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<先週の動き>1.モデルナワクチン異物混入でロット回収、該当会場を公表/厚労省2.ロナプリーブ外来投与は24時間の電話対応が条件に/厚労省3.COVID-19中等症I~II以上、診療報酬引き上げ/中医協4.医学部定員、歯学部振り替え枠を廃止、診療科指定枠を検討へ5.来年度の厚労省概算要求、過去最大の33兆9,450億円に6.都内の全医療機関にコロナ病床確保を要請/厚労省1.モデルナワクチン異物混入でロット回収、該当会場を公表/厚労省厚労省は、異物混入が報告され使用を見合わせたモデルナ製ワクチンが使われた大規模接種会場55ヵ所を公表した。異物混入が確認されたロットと同じスペイン国内の生産ラインで製造された製品の回収を進めるため、ワクチン接種が一時中止や延期となった。厚労省は対象ワクチンを接種しても「健康に影響はない」と説明しているが、その後、同時期に製造された回収対象ロット以外のモデルナ製ワクチンを接種後に死亡した事例が2件報告されたこともあり、田村厚労大臣は、モデルナや武田薬品工業に対して、早急な原因究明と再発防止を求める考えを示した。武田薬品工業は28日、この問題についての検査結果を近日中に判明させると発表した。(参考)新型コロナワクチンの一部ロットの使用見合わせについて(厚労省)モデルナ異物混入“早急な原因究明と再発防止を”厚生労働相(NHK)ワクチン接種後に2人死亡 異物混入と同時期製造 因果関係は不明(毎日新聞)COVID-19ワクチンモデルナ筋注の使用見合わせ対象ロットの接種者に関する厚生労働省の発表内容について(武田薬品工業)2.ロナプリーブ外来投与は24時間の電話対応が条件に/厚労省厚生労働省は、25日に事務連絡を改正し、軽症・中等症COVID-19に使用される「カシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ点滴静注セット)」について、外来診療や宿泊療養施設での使用を認めると各地方自治体に向けて通知した。外来投与に関しては、投与後に患者の病態が悪化した際、入院治療などの緊急対応を行える医療機関において投与とし、投与から24時間以内は患者の病態悪化の有無を電話などで確認できる体制が確保されていること(夜間・休日含む)などを条件にした。また、保健所の介入によらず当該施設で必要な対応を完結できるよう、事前に役割分担および責任の所在を明確化することも明記されている。なお、本剤が使用される場合には、感染症法上の入院勧告・措置に基づく入院として公費負担となるが、例外として、患者が自宅療養中の外来、または宿泊療養・入院待機施設で往診・訪問診療により本剤を投与する場合、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金による新型コロナウイルス感染症対策事業の補助対象とすることが可能となる。(参考)厚労省 抗体カクテル療法の外来使用 新型コロナの「入院治療を行う医療機関」で(ミクスonline)抗体カクテル薬の外来使用、24時間の確認体制条件に(日経新聞)3.COVID-19中等症I~II以上、診療報酬引き上げ/中医協厚労省は26日、中央社会保険医療協議会を持ち回りで開催し、新型コロナウイルス感染者で酸素投与が必要とされる「中等症II」以上の患者についての診療報酬を、1日5万7,500円に引き上げる方針を示した。これまでも救急医療管理加算として通常点数の5倍を算定できるようにしていたが、今回6倍まで引き上げられた。また、酸素吸入までは必要ないが入院が必要な中等症Iに対応する加算も、3倍から4倍に引き上げ、1日3万8,000円となる。この特例措置は27日の閣議で決定された。若年層のコロナ患者の急増に備え、病床受け入れを促進するのが狙いだろう。(参考)コロナ中等症患者の診療負担増踏まえ診療報酬特例を拡大、救急医療管理加算の4倍・6倍算定認める―中医協総会(Gem Med)中等症対応の加算引き上げ 診療報酬、若年コロナ増で―厚労省(時事ドットコム)新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について(中医協)4.医学部定員、歯学部振り替え枠を廃止、診療科指定枠を検討へ厚労省で医療従事者の需給に関する検討会の「医師需給分科会」が27日に開催され、2023年度の医学部定員について議論された。2023年度の医学部定員については、基本的に2022年度と同様の方法で行うが、役割はある程度果たされたとして、44名の歯学部振り替え枠を廃止し、2036年に向けた医師不足の解消のため、総合診療科、救急救命科、内科など、社会的なニーズに対応する枠(診療科指定の地域枠)として活用することとなった。また、分科会として「第5次中間とりまとめ(案)」が提出された。これまで段階的に医学部定員を増員し、全国レベルで毎年3,500~4,000人ずつ増加しているが、2029年頃には需給が均衡する見込み。その後も医師数は増加を続ける一方で、人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、医師の増加ペースについては見直しが必要だが、医師の地域偏在・診療科偏在への対応策を講じることは引き続き重要とされる。(参考)「歯学部振り替え枠」廃止、診療科指定枠に活用へ 厚労省・分科会が了承(CBnewsマネジメント)令和5年度医学部定員と歯学部振替枠の見直しについて(医師需給分科会)医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第5次中間とりまとめ(案)5.来年度の厚労省概算要求、過去最大の33兆9,450億円に厚労省は26日、2022年度予算の概算要求を発表した。前年度の当初予算と比べて8,070億円(2.4%)増加と、過去最大の33兆9,450億円とした。医療や介護などの社会保障費は6,738億円増加で、高齢化に伴う社会保障費の自然増を見込んでいる。コロナワクチンの需要は来年度も続くことを前提に、自治体による接種体制の整備や国産ワクチンの開発支援を重点要求とした。このほか、地域医療構想の推進のために857億円、医師の偏在対策に21億円、医療従事者の働き方改革に75億円の要求も含め、31日に財務省に提出される。(参考)厚労省 概算要求 過去最大34兆円 感染症対策など 来年度予算案(NHK)厚労省概算要求33.9兆円 コロナ対策で増大も(日経新聞)過去最大33.9兆円要求へ、厚労省 22年度予算概算要求(CBnewsマネジメント)6.都内の全医療機関にコロナ病床確保を要請/厚労省厚労省は東京都とともに、今年2月に成立した改正感染症法に基づいて、都内すべての医療機関に新型コロナ患者の受け入れ病床確保や、医師・看護師の人材派遣を要請する方針を23日に決めた。東京都では受け入れ病床が逼迫しているため、軽症患者用の臨時の「酸素ステーション」や宿泊療養施設を開設しており、人手が必要になっている。入院患者を受け入れていない診療所についても、医師や看護師の派遣を求める。また、正当な理由なく協力に応じない病院については「勧告」を行い、さらに従わなかった場合には、医療機関名を公表することになる。すでに大阪府や奈良県、静岡県、茨城県などでは同様の要請が出されているが、東京都では初めてのこと。(参考)厚労省と都、都内の全医療機関に病床確保要請へ 政府初(朝日新聞)厚労省と東京都 新型コロナ拡大で都内全医療機関に病床確保と人材派遣を要請 (ミクスonline)初の感染症法に基づく協力要請へ 国と都 医療機関などに対し(NHK)