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EGFR変異陽性非小細胞肺がん患者のQOLを改善するゲフィチニブ NEJ(North East Japan)002 試験 QOL分析

Oizumi氏らは、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん患者のQOLに対するゲフィチニブの効果を評価した。本報告は、The Oncologist誌オンライン版2012年5月11日号に掲載された。NEJ002試験では、EGFR変異陽性の非小細胞肺がんにおいて、ゲフィチニブ一次治療は無増悪生存期間(PFS)の有意差を証明したものの全生存期間(OS)の有意差を示すにはいたっていない。このレポートでは、同試験におけるQOL分析を紹介している。EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん患者は、ゲフィチニブ群と化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)群に無作為に振り分けられ、それぞれのQOLについてケアノートを用いて評価した。主要エンドポイントは、身体性、心理的、生活の各QOL尺度の無増悪期間である。148例(ゲフィチニブ群 72例、カルボプラチン+パクリタキセル群76例)のQOLデータ分析の結果、身体性QOL尺度と生活QOL尺度は、化学療法群に比べゲフィチニブ群で有意に無増悪期間が長かった(HR:0.34、95%CI:0.23~0.50、p

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パゾパニブ、転移性軟部肉腫の無増悪生存期間を有意に延長

マルチターゲットの経口チロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブは、化学療法施行後に病態が進行した非脂肪細胞性の転移性軟部肉腫の新たな治療選択肢となることが、オランダ・Radboud大学医療センターのWinette T A van der Graaf氏らが実施したPALETTE試験で示された。軟部肉腫は成人のがんの1%ほどのまれな間葉腫瘍で、米国では年間約1万1,280人が罹患、約3,900人が死亡し、欧州では年間に10万人当たり5人の割合で発症しているという。パゾパニブは非脂肪細胞性の進行軟部肉腫に対する抗腫瘍効果が確認されている。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月16日号)掲載の報告。パゾパニブの有用性を評価するプラセボ対照無作為化第III相試験PALETTE試験は、標準治療に抵抗性となった非脂肪細胞性の転移性軟部肉腫患者に対するパゾパニブの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験。2008年10月9日~2010年2月26日までに13ヵ国72施設から、標準的な化学療法を1~4レジメン施行後に病態が進行した転移性軟部肉腫で、血管新生阻害薬による治療を受けていない患者が登録され、パゾパニブ800mg/日あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。試験治療終了後のクロスオーバーは行わないこととした。患者、担当医、アウトカムの評価者、解析担当者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であった。PFS中央値が3ヵ月延長、OSには差なし登録された372例のうち369例が評価可能であり、パゾパニブ群に246例が、プラセボ群には123例が割り付けられた。PFS中央値はパゾパニブ群が4.6ヵ月と、プラセボ群の1.6ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.31、95%信頼区間[CI]0.24~0.40、p<0.0001)。全生存期間(OS)はパゾパニブ群が12.5ヵ月、プラセボ群は10.7ヵ月と、両群で同等であった(HR:0.86、95%CI:0.67~1.11、p=0.25)。最も頻度の高い有害事象は、疲労(パゾパニブ群:65%、プラセボ群:49%)、下痢(58%、16%)、悪心(54%、28%)、体重減少(48%、20%)、高血圧(41%、7%)であった。相対的な用量強度(dose intensity)はプラセボ群が100%、パゾパニブ群は96%だった。著者は、「化学療法施行後に病態が進行した非脂肪細胞性の転移性軟部肉腫の治療では、パゾパニブが新たな治療選択肢となることが示された」と結論し、「本試験の対象はきわめて予後不良で、不均一な患者集団であり、パゾパニブの有用性が確かめられたことの意義は大きい」としている。(菅野守:医学ライター)

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転移性大腸がんにおけるXELOX+ベバシズマブ:dose-denseと標準スケジュールとの比較

米国の転移性大腸がん患者に対する第II相無作為化比較試験において、「2週ごとdose-dence XELOX〔カペシタビン(商品名:ゼローダ)+オキサリプラチン(商品名:エルプラット)、2週ごと、カペシタビン7日間投与〕+ベバシズマブ(商品名:アバスチン)」は、「標準的なXELOX(3週ごと、カペシタビン14日間投与)+ベバシズマブ」に比べて、有効性、安全性とも下回ることが、The Oncologist誌オンライン版2012年5月23日号に報告された。この結果から、Hurwitz氏は「2週ごとdose-dence XELOX+ベバシズマブは、米国の転移性大腸がん患者の1stライン治療には推奨できない。現在の標準的な3週ごとのXELOXが、転移性大腸がんの治療に適している」と結論している。これまでに、カペシタビンを2週ごとに7日間投与するXELOXが、カペシタビンを3週ごとに14日間投与する標準的なXELOXと同等の有効性と安全性プロファイルを有することが報告されている。また、複数の研究から、5-FUベースの化学療法+ベバシズマブは、有効かつ忍容性があることが示されている。本試験では、米国の転移性大腸がん患者435例を、「3週ごとの標準XELOX+ベバシズマブ」群(Q3W群)と「2週ごとのdose-dence XELOX+ベバシズマブ」群(Q2W群)の2群に無作為に割り付け、比較した。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。主な結果は以下のとおり。 ・PFS中央値は、Q3W群9.6ヵ月、Q2W群9.1ヵ月であった。・全生存期間中央値は、Q3W群28.4ヵ月、Q2W群22.1ヵ月であった。・有害事象は、消化管障害が最も多かった(93%)。・グレード3または4の有害事象は、Q3W群75%、Q2W群81%の患者で発現した。・下痢による治療中止は、Q3W群5%、Q2W群10%、手足症候群による治療中止はQ3W群2%、Q2W群9%で、Q2W群よりQ3W群で少なかった。 (ケアネット 金沢 浩子) 今すぐ、ポイント付きコンテンツをチェック

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進行期のホジキンリンパ腫への6サイクルBEACOPP+放射線療法

進行期のホジキンリンパ腫の最も有望な治療法と目されている多剤併用化学療法のBEACOPPに関して、標準としてきた8サイクルと比べて、6サイクル+PET活用の放射線療法が、無治療失敗(FFTF)についてより効果があり、かつ8サイクルで懸念される毒性を低減することが示された。ドイツ・ケルン大学病院のAndreas Engert氏らによる無作為化オープンラベル非劣性試験の結果で、Engert氏は、「6サイクル+PET活用の放射線療法を、進行期ホジキンリンパ腫の治療選択肢の一つとすべきであろう」と結論した。また化学療法後のPET活用の有用性について、「追加的な放射線療法に欠かせないもの」とまとめている。Lancet誌2012年5月12日号(オンライン版2012年4月4日号)掲載報告より。BEACOPPの強度と放射線療法の必要性について検討研究グループは、進行期ホジキンリンパ腫患者への化学療法の強度と放射線療法の必要性について明らかとするため、多施設共同オープンラベルパラレル平行非劣性試験「HD15」を行った。研究グループが以前標準レジメンとしていた8サイクルBEACOPP(8×Besc)と、2つの強度を弱めた、6サイクルBEACOPP(6×Besc)と、14日間を1サイクルとして8サイクル行うBEACOPP(8×B14)とを比較検討した。被験者は化学療法後、PET検査で2.5cm以上の腫瘍が認められた場合、追加で放射線療法(30Gy)を受けることとした。試験に登録されたのは、18~60歳の進行期ホジキンリンパ腫の新規患者2,182例だった。主要エンドポイントは無治療失敗(FFTF)とした。また12ヵ月時点のPETによる腫瘍再発の陰性予測値を独立エンドポイントとした。6×Besc群、標準の8×Besc群に対して非劣性登録被験者のうち2,126例が無作為に、8×Besc群705例、6×Besc群711例、8×B14群710例に割り付けられintention-to-treat解析が行われた。FFTFは、結果としては6×Besc群と8×B14群は、8×Besc群に対し非劣性だった。5年FFTF率は、8×Besc群84.4%[97.5%信頼区間(CI):81.0~87.7]、6×Besc群89.3%(同:86.5~92.1)、8×B14群85.4%(同:82.1~88.7)だった(6×Besc群と8×Besc群との差の97.5%CI:0.5~9.3)。3群の全生存率は、8×Besc群91.9%、6×Besc群95.3%、8×B14群94.5%で、8×Besc群よりも6×Besc群が有意に良好だった(両群間差の97.5%CI:0.2~6.5)。死亡率は8×Besc群(7.5%)が、6×Besc群(4.6%)、8×B14群(5.2%)よりも高値を示した。その差の要因は、主として治療関連のイベントにあり(各群2.1%、0.8%、0.8%)、副次的には二次性腫瘍によるものだった(各群1.8%、0.7%、1.1%)。追加放射線療法を受けたのは2,126例中225例(11%)で、12ヵ月時点のPET評価による陰性予測値は94.1%(95%CI:92.1~96.1)だった。

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乳がんにおける術後タキサン単独化学療法の忍容性は?:無作為化比較試験N-SAS BC 02

乳がんの術後化学療法においては、アンスラサイクリン系の薬剤が中心をなしてきたが、心毒性などの有害事象があることから、アンスラサイクリンを含まないレジメンの検討がなされている。わが国でも、無作為化比較試験によりタキサン単独療法が検討され(N-SAS BC 02)、現在、「乳癌診療ガイドライン」において術後化学療法の選択肢の1つとして勧められている。一方、タキサン投与により末梢神経障害が多くみられることから、忍容性の検討が求められる。立命館大学の下妻晃二郎氏らは、化学療法による末梢神経障害(CIPN)の重症度と健康関連QOLを用いて、タキサンを含む術後化学療法における相対的忍容性を評価。その結果、「患者評価によるCIPNは、タキサン単独療法がAC(アンスラサイクリン+シクロホスファミド〔商品名:エンドキサン〕)→タキサンに比べ有意に重篤であった。しかしながら、健康関連QOLの結果はタキサン単独療法の忍容性を支持している」と下妻氏らは報告した。この論文はSupport Care Cancer誌2012年5月15日付オンライン版に掲載された。本試験では、多施設第III相試験(N-SAS BC 02)で最初に登録された腋窩リンパ節転移陽性乳がん患者300例が以下の4群に無作為に割り付けられ、CIPNと健康関連QOLが評価された。 1)AC→パクリタキセル(商品名:タキソールなど) 2)AC→ドセタキセル(商品名:タキソテールなど) 3)パクリタキセル単独 4)ドセタキセル単独 CIPNの評価は患者評価(Patient Neurotoxicity Questionnaire:PNQ)と医師評価(NCI-CTC)が、また、健康関連QOLの評価は患者評価(Functional Assessment of Cancer Therapy -General:FACT-G)が用いられている。主な結果は以下のとおり。 ・PNQスコアは、タキサン単独療法群がAC→タキサン群に比べて有意に高かった(p=0.003)。パクリタキセルを含むレジメンとドセタキセルを含むレジメンの間に有意差はみられなかった(p=0.669)。・PNQスコアは、術後化学療法1年以内でほとんどが回復した。・FACT-Gスコアは、治療期間中、いずれのレジメン間においても有意差はみられなかった。(ケアネット 金沢 浩子)

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進行胃がん治療におけるベバシズマブのバイオマーカーの検討:無作為化第III相試験(AVAGAST)での評価

進行胃がんの1stライン治療において、ベバシズマブ(商品名:アバスチン、胃がんには未承認)を化学療法と併用する場合の転帰を予測するバイオマーカーとして、血漿VEGF-Aと腫瘍neuropilin-1が候補となることが、5月7日付Journal of Clinical Oncology誌オンライン速報版に掲載された。これは、未治療の局所進行または転移性胃がん患者における、化学療法へのベバシズマブ併用の有用性を検討した無作為化第III相試験であるAVAGASTにおいて評価されたもの。Eric Van Cutsemらが報告した。本試験では、ベバシズマブ併用群(n = 387)またはプラセボ群(n = 387)に無作為に割り当て、治療開始時、血漿サンプルを712例(92%)から、腫瘍組織サンプルを727例(94%)から採取した。なお、事前にバイオマーカーとして、血漿中の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)-A、neuropilin-1、VEGF受容体(VEGFR)-1およびVEGFR-2が指定されていた。主な結果は以下の通り。 ・投与開始時における血漿VEGF-A値および腫瘍neuropilin-1の発現は、ベバシズマブの有効性の予測因子として同定された。・投与開始時に血漿VEGF-Aが高値の患者の全生存率(ハザード比[HR]:0.72、95%CI:0.57~0.93)は、低値の患者(HR:1.01、95%CI:0.77~1.31)に比べて改善傾向が認められた(interaction p = 0.07)。・neuropilin-1発現が低い患者の全生存率(HR:0.75、95%CI:0.59~0.97)は、高い患者(HR:1.07、95%CI:0.81~1.40)に比べて改善傾向が認められた(interaction p = 0.06)。・サブグループ解析において、アジア地域以外の患者でのみ、両バイオマーカーの有意性が示された。

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低量分割ゲムツズマブ・オゾガマイシン追加療法、AMLの1次治療アウトカムを改善

ゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO、商品名:マイロターグ)の低量分割投与法は、急性骨髄性白血病(AML)の1次治療において安全に施行可能で、標準的な化学療法との併用により、標準治療単独に比べアウトカムを実質的に改善することが、フランスVersailles-Saint Quentin大学Mignot病院のSylvie Castaigne氏らが行ったALFA-0701試験で示された。標準治療と、ヒト化抗CD33モノクローナル抗体とカリケアマイシンの複合体であるGOの併用療法は、第III相試験で相反する結果が報告されている。一方、GOは当初、9mg/m2を第1、14日に投与するレジメンが用いられたが、血液毒性や肝中心静脈閉塞(VOD)に起因する肝毒性が高頻度に発現したことから、低量分割レジメン(3mg/m2[最大5mg/m2]、第1、4、7日)が開発されたという。Lancet誌2012年4月21日号(オンライン版2012年4月5日号)掲載の報告。低量分割GOの上乗せ効果を無作為化第III相試験で検証ALFA-0701試験は、AMLに対する1次治療としての標準的化学療法への低量分割GOの上乗せ効果を検証する非盲検無作為化第III相試験。2008年1月~2010年11月までに、フランスの26施設から新規に診断された50~70歳の未治療ALM患者が登録された。これらの患者が、寛解導入療法として標準治療単独あるいは標準治療+GOを施行する群に無作為に割り付けられた。標準治療群はダウノルビシン(60mg/m2、第1~3日)+シタラビン(200mg/m2、第1~7日間)を行い、GO追加群は標準治療に加えGO(3mg/m2、第1、4、7日)を投与した。15日目に骨髄穿刺を行い、骨髄芽球が10%以上の患者には2回目の寛解導入療法としてダウノルビシン(60mg/m2、第1~2日)+シタラビン(1,000mg/m2/12時間、第1~3日)を施行した。完全寛解(CR)または血小板回復が不十分なことを除きCR(CRp)を達成した患者には、さらに2回の地固め療法を実施した。すなわち、標準治療群では、1回目はダウノルビシン(60mg/m2、第1日)+シタラビン(1,000mg/m2/12時間、第1~4日)、2回目はダウノルビシン(60mg/m2、第1~2日)+シタラビン(1,000g/m2/12時間、第1~4日)を施行した。GO追加群には各回とも標準治療に加えGO(3mg/m2、第1日)を投与した。1次治療としてのGOの再評価を正当化する知見280例が登録され、標準治療群に140例、GO追加群にも140例が割り付けられた。それぞれ139例ずつが解析の対象となった。寛解導入療法のCR/CRp率は、標準治療群が75%(104/139例)、GO追加群は81%(113/139例)であり、有意な差はなかった(オッズ比:1.46、95%信頼区間[CI]:0.20~2.59、p=0.25)。主要評価項目である2年後の無イベント生存率(EFS)は、標準治療群の17.1%に対しGO追加群は40.8%と有意に改善し(ハザード比[HR]:0.58、95%CI:0.43~0.78、p=0.0003)、副次的評価項目である全生存率(OS)にも有意差が認められた(標準治療群:41.9% vs. GO追加群:53.2%、HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p=0.0003)。無再発生存率(RFS)もGO追加群が有意に優れた(22.7% vs. 50.3%、HR:0.52、95%CI:0.36~0.75、p=0.0003)。血液毒性のうち、特に持続性血小板減少が標準治療群に比べGO追加群で多かったが(3% vs. 16%)、毒性に起因する死亡リスクの増大は認めなかった。著者は、「GOは低量分割投与により、累積的高用量を安全に投与することが可能となり、実質的なアウトカムの改善をもたらした」と結論づけ、「これらの知見は、AMLに対する1次治療としてのGOの再評価を正当化するものだ」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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抗がん剤「HALAVEN」の中東欧地域におけるファーマスイス社との販売提携

エーザイは5日、英国子会社であるエーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、抗がん剤「HALAVEN」(一般名:エリブリン メシル酸塩)について、中東欧地域における販売提携契約をファーマスイス社(本社:スイス)と締結したと発表した。同剤は、前治療歴のある転移性乳がんの患者様において、単剤で統計学的に有意に全生存期間を延長した世界で初めての新規抗がん剤であり、「アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種のがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん」患者様に対する単剤療法として2011年3月に欧州委員会(European Commission)から承認され、現在、欧州11カ国において販売されている。今回の契約に基づき、ファーマスイス社はブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、 ルーマニア、ハンガリー、スロベニアにおいて、HALAVENの販売活動を行うという。本提携により、エーザイが販売拠点を持たないこれら中東欧の国々の患者様に、革新的新薬である「HALAVENR」を供給することが可能になる。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news201215.html

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深在性真菌症治療薬 カスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス)

深在性真菌症治療薬のカスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス点滴静注用50mg、同点滴静注用70mg)が2012年1月18日に製造承認を取得した。適応は「(1)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(FN)、(2)カンジダ症(食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症)、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)」となっている。深在性真菌症の現状深在性真菌症は、主に、白血病をはじめとした血液疾患やがんに対する化学療法、造血幹細胞移植における好中球減少時など、免疫力が低下している患者において、深部組織や臓器にカンジダ属やアスペルギルス属などが日和見感染することで感染を引き起こす疾患である。一般に重症化しやすく、治療が難しい感染症である。我が国における深在性真菌症の患者数は年々、増加傾向にあり、その中でもアスペルギルス症の増加が著しいとの報告がある1)。カスポファンギンの承認これまで、アゾール系、ポリエン系、フロロピリミジン系、キャンディン系などの深在性真菌症治療薬が使用されてきた。この度、承認されたカスポファンギンは、国内で2剤目となるキャンディン系抗真菌薬で、2000年12月に世界初のキャンディン系として承認されて以来、これまでに世界84ヵ国(2011年9月現在)と、多くの臨床現場で使用されてきた。カスポファンギンは既に、IDSA(米国感染症学会)のガイドラインをはじめ、さまざまな海外のガイドラインで推奨されている。このため、深在性真菌症治療に携わる医療関係者からの認知度は高く、国内での承認が待ち望まれてきた薬剤である。特に、カスポファンギンがキャンディン系で初めて「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症」の適応を取得した意義は大きい。発熱性好中球減少症におけるエンピリック治療発熱性好中球減少症とは好中球が1,000/μL未満で且つ、500/μL未満になる可能性がある状況下で、腋窩で37.5℃以上(口腔内温≧38℃)の発熱が生じ、薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなど原因がはっきりわかっているものを除外できる疾患をいう。発熱性好中球減少症は血液培養で10%程度の陽性率と低く、臨床的に感染巣が明らかなものは10~20%程度に留まり、70~80%で原因不明の発熱がおこる2)。このようなことから発熱性好中球減少症では、起因菌が特定できないまま、細菌や真菌感染を疑い、エンピリック治療が行われることが多い。しかしながら、これまで、キャンディン系には、発熱性好中球減少症の適応はなかった。この度、カスポファンギンが適応を取得したことにより、深在性真菌症治療に新たな選択肢が加わることは、患者や医療関係者にとって福音となるであろう。まとめ医療技術の発展による、骨髄・臓器移植、がんに対する化学療法などといった高度医療の普及や高齢化社会の進行により、患者の免疫低下リスクが高まる要因は増えていくと考えられる。そして、免疫低下患者の増加に伴い、深在性真菌症も増加することが予想される。このような背景の中、カスポファンギンが新たな選択肢となり、深在性真菌症治療の幅が広がることは、医療関係者にとって新たな治療戦略となる。そして、それは患者やその家族の明日への希望につながるといえよう。

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がん化学療法中の患者へのsemuloparin、血栓塞栓症イベントを低下

がん化学療法を受けている患者に対するsemuloparinの投与は、重大出血の顕著な増加なく、血栓塞栓症イベント発生率を低下することが明らかにされた。イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らが、47ヵ国395施設から3,212例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検試験の結果による。がん化学療法を受けている患者は、静脈血栓塞栓症のリスクが高いことが知られる。これまで、抗血栓薬の予防処置の臨床上の有益性が支持された試験データは限定的なものだった。NEJM誌2012年2月16日号掲載報告より。静脈血栓塞栓症予防と出血を判定研究グループは、がん化学療法を受けている患者の静脈血栓塞栓症予防について、超低分子量ヘパリンsemuloparinの有効性と安全性を評価することを目的に試験を行った。転移性または局所進行性の固形腫瘍に対する化学療法を受ける患者を、semuloparinを1日1回20mg皮下投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、化学療法のレジメン変更となるまで投与が行われた。主要有効性アウトカムは、あらゆる症候性深部静脈血栓症、あらゆる非致死性肺塞栓症、静脈血栓塞栓症に関連した死亡の複合とした。主要安全性アウトカムは、臨床的意義のある出血(重大および重大でない)とした。血栓塞栓症イベントの発生率を抑え得る治療期間の中央値は3.5ヵ月だった。静脈血栓塞栓症は、プラセボ投与群1,604例のうち55例(3.4%)で発生(リスク比:0.36、95%信頼区間:0.21~0.60、P<0.001)したのと比較して、semuloparin投与群では1,608例のうち20例(1.2%)だった。がんの原発部位、ステージ、ベースラインの静脈血栓塞栓症リスクで定義されたサブグループにおいても、一貫した有効性が認められた。臨床的意義のある出血の発生率は、semuloparin群2.8%、プラセボ群2.0%だった(リスク比:1.40、95%信頼区間:0.89~2.21)。大出血は、semuloparin投与群1,589例中19例(1.2%)、プラセボ投与群は1,583例中18例(1.1%)だった(同:1.05、0.55~1.99)。その他の有害事象の発生率はすべて両群で同程度だった。(朝田哲明:医療ライター)

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早期乳がんの術後化学療法、どのレジメンが最も有効か?:約10万例のメタ解析

早期乳がんの術後化学療法では、アントラサイクリン系薬剤+タキサン系薬剤ベースのレジメンおよび高用量アントラサイクリン系薬剤ベースレジメンによって乳がん死が約3分の1低下することが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で明らかとなった。乳がんの術後化学療法の効果には差があり、治療法の選択に影響を及ぼす可能性があるという。EBCTCGは、すでに1995年までに開始された試験のメタ解析の結果を報告しているが、用量は考慮されず、タキサン系薬剤は含まれていなかった。Lancet誌2012年2月4日号(オンライン版2011年12月6日号)掲載の報告。1973~2003年に開始された123件、約10万例のメタ解析研究グループは、早期乳がんに対する個々の化学療法レジメンの有用性を比較するために、無作為化試験の患者データを用いたメタ解析を実施した。1973~2003年に開始された全無作為化試験123件の2005~2010年の個々の患者データ(約10万例)を収集した。試験の内訳は、1)タキサン系薬剤(TAX)ベースレジメンと非TAX系薬剤ベースレジメンを比較した33試験(1994~2003年に開始)、2)アントラサイクリン系薬剤(Anth)ベースレジメンとCMF(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)を比較した20試験(1978~1997年に開始)、3)高用量と低用量のAnthベースレジメンを比較した6試験(1985~1994年に開始)、4)多剤併用化学療法と非化学療法を比較した64試験(1973~1996年に開始、種々のAnthベースレジメンに関する22試験およびCMFに関する12試験を含む)。年齢や腫瘍の性状などの背景因子は影響しない用量を固定したAnthベースの対照群に比べ、これにTAXを4コース追加して治療期間を延長した群では、乳がん死が有意に低下した(率比[RR]:0.86、両側検定:2p=0.0005)。同様にTAX 4コースを追加し、対照群も他の薬剤をほぼ2倍の用量を追加してバランスを調整した試験では、有意な差は認めなかった(RR:0.94、2p=0.33)。CMFを対照とした試験では、標準4AC(ドキソルビシン+シクロホスファミド、3週ごと、4コース)と標準CMF(4週ごと、6コース)の乳がん死抑制効果はほぼ同等(RR:0.98、2p=0.67)だったが、標準4ACよりも高用量である3剤併用Anthベースレジメン(CAF[シクロホスファミド+ドキソルビシン+フルオロウラシル、4週ごと、6コース]、CEF[シクロホスファミド+エピルビシン+フルオロウラシル、4週ごと、6コース])は、標準CMFに比べ高い効果を示した(RR:0.78、2p=0.0004)。非化学療法群との比較試験では、CAF(RR:0.64、2p<0.0001)、標準4AC(RR:0.78、2p=0.01)、標準CMF(RR:0.76、2p<0.0001)のいずれのレジメンも、有意に乳がん死抑制効果を改善したが、標準4ACや標準CMFに比べCAFの有効性が優れることが示唆された。すべてのTAXベースまたはAnthベースレジメンに関するメタ解析では、年齢、リンパ節転移の有無、腫瘍径、腫瘍分化度、エストロゲン受容体の状態、タモキシフェンの使用歴による有効性の差はほとんどみられなかった。それゆえ、年齢や腫瘍の性状とは無関係に、TAX+Anthベースまたは高用量Anthベースレジメン(CAF、CEF)は乳がん死を平均で約3分の1低下させることが確認された。著者は、「非化学療法群と比べても、TAX+Anthベースまたは高用量Anthベースレジメンは10年間で乳がん死亡率を約3分の1低下させた。エストロゲン受容体陽性例に適切なホルモン療法を行ってもリスクは変わらなかった」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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子宮内容除去術後のhCG高値持続例は経過観察で

胞状奇胎妊娠女性に対する子宮内容除去術から6ヵ月以降もヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)高値が持続する場合、化学療法を行わなくとも、一定の指針に基づいて経過を観察すれば、hCG値は自然に低下する可能性が高いことが、英国Imperial College LondonのRoshan Agarwal氏らの検討で示された。イギリスでは妊娠1,000件当たり1~3件の頻度で全胞状奇胎または部分胞状奇胎がみられ、奇胎妊娠女性には妊娠第1期の膣出血や、血清あるいは尿中hCG値の上昇が認められる。胞状奇胎に対する子宮内容除去術から6ヵ月後もhCG値の上昇がみられる場合は、その価値は下落しつつあるとはいえ、妊娠性絨毛性疾患として化学療法が適応されるという。Lancet誌2012年1月14日号(オンライン版2011年11月29日号)掲載の報告。経過観察群と化学療法群をレトロスペクティブに評価研究グループは、胞状奇胎妊娠に対し子宮内容除去術を施行後もhCG値の上昇が持続する患者に対し、現在でも化学療法は必須か否かを評価するために、レトロスペクティブなコホート試験を実施した。1993年1月~2008年5月までにCharing Cross病院(ロンドン市)を受診し、胞状奇胎の子宮内容除去術から6ヵ月後もhCG高値が持続していた患者を登録した。6ヵ月以降も経過観察のみを続けた患者と、化学療法を施行した患者においてhCG値の正常化率、再発率、死亡率の評価を行った。一定の指針に基づく経過観察は、患者の75%以上でhCG値が正常に帰した場合に臨床的に許容されることとした。hCG値正常化率:98% vs. 80%胞状奇胎の妊婦1万3,960例のうち、子宮内容除去術から6ヵ月以降もhCG値>5IU/Lが持続した患者は76例(<1%)であった。これらの患者のうち経過観察のみを行ったのは66例(87%)で、そのうち65例(98%)が化学療法を受けずにhCG値が自然に正常に帰した。残りの1例は慢性腎不全が原因でhCG値が正常化しなかったが、現在は健康を維持している。化学療法を受けた10例のうち、hCG値が正常化したのは8例(80%)で、残りの2例はhCG値がわずかに高値(6~11 IU/L)を維持したが、それ以上の治療を行わなくとも臨床的な問題は生じなかった。この経過観察群98%、化学療法群80%という正常化率には有意差が認められた(p=0.044)。子宮内容除去術から6ヵ月後のhCG値中央値は、化学療法群よりも経過観察群で有意に低かった(13 IU/L[5~887] vs. 157 IU/L[6~6、438]、p=0.004)が、それ以外の因子は両群間に有意な差はみられなかった。両群ともに死亡例は認めなかった。著者は、「子宮内容除去術から6ヵ月以降もhCG高値が持続する胞状奇胎妊娠女性には、化学療法よりも一定の指針に基づく経過観察が推奨される」と結論し、「化学療法はhCG値345 IU/L以上が持続する場合に考慮すべき」としている。(菅野守:医学ライター)

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腎細胞がんに対するセカンドライン治療の第III相試験、axitinib対ソラフェニブ

新規の分子標的薬であるaxitinibは、進行腎細胞がんに対するセカンドライン治療の標準的治療薬であるソラフェニブに比べ、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、新たな選択肢となる可能性があることが、米国・Cleveland Clinic Taussig Cancer InstituteのBrian I Rini氏らが行ったAXIS試験で示された。毎年、世界で約17万人が腎細胞がんと診断され、7万2,000人が死亡している。多くが切除不能な進行病変として発見され、局所病変の多くは再発し、化学療法薬やサイトカイン製剤に抵抗性を示す頻度も高い。進行腎細胞がんの治療は分子標的薬の登場によって激変したが、現在まで分子標的薬同士の効果を比較した第III相試験の報告はされていなかった。Lancet誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月4日号)掲載の報告。2つの分子標的薬を直接比較する無作為化第III相試験AXIS試験の研究グループは、第2世代の選択的血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体阻害薬であるaxitinibと、欧米で転移性腎細胞がんのセカンドライン治療として承認されているVEGF受容体阻害薬ソラフェニブの有用性を比較する無作為化第III相試験を行った。22ヵ国175施設から、ファーストライン治療としてスニチニブ、ベバシズマブ+インターフェロンα、テムシロリムス、サイトカイン製剤を用いた治療を行っても病勢が進行した18歳以上の腎細胞がん患者が登録された。これらの患者が、axitinib(5mg、1日2回)あるいはソラフェニブ(400mg、1日2回)を経口投与する群に無作為に割り付けられた。axitinibは、高血圧やグレード2以上の有害反応が発現しなければ7mg、10mgへと増量してもよいこととした。患者および担当医には治療薬はマスクされなかった。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、マスクされた独立の画像審査員によって判定され、intention-to-treat解析が行われた。PFS中央値が2ヵ月延長723例が登録され、axitinib群に361例、ソラフェニブ群には362例が割り付けられた。PFS中央値はaxitinib群が6.7ヵ月と、ソラフェニブ群の4.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比:0.665、95%信頼区間:0.554~0.812、p<0.0001)。有害事象による治療中止は、axitinib群で4%(14/359例)に、ソラフェニブ群は8%(29/355例)に認められた。最も高頻度にみられた有害事象は、axitinib群が下痢、高血圧、疲労感で、ソラフェニブ群は下痢、手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛であった。著者は、「axitinibは、ソラフェニブに比べPFSを有意に延長したことから、進行腎細胞がんのセカンドライン治療の選択肢となる可能性がある」と結論し、「現時点では全生存期間(OS)のデータは不十分なため、さらなる追跡を行う予定である」としている。(菅野守:医学ライター)

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選択的ニューロキニン1受容体拮抗型制吐剤 ホスアプレピタントメグルミン(商品名:プロイメンド)

がん化学療法に伴う悪心・嘔吐に対する制吐剤として、選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬であるホスアプレピタントメグルミン(商品名:プロイメンド点滴静注用150mg、以下プロイメンド)が、2011年12月9日に発売された。本剤は、2009年12月に発売された経口制吐剤アプレピタント(商品名:イメンドカプセル)のプロドラッグ体の注射剤である。がん化学療法における制吐療法の現状と課題抗がん剤の有害事象の1つである悪心・嘔吐は、患者さんのQOLを著しく低下させ、治療継続を妨げる大きな要因となる。その発現時期により、抗がん剤投与後24時間までに発症する「急性」の悪心・嘔吐と、24時間以降に発症する「遅発性」の悪心・嘔吐に分けられ、急性には主にセロトニンが、遅発性には主に中枢でのサブスタンスPが関与するとされている。急性の悪心・嘔吐については、1990年代に発売された5HT3受容体拮抗薬により大きく改善されたが、遅発性の悪心・嘔吐には抑制効果が不十分であった。その後、サブスタンスPとNK1受容体の結合を阻害するアプレピタントが、急性および遅発性の悪心・嘔吐に対して高い有効性が認められ、2009年12月に発売された。さらに、2010年4月、半減期が長く遅発性の悪心・嘔吐にも効果を示す5HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンが発売され、同年5月には日本癌治療学会から制吐薬適正使用ガイドラインが発行されたことにより、制吐療法への関心が高まった。しかし、患者さんが症状を訴えられずにいたり、近年普及してきている外来化学療法では、患者さんが自宅に戻るため悪心・嘔吐症状が把握しにくいなど、症状を見逃す可能性も少なくない。今後、患者さんの症状を拾い上げるためのさらなる工夫が必要と思われる。一方、アプレピタントは経口剤であることから、咽頭・喉頭・食道がんなどの患者さんでは服用が難しく、また、患者さんの認識不足や飲み忘れにより、処方しても服用されないことが懸念されることや、抗がん剤には点滴静注で投与される薬剤も多いことなどから、医療現場では注射剤の発売が期待されていた。注射剤により確実に投与可能今回、発売されたプロイメンドは、アプレピタントのプロドラッグ体であり、静脈内投与後、速やかにアプレピタントに代謝される注射剤である。そのため、経口剤の服用が困難な患者さんにも投与可能であり、飲み忘れを懸念することなく確実に投与できる。本剤1回点滴静注投与によって、急性・遅発性ともに、アプレピタント3日間投与と同等の効果が得られることが海外第Ⅲ相二重盲検比較試験において示されている。国内では、グラニセトロン(iv)+デキサメタゾンリン酸エステル(iv)の2剤併用群(標準治療群)と、この2剤にプロイメンドを追加した3剤併用群(プロイメンド群)を比較した第Ⅲ相二重盲検比較試験において、全期間における有効率がプロイメンド群64.2%と、標準治療群47.3%に比べて有意に(p<0.05)高い有効率が得られた。なお、本試験では26.4%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、便秘(9.2%)、ALT(GPT)上昇(6.9%)、しゃっくり(5.7%)、注入部位疼痛・滴下投与部位痛(5.2%)などであった(承認時)。また、重大な副作用として、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、穿孔性十二指腸潰瘍、アナフィラキシー反応が報告されている(アプレピタントでの報告を含む)。ガイドラインにおける推奨2010年5月発行の制吐薬適正使用ガイドラインでは、高度催吐リスクの抗がん剤・レジメン、中等度催吐リスクの抗がん剤・レジメンのうちカルボプラチン、イホスファミド、イリノテカン、メトトレキサートなどを使用する際には、アプレピタント+5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用が推奨されている。すでに米国など世界30ヵ国以上でプロイメンドが発売されており、ASCOガイドライン(2011年改訂版)やNCCNガイドライン(2011年3月改訂版)には、プロイメンド+5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用が追記されている。わが国の制吐薬適正使用ガイドラインにおいても、次回改訂時に追記されることが予想される。がん化学療法におけるQOL改善と治療継続に期待プロイメンドの登場により、アプレピタントが服用困難ながん患者さんへの投与が可能となった。また、患者さんの服薬コンプライアンスによらず、確実に投与できることも大きなメリットと言えよう。医療者側においても、点滴ラインから一連の投与を行うレジメンに組み込みやすいと思われる。がん化学療法においては、薬剤・レジメンの催吐リスク、性別、年齢、前治療などを考慮した適切な制吐剤により悪心・嘔吐を予防することが、がん治療の継続につながる。プロイメンドが、より多くのがん患者さんにおけるQOLの改善、がん化学療法の継続に貢献することが期待される。

1795.

がん化学療法における制吐療法に新たな選択肢

がん化学療法に伴う悪心・嘔吐に対する制吐剤として、選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬であるホスアプレピタントメグルミン(商品名:プロイメンド点滴静注用150mg、以下プロイメンド)が、本日(12月9日)発売された。本剤は、2009年12月に発売された経口制吐剤アプレピタント(商品名:イメンドカプセル)のプロドラッグ体の注射剤である。がん化学療法における制吐療法の現状と課題抗がん剤の有害事象の1つである悪心・嘔吐は、患者さんのQOLを著しく低下させ、治療継続を妨げる大きな要因となる。その発現時期により、抗がん剤投与後24時間までに発症する「急性」の悪心・嘔吐と、24時間以降に発症する「遅発性」の悪心・嘔吐に分けられ、急性には主にセロトニンが、遅発性には主に中枢でのサブスタンスPが関与するとされている。急性の悪心・嘔吐については、1990年代に発売された5HT3受容体拮抗薬により大きく改善されたが、遅発性の悪心・嘔吐には抑制効果が不十分であった。その後、サブスタンスPとNK1受容体の結合を阻害するアプレピタントが、急性および遅発性の悪心・嘔吐に対して高い有効性が認められ、2009年12月に発売された。さらに、2010年4月、半減期が長く遅発性の悪心・嘔吐にも効果を示す5HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンが発売され、同年5月には日本癌治療学会から制吐薬適正使用ガイドラインが発行されたことにより、制吐療法への関心が高まった。しかし、患者さんが症状を訴えられずにいたり、近年普及してきている外来化学療法では、患者さんが自宅に戻るため悪心・嘔吐症状が把握しにくいなど、症状を見逃す可能性も少なくない。今後、患者さんの症状を拾い上げるためのさらなる工夫が必要と思われる。一方、アプレピタントは経口剤であることから、咽頭・喉頭・食道がんなどの患者さんでは服用が難しく、また、患者さんの認識不足や飲み忘れにより、処方しても服用されないことが懸念されることや、抗がん剤には点滴静注で投与される薬剤も多いことなどから、医療現場では注射剤の発売が期待されていた。続きはこちら

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びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する標準+リツキシマブvs. 強化+リツキシマブ

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対し、標準化学療法(CHOP)+リツキシマブ(R-CHOP)と比べて、強化化学療法(ACVBP)+リツキシマブ(R-ACVBP)が、18~59歳患者の生存を有意に改善することが第III相オープンラベル無作為化試験の結果、示された。フランス・トゥールーズ大学病院のChristian Recher氏らによる。強化療法の血液毒性は高まったが管理可能だったという。びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のアウトカムは、化学療法にリツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体、商品名:リツキサン)を加えることでかなり改善される。その知見を踏まえRecher氏らは、標準療法への追加と強化療法への追加について比較を行った。Lancet誌2011年11月26日号掲載報告より。無イベント生存率を主要エンドポイントに各群レジメンは、強化療法リツキシマブ(R-ACVBP)群が、リツキシマブ、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、ブレオマイシン、プレドニゾンで、標準療法リツキシマブ(R-CHOP)群が、リツキシマブ、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾンであった。試験は2003年12月~2008年12月に、フランス、ベルギー、スイスの73施設部門で行われ、コンピュータシステムにて4ブロックの無作為化介入群に割り付けがされた。無作為化された被験者は、18~59歳の年齢補正国際予後指数が1の未治療患者380例(R-ACVBP群196例、R-CHOP群184例)だった。主要エンドポイントは、無イベント生存率とし、intention-to-treatにて、有効性と安全性について解析が行われた。被験者のうち、治療開始前に1例が同意を取り下げ(R-ACVBP群)、54例が治療を完了しなかった(R-ACVBP群35例、R-CHOP群19例)。強化リツキシマブ(R-ACVBP群)のほうが有意に上昇追跡期間中央値44ヵ月時点の、推定3年無イベント生存率は、R-ACVBP群81%(95%信頼区間:75~86)であり、R-CHOP群67%(同:59~73)も有意な上昇が認められた(ハザード比:0.56、95%信頼区間:0.38~0.83、p=0.0035)。推定3年無増悪進行生存率[87%(同:81~91)vs. 73%(同:66~79)、ハザード比:0.48(同:0.30~0.76)、p=0.0015]、全生存率[92%(同:87~95)vs. 84%(同:77~89)、ハザード比:0.44(同:0.28~0.81)、p=0.0071]も、R-ACVBP群で有意な上昇が認められた。R-ACVBP群196例のうち重篤な有害事象を伴ったのは82例(42%)だった。これに対してR-CHOP群は183例のうち28例(15%)だった。R-ACVBP群のほうがグレード3~4の血液毒性がより多くみられ、発熱性好中球減少患者の割合が高かった[38%(75/196例)vs. 9%(16/183例)]。

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ヘルスケア施設関連C. difficile感染と保菌、宿主因子と病原菌因子が異なる

 ヘルスケア施設関連での集団下痢症の主な原因であるClostridium difficile(C. difficile)感染症について、感染と保菌では、宿主因子および病原菌因子が異なることが明らかにされた。施設関連の同感染については、無症候でも保菌が認められる場合がある。カナダ・McGill大学ヘルスセンターのVivian G. Loo氏らが、カナダの6つの病院で15ヵ月間にわたり、C. difficile感染症患者と保菌患者の宿主因子および細菌因子の同定を行った前向き研究の結果、報告した。NEJM誌2011年11月3日号掲載報告より。カナダ6病院で前向き研究研究グループは、2006年3月6日~2007年6月25日にわたり、カナダのケベック州とオンタリオ州にある6つの国立病院で15ヵ月間にわたる前向き研究を行った。対象病院の患者に関して、人口統計学的情報、既知のリスク因子、潜在的な交絡因子などの情報収集と、週1回の便検体または直腸スワブの収集を行い解析した。C. difficile分離株の遺伝子型の同定はパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)にて行い、C. difficile毒素AおよびBの血清抗体値測定なども行った。合計4,143例の患者の情報が収集され解析された。感染例2.8%、保菌例3.0%で、北米PFGE1型(NAP1)株は感染例では62.7%、保菌例36.1%ヘルスケア施設関連C. difficile感染例は117例(2.8%)、保菌例は123例(3.0%)だった。ヘルスケア施設関連C. difficile感染例は、「より高齢」「抗菌薬・PPI使用」と有意な関連が認められた。一方保菌例については、「以前に2ヵ月間入院したことがある」「化学療法・PPI・H2ブロッカーを使用」「毒素Bに対する抗体」が関連していた。また、北米PFGE1型(NAP1)株を有していたのは、感染例では62.7%であったが、保菌例では36.1%だった。(武藤まき:医療ライター)

1798.

70歳以上の非小細胞肺がん患者への併用化学療法は生存ベネフィットあり

非高齢の進行型非小細胞肺がん患者に対して推奨されるプラチナ製剤ベースの併用化学療法カルボプラチン(同:パラプラチンなど)+パクリタキセル(同:タキソールなど)は、従来推奨されていなかった70歳以上の高齢患者においても、ビノレルビン(商品名:ナベルビンなど)やゲムシタビン(同:ジェムザールなど)の単剤療法との比較で、毒性作用の増大はあるものの生存ベネフィットが認められることが示された。フランス・ストラスブール大学Elisabeth Quoix氏らが、第3相無作為化試験「IFCT-0501」の結果、報告したもので、「現在の高齢患者への治療パラダイムを再考すべきと考える」と結論している。がんの疾患リスクは先進諸国では、長寿社会の進展とともに増大しており、肺がんの診断時の年齢中央値は現在63~70歳と、高齢患者の顕著な増加が認められているという。Lancet誌2011年9月17日号(オンライン版2011年8月9日号)掲載報告より。WHOパフォーマンスステータススコア0-2の、70~89歳の高齢患者を被験者に試験は、2006年4月~2009年12月の間に多施設共同オープンラベルにて61施設から、進行型または転移性非小細胞肺がんで、WHOパフォーマンスステータススコアが0-2の、70~89歳の高齢患者が登録され行われた。被験者は、カルボプラチン(1日目)+パクリタキセル(1、8、15日目)の併用化学療法(3週投薬1週休薬)の4サイクル投与群か、ビノレルビンまたはゲムシタビン単剤化学療法(1、8日目)(2週投薬1週休薬)の5サイクル投与群に無作為に割り付けられ追跡された。主要エンドポイントは、全生存率とし、intention to treat解析された。全生存率中央値、併用療法群10.3ヵ月、単剤療法群6.2ヵ月登録患者451例(併用療法群225例、単剤療法群226例)は、年齢中央値77歳、追跡期間中央値は30.3ヵ月(範囲:8.6~45.2)であった。全生存率の中央値は、併用療法群10.3ヵ月、単剤療法群6.2ヵ月であった(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.52~0.78、p<0.0001)。また、1年生存率は、併用療法群44.5%(95%信頼区間:37.9~50.9)、単剤療法群25.4%(同:19.9~31.3)であった。毒性作用は、併用療法群のほうが単剤療法群より頻度が高かった。最も頻度が高かったのは好中球減少症で108例(48.4%)対28例(12.4%)、また無力症は23例(10.3%)対13例(5.8%)であった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1799.

術後タモキシフェン5年投与、ER陽性乳がんの再発・死亡リスクを長期に低減

タモキシフェン(TAM、商品名:ノルバデックスなど)を用いた5年間の術後補助内分泌療法は、エストロゲン受容体(ER)陽性の早期乳がん患者の10年再発および15年乳がん死のリスクを有意に低下させることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG)の検討で示された。術後TAM 5年投与の臨床試験の無作為割り付け後の追跡期間が10年を超えるようになり、乳がん死や他の死因による死亡に及ぼす効果、さらにホルモン受容体が弱陽性の患者に対する効果の評価が可能な状況が整いつつあるという。Lancet誌2011年8月27日号(オンライン版2011年7月29日号)掲載の報告。20の無作為化試験の個々の患者データを解析EBCTCGは、早期乳がんの術後補助内分泌療法としてのTAMの5年投与に関する無作為化試験のメタ解析を行い、ホルモン受容体の発現状況などの背景因子が本治療法の長期的な転帰に及ぼす影響について評価した。解析には、早期乳がんに対する術後TAM 5年投与と非投与を比較した20の無作為化試験に参加した2万1,457例の個々の患者データを用いた。全体の服薬コンプライアンスは約80%であった。log-rank検定を行って再発および死亡の率比(rate ratio; RR)を算出した。服薬コンプライアンスが十分であれば、全ER陽性例で死亡リスクが約3分の1低下ER陽性例(1万645例)では、治療開始から10年間の再発率はTAM群のほうが非TAM群に比べ有意に低下しており、RRは0~4年が0.53(SE 0.03)、5~9年は0.68(SE 0.06)であった(いずれも2p<0.00001)。しかし、10~14年のRRは0.97(SE 0.10)であり、治療期間が10年以降になると、TAMによる再発抑制効果はそれ以上高くも低くもならないことが示唆された。ER弱陽性(1mgのサイトゾル蛋白当たり10~19fmol)例においても、RRは0.67(SE 0.08)と、TAMによる再発抑制効果が確認された。ER陽性例における再発のRRには、プロゲステロン受容体(PgR)の陽性/陰性や陽性の程度、年齢、リンパ節転移の有無、化学療法の有無の影響はほとんどなかった。乳がんによる死亡率は、治療開始から15年で約3分の1低下しており、RRは0~4年が0.71(SE 0.05)、5~9年は0.66(SE 0.05)、10~14年は0.68(SE 0.08)であった(いずれも超過死亡率低下のp<0.0001)。ERの状態は、リスク低下に関する唯一の有意な予測因子TAMは、55歳以上の患者でのみ血栓塞栓症および子宮がんによる死亡のリスクをわずかに上昇させたものの、非乳がん死亡にはほとんど影響を及ぼさず、したがって全死因死亡は非TAM群に比べて有意に低かった。ER陰性例では、TAM投与による乳がんの再発、死亡への影響は認めなかった。著者は、「術後のTAM 5年投与は、早期乳がんの再発および乳がん死のリスクを10~15年にわたり低下させ、安全性にも問題はなかった。ERの状態は、リスク低下に関する唯一の有意な予測因子であった」と結論し、「弱陽性を含むすべてのER陽性乳がん患者では、服薬コンプライアンスが十分であれば、術後TAM 5年投与によって15年間の乳がん死のリスクが、術後補助内分泌療法を施行しない場合に比べ、少なくとも約3分の1低減することが示された」としている。(菅野守:医学ライター)

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多発性骨髄腫の治療戦略-日欧における現状と展望

 多発性骨髄腫の治療においては、近年、ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)、サリドマイド(商品名:サレド)、レナリドミド(商品名:レブラミド)といった新規薬剤が開発・発売され、わが国では、現在、再発・難治性症例に対して承認されている。一方、欧米では、これらの薬剤が、再発・難治性症例だけでなく、他のステージでも使用され、次々と臨床研究結果が報告されている。 ここでは、2011年8月8日に都内で開催された多発性骨髄腫治療に関するセミナー(主催:セルジーン株式会社)における、トリノ大学血液学科骨髄腫ユニットチーフ Antonio Palumbo氏、がん研有明病院化学療法科・血液腫瘍科部長 畠清彦氏の講演から、欧米とわが国における多発性骨髄腫治療の現状と展望についてレポートする。欧米における治療戦略とレナリドミドの成績 Palumbo氏によると、多発性骨髄腫の治療には、まず完全寛解(CR)を達成すること、さらにCR期間を延長させるために治療を継続することが重要である。また、CRのなかでも、より深い寛解である分子生物学的寛解、すなわちDNAレベルでの効果が重要である。 今回の講演で、Palumbo氏は、主にレナリドミドによる維持療法の成績について取り上げ、移植適応の若年者に対する移植後の維持療法については、フランスIFMの試験では無増悪期間(PFS)が、また米国CALGBの試験ではPFS、全生存期間(OS)が、レナリドミド投与群において有意に延長したことを紹介した。 また、移植非適応の65歳以上の高齢者におけるレナリドミド維持療法については、MPR(メルファラン、プロドニゾン、レナリドミド)による寛解導入療法後にレナリドミド(10mg/日、3週間投与)で維持療法を行うMPR-R群を、維持療法を行わないMPR群、MP群と比較した海外多施設臨床試験を紹介した。この試験では、MPR-R群ではMPR群に比べ増悪リスクが約70%減少し、また、年齢、寛解の程度、病期(ISS)にかかわらずPFSが有意に延長したことが示されている。 Palumbo氏は、欧米における多発性骨髄腫患者に対する治療アルゴリズムを、多発性骨髄腫に関する最新のレビューにまとめている(N Engl J Med. 2011;364:1046)。それによると、移植適応症例では、新規薬剤を含む併用レジメン(主に欧州では3剤、米国では2剤併用)で寛解導入後に移植を実施し、サリドマイドもしくはレナリドミドによる維持療法を実施、また、移植非適応例では、新規薬剤を含む併用レジメンを実施し、そのうちレナリドミドを含むレジメンの場合は、増悪もしくは不耐容となるまで継続するとしている。日本における現状と展望 畠氏は、わが国における課題と展望について、レナリドミドの特徴やがん研有明病院における使用状況を交えて紹介した。 レナリドミドの特徴については、経口剤のため外来治療が可能で、頻回通院の必要がなく遠方の患者さんでも通院しやすい、2011年8月から長期投与可能となり使いやすくなった、と畠氏は評価している。その他の特徴として、高リスク例に対して有効である、細胞性免疫の増強作用がある、腎障害例における減量が必要、末梢血幹細胞は早期採取が必要であることを挙げた。また主な副作用として、好中球減少、疲労、筋痙攣などが報告されている。 がん研有明病院においては、7月28日時点のレナリドミド使用経験は14例で、投与症例は、経口剤が適している、遠方から来院、肺障害がある、高齢といった症例という。投与方法は、レナリドミド25mg(21日間投与、7日間休薬)+デキサメタゾン40mg(週1回投与)であり、血栓予防としてアスピリンを、またアスピリンによる消化器障害に対してプロトンポンプ阻害薬を併用しているとのことである。また、がん研有明病院の取り組みとして、レナリドミドの承認前から医師、病棟看護師、外来看護師、病棟薬剤師によってチームを立ち上げ、院内マニュアルの作成や投与すべき症例の選択などの準備を進めていたことを紹介した。 わが国における課題として畠氏は、海外とのドラッグラグはもちろん、臨床現場への普及の遅れを指摘している。多発性骨髄腫においては、日本で長い間標準治療であったMP療法、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)療法から、新規薬剤による治療に移行しつつあり、現時点ではこれらの薬剤を年齢、病態、合併症に応じて選択し、日本での長期の成績により評価していく必要があると述べた。 最後に、畠氏は、今後はわが国では承認されていない初発例に対する治療や新規薬剤どうしの併用やアルキル化剤との併用、さらに維持療法など、より有効な治療法の確立が望まれると締めくくった。

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