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薬剤溶出ステントXIENCE V、安全性と有効性においてTAXUSよりも優位であることを確認

米アボット社が行った米国の3,690名の患者を対象に2つの薬剤溶出ステントを比較した大規模無作為化試験の1つであるSPIRIT IV試験の結果が、2010年5月5日に発刊されたNEJM(The New England Journal of Medicine)に掲載された。同社の日本法人が18日に発表した。今回発表された結果において、XIENCE Vエベロリムス溶出冠動脈ステントシステム(販売名:XIENCE V 薬剤溶出ステント)はTAXUS Express2 パクリタキセル溶出冠動脈ステントシステム(販売名:TAXUS エクスプレス2 ステント)よりも、ステント留置後1年経過観察時点において心筋梗塞、血行再建術、心臓死等の主要心事故を引き起こしにくいことが示された。また、SPIRIT IV試験では、XIENCE V留置群とTAXUS留置群との比較において、ステント血栓症発生率を有意に低減することが示されました。これらの結果は2009年9月に行われたTCT(Transcatheter Cardiovascular Therapeutics)でも発表されている。SPIRIT IV試験では、XIENCE V群はTAXUS群と比較すると、1年経過観察時点において、主要評価項目であるTLF(Target Lesion Failure)を38%統計的に有意に低減することが示された(XIENCE V群 4.2%に対しTAXUS群 6.8%、 p値=0.001)。TLFは患者に対する有効性と安全性を評価する複合評価項目として定義されており、心臓死、標的血管起因の心筋梗塞、虚血に基づく標的病変血行再建 (ID-TLR) が含まれる。また、1年経過観察時点での血栓(ステント血栓症)発生率において、XIENCE V群は現在までに報告されているその他の薬剤溶出ステントと比較するとステント血栓症の発生を最も低減することが示された(Academic Research Consortium〔ARC〕定義の Definite/Probable に分類される1年経過観察時点でのステント血栓症発生率は0.29%)。詳細はプレスリリースへhttp://www.abbott.co.jp/press/2010/100518.asp

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新規アンドロゲン受容体アンタゴニスト、去勢抵抗性前立腺がんで高い抗腫瘍効果と耐用性を確認

男性ホルモン阻害薬が無効となった去勢抵抗性の前立腺がんに対し、新規化合物MDV3100が高い抗腫瘍効果を示し、耐用性も良好であることが、アメリカ・スローンケタリング記念がんセンターのHoward I Scher氏らが実施した第I/II相試験で示された。MDV3100はアンドロゲン受容体へのアンドロゲンの結合を遮断し、リガンド-受容体複合体の核移行やコアクチベーター動員を阻害するアンドロゲン受容体アンタゴニストで、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、アゴニストとしての活性は持たないという。去勢抵抗性前立腺がんはアンドロゲン-受容体シグナル伝達に依存して持続的に増殖するため、このシグナル伝達をターゲットとする新たな分子標的薬を用いた内分泌療法の開発が進められている。Lancet誌2010年4月24日号(オンライン版2010年4月15日号)掲載の報告。7種の用量を評価した第I/II相試験研究グループは、2007年7月~2008年12月までにアメリカの5施設から登録された進行性・転移性の去勢抵抗性前立腺がん140例を対象に、MDV3100の抗腫瘍効果および安全性を評価する第I/II相試験を実施した。各用量漸増群に3~6例を登録し、初回用量30mg/日を経口投与した。最終的に7つの用量群で検討が行われた(30mg群:3例、60mg群:27例、150mg群:28例、240mg群:29例、360mg群:28例、480mg群:22例、600mg群:3例)。主要評価項目はMDV3100の安全性および耐用性プロフィールの同定とし、最大耐用量(MTD)を確定することとした。MTDは240mg/日、良好な抗腫瘍効果と安全性、TTP中央値は47週すべての用量群で抗腫瘍効果が確認された。すなわち、78例(56%)で血清前立腺特異抗原(PSA)の50%以上の低下を認め、59例中13例(22%)で軟部組織病変に対する奏効が得られ、109例中61例(56%)で骨病変が安定化し、51例中25例(49%)で循環腫瘍細胞数が「不良」から「良好」に転換した。22例においてPET検査でアンドロゲン-受容体遮断の評価を行ったところ、60~480mg群においてアンドロゲン受容体の指標である18F-fluoro-5α-dihydrotestosterone(FDHT)結合の低下が示された。画像評価によるtime-to-progressionの中央値は47週(95%信頼区間:34週~未到達)であった。28日以上の治療を受けた患者のMTDは240mg/日であった。最も頻度の高いgrade 3/4の有害事象として用量依存性の疲労感が16例(11%)にみられたが、通常は減量によって回復した。著者は、「去勢抵抗性前立腺がんにおいて、MDV3100は有望な抗腫瘍効果を示した。この第I/II相試験の結果は、ヒトにおける前臨床試験の知見を確証するものであり、持続的なアンドロゲン-受容体シグナル伝達が去勢抵抗性前立腺がんの促進因子であることが示唆される」と結論している。なお、ドセタキセル治療歴のある進行前立腺がん患者を対象に、全生存期間をエンドポイントとしたMDV3100のプラセボ対照第III相試験がすでに開始されているという。(菅野守:医学ライター)

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エベロリムス溶出ステントは、パクリタキセル溶出ステントよりも有用:COMPARE試験

実地臨床で2つの第2世代薬剤溶出ステントを比較した無作為化試験(COMPARE試験)において、エベロリムス溶出ステント「Xience V」は、パクリタキセル溶出ステント「Taxus Liberte」よりも安全性および有効性が優れることが示された。これらのステントはいずれも、厳格な患者選択基準のもとで実施された冠動脈疾患の臨床試験において再狭窄のリスクが従来のベアメタルステントに比べ低減することが示されている。一方、1)ステント血栓症のリスクは低いものの予測不能で、リスクは時間とともに増大する、2)デバイスの送達能には改善の余地がある、3)重篤な冠動脈疾患患者では再インターベンションが必要となる場合がある、などの課題が残されていた。オランダMaasstad病院循環器科のElvin Kedhi氏らが、Lancet誌2010年1月16日号(オンライン版2010年1月8日号)で報告した。単一施設に登録された1,800例の実地臨床における単盲検試験COMPARE試験の研究グループは、2つの第2世代薬物溶出ステントの安全性と有効性を実地臨床において比較する無作為化試験を実施した。Maasstad病院で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適用となった1,800例(18~85歳)が、エベロリムス溶出ステント群(897例、1,286病変)あるいはパクリタキセル溶出ステント群(903例、1,294病変)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、ステント留置後12ヵ月における安全性と有効性の複合エンドポイント(全死亡、心筋梗塞、標的病変再血行再建)とした。患者にはいずれのステントが留置されたかは知らされなかった。エベロリムス溶出ステント群で、複合エンドポイントの発生リスクが31%低減フォローアップが完遂されたのは1,797例であった。1年後の複合エンドポイントの発生率は、エベロリムス溶出ステント群が6%(56/897例)と、パクリタキセル溶出ステント群の9%(82/903例)に比べ有意に優れていた[相対リスク(RR):0.69、p=0.02]。ステント血栓症[<1%(6例) vs. 3%(23例)、RR:0.26、p=0.002)]、心筋梗塞[3%(25例) vs. 5%(48例)、RR:0.52、p=0.007)]、標的病変再血行再建[2%(21例) vs. 6%(54例)、RR:0.39、p=0.0001)]はいずれもエベロリムス溶出ステント群が有意に優れていた。副次評価項目(心臓死、非致死的心筋梗塞、標的病変再血行再建の複合エンドポイント)の発生率についても、エベロリムス溶出ステント群が有意に優れていた[5%(44例) vs. 8%(74例)、RR:0.60、p=0.005]著者は、「非患者選択を対象とした実地臨床の無作為試験において、エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントよりも安全性および有効性が有意に優れた」と結論し、「これらの知見に基づき、日常診療ではパクリタキセル溶出ステントは使用すべきでない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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「アバスチン」、非小細胞肺がんに対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得

中外製薬株式会社は9日、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』について、6日に厚生労働省より「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する効能・効果および用法・用量の追加に関する承認を取得したと発表した。「アバスチン」は、米国では2006年10月、欧州では2007年8月に扁平上皮がんを除く進行性非小細胞肺がんに対する一次治療として承認され、海外の治療ガイドラインにも化学療法との併用での使用が推奨されている。日本での今回の承認により、結腸・直腸がんに引き続き扁平上皮がんを除く進行・再発の非小細胞肺がんにおいても日・米・欧三極での使用が可能となった。同社による厚生労働省への承認申請は2008年11月に行われ、申請資料として海外で実施された第II相および第III相臨床試験、国内で実施された第II相臨床試験の成績等が提出された。海外で実施された二つの比較試験では、プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法に「アバスチン」を併用することで、扁平上皮がんを除く未治療の進行・再発の非小細胞肺がんの患者の全生存期間および/または無増悪生存期間を、標準的な化学療法と比較して統計学的に有意に延長することが示された。国内第II相臨床試験においても、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法)に「アバスチン」を併用することで、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長するなど、海外臨床試験と同様な結果が報告され、日本人における「アバスチン」の有用性が示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=FRBNZFANZLRWICSSUIHSFEQ?documentId=doc_16373&lang=ja

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膵臓がんにおけるafliberceptの第III相試験を中止

サノフィ・アベンティス株式会社は17日、仏サノフィ・アベンティス社と米Regeneron社が、独立データモニタリング委員会(IDMC:Independent Data Monitoring Committee)の勧告に基づき、膵臓がんにおける第一選択薬としてのaflibercept(VEGF Trap)とゲムシタビンの併用をプラセボと比較評価する第III相試験(VANILLAスタディ)の中止を発表したと報告した。予定されていた有効性に関する中間解析の一環として、独立データモニタリング委員会は、同スタディでゲムシタビンにafliberceptを追加しても、主要評価項目である全生存期間に関し、プラセボとゲムシタビンの併用と比較して統計的有意な改善は得られないと判断。Aflibercept併用群で報告された副作用の種類と頻度は、おおむね予測どおりだったという。試験の終了に伴い、有効性と安全性の結果に関する詳細な解析が両社によって行われる予定。この結果は、今後の医学会で発表される。なお、以下の3件の第III相試験は継続され、現時点でそれぞれ70%以上の登録が達成されている。●VELOURスタディ:転移性結腸直腸がんの第二選択薬(フルオロウラシル・ロイコボリン・イリノテカン(FOLFIRI)との併用)●VITALスタディ:非小細胞肺がんの第二選択薬(ドセタキセルとの併用)●VENICEスタディ:ホルモン治療抵抗性転移性前立腺がんの第一選択薬(ドセタキセルおよびプレドニゾンとの併用)詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/059895E7-B551-4376-BAF8-391F4C12FC33.pdf

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パニツムマブの進行・再発の結腸・直腸がんを対象とした臨床試験の結果が発表される

武田薬品工業株式会社と同社100%子会社である武田バイオ開発センター株式会社は24日、2008年6月30日に厚生労働省に製造販売許可申請を行っていた抗癌剤パニツムマブ(米国・欧州製品名:Vectibix)について、武田バイオ社と米国Amgen Inc.(以下、アムジェン社)が共同で追加的に実施している臨床第3相試験のうち、一部の主要解析結果が得られたと発表した。この試験は、進行・再発の結腸・直腸がんの患者1,186例を対象としたセカンドライン治療に関するもので、無増悪生存期間と全生存期間を主要評価項目としているもの。試験の結果、パニツムマブは、KRAS遺伝子が変異していない進行・再発の結腸・直腸がんの患者において、FOLFIRI療法単独群(イリノテカン、5-FU/ロイコボリン併用療法)に比べ、FOLFIRI療法に本剤を上乗せした併用療法群で無増悪生存期間を有意に延長したという。全生存期間の中央値はパニツムマブ併用群が延長したものの統計的に有意差はなかったとのこと。なお、KRAS遺伝子が変異した進行・再発の結腸・直腸がんの患者については、パニツムマブ併用による無増悪生存期間および全生存期間の延長は認められなかったという。同社は、今回の試験結果を、参考情報として厚生労働省に追加報告する予定。また、試験の有効性・安全性に関する詳細な結果については、9月に開催される欧州臨床腫瘍学会議で発表するとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_35018.html

687.

化学療法+放射線療法は、ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療オプション

ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療として、化学療法+放射線療法は、外科的切除(望ましいのは肺葉切除)の有無にかかわらず「選択肢の1つである」との報告が、米国シカゴ・ロヨラ大学のKathy S Albain氏らにより発表された。本療法をめぐっては、第2相無作為化試験(化学療法+放射線療法後の切除)で生存率が有望視される結果が得られていた。その結果を踏まえAlbain氏らは、切除ありと切除なしの比較を検討する第3相無作為化試験を行った。本報告は、Lancet2009年8月1日号(オンライン版2009年7月27日号)にて掲載されている。化学療法+放射線療法を受けた患者を2グループ(切除有・無)に分け全生存期間検証第3相試験は教育病院および地域の病院で行われ、ステージT1-3pN2M0非小細胞肺がん患者が1対1の割合で、2群(グループ1、グループ2)に無作為化され実行された。グループ1に割り付けられた患者は202例(平均年齢59歳、範囲:31~77歳)、グループ2は194例(平均年齢61歳、範囲:32~78歳)だった。両群患者には、導入化学療法として2サイクルの、シスプラチン(商品名:ブリプラチン、ランダ)50mg/m(2)を1、8、29、36日目に投与とエトポシド(商品名:ベプシド、ラステット)50mg/m(2)を1~5、29~33日に投与。加えて、放射線療法(45Gy)が行われた。進行が認められない場合、グループ1の患者には切除術が行われ、グループ2の患者には最大61Gyの放射線療法が行われ、さらに2サイクルのシスプラチン投与とエトポシドが両群ともに投与された。主要エンドポイントは、全生存期間。intention to treat解析にて行われた。治療オプションとなるが、患者にはリスクとベネフィットをきちんと伝えることが必要全生存期間中央値は、グループ1は23.6ヵ月(IQR:9.0、非到達)、グループ2は22.2ヵ月(範囲:9.4~52.7ヵ月)で、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.70~1.10、p=0.24)だった。5年生存者は、グループ1は37例(推定27%)、グループ2は24例(同20%)で、オッズ比は0.63(95%信頼区間:0.36~1.10、p=0.10)だった。開胸時N0状態での全生存期間中央値は、34.4ヵ月だった(IQR:15.7、非到達、5年生存者19例・41%)。無進行生存期間(PFS)は、グループ1のほうが勝っていた。グループ1のPFSは12.8ヵ月(範囲:5.3~42.2)、グループ2は10.5ヵ月(同:4.8~20.6)で、ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.62~0.96、p=0.017)だった。また、5年無進行患者数は、グループ1は32例(推定22%)、グループ2は13例(推定11%)だった。一方で、化学療法+放射線療法に関連した主なグレード3および4毒性は、好中球減少と食道炎で、グループ1では77件(38%)、グループ2では20例(10%)報告されている。治療と関連がある死亡例は、グループ1では16例(8%)、グループ2では4例(2%)だった。また、予備解析から、全生存期間は、肺切除ではなく肺葉切除を受けた患者のほうが改善されていた。以上から、化学療法+放射線療法は、ステージIIIA(N2)非小細胞肺がん患者の治療オプションとなると結論しているが、「切除を行うべきか否かの結論には長期の検証が必要になる。また前向き試験では切除のアプローチの確認も難しい。患者にはリスクとベネフィットについてきちんと伝える必要がある」と述べている。

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新規抗がん剤バンデタニブの第III相臨床試験結果が米国臨床腫瘍学会にて発表される

アストラゼネカ株式会社は4日、進行非小細胞肺がん患者を対象とした、バンデタニブの第Ⅲ相臨床試験ZODIAC試験の結果を発表した。バンデタニブは非小細胞肺がんにおけるセカンドライン治療を検討した第Ⅲ相臨床試験において、化学療法と併用することで臨床ベネフィットが得られることを証明した初の経口分子標的治療薬。この結果は、5月30日米国オーランドで開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO)において発表された。ZODIAC試験はバンデタニブ100mg/日とドセタキセルの併用療法をドセタキセル単剤療法と比較検討する第Ⅲ相無作為化プラセボ対照二重盲検試験で、1レジメンの抗がん剤治療歴がある進行非小細胞肺がん患者1391例が組入れられた。この試験では、バンデタニブをドセタキセルと併用することで、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が示された(ハザード比[HR] 0.79, 97.58% 信頼区間[CI] 0.70-0.90; p<0.001. PFS中央値: 17.3週 vs. 14.0週)。また、ZODIAC試験に比べ小規模なZEAL試験、および3つ目の第Ⅲ相臨床試験であるZEST試験の結果もASCOで発表された。詳細はプレスリリースへhttp://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2009/09_06_04.html

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早期乳がん術後補助化学療法におけるドセタキセル逐次投与の検討

早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、標準治療のみに比べて生存ベネフィットの改善効果は得られないことが、イギリスGuy’s and St Thomas’ NHS TrustのPaul Ellis氏らが行った第III相試験(TACT)で明らかとなった。アンスラサイクリン系抗がん剤による術後補助化学療法は、1990年代に早期乳がんの切除術後の標準的化学療法として確立されたが、タキサン系抗がん剤の併用によってさらなる改善効果が得られるものと期待されていた。Lancet誌2009年5月16日掲載の報告。FEC→D群と標準治療(FEC群、E→CMF群)を比較TACTの研究グループは、18歳以上のリンパ節転移陽性あるいは高リスクのリンパ節転移陰性の切除可能早期乳がんを対象に、イギリスの103施設とベルギーの1施設の参加のもとで無作為化対照比較第III相試験を実施した。登録された4,162例のうち2,073例が、FEC(フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド)を4コース施行後にドセタキセル単剤を4コース施行する群(FEC→D群)に割り付けられた。対照群としては、FECを8コース施行する群(FEC群)に1,265例が、またエピルビシン単剤を4コース施行後にCMF(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)を4コース施行する群(E→CMF群)に824例が割り付けられた。主要評価項目は無病生存率(DFS)であった。生存ベネフィットは同等、重篤な有害事象はFEC→D群で高頻度フォローアップ期間中央値62週の時点で無病生存が得られていなかった症例数は、FEC→D群が2,073例中517例、標準治療群は2,089例中539例であり(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.85~1.08、p=0.44)、5年DFSはそれぞれ75.6%、74.3%と同等であった。 5年生存率はFEC→D群82.5%、標準治療群83.0%であり、やはり差を認めなかった(ハザード比:0.99、95%信頼区間:0.86~1.14、p=0.91)。乳がんの再発以外の原因で51例が死亡した(FEC→D群:29例、標準治療群:22例)。grade 3/4の急性の有害事象の発現率は、FEC→D群が標準治療群よりも有意に高かった(FEC群との比較でp<0.0001、E→CMF群との比較でp<0.0001)。最も高頻度に見られたのは好中球減少(FEC→D群:937例、標準治療群:797例)、白血球減少(507例、362例)、倦怠感(456例、272例)であった。著者は、「早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、生存ベネフィットの改善効果はない」と結論し、「予後予測因子としてバイオマーカーを使用して探索的なサブグループ解析を行えば、タキサン系抗がん剤ベースの治療法が有効な症例を見いだすことが可能かもしれない」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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ST上昇型心筋梗塞患者へのパクリタキセル溶出ステント留置の有効性と安全性

薬剤溶出ステント(DES)について、ベアメタルステント(BMS)と比較して、初回の経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けたST上昇型急性心筋梗塞患者に対する安全性と有効性に関してはコンセンサスが得られていない。3,006例のST上昇型心筋梗塞患者を、パクリタキセル溶出ステント留置群(2,257例)とBMS留置群(749例)にランダムに割り付け行われた国際的な多施設共同試験HORIZONS AMIの結果が、NEJM誌2009年5月7日号に掲載された。TLR施行率と複合安全性評価で判定本研究の主要エンドポイントは2つあり、第1にステント留置後12ヵ月までの虚血による標的病変部血行再建術(TLR)の施行率(優位性解析)、第2に死亡・再梗塞・脳卒中・ステント血栓症の複合安全性評価(3.0%マージンでの非劣性解析)だった。また、主な副次エンドポイントは、13カ月時点の血管造影による再狭窄の所見とされた。留置1年後の安全性に懸念は見られずパクリタキセル溶出ステントを留置した患者は、BMS留置患者と比較して、12ヵ月時点の虚血駆動によるTLR実施率(4.5%対7.5%、ハザード比:0.59、95%信頼区間:0.43~0.83、P=0.002)、標的血管血行再建術の実施率(5.8%対8.7%、0.65、0.48~0.89、P=0.006)とも有意に低かった。一方、複合安全性に関しては非劣性となった(8.1%対8.0%、1.02、0.76~1.36、絶対差:0.1パーセンテージ・ポイント、95%信頼区間:2.4対2.1、非劣性P=0.01、優位性P=0.92)。パクリタキセル溶出ステントを留置した患者とベアメタルステント留置患者は、12ヵ月時点の死亡率(3.5%対3.5%、いずれもP=0.98)、ステント血栓症(3.2%対3.4%、いずれもP=0.77)とも同程度だった。13ヵ月時点の、50%以上の再狭窄を表すバイナリ再狭窄率は、パクリタキセル溶出ステント群のほうが、ベアメタルステント群より有意に低かった(10.0%対22.9%、ハザード比:0.44、95%信頼区間:0.33~0.57、P

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AMG706の非小細胞肺がんを対象とした試験の、非扁平上皮がん患者の新規患者登録再開の見通し

武田薬品工業株式会社と、同社の100%子会社である米国ミレニアム社とアムジェン社は12日、AMG706(一般名:Motesanib)に関する非小細胞肺がんを対象とする臨床第3相試験について、独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee:DMC)より、約1,100例のデータを再評価した結果、一時中断していた非扁平上皮がん患者の新規登録再開を推奨する旨の通知を受けたと発表した。なお、扁平上皮がん患者については、本試験の対象から除外されることになるという。この試験は、ファーストライン治療薬として、非小細胞肺がん患者を対象としたパクリタキセルおよびカルボプラチン併用のプラセボ対照二重盲検比較試験。2008年11月にDMCが実施した600例の安全性評価の結果を踏まえ、非小細胞肺がんのうち、扁平上皮がん患者へのMotesanibの投薬を中止するとともに、非扁平上皮がん患者の新規登録を一時的に3ヵ月間中断していた。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_32005.html

692.

ゲフィチニブは進行非小細胞肺癌の2nd-line治療として妥当:INTEREST試験

再発進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するゲフィチニブ(商品名:イレッサ)療法の有用性は標準治療であるドセタキセル療法に劣らないため、進行NSCLCの2nd-line治療として妥当であることが、国際的な第III相試験INTEREST試験で明らかとなった。米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEdward S Kim氏が、Lancet誌2008年11月22号で報告した。EGFR遺伝子コピー数高値例における優越性は示せず既治療の進行NSCLCに関する2つの第II相試験で、上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるゲフィチニブは化学療法よりも有効かつ毒性が低いことが示唆されている。INTEREST試験の研究グループは、すでにプラチナ製剤ベースの化学療法を受けた局所進行・転移性NSCLCを対象に、ゲフィチニブとドセタキセルを比較する無作為化第III相試験を行った。2004年3月1日~2006年2月17日までに、24ヵ国149施設からプラチナ製剤ベースの化学療法レジメンを1つ以上受療した1,466例の進行NSCLC患者(2nd~4th-line)が登録され、ゲフィチニブ群(250mg/日、経口投与、733例)あるいはドセタキセル群(75mg/m2、3週毎に1時間で静注、733例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は全生存期間であり、per-protocol解析による非劣性およびEGFR遺伝子コピー数が高値の患者においてintention-to-treat解析による優越性の評価を行うco-primary解析を実施した。1,433例(ゲフィチニブ群:723例、ドセタキセル群:710例)のper-protocol解析では、生存期間中央値はゲフィチニブ群7.6ヵ月、ドセタキセル群8.0ヵ月と同等であり、ゲフィチニブ療法の非劣性が確認された(ハザード比:1.020、96%信頼区間:0.905~1.150)。EGFR遺伝子コピー数高値例(ゲフィチニブ群:85例、ドセタキセル群:89例)のintention-to-treat解析では、生存期間中央値はゲフィチニブ群8.4ヵ月、ドセタキセル群7.5ヵ月であり、ゲフィチニブ療法の優越性は示されなかった(ハザード比:1.09、95%信頼区間:0.78~1.51、p=0.62)。有害事象については、ゲフィチニブ群では皮疹/挫瘡(49%)、下痢(35%)が高頻度に見られたのに対し、ドセタキセル群では好中球減少(74%)、脱力感(47%)、脱毛(36%)の頻度が高かった。INTEREST試験の研究グループは、「既治療の進行NSCLCの治療におけるゲフィチニブのドセタキセルに対する非劣性が確認された。ゲフィチニブ療法はこれらの患者の治療法として妥当である」と結論し、「効果が同等であれば、耐用性、QOLがともに静注薬よりも良好な傾向がある経口薬は、再発進行NSCLC治療にパラダイムシフトを促し、代替可能な治療選択肢となるだろう」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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AMG706の、臨床第3相試験の患者登録を一時中断

武田薬品工業株式会社および、その100%子会社である米国ミレニアム社ならびにアムジェン社」は20日、現在進行中のAMG706(一般名:Motesanib)に関する非小細胞肺癌を対象とする臨床第3相試験について、独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee、以下、DMC)が実施した600例の登録患者による安全性評価の結果を踏まえ、患者登録を一時的に中断することを決定したと発表した。Motesanibは、アムジェン社と武田薬品が実施している複数の共同開発プログラムの一つ。ファーストライン治療薬として、非小細胞肺癌患者を対象としたパクリタキセルおよびカルボプラチン併用のプラセボ対照二重盲検比較の臨床第3相試験中であり、欧米での開発をアムジェン社が、日本での開発を武田薬品の100%子会社である武田バイオ開発センター株式会社が担当している。DMCは、Motesanib群において投与初期における死亡率がプラセボ群に比して高いという結果が得られたことに鑑み、今回の投与対象である非小細胞肺癌患者(扁平上皮癌患者および非扁平上皮癌患者)の新たな登録を行わないよう推奨しており、また、扁平上皮癌患者の喀血頻度が明らかに高かったことに鑑み、扁平上皮癌の患者へのMotesanibの投薬を中止することを推奨している。なお、扁平上皮癌以外の患者への投薬中止は推奨されておらず、DMCは、3ヵ月後に最新データを再調査するとしている。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_31190.html

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イレッサ 進行非小細胞肺がん患者を対象とした大規模臨床試験(IPASS)結果が発表される ―欧州臨床腫瘍学会にて―

英国アストラゼネカ社の9月15日の発表によると、ストックホルムで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、臨床背景因子により選択されたアジアの進行非小細胞肺がん患者を対象とした臨床試験IPASS(IRESSA Pan-ASia Study)において、イレッサがカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法に対して無増悪生存期間の非劣性を証明するという主要目的を上回り、優越性を証明したことが報告された。事前に計画されていたバイオマーカーに基づくサブグループ解析では、無増悪生存期間はEGFR遺伝子変異陽性患者ではイレッサ群が化学療法群に比べ有意に長く (HR 0.48, 95% CI 0.36~0.64, p

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抗悪性腫瘍剤「タキソテール注」 前立腺がんへの適応追加承認を取得

サノフィ・アベンティス株式会社は、8月29日、抗悪性腫瘍剤「タキソテール注」(一般名:ドセタキセル水和物)について、厚生労働省より「前立腺癌」の効能または効果の追加に関し、医薬品製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。対象となる患者は、外科的または内科的去勢術を行い、進行や再発が確認された前立腺がんの患者。本適応症の追加に関して、2007年2月28日に医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、同年5月10日に優先審査品目に指定されていた。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/A30E3AB0-F222-42BE-AB1E-8695E84B7937.pdf

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近年の婦人科がん医療の進歩:最近の学会報告から がん医療セミナー 「もっと知って欲しい女性のがん」より

 2008年8月10日、NP法人キャンサーネットジャパン、NPO法人ブーゲンビリア、卵巣がん体験者の会スマイリー、NPO法人女性特有のガンサポートグループオレンジティの4団体が主催する婦人科腫瘍啓発セミナーが開催された。セミナーでの、埼玉医大国際医療センター包括的がんセンター婦人腫瘍科、藤原恵一氏の講演の様子をレポートする。主な婦人科腫瘍とそれぞれの進行がん標準治療 婦人科の主な癌種は子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんである。これら3種の進行がん標準治療は概ね下記のようになる。・子宮頸がん:プラチナ製剤ベースの化学療法(CDDP)同時放射線療法・子宮体がん:術後放射線療法・卵巣がん:減量手術後化学療法 パクリタキセル(PTX)+カルボプラチン(CBDCA) 進行度別にみると、子宮頸がん・体がんでは早期例が多く0期からII期が半数以上である。特に頸がんでは0期が40%以上を占める。一方、卵巣がんでは進行例が多くIII期からIV期が半数以上を占める。卵巣がんの予後と治療 卵巣がんは予てから死亡率が高く予後が悪いといわれている。その言葉が示すとおり、卵巣がん(約7000人)罹患数は子宮がん(約18000人)の半分以下であるが、死亡数はほぼ同等である(子宮がん5500人に対し卵巣がん4400人)。その理由は、卵巣がんの進行例の割合が多いため(卵巣がんはIII~IV期が70%、子宮がんでは0期~I期が70%)だと考えられる。 進行卵巣がんはインオペ例とされていたが、1980年のCDDP登場、その後のタキサン系薬剤の登場で生存率は改善し、現在CBDCA+PTXが標準療法となっている。だが、その後は有効率の向上を目指し標準治療への抗がん剤のアドオン試験が行われたが予後改善をもたらすにはいたっていない。卵巣がんの治療の今後 そのような中、有効率の改善を目指すべく幾つかの研究が行われている。投与法も研究され、プラチナ製剤の腹腔内投与の有効性が米国NCI(National Institute of Cancer)が推奨されている。そして、2008年、日本発のエポックメイキングな研究がASCO2008で発表された。これは、医師主導治験JGOG3016で、PTX毎週投与の有効性試験有効性が立証された。今後、保健適応取得に向け行政への働きかけが重要となる。 さらに、分子標的治療薬の有効性も検討されており、医師主導の治験で、ベバシズマブの有効性研究も進行中である(GOG218)。 一方、ドラッグラグの問題も以前残っている。ドキシル(リボゾーマドキソルビシン)は世界80カ国で承認され、標準治療無効例における2ndライン薬剤として期待されておる。しかし、日本では以前未承認であり、現在自費投与1回あたり30~40万/回の金銭的負荷がかかる。子宮頸がんの治療 子宮頸がんは0期が多く、この段階で発見できれば多くの患者さんが助かることになる。 そのためには、まず、検診の普及が非常に重要である。実際、検査の普及率が高い国では子宮頸がんの死亡率は低いが、日本の検診普及率は22%であり後進国並みといえる。そのためか、日本では若年層での罹患数が増加しているという問題もある。 子宮がんの治療は、プラチナ製剤の化学療法(CDDP単独またはCDDP+5FU)と放射線治療同時併用が標準治療である。しかし、本邦での普及は依然高いとはいえない。今後の課題として日本人のCDDP適正ドーズの設定、ガイドラインでの積極的取り上げなど一層の普及が急がれる。子宮頸がんの治療の今後 そして、近年のトピックとして子宮頸がんにおけるHPV(ヒトパピローマウイルス)の関与があげられる。HPVは子宮頸がん患者の大部分が感染しており、確率こそ非常に少ないが子宮頸がんの発症因子である。そのため、HPVワクチンがHPVの感染予防および前がん病変への移行を防止するとして多大な効果が期待できる。現在、米国、オーストラリアをはじめ多くの国で承認されており日本でも早期の承認が望まれる。日本の婦人科腫瘍治療 日本の婦人科がんの取り組みは欧米に比べ遅れている。そこに昨今の婦人科医師不足が重なり、婦人科腫瘍の診療は大変な状況である。 婦人科腫瘍の場合、そのような状況下であっても製薬メーカーの協力を仰がず医師主導治験をしている例は多い。医師主導治験に携わる医師は診療後に何ら報酬もない中、ボランティアで協力している。しかしながら、医師主導治験を国に認めさせるシステムがなく、今後は医師主導治験で行政を動かしてゆく手法を検討する必要がある。 また、ドラックラグについても大きな問題である。ドキシルのように海外で実績があるのに日本では未承認という薬剤は多い。副作用発現などのリスクから優先審査への動き鈍ることも一つの要因であるが、一番の被害者は患者さんであることを忘れて欲しくない。この点については、マスメディアの取り上げ方が大きな影響を及ぼすため、正確な情報提供をお願いしたいと考える。

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エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントより有利

免疫抑制剤エベロリムスを溶出するコバルトクロム製ステントは予備的研究で、冠動脈疾患患者の血管再狭窄リスクを軽減するとの見込みが示されていたが、エベロリムス・ステントの安全性と有効性を評価する「SPIRIT III」試験に携わっていたコロンビア大学メディカルセンター(米国ニューヨーク市)のGregg W. Stone氏らは、普及しているパクリタキセル溶出ステントより、血管内径の狭窄も、治療失敗による有害イベントも有意に少ないと報告した。JAMA誌2008年4月23日号より。全米65施設で1,002例を1年間追跡調査「SPIRIT III」は、2005年6月22日~2006年3月15日にかけて、米国各地の65大学と地域医療機関が行った前向き無作為単盲検試験。患者は、病変部の長さが28mm以下、基準血管直径が2.5~3.75mmの、経皮的冠動脈介入術を受ける男女1002例で、エベロリムス溶出ステント群(n=669)とパクリタキセル溶出ステント群(n=333)に、2:1に無作為に割り付けた。事前に選んだ患者564例について8ヵ月間、血管造影による追跡調査を行い、436例で完了した。臨床追跡調査は1、6、9、12ヵ月目に行った。プライマリーエンドポイントは血管造影に基づくステント留置部分の遠隔期内径損失の非劣性または優位性だった。主要な副次的エンドポイントは、9ヵ月後における標的血管治療失敗イベント(心臓死、心筋梗塞または標的血管血行再建術)の非劣性評価。付加的な副次的エンドポイントは9、12ヵ月後の主要有害心イベント(心臓死、心筋梗塞または標的血管血行再建術)だった。遠隔期内径損失も有害イベントも有意に少ない治療部分の遠隔期内径損失は、エベロリムス群(平均値0.14[SD 0.41]mm)のほうがパクリタキセル群(同0.28[SD 0.48]mm)より有意に少なかった(両群差0.14mm、95%CI:0.23~0.05、P≦0.004)。また、9ヵ月後の標的血管治療失敗でも、エベロリムス群はパクリタキセル群に劣らなかった(7.2%対9.0%、%比1.9ポイント、95%CI:5.6%~1.8%、相対リスク:0.79、95%CI:0.51~1.23、P<0.001)。心筋梗塞と標的病変血管血行再建術も少なかったため、主要有害心イベントは、9ヵ月後(4.6%対8.1%、相対リスク:0.56、95%CI:0.34~0.94、P=0.03)、1年後(6.0%対10.3%、相対リスク:0.58、95%CI:0.37~0.90、P=0.02)とも有意に減少した。Stone氏らは「エベロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントより遠隔期内径損失は減少し、標的血管治療失敗も劣らず、1年間の追跡調査でも主要な有害心イベントはより少ない」としている。

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乳癌補助療法、生存率改善はパクリタキセル週1回投与に軍配

乳癌の標準的化学療法後に用いられる2種類のタキサン系薬剤(ドセタキセルパクリタキセル)による補助療法は、週1回投与と3週に1度の投与ではどちらの有効性が高いのか? 検証作業に当たっていた米国Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のJoseph A. Sparano氏らによる報告がNEJM誌2008年4月17日号で掲載された。転移性乳癌の女性4,950例を調査研究は、乳癌女性のうち腋窩リンパ節転移が陽性か、リンパ節転移は陰性だがリスクの高い患者4,950例を対象に実施された。患者は無作為化された後、まずドキソルビシン(国内商品名:アドリアシン)とシクロホスファミド(エンドキサン)静脈内投与を3週に1度4サイクル行い、引き続き、パクリタキセルまたはドセタキセルを、3週に1度4サイクル静脈内投与する群と、週1回12サイクル静脈内投与する群に割り付けられた。主要エンドポイントは無病生存率。HER2陰性、エストロゲン受容体陽性でも効果パクリタキセルを3週に1度投与する標準的な用法の群と比べて、無病生存のオッズ比はそれぞれ、パクリタキセル週1回投与群は1.27(P = 0.006)、ドセタキセル3週に1度投与群は1.23(P = 0.02)、ドセタキセル週1回投与群は1.09(P = 0.29)だった。いずれもオッズ比は1以上で、実験的治療群が支持される結果となった。また、標準用法群に比べてパクリタキセル週1回投与のほうが、生存率が改善していた(オッズ比1.32、P = 0.01)。サブグループ(HER2陰性)解析の結果では、エストロゲン受容体が陽性でも、パクリタキセル週1回投与によって無病生存率と全生存率に同様の改善が見られた。パクリタキセル週1回投与群では、同剤の3週に1度投与群に比べてグレード2、3、4の神経障害の発生頻度が高かった(27%対20%)が、研究グループは、「ドキソルビシンとシクロホスファミドによる標準的化学療法の後に補助療法としてパクリタキセルを週1回投与することは、乳癌女性の無病生存と全生存率を改善する」と結論付けている。(武藤まき:医療ライター)

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下肢血管形成術でパクリタキセル・コーティング・バルーン使用は再狭窄を有意に減少

薬剤溶出ステントは冠動脈の再狭窄を減少させるものの、末梢動脈での有効性は臨床試験では証明されていなかった。そのため下肢血管形成術における、パクリタキセルでコーティングされた血管形成術用バルーンと、血管造影剤に溶解したパクリタキセルの効用について調査が、エーベルハルト・カール大学(ドイツ)Gunnar Tepe氏らによって行われた。NEJM誌2008年2月14日号より。大腿膝下動脈で遠隔期損失径を比較調査は、大腿膝窩動脈の狭窄、または閉塞を伴う患者154例を、パクリタキセルでコーティングされた標準的バルーンカテーテルによる治療群、コーティングなしのバルーン+造影剤に溶解したパクリタキセル治療群、コーティング・バルーンも含有造影剤もなしの群(対照群)にランダムに割り付け、小規模の多施設共同試験を行った。主要評価項目は6ヵ月後の遠隔期損失径。患者の平均年齢(±SD)は68歳(±8)、喫煙者が24%、そして糖尿病が49%だった。病変の27%は完全閉塞、36%は再狭窄であった。平均の病変長は7.4±6.5 cmで、治療群間のベースライン特性には有意差がなかった。パクリタキセル・コーティングに起因する有害事象は認められなかった。パクリタキセル・コーティング・バルーンで有意な効果6ヵ月後の対照群の遠隔期損失径の平均値は1.7±1.8mm、一方、パクリタキセル・コーティング・バルーンによる治療群は0.4±1.2mm(P

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薬剤溶出性ステント、パクリタキセル vs シロリムス、有意差なし:SORT OUT II

薬剤溶出性ステントの承認は比較的小規模の治験結果に基づいているが、実際の診療においては幅広い患者を対象に使われる。本研究は、Gentofte大学病院(デンマーク)Anders M. Galloe氏らによって、先頭を走るシロリムス(免疫抑制剤)溶出性ステントとパクリタキセル(抗癌剤)溶出性ステントの2つの入手可能な薬剤溶出性ステントを用いて行われたSORT OUT IIの結果報告。診療実態に沿って、主要な症状の予防効果に重点が置かれた。JAMA誌2008年1月30日号より。PCI患者2098例をシロリムス群とパクリタキセル群に割り付け試験は2004年8月から2006年1月にかけてデンマークの5つの大学病院で、無作為盲検方式にて実施された。対象は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた男女合わせて2,098例(平均63.6 歳[標準偏差10.8])で、シロリムス溶出性ステント群(n=1,065)と、パクリタキセル溶出性ステント群(n=1,033)にランダムに割り付けられた。PCIの適応にはST上昇心筋梗塞(STEMI)、非STEMIまたは不安定狭心症、安定狭心症が含まれた。主要評価項目は重大な心イベントの複合エンドポイント(心臓死、急性心筋梗塞、対象病変の血行再建術、血管再形成術によると定義)。二次評価項目には、全原因死亡率とステント血栓症も含まれた。両剤に転帰上の有意差は見いだせず結果、両剤ステント群間には、重大な有害心イベントについても(98例[9.3%]対114例[11.2%]、ハザード比0.83[95%信頼区間0.63-1.08]、P=0.16)においても、あるいはどの二次的エンドポイントの結果にも有意差は確認できなかった。ステント血栓症発生率はそれぞれ、シロリムス群27例(2.5%)、パクリタキセル群30例(2.9%)で、ハザード比0.87[95%信頼区間、0.52-1.46]、P=0.60)。この結果から研究グループは、シロリムスあるいはパクリタキセル溶出性ステントによる治療を受けた患者間で、臨床転帰上の有意差は見いだせなかったと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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