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<先週の動き> 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほか 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省厚生労働省は、医療従事者の処遇改善を支援するベースアップ評価料などについて、医療機関が届け出た施設基準と実際の診療報酬請求の内容に齟齬が生じているケースが散見されるとして、8月診療分以降の請求前に改めて施設基準を確認するよう求めた。対象は外来・在宅ベースアップ評価料I・II、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料I・II、調剤ベースアップ評価料、看護職員処遇改善評価料など。2026年度診療報酬改定では、医療スタッフのさらなる賃上げを目的に、ベースアップ評価料の対象職種拡大や点数引き上げが行われた。外来・在宅ベースアップ評価料Iでは継続的に賃上げに取り組む医療機関をより高く評価し、入院ベースアップ評価料でも従来から賃上げを実施してきた医療機関を手厚く評価する仕組みが導入された。これに伴い、改定前から評価料を算定していた医療機関でも、6月以降に継続算定する場合は6月1日までに改めて施設基準を届け出る必要があった。しかし、6・7月診療分の請求では、届け出で受理された評価項目と実際に請求した評価料の種類や点数が一致しない例が確認された。厚労省は、改定対応が多岐にわたったことを踏まえ、この2ヵ月分については審査支払機関で特段の調整を行っていた。その一方で、8月診療分以降については、4月24日付の事務連絡や施設基準の届け出早見表を参照し、適切に請求するよう強く要請している。病院では、過去の賃上げ実績や入院ベースアップ評価料の選択状況によって、算定点数、入院料減算の有無、提出すべき様式が異なる。厚労省は、特設サイトでも必要書類や手続きを示しており、医療機関に対し自院で受理された施設基準とレセプト請求内容が一致しているか、請求前に改めて確認するよう呼びかけている。 参考 1) ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について(厚労省) 2) 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(同) 3) ベア評価料、診療報酬請求の内容に疑義が散見 受理された施設基準「改めて確認を」厚労省(CB news) 4) ベースアップ評価料の施設基準届出と請求との齟齬が頻発、8月分以降の請求に備え改めて自院の施設基準確認し、適切な請求を(Gem Med) 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連全国保険医団体連合会(保団連)は、厚生労働省が進めるOTC類似薬の保険給付見直しについて、患者への配慮措置が限定的で、慢性疾患の治療継続を妨げる恐れがあるとして制度の撤回・見直しを求めた。8月6~13日に実施した緊急調査では9,641人が回答し、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性便秘症、高尿酸血症など慢性疾患で対象薬の処方を受ける患者が約85%を占めた。厚労省は、市販薬と成分などが類似する医療用医薬品77成分、約1,100品目について、通常の窓口負担とは別に追加料金を求める制度を検討している。がんや指定難病患者、長期使用が医学的に必要な場合などは配慮対象とする方針だが、原疾患と関連しない症状や季節性の花粉症などは対象外となるケースが多い。保団連調査では花粉症・アレルギー性鼻炎患者の42.1%がいずれの配慮類型にも該当しなかった。保団連は、アトピー性皮膚炎で症状に応じてステロイド外用薬を変更するケースや、喘息で抗アレルギー薬を断続的に併用する場合など、治療自体は継続していても個々の薬剤が「通年使用」とならず配慮対象から外れる点を問題視。慢性腰痛や関節リウマチなどで使用する湿布薬も長期使用であっても原則対象外となるため、患者負担が大きくなると訴えた。保団連の試算では、制度による医療費削減は年間約900億円、保険料軽減効果は加入者1人当たり年約400円にとどまる一方で、花粉症で内服薬、点眼薬、点鼻薬を併用すれば月約1,500円の負担増になる可能性がある。また、医師が過去の治療歴や処方期間を確認して配慮対象を判定する必要があり、診療・薬局業務の複雑化や患者とのトラブルも懸念される。保団連は「配慮する必要のない患者という線引きに医学的根拠はない」とし、必要な医療へのアクセスを損なわない制度設計を求めている。 参考 1) OTC類似薬の配慮措置に関する疾患、処方薬ごとの影響(保団連) 2) OTC類似薬の保険給付見直し、配慮措置の適用は限定的-保団連が9,641人の患者調査結果公表(日本医事新報) 3) 「働いて身を削り、次は健康を…」花粉症薬など“保険除外”で年数万円の負担増も?現役世代の家計圧迫に医師・患者ら撤回要望(弁護士JPニュース) 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省最大震度7を記録した2026(令和8)年熊本地震の発生から3週間が経過したが、医療・介護施設への影響が続いている。厚生労働省によると、8月18日午前10時時点で熊本県内の18医療機関が断水しており、このうち14施設が八代市に集中している。被災医療機関はピーク時に92施設、断水は88施設に上った。県内ではDMAT15隊、DPAT12隊、災害支援ナース、JMAT、JRATなどが支援を継続している。高齢者施設でも960施設が建物被害や停電、断水、ガス停止などの影響を受けている。厚労省は、被災者への介護保険上の特例も相次いで示している。災害救助法が適用された10市10町1村の被保険者について、要介護・要支援認定の有効期間を市町村判断で最大12ヵ月延長でき、また、介護サービス事業者や介護施設などの指定更新についても、一定の権利の有効期限を2027年1月27日まで延長する特例を設けた。介護サービス利用料については、住宅の全半壊や床上浸水、主たる生計維持者の死亡・失職など一定の被害を受けた場合、市町村判断で自己負担1~3割を猶予・免除できる。すでに支払った利用料についても申請により還付が可能で、11月までの利用分などが対象となる。被保険者証を紛失した場合も氏名や生年月日などの確認でサービス利用を認める。さらに、公費負担医療の新規申請では、災害で申請が遅れた被災者について、医師の診断書に記載された日を受給開始日として取り扱える特例を設けた。厚労省は、被災者が医療・介護サービスや行政上の権利を失わないよう、柔軟な運用を自治体や関係機関に求めている。 参考 1) 熊本地震から3週間、18医療機関で断水(MEDIFAX) 2) 公費負担医療の新規申請、被災者は「診断日」を適用熊本地震で厚労省(同) 3) 令和8年熊本地震で被災した介護保険サービス利用者の利用料(1-3割負担)の猶予・免除、詳細な考え方提示-厚労省(Gem Med) 4) 令和8年熊本地震、要介護認定等の有効期間延長、介護サービス事業者等の指定更新の特例を認める-厚労省(同) 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病全国自治体病院協議会(全自病)がまとめた2025年度病院事業決算状況調査で、有効回答494病院の84%に当たる413病院が経常赤字となり、赤字額は計2,180億円に上った。前年度から赤字病院の割合は5ポイント改善したものの、依然として8割超が赤字で、自治体病院の厳しい経営環境が続いている。医業収益は前年度比3.3%増えた一方で、医業費用も3.0%増加。職員給与費は3.6%、材料費は5.3%増え、物価高と賃上げが収支を圧迫した。病床規模別では200床以上300床未満の病院がすべて経常赤字となった。大規模病院では改善がみられたが、500床以上でも8割超が赤字だった。経常収支の改善には、2025年度補正予算による1床当たり19万5,000円の賃上げ・物価高支援や救急受け入れ実績に応じた加算、国・都道府県の補助金、自治体からの繰入金増加が寄与した。その一方で、医業収支はなお大幅な赤字で、補助金がなければ経営はさらに厳しかったと全自病は推測している。全自病と全国自治体病院開設者協議会は8月19日、厚生労働省と総務省に緊急要望書を提出した。自治体病院は救急や不採算医療など地域医療の「最後の砦」を担う一方で、中東情勢悪化や円安を背景に医療用手袋、カテーテル、燃料などの価格上昇が続くとして、医療物資の安定確保や物価高対策、診療報酬の中間年改定を含む財政措置を要請。2026年度人事院勧告の月給3.51%引き上げが、ベースアップ評価料で想定した賃上げ水準を上回ることも経営悪化要因になると訴えた。地方交付税や特別交付税の拡充、公立病院の再編・統合、建て替え支援の強化も求めた。病院事業債の交付税措置対象となる建築単価上限は1平方メートル85万円に引き上げられたが、資材高騰でなお不足しているという。一方、四病院団体協議会は21日、2027年度税制改正に向け、社会保険診療報酬の消費税非課税制度を見直し、軽減税率やゼロ税率を含む課税取引へ転換するよう厚労省に要望した。仕入れや設備投資時に生じる控除対象外消費税が、病院建て替えや医療DX投資を妨げているとして、還付制度の創設を含む抜本的な制度見直しを要求。高額医療機器の特別償却制度の延長・対象拡大も求めており、病院団体は診療報酬、財政支援、税制の三面から経営基盤の立て直しを政府に迫っている。 参考 1) 自治体病院の8割が経常赤字 25年度、計2,000億円のマイナス続く(日経新聞) 2) 地域医療の砦となる自治体病院を守るため、物価高騰対応、期中の診療報酬改定含めた財政措置等の拡充等を要望-全自病(Gem Med) 3) 診療報酬の中間年改定含む対応を要望、2団体 物価高騰踏まえ 全自病など(CB news) 4) 控除対象外消費税の問題、抜本解決に向け重点要望病院を課税取引に 四病協(同) 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほかイヌを飼っている高齢者は、イヌを飼った経験がない高齢者に比べ、要介護認知症を発症するリスクが48%低い可能性があることが、国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などの研究チームによる大規模疫学研究でわかった。研究成果は国際学術誌“International Journal of Environmental Research and Public Health”に掲載された。研究では、自宅で暮らす高齢者1万1,224人を「現在イヌを飼育」「過去に飼育」「飼育経験なし」の3群に分け、7.5年間追跡。要介護認知症の発症や死亡との関連を調べた。逆因果や把握できない交絡因子の影響を抑えるため操作変数解析を用いた結果、現在イヌを飼育している人の要介護認知症発症リスクは、飼育経験がない人と比べて48%低く、オッズ比は0.52だった。イヌとの暮らしには、散歩による身体活動の増加や外出機会の確保、地域住民との交流、精神的健康の維持などが伴うことから、研究チームはこうした健康行動が認知症発症の抑制に寄与している可能性があるとみている。さらに、高齢者のイヌ飼育率が13.4%まで増加すると仮定して予算への影響を試算したところ、イヌの飼育に伴う家計支出を含む社会全体の追加費用は4年間で約4兆6,300億円となる一方で、公的な医療・介護費は約5,920億円削減される可能性が示された。研究チームは今後、イヌそのものの効果に加え、散歩や地域交流などイヌとの生活を通じて生まれる行動に着目し、認知症予防や健康寿命延伸策への活用を検討する。ただし今回の結果は疫学研究に基づくもので、イヌを飼えば認知症を防げると直接証明したものではない。 参考 1) 「イヌを飼育している高齢者」は「飼育したことがない高齢者」に比べ認知症発症リスクが48%低い-長寿医療研究センター(Gem Med) 2) イヌと暮らす高齢者が増えると4年間で約5,920億円の公的支出削減-約1万1,200名の地域在住高齢者を対象とした7.5年間の大規模疫学研究-(東京都健康長寿医療センター) 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県8月13日夜から14日にかけての記録的な千葉豪雨で、県内の病院や高齢者施設に浸水被害が相次ぎ、医療・介護提供体制への影響が長期化している。厚生労働省によると、25の医療施設と66の高齢者施設が被災し、発生から1週間以上経っても全面再開できない施設が残っている。八千代市のセントマーガレット病院では、地下機械室が浸水し、揚水ポンプやボイラーが故障。断水のため46人の透析患者が転院した。給水車を活用して18日から新規の長期入院患者の受け入れを再開したものの、透析センターの復旧は途上にあり、医療機器の滅菌にも通常より手間のかかる対応を強いられている。四街道市の介護老人保健施設でも給水ポンプや送迎車両が被災し、通所リハビリや入浴サービスを休止している。千葉大学医学部附属病院では地下の排水設備が冠水し、医療器具の洗浄装置が使用不能となった。19日には全手術を中止し、その後も手術件数を通常の半分程度に制限している。これを受け、東京科学大学病院は21日から院内の器材洗浄設備を提供。夜間の空き時間を利用してロボット支援手術器具などを洗浄し、1日約40件分の手術器材を処理できる体制を整えた。この支援は千葉大病院の設備復旧まで数週間続く見通し。今回の豪雨では、ハザードマップの浸水想定区域外にある医療機関でも被害が発生した。厚労省は「かつてなかった災害」とし、止水板の設置や地下設備の防水対策など、医療機関の水害対策強化が必要としている。 参考 1) 病院・高齢者施設 再開遠く 千葉豪雨 ボイラー故障透析患者転院(読売新聞) 2) 豪雨被災で手術制限中の千葉大病院へ、東京科学大病院が器材洗浄施設を提供…異例の国立大病院間支援(同) 3) 被害の千葉大病院支援 医療器具の洗浄設備貸し出し東京科学大(NHK)