サイト内検索|page:2

検索結果 合計:1672件 表示位置:21 - 40

21.

デュルバルマブ+化学療法±オラパリブが進行子宮体がんの生存改善(DUO-E)/SGO2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法の1次治療とICI+PARP阻害薬の維持療法は、進行子宮体がんに対するさらなる抗腫瘍活性を示した。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で米国・H. Lee MoffittがんセンターのHye Sook Chon氏が発表している。 ICI+化学療法はミスマッチ修復機能欠損(dMMR)子宮体がんに抗腫瘍活性を示している1,2)。ICIへのPARP阻害薬の追加は、さまざまながん種で有効性が期待されており、婦人科腫瘍においても、いくつかの臨床試験でPARP阻害薬とICIの併用療法が研究されている3)。 DUO-E(GOG-3401/ENGOT-EN10)試験は、進行・再発子宮体がんに対するデュルバルマブ・化学療法の併用1次治療へのデュルバルマブ±オラパリブ維持療法追加の有用性を評価する第III相3群無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験である。Chon氏はITT集団およびMMR状況ごとの無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)の初回カットオフの結果(主要評価項目の成熟度61%)を発表した。・対象:未治療の進行StageIII/IV(FIGO2009)または再発子宮体がん・試験群1: 化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル:CP)+デュルバルマブ→デュルバルマブ(CP+D群)・試験群2:CP+デュルバルマブ→デュルバルマブ+オラパリブ(CP+D+O群)・対照群:CP→プラセボ(CP群)・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。[ITT集団]・PFS中央値はCP群9.6ヵ月に対し、CP+D群では10.2ヵ月(対CP群ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.57〜0.89、p=0.003)、CP+D+O群では15.1ヵ月(対CP群HR:0.55、95%CI:0.43〜0.69、p<0.0001)で、CP+D群、CP+D+O群ともに有意に改善した。・ORRはCP群55.1%に対し、CP+D群61.9%(対CP群オッズ比[OR]:1.32、95%CI:0.89〜1.98、p=0.003)、CP+D+O群63.6%(対CP群OR:1.44、95%CI:0.95〜2.18、p=0.0001)で、CP+D群、CP+D+O群ともに有意に改善した。・DOR中央値はCP群7.7ヵ月に対し、CP+D群13.1ヵ月、CP+D+O群21.3ヵ月であった。[dMMR集団]・PFS中央値はCP群7.0ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.42、95%CI:0.22~0.80)、CP+D+O群では31.8ヵ月(対CP群HR:0.41、95%CI:0.21~0.75)であった。・ORRはCP群40.5%、CP+D群71.4%(対CP群OR:3.68、95%CI:1.51~9.39)、CP+D+O群73.0%(対CP群OR:3.97、95%CI:1.57~10.65)であった。・DOR中央値はCP群10.5ヵ月、CP+D群未到達、CP+D+O群29.9ヵ月であった。[ミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団]・PFS中央値はCP群9.7ヵ月に対し、CP+D群では9.9ヵ月(対CP群HR:0.77、95%CI:0.60~0.97)、CP+D+O群では15.0ヵ月(対CP群HR:0.57、95%CI:0.44~0.73)であった。・ORRはCP群59.0%に対し、CP+D群では59.4%(対CP群OR:1.02、95%CI:0.65~1.59)、CP+D+O群では62.1%(対CP群OR:1.10、95%CI:0.69~1.74)であった。・DOR中央値はCP群7.6ヵ月に対し、CP+D群では10.6ヵ月、CP+D+O群では18.7ヵ月であった。[安全性]・CP+D群、CP+D+O群とも忍容性は良好で管理可能であり、治療中止の頻度も低かった。 ITT集団においては、CP+D群、CP+D+O群ともにPFSの改善がみられた。MMRのサブグループを見ると、dMMRについては両群で、pMMRについてはCP+D+O群でPFSの改善傾向がみられた。

22.

マンモグラフィ検診は40歳以降から毎年が最善

 乳がん検診の開始年齢とその頻度をめぐる論争に終止符が打たれるかもしれない。米ダートマス大学ガイゼル医学部放射線学科教授のDebra Monticciolo氏らによる研究で、40歳から少なくとも79歳になるまで毎年、マンモグラフィ検診を受けることで、乳がんによる死亡が最大数回避され、生存期間も最長になることが示唆された。この研究結果は、「Radiology」に2月20日掲載された。 米国では、乳がんは女性の死因として2番目に多いが、マンモグラフィ検診が推奨されている女性の中で毎年受診しているのは半数に過ぎない。Monticciolo氏によれば、2009年に米国予防サービス専門委員会(USPSTF)が50歳からの隔年検診を推奨して以降、マンモグラフィ検診の受診率は急落したという。USPSTFは以前から、40代の女性には50歳以前に検診を始めるかどうかは、主治医との話し合いに基づいて個別に判断することを勧めていたが、2023年に、40歳から2年に1度の検診を開始し、健康状態が良好である限り継続するべきだとの新たな勧告を公表した。 今回の研究でMonticciolo氏らは、Cancer Intervention and Surveillance Modeling Network(CISNET)のモデルに基づく解析データを用いて、4つのシナリオの下で二次解析を行い、それぞれのシナリオの転帰を比較検討した。4つのシナリオとは、マンモグラフィ検診を、1)50〜74歳の間に隔年で受診、2)40〜74歳の間に隔年で受診、3)40〜74歳の間に毎年受診、4)40〜79歳の間に毎年受診、であった。 主な結果は以下の通りである。・40〜79歳の間に毎年検診を受けることで死亡リスクは41.7%低下する。・40〜74歳の間に隔年で検診を受けることで死亡リスクは30.0%低下する。・40〜79歳の間に毎年検診を受けることで、回避可能な乳がんによる死亡数が最大となり(1,000人当たり11.5人)、獲得生存年数も最長となる(1,000人当たり230年)。・40〜79歳の間に毎年検診を受けた場合には、4つのシナリオの中で偽陽性率が最も低く(6.5%)、がんの生検で良性と判定される割合も最も低かった(0.88%)。・マンモグラフィ検診のリコール(再勧奨)率は10%以下であり、3Dマンモグラフィ検診を毎年受けることで6.5%に低下する。 Monticciolo氏は、「マンモグラフィ検診に伴うリスクは、ほとんどの女性にとって致命的ではなく、対処可能なものだが、進行乳がんはしばしば致命的だ。乳がんは早期に発見されれば治療が容易であり、余分な手術や化学療法をせずに済む。それゆえ、がんを早期に発見する方向へシフトするのは良い考えであり、マンモグラフィ検診はそのためのものなのだ」と話す。 またMonticciolo氏は、40〜79歳の間の毎年のマンモグラフィ検診は、「女性の命を大切にすることにつながる。プライマリケア医が、検診のリスクは管理可能であり、検診を受けることで得られるベネフィットは多大であると理解することを期待している」と話している。

23.

短時間での投与が可能なHER2陽性乳がん・大腸がん治療薬「フェスゴ配合皮下注MA/同IN」【最新!DI情報】第11回

短時間での投与が可能なHER2陽性乳がん・大腸がん治療薬「フェスゴ配合皮下注MA/同IN」今回は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合薬「ペルツズマブ(遺伝子組換え)・トラスツズマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:フェスゴ配合皮下注MA/同IN、製造販売元:中外製薬)」を紹介します。本剤は、HER2陽性の乳がんおよび大腸がんの配合皮下注射薬です。従来の静脈注射は60~150分かけて投与するのに対し、本剤では5~8分以上で投与可能であり、患者・医療施設双方の負担が軽減することが期待されています。<効能・効果>HER2陽性の乳がん、がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんの適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得し、同年11月22日より販売されています。<用法・用量>通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)/トラスツズマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1,200mg/600mg/30,000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg/600mg/20,000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与します。HER2陽性の乳がんに対しては他の抗悪性腫瘍剤との併用において投与し、術前・術後薬物療法の場合は投与期間は12ヵ月までとなります。<安全性>重大な副作用として、Infusion reaction(4.0%)、心機能障害(3.6%)、過敏症、間質性肺疾患(各0.8%)、肝障害、敗血症(各0.4%)などが報告されています。その他の主な副作用には、下痢(30.7%)、注射部位反応(14.1%)、発疹、疲労(各5%以上)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬に含まれるペルツズマブおよびトラスツズマブは、HER2というタンパク質の動きを抑えることによりがん細胞の増殖を抑えます。2.この薬の投与により、心臓の機能が低下することが報告されていますので、定期的に心臓の検査を受けてください。3.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。妊娠する可能性がある人は、この薬を使用している間および使用を中止・終了してから7ヵ月間は適切な方法で避妊してください。<ここがポイント!>本剤は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるペルツズマブおよびトラスツズマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した抗悪性腫瘍薬です。ペルツズマブはHER2細胞外領域のドメインIIに、トラスツズマブは細胞膜近接部位のドメインIVに結合し、異なる経路から包括的にHER2シグナルを遮断し、腫瘍細胞増殖の抑制やアポトーシスを誘導すると考えられています。一方、ボルヒアルロニダーゼ アルファは、結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解することにより、薬剤注入時の抵抗を減少させて薬物の体内浸透や拡散を促進させる作用があります。これまで、ペルツズマブおよびトラスツズマブを点滴静注するには60~90分以上の投与時間が必要でしたが、本剤は初回が8分以上、2回目以降は5分以上と短時間での投与が可能となりました。なお、ボルヒアルロニダーゼ アルファが配合された医薬品には、多発性骨髄腫および全身性ALアミロイドーシスに適応を持つダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:ダラキューロ配合皮下注)が2021年5月から販売されています。HER2陽性の早期乳がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(FeDeriCa試験)において、サイクル7(サイクル8投与前)でのペルツズマブ血清中トラフ濃度が主要評価項目として検討されました。ペルツズマブ+トラスツズマブ(IV)群に対する本剤群のペルツズマブ血清中トラフ濃度の幾何平均値の比(GMR)は1.22(90%信頼区間[CI]:1.14~1.31)であり、信頼区間の下限値が非劣性マージンの0.8を上回ったので、フェスゴ群の非劣性が検証されました。また、副次的評価項目である全病理的完全奏効率は、本剤群が59.7%(95%CI:53.3〜65.8)、ペルツズマブ+トラスツズマブ(IV)群が59.5%(95%CI:53.2〜65.6)であり、その差は0.2%(95%CI:-8.7〜9.0)で同等でした。

24.

未治療尿路上皮がん、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブがOS・PFS改善(EV-302/KEYNOTE-A39)/NEJM

 局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の1次治療において、エンホルツマブ ベドチン(nectin-4に対する抗体薬物複合体)とペムブロリズマブ(PD-1阻害薬)の併用は化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が有意に延長し、臨床的に意義のある有益性を示し、安全性プロファイルは既報と一致することが、英国・Queen Mary University of LondonのThomas Powles氏らが実施した「EV-302試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年3月7日号に掲載された。25ヵ国の無作為化第III相試験 EV-302試験は、未治療の局所進行または転移性尿路上皮がんにおけるエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、日本を含む25ヵ国185施設で参加者を募集した(Astellas Pharma USなどの助成を受けた)。 前治療歴のない成人患者を、3週を1サイクルとして、エンホルツマブ ベドチン(1.25mg/kg体重、1および8日目に静脈内投与)+ペムブロリズマブ(200mg、1日目に静脈内投与)を投与する群、または3週を1サイクルとして、ゲムシタビン+シスプラチン(シスプラチンが不適応の場合はゲムシタビン+カルボプラチン)を投与する群に、無作為に割り付けた。 主要評価項目はPFSとOSであり、独立中央判定委員会が盲検下に評価した。 886例(年齢中央値69歳[範囲:22~91]、男性76.7%)を登録し、442例をエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群、444例を化学療法群に割り付けた。生存の追跡期間中央値は17.2ヵ月だった。シスプラチン不適応例、適応例の双方で高い有益性 PFS中央値は、化学療法群が6.3ヵ月であったのに対し、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群は12.5ヵ月と有意に優れた(病勢進行と死亡のハザード比[HR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.38~0.54、p<0.001)。 また、OS中央値は、化学療法群の16.1ヵ月と比較して、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群は31.5ヵ月であり有意に良好だった(死亡のHR:0.47、95%CI:0.38~0.58、p<0.001)。 シスプラチン不適応例および適応例のいずれとの比較においても、PFS中央値およびOS中央値は、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で優れた。 全奏効率もエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で良好で(67.7% vs.44.4%、p<0.001)、また完全奏効率も同群で高かった(29.1% vs.12.5%)。一方、疼痛進行までの期間(患者報告アウトカム)には差を認めなかった(14.2ヵ月 vs.10.0ヵ月、p=0.48)。投与サイクル数は多いが、Grade3以上の有害事象は少ない 投与サイクル数中央値は、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群が12回(範囲:1~46)、化学療法群は6回(1~6)であったが、この間に発現したGrade3以上の治療関連有害事象は前者のほうが少なかった(55.9% vs.69.5%)。エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で頻度の高かったGrade3以上の治療関連有害事象は、斑状丘疹状皮疹(7.7%)、高血糖(5.0%)、好中球数減少(4.8%)だった。 著者は、「エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群の有益性は、肝転移の有無、シスプラチンの適格性、PD-L1の発現状態などの事前に規定されたサブグループのすべてで認めた」とまとめるとともに、「疼痛進行までの期間の延長などの所見が、患者に及ぼす影響を明らかにするためには、より詳細な患者報告アウトカムの解析が求められる」としている。

25.

日本人胃がんの薬物療法研究の最新情報/日本胃癌学会

 新薬の登場で変化する胃がん薬物療法の国内研究の最新情報が第96回日本胃癌学会総会で報告された。ペムブロリズマブ+化学療法による進行胃がん1次治療の日本人サブセット ペムブロリズマブと化学療法の併用は日本人胃・食道胃接合部がんの1次治療においてもグローバルと同様の結果を示した。 切除不能または転移を有するHER2陰性の胃・食道胃接合部腺がん1次治療で良好な結果を示したペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-859試験における日本人サブセットの結果が示された。日本人サブセットは101例で、ペムブロリズマブ+化学療法群は48例、コントロールとなる化学療法群は53例であった。 追跡期間中央値28.9ヵ月における全生存期間(OS)中央値は、ペムブロリズマブ+化学療法群16.8ヵ月、化学療法群13.3ヵ月(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.44〜1.13)、無増悪生存期間(PFS)中央値はペムブロリズマブ+化学療法群6.8ヵ月、化学療法群6.7ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.49〜1.36)であった。奏効率(ORR)はペムブロリズマブ+化学療法群54.2%、化学療法群56.6%、奏効期間中央値はペムブロリズマブ+化学療法群18.4ヵ月、化学療法群5.4ヵ月であった。 Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はペムブロリズマブ+化学療法群の41.7%、化学療法群の39.6%に発現した。Grade3以上の免疫介在性有害事象はペムブロリズマブ+化学療法群の16.7%、化学療法群の3.8%に発現した。日本人MSI-H胃がんに対するニボルマブ+イピリムマブの1次治療 切除不能進行再発のマイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)胃がんの1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブの有効性と安全性を評価するNO LIMIT試験(WJOG13320G/CA209-7w7)の結果が発表された。 NO LIMIT試験は医師主導の第II相試験で、全国75施設935例の切除不能かつ化学療法未治療の胃がんからMSI-Hをスクリーニングし、ニボルマブ+イピリムマブの介入を行った。主要評価項目は盲検下独立中央判定(BICR)によるORRで、推定値を35~65%とした。 MSI-H陽性の割合は5.6%であった。対象は2022年8月29日までに試験に登録された29例。 BICR評価の確定ORRは62.1%(CRは10.3%)で主要評価項目を達成した。病勢コントロール率(DCR)は79.3%であった。Waterfallプロットでは深い奏効が示された。PFS中央値は13.8ヵ月、OS中央値は未達で12ヵ月OS率は80%であった。 Grade3以上のTRAEは41.3%で、安全性プロファイルは既報どおりであった。進行胃がんにおけるラムシルマブのbeyond PD 進行胃がんにおいて血管新生阻害薬の継続療法を評価した第III相RINDBerG試験の結果が発表された。ラムシルマブのbeyond PD療法は主要評価項目であるOSを達成できなかった。 血管新生阻害薬のPD後の継続は、さまざまながんで有効性が報告されている。胃がんでもRAINFALL試験の事後解析で2次治療としてのラムシルマブのPD後投与が良好なOSに関連していると報告されている RINDBerG試験の対象はラムシルマブおよび化学療法抵抗性で既治療の切除不能胃・食道胃接合部腺がん。登録患者はラムシルマブ+イリノテカン(RAM+IRI)群とイリノテカン単剤(IRI)群に割り付けられた。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、ORR、安全性などであった。 OS中央値はRAM+IRI群9.4ヵ月、IRI群8.5ヵ月で、調整HRは0.91、p値は0.37と主要評価項目は未達であった。PFS中央値はRAM+IRI群3.8ヵ月、IRI群2.8ヵ月で、HRは0.72、p値は0.001とRAM+IRI群で有意に優れていた。ORRはRAM+IRI群22.2%、IRI群15.0%であった。DCRはそれぞれ65.6%と52.7%で、オッズ比は1.71、p値は0.02とRAM+IRI群で有意に優れていた。 主な有害事象としては、両群とも好中球減少、白血球減少、食欲不振、倦怠感などが多くみられた。RAM+IRI群の26例、IRI群の32例が毒性中止となっている。

26.

3月6日 世界リンパ浮腫の日【今日は何の日?】

【3月6日 世界リンパ浮腫の日】〔由来〕2016(平成28)年にアメリカ・上院でリンパ浮腫の認識を高めるために3月6日を「World Lymphedema Day」(世界リンパ浮腫の日)と制定。そして、同じくリンパ浮腫の正しい知識と情報を共有し、治療環境の発展などを目的に患者と医療者の会である「リンパカフェ」が2018(平成30)年に制定。関連コンテンツ浮腫の見分け方、発症形式と部位を押さえよう!【Dr.山中の攻める!問診3step】浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM乳がんリンパ浮腫のセルフケア、Webとパンフレットどちらが効果的術前化学療法を受けた乳がん患者の術後上肢リンパ浮腫、リスク因子は?/JAMA Surgery

27.

ソトラシブ、アジア人のKRAS G12C変異陽性肺がんに対する成績(CodeBreaK200)/日本臨床腫瘍学会

 既治療のKRAS G12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するソトラシブの第III相CodeBreaK 200試験におけるアジア人サブグループ解析を、九州大学の岡本 勇氏が第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。・対象:免疫チェックポイント阻害薬と化学療法薬の治療歴を有するKRAS G12C変異陽性のNSCLC(過去の脳転移治療例は許容)・試験群:ソトラシブ960mg/日(Soto群:171例)・対照群:ドセタキセル75mg/m2 3週ごと(Dtx群:174例)Dtx群からSoto群へのクロスオーバー投与は許容・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性、患者報告アウトカムなど 主な結果は以下のとおり。・アジア人集団は37例(日本24例、韓国13例)、Soto群18例、Dtx群19例であった。・アジア人患者の年齢中央値はSoto群65.0歳、Dtx群68.0歳で、ほとんどが現および前喫煙者であった。・BICR評価のPFS中央値はSoto群8.3ヵ月、Dtx群5.6ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.18〜1.15)。・BICR評価のORRはSoto群 27.8%、Dtx群15.8%、病勢制御率はSoto群94.4%、Dtx群57.9%であった。・BICR評価による奏効に至るまでの期間はSoto群1.3ヵ月、Dtx群2.3ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はSoto群の44.4%、Dtx群の62.5%で発現した。・Soto群で頻度が高かったTRAEは下痢、悪心、肝機能障害(AST、ALT、ALP上昇)であった。

28.

日本の乳がんの特性・治療・予後の変化~NCD乳がん登録46万例のデータ

 日本における2004~16年の乳がんの特性・治療・生存の動向について、川崎医科大学の岩本 高行氏らがBreast Cancer誌2024年3月号に報告した。これは、NCD(National Clinical Database)乳がん登録の45万7,878例のデータ(追跡期間中央値5.6年)に基づく日本乳癌学会による予後レポートである。 2004~08年の症例と2013~16年の症例を比較した主な結果は以下のとおり。・治療開始年齢の中央値は、2004~08年では57歳、2013~16年では60歳と上昇した。・Stage0~IIの割合は74.5%から78.3%に増加した。・エストロゲン受容体陽性の割合は74.8%から77.9%、プロゲステロン受容体陽性の割合は60.5%から68.1%に増加した。・(術前)術後補助化学療法は、タキサン(T)またはT-シクロホスファミド(C)レジメンは2.4%から8.2%に増加したが、(フルオロウラシル(F))アドリアマイシン(A)C-T/(F)エピルビシン(E)C-Tは18.6%から15.2%、(F)AC/(F)ECレジメンは13.5%から5.0%に減少した。・術(前)後HER2療法に関しては、トラスツズマブの使用が4.6%から10.5%に増加した。・センチネルリンパ節生検の実施率は37.1%から60.7%に増加し、腋窩リンパ節郭清の実施率は54.5%から22.6%に減少した。・HER2陽性乳がん患者では無病生存期間と全生存期間の改善が認められたが、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、トリプルネガティブ乳がん患者では明らかな傾向は認められなかった。

29.

聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座(大学病院 腫瘍内科)【大学医局紹介~がん診療編】

砂川 優 氏(主任教授)梅本 久美子 氏(講師)小川 和起 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴治療薬開発だけではなく、支持療法、がん患者さんへの栄養介入、アプリケーションや遠隔診療を利用したがん診療など、多岐に渡るオリジナリティのある研究を行っています。当講座から、がん領域における新しいエビデンスを発信していきたいと考えています。地域のがん診療における医局の役割消化器がんを中心に外科・内科・放射線科などさまざまな科と連携し、最新のエビデンスに基づいた最適な治療を提供しています。当院はがんゲノム医療拠点病院でもあり、地域の病院と連携協力体制を作り、「ゲノム医療」にも力を入れております。また、新規薬剤のチャンスを提供できるよう、多くの臨床試験、治験を行っています。患者さん1人ひとりのニーズに応え、最適な治療を提供することを目指しています。医師の育成方針初期・後期研修を通じ、薬物療法の副作用マネジメントとして必要な内科学的知識を学んでいただきます。内科専門医を取得後に幅広い領域での薬物療法を経験し、がん薬物療法専門医の取得を目指します。内科専門医の取得と併行して大学院への進学や基礎研究を行うことも可能であり、海外留学も選択できます。基礎から臨床まで、さまざまな経験を通じて、がん治療のエキスパートとなれる医師の育成に取り組んでいます。症例カンファレンスの様子力を入れている治療/研究テーマ私は、胆膵がんを中心に診療、研究に力を入れています。研究の主なテーマは胆膵がんのゲノム解析や後方ラインでの治療開発であり、多くの多施設共同臨床試験に参加して、患者さんへより良い治療が提供できることを目指しています。当院では2023年に胆道・膵臓病センターを設立し、当科の他に消化器外科、消化器内科、代謝・内分泌内科、病理診断科、栄養科、リハビリテーション科、薬剤部が参加した症例検討会を毎週実施し、さまざまな視点から患者さん個々に合わせた治療を立案しています。各診療科が積極的に発言しコンセンサスを得て方針を決定していくスタイルは、自身の診療スキルを磨くうえでも大変役立っております。また、同センターでは、複数科をまたいだ臨床研究を現在計画中です。医局の雰囲気、魅力主任教授を筆頭に比較的若いスタッフで成り立っている講座です。年齢の近い先生が多く、診療や研究の相談がしやすい環境であると感じています。大学本院の講座というと堅苦しい雰囲気を想像しがちですが、われわれの講座は、一緒に仕事のしやすいスタッフ・秘書・研究補助員で成り立っており、魅力的な講座だと思います。医学生/初期研修医へのメッセージ腫瘍内科は専門性が高く、社会からも求められていて、各がん種で治療開発が望まれていますが、まだまだ成り手が少ない診療科です。診療と研究いずれもしっかり基礎から学びたい! という方に、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいです。診療科を超えてディスカッションを行う胆道・膵臓病センターのカンファレンスこれまでの経歴神奈川県内の高校を卒業した後、富山大学医学部へ入学しました。私は祖父をがんで亡くした経験から、抗がん剤の開発をしたいと考えていました。4年次の講義で腫瘍内科を知り、自分に合っている診療科だと思い、卒業と同時に、地元かつ腫瘍内科がある聖マリアンナ医科大学病院にて初期研修を行いました。やりたいことができる環境だと思い、聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座へ入局しました。同医局を選んだ理由腫瘍内科として確立していること、消化器内科とは独立して消化器がんを中心にさまざまな化学療法を盛んに行っていること、所属する医師のキャリアは多岐に渡っており、ロールモデルを探しやすいことなどから、聖マリアンナ医科大学の臨床腫瘍学講座を選びました。当講座では症例カンファレンスや医局会などを業務時間内で行い、働き方を重視していることも魅力の1つだと思います。学会で忙しい時期はありますが、やるときはやる、休むときは休むといったオンオフがしっかりしている良い環境だと思います。現在学んでいること腫瘍関連の多様な合併症・治療の副作用に対応するため、後期研修医として内科の診療科をローテーションして研修しています。また、さまざまながん種の化学療法、がん終末期医療など入院管理、上級医の化学療法外来を見学し、治療方法の選択、外来マネジメントの仕方を学んでいます。研究カンファレンスの様子聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座(大学病院 腫瘍内科)住所〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16番1号問い合わせ先oncology-mari@marianna-u.ac.jp医局ホームページ聖マリアンナ医科大学病院 腫瘍内科医局特設サイト医局特設サイト/医局員募集専門医取得実績のある学会日本内科学会 認定医、総合内科専門医日本癌治療認定医機構 癌治療認定医日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医研修プログラムの特徴(1)がん薬物療法専門医の取得と多彩な臨床経験がん薬物療法専門医の取得のためには、造血器・呼吸器・消化管・肝胆膵・乳房の5領域を含めたさまざまながん領域での症例経験が必須ですが、これらの症例について当院のみで経験が可能です。合併症を有する患者さんや治験候補となる患者さん等に対する抗がん剤治療を経験・勉強することにより、地域の中核病院やがんセンターなどで中心となって活躍できる腫瘍内科医を目指すことができます。当講座のスタッフの多くは、がん薬物療法指導医・専門医を取得しているため、専門医取得へ向けたアドバイス等の指導体制が充実しています。(2)学位取得初期研修終了後、どのタイミングでも大学院への進学ができ、学位を取得することが可能です。大学院に入学しない場合でも、論文によって学位を取得することが可能です。当講座のスタッフは、国際・国内学会にて多数の発表経験を有し、さまざまな論文を報告しています。学会発表から論文作成に至るまで指導体制が充実しています。(3)海外留学当講座のスタッフは海外(米国・南カルフォルニア大学等)への留学を経験しており、海外の腫瘍内科医との研究コラボレーションを行っています。海外留学を希望される先生には、留学先の紹介等のサポートを行っています。

30.

局所進行直腸がん術前治療におけるctDNA活用に期待/日本臨床腫瘍学会

 局所進行直腸がんの術前治療の決定において、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)解析の有用性が示唆された。 局所進行直腸がんでは手術後の再発が問題だったが、直腸間膜全切除(TME)手術や術前化学放射線療法 (CRT)によって局所再発のコントロールが実現した。近年では術前化学療法 (NAC)や、CRTに化学療法を追加するTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が登場し、遠隔再発の抑制が報告されている。一方、すべての患者にTNTを行うべきか明確な基準はなく、一部の患者では過剰治療も懸念されている。 そのような中、術後再発予測因子としてctDNAの役割が期待されている。大阪大学の浜部 敦史氏らは、術前治療後ctDNAの状況が局所進行直腸がんの再発に影響するかを検討したCIRCULATE-Japan GALAXY trialの結果を、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。 GALAXY trialには、術前治療(CRTまたはNAC)を実施したStageII~IIIの直腸腺がん患者が登録された。登録患者には診断時に全エクソームシークエンスを行い、 ベースライン、術前治療終了後、手術後にctDNA検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・2021年10月~2023年9月に200例が登録され、191例が解析対象となった。・術前治療の内容はCRT89例(46.6%)、NAC102例(53.4%)であった。・ベースラインctDNA陽性147例中、69例で術前治療後にctDNAが陰性化した (陰性化率 47%)。・術前治療別の陰性化率はCRT57%(40/70例)、NAC38%(29/77例)で、CRTで高い傾向だった。・術前治療後のctDNA陽性は、再発予測因子とされる手術後(4週後)のctDNA陽性と相関していた。・無病生存期間 (DFS)は、術前治療後ctDNA陽性症例に比べ陰性例で有意に良好であった (ハザード比:推定不能、Log-rank検定 p=0.0024) 今回の知見から、ctDNAが局所進行直腸がんにおける個別化術前治療のガイドになるのではないか、と浜部氏は期待感を示した。

31.

転移膵がん1次療法、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル追加データ(JCOG1611、GENERATE)/日本臨床腫瘍学会

 膵がん1次治療の最適レジメンを検討する国内第II/III相JCOG1611試験1)。2023年10月に欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で中間解析結果が発表されたが、2024年2月22~24日に開催された第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)では、本試験の追加データについてがん研有明病院 肝胆膵内科の尾阪 将人氏が発表した。<JCOG1611試験の概要>・対象:切除不能転移膵がん、PS0~1・試験群:【GnP群】nab-パクリタキセル+ゲムシタビン【mFOLFIRINOX群】オキサリプラチン、イリノテカン、l-ロイコボリン、フルオロウラシル【S-IROX群】オキサリプラチン、イリノテカン、S-1 ・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性 すでに発表されている発表されている結果は下記のとおり。・国内45施設から527例がGnP群(176例)、mFOLFIRINOX群(175例)、S-IROX群(176例)に1対1対1で割り付けられた。・OS中央値はGnP群17.1ヵ月、mFOLFIRINOX群14.0ヵ月(ハザード比[HR]:1.31、95%信頼区間[CI]:0.97~1.77)、S-IROX群13.6ヵ月(HR:1.35、95%CI:1.00~1.82)だった。・PFS中央値はGnP群6.7ヵ月、mFOLFIRINOX群5.8ヵ月(HR:1.15、95%CI:0.91~1.45)、S-IROX群6.7ヵ月(HR:1.07、95%CI:0.84~1.35)だった。 mFOLFIRINOX群、S-IROX群がGnP群を上回る可能性が1%未満となったため、本試験は中止となっている。 今回発表された追加データは下記のとおり。・病状進行し、2次治療に進んだのはGnP群で59.7%、mFOLFIRINOX群で63.4%、S-IROX 群で62.5%、2次治療のほぼすべてが化学療法だった。・増悪後生存期間(Postprogression survival)中央値は、GnP群で7.0ヵ月、mFOLFIRINOX群で5.5ヵ月、S-IROX群で5.6ヵ月だった。・プラチナ製剤が奏効しやすいとされるBRCA1/2遺伝子変異陽性例を層別化したデータが発表された。BRCA陽性はGnP群で9例、mFOLFIRINOX群で7例、S-IROX群で7例だった。陽性例のOSは3群すべてで全体集団よりも長く、GnP群25.9ヵ月、mFOLFIRINOX群18.6ヵ月、S-IROX群33.2ヵ月だった。 発表後のディスカッションのテーマは、同じく転移膵がん1次治療として、GnPとNALIRIFOX(ナノリポソーム型イリノテカン、5FU、ロイコボリン、オキサリプラチン)を比較し、NALIRIFOXが有意なOSの改善を示す結果となったNAPOLI‐3試験2)と本試験の結果をどう解釈するのかが中心となった。 尾阪氏は「JCOG1611はもともとGnPに対するmFOLFIRINOXとS-IROXの優越性を検証するためにデザインされた試験であり、GnPが有意差をもってmFOLFIRINOX群を上回る今回の結果にはわれわれも驚いている。NALIRIFOXレジメンは今後日本でも承認が見込まれているが、GnPとNALIRIFOXを比較した日本人のデータはまだなく、どちらを優先して使うかは今後の重要な臨床課題となるだろう」とした。

32.

乳がん周術期ICI治療、最新情報を総括/日本臨床腫瘍学会

 近年、いくつかのがん種で免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を使用した周術期治療が開発されている。乳がん領域では2022年9月、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するペムブロリズマブの術前・術後治療が承認されており、他のICIを用いた試験も実施されている。さらにHR+/HER2-乳がんに対する試験も進行中である。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で企画されたシンポジウム「ICIで変わる、周術期治療」で、乳がんの周術期ICI治療の試験成績や進行中の試験などの最新情報を、がん研究会有明病院の尾崎 由記範氏が紹介した。乳がん周術期ICI治療で現在承認されているのはペムブロリズマブのみ 近年、切除可能TNBCに対する治療は、術前化学療法を実施し、術後に病理学的に残存病変がある場合はカペシタビンとオラパリブ(BRCA変異がある場合)を投与することが標準治療となっている。そのような中、2022年9月、術前化学療法にペムブロリズマブを上乗せし術後にペムブロリズマブを投与する治療が、国際共同第III相KEYNOTE-522試験の結果を基に承認され、現在の標準治療となっている。KEYNOTE-522試験では、病理学的完全奏効(pCR)率、無イベント生存期間(EFS)が有意に改善し、Stage、PD-L1発現、pCR/non-pCRにかかわらず有効であったことが示されている。一方、non-pCR症例では予後不良であったことから、新たな治療戦略が検討されている(後述)。 KEYNOTE-522試験については、ペムブロリズマブ群における5年EFS割合の改善が9%であることと、Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)発現割合(術前薬物療法期)が13.0%ということが釣り合うのか、という議論がしばしば行われるが、尾崎氏は、TNBCの再発後の予後が約2年ということを考慮すると釣り合う、との理解だ。本試験では、ペムブロリズマブ群で薬物療法中止例が1割程度増えるが、手術実施割合の低下は1%未満である。これはirAEをしっかり管理することでほとんどの症例で手術可能であることを示しており、リスクベネフィットバランスを議論するうえで非常に重要なデータと考える、と尾崎氏は述べた。pCR症例の術後ペムブロリズマブは省略可能か?non-pCR症例の術後治療は? KEYNOTE-522試験では、術前化学療法+ペムブロリズマブでpCRが得られた症例は予後良好であることから、術後のペムブロリズマブは省略可能ではないかと考える医師が多い。この疑問を解決するために、現在、pCR症例にペムブロリズマブの投与と経過観察を比較するOptimICE-pCR試験が進行中である。 一方、non-pCR症例に対しては、ペムブロリズマブ単独で十分であると考える医師は少なく、従来使用されてきたカペシタビンやオラパリブ(BRCA変異がある場合)を逐次投与するという施設も増えているという。さらに、より有効な術後治療が検討されており、sacituzumab govitecan+ペムブロリズマブの効果を検討するASCENT-05/OptimICE-RD試験、datopotamab deruxtecan+デュルバルマブの効果を検討するTROPION-Breast03試験が進行中である。 また、ペムブロリズマブによる術前・術後治療後に再発した症例に対しては、西日本がん研究機構(WJOG)においてペムブロリズマブ+パクリタキセル+ベバシズマブの効果を検討するPRELUDE試験が計画中という。予後不良症例に対する新規治療戦略や、他のICIを用いた開発が進行中 TNBCの周術期ICI治療に現在承認されているのはペムブロリズマブのみだが、他の薬剤の試験も実施されている。 アテゾリズマブについては、術前・術後に投与したIMpassion031試験において、pCRの改善は認められたが、EFSは改善傾向がみられたものの統計学的に有意な改善が認められなかった。しかしながら、対照群がKEYNOTE-522試験と同様のGeparDouze/NSABP-B59試験が進行中であり、結果が注目される。 術前・術後の両方ではなく、どちらかのみICIを投与するレジメンも検討されている。術前のみの投与については、アテゾリズマブを用いたneoTRIP試験はnegativeだったが、デュルバルマブを用いたGeparNeuvo試験(第II相試験)において、pCRでは差がなかったもののEFSの改善が認められている。術後のみの投与については、アテゾリズマブを用いたAlexandra/IMpassion030試験ではEFSの改善が認められておらず、ペムブロリズマブを用いたSWOG1418/BR006試験は現在進行中である。尾崎氏は、これまでの成績からは術前・術後とも投与することが重要ではないかと考察している。HR+/HER2-乳がんに対する周術期ICI治療の開発 TNBCだけではなく、現在、他のサブタイプに対しても周術期ICI治療の開発試験が行われている。高リスクのHR+/HER2-乳がんに対して術前化学療法および術後内分泌療法へのICIの上乗せ効果を検討する試験として、ペムブロリズマブのKEYNOTE-756試験とニボルマブのCheckMate 7FL試験が進行中だが、どちらも有意なpCR率の改善が示されており、EFSの結果が期待される。 尾崎氏は、これらの開発状況を踏まえ、「乳がん領域においても、今後さらに周術期ICI治療が増えてくる」と期待を示し、講演を終えた。

33.

T-DXd中止後の乳がん治療、最も多いレジメンは?(EN-SEMBLE)/日本臨床腫瘍学会

 切除不能または転移を有するHER2陽性乳がん患者を対象に、T-DXd中止後に実施した治療レジメンの分布を調査したEN-SEMBLE試験の中間解析の結果、半数以上の患者が抗HER2療法を継続していたことを、愛知県がんセンターの能澤 一樹氏が第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。 現在、T-DXdの後治療に関しては見解が割れており、間質性肺疾患などの有害事象や病勢進行によってT-DXdを中止した後の最適な治療の決定は喫緊の課題である。そこで、研究グループは、T-DXd中止後に使用される治療レジメンの分布とその有効性・安全性を検討するために多施設コホート研究を行った。今回は、中間解析としてT-DXd中止後の治療レジメンの分布に関するデータが発表された(データカットオフ:2023年5月31日)。 対象は、特定使用成績調査に登録し、切除不能または転移を有するHER2陽性の乳がんに対して2020年5月25日~2021年11月30日にT-DXdの投与を開始したものの、2023年5月31日までに中止し、後治療を開始した患者であった。主要評価項目は、T-DXd中止後の治療レジメンの分布、無増悪生存期間、治療成功期間、後治療に切り替えるまでの期間、全生存期間、全奏効率などで、T-DXdを中止した理由別に評価される予定。 主な結果は以下のとおり。・解析には664例が組み込まれた。65歳未満は62.5%、年齢中央値は60.0歳(範囲 30~89歳)、女性が99.5%であった。・T-DXdの後治療で多かったのは、(1)トラスツズマブ+ペルツズマブ(204例[30.7%])、(2)トラスツズマブ(157例[23.6%])、(3)ラパチニブ(104例[15.7%])を含むレジメンであった。・(1)のトラスツズマブ+ペルツズマブを含むレジメン(30.7%)にさらに併用された治療は、化学療法が23.0%(エリブリン11.6%、ビノレルビン2.7%、ドセタキセル2.0%、パクリタキセル2.0%、カペシタビン1.5%、S-1 1.2%など)、内分泌療法が2.7%(フルベストラント0.9%、レトロゾール0.9%、アナストロゾール0.5%など)で、併用薬なしは4.7%であった。・(2)のトラスツズマブを含むレジメン(23.6%)にさらに併用された治療は、化学療法が16.7%(エリブリン5.4%、ビノレルビン3.8%、S-1 2.0%、ゲムシタビン1.5%、カペシタビン1.4%、パクリタキセル1.2%など)、内分泌療法が2.7%(フルベストラント0.9%、アナストロゾール0.8%、タモキシフェン0.5%など)で、併用薬なしは4.2%であった。・(3)のラパチニブを含むレジメン(15.7%)にさらに併用された薬剤は、カペシタビン13.6%、レトロゾール0.6%、アナストロゾール0.5%などで、併用薬なしは0.3%であった。・エリブリンが投与された130例(19.6%)のうち、併用が多かったのはHER2抗体薬17.3%(トラスツズマブ+ペルツズマブ11.6%、トラスツズマブ5.4%、トラスツズマブ+ペルツズマブ+レトロゾール0.2%、トラスツズマブ+ペルツズマブ+その他の薬剤0.2%)、ドセタキセル0.2%で、併用薬なしは2.1%であった。・ベバシズマブが投与された53例(8.0%)のうち、パクリタキセルが併用されたのは7.8%、nab-パクリタキセルが併用されたのは0.2%であった。・CDK4/6阻害薬が投与された19例(2.9%)のうち、アベマシクリブとの併用が多かったのはフルベストラント1.2%、アナストロゾール0.5%、エキセメスタン0.2%、レトロゾール0.5%、LH-RHアゴニスト0.2%、パクリタキセル0.2%であった。パルボシクリブとの併用が多かったのはレトロゾール0.5%、フルベストラント0.5%であった。・化学療法の有無別にみると、化学療法を含む後治療は484例(72.9%)であった。化学療法との併用で多かったのは、抗HER2療法53.3%、化学療法のみ9.8%、分子標的薬(抗HER2療法以外)8.1%、抗HER2療法+内分泌療法0.9%、抗HER2療法+その他の薬剤0.3%、抗HER2療法+分子標的薬(抗HER2療法以外)0.3%、免疫チェックポイント阻害薬0.2%であった。・化学療法を含まない後治療は180例(27.1%)であった。抗HER2療法のみが11.1%で最も多かったが、抗HER2療法+内分泌療法6.8%、内分泌療法のみ4.2%、分子標的薬(抗HER2療法以外)+内分泌療法3.0%、分子標的薬(抗HER2療法以外)のみ0.5%、抗HER2療法+分子標的治療(抗HER2療法以外)0.2%などもあった。 これらの結果より、能澤氏は「T-DXd中止後の乳がん治療において、半数以上の患者が抗HER2療法を継続していたことが明らかになった。最終的な分析として、後治療のレジメンの有効性と安全性を調査する予定である。EN-SEMBLE試験の結果は、アンメット・メディカル・ニーズであるT-DXdの後治療の最適化に関する知見を提供できると考える」とまとめた。

34.

進行乳がんへのDato-DXd、アジア人でもPFS延長(TROPION-Breast01)/日本臨床腫瘍学会

 化学療法の前治療歴のあるHR陽性(+)/HER2陰性(-)の手術不能または転移・再発乳がん患者を対象とした第III相TROPION-Breast01試験のアジア人サブグループ解析の結果、全体集団と同じく抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は化学療法よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、かつ管理可能な安全性プロファイルで、治療薬の減量/中断が少なかったことを、昭和大学の鶴谷 純司氏が第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)のPresidential Sessionで発表した。 TROPION-Breast01試験は、HR+/HER2-、1~2ラインの全身化学療法歴、内分泌療法で進行または不適、ECOG PS 0~1の手術不能または転移・再発の乳がん患者を、Dato-DXdを受ける群と治験医師選択の化学療法(エリブリン、ビノレルビン、カペシタビン、ゲムシタビン)を受ける群に1:1に無作為に割り付けたグローバル第III相試験である。全体集団において、Dato-DXd群では化学療法群よりも有意にPFSが延長し、かつGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は少なかったことが、2023年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告されている。今回は、東アジア(日本、中国、韓国、台湾)で登録された患者における有効性と安全性が解析された(データカットオフ:2023年7月17日)。 主な結果は以下のとおり。・全体集団732例のうち、273例(日本70例、中国83例、韓国82例、台湾38例)がアジア人サブグループとして解析された。Dato-DXd群は134例(年齢中央値:54歳[範囲 29~83歳]、化学療法群は139例(52歳[33~79歳])であった。・主要評価項目の1つである盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS中央値は、Dato-DXd群は5.6ヵ月(95%信頼区間:5.4~8.1)、化学療法群は4.5ヵ月(同:4.0~5.8)であり、Dato-DXd群で有意に改善した(ハザード比:0.69[同:0.51~0.94])。・フォローアップ期間中央値の10.1ヵ月時点では全生存期間(OS)のデータは未成熟であったが、6ヵ月OS率はDato-DXd群91.5%、化学療法群89.6%であった。・奏効率は、Dato-DXd群は32.8%であったのに対し、化学療法群は26.6%であった。・全GradeのTRAEはDato-DXd群の95.4%(うちGrade3以上は20.8%)、化学療法群の84.4%(同:52.6%)に発現した。TRAEにより中止/減量/中断に至ったのはDato-DXd群では3.1%/14.6%/26.2%、化学療法群では0.7%/32.6%/31.9%であった。両群ともに死亡はなかった。・Dato-DXd群に発現した主なTRAEは、悪心54.8%、口内炎37.7%、脱毛症23.8%、嘔吐22.3%、ドライアイ20.8%などであった。・間質性肺疾患は、Dato-DXd群では3.8%(うちGrade3以上は1.5%)に認められたが、化学療法群では認められなかった。 これらの結果より、鶴谷氏は「TROPION-Breast01試験のアジア人解析において、Dato-DXdは全体集団と同様に高い有効性と安全性を示した。減量/中断に至るTRAEは化学療法群よりもDato-DXd群のほうが少なかった」としたうえで、「本解析の結果は、Dato-DXdは内分泌療法に不適でHR+/HER2-の進行乳がんの東アジア人にとって新たな治療オプションとなる可能性を支持するものである」とまとめた。

35.

HR+/HER2-転移乳がんへのSG、Trop-2遺伝子発現別の効果とUGT1A1遺伝子多型での安全性(TROPiCS-02)/日本臨床腫瘍学会

 複数の治療歴のあるHR+/HER2-転移乳がん患者を対象に、sacituzumab govitecan(SG)を医師選択治療(TPC)と比較した第III相TROPiCS-02試験において、探索的解析の最終解析(追跡期間12.8ヵ月)における無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の結果がASCO2023で報告されている。今回、それに加えて、探索的解析のTrop-2遺伝子(TACSTD2)発現の有無別のPFSとOS、さらにUGT1A1遺伝子多型における安全性について、米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。 UGT1A1遺伝子多型における安全性については、UGT1A1遺伝子多型がイリノテカン、パゾパニブ、スニチニブ、ニロチニブなどの抗がん剤と同様に、SGにおいてもグルクロン酸抱合の減少により好中球減少症、発熱性好中球減少症、貧血、下痢などの有害事象との関連が報告されていることから検討された。<TROPiCS-02試験の概要>・対象:転移または局所再発した切除不能のHR+/HER2-乳がんで、転移後の内分泌療法またはタキサンまたはCDK4/6阻害薬による治療歴が1ライン以上、化学療法による治療歴が2~4ラインの患者 543例・試験群:SG(1、8日目に10mg/kg、21日ごと)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで静注 272例・対照群:TPC(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン、ゲムシタビンから選択)271例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会によるPFS[副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、臨床的有用率(CBR)、患者報告アウトカム(PRO)、安全性[探索的解析]最終解析におけるPFS・OS、TACSTD2発現の有無別のPFS・OS・ORR・CBR・DOR、UGT1A1遺伝子多型における安全性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値12.8ヵ月の最終解析におけるPFS中央値は、SGが5.5ヵ月、TPCが4.0ヵ月と引き続き改善を示した(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.53~0.81、名目上のp=0.0001)。・OS中央値もSGが14.5ヵ月、TPCが11.2ヵ月と引き続き改善を示した(HR:0.79、95%CI:0.65~0.95、名目上のp=0.0133)。事前規定されたサブグループ解析においても、おおむねSGでベネフィットがみられた。・TACSTD2発現別の効果について、中央値(10.5TPM)以上を高発現、中央値未満を低発現として検討したところ、TACSTD2発現にかかわらず、PFS中央値はSGがTPCより改善した(低発現:5.6ヵ月vs.2.8ヵ月、高発現:7.3ヵ月vs.5.6ヵ月)。また、OS中央値も同様に改善がみられた(低発現:14.2ヵ月vs.10.6ヵ月、高発現:14.4ヵ月vs.11.8ヵ月)。・SG群のうち、UGT1A1 *28/*28の患者は、*1/*28の患者または*1/*1(野生型)の患者に比べ、Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)の発現率が高く、好中球減少症(順に64%、57%、45%)、下痢(順に24%、13%、6%)であった。・TEAEはUGT1A1 *28/*28の患者は野生型の患者より好中球減少症と下痢の発現までの期間が短く、*1/*28の患者は野生型や*28/*28の患者より貧血の期間が長かった。 Rugo氏は「SGはTrop-2遺伝子の発現にかかわらず、PFS、OSを改善し、UGT1A1の遺伝子多型に関係なく、管理可能な安全性プロファイルを有していた」とまとめた。

36.

EGFR exon20挿入変異陽性NSCLC、amivantamab+化学療法の日本人データ(PAPILLON)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR exon20挿入変異は非小細胞肺がん(NSCLC)のEGFR変異のうち3番目に多く、12%を占めるという報告もある1)。しかし、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬はEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCに対する効果が乏しい。そこで、EGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCを対象とした国際共同第III相無作為化比較試験(PAPILLON試験)において、EGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体amivantamabと化学療法の併用の有用性が検証され、化学療法単独と比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が報告された2)。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、小野 哲氏(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)がPAPILLON試験の日本人サブグループの結果を報告した。・試験デザイン:国際共同非盲検無作為化比較第III相試験・対象:未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLC患者・試験群:amivantamab+化学療法(amivantamab+化学療法群:153例[日本人:19例])・対照群:化学療法化学療法群:155例[日本人:15例])※・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、PFS2(2次治療開始後のPFS)、安全性など※:化学療法群は病勢進行時にamivantamab単剤療法へのクロスオーバーが許容された(全体集団の65例、日本人集団の11例がクロスオーバー)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はamivantamab+化学療法群15.6ヵ月、化学療法群20.1ヵ月であった。・日本人集団において、ベースライン時に脳転移を有していた患者の割合は、amivantamab+化学療法群21%(全体集団:23%)、化学療法群33%(同:23%)であった。・日本人集団におけるBICRに基づくPFS中央値は、amivantamab+化学療法群15.5ヵ月(全体集団:11.4ヵ月)、化学療法群5.6ヵ月(同:6.7ヵ月)であった(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.09~0.53)。・日本人集団におけるORRはamivantamab+化学療法群72%(全体集団:73%)、化学療法群67%(同:47%)であった。 ・日本人集団におけるOS中央値は、amivantamab+化学療法群では未到達(全体集団:未到達)、化学療法群25.5ヵ月(同:24.4ヵ月)であった(HR:0.79、95%CI:0.17~3.62)。・日本人集団におけるPFS2中央値は、amivantamab+化学療法群18.6ヵ月(全体集団:未到達)、化学療法群13.9ヵ月(同:17.3ヵ月)であった(HR:0.44、95%CI:0.15~1.34)。・日本人集団における治療継続期間中央値は、amivantamab+化学療法群13.2ヵ月(全体集団:9.7ヵ月)、化学療法群5.1ヵ月(同:6.7ヵ月)であった。・日本人集団におけるGrade3以上の有害事象は、amivantamab+化学療法群90%(全体集団:75%)、化学療法群53%(同:54%)に発現し、全治療薬の中止に至った有害事象は、amivantamab+化学療法群11%(同:8%)に認められ、化学療法群では0例(同:8%)であった。・日本人集団における安全性プロファイルは全体集団と同様であり、安全性に関する新たなシグナルは認められなかった。 本研究結果について、小野氏は「amivantamabと化学療法の併用は、有効性・安全性が日本人集団でも全体集団と同様であり、安全性に関する新たなシグナルも認められなかった。これらの結果は、未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLC患者において、本レジメンが新たな標準治療となることを支持するものである」とまとめた。

37.

転移TN乳がんへのSG、日本人での有効性と安全性(ASCENT-J02)/日本臨床腫瘍学会

 日本人の既治療の転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するsacituzumab govitecan(SG)の第II相試験の結果について、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で国立がん研究センター東病院の内藤 陽一氏が発表した。国際第III相ASCENT試験におけるSGと同程度の効果が認められ、安全性についても既知の安全性プロファイルと同様であったという。 SGは転移TNBCを対象としたASCENT試験において、医師選択治療に対して無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に改善し、米国、欧州、中国、シンガポール、韓国で2ライン以上の治療歴のある転移TNBCに承認されている。ASCENT-J02試験は、日本人の進行固形がん患者を対象とした非盲検第I/II相試験で、今回、既治療の転移TNBC患者を対象とした第II相試験における有効性と安全性の結果が報告された。・対象:切除不能な局所進行または転移/再発TNBCで、転移後に2ライン以上の標準化学療法後に難治または再発した患者36例・方法:SG(1、8日目に10mg/kg、21日ごと)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで静脈内投与・評価項目:[主要評価項目]独立判定委員会(IRC)評価による奏効率(ORR)[副次評価項目]PFS、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、治験責任医師によるORR、OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2023年5月12日で、追跡期間中央値は6.1ヵ月だった。・年齢中央値は50歳(範囲:29~73歳)、65歳未満が94%、ECOG PS0が72%、HER2低発現は41%だった。・主要評価項目であるIRCによるORRは25%(95%信頼区間[CI]:12.1~42.2、p=0.0077)で、ASCENT試験におけるORR 31%(95%CI:25.6~37.0)と同程度だった。また、TTR中央値は1.6ヵ月(範囲:1.2~3.0)、DOR中央値は6.2ヵ月(95%CI:3.1~未到達[NR])であった。・PFS中央値は5.6ヵ月(95%CI:3.9~NR)で、ASCENT試験における4.8ヵ月(同:4.1~5.8)と同等だった。OS中央値は今回の解析時点ではNRだった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)が72%に認められ、重篤なTEAEは14%に認められた。そのうち最も多かったのは好中球減少症(58%)と白血球減少症(36%)であった。 本試験の結果、SGは25%のORRを示し、PFS、TTR、DORの中央値もASCENT試験と同程度だった。安全性についても既知の安全性プロファイルとおおむね一致し、有害事象は支持療法と用量調節で管理可能で、新たな安全性シグナルは報告されなかった。内藤氏は「これらの結果は、日本人の転移TNBC患者に新たな標準治療としてSGの使用を支持する」と結論した。

38.

ペムブロリズマブ+化学療法の胃がん1次治療、アジア人の成績(KEYNOTE-859)/日本臨床腫瘍学会

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、アジア人の胃がんの1次治療においてもグローバルと同様、良好な結果を示した。 切除不能または転移を有するHER2陰性胃・食道胃接合部腺がんの1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用を検討した第III相KEYNOTE-859試験のアジア人サブセット解析の結果を、神戸市立医療センター中央市民病院の安井 久晃氏が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。 グローバルITT集団では、全生存期間(OS)中央値12.9ヵ月対11.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.78~0.87)、無増悪生存期間(PFS)6.9ヵ月対5.6ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.67~0.85)と、ペムブロリズマブ・化学療法併用群が化学療法群に対して優越性を示している(追跡期間中央値31.0ヵ月)。・対象:HER2陰性の局所進行切除不能または転移のある胃・食道胃接合部腺がん・試験群:ペムブロリズマブ(200mg)+化学療法(FPまたはCAPOX)3週ごと(ペムブロリズマブ・化学療法併用群)・対照群:プラセボ+化学療法(FPまたはCAPOX)3週ごと(化学療法群)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]PFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性 アジア人サブセットは525例で、ペムブロリズマブ・化学療法併用群は263例、化学療法群は262例であった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は28.6ヵ月であった。・OS中央値はペムブロリズマブ・化学療法併用群17.3ヵ月、化学療法群13.0ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.58~0.87)であった。・PFS中央値はペムブロリズマブ・化学療法併用群8.4ヵ月、化学療法群5.8ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.58~0.88)であった。・ORRはペムブロリズマブ・化学療法併用群61.2%、化学療法群48.9%であった。・DORはペムブロリズマブ・化学療法併用群10.0ヵ月、化学療法群6.6ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は59.9%、44.7%であった。 これらの結果は、ペムブロリズマブの化学療法併用をHER2陰性胃・胃食道部腺がん1次治療の選択肢として支持するものだとしている。

39.

新規抗体薬物複合体SG、既治療のNSCLCに対する第III相試験の結果(EVOKE-01)/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年1月22日、既治療の進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に関するsacituzumab govitecan(SG)の第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できなかったと発表した。 EVOKE-01試験はプラチナベース化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でPDとなった進行または転移のあるNSCLCを対象に、SGとドセタキセルを比較した試験である。 結果、主要評価項目であるOSは、SG群において良好な傾向が認められたものの、統計学的有意には至らなかった。もっとも、試験集団の60%超を占める、抗PD-1/L1抗体に奏効しなかったサブグループでは、対照群に比べてSG群で3ヵ月以上のOS延長が認められたとしている。 今回のデータは今後開催される医学学会で発表される。また、ギリアドは同試験の結果について規制当局との議論を予定している。 SGのNSCLCに関する臨床開発プログラムは、EVOKE-01以外にペムブロリズマブとの併用による第II相EVOKE-02試験、PD-L1高発現例の1次治療に関する第III相EVOKE-03試験が進行中である。

40.

腎臓がん患者でのニボルマブの皮下注は点滴静注に劣らず

 治療歴を有する腎細胞がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)の皮下注は、点滴静注と比べて薬物動態と奏効率について非劣性であることが、米ロズウェルパーク総合がんセンターのSaby George氏らが実施した臨床試験で示された。研究グループは、「この結果は、がん患者の時間と医療費の削減につながる可能性がある」と述べている。この研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウム(1月25~27日、米サンフランシスコ)で発表された。 George氏は、「ニボルマブの点滴静注は患者にとって大きな負担となる。ニボルマブを皮下注で投与できるのであれば、点滴椅子に1時間座っての治療が所要時間5分の注射で済むため、患者の治療体験は大幅に改善されるはずだ」と話す。 今回の試験では、ロズウェルパークを含む17カ国73カ所のがん治療センターで標準的な治療を受けた進行または転移性淡明細胞型腎細胞がん患者495人を、ヒトヒアルロニダーゼ配合のニボルマブを点滴静注で投与する群(247人、年齢中央値66歳)と皮下注で投与する群(248人、年齢中央値64歳)にランダムに割り付け、転帰を比較した。対象者は1〜2種類の標準的な化学療法をすでに受けていたが、免疫療法薬の使用は初めてだった。 その結果、ニボルマブの初回投与から28日目までの同薬の平均血中濃度と定常状態での同薬の最低血中濃度について、皮下注群は点滴静注群に対して非劣性であることが確認された(平均血中濃度:幾何平均比2.098、90%信頼区間2.001〜2.200、最低血中濃度:同1.774、1.633〜1.927)。また、盲検下独立中央判定委員会(BICR)が評価する客観的奏効率(ORR)は、皮下注群で24.2%、点滴静注群で18.2%であり、無増悪生存期間は前者で7.23カ月、後者で5.65カ月であった。 研究グループは、「ニボルマブは複数のがん種にわたって米食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。そのため、今回、腎細胞がん患者に対して示された同薬の有効性は、他のがん治療にも適用できる可能性を示唆するものだ」との見方を示す。 一方George氏は、「これは患者にとっても医師にとっても画期的な成果だ。患者がニボルマブによる治療を容易に受けられるようになることは間違いない」とロズウェルパークのニュースリリースで述べている。同氏は、「ニボルマブの皮下注が可能になれば、クリニックでのニボルマブ投与が可能になり、患者を輸液センターに送る必要がなくなる。そうなれば、患者に薬剤が投与されるまでの時間も短縮されるだろう」と話す。また、クリニックでの投与が可能になれば、治療へのアクセスの問題も緩和されるため、都市部と地方のがん患者間の格差も縮小する可能性があると指摘している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

検索結果 合計:1672件 表示位置:21 - 40