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オリジナルニュース免疫療法の対象とならない進行TN乳がんの1次治療、SGがPFS延長(ASCENT-03)/ESMO2025 PD-L1陰性転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の初回治療としては、長らくタキサンを中心とした化学療法が実施されてきた。2次治療以降ではTROP2 ADCやHER2低発現に対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が用いられるようになり、TNBCの治療は大きく変化している。これらADCの1次治療における有効性が期待されてきた。 ASCENT-03試験はPD-1/PD-L1阻害薬の対象とならない転移TNBCを対象として、サシツズマブ ゴビテカン(SG)と化学療法を比較した第III相試験である(Cortes J, et al. N Engl J Med. 2025;393:1912-1925.)。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値において9.7ヵ月vs.6.9ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間:0.50~0.77、p<0.0001)と統計学的有意にSG群で良好であった。一方、全生存期間(OS)中央値は21.5ヵ月vs.20.2ヵ月(HR:0.98)とSGの優越性は示されなかった。そもそもTNBCのOS中央値は15ヵ月程度であり(Deluche E, et al. Eur J Cancer. 2020;129:60-70.)対照群のOSそのものも、かつてよりかなり良くなっている。これは、2次治療以降でOSを延長することが示された複数の薬剤(SGやT-DXd)が使用可能になったためであると考えられる(Bardia A, et al. N Engl J Med. 2021;384:1529-1541.、Modi S, et al. N Engl J Med. 2022;387:9-20.)。 一方で、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で同時に発表された同様にPD-L1陰性TNBC1次治療としてのダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)がPFSならびにOSの延長を有意に示したことから、その結果の不一致について検討が必要である。後治療としてADCが使えることは両試験とも同じであることを考えると、OSの結果の違いには何らかの薬剤としての違いがある可能性がある。ホルモン受容体陽性乳がんの2次治療では、TROPiCS-02試験でSGがOSの延長を示し、Dato-DXdはTROPION Breast-01試験でOSの延長を示せなかったことから、サブタイプによってその結果が逆転している(Bardia A, et al. J Clin Oncol. 2025;43:285-296.、Rugo HS, et al. Lancet. 2023;402:1423-1433.)。単純にOSの結果が安定するほどの薬効がない可能性もあるが、PFSは確実に延長していることから、今後は後治療の影響やバイオマーカーなどの探索が必要である。