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ASCO2020レポート 消化器がん(胆膵がん)

レポーター紹介2020年のASCOは、2020年5月29日からWebで開催された。これは、COVID-19の影響で、Virtual meetingとなったためである。Virtual meetingとは、Oral presentation、Poster discussion、Poster presentationもすべてASCOのWeb site上にスライドがUploadされ、発表者が発表内容を録音しているものを聞くだけで、相互のDiscussionがあるわけではない。Oral presentationとPoster discussionにはDiscussantが付いていて、それぞれの演題にコメントをしているが、質疑応答があるわけでもなく、ちょっと物寂しい感じが否めなかった。私も気合を入れて、現地時間の朝8時(日本時間の5月30日の夜中12時)からの開催に胸を弾ませスタンバっていたが、その前からスライドは閲覧可能であり、先んじて見ることができた。むしろ夜中12時からはアクセスが集中し過ぎて、ASCOのサイトに入れない状況であり、なんだか肩透かしを食らった感じであった。今年のASCOのテーマは「Unite & Conquer: Accelerating progress together」で、「皆で団結して、がんを征服しよう:共に進歩を加速させよう」ということで、がん研究を一緒に分かち合い、国際的な共同研究を行い、がんの克服を目指して、協力していこうという、会長の意思がよくわかる学会である。そして、本学会の会長はHoward A. Burris III先生であり、膵がんを担当している先生なら知らない人はいないはず。そうです、1997年にゲムシタビンと5FUの比較試験の報告をした先生であり、とうとう会長にまで登り詰めたんだと、非常に感慨深いものがあった。さて、今年の胆膵領域では、Oral presentationで膵がんが2演題、Poster discussionで膵がんが2演題、胆道がんが1演題、胆膵がんその他が1演題、取り上げられていた。Poster発表では、膵がんが28演題、胆道がんは14演題、神経内分泌腫瘍は8演題などであった。やはり膵がんは全世界的にも患者は増加傾向であり、治療成績も十分ではないため、喫緊の課題である。このことを反映してか演題数も多かった。とくに、Trial in progressの発表は膵がんが14演題と圧倒的に多く、次いで胆道がんが5演題、神経内分泌腫瘍が1演題であった。やはり、今後の開発は膵がんが圧倒的に注目されていることを表す結果だと思われた。膵がんmFOLFIRINOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法による周術期化学療法の比較試験(SWOG S1505) 1)膵がんの周術期の治療は、日本ではPrep02/JSAP05試験により、ゲムシタビン(Gem)+S-1併用療法による術前補助化学療法と、S-1による術後補助化学療法が標準治療となったが、世界的には術前化学療法は標準治療としては確立していない。しかし、術前補助化学療法は、早期から遠隔転移を抑制することができ、化学療法を効率よく行うことができ、切除を行ってもすぐに再発するような予後不良な患者を除外することができ、真に切除が必要な患者を選択できるため、臨床試験としてさまざまな取り組みが世界中で試みられている。本試験は、術前術後の補助化学療法として、modified FOLFIRINOX(mFFX)とGem+ナブパクリタキセル(Gem+nab-PTX)を比較したランダム化第II相試験(SWOG S1505)であった。主な適格規準は、膵がんに対する治療歴がない切除可能膵がん患者である。mFFX(フルオロウラシル 2,400mg/m2、オキサリプラチン 85mg/m2、イリノテカン 180mg/m2、2週ごと)とGem+nab-PTX(Gem 1,000mg/m2、ナブパクリタキセル 125mg/m2、3投1休)に1対1の割合で割り付けられた。術前化学療法を12週行った後に画像評価し、切除可能と判断された場合は切除を行い、さらに術後に術前と同じレジメンの化学療法を12週間行った。主要評価項目は2年生存割合として、閾値を40%とし、検出力88%、片側αを0.05として、期待値58%を超えた治療を有望な治療と判断することとした。2015年10月から登録を開始し、2018年4月に147例の集積が完了し、最終的に102例の適格症例が登録された。mFFX群に55例、Gem+nab-PTX群に47例が割り付けられた。2年生存割合はmFFX群が43.1%、Gem+nab-PTX群が46.9%であり、両群とも閾値の40%を統計学的有意に超えることができなかった。全生存期間(中央値)は22.4ヵ月および23.6ヵ月であった。外科切除を行った患者のうち、R0切除割合は両群ともに85%であり、N0で切除できた症例はそれぞれ40%および45%であった。病理学的奏効割合はmFFX群が25%に対して、Gem+nab-PTX群が42%と若干良好であり、その分、術後の無病生存期間もmFFX群10.9ヵ月に対して、Gem+nab-PTX群14.2ヵ月と良好であった。有害事象は両群ともに同様であり、忍容可能と考えられた。コメント本試験の結果、両群ともに期待値に到達せず、“no winner(勝者はなし)”という結果になった。病理学的奏効割合はGem+nab-PTX群が40%と、mFFXの25%よりも良好であった。術後補助療法では有意な結果を示せなかったGem+nab-PTXであるが、術前補助療法としての有用性はまだ期待できる可能性が示された。本試験では、術前化学療法の有効性を示すことはできなかったが、現在、mFFXの術後治療6ヵ月と術前4ヵ月+術後2ヵ月を比較したAlliance 021806試験が進行中であり、その結果が待たれるところである。切除境界可能膵がんに対するImmediate surgeryとゲムシタビン+カペシタビン、mFFX、化学放射線療法の術前治療のランダム化第II相試験 2)切除境界可能膵がん(BR膵がん)に対するImmediate surgery(術前治療を行わない群)とゲムシタビン+カペシタビン(Gem+Cape)、mFFX、化学放射線療法の4群を比較し、どの術前治療が有効かを明らかにするランダム化第II相試験であった。主要評価項目は、R1+R0切除割合と症例集積割合で、副次評価項目は、R0切除割合、有害事象と全生存期間であった。主要評価項目のR1+R0切除割合は、Immediate surgery群で62%、術前治療群(Gem+Cape、mFFX、化学放射線療法をあわせた群)で55%であり、有意差は認めなかった(p=0.668)。また、R0切除割合もImmediate surgery群で15%、術前治療群で23%であり、有意差は認めなかった(p=0.721)。症例集積割合は、1年当たり20.74例であり、症例集積にはかなりの時間を要することが示された。12ヵ月生存割合は、Immediate surgery群で42%、術前治療群で77%であり、有意に良好であった(ハザード比:0.28、95%信頼区間[CI]:0.14~0.57、p<0.001)。また、術前治療別の12ヵ月生存割合は、Gem+Capeが79%、mFFXが84%、化学放射線療法が64%であり、mFFXが最も良好であった。Immediate surgery群と術前治療群で、切除率に差は認めなかったが、12ヵ月生存割合は術前治療で有意に良好であり、なかでもmFFXが最も良好な治療成績であった。BR膵がんに対しては、術前治療を行うことを考慮すべきであり、レジメンとしてはmFFXが良好な可能性が示された。コメント著者らは術前治療推しの結語にしているが、実際には主要評価項目は達成しておらず、副次評価項目である生存期間が良好であったのが、術前治療であったため、BR膵がんに対しては術前治療を行うことを考慮すべきと結論付けている。少しずるい感じは否めないが、BR膵がんに対するUpfront surgeryと術前化学放射線療法を比較したランダム化比較試験の結果も術前治療群で有意に良好な結果が報告されているため、その結果に引っ張られる形での結語になっている。世の中の流れ的にも、BR膵がんは術前治療ありきだし、レジメンとしても最強なレジメンであるmFFXを考慮することは十分考えられうることであり、この結語に対する皆の受け入れは良いと思われる。ESPAC-4:術後補助化学療法Gem+Cape vs.Gemの第III相試験の5年後の経過観察 3)術後補助化学療法の第III相試験(ESPAC-4)において、Gem+Cape群は、Gem群と比べて有意に良好な生存期間が示され、標準的な術後補助化学療法として確立している。今回は、ESPAC-4試験の5年の長期経過観察後の結果の発表であった。Gem群366例、Gem+Cape群364例が解析対象であり、生存期間(中央値)はGem群26.0ヵ月、Gem+Cape群27.7ヵ月であり、有意差が得られたままであった(ハザード比:0.84、95%CI:0.70~0.99、p=0.049)。多変量解析においても、切除断端陽性、術後CA19-9高値、術前CRP高値、低分化型、リンパ節転移陽性、最大腫瘍径と共に、有意な予後因子として、術後補助化学療法が選択された。術後補助化学療法のGem+CapeはGemと比べて有意に生存期間の延長に寄与することが、長期経過観察の結果からも示された。コメント大規模な術後補助化学療法の5年の長期経過観察後の発表であるが、とくに驚くことのない試験結果であり、この演題がPoster discussionであることのほうがむしろ驚きである。今年はあまり採択すべき演題がなかったのかなと思ってしまった。膵がん切除後補助化学療法Gem+nab-PTX vs.Gem aloneの第III相試験(APACT)の生存期間のUpdateと地域ごとの治療成績 4)ちょうど1年前のASCOで発表された、膵がん切除後の補助化学療法としてのGem+nab-PTXとGem aloneを比較した第III相試験(APACT)の結果は、主要評価項目である中央判定による無病生存期間の延長は認めなかったため、標準的な術後補助化学療法としては位置付けられていない。しかし、副次評価項目である全生存期間の延長を認めており、担当医判断の無病生存期間においても有意な差が認められていたため、中央判定が良くなかったのではないかとまで言われている試験であった。この試験は、全世界179施設、21ヵ国で行われたGlobal試験であり、今回、このAPACT試験の生存期間のUpdateと地域ごとの治療成績の違いについて発表された。膵がん(T1-3、N0-1、M0)に対してR0またはR1切除を行い、術後に再発を認めず、CA19-9が100 U/mL未満に低下した患者をGem+nab-PTX群432例とGem alone群434例にランダムに割り付けた。Updateされた全生存期間(中央値)は、Gem+nab-PTX群41.8ヵ月とGem alone群37.7ヵ月であり、ハザード比0.82(95%CI:0.687~0.973、p=0.232)と、主解析時点と同様の結果が得られた。欧州、北米、アジア、オーストラリアの4地域における患者背景、生存期間、有害事象の違いも報告された。患者背景では、オーストラリアの患者でPerformance statusが0の患者とR0切除割合がGem+nab-PTX群で低率であったこと以外は両群で有意差は認めなかった。また、地域ごとの違いでは、アジアの患者で、R0切除、N0の患者が最も多く認められ、投与状況では累積投与量がアジアの患者でやや多かった。生存期間は、どの地域でもGem+nab-PTX群で良好な傾向が認められており、地域によらず一定の効果が認められた。Gem+nab-PTXの生存期間(中央値)は、欧州41.8ヵ月、北米38.5ヵ月、アジア46.8ヵ月、オーストラリア31.5ヵ月と患者背景を反映してか、アジアで良好であった。有害事象に関しては、これまでの報告と同様にGem+nab-PTX群でGrade3以上の治療関連有害事象発現割合が高く、その内訳は好中球減少、貧血、白血球減少、末梢神経障害、疲労など、既知のものだった。また、地域ごとの違いはほぼ認められなかった。このように、4年の追跡調査結果は主解析と同様の結果であり、地域別の解析でも、全体での解析結果と同様の結果だった。コメント膵がん切除後の補助化学療法として、Gem+nab-PTXとGemを比較した第III相試験(APACT)の生存期間のUpdateの結果と地域による治療成績の違いを検討した結果が報告された。くしくも、このAPACT試験の生存期間のハザード比は0.82であり、ESPAC-4試験でPositiveな結果となったGem+Capeのハザード比0.84と同等からやや良好な結果が示されており、生存期間(中央値)もGem+nab-PTXは41.8ヵ月、Gem+Capeは27.7ヵ月であり、患者背景が違うため、単純に比較はできないが、APACT試験の結果が良好であった。あえてこのように並べて発表したのかはわからないが、Gem+nab-PTXの術後補助化学療法の有効性を示唆する結果であった。また、地域による治療成績の違いの検討は、肝細胞がんでは地域による違いが問題になることもあるが、膵がん切除後の補助化学療法においては、地域による患者背景や治療成績に違いはほぼないことがわかり、今後、Global試験を行ううえで、非常に重要な結果が示されたと考えている。胆道がん進行胆道がんの初回治療例に対するGem+Cisplatin+Durvalumab+Tremelimumab vs.Gem+Cisplatin+Durvalumabの第II相試験 5)切除不能または再発胆道がんの初回治療例に対して、Gem+Cisplatin(GC)+Durvalumab(D)+Tremelimumab(T)のバイオマーカーコホート30例とGC+Dコホート45例、GC+D+Tコホート46例の第II相試験の結果が韓国から報告された。奏効割合は、バイオマーカーコホート50.0%、GC+Dコホート73.4%、GC+D+Tコホート73.3%と非常に良好であり、奏効までの期間(中央値)も2.3ヵ月と良好であった。無増悪生存期間(中央値)と生存期間(中央値)はそれぞれ、バイオマーカーコホート13.0ヵ月と15.0ヵ月、GC+Dコホート11.0ヵ月と18.1ヵ月、GC+D+Tコホート11.9ヵ月と20.7ヵ月と、まだ打ち切り例が多いが、非常に良好な結果が報告された。バイオマーカーコホートで、1サイクル後のPD-L1の発現によって無増悪生存期間に違いが出る可能性が示唆された。全Gradeの有害事象は、悪心59.5%、好中球減少54.5%、掻痒55.4%に認めたが、忍容性は良好であったと解釈された。現在、GC+D vs.GCの第III相試験(TOPAZ-1: NCT03875235)が進行中であることが報告された。コメント胆道がんにおける免疫チェックポイント阻害剤は期待されており、GC+免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の第III相試験がいくつか進行中である。今回、GCにDまたはD+Tを併用することで非常に良好な治療成績が報告されているが、現在、進行中の第III相試験は、GC+D vs.GC+プラセボの第III相試験(TOPAZ-1)であり、Tの併用はない。今後、GC+T+Dのレジメンの開発がどうなるのかは、まったくわからない状況であった。胆道がんに対するその他の治療開発は、1次治療としてGC+ペムブロリズマブvs.Gem+プラセボの第III相試験(KEYNOTE-966)、GC+Bintrafusp alfa(M7824)vs.GC+プラセボの第II/III相試験(Trap0055)が進行中であり、2次治療以降では、ゲムシタビン、シスプラチンおよびS-1の前治療歴がある胆道がん患者を対象としたニボルマブの治験、職業関連胆道がん患者を対象としたニボルマブ単剤による医師主導治験などが進行中であり、やはり注目度は高い。胆膵がんその他ctDNAと組織でのクリニカルシーケンスの比較:SCRUM-Japan GI-Screen vs. GOZILA 6)SCRUM-Japanで行われてきた組織でのクリニカルシーケンス(GI-Screen)と血液でのctDNA(GOZILA)を比較した検討結果が、JCOG肝胆膵グループの若手のホープである国立がん研究センター中央病院の大場先生から報告された。SCRUM-Japanでは、消化器がんを中心にがん遺伝子のクリニカルシーケンスの研究として行ってきた。今回、組織でのクリニカルシーケンスであるGI-Screen研究に参加された2,952例と、リキッドバイオプシーであるctDNAによるがん遺伝子検査のGOZILA研究に参加された632例の患者背景、検査結果が判明するまでの時間、同定されたActionable遺伝子異常、臨床試験への参加割合と参加までの期間、臨床試験での奏効割合と無増悪生存期間を比較検討した。患者背景では、GOZILA研究に膵がんの患者が多く登録されており、膵がんは組織が採取しにくく、リキッドバイオプシーが好まれる傾向にあることが示された。検査結果が判明するまでの時間(中央値)は、GI-Screenでは37日、GOZILAでは12日と、GOZILAで有意に短かった(p1)Davendra Sohal, Mai T. Duong, Syed A. Ahmad, et al. SWOG S1505: Results of perioperative chemotherapy (peri-op CTx) with mfolfirinox versus gemcitabine/nab-paclitaxel (Gem/nabP) for resectable pancreatic ductal adenocarcinoma (PDA). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4504)2)Paula Ghaneh, Daniel H. Palmer, Silvia Cicconi, et al. ESPAC-5F: Four-arm, prospective, multicenter, international randomized phase II trial of immediate surgery compared with neoadjuvant gemcitabine plus capecitabine (GEMCAP) or FOLFIRINOX or chemoradiotherapy (CRT) in patients with borderline resectable pancreatic cancer. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4505)3)John P. Neoptolemos, Daniel H. Palmer, Paula Ghaneh, et al. ESPAC-4: A multicenter, international, open-label randomized controlled phase III trial of adjuvant combination chemotherapy of gemcitabine (GEM) and capecitabine (CAP) versus monotherapy gemcitabine in patients with resected pancreatic ductal adenocarcinoma: Five year follow-up. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4516)4)Michele Reni, Hanno Riess, Eileen Mary O'Reilly, et al. Phase III APACT trial of adjuvant nab-paclitaxel plus gemcitabine (nab-P + Gem) versus gemcitabine (Gem) alone for patients with resected pancreatic cancer (PC): Outcomes by geographic region. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4515)5)Do-Youn Oh, Kyung-Hun Lee, Dae-Won Lee, et al. Phase II study assessing tolerability, efficacy, and biomarkers for durvalumab (D) ± tremelimumab (T) and gemcitabine/cisplatin (GemCis) in chemo-naive advanced biliary tract cancer (aBTC). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4520)6)Akihiro Ohba, Yoshiaki Nakamura, Hiroya Taniguchi, Masafumi Ikeda, et al. Utility of circulating tumor DNA (ctDNA) versus tumor tissue clinical sequencing for enrolling patients (pts) with advanced non-colorectal (non-CRC) gastrointestinal (GI) cancer to matched clinical trials: SCRUM-Japan GI-SCREEN and GOZILA combined analysis. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 3516)

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分子標的薬による術後アジュバントの意味【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第14回

第14回 ADAURA試験はpractice changingなのか:分子標的薬による術後アジュバントの意味1)Herbst RS, Tsuboi M, John T, et al. Osimertinib as adjuvant therapy in patients (pts) with stage IB-IIIA EGFR mutation positive (EGFRm) NSCLC after complete tumor resection: ADAURA. ASCO 2020, LBA 5.2)Hauschild A, et al. Long-term benefit of adjuvant dabrafenib + trametinib (D+T) in patients (pts) with resected stage III BRAF V600-mutant melanoma: Five-year analysis of COMBI-AD. ASCO 2020, abstract 10001.3)Joensuu H, Eriksson M, et al. Survival Outcomes Associated With 3 Years vs 1 Year of Adjuvant Imatinib for Patients With High-Risk Gastrointestinal Stromal Tumors; An Analysis of a Randomized Clinical Trial After 10-Year Follow-up. JAMA Oncol. 2020 May 29. [Epub ahead of print] 今年のASCOの目玉の1つ、完全切除NSCLC(病理病期Ib-IIIA)に対してオシメルチニブの術後補助化学療法を行ったADAURA試験。プラセボに対してプライマリエンドポイントである無存再発期間(RFS)をHR 0.17という見たことのない差でmetしたが、多くの議論が沸き上がっている。他がん腫の状況なども含め、論点を概説する。日常臨床を変えるには何が足りないか「OSを待つ必要がある」という意見も見掛けるが、完全切除のNSCLCに術後補助療法を行う目的は根治である。古くから5年生存が根治と見なされてきた経緯があるものの、近年術後再発した後の化学療法が非常に発達しているため、OSのみでは必ずしも根治の指標でない可能性がある。より厳密に根治率の改善を検証するためには長期DFS率が妥当と思われる。分子標的薬は根治をもたらすか:他がん腫での知見から今回用いられたのがオシメルチニブという分子標的薬であることには注意が必要である。他がん腫で術後補助療法に対して承認されている分子標的薬は、消化管間質腫瘍(GIST)に対するイマチニブ、悪性黒色腫に対するダブラフェニブ+トラメチニブの2レジメン。GIST:イマチニブの1年投与がプラセボに比して有意な無再発生存期間(RFS)を延長したが(HR 0.35)、OSは有意差を認めず(Dematteo RP, et al. Lancet. 2009;373:1097-1104.)。その後、high risk群を対象に3年間vs.1年間投与で前者が有意にRFSを延長した(Joensuu H, et al. JAMA. 2012;307:1265-1272.)。この発表はASCOでプレナリーとして報告されたものの、ディスカッサントからは内服中止後に再発が急増していることへの懸念が指摘された。ちょうど先頃、10年フォローアップの結果が報告された。RFSは統計学的には有意ではあるが最終的に両群の曲線が近づいている。またOSも現時点では有意に上回っているが、再発例のみの解析では再発後生存期間は同等とも報告されている。悪性黒色腫:StageIIIの悪性黒色腫を対象にダブラフェニブ・トラメチニブ併用とプラセボを比較したCOMBI-AD試験は、今回ASCOで長期成績が報告されたが(Hauschild A, #10001)、1年の投与終了後もRFSはほぼプラトーとなっていた(3/4/5年のRFS率はそれぞれ59/55/52%)。一見同じような印象を受けるドライバー変異を有するがん腫でも、それぞれの阻害剤に対する効果が異なるのだろうし、ダブラフェニブ・トラメチニブについては腫瘍免疫に対する影響も示唆されているようなので、こういった影響を考慮すべきなのかもしれない。つまり「分子標的薬で根治が得られるか」という疑問に対しては、まだ十分な答えがない状況である。EGFR陽性例でほかに参考になる知見同じ対象についてゲフィチニブがすでにDFS延長にもかかわらずOSで延長を示せなかったことから(CTONG1104試験、Wu YL, #9005)、GISTにおけるイマチニブのパターンをたどる可能性は否定できない。また、今回の解析では多くの患者がオシメルチニブ3年間投与の途中であり、イマチニブで見られた内服終了後の再発増加が認められるかは今後見ていく必要がある(ADAURAでも、よりハイリスクなStageIIIAのサブセットでは36ヵ月で再発が増えている“ようにも見える”)。なおCTONG1104試験で再発ハザード比の経時的変化を見た研究において、内服終了に近い15ヵ月前後から再発リスクが増加することも報告されている(Xu ST, IASLC 2017)。われわれのpracticeを変えるべきか現時点でpracticeを変えるにはまだ情報が不足しているという印象。一方で、HR 0.17というとんでもない数字がOSに反映される可能性は十分あるだろう。つまりGISTの試験のように「根治には十分寄与しないが、OSを延長する」ケースである。ただしこの結果が受け入れられるためには、「最終的にほとんどの症例が再発するのなら、OS延長も臨床的には意味があるのでは」という考え方の転換が必要になる。個人的には、こういった考えがコンセンサスとなるには時期尚早に感じられる。

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高悪性度神経内分泌肺がん術後補助療法、イリノテカン+シスプラチン vs.エトポシド+シスプラチン(JCOG1205/1206)/ASCO2020

 静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科の釼持 広知氏は、高悪性度神経内分泌肺がん(HGNEC)の完全切除例に対するイリノテカン+シスプラチン(IP)療法とエトポシド+シスプラチン(EP)療法の無作為化非盲検第III試験(JCOG1205/1206)の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。IP療法は従来標準治療とされてきたEP療法に対して無再発生存期間(RFS)で優越性を示せなかった。 世界保健機関(WHO)は、小細胞肺がん(SCLC)または大細胞神経内分泌肺がん(LCNEC)をHGNECと分類している。SCLCのStage1では手術と術後の補助化学療法が標準治療とされ、無作為化比較試験で評価された術後補助化学療法レジメンはないものの、EP療法が標準治療と考えられている。一方で進展型SCLCに対する日本国内での第III相試験ではEP療法に対するIP療法の優越性が示されている。・対象:完全切除された病理StageI〜IIIAのHGNEC221例・試験群:エトポシド+シスプラチン 3週ごと最大4サイクル(EP群、111例)・対照群:イリノテカン+シスプラチン 4週ごと最大4サイクル(IP群、110例)・評価項目:[主要評価項目]RFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、治療完遂率、有害事象(AE)発現率、重篤AE発現率、二次がん発生率 主な結果は以下のとおり。・RFS中央値は両群とも評価不能。3年RFS率はIP群が69.0%、EP群が65.4%であった(ハザード比[HR]:1.076、95%CI:0.666~1.738、片側検定p=0.6185)。・組織学別の3年RFS率は、SCLCではIP群66.5%、EP群65.2%で(HR:1.029、95%CI:0.544~1.944)、LCNECではIP群72.0%、EP群66.5%であった(HR:1.072、95%CI:0.517~2.222)。・病期別の3年RFS率は、StageIではIP群83.0%、EP群68.9%で(HR:0.641、95%CI:0.288~1.426)、StageII~IIIAではIP群53.1%、EP群61.6%であった(HR:1.487、95%CI:0.806~2.740)。・3年OS率はIP群が79.0%、EP群が84.1%であった(HR:1.539、95%CI:0.760~3.117、両側検定p=0.2275)。・4サイクル治療完遂率はIP群が72.7%、EP群が87.4%であった(p=0.0071)。・Grade2以上のAE発現率はIP群が81.7%、EP群が84.4%。重篤なAE発現率はIP群が1.8%、EP群が2.8%であった。 今回の結果を受けて剱持氏は「HGNEC完全切除例ではいまだEP療法が標準治療である」との見解を示した。

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ダロルタミド、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんのOSを延長(ARAMIS試験)/ASCO2020

 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対するダロルタミドのアンドロゲン遮断療法(ADT)への併用は、ADT単独に比し全生存期間(OS)の延長を示すことが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、フランス・Institut Gustave Roussy、University of Paris-SaclayのKarim Fizazi氏から発表された。 本試験は、二重盲検プラセボ対照の第III相試験であり、すでに主要評価項目の無遠隔転移生存期間(MFS)の有意な延長に関しては2019年に報告されている。今回の発表は、OSに関する最終解析結果の報告である。・対象:PSA倍加時間が10ヵ月以下のnmCRPC・試験群:ダロルタミド600mg×2/日+ADT(DAR群)・対照群:プラセボ+ADT(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]MFS[副次的評価項目]OS、疼痛が増強するまでの期間(TTPP)、化学療法剤導入までの期間(TTCT)、症候性骨関連事象(SSE)発現までの期間、安全性 主な結果は以下のとおり。・本試験には、DAR群955例、プラセボ群554例の計1,509例が登録された。すでに、MFSのポジティブな結果が得られたため、2018年11月から盲検化が解除され、プラセボ群から31%(170例)がダロルタミドのクロスオーバー投与を受けた(最終解析のデータカットオフは2019年11月、追跡期間中央値は29.1ヵ月)。・OS中央値は、DAR群、プラセボ群ともに未到達で、ハザード比(HR)0.69(95%CI:0.53~0.88)、p=0.003とDAR群が有意な延長を示した。3年時のOS率は、DAR群83%、プラセボ群77%だった。・TTPP中央値は、DAR群40.3ヵ月、プラセボ群25.4ヵ月、HR0.65(95%CI:0.53~0.79)、p<0.001であった。・TTCT中央値は、DAR群、プラセボ群ともに未到達で、HR0.58(95%CI:0.44~0.76)、p<0.001であった。・SSE発現までの期間の中央値も、DAR群、プラセボ群ともに未到達で、HR0.48(95%CI:0.29~0.82)、p=0.005であった。・今回報告の安全性プロファイルは、既報と差はなかった。Grade3/4の有害事象は、DAR群で26.3%、プラセボ群で21.7%であった。 最後に発表者は「本結果は、プラセボ群でのクロスオーバー投与が認められているにもかかわらず、ダロルタミドはnmCRPC患者の死亡リスクを31%低減させるという、説得力のあるデータである」と結論づけた。

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小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の成績(CASPIAN)/ASCO2020

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療で免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体デュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabと化学療法の併用と、デュルバルマブ+化学療法化学療法の3群を比較した第III相試験「CASPIAN」の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で報告した。同学会では、2つ目の実験群であるデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法群の初回解析では全生存期間(OS)の有意な改善は認められなかったが、デュルバルマブ+化学療法では、11ヵ月追加した中央値25.1ヵ月の追跡結果においても、有意なOSの延長を示した。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)、無症候性あるいは治療済みで安定している脳転移症例は許容・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、患者報告アウトカム(PRO)、安全性、忍容性 PFSの検定は、上記2つの試験群のOSの有意差が確認された場合に解析される。 主な結果は以下のとおり。D+T+EP vs.EP・OS中央値はD+T+EP群10.4ヵ月、EP群10.5ヵ月、2年OS率はEP群14.4%、D+T+EP群23.4%であったが、事前のp値設定≦0.0418を達成せず、統計学的有意差は認められなかった。・PFS中央値はD+T+EP群4.9ヵ月、EP群が5.4ヵ月であった。・奏効期間(DoR)はD+T+EP群5.2ヵ月、EP群が5.1ヵ月であった。・ORRはD+T+EP群が58.4%、EP群が58.0%であった。D+EP vs.EP・OS中央値はD+EP群が12.9ヵ月(95%CI:11.3~14.7)、EP群が10.5ヵ月(95%CI:9.3~11.2)でD+EP群で有意な延長が認められた(HR:0.75、95%CI:0.62~0.91、p=0.0032)。2年後OS率は、EP群14.4%に対してD+EP群22.2%であった。・PFS中央値はD+EP群が5.1ヵ月(95%CI:4.7~6.2)、EP群が5.4ヵ月(95%CI:4.8~6.2)であった(HR:0.80、95%CI:0.66~0.96)。・DoRはD+EP群共に5.1ヵ月であった。・ORRはD+EP群が67.9%、EP群が58.0%であった。・有害事象(AE)発現率はD+T+EP群が99.2%、D+EP群が98.1%、EP群が97%で、Grade3~4のAE発現率はD+T+EP群が70.3%、D+EP群が62.3%、EP群が62.8%であった。・免疫関連AEは、D+T+EP群が36.1%、D+EP群が20.0%、EP群が2.6%であった。 今回の結果についてPaz-Ares氏は「D+EP群が進展型小細胞肺がんの1次治療で新たな標準治療となることをよ支持している」との見解を示した。

1246.

NSCLC1次治療、ニボルマブ・イピリムマブ併用の3年観察結果(Checkmate-227)/ASCO2020

 米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏はNSCLCに対する1次治療としての抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法と化学療法(プラチナダブレット)との比較第III相試験・Checkmate-227 Part1の3年観察結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法は化学療法と比較してPD-L1発現の有無にかかわらず長期の効果を示したと報告した。・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず)・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群(NIVO+IPI群)     ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)(NIVO群)     ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)・評価項目:[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の無増悪生存期間(PFS)、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の全生存期間(OS)[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・PD-L1発現1%以上の患者での3年OS率は、NIVO+IPI群が33%、NIVO群が29%、Chemo群が22%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.67~0.93、NIVO群のChemo群に対するHR:0.90、95%CI:0.77~1.06)。・PD-L1発現1%未満の患者での3年OS率は、NIVO+IPI群が34%、NIVO+Chemo群が20%、Chemo群が15%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.64、95%CI:0.51~0.81、NIVO+Chemo群のChemo群に対するHR:0.82、95%CI:0.66~1.03)。・PD-L1発現1%以上の患者での3年PFS率は、NIVO+IPI群が18%、NIVO群が12%、Chemo群が4%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.81、95%CI:0.69~0.96、NIVO群のChemo群に対するHR:0.97、95%CI:0.83~1.15)。・PD-L1発現1%未満の患者での3年PFS率は、NIVO+IPI群が13%、NIVO+Chemo群が8%、Chemo群が2%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.75、95%CI:0.59~0.95、NIVO+Chemo群のChemo群に対するHR:0.73、95%CI:0.58~0.92)。・PD-L1発現1%以上の患者での3年奏効率(ORR)は、NIVO+IPI群が38%、NIVO群が32%、Chemo群が4%であった。・PD-L1発現が1%未満の患者での3年ORR率は、NIVO+IPI群が34%、NIVO+Chemo群が15%、Chemo群が0%であった。・PD-L1発現1%以上の患者でのDoR中央値は、NIVO+IPI群が23.2ヵ月(95%CI:15.2~32.2)、NIVO群が15.5ヵ月(95%CI:12.7~23.5)、Chemo群が6.7ヵ月(95%CI:5.6~7.6)であった。・PD-L1発現1%未満の患者でのDoR中央値は、NIVO+IPI群が18.0ヵ月(95%CI:12.4~33.0)、NIVO+Chemo群が8.3ヵ月(95%CI:5.9~9.4)、Chemo群が4.8ヵ月(95%CI:3.7~5.8)であった。・Part 1aとPart 1bを統合した有害事象発現率はNIVO+IPI群が77%、Chemo群が82%、うちGrade3以上はそれぞれ33%、36%であった。 Ramalingam氏は、「免疫チェックポイント阻害薬の併用療法は、進行性NSCLCの1次治療での化学療法の頻度を減らしうる新規のオプションになる」との見通しを示した。

1247.

アテゾリズマブ、早期TN乳がんの術前化学療法で主要評価項目を達成/中外

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は6月18日、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブに関する第III相IMpassion031試験において、主要評価項目を達成したことを発表。早期 TNBCにおけるアテゾリズマブの有用性を示したのは初となる。 IMpassion031試験は、早期TNBCの術前薬物療法において、アテゾリズマブと化学療法(パクリタキセル[アルブミン懸濁型]、ドキソルビシン、シクロホスファミド)の併用と化学療法単独とを比較する多施設共同二重盲検無作為化試験。333例が1:1の割合で無作為に各群に割り付けられ、主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1の発現が認められる症例における病理学的完全奏効(pCR)である。 今回、同試験において、PD-L1の発現状況を問わない早期TNBC患者集団で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるpCRの改善を示し、主要評価項目を達成した。また、アテゾリズマブと化学療法の併用における安全性は、これまでにそれぞれの薬剤で認められている安全性プロファイルと同様であり、本併用療法による新たな安全性上の懸念は示されなかった。IMpassion031試験の成績の詳細は、今後の医学系学会にて発表される予定となっている。

1248.

扁平上皮肺がん、カルボプラチン+S-1導入療法後のS-1維持療法の有用性(WJOG7512L)/Cancer

 扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の導入療法後の維持療法について、S-1療法が有用である知見が報告された。近畿大学の田中 薫氏らによる第III相臨床試験「WJOG7512L試験」の結果、化学療法未施行の進行・再発扁平上皮NSCLC患者において、カルボプラチン+S-1導入療法後のS-1による維持療法は、支持療法(BSC)のみの維持療法と比較して有効であり忍容性も良好であることが認められたという。Cancer誌オンライン版2020年6月2日号の掲載報告。 研究グループは、化学療法未施行の進行・再発扁平上皮NSCLC患者を対象に、導入療法としてカルボプラチン(AUC5、1日目、3週ごと)+S-1(1回40mg/m2×2/日、3週ごと)併用療法を施行し、4サイクル後に進行しなかった患者をS-1+BSC群またはBSC群に無作為に割り付けた。 本試験の主な目的は、無増悪生存期間(PFS)に関してBSCに対するS-1+BSCの優越性を確認することであった。 主な結果は以下のとおり。・365例が登録され、347例が導入療法を受け、このうち131例が無作為化された(S-1+BSC群67例、BSC単独群64例)。・S-1+BSC群ではBSC単独群より進行のリスクが有意に低かった(ハザード比:0.548、95%信頼区間:0.374~0.802、p=0.0019)。・維持療法中のS-1による主な有害事象は、食欲不振、貧血、疲労などで、ほとんどは重症ではなかった。

1249.

オリゴ転移乳がん、局所併用療法 vs.全身療法(OLIGO-BC1)/ASCO2020

 日本、中国、韓国によるアジア圏での国際後ろ向きコホート研究の結果、オリゴ転移乳がんに対する局所療法と全身療法併用の生存に対するベネフィットが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、がん研究会有明病院の上野 貴之氏がOLIGO-BC1試験の結果を発表した。・対象:ABCガイドラインで定義されたオリゴ転移を有する乳がん患者(転移個数が少なく[5個以下]、サイズが小さい、腫瘍量の少ない転移疾患。転移臓器の数は定義されていない)・主な除外基準:脳、胸膜、腹膜への転移、あるいは切除不能な皮膚および胸壁への再発症例/胸水貯留を認めた症例/生理的腹水を超えて腹水貯留を認めた症例/心外膜液貯留を認めた症例/同側乳房内再発症例/他臓器の浸潤がんの既往がある症例/重篤な併存症(心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、自己免疫疾患など)を有する再発症例・試験群:局所療法(外科的切除、放射線療法、焼灼療法および経カテーテル動脈(化学)焼灼療法など)と全身療法(化学療法、内分泌療法、抗HER2療法など)の併用・対象群:全身療法のみ・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS) ※以前の報告から5年OSを50%、40%とそれぞれ仮定した場合、両側の有意水準で併用療法の優位性を検出するために、少なくとも698例、検定力80%が必要とされた[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、長期的なPFSおよびOSを定義する臨床的、解剖学的および病理学的分析、局所療法に関連する重篤な有害事象 主な結果は以下のとおり。・2018年2月~2019年5月に1,295例が登録され、除外基準に基づき1,200例が分析対象(中国、日本、韓国からそれぞれ573、529、98例)とされた。・HR+HER2-が526例(44%)、HR+HER2+が189例(16%)、HR-HER2+が154例(13%)に、HR-HER2-が166例(14%)、その他は161例(13%)であった。・オリゴ転移数1が578例(48%)、2が289例(24%)、3が154例(13%)、4が102例(9%)、5が77例(6%)であった。・内臓転移のみが387例(32%)、骨転移のみが301例(25%)、局所再発のみが83例(7%)、局所領域再発は25例(2%)、複数部位の転移が404例(34%)であった。・局所療法および全身療法は495例、全身療法は705例で行われた。・追跡期間中央値4.9年における、5年OS率は併用療法59.6%、全身療法41.9%(p<0.01)。調整後のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.51~0.71)であった。・多変量解析の結果、全身療法の種類(化学療法-内分泌療法:HR0.59[0.44~0.78])、若年(20~39歳:HR0.72[0.59~0.88]、40~49歳:HR0.72[0.60~0.86])、ECOG PS0(HR0.68[0.55~0.86])、ステージI(HR0.72[0.54~0.96])、非トリプルネガティブ乳がん(HR+HER2-:HR0.82[0.64~1.04]、HR+HER2+:HR0.68[0.52~0.90]、HR-HER2+:HR0.76[0.57~1.02])、転移部位の少なさ(1:HR0.71[0.59~0.86]、2:HR0.95[0.78~1.18])、局所再発(HR0.69[0.49~0.97])、無病生存期間の長さ(≦1:HR2.01[1.52~2.68]/4≦:HR1)が、予後良好因子であった。

1250.

FDA、小細胞肺がんにlurbinectedinを承認

 FDAは、2020年6月15日、プラチナベース化学療法中/後に進行した転移のある小細胞肺がん(SCLC)の成人の治療について、lurbinectedin(Jazz PharmaceuticalsおよびPharmaMar)を迅速承認した。 この承認は、プラチナベース化学療法後に進行したSCLCの成人105例を対象とした、非盲検多施設単一群試験の単剤治療データに基づいている。この研究では、lurbinectedinの研究者評価の全奏効率は35%、奏効期間中央値は5.3ヵ月であった。lurbinectedinの頻度の高い(≧20%)治療関連有害事象は、白血球減少症、リンパ球減少症、疲労、貧血、好中球減少症、クレアチニン増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、グルコース増加、血小板減少症、悪心、食欲低下、筋骨格痛、アルブミン減少、便秘 、呼吸困難、ナトリウムの減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、嘔吐、咳、マグネシウムの減少、下痢であった。

1251.

CDK4/6i治療歴のあるHR+/HER2-進行乳がん、alpelisib併用が有効性示す(BYLieve)/ASCO2020

 CDK4/6阻害薬を含む治療歴のあるホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対し、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的有効性を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が第II相BYLieve試験の結果を発表した。・対象:CDK4/6阻害薬を含む治療後に増悪した、PIK3CA遺伝子変異陽性、ECOG PS≦2、測定可能病変あるいは溶骨性病変を有する、男性あるいは女性(閉経後/閉経前)のHR+/HER2-進行乳がん患者 ・試験群(コホートA):直前の治療としてCDK4/6阻害薬+アロマターゼ阻害薬(AI)の投薬を受けた患者 alpelisib 300mg/日+フルベストラント500mgを1サイクル28日でDay1に投与(1サイクル目のみDay1、15)※BYLieve試験ではコホートB(直前の治療がCDK4/6阻害薬+フルベストラントの患者、alpelisib+レトロゾールを投与)およびコホートC(AIで増悪後全身化学療法を受けた患者または直前の治療が内分泌療法だった患者、alpelisib+フルベストラントを投与)についても登録中。今回はコホートAの結果について発表された。・評価項目:[主要評価項目]RECISTv1.1に基づく6ヵ月時点の各コホートでの無増悪生存率[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、PFS2、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2017年8月14日~2019年12月17日に、少なくとも6ヵ月以上の追跡期間のある患者127例がコホートAに登録された(追跡期間中央値は11.7ヵ月)。このうち、PIK3CA遺伝子変異陽性が確認された121例が解析対象とされた。・ベースライン特性は女性が100%、年齢中央値は58歳(範囲:33~83)。白色人種63.8%、アジア人種9.4%、黒色人種4.7%。ECOG PS 0が62.2%であった。・転移病変に対する治療歴数0(術後療法としてCDK4/6阻害薬を投与)が11.8%、1が70.1%、2が16.5%、3が1.6%。転移病変に対する内分泌療法歴数0が11.8%、1が77.2%、2が11.0%であった。・試験登録時のprimary endocrine resistance(転移・再発乳がんに対する一次内分泌療法を開始して6ヵ月以内にPD、または術後内分泌療法を開始して2年以内の再発)症例が20.5%を占めていた。・6ヵ月時点の無増悪生存率は50.4%(95%信頼区間[CI]:41.2~59.6)となり、あらかじめ設定された95%信頼区間の下限(>30%)を超え、臨床的有効性が示された。・PFS中央値は7.3ヵ月(95%CI:5.6~8.3)であった。・ORRは17.4%、CBRは45.5%。CRは0例、PRは21例、SDは55例であった。・Grade 3以上の有害事象は、高血糖28.3%、発疹9.4%、下痢5.5%など。有害事象による治療中止は20.5%で起き、治療中止につながった有害事象で最も多かったのは皮疹であった(3.9%)。・抗ヒスタミン薬を事前に投与されなかった患者(117例)で皮疹が発生しなかったのは53.0%だったのに対し、事前に投与された患者(10例)では70.0%で発生せず、またGrade 3以上の皮疹の発生率も低かった(21.4% vs.10.0%)。同様の傾向がSOLAR-1試験でも観察され、予防的抗ヒスタミン剤が皮疹の発生と重症度を低下させる可能性があることが示唆された。・米国Flatiron Health Foundation Medicineのデータベースを利用した、リアルワールドデータとのマッチド解析の結果、リアルワールドでの標準治療と比較して、コホートAの治療法はPFSを改善した。 SOLAR-1試験において、CDK4/6阻害薬による治療歴のあった少数のサブグループでは、alpelisib併用群で6ヵ月時点の無増悪生存率は44.4%、PFS中央値は5.5ヵ月であった。研究者らは、今回のBYLieve試験からの報告はSOLAR-1試験の結果をサポートするもので、CDK4/6阻害薬治療後のalpelisibとフルベストラントの併用療法が、臨床的に意味のある有効性と管理可能な毒性を示したとまとめている。

1252.

HER2+胃・胃食道接合部腺がん患者におけるトラスツズマブ デルクステカン(DESTINY-Gastric01)/ASCO2020

 HER2高発現の胃・胃食道接合部(GEJ)腺がんにおける抗HER2抗体複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)のオープンラベル多施設無作為化第II相試験DESTINY-Gastric01の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、国立がん研究センター東病院の設樂 紘平氏により発表された。今回はHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/IS+)で、トラスツズマブを含むレジメンで進行したプライマリコホートの報告。・対象:2ライン以上の前治療歴があるHER2陽性(IHC 3+またはIHC 2+/IS+)胃/GEJ腺がん・試験薬:T-DXd 6.4mg/kg 3週ごと(T-Dxd群)・対照薬:医師選択による化学療法(イリノテカンまたはパクリタキセル)(PC群)・評価項目:[主要評価項目]独立中央委員会(ICR)評価による奏効率(ORR)[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、ICR評価の確定ORR(4週間持続)、奏効期間(DoR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・全66施設(日本48、韓国18)から患者187例が登録され、T-DXd群(n=125)またはPC群(n=62)に2:1に無作為に割り付けされた。・前治療レジメン数中央値は2、86%がタキサン、72%がラムシルマブ、33%がPD-(L)1阻害薬の治療を受けていた。・データカットオフ時の治療継続は、T-DXd群22.4%、PC群の4.8%であった。・ORRは、T-DXd群51.3%、PC群は14.3%と、有意にT-DXd群で高かった(p<0.0001)。・確定ORRは、T-DXd群42.9%、PC群は12.5%であった。・DCRは、T-DXd群82.5%に対し、PC群62.5%であった(P=0.0005)、DoR中央値は、T-DXd群11.3ヵ月に対し、PC群3.9ヵ月であった。・OS中央値は、T-DXd群12.5ヵ月に対し、PC群8.4ヵ月と、T-DXd群で有意に延長した(HR:0.59、95%CI:0.39〜0.88、p=0.0097)。・PFS中央値は、T-DXd群5.6ヵ月に対し、PC群3.5ヵ月であった(HR:0.47、95%CI:0.31〜0.71)。・両群で一般的なGrade3以上の有害事象(AE)は、好中球減少、貧血、および白血球数減少であり、T-DXd群でより頻度が多かった。薬物関連死亡は、肺炎による1件がT-DXd群で発現した。T-DXdによるILDは9.6%に発現し、内訳はGrade1 3例、Grade2 6例、Grade3 2例、Grade4 1例、Grade5なし、であった。

1253.

ペムブロリズマブ+化学療法による小細胞肺がん1次治療の結果は?(KEYNOTE-604)/ASCO2020

 米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する1次治療における化学療法へのペムブロリズマブ併用効果を比較するプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-604の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法単独に比べ、無増悪生存期間(PFS)は有意に改善するものの、全生存期間(OS)は有意差が示されなかったと報告した。・対象:期待余命3ヵ月以上で臓器機能が保持され、脳転移のない未治療のStage IVのES-SCLC患者、PS 0~1(453例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(カルボプラチン/シスプラチン+エトポシド)、21日ごと4サイクル(ペムブロリズマブ群、228例)・対照群:プラセボ+化学療法(同上)(プラセボ群、225例)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価によるPFS、OS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効持続期間(DoR)、安全性 PFS優越性の閾値は、one-sided p=0.0048、OS優越性の閾値は、one-sided p=0.0128であった。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団での中間解析のPFS中央値はペムブロリズマブ群4.5ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.61~0.91、p=0.0023)であった。・ITT集団での最終解析のPFS中央値はペムブロリズマブ群4.8ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.60~0.88)であった。・ITT集団での最終解析のOS中央値はペムブロリズマブ群10.8ヵ月、プラセボ群9.7ヵ月(HR:0.80、95%CI:0.64~0.98、p=0.0164)であった。・最終解析でのORRはペムブロリズマブ群70.6%、プラセボ群61.8%であった。・DoR中央値はペムブロリズマブ群が4.2ヵ月、プラセボ群が3.7ヵ月であった。・As treated集団での有害事象は、Grade 3/4はペムブロリズマブ群が76.7%であった。

1254.

MSI-H/dMMR進行大腸がん1次治療でペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較した第III相試験(KEYNOTE-177)/ASCO2020

 フランス・Sorbonne University and Saint-Antoine HospitalのThierry Andre氏は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)の進行大腸がん患者に対する1次治療としてペムブロリズマブ単剤療法と化学療法を比較した無作為化非盲検第III相試験であるKEYNOTE-177試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法と比較してペムブロリズマブ単剤が無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善すると報告した。 MSI-HまたはdMMRを有する大腸がん患者は、大腸がん患者の約10~15%と言われており、従来の化学療法では予後は非常に不良だった。・対象:未治療のMSI-HまたはdMMRを有するStageⅣの進行大腸がん患者、PS 0~1、307例・試験群:ペムブロリズマブ 200mg単剤、3週ごと1サイクル、最大35サイクル投与(153例)・対照群:標準化学療法(mFOLFOX6療法あるいはFOLFIRI療法±ベバシズマブ/セツキシマブ)(154例)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価によるPFS、全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値はペムブロリズマブ群が16.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.4~32.4)、化学療法群が8.2ヵ月(95%CI:6.1~10.2)であった(ハザード比[HR]:0.60、95%CI:0.45~0.80、p=0.0002)。・ORRはペムブロリズマブ群が43.8%、化学療法群が33.1%であった(p=0.0275)。・奏効期間(DoR)中央値はペムブロリズマブ群が未到達(2.3~41.4ヵ月)、化学療法群が10.6ヵ月(2.8~37.5ヵ月)であった。・有害事象(AE)発現率はペムブロリズマブ群が97%、化学療法群が99%、Grade3以上のAE発現率はペムブロリズマブ群が22%、化学療法群が66%であった。・免疫関連AE発現率はペムブロリズマブ群が31%、化学療法群が13%、Grade3以上の免疫関連AE発現率はペムブロリズマブ群が9%、化学療法群が2%であった。  今回の結果を受けてAndre氏は「ペムブロリズマブはMSI-HまたはdMMRの進行大腸がん患者に対する1次治療の新たな標準治療とすべきである」と結論付けた。

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尿路上皮がんに対するアベルマブのメンテナンスがOS改善(JAVELIN Bladder 100)/ASCO2020

 局所進行または転移のある尿路上皮がん(mUC)に対する1次化学療法後のメンテナンス療法としてのアベルマブの投与が、ベストサポーティブケア(BSC)に比べ全生存期間(OS)を有意に延長することが報告された。これは、JAVELIN Bladder 100試験の第1回中間解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)において、英国・Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏より発表された。本試験は、日本も参加した国際共同のオープンラベル第III相比較試験である。・対象:ゲムシタビン+シスプラチン/カルボプラチンによる1次治療に奏効(CR/PR/SD)した切除不能局所進行または転移を有する尿路上皮がん・試験群:アベルマブ10mg/kgを2週間ごと+BSC(Ave群)・対照群:BSC(BSC群)・評価項目[主要評価項目]割り付け全症例(ITT)におけるOSと、PD-L1陽性集団におけるOS[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率、安全性など 主な結果は以下のとおり。・Ave群に350例、BSC群に350例が登録された。・データカットオフ(2019年10月)時点の観察期間中央値はAve群19.6ヵ月、BSC群19.2ヵ月であった。・PD-L1(SP263抗体)陽性率はAve群54%、BSC群48%で、1次化学療法の奏効率は、両群ともにCR/PRが72%、SDが28%であった。・ITT集団のOS中央値はAve群が21.4ヵ月、BSC群が14.3ヵ月で、ハザード比(HR)は0.69(95%CI:0.56~0.86)、p<0.001であった。18ヵ月OS率は、Ave群が61%、BSC群が44%であった。・PD-L1陽性集団のOS中央値はAve群が未到達、BSC群が17.1ヵ月で、HR 0.56(95%CI:0.40~0.79)、p<0.001であった。18ヵ月OS率は、Ave群が70%、BSC群が48%であった。・ITT集団のPFS中央値は、Ave群3.7ヵ月、BSC群2.0ヵ月、HR 0.62(95%CI:0.52~0.75)、p<0.001であった。12ヵ月PFS率は、Ave群30%、BSC群13%だった。・PD-L1陽性集団のPFS中央値は、Ave群5.7ヵ月、BSC群2.1ヵ月、HR:0.56(95%CI:0.43~0.73)、p<0.001であった。12ヵ月PFS率は、Ave群36%、BSC群5%だった。・メンテナンス療法中の奏効率は、ITT集団でAve群9.7%(CR 6.0%)、BSC群1.4%(CR 0.9%)で、PD-L1陽性集団ではAve群13.8%、BSC群1.2%であった。・メンテナンス療法後の薬物治療は、Ave群で42.3%、BSC群で61.7%が施行され、他の免疫チェックッポイント阻害薬の投与を受けた症例はそれぞれ、6.3%と43.7%であった。・治療関連有害事象による治療中止は、Ave群の11.9%に認められ、治療関連死は2例あった。免疫関連有害事象はGrade3が7.0%でGrade4以上の報告はなかった。 演者のPowles氏は、「白金製剤による1次治療後のアベルマブのメンテナンス投与は、進行性尿路上皮がんに対する新しい標準治療となり得る」と結んだ。

1256.

HER2+転移乳がんへのpyrotinib+カペシタビン、ラパチニブ併用よりPFS延長(PHOEBE)/ASCO2020

 トラスツズマブと化学療法の治療歴のある転移を有するHER2陽性乳がんに対して、pan-ErbB阻害薬pyrotinibとカペシタビンの併用が、ラパチニブとカペシタビンの併用より無増悪生存期間(PFS)を延長したことが、第III相PHOEBE試験で示された。中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。 pyrotinibは、EGFR、HER2、HER4を標的とする不可逆的pan-ErbB受容体チロシンキナーゼ阻害薬である。第I/II相試験で、カペシタビンとの併用で転移を有するHER2陽性乳がん患者における臨床的ベネフィットと許容可能な忍容性が確認されている。今回、ラパチニブとカペシタビンとの併用と比較した多施設無作為化非盲検第III相試験であるPHOEBE試験の結果が報告された。・対象:トラスツズマブとタキサンおよび/またはアントラサイクリンの治療歴のある転移を有するHER2陽性乳がん患者(転移後の化学療法は2ラインまで)・試験群:pyrotinib(400mg、1日1回経口)+カペシタビン(1,000mg/m2、1日2回経口、Day 1~14、21日ごと)134例(pyrotinib併用群)・対照群:ラパチニブ(1,250mg、1日1回経口)+カペシタビン(試験群と同じ)132例(ラパチニブ併用群)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定によるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、無増悪期間(TTP)、安全性 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、ラパチニブ併用群の6.8ヵ月に比べて、pyrotinib併用群が12.5ヵ月と有意に延長した(ハザード比[HR]:0.39、95%CI:0.27~0.56、片側p<0.0001)。・トラスツズマブ抵抗性症例におけるPFS中央値も、ラパチニブ併用群6.9ヵ月に比べてpyrotinib併用群12.5ヵ月と延長する傾向がみられた(HR:0.60、95%CI:0.29~1.21)。・ORRはpyrotinib併用群67.2% vs.ラパチニブ併用群51.5%、CBRは73.1% vs.59.1%、DOR中央値は11.1ヵ月 vs.7.0ヵ月であった。・OS中央値は両群とも未達だが、1年OSはpyrotinib併用群91.3%、ラパチニブ併用群77.4%で、pyrotinib併用群で大きく改善する傾向がみられた。・Grade 3以上の治療関連有害事象は、pyrotinib併用群が57.5%に、ラパチニブ併用群が34.1%に発現し、下痢(30.6% vs.8.3%)および手足症候群(16.4% vs.15.2%)が多かった。

1257.

高リスクHER2+乳がんの術後補助療法、T-DM1+ペルツズマブの効果(KAITLIN)/ASCO2020

 高リスクのHER2陽性早期乳がんの術後補助療法で、アントラサイクリン投与後、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)+ペルツズマブは、標準治療であるトラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンに比べて、無浸潤疾患生存期間(IDFS)を延長しなかったことが、第III相無作為化非盲検試験であるKAITLIN試験で示された。ドイツ・ミュンヘン大学のNadia Harbeck氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。 HER2陽性早期乳がんの術後補助療法における標準治療である化学療法と1年間のHER2標的治療には、とくに高リスク患者における再発や化学療法関連有害事象などの課題がある。本試験では、タキサンとトラスツズマブをT-DM1に置き換えた場合の有効性と安全性を検討した。・対象:HER2陽性の早期乳がんで、リンパ節転移陽性またはリンパ節転移陰性かつホルモン感受性(HR)陰性かつ腫瘍径2cm超の患者・試験群:手術後9週間以内にアントラサイクリンを3~4サイクル投与後、T-DM1(3.6 mg/kg)+ペルツズマブ(420mg、初回840mg)を3週ごとに18サイクル(1年間)投与(AC-KP群)928例・対照群: 手術後9週間以内にアントラサイクリンを3~4サイクル投与後、タキサンを3~4サイクル投与と同時にトラスツズマブ(6mg/kg、初回8mg/kg)+ペルツズマブ(420mg、初回840mg)を3週ごとに18サイクル(1年)投与(AC-THP群)918例・評価項目:[主要評価項目]リンパ節転移陽性患者、ITT集団でのIDFS[副次評価項目]リンパ節転移陽性患者、ITT集団での全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2019年11月27日で、観察期間中央値はAC-THP群で57.1ヵ月、AC-THP群で57.0ヵ月であった。両群とも白人が約60%、アジア人が約30%であった。・主要評価項目であるリンパ節転移陽性患者におけるIDFSは、ハザード比(HR)が0.97(95%CI:0.71~1.32、p=0.8270)で有意差が認められなかった。3年IDFSはAC-KP群92.8%、AC-THP群94.1%であった。・ITT集団におけるIDFSにおいても同様でHRが0.98(95%CI:0.72~1.32)で、3年IDFSはAC-KP群93.1%、AC-THP群94.2%であった。・Grade 3以上の有害事象(AE)は、AC-KP群(51.8%)、AC-THP群(55.4%)と差はなかった。AEのためにT-DM1またはトラスツズマブを中止した割合は、AC-KP群(26.8%)がAC-THP群(4.0%)より高かった。

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原発不明がんにおけるニボルマブの有効性(NivoCUP)/ASCO2020

 原発不明がん(CUP)の予後は不良であり、加えて、治療選択肢は限定されている。そのため、CUP患者の多くは、経験的な化学療法を受けている。近年、CUPの免疫プロファイルが免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が奏効するがん種と類似していることが示され、CUP患者に対するICI治療の可能性が期待されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)では、CUPに対するニボルマブの有用性を評価する多施設共同第II相(医師主導治験)であるNivoCUP試験の結果が近畿大学医学部 腫瘍内科・岸和田市民病院 腫瘍内科の谷崎 潤子氏により報告された。・対象:既治療および未治療のCUP患者・介入:ニボルマブ 240mg/日 2週ごと 病勢進行または許容できない毒性が認められるまで投与 最大52サイクル・評価項目:[主要評価項目]既治療患者における盲検下独立中央画像判定機関(BICR)による全奏効率(ORR)[副次評価項目]治験実施医評価のORR、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、PD-L1発現とニボルマブの有効性の関連[探索的研究]未治療患者における有効性と安全性 主な結果は以下のとおり。・合計56例のCUP患者(既治療45例、未治療11例)が登録された。・年齢の中央値は既治療患者66歳、未治療患者は64歳、既治療患者における前治療数は1が57.8%、2が20.0%、3以上が22.2%であった。・既治療患者のBICR評価のORRは22.2%であった(CR2例、PR8例、SD14例)。・追跡期間8.4ヵ月(1.1〜21.6)における、既治療患者のPFS中央値は4.0ヵ月(95%信頼区間:1.9〜5.8)、OS中央値は15.9ヵ月(95%信頼区間:8.4〜21.5)であった。・未治療患者のBICR評価のORRは18.2%、DCRは54.5%であった(CR1例、PR1例、SD4例)。・追跡期間17.2ヵ月(0.1〜21.3)における、未治療患者のPFS中央値は2.8ヵ月(95%信頼区間:1.1〜6.5)、OS中央値は未達(95%信頼区間:2.6〜未到達)であった。・全Gradeの有害事象(AE)発現は94.6%、Grade3/4のAE発現は60.7%、治療関連死はなかった。頻度が高い免疫関連AEは皮疹、甲状腺機能低下症、下痢/大腸炎などであった。 発表者は、二ボルマブは、治療選択肢が限られているCUPの新たな標準治療となる可能性があるとの見解を示した。

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アテゾリズマブによる筋層浸潤性尿路上皮がん術後療法の結果(IMvigor010試験)/ASCO2020

 筋層浸潤性尿路上皮がんに対する術後療法としての免疫チェックポイント阻害薬(ICI)・アテゾリズマブの有用性を検討したIMvigor010試験の結果が、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)で米国・Robert H. Lurie Comprehensive Cancer CenterのMaha H. A. Hussain氏より発表された。本試験は、筋層浸潤性尿路上皮がん(MIUC)に対する術後療法として初めてICIの有用性を検討した、日本も参加したオープンラベルの国際第III相試験である。・対象:再発リスクの高いMIUCであり、リンパ節郭清を伴う根治的膀胱摘除術/腎尿管摘除術施行から14日以内の症例。術後の放射線療法や術後化学療法の施行例は許容せず・試験群:アテゾリズマブ 1,200mg/日を3週ごと、16サイクルまたは1年まで(ATZ群)・観察群:経過観察。アテゾリズマブのクロスオーバー投与は許容せず・評価項目:[主要評価項目]全集団(ITT)における無病生存期間(DFS)[副次評価項目]ITTにおける全生存期間(OS)・統計学的設計:階層的な解析計画であり、ITTにおけるDFSがポジティブだった場合に、ITTでのOSの検討をする。 主な結果は以下のとおり。・2015年10月~2018年6月に、ATZ群406例、観察群403例の計809例が登録された。・2019年11月のデータカットオフ時点(追跡期間中央値21.9ヵ月)での、DFS中央値はATZ群19.4ヵ月、観察群16.6ヵ月で、ハザード比(HR)は0.89(95%CI:0.74~1.08)、p=0.2446で、統計学的な有意差は認められなかった。・事前の層別化因子として設定されていたPD-L1発現状況などを含むいずれのサブグループにおいても、両群間にDFSの有意な差は見いだされなかった。・中間解析としてのOSの検討では、両群ともに中央値に達しておらず、HRは0.85(95%CI:0.66~1.09)であった。・ATZ群では治療関連有害事象が71%に認められ、そのうちGrade 3/4が16%、治療中止が16%、1例の治療関連死があった。免疫関連有害事象は全Gradeで46%(主なものは皮疹、甲状腺機能低下、肝炎、大腸炎など)だったが、Grade 3/4は9%だった。 発表者のHussain氏は、「IMvigor010試験では、主要評価項目は達成されなかったが、OSの追跡は続いている。探索的なバイオマーカー解析やサブグループ解析により、新たな知見が示されるかもしれない。またアテゾリズマブの単剤や併用での尿路上皮がんに対する、他の臨床試験が進行中である」と述べた。

1260.

EGFR陽性肺がん、ベバシズマブとエルロチニブの併用療法はOSを改善したか(NEJ026試験)/ASCO2020

 EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのベバシズマブ(商品名:アバスチン)とエルロチニブ(同:タルセバ)の併用療法と、エルロチニブ単独療法との比較試験(NEJ026試験)の全生存期間(OS)に関する最終解析の結果報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で岩手医科大学の前門戸 任氏より発表された。NEJ026試験のOS最終解析で両群間に差見られず NEJ026試験は、日本の臨床試験グループ(North East Japan Study Group)により実施されたオープンラベルの多施設共同の第III相比較試験である。無増悪生存期間(PFS)に関してはASCO2018で良好な結果が報告されており、今回はそのOSに関する最終解析結果である。・対象:非扁平上皮EGFR変異陽性のNSCLC。化学療法による治療歴のないStage IIIB/IV症例、または術後再発例。無症候性の脳転移有り症例も登録可能とした。・試験群:ベバシズマブとエルロチニブの併用投与群(BE群)・対照群:エルロチニブ単剤群(E群)・主要評価項目:独立評価委員会によるPFS・副次評価項目:OS、奏効率、奏効期間、安全性など・探索的評価項目:2次治療後までを含めたPFS(PFS2)、バイオマーカー検索など NEJ026試験のOSに関する最終解析の主な結果は以下のとおり。・2015年6月~2016年8月の期間にBE群114例、E群114例が登録され、そのうちBE群112例、E群112例が有効性の解析に用いられた。今回のOS解析のためのデータカットオフは2019年11月で、観察期間中央値は39.2ヵ月であった。・OS最終解析の結果は、中央値がBE群50.7ヵ月、E群46.2ヵ月、ハザード比(HR)は1.007(95%CI:0.681~1.490)で、p=0.973であった。EGFR変異のサブタイプ(Exon19 delとExon21 L858R)や性別、喫煙歴、脳転移の有無などのサブグループにおいても、両群間に差は見られなかった。 ただし、NEJ026試験のサンプルサイズは、OSの差を検証するには十分ではなかった。・2次治療は、BE群で76%、E群で83%に施行され、その内訳はプラチナ+ペメトレキセド(PP)がBE群29.5%、E群16.1%、PP+ベバシズマブがBE群4.5%、E群28.6%、オシメルチニブがBE群25.9%、E群25.0%であった。・2次治療としてのオシメルチニブの投与の有無で、両群のOSを検討したところ、両群ともに2次治療でオシメルチニブを投与された症例のほうがOSの延長がみられた。BE群ではオシメルチニブ投与有り50.7ヵ月、投与無し37.6ヵ月で、HRは0.63(95%CI:0.33~1.20)、E群ではオシメルチニブ投与有りが未到達、投与無しで40.1ヵ月で、HRは0.65(95%CI:0.33~1.28)であった。

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