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HSV脳炎後の自己免疫性脳炎に注意、2026年GLでフロー新設/日本神経学会

 2026年3月、『細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』と『単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017』を統合した『細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026』(日本神経学会・日本神経感染症学会監修、南江堂)が発刊された1)。 5月20~23日に開催された第67回日本神経学会学術大会の生涯教育セミナーにおいて、本ガイドライン作成委員会委員長を務めた中嶋 秀人氏(日本大学医学部内科学系神経内科学分野 主任教授)が「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026の改訂のポイント」と題して講演を行った。講演レポートとして、「細菌性髄膜炎」を取り上げた前編に続き、後編では「単純ヘルペス脳炎」、そしてガイドライン外の重要なトピックである「水痘・帯状疱疹ウイルス中枢神経感染症」について紹介する。【単純ヘルペス脳炎】初期治療の迅速性と診断のゴールドスタンダード 単純ヘルペス脳炎(HSE)も細菌性髄膜炎と同様に「Time is Brain」の疾患である。発熱・意識障害・けいれんでHSEを疑ったら検査結果を待たず、受診から6時間以内にアシクロビル(ACV)投与を開始するのが望ましい。診断のゴールドスタンダードは髄液HSV PCRであり、高感度PCR(リアルタイムPCR)とFilmArray髄膜炎・脳炎パネルは、いずれも実臨床で有用である。FilmArrayは迅速診断に有用だが、検出感度はリアルタイムPCRより劣る可能性がある。なお発症72時間以内はウイルス量が少なく、4〜24%で偽陰性となりうるため、臨床的に強く疑われる場合は治療を中断せず、3〜7日後に再検する。治療はACV 10 mg/kg/回を8時間ごとに点滴静注し、髄液中HSV-DNAが高感度PCRで2回連続して陰性化するまで継続する(免疫正常例14〜21日間、免疫不全例21日間以上が目安)。HSEと自己免疫性辺縁系脳炎の鑑別 HSEは自己免疫性辺縁系脳炎(ALE)と類似の画像を示すため、初期の鑑別が課題となる。鑑別には実臨床で即座に使えるMRIの3基準が有用で、(1)拡散強調画像(DWI)での拡散制限、(2)側頭葉外(島回・前頭葉眼窩面)への病変進展、(3)ガドリニウム造影効果、のいずれも認めない(3基準すべて陰性)場合、感度95%・特異度100%でHSEを否定し、ALEを支持できる。HSE後自己免疫性脳炎(AE post-HSE) HSE後自己免疫性脳炎(AE post-HSE)は、HSE発症後2週〜3ヵ月に患者の7〜27%で発症し、HSEの治療後に症状の動揺・再燃として顕在化するため注意を要する。ウイルスの再活性化ではなく、ウイルス感染を引き金とした免疫介在性の病態であり、検出される自己抗体は抗NMDA受容体抗体が64〜70%と最多で、約3割は既知抗体陰性(未知の神経表面抗体)である。ガイドラインにはAE post-HSEのフローチャートが新設された。HSE治療後に症状の動揺・新規出現・再発がみられた場合は、まず速やかにACVを再開し、髄液HSV-DNAの高感度PCRを再検する。陰性でAEが疑われれば神経表面抗体スクリーニングを実施し、初期免疫療法(ステロイドパルス[IVMP]・IVIg・血液浄化療法)へ移行する。臨床像は年齢で異なり、乳幼児(4歳以下)では舞踏アテトーゼやジスキネジア、4歳以上の小児・成人では急性発症の異常言動・精神症状・認知機能低下が前景に立つ。HSEの後遺症とサポート HSEは適切なACV治療を行っても予後は楽観できず、生存者の18〜45%に高度な後遺症が残る。その内訳は記憶障害が34〜69%と最多で、次いで人格障害・失語・てんかん・見当識障害・嗅覚障害などがみられる。これらはQOLに甚大な影響を与えるため、認知療法・行動療法・理学療法・作業療法・言語療法を含む多角的なリハビリテーションの継続が望まれる。臨床で急増する水痘・帯状疱疹ウイルス中枢神経感染症(ガイドライン外) 本講演では、神経領域で重要性が増している新たなトピックとして、ガイドライン外である水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)中枢神経感染症についても中嶋氏が補足した。VZV感染は高齢化と免疫抑制薬の普及を背景に実臨床で急増しており、中嶋氏らの自施設における10年間(2013~22年)の解析では、成人の無菌性髄膜炎のうちVZVが約30%を占め、原因が判明した症例の中で最多であった。 診断上のピットフォールとして、VZV中枢神経感染症の約13%は特徴的な皮疹を伴わない(無疹性帯状疱疹、zoster sine herpete)。皮疹がなくとも、激しい頭痛・発熱や神経痛様疼痛があれば躊躇なく髄液PCR(VZV-DNA)を行う必要がある。また70歳以上ではVZV脳炎が増加する一方、50歳以上では頭痛・項部硬直が乏しく診断が遅れやすい。さらにVZVは血管壁に感染して炎症・血管リモデリングを起こすと考えられ、感染後数ヵ月は脳卒中リスクが上昇する。とくに眼部帯状疱疹ではそのリスクが高く(メタ解析でRR 1.91)、発症後6ヵ月間は脳血管イベントを監視する必要がある。すべての臨床医へ:「疑ったらまず治療」―予後を握る初期対応 細菌性髄膜炎、単純ヘルペス脳炎、そしてVZV中枢神経感染症は、いずれも早期診断・早期治療が転帰を決定するTime is Brainの疾患である。中嶋氏は本ガイドラインについて、「これらの疾患を専門とする医師だけでなく、プライマリケアや救急などを担当する多くの医師も鍵を握っています。『疑ったら、検査結果を待たずにまず治療を始める』―細菌性髄膜炎は1時間以内、単純ヘルペス脳炎は6時間以内、という大原則を心に留めていただければと思います。新しい診断ツールや知見を柔軟に活用しつつ、迷ったときに頼れる身近な一冊として、日常診療のそばに置いていただけたら幸いです」と展望を述べた。

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【GET!ザ・トレンド】循環器内科医が救う、筋ジストロフィー患者の予後

はじめに:筋肉の病気の予後は、「心臓」が握っているベッカー型筋ジストロフィー(BMD)は、ジストロフィンタンパク質が完全に欠損するデュシェンヌ型(DMD)とは異なり、機能を保持したタンパク質が一部存在するため、長年その「軽症型」と位置づけられてきた。しかし近年の研究により、遺伝子変異とフェノタイプ(臨床症状)の相関が解明されるにつれ、その極めて多様な臨床像が明らかとなってきている。特筆すべきは、骨格筋症状は軽微であるにもかかわらず、心筋症が先行して重症化する症例が少なくないという事実だ。こうしたBMDの病態解明に、モデルマウス研究や自然歴調査等を通じて尽力している、独立行政法人国立病院機構まつもと医療センターの中村昭則氏に話を伺った。同氏によれば、運動機能が良好なために筋疾患の存在が隠れ、成人後に「原因不明の心不全」として循環器内科を初診するケースがあるという。そして彼らの予後を支える鍵は、骨格筋の評価以上に、循環器内科医による早期の心不全管理にある、と語る。骨格筋症状を追い越す心筋症:「急激な進行」という現実BMD診療において、中村氏が最も警鐘を鳴らすのは、骨格筋症状の影に隠れた心不全リスクである。「過去には、骨格筋の異常が軽微であったにもかかわらず、10~20代という若さで、心不全によってともに帰らぬ人となったご兄弟のBMD患者さんがいました」と中村氏は語る。これは、骨格筋の経過に比して心筋病変の進行が先行した結果だという。運動機能が保たれていることは、決して心臓の安全を保証しない。BMDにおける骨格筋の「軽症感」が、心臓の致命的なリスクを覆い隠す事実は、「極めて重要なピットフォールに他ならない」と中村氏は指摘する。循環器内科医の視点:その「気づき」が、患者の命をつなぎ止める中村氏によれば、BMDの病態スペクトラムは驚くほど広く、そこには循環器内科の先生方にこそ知っていただきたい2つの「心筋先行型」のパターンが存在するという。1つは「運動能力の差」に紛れるケースである。幼少期から「足が遅い」「疲れやすい」といった軽微な骨格筋症状は存在するが、それが病態として認識されず、個人の資質や運動能力の差として処理されてしまうパターンである。成人後、心不全の精密検査をきっかけに、潜在していた骨格筋症状と結びつき、初めてBMDの診断に至る。もう1つは、「心不全」が独走するケースである。明らかな骨格筋障害を認めず、心筋症のみが病態の前面に押し出されるパターンで、身体が良好に動くため、医師も患者も「筋肉の病気」という選択肢を想起しにくい。そのため、「原因不明の心筋症」として治療される中で、ジストロフィン異常症という背景が見落とされ、診断の遅れにつながりやすい。こうした潜在的な症例を早期に捉えるために、原因不明の心不全や心筋肥大を呈する若年男性において、たとえ歩行能力に問題がなくとも、「CK値(クレアチンキナーゼ)」の確認をぜひ検討いただきたい、と中村氏は呼びかける。この1歩が、不可逆的な心筋線維化が進行する前の「適切なタイミング」での介入を可能にするといい、「そのタイミングを掴めるのは、循環器内科の先生方をおいて他にいません」と力を込める。家族を診る視点:母親もまた「心筋症リスク」の当事者である患者を支える家族への配慮も、BMD診療においては極めて重要である。特に見過ごされがちなのが、患者の「介護を担う母親」自身が、加齢とともに心筋症を発現するリスクを抱える当事者であるという点だ。母親が女性ジストロフィン異常症(保因者)である場合、息子(患者)の診断をきっかけに、母親の潜在的な心機能異常にも目を向ける必要がある、と中村氏は指摘する。また、母親は「息子に遺伝させてしまった」という深い心理的葛藤を抱えながら、日々のケアを担っていることが多い。その背景には、単なる筋肉の症状に留まらない複雑な困難も存在する。ジストロフィンは脳内にも発現しているため、患者が学習障害や注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)を合併する場合がある。しかし、「筋ジストロフィーは筋肉だけの病気である」という誤解から、これらが教育現場などで単なる「怠慢」や「本人の性格」として処理されてしまい、患者やその家族が孤立してしまう社会的困難も見受けられるという。「こうした家族全体の負担を理解し、身体的・精神的双方から包括的にケアしていく視点が今、求められています」と中村氏は語る。創薬の最前線:BMD研究がジストロフィン異常症治療の未来を拓くかつて「根本的な治療法がない」とされたBMDの状況は、今、確実に変わりつつある。国内では神経筋疾患患者レジストリ「Remudy(レムディ)」1)や臨床試験ネットワークの整備が加速しており、適切な診断がなされれば、将来的な治験の案内や研究情報へとつながるプラットフォームが整いつつある。現在、世界的には重症型であるDMD(デュシェンヌ型)の治療開発が先行しているが、そこでBMDの精緻な病態解明が果たしている役割は極めて大きい。例えば、DMDの遺伝子治療において鍵となる「機能的なジストロフィンタンパク質の最小構造(マイクロジストロフィン)」などは、軽症BMD患者の遺伝子変異の解析がきっかけで見出され、開発へとつながったものだ。このように、BMDの分子病態から得られる知見は、DMDの治療開発にも不可欠なエビデンスを供給し続けており、ジストロフィン異常症全体の予後を改善するための「最前線」を担っていると言っても過言ではない。また、日本筋ジストロフィー協会2)および同協会内のベッカー型筋ジストロフィー分科会3)といった患者会組織との緊密な連携により、当事者の切実な声を反映した研究開発への理解も深められている。「将来的にBMD特有の治療法が確立され、それが真に効果を発揮するためには、早期診断によって心機能を守り、患者の全身状態を良好に維持しておくことが、我々すべての医師に託された“治療への基盤作り”になります」と中村氏は語る。結びに:診療科の枠を越えBMDを「管理可能な疾患」へBMD診療において最も重要なのは、診療科の枠を越えた連携、とりわけ循環器内科による早期の心保護介入である。「筋肉の病気だから脳神経内科」、「子どもの病気だから小児科」、と完結させるのではなく、特に循環器内科の専門性が介入することで、BMDは初めて「予後を管理可能な疾患」へと進化する。中村氏は「人間対人間として、患者さんならびに家族と信頼関係を築き、診療科の枠を越えシームレスに患者を支え続ける体制こそが重要」と語る。患者さんが生涯を通じて自分らしい生活を全うできるよう、診療科の枠を越えた積極的な関わりと相互協力が今、期待される。(ケアネット 三浦 愛子) 参考 1) 神経筋疾患患者登録Remudy 2) 日本筋ジストロフィー協会 3) ベッカー型筋ジストロフィー分科会

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パーキンソン病患者を支援する遠隔診療への期待/アボット

 アボットは、2025年7月に発売したパーキンソン病(PD)などの治療に使用される脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)の治療機器、充電式脳深部刺激システム「Liberta RC DBSシステム」が、2026(令和8)年の診療報酬改定で「遠隔プログラミング」として新たに算定が追加されたことに寄せ、都内でPDの診療に関するメディアセミナーを開催した。 DBSはジスキネジア(自分の意思に反する身体の動き)などにより日常生活に支障がある患者に対し、前胸部の皮下に植え込んだ刺激装置から脳深部に電気刺激を与えることで、異常な神経信号を中断し、運動症状の改善を図る治療法。DBSの認定医は脳神経外科医の約3%程度であり、普及が進まず、遠方などの患者の通院負荷などが課題とされていた。今回のDBSの遠隔プログラミングに対する診療報酬算定追加を機に、DBSへのアクセス向上が期待される。 セミナーでは、「パーキンソン病治療の新たなフェーズ:令和8年診療報酬改定で変わる脳深部刺激療法」をテーマに、PDの診療の概要、DBS遠隔プログラミングが今後のPDの治療へもたらすメリットや臨床での使用知見、患者にもたらされる恩恵などが講演された。パーキンソン病の治療での課題は克服できるか 「失われた動きを取り戻す治療を目指して:パーキンソン病と向き合う最新テクノロジー」をテーマに服部 信孝氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 特任教授)が、PDの病態と診療の現状を講演した。 PDは、国際パーキンソン病・運動障害学会(MDS)の診断基準により診断される。絶対条件としては、「パーキソニズムがある」ことであり、支持基準として「ドパミン補充療法が有効」「レボドパ誘発性ジスキネジア」「静止時振戦」「嗅覚障害とMIBG心筋シンチ異常」の中で2つ満たすと確定診断となる。 患者数は増加しており、とくに加齢はPDのリスク因子の1つであり、加齢とともに患者数は増えていく。2015年時点で世界には690万人の患者がいるが、2040年には1,400万人になると予測されている。 PDの症状は、うつ、認知症、睡眠障害、パーキソニズム、嗅覚障害、自律神経障害、便秘など多岐にわたり、脳だけの疾患ではなく、全身疾患であると認識される。 PDの治療では、ドパミン補充療法、ドパミンアゴニスト、ドパミン放出促進薬などさまざまな治療薬がある。多くの治療薬が使える一方で、 Lドパ製剤では、大量に内服するとジスキネジアの出現、進行すると効果の時間が短くなるウェアリング・オフが課題となってくる。 また、薬物療法以外では、DBSの手術、神経栄養因子補充療法、リハビリテーション療法などもある。DBSでは、ジスキネジアをターゲットとする淡蒼球内節と薬物量減量をターゲットとする視床下核(STN)への手術がある。とくにSTNへのDBSが多く施行され、10年生存率は77%と高く、その長期治療成果が報告されている1)。 こうした手術の適応要件としては、PDと診断されていること、レボドパ反応が良好であること、適切かつ十分な内服治療を行っても、ジスキネジアやウェアリング・オフなど日内変動が大きいこと、患者本人や介護者がデバイス操作に精通できること、各治療の外科的禁忌事項(脳病変、胃瘻増設が可能かどうかなど)がないことが条件とされる。 今後の治療法では、2026年中盤以降に条件及び期限付承認でiPS治療が開始される。これは、iPS細胞をドーパミン放出神経細胞に変化させ、患者の脳に注射。ドーパミン分泌が増えて症状が改善することを目指す治療である。 おわりに服部氏は「iPS治療で治療薬不要の患者も出てくる。その一方でDBSでも治療薬不要の人もいるので、どちらが適切か、その見極めが今後重要となる」と語り、講演を終えた。患者と医師をつなぐDBSの遠隔プログラミングの有用性 「脳深部刺激療法の重要性」をテーマに波田野 琢氏(順天堂大学附属順天堂医院 脳神経内科 主任教授)が、薬物療法の限界とDBS導入のポイントを講演した。 先の服部氏の講演内容をたどりつつ、PDの治療の中心はLドパ製剤であり、患者からの薬剤の効果の話題ではLドパ製剤であることが多いという。Lドパ製剤は、PDの症状改善や生命予後の延長など恩恵もある一方で、患者の日内変動で予測不能なオフ、突然のオフ、無効化、投与終末リバウンド、オン・オフ現象など治療には限界があることが知られている。 こうした課題に対しDBSがあり、“INTREPID Study”によると登録されたPD患者313例のうち、196例がDBSを受け、191例がランダムに割り付けられた。中間解析に含まれた160例のうち、121例がアクティブ群に、39例がコントロール群に割り付けられ、盲検期間3ヵ月(その後全例open-labelへ)の観察を行った。その結果、DBSは難しいジスキネジアのないオン時間を延長することが判明した2)。 しかし、DBSの普及は進んでいないと波田野氏は現状を指摘する。その理由として適応となる運動機能障害の患者数、患者家族の有無、専門の医療機関の数・地域差・専門医の数など課題があるという。こうした課題、とくに専門医や医療機関の地域偏在などの差を埋めるものとして、遠隔プログラミングによる患者フォローが期待されている。 遠隔診療による自験例として、手術後遠隔診療をした38例についてアンケート調査を行ったところ、患者の回答として「病院へ行く負担が減った」「費用が節約できた」「医師とのコミュニケーションが増えた」という声があった。また、医師の回答として「患者とのコミュニケーションが増えた」「患者の不安を取り除けた」など双方によい結果だった3)。 同時に進行期PD患者のQOLを上げるためには、かかりつけの専門医、専門の看護師、薬剤師、理学療法士を巻き込んだ専門的なチーム治療が必要だと提言を行った。おわりに波田野氏は、「こうした遠隔診療が導入されることで、1人でも多くの患者の治療障壁が取り除かれることに期待したい」と抱負を述べ、講演を終えた。PDへの遠隔プログラムの期待 「DBS 遠隔プログラミングの実際」をテーマに梅村 淳氏(順天堂大学附属順天堂医院 脳神経外科運動障害疾患病態研究・治療講座 教授)が、遠隔プログラミングの実際や見えてきた課題について講演した。 PDにおけるDBSは、脳への電気刺激により神経回路の機能を調整してパーキンソン症状を改善させることにある。最初に外科手術を行い、術後は薬物療法とともに相補的に使用される。DBSでは症状に合わせて刺激の調整を行うことで症状を緩和する。その際に電気の強弱を合わせることを「プログラミング」といい、電極の左右で調整を変えることができる。 近年では遠隔プログラミングができるDBSデバイスも登場し、遠隔プログラミングでは、患者とビデオチャットができるスマホやタブレット端末を通じて、患者と医師が会話しながら調整する。 実際、DBSを受けたPD患者を対象とした無作為化多施設共同試験では、遠隔プログラミングは院内プログラミング(対面)のみの場合と比較し、臨床的改善までの期間を有意に短縮し、有害事象もないことが報告されている4)。 遠隔プログラミングは以前、医師のボランティアで行われていたが、今回の診療報酬改定で保険点数がついたことで拡大することが期待されている。その一方で、現状の課題として遠隔診療では神経学的診察に限界があること、通信環境やデバイスの操作能力の差があること、緊急時の対応、適応患者の選定などがあると梅村氏は指摘する。 また、梅村氏は、遠隔プログラミングの将来的な期待として以下の7項目を掲げる。1)通院負担の軽減とアクセス改善2)患者ごとの生活状況に合わせた柔軟な調整3)専門医療の地域格差の是正4)緊急時・副作用発現時の迅速な対応5)家族・介護者を含めた治療参加の促進6)医療資源の効率化7)将来的な「在宅型・個別化DBS管理」への発展 最後に梅村氏は、「DBS管理によりPDの治療は継続的に個別化・患者中心型に変わっていく可能性がある」と展望を語り、講演を終えた。

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6月5日 ロコモ予防の日【今日は何の日?】

【6月5日 ロコモ予防の日】〔由来〕「ロ(6)コ(5)モ」と「ろ(6)うご(5)」(老後)と読む語呂合わせから、ロコモティブ・シンドロームの認知度を高め、その予防に関する正しい理解を広めることを目的に「ロコモティブ・シンドローム予防推進委員会」が制定。関連コンテンツ医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチこれから、ロコモ対策、何をやる(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)7つの“ロコモチェック”(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)初めて治療ゴールを示した「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン」変形性膝関節症、膝装具の追加で患者報告アウトカムが改善/BMJ

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骨折・転倒予防、CaとビタミンDに効果認めず~メタ解析/BMJ

 これまでの系統的レビューでは、カルシウムおよびビタミンDは、単独では骨折の減少をもたらさず、これらを併用しても結果に一貫性はなく、転倒に対するビタミンDの効果にもばらつきがみられる。それにもかかわらず、ガイドラインなどは筋骨格系の健康維持にビタミンD(±カルシウム)の補充を推奨し、2000年代初頭以降、これらの処方量は大幅に増加しているという。カナダ・CIUSSS du Nord-de-l’Ile-de-MontrealのOlivier Masse氏らは、骨折および転倒の予防において、カルシウム、ビタミンD、またはこれらを併用した栄養補充製品の有益性はほとんど、あるいはまったく認められないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年5月20日号で報告された。骨折・転倒の予防効果をメタ解析で評価 研究グループは、成人における骨折および転倒に対する、カルシウム、ビタミンD、またはこれらを併用した栄養補充製品の効果を評価する目的で、関連文献の系統的レビューとメタ解析を行った(特定の助成は受けていない)。 対象は、骨粗鬆症の薬物治療を受けていない成人(18歳以上)において、骨折または転倒の予防法として、カルシウム、ビタミンD、またはこれらの併用補充製品を、プラセボまたは無治療と比較した無作為化比較試験とした。全骨折の予防効果はほとんどない 69件の試験(参加者15万3,902例)を解析の対象とした。60試験(87%)は地域在住の高齢者のみ、26試験(38%)は女性のみを対象とし、50試験(72%)の参加者は骨折や転倒のリスクが高いグループには属していなかった。全体の年齢中央値は71.2歳(四分位範囲:63.8~76.9)だった。 主要アウトカムである全骨折に関して、カルシウム補充製品(11試験、参加者9,067例、リスク比:0.91[95%信頼区間[CI]:0.81~1.01]、エビデンスの確実性:中)や、ビタミンD補充製品(36試験、9万2,415例、1.00[95%CI:0.95~1.06]、高)、併用栄養補充製品(15試験、5万1,126例、0.91[95%CI:0.84~0.99]、高)のいずれにおいても、予防効果はほとんど、あるいはまったく認めなかった。 大腿骨近位部骨折、非脊椎骨折、脊椎骨折についても、3つの補充製品とも、ほとんど予防効果はなかった。転倒の予防にも効果はない、他の介入法の可能性を 転倒の予防に関しても、カルシウム補充製品(2試験、参加者2,966例、リスク比:0.91[95%CI:0.78~1.06]、エビデンスの確実性:中)、ビタミンD補充製品(32試験、6万5,234例、1.01[95%CI:0.98~1.04]、高)、併用栄養補充製品(10試験、1万1,068例、0.92[95%CI:0.84~1.00]、中)のすべてで、予防効果はみられなかった。 また、複数のサブグループ解析により、異質性に関して広範な検討を行ったが、上記の知見の頑健性は保持されていた。 一方、高リスク例や在宅看護を要する患者については、カルシウム単独療法および併用補充療法の多くのアウトカムに関して、エビデンスは十分ではなかった。 著者は、「これらの知見は、骨折や転倒の予防を目的とするカルシウム、ビタミンD、これらを併用した栄養補充製品の日常的な摂取を支持しない」としている。また、「本研究の結果は、特定の骨疾患を有する患者、あるいは骨粗鬆症の薬物治療や、長期にわたりコルチコステロイドを使用している患者には一般化できない可能性がある」「今後は、骨折や転倒の予防に、これら以外の介入法の評価が行われる可能性があり、検討が期待される分野として、食事療法、医薬品の再評価、教育や行動変容へのアプローチ、多面的な介入、および転倒予防のためのデジタルツールなどが挙げられる」と指摘している。

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医師のランチ事情、ベテランは「時短」、若手は「節約」を優先/医師1,000人アンケート

 日々の外来や手術、急患対応などに追われる医師の勤務環境において、「昼食(ランチ)」は貴重な休息とエネルギー補給の時間である。しかし、急な呼び出しや処置の延長など、業務の都合に左右されやすい。今回、CareNet.comでは「医師のランチ事情」と題したアンケートを実施し、勤務日の昼食時間や内容、仕事による中断の頻度、ランチ選びの優先事項などを聞いた。対象はケアネット会員医師1,012人で、20代以上の各年代層から回答を得た。上の世代ほど短時間ランチ、外科系はさらにタイト Q1では「勤務日の昼食休憩(純粋に食事に充てられる時間)」を聞いた。全体では「15分〜30分未満」が36%で最多、次いで「5分〜15分未満」が30%、「30分~1時間未満」が20%と続く。「5分未満」と回答した医師は6%を占めていた。全体の約3分の1の医師が15分以内で昼食を取っていることがわかった。 興味深いのは、年代が上がるにつれて昼食時間がさらに短縮化する傾向が見られる点だ。15分未満(「5分未満」と「5〜15分未満」の合計)で昼食を済ませる割合は、20代で27%にとどまるのに対し、30代では35%、40代では38%、50代では36%、70代以上では38%へと上昇する。20代の若手医師においては「15分〜30分未満」が49%と約半数を占めており、上の世代に比べれば、一定の食事時間を確保できている。 また、診療科系統別では、外科系医師において「5分〜15分未満」が33%、「5分未満」が8%となり、内科系(それぞれ29%、5%)を上回った。診療科の特性が、休憩時間の逼迫、あるいは「早食い」の習慣化につながっている可能性が推察される。過半数の医師が定期的にランチを「中断」、30代は7割 Q2では「昼食中、仕事(呼び出しや相談)で『中断』される頻度」を聞いた。全体では「ほとんどない」が41%である一方、「ほぼ毎日」が7%、「週に2~3回程度」が21%、「週に1回程度」が28%となり、全体の56%と過半数の医師がランチを定期的に中断されていることがわかった。 この中断頻度は、年代や病床数によって差が見られる。「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週に1回程度」の合計で見ると、年代別では、20代・30代・40代では6割を超える。とくに30代では70%に達した。また、50代では「ほぼ毎日」中断される人が10%であった。病床数別で見ると、20~99床の病院では「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週に1回程度」の合計が66%、200床以上の大規模病院では65%と高くなっている。定番は「お弁当」と「院内食堂」、過半数が予算500円未満 Q3で「最も頻度が高い昼食内容」を尋ねたところ、最も多かったのは「自作・家族作の弁当」で33%、次いで「院内食堂」が26%、「コンビニ・スーパー・売店で購入」が23%と続いた。年代別では、20代と50代でお弁当の持参率が高く(それぞれ43%、41%)、院内食堂の利用率が低めであった(それぞれ16%、18%)。 予算(Q5)に関しては、「500〜1,000円未満」が37%で最多、次いで「500円未満」が32%、「0円(弁当持参、病院支給・検食など)」が24%となり、1,000円未満で収めている医師が9割を超えた。過半数が昼食の予算を500円未満に抑えていた。若手は「コスト」、ベテラン層は「栄養バランス」を最優先 Q4で「昼食を選ぶ際、最も優先していること」を聞いた。全体では「栄養バランス」が34%で最多、次いで「スピード」が27%、「コスト」が21%となった。 これを年代別で比較すると、明確な意識のグラデーションが見られる。20代では「コスト」を最優先する割合が46%と半数近くに達しているのに対し、年齢が上がるにつれてその割合は低下する。20代の昼食代の予算は0円が32%に上るなど、若手層の強い節約志向がお弁当持参という行動に直結していることが読み取れる。 対照的に、同じくお弁当持参率の高い50代では、昼食代を0円に抑えている割合が29%を占めるものの、優先事項で「コスト」を挙げる人は17%にとどまる。40代以上のベテラン層では「栄養バランス」を重視する割合は上昇し、70代以上では43%と全世代で最も高くなる。ベテラン層におけるお弁当の持参や低予算は、節約志向というよりも、健康への配慮や、自由回答にもみられた「お弁当を作ってくれるパートナーへの感謝」といった要因が背景にあると考えられる。若手のコスト重視と、ベテラン層の健康志向へのシフトが対照的に表れる結果となった。ランチに関する医師たちの本音 Q6の自由回答では、限られた時間の中で食事をやりくりする医師たちの切実な日常やこだわりが語られた。以下に主なコメントを抜粋する。【時間や業務による制約】・食事中呼ばれたときに中断できるもの、後から食べられるものを選んで食べております(50代、呼吸器内科)・研修医時代、15分で食べろと言われて驚いた(50代、精神科)・30代前半はとくに忙しかったので、ポケットに入れておいたカロリーメイトでしたね(60代、耳鼻咽喉科)・たまにカップ麺に湯を注いだ後に呼ばれることがあり、これは本当につらい(40代、臨床研修医)・夕方時間外になってからの昼食も多く、生活リズムが安定しません(50代、整形外科)・患者に指導する資格はないような、ジャンクで偏った食事しか取っていません(60代、内科)・食べようとすると、インスタント・コンビニに限定されるので、食べていない(60代、小児科)【調達手段やコスト、工夫など】・今の病院に勤務するようになり、職員食堂の素晴らしさに感動しています。安くて美味しくて今のところまったく文句ありません(40代、麻酔科)・病院で出してくれて、以前の弁当を買っていた時より体調がいい(30代、精神科)・院内食堂の値段、メニューなどがどんどん改悪されている(60代、内科)・物価高で食費がかさむ(40代、膠原病・リウマチ科)・院内にコンビニが入っているのですが、昨今の昼食が高い。ワンコインでは済まない1,000円弱になってしまった。おにぎりが高い(50代、心療内科)・妻がお弁当を作ってくれるようになって、健康と感じることが多くなった。感謝です(30代、内科)・毎週末、冷凍弁当を作っています(30代、リハビリテーション科)・見栄えが気にならないスープジャーなので、冷ご飯でも残り物でもなんでも入れられます(40代、小児科)・コンビニやデリバリーで無駄なお金を払いたくないので、普段からオートミールなどを医局に置いて支出を減らしている(30代、糖尿病・代謝・内分泌内科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師のランチ事情/医師1,000人アンケート

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英語で「四十肩」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第61回

医学用語紹介:四十肩 adhesive capsulitis日本語の「四十肩」「五十肩」は年齢に由来する俗称ですが、英語でそのまま“40-year-old shoulder”と言っても「40歳の肩」という意味にしかならないため、相手を困惑させてしまうでしょう。一方で、正式な診断名であるadhesive capsulitis(癒着性関節包炎)だと専門的すぎて、一般の方にはまず伝わりません。では、どのように伝えるのがよいでしょうか?講師紹介

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プレハビリテーションにより術後合併症が減少

 手術前に、運動や栄養管理をベースにしたプレハビリテーションを実施することで、術後合併症のリスクが大幅に低下することが、新たな研究で明らかになった。そのようなプレハビリテーションを実施した患者では、術後の入院期間も半日程度短縮したという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デヴィッド・ゲフィン医科大学のJustine Lee氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に4月29日掲載された。Lee氏は、「今回の結果は、特に合併症リスクの高い患者や、手術前に追加のサポートが有益と考えられる患者に対するプレハビリテーションプログラムの有用性を裏付けるものだ」と述べている。 運動や栄養、心理的サポートを通じて手術に備えるプログラムであるプレハビリテーションは、比較的新しい医学的概念である。近年、プレハビリテーションプログラムを導入する医療機関は増加しているという。 今回の研究では、論文データベースを用いて、手術前の運動や栄養管理をベースにしたプレハビリテーションプログラムに関する研究を検索し、基準を満たした23件のランダム化比較試験(参加者総数2,182人)を対象に、その効果が検討された。主要評価項目は、入院期間(LOS)と術後合併症の発生とされた。23件の試験のうち、18件は運動、5件は栄養管理をベースにしたプレハビリテーションに焦点を当てていた。運動ベースのプログラムは複数の手術領域で評価されていたが、特に整形外科手術で多く用いられていた(44.4%)。一方、栄養管理ベースのプログラムは、消化器外科および心臓手術で実施される傾向が認められた。 解析の結果、運動または栄養管理ベースのプレハビリテーションの実施により、標準ケアと比較して、術後合併症は有意に減少し(オッズ比0.52、95%信頼区間0.35~0.78、P<0.002)、LOSは平均0.44日短縮した(平均差−0.44日、95%信頼区間−0.78~−0.11、P=0.01)。介入内容別に検討すると、運動ベースのプレハビリテーションでは合併症リスクの低下が顕著であった(オッズ比0.45、95%信頼区間0.28~0.74、P<0.001)。一方、栄養管理ベースのプレハビリテーションは運動ベースのプレハビリテーションよりもLOSの短縮効果が大きかった(栄養:平均差−1.09日、95%信頼区間−1.72~−0.47、運動:平均差−0.21日、同−0.51~0.09、P=0.01)。運動ベースのプレハビリテーションでは、生活の質(QOL)の指標にも改善が認められた。 筆頭著者であるUCLAデヴィッド・ゲフィン医科大学のCatherine Cascavita氏は、「栄養または運動をベースにしたいずれのプレハビリテーションも術後回復を改善し得るが、それぞれ異なる利点を持つ可能性がある。患者ごと、また患者が受ける手術の種類に適したプログラムを明らかにするためには、さらなる研究が必要だ」と述べている。 研究グループは、「今後の研究は、プロトコルの標準化や費用・保険適用といった障壁の解消を通じて、プレハビリテーションをより広く普及させることに焦点を当てる必要がある」としている。Lee氏は、「手術前の段階で術後転帰をどのように改善できるかについては、まだ理解が始まったばかりだ」と述べている。

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ライフスタイル関連の認知症危険因子――Lancetの14の危険因子を読み解く(その4)【外来で役立つ!認知症Topics】第41回

前回は、病理の進行を直接抑える「表街道」と、脳の予備能を高める「援護射撃」という視点で各因子を紐解いてきた。「Lancetの14の危険因子を読み解く」シリーズの完結編となる今回は、日常の選択が脳の未来を左右する6つの因子を整理する。脳の「炎症」を助長する因子今回取り上げる6つの因子のうち、肥満、喫煙、過度な飲酒、そして大気汚染の4つは、主に神経炎症や酸化ストレスを介して認知症の悪化を加速させる危険因子である。肥満:伝統的な食事で予防中年期の肥満は、認知症のリスクを最大3倍も増加させる。肥満の原因は、高カロリーやジャンクフードといった不適切な食生活、運動不足、睡眠不足、慢性ストレスなどである。脳への悪影響のメカニズムとして、運動不足やストレスに加え、睡眠時無呼吸症候群に伴う低酸素刺激、さらにはミクログリア炎症などの脳内炎症との関連も注目されている。計画的な体重減少は認知機能を改善させる。減量には食事や運動が基本だが、最近ではセマグルチドなど、いわゆる「痩せ薬」の有用性も注目されている。ただし、筋肉喪失と骨の脆弱化を防ぐために、年間3~4kg程度の緩やかな体重減少に留めるのが望ましい。ここで興味深いデータがある。先進諸国の肥満率を比較すると、アメリカが42.9%と最高であるのに対し、日本は最低の4.9%というものである1)。その背景には、伝統的な食生活と活動的なライフスタイルが指摘されている。前者は、日本食が地中海食と同様に生活習慣病予防食である事と関連するだろう。後者については勤勉を尊ぶ日本人の伝統的な価値観が関わっているのかもしれない。喫煙:禁煙5年でリスクをリセット今現在の喫煙者は非喫煙者に比べて、認知症リスクが30~50%高い。やはり喫煙は「やめるしかない」のである。以前からCOPD予防の文脈で、禁煙すれば呼吸器系がクリーニングされると知られていた。認知症に関しても、禁煙の効果を示す報告がある。印象的なのは、禁煙の5~7年以内に、吸わない者と同程度まで認知症のリスクが低下するという報告だ2)。なお禁煙による体重の増加には留意したい。禁煙しても体重が増加すればリスク低減効果は相殺されてしまう。治療では、薬理学的治療と行動療法が組み合わされる。最近では電子タバコが良いとも言われるが、実は酸化ストレスと脳の慢性炎症をもたらす点では、従来のタバコとあまり変わらない。過度な飲酒:不定期の大量飲酒に注意飲酒については適切な基準の把握が欠かせない。純アルコール10g (ビールで200mL 日本酒で0.5合、焼酎で40mL)を1単位とした場合、1週間に14単位を超える飲酒は認知症リスクを大幅に増加させる。飲酒の安全基準には男女差があり、男性は1日2単位、女性では1日1単位である。過度の飲酒は、記憶関連の大脳領域を萎縮させ、脳内のメッセージ伝達能力を障害する。さらに高血圧や心臓病、脳卒中のリスクを増加させる。注意すべきは、定期的な飲酒以上に、不定期に大量飲酒するほうが脳への悪影響が大きいことである。飲酒の認知機能への影響について、興味深い大規模なコホート研究がある3)。軽度~中等度の継続的な飲酒者は、ずっと非飲酒者より認知症のリスクが低減する。さらに、飲酒量を多量から中等量へと節酒することで、ずっと飲まない者に比べて認知症のリスクがさらに低下するという。もっとも、認知症予防のために、わざわざ飲酒を開始すべきではないことは言うまでもない。大気汚染:PM2.5とレビー小体型認知症大気汚染、とくにPM2.5は、認知症の危険因子だと認識される。それが脳に到達するのに3つの経路が考えられる。まず肺から血液吸収され脳に至るもの、次に鼻から直接脳に到達するもの、そして血流を通して脳に至って血液脳関門(BBB)を破壊するものである。PM2.5は高齢者にとってとくに危険だが、この濃度は交通量の多い道路周辺で最高である。しかし主要道路から100メートル離れるごとに曝露量は10~15%軽減し、300メートルで30~40%低減する。大通りを避けて住宅街の裏道の利用が望ましい。また室内で空気清浄機を活用すると、PM2.5を半分以下にできる。ところでPM2.5について斬新な最近の報告がある5)。PM2.5がレビー小体型認知症(DLB)の病理学的特徴であるαシヌクレインの異常な折り畳みを引き起こし、PM2.5の曝露量が多いとDLBやパーキンソン病発症リスクが高まるという。脳への「インプット」を阻害する因子残る2つの孤独と視力障害は、脳へのインプットを阻害する因子であり、これらへの対策は認知予備能を高める側面が強い。孤独:脳の萎縮を防ぐ「社会との接点」孤独とは主観的な感覚であり、社会的孤立は交流のない状態だが、いずれも認知機能低下と強く関連する。孤独感は全認知症リスクを31%増加させる。アルツハイマー病で14%、血管性認知症で17%、軽度認知障害で12%の増加をもたらす。また社会的孤立は孤独とは独立に26~50%の増加をもたらす。孤独感が単なる「気持ちの持ちよう」というレベルではないことを示す脳画像研究がある4)。前頭前野背外側部などの大脳部位は、共感や思いやりとの関連が知られているが、これらの脳部位の萎縮と、孤独が相関するという。つまり、共感・思いやりと孤独は表裏一体をなす脳活動なのだろう。対策としては、共通の関心事に基づくグループ参加が最も効果的だとされる。筆者が経験的に良いと思うのは、ペット(ペットロボットも含む)、趣味(読書、ガーデニング、手作業)のグループを探すこと。あるいは図書館や学校(登校・放課後の見守り)などのボランティア、地域で日常的に行われているラジオ体操などもいいだろう。視力低下:認知負荷を強いる「見えにくさ」の罠視力障害のある高齢者は正常視力の人と比べ、認知症発症リスクが1.5~2.3倍高い。想定されるメカニズムとして、視覚障害により脳への感覚入力が減少し、視覚処理領域の神経萎縮が起こり、脳刺激の減少、神経細胞の消失と連鎖していくことが考えられる。また視力障害と認知低下は、基礎的なプロセスに共通性があるかもしれない。たとえば脳血管障害、アミロイドβ蓄積、慢性炎症や神経変性である。さらに、視力低下により他の認知的リソースを使って情報を得なければならないため、本来の認知能力がその分減るとする「認知負荷仮説」も考えられる。目というと視力と考えがちだが、最近では「コントラスト感度」、つまり明暗を判別する能力が重要だとされる6)。たとえば夜間の活動には、高いコントラスト感度が必要だ。また照度が低い状態や、霧、眩しさのある状況ではその感度が鈍り、転倒・転落や交通事故のリスクが高まる。視力障害への対応は、白内障手術や眼鏡処方、低視力リハビリテーションが代表的である。これらにより、臨床リスクを30%低減できる可能性がある。今回をもって「Lancetの14の危険因子を読み解く」シリーズは終了となる。繰り返しになるが、この危険因子とはアルツハイマー病のみならず、すべての認知症に対するものである。また危険因子は、古典的なアミロイド仮説に関連するもののみならず、認知予備能仮説のように最大限に脳を守る・活用していくという方向に大別される。 1) WorldAtlas. The Most Obese Countries In The World In 2024. 2) Chen H, et al. Smoking Cessation, Weight Change, and Risk of Dementia: A Prospective Cohort Study. medRxiv. 2025 Nov 6. [preprint] 3) Jeon KH, et al. Changes in Alcohol Consumption and Risk of Dementia in a Nationwide Cohort in South Korea. JAMA Netw Open. 2023;6:e2254771. 4) Lam JA, et al. Neurobiology of loneliness: a systematic review. Neuropsychopharmacology. 2021;46:1873-1887. 5) Zhang X, et al. Lewy body dementia promotion by air pollutants. Science. 2025;389:eadu4132. 6) Risacher SL, et al. Visual contrast sensitivity in Alzheimer's disease, mild cognitive impairment, and older adults with cognitive complaints. Neurobiol Aging. 2013;34:1133-1144.

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英語で「滑液包炎」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第59回

医学用語紹介:滑液包炎 bursitis医療従事者にとってbursitis(滑液包炎)というのは日常的に目にする疾患名ですが、患者さんに対して突然“You have bursitis.”と告げても、まず伝わりません。bursaという単語はラテン語の「財布」や「かばん」を語源とする専門用語であり、一般の英語話者にとっては日常生活で耳にすることのない用語です。では、どう説明したら伝わるでしょうか?講師紹介

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経皮的電気神経刺激療法は線維筋痛症の痛みの軽減に有効

 実臨床環境で実施された初の試験において、経皮的電気神経刺激療法(TENS)が線維筋痛症に伴う動作時の痛み(以下、動作時痛)の軽減に有効である可能性が示された。TENSは、皮膚に貼った電極を介して微弱な電流を流し、痛みを遮断または軽減する治療法で、外来で長年使用されている。論文の筆頭著者である米アイオワ大学理学療法・リハビリテーション科学分野のDana Dailey氏は、「本研究は、他の治療にTENSを併用することで追加的な効果がもたらされることを示している。研究参加者は全員、鎮痛薬の使用や理学療法も受けていたが、それでもなおTENSは追加的な症状緩和をもたらした」と述べている。この研究は、「JAMA Network Open」に3月27日掲載された。 これまでにも、線維筋痛症に対するTENSの効果を検討した研究は存在したが、いずれも厳密に管理された条件下で実施された臨床試験であった。今回の研究は、米国内の28の外来理学療法クリニックの患者384人(平均年齢53歳、女性91%)を対象に、外来での理学療法にTENSを追加することで、線維筋痛症に伴う動作時痛が軽減するかどうかが検証された。対象者は、理学療法にTENSを追加する群(TENS群、191人)と理学療法のみを受ける群(理学療法群、193人)にランダムに割り付けられた。TENS群では、電極を上・下背部に貼り付け、快適かつ十分な強度の刺激で1日2時間の治療が行われた。治療は連続して実施することも、1日の中で分割して行うことも可能であった。効果は、1日、30日、60日、90日、および180日時点に評価された。理学療法単独群にも60日目以降にTENSが追加された。主要評価項目は試験開始時から60日時点までの動作時痛の変化量とし、0(痛みなし)~10(これ以上想像できないほどひどい痛み)の尺度で評価した。 その結果、60日時点の動作時痛は、TENS群で理学療法群と比較して有意に低かった(群間差−1.2、95%信頼区間−1.6~−0.7)。TENSの効果は用量反応性であり、患者評価による改善度の指標(Patient Global Impression of Change;PGIC)で改善を報告した割合は、TENS群で有意に高かった(72%対51%、P=0.001)。動作時痛が30%以上改善した割合も、TENS群で有意に高かった(41%対13%、P<0.001)。さらにTENS群では、安静時の痛み、痛みによる生活支障、動作時疲労、安静時疲労、線維筋痛症の重症度などにも有意な改善が認められた。全体として、TENSを使用した患者の81%がTENSが有用であると評価し、180日時点でも55%がTENSを毎日使用していた。 論文の上席著者であるアイオワ大学理学療法・リハビリテーション科学分野のKathleen Sluka氏は、「理学療法群の患者にTENSの装置を提供し、使用を開始してもらったところ、TENS群と同様の改善が認められた。この点は非常に重要である」と述べている。 Sluka氏は、「痛みの軽減に加え、疲労も軽減したことに興奮した。現時点で有効な治療法はほとんどない疲労にも効果が及んだことは、非常に意義深い」と述べている。同氏はさらに、「ランダム化比較試験の結果を実臨床に移行すると、交絡因子が多過ぎて効果が再現されないことが少なくない。しかし、本介入は実臨床でも有効であった」と結論付けている。

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第293回 医師にとっての2040年-地域医療構想の転換で働き方はどう変わるか-

診療報酬改定、医療機関の経営悪化、医師需給の議論――個別に語られてきたこれらの変化は、いま1つの方向へ収斂しつつある。2026年に示された新たな地域医療構想は、「病床」から「機能」への転換を明確に打ち出した。本稿では、特別編としてこの構造変化が医師の働き方やキャリアにどのような影響を及ぼすのかを考える。はじめに大型連休に入り、今年の初めからの医療関連ニュースや厚生労働省の資料を改めて見直してみた。診療報酬改定、医療機関の経営悪化、医師需給の議論、そして地域医療構想の見直し――個別に見ればそれぞれ独立した話題に思えるが、俯瞰すると1つの方向性が浮かび上がる。それは、「医療提供体制そのものが転換期にある」という点に尽きる。地域医療構想の変化:病床から機能へ厚労省は2026年3月に「2040年に向けた地域医療構想の取りまとめ」を公表した。従来の地域医療構想は、2025年に向けて各2次医療圏に必要病床数を医療機能ごとに整理する、いわば「病床配分」の枠組みであった。その一方で、今回の見直しは単なる病床再編にとどまらず、「どの医療をどこで担うか」という機能そのものの再設計を志向するものと考えられる。画像を拡大する画像を拡大する稼働率引き上げが意味するもの:静かなハードル設定今回の見直しで見過ごされがちだが重要なことは、各医療機能における病床稼働率の前提が引き上げられている点である。従来は高度急性期75%、急性期78%、回復期90%、慢性期92%とされていたが、新たな構想では高度急性期78%、急性期83%、回復期(包括期)87%、慢性期92%と見直されている。一見すると数%の変化にすぎないが、稼働率は単なる運営指標ではなく、「その機能を担うに足る患者数を安定的に確保できるか」を示す指標と解釈することもできる。すなわち、この引き上げは各機能を維持するための実質的な参入基準の引き上げとみることができる側面がある。とくに急性期においては、稼働率83%を安定的に維持するためには一定規模以上の患者集約が不可欠となる。これは結果として、「患者が集まらない急性期は成立しにくい」という政策的メッセージを内包している。従来であれば一定程度の稼働で維持できていた機能も、今後は重症度や医療・看護必要度といった要件とあわせて基準を満たせなければ、機能転換を余儀なくされる可能性がある。この意味で、稼働率の引き上げは単なる数値の修正ではなく、「機能を満たす医療機関のみが残る」というハードルが設けられたとみることもできる。急性期集約と高齢者救急の拡大新たな地域医療構想では、「急性期医療の集約化」と「高齢者救急・在宅医療への対応強化」が明確に示されている。背景には、85歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少がある。若年人口の減少により手術を中心とする急性期医療のニーズは減少する一方で、誤嚥性肺炎や心不全といった内科系救急患者は増加すると考えられる。すなわち、医療需要は単純な量的減少ではなく、質的転換の局面に入っているといえる。医療機関経営に現れた構造変化コロナ禍後も病床稼働率や外来患者数の回復は限定的であり、2025年度の医療機関倒産は過去最多となった。民間病院でも赤字法人の増加が報道されている(病院経営の法人、採算悪化で赤字法人が5割に迫る 収入は微増、利益はコロナ禍から1兆円以上の大幅減)。これは一時的な現象というより、医療需要や環境の変化に対して適応できない医療機関が市場から退出しつつある状況を示している。厚労省の政策の中核として、「急性期拠点機能の集約」が挙げられる。急性期拠点病院を人口20〜30万人当たり1施設とする考え方は、従来の地域分散型モデルの見直しを意味する。その結果、中小規模の急性期病院は、(1)統合、(2)機能転換(包括期・慢性期+在宅支援)、(3)病床縮小といった選択が迫られる構図となる。この再編は、勤務医と開業医の双方に影響を及ぼすと考えられる。勤務医への影響:専門医と総合医の分化この変化は勤務医のキャリアにも影響を及ぼすとみられる。急性期拠点病院では、高度医療・手術・重症救急を担う専門医の集約が進む。その一方で、そのポジションは限られるため、選抜性が高まる可能性がある(今後の医療需要の変化を見据えた専門医の養成について)。今後は医療と介護の複合ニーズが一層高まるため、勤務医の多くは高齢者救急や地域急性期、包括期を担うことが求められると考えられる。この領域では、多疾患併存患者への対応や在宅復帰支援など、総合的な診療能力がより重要となる。また、文部科学省による地域実習プログラムや、日本病院協会と日本プライマリ・ケア連合学会が運営する総合医育成事業「総合医リカレント実践事業 ReGeneral」は、こうした変化を背景とした人材政策と位置付けることができる。結果として、医師の役割は「高度専門医」と「総合診療型医師」に分化していく可能性がある。開業医への影響:外来モデルの転換開業医にとっても影響は小さくない。人口減少の進行により外来患者数は長期的に減少する可能性があり、診療所数の増加(診療所数は1980年代前半約8万施設のところ2020年約10万施設と約1.25倍)とあわせて競争環境は厳しさを増すと考えられる。従来の外来中心モデルは、持続性の観点から再検討が必要となる可能性がある。その一方で、在宅医療の需要は今後も間違いなく増加していく。高齢者医療では早期退院と在宅復帰が前提となるため、開業医には退院後の受け皿としての役割が求められる場面が増えていくとみられる。医師需給と報酬構造の変化医師数は増加しているものの、地域偏在や診療科偏在は依然として残る。その結果、急性期拠点では医師不足が続く一方で、都市部では供給過剰が生じる可能性がある。これに伴い、医師の報酬構造も均一ではなくなり、主治医として担う機能や地域によって格差が広がる可能性がある。医学部定員削減のリスク医学部定員削減について医道審議会医師分科会医師専門研修部会や経済財政諮問会議で話し合われているが、地方医療提供体制への影響には慎重な検討が必要となる。全国的に医師数が増加しても、地方における医師不足が解消されるとは限らない。とくに地方の救急医療体制では、若手医師の確保が困難となれば、診療体制の維持そのものが難しくなる可能性がある。今後は医師数の総量よりも、機能に応じた配置がより重要な論点となる。医療再編の本質:機能を満たすかの選択2040年に向けた医療再編は、医療機関に対して「どの機能を担うか」を問うものである。急性期に特化するのか、地域急性期や包括期(従来の回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟)を担うのか、あるいは在宅医療や介護との連携を強化するのか--それぞれの選択は、医師の働き方やキャリアにも直結する。おわりに:変化の中での医師の選択以上のように、新たな地域医療構想は医療提供体制の構造変化を伴うものであり、医師の役割にも影響を及ぼす可能性がある。重要なのは、今年の診療報酬改定を2年に1度の恒例行事として受け取らず、改定の全体像を通して政府が医療提供体制の変化への第1歩として捉え、自らの専門性や立ち位置を見直す契機とすることであろう。今後の医療提供体制が変化する中、読者の先生方は、どのような役割を選択されるだろうか。 参考 1) 新たな地域医療構想に関する取りまとめ(厚労省) 2) 人口減少社会の中での総合的な国力の強化(経済財政諮問会議) 3) 25年度の医療機関倒産、過去20年で最多の71件 商工リサーチ調べ(日経新聞) 4) 病院経営の法人、採算悪化で赤字法人が5割に迫る 収入は微増、利益はコロナ禍から1兆円以上の大幅減(同) 5) 医療提供体制の現状~病院数の推移~(厚労省) 6) 地域の医師、文科省が育成支援へ…中小病院で長期間学ぶ「地域実習プログラム」開発支援(読売新聞) 7) 総合医育成プログラム 「総合医リカレント実践事業 ReGeneral」(日本プライマリ・ケア連合学会) 8) 今後の医療需要の変化を見据えた専門医の養成について(厚労省)

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キネシオテーピングの効果に疑問符

 トップアスリートが脚や腕、肩に鮮やかな色のテープを貼った状態でスタートラインに立つ姿をよく見かける。このキネシオテープは、筋肉や関節の痛みを和らげ、可動域を広げることを目的として利用される。しかし、南方医科大学リハビリテーション医学院(中国)のXiaoyan Zheng氏らによる新たなレビューによると、キネシオテーピングの効果は限定的であり、得られる作用は主に、テープの効果を信じることに起因するプラセボ効果である可能性があるという。Zheng氏らは、「筋骨格系疾患に対するキネシオテーピングの臨床的な効果については、追跡期間の長さにかかわりなく、現時点のエビデンスは極めて不確実である」と結論付けている。詳細は、「BMJ Evidence Based Medicine」に3月31日掲載された。 研究グループによると、1970年代に登場したキネシオテーピングは、痛みのある関節や筋肉にキネシオテープを貼ることで、皮膚が持ち上げられて神経を刺激し、局所の血行が促進されて、痛みが軽減し機能が改善すると考えられてきた。しかし、近年の臨床試験では一貫した結果が示されていないという。 研究グループは今回、その全体像を把握するため、これまでに報告されているキネシオテーピングに関する128件のシステマティックレビューのデータを統合して解析した。これらのレビューに組み入れられた臨床試験の数は310件で、参加者数は1万5,812人であった。レビューの多くは、キネシオテーピングの脚や足に対する有用性(45%)、あるいは痛みの強さ(89%)に着目したものであった。 その結果、キネシオテーピングは即時的および短期的に痛みの強度を軽減し、また、即時的に機能を改善する可能性が示唆された。しかし、これらのエビデンスの確実性は極めて低かった。中期的な痛み、短期・中期的な機能、および全ての追跡時点における筋力、関節可動域、疾患特異的症状については、ほとんど、あるいは全く効果が認められなかった。 研究グループは、キネシオテーピングが一部の人々にもたらしている作用は、脳が身体にテープが有効であると錯覚させるプラセボ効果によるものである可能性があるとの見解を示している。また、筋肉や関節の障害のタイプが異なるさまざまな集団でキネシオテーピングの効果に違いがある可能性も考えられると研究グループは述べている。 さらに、テープをどの程度の強さで貼れば最大の効果が得られるのかに関しても疑問が残っていると、今回のレビューは指摘している。研究グループは、「これまでのエビデンスでは、テンション(張力)なし、あるいは高いテンション(75%)よりも、低いテンション(25%)の方が痛みの軽減には適している可能性が示唆されている。しかし、臨床では、専門家の約75%が50%以上のテンションでキネシオテーピングを使用しており、そのことが効果に影響している可能性がある」と説明している。 本研究には関与していないDonald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのAmy West氏は、「一般的に、可能な範囲で関節周囲の筋肉を強化することの方が、装具やテープのような身体の外側に装着するものに頼るよりも、関節の安定化には有効だ。こうしたものに依存してしまう可能性があるからだ」と述べ、キネシオテーピングより理学療法の方がより有益である可能性があると指摘している。また、腫れや痛みがある場合には、血行を改善することが示されている着圧ソックスや着圧スリーブの方が効果的な場合もあると同氏は付け加えている。

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イヌリンにより変形性膝関節症の痛みが軽減か

 腸内環境を整えることで関節炎の痛みが和らぐかもしれない──そんな研究結果が報告された。変形性膝関節症(OA)患者を対象としたランダム化比較試験で、難消化性食品成分であるプレバイオティクスの摂取が痛みの軽減に寄与する可能性が示された。英ノッティンガム大学NIHRノッティンガム生物医学研究センターのAfroditi Kouraki氏らによるこの研究は、「Nutrients」に2月24日掲載された。 研究グループは、腸の健康を改善することがOAの新しい治療法になる可能性があると考えている。Kouraki氏は、「この研究は、朝食やヨーグルトにサプリメント(以下、サプリ)を加えるだけで、痛みが和らぎ、身体機能も改善される可能性があるという、わくわくするような可能性を示した」とニュースリリースで述べている。 腸内には何兆もの細菌が生息し、健康に幅広く影響を与えることが知られている。今回の研究では、チコリの根や菊芋などに含まれる天然食物繊維であるイヌリンに着目し、イヌリンのサプリと理学療法士の指導下で実施される運動プログラム(physiotherapy-supported exercise;PSE)が、OAの痛みにどのような影響を及ぼすのかを評価した。対象とされたOA患者117人(平均年齢67.5±9.4歳、女性58.1%)は、6週間にわたって、1)イヌリンのサプリ(20g/日)を摂取する群、2)イヌリン摂取とPSEを受ける群、3)PSEのみを受ける群、4)プラセボ(マルトデキストリン10g/日)を摂取する群の4群に、ランダムに割り付けられた。 その結果、イヌリンと理学療法は、いずれも単独で膝の痛みを軽減する効果のあることが明らかになった。Numerical Rating Scale(NRS)で評価した痛みは、プラセボ群と比較して、イヌリン群で−1.11ポイント(95%信頼区間−2.18〜−0.04、P=0.045)、PSE群で−1.55ポイント(同−2.52〜−0.58、P=0.002)改善した。また、イヌリン群では握力と、痛みに対する感受性(圧痛閾値、時間的荷重〔同じ強さの刺激を短時間で繰り返し受けると、痛みが次第に強く感じられる現象〕)に改善が見られた一方で、PSE群では、30秒立ち上がりテスト(30-CST)とTimed Up and Go(TUG)に改善が認められた。さらに、介入離脱率は、イヌリン群で3.6%だったのに対し、PSE群では21%だった。研究グループは、毎日のサプリ摂取は、定期的な運動よりも継続しやすい可能性があると指摘している。 このほか、イヌリン摂取群では、腸から分泌されるホルモンであるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の血中濃度の上昇と腸で産生される脂肪酸である酪酸レベルの上昇も確認された。GLP-1は、痛みの調節や筋肉の健康に関与しており、新しい肥満症治療薬でも標的とされている。一方、酪酸は全身の炎症や痛みの経路に影響を与えると考えられている。論文の上席著者であるNIHRノッティンガム生物医学研究センターAna Valdes氏は、「GLP-1と握力の関係は特に興味深く、腸-筋肉-痛みの相互作用が関連している可能性を示しており、今後、さらに調査する価値がある」と述べている。 本研究には関与していない、Arthritis UKで研究部長を務めるLucy Donaldson氏は、「研究者らは腸内細菌が痛みの感じ方にどのように関与するかを探り始めている。この予備的な研究は、食事と理学療法が異なるメカニズムで関節炎の症状を改善できる可能性を示しており、とても興味深い。バランスの取れた食事、食物繊維の摂取、定期的な運動が大切であることは分かっているが、それらがどのように作用して痛みを軽減するのかを理解するための研究をサポートできることをうれしく思う」とコメントしている。

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在宅医療・介護の場で見逃してはいけない骨粗鬆症/日本シグマックス

 整形外科領域などで衛生材料や診療機器、サポーターなどの開発・販売を行う日本シグマックスは、2026年3月24日に都内で「在宅医療・介護で見過ごされがちな『骨粗鬆症』リスクと転倒・骨折予防の重要性」をテーマにメディアセミナーを開催した。 骨粗鬆症は自覚症状に乏しく、発見が遅れがちな疾患であり、転倒・骨折をきっかけに要介護へ移行するケースも多く、医療・介護双方で課題となっている。同社の代表取締役社長の鈴木 洋輔氏は、これらの課題の解決に「超音波医療機器の開発や機械の小型化といった知識の導入により、治療に貢献する製品を研究開発していく」と展望を述べている。 セミナーでは、骨粗鬆症の病態と予防の解説のほか、在宅医療の視点から骨折リスクとしての骨粗鬆症と在宅でできる予防法などが講演された。骨粗鬆症検診率は全国平均でまだ5% 「骨粗鬆症と骨折予防の意義」をテーマに山本 智章氏(新潟リハビリテーション病院 院長)が、骨粗鬆症の病態、高齢者と骨折、骨折予防などについて講演した。 ヒトの最大骨量は20~40代であり、男性は女性に比べてやや多い骨量となっている。とくに女性では閉経後に急激な骨量の減少がみられ、骨粗鬆症の1番の原因は閉経と老化とされる。若いときに最大骨量をいかに高められるかが、将来の骨粗鬆症の予防につながると近年の研究から判明し、生涯にわたり骨の健康を考えることが重要な時代となっている。 わが国は超高齢社会となり、2000年以降、骨折の概念は外傷性ではなく、脆弱性骨折へと変化している。実際、病院で受診する骨折患者のほとんどが脆弱性骨折であり、骨折はけがではなく、慢性疾患の中で起きる1つのイベントという認識が必要となる。 脆弱性骨折は、椎体や上腕骨、大腿骨近位部などさまざまな部位で発生する。とくに高齢者では、脊椎椎体と大腿骨頸部の骨折が多く、大腿骨近位部骨折の患者数は年々増加し、1980年代と比較すると5~6倍となり、2017年には約19万3,000例となっている1)。 大腿骨近位部骨折は、フレイル、骨粗鬆症、低栄養などさまざまな症状が併存した結果起こり、治療では手術が第1選択となる。また、骨折を起こすと医療費の増加、介護の発生、再発のリスクがあるほか、受傷1年後の患者の日常生活動作(ADL)を調査した研究によると1年以内の死亡が20%、永続的な能力障害が30%、歩行不能が40%、限定的な生活動作が80%と大きな生活上のリスクとなることが報告されている2)。そのため海外では、早期治療が有効であり、徹底して予防し、優先的に治療すべきとされている。 最近、社会的認知が広がっている「いつの間にか骨折」の椎体骨折の発生数について、ROAD研究から形態椎体骨折は420万件、臨床的椎体骨折は118万件と報告されている。多発脊椎圧迫骨折が進行すると脊柱後弯症となり、ADLの障害、慢性背部痛、呼吸換気不全などのQOLの低下を来す。また、体型バランスが変わることで転倒リスクが高くなり、さらなる転倒・骨折などを来す原因となる。 骨折について医療経済や介護環境についてみると、医療費の面で2018年の新潟県の後期高齢者入院の医療費では、「脆弱性骨折」が9.25%と1番高く、脳卒中が7.50%、そのほかの心疾患が7.40%の順で高かった。また、介護の主要因について厚生労働省の調査では、認知症が23.6%で1番高く、脳血管疾患が19.0%、骨折・転倒が13.0%と上位の3要因に入っている。骨折で介護が必要となった場合の5年間の自己負担額の試算では1,540万円と試算するデータもあり、これら介護の負担は、患者本人だけでなく、家族を巻き込み、社会的にも医療的にも問題となる。 骨折の原因となる骨粗鬆症治療を受けるべきターゲットは、「(1)(50歳以降に)骨折を起こした人、(2)骨密度の低下した人(若いときの70%以下の骨密度)のどちらかに該当する人は骨粗鬆症の治療を始めたほうがよい」と山本氏は提言する。 その一方で骨粗鬆症検診の現状は、全国平均で約5%と低く、地域によってはゼロというところもある。「健康日本21」では、「骨粗鬆症の検診率を15%まで引き上げる」という目標が設定され、今後積極的な取り組みがなされる。 わが国の高齢者の転倒発生率は80歳以上で11.1%、85歳以上で13.6%であり、その20%が治療適用となり、5~10%が骨折となる。転倒では、筋力の低下、バランス障害、歩行障害などが大きく寄与しており、正常なバランスの指標として「片足立ちができるかどうか」がある。片足でしっかり立てるということは、歩行も安定し、さまざまな場面でバランスも取れるということが転倒予防に重要となる。また、もう1つ重要なことが「環境」である。屋外はもちろん、屋内でも浴室や居間、階段などさまざまな場での転倒リスクをいかに低下させるかということを高齢者に指導していくことが重要となる。 最後に山本氏は「第28回 日本骨粗鬆症学会が新潟で開催される。『女性医学と整形老年病学』という若いときから女性がいかに元気でいられるかというテーマで開催されるので、多くの医療者に参加してもらいたい」と述べ、講演を終えた。病診連携では「再骨折予防手帳」を活用 「在宅だからこそ見逃される骨折リスクと地域連携の重要性」をテーマに山口 正康氏(医療法人社団 山口クリニック 院長)が、オンラインで在宅患者の骨粗鬆症リスクをいかに見つけ、どのように予防し、地域で支えていくかを講演した。 山口氏は、新潟市内で消化器内科を専門に、地域の在宅医療も行っている。往診先には寝たきりの患者、独居の認知症患者など、さまざまな患者が自宅で自分らしい生活を続けている中で、通院できない患者について骨折予防のため定期的に骨粗鬆症の治療も行っているという。 在宅医療患者の特性と骨折リスクとしては、身体的要因として転倒リスクが高い疾患が多いこと、服用薬の影響、加齢による骨・筋肉の脆弱化、通院できないことによる治療の放置がある。また、社会的要因として見守りの目が届きにくい住環境などに転倒誘因が多いほか、身体機能に合わない杖などの補助具の使用、閉じこもりによる身体の廃用性萎縮などがある。さらに在宅特有の診断困難性として、「DXA検査へのアクセス制限」「無症候骨折の看過」「既存骨折の未評価」「検査の遅れ」などもあり、骨折の診断・評価の機会損失が潜在化すると山口氏は警鐘を鳴らす。 骨粗鬆症財団の行った「診療所に通院する骨粗鬆症患者の合併症」の調査では、高血圧(55%)、脂質異常症(27%)、眼病(19%)、糖尿病と循環器疾患(13%)の順で多く、生活習慣病と骨粗鬆症は悪循環を形成し、心血管イベントのリスク因子となることも知られている3)。そのため在宅診療時には動脈硬化の進行度や心肺機能の検査も必要となる。 山口氏のクリニックでは、患者向けの骨粗鬆症の啓発に、疾患の説明や検査の内容を提示するとともに、待ち時間などの間に超音波測定法を用いた骨量測定器で測定なども行っている。そのほか骨粗鬆症の予防について万歩計を活用した1日8,000歩以上の励行や日常動作でのちょっとした運動の勧め、骨に関連するカルシウム、ビタミンD・Kなどの摂取について栄養士による指導も行っている。 高齢者が骨折や寝たきりの状態にならないためには、病診連携、多職種間、医療と介護、市町村と行政、患者(家族)と地域など幅広い連携が必要になる。とくに再骨折の予防のためには病診連携が重要であり、「正確な骨密度検査の結果と治療方針を病院、クリニック、患者と共有することが治療継続のための出発点となる」と山口氏は語る。 病診連携のメリットは専門医の診断により、治療方針が明確になることであり、病院の専門医と地域のかかりつけ医がそれぞれの役割を果たすことで地域全体による骨粗鬆症治療が活発化する。また、山口氏の地域では患者が病院からの紹介で受診される際、必ず「再骨折予防手帳」を持参するという。この手帳により患者の退院後の状態が容易に把握でき、病院の医師とかかりつけ医の情報共有ができ、患者の安心感につながっていく。 最後に山口氏は、「在宅医療における骨粗鬆症対策は、骨折する前に見つけることが最も重要な役割だと考えている。在宅特有の見逃されるリスクに目を向け、地域全体で骨折予防を支える体制作りを目指したい」と思いを述べ、講演を終えた。

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加齢観が健康改善に関連、高齢者の約半数で機能向上

 加齢は、身体的な衰退や認知機能の低下とイコールだと捉えられやすい。しかし新たな研究によると、高齢者でも心構え次第で歳とともに健康状態が改善するケースが少なくないことが示唆された。米イェール大学公衆衛生大学院のBecca Levy氏らが、米国健康・退職研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータを解析して明らかにしたもので、詳細は「Geriatrics」に3月4日掲載された。 HRSは米国立加齢研究所のサポートにより、50歳以上の米国民を対象に隔年で実施されている長期追跡調査。Levy氏らの研究ではこのHRS参加者のうち、加齢に対する考え方と健康状態に関するデータに欠落のない1万1,000人以上を解析対象とした。加齢に対する考え方は、「歳を取ると役立たなくなると感じる」、「若いころと同じくらいに幸せだ」などの5項目の質問に対する同意の程度をスコア化して評価した。身体的健康状態は歩行速度で評価し、認知機能は妥当性が評価された電話による認知機能評価(Telephone Interview for Cognitive Status;TICS)にて評価した。 最長12年間の追跡で、参加者の45%が身体的健康または認知機能のいずれか、あるいはその両方で改善を示した。具体的には、身体的健康については4,638人(平均年齢74.03±6.07歳)を平均8.54±2.86年追跡し、対象者の28.00%に歩行速度の向上が認められた。認知機能については1万1,314人(同68.12±9.92歳)を平均8.04±3.27年追跡し、対象者の31.88%にTICSスコアの上昇が認められた。この結果の重要な点として、Levy氏は、「全体の平均値で評価すると、こうした改善は認められず、加齢による機能低下が示唆された。しかし、個々人の推移を見ると全く異なる変化が認められ、健康状態が改善していた高齢者がかなりの割合を占めていた」と指摘している。 また、加齢をポジティブに捉えている人は、身体的健康と認知機能の双方が改善することが多いという関連も見つかった。具体的には、加齢の捉え方のスコアが中央値を上回っている人は、スコアが中央値以下の人と比べ、交絡因子(年齢、性別、人種/民族、教育歴、婚姻状況、社会的孤立、抑うつレベル、認知症の遺伝的リスク〔APOE4〕など)を調整後、TICSスコア上昇のオッズ比(OR)が1.04(95%信頼区間1.00~1.08)であり、歩行速度の向上はOR1.09(同1.02~1.17)だった。なお、加齢に対する否定的な考え方が、記憶力や歩行速度の低下、心臓病やアルツハイマー病のリスク増大につながる可能性があることは、先行研究でも示されている。 Levy氏は、「得られた結果は、晩年になっても健康状態を改善する余地のあることを示唆している。そして、その可能性に影響を及ぼし得る加齢観は変更可能である。これらの知見は、高齢者の健康のために、個人ができることと社会的に介入すべきことの双方の可能性を開くものと言える」と総括。また研究者らは、一連の研究成果が高齢者の潜在的な回復力を活用する予防医療、リハビリテーション、健康増進プログラムの推進につながるだろうと述べている。

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4月20日 腰痛ゼロの日【今日は何の日?】

【4月20日 腰痛ゼロの日】〔由来〕「腰(4)痛(2)ゼロ(0)」と読む語呂合わせから「420の会」代表の本坊 隆博氏が制定。腰痛で悩んでいる人をゼロにしたいとの思いが込められており、腰痛に対する対処法、予防法が指導されている。関連コンテンツ腰痛予防には普段の姿勢の確認を(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)米国でのCTO治療、腰痛防止の無重力防護服に驚き!【臨床留学通信 from Boston】腰痛時の日常動作、症状を悪化させるのか?腰痛の重症度に意外な因子が関連~日本人データ腰痛リスクが低下する1日の歩行時間は?

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脊髄損傷患者の運動制御と感覚フィードバックを同時に一部再現

 脊髄を損傷すると、手足の動きを制御する能力(運動制御能力)と、手足からの感覚情報を脳へフィードバックする能力(感覚フィードバック)の2つの重要な能力が失われる。運動制御能力と感覚フィードバックの双方向の情報伝達機能は、脚や腕を協調させて動かす上で不可欠である。新たな研究で、脊髄損傷部位の上下両方に電気刺激を与えることで、運動制御能力を高めるとともに感覚フィードバックの代替となる感覚を再現できる可能性が示された。米ブラウン大学工学分野のDavid Borton氏らによるこの研究結果は、「Nature Biomedical Engineering」に3月11日掲載された。 この研究でBorton氏らは、完全脊髄損傷により歩行能力を失った3人の患者の損傷部位の上下に電極を埋め込んだ。次いで同氏らは、患者とともに、歩行時の筋肉運動を担う神経への刺激を細かく調整した。その方法は、患者自身がノブとスライダーを備えた「DJボード」を操作し、脊髄の異なる部位に異なるレベルの刺激を与えながら、脚の筋肉を収縮・屈曲させる最適なパターンを探り当てるというものだった。論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学デービス校神経外科学分野のJonathan Calvert氏は、「目標となる脚の位置や配置を提示し、それを実現する刺激パターンが見つかるまでボードを操作してもらった。参加者は、再び自分の脚が動く様子を目にし、ボードを通じて動きを自分で制御できることをとても喜んでいた」と語った。 そのようにして得られたデータを基に、機械学習モデルにより、それぞれの参加者で最も精度高く筋活動を引き起こす刺激パターンを最適化した。損傷部位より上への刺激についても同様のプロセスを用いて感覚フィードバックの生成を試みた。ただし、脊髄損傷のため、上への刺激を直接下肢の感覚と対応させることはできない。そこで、身体の別の部位に生じる感覚が下肢の感覚の代替として機能するかを検証した。Calvert氏は、「特定の感覚を特定の動作や刺激と関連付け、参加者が感覚的な手がかりを再解釈できるようにする『感覚代替』のアプローチを用いた。このアプローチでは、参加者は胸や腕、背中に感覚を感じるかもしれないが、それを脚の異なる関節角度と結び付けることを学習できる」と説明している。実際に参加者は、目隠しをした状態でも脚の角度を正確に報告できたという。 その後、天井から吊るされたハーネスで支えられた患者がトレッドミル上で歩行動作を行う際に2種類の電気刺激を同時に使用する実験を行った。その結果、参加者は歩行に必要な筋肉を使い、足が接地したタイミングを正確に報告できた。ただし、その感覚は、足ではない身体の別の部位に生じていた。ある参加者は、自分の胸を指しながら「足が地面についた瞬間が、ここへの感覚で分かった。足がトレッドミルに触れた感覚そのものではなかったが、それに近いものではあった」と語ったという。 Borton氏は、「この結果は、脊髄損傷患者の運動機能回復への道筋を示すものだ。完全脊髄損傷患者において、運動刺激と感覚フィードバックが同時に実証されたのは今回が初めてである」とプレスリリースで述べている。同氏はさらに、「これは、脊髄損傷によって生じた神経伝達の断絶を埋めるという目標に向けた重要な一歩である。われわれは、運動の活性化と感覚フィードバックを同時に提供することで、協調した動きと機能的な自立の回復に向けて前進している」と付け加えた。 研究グループは、この研究で示されたようなフィードバックは、将来的に脊髄損傷のリハビリを行う患者の助けになり得ると述べている。Borton氏は、「損傷部位をまたぐ協調した刺激がリハビリ効果をもたらす可能性がある。今回の研究では十分に検証できなかったが、今後の研究で追求していく予定である」と話している。研究グループは今後、より多くの脊髄損傷患者を対象に入院環境外でこの刺激アプローチを検証する長期研究の実施を計画している。

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