サイト内検索|page:10

検索結果 合計:188件 表示位置:181 - 188

181.

収縮期血圧は世界的に微減するも、低~中所得国で高い傾向に

世界全体の平均収縮期血圧(SBP)は1980年以降わずかに低下傾向にあるが、その変動には地域や国によって大きなばらつきがあり、近年は低~中所得国でSBPが高い傾向がみられることが、アメリカ・ハーバード大学公衆衛生大学院疫学科のGoodarz Danaei氏らによる系統的な解析で判明した。血圧が食事やライフスタイル、薬理学的決定因子に及ぼす影響を解明して介入の優先順位を決め、国の健康プログラムを評価するには血圧の変動に関するデータが不可欠だが、世界規模で実施された血圧の変動傾向に関する解析はほとんどないという。Lancet誌2011年2月12日号(オンライン版2011年2月4日号)掲載の報告。1980~2008年の199の国と地域、540万人のデータを解析研究グループは、1980~2008年までの199の国と地域における25歳以上の成人の平均SBPの変動傾向を推定するために系統的な解析を行った。既報または未公開の健康診断や疫学試験を調査し、786ヵ国・年、540万人分のデータを収集した。ベイジアン階層モデルを用いて、年齢、国、年度別の平均SBPをそれぞれ男女別に推算し、各調査・試験が当該国の典型を示すものか地域限定的なものかを明らかにした。2008年の世界の平均SBP:男性128.1mmHg、女性124.4mmHg2008年の世界全体の年齢調整平均SBPは、男性が128.1mmHg(95%不確かさ区間:126.7~129.4)、女性は124.4mmHg(同:123.0~125.9)であった。1980~2008年までの世界全体のSBPは、男性が10年ごとに0.8mmHg(同:−0.4~2.2)低下し(真の低下となる事後確率=0.90)、女性は1.0mmHg(同:−0.3~2.3)低下した(事後確率=0.93)。西ヨーロッパやオーストラリアでは女性のSBPが10年ごとに3.5mmHg以上低下していた(事後確率≧0.999)。男性のSBPは、北米の高所得国で10年ごとに2.8mmHg(95%不確かさ区間:1.3~4.5)低下し(事後確率>0.999)、次いで西ヨーロッパとオーストラリアで10年ごとに2.0mmHg以上低下していた(事後確率>0.98)。オセアニア、東アフリカ、南アジア、東南アジアでは男女ともに、また西アフリカでは女性のみSBPが上昇しており、男性は10年ごとに0.8~1.6mmHg(事後確率:0.72~0.91)、女性は10年ごとに1.0~2.7mmHg(事後確率:0.75~0.98)の上昇がみられた。女性のSBPが最も高かったのは東・西アフリカ諸国で、平均135mmHg以上であった。男性の場合はバルト海沿岸諸国と東・西アフリカ諸国でSBPが最高域にあり、平均値は138mmHg以上に達していた。西ヨーロッパ地域では、男女ともに高所得国でSBPが最も高かった。著者は、「平均して、世界全体のSBPは1980年以降わずかに低下していたが、その変動には地域や国によって大きなばらつきがみられた。最近の傾向としては、低~中所得国でSBPが高かった」と結論し、「低~中所得国をターゲットに地域住民ベースまたは個別化された有効な介入を行うべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

182.

O157による急性胃腸炎が、高血圧、腎障害、心血管リスクの増大と関連

大腸菌O157:H7に起因する急性胃腸炎の経験者は、高血圧、腎障害、心血管疾患のリスクが増大していることが、カナダ・ロンドン健康科学センターのWilliam F Clark氏らが行ったコホート試験で示された。アメリカでは年間、O157:H7感染症による消化管疾患が5~12万例にみられ、そのうち2,000例以上が入院し、約60例が死亡している。O157:H7が産生するShiga toxinは腎臓や血管を傷害し、溶血性尿毒症症候群(HUS)をきたす可能性がある。O157:H7曝露によるHUSの長期的な影響は、子どもではよく知られているが、症状がみられ比較的曝露量の少ない成人では不明であったという。BMJ誌2010年11月20日号(オンライン版2010年11月17日号)掲載の報告。汚染水飲用後8年以内の高血圧、腎障害、心血管疾患のリスクを評価研究グループは、大腸菌O157:H7とカンピロバクターに汚染された水道水の飲用による胃腸炎から8年以内に、高血圧、腎障害、心血管疾患を発症するリスクの評価を目的にプロスペクティブなコホート試験を行った。2000年5月のWalkerton市(カナダ、オンタリオ州)の水道システムの汚染による胃腸炎の集団発生後、2002~2005年までにWalkerton Health Studyに登録された成人1,977人を解析の対象とした。調査、健康診断、臨床検査を通じて年ごとに情報を収集した。主要評価項目は、急性胃腸炎(3日以上持続する下痢性疾患、出血性の下痢、1日3回以上の軟便)、高血圧(≧140/90mmHg)、腎障害(微量アルブミン尿、推算糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2)であった。自己申告後に医師によって診断された心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全)を副次評価項目とした。O157:N7胃腸炎経験者は定期的に血圧、腎機能をモニタリングすべき集団発生時の急性胃腸炎の発生率は54%(1,067/1,977人)であった。高血圧は35%(697/1,977人)で確認され、非急性胃腸炎例では32%(294/910人)であったのに対し、急性胃腸炎例では38%(403/1,067人)であった。腎障害の指標を少なくとも一つ満たした例は29%(572/1,977人)で、非急性胃腸炎例29%(266/910人)、急性胃腸炎例29%(306/1,067人)ともに同率であった。二つの指標のいずれをも満たした例は1.5%(30/1,977人)にすぎなかったが、非急性胃腸炎例の0.9%(8/910人)に対し、急性胃腸炎例では2.1%(22/1,067人)であった。心血管疾患は1.9%(33/1,749人)に認められた。急性胃腸炎の集団発生前に対する発生後の高血圧および心血管疾患の補正ハザード比は、それぞれ1.33(95%信頼区間:1.14~1.54)、2.13(同:1.03~4.43)と有意であった。腎障害の指標のいずれか一方を満たす例における急性胃腸炎発生前後の補正ハザード比は1.15(同:0.97~1.35)であったが、二つの指標の双方を満たす例では3.41(同:1.51~7.71)に上昇した。著者は、「大腸菌O157:H7とカンピロバクターに汚染された水道水の飲用による急性胃腸炎は、高血圧、腎障害、自己申告による心血管疾患のリスクの上昇と有意な相関を示した」と結論し、「大腸菌O157:H7に起因する胃腸炎を経験した患者に対しては、血圧と腎機能の定期的なモニタリングを行うべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

183.

約4割の主婦が過去1年以内に検診を受けていない?

主婦の約4割が「過去1年以内に検診を受けていない」という結果が、ソニー損害保険株式会社が27日に発表した「主婦の健康診断・健康意識に関する調査」より明らかになった。この調査は、2010年5月14日~5月17日の4日間、20歳~49歳の主婦(パート/アルバイト、専業主婦)に対し、インターネットリサーチで実施し、1,000名の有効回答を得たもの。過去1年間に受けた検診の種類を複数回答で聞いたところ、「過去1年以内にどの検診も受けていない」が39.8%と最も多い結果だった。過去1年以内にどの検診も受けていない398名に、検診を受けていない理由を複数回答で聞いたところ、「検診にお金がかかる」が39.4%と、経済面での理由が約4割となり、続いて「検診へ行く時間がない」32.7%、「面倒くさい」31.9%、「今のところ特に体に異常がみられない」29.1%となった。過去1年以内に検診したガンの種類を複数回答で聞いたところ、「子宮けいガン」が33.4%と最も多く、主婦の3人に1人が子宮けいガン検診を受けていたようだ。次に多かったのは「乳ガン」の25.9%で、「子宮体ガン」14.1%、「胃ガン」8.4%、「大腸ガン」5.7%、「肺ガン」4.1%となっている。全回答者1,000名に、あなたが受けてみたいと思う検診を複数回答で聞いたところ、1位「500円で受けられるワンコイン検診」58.5%、2位「自宅でできるキット検診」40.8%、3位「検診後に昼食が付いているランチ付き検診」30.0%となり、経済的かつ手軽に受けられる検診が求められていることがわかったという。また、ガン以外の女性特有の病気や女性がかかりやすい病気の中で気になっているものを複数回答で聞いたところ、「更年期障害」で62.8%、「子宮筋腫」 55.5%、「骨粗鬆症」33.0%、「子宮内膜症」31.8%、「貧血」29.5%となった。「更年期障害」と回答した割合は年齢があがるにつれて高くなっており、20代主婦で42.2%、30代主婦で59.2%、40代主婦では70.2%となっている。また、20代主婦では他の年代よりも回答した割合が高いものが多く、「貧血」(51.8%)、「子宮内膜症」(50.6%)、「卵巣のう腫」(38.6%)、「膀胱炎」(32.5%)で他の年代より10ポイント以上高くなっていた。詳細はこちらhttp://from.sonysonpo.co.jp/topics/pr/2010/05/20100527_1.html

184.

LDLコレステロールは総コレステロールを測定してFriedewaldの式による計算法で求める

 日本動脈硬化学会は26日、「LDLコレステロール直接測定法に関する記者会見」において日常臨床でLDLコレステロール値を管理指標とすべきとした上で、LDLコレステロール値は総コレステロールを測定し、Friedewaldの式による計算法で求めるべきで、LDLコレステロール直接測定法は改良の必要があるとの声明を発表した。LDLコレステロールをFriedewaldの式による計算法で算出してみた Friedewaldの式によるLDLコレステロールの計算法は、総コレステロール(TC)値、HDLコレステロール(HDL-C)値、トリグリセリド(TG)値の3つの測定値から、LDLコレステロール(LDL-C)値を算出する。LDL-C=TC - HDL-C - TG/5 ここに2007年8月に健康診断で測定した私のデータがある(2008年度以降は、健康診断で総コレステロール値が測定されなくなった)。TC値205mg/dL、HDL-C値41mg/dL、LDL-C値(直接測定法)139mg/dL、TG値 147mg/dLとあまり誉められた健康状態ではない。Friedewaldの式による計算法よってLDLコレステロール値を算出してみると、135mg/dLと直接測定法の値とおおよそ一致している。総コレステロール値からLDLコレステロール値へ脂質管理指標が改訂 さて、総コレステロール値に取って代わったLDLコレステロール値であるが、2007年4月に日本動脈硬化学会が発表した『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年度版』では、脂質管理指標から総コレステロール値が外され、LDLコレステロール値による管理が色濃くなった。これ自体は、従来の誤解が是正される方向に導いた。そもそも総コレステロール値はLDL-C、HDL-C、VLDL-Cの総和であり、動脈硬化を惹起させるリポ蛋白(LDLなど)と、逆に抑制するリポ蛋白(HDLなど)が含まれている。そのため、総コレステロール値よりLDLコレステロール値を動脈硬化の危険因子とする方が科学的に妥当である。2007年の改訂ではこの点が色濃く映った。 同ガイドラインではLDLコレステロール値の算出方法について、本文中および診断基準の表の脚注に、「直接測定法あるいはFriedewaldの式による計算法で算出する」との旨が併記されており、「食後やTG値400mg/dL以上の時には直接法を用いてLDLコレステロール値を測定する」としている。Friedewaldの式によるLDLコレステロール計算法はTG値400mg/dL以上の症例では適用できないことが背景 LDLコレステロール直接測定法はわが国で1997年に開発され、98年には診療保険適用となり、現在7つのキットが使用可能である。しかし、これら7つは方法論の違いによりキット間でLDLコレステロール値にバラツキがあり、特に脂質異常症例、TGが高い場合においては「外れ値」を示すことが多い。場合によってLDLコレステロール直接測定法はキット間で30mg/dL以上の差が認められるということが明らかになった。一方、脂質異常症例ではLDLコレステロール標準測定法であるBQ法とのバリデーションが許容範囲を超えていることも報告された。Friedewaldの式によるLDLコレステロール計算法ではTG値400mg/dL以上の症例では適用できないことから直接測定法が勧められていたが、直接測定法も完全な解決策ではないことが見出された。LDLコレステロール値は直接測定法が79.3%で計算法は20.7% それでは臨床現場ではLDLコレステロール値をどのようにして求めているのか?弊社が2008年12月に行ったアンケート調査によると、高LDLコレステロール血症患者を1ヵ月に20名以上診察している医師の79.3%が直接法を用いており、Friedewaldの式による計算法を用いている医師は20.7%にとどまった(ケアネット調べ)。この結果を見る限り、臨床現場ではLDLコレステロール直接測定法が主流になっている。LDLコレステロール値は総コレステロール値を測定してFriedewaldの式による計算法で求める学会は次のことを推奨している。 ・日常臨床の場では、TC値、HDL-C値、TG値を測定し、Friedewaldの式による計算法よってLDLコレステロール値を求める。・食後に来院した患者については、空腹での再診を求める。・TG異常高値例では、リスク管理の指標としてnon-HDL-C値を参考とする(non-HDL-C=TC-HDL-C)。non-HDL-Cにおける管理目標値は「LDL-C値+30mg/dL」とする。 なお、学会は、LDLコレステロール直接測定法について、今後、標準化、精度管理・情報公開が必要であると述べている。合わせて、現在、LDLコレステロール直接測定法が推奨されている「特定健診」については、総コレステロール値を測定項目に加えることを強く要望していることを述べた。学会は「特定健診」における直接測定法の導入に関して標準化および情報公開を付帯条件に容認したが、なされないまま特定健診がスタートした。 我々は現在、患者指導支援ツールを開発している。このシステムは患者さんの診療情報をもとに、患者さんに最適な指導ツールを作成できるサービスではある。残念ながら、現在の開発版ではLDLコレステロール値についてFriedewaldの式による計算法が適用されていない。今回の発表を受け、Friedewaldの式による計算法を適用したものに変更を検討し、TC値、HDL-C値、TG値からFriedewaldの式によってLDLコレステロール値が自動計算できるようになる見通し。

185.

がん、生活習慣病の発症リスクを自己判定する「リスクチェックシリーズ」発売

株式会社パシフィックマーケティングは12日、がんや生活習慣病等の病気が発症する可能性(リスク)を自己判定する予防観点での検査サービス「リスクチェックシリーズ」の販売を同日より開始した。この検査サービスは、株式会社バイオマーカーサイエンスが、研究開発・事業化していたバイオマーカー技術に基づき、一般検査用として開発したもの。検査はバイオマーカーとして評価の高い「尿中8-OHdG」を採用し、微量(1mL)の尿をサンプルとして、DNA損傷度を判定する。DNAの酸化度合いから、がんの発症リスクや生活習慣病の発症リスクを自己判定することにより、受診者本人の予防への自覚を促すことが可能となっているという。検査は一般的な健康診断に追加できる「一般健診追加タイプ」と、郵送で検体を送付する「郵送検診タイプ」の2種類。一般向けではなく、企業・団体等の検査機関に対してのみ販売される。がん発症リスクを検査する一般健診追加タイプの価格は、5,250 円/個(税込)。最低申込数は5,000検体。生活習慣チェック、DNA損傷度等も選択できる郵送検診タイプの価格は、6,300 円/個(税込)。こちらは100検体より申し込み可能。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.pacific-m.com/riskcheck/img/bms_pc20100412.pdf

186.

メタボへの危機感は20代から始まっている 働く女性の「メタボと生活習慣」に関する意識調査より

株式会社ナガセ ビューティケァは30日、同社が首都圏の20歳代~50歳代の働く女性を対象に行ったアンケート“働く女性の「メタボと生活習慣」に関する意識調査”の結果を発表した。結果から、働く女性の7割以上が、自分はメタボまたはメタボ予備軍だと思っていることがわかった。危機感は20代からすでに始まっているようだ。「メタボ=男性」というイメージを持ってしまいがちだが、同社では、仕事が忙しく生活習慣の乱れた働く女性も、知らぬ間に「メタボへの道」を歩き始めているのではないかと仮定して調査を行った。それを裏切る予想外の回答が続々とあがり、多くの働く女性が「メタボ」に危機感を持っていることが浮き彫りになったという。働く女性に『自分はメタボあるいはメタボ予備軍だと思いますか?』と質問したところ、7割以上が自分はメタボ・メタボ予備軍だと感じている、と回答した(「メタボだと思う」13.4%、「ややメタボ気味だと思う」22.8%、「今はメタボではないが、危機感はある」38.8%)。また、なぜそのように思うのかを自由に答えてもらったところ、「お腹が出てきた・肉がついたと感じるから」(98人)という答えが一番多く、次いで「太っている・太ってきたと感じるから」(47人)、「体重が以前に比べて増加したから」(46人)という回答が続いた。また、「階段を上る時に息切れがし、降りる時は膝に体重がかかり痛みを感じるため」(30代)というリアルな回答もあった。健康診断や医師からメタボと診断されたり、メタボの基準に当てはまるというよりも、以前と比べて変化した体重や体型がきっかけで、自己流でメタボと判断しているようだ。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://nbc.jp/beauty/pdf/20100330.pdf

187.

【トピック】肥満解消が必要と思っても、4割は何もしていない

4月のメタボ健診スタートも近いが、オムロンヘルスケアがまとめた意識調査によると、30―50歳代の7割が肥満解消の必要性を感じているが、このうち4割は特に何もしていないことがわかった。調査によると、メタボリックシンドロームという言葉を知っている人が3年連続増加し80%を突破。しかし、2人にひとりが自身をメタボリックシンドローム(予備軍を含む)と感じているが、それらの人の中には診断基準(ウエスト径)を正しく理解していない人も多いという。さらに、全体の7割が肥満解消(ダイエット)の必要性を感じているが、そのうち4割は特に努力していない。そして、ダイエットが必要と感じて何らかの努力をしている人でも、努力に「たいへん満足している」人は100人に1人だった。また、全体のうち4割の人が過去1年間に健康診断を受けていなかった。詳細はプレスリリースへhttp://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news2007/0124.html

188.

国外に連れ出され売春強要されたネパール少女・女性のHIV感染の実態

性的搾取を目的とする少女・女性の人身売買は南アジア全域にわたり、凶悪な性犯罪かつ重大な人権侵害と認められる。その被害少女・女性たちのHIV有病率と感染予測因子について、ハーバード大学公衆衛生スクールのJay G. Silverman氏らが調査を行った。報告は、JAMA誌8月1日号に掲載された。売買時年齢17.0歳、HIV陽性38.0%本研究は、ネパールの被害少女・女性を対象に行われた。性的搾取を目的にネパールから連れ出され、NGOによって保護され本国へ戻りリハビリサービスを受けた287例。1997年1月~2005年12月にかけての彼女たちの健康診断および診療録を、2006年1月に総合的に調査した。主要評価項目は、人口統計学的特性および人身売買・売春体験に基づくHIV有病率とリスク。無事に本国に戻れた少女・女性のうち38.0%(109/287)がHIVポジティブだった。このうち人身売買の証拠書類が残っていた225例の記録から、売買時の年齢正中値は17.0歳、15歳未満の少女が14.7%(33例)いたことが確認された。15歳未満の少女のリスクがとりわけ高い売買時の年齢が18歳以上群と15歳未満群を比べると、15歳未満群のHIVリスクが高かった(補正オッズ比;AOR 3.70)。感染率は60.6%(20/33)である。さらに、HIVポジティブには、売買先がインドのムンバイである(AOR 4.85)、強制売春の期間が比較的長い(AOR 1.02)との特性が見られ、売春宿での隷属的な期間が増すほどリスクは増加していた。事後解析では、複数の売春宿に抑留されていた15歳未満群でオッズ比が高く(対18歳以上群オッズ比5.03)、抑留期間が1年以上に及んだ者で高かった(同2.67)。以上のように対象のHIV有病率は高く、とりわけ15歳未満で人身売買された少女のリスクが高いことが明らかとなった。Silverman氏らは、「明らかとなった所見は、南アジアの特に若年者を対象に、性的搾取を目的とした人身売買が減るよう注意を払うこと、および治療介入する必要性を示している」と結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

検索結果 合計:188件 表示位置:181 - 188