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HR-/HER2+乳がん術前治療、トラスツズマブ+ペルツズマブ±PTXの予後(ADAPT)/ASCO2021

 ホルモン受容体陰性HER2陽性(HR-/HER2+)の乳がん患者に対する、トラスツズマブ+ペルツズマブ±パクリタキセルによる術前療法の予後に関する有望な結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、ドイツ・West German Study Group(WSG)のNadia Harbeck氏から報告された。 このADAPT試験はWSGにより実施されたオープンラベルの第II相無作為化比較試験である。この試験のpCR率の結果は2017年に公表されており、今回はその生存に関する報告である。また、本試験と同じデザインでのHR-/HER2+集団に対するpCR率の良好な結果は2020年のESMOで公表されている。・対象:遠隔転移のないHR-/HER2+乳がん134例(5:2の割合で2群に割り付け)・試験群A:トラスツズマブ(初回8mg/kg、その後3週ごとに6mg/kg)+ペルツズマブ(初回840mg、その後3週ごとに420mg)(TP群:92例)・試験群B:トラスツズマブ+ペルツズマブ+パクリタキセル(80mg/m2を1回/週)(TPPtx群:42例)・評価項目:[主要評価項目]pCR率(乳房内の浸潤がんとリンパ節転移がない例[ypT0/is ypN0]におけるpCR率と、非浸潤がんも含めて完全に残存腫瘍のない例[ypT0 ypN0]におけるpCR率)[副次評価項目]無浸潤疾患生存期間(iDFS)、遠隔無再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、安全性、バイオマーカー検索など 3週間目にKi67値がベースライン比30%以上低下、もしくは浸潤がん細胞数が500個以下への減少が認められた症例などを早期奏効例とした。 主な結果は以下のとおり。・患者背景は、50歳未満が33~41%(年齢中央値:52~54歳)、N0が54~62%、核異形度3が88.0%、HER2-IHC3+が86~91%、ベースラインのKi67値は50%であった。・既報のpCR率は、ypT0/is ypN0でTP群34.4%、TPPtx群90.5%であった。また、ypT0 ypN0ではTP群24.4%、TPPtx群78.6%であった。・iDFS率は、5年時点でTP群87%、TPPtx群98%、ハザード比[HR] 0.32(95%信頼区間[CI]:0.07~1.47)、p=0.144であった。・OS率は、5年時点でTP群94%、TPPtx群98%(死亡は1名のみ)、HR 0.41(95%CI:0.05~3.55)、p=0.422であった。・pCRが得られた症例(69例)と得られなかった症例(63例)でiDFSを比較した場合、pCR例は5年時iDFS率が98%、non-pCR例では82%、HRは0.14(95%CI:0.03~0.64)、p=0.011であった。・TP群において、pCRが得られなかったIHC1+/2+およびFISH陽性例や、Basalタイプ、または早期奏効を得られなかった症例を、non-sensitive症例(31例)として、その他の症例とiDFSを比較した場合、5年時のiDFS率はnon-sensitive79%、その他93%、HRは1.99、p=0.255であった。 演者のHarbeck氏は「化学療法の有無によらず、両群とも優れたpCR率と生存率を示した。また、抗体2剤のみによる術前治療は早期奏効が得られた場合に有望であり、今後はさらにIHC3+症例やBasalタイプ以外、RNAなどで選別した症例でも検討する必要がある」と述べた。

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非小細胞肺がんに対するKRAS G12C阻害薬sotorasib第II相試験の追跡結果(CodeBreaK100)/ASCO2021

 既治療のKRAS p.G12C変異非小細胞肺がん(NSCLC)の第II相 CodeBreaK100試験のアップデート結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。これにsotorasib初の全生存期間(OS)結果も含まれた。・対象:KRAS p.G12C変異を有する既治療(3ライン以下)の局所進行または転移のあるNSCLC・介入:sotorasib 960mg/日、PDとなるまで投与・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効期間(DoR)、疾患制御率(DCR)、初回奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性など[探索的研究]バイオマーカー  主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は15.3ヵ月であった。・対象は126例で、81%はプラチナベース化学療法とPD-1/L1阻害薬の両方の治療を受けていた。・主要評価項目であるBICR評価のORRは37.1%(CR 4例 3.2%、PR 42例 33.9%)、DCRは80.6%であった。・OS中央値は12.5ヵ月であった。・PFS中央値は6.8ヵ月、DoR中央値は11.1ヵ月であった。・治療関連有事象(TRAE)は全Gradeで88%、Grade3の発現は19.8%。ほとんどはGrade1〜2で管理可能であった。・探索的研究において、標準治療による臨床転帰が不良なSTK11などの共変異を有する患者においても奏効が観察された。 この結果は、New England Journal of Medicine誌2021年6月5日オンライン版に同時掲載された。

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HR+/HER2-乳がんに対するパルボシクリブ+フルベストラントの長期予後追跡結果(PALOMA-3)/ASCO2021

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)の進行乳がんに対する国際共同大規模臨床試験PALOMA-3(パルボシクリブ+フルベストラント併用療法)の長期追跡結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of Northwestern UniversityのMassimo Cristofanilli氏から発表された。PALOMA-3の6年以上の観察期間でもOS改善が持続 PALOMA-3試験は二重盲検の第III相無作為化比較試験であり、2018年にその試験プロトコールに則った結果発表がなされており、今回はその後の長期予後追跡結果の報告である。・対象:アジュバントまたは進行がんに対する内分泌療法施行中あるいは施行後に増悪したHR+/HER2-の乳がんの女性(閉経状況は問わず) ・試験群:パルボシクリブ(125mg1日1回内服、3週連続投与、1週休薬)+フルベストラント(500mgをDay1、15、29に筋注):Palbo群347例・対照群:プラセボ(3週投与1週休薬)+フルベストラント:Fulve群174例 進行がん治療としての化学療法は1レジメンまで許容(34%に化学療法治療歴あり)・評価項目:[主要評価項目]主治医評価による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率、安全性、奏効期間 PALOMA-3の主な長期追跡結果は以下のとおり。・プロトコールで規定された最終的なOS解析(観察期間中央値44.8ヵ月)では、その中央値はPalbo群で34.9ヵ月、Fulve群で28.0ヵ月、ハザード比(HR)0.81(95%信頼区間[CI]:0.64~1.03)、p=0.0429(片側検定)と、事前既定の閾値に達せず、統計学的な有意差は検出されなかった(2018年の既報)。・今回は観察期間中央値73.3ヵ月時点での結果が報告された(データカットオフは2020年8月)。・OS中央値は、Palbo群で34.8ヵ月(95%CI:28.8~39.9)、Fulve群で28.0ヵ月(95%CI:23.5~33.8)、HR 0.81(95%CI:0.65~0.99)、p=0.0221(nominal 1-side検定)であった。・5年時のOS率は、Palbo群で23.3%、Fulve群で16.8%であった。・進行乳がんに対する化学療法(CT)治療歴の有無別にOSを検討したところ、CT治療歴なしの症例(全体の66%)でのOS中央値はPalbo群で39.3ヵ月、Fulve群で29.7ヵ月、HR 0.72(95%CI:0.55~0.94)であった。CT治療歴ありの症例(全体の34%)でのOS中央値はPalbo群24.6ヵ月、Fulve群24.3ヵ月、HR 0.97(95%CI:0.69~1.36)であった。・血清解析に同意した195例を対象に、血中循環腫瘍DNA(ct-DNA)を用いて、ESR1、PIK3CA、TP53などの17遺伝子について解析した結果、ESR1、PIK3CA、TP53の遺伝子変異によらず、OSに関するパルボシクリブの上乗せ効果が確認された。・新たな安全性の問題は認められなかった。 Cristofanilli氏は「ホルモン治療で病勢進行となったHR+/HER2-乳がん患者へのパルボシクリブ+フルベストラントの併用療法は、6年以上の観察期間を経てもOSの改善がみられた。これは、とくに内分泌療法に感受性のある患者や前治療に化学療法が使用されていない患者で顕著であり、これまでの本治療法の有用性をサポートするものである」と締めくくった。

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アテゾリスマブの免疫関連有害事象と有効性の関係〜第III相試験プール解析/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるアテゾリズマブの有効性と免疫関連有害事象(irAE) の関連を検討した第III相試験( IMpower130、IMpower132、 IMpower150)の統合解析の結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。 IMpower130、IMpower132、IMpower150はいずれも未治療Stage IV非扁平上皮NSCLCを対象にアテゾリズマブ含有レジメンを化学療法±ベバシズマブと比較した無作為化第III相試験。これらの試験のデータを統合し、治療(アテゾリズマブと対照)とirAE ステータスの関係を、Coxハザードモデルとランドマーク解析(1、3、6、12ヵ月)を用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は2,503例で、アテゾリズマブ群1,577例、対照群926例であった。・全GradeのirAE発現は、アテゾリズマブ群48%、対照群32%、Grade3〜5の発現はそれぞれ、11%と5%であった。・irAE の発症までの期間中央値は、アテゾリズマブ群1.7ヵ月、対照群1.4ヵ月であった。・アテゾリズマブ群の全生存期間(OS)中央値はirAE(+)患者では25.7ヵ月、(ー)患者では13.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、信頼区間[CI]:0.60〜0.78)、対照群はirAE(+)患者20.4ヵ月、(ー)患者12.8ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.68〜0.99)と、両群ともirAE(+)患者で良好であった。・アテゾリズマブ群の全奏効率(ORR)は、irAE(+)患者61.1%、(ー)患者37.2%、対照群ではirAE(+)患者42.2%、(ー)患者34.0%であった。・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEの有無別にランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.85、3ヵ月では0.81、6ヵ月では0.82、12ヵ月0.75と、いずれもirAE(+)患者で優れていた。・アテゾリズマブ群のOS HRをirAEのGrade1/2と3〜4に分けてランドマーク解析でみると、1ヵ月では0.78対1.25(Grade1/2 対Grade3〜4)、3ヵ月では0.74対1.23、6ヵ月では0.77対1.1、12ヵ月では0.72対0.87と、Grade1/2群で良好であった。

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BRCA変異陽性HER2-早期乳がんへの術後オラパリブ、iDFS改善(OlympiA)/ASCO2021

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異のあるHER2陰性早期乳がんに対する、術後のオラパリブ投与が、無浸潤疾患生存期間(iDFS)および遠隔無再発生存期間(DDFS)を有意に改善した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、英国・The Institute of Cancer Research and King's College LondonのAndrew Tutt氏が、日本を含む23ヵ国420施設参加の第III相国際多施設共同無作為化プラセボ対照試験(OlympiA試験)の中間解析結果を発表した。なお、この結果はNEJM誌オンライン版2021年6月3日号に同時掲載された。・対象:初回局所療法および術前/術後療法が終了したgBRCA変異を有するHER2陰性 (TNBC またはHR+)高リスク早期乳がん患者 1,836例[術前化学療法グループ]TNBC:non-pCR、HR+:non-pCRおよびCPS-EGスコア≧3[術後化学療法グループ]TNBC:≧pT2あるいは≧pN1、HR+:陽性リンパ節数≧4・試験群:オラパリブ(300mg、1日2回)を1年間投与 921例・対照群:プラセボ(1日2回)を1年間投与 915例 ※ホルモン療法とビスホスホネート製剤の使用は認められていた・評価項目:[主要評価項目]ITT 集団における無浸潤疾患生存期間(iDFS)[副次評価項目]遠隔無再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2014年6月~2019年5月に患者が登録され、オラパリブ群49.9% vs.プラセボ群50.3%が術前化学療法、50.1% vs.49.7%が術後化学療法を受けていた(アンスラサイクリンおよびタキサン系レジメンの術前[後]化学療法は94.6% vs.92.8%、プラチナベースの術前化学療法は26.8% vs.26.1%)。・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、平均年齢はオラパリブ群42(36~49)歳 vs.プラセボ群43(36~50)歳、BRCA1変異陽性が71.3% vs.73.2%、TNBCが81.5% vs.82.8%であった。・追跡期間中央値2.5年の中間解析における3年iDFS率はオラパリブ群85.9% vs.プラセボ群77.1%(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.41~0.82、p<0.0001)。あらかじめ設定された有意水準(p<0.005)を満たし、オラパリブ群で有意な改善が示された。・最初に登録された900例の追跡期間中央値3.5年における3年iDFS率(mature cohort)はオラパリブ群86.1% vs.プラセボ群77.5%(HR:0.61、95%CI:0.39~0.95)。・3年DDFS率はオラパリブ群87.5% vs.プラセボ群80.4%(HR:0.57、95%CI:0.39~0.83、p<0.0001)とオラパリブ群で有意な改善が示された。・3年OS率はオラパリブ群92.0% vs.プラセボ群88.3%(HR:0.68、95%CI:0.44~1.05、p<0.024)となり、あらかじめ設定された有意水準(p<0.01)を満たさなかった。・オラパリブ群で報告された1%を超えるGrade3以上の有害事象は、貧血 (8.7%)、好中球減少症(4.8%)、白血球減少症(3.0%)、疲労(1.8%)、リンパ球減少症(1.2%)。・重篤な有害事象(オラパリブ群8.7% vs.プラセボ群8.4%)、MDS/AML(0.2% vs. 0.3%)、新たな原発腫瘍(2.2% vs.3.5%)の発生率に差はなかった。・Grade4の有害事象はオラパリブ群1.9%、プラセボ群0.4%で発生。有害事象による治療中止はオラパリブ群の9.9%、プラセボ群の4.2%で発生した。・EORTC QLQ-C30によるQOLの評価結果は、術前化学療法グループおよび術後化学療法グループでともに両群における差はみられなかった。 ディスカッサントを務めた米国・Beth Israel Deaconess Medical CenterのNadine M. Tung氏はプラクティス・チェンジングな結果と評価。一方で、サブグループ解析においてHR+およびプラチナ製剤による治療歴のある患者で効果が若干低い傾向が示唆されている点に着目。より詳細な研究が必要かもしれないと指摘した。また、今後の検討課題として、術後オラパリブ投与の最適期間は1年か、より長期のフォローアップでもMDS/AMLの発生率に変化はないか、そしてOSベネフィットが得られるかといった点を挙げた。

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNCSLS1次治療、2年フォローアップ(CheckMate 9LA)/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の無作為化第III相CheckMate9LA試験の2年間のフォローアップデータが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。結果、同併用による生存ベネフィットが引き続き観察されている。・対象:未治療のStage IVまたは再発NSCLC患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+イピリムマブ1mg 6週ごと+組織型別化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペメトレキセド維持療法またはカルボプラチン+パクリタキセル)3週ごと2サイクル(NIVO+IPI+Chemo群)・対照群:組織型別化学療法 3週ごと4サイクル(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、BICR評価の全奏効率(ORR)、PD-L1発現別抗腫瘍効果 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は最低 24.4ヵ月であった。・NIVO+IPI+Chemo群は40%、Chemo群では47%が全身療法の後治療を受けていた。・OS中央値はNIVO+IPI+Chemo群の15.8ヵ月に対して、Chemo群11.0ヵ月と、NIVO+IPI+Chemo群で良好なOSを維持した (ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.61~0.86)、2年OS率はそれぞれ、38%と26%であった。・PFS中央値はNIVO+IPI+Chemo群6.7ヵ月に対し、Chemo群では 5.3ヵ月であった (HR:0.67、95%CI:0.56~0.79)。2年PFS率はそれぞれ、20%と8%であった。・ORRは、NIVO+IPI+Chemo群38.0%、Chemo群では25.4%であった。・奏効期間(DoR)中央値はNIVO+IPI+Chemo群13.0ヵ月、Chemo群5.6ヵ月、2年DoR率はそれぞれ、34%と12%であった。・PD-L1発現別にみると、PD-L<1%のOS HRは0.67、PFS HRは0.68、≧1%のOS HRは0.70、PFS HRは0.67、≧50%のOS HRは0.67、PFS HRは0.59と、いずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・有効性はまた、組織形を問わずNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)発現率は、NIVO+IPI+Chemo群92%、Chemo群88%。Grade3/4のTRAE発現率はそれぞれ、48%と38%であった。新たな安全性シグナルは確認されていない。・Post Hoc解析の結果、TRAEによって治療中止となったNIVO+IPI+Chemo群のNIVO+IPI+Chemo群の2年OS率は54%(全集団の2年OS率は38%)と、治療中止による生存への悪影響はみられなかった。 発表者のドイツ・Martin Reck氏は、この2年間のフォローアップ結果は、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法が、進行NSCLCに対する有効な1次治療であることを支持するものだと述べた。

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HR+/HER2-進行乳がんへのribociclib+フルベストラント、OSの最新データ(MONALEESA-3)/ASCO2021

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)の閉経後進行乳がんに対するribociclib+フルベストラント併用療法の全生存期間(OS)におけるベネフィットが、観察期間中央値56.3ヵ月時点でも維持されたことが、第III相MONALEESA-3試験の最新の解析で示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・David Geffen School of Medicine at UCLAのDennis J. Slamon氏が発表した。OSベネフィットは1次治療、2次治療の両方で認められ、さらに化学療法開始までの期間が大幅に延長することも示された。 第III相MONALEESA-3試験では、HR+/HER2-閉経後進行乳がんの1次治療または2次治療において、ribociclib+フルベストラント併用がフルベストラント単独と比べてOSを有意に改善したことがすでに報告されている(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.57~0.92、p=0.00455)。本試験は、盲検解除後にプラセボ群の治療継続患者はribociclib群にクロスオーバーすることが許可されているが、今回、観察期間中央値56.3ヵ月時点におけるOSの探索的解析の結果が報告された。・対象:未治療または1ラインの内分泌療法を受けた、HR+/HER2-の閉経後女性または男性の進行乳がん患者 726例、以下の2群に2対1の割合で無作為に割り付け・試験群:ribociclib+フルベストラント(ribociclib群)484例・対照群:プラセボ+フルベストラント(プラセボ群)242例・評価項目:OS、化学療法開始までの期間、化学療法なしの生存期間、無作為化から2次治療での増悪/死亡までの期間(PFS2)、 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2020年10月30日)の観察期間中央値は56.3ヵ月(最低52.7ヵ月)で、ribociclib群で68例(14.0%)、プラセボ群で21例(8.7%)が治療を受けていた。・4年を超える観察期間の延長後も、ribociclib群のプラセボ群に対するOSベネフィットが継続した(中央値:53.7ヵ月vs.41.5ヵ月、HR:0.726、95%CI:0.588~0.897)。・1次治療におけるOS中央値は、ribociclib群が未到達、プラセボ群が51.8ヵ月で、HRが0.640(95%CI:0.464~0.883)と、前回の報告(Slamon DJ, et al. N Engl J Med. 2020;382:514-524.)でのOSベネフィット(HR:0.70、95%CI:0.48~1.02)より大きかった。・2次治療におけるOS中央値も、ribociclib群(39.7ヵ月)がプラセボ群(33.7ヵ月)に比べ延長していた(HR:0.780、95%CI:0.587~1.037)。・サブグループ解析においても、肝臓または肺に転移した症例や転移部位が3つ以上、内分泌療法抵抗性(1次内分泌療法での6ヵ月以内の増悪、もしくは術前/術後補助療法での2年以内の再発)などを含む、ほとんどのサブグループでOSベネフィットが示された。・内分泌療法抵抗性患者におけるOS中央値は、ribociclib群35.6ヵ月、プラセボ群31.7ヵ月、HRは0.815(95%CI:0.451~1.473)、内分泌療法感受性患者におけるOS中央値は、ribociclib群49.0ヵ月、プラセボ群41.8ヵ月、HRは0.731(95%CI:0.557~0.959)だった。・化学療法開始までの期間の中央値は、ribociclib群48.1ヵ月、プラセボ群28.8ヵ月と20ヵ月近く延長した(HR:0.704、95%CI:0.566~0.876)。・化学療法なしの生存期間の中央値も、ribociclib群32.3ヵ月、プラセボ群22.4ヵ月と約10ヵ月延長した(HR:0.688、95%CI:0.570~0.830)。・PFS2の中央値も、ribociclib群37.4ヵ月、プラセボ群28.1ヵ月と延長がみられた(HR:0.693、95%CI:0.570~0.844)。・本試験における治療中止患者のうち、ribociclib群では81.9%、プラセボ群では86.4%が次のラインに進み、それぞれ14.0%、30.0%がいずれかのラインでCDK4/6阻害薬の治療を受けた。

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FGFR阻害薬ペミガチニブが胆道がん治療薬として発売/インサイト

 インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、2021年6月1日、選択的FGFR阻害薬ペミガチニブ(製品名:ペマジール)の販売を開始したと発表した。ペミガチニブは経口のFGFR阻害薬 ペミガチニブは経口のFGFRのチロシンキナーゼ阻害薬であり、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がんの治療薬として、2021年3月23日に国内製造販売承認を取得している。 製品概要・販売名: ペマジール錠4.5mg・一般名: ペミガチニブ・効能・効果: がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌・用法・用量: 通常、成人には、ペミガチニブとして1日1回13.5mgを14日間経口投与した後、 7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態によ り適宜減量する。・製造販売元: インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社

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パロノセトロン、小児への用法・用量追加承認/大鵬

 大鵬薬品工業とヘルシン・ヘルスケアは、5-HT3受容体拮抗型制吐薬パロノセトロン(製品名:アロキシ)について、2021年5月27日、厚生労働省より小児に対する用法・用量の追加承認を取得した。  今回の追加承認は、主に、生後28日以上18歳以下の小児患者を対象に国内で実施した第III相試験の結果に基づいたもの。主要評価項目である1コースにおける高度又は中等度催吐性抗がん剤投与開始0~120時間後の嘔吐完全抑制(嘔吐性事象なし、制吐処置なし)率は58.6%。95%信頼区間は44.9~71.4%で、事前に設定した95%信頼区間の下限閾値30%を上回ったことから、本剤の小児患者における臨床的有用性が検証された。本剤の安全性について新たに大きな問題となるものはみられなかった。  同剤は、2004年1月から大鵬薬品工業が国内での臨床開発・販売権を取得し、2010年1月に「アロキシ静注 0.75mg」、2012年8月に「アロキシ点滴静注バッグ 0.75mg」の製造販売承認を取得、販売している。同剤は、成人患者に対するがん化学療法剤投与後の悪心、嘔吐の予防に係る効能・効果では80以上の国・地域で、小児患者に対するがん化学療法剤投与後の悪心、嘔吐の予防に係る効能・効果では60以上の国・地域で承認されている。 ・用法及び用量(下線部が今回承認内容) 通常、パロノセトロンとして0.75mgを1日1回静注又は点滴静注する。ただし、18歳以下の患者には、通常、パロノセトロンとして20μg/kgを1日1回静注又は点滴静注することとし、投与量の上限は1.5mgとする。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、悪性胸膜中皮腫に適応拡大/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年5月27日、ニボルマブ(商品名:オプジーボとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法について、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対する効能又は効果に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 今回の承認は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を標準治療の化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(CheckMate-743試験)であらかじめ計画されていた中間解析の結果に基づいたもの。 同解析において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、主要評価項目である全生存期間の有意な延長を達成した。また、本試験で認められたニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、本併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。 悪性胸膜中皮腫に対する標準治療としては、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法が行われているが、今回の承認により、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が悪性胸膜中皮腫患者にとって新たな治療選択肢になるものと期待されている。

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HER2+乳がんの術前薬物療法、アントラサイクリンの有無別の生存率/TRAIN-2試験2次解析

 Stage II/IIIのHER2陽性乳がんの術前薬物療法において、アンスラサイクリンを含む化学療法+トラスツズマブ+ペルツズマブと、アンスラサイクリンを含まない化学療法+トラスツズマブ+ペルツズマブを比較したTRAIN-2試験では、すでに病理学的完全奏効率に差がない(67% vs. 68%)ことが示されている。今回、オランダ・the Netherlands Cancer InstituteのAnna van der Voort氏らのフォローアップ解析により、3年無イベント生存率(EFS)および3年全生存率(OS)も差がないことが示された。また、アントラサイクリンの使用は、発熱性好中球減少症、心毒性、2次がん発症リスクの増加と関連していた。JAMA Oncology誌オンライン版2021年5月20日号に掲載。 TRAIN-2試験は非盲検無作為化第III相試験で、2013年12月9日~2016年1月14日にオランダの37病院で登録されたStage II/IIIのHER2陽性乳がん438例が対象。参加者は、年齢、Stage、リンパ節転移状況、エストロゲン受容体の有無で層別化され、FEC 3サイクル後パクリタキセル+カルボプラチン6サイクル(アントラサイクリン群)とパクリタキセル+カルボプラチン9サイクル(非アントラサイクリン群)に1:1で無作為に割り付けられた(両群ともトラスツズマブとペルツズマブを3週ごとに投与)。 主な結果は以下のとおり。・計438例が各群219例ずつに割り付けられ、年齢中央値はアントラサイクリン群が49歳(四分位範囲:43~55歳)、非アントラサイクリン群が48歳(同:43~56歳)だった。観察期間中央値は48.8ヵ月(四分位範囲:44.1〜55.2ヵ月)。・EFSイベントは、アントラサイクリン群で23(10.5%)、非アントラサイクリン群で21(9.6%)発生した(ハザード比:0.90、95%CI:0.50~1.63)。・3年EFSはアントラサイクリン群92.7%(95%CI:89.3~96.2%)、非アントラサイクリン群93.6%(同:90.4~96.9%)、3年OSはアントラサイクリン群97.7%(同:95.7~99.7%)、非アントラサイクリン群98.2%(同:96.4~100%)だった。・ホルモン受容体やリンパ節転移状況にかかわらず、EFSおよびOSの結果に差はなかった。・左室駆出率がベースラインから10%以上低下し50%未満になった患者の割合は、アントラサイクリン群が7.7%(220例中17例)で、非アントラサイクリン群の3.2%(218例中7例)より高かった(p=0.04)。・アントラサイクリン群の2例で急性白血病を発症した。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用の肺がん1次治療、ASCO2021で発表される2演題(CheckMate-9LA/227)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月19日、2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて発表されるニボルマブ(商品名:オプジーボ)およびイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の2つの試験結果を発表した。 1つ目は、未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)において化学療法2サイクルを追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法と4サイクルの化学療法を比較した第III相CheckMate-9LA試験の2年間追跡調査結果。CheckMate -9LA試験の2年全生存(OS)率は、同併用療法群で38%、化学療法群は26%あった。追加の追跡調査における同試験の主要評価項目であるOS中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で15.8ヵ月、化学療法群では11.0ヵ月であった(HR:0.72、95%CI:0.61~0.86)。同併用療法の新たな安全性シグナルや治療に関連する死亡は認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・2年PFSにおいて、同併用療法はリスクを33%低減した(HR:0.67;95% CI:0.56 - 0.79)。・ORRは併用療法群38% vs.化学療法群25%であった。・DORは併用療法群13.0ヵ月、化学療法では5.6ヵ月であった。これらのデータは、ASCO2021にて、6月4日、午後1時~4時(米国東部夏時間)、口頭発表される(抄録番号#9000)。 2つ目は、未治療の進行NSCLCにおいてニボルマブを含むレジメンと化学療法を比較した第III相CheckMate -227試験Part1の4年(49.4ヵ月)の追跡調査結果。CheckMate -227試験Part1におけるPD-L1 1%以上の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群29%、化学療法群は18%であった(HR:0.76、95%CI:0.65~0.90)。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の新たな安全性シグナルは認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・PD-L1 1%未満の探索的解析における4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群24%に対し、化学療法群10%であった(HR:0.64、95%CI:0.51~0.81)。・PD-L1高発現(50%以上)の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群37%、ニボルマブ単剤群では26%であった。 完全なデータは、ASCO2021にて、同日午前9時(米国東部夏時間)にポスター・ディスカッション・セッションで発表される(抄録番号#9016)。

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デュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の肺がん1次治療、全生存期間を延長(POSEIDON試験)/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2021年5月7日、POSEIDON試験における全生存期間(OS)の延長について発表した。POSEIDON試験は、Stage IVの非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)とプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法、またはデュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabとプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法を化学療法の単独療法と比較する第III相試験。POSEIDON試験の最終解析からOSの延長を示したことが明らかに POSEIDON試験の最終解析から、化学療法の単独療法と比較して、デュルバルマブ、tremelimumabおよび化学療法の併用療法が、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるOSの延長を示したことが明らかとなった。それぞれの併用療法群は許容可能な安全性プロファイルを示し、安全性に関わる新たな懸念は特定されなかった。また、tremelimumabを加えた併用療法は、デュルバルマブと化学療法による併用療法とおおむね同様の安全性プロファイルを示し、tremelimumabを追加したことによる治療中止の増加はなかった。 POSEIDON試験の詳細データは今後の学会で発表される予定。

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ペムブロリズマブ、高リスク早期TN乳がんでEFSを有意に改善/MSD

 MSDは、2021年5月13日、高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と化学療法の術前併用療法と、それに続くペムブロリズマブの術後単独療法を評価する第III相試験KEYNOTE-522において、主要評価項目の1つである無イベント生存期間(EFS)を達成したと公表した。TNBCに対する術前・術後補助療法としてEFSを統計学的有意に改善したのは、抗PD-1抗体として初。なお、同試験のもう1つの主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)の達成は、2019年の欧州臨床腫瘍会議(ESMO)においてすでに公表・NEJM誌に掲載されている。 KEYNOTE-522は、高リスクの早期TNBC患者を対象とし、ペムブロリズマブと化学療法の併用による術前補助療法と、それに続くペムブロリズマブ単独の術後補助療法を、術前化学療法とそれに続くプラセボによる術後補助療法と比較する、無作為化二重盲検第III相試験。主要評価項目はpCRとEFSで、副次評価項目は根治的手術時におけるpCR率(主要評価項目のpCRとは異なる定義[乳房とリンパ節に、侵襲性、非侵襲性の残存腫瘍がないこと]で評価)、全生存期間、PD-L1発現患者(CPS≧1)のEFS、安全性および患者報告アウトカムとされている。1,174例がペムブロリズマブ群とプラセボ群のいずれかに2:1の割合で無作為に割り付けられた。 今回、独立データ監視委員会(DMC)による中間解析により、ペムブロリズマブと化学療法の術前併用療法とそれに続くペムブロリズマブ単独の術後補助療法では、術前化学療法のみの場合と比較して統計学的に有意で臨床的に意味のあるEFSの改善が認められた。ペムブロリズマブの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されていない。 同社は、pCRのデータおよびEFSの早期中間結果に基づいて提出した、高リスク早期TNBC患者に対するペムブロリズマブの生物製剤追加承認申請(sBLA)について、2021年3月にFDAから審査完了通知(CRL)を受理したことをすでに発表している。この通知は、FDAの抗がん剤諮問委員会の会合で、KEYNOTE-522試験のデータがさらに明らかになるまで承認の判断を待つことが全会一致で了承されたことを受けたものとなっている。

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がん患者、新型コロナワクチン接種後の抗体価が低い/Ann Oncol

 がん治療を受けている固形腫瘍患者はCOVID-19ワクチン接種後の抗体価が低く、2回以降の接種が健常者以上に重要になる、という報告が相次いでいる。 Annals Oncology誌2021年4月28号オンライン版に「LETTER TO THE EDITOR」として掲載されたフランスの研究では、固形腫瘍患者194例と 健常者の対照群31例にファイザーの新型コロナワクチン「BNT162b2」 を接種。初回接種時、2回目接種時(3~4週後)、2回目接種後3~4週目(6~8週後)に抗体値を測定し、陽性判定を行った。 主な結果は以下のとおり。・2021年1月18日~3月15日までに194例中122例(64.4%)が少なくとも2回の判定を受けた。年齢中央値は69.5歳(44~90歳)、男性64例(52.5%)、女性58例(47.5%)だった。・122例中105例(86.0%)は化学療法±分子標的薬療法を受けていた。・2回目接種時(3、4週後)は58例(47.5%、95%信頼区間:38.4~56.8)、2回目接種後3~4週目(6~8週後)は分析可能な40例(95.2%、83.8~99.4)が抗体陽性だった。・対照群は、2回目接種時(3、4週後)は13例(100.0%、75.3~100.0)、2回目接種後3~4週目(6~8週後)は24例(100.0%、85.7~99.4)が抗体陽性であり、固形腫瘍患者は健常者と比べ陽性率が有意に低かった。またいずれの時点でも抗体価中央値は固形腫瘍患者で有意に低かった。・化学療法を受けた患者は、受けていない患者や分子標的薬療法のみの患者と比べ、2回目接種時(3、4週後)に抗体陽性となった患者が少なかった(42.9%vs. 76.5%、p=0.016)。 研究者らは、がん患者は免疫不全状態であることが多く、ワクチン単回の接種では反応が弱い、または反応しない割合が高いことを考慮して、初回接種後少なくとも6~8週間は引き続き厳格な感染予防措置をとること、化学療法を受けている患者はとくに2回目接種のスケジュールを厳守すること、3回目以降の接種の有効性を検討する必要があることを示唆している。

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FDA、非小細胞肺がんにamivantamab-vmjwを迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年5月21日、プラチナベース化学療法で疾患進行した局所進行または転移を有するEGFR exon 20変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、EGFとMET受容体の二重特異性抗体amivantamab-vmjwを迅速承認。さらに、同剤のコンパニオン診断としてGuardant360 CDx(Guardant Health)を承認した。 今回の承認は、EGFR exon 20挿入変異を伴う局所進行または転移のあるNSCLCを対象とした多施設非無作為化非盲検マルチコホート臨床試験CHRYSALISに基づくもの。患者は、amivantamab-vmjwを週1回4週間投与された後、疾患の進行または許容できない毒性が生じるまで2週間ごとに投与された。 主要有効性評価項目は、盲検化独立中央レビュー(BICR)と評価による全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)。有効性が81例で評価され、ORRは40%、DoR中央値は11.1ヵ月であった。 一般的な副作用(20%以上)は、発疹、インフュージョンリアクション、爪囲炎、筋骨格痛、呼吸困難、悪心、倦怠感、浮腫、口内炎、咳、便秘、および嘔吐であった。 amivantamab-vmjwの推奨用量は体重80kg未満の患者では1,050mg、80kg以上では1,400mg。週1回4週間投与した後、2週間ごとに疾患進行または許容できない毒性の発現まで投与する。 この適応はORRとDoRの結果に基づき迅速承認される。適応の継続は確認試験による臨床的利益の検証を条件とする可能性がある。

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低・中リスクのHER2+早期乳がん、術後トラスツズマブは9週投与も検討可か/ESMO BREAST 2021

 低および中リスクのHER2陽性早期乳がん患者において、術後トラスツズマブの投与期間を9週間に短縮した場合の、良好な長期結果が示された。1年間の投与が標準であることには変わりないものの、トラスツズマブへのアクセスが制限される状況やLVEF低下などで投与継続が難しい場合には、より短期間の投与が選択肢となる可能性がある。イタリア・パドヴァ大学のPierfranco Conte氏が、short-HER試験の長期解析結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021、2021年5月5~8日)で報告した。 short-HER試験は、HER2 陽性早期乳がん患者をトラスツマブと化学療法による術後補助療法1年投与群と9週間投与群に無作為に割り付けて比較した非劣性試験。非劣性マージンは無病生存期間(DFS)のハザード比(HR)<1.29と設定された。主要解析では、DFSのHRは1.13(90%信頼区間[CI]:0.89~1.42)であったため、非劣性は示されなかった1)。しかし、Grade2以上の心血管有害事象は9週間投与群で有意に少なかった(HR:0.32、95%CI:0.21~0.50、p<0.0001)。 今回、主要評価項目の1つである全生存期間(OS)ならびに、3つのリスクカテゴリーごとのDFSのアップデートデータが発表された。[3つのリスクカテゴリー]低リスク:pT<2cm および pN0中間リスク: pT<2cmおよびpN1-3またはpT>2cmおよびpN0-3高リスク: pN4+ 主な結果は以下のとおり。・1年投与群に627例、9週投与群に626例が割り付けられた。・追跡期間中央値8.7年で、DFSイベントの発生は237件。1年投与群116件 vs. 9週投与群121件であった(HR:1.09、90%CI:0.88~1.35)。・OSイベントの発生は109件。1年投与群51件 vs. 9週投与群58件であった(HR:1.18、90%CI:0.86~1.62)。・リスクカテゴリーごとの5年DFS率は、低リスクカテゴリー(37.5%)で1年投与群91% vs. 9週投与群91%(HR:0.91、90%CI:0.60~1.38)、中間リスクカテゴリー(47.1%)で88% vs. 89%(HR 0.88、90%CI:0.63~1.21)、高リスクカテゴリー(15.4%)で82% vs. 64%(HR 2.06、90%CI:1.36~3.13)であった。・リスクカテゴリーごとの5年OS率は、低リスクカテゴリーで1年投与群97% vs. 9週投与群99%(HR:0.57、90%CI:0.27~1.13)、中間リスクカテゴリーで96% vs.95%(HR: 1.14、90%CI:0.68~1.89)、高リスクカテゴリーで95% vs. 91%(HR:1.09、90%CI:0.75~1.359)であった。

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無症状の原発巣は切除?大腸がんの世界的CQに結論:JCOG1007(iPACS)試験【消化器がんインタビュー】第11回

転移巣切除不能の大腸がん、無症状の原発巣は切除すべきか。この長年にわたる国内外の臨床疑問に初めて結論を出したJCOG1007(iPACS)試験の結果が発表された。研究代表者である国立がん研究センター中央病院 大腸外科 金光 幸秀氏に聞いた。―試験実施の背景について教えていただけますか。画像を拡大する私が外科医になったころ、Stage IVの大腸がんで転移巣切除不能も含め治癒的切除ができない場合は、原発巣切除(primary tumor resection、以下 PTR)を行うのが自明のことでした。その理由は、原発巣を取ることで腸閉塞などのがんの合併症(これは化学療法中にも起こりえますが)を予防できること、そして何よりも抗がん剤の効果が低かったということでした。抗がん剤の効果が低いという先入観は、何十年もの間、医師の中にありました。しかし、2000年代になり、抗がん剤の効果が非常に高くなり、すべての症例で原発巣を切除すべきか、その意義を改めて検証すべきだという機運が外科医の中で大きくなってきました。そのような背景の中、2年ほどの検討期間を経て、2010年に試験実施が承認され、今回その結果が発表されました。―試験対象は、大腸がんの中でも限定された患者さんということですね。はい。誤解される方がおられますが、大腸がん全体というわけではありません。転移巣は切除不能だが原発巣は切除可能かつ原発巣由来の症状がない方です。たとえば、肝転移で数多くの転移があって手術で取りきれないような方で、大腸がんの症状がない患者さんです。大腸がんの中でもかなり限られた集団といえます。1割おられないかもしれません。―試験デザインについて教えていただけますか。この試験は、最初に原発巣切除を行い次に化学療法を行う治療法が、化学療法単独に対して優越性を示すかを検証する第III相の非盲検無作為化試験です。JCOG1007(iPACS)試験概要対象:切除不能のStage IVで原発巣に起因する症状はないが3つ以下の切除不能の転移(肝臓、肺、遠隔リンパ節、腹膜)がある大腸がん患者(適格対象20~74歳)試験治療群:PTR(primary tumor resection)+化学療法群(化学療法は手術後8~56日の間に実施)対照群:化学療法単独化学療法は、mFOLFOX6+ベバシズマブまたはCapeOX+ベバシズマブ(治験担当医が試験登録前に決定)評価項目:[主要評価項目]ITT集団の全生存(OS)、[副次評価項目]PFS、安全性、R0手術実施割合、姑息手術実施割合主な結果2012年6月~2019年9月に、国内38の施設から165例の患者が登録され、化学療法単独群(84例)、PTR+化学療法群(81例)に無作為に割り付けられた。最も頻度の高い切除不能の転移は肝臓(73%)であった。追跡期間中央値22.0ヵ月におけるOS中央値は、PTR+化学療法群25.9ヵ月、化学療法単独群26.7ヵ月であった(HR:1.10、95%CI:0.76~1.59、片側p=0.69)。PTR+化学療法群では術後死亡が3例報告された。同試験は、事前に設定した試験中止基準(「PTR+化学療法群が化学療法単独群の生存期間を 下回る[HR>1.0]」など)により、データ安全モニタリング委員会から早期終了を推奨された。―化学療法単剤が対照群なのですね。米国NCCNのガイドラインでも抗がん剤単独が推奨されていますし、日本でも抗がん剤治療を先に行ったほうが良いのではないかという機運が高まったこともあり、抗がん剤を標準治療と考え、化学療法単独群をコントロールとしました。試験群は切除を行ってから化学療法を実施する(PTR+化学療法)群です。―試験結果はどのようなものでしたか?画像を拡大する全生存期間は両群ともほぼ同等(約2年)の結果でした。試験治療群は事前に設定した優越性基準(化学療法単独群24ヵ月に対し、PTR+化学療法群32ヵ月)に至らなかったため、化学療法単独群が標準療法という結果となりました。―治療によって転移巣の手術が可能になる、つまり、コンバージョン手術の確率についてはいかがでしたか。原発巣を切除してから抗がん剤を投与すると、転移巣の縮小や転移数が減りコンバージョン手術の確率が上がる、という仮説がかねてからありました。しかし、今回の試験でコンバージョン手術が可能となった割合は、化学療法単独群で5%、PTR+化学療法群では3%で、両群間に差は認められませんでした。画像を拡大するまた、薬物療法によるコンバージョン手術の確率の増加についても海外での良好な研究報告がありましたが、前向き研究で検証すると、実際はこの程度の数値であるということが明らかになりました。―この結果はどのように臨床に活用できるでしょうか。NCCNのガイドラインなどでも、この患者集団には抗がん剤単独が推奨されていますが、実際には世界的にも7割で原発巣が切除されています。実臨床では、切除するかしないか、迷いながら治療方針が決定されているのが現状です。この試験結果から、「症状がなければ原発巣は取らずに抗がん剤治療で開始していく」ことの優越性が示されました。これは、数十年にわたる臨床疑問に、明確な指針を示した大きな結果だと考えています。また、世界的に議論の残るテーマであったこともあり、海外からもお礼のメッセージをいただくこともあります。―視聴者へのメッセージ臨床試験は結果を出すまでに時間がかかります。試験に関わる研究者や患者さんの労力も大変なものです。しかし、試験で出た1つの結果から新たなスタンダードが生まれます。臨床試験は臨床疑問に解答を出すために、これからも作られ実施されていくでしょう。該当する患者さんがいれば、ご紹介いただければと思います。参考1)Kanemitsu Y, et al. Primary Tumor Resection Plus Chemotherapy Versus Chemotherapy Alone for Colorectal Cancer Patients With Asymptomatic, Synchronous Unresectable Metastases (JCOG1007;iPACS): A Randomized Clinical Trial. J Clin Oncol. 2021;39:1098-1107.2)JCOG1007; iPACS試験(UMIN)3)国立がん研究センター プレスリリース「ステージ4大腸がんの新たな標準治療を検証」

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FDA、HER2陽性胃がんペンブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の1次治療迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2021年5月5日、局所進行または転移を有する切除不能HER2陽性胃・胃食道接合部(GEJ)腺がん患者の1次治療に、トラスツズマブ、化学療法(フルオロピリミジン+プラチナ)およびペンブロリズマブの併用を迅速承認した。 この承認は、上記患者の多施設無作為二重盲検プラセボ対照KEYNOTE-811試験の中間解析に基づいたもの。  この試験での主要有効性評価項目である、盲検化独立したレビュー委員会評価の全奏効率は、ペンブロリズマブ群74%、プラセボ群52%と、統計的に有意な差を示した(片側p<0.0001)。奏効期間中央値は、ペムブロリズマブ群10.6ヵ月、プラセボ群9.5か月であった。

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高齢の早期乳がん患者への化学療法の効果は?

 高リスクの早期乳がんでは化学療法によりアウトカムが改善されるが、高齢者にはほとんど投与されない。今回、英国・The Royal Marsden Hospital NHS Foundation TrustのAlistair Ring氏らは、高齢の高リスク早期乳がん患者の化学療法による効果を検討したところ、転移を有する再発のリスクは化学療法で低下したが、生存期間延長が示されたのはエストロゲン受容体(ER)陰性乳がんのみであった。また、QOLへの影響は大きかったが一時的だった。British Journal of Cancer誌オンライン版2021年5月10日号に掲載。 本研究は、70歳以上の手術可能な原発性浸潤性乳がん(T1-3および一部のT4b、N0-1、M0)患者を対象とした多施設前向き観察研究で、化学療法(±トラスツズマブ)の使用と生存期間・QOLについて調査した。ベースライン時の年齢・健康状態(fit/vulnerable/frail)・病期の相違について傾向スコアマッチングで調整した。 主な結果は以下のとおり。・英国の56センターで2013~18年に3,416例が登録され、手術を受けた2,811例のうち1,520例(54%)が高リスクの早期乳がんで、2,059例(73%)で健康状態がfitだった。・高リスクの早期乳がんでfitだった1,100例中306例(27.8%)が化学療法を受けた。・年齢・病期・健康状態をマッチさせていない高リスク例(1,498例、調整後ハザード比[HR]:0.36、95%CI:0.19~0.68)およびマッチさせた高リスク例(541例、調整後HR:0.43、95%CI:0.20~0.92)において、化学療法により転移を有する再発のリスクが減少した。しかし、どちらも全生存期間(OS)および乳がん特異的生存期間(BCSS)の改善はみられなかった。・ER陰性乳がん患者では、化学療法により生存率が改善した(OSのHR:0.20、95%CI:0.08~0.49、BCSSのHR:0.12、95%CI:0.03~0.44)。・QOLに一時的な負の影響がみられた。

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