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FOLFOXIRI+BV、大腸がん1~2次治療で優越性(TRIBE2)/ESMO2018

 切除不能大腸がんにおいて、1~2次治療でのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BV)の併用療法が、FOLFOX+BV→FOLFIRI+BVの治療シークエンスと比較して良好なアウトカムを示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が発表した第III相TRIBE2試験の中間解析結果より。 TRIBE2試験は、切除不能大腸がんの1~2次治療における3剤併用+BVと2剤併用+BVの有効性を比較する非盲検無作為化第III相試験。被験者は、Arm A:FOLFOX+BV→維持療法として5-FU+BV(PDまで)→FOLFIRI+BV→5-FU+BV(PDまで) Arm B:FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)→FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)に1:1の割合で無作為に割り付けられた(各併用療法はそれぞれ最大8サイクル)。 主要評価項目は、「無作為化から、2次治療のPD(2次治療なし、あるいは1次治療でのPDから3ヵ月以内に2次治療が開始されなかった場合は1次治療のPD)または死亡のいずれかが最初に生じるまでの期間」として定義される無増悪生存期間2(PFS2)。Arm AにおけるPFS2中央値を15ヵ月と推定し、Arm Bとのハザード比(HR)が0.77となるためには、466イベント、654例の患者が必要とされた(両側αエラー:0.05、両側βエラー:0.20)。中間解析は2/3のイベント(303イベント)発生時に計画され、O'Brien Fleming法にしたがって、中間解析では0.0131、最終解析では0.0455の両側αレベルが定義された。 主な結果は以下のとおり。・2015年2月~2017年5月までの間に、イタリアの58施設で、18~75歳、ECOG PS ≦2の679例(Arm A / B:342例/337例)の切除不能大腸がん患者が組み入れられた。年齢中央値:61歳/60歳、ECOG PS 0:86%/87%、右側原発:38%/38%、アジュバント化学療法歴有:2%/2%、肝限局転移:29%/32%、RAS変異型:65%/63%、BRAF 変異型:10%/10%。・追跡期間中央値22.8ヵ月で、547例(286/261)の患者が進行し、423イベント(235 /188)についてPFS2が報告された。・Arm BではArm Aと比較して、1次治療後のPD(PD1)までの期間であるPFS1(9.9ヵ月 vs. 12.0ヵ月、HR:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87、p<0.001)およびRECISTによる奏効率(50% vs.61%、オッズ比[OR]:1.55、95%CI:1.14~2.10、p=0.005)を有意に改善した。・Arm Aで248例(86%)、Arm Bで194例(74%)がPD1後に2次治療を受けた。Arm BではArm Aと比較して、PFS2を有意に延長した(16.2ヵ月 vs. 18.9ヵ月、HR:0.69、95%CI:0.57~0.83、p<0.001)。・1次治療におけるGrade3/4の有害事象のうち、Arm Bで多くみられた項目は、下痢(5% vs.17%、p<0.001)、好中球減少症(21% vs.50%、p<0.001)、発熱性好中球減少症(3% vs.7%、p<0.050)であった。 ■参考TRIBE2試験(Clinical Trials.gov)※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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がん悪液質とグレリン様作用薬

 近年、グレリン様作用薬が、がん患者の悪液質症状の改善・軽減効果を示すことが大規模臨床試験で報告され注目を浴びている。そのような中、がん悪液質とグレリンの関係について、日本臨床栄養学会総会・日本臨床栄養協会総会の第16回大連合大会において、国立がん研究センター東病院の光永 修一氏が発表した。がん悪液質とは? がん悪液質は「通常の栄養サポートでは完全に回復することが困難で、進行性の機能障害をもたらし、著しい筋組織の減少を特徴とする複合的な代謝機能障害」(EPCRCガイドライン)と定義される。診断については、「(がん患者における)過去6ヵ月間で5%を超える体重減少がある」「BMI 20未満の患者で2%を超える体重減少がある」または「2%を超える体重減少とサルコペニアを認める」という基準が国際的コンセンサスを得ている。 がん悪液質の頻度は高く、緩和ケアがん患者では46%、進行肺がん初回化学療法前で14%、膵がん診断時では63%との研究結果がある。 がん悪液質患者の予後は悪く、緩和ケア外来、膵がん診断時ともに悪液質があると全生存期間が有意に低下している。また、がん悪液質の増悪と体重減少は相関することが明らかになっており、初回化学療法前のNSCLCの試験では、体重減少が大きいほど悪液質症状が強くなり、治療前および治療中の体重減少が大きいと生命予後が悪くなることが明らかとなっている。がん悪液質の4つの症状と3つの病期 がん悪液質の症状は多様である。そのさまざまな症状が相まって、患者のQOLを悪化させ、予後を悪化させる。がん悪液質の特徴的な症状としては、体重減少(Storage)、食欲不振(Intake)、CRP上昇などの病勢の悪化(Potential)、身体機能の低下(Performance)という4つ(SIPP)がある。 これら症状の程度によって、がん悪液質は「前悪液質」「悪液質」「不応性悪液質」の3段階の病期に分類される。「前悪液質」は、代謝異常は伴うが、体重減少5%以下で比較的症状の軽度な段階。「悪液質」は、過去6ヵ月間で5%超の体重減少、といった前述の定義を満たし、食欲不振や全身炎症を伴う段階。「不応性悪液質」は、異化状態が進み、全身状態が低下し、治療抵抗性に陥っている段階とされる。グレリン様作用薬が悪液質患者の食欲を速やかに改善 がん悪液質は、「前悪液質」段階で治療を開始することで、高い介入効果が期待されている。そのため、悪液質誘導分子、炎症性サイトカイン、食欲に関わる神経内分泌調節不全といった、悪液質の初期段階に関与する標的に焦点を当てた、治療方法の開発が進んでいる。 その中で、グレリンは、食欲とともに、タンパク同化、消化器症状の緩和を促すことから、神経内分泌不全に対する効果が期待されている。また、がん悪液質患者では、内因性グレリンの作用が発揮されにくい可能性が示唆されている。 そのような中、外因性グレリンとしてグレリン様作用薬anamorelinの介入が研究されている。anamorelinは、第II相試験において良好な成績を示し、その後、NSCLCの悪液質患者を対象とした、第III相ROMANA1、ROMANA2試験が行われた。ROMANA1、2ともに500例近い患者が登録され、anamorelin群とプラセボ群で比較検討された。主要評価項目は、除脂肪体重および握力の変化量である。結果、主要評価項目の1つである除脂肪体重は、ROMANA1、2ともにanamorelin群で有意に優れていた。また、その改善は速やかであった。さらに、食欲についてもROMANA1、2ともに速やかに改善し、その後も改善は有意に持続していた。しかし、握力の改善は認められなかった。有害事象については、軽度の消化器症状が若干増加するものの、それ以外はプラセボと大きな違いはなかった。わが国でも、消化器がんと肺がんで第II相試験が行われ、国際的な第III相試験と同様の結果が報告されており、グレリン様作用薬anamorelinはがん悪液質治療の選択肢の1つとして期待されている。〔11月9日 記事の一部を修正しました〕■関連記事日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)サルコペニア、カヘキシア…心不全リスク因子の最新知識※医師限定肺がん最新情報ピックアップ Doctors’Picksはこちら

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免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第1回

第1回 免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が標準治療の一部となり、今後プラチナ併用療法との3~4剤併用がPD-L1発現レベルにかかわらず検討されるようになる。一方で、根治に導かれる対象はまだまだ少なく、増悪後の治療戦略は今後の検討課題である。前治療で有効性の高い薬剤の再投与はre-challengeと称され、小細胞肺がんにおけるプラチナ併用療法のre-challenge(Inoue A, Lung Cancer 2015)や遺伝子変異陽性例に対するチロシンキナーゼ阻害剤の再投与(Asahina H, Oncology 2010)が第II相試験レベルで行われてきた。ICIについて、先行する悪性黒色腫では単群第II相試験が複数報告され、初回治療と遜色のない効果のみならず安全性も忍容可能であることが報告されているものの、肺がんを含んだ報告はこれまでcase report(Hakozaki T, BMC Cancer 2018)が散見される程度であった。しかしながら2018年に入って徐々に新規の報告が増えてきており、今回その中から2報を取り上げる。1)Fujita K, et al. Retreatment with pembrolizumab in advanced non-small cell lung cancer patients previously treated with nivolumab: emerging reports of 12 cases.Cancer Chemotherapy and Pharmacology.2018;81:1105-1109.2)Bernard-Tessier A, et al. Outcomes of long-term responders to anti-programmed death 1 and anti-programmed death ligand 1 when being rechallenged with the same anti-programmed death 1 and anti-programmed death ligand 1 at progression.Eur J Cancer.2018;101:160-1641)について本邦から、12例の後方視的ケースシリーズニボルマブ(Nivo)既治療例に対するペムブロリズマブ(Pembro)の効果:ORR 8.3%と、やや期待外れではあるものの、約4割で病勢制御が得られている。2例が12ヵ月以上の長期奏効を呈しており、1例は前治療NivoでもPRが得られている一方、2例目は前治療Nivoの最良効果はPDであった。2)についてフランスから、ICI(PD-1/L1阻害剤)の第I相試験に参加した13例に同じICIを再投与したもの(プロトコール規定による前向き研究)。ORRは25%、PFS中央値は12ヵ月。1)、2)いずれも少数例の研究であり、これらをすぐさま実臨床に援用はできない。悪性黒色腫の報告も含めて、現時点では「再投与の安全性は問題なさそう」というのが最も明らかなことと思われる。今後、標準的な細胞障害性化学療法との比較試験が必要になってくると思われるが、下記のようないくつかの議論が必要である。どのような対象で再投与が有効なのか。有効例を対象にした2)の方が再投与の有効性は高いようにもみえるが、1)では初回不応例に再投与が有効性を示している。同じICIがよいのか、もしくはPD-1→PD-L1阻害剤のように変更したほうがよいのか。免疫関連有害事象(以下、irAE)を生じていても再投与は可能なのか。この点については、1)、2)とも詳細が不明である。ICIの再投与については国内外で臨床試験が進行中である(たとえばWJOG9616L:試験事務局 寺岡 俊輔@和歌山県立医科大学)。今後の情報集積が期待される。

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切除不能TN乳がん1次治療でのアテゾリズマブ+nab-パクリタキセル/NEJM

 未治療の転移を有する/切除不能な局所進行トリプルネガティブ乳がん患者に対し、アテゾリズマブ+アルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-パクリタキセル)併用療法は、intention-to-treat(ITT)集団およびPD-L1陽性サブグループのいずれにおいても無増悪生存期間(PFS)を延長することが認められた。有害事象は、各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが、第III相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験「IMpassion130試験」の結果を報告した。エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性およびHER2陰性のトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は予後不良の悪性疾患だが、nab-パクリタキセルはアテゾリズマブの抗腫瘍活性を高める可能性が示されていた。NEJM誌オンライン版2018年10月20日号掲載の報告。41ヵ国246施設902例について、プラセボ対照試験 IMpassion130試験は、41ヵ国246施設で実施された。2015年6月~2017年5月までに、転移を有する/切除不能な局所進行TNBCと診断され化学療法または全身療法歴のない患者902例を、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ)群と、プラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ)群に1対1の割合で無作為に割り付け(層別化因子:タキサン系薬剤投与歴、ベースライン時の肝転移の有無およびPD-L1発現状態)、疾患増悪または許容できない有害事象が発現するまで投与を継続した。 主要評価項目は2つで、ITT集団およびPD-L1陽性サブグループにおけるPFSならびに全生存期間(OS)であった。アテゾリズマブ+nab-パクリタキセルでPFSが有意に延長 追跡期間中央値12.9ヵ月において、PFS中央値はITT集団でアテゾリズマブ群7.2ヵ月、プラセボ群5.5ヵ月(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.002)、PD-L1陽性サブグループでそれぞれ7.5ヵ月、5.0ヵ月(同HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.001)であった。 OS中央値は、ITT集団でアテゾリズマブ群21.3ヵ月、プラセボ群17.6ヵ月(死亡のHR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.08)、PD-L1陽性サブグループでそれぞれ25.0ヵ月、15.5ヵ月(同HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。 新規の有害事象は確認されず、投与中止に至った有害事象の発現率はアテゾリズマブ群15.9%、プラセボ群8.2%であった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がん1LでORR60%(CheckMate-142)/ESMO2018

 MSI-H/dMMの転移を有する大腸がん(mCRC)患者の1次治療として、抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法が持続的な治療効果を示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、米国・USC Norris Comprehensive Cancer CenterのHeinz-Josef Lenz氏により第II相CheckMate-142試験の新たな解析結果が発表された。 なお、米国では同試験別コホートからのデータに基づき、化学療法歴のある上記患者対象にニボルマブ単剤療法が2017年8月、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が2018年7月に、米国食品医薬品局(FDA)からそれぞれ承認されている。 今回結果が発表されたコホートでは、治療歴のないMSI-H/dMMのmCRC患者において、病勢進行、死亡、または忍容できない毒性が認められるまで、ニボルマブ(3mg/kgを2週間間隔)とイピリムマブ(1mg/kgを6週間間隔)が投与された。主要評価項目は治験担当医評価による奏効率(ORR)で、副次評価項目は盲検独立中央委員会(BICR)評価によるORR、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・45例の患者が組み入れられ、51%が男性、年齢中央値は66歳であった。ECOG PSは0(56%)/1(44%)、診断時の臨床病期はI~III期(62%)/IV期(38%)、リンチ症候群の患者が18%含まれ、PD-L1発現率は≧1%(27%)/<1%(58%)/不明(16%)。変異の有無についてはBRAF/KRAS野生型が29%、BRAF変異型が38%、KRAS変異型が22%、その他は不明であった。・追跡期間中央値13.8ヵ月(9~19ヵ月)で、治験担当医評価によるORRは60%、DCRは84%であり、3例(7%)で完全奏功(CR)、24例(53%)で部分奏功(PR)が確認された。PD-L1発現状態やBRAF/KRAS変異、リンチ症候群の有無によらず、奏功が得られていた。・データカットオフ時点で、DOR中央値は未達であった。奏効が得られた患者の82%で効果が持続中であり、74%で6ヵ月以上奏功が持続していた。 ・PFS中央値、OS中央値はともに未達であり、12ヵ月PFS率は77%(95%信頼区間[CI]: 62.0~87.2)、12ヵ月OS率は83%(95%CI:67.6~91.7)であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は78%の患者で発現し、多くみられた項目は、そう痒症(24%)、甲状腺機能低下症(18%)、無力症(16%)、関節痛(13%)であった。Grade3/4のTRAEは16%の患者で発現したが、治療中止に至ったのは7%と低く、忍容可能と考えられた。■参考CheckMate142試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMSニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2018ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに承認/FDA※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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アジア人でより有効、進行肺がんへのプラチナ+ペメトレキセド+アテゾリズマブ(IMpower132)/ESMO 2018

 Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペメトレキセドとプラチナ製剤の併用療法、およびペメトレキセドによる維持療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower132試験では、アテゾリズマブ併用群で無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことがすでに発表されている(5.2ヵ月 vs.7.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.49~0.72、p<0.0001)。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、本試験のサブグループ解析結果が、フランス・エクス=マルセイユ大学のFabrice Barlesi氏により発表された。IMpower132試験を年齢・人種・喫煙歴・肝転移の有無でサブグループ解析 IMpower132試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者(EGFR/ALK陰性)を対象とし、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用→ペメトレキセド維持療法群(PP群)と、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用+アテゾリズマブ→ペメトレキセド+アテゾリズマブ維持療法群(APP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。 今回のIMpower132試験のサブグループ解析では、年齢(<65歳/≧65歳)、人種(アジア人/非アジア人)、喫煙歴(非喫煙者/現在あるいは過去の喫煙者)、およびベースライン時点での肝転移の有無の4項目についてPFSおよび中間解析時点での全生存期間(OS)が評価された。 IMpower132試験のサブグループ解析の主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2018年5月22日)時点で、追跡期間中央値は14.8ヵ月であった。・年齢別(PFS中央値)<65歳(PP群167例 vs.APP群153例):4.4ヵ月 vs.6.9ヵ月(HR:0.63、95%CI:0.49~0.80)≧65歳(PP群119例 vs.APP群139例):5.6ヵ月 vs.8.4ヵ月(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73)。・年齢別(OS中央値)<65歳:14.2ヵ月 vs.18.8ヵ月(HR:0.89、95%CI:0.62~1.21)。≧65歳:12.8ヵ月 vs.18.1ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.50~1.01)。・人種別(PFS中央値)アジア人(PP群65例 vs.APP群71例):5.3ヵ月 vs.10.2ヵ月(HR:0.42、95%CI:0.028~0.63)。非アジア人(PP群221例 vs. APP群221例):5.0ヵ月 vs.6.9ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.53~0.81)。・人種別(OS中央値)アジア人:NE vs.NE(HR:0.68、95%CI:0.37~1.24)。非アジア人:11.0ヵ月 vs.13.0ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.64~1.06)。・喫煙歴別(PFS中央値)非喫煙者(PP群30例 vs.APP群37例):5.5ヵ月 vs.8.6ヵ月(HR:0.49、95%CI:0.28~0.87)。現在・あるいは過去の喫煙者(PP群256例 vs.APP群255例):5.1ヵ月 vs.7.5ヵ月(HR:0.61、95%CI:0.50~0.74)。・喫煙歴別(OS中央値)非喫煙者:13.3ヵ月 vs.18.1ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.32~1.30)。現在・あるいは過去の喫煙者:13.6ヵ月 vs.18.8ヵ月(HR:0.83、95%CI:0.65~1.06)。・肝転移有無(PFS中央値)肝転移有(PP群36例 vs.APP群37例):4.0ヵ月 vs.4.4ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.47~1.25)。肝転移無(PP群250例 vs.APP群255例):5.5ヵ月 vs.8.4ヵ月(HR:0.56、95%CI:0.46~0.69)。・肝転移有無(OS中央値)肝転移有:6.9ヵ月 vs.10.1ヵ月(HR:0.99、95%CI:0.57~1.70)。肝転移無:14.2ヵ月 vs.19.9ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.59~0.98)。※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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進行乳がんへのパルボシクリブ+フルベストラント、OSの結果/NEJM

 ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行乳がんで、内分泌療法に感受性の認められた患者に対し、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ+フルベストラント投与は、フルベストラント投与のみに比べ、全生存期間(OS)を延長することが示された。ただし、群間の有意差は示されなかった。英国・Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏らが、521例を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年10月20日号で発表された。今回の報告は、同試験の事前規定の副次評価項目OSについての解析結果で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は延長したことがすでに報告されている(palbociclib、内分泌療法後に進行した乳がんのPFS延長/NEJM)。内分泌療法への感受性や閉経前・後などの層別因子によるパルボシクリブの効果を検証 試験は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行乳がん患者で、既治療の内分泌療法中に再発または進行が認められた患者521例を対象に行われた。 被験者を無作為に2対1の2群に分け、一方にはパルボシクリブ+フルベストラントを、もう一方にはプラセボ+フルベストラントをそれぞれ投与した。 OSについて解析し、事前に規定した層別因子である内分泌療法への感受性の有無、転移を有する内臓疾患の有無、閉経前・後に対するパルボシクリブの有効性、進行後の後続治療の有効性、および安全性について検証した。パルボシクリブ群の内分泌療法に感受性ある患者のOS中央値は39.7ヵ月 OS中央値は、パルボシクリブ群34.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:28.8~40.0)、プラセボ群28.0ヵ月(同:23.6~34.6)だった(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.64~1.03、p=0.09、絶対差:6.9ヵ月)。 試験レジメン終了後のCDK4/6阻害薬治療は、プラセボ群の患者16%に対して行われた。 既治療の内分泌療法に感受性の認められた410例において、OS中央値はパルボシクリブ群39.7ヵ月(95%CI:34.8~45.7)、プラセボ群29.7ヵ月(同:23.8~37.9)だった(HR:0.72、95%CI:0.55~0.94、絶対差:10.0ヵ月)。 後続治療の期間中央値は、両群で同等だった。化学療法を受けるまでの期間中央値は、パルボシクリブ群17.6ヵ月、プラセボ群8.8ヵ月だった(HR:0.58、同:0.47~0.73、p<0.001)。 パルボシクリブの新たな安全性に関する兆候は、追跡期間44.8ヵ月において観察されなかった。

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デュルバルマブ、CCRT維持療法のサブグループ解析(PACIFIC)/ESMO2018

 PACIFIC試験はStageIII切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるCCRT治療においてOSとPFS双方を改善した。このPACIFIC試験の探索的解析が、ドイツ・ミュンヘンでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)において、発表された。・対象:化学放射線同時併用療法(CCRT)後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験薬:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月・対照薬:プラセボ、2週ごと12ヵ月・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定によるPFS、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・事前に設定されたPFSとOSのサブ解析では、すべての項目で、デュルバルマブ群が優れていた。・先行化学療法の種類にかかわらず、デュルバルマブ群が優位であった。・先行放射線治療の照射量、放射線完了時から維持治療までの時間(14日未満・以上)にかかわらず、デュルバルマブ群が優位であった。 事後に設定されたサブグループ解析(PD-L1 1%未満・以上)・BICR判定によるPFSは、[PD-L1 TC 1%以上]デュルバルマブ群17.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.46、0.33~0.64)。[PD-L1 TC 1%未満]デュルバルマブ群10.7ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.48~1.11)。・OSは、[PD-L1 TC 1%以上]デュルバルマブ群未達、プラセボ群29.1ヵ月であった(HR:0.53、95%CI:0.36~0.77)。「TC1%未満」デュルバルマブ群、プラセボ群ともに未達であった(HR:1.36、95%CI:0.79~2.34)。 発表者の英国・マンチェスター大学 Faivre-Finn氏は、PD-L1 1%を境界としたサブ解析について下記のように述べた。この解析は、事前に設定されたサブグループではなく、EMAの要請により行ったものであること(事前に設定されたサブグループはPD-L1 25%未満・以上・不明で、いずれの群もデュルバルマブ群が優位)。PD-L1 1%未満群は症例数およびイベント数が少なく、プラセボ群に有利な患者の背景があること、などから、PD-L1発現状況による最終的な結論は、今回の事後探索的サブグループ解析では導き出せない。PACIFIC試験のデータは、CCRT後のデュルバルマブ維持治療というPACIFICレジメンを、切除不能StageIII NSCLCの新たな標準治療として支持するものである。■関連記事デュルバルマブ、切除不能StageIII NSCLCのOS改善(PACIFIC)/NEJMEGFR変異陽性肺がんの再発リスクを40%減、ゲフィチニブ補助療法/ASCO2017※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を 第20回【肺がんインタビュー】

第20回 高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を高齢者の非小細胞肺がん(NSCLC)では、化学療法による発熱性好中球減少症(FN)が大きな問題となる。そのような中、高齢者肺がん患者を対象にドセタキセル・ラムシルマブ併用レジメン(以下、ドセタキセル・ラムシルマブ)にPEG-G-CSFを併用した、西日本がん研究機構(WJOG)による第II相試験DRAGON study(WJOG9416L)1)が実施される。同試験の研究事務局である神戸低侵襲がん医療センターの秦 明登氏に、同研究の狙いを聞いた。試験を行った背景はどのようなものですか。わが国では、ドライバー遺伝子変異のない高齢者肺がんに対する1次治療のスタンダードは、ドセタキセル単剤です。このドセタキセル単独に対し、ドセタキセル・ラムシルマブは、2次治療以降で、奏効率、無増悪生存期間、そして全生存期間を有意に延ばしています2)。この試験は年齢を問わず行われましたが、高齢者においても有力な治療選択肢となる可能性があります。しかし、このレジメンの課題はFNの頻度が高いことで、日本人の第II相試験では、34%、つまりおよそ3例に1例がFNを発症するという報告があります3)。一方、わが国の後ろ向きの報告では、ドセタキセル・ラムシルマブにPEG-G-CSF製剤であるペグフィルグラスチムを併用することで、FN発症をゼロに抑えたという報告があります4)。そのほかにも、ペグフィルグラスチムの化学療法との併用によるFN発症抑制については、しっかりしたエビデンスが示されています。このようなことから、ドセタキセル・ラムシルマブにペグフィルグラスチムの1次予防を併用することで、FNを防ぎつつ、有効性を確保した治療を高齢NSCLC患者に提供できるのではないかという仮説を立て、この試験を実施しています。プライマリ・エンドポイントは全奏効率(ORR)ですが、FN発症抑制についても評価されるのですか。有効性を評価するために第II相試験の一般的な評価項目として、ORRをプライマリ・エンドポイントに設定しています。FNの発症率についても、副次評価項目の安全性で評価する予定です。FNの1次予防としてG-CSFを用いることについては?改訂されたG-CSF使用に関するASCOのガイドラインでは、FN発症リスク20%以上の患者ではG-CSFの1次予防が推奨されています5)。ドセタキセル・ラムシルマブのFN発症率はおよそ3分の1ですので、十分その対象となります。さらに、PEG製剤を用いることによる、実臨床でのメリットもあります。現在の化学療法はほとんど外来で実施します。従来のG-CSFは連日投与が必要ですが、PEG-G-CSFは半減期が長く、3週に1回の投与で効果を発揮し、また化学療法の翌日から予防的に投与できます。実際の治療として、3週間サイクルの1日目にドセタキセル・ラムシルマブを、翌日にペグフィルグラスチムを投与するだけで済みますので、患者さんの受診負担も減らすことが可能になるのです。今後の研究の方向性はどのようなものですか。高齢者NSCLCの化学療法の効果は十分とはいえませんし、進化もプラトーに達しているといえます。しかし、分子標的薬は高齢者にも有効性が期待できます。その中の1つが、ベバシズマブやラムシルマブなどのVEGF阻害薬です。ただ、わが国の高齢者肺がんにおけるラムシルマブの使用については十分なデータがあるとはいえません。その意味でも、前向きに65例を検証する、この試験は意義があると思います。この第II相試験で、FNの発症抑制など安全性を確保しつつ、有効性を示すことができたら、次は、ドセタキセル・ラムシルマブ+ペグフィルグラスチムと現在の標準治療ドセタキセル単剤とを比較する第III相試験に進む計画です。DRAGON(WJOG9416L)studyデザイン多施設前向きシングルアーム第II相試験対象:75歳以上のNSCLC患者(化学療法未治療、ドライバー遺伝子変異陽性例はTKI治療で進行した患者)介入:ドセタキセル60mg/m2、ラムシルマブ10mg/kg day1、ペグフィルグラスチム3.6mg day2、3週ごと主要評価項目:全奏効率(ORR)副次評価項目:無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間、安全性ORR:閾値20%、期待値35%サンプルサイズ:65例※DRAGON Study:Docetaxel plus Ramucirumab with primary prophylactic pegylated granulocyte-colony stimulating factor support for elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: A multicenter prospective single arm phase II trial1)Hata A, et al. Clin Lung Cancer. 2018 Aug 7.[Epub ahead of print]2)Garon EB, et al. Lancet. 2014;384:665-673.3)Yoh K, et al. Lung Cancer. 2016;99:186-193.4)Hata A, et al. Oncotarget. 2018;12:27789-27796.5)Smith TJ, et al. J Clin Oncol. 2006;24:3187-3205.

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PI3K阻害薬alpelisib、HR+/HER2-進行乳がんでPFS約2倍(SOLAR-1)/ESMO2018

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんにおいて、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。HR+/HER2-乳がん患者の約40%がPIK3CA遺伝子変異を有する。日本も参加している第III相SOLAR-1試験の結果に基づき、フランス・パリ第11大学のFabrice André氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。 SOLAR-1試験では、閉経後女性および男性の、HR+/HER2-進行乳がん患者(ECOG PS≦1、1ライン以上のホルモン療法歴あり、進行後の化学療法歴はなし)を対象に、PIK3CA遺伝子変異陽性もしくは陰性コホートでそれぞれ、alpelisib併用群(alpelisib 300mg/日+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、肝/肺転移の有無およびCDK4/6阻害薬による治療の有無。主要評価項目は、PIK3CA陽性コホートにおける無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、PIK3CA陰性コホートのPFS、両コホートの全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などである。 主な結果は以下のとおり。・全体で572例が組み入れられ、うち341例がPIK3CA陽性(併用群:169例、プラセボ群:172例)、231例が陰性(併用群:115例、プラセボ群:116例)であった。・PIK3CA陽性コホートにおけるPFS中央値は、alpelisib併用群11.0ヵ月に対しプラセボ群5.7ヵ月と併用群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.85; p=0.00065、追跡期間中央値:20.0ヵ月)。・PIK3CA陰性コホートにおけるPFS中央値は、alpelisib併用群7.4ヵ月に対しプラセボ群5.6ヵ月で、あらかじめ定められたPoC(Proof of Concept)基準を満たさなかった(HR:0.85、95%CI:0.58~1.25)。・測定可能なPIK3CA遺伝子変異陽性患者(262例)におけるORRは、併用群36% vs.プラセボ群16%であった(p=0.0002)。・全患者の安全性プロファイルについて、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは、高血糖(併用群37% vs.プラセボ群<1%)、皮疹(10% vs.<1%)であった。 André氏は、「現段階でのフォローアップ期間は短く、長期的な生存利益があるかどうか確定的なことは言えない。しかし、PFSをプラセボ群と比較して約2倍に延長しており、新たな治療選択肢としての可能性があると言えるだろう。また、これまでのPI3K阻害薬がPI3K の4つのアイソフォーム全て(α、β、γ、δ)を標的としていたために毒性が高かったことと比較して、alpelisibはα特異的であることが特徴。本結果から、alpelisib併用群での有害事象の多くはGrade 1/2であり、Grade 3 以上がみられた高血糖と皮疹については、研究プロトコルに示された容量変更ならびにそれに伴う医学的介入によって管理された」と話している。■参考ESMO2018プレスリリースSOLAR-1試験(Clinical Trials.gov)■関連記事NovartisのPI3K阻害剤、PIK3CA変異乳がんの主要評価項目を達成(SOLAR-1)

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オシメルチニブ2次治療における耐性獲得機序(AURA3)/ESMO2018

 オシメルチニブは、EGFR T790M陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)における第III相AURA3試験において、化学療法と比較して、優れた有効性を示したが、このAURA3試験中にオシメルチニブで病勢進行した症例のctDNAを用いた獲得耐性についての結果が、初めて報告された。 主な結果は以下のとおり。・AURA3試験でオシメルチニブ治療群に無作為化された279例のうち、ベースラインおよび進行・治療中止時の血漿サンプル入手可能症例は83例(30%)であった。・83例中、ベースライン時にEGFR変異が検出できたのは73例であった。・73例中、血漿サンプルでT790Mが検出できたのは88%であった(組織サンプルでは100%)。・T790Mの消失は49%と、半数にみられた。・EGFR獲得変異は21%に認められ、主なものはC797Sの14%であった。・MET増幅は19%にみられた。・HER2増幅は5%にみられた。・1つ以上の耐性関連変異が認められたのは19%であった。・T790M消失例のPFSは5.54ヵ月、T790M保有例では7.06ヵ月であり、T790M消失例で短い傾向にあった。 AURA3試験におけるオシメルチニブ2次治療の耐性メカニズムとしては、MET増幅およびEGFR C797Sが多く確認されたが、予想外のものは観察されなかった。同時に、さまざまな耐性メカニズムの共起が確認された。

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nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、nab-パクリタキセルと抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相ランダム化比較試験IMpassion130の結果に基づき、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。同患者対象の1次治療の第III相試験で、免疫療法についてポジティブな結果が出たのは初となる。nab-パクリタキセルとアテゾリズマブ併用を評価 IMpassion130では、ECOG PS 0~1、転移性または切除不能な局所進行TNBC患者を対象に、アテゾリズマブ併用群(28日を1サイクルとして、アテゾリズマブ840mgを1日目と15日目に、nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、タキサン系薬剤による治療、肝転移の有無、PD-L1ステータス。主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1陽性患者におけるPFSと全生存期間(OS)、副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・2018年4月17日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は12.9ヵ月。・全体で902例が組み入れられ、ITT解析対象はnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群/nab-パクリタキセル+プラセボ群ともに451例、うち41%(185例/184例)がPD-L1陽性であった。・年齢中央値はアテゾリズマブ併用群が55歳、プラセボ群が56歳。(ネオ)アジュバント療法歴有は63%(284例/286例)、タキサン系薬剤は51%(231例/230例)、アントラサイクリン系薬剤は54%(243例/242例)であった。・PFS中央値はITT解析対象でnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群7.2ヵ月に対しnab-パクリタキセル+プラセボ群5.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.0025)。PD-L1陽性患者でアテゾリズマブ併用群7.5ヵ月に対し5.0ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)といずれも併用群で有意に改善した。・中間解析時点でのOS中央値はITT解析対象で21.3ヵ月 vs.17.6ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.0840)。PD-L1陽性患者で25.0ヵ月 vs. 15.5ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。・ORRはITT解析対象で56% vs.46%、PD-L1陽性患者で59% vs.43%。完全奏効率はアテゾリズマブ併用群で高く、ITT解析対象で7% vs.2%、PD-L1陽性患者で10% vs.1%であった。・DOR中央値はITT解析対象で7.4ヵ月 vs. 5.6ヵ月、PD-L1陽性患者で8.5ヵ月 vs. 5.5ヵ月であった。・安全性プロファイル(452例/438例が解析対象)について、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは好中球減少症(両群とも8%)、好中球数減少(5%/3%)、末梢神経障害(6%/3%)、倦怠感(4%/3%)、貧血(両群とも3%)であった。 オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMarleen Kok氏は本結果について、「PFSのベネフィットは比較的小さく約2~3ヵ月であったが、PD-L1陽性患者におけるOSを約10ヵ月延長している点が印象的である。抗PD-(L)1抗体とどの化学療法の組み合わせが最適かについて多くの臨床試験が進行中であり、本結果はその疑問に答えを出すのに役立つだろう」と話している。

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扁平上皮NSCLCの1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS、PFS延長/NEJM

 未治療の転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を化学療法と併用すると、化学療法単独に比べ全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間がいずれも有意に延長することが、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏らが行った「KEYNOTE-407試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年9月25日号に掲載された。転移を有する扁平上皮NSCLCの現在の標準的1次治療は、プラチナ製剤ベースの化学療法またはペムブロリズマブ(腫瘍細胞の≧50%がPD-L1を発現している患者)とされる。一方、非扁平上皮NSCLCでは、最近、プラチナ製剤ベース化学療法とペムブロリズマブの併用により、OS期間の有意な延長が報告されていた。化学療法との併用の効果をプラセボと比較 本研究は、日本を含む17ヵ国137施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験(Merck Sharp & Dohmeの助成による)。今回は、2回目の中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18歳以上、病理学的にStageIVの扁平上皮NSCLCと確認され、転移病変に対する全身療法が行われておらず、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であった。 被験者は、ペムブロリズマブ(200mg)またはプラセボを、3週を1サイクルとしてDay 1に投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。全例が、1~4サイクルまで、カルボプラチンと、パクリタキセルまたはナブパクリタキセルの投与を受けた。5サイクル以降は、ペムブロリズマブまたはプラセボのみが投与され、最大で合計35サイクルまで治療が行われた。 主要エンドポイントはOSおよびPFSの2つとし、盲検化された独立の中央判定委員会により画像の評価が行われた。2016年8月~2017年12月の期間に559例が登録され、ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群には281例が割り付けられた。OS期間が4.6ヵ月、PFS期間は1.6ヵ月延長し、リスクが36%、44%低減 ベースラインの年齢中央値は、ペムブロリズマブ群が65歳(範囲:29~87歳)、プラセボ群も65歳(36~88歳)、男性がそれぞれ79.1%、83.6%であった。全体の63.1%がPD-L1発現率(tumor proportion score: TPS)≧1%であり、60.1%でパクリタキセルが選択され、19.0%が東アジア人であった。フォローアップ期間中央値は7.8ヵ月だった。 OS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が15.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.2~未到達)と、プラセボ群の11.3ヵ月(9.5~14.8)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.64、95%CI:0.49~0.85、p<0.001)。1年OS率はペムブロリズマブ群が65.2%、プラセボ群は48.3%であった。PD-L1の発現状況(TPS<1%、≧1%、1~49%、≧50%)を含む、事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがOSが良好であった。東アジア人のHRは0.44(95%CI:0.22~0.89)、その他の地域は0.69(0.51~0.93)だった。 PFS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が6.4ヵ月(95%CI:6.2~8.3)であり、プラセボ群の4.8ヵ月(4.3~5.7)に比し有意に良好であった(HR:0.56、95%CI:0.45~0.70、p<0.001)。事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがPFSが良好であり、PD-L1の発現が増加するにしたがってPFSの改善度が大きくなった(TPS<1%:6.3 vs.5.3ヵ月[HR:0.68、95%CI:0.47~0.98]、1~49%:7.2 vs.5.2ヵ月[0.56、0.39~0.80]、≧50%:8.0 vs.4.2ヵ月[0.37、0.24~0.58])。東アジア人のHRは0.49(95%CI:0.30~0.82)、その他の地域は0.58(0.46~0.73)だった。 奏効率は、ペムブロリズマブ群が57.9%(95%CI:51.9~63.8)、プラセボ群は38.4%(32.7~44.4)、奏効期間中央値は、それぞれ7.7ヵ月、4.8ヵ月であり、いずれもペムブロリズマブ群で良好だった。 両群とも、貧血(53.2 vs.51.8%)、脱毛(46.0 vs.36.4%)、好中球減少(37.8 vs.32.9%)の頻度が高かった。Grade3~5の有害事象の発症率は、ペムブロリズマブ群が69.8%、プラセボ群は68.2%であった。有害事象による治療中止の頻度は、ペムブロリズマブ群のほうが高かった(13.3 vs.6.4%)。免疫関連有害事象とinfusion reactionの発症率は、それぞれ28.8%(そのうちGrade3~5は10.8%)、8.6%(3.2%)であった。治療関連死はそれぞれ3.6%、2.1%にみられ、免疫関連有害事象による死亡は両群に1例ずつ認められた(いずれもGrade5の肺臓炎)。 著者は、「2回目の中間解析の結果であるため、フォローアップ期間が短いが、他の長期フォローアップ試験の結果から、ペムブロリズマブ群のベネフィットは、今後も維持または増大すると期待される」としている。

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デュルバルマブ、切除不能StageIII NSCLCのOS改善(PACIFIC)/NEJM

 切除不能StageIII 非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療はプラチナ併用化学療法と放射線療法の同時治療である(化学放射線同時療法、以下CCRT)。多くの研究が行われてきたものの、生存アウトカムは改善せず、5年生存率はわずか15~30%である。一方、前臨床試験において、化学放射線療法が腫瘍細胞のPD-L1の発現を増加することが示され、化学放射線療法後のPD-L1阻害薬の可能性が期待されていた。 そのようななか、切除不能StageIII NSCLCを対象にした、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)によるCCRT維持療法を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験PACIFICが行われた。すでに1つ目の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が、昨年(2017年)発表され、デュルバルマブがPFSを有意に改善することが示された。今回2つ目の主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な改善が、NEJM誌2018年9月25日号で発表された。・対象:化学放射線同時併用療法(CRT)後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験薬:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月・対照薬:プラセボ、2週ごと12ヵ月・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会判定によるPFS、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までに時間、安全性など 主な結果は以下のとおり。・713例が登録され、709例が介入試験の対象となった。そのうち、デュルバルマブ群に473例、プラセボ群に236例が割り付けられた。・追跡期間の中央値は25.2ヵ月(0.2~43.1)であった。・OS中央値は、デュルバルマブ群は未達、プラセボ群は28.7ヵ月と、デュルバルマブ群で有意に改善した(HR:0.68、99.73%CI:0.47~0.997、p=0.0025)。・24ヵ月OS率はデュルバルマブ群66.3%、プラセボ群55.6%であった。・PFSはデュルバルマブ群17.2ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月と、初回報告同様デュルバルマブ群で改善(HR:0.51、95%CI:0.41~0.63)していた。(初回報告のPFS:デュルバルマブ群16.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月)・副次評価項目である死亡または遠隔転移までの時間(TTDM)はデュルバルマブ群28.3ヵ月、プラセボ群16.2ヵ月とデュルバルマブ群で長かった(HR:0.53、95%CI:0.41~0.68)。・Grade3~4の有害事象はデュルバルマブ群の30.5%、プラセボ群の26.1%で発現した。治療中止に至った有害事象で最も頻度が高かったのは肺臓炎で、デュルバルマブ群では4.8%、プラセボ群では2.6%であった。 デュルバルマブはプラセボと比較し、有意に切除不能StageIII NSCLC 患者のOSを延長した。 なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺癌学会(WCLC2018)で発表された。■参考PACIFIC試験(N Engl J Med. 2017)PACIFIC試験(Clinical Trials.gov)■関連記事デュルバルマブ、StageIII 肺がんCCRT患者のOSを改善/WCLC2018durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

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アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の1次治療はプラチナ化学療法とエトポシドの併用だが、20年以上大きな進歩はみられておらず、全生存期間(OS)中央値は10ヵ月程度である。一方で、小細胞肺がんは腫瘍変異負荷が高いことから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されている。そこで、小細胞肺がんに対する、カルボプラチン・エトポシドへの免疫チェックポイント薬アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133が行われている。同試験の中間解析の結果がNEJM誌2018年9月25日号で発表された。アテゾリズマブ群のOSが有意に改善 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS 主な結果は以下のとおり。・201例がアテゾリズマブ群に、202例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は13.9ヵ月であった。・OSはアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、p=0.007)。・1年OS率はアテゾリズマブ群52.7%、プラセボ群38.2%であった。・PFSはアテゾリズマブ群5.2ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.02)。・サググループをみてもこのアテゾリズマブ群で良好な結果であった。・安全性プロファイルは、すでに個々の薬剤で報告されているものと同様であった。 ES-SCLC患者の1次治療において、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブの追加はOSおよびPFSを有意に改善した。 なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺癌学会(WCLC2018)で発表された。

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brigatinib、ALK陽性肺がん1次治療の新たなオプションに?(ALTA-1L)/WCLC2018

 ALK阻害薬未治療の局所進行または転移のあるALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、brigatinibの有効性をクリゾチニブと比較した第III相ALTA-1L試験の最初の中間解析結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺癌会議(WCLC2018)で、コロラド大学がんセンターのRoss Camidge氏により発表された。 ALTA-1L試験は、上記患者を対象としたbrigatinibのオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。患者は、brigatinib 180mg/日(7日間の導入期間においては90mg/日)投与群、もしくはクリゾチニブ250mg×2/日投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は独立評価委員会が評価した無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目には、客観的奏効率(ORR)、頭蓋内病変におけるORR、頭蓋内病変におけるPFS、全生存期間、安全性および忍容性が含まれている。PFSイベントの約50%および約75%が発生した時点の2回にわたり、主要評価項目に対する中間解析を行うことが事前に設定されていた。brigatinibが少なくとも6ヵ月クリゾチニブを上回るPFSの改善を示すために、合計約198件のPFSイベントが発生した時点で、主要評価項目の最終解析が行われる予定。 主な結果は以下のとおり。・brigatinib群に137例、クリゾチニブ群に138例の患者が組み入れられた。・年齢中央値はbrigatinib群58歳/クリゾチニブ群60歳。26%/27%に化学療法歴があり、29%/30%がベースライン時に脳転移を有していた。・データカットオフ(2018年2月19日)の追跡期間中央値は11.0ヵ月/9.25ヵ月。・99件のPFSイベント発生時点で独立評価委員会が盲検下で評価したPFS中央値は、brigatinib群NR(95%信頼区間[CI]:NR~NR)、クリゾチニブ群9.8ヵ月(95%CI:9.0~12.9)、ハザード比0.49(95%CI:0.33~0.74、log-rank検定:p=0.0007)で、brigatinib群で統計学的に有意に延長した。・confirmed ORRはそれぞれ71%(95%CI:62~78)、60%(95%CI:51~68)で、ベースライン時に測定可能な頭蓋内病変のあった患者のconfirmed ORRはそれぞれ78% (95%CI:52~94)、29%(95%CI:11~52)であった。・Grade3以上の治療下で発現した有害事象(TEAE)は、多くみられたものからbrigatinib群でCPK上昇(16.2%)、リパーゼ上昇(13.2%)、高血圧(9.6%)。 クリゾチニブ群でALT(9.5%)、AST(5.8%)、リパーゼ(5.1%)の上昇であった・間質性肺疾患(ILD)/肺炎の発現率は、3.7%/2.2%。AEによる治療中止は11.8%/ 8.8%で、brigatinib群の安全性プロファイルは、従来報告されているものと同様であった。 Camidge氏は、「9~11ヵ月という短期間のフォローアップの時点で、クリゾチニブと比較したbrigatinibの明らかな有効性が示されている。この差異は、脳転移に対する影響が大きいと考えられる。脳外の疾患制御に対する両剤の差異が今後現れなければ、PFSがさらに改善される可能性もある」と述べている。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考NCT 02737501(Clinical Trials.gov)Camidge DR., et al.N Engl J Med. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]■関連記事brigatinib、ALK肺がん1次治療でPFSを有意に改善(ALTA-1L)/武田薬品工業クリゾチニブ抵抗性ALK肺がんにおけるbrigatinibの成績:ALTA/WCLC2017新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA

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プラチナ+ペメトレキセドへのアテゾリズマブ併用、進行肺がん1次治療でPFS延長(IMpower132)/WCLC2018

 Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペメトレキセドとプラチナ製剤の併用療法、およびペメトレキセドによる維持療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower132試験の結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺癌会議(WCLC2018)で、MDアンダーソンがんセンターのVassiliki A. Papadimitrakopoulou氏により発表された。 IMpower132試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者(EGFR/ALK陰性)を対象とし、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用→ペメトレキセド維持療法群(PP群)と、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用+アテゾリズマブ→ペメトレキセド+アテゾリズマブ維持療法群(APP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)。探索的評価項目はPD-L1発現状態による有効性であった。今回は、RECIST v1.1評価に基づくPFSとOS(中間解析)ならびに安全性データが発表された。 主な結果は以下のとおり。・APP群に292例、PP群に286例の患者が組み入れられた。・全身状態は、APP群の43%、PP群の40%で良好(ECOG PS 0)であった。・データカットオフ(2018年5月22日)の追跡期間中央値は14.8ヵ月であった。・PFS中央値は、PP群5.2ヵ月に対し、APP群7.6ヵ月とAPP群で統計学的に有意に延長した(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.49~0.72、p

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ロシュ、世界肺癌会議(WCLC2018)で新データを発表

 Roche社は、2018年9月6日、カナダのトロントで9月23~26日に開催される2018年第世界肺癌会議(WCLC/IASLC 2018)において、さまざまな肺がんを対象とした臨床開発プログラムの新データが発表される旨を公表した。同会議では、3つのLate Breakerと5つの口頭発表を含む10個のアブストラクトが受理されたとしている。 主要な発表は以下のとおり。・進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)初回治療の第III相IMpower133試験から、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)の併用の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS))がPredsidentialシンポジウムで発表される。・進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療における第III相IMpower132試験から、アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+プラチナ)の併用のPFSおよびOSの結果が発表される。・TKIナイーブのEGFR変異陽性NSCLCの患者における第Ib相試験から、エルロチニブ・アテゾリズマブ併用の長期の安全性と有効性の結果が発表される。・進行ROS1融合陽性NSCLCにおける新たな国際第II相STARTRK-2バスケット研究を含むプール解析から、entrectinibの安全性と有効性の結果が提示される。■参考Roche社メディアリリース

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NLRにより異なる大腸がんセツキシマブ・化学療法レジメンの生存期間/Clin Colorectal Cancer

 好中球・リンパ球比(NLR)は炎症マーカーであると共に、その上昇は腫瘍浸潤リンパ球の減少など抗腫瘍免疫の低下と関連している。4万例以上のさまざまな固形がんのシステマティックレビューとメタ解析において、NLRはすべてのがん種や、病期で予後不良と関連していることが報告されている。大腸がん(CRC)においても、NRL高値はCRCの予後不良の予測因子であることが、メタ解析で示されている。 転移を有するCRC(mCRC)に対するベバシズマブ・化学療法併用レジメンについては、NLRと臨床結果との関係が後ろ向き研究で報告されている。しかし、mCRCにおけるNLRとセツキシマブ・化学療法併用レジメンとの関連を調べた臨床研究はほとんどない。聖マリアンナ医科大学の砂川優氏らは、セツキシマブ・化学療法併用レジメンの1次治療における、NLRと同レジメンの臨床結果の関連と共に、NLRに影響する免疫関連遺伝子を評価するバイオマーカー研究を実施した。NLRは大腸がん患者の生存期間と有意に関連 セツキシマブ・化学療法併用レジメンによる1次化学療法の前向き臨床試験におけるKRAS野生型mCRC患者77例の組織サンプルからHTG EdgeSeq Oncologyバイオマーカーパネルで、354種の免疫関連遺伝子の発現レベルを測定した。NLRと臨床転帰との関連性は、スピアマンの順位相関係数を用いて評価した。さらに、生存と相関する上位100の遺伝子のなかで、低NLRと高NLR群間で、発現レベルが異なるものを調べるために、2サンプルt検定を行った。 NLRとセツキシマブ・化学療法併用レジメンとの関連を調べた主な結果は以下のとおり。・NLRデータは71例の患者から入手できた。・NLRは、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)に関連していた(それぞれr=-0.24、p=0.040およびr=-0.29、p=0.010)。・NLRの中央値は2.68(0.78~9.95)であった。・PFS中央値は低NLR(2.68未満)で11.8ヵ月、高NLR(2.68以上)で9.1ヵ月と、低NRL群で有意に良好であった(p=0.036)・OS中央値は低NLR で42.8ヵ月、高NLR 26.7ヵ月と、低NRL群で有意に良好であった(p=0.029)。・低NLRと高NLR群間で発現レベルが有意に異なっていた遺伝子はLYZ、TYMP、CD68であった(t-test p<0.005、FDR p<0.15)。 セツキシマブ・化学療法レジメンによる1次治療において、NLRはmCRC患者の生存期間と有意に関連しており、マクロファージの活性に関連した遺伝子がNLRの高値とが関係することが明らかになった。※医師限定消化器がん最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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