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再発悪性胸膜中皮腫に対するペムブロリズマブの成績/ESMO2019

 悪性胸膜中皮腫(MPM)はアグレッシブな腫瘍で、予後も不良である。プラチナベース化学療法の再発後は生存を改善する治療法はないが、実臨床ではビノレルビンやゲムシタビンが用いられる。そのような中、KEYNOTE-028の拡大コホートなどで免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)ではペムブロリズマブ単剤による既治療のMPMに対する無作為化比較第III相試験ETOP PROMISE-mesoの結果が発表された。・対象:プラチナベース化学療法で進行したMPM(PS 0~1)・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日3週ごと・対照群:任意の化学療法(ゲムシタビンまたはビノレルビン)・評価項目: [主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)、全生存期間(OS)、治験担当医評価のPFS、有害事象 治療は病勢進行(PD)となるまで続けられ(最大2年間)、化学療法群ではPD後のペムブロリズマブへのクロスオーバーが許容された。 主な結果は以下のとおり。・151例が登録され、ペムブロリズマブ群73例と化学療法群71例に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は11.8ヵ月であった。・化学療法群の63%がペムブロリズマブにクロスオーバーした。・主要評価項目であるBICR評価のPFSは、ペムブロリズマブ群2.5ヵ月、化学療法群は3.4ヵ月と、両群に差はみられなかった(ハザード比[HR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.73~1.53、p=0.76)。・ORRは、ペムブロリズマブ群22%、化学療法群6%と、ペムブロリズマブ群で有意に良好であった(p=0.004)。・OSはペムブロリズマブ群10.7ヵ月、化学療法群11.7ヵ月と、両群に差はみられなかった(HR:1.04、95%CI:0.66~1.67)。・PD-L1別のPFS[PD-L1 1%未満]ペムブロリズマブ群4.2ヵ月に対し、化学療法群は4.4ヵ月(HR:1.26、p=0.57)[PD-L1 1%以上]両群とも3.2ヵ月であった(HR:1.06、p=0.82)。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、ペムブロリズマブ群69.4%、化学療法群は72.9%であった。Grade3以上のTRAEは、ペムブロリズマフ群19.4%、化学療法群は24.3%であった。 ペムブロリズマブ単剤は化学療法に比べOS、PFSとも違いは示されなかったものの、MPMのORRは有意に改善した。さらに、ペムブロリズマブのベネフィットを特定する探索的トランスレーショナル研究が進行中だという。

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ペムブロリズマブ単剤のNSCLC1次治療、日本の実臨床での成績/ESMO2019

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療において、化学療法に比べ著明な生存ベネフィット効果を示す。しかし、その毒性はペムブロリズマブ単剤に比べ高い。そのため、実臨床において、PD-L1 50%以上のNSCLC患者にペムブロリズマブ単剤を用いるか、化学療法との併用を用いるか、その判断は難しい。加えて、それらの試験対象は良好な状態の患者であり、その結果は実臨床の状況を完全に反映しているとは限らない。 そのため、実臨床においてペムブロリズマブ単剤が適合する患者を特定するとともに、多様な患者におけるペムブロリズマブ単剤の効果と安全性を評価することを目的に、Hanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)の11施設で、多施設後ろ向きコホート研究を実施している。その第2回解析の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、大阪国際医療センターの田宮 基裕氏が発表した。 主な結果は以下のとおり。・2017年2月1日~2018年4月30日に213例の患者が登録された。年齢中央値は71歳、男性が176例(82.6%)、ECOG PS0~1が172例(80.8%)であった。・PD-L1はTPS50~74%が97例(45.5%)、75~89%が55例(22.1%)、90~100%が69例(32.4%)であった。・Grade3以上の有害事象(AE)は39例(18.3%)に発現した。頻度の高い重篤なAEは肺炎(10例、4.7%)であったが、死亡患者はいなかった。・全奏効率は51.2%、病勢コントロール率は73.2%であった。・無増悪生存期間(PFS)中央値は8.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.0~10.7)、全生存期間(OS)中央値は17.8ヵ月(95%CI:17.8~NA)であった。・単変量解析では、ECOG PS(0~1対2以上のハザード比[HR]:2.11、p=0.00061)、炎症CRP/ALB(0.3未満対0.3以上のHR:1.88、p=0.00148)、およびステロイド使用(使用なし対使用のHR:3.17、p=0.00034)が、ペムブロリズマブのPFSと有意な相関を示した。・多変量解析では、ECOG PS(0~1対2以上のHR:1.69、p=0.03138)、CRP/ALB(0.3未満対0.3以上のHR:1.92、p = 0.00153)、ステロイド使用(使用なし対使用のHR:2.94、p=0.00267)、PD-L1(50~89%対90~100%のHR:0.65、p=0.04984)が、ペムブロリズマブのPFSと有意な相関を示した。 この研究では、患者背景はさまざまであったが、結果は以前の主要な臨床試験の有効性と安全性と一致していた。また、PS不良、高炎症状態(CRP/ALB≥0.3)、およびペムブロリズマブ治療開始時のステロイド使用は、より短いPFSと独立して相関していた。 発表者の田宮 基裕氏との一問一答はこちら。この試験を実施した理由はどのようなものですか。 KEYNOTE-024、042など、ペムブロリズマブ単剤の1次治療のデータは治験のデータが多く、リアルワールドのデータはあまりありません。さまざまな患者が含まれるリアルワールドデータをいち早く出したいと考え、関西を中心に、肺がん診療を行うアクティブな先生方を集め、この試験を計画・実施しました。この試験でのサバイバルの結果をどう思われますか。 今後、長くみていくと、もう少し落ちてくるとは思いますが1年のOSが7~8割ですし、PFSも40%でテールを引いているので、全体的に良好だと思います。PD-L1のカットオフを90%にしていますが。 Annals of Oncologyなど海外ジャーナルでも、PD-L1 90%以上でデータが報告されています。自分たちも実際にやってみると、差が出たのは90%でした。本研究のPD-L1超高発現の研究は、現在、大阪大学に勤務されている枝廣先生が、さらに詳しくPLOS ONEにて報告しております。1次治療でもステロイドが入っている患者さんがいらっしゃいますね。 初回治療なのであまり入っていないと思っていたのですが、少しおられますね。喘息など自己免疫疾患の患者さんにはペムブロリズマブが使われないことが多いので、食欲不振、PS不良、疼痛、脳転移などで使われていることが多いと思います。試験で苦労したことはどのようなことですか。 まずはデータを集めることです。アクティブな先生方に集まっていただいたとはいえ、リアルワールドではさまざまなデータが入ってきます。早くデータを出すために、結果として何を出すのか、事前にかなり検討しました。また、データの収集・解析には非常に労力がかかります。協力施設の先生方には、日常業務の中、そういう厳しい仕事をしていただきました。苦労した先生方にも恩恵が出るようにしようと考え、共同演者としてお名前を出さしていただいております。また、今後も、協力施設の先生方からも本研究のデータを用いた論文が出る事を期待しています。この研究は今後も継続されるのでしょうか 今回は第2回のデータ解析ですが、今後第3回の解析を行い、さまざまな角度から発表していきたいと思います。 なお、この研究結果は、Investigatoinal New Drugs誌8月7日号オンライン版に発表されている。

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niraparibで化療に奏効した新規進行卵巣がんのPFS改善/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法が奏効した新規診断進行卵巣がん患者では、PARP阻害薬niraparibはプラセボと比較して、相同組み換え欠損(homologous-recombination deficiency:HRD)の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長させることが、スペイン・Clinica Universidad de NavarraのAntonio Gonzalez-Martin氏らが行ったPRIMA/ENGOT-OV26/GOG-3012試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に掲載された。niraparibは、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後の再発卵巣がん患者のPFS期間を延長すると報告されている。一方、プラチナ製剤ベースの化学療法が奏効した新規診断進行卵巣がん患者におけるniraparibの有効性は知られていない。また、BRCA遺伝子変異は、腫瘍が何らかのHRDを有することを示しているが、BRCA遺伝子変異が陰性の場合は腫瘍のゲノム不安定性のパターンが、そのような表現型を付与する可能性があるという。niraparibの有効性を階層的検定法を用いて評価 本研究は、20ヵ国181施設が参加した第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2016年7月~2018年6月の期間に患者登録が行われた(GlaxoSmithKlineの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、新規に診断され組織学的に確定された卵巣、腹膜、卵管の進行がんとし、国際産婦人科連合(FIGO)の基準でStageIII/IVの漿液性または類内膜腫瘍の患者であった。 被験者は、プラチナ製剤ベースの化学療法の最終投与から12週以内に、niraparibまたはプラセボを1日1回経口投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。治療は、28日を1サイクルとして36ヵ月または病勢が進行するまで行われた。 主要エンドポイントはPFSとし、階層的検定法(hierarchical-testing method)を用いて、HRD腫瘍を有する患者の評価を行った後に、全患者の検討が行われた。また、PFSの解析時に、事前に規定された全生存(OS)の中間解析が実施された。niraparib群はBRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、HRD腫瘍と全患者でPFSが良好 733例が登録され、niraparib群に487例(年齢中央値62歳[範囲:32~85])、プラセボ群には246例(62歳[33~88])が割り付けられた。373例(50.9%)がHRD腫瘍(niraparib群247例、プラセボ群126例)を有していた。 HRD腫瘍を有する患者のPFS期間中央値は、niraparib群が21.9ヵ月と、プラセボ群の10.4ヵ月に比べ、有意に長かった(ハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.31~0.59、p<0.001)。また、全患者のPFS期間中央値は、niraparib群が13.8ヵ月であり、プラセボ群の8.2ヵ月に比し、有意に延長した(0.62、0.50~0.76、p<0.001)。 OSの中間解析では、全患者の24ヵ月OS率はniraparib群が84%、プラセボ群は77%であった(HR:0.70、95%CI:0.44~1.11)。また、HRD腫瘍患者の24ヵ月OS率はniraparib群が91%、プラセボ群は85%であった(0.61、0.27~1.39)。 BRCA遺伝子変異陽性例では、HRD腫瘍患者のPFS期間中央値はniraparib群が22.1ヵ月、プラセボ群は10.9ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.27~0.62)。また、また、BRCA遺伝子変異陰性のHRD腫瘍患者のPFS期間中央値は、niraparib群が19.6ヵ月、プラセボ群は8.2ヵ月であった(0.50、0.31~0.83)。 niraparib群で最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、貧血(31.0%)、血小板減少(28.7%)、好中球減少(12.8%)であった。niraparib群で、有害事象による減量が70.9%に、治療中止は12.0%に認められた。治療関連死はみられなかった。 著者は「歴史的に、PARP阻害薬の臨床効果はBRCA遺伝子変異と関連するとされてきたが、niraparibはBRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、プラセボと比較してHRD腫瘍患者および全患者の双方においてPFS期間の延長をもたらすことが確かめられた」としている。

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小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:  エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目: [主要評価項目]OS [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性、忍容性 ESMO2019での発表は、D+EP群とEP群における、臨床関連分析(Clinically relevant analysis)の結果である。 主な結果は以下のとおり。・2019年3月11日の時点で、D+EP群265例とEP群266例が各治療を受けた。・OS中央値はD+EP群13.0ヵ月、EP群10.3ヵ月で、D+EP群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.591~0.090、p=0.0047)・PFS中央値はD+EP群5.1ヵ月、EP群5.4ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.645~0.936)・PD-L1評価可能な症例277例(D+EP群151例、EP群126例)のうちPD-L1発現が1%未満の症例は、TCで94.9%、ICで77.6%と、PD-L1発現症例は少なかった。・PD-L1発現とOSの関係は示されなかった(TCのp=0.54、ICのp=0.23)。・患者報告アウトカム(PRO)による症状悪化までの期間(TTD)は、すべての項目においてD + EP群が長かった。 ES-SCLCの1次治療におけるデュルバルマブのエトポシド+シスプラチン/カルボプラチンへの追加は、有意にOSを改善する一方、QOLを維持し、症状悪化までの時間を延長した。

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アパルタミド、転移のない去勢抵抗性前立腺がんのOSを改善(SPARTAN試験)/ESMO2019

 遠隔転移のない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対する、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるアパルタミドの試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Massachusetts General Hospital Cancer Center and Harvard Medical SchoolのMatthew R. Smith氏より発表された。 本試験(SPARTAN試験)は、日本も参加した国際共同のプラセボコントロールの第III相試験である。過去に、1回目の中間解析が実施され、アパルタミドが有意に無転移生存期間を延長したことが報告されている。今回の報告は2回目の中間解析結果であり、全生存期間(OS)、化学療法施行までの期間(TTC)、安全性についての発表。・対象:PSA倍加時間が10ヵ月以下のnmCRPC患者1,207例(2cm未満の骨盤内リンパ節への転移は許容)・試験群:アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド240mg/日(APA群)・対照群:ADT+プラセボ(ADT群)・評価項目 [主要評価項目]無転移生存期間 [副次評価項目]OS、TTC、無増悪生存期間(PFS)、転移発現までの期間、症状発現までの期間 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値41ヵ月であった。・今回の解析では、OS中央値はAPA群ADT群ともに未到達。ハザード比(HR)は0.75(95%信頼区間[CI]:0.59~0.96)、p=0.0197であった。今回のOSの解析は、最終的なOS解析に必要な427イベントのうち285イベント(67%)の発生時点でのものであり、有意性のp値は0.0121と事前設定されていたため、統計学的な有意差が示せなかった。・4年OS率はAPA群72.1%、ADT群64.7%であった。・ADT群の19%(76例)は、アパルタミドのクロスオーバー投与を受けていた。・TTC中央値は、APA群ADT群ともに未到達であった。そのHRは0.60(95%CI:0.45~0.80)であった。化学療法剤の投与を受けた患者は、APA群で14%、ADT群で20%であった。・探索的解析のPFS2(割り付けから2次治療までで病勢進行もしくは死亡するまでの期間)中央値はAPA群55.6ヵ月、ADT群43.8ヵ月、HR0.55(95%CI:0.45~0.68)、p<0.0001であった。・2次治療を受けた患者はAPA群で40%、ADT群で69%、主な2次治療薬はアビラテロンであった。・Grade3/4の有害事象はAPA群で53.1%、ADT群で36.7%、重篤な有害事象は33.5%と24.9%であり、既報と同様であった。

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21遺伝子再発スコアが高いHR+早期乳がんでの術後化学療法の併用効果(TAILORx 2次解析)/ESMO2019

 リンパ節転移のないホルモン感受性(HR)陽性HER2陰性の早期乳がん患者で、21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い(26〜100)場合、術後にタキサンとアントラサイクリン両方もしくはどちらかを含む化学療法と内分泌療法を併用したほうが、内分泌療法単独よりもアウトカムが良好であることが、TAILORx試験の2次解析で示唆された。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Albert Einstein College of MedicineのJoseph A. Sparano氏が発表した。この結果はJAMA Oncology誌オンライン版2019年9月30日号に同時掲載された。 乳がん組織の21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い場合、化学療法によるベネフィットが得られることが予測され、低い場合は内分泌療法のみでも再発リスクが低いことが予測されている。しかし、再発スコアの高い患者にタキサンやアントラサイクリンを含むレジメンで治療した場合のアウトカムについて、前向き試験でのデータはほとんどない。今回、多施設無作為化試験であるTAILORx試験より、腋窩リンパ節転移のないHR陽性HER2陰性の早期乳がんのうち、再発スコアが26~100の患者を対象に、術後補助療法として内分泌療法と化学療法(レジメンは主治医選択)を実施した患者の無遠隔再発生存率(DRFI)と無浸潤疾患生存率(IDFS)が検討された。 主な結果は以下のとおり。・適格患者9,719例のうち再発スコア26~100の患者は1,389例(14%)で、年齢中央値は56歳(範囲:23~74歳)であった。・主な化学療法レジメンは、ドセタキセル+シクロホスファミド(TC)42%、アントラサイクリンのみ(A without T)24%、アントラサイクリン+タキサン(A and T)18%、シクロホスファミド/メトトレキサート/5-FU(CMF)4%で、その他 6%、化学療法なし 6%であった。・化学療法と内分泌療法で治療された患者のDRFIは、5年で93.0%(標準誤差[SE]:0.8%)、9年で86.8%(SE:1.7%)であったのに対し、内分泌療法単独では、B20試験における化学療法の治療効果に基づいて予測されたDRFIは5年で78.8%(SE:14.0%)、9年で65.4%(SE:10.4%)であった。・同様に、化学療法と内分泌療法で治療された患者のIDFSは、5年で88.1%(SE:0.8%)、9年76.28%(SE:1.7%)で、内分泌療法単独では、予測されたIDFSは5年で74.7%(SE:14.6%)、9年で55.3%(SE:8.9%)であった。・レジメン別にみると、5年DRFIは、TC 92.7%、A without T 92.3%、A and T 95.1%、CMF 88.5%、その他 95.5%、また、5年IDFSは、TC 88.1%、A without T 87.4%、A and T 88.6%、CMF 84.0%、その他 91.3%であった。 これらの結果から、Sparano氏は「術後化学療法の投与指針として21遺伝子アッセイの使用を支持するエビデンスが追加された」と述べた。

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胃がん周術期SOX、術後XELOXに対する優越性示す(RESOLVE)/ESMO2019

 局所進行胃がんに対する周術期(術前および術後)のオキサリプラチンとS-1の併用療法の有効性を検討した試験(RESOLVE試験)の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表された。中国・北京大学のJiafu Ji氏による発表。 RESOLVE試験は、術前および術後化学療法としてのSOX(S-1+オキサリプラチン)の有効性ならびに安全性を術後SOXおよび術後XELOX(カペシタビン+オキサリプラチン)と比較した第III相試験である。対象者は胃切除リンパ節郭清(D2)を受けたcT4a/N+M0またはcT4bNxM0の胃がん患者1,094例で、以下の3群に割り付けられた。・試験群:Arm A:D2郭清術後XELOX治療群(345例)Arm B:D2郭清術後SOX治療群(340例)Arm C:D2郭清術前・術後SOX治療群(337例)・評価項目:[主要評価項目]3年無病生存率(DFS)[副次評価項目]5年生存率(OS)、安全性 本試験ではArm CのArm Aに対する優越性、ならびにArm BのArm Aに対する非劣性が検証された。 主な結果は以下のとおり。・<Arm A vs. Arm C> 周術期SOX群(Arm C)は、術後XELOX群(Arm A)に比較して有意に3年DFSを延長した(Arm C:62.0%、Arm A:54.8%、ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.62~0.99、p=0.045)。・<Arm A vs. Arm B> 術後SOX群(Arm B)の術後XELOX群(Arm A)に対する3年DFSの非劣性が証明された(Arm B:60.3%、Arm A:54.8%、ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.67~1.07、p=0.162)。・周術期、術後SOX群のどちらにおいても、術後XELOXと比較して治療関連有害事象の増加は見られなかった。

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小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ+化学療法の成績(IMpower133)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133では、アテゾリズマブの追加による生存改善が、世界肺がん学会(WCLC2019)で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、同試験の全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、奏効率(ORR)、安全性について最新のデータが発表され、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorのMartin Rech氏が報告した。 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む、PS 0~1)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(アテゾリズマブ群)・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(プラセボ群)・評価項目: [主要評価項目]OS、治験医師評価による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。・今回の追跡期間中央値は22.9ヵ月であった。・OS中央値はアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.76、95%CI:0.60~0.95、p=0.0154)。・ORRはアテゾリズマブ群60.2%、プラセボ64.4%であった。・DORはアテゾリズマブ群4.2ヵ月、プラセボ3.9ヵ月であった。・PD-L1 1%以上(TC or IC)のOSはアテゾリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群10.6ヵ月(HR:0.87)、PD-L1 1%未満(TC or IC)OSはアテゾリズマブ群10.2ヵ月、プラセボ群8.3ヵ月(HR:0.51)であった。・Grade3/4の有害事象はアテゾリズマブ群67.7%、プラセボ群63.3%、Grade5は共に1.5%の発現率であった。

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ロミプロスチム、化学療法誘発性血小板減少症を改善/JCO

 米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのGerald A. Soff氏らは、化学療法誘発性血小板減少症を伴う固形がん患者を対象に、ロミプロスチム投与群と経過観察群を比較する無作為化第II相臨床試験を行い、ロミプロスチムは化学療法誘発性血小板減少症の改善に有効であることを明らかにした。化学療法誘発性血小板減少症は、がん治療の遅延または縮小につながるが、これまでに承認された治療法はない。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年9月23日号掲載の報告。 研究グループは、化学療法を遅延または減量しても血小板数が4週間以上10万/μL未満の患者23例を、ロミプロスチム群(目標血小板数10万/μL以上とし、毎週用量を漸増)または対照群(通常ケアでモニタリング)に無作為に割り付けた。その後、37例をロミプロスチム単独群として治療した。 主要評価項目は3週間以内の血小板数の改善、副次評価項目は化学療法誘発性血小板減少症の再発を伴わない化学療法の再開とした。 主な結果は以下のとおり。・登録時の平均血小板数は6万2,000/μLであった。・無作為化試験期において、ロミプロスチム群では15例中14例(93%)が3週間以内に血小板数の改善を認めたのに対し、対照群では8例中1例(12.5%)であった(p<0.001)。・ロミプロスチムで治療されたすべての患者(52例)は、治療2週時で平均血小板数が14万1,000/μLであった。・対照群8例では、治療3週時で平均血小板数が5万7,000/μLであった。・ロミプロスチムにより血小板数が改善した44例は、ロミプロスチム毎週投与の併用により化学療法を再開した。・化学療法誘発性血小板減少症のため、再び化学療法の遅延または減量に至った患者は3例(6.8%)であった。

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術前療法で残存病変のあるHER2+早期乳がん、術後T-DM1による末梢神経障害・血小板減少症・CNS再発(KATHERINE)/ESMO2019

 トラスツズマブを含む術前化学療法で浸潤がんの残存がみられたHER2陽性早期乳がんに対する術後補助療法としてT-DM1(トラスツズマブ エムタンシン)の効果をトラスツズマブと比較したKATHERINE試験において、末梢神経障害、血小板減少症、中枢神経系(CNS)再発に関する詳細な分析結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)でドイツ・Helios Klinikum Berlin BuchのMichael Untch氏より報告された。T-DM1による末梢神経障害に関して、ベースライン時の末梢神経障害が持続期間と消失率に影響する可能性があるが発現率には影響せず、術前化学療法でのタキサン製剤の種類は発現率に影響しないことがわかった。 KATHERINE試験は、HER2陽性早期乳がん1,486例を対象とした国際多施設無作為化オープンラベル第III相試験で、術後補助療法としてT-DM1(3.6mg/kg静注、3週ごと)またはトラスツズマブ(6mg/kg静注、3週ごと)を14サイクル投与した。本試験の結果は、2018年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2018)で、T-DM1がトラスツズマブに比べ無浸潤疾患生存期間(IDFS)を有意に改善したことが報告されているが、T-DM1群で末梢神経障害および血小板減少症が高率に発現し、最初のIDFSイベントとしてCNS再発率も高かった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の末梢神経障害に関係なく、T-DM1群で末梢神経障害の発現率が高かった(ベースライン時に神経障害あり:T-DM1群36.3%、トラスツズマブ群17.5%、ベースライン時に神経障害なし:T-DM1群31.1%、トラスツズマブ群16.8%)。・ベースライン時に末梢神経障害があると末梢神経障害発現期間の中央値が大きく、消失率が低かった(ベースライン時に神経障害あり:352~337日、66.0~63.6%、ベースライン時に神経障害なし:243~232日、81.2~82.5%)。・術前化学療法でのタキサン製剤の種類により、末梢神経障害の発現率に差はなかった(ドセタキセル:T-DM1群32.1%、トラスツズマブ群17.8%、パクリタキセル:T-DM1群31.8%、トラスツズマブ群16.6%)。・術前化学療法でプラチナ製剤が投与されていた場合、T-DM1群で血小板減少症の発現率が高かった(T-DM1群36%、トラスツズマブ群27%)が、Grade3~4の血小板減少症における発現期間中央値(33日、29日)と消失率(95%、96%)はプラチナ製剤の投与の有無で差はなかった。・T-DM1群における最初のIDFSイベントとしてのCNS再発率は高かったが、全CNS再発率は同等であった。・T-DM1群のほうがCNS無再発期間の中央値が大きく(T-DM1群17.5ヵ月、トラスツズマブ群11.9ヵ月)、CNS再発後の全生存期間は両群に差はなかった(ハザード比:1.07、95%信頼区間:0.60~1.91)

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ペムブロリズマブ、既治療TN乳がんへの単剤投与は?(KEYNOTE-119)/ESMO2019

 局所進行/転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)患者に対する、2~3次治療としてのペムブロリズマブ単剤療法は、化学療法単剤と比較して生存期間を有意に改善しなかった。しかし、PD-L1発現レベルが上昇するにつれてペムブロリズマブによる治療効果が高まる傾向が確認されている。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、スペイン・Vall d'Hebron Institute of OncologyのJavier Cortes氏が第III相無作為化非盲検試験KEYNOTE-119の結果を発表した。・対象:1~2レジメンの全身化学療法(アントラサイクリン系および/またはタキサン系薬剤を含む)を受け、最新の治療でPDとなったmTNBC患者・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付けペムブロリズマブ群:ペムブロリズマブ(200mgを3週ごと、最大35サイクル) 312例化学療法群:治験担当医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビン) 310例・評価項目: [主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS ≧10およびCPS ≧1)における全生存期間(OS)、全患者におけるOS [副次評価項目]全患者における無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性・忍容性。追加の副次評価項目として、全患者およびPD-L1陽性患者(CPS ≧10/CPS ≧1)における奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)が加えられた [探索的解析]PD-L1陽性患者におけるCPSの追加的なカットポイントでのOS、PFS、ORR、DOR 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点での治療歴は、1ラインの患者がペムブロリズマブ群で59.9%、化学療法群で60.3%を占めた。PD-L1発現状況は、CPS ≧1が65.1% vs.65.2%、CPS ≧10が30.8% vs.31.6%、CPS ≧20が18.3% vs.16.8%であった。・化学療法の内訳は、エリブリン53.9%、カペシタビン27.4%、ビノレルビン13.9%、ゲムシタビン4.8%であった。・2019年4月11日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値はペムブロリズマブ群で9.9ヵ月、化学療法群で10.9ヵ月。・OS中央値は、CPS≧1の患者でペムブロリズマブ群10.7ヵ月 vs. 化学療法群10.2ヵ月(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.69~1.06、p=0.073)、CPS≧10の患者で12.7ヵ月 vs. 11.6ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.57~1.06、p=0.057)とペムブロリズマブ群での有意な改善はみられなかった。全患者では9.9ヵ月 vs. 10.8ヵ月(HR:0.97、95%CI:0.82~1.15)、探索的解析項目のCPS≧20の患者では、14.9ヵ月 vs. 12.5ヵ月(HR:0.58、95%CI:0.38~0.88)であった。・PFS中央値は、全患者で2.1ヵ月 vs. 3.3ヵ月(HR:1.60、95%CI:1.33~1.92)、CPS≧1の患者で2.1ヵ月 vs. 3.1ヵ月(HR:1.35、95%CI:1.08~1.68)、CPS≧10の患者で2.1ヵ月 vs. 3.4ヵ月(HR:1.14、95%CI:0.82~1.59)、CPS≧20の患者で3.4ヵ月 vs. 2.4ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.49~1.18)であった。・ORRは、CPS≧1の患者で12.3% vs. 9.4%、CPS≧10の患者で17.7% vs. 9.2%、CPS≧20の患者で26.3% vs. 11.5%であった。・DOR中央値は、CPS≧1の患者で12.2ヵ月vs. 6.5ヵ月、CPS≧10の患者でNR vs. 7.1ヵ月、CPS≧20の患者でNR vs. 7.1ヵ月で、全体としてペムブロリズマブ群で長い傾向がみられた。・Grade3以上の有害事象は、ペンブロリズマブ34.6% vs.化学療法群49.0%。治療中止や用量調整につながる有害事象の発生は、ペンブロリズマブ群で低かった。Grade3以上の免疫関連有害事象は3.2% vs.1.0%で、死亡例は確認されていない。

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卵巣がん、導入・維持療法でのveliparib投与でPFS延長/NEJM

 StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんに対し、導入化学療法としてカルボプラチン+パクリタキセル+veliparibを行い、その後に維持療法としてveliparib単独療法を行うレジメンが、カルボプラチン+パクリタキセルの導入化学療法のみの場合と比べて、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのRobert L. Coleman氏らが、北米・日本などの患者1,140例を対象に行った第III相の国際共同プラセボ対照無作為化比較試験の結果を、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に発表した。高悪性度漿液性卵巣がん患者の初回治療として、veliparibのようなADPリボースポリメラーゼ阻害薬を化学療法への上乗せや維持療法として使用することに関して、データは限定的であった。BRCA変異コホート、HRDコホート、ITT集団で解析  研究グループは、StageIIIまたはIVの高悪性度漿液性卵巣がんで未治療の患者において、veliparibをファーストライン導入化学療法のカルボプラチン+パクリタキセルに上乗せし、続いて単独維持療法として使用する場合の有効性を評価した。 被験者を無作為に1対1対1の3群に分け、1群にはカルボプラチン+パクリタキセル+プラセボ投与後に維持療法としてプラセボを投与(対照群)、2群にはカルボプラチン+パクリタキセル+veliparib投与後に維持療法としてプラセボを投与(veliparib導入療法併用のみ群)、3群にはカルボプラチン+パクリタキセル+veliparib投与後に維持療法としてveliparibを投与した(veliparib導入・維持使用群)。 腫瘍縮小術は、試験治療開始前または同治療3サイクル後に実施可能とした。いずれの試験治療も導入化学療法は6サイクル、維持療法は30サイクル行った。 主要エンドポイントは、対照群と比較したveliparib導入・維持使用群の試験担当者評価によるPFSだった。BRCA変異コホート、相同組み換え修復異常(HRD)コホート(BRCA変異コホートを含む)、intention-to-treat(ITT)集団について、段階的に解析を行った。PFS中央値、各コホート解析でveliparib導入・維持使用群が有意に延長 2015年7月~2017年7月に合計1,140例が無作為化を受けた(対照群375例、veliparib導入療法併用のみ群383例、veliparib導入・維持使用群382例)。BRCA変異コホートには298例(26%)が、HRDコホートには627例(55%)が包含された。 BRCA変異コホートにおいて、PFS中央値はveliparib導入・維持使用群34.7ヵ月、対照群22.0ヵ月だった(病勢進行または死亡に関するハザード比:0.44、95%信頼区間[CI]:0.28~0.68、p<0.001)。HRDコホートでは、それぞれ31.9ヵ月、20.5ヵ月だった(0.57、0.43~0.76、p<0.001)。ITT集団では、それぞれ23.5ヵ月、17.3ヵ月だった(0.68、0.56~0.83、p<0.001)。 veliparib使用群では、カルボプラチン+パクリタキセルと併用時に貧血や血小板減少症の発現頻度が高く、全体的に悪心、疲労の発現頻度が高かった。 なお著者は、「veliparib導入療法のみ併用群の有用性については明らかではなかった」と述べている。

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PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ+化学療法の有効性とTMBに関連性示されず/ESMO2019

 ペムブロリズマブ+プラチナベース化学療法は組織型、PD-L1発現の有無にかかわらず、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に生存ベネフィットをもたらす。また、腫瘍変異負荷はNSCLCを含む固形がんの潜在的バイオマーカーとして興味を持たれている。スペイン・Hospital Universitario Doce de OctubreのLuis Paz-Ares氏らは、KEYNOTE-021(コホートCおよびG)、-189、-407のNSCLC患者における組織腫瘍変異負荷(tTMB)とペムブロリズマブ+化学療法の効果との関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床学会(ESMO2019)で発表した。 主要評価項目は、KEYNOTE-021のORR、KEYNOTE-189および-407のORR、PFS、OSであった。tTMBは全エクソンシーケンスにより決定され、事前に設定したカットポイントは175mut/exonである。 主な結果は以下のとおり。・tTMBが評価可能な症例は、KEYNOTE-021では145例中70例、-189では616例中293例、扁平上皮がんを対象にした407では559例中312例であった。・tTMBとペムブロリズマブ+化学療法との効果の関係を全奏効率(ORR)のp値、無増悪期間(PFS)のp値、全生存期間(OS)のp値でみると、KEYNOTE-021、-189、-407いずれの研究でもtTMBとペムブロリズマブ+化学療法の効果の有意な関係は示されなかった。・KEYNOTE-021におけるtTMB175mut/exon以上のOORはペムブロリズマブ+化学療法群71%対化学療法単独群30%、一方、175mut未満では61%対44%であった。KEYNOTE-189におけるtMTB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ+化学療法群50%対化学療法単独群12%、一方、175mut未満では40%対19%であった。KEYNOTE-407におけるtMTB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ+化学療法群59%対化学療法単独群45%、一方、175mut未満では64%対39%であった。・KEYNOTE-189におけるtTMB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ+化学療法群9.2ヵ月対化学療法単独群4.7ヵ月(HR:0.32)、一方、175mut未満では9.0ヵ月対4.8ヵ月であった(HR:0.51)。KEYNOTE-407におけるtMTB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ+化学療法群8.3ヵ月対化学療法単独群4.4ヵ月(HR:0.57)、一方、175mut未満では6.3ヵ月対4.9ヵ月であった(HR:0.68)。・KEYNOTE-189におけるtTMB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ+化学療法群23.5ヵ月対化学療法単独群13.5ヵ月(HR:0.64)、一方、175mut未満では20.2ヵ月対9.9ヵ月であった(HR:0.64)。KEYNOTE-407におけるtMTB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ+化学療法群17.1ヵ月対化学療法単独群11.6ヵ月(HR:0.74)、一方、175mut未満では15.0ヵ月対10.4ヵ月であった(HR:0.86)。 同日に発表されたRoy S. Herbs氏らによる探索的研究では、ペムブロリズマブ単剤の効果とtTMBに関係が示された。しかし、Paz-Ares氏らによるこの探索的分析では、ペムブロリズマブ+化学療法の効果とtTMBに有意な関係は組織型、tTMBの高低にかかわりなく、示されなかった。

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アベマシクリブ+トラスツズマブ+フルベストラント、HR+/HER2+乳がんの予後を改善(monarcHER)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陽性(HR+/HER2+)の進行乳がんに対する、アベマシクリブ+トラスツズマブ+フルベストラントの3剤併用療法の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏から発表された。 本試験はオープンラベル3群比較の国際共同第II相試験であり、HR+/HER2+進行乳がんを対象として、CDK4/6阻害薬+抗HER2薬+ホルモン剤の併用療法と、標準的な化学療法+トラスツズマブ併用療法を比較した初めての臨床試験である。・対象:HR+/HER2+進行乳がんで、抗HER2療法を2ライン以上受けており(T-DM1とタキサン系抗がん剤の治療歴は必須)、さらにCDK4/6阻害薬とフルベストラントは未投与である患者237例・試験群:アベマシクリブ+トラスツズマブ+フルベストラント(ATF群)またはアベマシクリブ+トラスツズマブ(AT群)・対照群:トラスツズマブ+主治医選択の化学療法(TC群)・評価項目: [主要評価項目]ATF群とTC群における主治医評価による無増悪生存期間(PFS)の比較 (ATF群とTC群の比較で有意差が認められた場合、次にAT群とTC群の比較をする段階的な設定) [副次評価項目]3群すべての奏効率(ORR)、安全性、全生存期間(OS)、患者報告アウトカム、体内薬物動態 主な試験結果は以下のとおり。・237例が登録され、ATF群、AT群、TC群に無作為に1:1:1で割り付けられた。・主治医選択の化学療法剤の種類はビノレルビン38%、カペシタビン26%、エリブリン17%、ゲムシタビン11%などであった。・PFS中央値はATF群で8.32ヵ月、TC群で5.69ヵ月、ハザード比(HR)0.673、p=0.0506と統計学的な有意差をもってATF群が良好であった。・設定どおりに行われたAT群とTC群の比較では、AT群のPFS中央値は5.65ヵ月、HR0.943、p=0.7695と、ここでは有意差は見いだせなかった。・登録患者全体(ITT集団)を対象としたORRはATF群が32.9%、AT群は13.9%、TC群は13.9%で、ATF群とTC群の間にはp=0.0042と有意な差があった。また、奏効期間中央値はそれぞれ12.5ヵ月、9.5ヵ月、未到達であった。・解析に必要なイベント数がまだ少ないため、探索的解析として実施されたOSの解析は、ATF群のOS中央値が24.33ヵ月、AT群は24.07ヵ月、TC群は21.50ヵ月で、ATF群のTC群に対するHRは0.751だった。また、AT群のTC群に対するHRは0.729であった。・Grade3以上の治療関連の有害事象はATF群56.4%、AT群37.7%、TC群33.3%だった。本試験における新たな毒性の報告はなく、全般的に忍容可能な安全性プロファイルだった。

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PD-L1陽性肺がん、ペムブロリズマブ単剤治療の有効性とTMBに関連/ESMO2019

 PD-L1阻害薬単独およびCTLA-4阻害薬との併用において、組織腫瘍変異負荷(tTMB)がバイオマーカーとして活用できる可能性が示唆されている。しかし、高TMBレベルと生存の関係は前向きに検討されていない。米国・イェール大学のRoy S. Herbst氏らは、KEYNOTE-010およびKEYNOTE-042試験のTMB評価可能患者のサブセットにおける、tTMBと臨床アウトカムの関係を評価する探索的研究を行い、その結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。tTMBは全エクソンシーケンスにより決定され、事前に設定したカットポイントは175mut/exonである。 主な結果は以下のとおり。・tTMBが評価可能な症例は、KEYNOTE-010では1,034例中254例、KEYNOTE-042では1,275例中793例であった。これらの患者の背景因子、アウトカムはいずれも全体集団と変わらなかった・tTMBとペムブロリズマブ単剤との効果の関係みると、KEYNOTE-010での全生存期間(OS)のp値は0.006、無増悪生存期間(PFS)は0.001、全奏効率(ORR)が0.009、KEYNOTE-042でのOSのpは<0.001、PFSは<0.001、ORRが<0.001と、tTMBとペムブロリズマブ単剤との効果は相関した。一方、化学療法ではtTMBと効果との相関は見られなかった。・KEYNOTE-010におけるtTMB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ単剤群14.1ヵ月対化学療法群7.6ヵ月(HR:0.56)、一方、175mut未満では9.3ヵ月対7.2ヵ月(HR:0.85)であった。KEYNOTE-042におけるtTMB175mut/exon以上のOSはペムブロリズマブ単剤群21.9ヵ月対化学療法群11.6ヵ月(HR:0.62)、一方、175mut未満では12.0ヵ月対12.3ヵ月(HR:1.09)であった。・KEYNOTE-010におけるtTMB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ単剤群4.2ヵ月対化学療法群2.4ヵ月(HR:0.59)、一方、175mut未満では3.7ヵ月対3.4ヵ月(HR:1.09)であった。KEYNOTE-042におけるtTMB175mut/exon以上のPFSはペムブロリズマブ単剤群6.3ヵ月対化学療法群6.5ヵ月(HR:0.62)一方、175mut未満では4.1ヵ月対6.3ヵ月(HR:1.27)であった。・KEYNOTE-010におけるtTMB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ群23.5%対化学療法群9.8%、175mut未満では16.9%対21.1%であった。KEYNOTE-042におけるtTMB175mut/exon以上のORRはペムブロリズマブ群34.4%対化学療法群30.9%、175mut未満では18.8%対22.4%であった。 この探索的研究では、高tTMBレベルは、PD-L1陽性NSCLCにおける、ペムブロリズマブ単剤治療の臨床結果の改善と相関した。Herbst氏は、この結果から、tTMBはPD-L1陽性進行NSCLCに対するペムブロリズマブ単剤治療に追加の情報を提供する可能性が示唆されると述べた。

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アテゾリズマブ+化学療法の1次治療、進行尿路上皮がんのPFS改善(IMvigor130試験)/ESMO2019

 未治療の進行尿路上皮がん患者に対する、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブとプラチナベース化学療法併用の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、スペイン・MD Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏から発表された。 本試験は日本も参加した国際共同の部分盲検の第III相比較試験である。・対象:シスプラチン投与適応または不適応の局所進行もしくは転移を有する尿路上皮がん患者1,213例・試験群:1次療法として、アテゾリズマブ+化学療法群(ATEZ併用群:451例)、およびアテゾリズマブ単剤投与群(ATEZ単独群:362例)・対照群:プラセボ+化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン/カルボプラチン)群(CT群:400例)・評価項目:[主要評価項目]ATEZ併用群とCT群における、主治医判定による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率、奏効期間(DOR)、PD-L1陽性集団におけるPFSとOS、安全性 事前に計画された統計学的な設定として、初めにATEZ併用群とCT群間のPFSを検討し、そこで有意差が検出されれば、OSの検定を実施するといった階段的な統計手法が用いられている。さらに、OSで有意差が示された場合、ATEZ単独群とCT群のOSを比較する設定となっている。 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値は11.8ヵ月であった。・登録全症例(ITT集団)におけるPFS中央値はATEZ併用群で8.2ヵ月、CT群で6.3ヵ月、ハザード比(HR)0.82(95%信頼区間[CI]:0.70~0.96)、p=0.007と統計学的な有意差が認められた。・ITT集団におけるOS中央値はATEZ併用群で16.0ヵ月、CT群は13.4ヵ月、HR 0.83(95%CI:0.69~1.00)、p=0.027であり、本中間解析の時点では事前に設定した水準を超えず、統計学的な有意差は認められなかった。 探索的な解析として、ATEZ単独群とCT群の比較も実施された。・ITT集団におけるOS中央値は、それぞれ15.7ヵ月、13.1ヵ月で、HR 1.02(95%CI:0.83~1.24)だった。・PD-L1陽性(IC2/3)の患者層では、ATEZ単剤群とCT群のOS中央値はそれぞれ未到達と17.8ヵ月、HR 0.68(95%CI:0.43~1.08)であった。PD-L1陽性/陰性(IC0/1)の患者層では、それぞれ13.5ヵ月と12.9カ月、HR 1.07(95%CI:0.86~1.33)だった。・各群の奏効率はATEZ併用群47%、CT群44%、ATEZ単独群23%で、そのうち完全奏効の割合はそれぞれ13%、7%、6%だった。・各群のDOR中央値はATEZ併用群8.5ヵ月、CT群7.6ヵ月、ATEZ単独群は未到達であった。・有害事象による治療中止はATEZ併用群34%、CT群34%、ATEZ単独群6%、であり、ATEZ併用群の忍容性が認められた、また、ATEZ併用群の安全性プロファイルは、これまでのそれぞれの治療薬のプロファイルと同様であり、新たな予見はみられなかった。

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アテゾリズマブ単剤、PD-L1高発現NSCLCで生存改善(IMpower110)/ESMO2019

 PD-L1発現非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、アテゾリズマブ単剤と化学療法を比較する第III相試験IMpower110の中間解析の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国:Sarah Connon Research IncstituteのDavid R Spigel氏が発表した。IMpower110の中間解析でアテゾリズマブ単剤療法は有効な選択肢 ・対象:PD-L1陽性のStage IVNSCLC(扁平上皮および非扁平上皮)・試験群:アテゾリズマブ 3週ごと→アテゾリズマブ 3週ごと・対照群: [非扁平上皮がん]シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド 4または6週ごと→ペメトレキセド [扁平上皮がん]シスプラチン/カルボプラチン+ゲムシタビン4または6週ごと→BSC 各群のレジメンに従いPDとなるまで薬剤を投与した。・評価項目: [主要評価項目]EGFRまたはALK遺伝子野生型集団(WT)のOS [副次評価項目]治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR) IMpower110の中間解析の主な結果は以下のとおり。・572例が登録され、アテゾリズマブ群と化学療法群に1:1に無作為に割り付けされた。・PD-L1高発現(TC3またはIC3[TC 50%以上またはIC 10%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群20.2ヵ月、化学療法群13.1ヵ月で、アテゾリズマブ群で有意に延長した(HR:0.59、95%CI:0.40~0.89、p=0.0106)。・PD-L1中等~高度発現(TC2/3またはIC2/3[TCまたはIC 5%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群18.2ヵ月、化学療法群14.9月(HR:0.72、95%CI:0.52~0.99、p=0.0416)であったが、事前に決定したα水準を超えなかった。・全PD-L1発現(TC1/2/3またはIC1/2/3[TCまたはIC 1%以上])WT集団におけるOSは、アテゾリズマブ群17.5ヵ月、化学療法群14.1ヵ月であった(HR:0.83、95%CI:0.65~1.07、p=0.148)(TC2/3またはIC2/3集団において事前に設定した水準を超えなかったため、正式に検討されていない)。・PD-L1高発現WT集団におけるPFSは、アテゾリズマブ群8.1ヵ月、化学療法群5.0ヵ月で、アテゾリズマブ群で有意に延長した(HR:0.63、95%CI:0.45~0.88、p=0.007)。・PD-L1高発現WT集団のORRはアテゾリズマブ群38.3%、化学療法群28.6%、DORはアテゾリズマブ群未達、化学療法群6.7ヵ月であった。・全有害事象(AE)はアテゾリズマブ群90.2%、化学療法群94.7%、Grade3~4のAEはアテゾリズマブ群31.8%、化学療法群53.6%で新たに報告されたものはなかった。 発表者のSpigel氏は、アテゾリズマブ単剤療法はPD-L1高発現1次治療の有効な選択肢である可能性を示したと結論付けた。

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大腸がん、末梢神経障害を考えるならCAPOX3ヵ月療法

 これまでに、大腸がんに対するFOLFOX療法およびCAPOX療法の3ヵ月投与の6ヵ月投与に対する非劣性は報告されているが、オキサリプラチン併用化学療法は、末梢性感覚ニューロパチー(PSN)と関連することが知られている。国立がん研究センター東病院の吉野孝之氏らは、StageIII大腸がん患者を対象とした無作為化非盲検第III相臨床試験「ACHIEVE試験」において、長期持続性PSNの発生率は6ヵ月投与法より3ヵ月投与法で、またmFOLFOX6療法よりもCAPOX療法で、有意に低いことを明らかにした。治療期間を短縮しても有効性の主要評価項目である無病生存期間(DFS)に差はなかったことから、著者は「特に低リスクの患者には、CAPOX療法3ヵ月投与が最適な治療選択肢となるだろう」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月12日号掲載の報告。 研究グループは、StageIII大腸がん治癒切除例に対する術後補助化学療法としてのmFOLFOX6療法またはCAPOX療法について、3ヵ月投与法の6ヵ月投与法に対するDFSの非劣性を検討するとともに、持続性PSNを評価する検討を行った。 2012年8月1日~2014年6月30日に、アジア人患者1,313例を両投与法群に無作為に割り付けた。レジメンの選択は担当医の判断に委ねられた。データの解析は、2017年7月~2018年6月に行われた。 主要評価項目はDFS、副次評価項目は3年後までのPSNおよび全生存期間であった。 主な結果は以下のとおり。・無作為化された1,313例(性別:女性651例、年齢:平均66歳、範囲28~85歳)のうち、22例は治療を受けなかった(10例は登録後2週以内に治療を開始できず、7例は同意撤回、5例はその他の理由)。・治療を受けた1,291例(3ヵ月群650例、6ヵ月群641例)のうち、969例(75%)がCAPOX療法を受けた。・6ヵ月群に対する3ヵ月群のDFSのハザード比は0.95(95%CI:0.76~1.20)であった。・同ハザード比は、mFOLFOX6群で1.07(95%CI:0.71~1.60)、CAPOX群で0.90(95%CI:0.68~1.20)であり、また低リスク(TNM分類T1~3およびN1)群で0.81(95%CI:0.53~1.24)、高リスク(T4またはN2)群で1.07(95%CI:0.81~1.40)であった。・3年間持続する全GradeのPSNは、3ヵ月群9.7% vs.6ヵ月群24.3%であった(p<0.001)。・3年間持続するPSNの発現率は、mFOLFOX6療法よりCAPOX療法のほうが、3ヵ月群および6ヵ月群のいずれにおいても有意に低かった(3ヵ月群:7.9% vs.15.7%[p=0.04]、6ヵ月群:21.0% vs.34.1%[p=0.02])。

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ribociclib+フルベストラント、HR+/HER2-閉経後乳がんでOS延長(MONALEESA-3)/ESMO2019

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)の閉経後進行乳がんに対する、ribociclib+フルベストラント併用療法の有効性を検討した第III相MONALEESA-3試験の最新結果が発表され、全生存(OS)期間を有意に延長したことが明らかになった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国・David Geffen School of MedicineのDennis J. Slamon氏が発表した。ribociclibについては、HR+/HER2-の閉経前進行乳がんにおいて、内分泌療法との併用がOSを有意に延長したことがMONALEESA-7試験により示されている。・対象:未治療または1ラインの内分泌療法を受けた、閉経後女性または男性のHR+/HER2-進行乳がん患者・試験群:以下の2群に2対1の割合で無作為に割り付け ribociclib群:ribociclib(600mg/日を3週投与、1週休薬)+フルベストラント(500mg、28日を1サイクルとして1サイクル目のDay 1、Day 15、それ以降はDay 1) 484例 プラセボ群:プラセボ+フルベストラント 242例・評価項目: [主要評価項目]RECIST v1.1評価に基づく無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2019年6月3日のデータカットオフ時点で、153例(ribociclib群121例、プラセボ群32例)が投薬継続中であった。追跡期間中央値は39.4ヵ月。・OS中央値は、ribociclib群NRに対しプラセボ群40.0ヵ月で、ハザード比(HR):0.724、95%信頼区間(CI):0.568~0.924、p<0.00455であった。あらかじめ規定された境界値(p<0.01129)を下回り、ribociclib群における優越性が示された。・サブグループ解析の結果、1次治療(NR vs.45.1ヵ月、HR:0.700、95%CI:0.479~1.021)、早期再発および2次治療(40.2 vs.32.5ヵ月、HR:0.730、95%CI:0.530~1.004)の患者でともにribociclib群のOSにおけるベネフィットが確認された。肺、肝転移の有無を含む、すべてのサブグループでOSにおけるベネフィットは一貫していた。・PFS中央値についてもアップデートされ、初期解析結果と一致する結果が報告された(20.6ヵ月vs.12.8ヵ月、HR:0.587、95%CI:0.488~0.705)。治療ライン数によらずribociclib群でPFS中央値の延長が確認され、1次治療の患者では、プラセボ群19.2ヵ月に対しribociclib群で33.6ヵ月に達している(HR:0.546、95%CI:0.415~0.718)。・後治療については、ribociclib群の81.5%、プラセボ群の84.7%で何らかの治療が行われた。ribociclib群で多かったのは内分泌療法単独(26.0%)、化学療法単独(23.2%)、プラセボ群で多かったのは内分泌療法+その他(29.2%)、化学療法単独(20.1%)であった。後治療としていずれかのラインでほかのCDK4/6阻害薬の投与があったのは、ribociclib群11%、プラセボ群25%であった。・初回化学療法までの期間中央値は、ribociclib群でNR、プラセボ群29.5ヵ月でribociclib群で長かった(HR:0.696、95%CI:0.551~0.879)。・PFS2(無作為化から最初の後治療後の増悪あるいは死亡までの期間)中央値は、ribociclib群39.8ヵ月に対しプラセボ群29.4ヵ月で、HR:0.670、95%CI:0.542~0.830であった。・約40ヵ月の追跡期間において、ribociclib群で新たに報告された有害事象はなく、安全性プロファイルは以前の報告と一貫していた。ribociclib群で多くみられたGrade3/4の有害事象は、好中球減少症(57.1% vs.0.8%)、肝胆道系障害(13.7% vs.5.8%)、QTc延長(3.1% vs.1.2%)であった。

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アベマシクリブ+フルベストラント、HR+/HER2-乳がんのOS延長(MONARCH-2)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんを対象とした、CDK4/6阻害薬アベマシクリブ+フルベストラントの併用療法とフルベストラント単独療法との比較試験(MONARCH-2試験)の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・スタンフォード大学のGeorge W.Sledge氏によって発表された。MONARCH-2試験でアベマシクリブ群のOS中央値が9.4ヵ月延長・国際共同二重盲検第III相比較試験・対象:HR陽性HER2陰性乳がんで、術前ホルモン療法中か術後ホルモン療法の12ヵ月以内に再発・病勢進行(PD)が認められた症例、または進行再発がんに対する1次内分泌療法中のPD症例(閉経状況問わず。進行再発がんに対する化学療法薬の投与は認められていない)・試験群:アベマシクリブ150mg×2回/日+フルベストラント500mg/回(アベマシクリブ群)・対照群:プラセボ×2回/日+フルベストラント500mg/回(プラセボ群)・アベマシクリブ群とプラセボ群に2対1の割合で割り付け・評価項目: [主要評価項目]主治医判定による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全生存期間(OS) [探索的解析]化学療法施行までの期間 MONARCH-2試験の主要評価項目のPFSについては、過去に統計学的に有意にアベマシクリブ群が有効であることの発表がなされていた。今回は副次評価項目であるOSの発表がメインであり、これは事前に規定された中間解析の結果である。 MONARCH-2試験の主な結果は以下のとおり。・今回のアップデートでもPFS中央値はアベマシクリブ群16.9ヵ月、プラセボ群9.3ヵ月、ハザード比(HR):0.536、95%信頼区間(CI):0.445~0.645、p<0.0001とアベマシクリブ群の有意性が再現されていた。・データカットオフは2019年6月20日で、観察期間中央値は47.7ヵ月。登録症例数はアベマシクリブ群で446例、プラセボ群で223例の合計669例であった。この時点ではまだアベマシクリブ群の17%、プラセボ群の4%の症例で投薬が継続中であった。・OS中央値は、アベマシクリブ群で46.7ヵ月、プラセボ群で37.3ヵ月と9.4ヵ月の延長が見られ、HRは0.757(95%CI:0.606~0.945)、p=0.0137とアベマシクリブ群が有意にOSを延長していた。この中間解析では、統計学的に意味のあるp値は0.0208と設定されており、今回の解析結果はこれを下回っていた。・探索的解析である化学療法までの期間中央値は、アベマシクリブ群50.2ヵ月、プラセボ群22.1ヵ月で、HR:0.625(95%CI:0.501~0.779)、p<0.0001と、有意にアベマシクリブ群で延長していた。・投薬中止後の治療は、分子標的薬がアベマシクリブ群28.5%、プラセボ群43.9%、内分泌療法がアベマシクリブ群41.7%、プラセボ群57.0%で行われ、化学療法がアベマシクリブ群44.8%、プラセボ群61.0%で行われた。逐次的にCDK4/6阻害薬の投与を受けたのは、アベマシクリブ群で5.8%、プラセボ群で17.0%であった。・安全性については、既報と同様の内容であり、新たな有害事象の発現はなかった。

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