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IL-23p19阻害薬グセルクマブ、中等症~重症の乾癬に有効/Lancet

 中等症~重症の乾癬の治療において、インターロイキン(IL)-23p19阻害薬グセルクマブはIL-17A阻害薬セクキヌマブに比べ、約1年の長期的な症状の改善効果が良好であることが、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らが行ったECLIPSE試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月8日号に掲載された。乾癬治療薬の臨床試験では、最長でも12週または16週という短期的な有効性の評価に重点が置かれてきたが、乾癬は慢性疾患であるため、長期的なエンドポイントの評価が求められていた。2剤を直接比較する無作為化第III相試験 本研究は、グセルクマブとセクキヌマブを直接比較する二重盲検無作為化第III相試験であり、2017年4月27日~2018年9月20日の期間に、9ヵ国(オーストラリア、カナダ、チェコ、フランス、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スペイン、米国)の142施設で実施された(Janssen Research & Developmentの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、中等症~重症の局面型皮疹を有する乾癬と診断され、光線療法または全身療法の適応とされた患者であった。中等症~重症は、乾癬面積重症度指数(Psoriasis Area and Severity Index:PASI、0~72、点数が高いほど重症)≧12、医師による全般的評価(Investigator's Global Assessment:IGA)≧3、6ヵ月以上持続するbody surface area involvement(BSA)≧10%と定義された。 被験者は、グセルクマブ(100mg、0、4週、その後は8週ごと)またはセクキヌマブ(300mg、0、1、2、3、4週、その後は4週ごと)を皮下投与する群に無作為に割り付けられ、44週の治療が行われた。フォローアップは56週まで実施された。 主要エンドポイントは、intention-to-treat集団における48週時のベースラインから90%以上のPASIの改善(PASI 90)の達成割合とした。副次エンドポイントは、12週および48週時のPASI 75、12週時のPASI 90、12週時のPASI 75、48週時のPASI 100、48週時のIGAスコア0(皮膚病変なし)、48週時のIGAスコア0または1(軽度)の達成割合であった。安全性の評価は、0~56週に1回以上の投与を受けた患者で行った。48週時PASI 90達成割合 84% vs.70%、12/48週時PASI 75達成割合は非劣性 1,048例が登録され、グセルクマブ群に534例、セクキヌマブ群には514例が割り付けられた。全体の年齢中央値は46.0歳(IQR:36.0~55.0)、女性が33%含まれた。平均罹患期間は18.4(SD 12.4)年、平均BSAは24.1(13.7)%、IGAは3(中等度)が76%、4(重度)が24%、PASIは平均値20.0(7.5)、中央値18.0(15.1~22.3)であった。 48週時のPASI 90達成割合は、グセルクマブ群が84%(451例)と、セクキヌマブ群の70%(360例)に比べ有意に優れた(差:14.2ポイント、95%信頼区間[CI]:9.2~19.2、p<0.0001)。 主要な副次エンドポイントである12週および48週時のPASI 75の達成割合は、グセルクマブ群のセクキヌマブ群に対する非劣性(マージンは10ポイント)が確認された(85%[452例] vs.80%[412例]、p<0.0001)が、優越性は認めなかった(p=0.0616)。 そのため、他の副次エンドポイントの統計学的な検定は実施されなかった(12週時のPASI 90はグセルクマブ群69% vs.セクキヌマブ群76%、12週時のPASI 75は89% vs.92%、48週時のPASI 100は58% vs.48%、48週時のIGAスコア0は62% vs.50%、48週時のIGAスコア0または1は85% vs.75%)。 全Gradeの有害事象(グセルクマブ群78% vs.セクキヌマブ群82%)、重篤な有害事象(6% vs.7%)、感染症(59% vs.65%)の頻度は両群でほぼ同等であった。頻度の高い有害事象として、鼻咽頭炎(22% vs.24%)と上気道炎(16% vs.18%)がみられた。活動性の結核や日和見感染は認めなかった。セクキヌマブ群でクローン病が3例報告された。 著者は「これらの知見は、乾癬治療の生物学的製剤の選択において、医療従事者の意思決定に役立つ可能性がある」としている。

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掌蹠膿疱症へのグセルクマブ、52週の有効性と安全性を確認

 乾癬治療における新規の生物学的製剤として2018年3月に保険収載された、ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤のグセルクマブ(商品名:トレムフィア皮下注シリンジ)に、同年11月、「既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:PPP)」の効能追加が承認された。この根拠となった日本大学の照井 正氏らの試験結果が論文発表され、有効性エンドポイントの改善が52週間にわたり一貫して示された。昨年の著者らの研究では、PPPの発症に対するIL-23の関与が明らかになり、グセルクマブが安全かつ有用であることが16週時の評価において認められていた。結果を踏まえて著者らは「IL-23p19をターゲットとするグセルクマブは、PPPという困難を伴う疾患に対し、有効で安全な治療選択肢となりうることが示された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年7月3日号掲載の報告。グセルクマブ100mgと200mg群、プラセボ群に割り付け 2015年12月15日~2017年12月12日、日本人PPP患者におけるグセルクマブの有効性と安全性を確認するための第III相無作為化試験を実施。PPPと診断され、スクリーニング前に24週間以上経過し、既存治療に対して効果不十分であった計159例(20歳以上)が登録された。 研究者らは、被験者にグセルクマブ皮下注100mgまたは200mg(0週、4週、12週、その後8週ごと)、およびプラセボ(0週、4週、12週)を投与した。 主要評価項目は、PPPASI(PPP Area and Severity Index)スコア(possible score range:0~72、高スコアほど病変範囲が広く、重症)のベースラインからの変化、PPSI(PPP severity index)スコア(同:0~12、高スコアほど重症)のベースラインからの変化、16週および52週時点のPPPASI-50(PPPASIスコア50%以上の低下)レスポンダーの割合であった。安全性は52週間にわたってモニタリングされた。 グセルクマブの有効性と安全性を確認するための試験の主な結果は以下のとおり。・登録患者159例の診断時の平均年齢±SDは、46.8±11.9歳、女性が126例(79.2%)だった。・登録患者はグセルクマブ100mg群54例、同200mg群52例、プラセボ群53例に割り付けられた。・グセルクマブ両群はプラセボ群と比べて、PPPASIスコアの最小二乗平均において有意な改善(グセルクマブ100mg群:-15.3、200mg群:-11.7、プラセボ群:-7.6)を示し、プラセボ群との差は、100mg群-7.7±1.7(95%信頼区間[CI]:-11.00~-4.38、p<0.001)、200mg群-4.1±1.7(95%CI:-7.47~-0.75、p<0.017)だった。・PPSIスコアの最小二乗平均は、グセルクマブ両群とも有意な改善(100mg群:-2.0±0.5[95%CI:-2.96~-0.95、p<0.001]、200mg群:-1.0±0.5[95%CI:-2.06~-0.03、p=0.04])を示した。・16週時点でのPPPASI-50達成率をプラセボ群18例(34.0%)と比較すると、グセルクマブ100mg群(31例[57.4%]、p=0.02)では有意に高かったが、グセルクマブ200mg群(19例[36.5%]、p=0.78)では有意差が認められなかった。・各有効性のエンドポイントは、52週間にわたって一貫して改善が認められた。・健康関連QOLは、Dermatology Life Quality Indexスコアの低下度で示されたように、グセルクマブ100mg群(-2.6、95%CI:-4.0~-1.2、p<0.001)、グセルクマブ200mg群(-1.6、95%CI:-3.1~-0.2、p=0.03)ともに有意な改善が認められた。・重篤な治療関連有害事象は8例報告されたが、重症感染症の報告はなかった。

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爪白癬が完治しない最大の原因とは?

 日本人の10人に1人が罹患し、国民病とも言われる爪白癬。近年、外用薬が発売され、本来、経口薬が必要なケースにも外用薬が安易に処方されることで、治癒率の低下が問題視されている。2019年4月19日、「感染拡大・再発を防ぐカギは完全治癒~爪白癬の完全治癒に向けて~」と題し、常深 祐一郎氏(埼玉医科大学皮膚科学教授)が登壇、経口薬による治療メリットについて解説した(佐藤製薬株式会社・エーザイ株式会社共催)。爪白癬の現状 日本人の足白癬、爪白癬の患者数はそれぞれ2,100万人、1,100万人(そのうち両者を併発している症例は860万人)と推測されている1)。これらの感染経路は多岐にわたり、罹患率を年齢別にみると、足白癬は40~50歳代でピークとなり減少するが、爪白癬は年齢とともに増え続けている2)。これに対し、常深氏は「働き盛り世代は革靴を履いている時間が長く足白癬に罹患しやすい。足白癬は市販の塗り薬でも治るので、靴を履く時間が短くなる年代で減少すると推測できる。しかし、爪白癬は内服薬を使ってしっかり治療しないと治癒せず、一度罹患するとそのままとなるため、高齢者ほど多くなってしまっている」と爪白癬治療の問題点を挙げた。爪白癬の原因・白癬菌の生息実態 爪白癬の原因となる白癬菌は、角質に含まれるケラチンというタンパク質が大好物である。生きた皮膚の細胞は防御反応を起こすため、菌も近寄りがたい。一方で、その表面にある角質は死んだ細胞のためそのような反応が起こらず、角質が厚く豊富な足や爪などは白癬菌の生息地として適しているのだという。また、床やバスマット、じゅうたん、畳などは白癬菌が角質とともに落下することで感染源となる。同氏は「角質に付着した白癬菌は長期間生存しているため、他人が落とした白癬菌を踏みつけて白癬菌に感染する。なかには、治療前に自分の落とした白癬菌が治療後に自分に戻るケースすらある。温泉やプールなどの床には多数の白癬菌を含んだ角質が落ちていることがわかっているので、自宅では定期的に洗濯・掃除することで落下した角質を除去し、温泉やプールから帰宅した際には、足を洗い、付着した白癬を除去して感染を予防しなければならない」とコメントした。爪白癬はなぜ治さなければならないのか? 爪白癬は白癬菌の巣のようなもので、これを放置すると何度も足白癬を繰り返す。また、爪白癬や足白癬から白癬菌が広がり顔や身体に白癬菌が増殖し、いわゆる「タムシ」の原因にもなる。そして、厚くなった爪は歩行の際の痛みの原因になるだけではなく、指に食い込んで傷を作り細菌感染症のもとにもなる。そうならないうちに爪白癬は治療しなければならないのである。爪白癬と確定するには? 爪が白いと“爪白癬”と思われがちだが、乾癬や掌蹠膿疱症、扁平苔癬、爪甲異栄養症など爪が白くなる疾患は多数存在する。その違いを外観で判断することは非常に難しいため顕微鏡検査が必須となる。ところが、同氏によると「検査を行わずに臨床所見で白癬と判断する医師は多く、その診断はよく外れる」とコメント。同氏は自身の研究データ3)を踏まえ、「そこそこ経験を積んだ皮膚科医ですら、見た目で爪白癬を診断すると7割弱しか正答できない。ほかの科の先生ではもっと低くなるだろう」と見た目だけの診断に警鐘を鳴らし、顕微鏡による検査が必須であることを強調した。爪白癬の適正な治療とゴール 最近では爪白癬用の外用液の普及により経口薬が用いられない傾向にあり、これが完全治癒に至らない最大の問題だという。外用薬は一部の特殊な病型や軽症例には有効であるが、多くの爪白癬の症例には経口薬が必要であるという。同氏は「外用液の場合、1年間塗り続けても20%の患者しか治らず、途中でやめてしまう人も多いため完治に至るのは数%ほどと推測される。新しい外用薬が登場したことで経口薬が用いられず、きちんとした治療がなされないという本末転倒の状況になっている」と述べ、爪白癬治療の現状を憂慮した。 経口薬は肝・腎機能への影響、薬物相互作用が懸念され、そのリスク因子が高い患者や高齢者には使いにくい印象があるが、「実際は、相互作用の少ない薬剤もあり、肝臓や腎臓についても定期的に検査すれば過剰に心配する必要はない。完治を目指し治癒率の高い経口薬を用いるべきである。最近は、相互作用が少なく、12週間という短期間の服用で治癒率の高い経口薬も登場した」と述べた。同氏は、爪白癬の治療に際し、『足の水虫を何度も繰り返す原因になります』、『家族の方にもうつしてしまうかもしれません』、『足以外の体にまでカビが生えてしまう前に治しましょう』、『しっかりと治療すれば完治も目指せますよ』、『短期間で終わる薬もあります』などのように説明し、治療の動機づけや継続率を高める工夫をしている。薬剤の選択と並んで、患者のやる気を引き出すことが爪白癬治療の重要なポイントだそうだ。 最後に「『完全治癒』とは、“菌を完全に排除”し“臨床的に爪白癬症状なし”とすることであり、これを達成できないと菌の残存により再発する」と述べ、治癒に至る可能性の高い経口薬の使用を強く訴えた。 なお、「皮膚真菌症診断・治療ガイドライン」は、来年までに改訂が行われる予定である。■関連記事患者向けスライド:爪白癬足白癬患者の靴下、洗濯水は何℃が望ましいか第10回 相互作用が少なく高齢者にも使いやすい経口爪白癬治療薬「ネイリンカプセル100mg」【下平博士のDIノート】

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応援歌で前向きに生きる乾癬の患者

 2019年4月9日、アッヴィ合同会社は、ミュージシャン・音楽プロデューサーとして人気を博すヒャダインこと前山田 健一氏とのコラボレーションにより完成した乾癬患者への応援ソング『晴れゆく道』の発表を記念し、都内においてメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、最新の乾癬診療の概要や今回の応援ソング制作の経緯などが説明された。なお、前山田氏も乾癬患者として現在、治療を受けている。患者は身体だけでなく心にもダメージ はじめに「乾癬を取り巻く社会問題と乾癬治療のパラダイムシフト」をテーマに多田 弥生氏(帝京大学医学部皮膚科学講座 主任教授)が乾癬の診療について説明した。 乾癬は、紅斑、皮膚の肥厚、鱗屑を主症状とする慢性の炎症性疾患で、時に皮膚の痒みや痛みを伴うほか、関節の腫れ、関節破壊を合併することもある。わが国には、約43万人の患者が推定され、初診時の平均年齢は56.7歳、男性に多いとされる。好発部位は、被髪頭部、四肢伸側、腰臀部で、紫外線が当たる顔面には症状が現れにくいとされる。また、本症は外見に関わる身体症状から多くの患者は、精神的なQOLの障害も抱えているという。 重症度の評価では、BSA(Body Surface Area)などの評価基準で重症度が判定され、治療が行われる。広く、長く効果が持続するリサンキズマブ 本症の治療では、活性型ビタミンD、ステロイドなどの外用療法を基本に、重症度に応じて光線療法、シクロスポリン(カルシニューリン阻害薬)、アプレミラスト(PDE4阻害薬)、レチノイドなどの内服療法、インフリキシマブ、アダリムマブ、ウステキヌマブなど7つの生物学的製剤による注射・点滴薬の治療が現在行われている。その一方で、アドヒアランス不良、効果の持続性、経済的な負担などの問題から、安全に長期間効果が持続する治療薬の登場が患者から望まれていた。 そうした声をうけ、本年3月にリサンキズマブ(商品名:スキリージ皮下注)が登場した。リサンキズマブは、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬乾癬性紅皮症を対象に、1回150mgを初回に、4週後、以降12週間隔で皮下投与する治療薬である(患者の状態に応じて1回75mgを投与することができる)。広い対応疾患と長い効果、皮下注という短時間の治療という特徴をもつ。 その効果について国際共同第III相臨床試験(UltIMMa-2試験)でリサンキズマブ(n=294)、ウステキヌマブ(n=99)、プラセボ群(n=98)を16週と52週時のPASI(乾癬の活動性・重症度評価)90の達成率で比較した場合、16週時点でリサンキズマブでは75%、ウステキヌマブでは47%、プラセボ群では2%だった。また、52週ではリサンキズマブは81%、ウステキヌマブでは51%とリサンキズマブは有意に改善を示した。安全性につき有害事象として、上気道感染などがみられたが、死亡にいたる重篤なものは報告されなかった。 同氏は今後の乾癬治療について「PASIのさらなる達成を実現するともに、治療薬の用法の改善、患者の要望の実現を目指したい」と展望を語った。患者会が患者の孤立を救う 後半では、「患者からの声」ということで「乾癬患者さんの精神的負担とアンメットニーズ」をテーマに2名の患者が登壇し、乾癬発症から現在までの悩みや医療者への要望を語った。 乾癬にかかると「自己肯定感」が低くなり、前向きに人生を歩もうという気がなくなるという。しかし、こうした気持ちが改善されるきっかけとなったのが患者会であり、「診療情報の共有化や孤立しないことで、患者が前向きになれる」と語る。最後に今後の診療への要望として、生物学的製剤の副作用、治療抵抗性への対応、薬価改善などを挙げ、「とくにコストに見合った効果を望む」と希望を述べた。 つづいて前山田氏が乾癬患者さんから募集した「夢ツイート」を基に制作した、乾癬患者さん応援ソング『晴れゆく道』を発表し、自身の疾患の体験談や楽曲に込めた想いを語った。

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強直性脊椎炎に新たな治療薬

 2019年1月30日、ノバルティスファーマ株式会社は、同社が製造販売(共同販売:マルホ株式会社)するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、昨年12月21日に指定難病である強直性脊椎炎への効能効果の追加承認を取得したことから都内でメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、強直性脊椎炎の概要のほか、患者を交えてパネルディスカッションが行われ、医療者、患者双方から診療の課題などが語られた。強直性脊椎炎の付着部炎症への治療に注目 はじめに「強直性脊椎炎(AS)の病態と新たな治療選択肢~IL-17阻害薬~」をテーマに亀田 秀人氏(東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野 教授)を講師に迎え、ASの診療概要とセクキヌマブの効果について解説が行われた。 ASは、脊椎関節炎の中でも体軸関節の炎症が主体となる代表疾患であり、リウマチなどと比較しても、若年での発症が多いとされている。また、「本症はHLA-B24の白血球の型が関係していると推定され、この陽性者はわが国で3万人程度と推計されているが、本症の指定難病受給者証所持者は3千人程度にとどまっている。陽性者イコール発症するわけではないが、見過ごされている患者もいる」と亀田氏は指摘する。 診断では、1984年の改訂ニューヨーク基準が使用され、3つの臨床基準とX線検査基準とでASを確定診断する1)。日常診療では、炎症性背部痛とくに腰痛の兆候が重要所見であり、画像診断ではX線とMRIで行うが、MRIの方が仙腸骨の描出が優れていると診断でのポイントを語った。また、ASでは腱や靭帯の付着部の炎症が起こるとされ、痛みを伴い、患者のQOLを著しく低下させ、こうした痛みの管理も必要とされる。 ASの治療目標としては、根治療法が現在ない以上、疾患との共生にむけ、「病状のコントロール、構造破壊の予防、身体機能の正常化を通じて、健康に関連したQOLと社会参加を最大にする」ことが挙げられる。 治療では、薬物療法と運動・理学療法が主体となり、痛みにはNSAIDsが、体軸の炎症には生物学的製剤であるTNF阻害薬などが使用される。また、患者には、疾患への教育と運動の励行、そして、禁煙なども指導される。 とくに薬物療法では、付着部炎症への治療が注目され、IL-17Aが炎症反応に関与する免疫応答に関わることから抗IL-17A抗体製剤の開発が行われてきた。開発されたセクキヌマブは、当初、乾癬の適応から始まり、海外と国内で2つの第III相二重盲検比較試験(MEASURE1およびMEASURE2)が行われ、今回適応に強直性脊椎炎が追加された。 MEASURE1は、活動性AS患者を対象に有効性と安全性を評価する2年間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照、第III相臨床試験。主要評価項目は、ASAS20反応基準で20%以上の改善を達成した患者の割合を指標とし、16週時点のプラセボに対するセクキヌマブの優越性を評価(プラセボ群に割付けられた患者は、16週時点のASAS20反応率に基づき、非反応例は16週、反応例は24週目にセクキヌマブ75mgまたは150mg投与に再割付)。 その結果、16週の時点での ASAS20達成率は,セクキヌマブ皮下投与 150mg群、75mg群、プラセボ群でそれぞれ 61%、60%、29%であった(P<0.001)ほか、患者の約80%で、208週間の治療を通して投与開始時と比較し、脊椎にX線像上の骨所見の進行を示されないことが示唆された(modified Stoke Ankylosing Spondylitis Spinal Score[mSASSS]X線評価尺度を指標)。安全性は良好で、重篤な有害事象では心筋梗塞、胆石症、腹部リンパ節膨脹などが報告されたが、薬剤と関連する死亡例は報告されなかった。また、MEASURE2もASAS20反応基準で20%以上の改善率、安全性ともにほぼ同様の結果が得られ、薬剤に起因する死亡例はなかった。 以上から、亀田氏は「ASは早期診断が難しい脊椎関節炎であり、画像検査の適切な活用が重要となる」と語るとともに、ASの病態では付着部炎が中心的な役割を果たしていることを指摘し、「付着部炎を誘導するIL-17Aを阻害するセクキヌマブのような新しい生物学的製剤は治療への有用性が高い」と述べ、講演を終えた。強直性脊椎炎への関心が高まることを期待 続いて町 亞聖氏をファシリテーターに、強直性脊椎炎患者の銭谷 有基氏、多田 久里守氏(順天堂大学 膠原病・リウマチ内科学 准教授)の3人が登壇し、同社が2018年9月に行ったアンケート調査結果などを基にパネルディスカッションが行われた。 はじめにアンケート調査結果が多田氏から報告され、7割以上の患者が確定診断まで2ヵ所以上の複数医療機関を受診していること、誤診として「ヘルニア」「腰痛症」などが多いこと、半数以上の患者が医師に症状を伝えるうえで(症状が一定化しないため)言葉にするのが難しいと感じていること、また半数の患者がASと診断されてほっとしていることなどが報告された(回答者はASと診断された男女103例/インターネット調査)。 この内容を受けて多田氏は「X線に変化が出づらく診断がつかないのが問題で、腰の痛みが指標となる。特徴的な腰痛と眼病変、皮膚の痛みから本症を疑うことができるかがカギとなる。患者は、痛みの量化、場所、表現の難しさから発信が難しいと思われるので『痛み日記』などをつけることで医療者に身体の状態を理解してもらう工夫ができる」と診療でのポイントを述べた。 また、強直性脊椎炎患者である銭谷氏からは、患者の思いとして周囲の友人や関係者へ自分の痛みを理解してもらうのが難しかったことで、精神的につらい思いをしたこと、患者・患者家族がよく病気を理解することが大切であることなどが語られた。 最後に多田氏からは「ASの診断ができるように医療者への啓発が大事。セクキヌマブの登場で本症への関心が高くなればと思う。誤診や過重診断がないように、迷ったら専門医へ紹介していただきたい」とコメントし、銭谷氏は「痛みと付き合っていき、同じ患者のために何かできればと思う」と抱負を述べ、パネルディスカッションを終えた。■参考文献1)van der Linden S, et al. Arthritis Rheum .1984;27:361-368.

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メトトレキサート、乾癬性関節炎のない乾癬にも有用

 乾癬患者では、乾癬性関節炎の有無においてもメトトレキサートの反応性を考慮することが必要である。中国・復旦大学のKexiang Yan氏らは、メトトレキサートの乾癬治療に対する有効性と忍容性について、乾癬性関節炎を有していない乾癬患者では有害事象が少なく有効であることを明らかにした。著者は「メトトレキサートは、関節炎のない乾癬に対する1次治療として推奨される」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年1月30日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬患者の乾癬性関節炎の有無におけるメトトレキサートの有効性と安全性を評価する目的で、2015年4月1日~2017年12月31日の期間に前向き単群試験を行った。対象者は中国の大学病院に外来通院中の乾癬患者235例で、乾癬性関節炎なし群107例、あり群128例を登録。その際、糖尿病の既往を除き、両群間での患者背景の差異はなく、それぞれに低用量メトトレキサート(7.5~15mg/週)を12週間経口投与した。主要評価項目は、乾癬の重症度、有害事象、血球数、肝機能および腎機能の変化とした。 主な結果は以下のとおり。・235例(男性166例[66.0%]、平均年齢±SD:49.6±15.1歳)が治療を受けた。・8週時点で、乾癬重症度(Psoriasis Area Severity Index:PASI)スコアがベースラインから90%以上改善した患者(PASI 90達成率)は、関節炎あり群となし群ではそれぞれ4例(3.1%)vs.12例(11.2%)であった(p=0.02)。・12週時点ではそれぞれ19例(14.8%)vs.27例(25.2%)(p=0.049)であり、8週、12週時いずれも、関節炎あり群でPASI 90達成率は有意に低かった。・有害事象は、関節炎あり群と関節炎なし群でそれぞれ、めまい:12例(9.4%)vs.1例(0.9%)(p=0.007)、胃腸症状:32例(25.0%)vs.13例(12.1%)(p=0.01)、肝毒性:34例(26.6%)vs.16例(15.0%)(p=0.04)と、いずれも関節炎あり群で有意に多かった。・メトトレキサートによるアラニンアミノトランスフェラーゼの上昇は、BMI(平均BMI±SD)と喫煙に有意に関連し、関節炎あり群ではそれぞれ26±4(p=0.04)、17/34例(50.0%、p=0.02)、関節炎なし群では26±4(p=0.005)、9/16例(56.3%、p=0.04)だった。

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乾癬患者は甲状腺疾患のリスクが高い

 これまで、乾癬と甲状腺疾患との関連はよくわかっていなかった。乾癬患者では、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、バセドウ病および橋本病などの甲状腺疾患リスクの増加が認められると、台湾・輔仁大学のShu-Hui Wang氏らによるコホート研究で明らかになった。著者は、「乾癬患者が甲状腺疾患の症状を呈した場合は、内分泌科への紹介を考慮したほうがいいだろう」とまとめている。なお、研究の限界として乾癬患者の重症度のデータが不足していた点を挙げている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年12月5日号掲載の報告。 研究グループは、乾癬患者における甲状腺疾患のリスクを検討する目的で、台湾の全民健康保険データベースを用い、乾癬および乾癬性関節炎に関連する甲状腺疾患発症のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・乾癬性関節炎患者1万3,266例(乾癬性関節炎群)、乾癬のみの患者14万9,576例(乾癬群)、非乾癬患者16万2,842例(対照群)が解析に組み込まれた。・対照群と比較した、乾癬性関節炎群および乾癬群の甲状腺機能亢進症発症に関する補正後ハザード比は、1.32(95%CI:1.07~1.65)、1.22(95%CI:1.11~1.33)。バセドウ病では、1.38(1.07~1.79)、1.26(1.13~1.41)と、それぞれで発症リスクは高かった。・同様に両群では、甲状腺機能低下症(補正後HR:1.74[95%CI:1.34~2.27]、同:1.38[95%CI:1.23~1.56])、橋本病(2.09[1.34~3.24]、1.47[1.18~1.82])のリスクも高かった。

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乾癬のようにみえて違う難治性皮膚疾患の掌蹠膿疱症

 2018年11月2日、ヤンセンファーマ株式会社は、都内において難治性皮膚疾患である「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国内に患者が13万人ともいわれる本症の概要、疫学、治療法について説明が行われた。なお、同社では、既存の乾癬治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の掌蹠膿疱症への適応追加につき、厚生労働省薬事・食品衛生審議会に11月8日に報告を行っている。掌蹠膿疱症は乾癬とは区別される慢性皮膚疾患 「掌蹠膿疱症」をテーマに村上 正基氏(愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域 皮膚科学 准教授)を講師に迎え、本症の概要についてレクチャーが行われた。 掌蹠膿疱症は、手掌や足底に生じる無菌性の膿胞を主徴とする慢性皮膚疾患であり、乾癬とは区別され、わが国では1958年よりこの疾患概念で診療が行われている(海外では膿疱性乾癬の限局型と捉えられ、世界的なコンセンサスは現在も得られていない)。 疫学情報として、男性よりもやや女性に多く、男女ともに30~50歳代で好発し、地域差はなく、特徴として女性患者の約9割、患者全体では約8割が喫煙者であるという。全国で約13万人の患者がいると推定されている。 掌蹠膿疱症の原因としては、病巣感染(歯周病、扁桃炎、中耳炎など)、喫煙、TNF-α阻害薬などの誘因が挙げられているが、明確な機序はわかっていない。患者の訴えでは、身体が疲労し、免疫力が落ちている状態のときに発症または悪化するという声も多い。 皮膚病変では、手掌や足底に最初に小水疱が生じ、膿疱に変化する。その後、周囲の皮膚にも紅斑、鱗屑がみられるようになり、紅斑落屑局面が混じった状態になる。周期的に良悪を繰り返し、痒み、ひび割れ、痛みを生じさせる。夏季に悪化することが多く、患者では落屑などから外見への精神的負担が大きいため、社会生活が阻害される例もある。また、足底などに症状が出た場合、歩行が困難となりQOLにも多大な影響を及ぼすケースもある。経過中に肘や膝、足背などに乾癬様皮疹を生じる掌蹠外病変も散見され、爪病変を伴うこともある。そのほか合併症では、胸鎖肋関節痛や甲状腺疾患、糖尿病、IgA腎症を伴うこともある。乾癬と間違いやすい掌蹠膿疱症の診断の手掛かりは多数 掌蹠膿疱症の診断では、視診による手掌や足底の水疱・膿疱の所見確認を行う。ダーモスコープによる診断では、水疱と膿疱が混在し、水疱の中央に小膿疱のあるpseudo-vesicleがみられる。掌蹠膿疱症は一見、乾癬とよく似ているが、皮疹を拡大すると、肉眼的に観察されにくい小膿疱も確認でき、この点で区別できるという。また、臨床検査所見では、特異的な指標となるものはないが、そのため除外診断で役立つ。鑑別疾患では、足白癬、汗疱、膿疱性乾癬などの疾患との鑑別が必要とされる。 掌蹠膿疱症の治療では、発症や悪化因子が明確な場合、根治を目指して病巣感染の治療などを行う。皮疹に対しては、外用薬が基本となる。 外用薬による治療では、手掌や足底の水疱・膿疱へステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬を併用する(軽症では活性型ビタミンD3外用薬単独)。治療中は2~4週に1回はフォローアップし、もし皮膚への刺激感が認容できない場合は中止する。内服薬ではレチノイドが処方されるが、催奇形性があるので処方では注意が必要。また、中波長紫外線療法では、外用薬の効果が限られる場合に行われ、ナローバンドUVBやエキシマを使用し、週1~3回行われる。以上が現在保険適用とされている治療となる。 これら以外にも抗アレルギー薬、抗菌薬、コルヒチン、生物学的製剤などの処方による掌蹠膿疱症の治療もあるが、いずれも保険適用外の治療となる。そのほか、ビオチン療法が提唱されているが、エビデンスがなく推奨はされていない。 入院適応はまれではあるが、合併症の関節症状がQOLに影響している場合、感染病巣として慢性扁桃炎が疑われ、この摘出手術を受ける場合などは入院となる。 最後に同氏は掌蹠膿疱症治療のアルゴリズムを示し、「悪化因子として扁桃炎や歯性病巣は重要。同じく骨・関節症状の有無もきちんと診断し、ケースによってはCTやMRI検査によりVASスコアによる痛みの評価も患者にとっては必要となる。治療ではこの20年近く新しい治療薬が開発されていないこともあり、患者の容態によっては保険適用外と断ったうえで、別の治療薬で苦痛を除くことも必要だ」と語り、レクチャーを終えた。

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選択的JAK1阻害薬、乾癬性関節炎に有効/Lancet

 活動性の乾癬性関節炎の治療に、選択的JAK1阻害薬filgotinibは有効であることが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らによる第II相の無作為化プラセボ対照試験「EQUATOR試験」の結果、示された。16週時のACR20達成患者は80%に認められ、新たな安全性シグナルは認められなかった。JAK1経路は、乾癬性関節炎の病因への関わりが示唆されている。研究グループは、JAK1を選択的に阻害するfilgotinibの有効性と安全性を調べた。Lancet誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。活動性の中等症~重症乾癬性関節炎患者が対象、16週時点のACR20達成を評価 EQUATOR試験は、7ヵ国(ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、ポーランド、スペイン、ウクライナ)25施設において成人(18歳以上)の患者を登録して行われた。試験適格は、活動性の中等症~重症乾癬性関節炎(関節の腫脹5つ以上および圧痛関節5つ以上がある場合と定義)で乾癬性関節炎の層別化基準「CASPAR」を満たしており、活動性の慢性尋常性乾癬もしくはその既往の記録があり、1種以上の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)による効果が不十分あるいは不耐容の患者とした。対象患者のうち、少なくともスクリーニング前12週間にcsDMARDの投与が1回あり、少なくともベースライン前4週間に安定投与が1回あった場合は、試験期間中も引き続きcsDMARDが投与された。 研究グループは双方向ウェブベースシステムを用いて、対象患者を1対1の割合で、filgotinib 200mgまたはプラセボを1日1回16週間経口投与するよう無作為に割り付けた。csDMARDの現在の投与および抗TNFの既投与による層別化も行った。なお、患者、試験チーム、スポンサーは治療割り付けをマスキングされた。 主要評価項目は、完全解析集団(試験薬を1回以上投与した全患者を包含)における16週時点のACR20達成患者の割合で、Cochran-Mantel-Haenszel検定およびNRI(non-responder imputation)法を用いて両群を比較した。filgotinib群80%、プラセボ群33% 2017年3月9日~9月27日に191例がスクリーニングを受け、131例が無作為化され(filgotinib群65例、プラセボ群66例)、それぞれ60例(92%)、64例(97%)が試験を完了した。filgotinib群では5例(8%)、プラセボ群では2例(3%)が試験治療中断となった。 16週時点のACR20達成率は、filgotinib群80%(52/65例)、プラセボ群33%(22/66例)であった(群間差:47%、95%信頼区間[CI]:30.2~59.6、p<0.0001)。 少なくとも1件以上の治療関連有害事象が認められたのは、filgotinib群37例(57%)、プラセボ群39例(59%)であった。被験者6例でGrade3以上のイベントが認められた。最も頻度が高かったイベントは、鼻咽頭炎と頭痛で、発現頻度は各群で同程度であった。重篤な治療関連有害事象は、各群で1例ずつ認められた(肺炎および転倒後の大腿骨頸部骨折)。肺炎はfilgotinib群で認められ致死的であった。

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あの道端アンジェリカも、乾癬は自分だけと思い込む

 10月29日の世界乾癬デーは、乾癬に対する意識向上や症状で悩んでいる患者の治療アクセス改善、周囲の理解などを目指し、2004年の制定後から毎年世界中でイベントが開催されている。これに先駆け10月24日に、日本乾癬患者連合会、日本乾癬学会と製薬会社9社が共催でメディア・イベントを開催。第一部では乾癬患者への支援について、江藤 隆史氏(日本乾癬学会評議員/東京逓信病院皮膚科部長)と患者会の代表らがトークセッションを繰り広げた。第ニ部では乾癬患者の1人であるモデルの道端 アンジェリカさんが、乾癬患者さんにお薦めのファッションとメイクを紹介した。「乾癬≠感染」、響きが似ていることによる誤解 日本人の乾癬患者数は43万人と推定される。江藤氏は「諸外国の罹患率は高く、人口の3~4%が罹患し性差がないと言われているが、日本では男女比が2:1と報告されている。欧米では家族に乾癬がいる頻度が高いが、日本では家族歴がある例はあまり多くない。これらの理由については、まだ良くわかっていない」と欧米と日本での状況の違いを説明。また、原因解明はされていないが、「環境変化やメタボリックシンドロームなどが要因」と指摘した。 アッヴィ合同会社が2010年に一般の方を対象に行った「乾癬に関する認知度調査」によると14.8%(n=519)が「うつる病気」と認識しており、心理的障壁として、空気接触(同じ電車やレストランでの同席)による抵抗が47.3%(n=1,030)、水中接触(温泉やプール)による抵抗が82.4%(n=783)にも及ぶ。アンケートを見た時に同氏は、「“うつりそう”という認識がこんなに高いとは思わなかった」と述べ、「患者会の方は、みんなで温泉に行きたいという強い期待を持っている。このような誤解を解くための認知や啓発は病気への理解が必要」と、患者の思いを代弁した。医師と患者会のチームワークが大切 「ある先生の『良くなります』という言葉が、やさぐれていた自分を治療に導いてくれた」。そう話すのは、群馬乾癬友の会(からっ風の会)会長の角田 洋子氏。家族にも自分の症状を打ち明けることができなかった同氏は、「治療、情報、仲間。この3つのどれか1つでも繋がると、乾癬患者は変わることができる」と、悩みを打ち明けられず、ふさぎ込む患者に向けてコメントした。 今年9月から日本乾癬患者連合会の事務局長に就任した柴崎 弘之氏は、「現在は、ネットでなんでも情報が検索できるが、それで自己判断してしまう方が多い。患者会も全国に22ヵ所あるので、ぜひ相談してほしい」と呼びかけた。 患者会の活動を受け、江藤氏は、「乾癬は関節の変形症状も起こる。生物学的製剤が普及するまではこれが治せなかった。患者会のメンバーによる厚労省への訴えが、今の治療確立に影響を与えている」と当時を振り返った。道端氏による公表が大きなきっかけとなった乾癬啓発 昨年5月に乾癬であることを公表した道端さん。そこへ行き着くまでには多くの葛藤があったという。公表しようと思ったきっかけは、SNSにあげられた心無い言葉。同氏は、「その文章を見た時に、とにかく悔しくて。翌日目が覚めてもモヤモヤが収まらなかった。乾癬が原因で自分らしいおしゃれができないうえに、ファンにも自分にも嘘をついてることが耐えられなくストレスだった」と、当時の心境を吐露した。 第2部のファッションショーでは、乾癬患者が有志モデルとなりランウェイに立った。同氏は、女性患者の悩みには、膝丈スカートや襟付きシャツ、大柄が散りばめられたワンピースなどを、男性患者に対してはジャケットへの皮膚の脱落に考慮したコーディネートを提案。症状を隠すだけでなく、周囲の目線を分散させるコツを紹介した。 最後に、江藤氏は「日本人は皮膚疾患を隠す傾向がある。そのため、高齢者に既往を聞いてもわからず、遺伝性かどうかの確認も難しい」と述べ、乾癬に対する正しい理解を啓発し、医師と患者のコミュニケーションの重要性を訴えた。■参考世界乾癬デー日本乾癬患者連合会■関連記事地中海食は乾癬の重症化を遅らせる?セクキヌマブは乾癬性関節炎の痛みも改善?乾癬に対するイキセキズマブ vs.ウステキヌマブ

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中等症~重症の尋常性乾癬に対するrisankizumabの効果/Lancet

 中等症~重症の局面型乾癬患者において、risankizumabはプラセボおよびウステキヌマブと比較し優れた有効性を示したことが認められた。治療下で発現した有害事象(TEAE)プロファイルは、治療群間で類似しており、新たな安全上の所見はみられなかった。米国・ウィスコンシン医科大学のKenneth B. Gordon氏らが、乾癬を対象としたrisankizumabの2件の第III相無作為化二重盲検臨床試験「UltIMMa-1試験」「UltIMMa-2試験」の結果を報告した。risankizumabは、インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに結合するヒト化IgG1モノクローナル抗体で、乾癬性炎症に関わるIL-23を選択的に阻害する。Lancet誌オンライン版2018年8月7日号掲載の報告。中等症~重症の乾癬患者合計約1,000例で、プラセボおよびウステキヌマブと比較 UltIMMa-1試験とUltIMMa-2試験は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、日本、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、韓国、スペイン、フランス、ドイツ、米国の計139施設で実施された。 適格患者は、18歳以上の中等症~重症の慢性局面型乾癬患者で、体重およびTNF阻害薬治療歴で層別化し、risankizumab 150mg群、ウステキヌマブ(体重に応じて45mgまたは90mg)群、プラセボ群に3対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 16週間の二重盲検治療期(パートA)の後、プラセボ群にはrisankizumab 150mgを投与し、他群は無作為化された治療を継続した(パートB、二重盲検、16~52週)。パートAでは0週と4週時に、パートBでは16、28、40週時に治験薬を皮下投与した。 主要評価項目は、16週時のPASIスコアが90%以上改善した患者の割合(PASI 90)と、医師による静的総合評価(sPGA)スコアが「消失=0」または「ほぼ消失=1」を達成した患者の割合であった(欠測値はノンレスポンダーとして補完)。すべての有効性の解析はintention-to-treat集団で実施された。 2016年2月24日~8月31日にUltIMMa-1試験で506例(risankizumab群304例、ウステキヌマブ群100例、プラセボ群102例)が、2016年3月1日~8月30日にUltIMMa-2試験で491例(risankizumab群294例、ウステキヌマブ群99例、プラセボ群98例)が無作為に割り付けられた。UltIMMa-1/UltIMMa-2両試験において、すべての主要評価項目を達成 主要評価項目は、両試験において達成された。16週時のPASI 90は、UltIMMa-1試験でrisankizumab群75.3%、プラセボ群4.9%(プラセボ補正後群間差:70.3%、95%信頼区間[CI]:64.0~76.7)、ウステキヌマブ群42.0%(ウステキヌマブ補正後群間差:33.5%、95%CI:22.7~44.3)であり、UltIMMa-2試験でそれぞれ74.8%、2.0%(プラセボ補正後群間差:72.5%、95%CI:66.8~78.2)、および47.5%(ウステキヌマブ補正後群間差:27.6%、95%CI:16.7~38.5%)であった(両試験とも対プラセボおよびウステキヌマブのp<0.0001)。 また、16週時のsPGA 0/1達成率は、UltIMMa-1試験でrisankizumab群87.8%、プラセボ群7.8%(プラセボ補正後群間差:79.9%、95%CI:73.5~86.3)、ウステキヌマブ群63.0%(ウステキヌマブ補正後群間差:25.1%、95%CI:15.2~35.0)であり、UltIMMa-2試験でそれぞれ83.7%、5.1%(プラセボ補正後群間差:78.5%、95%CI:72.4~84.5)、および61.6%(ウステキヌマブ補正後群間差:22.3%、95%CI:12.0~32.5)であった(両試験とも対プラセボおよびウステキヌマブのp<0.0001)。 両試験におけるTEAE発現頻度は、risankizumab群(パートA:UltIMMa-1試験49.7%、UltIMMa-2試験45.6%、パートB:それぞれ61.3%、55.7%)、プラセボ群(パートA:51.0%、45.9%)、ウステキヌマブ群(パートA:50.0%、53.5%、パートB:66.7%、74.5%)、プラセボからrisankizumabへの切り替え群(パートB:67.0%、64.9%)で類似していた。

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セクキヌマブは乾癬性関節炎の痛みも改善?

 セクキヌマブは乾癬性関節炎患者の痛みを2年にわたって改善させ、さらにその痛みはTNF阻害薬を使用しているかにかかわらず改善させる可能性があることが英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らの研究によって明らかになった。Arthritis Research & Therapy誌2018年6月号に掲載。 乾癬性関節炎の痛みは、患者の健康関連QOLに最も強く影響する要素の1つである。乾癬性関節炎患者に対して、セクキヌマブは健康関連QOLを含め、徴候や症状を迅速かつ持続的に改善させることが示されている。本研究では、乾癬性関節炎患者の痛みに与えるセクキヌマブの効果を評価するために、セクキヌマブの投与開始から104週目の間における患者の痛みのスコアを解析した。 著者らは治療開始から104週までの間にかけて、以下の3つの尺度で痛みを臨床的に測定した。・痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)とSF-36の体の痛みのスコアのベースラインからの変化・上記2項目について臨床における最小重要差以上の改善が認められた患者の割合・EQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目におけるno、moderate、extremeに該当する患者の割合 痛みの測定の相関はピアソンの相関係数により解析された。TNFナイーブ患者と、TNF阻害薬の不十分な応答や安全性/忍容性により投与を中止した(TNF-IR)患者に対する項目の設定を事前に行った解析は、観測データを用いて行われた。 主な結果は以下のとおり。・投与開始3週目におけるベースラインから改善した痛みのVASスコアの平均値はプラセボ群と比較してより大きく改善し、セクキヌマブ300mg投与群では-16.9(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では-12.6(p<0.05)で、スコアの改善は104週まで続いた。・投与開始4週目におけるSF-36の体の痛みのスコアはプラセボ群と比較して有意に改善し、セクキヌマブ300mg投与群では16.2(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では16.3(p<0.0001)で、スコアの改善は104週まで続いた。・プラセボと比較してセクキヌマブ300mg投与群と150mg投与群では、3週目と4週目における痛みのVASスコアとSF-36の体の痛みのスコアについて、臨床における最小重要差以上の改善が有意に大きかった。・投与開始4週目時点でのEQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目において、セクキヌマブ300mg投与群の15%、150mg投与群の9%、プラセボ群の5%がno pain/discomfortに分類され、さらにセクキヌマブ投与群ではこの割合が104週まで上昇した。・TNFナイーブあるいはTNF-IR患者においても、痛みのスコアがセクキヌマブ投与により有意に改善した。

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地中海食は乾癬の重症化を遅らせる?

 乾癬は、慢性炎症性疾患である。地中海食(MEDI-LITE)は慢性炎症を軽減し、メタボリックシンドロームおよび心血管イベントのリスクに対し有益である。これに伴い、フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のCeline Phan氏らは、乾癬の発症や重症度にMEDI-LITEが強く影響することを仮説立てた。その検証の結果、重症乾癬患者では地中海食に対する順守度が低いことが明らかになった。著者は、「今回の結果は、地中海食が乾癬の進行を遅らせる可能性があるという仮説を支持するものである。この知見が確認されれば、中等症~重症乾癬の日常管理にMEDI-LITEの順守を組み込むべきである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月25日号掲載の報告。 研究グループは、2009年5月にフランスで開始されたウェブでのアンケートによる観察コホート研究NutriNet-Santeプログラム(現在も進行中)を利用した。また、本究は、NutriNet-Santeプログラムの枠組み内で行われ、2017年4~6月の間に収集・分析されたデータを使用した。 検証済みのオンライン自己記入アンケートにより乾癬患者を特定し、「重症乾癬」「非重症乾癬」「乾癬なし(非乾癬)」と、病態を重症度別に分類した。プログラムへの参加から最初の2年間の食事摂取量(アルコールを含む)に関するデータを収集して、MEDI-LITEスコア(まったく順守していない[0]~最大限順守[18])を算出した。潜在的な交絡因子(年齢、性別、身体活動、BMI、喫煙、心疾患罹病歴)についても記録された。 多項ロジスティック回帰分析を用い、非乾癬者と比較した重症乾癬または非重症乾癬患者のリスクを推定した。 主な結果は以下のとおり。・NutriNet-Santeプログラムの参加者15万8,361例中、乾癬に関するアンケートの回答が得られたのは3万5,735例(23%)であった。・回答者の平均年齢±SDは47.5±14.0歳で、2万7,220例(76%)が女性であった。・回答者のうち、3,557例(10%)が乾癬に罹患していると回答した。・そのうち、重症乾癬は878例(24.7%)だった。また、299例(8.4%)はコホートに参加し2年以上経過の後に発症した。・交絡因子補正後に、MEDI-LITEスコアと重症乾癬への罹患の間に有意な逆相関が認められた。 ●MEDI-LITEスコアの第2三分位群(スコア8~9)のオッズ比(OR):0.71(95%信頼区間[CI]:0.55~0.92) ●同スコアの第3三分位群(スコア10~18)のOR:0.78(95%CI:0.59~1.01)

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乾癬に対するイキセキズマブ vs.ウステキヌマブ

 インターロイキン(IL)-17Aを標的とする生物学的製剤は、臨床で安全なプロファイルを有し、尋常性乾癬のプラークを迅速に除去できる。フランス・ポール・サバティエ大学のCarle Paul氏らは、抗IL-17A抗体イキセキズマブの尋常性乾癬に対する有効性および安全性をIL-12/23阻害薬ウステキヌマブと直接比較したIXORA-S試験において、52週時の有効性はイキセキズマブがウステキヌマブより優れており、安全性は類似していることを報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。 IXORA-S試験の対象である尋常性乾癬患者を、イキセキズマブ群(136例)およびウステキヌマブ群(166例)に無作為に割り付け、承認された用法・用量で52週間それぞれ投与した。 主要評価項目は、52週時のPsoriasis Area and Severity Index(PASI)の達成率(PASI 90)と、static Physician Global Assessment(sPGA)の0または0/1の達成率であった(脱落例はノンレスポンダーとして数えた)。安全性は、治療下で発現した有害事象(TEAE)などで評価した。 主な結果は以下のとおり。・52週時において、イキセキズマブ群はウステキヌマブ群と比較し、PASI 90(104例、76.5% vs.98例、59.0%)、sPGA 0(72例、52.9% vs.60例、36.1%)およびsPGA 0/1(110例、82.1% vs.108例、65.1%)が、いずれも有意に高かった(p<0.01)。・TEAEおよび重篤な有害事象(AE)の発現率、ならびに試験中止率は、両群間で差はなかった。・注射部位反応は、イキセキズマブ群がウステキヌマブ群より高頻度であった(22例、16.3% vs.2例、1.2%、p<0.001)。

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乾癬患者に推奨される食事への介入とは

 乾癬は慢性炎症性皮膚疾患で、有病率やQOLに重大な影響を及ぼす。米国・南カリフォルニア大学のAdam R. Ford氏らは、乾癬患者における食事への介入が、重症化を抑制するのに役立つかどうかを明らかにすることは重要であるとして、システマティックレビューにて検討を行った。その結果、重症化を抑えるための食事の介入は、標準的な薬物療法を補うことができるとして、成人の乾癬/乾癬性関節炎患者に対する食事勧告をまとめた。このエビデンスに基づく食事勧告は、米国国立乾癬財団(NPF)の医療委員会(Medical Board)に採択され、著者は「成人の乾癬患者における食事介入の有用性について臨床医の一助となるだろう」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月20日号掲載の報告。乾癬に対するエビデンスに基づいた食事勧告を作成 NPFの医療委員会において、成人の乾癬/乾癬性関節炎に対するエビデンスに基づいた食事勧告を作成することを目的に、研究グループは乾癬に対する食事の影響を評価した既存のシステマティックレビューと2014年1月1日~2017年8月31日にMEDLINEデータベースに追加された原著から文献の抽出を行った。乾癬または乾癬性関節炎患者を対象とした観察研究および介入研究を適格とし、研究の質の評価には、それぞれ、Newcastle-Ottawa scaleおよびCochrane Risk of Bias Toolを使用した。 乾癬に対する食事の影響を評価したレビューの主な結果は以下のとおり。・55研究(乾癬患者4,534例を含む計7万7,557例)がシステマティックレビューに組み込まれた・文献に基づき、過体重および肥満の乾癬患者には、低カロリー食による減量を強く推奨する・血清マーカーにおいてグルテン感受性陽性の乾癬患者には、グルテンフリー食のみを弱く推奨する・質の低いデータによると、食物の選択、栄養および食事の習慣は、乾癬に影響を及ぼす可能性がある・過体重および肥満の乾癬性関節炎患者には、ビタミンDの補給および低カロリー食による減量を弱く推奨する・食事への介入は常に、乾癬および乾癬性関節炎の標準的な薬物治療と併せて用いるべきである

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生物学的製剤の早期導入で寛解を目指す

 冒頭では、イミュノロジー グローバルマーケティング&コマーシャルオペレーションズ ヴァイス・プレジデントのティアゴ・ロドリゲス氏が、「アッヴィの免疫領域におけるこれまでの貢献、これからの取り組み」について語り、ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)発売10周年を記念し、自己注射時の負担軽減を目的に開発された、新しいペン型デバイスを、世界で初めて日本で導入したことを発表した。現在も、安全性を確保したうえで効果を高めることができないかと考え、多くの国・適応を対象に生物学的製剤の臨床試験を続けているという。 講演では、「各疾患領域における生物学的製剤の役割と今後の展望」について、領域別(関節リウマチ・消化器・皮膚)で3人の演者がレクチャーを行った。共通していた内容は、この10年で難治性疾患の治療が劇的に変わったということ、そして、生物学的製剤は早期に導入されるほど、寛解率が上がるということであった。安全性などへの懸念により、早期導入が進まない現状 初めに、竹内 勤氏(慶應義塾大学 医学部 リウマチ・膠原病内科 教授)が、関節リウマチ領域について説明した。生物学的製剤による治療は、関節破壊の進行抑制、労働生産性の改善などといった効果を発揮する。しかし、すでに破壊された関節は元に戻らないため、発症後どの段階で生物学的製剤を導入するかが重要であり、2~3年以内の導入が望ましいという。同氏は、「早期導入が進まない原因として、医師が安全性を憂慮し過ぎていることが考えられる。データはたくさんあるので、医師は有効性・安全性などについて積極的に正しい知識を習得し、必要な患者さんには生物学的製剤を導入してほしい」と語った。 続いて、日比 紀文氏(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長)が、消化器領域について講演を行った。同氏は、「生物学的製剤は、難治性の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)にパラダイムシフトを起こした」とその衝撃を表現した。かつては、薬物治療が無効な場合、大腸全摘の選択肢しか残されていなかった。しかし、生物学的製剤の登場で、難治性の炎症性腸疾患は激減し、寛解導入・寛解維持は容易になったという。同氏は、「今後、患者は多くの選択肢から適切な治療を選ぶことができ、体調の悪化による活動制限から解放され、通常の日常生活を送ることが可能になるだろう」と展望を述べた。発症後、時間が経つほど苦痛は蓄積する 最後に、小林 里実氏(社会福祉法人聖母会 聖母病院皮膚科 部長)が、乾癬を中心に、皮膚科領域への期待を語った。乾癬は、重症化すると関節破壊を起こすことがあり、QOLの低下はがんにも匹敵する1)という。乾癬治療は、2010年に抗TNF製剤が登場して以降、劇的に変化し、生物学的製剤による治療で、PASIスコア(乾癬の面積と重症度の指標)が90%以上改善する例も見られるようになった。しかし、小林氏は、PASIスコアが0になったからといって、生活の質が完全に回復するわけではないことを指摘した。同氏は、「乾癬は、発症後の身体的・精神的な苦痛が大きく、それらは蓄積され、経験として残る。早期の適切な治療がもっとも重要だ」と強調した。 講演の後には、生物学的製剤によって疾患の苦しみから解放された患者や患者の家族らがパネルディスカッションを行った。「これからの10年は、難治性疾患の苦しみで社会に出られなかった患者たちが、生物学的製剤の力を借りて社会に戻っていける時代だ」と締めくくった。

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細胞接着分子CADM1は菌状息肉症の診断に有効

 菌状息肉症(MF)は、最も頻度の高い皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)であるが、早期MFの紅斑(Patch)と局面(Plaque)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患(ISD)によく似ている。ヒトの非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子として同定された細胞接着分子のCADM1は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の診断マーカーとして報告されており、今回、新潟大学大学院医歯学総合研究科の結城 明彦氏らは、「CADM1陽性細胞は浸潤が少ない早期症例で確認され、早期MFの診断マーカーとして有用かもしれない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月18日号掲載の報告。 研究グループは、早期MF腫瘍細胞におけるCADM1の発現と、それがMFの診断マーカーとして評価されるかを調査する目的で、多施設共同後ろ向き研究を行った。 免疫組織化学染色を用いて、MFのCADM1の発現を確認した。それに加え、マイクロダイセクションにより得られたMFとISDの各標本のCADM1 mRNAの発現を比較した。 主な結果は以下のとおり。・MFは58例中55例(94.8%)がCADM1陽性であった。・ISDは50例すべてがCADM1陽性を示さなかった(p<0.0001)。・MF症例の真皮内リンパ球においてCADM1 mRNAの発現を確認したが、ISD症例では見られなかった。

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経口JAK阻害薬、乾癬性関節炎の症状を改善/NEJM

 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブは、コントロール不良の乾癬性関節炎患者の症状をプラセボに比べ有意に改善するが、有害事象の頻度は高いことが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らが行ったOPAL Broaden試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年10月19日号に掲載された。トファシチニブは、共通γ鎖含有サイトカイン、インターフェロン-γ、インターロイキン(IL)-12などの乾癬性関節炎の発症に関与する多くのサイトカインのシグナル伝達に影響を及ぼす。JAKの阻害により、関節や関節外部位の炎症細胞の活性化や増殖、および乾癬性関節炎患者の関節破壊や乾癬性の皮膚の変化に関連する細胞の活性化や増殖に関与する、複数のシグナル伝達経路の調節が可能とされる。実薬対照、プラセボと比較する無作為化試験 OPAL Broaden試験は、従来の合成疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の効果が不十分であるコントロール不良の乾癬性関節炎患者の治療における、トファシチニブの有用性を評価する二重盲検実薬対照プラセボ対照無作為化第III相試験である(Pfizer社の助成による)。 患者登録は、2014年1月~2015年12月に欧米を中心とする126施設で行われ、422例が登録された(373例が試験を完遂)。被験者は、2対2対2対1対1の割合で、トファシチニブ5mg(1日2回)を経口投与する群(107例)、トファシチニブ10mg(1日2回)を経口投与する群(104例)、アダリムマブ40mg(2週ごと)を皮下投与する群(106例)、プラセボを投与し3ヵ月時に盲検下でトファシチニブ5mgに切り替える群(52例)、プラセボを投与し3ヵ月時に盲検下でトファシチニブ10mgに切り替える群(53例)にランダムに割り付けられ、12ヵ月間の追跡が行われた。3ヵ月時の評価では、2つのプラセボ投与群(合計105例)を統合して解析を行った。 主要エンドポイントは、3ヵ月時に米国リウマチ学会(ACR)基準による20%以上の改善(ACR20)が得られた患者の割合、および3ヵ月時の健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)のスコア(0~3点、点数が高いほど障害が重度)のベースラインからの変化であった。 ACR20は、68関節中の圧痛関節と66関節中の腫脹関節の数、および5つのドメイン(患者による関節炎の活動性の総合評価、担当医による関節炎の活動性の総合評価、患者による関節炎痛の総合評価[3項目とも視覚アナログ尺度の0~100mmで評価]、HAQ-DIによる障害度、急性期反応物質の値[高感度C反応性蛋白])のうち3つ以上のベースラインから20%以上の改善と定義した。HAQ-DIスコアは、ベースラインからの0.35点の低下を、乾癬性関節の臨床的に重要な改善の最小値とした。2つの用量とも、2つの主要エンドポイントを達成 ベースラインの4群の平均年齢は46.9±12.4~49.4±12.6歳、女性が47~60%含まれた。乾癬性関節炎の平均罹病期間は5.3±5.3~7.3±8.2年、HAQ-DIスコアは1.1±0.6~1.2±0.6点であった。付着部炎(Leeds Enthesitis Indexスコア)、腫脹関節数、メトトレキサート使用率(いずれもアダリムマブ群で低い)、グルココルチコイド使用率(トファシチニブ10mg群で低い)を除き、治療群間の背景因子はバランスが取れていた。 3ヵ月時のACR20達成率は、トファシチニブ5mg群が50%、トファシチニブ10mg群が61%と、プラセボ群の33%と比較して有意に改善し(5mgとプラセボの比較:p=0.01、10mgとプラセボの比較:p<0.001)、アダリムマブ群は52%であった。3ヵ月時にプラセボをトファシチニブに切り替えたため、12ヵ月時の評価では有意差を認めなかった。 HAQ-DIスコアの平均変化は、トファシチニブ5mg群が-0.35点、トファシチニブ10mg群が-0.40点と、プラセボ群の-0.18点に比べ有意に改善し(5mgとプラセボの比較:p=0.006、10mgとプラセボの比較:p<0.001)、アダリムマブ群は-0.38点であった。12ヵ月時の評価では有意な差はなかった。 3ヵ月時までの有害事象の発現率は、トファシチニブ5mg群が39%、トファシチニブ10mg群が45%、アダリムマブ群が46%、プラセボ群は35%で、12ヵ月時までの発現率は、5mg群が66%、10mg群が71%、アダリムマブ群が72%、プラセボからトファシチニブ5mgに切り替えた群は69%、プラセボからトファシチニブ10mgに切り替えた群は64%であり、プラセボ群のほうが低い傾向がみられた。試験期間中に、トファシチニブ投与例でがんが4件、重篤な感染症が3件、帯状疱疹が4件認められた。 著者は、「長期的な有効性や安全性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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トファシチニブは乾癬性関節炎にも有益か/NEJM

 腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の効果が不十分だったコントロール不良の乾癬性関節炎の患者に対し、トファシチニブはプラセボと比較して、3ヵ月後のACR20改善率が向上するなど、疾患活動性の低下に有効であることが示された。有害事象の頻度は、トファシチニブがプラセボよりも高かった。カナダ・トロント大学のDafna Gladman氏らが、395例を対象に行った試験の結果で、NEJM誌2017年10月19日号で発表した。トファシチニブは、経口ヤヌスキナーゼ阻害薬で、乾癬性関節炎の治療薬として検討されていた。トファシチニブ5mg、10mgを1日2回投与 研究グループは、TNF阻害薬に対し反応性が不十分でコントロール不良の乾癬性関節炎の患者395例を対象に、6ヵ月間の第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。 被験者を、2対2対1対1の割合で4群に分け、(1)トファシチニブ5mgを6ヵ月1日2回経口投与(132例)、(2)トファシチニブ10mgを6ヵ月1日2回投与(132例)、(3)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ5mgを1日2回投与(66例)、(4)プラセボを投与し3ヵ月以降はトファシチニブ10mgを1日2回投与(65例)した。 主要エンドポイントは、米国リウマチ学会基準による20%以上の改善(ACR20改善)の達成率と、健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI、スコア0~3:スコアが高いほど障害が重度であることを示す)のベースラインからの変化だった。トファシチニブ投与群のACR20改善率は約50% 3ヵ月時点におけるACR20改善率は、プラセボ群24%に対し、トファシチニブ5mg群は50%、トファシチニブ10mg群は47%と、いずれも有意に高率だった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 ベースラインからのHAQ-DIスコア変化の平均値も、プラセボ群-0.14に対し、トファシチニブ5mg群は-0.39、トファシチニブ10mg群は-0.35と改善幅が有意に大きかった(各トファシチニブ群のプラセボ群に対するp<0.001)。 重篤な有害事象は、トファシチニブ5mg継続投与群の4%、トファシチニブ10mg継続投与群の6%で認められた。また、6ヵ月の試験期間中に、重篤な感染症が4件、帯状疱疹が3件、心筋梗塞と虚血性脳卒中がそれぞれ1件報告された。また、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値とアラニンアミノトランスフェラーゼ値が、正常上限値の3倍以上に達した被験者が、プラセボ投与後にトファシチニブを投与した群に比べ、トファシチニブ継続投与群で多かった。

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