サイト内検索|page:9

検索結果 合計:228件 表示位置:161 - 180

161.

日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

 不眠症の患者数は、高齢化社会に伴い急速に増加している。認知機能、情動機能、ADL機能に対する不眠症の影響は十分に研究されていない。岡山大学の菱川 望氏らは、日本人高齢者の不眠の有病率や認知機能、情動機能、ADL機能に対する影響について、性別、年齢により比較した。Neurological research誌オンライン版2017年2月9日号の報告。 対象は、地方行政の健康診断を受けた高齢者コミュニティ住民142人。対象者は、MMSEを含む認知機能、情動機能、ADL機能テストを行った。アテネ不眠尺度(AIS)スコアに基づいて2つのサブグループに分類し(AIS 3以下とAIS 4以上)、性別、年齢による認知機能、情動機能、ADL機能を比較した。 主な結果は以下のとおり。・主観的な不眠症(AIS 4以上)は、36.2%で認められ、男性よりも女性で多かった。・AISサブグループ間での認知機能に差は認められなかった。・男女ともに、老年期うつ病評価尺度(GDS)スコアは、AIS 3以下群よりもAIS 4以上群で有意に高かった。・やる気(Apathy Scale)スコアは、AIS 4以上群の男性で有意に高かった。・AISサブスケールのうち「日中の眠気」は、男性よりも女性で有意に高く(p<0.01)、とくに75歳以上で顕著であった(p<0.01)。・この高齢女性群は、Trail Making Testスコアが有意に低かった(p<0.05)。 著者らは「不眠症は、日本人高齢者コミュニティにおいて36.2%に認められた。不眠症患者では、抑うつ症状が多く認められ、男性ではやる気の低下を示した。75歳以上の女性における最も特徴的な点は、日中の眠気の頻度が高いことで、注意や執行機能の低下に関連する可能性がある」としている。関連医療ニュース 不眠症になりやすい食事の傾向 一般開業医でも不眠症治療を効果的に行うためには 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは

162.

毎食後の歯磨きで糖尿病と脂質異常症リスクが減少

 歯磨き頻度と生活習慣病の関連について調査したところ、毎食後の歯磨きが男性での糖尿病と女性での脂質異常症の発症を有意に抑制することがわかった。聖路加国際病院における5年間の後ろ向きコホート研究の結果を、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。歯磨きは心血管疾患発症の危険因子を減少させるために有益と考えられる。Journal of cardiology誌オンライン版2016年11月15日号に掲載。 著者らは以前、横断研究で歯磨きと糖尿病と脂質異常症の関連を報告しているが、今回、歯磨き頻度の低さが糖尿病および脂質異常症の独立した危険因子であるかどうかを検討した。 本研究は、2004年と2009年に年次健康診断を受け、2004年時点で30~85歳の人を調査した。歯磨きの頻度が「毎食後」「少なくとも1日1回」「1日1回未満」の3群における2004年から2009年の糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症の累積発症率を比較した。さらに、「毎食後磨く」群と「毎食後は磨かない」群の2群間で、年齢、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症の調整後に、糖尿病と脂質異常症の発症リスクの男女別のオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・1万3,070人の対象者のうち、2004年に糖尿病(575人)、脂質異常症(5,118人)、高血圧症(2,599人)、高尿酸血症(1,908人)であった人を除外した。・2004年と2009年の間の累積発症率は、糖尿病が318人(2.5%)、脂質異常症が1,454人(18.3%)、高血圧症が1,108人(10.6%)、高尿酸血症が489人(4.4%)であった。・「毎食後磨く」群に比べて、「毎食後は磨かない」群では男性の糖尿病発症(OR:1.43、95%信頼区間[CI]:1.040~1.970)、女性の脂質異常症発症(OR:1.18、95%CI:1.004~1.383)のリスクが有意に高かった。

163.

リウマチ専門医のうつ病診療はこれからどうすべきか

 カリフォルニア大学デービス校のErica Heiman氏らは、リウマチ専門医へアプローチし、日常診療におけるうつ病の認識を調査した。Journal of clinical rheumatology誌2016年9月号の報告。 カリフォルニア州のリウマチ診療医470人にアンケートを送付し、最終的に226件を分析した。回答者は、人口統計学的情報、診療特性、態度、認識、うつ病に関連する診療について回答した。リウマチ専門医の個人特性とうつ病関連診療特性を評価するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。リウマチ診療でうつ病は一般的だが診断システムが未確立 リウマチ専門医のうつ病に関連する診療についての調査の主な結果は以下のとおり。・リウマチ専門医の患者の半分以上がうつ病であったと回答した医師は、51%であった。・ほぼすべてにおいて(99%)、いくつかの診察で精神衛生上の問題に対処したと報告した。・リウマチ専門医の対処として、抗うつ薬を処方する、精神科医に紹介する、プライマリケア医へ逆紹介するが同程度に高く、約60%は多くの場合3つの戦略を適応すると回答した。・リウマチ専門医の効果的なうつ病管理の主な障壁として、精神的健康診断へのアクセスと患者の抵抗が特定された。・ロジスティック回帰分析では、毎週通院の患者、線維筋痛症患者、個人開業医では、抗うつ薬の高処方と関連が認められた(p<0.05)。 結果を踏まえ、著者らは「うつ病は、リウマチ診療で一般的であるが、診断、治療、患者紹介システムが確立されていない。精神健康保険サービスに対するリウマチ専門医の意識は高いが、うつ病患者のために一貫した効果的なケアを提供するための自信、時間、紹介ネットワークが十分でない。リウマチ患者のうつ病ケアを改善するためには、臨床医レベルの介入(たとえば、行動ヘルスケア研修の強化)と診療レベルの改革(たとえば、協調的ケア)の組み合わせが必要とされる」としている。

164.

高齢者の「噛む力」と死亡リスク

 70歳時の最大咬合力は、日本人高齢男性における全死因死亡率と独立して関連することが、新潟大学の岩崎 正則氏らによる研究で明らかになった。この研究データは、口腔機能と高齢者の健康との関連についての追加エビデンスになりうる。Journal of oral rehabilitation誌オンライン版2016年4月15日号の報告。 高齢者における口腔機能が死亡率に及ぼす影響に関して、情報は限られている。そこで著者らは、口腔機能、最大咬合力の客観的尺度が高齢者の死亡率と関連しているかどうかを検証するため、13年間追跡する前向きコホート研究を行った。 対象は、ベースライン時に70歳であった日本人559人(男性282人、女性277人)。ベースライン時に健康診断・歯科検診・アンケート調査を行い、電子記録装置(Occlusal Force-Meter GM10)を用いて最大咬合力を測定した。その後、生命状態を確認するために13年間フォローアップ調査を行った。性別で層別化し、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、最大咬合力の三分位間で生存率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・13年間で111人が死亡した(男性82人、女性29人)。・単変量解析の結果、男性において最大咬合力の最低群は、最高群と比較して全死因死亡リスクが増加していた(ハザード比[HR] 1.94、95%CI:1.13~3.34)。この関連は、交絡因子の調整後も有意であった(調整HR 1.84、95%CI:1.07~3.19)。・逆に、女性においては、最大咬合力と全死因死亡率との間に関連は認められなかった。

165.

呼吸不全死のリスクが高まる病歴とは?:高畠研究

 日本人の一般集団において、「男性」、「脳卒中」や「胃潰瘍」の病歴を持つことなどが呼吸不全死のリスクであることが、山形大学医学部内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科学)講座の小林 真紀氏らにより報告された。Scientific reports誌2016年5月16日号掲載の報告。 一般集団の呼吸不全死のリスク因子は、まだ確立されていない。著者らは過去の研究で、1秒量(FEV1)の低下と全死因死亡および心血管疾患死亡との関連を示したが、FEV1は呼吸器疾患死亡に対する独立したリスク因子ではなく、呼吸器疾患死亡には肺機能以外にも別の要因が関わっていることが考えられた。本研究は、日本人の一般集団を対象に、呼吸不全によって死亡した個人の特性を探索することを目的とした。 対象は、2004~06年の間に山形県東置賜郡高畠町で行われた地域の健康診断に参加した40歳以上の3,253人である。アウトカムは2010年末までの死亡とし、Cox比例ハザードモデルを用いて呼吸不全による死亡者の特性を生存者および呼吸不全以外の疾患による死亡者と比較することにより、ハザード比(HR)とその95%信頼区間(CI)を求めた。さらに、同定したリスク因子による呼吸不全死の予測モデルを作成し、C統計量を算出してその予測精度を評価した。臨床検査値は、ROC曲線を用いて最も感度および特異度の高くなるカットオフ値を検討し、モデルに投入した。 主な結果は以下のとおり。・2010年までの死亡者数は127人で、そのうち呼吸不全による死亡は27人であった(肺炎:22人、COPD:1人、肺線維症:3人、気管支喘息:1人)。・男性(HR 8.16 [95%CI:2.81~26.31])、高齢(3.58 [2.00~6.84])、Dダイマー高値(1.27 [1.08~1.38])、フィブリノーゲン高値(HR 1.71 [1.23~2.25])、BMI低値(0.44 [0.27~0.69])、総コレステロール低値(0.57 [0.37~0.87])、脳卒中歴あり(7.74 [1.19~28.78])、胃潰瘍歴あり(3.84 [1.51~9.07])が呼吸器疾患による死亡の独立したリスク因子であった。・年齢、性別、BMIを予測因子として投入したモデルに病歴(脳卒中、胃潰瘍)と臨床検査値(Dダイマー、フィブリノーゲン、総コレステロール)を加えたところ、純再分類改善度(NRI)や統合識別改善度(IDI)の有意な増加がみられた(NRI:HR 0.415 [95%CI:0.181~0.624]、IDI:0.093 [0.052~0.311])。

166.

<新規C肝治療薬>治験と実臨床のギャップはなぜ起こる?

 4月11日、都内にて「臨床試験結果と実臨床のギャップはなぜ生まれるのか」をテーマに、メディアラウンドテーブルが実施された(主催:アッヴィ合同会社)。演者は高口 浩一氏(香川県立中央病院 院長補佐 診療科長)。本ラウンドテーブルでは、C型肝炎の新規経口治療薬の話題を交えて、臨床試験データの持つ意味があらためて解説された。進化するC型肝炎治療、その臨床試験は C型肝炎ウイルスは1989年に米国で発見され、1992年からインターフェロンを用いた治療が開始、その後ペグインターフェロン療法が主体の時期が長く続いた。しかし、2014年のインターフェロンを使用しない経口薬のみのダクラタスビル/アスナプレビル併用療法の登場を境に、C型肝炎は経口薬で治療するという新しい時代に突入した。また、2015年にはオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠(商品名:ヴィキラックス配合錠)をはじめとした、インターフェロンが効きにくかったジェノタイプ1のC型肝炎患者のウイルス学的著効率(SVR12)が90%を超える薬剤が登場している。 しかし、実臨床では必ずしも臨床試験通りとはいかない。例えば、レジパスビル/ソホスブビル配合錠は臨床試験において日本人におけるSVR12が100%と報告されているが1)、高口氏の施設では投与した97例のSVR12は93.9%と、試験時と比較して低かった。この臨床試験と実臨床の差をどう捉えるべきだろうか? 高口氏は臨床試験の限界として、「5つのToo」を挙げた。臨床試験と実臨床の差、ポイントは「5つのtoo」 臨床試験の持つ問題点として、以下の5つが挙げられる2)。1.Too few:通常1,000例程度と、十分な症例数で検証されているわけではない2.Too simple:症例の年齢や併用薬、合併症などに制限がある3.Too brief:試験薬の投与期間が短い4.Too median-age:症例の年齢幅が狭く、小児や高齢者などへの適用例は少ない5.Too narrow:腎・肝機能障害のある患者や妊婦は対象から除かれている レジパスビル/ソホスブビル配合錠の場合も、実際に使用する患者は臨床試験時よりも高齢者が多いため、加齢に伴う生理機能の低下や併存疾患の存在が影響している可能性がある。また、病状の進行や服薬アドヒアランスが、効果や安全性に影響を与える点も注意が必要だ。新薬をより安全に使用するために、臨床試験データを活用 しかし、臨床試験データを用いることで、試験時より良い治療効果が出る場合もある。高口氏の施設では、ソホスブビル+リバビリンの治療を行った91例におけるSVR12は100%であり、これは臨床試験時の96.4%3)よりも良い結果であった。この点について、高口氏は「臨床試験での結果を基に、副作用対策を行ったためではないか。例えば、リバビリンは重症な貧血などの副作用が起こることもあり、そのため治療の継続が困難な患者もいる。実臨床ではこの点について、投与量を工夫し、より患者に合った量を投与するなど、専門医の臨床経験が治療成績に貢献した点もあるのではないか」と考察した。薬効を最大限に発揮させるために―早期発見の重要性 C型肝炎の治療は日々進化し、完治が望める疾患になりつつある。しかし、疾患が進行し、肝硬変になると薬剤が肝細胞に移行しづらくなるため、治療効果は低下する。高口氏は、現在のC型肝炎治療の問題点として、C型肝炎抗体検査の普及が不十分な点を指摘した。C型肝炎は検査によって容易に発見できるにもかかわらず、検査が普及していないため気付かれないことが多い。そのため、症状が出た時点ではかなり進行しており、薬が効きづらいケースもあるという。 高口氏は、「C型肝炎は簡単な検査で発見できるにもかかわらず、健康診断に組み込まれていない場合が多い。早期発見し、肝硬変に移行する前に治療を開始することは、患者さんにとって大きなメリットとなる。数千円程度の自己負担でできることが多いので、早期発見の重要性を再認識いただき、積極的に検査を実施していただきたい」と、抗体検査の持つ重要性も併せて強調し、セミナーを結んだ。参考文献1)ハーボニ―錠承認時評価資料・国内第III相臨床試験(GS-US-337-0113 試験)2)Rogers AS. Drug Intell Clin Pharm.1987;21:915-920.3)ソバルディ錠・国内第III相臨床試験(GS-US-334-0118 試験)

167.

日本人の眼圧上昇、メタボ因子との関連は?

 日本人を対象とした眼圧上昇とメタボリックシンドローム因子の変化との関連について、山梨大学大学院 社会医学講座助教の横道洋司氏らが、同県住民の健康診断データを用いて分析を行った。その結果、眼圧上昇は、血清トリグリセライド値・血圧値・空腹時血漿中グルコース値(FPG)の長期的な悪化と関連しており、一方で、血清HDLコレステロール値の改善と関連していたと発表した。著者は、「結果については慎重な解釈が必要である」と述べ、「血清脂質と眼圧との関連についてはさらなる生理学的な検討が必要である」とまとめている。BMJ Open誌2016年3月24日号掲載の報告。 先行研究で、心血管リスク因子の眼圧への寄与について検討されてはいるが、高度な相関があるのかについては、心血管疾患の基礎を成す交絡因子によって明白ではない。そこで研究グループは、メタボリックシンドロームの因子に焦点を絞り、眼圧上昇に関与するのか、およびどの程度関与するのかを明らかにする後ろ向きコホート研究を行った。 1999年4月~2009年3月に、民間医療センターを受診し有料の健康診断を受診した県内住民のデータを集めて分析した。 主要評価項目は、眼圧変化が加齢やメタボリックシンドローム因子の変化によって上昇しているのかとした。分析はピアソン相関係数と混合効果モデルを用い、断面調査と縦断研究にて評価を行った。包含された被験者データは、断面調査(2008年4月~09年3月)2万7例、縦断研究(1999年4月~2009年3月に3~10回受診した被験者データを包含)1万5,747例であった。 主な結果は以下のとおり。・断面調査において、眼圧と年齢は負の関連が示された。一方で、腹囲、HDL-C値、トリグリセライド値、収縮期血圧値(SBP)、拡張期血圧値(DBP)、FPG値とは正の関連が示された。・縦断的多変量解析の結果、眼圧変化との関連が有意であったのは、男性(-0.12mmHg)、10歳の加齢(-0.59mmHg)、HDL-Cの1mmol/L上昇(+0.42mmHg)、トリグリセライドの1mmol/L上昇(+0.092mmHg)、SBPの10mmHg上昇(+0.090mmHg)、DBPの10mmHg上昇(+0.085mmHg)、FPGの1mmol/L上昇(+0.091mmHg)であった(いずれもp<0.0001)。

168.

ハミガキ頻度が糖尿病・脂質異常症の有病率と関連

 生活習慣を考慮して、歯磨きの頻度の低さは、糖尿病や脂質異常症の高い有病率と関連することが、虎の門病院の桑原 政成氏らの研究で明らかになった。歯磨き習慣は、口腔衛生の改善だけでなく、全身性疾患の予防のために有益であると考えられる。BMJ Open誌2016年1月14日号の報告。 本研究は、心血管疾患のリスク因子である高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎臓病と歯磨きとの関連を明確にすることを目的に、聖路加国際病院予防医学センターで2004年1月から10年6月まで実施された大規模、単一施設、横断研究である。 対象は、健康診断を受けた8万5,866人(男性:49.0%、平均47.0±11.5歳)。「毎食後」、「少なくとも1日1回」、「1日1回未満」の3群の基準に従って歯磨き習慣を調べた。歯磨き頻度ごとのオッズ比は、二項ロジスティック回帰を用い、年齢、性別、BMI、生活習慣、喫煙、飲酒、歩行時間、睡眠時間で調整後、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎臓病の有病率から算出した。 主な結果は以下のとおり。・各心血管疾患リスク因子の有病率は以下であった(毎食後群、少なくとも1日1回群、1日1回未満群)。高血圧症  (13.3%、17.9%、31.0%)糖尿病   (3.1%、5.3%、17.4%)脂質異常症 (29.0%、42.1%、60.3%)高尿酸血症 (8.6%、17.5%、27.2%)慢性腎臓病 (3.8%、3.1%、8.3%)・「1日1回未満群」は、「毎食後群」よりも糖尿病(オッズ比:2.03、95%CI:1.29~3.21)および脂質異常症(オッズ比:1.50、95%CI:1.06~2.14)の有病率が有意に高かった。高血圧症、高尿酸血症、慢性腎臓病の有病率は、歯磨き頻度によって有意な差を認めなかった。

169.

ナベちゃん先生のだれでも読める心エコー

第1回 心筋梗塞 第2回 大動脈弁狭窄症第3回 大動脈弁逆流症 第4回 僧帽弁逆流症 第5回 閉塞性肥大型心筋症 第6回 拡張型心筋症 循環器の専門医以外でも、心エコー図の診断・評価を求められる場面は多いはず。このDVDでは、心筋梗塞、大動脈弁の狭窄・逆流、僧帽弁逆流、心筋症という、一般医にも的確に診断が求められる代表的な心疾患に絞り、エコー図を数多く表示。重要疾患を見逃さないコツや、疾患ごとの画像評価のポイントを学ぶことができます。エコーを動画で見ることができるのも映像教材だからこそ。ナベちゃん先生こと東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺弘之先生のレクチャーで、心エコーの読影に自信が持てるようになること間違いなしです!第1回 心筋梗塞心筋梗塞は、心エコー検査で局所壁運動異常を評価することができます。ナベちゃん先生曰く、「虚血診断の基本は、壁運動で診断する」。どの領域の壁運動に異常が起きているのかがわかると、どの冠動脈に狭窄が起きているかがわかります。提示するエコー動画は傍胸骨短軸像、心尖部長軸像・四腔像・二腔像。像の動きから心筋の異常を見極め、心筋梗塞を正確に診断する方法を学びましょう。第2回 大動脈弁狭窄症今回のテーマは大動脈弁狭窄症。高齢化に伴い、大動脈弁狭窄の患者が増えてきました。大動脈弁狭窄になると、加齢性または動脈硬化性の変化で大動脈弁の動きが低下します。基本的な画像をさまざま提示する中で、とくに注目すべき傍胸骨短軸像。確実に診断できるポイントとは?さらに、連続波ドプラ法による大動脈弁狭窄ジェットの血流速度波形、圧較差の計測法など、大動脈弁狭窄症の診断を確定するための評価から重症度診断まで、詳しく解説します。第3回 大動脈弁逆流症大動脈弁逆流は、重症度がそれほど高くないのに心機能が落ちていく場合があります。心エコーを使ってしっかり評価しましょう。評価の際に一番重要な画像は傍胸骨短軸像。逆流が起こっている大動脈弁の弁葉、弁尖の周辺の「穴」をどう見つけるか?重症度は、カラードプラに切り替えて逆流ジェットで評価します。計測する方法や場所、注意するべき弁口の形など、評価のポイントを徹底的に解説します。第4回 僧帽弁逆流症 聴診で全収縮期雑音を聴いたときに、必ず鑑別診断の中に入る僧帽弁逆流症。その評価に心エコーはとても有用です。僧帽弁逆流を見るときは僧帽弁だけに注目するのではなく、僧帽弁複合体として、左心室や弁輪なども含めて全体を僧帽弁として捉えることが大切です。循環器領域で常識的に行われている僧帽弁の考え方を、解剖図やシェーマを用いて詳しく解説します。第5回 閉塞性肥大型心筋症 息切れや失神、胸痛などの症状が現れる閉塞性肥大型心筋症(HOCM)。傍胸骨長軸像で見ると、収縮期に僧帽弁が左室流出路へ倒れこむように動いていることがわかります。これが、閉塞性肥大型心筋症の最大の特徴です。心尖部長軸像や二腔像など様々な像で、僧帽弁が左室流出路を狭窄している様子や壁の肥厚を見ていきます。そのほか、肥大型心筋症(HCM)共通の特徴である局所性肥厚の分布を見るときの像についてなど、ナベちゃん先生がじっくりと解説していきます。第6回 拡張型心筋症 ちょっとした息切れ、または健康診断での心房細動などから拡張型心筋症の発見につながることが多々あります。心臓の中で起こっている心室と心房の拡大、壁運動の低下などがどの断面でどう見えるかを基本5断面でしっかりと確認していきます。さらにこの疾患の場合は、収縮期だけでなく拡張期の心機能もみていくことが大切。呼吸困難のステージを見極め、的確な治療につなげましょう。

170.

海外旅行で肺炎、請求は数千万円!

 MSD株式会社は、「シニアの海外旅行と肺炎~日頃の肺炎予防の重要性」をテーマに、11月19日、都内でプレスセミナーを開催した。シニア世代の海外旅行が増える中で、現地で肺炎を発症し、医療機関にかかるケースを紹介。どのようなリスクと対策があるのかを保険と医療のエキスパートが語った。治療費だけではない、海外旅行先での不慮の事態 はじめに加藤 修氏(ジェイアイ傷害火災保険株式会社)が、「シニアの海外旅行における事故と予防策」と題し、海外旅行先でシニアが遭遇する事故の傾向と特徴、そして、予防への取り組みについて説明を行った。 2014年度の海外旅行保険事故概況(ジェイアイ傷害火災保険調べ)によれば、事故発生率は3.53%(約28人に1人)に上り、その半数が治療・救援費用であること。また、最近、海外旅行先でシニアの事故が増加していると報告した(65歳以上と65歳未満では重症事故発生は65歳以上が約6倍)。そして、シニア旅行者が、旅先で入院など加療をした場合、治療費だけでなく、医療通訳や搬送費など費用がかさむことを指摘。たとえばシニア旅行者が、北米で肺炎に罹患し、約50日間入院・手術した場合、支払保険金額が約9,330万円に上った高額事例を紹介した。旅行前にリスク予防を啓発 シニア旅行者の事故原因は、転倒による外傷のほか、脳疾患、心疾患、肺炎が多く、高額保険金支払い上位5つのうち、4つまでがシニア旅行者であり、原因疾患も肺炎だったと報告した。そのため、同社では、予防に力を入れており、海外旅行保険への加入はもちろんのこと、渡航前のリスク情報の収集、肺炎球菌などのワクチンの積極接種、転倒防止などの事故予防グッズの購入、英文診断書作成などの渡航前健康準備をシニア旅行者に啓発している。とくに70歳以上の利用者には『健康・安全・保険情報BOOK』を配布し、実践してもらうことで、安全で楽しい旅をしてもらいたいとしている。インフルエンザ後の肺炎は要注意 続いて内藤 俊夫氏(順天堂大学医学部総合診療科 教授)が、「海外旅行者と高齢者肺炎」と題し、肺炎予防に焦点を当て、レクチャーを行った。 はじめに概要として、肺炎はわが国における死亡原因第3位であり、肺炎で亡くなった方の96.5%は65歳以上の高齢者である。肺炎の原因菌では、肺炎球菌が一番多く、ついでインフルエンザ菌であること、また、インフルエンザに罹患後、肺炎となる細菌性肺炎は予後が悪く、いわゆる「スペイン風邪」はこのタイプであり、臨床現場ではとくに注意が必要と語った。 こうしたインフルエンザや肺炎の発症予防・軽快のためにワクチンが存在するが、わが国ではワクチンの接種は、医療経済上の問題で進んでいない。 ワクチンの予防効果として、高齢者施設の入所者に対する23価肺炎球菌ワクチン(商品名:ニューモバックスNP)の予防効果に関する研究1)によれば、プラセボと比較し、肺炎発症減少率で63.8%、死亡減少率で100%だった。23価肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種者と未接種者の肺炎による入院率を比較した研究2)では、未接種者が約9%に対し、併用接種者では約5%と減少効果が認められたと語った。迷ったらワクチン接種を わが国の肺炎球菌ワクチン接種状況をみると、長らく公的補助がなかったなどの要因により、接種率は全国平均で20.9%であり3)、欧米諸国の接種率50%超と比較すると、依然として低い。今後、定期接種の普及により欧米並みに接種率が上がることが期待される。 外来の現場でとくに高齢者にワクチン接種を勧めるタイミングとしては、初診時、健康診断時、退院時、インフルエンザ接種時、海外旅行時など5つの場面が想定される。その際、過去の接種歴が定かでない場合でも、接種は積極的に行ったほうが良いとされ、インフルエンザワクチンと同時に接種すると、より高い予防効果が得られる2)。 また、高齢者の海外旅行では、肺炎球菌ワクチンのほかにも肝炎ワクチン、トキソイドワクチンも考慮し、接種を勧めるようにお願いしたい。その際、少なくとも出発の2週間前には接種を受けておく必要がある。 最後に「日本の高齢者は元気な方も多く、医療機関に頻繁に通うわけではない。診療の場で的確に機会を捉え、ワクチン接種へ医療者から誘導してほしい」と述べ、レクチャーを終えた。肺炎球菌ワクチンに関しては、「肺炎予防.jp」まで(ケアネット 稲川 進)関連コンテンツケアネット・ドットコム 特集「肺炎」はこちら。参考文献1) Maruyama T, et al. BMJ.2010;340:c1004.2) Hung IF, et al. Clin Infect Dis.2010;51:1007-1016.3) Naito T, et al. J Infect Chemother.2014;20:450-453.

171.

事例76 PSA F/T比の査定【斬らレセプト】

解説事例では、他院の健康診断にてPSA要再検査を指摘され、本院を受診した患者に施行した「遊離型PSA比(PSA F/T比)」が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となった。同検査の算定留意事項には、「診療及び他の検査(前立腺特異抗原(PSA)等)の結果から前立腺癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する」とある。カルテには、同検査の指示に併せて「他院測定PSA○○、前立腺がんを強く疑う」と記載があった。算定要件からは外れていない。レセプトの記載をみると、同検査のみの算定だけがあって、同検査の必要性が読み取れない内容であった。このような必要性が読み取れないレセプトの査定を防ぐためには、医学的に必要としたことが読み取れる表現を加える必要がある。「他院検査結果から要再検として来院、検査名:○○、値:○○、○○疾患が強く疑われた」など算定要件を満たしていることを、あらかじめコメントしておくことが必須なのである。

172.

Dr.香坂のすぐ行動できる心電図 ECG for the Action!

第1回  左室肥大の真実 第2回  縁の下の力持ち 心房の心電図変化 第3回  脚ブロックを使いこなすには 第4回  外科医と内科医の心電図 第5回  心電図の本丸 STの上昇 第6回  ST低下はどこまで信用できる? 第7回  上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ 第8回  上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別 第9回  なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応 第10回 5分で語る心房細動のエッセンス 第11回 心電図最後の山場 QT部分 第12回 声に出して読みたい心電図 心電図の目的は、波形から所見を読み取ることだけではありません。いま心臓に何が起こっているかを把握し、次の行動へとつなげ、患者にその情報を還元することができてはじめて心電図を十全に活用できたと言えるでしょう。本DVDでは、Dr.香坂のこだわりである、「読める」だけでなく「次のアクションにつなげる」ことに徹底フォーカス。心電図から読み取る所見をどう診療に役立てていくか?大切なのは、読影の先にあります。第1回 左室肥大の真実 心電図をどう次のアクションにつなげるか?まずは、心電図からわかる左室肥大の算出方法をDr.香坂が詳しくレクチャーします。心臓の大きさを見るときに、どことどこに注目するべきか?そういった基準は実ははっきりしてきています。でもそこで満足してはいけません。左室肥大の所見をどう役に立てていくか。大切なのはその先にあります。第2回 縁の下の力持ち 心房の心電図変化 今回は、心房拡大のメカニズムをP波の第2誘導を通してレクチャーしていきます。P波が120sec(3マス)以上伸びていると左房の拡大所見です。なぜそうなるのか、Dr.香坂の解説を聞くと、左房の拡大所見は、「実は伝導異常と言った方が正確だ」ということがわかります。左房の大きさを見ることで、心臓にかかっている負荷の経年的な評価をすることができます。左室異常よりも左房異常の患者の方が将来心不全になっていく可能性が高いので、きめ細かくみていく必要があるでしょう。第3回 脚ブロックを使いこなすには 心電図上で脚ブロックを見破るためには、V1誘導に注目します。深い谷のように切れ込んだパターンが出たら左脚ブロック、大きな「M」のような形で現れたら右脚ブロックの心電図パターンです。今回はさらに突っ込んで、不完全ブロックのパターンである「左脚前枝・後枝ブロック」についても細かく解説していきます。予後の指標になりにくい脚ブロックですが、限られた状況ではかなりの力を発揮します。そういった状況を的確にピックアップしていく力を身に着けましょう。第4回 外科医と内科医の心電図 今回は箸休めの話題です。日本は年に1回健康診断を行わなければならないと労働安全衛生法で定められており、その検査の中に心電図が必須項目として含まれています。ただしそれは世界的には例外なことで、アメリカやカナダなどのガイドラインではルーチーンの心電図を推奨していません。それはなぜなのでしょうか?また、横の変化に強いが縦の変化には弱い機械読みの話、内科医と外科医心電図の読み方の違いなど、ちょっと知っておきたい話題について解説します。第5回 心電図の本丸 STの上昇今回のテーマは心電図の中でもっとも注目を集める“ST”部分についてです。STは心筋の虚血や心筋梗塞に鋭敏に反映する指標となり、心電図の本丸と言っても過言ではありません。STが上昇している心電図は、ほぼ間違いなく急性心筋梗塞ということができます。ではなぜSTが上がるのか?そのメカニズムはもちろん、さらにもっと詳細に心電図を読み解き、波形と梗塞している箇所についてのつながりなど、徹底的に解説します。第6回 ST低下はどこまで信用できる?今回は、臨床的な状況判断が求められる“ST低下”“T波変化”“異常Q波”について取り上げます。Dr.香坂曰く 「ST低下は嘘ばかり」、「T波変化はもっと嘘ばかり」、「時代遅れの異常Q波」。さてその真意とは?そして臨床的な状況判断と言っても具体的にどう行動すればよいか。現在の支流について語ります。第7回 上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ不整脈のパターンにはいくつかありますが、分類するとMacro-ReentryとMicro-Reentryに分けられます。Macro-Reentryの大きな特徴は「肉眼的に目で見える」「カテーテルで灼ける」。今回はMacro-Reentryの理解を深めるための題材として、心房粗動を取り上げます。これらは心電図のパターン認識だけでなく、患者の治療にも結びつくので、ぜひ押さえておいてください。第8回 上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別今回は、AVNRTとAVRTのエッセンスをお教えします。AVNRTの特徴はP波が見えにくい、AVRTはQ波とP波が離れているということが挙げられますが、それぞれがなぜそのような波形を示すのか、その原理をわかりやすい図解を用いて解説。Dr.香坂いわく、「心電図を深読みすることが重要ではなく、“治療にどうつなげるべきか”が大切」です。Macro-Reentry型不整脈の治療についての理解が深まります。第9回 なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応今回は心室頻拍(VT)と心室細動(VF)について解説します。これらはポンプである“心室”に直接影響します。そのため、不安定徴候を来しやすく、すぐに、直接的に、対応することが必要となります。ゆっくり考えながら、心電図を読んでいる時間はありません。短時間で見るポイントと、その対応について学んでください。第10回 5分で語る心房細動のエッセンス今回は心房細動(AF)の解説です。心房細動は診療の中で一番多く見かける不整脈ではないでしょうか。心房細動は一言で言えば、「絶対的に不整」。QRSのリズムにパターンがないことが特徴です。この心電図を見たら、次のアクションは?!他の不整脈とは異なる対応が必要となる心房細動のエッセンスを5分でお教えします。第11回 心電図最後の山場 QT部分今回はQTについての解説です。QT間隔は実は測定が難しく、循環器の専門医であっても正確に測れるのは半分ほどと言われています。「QT間隔の基準値」というのもありますが、人種差や個人差があって非常に難しいところです。Dr.香坂が勧めるのは、「過去の心電図と見比べる」こと。QTが過去と比べて延長していたら、非常に重篤な不整脈を起こす恐れがあります。機械読みも必ずしも正確ではないので、重篤な不整脈を避けるためにも、QTの計測は正確に確実に行う必要があります。第12回 声に出して読みたい心電図最終回は「心電図一発診断!」。心電図から“カッコよく”診断を導き出していきましょう。でもちょっと待って!それは本当に臨床現場で役立つ読み方なのでしょうか?現実的な心電図の読み方はまず、「その心電図を読んで何の役に立つのか」を考えることです。パッとみて決めない。自分なりの見る順番を作ってきちんと守ること。過去の心電図があったら必ず見比べる。臨床の現場で心電図を読むときの心がけとポイントを、Dr.香坂が熱く語ります。

173.

朝食を抜きがちで運動不足の一人暮らしの男子大学生は太る【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第52回

朝食を抜きがちで運動不足の一人暮らしの男子大学生は太る FREEIMAGESより使用 この後ろ向きコホート研究は、男子大学生が肥満にならないようにするためにはどうしたらいいか、ヒントを与えてくれます。 これは京都大学で2000~07年に行われた研究です。被験者は、健康診断を毎年受けている法学部3回生です。私は関西出身なので、大学生のことを「年生」ではなく「回生」と呼んでいました。京都大学もおそらく「回生」と呼んでいる学生が多いのでは? Goto M, et al. Lifestyle risk factors for overweight in Japanese male college students. Public Health Nutr. 2010 Oct;13(10):1575-80. 余談はさておき、この研究に登録されたのはBMIが22.0以上の4,634人の男性学生でした。平均年齢は21.5歳。「あっ! この研究にオレも入ってるかも!」と思った読者がいるかな、とふと思ったのですが、法学部出身の人はこの連載を読んでないですよね。1年間のフォローアップで、BMIが5%以上増加したのは598人(12.9%)の生徒でした。BMI増加の独立リスク因子とされたのは、運動不足(オッズ比[OR]1.33、95%信頼区間:1.11~1.60)、アルコール摂取量が少ないこと(OR 1.30、95%信頼区間:1.08~1.57)、朝食をよく抜くこと(OR 1.34、95%信頼区間:1.12~1.61)、高脂肪食を好むこと(OR 1.36、95%信頼区間:1.04~1.78)、一人暮らし(OR 1.23、95%信頼区間:0.99~1.52)でした。該当するリスク因子数に応じて層別化を行うと、健康的な生徒と比較した場合、リスク因子最多の生徒ではBMI増加のオッズ比が6.22(95%信頼区間:2.58~15.0)でした。アルコールを飲まないほうが太るというのが「ハテナ?」と思いましたが、アルコール摂取で肥満のリスクが上昇するというコンセンサスはないのですね。知りませんでした。むしろ、アルコール摂取をしない大学生は、他のカロリー摂取源として食事を多く取るという可能性があるとかないとか。他の研究だと、早食いする大学生は体重が増えやすいという報告もあります1)。私も大学の頃はかなり早食いでしたが、子どもができてからゆっくり食べるようになりました。ところで、京都の大学に通っていると、ラーメン屋に行く頻度が多いと思います(それが統計学的に有意かどうかは神のみぞ知る)。私は研修医時代を京都で過ごしたのですが、週1回くらいの頻度でラーメン屋に通っていました。「いいちょ」という店が大好きで、ラーメンとチャーハンを毎回セットで頼んでいました。そのせいもあってか、当時は現在より体重が5kgも多かったのです。ちなみに、昼食に頻繁にラーメンを食べると日本人はトランスアミナーゼが増えるという報告があります2)。参考文献1)Yamane M, et al. Obesity (Silver Spring). 2014;22:2262-2266.2) Iwata T, et al. Tohoku J Exp Med. 2013;231:257-263.インデックスページへ戻る

174.

習慣飲酒が血糖状態を改善-日本の中年女性

 日本の中年女性において、アルコール摂取量と血糖状態は肥満症とは無関係に逆相関を示すことが、兵庫医科大学の下村 智子氏らによる研究で明らかになった。日本の中年女性は、飲酒することで心血管疾患の既知のリスク低下につながる可能性がある。Canadian journal of diabetes care誌オンライン版2015年8月12日号の報告。 最近の研究で、習慣飲酒は糖尿病のリスクを軽減することが示されている。しかし、アルコールと糖尿病の関係が肥満症の影響を受けるかどうかについては、いまだ明らかにされていない。本研究では、女性のアルコール摂取が血糖状態に影響を及ぼすのかについて検討した。 対象は、健康診断を受けた35~60歳の日本人女性1万8,352人。対象を、飲酒しない群、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群(エタノール 22g以下/日)、毎日大量に飲む群(エタノール22g以上/日)の4群に分けて検討した。アルコール消費量とHbA1c値の関連は、年齢、喫煙歴、運動習慣で調整後、共分散およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・HbA1c値は、飲酒しない群と比べて、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群、毎日大量に飲む群で有意に低かった。・これらの逆相関は、肥満状態(BMI、ウエスト身長比)によって変化しなかった。・飲酒しない群に対する高血糖のオッズ比は、ときどき飲む群で0.82 [95%CI:0.73~0.92]と1.00の基準値よりも有意に低かった(p<0.01)。毎日軽く飲む群のオッズ比は0.61 [95%CI:0.44~0.85]、毎日大量に飲む群は0.66 [95%CI:0.50~0.88]であった。・以上のことから、35~60歳の日本人女性において、アルコール摂取は肥満状態と独立しており、アルコール摂取量と血糖状態は逆相関を示すことが示唆された。

175.

1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。 対象は、1985年にHaboに住んでいた男性(757人)のうち、1985~1987年に健康診断を受けた男性652人。健康プロファイルを調査・測定し、健康に関する看護師との対話を実施、さらに高リスク群には医師との対話と検査を実施した。介入プログラムは、プライマリケア医療機関および地元関連機関の協力の下、実施した。心血管疾患およびがんの罹患はスウェーデン保健福祉庁のデータから、糖尿病については薬局での医薬品販売データから評価した。健康プロファイルより、生活習慣(喫煙、身体活動、飲酒)と生物学的リスクマーカー(BMI、血圧、血清コレステロール)に関する項目を選び、そのリスクポイントの合計で参加者を3群に分け比較した。 主な結果は以下のとおり。・リスクポイントの合計が最も低い群は、最も高い群と比較して、心血管疾患およびがんのリスクが有意に低かった。・生活習慣に関するリスクポイントが最も低い群は、最も高い群に比べて、心血管疾患リスクが有意に低く、生物学的リスクマーカーに関するリスクが最も低い群は、心血管疾患およびがんの両方のリスクが有意に低かった。喫煙と血清コレステロールは、最も重要なリスク因子であった。・糖尿病においては、BMIと喫煙が最も重要なリスク因子であった。

176.

ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第43回

ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気 >足成より使用 ゴミを扱う仕事に従事する人がどういった呼吸器疾患にかかるのかを検証した大規模な研究はありませんが、呼吸器症状や呼吸機能検査には影響を与えないと結論付けた報告があります(Tschopp A. et al. Occup Environ Med. 2011;68:856-859.)。 しかしその一方で、ゴミと関連した感染症やアレルギーを呈する報告もあります。 Allmers H, et al. Two year follow-up of a garbage collector with allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA). Am J Ind Med. 2000;37:438-442. この論文は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に罹患した29歳のゴミ回収業社員の症例報告です。彼は、ゴミ回収業に従事した夏に、呼吸困難感、発熱、インフルエンザ様症状を呈するようになりました。病院を受診したところ、胸部レントゲン写真では粘液栓(mucoid impaction)を示唆する索状影が観察され、IgE高値、アスペルギルス沈降抗体が陽性であることからABPAを疑われました。Aspergillus fumigatus抽出物を吸入すると、即時型喘息反応がみられました。この症例報告は日本の夏型過敏性肺炎と同様の機序と考えてよいと思いますが、過去にゴミを扱うことで真菌のアレルギー症状を起こすことが報告されています(Hagemeyer O, et al. Adv Exp Med Biol. 2013;788:313-320.)。また、ゴミ捨て場で働く子供において酸化ストレスマーカーが高いことも報告されています(Lahiry G, et al. J Trop Pediatr. 2011;57:472-475.)。日本のように医療制度が充実している国はともかくとして、健康へのリスクを有する職業に就いている人に対する健康診断は、世界的にもまだまだ課題が残されているようです。インデックスページへ戻る

177.

味噌汁・漬物を減らせば減塩できるか

 日本人一般集団において、味噌汁・漬物の摂取を控えることは、減塩のアプローチとして効果的だが、これは80~90代には当てはまらないことが、新潟大学の若杉 三奈子氏らによる研究で明らかになった。Internal medicine誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 食事の食塩摂取量を減少させるために、味噌汁と漬物の摂取を減らすことが推奨されている。しかし現在、日本人の食生活は欧米化しており、味噌汁や漬物をかつてほど頻繁に消費していない。よって、味噌汁・漬物のナトリウム摂取による影響を、あらためて検証した。 本研究では、新潟県佐渡市で2013年に健康診断を実施した8,821人(男性3,956人、女性4,865人;19~97歳)の結果データを用いて、味噌汁・漬物の摂取頻度と、推定24時間尿中ナトリウム排泄量との関連を検討する断面研究を行った。毎日の食塩摂取量のレベルは、スポット尿中のナトリウムおよびクレアチニン測定値に基づいて推定した。味噌汁と漬物の摂取頻度は自己申告のアンケートを用いて決定した。関連性は、多重線形回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1日あたりの平均塩分摂取量は9.4gであった。・味噌汁と漬物の摂取頻度は年齢とともに増加し、1日の食塩摂取量のレベルと関連する傾向が認められた(傾向のp<0.0001)。・年齢、性別、BMI、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、慢性腎臓病で調整した線形回帰モデル分析の結果、80歳以上を除く全年齢層における1日の食塩摂取量は、味噌汁(p<0.0001)および漬物(p<0.0001)の摂取頻度と関連が認められた。・以上のことから、味噌汁・漬物の摂取頻度の減少は、一般的な日本人集団における食塩摂取量を減少させるためのアプローチとして効果的であるが、80歳以上の人には効果的ではないことが示唆された。

178.

アリスミアのツボ Q18

Q18健康診断で見つかった脚ブロックに対する対応は?紹介されることはあるものの、これだけで心疾患診断の契機になったことは少ないのが実情。自分の経験では・・・最近ではあまり多くはないのですが、かつて健康診断で新たに発見された脚ブロック症例の紹介を受け、その方たちのチェックを行っていたことがありました。右脚ブロックでは心房中隔欠損症が、左脚ブロックでは冠動脈疾患や拡張型心筋症の初期に出会うことがありましたが、これはかなりレアケースだったと言えるでしょう。また、そのような場合の多くは、問診すると何らかの症状があったり、胸部レントゲン写真で軽度の心拡大が認められるなど、pureな脚ブロックだけという症例ではなかった気がします。公衆衛生学的見地ではどうなのでしょう公衆衛生学的な研究もなされており、(1)apparently healthy peopleでの右脚ブロックは、その後の生命予後に影響を与えないこと(2)新しく発見された左脚ブロックは、急性期には死亡率増加に寄与するが(これはおそらく虚血性心疾患や心不全の発症を見ています)、長期的には死亡率増加への寄与は小さいことが報告されています(Cuddy TE,et al. Can J Cardiol. 2006;22:205-211)。調べることは悪いことではない公衆衛生学的な情報はそうであれ、それを知ったうえで個別に基礎心疾患のチェックを行うことは有意義なことだと思います。そのほうが、患者さん(健常者?)にとっても安心できるからです。ただし、右脚ブロックではそもそも何かが見つかるということは滅多にない、左脚ブロックでも、最近初めて見つかったもの、何らかの症状や胸部レントゲンでの心拡大がないものでは、何かが見つかるという可能性はきわめて低いと考えておくべきでしょう。

179.

正常体重者も非アルコール性脂肪肝に注意!

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を含む生活習慣病における介入は、過体重および肥満者にフォーカスしていたため、正常体重者のNAFLD発症における成人期の体重増加の影響は明らかになっていない。 聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センターの木村 武志氏らによる横断的研究の結果、NAFLDが20歳以降の体重変化と強く関連し、この影響は正常体重の人でとくに大きかったことが報告された。この結果から、正常体重の健康な人でも早期および長期的な体重モニタリングが重要であることが示唆された。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2014年12月3日号に掲載。 著者らは、健康診断を受けた参加者からデータを収集し、超音波診断によるNAFLD有病率を、20歳以降の体重変化1kg刻みで調査した。相対リスク(RR)は、現在の体重(正常、過体重、肥満)によって層別化し、男女別に算出した。ロジスティック回帰を用いて、潜在的な交絡因子を調整したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2万1,496人の参加者のうち、NAFLDが3,498例(16.3%)にみられた。・20歳以降の体重増加に伴いNAFLDの有病率が増加した。10.1~11.0kg増加した群では、男性で41.6%、女性で24.8%がNAFLDであった。・四分位による多変量解析により、体重増加が男性および女性のNAFLDリスクと有意に関連していることが示された。・体重変化(10kg増ごと)に伴うNAFLDのリスクは、過体重および肥満の参加者に比べて、正常体重の参加者で有意に高かった。正常体重 男性:OR 7.53(95%CI 4.99~11.36)     女性:OR 12.20(95%CI 7.45~19.98)過体重  男性:OR 1.61(95%CI 0.91~2.85)     女性:OR 2.90(95%CI 0.99~8.54)肥満   男性:OR 4.0(95%CI 2.97~5.39)     女性:OR 2.68(95%CI 2.00~3.60)

180.

女性は男性より有害な心血管代謝プロファイルを示す―日本の糖尿病患者

 日本人の糖尿病患者は、男性よりも女性のほうが有害な心血管代謝プロファイルを示すことが、兵庫医科大学の若林 一郎氏による研究で明らかになった。日本の糖尿病女性は、男性よりも腹部肥満、高脈圧、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、メタボリックシンドロームの有病率が高いという。Journal of women's health誌オンライン版2014年11月14日号の報告。 糖尿病患者の心血管疾患リスクの性差に関する研究は、主に欧米で行われており、日本人を含むアジア人を対象とした報告は限られている。 そのため、本研究では、日本の地域住民の健康診断データベースから糖尿病患者1,707例を抽出して横断研究を行い、心血管代謝リスク因子を男女で比較した。男性1,138例、女性569例で男女比を2:1とし、年齢を一致させて検討を行った(男女とも53.8±7.4歳)。 主な結果は以下のとおり。・女性のウエスト・身長比は男性と比較し、有意に高かった。・BMIは男女で有意な差を認めなかった。・女性の拡張期血圧は、男性と比較し、有意に低かった。・女性の脈圧は、男性と比較し、有意に高かった。・収縮期血圧は、男女で有意な差を認めなかった。・女性のLDLコレステロールは、男性と比較し、有意に高かった。・女性のトリグリセリド(対数変換)は、男性と比較し、有意に低かった。・女性の脂肪蓄積量(対数変換)は、男性と比較し、有意に高かった。・女性の腹部肥満のオッズ比は2.00 であった(vs 男性、95%CI: 1.48~2.69)。・女性の高脈圧のオッズ比は1.48であった(vs 男性、95%CI: 1.15~1.91)。・女性の高LDLコレステロール血症のオッズ比は、1.48であった(vs 男性、95%CI: 1.13~1.92)。・女性の低HDLコレステロール血症のオッズ比は、1.77であった(vs 男性、95% CI: 1.32~2.37)。・女性のメタボリックシンドローム(IDF基準)のオッズ比は、1.68であった(vs 男性、95%CI: 1.28~2.21)。

検索結果 合計:228件 表示位置:161 - 180