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双極性障害発症のリスク因子を解析

 双極性障害(BD)の発症に対する環境リスク因子については十分にわかっていない。イタリア・Centro Lucio BiniのCiro Marangoni氏らは、長期研究によりBDの有病率、罹病期間、環境曝露の予測値を評価した。Journal of affective disorders誌2016年3月15日号の報告。 著者らは、2015年4月1日までのPubMed、Scopus、PsychINFOのデータベースより、関連キーワード(出生前曝露、母体内曝露、トラウマ、児童虐待、アルコール依存症、大麻、喫煙、コカイン、中枢興奮薬、オピオイド、紫外線、汚染、地球温暖化、ビタミンD、双極性障害)と組み合わせて体系的に検索し、当該研究を抽出した。追加の参照文献は相互参照を介して得た。(1)長期コホート研究または長期デザインの症例対照研究、(2)初期評価時に生涯BDの診断がなく、フォローアップ時に臨床的または構造化評価でBDと診断された患者の研究が含まれた。家族性リスク研究は除外した。研究デザインの詳細、曝露、診断基準の詳細と双極性障害リスクのオッズ比(OR)、相対リスク(RR)またはハザード比(HR)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・2,119件中、22件が選択基準を満たした。・識別されたリスク因子は、3つのクラスタに分類可能であった。(1)神経発達(妊娠中の母体のインフルエンザ;胎児発育の指標)(2)物質(大麻、コカイン、その他の薬;オピオイド薬、精神安定剤、興奮剤、鎮静剤)(3)身体的/心理的ストレス(親との別れ、逆境、虐待、脳損傷)・唯一の予備的エビデンスは、ウイルス感染、物質またはトラウマの曝露がBDの可能性を高めることであった。・利用可能なデータが限られたため、特異性、感度、予測値を計算することができなかった。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害I型とII型、その違いを分析 双極性障害治療、10年間の変遷は

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妊娠後期のビタミンD補給で子供の喘鳴を予防できるか/JAMA

 母親が妊娠後半(妊娠7ヵ月以降)にビタミンD3を補給しても、生まれた子の持続性喘鳴のリスクは低下しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学のBo L. Chawes氏らが行った単一施設での二重盲検無作為化比較試験で明らかとなった。この試験は、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究2010(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010 :COPSAC2010)の一環として行われたもの。これまで、観察研究において妊娠中のビタミンD摂取量増加により子の喘鳴を予防できる可能性が示唆されていたが、妊婦へのビタミンD投与による予防効果について検証はされていなかった。JAMA誌オンライン版2016年1月26日号掲載の報告。妊娠24週以降のビタミンD3補給、2,800IU/日と400IU/日を比較 研究グループは2009年3月4日~10年11月17日の間に、妊娠24週の妊婦623例を、ビタミンD3投与群(以下、ビタミンD群)(315例)と対照群(308例)に無作為に割り付けた。妊娠24週から出産後1週まで、全員にデンマークの保健機関が推奨している通常の妊婦管理としてビタミンD3 400IU/日を投与するとともに、ビタミンD群にはさらに2,400IU/日を投与、一方対照群にはプラセボを投与した(すなわち、本研究はビタミンD3の2,800IU/日投与と400IU/日投与を比較している)。 その後、出生児581例(ビタミンD群295例、対照群286例)を、少なくとも3歳まで追跡し、持続性喘鳴や呼吸器症状などについて調査した。持続性喘鳴は、既存の次のアルゴリズムに従って診断した。(1)生後6ヵ月以内に発作性の呼吸器症状(咳嗽、喘鳴、呼吸困難)が5回/日以上3日以上継続、(2)喘息特有の症状、(3)気管支拡張薬の間欠的使用、(4)ステロイド吸入の3ヵ月間の試験的導入による奏効と吸入中断による再発。持続性喘鳴の発症リスクに両用量で差はなし 3歳までに持続性喘鳴と診断されたのは、ビタミンD群47例(16%)、対照群57例(20%)の計104例(18%)であった。 ビタミンD3投与は持続性喘鳴の発症リスクと関連していなかったが(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.52~1.12、p=0.16)、繰り返す発作性の呼吸器症状の発現リスクについては有意な低下が認められた(平均発現件数ビタミンD群5.9 vs.対照群7.2、発現リスク比[IRR]:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.02)。3歳時の喘息者数、上気道感染症または下気道感染症の発症などにビタミンD3投与の影響はみられなかった。 また、子宮内胎児死亡はビタミンD群1例(<1%) vs.対照群3例(1%)、先天性奇形はそれぞれ17例(5%) vs.23例(8%)であった。 なお、本研究は主要評価項目に関する統計的検出力が低く、著者は「ビタミンD3補給の有用性を立証するには、さらに大規模な、高用量および早期介入による臨床試験が必要」とまとめている。

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統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか

 統合失調症とビタミンDとの関連について、米国・マサチューセッツ医科大学のMathew Chiang氏らが臨床レビューを行った。Evidence-based mental health誌2016年2月号の報告。・ビタミンDがカルシウムのホメオスタシスおよび骨の健康において、重要な役割を担っていることは知られている。・ビタミンDは、日光によるUVB照射により皮膚から内因的に生成される。そして、ビタミンDは現在、脳の発達や正常な脳機能に重要な役割を有する強力な神経ステロイドホルモンであると考えられており、その抗炎症特性は、ヒトの健康のさまざまな側面に影響を与えることが知られている。・ビタミンDリガンド受容体(ビタミンDの生理学的作用の多くを仲介する受容体)は、中枢神経系を含む身体全体で見つかっている。・ビタミンD欠乏は、統合失調症など重篤な精神疾患を有する患者で一般的に認められる。・統合失調症のいくつかの環境リスク因子(誕生した季節、緯度、移住)は、ビタミンD欠乏症と関連付けられる。そして、最近の研究では、統合失調症の発症におけるビタミンDの潜在的な役割が示唆されている。たとえば、新生児のビタミンDの状態と、その後の肥満やインスリン抵抗性、糖尿病、脂質異常症および心血管疾患の発症リスクとの関連が、統合失調症患者でよく認められている。ビタミンD欠乏が、これら代謝の問題に関連していることは明らかになっている。・生物学的メカニズムは、炎症の調節や免疫プロセスにおけるビタミンD作用と関連しており、その結果、臨床症状の発現や統合失調症の治療反応に影響する。・ビタミンD補充の潜在的なベネフィットとして、統合失調症症状の改善および統合失調症患者の身体的健康についても、今後の研究で検討されるべきである。関連医療ニュース 統合失調症、ビタミンD補充で寛解は期待できるか 女はビタミンB6、男はビタミンB12でうつリスク低下か EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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妊娠中のビタミンD補充は子供の喘息予防に有効か/JAMA

 出生後の子供の喘息リスクが高い妊婦では、ビタミンDの補充により妊娠後期のビタミンD値が有意に上昇したが、子供が3歳までに喘息または再発喘鳴を来すリスクは低下傾向を認めたものの有意ではなかったとの研究成果を、米国ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAugusto A Litonjua氏らが、JAMA誌2016年1月26日号で報告した。喘鳴は出生から数週で始まり、その発生に関与する出生前の決定因子の存在が示唆されている。ビタミンDは、胎児期~出生後早期の肺および免疫系の発育に影響を及ぼし、妊娠期のビタミンDの欠乏は早期の喘息や喘鳴の発症に重要な役割を果たしている可能性があるという。妊婦へのビタミンD投与による子供の喘息予防効果を評価 研究グループは、妊娠中のビタミンD3(コレカルシフェロール)の栄養補助薬の使用による、幼児の喘息関連疾患の予防効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験(VDAART試験)を実施した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 対象は、年齢18~39歳の非喫煙者で、妊娠期間10~18週と推定される女性で、自身または子供の生物学的父親が喘息や湿疹、アレルギー性鼻炎の既往歴を有するものとした。 被験者は、ビタミンD 4,000IU+ビタミンDを400IU含む妊婦用マルチビタミン薬(4,400IU群)、またはプラセボ+ビタミンDを400IU含む妊婦用マルチビタミン薬(400IU群)を、それぞれ毎日投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、3歳までの医師の診断による喘息または再発喘鳴(質問票で3ヵ月ごとに親に確認)と、妊娠後期の母親の25-ヒドロキシビタミンD≧30ng/mLの達成の複合アウトカムとした。 2009年10月~11年7月に、米国の3施設(ボストン医療センター、ワシントン大学セントルイス校、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア)に876人の妊婦が登録され、ビタミンD 4,400IU群に440人、400IU群には436人が割り付けられた。最後の子供のフォローアップは2015年1月に終了した。喘息/再発喘鳴リスクが6.1%低下、検出力不足の可能性も ベースラインの平均年齢は、4,400IU群が27.5歳、400IU群は27.3歳で、妊娠期間はそれぞれ14.1週、14.2週であり、25-ヒドロキシビタミンD値は23.3ng/mL、22.5ng/mLであった。 810人の子供が誕生し、3歳までのアウトカムの評価は806人(4,400IU群:405人[男児:200人]、400IU群:401人[220人])で行われた。 218人の子供が喘息または再発喘鳴を発症した。このうち4,400IU群の発症率は24.3%(98人)であり、400IU群の30.4%(120人)に比べ低い傾向が認められた(ハザード比[HR]:0.8、95%信頼区間[CI]:0.6~1.0、p=0.051)。 妊娠後期の平均25-ヒドロキシビタミンD値は、4,400IU群が39.2ng/mLであり、400IU群の26.8ng/mLよりも有意に高値であった(平均差:12.4ng/mL、95%CI:10.5~14.3、p<0.001)。≧30ng/mLの達成率は、それぞれ74.9%(289人)、34.0%(133人)であり、4,400IU群で有意に優れた(差:40.9%、95%CI:34.2~47.5、p<0.001)。 3歳までに発症した皮疹を伴う湿疹(4,400IU群:21% vs. 400IU群:23%、p=0.56)と下部気道感染症(31.9 vs. 34.2%、p=0.07)、3歳時の総IgE値(幾何平均:29.3 vs. 37.3、p=0.08)に有意な差はなかったが、特異的IgE抗体検査の陽性率(10.7 vs.12.4%、p=0.02)は4,400IU群で有意に低かった。 両群間の重篤な有害事象の発現頻度に差はなく、ビタミンDに起因する有害事象は認めなかった。母親に、ビタミンD治療による高カルシウム血症はみられなかった。 著者は、「本試験は検出力が十分でない可能性が示唆された。得られた知見の臨床的な意義を解明するために、長期のフォローアップを継続中である」としている。

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うつ病既往で感染症リスク増加

 予備的研究では、うつ病とその後の感染症リスク増加との関連が示唆されている。デンマーク・オーフス大学のNiklas W Andersson氏らは、うつ病とさまざまな感染症リスクとの関連を、時間的関係や用量反応関係も含み調査した。International journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号の報告。 97万6,398人のプロスペクティブな住民ベースの研究より、1995~2012年にうつ病を経験した14万2,169例を、デンマークレジストリと関連付けて調査した。性別や年齢を調整し、非うつ病者と比較した、うつ病患者における感染症の相対リスクを推定するために生存分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病は、広範囲の感染症リスク増加と関連していた(罹患率比 [IRR]:1.61、95%CI:1.49~1.74、p=0.000、任意の感染症において)。・特定の時間的影響のエビデンスはなかったが、うつ病発症後の感染症の全般的なリスク増加は、発症後の最初の1年間(IRR:1.67、95%CI:1.25~2.22、p=0.000)からその後11年以上(IRR:1.61、95%CI:1.39~1.85、p=0.000)、上昇したままであった。・用量反応分析は、単一うつ病エピソードで感染症リスクが59%増加し(IRR:1.59、95%CI:1.45~1.75、p=0.000)、4つ以上のうつ病エピソードではさらに増加した(IRR:1.97、95%CI:0.92~4.22、p=0.082)。・しかし、結果は完全な線形的な相関を示すものではなかった。 結果を踏まえ、著者らは「本調査結果より、うつ病の存在が感染症リスクの増加と関連しており、このことはうつ病発症後の特定の期間に限定されるわけではないことが示唆された。用量反応関係も存在すると考えられるが、うつ病と感染症リスクとの関連を確認するためのさらなる検討が必要である」とまとめている。関連医療ニュース うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は 女はビタミンB6、男はビタミンB12でうつリスク低下か

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サン・アントニオ2015 レポート-1

レポーター紹介はじめに2015年SABCSは12月4日から8日までの会期で開催された。外は比較的暖かく、過ごしやすい気候であった。基礎的な内容も口演で多く取り上げられ、難しい内容のものも多くあったが、私たちの臨床を変える、あるいは臨床的に意義のある発表も多く、個人的には久しぶりに充実感があった。最初の話題は何と言っても、京都大学の戸井 雅和先生が口演で発表された、日本と韓国共同で行われた第III相試験CREATE-X(JBCRG-04)の結果であろう。HER2陰性乳がんに対して術前化学療法(アントラサイクリン、タキサン、あるいはその組み合わせ)後に手術を行ってnon-pCRであった場合に、術後標準治療を行う群とカペシタビン8サイクル(2,500mg/m2/day、day1~14、repeat every 3 weeks)を上乗せする群に割り付けて、予後をみたものである。適格基準はStageI~IIIBと広く、年齢も20~74歳と幅がある。計910例を各群455例ずつに割り振り5年間経過観察した。ホルモン受容体陽性が約60%で、リンパ節転移が残存していたのは約60%であった。術前化学療法としてはA-Tを逐次投与したものが約80%を占め、5-FUは約60%の症例で使われていた。カペシタビンを8サイクル規定投与量で継続できたのは37.9%、減量し継続できたのは37.1%、中止は25%であった。カペシタビン群の有害事象として、下痢は3.0%と低く、手足症候群は全グレードで72.3%、Grade3は10.9%に認められた。5年無再発生存率はカペシタビン群74.1%、コントロール群67.7%(p=0.00524)、5年全生存率も89.2%対83.9%(p<0.01)と有意にカペシタビン群で良好であった。サブグループ解析では、どのグループでもカペシタビン群で良好な傾向であった。ホルモン受容体の有無によらなかったが、陰性でより効果が高い傾向にはあった。正式に論文化されるのを待ちたいが、術前化学療法後に腫瘍が残存しステージが高く、予後不良な乳がんに対して有効な治療であることは間違いなさそうであり、どのように実臨床に取り込んでいくか議論が必要だろう。また、毒性の程度が日本人と異なる欧米で、どの程度受け入れられるかも注目されるところである。ルミナルA乳がんは一般に予後良好で、早期であれば全身治療は内分泌療法単独で良いと一般的に考えられている。DBCG77B無作為化比較試験から、ハイリスクのルミナルA乳がんを選択し予後を比較した結果が報告された。DBCG77B試験は腫瘍径5cm以上またはリンパ節転移陽性の閉経前乳がんに対し、classic CMF(C:130mg/m2)、oral cyclophosphamide(130mg/m2、2週投与2週休薬、12サイクル)、levamisole、化学療法なしの4群に分けて予後をみたものであるが、前2群はlevamisole群や化学療法なし群と比較して25年全生存率を改善している (Ejlertsen B, et al. Cancer;116:2081-2089.)。classic CMFに関しては、2014年SABCSレポート(NSABP B-36:リンパ節転移陰性乳がんにおいて6サイクルのFECと4サイクルのACを比較する無作為化第III相試験)を参照してほしい。ルミナルAの定義は免疫染色でER陽性、PR 20%以上、Ki67 13%以上、CK5/6陰性、EGFR陰性とした。 今回の研究では、1,146例のうち633例で免疫染色結果が利用でき、165例がルミナルAに分類された。633例の特徴は1,146例全体と比べN+例の比率がやや高く、化学療法施行例がわずかに多かった。浸潤がんの10年無再発生存率は、非ルミナルAでは化学療法の効果が明らかであったのに対し、ルミナルA群ではまったく差がなかった(化学療法あり134例、なし31例)。25年全生存率も同様であった。非ルミナルAのうちHER2タイプでは浸潤がんの10年無再発生存率に全く差がなく、HER2陽性乳がんにおけるCMFの効果の弱さを裏付けるものであった。DBCG77Bはかなり古い試験であり、内分泌療法が行われていないなどいくつかの問題点はある。しかし、ルミナルAはリンパ節転移陽性であっても、化学療法のベネフィットがないということはリーズナブルな結果と考えられる。現在NCCNガイドラインによれば、オンコタイプDxもリンパ節転移陽性(1~3個)に対して適応しうることが記載されており、低リスクに対しては化学療法のベネフィットが得られないだろうと考えられるようになっている。また、乳がんサブタイプとオンコタイプDxの再発リスクの間には強い相関もあり、私自身はこの結果にとくに驚くものではない(Fan C, et al. N Engl J Med. 2006;355:560-569.)。むしろDBCG77B試験をあらためて読み、classic CMFとoral cyclophosphamideの間に差がないことのほうが驚きであった。本邦では、再発乳がんにおいてoral cyclophosphamideと5-FU系薬剤との併用の有効性が検討され、5-FU系薬剤の効果がむしろ強調されてきたが、実はoral cyclophosphamideのほうがより重要なのかもしれない。デジタルマンモグラフィが2Dであるのに対して、トモシンセシスは3Dマンモグラフィである。2D に3Dを加えることにより、2D単独と比較して浸潤がんの発見が40%増加し、疑陽性率が15%低下することが報告されており(Skaane P, et al. Radiology. 2013;267:47-56.)、他の研究も同様の結果となっている(Ciatto S, et al: Lancet Oncol. 2013;14:583-589、Friedewald SM, et al. JAMA.2014;311:2499-2507)。しかし、3Dを加えることで、被曝量の増加(約2倍)、圧迫時間の延長(ただし圧迫圧は減少)、装置のコスト、装置の耐久性、トレーニング、読影時間の延長が問題となる。そこで3Dから擬似的に合成した2D画像(合成2D)により(3Dは選択して読影)、読影時間の問題を解決するか試みた研究が英国から報告された。2,589乳房のうち280乳房のみが3D読影を必要とした。3D読影を行わないことにより、10乳房のM3と1乳房のM4を見逃したのみであり、そのうち乳がんであったのは2乳房のみであった。研究の限界としては、経験豊富な放射線科医1名の読影であり、スクリーニングの場面ではないことがある。しかし、見落としを最小限にしながら読影時間を短縮するのに、合成2Dは有用な方法と考えられる。臨床の現場では、通常のマンモグラフィ検診で要精査とされた中に疑陽性(とくにFAD)が多いことに驚く。患者はそのことにより、夜も眠れず不安を抱えて病院を受診する。超音波検診も含めて、疑陽性を極力減らすための努力が必要である。ビスホスホネート製剤は閉経後乳がんに対する遠隔再発、骨転移を減らし、乳がんによる死亡率を低下させることが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)のメタ分析から示されている(参照)。今回は、デノスマブの生存率向上効果がABCSG-18試験(オーストリアとスウェーデン)によって示された。ホルモン受容体陽性閉経後乳がんにおいて術後補助療法として、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬と共に6ヵ月ごとにデノスマブを60mg投与する群とプラセボ群に分け、3,425例が無作為に割り付けられた。デノスマブの投与期間は規定されていない。おそらく5年程度は使用されているのだろう。結果として、無再発生存期間はデノスマブ群でわずかに高かった(p=0.0510)。サブグループ解析では、腫瘍径2cm以上ではより明らかであった(p=0.0419)。これは、より再発率の高いグループで効果が明瞭になるということだろう。顎骨壊死は1例もなかったが、これは特筆すべきである。本試験のプロトコルには、治療開始前や治療中の予防的な口腔ケアについては何ら記載されていない。顎骨壊死がなかった理由として、投与量が少ないためか、6ヵ月ごとの投与ではほとんど問題にならないのか、あるいはオーストリアやスウェーデンでは口腔ケアが当たり前になっているのか不明である。また、治療期間中カルシウムとビタミンDの服用を強く推奨するという記載にとどまっていて規定にはなっていないようだが、重篤な低カルシウム血症も起きていないようである。ただし、このあたりも、臨床で使用する際には一応注意はしておいたほうが良いだろう。閉経後乳がんにおいては、進行度の高いほど骨標的療法の生存率への効果が高いと考えられ、実臨床でも考慮すべき時期になったといえる。

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ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は

 大うつ病性障害(MDD)患者に対する8週間のビタミンD投与は、プラセボと比較してうつ症状を改善し、インスリン抵抗性や酸化ストレスに対しても好影響を及ぼすことが、イラン・カシュハン医科大学のZahra Sepehrmanesh氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。ビタミンDについては、神経伝達物質、代謝プロファイル、炎症性バイオマーカーおよび酸化ストレスに有益な影響を及ぼし、うつ症状を軽減させる可能性が示唆されていた。The Journal of nutrition誌オンライン版2015年11月25日号掲載の報告。 研究グループは、MDD患者へのビタミンD投与が、うつ症状、代謝プロファイル、血清中高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、酸化ストレスのバイオマーカーを減少させうるか否かを評価する、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。被験者は、DSM診断基準でMDDと診断された18~65歳の患者40例。ビタミンD 1カプセル(50kIU)/週群(20例)またはプラセボ群(20例)に無作為に割り付け、8週間投与した。 ベースラインと介入後に、空腹時血液サンプルを採取し、関連項目を測定した。主要アウトカムは、ベックうつ病評価尺度(BDI)で評価したうつ症状とした。副次的アウトカムは、グルコースホメオスタシス変数、脂質プロファイル、hs-CRP、酸化ストレスのバイオマーカーなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおいて、2群間の平均血清25-ヒドロキシビタミンD濃度は、有意な差が認められた(それぞれ9.2±6.0、13.6±7.9μg/L、p=0.02)。・介入8週後における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の変化は、ビタミンD群(+20.4μg/L)のほうが、プラセボ群(-0.9μg/L)と比べて有意に大きかった(p<0.001)。・ビタミンD群はプラセボ群に比べ、BDIのより大幅な減少傾向が認められた(それぞれ-8.0、-3.3、p=0.06)。・ビタミンD群とプラセボ群の間で、血清インスリン変化(-3.6 vs.+2.9μIU/mL、p=0.02)、ホメオスタシスモデルで推定したインスリン抵抗性(-1.0 vs.+0.6、p=0.01)、同推定のβ細胞機能(-13.9 vs.+10.3、p=0.03)、血漿中総抗酸化能(+63.1 vs.-23.4mmol/L、p=0.04)、グルタチオン(+170 vs.-213μmol/L、p=0.04)について有意差が認められた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

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マスコミでも話題のスーパーフルーツ「キウイ」 ~その魅力とチカラ~

11月7日、8日と東京と大阪で開かれた「糖質管理セミナー」の様子をお届けします。マスコミでもスーパーフルーツとしてたびたび取り上げられる「キウイ」。ニュージーランドへ現地視察までしてきた管理栄養士がその本質と魅力を解説します。1:日本人の果物摂取量と課題日本人の果物摂取量は、世界174カ国中129位!世界平均よりも、アジア平均よりもさらに低い状況です。家計調査によると、デザートの中でも果物は特に低い支出になっています。これは食の多様化や個食化の影響が、強く表れていそうです。スライド1を拡大するしかし、果物の摂取が健康維持増進に対してさまざまな良い影響を与えているというのも事実。だからこそ、国では健康日本21、食生活指針、食事バランスガイドを通じて、果物を積極的に食べることを推奨しています。ところが「野菜は350gそのうち緑黄色野菜は120g」と野菜の摂取は具体的に提示しているのに対し、果物は「1日200g」だけ。果物の質は問われていません。超高齢社会の我が国では、「新型栄養失調」と呼ばれる低栄養の問題があります。食事量が減る高齢者の場合は「何を食べるか」という、食事の質が問われている時代。果物の摂取にも、質が重要です。2:スーパーフルーツとしてマスコミでも取り上げられるキウイ下の図は果物の栄養素の凝縮具合を示したものです。スライド2を拡大する栄養素充足率スコアとは、果物の重量100g(可食部)に含まれる17種類の栄養素※1の、「日本人の食事摂取基準 2015年度版」における1日当たりの摂取基準(30~49歳女性での推奨量、目標量、目安量)に対する割合を算出し、その平均値をとったものです。※1 17種類の栄養素:たんぱく質、食物繊維、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンEこれによると、日本人がよく食べているバナナやミカンよりもキウイの充足率が優れていることがわかります。これが、キウイが「高栄養密度フルーツ」「スーパーフルーツ」と言われてマスコミなどでも多く取り上げられる理由です。緑色の果肉のキウイフルーツ(緑肉種)には日本人に不足しがちな食物繊維が豊富に(可食部100gあたり3g ゼスプリインターナショナル調べ)含まれています。野菜からだけではなく、果物や穀類からも食物繊維を摂取することで、目標摂取量に近づけることができます。またゴールドキウイ(黄肉種)1個にはレモン(果汁換算)8個分のビタミンCが含まれており、果物の中ではトップクラスです。さらにビタミンEも同時に摂取できるなど、キウイはバランスよくさまざまな栄養素を含んでいます。食が細くなり、効率よく栄養素を摂取する必要がある高齢者にも適した果物と言えそうです。スライド3を拡大する◆キウイは、低GI食品キウイのGI値は、グリーンキウイ(緑肉種)が39、ゴールドキウイ(黄肉種)が38※2と一般的に低GIといわれる分類に属しています。※2 Rush & Drummond, 2009 and Chen, Wu, Weng and Liu, 2011 より約15の臨床研究データの平均より算出。ウェイトコントロールが必要な糖尿病患者さんの場合は、カロリーだけを制限すると、食事量の不足から空腹感が強くなりストレスの原因になってしまいます。また、世間で流行している極度の糖質制限では、穀類を減らすことで、ただでさえ不足気味の食物繊維がさらに不足する傾向もあります。そのような時は穀類の適量摂取とあわせてGI値の低い果物がオススメ。果物は水分や食物繊維が多く、お腹の中で満足感を得られる上に、天然の甘味が楽しめます。栄養バランスのとれた果物を食事指導の現場でも活用していきましょう。注記:キウイにはアクチニジンというたんぱく質分解酵素が含まれています。アクチニジンはお肉などのたんぱく質の消化を助ける働きがある一方で食物アレルギーのアレルゲンでもあります。アレルギーが心配な人は、医療機関へご相談ください。◆注目!!日本食品成分表 七訂(2015年版)に「キウイ(黄肉種)」が追加!2015年版に改定される日本標準食品成分表に、「キウイ(黄肉種)」が掲載されることになりました。キウイは、1年を通じて流通している数少ない果物の1つです。緑肉種・黄肉種、それぞれの栄養の特徴をいかして、食事指導や給食の現場でご活用ください。提供:かわるProセミナー事務局関連リンク食品交換表改定ポイントにおける糖質管理と果物の位置づけ

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うつ病にEPAやDHAは有用なのか

 大うつ病性障害(MDD)に対するn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3PUFAs;オメガ3脂肪酸としても知られる)の有効性のエビデンスは、現時点では不明であるとする報告が、英国・ボーンマス大学のAppleton KM氏らにより発表された。プラセボを対照とした24件の試験および抗うつ薬治療を対照とした1件の試験、計25件の試験をレビューした結果、プラセボと比べうつ症状に対して低度~中等度のベネフィットがあること、抗うつ薬と同様の効果が得られることを示したが、いずれもエビデンスの質は非常に低いものであった。著者は、「今後さらなる検討が必要である」と指摘している。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年11月5日号の掲載報告。 MDDへのn-3PUFAsの役割を示唆するエビデンスは、さまざまに報告されているが確定的なものはない。その中で、より重症のうつ症状を呈する患者を対象とした試験ではベネフィットが得られる可能性が示されていた。そこで研究グループは、成人MDDに対するn-3PUFAsと対照(プラセボ、抗うつ薬治療、標準治療、無治療、治療待機対照)の有効性を比較検討した。2015年5月時点で、Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialised Registers(CCDANCTR)、国際臨床試験登録(International Trial Registries)を検索。また、2013年9月までの、データベースCINAHLの記録を検索した。主要アウトカムは、うつ症状(有効な評定尺度を使用して連続データを収集)および有害事象。副次アウトカムはうつ症状(寛解および反応に関する二分データ)、QOL、試験の非完遂とした。 主な結果は以下のとおり。・検索により26件を特定した。25件(1,438例)はn-3PUFA補給 vs.プラセボ、1件(40例)はn-3PUFA補給 vs.抗うつ薬治療の検討であった。・n-3PUFA補給はプラセボに比べ、うつ症状に対して低~中等度のベネフィットを示した(標準化平均差[SMD]:-0.32、95%信頼区間[CI]:-0.12~-0.52、25試験・1,373例、エビデンスの質は非常に低い)。ただし、この効果は臨床的意義につながる可能性は低かった。SMDの0.32はHDRS(17項目)のスコアにしておよそ2.2ポイント(95%CI:0.8~3.6)の差を示した。・信頼区間には、臨床的に重要な効果を示すものとわずかな効果の可能性のみに留まるものの両方が認められ、試験間に重大な不均質性も認められた。・介入群とプラセボ群で有害事象を経験した被験者数は同程度であった(オッズ比[OR]:1.24、95%CI:0.95~1.62、19試験・1,207例、非常に低い)。信頼区間は、n-3PUFAsに関して有害事象の有意な増加を示し、減少の可能性はほとんど認められなかった。・寛解率、反応率、QOL、非完遂率はいずれも群間で同程度であったが、信頼区間に関してはやはりばらつきが大きかった。・これらの結果を基盤とするエビデンスは、非常に限定的である。・解析に使用した試験は、すべて今回の研究課題に直接関連するものであったが、すべてのアウトカムのエビデンスに関し、質は低から非常に低いと評価した。・解析に使用した試験の数および被験者数が少なく、大半が小規模の試験であったため、複数の評価項目で高いバイアスリスクが認められた。・今回の解析は、3つの大規模試験の影響を大きく受けた可能性が高かった。これら試験についてバイアスリスクは低いと判断しているものの、それらはデータの26.9~82%を網羅していた。・今回算出したエフェクトサイズの推定値も正確といえないものであった。ファンネルプロットの非対称性および感度解析(固定効果モデルを使用、選択バイアス、パフォーマンス・バイアス、アトリションバイアスのリスクが低い試験のみを使用)では、n-3PUFAs に対するポジティブな所見のバイアス傾向が示された。・主要アウトカムであるうつ症状の解析においても重大な不均質性が存在した。この不均質性は併存疾患の有無、あるいは補助療法の有無により説明されなかった。・抗うつ薬との比較試験では、うつ症状(平均差[MD]:-0.70、95%CI:-5.88~4.48)、治療反応率、試験の非完遂における差異は認められなかった。また、有害事象については解析に適した形での報告はなされておらず、うつ寛解率およびQOLに関する報告はなかった。・以上より、現時点ではMDDの治療法としてn-3PUFAsの効果を判断する質の高いエビデンスが十分にない状況といえた。・今回の初回解析は、プラセボと比較してn-3PUFAsのうつ症状に対する低度~中等度の非臨床的なベネフィットを示している。しかし、この結果の基となっているエビデンスの質は低いあるいは非常に低いと判定されており、この予測は正確なものとはいえなかった。・感度解析、ファンネルプロット解析、そして適切に実施された大規模試験の結果と今回得た結果との比較により、今回の効果予測がn-3PUFAsに対するポジティブな所見のバイアス傾向が示され、実際の効果はさらに小さいものであることが示唆された。・今回のデータでは、n-3PUFA群とプラセボ群において同様の有害事象発現率、試験非完遂例数も示されているが、これも決して正確なものとはいえない。レビューの中でn-3PUFAsと抗うつ薬を直接比較した唯一の試験では、両群に同等のベネフィットが認められた。n-3PUFAsのMDDに対するポジティブおよびネガティブな影響に関する、より多くのエビデンス、そしてより完全なエビデンスが必要である。関連医療ニュース EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか 双極性障害エピソードと脂肪酸の関連を検証 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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カルシウムとビタミンDの摂取と大腸腺腫予防(解説:上村 直実 氏)-448

 数多くの疫学的検討の結果、ビタミンDやカルシウム(Ca)の摂取量ないしは血中濃度が高いほど大腸腺腫や大腸がんのリスクが低く、両者併用による大腸腫瘍予防効果の可能性も指摘されていた。しかし、今回、実際にビタミンDおよびCa投与を用いた介入試験の結果、両者いずれの投与によっても統計学的に有意な腫瘍抑制効果は認められなかった。 この研究は米国の11施設で施行されたもので、全大腸内視鏡検査によって遺残ポリープのないことが確認された大腸腺腫患者2,259例(平均57歳)を対象として、ビタミンD3錠剤(1,000IU/日)のみを服用する群、Ca錠剤(炭酸塩、1,200mg/日)のみを服用する群、両者併用群、いずれも服用しないプラセボ群に割り付ける方法で、ビタミンDおよびCaの大腸腺腫再発予防効果を二重盲検プラセボ対照無作為化試験で検証している。3年または5年後の大腸内視鏡によるフォローアップの結果、ビタミンD非摂取群に比べ摂取群の3~5年調整後腺腫再発リスク比は0.99(95%信頼区間[CI]:0.89~1.09)、Ca非摂取群に比べ摂取群では0.95(95%CI:0.85~1.06)、両栄養素の非摂取群に比べ併用群では0.93(95%CI:0.80~1.08)であり、いずれも有意な再発抑制効果を認めなかった。以上の結果から、中年以上になってビタミンDやCaを内服しても、大腸腺腫や大腸がんのリスクを軽減する効果が期待できないことが示唆された。 大規模な疫学研究により、腫瘍のリスクを軽減する可能性を有するものが多く報告されているが、対象の年齢や人種によっては介入試験の結果で有用性の期待が裏切られることがある。介入試験は、限られた対象設定の中での成績であることを考慮した対応が重要である。研究デザインによる相反する結果に関しても、十分に吟味して臨床現場で使いこなす能力が必要な時代となっている。

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双極性障害エピソードと脂肪酸の関連を検証

 血漿中イコサペンタエン酸(EPA)濃度比低下は、双極性障害(BD)エピソードと関連しており、血漿中オメガ(n)-3値は、治療によって変化可能であることを、米国・ペンシルバニア州立大学のErika FH Saunders氏らが明らかにした。症候性BDにおいて血漿中EPA比の低下は、気分の脆弱性に関する重要な因子の可能性があり、血漿中n-3値の変化が多価不飽和脂肪酸(PUFA)代謝の変化および症状改善を示唆しうるという。著者らは、「所見は、前臨床データや事後分析データと整合しており、n-3を増量またはn-6を減量した食事性PUFAの介入試験の検討を示唆するものである」と述べている。Bipolar Disorders誌2015年11月号の掲載報告。 研究グループは、n-3 PUFAおよびn-6 PUFAは、神経伝達物質および炎症のモジュレータ分子であることに着目し、次の仮説を立て検証試験を行った。すなわち「双極性障害(BD)患者は健常対照(HC)と比較して、血漿n-3 PUFA値が低く、同n-6 PUFA値が高い」、「n-3 PUFA値等がBD患者の重症度と相関している」、「n-3 PUFA値の増大およびn-6 PUFA値の低下により治療効果が認められる」との仮説である。さらに、臨床的相関性と飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸の血漿値の群間差について調べた。 BD群27例、HC群31例を対象に観察的並行群間比較試験にて、症状増悪時と回復後(フォローアップ)に、5つの血漿中PUFA値(リノール酸[LA]、アラキドン酸[AA]、α-リノレン酸[ALA]、ドコサヘキサエン酸[DHA]、EPA)、2つの飽和脂肪酸値(パルミチン酸、ステアリン酸)、2つの不飽和脂肪酸値(パルミトオレイン酸、オレイン酸)を測定(エステル[E]および非エステル[UE]形状による)し、評価を行った。また、5つのPUFA値のUE対E比を算出し、またn-3PUFA比(DHA対ALA、EPA対ALA、EPA対DHA)、n-6対n-3比、AA対EPA比を算出して評価した。BD群とHC群の血漿中脂肪酸値および対比の比較はt検定を、BD群のベースラインとフォローアップ時の比較はペアt-検定を、分類変数の比較はカイ二乗検定を用いて行った。また、ピアソン相関係数rを用いて、抑うつ、躁症状、パニック発作、精神病の臨床値に関する二変量比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・UE EPA値は、BD患者でHCと比べて有意に低かった。そのエフェクトサイズは大きかったが(Cohen's d=0.86、p<0.002)、多重比較検定後には統計的有意差はみられなかった。・あらゆる血漿中PUFA値について、40の比較についてBonferroni補正後、BD患者群とHC群で統計的有意差はみられなかった。・抑うつ重症度および躁病重症度と相関性がみられたPUFA値はなかった。・探索的比較において、HC群よりもBD群で、UE対E EPA比が有意に低かった(p<0.0001)。・BD群のフォローアップ時に、UE、E DHA対ALA、UE EPA対ALAの有意な低下がみられた(p<0.002)。・臨床変数の相関に関する探索的検討において、躁病重症度と自殺傾向が、UE対E EPA比と正の関連があることが認められた。そのほかにも、いくつかの血漿濃度や対比が、パニック障害および精神病と関連していることが示された。・抑うつ重症度と関連している対比はなかった。・血漿中脂肪酸値や濃度は、自己報告のn-3PUFAを含有する食事や薬物服用との関連はみられなかった。関連医療ニュース ラピッドサイクラー双極性障害、抗うつ薬は中止すべきか EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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ご存じですか? 10月20日は「世界骨粗鬆症デー」

 10月20日は世界骨粗鬆症デーである。それに合わせて、2015年10月16日にプレスセミナー(主催:日本イーライリリー株式会社)が開催され、日本イーライリリー株式会社 メディカルアドバイザーの榎本宏之氏と、河北総合病院 整形外科臨床部長の田中瑞栄氏が講演を行った。 わが国における骨粗鬆症の推計患者数は1,280万人であるが、治療を受けている患者数は約200万人に過ぎず、1,000万人以上の患者が未受診の状態にある。また、罹患率は女性で高く、とくに50歳代から増加傾向にある。しかし、日本の50歳以上女性の骨粗鬆症に対する意識を調査したところ、将来の骨粗鬆症リスクを認識していたのは全体の約15%と実際の罹患率よりも低く、患者教育の必要性を示唆する結果が得られている。 骨折の中で最も起きやすい骨折は椎体骨折であり、「身長の縮み」「背中の曲がり」「腰・背中の痛み」などは骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折の代表的な症状であるが、自覚症状がない場合も多い。しかし、椎体骨折は「骨折の連鎖」のきっかけとなることが知られており、最も重篤な骨折である大腿骨骨折が起こると寝たきりになり、最悪の場合死に至ることもある。要支援・要介護の原因の約25%が運動器の障害であることからも、早期に適切な診断・治療を受けることが重要であるといえる。 また、骨粗鬆症の予防を考えた際に重要な栄養素として挙げられるのが「カルシウム」「ビタミンD」「ビタミンK」である。「カルシウム」は骨の構成に必要であり、「ビタミンD」はカルシウムの吸収を促進、「ビタミンK」は骨にカルシウムが吸着するのを助ける働きを有する。とくにビタミンDはカルシウム代謝だけでなく、骨・筋肉、がん・免疫系、自己免疫疾患などその役割は多岐にわたるが、日本人は元々血中ビタミンDが少なく、それに加えて、近年美白意識が向上したことにより、日照時間が減り、さらにビタミンDが不足するという弊害が出ている。骨粗鬆症の適切な診断・治療と合わせて、予防も意識することを心がけたい。

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大腸腺腫の再発予防にビタミンD、カルシウムは有効か/NEJM

 大腸腺腫の切除術後の再発予防に、ビタミンD3およびカルシウムの摂取は有効ではないことが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJohn A Baron氏らの検討で示された。疫学データや前臨床データでは、ビタミンDの摂取量や血中濃度が高いほど、またカルシウムの摂取量が多いほど大腸新生物のリスクが低いことが示唆されている。また、これらを併用すると、相乗的な化学予防効果が得られる可能性が指摘されていた。NEJM誌2015年10月15日号掲載の報告より。腺腫切除例を4群に分け、3~5年の再発リスクを評価 研究グループは、ビタミンDおよびカルシウムの栄養補助食品の摂取による大腸腺腫の再発予防効果を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した(米国国立がん研究所[NCI]の助成による)。 対象は、年齢45~75歳、登録前の120日以内に1つ以上の大腸腺腫の切除術を受け、全大腸内視鏡検査で残存ポリープを認めず、内視鏡治療医が推奨する3年または5年の大腸内視鏡によるフォローアップ検査に同意した患者であった。被験者は、部分的2×2ファクトリアルデザインを用いて以下の4つの群に無作為に割り付けられた。 (1)ビタミンD3錠剤(1,000IU/日)のみを服用する群、(2)カルシウム錠剤(炭酸塩、1,200mg/日)のみを服用する群、(3)2種の錠剤を併用する群、(4)いずれも服用しない群(プラセボ群)。女性患者は、カルシウム単剤またはビタミンD3+カルシウム併用の2群への無作為割り付けを選択することができた。 2004年7月~08年7月までに、米国の11施設に2,259例(4群割り付け:1,675例、2群割り付け[女性]:584例)が登録された。ベースラインの各群の平均年齢は56.7~58.7歳、4群割り付けの女性は14.5~15.9%で、ほとんどが非ヒスパニック系の人種であり、肥満者(BMI≧30)が35%以上含まれた。腺腫数が3個以上の患者が11%、1つ以上の進行腺腫を有する患者は18%であった。単剤、併用ともに効果なし、予想に反する結果 ビタミンDを服用した群の患者は、プラセボ群に比べ血清25-ヒドロキシビタミンD値が平均7.83±13.4ng/mL増加した。また、腺腫の評価が行われた2,059例のうち880例(43%)で腺腫の再発が認められた。 腺腫の再発に関するビタミンD群の非ビタミンD群に対する補正リスク比(aRR)は0.99(95%信頼区間[CI]:0.89~1.09)、カルシウム群の非カルシウム群に対するaRRは0.95(0.85~1.06)であり、併用群のカルシウム群に対するaRRは1.01(0.88~1.15)、併用群のプラセボ群に対するaRRは0.93(0.80~1.08)と、いずれも有意な差を認めなかった。 進行腺腫のaRRは、それぞれ0.99(95%CI:0.75~1.29)、1.02(0.76~1.38)、0.89(0.63~1.26)、0.99(0.63~1.56)であり、腺腫の結果と同様であった。 尿路結石のリスクは、カルシウム群が非カルシウム群よりもわずかに高く(2.4 vs.1.8%、p=0.40)、ビタミンD群は非ビタミンD群よりも低い傾向がみられた(1.7 vs.2.5%、p=0.18)が、いずれも有意差はなかった。 ベースラインの血清クレアチニンが正常で、フォローアップ期間中に異常高値を示した患者の割合は、カルシウム群が非カルシウム群に比べ高い傾向にあり、統計学的な差は境界値であった(7.0 vs.4.9%、p=0.06)。 また、カルシウム群は非カルシウム群に比し、心筋梗塞の発症率が有意に低かった(0.2 vs.1.1%、p=0.03)。一方、脳卒中、一過性脳虚血発作、すべてのがん、大腸がん、骨折の発症率については、ビタミンD群と非ビタミンD群、カルシウム群と非カルシウム群の間に差はみられなかった。 ベースラインの血清25-ヒドロキシビタミンD値や食事由来のカルシウム摂取量は、腺腫の再発リスクに関して、上述のビタミンDおよびカルシウムの摂取の知見とほぼ同様の傾向を認め、進行腺腫のリスクとも関連しなかった。 著者は、「これらの結果は予想に反するもの」とし、「ビタミンDについては、ある程度の化学予防効果を否定するものではないが、これまで指摘されていた顕著な効果は支持されない」としている。

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食事性Caを増やしても骨折予防せず/BMJ

 食事性のカルシウム摂取増量が骨折を予防するとの臨床試験エビデンスはなく、食事性カルシウム摂取と骨折リスクは関連が認められないとの見解を、ニュージーランド・オークランド大学のMark J Bolland氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。また、カルシウムサプリメントの骨折予防もエビデンスは弱く、一貫性がみられないと報告している。高齢男女には骨折予防として、1日少なくとも1,000~1,200mgのカルシウム摂取が推奨されている。多くの人がこの推奨達成のためにカルシウムサプリメントを服用しているが、最近の試験で、カルシウムサプリメント摂取の安全性に関する懸念が持ち上がった。そこで専門家はサプリメントではなく食事性のカルシウム摂取増量を奨励するようになったが、食事性カルシウム摂取増量の骨折予防効果については明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年9月29日号掲載の報告。食事性またはサプリメントによるカルシウム摂取の骨折への影響についてレビュー 研究グループは、骨折予防を目的とした食事性またはサプリメントによるカルシウム摂取の増量推奨のエビデンスを調べるため、システマティックレビューによる検討を行った。 Ovid Medline、Embase、PubMedおよび関連するシステマティックレビューの引用をデータソースとし、2013年7月に最初の検索を行い、2014年9月にアップデートを行った。 被験者が50歳以上、食事性カルシウム、牛乳または乳製品摂取、もしくはカルシウムサプリメント(ビタミンD含有を問わない)と骨折をアウトカムとして検討していた無作為化対照試験またはコホート研究を適格とした。食事性カルシウムの摂取、大半の試験で骨折との関連なしと報告 結果、適格条件を満たした食事性カルシウムの無作為化対照試験は2件(262例)のみであった。コホート試験は44件、食事性カルシウム(37件)、牛乳(14件)、乳製品(8件)と骨折アウトカムに関して50本の報告があった。 食事性カルシウムについて、ほとんどの試験が、骨折との関連は認められないと報告していた(全骨折については14/22件が報告、股関節骨折に関しては17/21件、脊椎骨折7/8件、前腕骨折5/7件)。また、牛乳(25/28件)、乳製品(11/13件)に関しても、大半の試験が骨折との関連性はないと報告していた。 カルシウムサプリメント摂取と骨折リスクを検討していた無作為化対照試験は26件あった。その中で、カルシウムサプリメントは、全骨折(試験数20件・5万8,573例、相対リスク:0.89、95%信頼区間:0.81~0.96)、脊椎骨折(12件・4万8,967例、0.86、0.74~1.00)のリスクを低減するが、股関節骨折(13件・5万6,648例、0.95、0.76~1.18)、前腕骨折(8件・5万1,775例、0.96、0.85~1.09)のリスクは低減しないことが示唆されていた。また、Funnel plot法およびEgger’s回帰法で、発表データにはカルシウムサプリメントへのバイアスが認められたが、バイアスリスクの低い無作為化試験(4件・4万4,505例)の分析でも、骨折リスクへの影響は示されなかった。 同様の結果は、カルシウム単独療法とカルシウム+ビタミンD併用療法の比較試験でもみられた。なお、施設介護を受け食事性カルシウム摂取が低量の虚弱な高齢女性を対象とした試験1件においてのみ、骨折リスクの有意な低下が示された。

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多発性硬化症〔MS : Multiple sclerosis〕、視神経脊髄炎〔NMO : Neuromyelitis optica〕

1 疾患概要■ 概念・定義中枢神経系(脳・脊髄・視神経)に多巣性の限局性脱髄病巣が時間的・空間的に多発する疾患。脱髄病巣はグリオーシスにより固くなるため、硬化症と呼ばれる。白質にも皮質にも脱髄が生じるほか、進行とともに神経細胞も減少する。個々の症例での経過、画像所見、治療反応性などの臨床的特徴や、病理組織学的にも多様性があり、単一疾患とは考えにくい状況である。実際に2005年の抗AQP4抗体の発見以来、Neuromyelitis optica(NMO)がMultiple sclerosis(MS)から分離される方向にある。■ 疫学MSに関しては地域差があり、高緯度地域ほど有病率が高い。北欧では人口10万人に50~100人程度の有病率であるが、日本では人口10万人あたり7~9人程度と推定され、次第に増加している。平均発病年齢は30歳前後である。MSは女性に多く、男女比は1:2~3程度である。NMOは、日本ではおおむねMSの1/4程度の有病率で、圧倒的に女性に多く(1:10程度)、平均発病年齢はMSより約5歳高い。人種差や地域差に関しては、大きな違いはないと考えられている。■ 病因MS、NMOともに、病巣にはリンパ球やマクロファージの浸潤があり、副腎皮質ステロイドにより炎症の早期鎮静化が可能なことなどから、自己免疫機序を介した炎症により脱髄が起こると考えられる。しかし、MSでは副腎皮質ステロイドにより再発が抑制できず、一般的には自己免疫疾患を悪化させるインターフェロンベータ(IFN-ß)がMSの再発抑制に有効である。また、いくつかの自己免疫疾患に著効する抗TNFα療法がMSには悪化因子であり、自己免疫機序としてもかなり特殊な病態である。一方、NMOでは、多くの例で抗AQP4抗体が存在し、IFN-ßに抵抗性で、時には悪化することもある。また、副腎皮質ステロイドにより再発が抑制できるなど、他の多くの自己免疫性疾患と類似の病態と思われる。MSは白人に最も多く、アジア人種では比較的少ない。アフリカの原住民ではさらにまれである。さらに一卵性双生児での研究からも、遺伝子の関与は明らかである。これまでにHLA-DRB1*1501が最も強い感受性因子であり、ゲノムワイド関連解析(GWAS)ではIL-7R、 IL-2RAをはじめ、100以上の疾患感受性遺伝子が報告されている。また、NMOはMSとは異なったHLAが強い疾患感受性遺伝子 (日本人ではHLA-DPB1*0501) となっている。一方、日本人やアフリカ原住民でも、有病率の高い地域に移住した場合、その発病頻度が高くなることが知られており、環境因子の関与も大きいと推定される。その他、ビタミンD不足、喫煙、EBV感染が危険因子とされている。■ 症状中枢神経系に起因するあらゆる症状が生じる。多いものとしては視力障害、複視、感覚障害、排尿障害、運動失調などがある。進行すれば健忘、記銘力障害、理解力低下などの皮質下認知症も生じる。また多幸症、抑うつ状態も生じるほか、一般的に疲労感も強い。MSに特徴的な症状・症候としては両側MLF症候群があり、これがみられたときには強くMSを疑う。その他、Lhermitte徴候(頸髄の脱髄病変による。頸部前屈時に電撃痛が背部から下肢にかけて走る)、painful tonic seizure(有痛性強直性痙攣)、Uhthoff現象(入浴や発熱で軸索伝導の障害が強まり、症状が一過性に悪化する)、視神経乳頭耳側蒼白(視神経萎縮の他覚所見)がある。再発時には症状は数日で完成し、その際に発熱などの全身症状はない。また、無治療でも寛解することが大きな特徴である。慢性進行型になると症状は緩徐進行となる。NMOでは、高度の視力障害と脊髄障害が特徴的であるが、時に大脳障害も生じる。また、脊髄障害の後遺症として、明瞭なレベルを示す感覚障害と、その部位の帯状の締め付け感や疼痛がしばしばみられる。1)発症、進行様式による分類(1)再発寛解型MS(relapsing- remitting MS: RRMS):再発と寛解を繰り返す(2)二次性進行型MS(secondary progressive MS: SPMS):最初は再発があったが、次第に再発がなくても障害が進行する経過を取るようになったもの(3)一次性進行型MS(primary progressive MS: PPMS):最初から進行性の経過をたどるもの。MRIがなければ脊髄小脳変性症や痙性対麻痺との鑑別が難しい。2)症状による分類(1)視神経脊髄型MS(OSMS):臨床的に視神経と脊髄の障害による症状のみを呈し、大脳、小脳の症状のないもの。ただし眼振などの軽微な脳幹症状はあってもよい。MRI所見はこの分類には用いられていないことに注意。この病型には大部分のNMOと、視神経病変と脊髄病変しか臨床症状を呈していないMSの両方が含まれることになる。(2)通常型MS(CMS):大脳や小脳を含む中枢神経系のさまざまな部位の障害に基づく症候を呈するものをいう。3)その他、未分類のMS(1)tumefactive MS脱髄巣が大きく、周辺に強い浮腫性変化を伴うことが特徴。しばしば脳腫瘍との鑑別が困難であり、進行が速い場合には生検が必要となることも少なくない。(2)バロー病(同心円硬化症)大脳白質に脱髄層と髄鞘保存層とが交互に層状になって同心円状の病変を形成する。以前はフィリピンに多くみられていた。4)前MS状態と考えられるもの(1)clinically isolated syndrome(CIS)中枢神経の1ヵ所以上の炎症性脱髄性病変によって生じた初発の神経症候。CISの時点で1個以上のMS様脳病変があれば、80%以上の症例で再発し、MSに移行するが、まったく脳病変がない場合は20%程度がMSに移行するにとどまる。この時期に疾患修飾薬を開始した場合、臨床的にMSへの進行が確実に遅くなることが、欧米での研究で明らかにされている。(2)radiologically isolated syndrome(RIS)MRIにより偶然発見された。MSに矛盾しない病変はあるが、症状が生じたことがない症例。2010年のMcDonald基準では、時間的、空間的多発性が証明されても、症状がなければMSと診断するには至らないとしている。■ 予後欧米白人では80~90%はRRMSで、10~20%はPPMSとされる。日本ではPPMSが約5%程度である。RRMSの約半数は15~20年の経過でSPMSとなる。平均寿命は一般人と変わらないか、10年程度の短縮で、生命予後はあまり悪くない。機能予後としては、約10年ほどで歩行に障害が生じ、20年ほどで杖歩行、その後車椅子になるとされるが、個人差が非常に大きい。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)MSでは「McDonald 2010年改訂MS診断基準」があり、臨床的な時間的、空間的多発性の証明を基本とし、MRIが補完する基準となっている。NMOでは、「Wingerchuk 2006年改訂NMO診断基準」が用いられる。また、MRIでの基準があり、BarkhofのMRI基準はMSらしい病変の基準、PatyのMRI基準はNMO診断基準で利用されている(図参照)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するNMOと同様の病態と考えられるが、臨床的には、NMO-IgG(抗AQP4抗体)陽性で、視神経炎のみ、あるいは脊髄炎のみの例や、抗AQP4抗体陽性で脳病変や脳幹、小脳のみで再発を繰り返す例などがあり、それらをNMO spectrum disorderと呼ぶこともある。■ 検査MSにおいては一般血液検査では炎症所見はなく、各種自己抗体も合併症がない限り異常はない。したがって、そのような検査は、各種疾患の除外、および自己免疫疾患を含めた再発抑制療法で悪化の可能性のある合併症のチェックと、再発抑制療法での副作用チェックの目的が大きい。髄液も多くは正常で、異常があっても軽微であることが特徴である。オリゴクローナルIgGバンド(OCB)の陽性率は欧米では90%を超えるが、日本人では約70%位である。MS特異的ではないが、IgG index高値は中枢神経系でのIgG産生、すなわち免疫反応が生じていることの指標となる。電気生理学的検査としては視覚誘発電位、体性感覚誘発電位、聴性脳幹反応、運動誘発電位があり、それぞれの検査対象神経伝導路の脱髄の程度に応じて異常を示す。MRIは最も鋭敏に病巣を検出できる方法である。MSの脱髄巣はMRIのT1強調で低または等信号、T2強調画像またはFLAIR画像で高信号域となる。急性期の病巣はガドリニウム(Gd)で増強される。脳室に接し、通常円形または楕円形で、楕円形の病巣の長軸は脳室に対し垂直である病変がMSの特徴であり、ovoid lesionと呼ばれる。このovoid lesionの検出には、矢状断FLAIRが最適であり、MSを疑った場合には必ず撮影するべきである。NMO病態では、CRP上昇や補体高値などの軽度の末梢血の全身性炎症反応を示すことがあるほか、大部分の症例で血清中に抗AQP-4抗体が検出される。抗体は治療により測定感度以下になることも多く、治療前の血清にて測定することが重要である。画像では、脊髄の中心灰白質を侵す3椎体以上の長大な連続性病変が特徴的とされる。また、他の自己免疫疾患の合併が多く、オリゴクローナルIgGバンドは陰性のことが多い。■ 鑑別疾患1)初発時あるいは再発の場合感染性疾患:ライム病、梅毒、硬膜外膿瘍、進行性多巣性白質脳症、単純ヘルペスウイルス性脊髄炎、HTLV-1関連脊髄炎炎症性疾患:神経サルコイドーシス、シェーグレン症候群、ベーチェット病、スイート病、全身性エリテマトーデス(SLE)、結節性動脈周囲炎、急性散在性脳脊髄炎、アトピー性脊髄炎血管障害:脳梗塞、脊髄硬膜外血腫、脊髄硬膜動静脈瘻(AVF)代謝性:ミトコンドリア病(MELAS)、ウェルニッケ脳症、リー脳症脊椎疾患:変形性頸椎症、椎間板ヘルニア眼科疾患:中心動脈閉塞症などの血管障害2)慢性進行型の場合変性疾患:脊髄小脳変性症、 痙性対麻痺感染性疾患:HTLV-I関連脊髄症/熱帯性痙性麻痺(HAM/TSP)代謝性疾患:副腎白質ジストロフィーなど脳外科疾患:脊髄空洞症、頭蓋底陥入症3 治療 (治験中・研究中のものも含む)急性増悪期、寛解期、進行期、それぞれに応じて治療法を選択する。■ 急性増悪期の治療迅速な炎症の鎮静化を行う。具体的には、MS、NMO両疾患とも、初発あるいは再発時の急性期には、できるだけ早くステロイド療法を行う。一般的にはメチルプレドニゾロン(商品名:ソル・メドロール/静注用)500mg~1,000mgを2~3時間かけ、点滴静注を3~5日間連続して行う。パルス療法後の経口ステロイドによる後療法を行う場合は、投与が長期にわたらないようにする。1回のパルス療法で症状の改善が乏しいときは、数日おいてパルス療法をさらに1~2クール追加したり、血液浄化療法を行うことを考慮する。■ 寛解期の治療再発の抑制を行う。再発の誘因としては、感染症、過労、ストレス、出産後などに比較的多くみられるため、できるだけ誘引を避けるように努める。ワクチン接種は再発の誘引とはならず、感染症の危険を減らすことができるため、とくに禁忌でない限り推奨される。その他、薬物療法による再発抑制が普及している。1)再発抑制法日本で使用できるものとしては、MSに関してはIFN-ß1a (同:アボネックス)、IFNß-1b (同:ベタフェロン)、フィンゴリモド(同:イムセラ、ジレニア)、ナタリズマブ(同:タイサブリ)がある。肝障害、自己免疫疾患の悪化、間質性肺炎、血球減少などに注意して使用する。また、NMOに使用した場合、悪化させる危険があり、慎重な病態の把握が重要である。(1)IFN-ß1a (アボネックス®) :1週間毎に筋注(2)IFN-ß1b (ベタフェロン®) :2日毎に皮下注どちらも再発率を約30%減少させ、MRIでの活動性病変を約60%抑制できる。(3)フィンゴリモド (イムセラ®、ジレニア®) :連日内服初期に徐脈性不整脈、突然死の危険があり、その他、感染症、黄斑浮腫、リンパ球の過度の減少などに注意して使用する。(4)ナタリズマブ(タイサブリ®) :4週毎に点滴静注約1,000例に1例で進行性多巣性白質脳症が生じるが、約7割の再発が抑制でき、有効性は高い。NMO病態ではIFN-ßやフィンゴリモドの効果については疑問があり、重篤な再発の誘引となる可能性も報告されている。したがって、ステロイド薬内服や免疫抑制薬(アザチオプリン 50~150mg/日 など)、もしくはその併用が勧められることが多い。この場合、できるだけ少量で維持したいが、抗AQP4抗体高値が必ずしも再発と結びつくわけでなく、治療効果と維持量決定の指標の開発が課題である。最近では、関節リウマチやキャッスルマン病に認可されているトシリズマブ(ヒト化抗IL-6受容体抗体/同:アクテムラ)が強い再発抑制効果を持つことが示され、期待されている。(5)その他の薬剤として以下のものがある。ミトキサントロン:用量依存性の不可逆的な心筋障害が必発であるため、投与可能期間が限定されるグラチラマー(同:コパキソン) :毎日皮下注射(欧米で認可され、わが国でも9月に製造販売承認取得)ONO-4641:フィンゴリモドに類似の薬剤(わが国で治験が進行中)ジメチルフマレート(BG12)(治験準備中)クラドリビン(治験準備中)アレムツズマブ(抗CD52抗体/同:マブキャンパス) (欧米で治験が進行中)リツキシマブ(抗CD20抗体/同:リツキサン) (欧米で治験が進行中)デシリズマブ(抗CD25抗体)(欧米で治験が進行中)テリフルノミド(同:オーバジオ)(欧米で治験が進行中)2)進行抑制一次進行型、二次進行型ともに、慢性進行性の経過を有意に抑制できる方法はない。骨髄移植でも再発は抑制できるが、進行は抑制できない。■ 慢性期の残存障害に対する対症療法疼痛はカルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリンその他抗うつ薬や抗てんかん薬が試されるが、しばしば難治性になる。そのような場合、ペインクリニックでの各種疼痛コントロール法の適用も考慮されるべきである。その他、痙性、不随意運動、排尿障害、疲労感、それぞれに対する薬物療法が挙げられる。4 今後の展望再発抑制に関しては、各種の疾患修飾療法の開発により、かなりの程度可能になっている。しかし、20~30%の患者では再発抑制効果が乏しいこともあり、さらに効果的な薬剤が求められる。慢性に進行するPPMS、SPMSでは、その病態に不明な点が多く、進行抑制方法がまったくないことが課題である。診断と分類に関して、抗AQP4抗体の発見以来、治療反応性や画像的特徴から、NMOがMSから分離される方向にあるが、今後も病態に特徴的なバイオマーカーによるMSの細分類が重要課題である。5 主たる診療科神経内科:診断確定、鑑別診断、急性期管理、寛解期の再発抑制療法、肢体不自由になった場合の障害者認定眼科:視力・視野などの病状評価、鑑別診断、治療の副作用のショック、視覚障害になった場合の障害者認定ペインクリニック:疼痛の対症療法泌尿器科:排尿障害の対症療法整形外科:肢体不自由になった場合の補助具などリハビリテーション科:リハビリテーション全般※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)公的助成情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)診療、研究に関する情報多発性硬化症治療ガイドライン2010(日本神経学会による医療従事者向けの治療ガイドライン)多発性硬化症治療ガイドライン2010追補版(上記の治療ガイドラインの追補版)患者会情報多発性硬化症友の会(MS患者ならびに患者家族の会)1)Polman CH, et al.Ann Neurol.2011;69:292-302.2)Wingerchuk DM, et al. Neurology.2006;66:1485-1489.3)日本神経学会/日本神経免疫学会/日本神経治療学会監修.「多発性硬化症治療ガイドライン」作成委員会編.多発性硬化症治療ガイドライン2010. 医学書院; 2010.公開履歴初回2013年03月07日更新2015年10月06日

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新生児ビタミンA補給によるアトピーのリスクは女児のみ?

 現在、新生児へのビタミンA補給は、欠乏症のリスクのある国では政策となりつつあるが、先行研究においてアトピーの増加と関連がある可能性が示唆されている。そこで、デンマーク・Statens Serum InstitutのSofie Aage氏らは、ギニアビサウで実施した無作為化比較試験後の長期追跡調査を行った。その結果、女児においてのみ新生児ビタミンA補給がアトピーならびに喘鳴のリスク増加と関連が認められたことを報告した。著者は、「新生児ビタミンA補給とアトピーに関するさらなる研究が必要」と提言している。Allergy誌2015年8月号(オンライン版2015年5月18日号)の掲載報告。 研究グループは、2002~2004年にギニアビサウの正常出生体重児4,345例を、BCG接種+ビタミンA補給(レチニルパルミテート50,000IU)群またはBCG接種+プラセボ補給群に無作為化し、2013年に長期追跡調査を行った。 長期追跡調査の対象は、試験を行った地域にまだ居住していた8~10歳の小児1,692例のうち自宅にいた1,478例(87%)であった。同意を得た後、皮膚プリックテストを行うとともに、アレルギー症状の既往歴について記録した。 皮膚プリックテスト陽性(3mm以上)をアトピーと定義し、ビタミンA補給との関連について解析した。 主な結果は以下のとおり。・皮膚プリックテストで評価し得た小児1,430例のうち、228例(16%)でアトピーが認められた。女児(12%)より男児(20%)が有意に多かった(p<0.0001)。・ビタミンA補給は、アトピーのリスクを増加させなかった(相対リスク[RR]:1.10、95%信頼区間[CI]:0.87~1.40)。・しかし性別にみると、男児ではビタミンA補給とアトピーリスク増加との関連はなかったが(RR 0.86、95%CI:0.64~1.15)、女児では有意な関連が認められた(同:1.78、1.17~2.72)(ビタミンA補給と性別の相互作用のp=0.005)。・同様に、男児ではビタミンA補給と喘鳴リスク増加との関連はみられなかったが、女児では関連が認められた(RR:1.80、95%CI:1.03~3.17)(相互作用のp=0.05)。

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レビー小体型認知症、認知機能と脳萎縮の関連:大阪市立大学

 レビー小体型認知症(DLB)患者における側頭葉内側萎縮(MTA)と認知機能障害との関係はいまだ明らかにされていない。大阪市立大学の田川 亮氏らは、これらの関係について、MRIを用いて検討した。その結果、MTAは記憶や言語に関する認知機能障害と関連している可能性を報告した。Geriatr Psychiatry Neurology誌オンライン版2015年6月11日号の掲載報告。 対象は、DLBと診断された37例で、1.5 Tesla MRIスキャナーにより検査した。すべてのMRIデータは、MRIスキャンで得られる画像上でMTAの程度を定量化できるvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer disease(VSRAD)の新型ソフトウエアを用いて分析した。関心体積(VOI)の標的は嗅内皮質、海馬、扁桃体の全領域とした。MTAの程度は標的VOI上の平均positive Zスコア(数値が高いほどMTAが重度)により評価した。認知機能障害の有無について、Mini-Mental State Examination(MMSE)および改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R:MMSEと比べ記憶と言語の評価に有効である)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・ZスコアとMMSE総スコアあるいはHDS-R総スコアの間に負の相関が認められた。・ステップワイズ法による重回帰分析により性別、年齢、発症年齢、DLB罹患期間、就学年数およびドネペジル治療などの共変数を調整して検討した結果、HDS-R総スコアはZスコアと独立した関係にあること、その一方、MMSE総スコアはそうではないことが示された。 以上のことから、MTAがDLB患者の認知機能障害、とくに見当識、即時再生、遅延再生、言語流暢性と関連があることが示唆された。関連医療ニュース レビー小体病変を伴うアルツハイマー病、その特徴は 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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幼若脳への放射線照射、どのような影響を及ぼすか

 放射線療法は小児脳腫瘍に対する一般的な治療であるが、しばしば認知機能低下を含む遅発性の後遺症を引き起こす。その機序としては、海馬でのニューロン新生の抑制が部分的に関与していると考えられている。しかし、若年者の成長過程にある脳への放射線照射が歯状回のニューロンネットワークにどのような変化をもたらすかはまだよくわかっていない。スウェーデン・ヨーテボリ大学のGinlia Zanni氏らは、マウスを用いた研究を行い、成熟脳への照射では長期増強(LTP)の減少のみが引き起こされるが幼若脳ではさらに長期抑圧(LTD)も生じ、成熟脳と幼若脳とで長期シナプス可塑性に対する全脳照射の影響が異なることを明らかにした。結果を踏まえて著者らは、「シナプス変性のメカニズムを解明する必要はあるが、今回の知見は発達過程の脳への放射線照射の影響、ならびに頭部放射線療法を受けた若年者にみられる認知機能障害の理解につながる」とまとめている。Developmental Neuroscience誌オンライン版2015年6月2日号の掲載報告。 研究グループは、生後11日目の雄のWistar系ラットに全脳照射(6Gyの単回照射)を行い、歯状回の電気生理学的な特性を解析した。 主な結果は以下のとおり。・細胞外野の興奮性シナプス後電位(fEPSP)と線維斉射(fiber volley)の比から内側貫通線維路(MPP)における興奮性伝達を評価すると、偽照射群と比較し照射群でシナプス効力が増加した。・MPP-顆粒細胞間シナプスのPaired-pulse ratio(PPR)は、照射により変化しなかったことから、神経伝達物質の放出確率は変化しないことが示唆された。・高周波刺激(4train)を加え歯状回での長期シナプス可塑性を誘導すると、偽照射群に比べ照射群ではLTPからLTDへの変化が認められた。・ダブルコルチンの免疫染色により形態学的変化を調べると、照射後はニューロン新生が完全に消失していたが、パルブアルブミン介在ニューロンの抑制性ネットワークは損傷されていなかった。・これらのデータは、幼若脳への照射がシナプス可塑性の永続的な変化を引き起こしたことを示唆しており、陳述学習の機能障害と一致する。・著者らによるマウスでの先行研究とは異なり、リチウムを投与しても研究パラメータは改善しなかった。関連医療ニュース マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに 抗精神病薬は脳にどのような影響を与えるのか EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか  担当者へのご意見箱はこちら

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難治性しゃっくり、抗精神病薬で治るのはなぜか

 しゃっくりは横隔膜のリズミカルな不随意運動であり、延髄や脊柱上の吃逆中枢の神経核機能阻害などさまざまな条件により引き起こされる。しゃっくりの病態に関与する神経伝達物質や受容体は十分に定義されていないが、ドパミンは重要な役割を果たすと考えられている。難治性のしゃっくりの治療には、クロルプロマジンや他の抗精神病薬が使用されることがあるが、その有効性は限られている。島根県・清和会西川病院の西川 正氏らは、難治性しゃっくり患者のエピソードを紹介した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年3月5日号の報告。 本ケースレポートは、数週間または数ヵ月持続するストレス誘発性の難治性しゃっくりの2つのエピソードを経験した18歳の患者について報告するものである。 主な結果は以下のとおり。・どちらのエピソードでも、ハロペリドールを最初に使用したが、有意な効果は認められなかった。・対照的に、ドパミンとセロトニンに拮抗作用を有する第2世代抗精神病薬であるリスペリドンを使用すると、しゃっくりは6時間後に完全に止まった。・本ケースレポートは、1人の患者に対し2種類の抗精神病薬を使用し、薬物治療効果が明らかに異なった、数少ない症例報告の1つである。 結果を踏まえ、著者らは「しゃっくり症例の病態生理にはドパミン作動系に加え、セロトニン作動系が関与している可能性があり、リスペリドンのようなセロトニン作動性抗精神病薬を難治性しゃっくりの薬物治療選択肢として考慮すべきである」とまとめている。関連医療ニュース 強迫的行動の抑制にセロトニン5-HT2Aが重要 パーキンソン病患者でみられる衝動性にセロトニンが関与か EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか  担当者へのご意見箱はこちら

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