サイト内検索|page:80

検索結果 合計:1680件 表示位置:1581 - 1600

1581.

小児がん患児に対する骨盤内照射で、将来の死産、新生児死亡のリスク増大

小児がん患児の性腺系への放射線照射は、将来、男児の場合はその子どもに重篤な有害作用をもたらすことはないが、女児では子宮や卵巣への照射によって死産、新生児死亡のリスクが有意に増加することが、アメリカ・国際疫学研究所(ロックビル)のLisa B Signorello氏らによるコホート研究で明らかとなった。近年、小児がんに対する積極的な治療により生存期間の改善が得られているが、変異原性の治療法である放射線治療は生殖細胞に障害をもたらし、この有害な作用は患児の子どもにも遺伝する可能性が示唆されている。しかし、受胎前の放射線曝露が死産、新生児死亡に及ぼす影響は不明だという。Lancet誌2010年8月21日号(オンライン版2010年7月23日号)掲載の報告。照射線量と死産、新生児死亡リスクの関連を評価する後ろ向きコホート研究研究グループは、不良な妊娠アウトカムのリスクを調査することにより、小児期に放射線治療や化学療法を施行された小児がん生存者からその子どもへの生殖細胞系の障害の遺伝リスクを間接的に評価するレトロスペクティブなコホート研究を行った。本研究は、小児がん生存者の子どもの死産および新生児死亡のリスクに関するコホート研究であるChildhood Cancer Survivor Study(CCSS)の一環として実施された。対象は、初回診断時に21歳未満で、アメリカの25施設およびカナダの1施設で治療を受け、診断後5年以上生存した患者であった。これらの患者に投与された化学療法薬および受胎前に睾丸、卵巣、子宮、下垂体に照射された線量を定量化し、この量と死産、新生児死亡のリスクとの関連につきポアソン回帰分析を用いて解析した。睾丸、下垂体への照射、アルキル化薬は関連なし、子宮、卵巣への照射でリスク増加対象となった小児がん生存者は女性が1,657人、男性が1,148人であり、妊娠数は4,946件であった。以下の項目は、死産、新生児死亡リスクの上昇とは関連がなかった。睾丸への照射[照射を受けた生存者の子ども1,270人のうち死産、新生児死亡は16人(1%)、補正相対リスク:0.8(95%信頼区間:0.4~1.6)、平均線量:0.53Gy(SD 1.40)]、下垂体への照射[17/510人(3%)、線量20.00Gy以上の場合の相対リスク:1.1(95%信頼区間:0.5~2.4)、女性の平均線量:10.20Gy(SD 13.0)]、アルキル化薬による化学療法[女性:26/1,195人(2%)、相対リスク:0.9(95%信頼区間:0.5~1.5)、男性:10/732人(1%)、相対リスク:1.2(95%信頼区間:0.5~2.5)]。子宮および卵巣への照射については、線量が10.00Gy以上になると、死産、新生児死亡のリスクが有意に増加した[5/28人(18%)、相対リスク:9.1(95%信頼区間:3.4~24.6)]。初潮前に放射線治療を受けた女性は、1.00~2.49Gyの低線量であっても死産、新生児死亡のリスクが有意に増加していた[3/69人(4%)、相対リスク:4.7(95%信頼区間:1.2~19.0)]。著者は、「男性の場合、性腺系への照射を受けても、その子どもが死産、新生児死亡となるリスクに影響を及ぼす遺伝性の変化はないことが示唆された。一方、子宮および卵巣への照射は子どもに対し重篤な有害作用をもたらし、これは子宮の障害が原因と推察された」と結論し、「思春期前に高線量の骨盤内照射を施行された女性が妊娠した場合は、注意深いマネジメントが必要である」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

1582.

【お知らせ】脳腫瘍啓発セミナー「もっと知りたい脳腫瘍のこと」 参加者募集

 NPO法人キャンサーネットジャパンは、7月25日(日)「もっと知りたい脳腫瘍のこと」と題し脳腫瘍啓発セミナーを開催する。脳腫瘍全般の解説、最新の治療方法、予後や闘病生活などについて、脳腫瘍治療の拠点病院の医師らを中心に、治療の現状と進歩について正しい知識と情報を提供する。医療者の参加も募集中とのこと。 以下キャンサーネットジャパンより。 脳腫瘍の発生頻度は腫瘍全体のわずか3%程度。しかし、発生部位や病態病理も多種多様で最近の脳腫瘍分類では診断名が約150種類とも言われています。神経膠腫、胚細胞腫、頭蓋内悪性リンパ腫、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、そして転移性脳腫瘍。これらは全て脳腫瘍の病名ですが、どれも初めて聴く患者にとっては俄かに理解が難しい病気です。さらに成人と発育途中の小児の脳腫瘍では、その診断や治療が大きく異なる場合があり、治療には成人とは別の知識と技術を必要とします。このセミナーでは、脳腫瘍全般の解説、最新の治療方法、予後や闘病生活などについて、脳腫瘍治療の拠点病院の医師らを中心に、治療の現状と進歩について正しい知識と情報を提供します。・開催日:2010年7月25日(日) 12:15(開場11:45)-16:20・場所:東京ウィメンズプラザ ホール・参加費:1,000(キャンサーネットジャパン会員は無料)プログラム12:15~12:25セミナー開会挨拶 NPO法人キャンサーネットジャパン 柳澤 昭浩12:25~12:45<基調講演1> 「脳腫瘍総論」講師:国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科 成田 善孝12:45~13:15<基調講演2>「脳腫瘍の手術とは?」講師:東京女子医科大学病院 脳神経外科 村垣 善浩13:30~13:55<基調講演3>「脳腫瘍の化学療法とは?」講師:成田 善孝13:55~14:25<基調講演4>「脳腫瘍の放射線療法とは?」講師:筑波大学附属病院 脳神経外科 山本 哲哉

1583.

非小細胞肺がん、術後補助化学療法の有効性を確認:2つのメタ解析から

切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対して切除術後あるいは切除術+放射線療法後に補助化学療法を行うと、これを施行しない場合に比べ放射線療法の有無にかかわらず5年生存率が改善されることが、イギリス医学研究評議会(MRC)臨床試験ユニットのSarah Burdett氏らNSCLCメタ解析共同研究グループの検討で示された。毎年約150万人が肺がんを発症し、その約85%がNSCLCだが、治癒切除が可能なのは20~25%にすぎない。同研究グループの以前の検討ではシスプラチンベースの術後補助化学療法が生存期間を延長する傾向が示された(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74~1.02、p=0.08)が、切除術+放射線療法後の補助化学療法の価値は明確ではないという。Lancet誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月24日号)掲載の報告。個々の患者データに基づく2つのアプローチに関するメタ解析研究グループは、早期NSCLCにおける手術後あるいは手術+放射線療法後の補助化学療法の有効性を確立するために、これら2つのアプローチについて包括的な系統的レビューとメタ解析を行った。解析の対象となったのは、1965年1月1日以降に開始された手術→化学療法と手術単独、あるいは手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法を比較した試験で、2群間に追加治療による交絡がない無作為化試験とした。各試験に登録された個々の患者の最新のデータを収集して照合し、試験ごとに層別化したメタ解析を実施した。無作為割り付けから全原因による死亡までの期間を全生存期間と定義し、これを主要評価項目とした。両アプローチとも、化学療法追加で5年生存率が有意に改善手術→化学療法と手術単独のメタ解析の対象となったのは34試験(そのうち18試験が日本の研究)、8,447例(3,323例が死亡)であった。5年生存率は、手術単独群の60%から補助化学療法群では64%へ上昇し、絶対値で4%[95%信頼区間(CI):3~6%]、ハザード比(HR)で14%改善された(HR:0.86、95%CI:0.81~0.92、p<0.0001)。手術+放射線療法→化学療法と手術+放射線療法のメタ解析の対象は13試験(日本の研究は1試験)、2,660例(1,909例が死亡)であった。5年生存率は、手術+放射線療法群の29%から補助化学療法群では33%へ上昇し、絶対値で4%(95%CI:1~8%)、ハザード比で12%の改善が得られた(HR:0.88、95%CI:0.81~0.97、p=0.009)。いずれのメタ解析でも、化学療法のレジメンやタイミング、手術の範囲、患者背景、サブグループの違いによる効果の変動は認められなかった。著者は、「切除可能NSCLCに対する手術あるいは手術+放射線療法のいずれのアプローチでも、補助化学療法の追加によって生存率が改善される」と結論している。また、「化学療法の効果は毒性とのバランスを考慮する必要があるが、本試験では毒性の評価はできない。併存疾患についても、それがみられないか、または軽度の患者を対象としているため評価できない」とし、「以前のメタ解析では術後放射線療法はむしろ生存率を低下させることが示されているが、使用された治療技術は旧来のものであった。今回の試験は術後放射線療法を評価するようにはデザインされていない。今後、最新技術を用いた放射線療法の、術後補助化学療法としての有用性を評価する無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

1584.

子宮内膜がん、大動脈周囲リンパ節切除術は有効か? :SEPAL試験

再発リスクが中~高の子宮内膜がんの治療では、子宮摘出術施行時のリンパ節郭清として骨盤内リンパ節に加え大動脈周囲リンパ節を切除する拡大郭清が有効なことが、国立病院機構北海道がんセンター婦人腫瘍科の藤堂幸治氏らが実施したコホート試験(SEPAL試験)で示された。アメリカや日本では、子宮内膜がんの子宮摘出術の際に、婦人科医に比べ婦人腫瘍科医はリンパ節郭清を行うことが多く、拡大郭清の施行頻度も高いが、イギリスではリンパ節郭清はあまり行われないという。これまでに実施されたプロスペクティブな大規模臨床試験では骨盤内リンパ節切除術の効果は示されていないが、フォローアップ期間が短い、症例数が少ない、拡大郭清は検討されていないなどの限界があった。Lancet誌2010年4月3日号(オンライン版2010年2月25日号)掲載の報告。骨盤内リンパ節郭清のみと拡大郭清を比較する後ろ向きコホート試験SEPAL試験の研究グループは、再発リスクが中~高の子宮内膜がんに対する子宮摘出術施行時のリンパ節郭清として、骨盤内リンパ節切除術と骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術(拡大郭清)の有用性を比較するレトロスペクティブなコホート試験を実施した。1986年1月~2004年6月までに、2施設(北海道大学付属病院婦人科、北海道がんセンター婦人腫瘍科)で治療を受けた低~高再発リスクの子宮内膜がん患者671例(再発リスク、低:264例、中:240例、高:167例)を解析の対象とした。そのうち骨盤内リンパ節切除術を受けたのは325例、骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術は346例であった。中~高再発リスクの子宮内膜がん患者に対しては、術後補助療法として放射線治療あるいは化学療法が施行された。主要評価項目は全生存期間であった。中~高再発リスク例の死亡リスクが56%低減全体の全生存期間は、骨盤内リンパ節切除術群に比べ骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で有意に延長した(ハザード比:0.53、p=0.0005)。中~高再発リスク例(407例)においても、全生存期間は骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で有意に優れた(p=0.0009)。低再発リスク例では両群間に有意な差はなかった。予後因子に関する多変量解析を行ったところ、中~高再発リスク例では死亡リスクが骨盤内リンパ節切除術群に比べ骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で有意に低下した(ハザード比:0.44、p<0.0001)。術後補助療法として放射線治療あるいは化学療法を受けた中~高再発リスク例(328例)においても、骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術群で生存期間が有意に優れ(ハザード比:0.48、p=0.0049)、放射線治療よりも化学療法を受けた患者で改善効果が高かった(ハザード比:0.59、p=0.0465)。著者は、「再発リスクが中~高の子宮内膜がんの治療では、子宮摘出術施行時のリンパ節郭清として骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術が推奨される」と結論し、「今後、リンパ節郭清の治療効果を検証するためのプロスペクティブな無作為化試験あるいはコホート試験を実施する場合は、中~高再発リスク例に対する骨盤内+大動脈周囲リンパ節切除術を考慮すべきである」としている。(菅野守:医学ライター)

1585.

XELOX療法が早期結腸がんの術後補助化学療法として欧州で承認

スイス・ロシュ社は3月30日、Xeloda(capecitabine/国内販売名:ゼローダ)とoxaliplatin(国内販売名:エルプラット)の併用(XELOX)療法が早期結腸がん患者の術後補助化学療法として、欧州医薬品庁より承認されたことを発表した。グループ会社である中外製薬が5日に報告した。承認は、手術直後からXELOX療法を受けた患者の無病生存期間が5-fluorouracil/leucovorin(5-FU/LV)療法による治療を受けた患者よりも長いことを示した、ステージIII(早期)の結腸がん患者を対象とした主要な臨床試験の一つであるNO16968(XELOXA)試験の結果に基づいている。XELOX療法を受けた患者の3年無病生存率(DFS)は、5-FU/LV投与群よりも優れていたとのこと(XELOX群の71.0%に対し5-FU/LV群は67.0%、ハザード比0.80、p=0.0045)。欧州での承認に続き、XELOXは世界の他の地域での適応拡大が期待されている。Xelodaの単独療法は既に欧州、米国、日本ならびに世界各国で、結腸がん患者に対する術後補助化学療法として承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/20100405110000.html

1586.

ステージⅢ大腸がん、75歳以上高齢者への術後補助化学療法実施率は5割程度

外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者で、75歳以上の高齢者のうち、術後補助化学療法を受けている割合は5割と、75歳未満の約9割に比べ、有意に低率であることが明らかになった。75歳以上患者への術後補助化学療法のレジメンは、毒性の弱いものが使用される傾向が強く、有害事象の発生率も低かった。米国RAND CorporationのKatherine L. Kahn氏らが、約700人の外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者について行った観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2010年3月17日号で発表した。オキサリプラチンを含むレジメン、75歳以上は14%のみ同研究グループは、2003~2005年にかけて、外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん、合わせて675人について調査を行った。その結果、75歳以上の人で術後補助化学療法を受けていたのは、202人中101人(50%)と、75歳未満の87%に比べ、有意に低率だった(実施率の差:37%、95%信頼区間:30~45%)。術後補助化学療法を受けた人のうち、レジメンにオキサリプラチン(商品名:エルプラット)を含んでいたのは、75歳以上では14人(14%)と、75歳未満の178人(44%)に比べ、有意に低率だった(実施率の差:30%、同:21~38%)。治療開始後150日時点での中止は65歳以上が4割術後補助化学療法の継続についてみてみると、治療開始後150日時点で治療を中止していたのは、65歳未満が25%に対し、65歳以上では40%に上った。有害事象については、患者全体の162人(24%)に、最低1回の遅延性臨床的有害事象が認められた。術後補助化学療法を受けている人の同発生率は28%と、受けていない人の13%に比べ、2倍超だった。術後補助化学療法を受けている人のうち、遅延性臨床的有害事象の補正後発生数1人当たり平均は、18~54歳が0.35、55~64歳が0.52、65~74歳が0.45だったのに対し、75歳以上は0.28と、低い傾向がみられた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

1587.

「タイケルブ」が米国でホルモン受容体陽性/HER2陽性の転移性乳がん患者の一次治療として迅速承認を取得

英国グラクソ・スミスクラインは米国食品医薬品局(FDA)が「タイケルブ」について、転移性乳がん患者の経口薬による治療のファーストラインとして、タイケルブを使用した新たな併用療法を迅速承認したと発表した。同社の日本法人が5日に報告した。今回承認されたタイケルブの適応症は、ホルモン受容体陽性(HR+)かつHER2陽性の閉経後転移性乳がん患者に対するレトロゾールとの併用療法。タイケルブとアロマターゼ阻害剤との併用療法は転移性乳がんを対象としたトラスツズマブを含む化学療法のレジメンとは比較されていない。タイケルブはすでに、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤、及びトラスツズマブによる治療歴のあるHER2過剰発現を示す手術不能または再発乳癌患者におけるカペシタビン(製品名:ゼローダ)との併用療法として承認を取得している。現在、タイケルブ(欧州ではTYVERB)は、欧州医薬品審査庁(EMEA)によって、同様な適応症で審査中とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2010_01/P1000611.html

1588.

5-HT3受容体拮抗型制吐剤「アロキシ」製造販売承認取得

大鵬薬品工業株式会社は20日、5-HT3(セロトニン)受容体拮抗型制吐剤 「アロキシ静注0.75mg」(一般名:パロノセトロン塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。アロキシは2004年1月の大鵬薬品とスイスのヘルシン社(HELSINN HEALTHCARE SA)とのライセンス契約に基づき、同社が国内開発した薬剤。海外においては、2003年7月に米国、2005年3月に欧州で承認され、2009年 12月現在、世界62ヵ国で承認されている。アロキシは、がん化学療法(シスプラチン等)実施前の1回投与で、急性悪心、嘔吐のみならず、現行の治療薬では効果の不十分であった遅発性悪心、嘔吐にも有効性が確認されている。同剤は、血中消失半減期が約40時間と非常に長く、5-HT3受容体に対して高い結合親和性と選択性を有している。また、 NCCNの「制吐療法ガイドライン」で、高度催吐性化学療法に伴う悪心、嘔吐の予防に用いる薬剤として推奨されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2010/20100120.html

1589.

ホルモン受容体陽性閉経後乳がん、新たな術後補助療法が確立

ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陽性の閉経後乳がんに対する術後補助療法では、化学療法施行後に逐次的にタモキシフェン(TAM、商品名:ノルバデックスなど)を5年間投与する方法が、TAMのみを投与する治療法よりも良好な予後をもたらすことが、アメリカLoyola大学のKathy S Albain氏らBreast Cancer Intergroup of North Americaの研究グループが実施した第III相試験で明らかとなった。TAMはホルモン受容体陽性閉経後乳がんに対する術後補助療法のgold standardであり、化学療法との併用療法は理論的には有望視されていたもののコンセンサスが得られていなかった。最近のメタ解析において、術後TAM+化学療法は閉経前乳がんでは大きな生存べネフィットが示されたが、閉経後乳がんにおける有用性は境界域にとどまったという。Lancet誌2009年12月19/26日合併号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。TAM+化学療法併用はTAM単剤よりも、逐次投与は同時投与よりも優れるか?研究グループは、ホルモン受容体陽性閉経後乳がんに対する術後補助療法としてのTAM単剤とTAM+化学療法の併用療法の有用性を比較し、併用療法のうち逐次投与と同時投与ではどちらが優れるかを検討するオープンラベル無作為化比較第III相試験(SWOG-8814, INT-0100)を実施した。ホルモン受容体陽性でリンパ節転移陽性の閉経後乳がん患者が、術後補助療法としてTAM単剤を投与する群(毎日、5年間)、シクロホスファミド+ドキソルビシン+5-FU(CAF、4週毎、6コース)とTAM(毎日、5年)を逐次投与する群(CAF→T群)、CAFとTAMを同時投与する群(CAFT群)に2:3:3の割合となるよう無作為に割り付けられた。主要評価項目は、TAM単剤群に対するTAM+化学療法併用群(CAF→T群、CAFT群)の無病生存率(DFS)の優位性、および同時投与(CAFT群)に対する逐次投与(CAF→T群)のDFSの優位性とした。副次評価項目は、全生存率(OS)および安全性であった。アンスラサイクリン系薬剤ベースレジメン施行後に、逐次的にTAMを5年間投与する方法が有用1989年6月~1995年7月までに1,558例が登録され、1,477例(95%)が評価可能であった。TAM単剤群に361例、CAF→T群に566例、CAFT群には550例が割り付けられた。フォローアップ期間中央値8.94年(最長13年)の時点で、DFSイベント数はTAM単剤群が179件、CAF→T群が216件、CAFT群は242件であった。10年DFSは、TAM+化学療法併用群(CAF→T群、CAFT群)が57%と、TAM単剤群の48%よりも有意に優れた(補正Cox回帰分析によるハザード比:0.76、p=0.002)。10年OSは併用群が65%、TAM単剤群が60%であり、ハザード比は0.83、p値は境界域(p=0.057)で有意差は認めなかった。併用群間の比較では、CAF→T群の10年DFSは60%、CAFT群は53%と、逐次投与群でより良好な傾向が見られたものの有意差はなかった(ハザード比:0.84、p=0.061)。10年OSはそれぞれ68%、62%であり、両群で同等であった(ハザード比:0.90、p=0.30)。CAF→T群はTAM単剤群よりも10年DFS(ハザード比:0.70、p=0.0002)、10年OS(同:0.79、p=0.032)がともに有意に優れたが、CAFT群とTAM単剤群間には10年DFS(同:0.83、p=0.062)、10年OS(同:0.87、p=0.22)ともに有意差はなかった。TAM単剤群に比べTAM+化学療法併用群で頻度の高い有害事象として、好中球減少、口内炎、血栓塞栓症、うっ血性心不全、白血病が認められた。著者は、「ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陽性の閉経後乳がんの術後補助療法は、TAMのみを5年間投与する方法よりも、アンスラサイクリン系薬剤をベースとする化学療法を施行後に逐次的にTAMを5年間投与する方法が、リスク/ベネフィット比が優れる。しかし、アンスラサイクリン系薬剤ベースレジメンが無効なサブグループが存在する可能性も示唆される」と結論し、「術後補助療法の有用性を評価するには、長期にわたるフォローアップが不可欠なことを、この試験は示している」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

1590.

開発中の抗癌(がん)剤BIBF 1120およびBIBW 2992の臨床開発プログラムを更に拡大

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は12月17日(現地時間)、臨床開発の後期段階にある2つの抗癌(がん)剤のうちBIBF 1120で、進行卵巣癌を対象とした第III相試験(LUME-Ovar-1試験)を開始すると発表した。本試験では、新規経口血管新生阻害剤BIBF 1120 またはプラセボを標準化学療法に併用した場合の有効性・安全性を比較検討するとのこと。LUME-Ovar-1試験(AGO-OVAR12)は、ドイツの研究グループAGO(AGO: Arbeitsgemeinschaft Gynaekologische Onkologie)が主導する国際コンソーシアムとベーリンガーインゲルハイムの共同研究。BIBF 1120(海外での予定製品名VargatefTM)は、腫瘍の増殖と拡大に必要な血管新生に関与する3つの受容体を同時に阻害する新規経口薬剤。血管新生は、すべての固形腫瘍の増殖で重要な役割を果たしていることから、現在、BIBF 1120では非小細胞肺癌(NSCLC)、大腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)などの一連の固形癌を対象として有用性が検討されているという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.boehringer-ingelheim.co.jp/com/Home/Newscentre/pressrelease/news_detail.jsp?paramOid=9976

1591.

Herceptin 欧州においてHER2陽性の進行性胃がん治療に対する肯定的な見解を受領

スイス・ロシュ社は12月18日(現地時間)、HER2陽性の転移性胃がん(胃または胃食道接合部の転移性腺がん)患者の治療に対する標準的な化学療法とHerceptin(trastuzumab)の併用について、欧州医薬品審査庁(EMEA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が肯定的な見解を発出したことを発表した。25日、中外製薬株式会社が報告した。高いアンメットメディカルニーズと国際共同臨床試験であるToGA試験の良好なデータから、Herceptinは欧州において記録的な速さで、この新規効能・効果に対する肯定的な見解を受領したという。この試験では、Herceptinと化学療法(Xelodaまたは5-FU持続静注とcisplatin)の併用により、悪性度の高いがん患者の生存期間が延長されることが立証された。さらに、HER2高発現の患者の全生存期間中央値は、化学療法単独の患者が11.8ヵ月であるのに対して、Herceptin投与を受けている患者では16ヵ月だったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=NIHYDOPADRGFGCSSUIHCFEQ?documentId=doc_16801&lang=ja

1592.

大腸がん肝転移へのベバシズマブを含む化学療法、予後予測はCTがRECISTより適切

大腸がん肝転移に対するベバシズマブ(商品名:アバスチン)を含む化学療法について、コンピュータ断層撮影(CT)による形態学的判定の方が、固形がん治療効果判定基準(RECIST)よりも、病理学的所見や生存率予測に適切であることがわかった。米国テキサス大学腫瘍外科のYun Shin Chun氏らが、50人超の大腸がん肝転移患者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月2日号で発表した。RECISTは、細胞毒性化学療法後の腫瘍縮小を判定するために作られたもので、ベバシズマブのような細胞分裂阻害薬の効果判定にも用いることができるのか疑問視されていた。CT形態学的判定は生存率や病理学的所見に相関ありChun氏らは、2004~2007年にかけて、大腸がん肝転移患者50人の234ヵ所の腫瘍について、試験を行った(追跡期間最終日は2008年3月)。被験者は、ベバシズマブを用いた化学療法を行った後、肝切除術を行った。また、化学療法実施の前後に、造影CTを行い、3人の放射線科医が形態学的判定を行った。なお、検証コホートとして、肝切除術が不適切で、ベバシズマブを用いた化学療法を行った大腸がん肝転移82人についても調査を行った。その結果、被験者を形態学的判定により3分類した場合の、形態学的反応「適正」群の腫瘍切除標本の残存腫瘍率中央値は20%(四分位範囲:10~30%)だった。次いで、形態学的反応「不完全」群が50%(同:30~60)、「無反応」群が70%(同:60~70、p

1593.

遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン注」がん化学療法に伴う貧血に対する効能追加で承認申請

中外製薬株式会社は19日、遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン注」(一般名:エポエチン ベータ〔遺伝子組換え〕)の、がん化学療法に伴う貧血に対する効能追加の承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。今回の申請の主体となる国内第Ⅲ相臨床試験は、がん化学療法施行により貧血を呈したがん患者を対象とした二重盲検比較試験として実施され、エポジン注36,000IUまたはプラセボを週1回、12週間投与し、有効性、安全性について検討したもの。エポジン注を投与した患者では、プラセボを投与した患者さんと比較して、主要評価項目である理論輸血率の有意な低下が認められたという。また、エポジン注を投与した患者において認められた副作用は、血圧上昇・高血圧、便秘、下痢等が主なものであったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=ZDUIDT4HYX2NWCSSUIHCFEQ?documentId=doc_16432&lang=ja

1594.

「フルダラ静注用50mg」「フルダラ錠10mg」にそれぞれ適応追加

バイエル薬品株式会社とジェンザイム・ジャパン株式会社は9日、両社が共同プロモーションを行っている「フルダラ静注用50mg」(一般名:フルダラビンリン酸エステル)の効能・効果として「再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫」が、「フルダラ錠10mg」(一般名:フルダラビンリン酸エステル)の効能・効果として「貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病」が、2009年11月6日付で新たに承認されたと発表した。国内では、フルダラ静注用50mgは、貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病の効能・効果で2000年より発売されており、2008年には同種造血幹細胞移植の前治療の効能・効果が追加承認されている。フルダラ錠10mgは、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の効能・効果で2007年より発売されている。今回の効能・効果追加により、慢性リンパ性白血病と低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の治療を目的として、フルダラの両剤型の使用が可能になった。フルダラは、アルキル化剤による殺細胞性化学療法と異なり、新しいDNAの合成を阻害することによって、白血病細胞の増殖を抑制するプリンヌクレオチドアナログ。フルダラの静脈注射剤は、1991年に承認され、アルキル化剤による前治療で奏効しなかったB細胞性慢性リンパ性白血病の患者のセカンドライン治療薬として、世界103ヵ国で発売されている。また、フルダラ静脈注射剤はB細胞性慢性リンパ性白血病のファーストライン治療薬として67ヵ国で、低悪性度非ホジキンリンパ腫のセカンドライン治療薬として33ヵ国で承認されている。静脈注射剤と同様の効能を持つ経口剤は、欧州で2000年に承認された。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-11-09.html

1595.

「アバスチン」、非小細胞肺がんに対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得

中外製薬株式会社は9日、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』について、6日に厚生労働省より「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する効能・効果および用法・用量の追加に関する承認を取得したと発表した。「アバスチン」は、米国では2006年10月、欧州では2007年8月に扁平上皮がんを除く進行性非小細胞肺がんに対する一次治療として承認され、海外の治療ガイドラインにも化学療法との併用での使用が推奨されている。日本での今回の承認により、結腸・直腸がんに引き続き扁平上皮がんを除く進行・再発の非小細胞肺がんにおいても日・米・欧三極での使用が可能となった。同社による厚生労働省への承認申請は2008年11月に行われ、申請資料として海外で実施された第II相および第III相臨床試験、国内で実施された第II相臨床試験の成績等が提出された。海外で実施された二つの比較試験では、プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法に「アバスチン」を併用することで、扁平上皮がんを除く未治療の進行・再発の非小細胞肺がんの患者の全生存期間および/または無増悪生存期間を、標準的な化学療法と比較して統計学的に有意に延長することが示された。国内第II相臨床試験においても、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法)に「アバスチン」を併用することで、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長するなど、海外臨床試験と同様な結果が報告され、日本人における「アバスチン」の有用性が示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=FRBNZFANZLRWICSSUIHSFEQ?documentId=doc_16373&lang=ja

1596.

中枢神経系リンパ腫、高用量メトトレキサート+シタラビン併用療法が有用

原発性中枢神経系リンパ腫の治療として、高用量メトトレキサート(商品名:メソトレキセート)に高用量シタラビン(同:キロサイド、サイトサール)を併用する方法は、高用量メトトレキサート単剤に比べ予後良好で、有害事象も許容できることが、イタリアSan Raffaele科学研究所腫瘍科リンパ性悪性疾患部のAndres J M Ferreri氏らInternational Extranodal Lymphoma Study Group (IELSG)による無作為化試験で明らかとなった。中枢神経系リンパ腫はまれな疾患であるため無作為化試験の実施が難しく、治療法についても議論が多く無作為化試験を行うにも全体的な戦略や主要エンドポイントに関するコンセンサスが得られにくい状況だという。現時点で、新規診断例に最も頻用されているは高用量メトトレキサート+全脳照射である。Lancet誌2009年10月31日号(オンライン版2009年9月20日号)掲載の報告。6ヵ国24施設が参加した無作為化第II相試験IELSGは、原発性中枢神経系リンパ腫の新規診断例を対象に高用量メトトレキサート+高用量シタラビンの効果を評価する無作為化第II相試験を行った。2004年3月~2007年12月までに、6ヵ国(アルゼンチン、ギリシャ、イタリア、ペルー、ポルトガル、スイス)の24施設から、中枢神経系、脳神経、眼に限局した非ホジキンリンパ腫が見られ、年齢18~75歳、ECOG判定基準で全身状態(PS)が0~3、測定可能病変を有する患者79例が登録された。これらの患者が、メトトレキサート3.5g/m2(第1日)のみを投与する群(40例)あるいはメトトレキサート3.5g/m2(第1日)+シタラビン2g/m2×2回/日(第2、3日)を投与する群(39例)に無作為に割り付けられた。3週を1コースとして4コースの化学療法を施行したのち、全脳照射(180cGy×5回/週)が行われた。奏効率:40% vs. 69%、grade 3~4の血液毒性:15% vs. 92%無作為割り付けされた全例が解析の対象となった。化学療法終了後の完全寛解(CR)率は、単剤療法群の18%(7/40例)に対し併用療法群は46%(18/39例)と有意に優れていた(p=0.006)。部分寛解(PR)率はそれぞれ23%(9/40例)、23%(9/39例)であり、全体の奏効率は40%(16/40例)、69%(27/39例)と有意差を認めた(p=0.009)grade 3~4の血液毒性が、単剤療法群の15%(6/40例)に比べ併用療法群は92%(36/39例)と有意に高頻度に見られた。4例の治療関連死のうち、1例が単剤療法群、3例は併用療法群であった(p=0.35)。著者は、「75歳以下の原発性中枢神経系リンパ腫の治療として、高用量メトトレキサート+高用量シタラビン併用療法は、高用量メトトレキサート単剤療法に比べ予後良好で、有害事象も許容できる」と結論しており、「この併用療法は1次治療の候補であり、本試験はエビデンスレベルが高いため、この併用レジメンは今後の第III相試験の対照群となる可能性がある」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

1597.

特定の環境下において、二酸化塩素ガスがネコカリシウイルスに対して除去効果あり

大幸薬品株式会社は5日、10月30日に東京で開催された「第58回日本感染症学会(東日本地方会学術会)・第56回日本化学療法学会(東日本支部総会)合同学会」にて「モデル環境内及び部屋内での付着したネコカリシウイルス(ノロウイルスの代替)に対する二酸化塩素ガスの有効性の検討」という演題で、特定の環境下において、二酸化塩素ガス(以下「ClO2ガス」)がネコカリシウイルス(以下「FCV」)に対して除去効果があることを発表したと報告した。この発表内容は、実際の部屋内(39 m3)において、付着した乾燥FCV に対する低濃度ClO2 ガスの除去効果を検討し確認したもの。具体的には、ノロウイルスの代替として知られるFCV懸濁液をガラスシャーレ上に100μl滴下し、十分に乾燥させた試料を相対湿度45-55%、又は75-85%に設定した低濃度ClO2ガス(0.08ppm)のモデル環境内(150L、20℃)に入れ、ガスに一定時間暴露させ、ウイルス感染価を求めて評価した。また、同時に、実際の部屋内で低濃度ClO2ガス発生装置(0.05ppm)を用いて同様の実験を行った。この実験の結果、低濃度ClO2ガス(平均0.08 ppm; 0.22 μg/l)はモデル環境内(RH 75-85%)に置かれた乾燥FCV(2% ウシ胎児血清負荷)を10時間の暴露により除去(> 3 log10 低下)できることがわかった。一方、RH 45-55%環境下では低濃度ClO2ガスの効果をほとんど確認できなかった。これらの結果は乾燥したFCVに対してClO2ガスを有効に作用させるには高湿度環境が必要であることを表しているという。さらに、実際の部屋内でClO2ガス発生装置(0.05 ppm)と加湿器(相対湿度75-85%)を併用することにより、上記のモデル空間と同様の効果を得られることがわかったとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.seirogan.co.jp/dl_news/file0045.pdf

1598.

5q-を伴う低/中間-1リスクの骨髄異形成症候群による貧血治療 -レナリドミドを承認申請

2009年11月4日、セルジーン株式会社は新規免疫調節薬の1つである「レナリドミド水和物(以下、レナリドミド)」を「5番染色体長腕部異常を伴う骨髄異形成症候群(以下、MDS)による貧血治療薬」として、医薬品製造販売承認申請を行った。同日、帝国ホテルでプレスセミナーが開催され、東京医科大学内科学第1講座主任教授の大屋敷一馬氏がMDSの概要と、レナリドミドを含めた今後の治療薬について講演を行った。 なお、本年6月には「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の治療薬としてデキサメタゾンとの併用によるレナリドミドの承認申請を行っている。MDSは血液腫瘍の一種で、血液細胞を造る骨髄中の造血幹細胞に異常を来たす疾患であり、予後が悪く、進行すると急性骨髄性白血病へ移行することもある。わが国における患者数は7,100例と推定され、60~75歳に好発し、男性にやや多い疾患である。大屋敷氏によると、わが国におけるMDSの標準治療はなく、代替治療として免疫抑制療法、ステロイド療法が行われている。化学療法の治療効果は低く、また同種幹細胞移植は65歳以下の健康状態が良好な患者が対象のため、高齢者には適応できない。また、MDSでは輸血などの対症療法が行われるが、繰り返しの輸血に伴う感染症や鉄過剰症のリスクが増大する。実際に、輸血量が多くなるにつれてMDS患者の生存率が低下することや、鉄キレート療法により生存期間が延長することが報告されている。一方、MDSの病型を分類したWHO分類では、単独の5番染色体長腕に染色体異常を認めるMDSを「5q-症候群」と分類している。5q-症候群は欧米人では多いが、日本人ではきわめて稀な病型であり、MDSの約1~2%で患者数が131例程度、年間発生率10例程度(特発性造血障害調査研究班による調査報告、平成19年)と推測されている。女性に多く、中等症~重症の貧血、血小板増多症、芽球の増加がないのが特徴である。今回、レナリドミドは、この5q-を伴うMDSによる貧血治療薬としてわが国で承認申請を行った。大屋敷氏は、レナリドミドの海外における第II相試験の結果とともに、国内における多施設共同オープン試験の結果について紹介した。対象は、5q-を伴う低あるいは中間-1リスクのMDSによる貧血症状を有する患者11例で、4週1サイクルとして、レナリドミド10mg/日を1~21日目に経口投与し、32週目に反応があった患者を最長156週まで継続した。中間解析では、約1.5ヵ月で全例が貧血改善を示し、ヘモグロビン値の中央値は、7.0g/dLから、最大値12.7g/dLと改善が見られた。有害事象については、好中球減少がGrade3/4が10例(90.9%)など、骨髄抑制が主であった。さらに大屋敷氏は、高リスク群のMDSに対する治療薬について、欧米ではすでに使用されている脱メチル化薬(アザシチジン、デシタビン)の有用性を紹介し、今後、これらの薬剤も重要な位置付けになってくると述べた。最後に大屋敷氏は、MDSの治療について、どのような患者さんにどうすれば一番よいのか、今後リスクをさらに層別化していく必要があるかもしれない、同種骨髄移植や化学療法のほか、レナリドミドや脱メチル化薬といった選択肢が増えてくることによって治療が幅広くなってきていると将来の展望を述べ、講演を締めくくった。(ケアネット 金沢 浩子)

1599.

抗がん剤「eribulin(E7389)」 第3相比較試験において主要評価項目を達成

エーザイ株式会社は30日、同社が現在開発中の自社創製品である抗がん剤E7389(一般名:eribulin mesylate)について、局所進行性・転移性乳がんを対象としたフェーズIII試験の解析結果概要が得られたと発表した。eribulinは同社が創製した新規化合物であり、クロイソカイメンから初めて単離された天然由来化合物ハリコンドリンBの合成類似化合物。タキサン系抗がん剤は微小管を安定化することで細胞分裂を阻害するのに対し、eribulinは脱重合を抑制せずに微小管の伸長を阻害することによって細胞周期を停止させる、微小管ダイナミクス阻害剤である。欧米において実施された、今回のフェーズIII試験(EMBRACE試験:Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician’s Choice Versus E7389)は、2種から5種のがん化学療法(アントラサイクリンやタキサン系抗がん剤を含む)による前治療歴のある、局所再発性・転移性乳がんの患者762名を対象とした、多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験。試験では、患者をeribulin投与群と治験医師選択療法施行群の2群に分け、前者に対しては、21日を1クールとし、各クールの第1日目と第8日目に、本化合物をそれぞれ2分から5分かけて点滴静注した。治験医師選択療法は、がん治療の適応を持つ単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、もしくは緩和療法、放射線療法と定義した。フェーズIII試験の解析結果概要によれば、eribulin投与群では、治験医師選択療法施行群に比べ、主要評価項目である全生存期間(overall survival)が統計学的に有意に延長したという。試験におけるeribulinの安全性は、過去に実施したフェーズII試験で報告されたものと同様の結果であり、最も多く見られた有害事象は骨髄抑制であったとのこと。同社はフェーズIII試験結果の解析をさらに進め、試験データなどに基づき、局所進行性および転移性乳がんの適応で、eribulinの承認申請を日本・米国・欧州において本年度中に行う予定だという。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news200946.html

1600.

尿酸分解酵素製剤「ラスリテック」の製造販売承認を取得

サノフィ・アベンティス株式会社は16日、尿酸分解酵素製剤「ラスリテック」(一般名:ラスブリカーゼ(遺伝子組換え))について、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を効能又は効果として、厚生労働省より医薬品製造販売承認を取得したと発表した。ラスリテックは、遺伝子組み換え型の尿酸オキシダーゼで、がんを化学療法で治療する際に引き起こされる高尿酸血症に対して用いられる。ラスリテックはサノフィ・アベンティス(本社:フランス、パリ)が創薬から開発まで一貫して自社で行った製品で、2001年のヨーロッパでの承認以来、世界50ヵ国で承認されている。高尿酸血症は、がんで増殖した腫瘍細胞が、腫瘍自身の崩壊や化学療法などにより急激に破壊されることによって、細胞内の核酸やカリウム、リン酸などが大量に血中に放出されて引き起こされる腫瘍崩壊症候群(高尿酸血症、高カリウム血症、高リン酸血症およびそれに引き続く低カルシウム血症の総称)のひとつ。腫瘍崩壊症候群は適切な治療を行わないと急性腎不全に至ることがあり、最悪の場合は、致死的な経過をたどることのある症候群だ。がん化学療法に伴う高尿酸血症では大量の尿酸が血中に存在するため、速やかに治療されない場合、尿酸が腎臓内に蓄積し腎不全を引き起こすことがあるという。ラスリテックは新規作用機序を持ち、尿酸を直接分解することで、水溶性の高いアラントインに変換し、尿中に排泄することができるとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/5DD2F902-02A0-465D-93DD-2BBB97857943.pdf

検索結果 合計:1680件 表示位置:1581 - 1600