアロチャンバープラスなど)の使用を勧めましょう。COPD患者さんは、喫煙や加齢に伴う併存疾患の治療を並行していることが多く、アドヒアランスを向上させて治療を継続させることが重要です。COPD治療に、本剤のような3成分配合吸入薬を選択することで、患者さんの負担を増やさずに症状の改善およびアドヒアランスの向上を目指すことができるでしょう。

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新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(1)【新型タバコの基礎知識】第12回

第12回 新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(1)Key Points第一に伝えたいことは、タバコを吸っている人が1番のタバコの被害者だということ。タバコ問題を正しく伝え、自主的な禁煙を促すことがポイント。タバコ問題の新たな局面、新型タバコ時代を迎えた日本において、タバコ問題および新型タバコ問題とどう向き合い、従来からのタバコおよび新型タバコを吸っている患者にどう対処していけばよいのか? 皆さんとともに考えていきたいと思っています。まず、どうやったら禁煙支援がうまくいくのか、について簡単に話しておきたいと思います*1。禁煙を成功させる秘訣の1つは、“急がば回れ”のようですが、タバコ問題に関するしっかりとした理解を進めることだと思います。喫煙者がタバコ産業から搾取されている実態や、タバコがいかに残酷な製品かを知ってもらうことが禁煙につながり、喫煙の再開防止に役立ちます。ポスターの掲示やチラシの配布など(図)簡単にできることからでも取り組んでいただければと思います。画像を拡大する科学的根拠に基づき推奨される禁煙方法はさまざまありますが、代表的な方法は(1)禁煙外来を受診して禁煙治療薬の処方を受ける(2)禁煙外来もしくは薬局等で得たニコチンパッチやニコチンガムを使うの2つです。しかし、多くの喫煙者は禁煙を勧める本*2を読むなどして自力で止めることができています。本からタバコ問題に関する情報が得られ、それを知ることにより禁煙することの重要性がよりよく理解できるようになります。*1:なぜ禁煙支援が必要なのかについては日本における健康増進計画、健康日本21等にも理由が明記されており、本稿では触れていません。詳しくはこれらをご参照ください。*2:川井治之『頑張らずにスッパリやめられる禁煙』サンマーク出版、磯村毅『「吸いたい気持ち」がスッキリ消える リセット禁煙』PHP文庫、アレン・カー『禁煙セラピー』KKロングセラーズ社、など紙巻タバコを吸っている人へ伝えたいこと、伝えてほしいこと新型タバコの話題の前に、紙巻タバコを吸っている人全員に伝えたいことがあります。タバコを吸っている人に第一に伝えたいことは、タバコを吸っている人が1番のタバコの被害者だということです。タバコを吸っている人は、当然ですが、悪者ではありません。むしろ、タバコを吸っている魅力的な人が沢山います*3。タバコを吸っているという理由で、頭ごなしに否定するようなことは、もちろん良い結果にはつながりません。タバコを吸っているのは、好奇心が旺盛な証拠かもしれない。もしかしたら、反骨精神のためかもしれない。反骨精神があったり、好奇心旺盛であったりしたが故に、たまたまタバコを吸うという方向に興味が向き、ニコチン依存症になって、やめられなくなった。よくある話です。そんな魅力的な人がずっとタバコを吸っていたら、タバコのせいで寿命がおおよそ5~15 年短くなり、男性であれば50 代後半~60 代という年齢で亡くなってしまう可能性が高くなります。タバコを吸っていると何歳で死ぬのか、これまでの研究のデータから分かっている通りに、若くして亡くなってしまうことが多いのです。たとえば、2012年に、とても魅力的な歌舞伎役者の十八代目中村勘三郎さんが57歳で亡くなられたことは本当に残念な出来事です。原因は食道がんでした。しかし、それは意外な出来事ではありませんでした。タバコもお酒も豪快だったとのことですから、中村さんが50代後半で亡くなってしまったことは、まさしくデータの通りともいえるのです。魅力的な人が早くに亡くなってしまうのは本当につらいことです。長く生きて活躍し続けてほしい、だからこそ絶対に禁煙してほしいと願っています*4。できるだけ早くにやめた方がいいのですが、何歳からでも禁煙すれば、良い効果があると分かっています。“自主的に”禁煙できるよう促すには?今タバコを吸っている人は、自身の意志により吸っているのでしょうか? ほとんどの人がそうだと思っているかもしれません。しかし、実はニコチン依存症のためにそう思い込まされていると分かっています。タバコには大きな害があります。タバコを吸っていると病気になって早くに死亡する可能性が高くなります。タバコは人をニコチン依存症にして、その他のことから本来得られるはずの幸せを奪っているのです(第9回参照)。このように禁煙してほしいと伝えたとしても、必ずしも禁煙してくれるわけではないと理解しています。「勉強しなさい」と子どもに怒鳴っても、子どもは勉強するようになってくれないのと同じです。どんなことでも自分からやる気にならなければ、何かを成し遂げることはできないのです。タバコを吸い続けるということは、タバコ会社に搾取され続けるということです。タバコ会社の役員は巨額の報酬を得て、自分はタバコを吸わず、社会的に不利な状況な人がタバコを吸うように仕向けている、というのはとても有名な話です。英BBC放送のドキュメンタリーによると、1980年代初め、米国のタバコ会社はある有名人を広告のイメージキャラクターにしました。彼がタバコを吸っていると、タバコ会社の幹部が「何だ、君、タバコなんて吸うのか」と言います。「吸わないんですか」と聞くと、幹部は「冗談じゃない」と首を振り、「“喫煙権”なんざ、ガキや貧乏人、黒人やバカにくれてやるよ」と言い放った後、「1日当たり数千人の子どもを喫煙に引きずり込むことが君の仕事だ。肺がんで死ぬ喫煙者の欠員補充だ。中学生ぐらいを狙え」と語ったというのです。本当にひどい話です。タバコ会社は表向きは子どもにタバコを売らないとしながら、子どもに喫煙させることを仕事にしているのです。なお、タバコ会社の子ども向け喫煙防止キャンペーンは、ほとんど効果がないということが分かっています。ぜひ、タバコ問題について詳しく知って、禁煙の動機にしてほしいと思います。*3:当然ですが、タバコを吸っていない魅力的な人も沢山います。*4:もちろん禁煙するとともに、多量飲酒も控えてほしいです。補足コラム:週末禁煙法と医療者にできる励まし禁煙外来に行ける人には是非行ってほしいのですが、タバコをやめる方法は禁煙外来だけではありません。実際に禁煙した方の約80%は、自力でやめることができた人です。禁煙外来には行けない場合や行けない事情がある場合もあるでしょう。自力で禁煙するというのもいい方法だと思います。次のようなタイミングに禁煙を始めるといいかもしれません。人によって、ちょうどいいタイミングがあると思います。たとえば、金曜の夕方に仕事を終え、土日に家族と一緒に過ごして月曜の朝まで禁煙すれば、ほぼ3 日間はタバコをやめられます。3 日間禁煙すれば、平均的にはニコチンの離脱症状もおさまる頃です。そのままずっとやめてみるよう勧めてみてください。それで、いつの間にかやめられたという人が結構います。タバコを吸いたくなったら、水を飲んだり、ガムをかんだり、走ったり、うまく紛らわせられるといいですね。もちろん、禁煙が1回でうまくいくとは限りません。金曜夜からの禁煙に毎週チャレンジしてもらってもいいと思います。いつか禁煙に成功できると思います。もっと極端なことをいえば、毎日、朝起きたときには、もうすでに7~8時間は禁煙に成功しています。当たり前ですが、人間の体はタバコを吸わなくても大丈夫なようにできています。毎日でも禁煙にチャレンジしてほしいと思っています。毎週でも毎日でも、失敗を恐れず、何度でもチャレンジしてほしいです。1回で禁煙できなかったとしても、それは意志が弱いからではありません。タバコ会社によって意図的に誘導されたニコチン依存の結果なのです。タバコ製品そのものが悪いのであって、喫煙者は被害者です。何度でも禁煙にチャレンジすれば、いつか必ず禁煙できます。いろいろな方法で禁煙すればいいのです。1回や2回禁煙に失敗しても、10 回、20 回とチャレンジして、最終的に禁煙できたら必ずいいことがあると励まし続けていただきたいと思います。第13回は、「新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと(2)」です。

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低LDLや低収縮期血圧と関連するgenetic variantsは生涯にわたる冠動脈疾患の低リスクと関連(解説:石川讓治氏)-1133

 高LDL血症および高血圧は冠動脈疾患の確立された危険因子である。本研究では、英国のバイオバンクに登録された43万8,952人の対象者のデータを用いて、低LDLコレステロール血症と関連するgenetic variantsが多い対象者と低収縮期血圧と関連するgenetic variantsが多い対象者を評価し、これらのgenetic variantsが、独立して、相加的に冠動脈疾患発症リスク低値と関連していたことを報告していた。これらのgenetic variantsの数が増えるにつれて連続的に冠動脈疾患発症リスクは低くなっていた。同様の関連は虚血性脳梗塞においても認められていた。 本研究では、低LDLコレステロール血症や低収縮期血圧と関連するgenetic variantsが少ない(つまりLDLコレステロールや収縮期血圧が高くなりやすい)対象者において、治療によるLDLコレステロールや収縮期血圧の低下度に影響を与えるかどうかは不明である。また、これらのgenetic variantsの有無によって、LDLや血圧の治療薬の選択や目標レベルを変えるかどうかも今後の課題である。サブグループ解析において、低LDL血症になりやすいgenetic variantsと低収縮期血圧になりやすいgenetic variantsの両方を持つ対象者の冠動脈疾患リスク低下度は、喫煙や肥満によって減少していた。有利なgenetic variantsの有無にかかわらず、喫煙や肥満といった治療可能な危険因子を改善することが重要であることは変わりないと思われる。

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喫煙と認知症リスクの関連、禁煙後何年で消失?

 喫煙は認知症の危険因子として知られているが、禁煙によってリスクは減少するのだろうか。米国・ジョンズホプキンス大学School of Public HealthのJennifer A. Deal氏らが、Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究で調べたところ、禁煙は認知症リスク減少に有益ではあるものの、禁煙期間に依存することがわかった。本研究では、禁煙後9年以上経過した場合に認知症発症との関連が消失し、認知症リスクを減らすためには中年早期に禁煙する重要性が示唆された。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2019年11月1日号に掲載。 ARIC研究は、1987~89年に始められた米国の4つのコミュニティーでの前向きコホート研究で、52〜75歳の1万3,002人の男女(25%がアフリカ系アメリカ人)が参加。認知症(すべての原因を含む)は、縦断的認知データ、代理報告書、病院および死亡証明書における認知症のコードを組み込んだ標準化アルゴリズムを用いて定義した。認知機能低下は、2つの時点(1996~98年および2011~13年)で測定された3つのテストによる複合認知スコアを用いて測定した。喫煙と禁煙は、1987~89年および1996~98年のデータを用いた自己申告によって定義した。認知症発症リスクと喫煙有無による認知機能低下の違いは、それぞれCox比例ハザードモデルと線形回帰モデルで推定した。 主な結果は以下のとおり。・非喫煙者、元喫煙者、現在喫煙者の割合は、44%、41%、14%であった。・元喫煙者の79%は、ベースライン時点で9年以上禁煙していた。・1,347人の参加者が認知症を発症した。・非喫煙者に対する現在喫煙者の認知症の調整ハザード比は1.33(95%信頼区間[CI] :1.12~1.59)、ベースライン時に禁煙から9年未満の元喫煙者は1.24(95%CI:1.01~1.52)であった。・ベースライン時に9年以上禁煙していた場合、認知症との関連はなかった。・認知機能低下率について喫煙の有無による差は認められなかった。

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乾癬患者、全がんリスクが高い

 乾癬患者の発がんリスクおよびがん死リスクが明らかになった。英国・マンチェスター大学のAlex M. Trafford氏らによるメタ解析の結果、乾癬患者はいずれのリスクとも高く、さまざまな部位のがんと関連していることが認められたという。著者は、「さらなる研究を行い、特定の生活様式の因子や治療、乾癬の炎症プロセスを調べ、がんリスク増大のメカニズムを明らかにする必要がある」と述べている。乾癬患者の発がんリスクについては、重症度によるリスクの違いも不明であり、少なからぬ懸念が生じていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月16日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬患者の発がんおよびがん死のリスクに関する観察研究を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を行った。6つの電子データベース(MEDLINE、Embase、MEDLINE in Process、Cochrane Central Register、Web of Science、LILACS)を用いて創刊~2017年11月15日までを検索し、乾癬と発がんリスクおよびがん死リスクを推算していたコホート試験およびケースコントロール試験を特定した。 試験デザイン、試験集団、推定リスクのデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いて試験別の相対リスク(RR)を統合。不均一性はI2統計量を用いて定量化し、2018年4月9日~2019年2月22日に解析を行った。 主要評価項目は、乾癬患者コホートと非乾癬患者コホートを比較した、がん発症およびがん死亡に関するプール解析をしたRR推定値であった。 主な結果は以下のとおり。・特徴を持つ計58試験(がんリスク試験50、がん死リスク試験15[両方を報告する7試験を含む])を包含。試験の質にはばらつきがあった。・重症乾癬(RR:1.22、95%信頼区間[CI]:1.08~1.39[9試験])、すべての重症度の乾癬(1.18、1.06~1.31[7試験])で、がん(全がん)リスク増大との関連が認められた。・また、さまざまな部位のがんとの関連が明らかになった。結腸(colon)(RR:1.18[95%CI:1.03~1.35])、大腸(colorectal)(1.34[1.06~1.70])、腎臓(1.58[1.11~2.24])、喉頭(1.79[1.06~3.01])、肝臓(1.83[1.28~2.61])、リンパ腫(1.40[1.24~1.57])、非ホジキンリンパ腫(1.28[1.15~1.43])、ケラチノサイトがん(1.71[1.08~2.71])、食道(2.05[1.04~4.07])、口腔(2.80[1.99~3.93])、膵臓(1.41[1.16~1.73])。・全がん死亡リスクは、重症乾癬患者でより高率であった(RR:1.22、95%CI:1.08~1.38[4試験])。・具体的には、肝臓(RR:1.43[95%CI:1.09~1.88])、食道(2.53[1.87~3.41])、膵臓(1.31[1.02~1.69])で重症乾癬患者のがん死リスク増大が認められた。・層別化をしたにもかかわらず、推定値の不均一性は非常に高かった。・喫煙、アルコール摂取、肥満を補正して推定した試験では、リスクの明らかな減弱が認められた。

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新型タバコの発がんリスク【新型タバコの基礎知識】第11回

第11回 新型タバコの発がんリスクKey Points1件のモデル研究で、発がんリスクが大きい順に“紙巻タバコ>>加熱式タバコ>>電子タバコ”と推定されたが、解釈には注意が必要。日本で大流行している加熱式タバコのリスクは、欧米で流行している電子タバコよりもかなり大きいと考えられる。新型タバコの健康リスクのうち、データがないことを理由として評価が先送りにされそうなのが発がんリスクです。通常、がんの発症までには数10年の年月がかかる場合が多く、リスクの正確な評価には時間がかかるからです。しかし、タバコの健康リスクを考えるうえで重大なリスクである発がんリスクに関する考察を、先送りにするわけにはいかないのではないでしょうか。化学物質による発がんリスクを評価する標準的な手法として、個々の化学物質のユニットリスク(単位濃度μg/m3に生涯曝露された際の発がん確率)とその摂取量(濃度)の積からリスクを推定するという方法があります。タバコの煙に含まれる有害化学物質の情報(第5回参照)に基づき、紙巻タバコ、加熱式タバコ、電子タバコなど各種のタバコ製品による発がんリスクをモデル式により推定した研究があります1)。この研究では、発がんリスクが大きい順に、“紙巻タバコ>>加熱式タバコ>>電子タバコ”と推定されました。紙巻タバコを1日15本吸った場合の生涯の発がんリスクは10万人当たり2,400人であったのに対し、加熱式タバコを1日15スティック吸った場合には10万人当たり57人の発がんリスク、電子タバコを1日30L(平均的吸入量)吸った場合には10万人当たり9.5人の発がんリスクだと推定されました。つまり、新型タバコに替えると発がんリスクが大きく減るとの結果です。ただし、この結果を鵜呑みにはできません。そもそも、紙巻タバコと比較することは正しいことなのか? という点がありますが、これについては後述します。鵜呑みにできない理由としては、少なくとも3つあります:[理由その1]この研究では、タバコ会社が選択的に報告したデータが主に使用されています。過去の紙巻タバコに関する研究結果から、一部の有害物質だけの情報を用いて推定したタバコのリスクは、実際よりも非常に少なく見積もられてしまう可能性があると考えられます。タバコ会社は、加熱式タバコの方が少なかったという化学物質を選択的に報告している可能性も否定はできません(第6回参照)。加熱式タバコには、発がん性があると考えられる物質も含め、推定モデルに含まれていない未知の成分が多く存在しているのです。[理由その2]リスクを少なく見積もってしまう原因となる、有害物質の複合曝露の影響がこの推定モデルでは考慮されていません。複合曝露の影響を完全に解明することは不可能です(図)。そのため、タバコから出る特定の有害物質の量を測定するというリスクの推定方法には、どうしても解決できない限界として複合曝露の問題が残り続けます。画像を拡大する[理由その3]現実世界でのタバコの吸い方は単純ではありません。紙巻タバコを1日15本吸っていた人が、モデルの設定で想定しているように、加熱式タバコにスイッチしたら1日15スティック吸うようになるとは限りません。加熱式タバコにスイッチすると紙巻タバコの時よりも吸う回数が増えるとの報告もあります2)。また、そもそもスイッチできるとも限りません。2017年に日本で実施したインターネット調査では、加熱式タバコを吸っている人の約70%は紙巻タバコとの併用でした3)。こういった理由から、現実世界における加熱式タバコによる発がんリスクは、冒頭のモデル研究が推定するよりもかなり大きい可能性があると考えています。過去の紙巻タバコの研究から、1日の喫煙量が多いことよりも、喫煙期間が長いことの方が、より大きな肺がんリスクになると考えられます4,5)。加熱式タバコにスイッチして有害物質の量を仮に減らせたとしても、長期間吸っていたら発がんリスクは大きくなると推測されるのです。さらには、新型タバコの発がんリスクを考える上でキーになる物質は、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類の可能性があります。前述の推定モデルには、この観点も抜けています。動物実験および細胞実験の結果から、タバコ煙の発がん性物質のなかでも、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等を含むアルデヒド類が、他の発がん性物質よりも発がんに強く関与していると報告されています6)。もともとアルデヒド類はタバコ煙のタールに占める比重が高いため、煙に多く含まれるアルデヒド類の関与が大きいとする結果は妥当だろうと考えられます。紙巻タバコと比べ、新型タバコでどれだけリスクを低減できる可能性があるのか推定する場合には、もともと多く含まれていて有害性の高い物質であるアルデヒド類に注目していく必要があります。加熱式タバコや電子タバコでは他の有害物質と比べて、アルデヒド類が比較的多く検出されていることから、加熱式タバコや電子タバコではアルデヒド類を介した有害性が大きいだろうと考えられるのです。また、有害化学物質の絶対量が重要だとも考えられます。紙巻タバコと比べた相対的なデータ、すなわち%だけをみていては、絶対量の問題に気付かないかもしれません。もともと非常に少なく、リスクの程度の小さい化学物質であれば、量が2倍になっても半分になってもたいした影響はないでしょう。気を付けないと、そういう数字のマジックにも騙されてしまう可能性があります。ただし、今回取り上げたモデル研究から分かることで、とくに日本で重要な観点があります。日本で大流行している加熱式タバコの発がんリスクは、欧米で流行している電子タバコよりもかなり大きいと推計された、という点です。そもそもの問題:新型タバコのリスクを何と比較するか本連載では、新型タバコのリスクについてみてきましたが、そもそもの問題として、加熱式タバコがタバコ製品でなければ、市場に出てくることすらなかったはずです。タバコ製品だけはたばこ事業法のもと“タバコ”として扱われ、発がん性物質などの有害物質が検出されても、問題になるわけでもなく、それはタバコだから、となるわけです。新型タバコで検出される有害物質の量は紙巻タバコと比べて低いかもしれませんが、それは有害物質の塊である紙巻タバコと比較するからです(第10回参照)。新型タバコを、化粧品や食品などタバコ以外の商品と比較すれば、明らかに新型タバコの方が有害だと考えられます。タバコ会社は紙巻タバコから加熱式タバコへスイッチすることを積極的に勧めていますが、せっかく紙巻タバコをやめるなら、新型タバコもやめて、もっと安全な選択をしてもらいたいと願っています。第12回は、「新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと」です。1)Stephens WE. Tob Control. 2018; 27: 10-17.2)Simonavicius E, et al. Tob Control.2019;28:582-94.3)Tabuchi T, et al. Tob Control.2018;2:e25-e33.4)Leffondre K, et al. Am J Epidemiol. 2002; 156: 813-823.5)Flanders WD, et al. Cancer Res. 2003; 63: 6556-6562.6)Weng MW, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018; 115: E6152-E6161.

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家族性高コレステロール血症患児へのスタチン、成人期の心血管リスク低減/NEJM

 小児期にスタチン治療を開始した家族性高コレステロール血症患者は、成人期の頸動脈内膜中膜肥厚の進行が抑制され、心血管疾患のリスクが低減することが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのIlse K. Luirink氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年10月17日号に掲載された。家族性高コレステロール血症は、LDLコレステロール値の著しい増加と心血管疾患の早期発症を特徴とする。小児へのスタチン治療の短期的効果は確立されているが、心血管疾患リスクの変動を評価した長期的な追跡研究は少ないという。20年後に、患児を非罹患同胞および罹患親と比較 研究グループは、家族性高コレステロール血症小児患者へのスタチン治療に関する20年間の追跡調査の結果を報告した(オランダAMC Foundationの助成による)。 過去に、プラバスタチンの2年投与の有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(1997~99年、単施設)に参加した家族性高コレステロール血症患者214例(98%は遺伝学的に確認)に対し、同症に罹患していない同胞95例とともに、追跡調査への参加を依頼した。 参加者は、質問票に回答し、血液検体を提供し、頸動脈内膜中膜肥厚の測定を受けた。家族性高コレステロール血症患者の心血管疾患の発生率を、同症に罹患している親156例と比較した。39歳時の心血管イベント:患者1% vs.罹患親26%、心血管死:0% vs.7% 当初の試験に参加した家族性高コレステロール血症患者214例(平均年齢13.0±2.9歳、男性47%)のうち、試験開始から20年の時点で追跡調査に応じたのは184例(86%)(31.7±3.2歳、48%)で、非罹患同胞は95例(12.9±2.9歳、53%)のうち77例(81%)(31.6±3.0歳、56%)が調査に参加した。 214例の患者のうち、203例(95%)で心血管イベントのデータが、214例(100%)で心血管系の原因による死亡のデータが得られた。追跡調査時に、184例のうち146例(79%)がスタチンを使用していた。 患者の平均LDLコレステロール値は、237.3mg/dLから160.7mg/dL(6.13mmol/Lから4.16mmol/L)に低下し、ベースラインからの低下率は32%であった。治療目標(LDLコレステロール値<100mg/dL[2.59mmol/L])は37例(20%)で達成され、このうち8例は<70mg/dLに低下していた。一方、非罹患同胞の平均LDLコレステロール値は、98.5mg/dLから121.9mg/dL(2.55mmol/Lから3.15mmol/L)に増加し、増加率は24%だった。 全追跡期間における頸動脈内膜中膜肥厚の進行の平均値は、家族性高コレステロール血症患者が0.0056mm/年、同胞は0.0057mm/年であった(性別で補正後の平均差:-0.0001mm/年、95%信頼区間[CI]:-0.0010~0.0008)。 39歳時の心血管イベント累積発生率は、家族性高コレステロール血症患者が、罹患している親よりも低かった(1% vs.26%、性別と喫煙状況で補正後の無イベント生存率のハザード比[HR]:11.8、95%CI:3.0~107.0)。また、39歳時の心血管系の原因による死亡の累積発生率も、家族性高コレステロール血症患者のほうが罹患親よりも低かった(0% vs.7%)。 著者は、「LDLコレステロールは、アテローム硬化性心血管疾患をもたらす経路における主要な因子と考えられ、LDLコレステロール値を低下させる治療は、アテローム硬化性心血管疾患の進行の予防あるいは緩徐化において重要であることが明らかとなった」としている。

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新型タバコにおけるハーム・リダクションってなに?(2)【新型タバコの基礎知識】第10回

第10回 新型タバコにおけるハーム・リダクションってなに?(2)Key Points米国では、電子タバコによる急性肺障害が報告され、症例数は1,000例を超え、死亡が18例に達している。電子タバコがハーム・リダクションとなるために必要な前提条件はまだ揃っていない。電子タバコによる急性肺障害が話題になっています。米国での発見例は氷山の一角だと考えられていますが、2019年10月4日までの米国CDCによる報告1)で、症例数は1,000例を超え、死亡が18例に達しています。病態としては、リポイド肺炎、急性好酸球性肺炎や間質性肺炎、過敏性肺臓炎などが考えられています。電子タバコの多様な使用方法やさまざまなフレーバー、大麻由来成分(Tetrahydrocannabinol;THC)の添加など、患者背景に多くの違いがあり、単一の病態でもないことから、現時点での原因の特定は困難です。NEJM誌では17例(死亡例2例含む)における病理像の報告がなされ2)、外来性の油成分によるリポイド肺炎はほとんどみられなかったとのことです。原因物質は不明ですが、新型タバコに含まれる未知の物質の可能性も示唆されています。日本では電子タバコ使用者は比較的少なく、加熱式タバコを使っている人が非常に多くなっています。新型タバコによる急性健康障害に関する実態把握が必要ですが、研究体制は整備できていません。肺炎や喘息等の呼吸器疾患の臨床研究や観察研究を実施している研究者グループの方々と、新型タバコ研究のセットアップおよび支援・協働をしたいと考えていますので、該当の方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください。さて、今回は、「新型タバコにおけるハーム・リダクションってなに?」のパート2です。今回は新型タバコのなかでも電子タバコに注目します。実は、電子タバコについてだけでも本が一冊書けてしまうぐらい情報が集積してきており、問題も複雑化しています。世界的には、加熱式タバコよりも電子タバコが普及しているのです。日本では、ニコチン入りの電子タバコの販売が許可されていない事情もあり、電子タバコはあまり普及していません。しかし、2018年以降電子タバコブランドBluの積極的な販売キャンペーンが展開されるなど、日本でも普及してくる可能性もあるでしょう。電子タバコは製品間の品質のばらつきが大きく、健康被害を一律に評価するのは難しい状況です。冒頭で言及したような急性影響についても分かっていないことばかりであり、長期使用による健康影響はもちろんわかっていません。一方で、電子タバコでは吸引することとなる有害化学物質が紙巻タバコよりも少ないという点に着目して、“ハーム・リダクション(害の低減)”に電子タバコが活用できると訴えている専門家もいます。タバコ問題の場合のハーム・リダクション戦略としては、どうしてもタバコをやめられない人に対して、タバコの代わりにニコチン入り電子タバコを吸ってもらったら、有害物質への曝露を減らせるのではないか、というものです。しかし、この通りにうまくいくのか、世界的に専門家の間でも意見が割れていて、決着がついていません。なぜなら、ハーム・リダクションとなるためのそもそもの前提事項がまだ分かっていないからです。以下に、まだ決着のついていない前提事項を整理します。(1)電子タバコは、紙巻タバコと比べて害が少ないと確定していない電子タバコでは、有害物質の多くが紙巻タバコよりも少ないことは確かですが、一部の化学物質は紙巻タバコよりも多く、総合した場合の有害性が本当に電子タバコの方が低いのか、製品が新しく追跡期間も短いことから、十分に検証できていません。2015年に英国の公衆衛生専門機関が「電子タバコは喫煙よりも約95%害が少ない」と報告しましたが、これに対してはLancet誌等で根拠が十分でないとの反論が起きるなど、論争が巻き起こっています。現在の米国での事態を受けて、よりいっそう議論は複雑化しています。(2)電子タバコによって紙巻タバコがやめられるのか分かっていない電子タバコに紙巻タバコをやめられるようにする禁煙効果があるのかについて、世界的に論争が起きています。まだ実験的研究の段階で、その効果を検証した研究が少なく、結論が出るには至っていません。多くの現場からの研究結果を統合した研究も実施されてきていますが、禁煙効果を支持する結果と支持しない結果がさまざまな研究グループから報告されており、まだしばらく決着はつきそうにありません。(3)電子タバコによる他の問題も指摘されている世界的にはオシャレでカッコいいデザインの電子タバコが若者を中心として普及してきています。電子タバコがもともとタバコを吸わない人へと広がり、ニコチン依存への入り口(ゲートウエイ)として機能してしまうと懸念されているのです。ほかに、電子タバコのデバイスが爆発して大けがを負った事例や、火災となってしまった事例も報告されています。総合的に比較して電子タバコの導入のメリットがデメリットよりも大きくないと、ハーム・リダクションとはなりえません。もし、導入によってハーム(害)が総合して増えるようなこととなれば、単に問題を増やしただけになってしまいます。分かっていないことが多い中で、われわれの社会は難しい判断を迫られているといえるでしょう。タバコ問題においてハーム・リダクションが可能となるための理論的根拠として、根拠(1):タバコやニコチンを使用し続ける人々がどうしてもいるであろうと考えられること根拠(2):ニコチン依存がほとんどのタバコの使用の根底にある一方で、ほとんどの健康被害を引き起こすのは、タバコ煙のニコチン以外の成分だと考えられていることの2つがよく挙げられます。筆者は根拠(1)については同意します。たとえ、タバコを法律で禁止することができたとしても、タバコを使い続ける人はいるでしょう。ただし、法律で禁止することができれば、タバコを吸う人の数は大幅に減らせるものと考えられ、ゆくゆくはそうなってほしいと願っています。しかし一方で、根拠(2)については同意しません。なぜなら、ニコチン依存の害を軽視した考え方だからです。ニコチン依存症の恐ろしさについては、第9回記事を参照ください。第11回は、「新型タバコの発がんリスク」です。1)US Centers for Disease Control and Prevention (CDC)「Outbreak of Lung Injury Associated with E-Cigarette Use, or Vaping」2)Butt YM,et al. N Engl J Med. 2019 Oct 2. [Epub ahead of print]

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NAFLD/NASH患者、リスク因子補正後のAMIや脳卒中リスクとの関連は?/BMJ

 欧州の大規模な4つのデータベースを用いた検討で、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断された成人は、年齢、性別、診療情報を適合したNAFLDを有さない成人と比較して、既知の心血管リスク因子補正後、急性心筋梗塞(AMI)や脳卒中の発生リスクに、わずかな増大は認められるが有意差はないことが明らかにされた。英国・GlaxoSmithKlineのMyriam Alexander氏らが計1,770万例を対象とした適合コホート試験の結果で、著者は「NAFLD診断成人の心血管リスク評価は重要だが、一般集団のそれと同様とすべきであろう」と述べている。NAFLDは、メタボリックシンドロームやその他のAMIや脳卒中のリスク因子との関連が認められている。AMIおよび脳卒中リスク増大との関連、および心血管疾患の代用マーカー(surrogate marker)との関連が示されているが、既知のリスク因子補正後の関連性について完全には確立されていなかった。BMJ誌2019年10月8日号掲載の報告。NAFLD/NASH診断例約12万例を追跡 研究グループは欧州4ヵ国の、2015年12月までのプライマリケアの電子データベースを用いて、住民ベースの適合コホート試験を行った。各データベースの患者数は、イタリア154万2,672例、オランダ222万5,925例、スペイン548万8,397例、英国1,269万5,046例だった。 そのうち、NAFLDまたは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断を受け、かつその他の肝疾患のない12万795例を対象に分析を行った。同一データベースから、診断日の年齢、性別、医療機関、受診状況、診断日前後6ヵ月時点の医療記録でマッチングした、NAFLDまたはNASHのない被験者を最大100例選んだ。 主要アウトカムは、致死的または非致死的AMIおよび虚血性/unspecified脳卒中だった。ランダム効果メタ解析により、Coxモデルを用いて複数データベースのプールド・ハザード比(HR)を推計した。年齢や喫煙、血圧、2型DM、総コレステロール値などで補正後、リスク増大なし NAFLD/NASHの診断を受けた12万795例について、診断日からの追跡期間はコホート集団により異なり、中央値2.1~5.5年だった。 年齢と喫煙について補正後、AMI発症に関するHRは1.17(95%信頼区間[CI]:1.05~1.30)だった(イベント数はNAFLD/NASH群1,035件、コントロール群6万7,823件)。より多くのリスク因子情報を含むNAFLD/NASH患者8万6,098例と適合コントロール466万4,988例についての解析では、収縮期血圧、2型糖尿病、総コレステロール値、スタチン服用の有無、高血圧症で補正後、AMI発症に関するHRは1.01(95%CI:0.91~1.12)だった(NAFLD/NASH群747件、コントロール群3万7,462件)。 年齢と喫煙状況で補正後の、脳卒中発症に関するHRは1.18(同:1.11~1.24)だった(NAFLD/NASH群2,187件、コントロール群13万4,001件)。より多くのリスク因子の情報を含む集団についての解析では、収縮期血圧、2型糖尿病、総コレステロール値、スタチン服用の有無、高血圧症で補正後、脳卒中発症に関するHRは1.04(同:0.99~1.09)だった(NAFLD/NASH群1,666件、コントロール群8万3,882件)。

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日本高血圧学会、台風19号被災者向けのQAと総会概要を発表

 10月15日、特定非営利活動法人日本高血圧学会(JSH)は、10月25-27日に開催される第42回日本高血圧学会総会に先立ち、プレスセミナーを開催した。 冒頭に、理事長の伊藤 裕氏が、台風19号による甚大な被害を踏まえ、学会としての対応を発表した。「甚大な被害が広範囲に広がり、避難生活が長引く被災者も多くなると考えられる。ストレスや血圧の管理が不十分となり、いわゆる『災害高血圧』が生じて、脳卒中や心疾患につながることを懸念している」と述べた。最初の対応としては、被災地の高血圧患者から多く寄せられる質問と回答をまとめ「台風19号により被害を受けられた皆さまへ」と題して学会サイトに発表した。もう一つ、気づかれにくい問題として、支援物資について注意喚起を求めた。「今回の台風は物流の問題は限られ、薬不足は回避できそうだ。問題は食料で、被災地に送られる支援物資は調理の簡単なカップラーメンやパンなどに偏り、塩分過多と高血圧につながりがち。送る方は減塩食品を選ぶなどの配慮をして欲しい」と訴えた。今後も被災者に向け、即時性をもって情報を発信していく、とした。「早期介入」「精密医療」「モデルタウン」を柱に活動 続いて、学会の最新の活動内容が発表された。世界保健機構(WHO)による健康調査で提唱される「疾患負荷(disease burden:経済的コスト、死亡率、疾病率で計算される特定の健康問題の指標)」において、高血圧の死亡への寄与割合は女性で1位、男性で喫煙に次いで2位と非常に大きい。一方で、日本国内の高血圧患者は4300万人を超えるものの、きちんと疾病コントロールがされているのは3割の1300万人程度に満たない。この状況を踏まえ、JSHは2018年に「高血圧の国民を10年間で700万人減らし、健康寿命を延ばす」との声明を発表している。今後の具体的な活動としては、以下の3点を重点施策とした。1)2019年4月に新「高血圧治療ガイドライン」を刊行。診断基準値は従来通りとしものの降圧目標を引き下げ、早期からの生活習慣への介入を呼びかける。2)デジタルデバイス等を利用し、ビッグデータやAIによる「プレシジョンメディシン(精密医療)」を高血圧対策に応用する研究を進める。3)患者個人だけではなく、家族や地域、自治体を含めた規模で対策をとることが重要とする「集団健康管理」の考えのもと、協力自治体を募り、学校教育や企業への働きかけを行っている「モデルタウン」事業を行う。2019年日本高血圧学会総会の概要発表 10月25-27日に東京・新宿で開催される第42回日本高血圧学会総会は、テーマを「未来を支える血圧管理」とし、総会の開会式では「JSH東京減塩宣言」が行われる予定。310の一般演題(口演177・ポスター133)のほか、カリフォルニア大学教授Theodore W. Kurtz 氏による「食塩感受性高血圧」をはじめとした特別講演、シンポジウム、市民公開講座などが予定される。さらに「デジタルハイパーテンションカンファレンス」と題し、ビッグデータ・ICT・AI等の技術を高血圧対策にどうつなげていくか=高血圧の精密医療について議論も行われる。■「食塩感受性高血圧」関連記事塩分摂取によって血圧が上昇しやすい人と、そうでない人が存在するのはなぜか?―東大 藤田氏らが解明―

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ニボルマブ、食道がん2次治療以降のOS改善(ATTRACTION-3)/ESMO2019

 韓国・延世医科大学延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は、進行・再発の食道扁平上皮がんの2次治療でニボルマブとタキサン系抗がん剤による化学療法を比較した第III相試験ATTRACTION-3の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で報告。ニボルマブは化学療法と比較し、全生存期間(OS)を有意に延長したことを明らかにした。・対象:1次治療でプラチナベース化学療法が不応あるいは施行後に無効になった切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ240mg 2週ごと(n=210)・対照群:ドセタキセル75mg/m2 3週ごと、あるいはパクリタキセル100mg/m2 毎週(n=209)・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS) [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、健康関連QOL、有害事象 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はニボルマブ群が10.9ヵ月、化学療法群が8.4ヵ月で、ニボルマブ群で有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.62~0.96、p=0.019)。・年齢、性別、人種、PS、手術歴、放射線治療歴、PD-L1発現率、喫煙歴といったいずれのサブグルーブ別でもニボルマブ群で良好なOSの傾向を示した。・PFS中央値はニボルマブ群が1.7ヵ月、化学療法群が3.4ヵ月で、両群間の有意差はなかった(HR:1.08、95%CI:0.87~1.34)。・ORRはニボルマブ群が19%、化学療法群が22%で、両群で同等だった。・DCRはニボルマブ群が37%、化学療法群が63%であった。・TTR中央値はニボルマブ群が2.6ヵ月、化学療法群が1.5ヵ月であった。・DOR中央値はニボルマブ群が6.9ヵ月、化学療法群が3.9ヵ月であった。・EQ-5D-3Lを用いた健康関連QOLの調査では、計測された42週にわたりニボルマブ群は一貫して化学療法群を上回っていた。・ニボルマブ群での治療関連の主要な免疫関連有害事象は、内分泌系、消化管系、肝臓系、肺系、腎系、皮膚系であり、そのほとんどはGrade2以内であり、いずれもGrade3以上の発現率は2%以内であった。・Grade3以上の全治療関連有害事象発現率はニボルマブ群が18%、化学療法群が63%であった。 この結果を受けてCho氏は「ニボルマブは進行食道扁平上皮がんの2次治療で新たな標準治療となる可能性を示している」と述べた。

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血糖降下薬ピオグリタゾンの肺がん予防効果?

 経口血糖降下薬にがん予防効果があるのか。米国・ロッキーマウンテン地方退役軍人医療センターのRobert L. Keith氏らは、肺がんの発症リスクが高い現喫煙者や元喫煙者において、経口血糖降下薬ピオグリタゾンに肺がんの発症予防効果があるかを検討する第II相無作為化試験を行った。その結果、有意ではないがわずかに効果が期待できる所見や、特異的病変で組織学的改善が認められたという。著者は「さらなる試験を行い、反応性異形成の特徴を明らかにする必要がある」と述べている。これまでに、前臨床試験でチアゾリジン系薬が肺がんを予防することが、また同薬を服用する糖尿病患者で肺がんの割合が低いことが示唆されていた。Cancer Prevention Research誌2019年10月号掲載の報告。 研究グループは、喀痰細胞診で異型性または気管支鏡検査で異形成が認められた、肺がんの発症リスクが高い現喫煙者または元喫煙者において、経口ピオグリタゾンの肺がん発症予防効果を検討する、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。 被験者は、試験登録時および6ヵ月の治療完遂後に気管支鏡検査を受け、生検組織スコアが記録された。 主要評価項目は、両群間の最も不良な生検スコア(Max)。副次評価項目は、異形成指標(DI)、平均スコア(Avg)の変化であった。また、炎症スコアも評価した。 主な結果は以下のとおり。・試験には92例(ピオグリタゾン群47例、対照群45例)が参加し、76例が2回の気管支鏡検査を完了した(ピオグリタゾン群39例、対照群37例)。・ベースラインで異形成が認められたのは現喫煙者で有意に多く、同被験者の64%が試験登録時に軽度以上の異形成を有していた。・ピオグリタゾン治療を受けた元喫煙者は、わずかだがMax値の改善が認められた。一方、現喫煙者は、わずかだが増悪が認められた。・Avg値とDI値については、治療群で統計的に有意な変化は認められなかったが、元喫煙者では、両値ともにわずかな低下が観察された。また、現喫煙者では両値についてごくわずかな変化が認められた。・細胞増殖マーカーのKi-67値は、ベースラインで異形成が認められピオグリタゾン治療を受けた元喫煙者で、減少の傾向がみられた。

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毎日使える 街場の血液学

第1回 小球性貧血を診る第2回 大球性貧血を診る第3回 高齢者/思春期の貧血第4回 多血症を診る第5回 白血球の異常を診る第6回 血小板の異常を診る 血液学に苦手意識を持っていませんか?医師国家試験で暗記したような血液疾患に日常診療で出合うことはまれ。血液学の醍醐味は、街場―そう毎日向き合う、ありふれた血液検査値異常を読みこなすことにあるんです。高齢者の貧血、若年者の貧血、健診で見つかるような検査値異常など、ありふれた血液疾患も、年齢や症状に応じた確認すべき項目を押さえると、驚くほど簡単に原因を突き止め治療のルートにのせることができるようになります。日々の診療に活きる血液学の使い方を学びましょう!第1回 小球性貧血を診る小球性貧血は最もよくみる血液疾患。なかでも鉄欠乏性貧血は頻繁に出合うからこそ、気を付けたい落とし穴があります。MCV低値だけで判断していませんか?鉄剤が効かないときどうしますか?貧血を正しく診断・治療するためのエッセンスをお伝えします。第2回 大球性貧血を診る国試でよく出題される悪性貧血、臨床で遭遇することはまれ。日常診療で必要なのは、MCVの数値ごとに疑う疾患を理解すること。MCV101~110、110~120、そしてMCV130以上と分けて、簡潔に疑うべき疾患とすべき検査や治療をコンパクトに解説します。第3回 高齢者/思春期の貧血高齢者の貧血、原因は3つに分けられれます。原因ごとにその鑑別と対応を解説します。思春期の患者、女子ならば月経の開始とともに鉄欠乏性貧血を疑いますが、実は男子でも貧血の可能性があるんです。どんな場合に気を付けるべきか伝授します。第4回 多血症を診る多血症、Ht値の上昇をみたとき、真っ先に確認すべきは喫煙の有無。喫煙者と非喫煙者では検査前確率が大きく異なります。喫煙、非喫煙ごとに気を付けるべき項目を解説します。第5回 白血球の異常を診る健診で見つかるような白血球の増加減少。増加・減少のどちらでも、白血球の分画を確認すると原因を鑑別することができます。経過観察でよい例、すぐに専門医に紹介すべき場合を実例を提示して、注目すべきポイントをさくっと解説します。第6回 血小板の異常を診る血小板の減少や増加は健診で発見されるケースが多い異常値ですが、実は疾患でない場合も多いもの。クローナルな異常を疑う前に、疾患に起因しない異常を除外する方法を学びます。よくある2つの事例を押さえれば、あとは通常の診療とすこしの血液学の知識で対応可能です。緊急に専門医に紹介すべき例もあるので、番組で取り上げる異常値は必ず押さえておきましょう。

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高リスク2型糖尿病の心血管リスク、リナグリプチンvs.グリメピリド/JAMA

 心血管リスクが高い比較的早期の2型糖尿病患者の治療において、DPP-4阻害薬リナグリプチンはSU薬グリメピリドに対し、心血管死、非致死的な心筋梗塞・脳卒中の複合のリスクが非劣性であることが、米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが行ったCAROLINA試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年9月24日号に掲載された。2型糖尿病は心血管リスクを増加させる。リナグリプチンの心血管安全性を評価したプラセボ対照比較試験では非劣性が示されているが、実対照薬との比較試験は実施されていなかった。43ヵ国607施設が参加した実薬対照非劣性試験 本研究は、43ヵ国607施設が参加した二重盲検無作為化実薬対照非劣性試験であり、2010年11月~2012年12月の期間に患者登録が行われた(Boehringer IngelheimとEli Lilly and Companyの助成による)。 対象は、HbA1c 6.5~8.5%の2型糖尿病で、心血管リスク因子として、(1)アテローム動脈硬化性心血管疾患(虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患)、(2)2つ以上のリスク因子(2型糖尿病罹患期間>10年、収縮期血圧>140mmHg、喫煙など)、(3)年齢70歳以上、(4)細小血管合併症(腎機能障害、増殖網膜症など)を満たす患者であった。 被験者は、通常治療に加えて、リナグリプチン(5mg、1日1回)を投与する群またはグリメピリド(1~4mg、1日1回)を投与する群に無作為に割り付けられた。担当医には、臨床的必要性に応じて、主にメトホルミン、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジンジオン系薬、インスリンを追加または用量を調整することで、血糖降下治療を強化することが奨励された。 主要アウトカムは、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合とし、リナグリプチンのグリメピリドに対する非劣性の評価が行われた。両側検定で、ハザード比(HR)の95.47%信頼区間(CI)の上限値<1.3を満たす場合に非劣性と判定した。体重が1.54kg低く、低血糖が少ない 6,033例(平均年齢64.0歳、2,414例[39.9%]が女性、平均HbA1c値7.2%、罹患期間中央値6.3年、大血管疾患42%、メトホルミン単剤療法59%)が解析の対象となった。フォローアップ期間中央値は6.3年だった。 主要アウトカムは、リナグリプチン群が3,023例中356例(11.8%、2.1/100人年)、グリメピリド群は3,010例中362(12.0%、2.1/100人年)で発生し、非劣性の判定基準を満たした(HR:0.98、95.47%CI:0.84~1.14、非劣性のp<0.001)。一方、優越性は認められなかった(p=0.76)。 主な副次アウトカムとして、主要アウトカムに不安定狭心症による入院を加えて解析を行ったところ、リナグリプチン群が3,023例中398例(13.2%、2.3/100人年)、グリメピリド群は3,010例中401例(13.3%、2.4/100人年)で発生していた(HR:0.99、95%CI:0.86~1.14)。 全死因死亡(HR:0.91、95%CI:0.78~1.06、p=0.23)、心血管死(1.00、0.81~1.24、p=0.99)、心血管系以外の原因による死亡(0.82、0.66~1.03、p=0.08)には有意な差はみられなかった。 HbA1c値の平均変化は、当初、リナグリプチン群よりもグリメピリド群で良好であったが、全体では両群間に有意な差はなかった(256週までの補正後平均重み付け平均差:0%、95%CI:-0.05~0.05)。また、グリメピリド群で早期にわずかな体重増加が認められ、その後は増加せずに維持されたが、全体ではリナグリプチン群のほうが体重が低かった(-1.54kg、-1.80~-1.28)。 有害事象は、リナグリプチン群が2,822例(93.4%)、グリメピリド群は2,856例(94.9%)で発現した。重篤な有害事象は、それぞれ46.4%および48.1%にみられた。 審査によって確定された急性膵炎は、リナグリプチン群15例(0.5%)、グリメピリド群16例(0.5%)に認められ、慢性膵炎は3例(0.1%)および0例(0.0%)、膵がんは16例(0.5%)および24例(0.8%)にみられた。また、1回以上の低血糖エピソードは、それぞれ320例(10.6%)および1,132例(37.7%)で発現し(HR:0.23、95%CI:0.21~0.26)、重症低血糖は10例(0.3%)および65例(2.2%)、入院を要する低血糖は2例(0.1%)および27例(0.9%)に認められた。 著者は「心血管へのベネフィットが証明されているメトホルミン治療後に、さらなる血糖降下治療を要する場合は、リナグリプチンなどのDPP-4阻害薬は低血糖や体重増加のリスクが少ない選択肢となる」としている。

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インフルエンザ発症リスクは喫煙者で5倍超

 喫煙者は、非喫煙者と比較してインフルエンザの発症リスクが高い可能性が示唆された。英国・ノッティンガム大学のLawrence Hannah氏らは、喫煙とインフルエンザ感染との関連をシステマティックレビューで調査し、結果をthe Journal of Infection誌2019年8月26日号に報告した。 研究グループは、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、LILACS、Web of Scienceのデータベースを、それぞれ創刊から2017年11月7日までの期間検索し、関連するランダム化比較試験、コホート研究および症例対照研究を特定した。臨床症状からインフルエンザを定義した研究6件と、検査でインフルエンザウイルスが確認された研究3件が対象とされた。 研究の質は、Newcastle-Ottawa Scaleを使用して評価され、プールされたオッズ比(OR)は、ランダム効果モデルを使用して推定された。 主な結果は以下のとおり。・9つの研究、4万685例の患者についてレビューを行った。・インフルエンザ様症状を報告した6つの研究において、現在の喫煙者は非喫煙者よりも、発症リスクが34%高かった(OR:1.34、95%信頼区間[CI]:1.13~1.59)。・検査で発症が確認された3つの研究において、現在の喫煙者は、インフルエンザ発症リスクが非喫煙者の5倍を超えていた(OR:5.69、95%CI:2.79~11.60)。

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シニアに必要な視力の健康

 9月11日、バイエル薬品株式会社は、都内において「人生100年時代の生き方・老い方会議~100年ずっと見える人生のために~」をテーマに講演会を開催した。 第2回となる今回のテーマは「見えることの重要性」で、講演会では一般のシニア約100名を前に、眼科医師による眼の健康とシニアの生き方の講演や現役で活躍するシニアの代表が登壇し、健康に生きる秘訣などを語った。 同社では、今後も世界各国でヘルシーエイジング(健康的で幸せに歳を重ねていく)活動の応援を推進するとしている。視力が弱ると認知症も増える 講演では飯田 知弘氏(東京女子医科大学医学部眼科 教授)を講師に迎え、「人生100年時代を生き抜くための『眼の健康』」をテーマに、高齢化に伴う眼の疾患について説明した。 これからの人生は100年時代であり、政府も「いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」を目指し、シニアのさまざまなチャレンジを後押ししていると説明し、そのためには「健康」であることが重要と述べた。 健康を保つポイントとして、健康寿命と平均寿命には差がある(男性9.13年、女性12.68年)ことを示し、この差を短くすることが重要と指摘した。また、シニアにとって認知症は大きな問題である。世界保健機関(WHO)が策定した「認知症予防指針」によれば、「有酸素運動」「多量の飲酒を避ける」「血圧を維持」「血糖コントロール」「体重を一定に保つ」「適度な休息」など12項目があり、わが国も認知症施策推進大綱を発表し、本格的に取り組みを開始したことを説明した。同じく、認知症の発症関連リスクとして「難聴」「高血圧」「肥満」「喫煙」「うつ」など9つの因子があり、これらの抑制ができれば発症を35%抑制できると語った1)。 一方で、視力と認知症の関係について研究した藤原京スタディにも触れ、加齢とともに視力不良と認知症が増加し、視力不良の患者では認知症の発症割合が約2~3倍高いことを指摘した2)。シニアは気を付けたい白内障、緑内障、加齢黄斑変性 次に眼の働き、仕組みについて触れ、わが国の視覚障害の原因疾患は、緑内障(28.6%)、網膜性色素変性(14.0%)、糖尿病網膜症(12.8%)、黄斑変性(8.0%)、 脈絡網膜萎縮(4.9%)の順で多く、その中でもシニアの視力障害では、「白内障、緑内障、加齢黄斑変性」の3つが挙げられると同氏は指摘した。 「白内障」は、水晶体が濁ることで起きる視力障害で60歳を過ぎると80%以上、80歳を過ぎると100%で症状が認められる。主な自覚症状として、かすみ目、明るいところで見えにくい、ピントや眼鏡が合わない、2重3重に見えるなどがある。 「緑内障」は、眼圧が高くなり、視神経が障害される疾患。主な自覚症状として、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする。正常眼圧でも起こるケースもあり、日本人に多いという。自覚症状に乏しく、気付きにくいため、定期的な眼科受診が勧められる。 「加齢黄斑変性」は、50歳以上で、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が起こる疾患。欧米では成人の失明原因の1位となっている。主な自覚症状として、視野の中心部が歪む変視症や視野の中心部が黒くなる中心暗点がある。 これらの疾患の治療では、手術が必要となるが、白内障手術により視力が回復することで、認知機能の改善が認められた報告3) もあり、健康の維持には、視力の維持も重要であると指摘した。 同氏は、まとめとして100歳まで健康な視力を維持するために、「病気のことをよく知る」「定期的に眼科受診」「早期発見、早期治療が大切」と3項目を示し、「『人生100年時代』生き生きとした生活を送るためには眼の健康が大切」と強調し、講演を終えた。 この後、シニア代表として中村 輝雄氏(中村印刷所 代表取締役社長)が登壇し、自社が開発した「水平開きノート」(http://nakaprin.jp/)製作の軌跡、眼が健康であればシニアも「働ける、学べる、夢が持てる」と体験談を披露した。■文献1) Livingston G, et al. Lancet. 2017;390:2673-2734.2) Mine M, et al. Biores Open Access. 2016;5:228-234.3) Ishii K, et al. Am J Ophthalmol. 2008;146:404-409.■参考バイエル薬品株式会社 Healthy Aging

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コメディカルによる地域包括ケア、心血管イベント抑制に効果/Lancet

 地域の状況を熟知したプライマリケア医と患者家族、地域住民の支援の下で、医師以外の医療従事者(NPHW)が行う包括的なケアは、血圧コントロールと心血管疾患リスクを実質的に改善することが、カナダ・マックマスター大学のJon-David Schwalm氏らが行ったHOPE 4試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。高血圧は、世界的に心血管疾患の主要な原因である。高血圧のコントロールは、その有益性が証明されているにもかかわらず、十分に実施されていないという。Schwalm氏らは、コントロール不良および新規に診断された高血圧患者では、降圧治療とともに、地域の状況を詳細に分析して得られた他のリスク因子を改善する包括的なアプローチが、通常ケアに比べ有効性が高いとの仮説を立て、検証を行った。2つの中所得国30地域のクラスター無作為化試験 本研究は、NPHW、プライマリケア医、患者家族、有効な薬剤の提供から成るケアのモデルが、心血管疾患のリスクを実質的に低減するか否かの検証を目的に、2014~17年の期間にコロンビアとマレーシアの30地域(15地域ずつ)で実施された地域住民ベースのクラスター無作為化対照比較試験である(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成による)。 30地域は、介入群と対照群に無作為に割り付けられた。介入群では、(1)NPHWが、タブレット型コンピュータ内の簡易な管理アルゴリズムと指導プログラムを用いて心血管疾患リスク因子の治療を行い、(2)医師の監督下でNPHWが無料の降圧薬およびスタチンを推奨し、(3)治療支援者として患者家族または友人が、服薬や健康的な行動の順守を改善する手助けを行った。対照群では通常治療が行われた。 主要アウトカムは、フラミンガムリスクスコア(FRS)によるベースラインから12ヵ月までの心血管疾患10年リスク推定値の変化の差とした。SBP<140mmHg達成の変化は2倍以上に 30地域(1,371例)のうち14地域が介入群(644例、平均年齢65.1歳[SD 9.1]、女性58%)に、16地域は対照群(727例、65.8歳[9.7]、54%)に割り付けられた。1,371例中1,299例(生存例の97%、介入群607例、対照群692例)が12ヵ月のフォローアップを完遂した。 ベースラインにおいて対照群で、喫煙者(7.8% vs.9.4%)と糖尿病患者(32% vs.37%)が多かった。全体の参加者の多く(1,008例、73.5%)が高血圧既往で、降圧薬を服用していたが血圧はコントロールされていなかった。残りの参加者は新規に診断された高血圧患者であった。 FRSの10年心血管疾患リスクのベースラインから12ヵ月までの変化は、介入群が-11.17%(95%信頼区間[CI]:-12.88~-9.47)、対照群は-6.40%(-8.00~-4.80)であり、両群間の変化の差は-4.78%(-7.11~-2.44)と、介入群で有意に良好であった(p<0.0001)。介入群におけるFRSの相対的減少率は34.2%だった。 介入群は対照群と比較して、12ヵ月時の収縮期血圧(SBP)の変化が11.45mmHg(95%CI:-14.94~-7.97)低く、総コレステロール値が0.45mmol/L(-0.62~-0.28)、LDLコレステロール値は0.41mmol/L(-0.60~-0.23)低下した(いずれもp<0.0001)。また、12ヵ月時の血圧コントロール(SBP<140mmHg)達成の変化は、介入群が対照群の2倍以上であった(69% vs.30%、p<0.0001)。 一方、血糖値、HDLコレステロール値、禁煙率、体重には両群間に有意な差はみられなかった。 介入群で18件の重篤な有害事象が発現したが、いずれも試験関連薬が原因ではなく、17件(94%)では患者が服薬を継続していた。死亡、心筋梗塞、脳卒中、これらの複合、心血管疾患による入院は、いずれも両群間に有意な差はなかった。 著者は、「HOPE 4戦略は効果的かつ実用的であり、2つの中所得国において、一般に医師が行う現在の戦略と比較して、実質的に心血管疾患を低減する可能性がある」としている。

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