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食道がんのニボルマブ術後補助療法、追加解析の成績(CheckMate 577)/ASCO2021

 CheckMate577試験は、食道がん/食道胃接合部がんに対する術後補助療法としての免疫チェックポイント阻害薬を評価した世界初の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、ニボルマブはプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を統計学的に有意に延長することが報告されている(N Engl J Med. 2021; 384: 1191-1203.)。米国・ベイラー医科大学医療センターのRonan Joseph Kelly氏は、既報の結果も含め有効性、安全性およびQOLに関する追加解析の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ群で無遠隔転移生存期間(DMFS)、無増悪生存期間2(PFS2;無作為化から2次治療の増悪、3次治療の開始または死亡までの期間)を延長したことを報告した。・対象:術前補助化学放射線療法および完全切除後に病理学的残存病変を認めたStageII~III食道/食道胃接合部がん患者、PS 0~1、794例・試験群:ニボルマブ240mgを2週間ごと16週間、その後480mgを4週間ごと投与(ニボルマブ群、532例)・対照群:プラセボ(プラセボ群、262例)・評価項目:[主要評価項目]DFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、1年OS率、2年OS率、3年OS率[探索的評価項目]安全性、DMFS、PFS2、QOL 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値24.4ヵ月であった。・DMFS中央値は、ニボルマブ群28.3ヵ月、プラセボ群17.6ヵ月であった(HR:0.74、95%CI:0.60~0.92)。・遠隔再発はニボルマブ群29% vs.プラセボ群39%、局所再発は12% vs.17%で、いずれもニボルマブ群で低頻度であった。・PFS2中央値は、ニボルマブ群未到達(95%CI:34.0~NE)、プラセボ群32.1ヵ月(95%CI:24.2~NE)であった(HR:0.77、95%CI:0.60~0.99)。・ニボルマブの忍容性は良好で、ほとんどの治療関連有害事象(TRAE)はGrade1/2であった。重篤なTRAEの発現率は、全Gradeでニボルマブ群8%、プラセボ群3%、TRAEによる治療中止は同様に全Gradeでそれぞれ9%、3%であった。・ニボルマブ群における主な免疫関連TRAEは、ほとんどがGrade1/2でありGrade3/4は1%以下で、Grade5はなかった。免疫関連TRAEは早期に発現し(発現までの期間中央値6〜13週)、ほとんどの患者は確立された管理アルゴリズムにより回復した(回復までの期間中央値3~21週間)。 Kelly氏は、「術前補助化学放射線療法と完全切除を受けても病理学的完全奏効が得られなかった食道/食道胃接合部がん患者に対し、ニボルマブによる術後補助療法は新たな標準治療となり得る」とまとめた。

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進行胃・食道がん1次治療、ニボルマブ+化学療法でOS延長/Lancet

 未治療の進行胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの1次治療について、ニボルマブ+化学療法の併用療法は化学療法単独に対して、全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、許容可能な安全性プロファイルが示された。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのYelena Y. Janjigian氏らが、第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験「CheckMate 649試験」の結果を報告した。進行または転移のあるHER2陰性の胃がんまたは胃食道接合部腺がんにおける、1次化学療法のOS期間中央値は1年未満である。CheckMate 649試験は、胃がん・胃食道接合部がん/食道腺がんの1次治療としての、抗PD-1阻害薬ベースの化学療法の評価を目的に行われた。本論はニボルマブ+化学療法vs.化学療法単独の有効性および安全性に関して初となる報告で、結果を踏まえて著者は、「ニボルマブ+化学療法は、これらの患者における1次治療の新たな標準治療である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2021年6月4日号掲載の報告。主要評価項目はPD-L1 CPS≧5の患者のOS、PFS CheckMate 649試験は29ヵ国175病院・がんセンターから、18歳以上の未治療で切除不能でありHER2陰性の胃がん・胃食道接合部がんまたは食道腺がんの患者を登録して行われた。PD-L1の発現は問わなかった。 被験者はウェブシステム(ブロックサイズ6)を介して、非盲検下で無作為に1対1対1の割合で次の3群に割り付けられた。(1)ニボルマブ(360mg[3週ごと]または240mg[2週ごと])+化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[XELOX、3週ごと]またはロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン[FOLFOX、2週ごと])、(2)ニボルマブ+イピリムマブ、(3)化学療法単独。 主要評価項目は、PD-L1 CPS≧5の患者における、ニボルマブ+化学療法の併用療法vs.化学療法単独のOSまたはPFSであった。 安全性の評価は、割り付け治療を少なくとも1回受けた全患者を対象とした。OS、PFSを有意に延長、PD-L1 CPS≧1集団や全無作為化集団でも有益 2017年3月27日~2019年4月24日に、2,687例の患者が適格性の評価を受け、そのうち1,581例が無作為に治療に割り付けられた(ニボルマブ+化学療法群[789例、50%]、化学療法単独群[792例、50%])。OSに関する追跡期間中央値は、ニボルマブ+化学療法群13.1ヵ月(IQR:6.7~19.1)、化学療法単独群11.1ヵ月(5.8~16.1)であった。 最短追跡期間12.1ヵ月時点で、PD-L1 CPS≧5の患者において、ニボルマブ+化学療法群は化学療法単独群と比べて、OS(ハザード比[HR]:0.71、98.4%信頼区間[CI]:0.59~0.86、p<0.0001)およびPFS(HR:0.68、98%CI:0.56~0.81、p<0.0001)を有意に延長した。OS期間中央値は14.4ヵ月(95%CI:13.1~16.2)vs.11.1ヵ月(10.0~12.1)、PFS期間中央値は7.7ヵ月(7.0~9.2)vs.6.0ヵ月(5.6~6.9)であった。 また、PD-L1 CPS≧1の患者集団における解析でも、OSの有意な延長が示され(HR:0.77、99.3%CI:0.64~0.92、p<0.0001)、PFSにもベネフィットがあることが示された(HR:0.74、95%CI:0.65~0.85)。同様に全無作為化集団においても、OSの有意な延長が示され(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)、PFSへのベネフィットも示された(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。 治療を受けた全患者におけるGrade3/4の治療関連有害事象の発現は、ニボルマブ+化学療法群462/782例(59%)、化学療法単独群341/767例(44%)であった。最も頻度の高い全グレードの治療関連有害事象(25%以上)は、両群ともに悪心、下痢、末梢神経障害であった。 ニボルマブ+化学療法群16例(2%)の死亡、化学療法単独群4例(1%)の死亡が治療に関連していると見なされた。なお、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

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進行TN乳がんIMサブタイプの1次治療にfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルが有望(FUTURE-C-PLUS)/ASCO2021

 immunomodulatory(IM)サブタイプの進行トリプル(TN)乳がんの1次治療として、中国で複数のがんに承認されている抗PD-1抗体camrelizumabとnab-パクリタキセルの併用に、VEGFR-2、PDGFR、c-kitを標的とした経口チロシンキナーゼ阻害薬famitinibを追加することにより、有望な抗腫瘍活性および管理可能な毒性プロファイルを示したことが、前向き単群第II相試験のFUTURE-C-PLUS試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのZhi-Ming Shao氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。 camrelizumabおよびnab-パクリタキセルは、転移を有するIMサブタイプのTN乳がんに有望な抗腫瘍活性を示すことが報告されている(第Ib/II相アンブレラ試験のFUTURE試験で、複数の抗がん剤治療歴のある患者における奏効率52.6%)。一方、血管新生阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬への反応を増強することが知られていることから、IMサブタイプのTN乳がんに対するfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルの3剤併用の有効性と安全性を評価した。・対象:治療歴のない切除不能な局所進行もしくは転移を有するIMサブタイプのTN乳がん・介入:camrelizumab(200mgを1、15日目に静注、4週ごと)+nab-パクリタキセル(100mg/m2を1、8、15日目に静注、4週ごと)+famitinib(20mg 1日1回を1~28日目に経口投与、4週ごと)を病勢進行もしくは耐容不能な毒性の発現まで継続(nab-パクリタキセルは最低6サイクル投与)・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・2019年10月~2020年10月に48例が登録された。・奏効率は、ITT集団で81.3%(48例中39例、95%信頼区間[CI]:70.2~92.3)、per protocol集団で84.8%(46例中39例、95%CI:74.4~95.2)だった。・2021年4月30日時点で観察期間中央値は11.5ヵ月、PFS中央値は未到達で、9ヵ月でのPFS率は60.2%(95%CI:43.2~77.3) 、10ヵ月でのPFS率は53.5%(95%CI:37.6~69.3)だった。・奏効までの期間の中央値は 1.8ヵ月(95%CI:1.8~2.0)だった。・重篤な治療関連有害事象(TRAE)は2例(4.2%)、投与中止に至ったTRAEは3例(6.3%)に発現し、治療関連死亡はなかった。・Grade 3/4の有害事象として、好中球減少症(33.3%)、貧血(10.4%)、発熱性好中球減少症(10.4%)、血小板減少症(8.3%)、高血圧症(4.2%)、甲状腺機能低下症(4.2%)、末梢感覚ニューロパチー(2.1%)、ALT/AST上昇(2.1%)、蛋白尿(2.1%)、敗血症(2.1%)、免疫関連心筋炎(2.1%)がみられた。・バイオマーカー分析から、次世代シークエンサーパネルで検出されたBACA1、KAT6A、PKD1の体細胞変異が免疫療法の効果を予測できる可能性が示唆された。 現在、無作為化比較試験のFUTURE-SUPERが進行している。

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高リスク尿路上皮がんの術後補助療法、ニボルマブが有効/NEJM

 根治手術を受けた高リスクの筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法において、ニボルマブはプラセボと比較して、6ヵ月後の無病生存率が統計学的に有意に高く、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)発現率≧1%の患者集団でも無病生存(DFS)率が優れることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDean F. Bajorin氏らが実施した「CheckMate 274試験」で示された。NEJM誌2021年6月3日号掲載の報告。29ヵ国156施設の国際的な無作為化第III相試験 研究グループは、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法におけるニボルマブの有用性を評価する目的で、二重盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(Bristol Myers Squibb、Ono Pharmaceuticalの助成による)。2016年4月~2020年1月の期間に、日本を含む29ヵ国156施設で参加者の無作為化が行われた。 対象は、根治手術を受けた再発リスクの高い尿路上皮がん(膀胱、尿管、腎盂を原発とする)で、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であり、シスプラチンベースの術前補助化学療法の有無は問われなかった。被験者は、術後補助療法としてニボルマブ(240mg、静脈内投与)またはプラセボを2週ごとに投与する群に1対1の割合で割り付けられた。投与期間は最長1年間であった。 主要エンドポイントは、intention-to-treat(ITT)集団およびPD-L1発現率≧1%の集団におけるDFS期間(無作為化の日から、初回再発[尿路・尿路外の局所再発または遠隔再発]までの期間、あるいは死亡)であった。尿路外の無再発生存期間を副次エンドポイントとした。尿路外再発は、骨盤内の軟部組織の再発または大動脈分岐部下の骨盤内リンパ節に関連する再発とした。DFS期間が約2倍に延長、治療関連の肺臓炎死が2例 本試験には709例が登録され、ニボルマブ群に353例(平均年齢65.3歳[範囲30~92]、男性75.1%)、プラセボ群に356例(65.9歳[42~88]、77.2%)が割り付けられた。PD-L1発現率≧1%の患者は、ニボルマブ群が140例(39.7%)、プラセボ群は142例(39.9%)であり、術前補助化学療法を受けていた患者はそれぞれ153例(43.3%)および155例(43.5%)であった。 ITT集団における無病生存期間は、ニボルマブ群が20.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:16.5~27.6)、プラセボ群は10.8ヵ月(8.3~13.9)であった。6ヵ月時の無病生存率は、ニボルマブ群が74.9%と、プラセボ群の60.3%に比べ有意に高率であった(再発または死亡のハザード比[HR]:0.70、98.22%CI:0.55~0.90、p<0.001)。また、PD-L1発現率≧1%の集団の6ヵ月無病生存率は、ニボルマブ群が74.5%であり、プラセボ群の55.7%に比し有意に良好だった(HR:0.55、98.72%CI:0.35~0.85、p<0.001)。 ITT集団における尿路外の無再発生存期間中央値は、ニボルマブ群が22.9ヵ月(95%CI:19.2~33.4)、プラセボ群は13.7ヵ月(8.4~20.3)であった。6ヵ月時の尿路外無再発生存率は、ニボルマブ群が77.0%、プラセボ群は62.7%であった(尿路外の再発または死亡のHR:0.72、0.59~0.89)。また、PD-L1発現率≧1%の集団の6ヵ月時の尿路外の無再発生存率は、ニボルマブ群が75.3%、プラセボ群は56.7%だった(HR:0.55、95%CI:0.39~0.79)。 Grade3以上の治療関連有害事象は、ニボルマブ群が17.9%、プラセボ群は7.2%で発現した。ニボルマブ群で最も頻度の高い有害事象は、そう痒(23.1%)、疲労(17.4%)、下痢(16.8%)であり、Grade3以上ではリパーゼ上昇(5.1%)、アミラーゼ上昇(3.7%)、下痢(0.9%)、大腸炎(0.9%)、肺臓炎(0.9%)の頻度が高かった。治療関連の肺臓炎による死亡が、ニボルマブ群で2例認められた。 著者は、「無再発生存期間のサブグループ解析では、膀胱がん患者は腎盂がんや尿管がん患者よりも、また術前補助化学療法を受けた患者は受けていない患者よりも効果量が大きかったが、試験デザインを考慮すれば、これらは仮説生成的な知見と考えるべきである」としている。

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PSMA標的治療薬ルテチウム-177、去勢抵抗性前立腺がんの予後改善(VISION)/ASCO2021

 複数の治療歴を有し、転移もある去勢抵抗性前立腺がん患者(mCRPC)に対し、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に選択的に結合するリガンドに放射線核種のルテチウム-177を結合させた177Lu-PSMA-617を用いた、大規模国際共同試験(VISION試験)の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMichael J. Morris氏より発表された。 本試験はオープンラベル第III相ランダム化比較試験である。・対象:1レジメン以上の抗アンドロゲン受容体阻害薬、ならびに2レジメン以内のタキサン系薬剤の治療歴を有するmCRPC患者・試験群:177Lu-PSMA-617(7.4GBqを6週ごとに4~6サイクル投与)と標準治療薬(SOC)の併用(LuPSMA群)・対照群:主治医選択のSOC*のみ(SOC群) *化学療法薬、免疫チェックポイント阻害薬、治験薬、ラジウム223は除外・評価項目:[主要評価項目]独立中央判定によるPCWG3基準を用いた画像評価による無増悪生存期間(rPFS)と全生存期間(OS)[副次評価項目]RECIST評価による奏効率、安全性、最初の症候性骨関連事象発現までの期間、病勢コントロール率など 主な結果は以下の通り・2018年6月~2019年10月にPSMA-PET/CTを受けた1,003例のうち、PSMA陽性は869例(86.6%)、陰性は126例(12.6%)だった。・上記対象中831例が無作為に割り付けられた。(LuPSMA群:551例、SOC群:280例)・登録開始から2019年3月までに各群に登録があったが、SOC群で56%の早期脱落例があったため、参加施設を限定したり、試験参加医師への教育強化などを行って試験は継続された。・rPFSは2019年3月~2019年10月までの581例を、OSは2018年6月~2019年10月までの831例を対象に解析された。・両群間に登録症例の偏りは無かったが、白人種が84~88%と主な集団であった。・OS中央値は、LuPSMA群で15.3ヵ月、SOC群11.3ヵ月、ハザード比(HR): 0.62(95%信頼区間[CI]:0.52~0.74)、p<0.001と有意な延長がみられた。・rPFSにおいても、その中央値は、LuPSMA群8.7ヵ月、SOC群3.4ヵ月、HR0.40(99.2%CI:0.29~0.57)、p<0.001と有意な延長が見られた。・奏効率は、LuPSMA群では51%(完全奏効[CR]9.2%、部分奏効[PR]41.8%)で、SOC群では3.1%(CR0%、PR3.1%)であった。PSA奏効については、50%以上の低下が、LuPSMA群で46.0%、SOC群で7.1%、80%以上の低下は33.0%と2.0%であった。・LuPSMA群の忍容性は良好で、新たな有害事象の兆候は見られなかったが、治療関連有害事象(TEAE)は、全GradeでLuPSMA群85.3%、SOC群28.8%に発現した。血小板減少を含むGrade3~5の骨髄抑制がLuPSMA7群で23.4%、SOC群で6.8%、倦怠感はそれぞれ7.0%、2.4%、腎毒性は3.4%、2.9%に発現した。 最後に Morris氏は「今回の試験結果より、177Lu-PSMA-617はmCRPC患者に対する新たなる治療選択肢となり得るだろう」と結んだ。

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ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法のNCSLS1次治療、2年フォローアップ(CheckMate 9LA)/ASCO2021

 非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の無作為化第III相CheckMate9LA試験の2年間のフォローアップデータが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表された。結果、同併用による生存ベネフィットが引き続き観察されている。・対象:未治療のStage IVまたは再発NSCLC患者(PS 0~1)・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+イピリムマブ1mg 6週ごと+組織型別化学療法(シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペメトレキセド維持療法またはカルボプラチン+パクリタキセル)3週ごと2サイクル(NIVO+IPI+Chemo群)・対照群:組織型別化学療法 3週ごと4サイクル(Chemo群)・評価項目:[主要評価項目]全生存期間(OS)[副次評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)、BICR評価の全奏効率(ORR)、PD-L1発現別抗腫瘍効果 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は最低 24.4ヵ月であった。・NIVO+IPI+Chemo群は40%、Chemo群では47%が全身療法の後治療を受けていた。・OS中央値はNIVO+IPI+Chemo群の15.8ヵ月に対して、Chemo群11.0ヵ月と、NIVO+IPI+Chemo群で良好なOSを維持した (ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.61~0.86)、2年OS率はそれぞれ、38%と26%であった。・PFS中央値はNIVO+IPI+Chemo群6.7ヵ月に対し、Chemo群では 5.3ヵ月であった (HR:0.67、95%CI:0.56~0.79)。2年PFS率はそれぞれ、20%と8%であった。・ORRは、NIVO+IPI+Chemo群38.0%、Chemo群では25.4%であった。・奏効期間(DoR)中央値はNIVO+IPI+Chemo群13.0ヵ月、Chemo群5.6ヵ月、2年DoR率はそれぞれ、34%と12%であった。・PD-L1発現別にみると、PD-L<1%のOS HRは0.67、PFS HRは0.68、≧1%のOS HRは0.70、PFS HRは0.67、≧50%のOS HRは0.67、PFS HRは0.59と、いずれもNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・有効性はまた、組織形を問わずNIVO+IPI+Chemo群で良好であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)発現率は、NIVO+IPI+Chemo群92%、Chemo群88%。Grade3/4のTRAE発現率はそれぞれ、48%と38%であった。新たな安全性シグナルは確認されていない。・Post Hoc解析の結果、TRAEによって治療中止となったNIVO+IPI+Chemo群のNIVO+IPI+Chemo群の2年OS率は54%(全集団の2年OS率は38%)と、治療中止による生存への悪影響はみられなかった。 発表者のドイツ・Martin Reck氏は、この2年間のフォローアップ結果は、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法が、進行NSCLCに対する有効な1次治療であることを支持するものだと述べた。

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がん通院中患者の新型コロナ抗体量は低値、投与薬剤によって差も/国がん

 国立がん研究センターとシスメックスは、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけて500人のがん患者と1,190人の健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査した。 その結果、新型コロナウイルスの罹患歴のない対象では、がん患者、健常人共に抗体保有率は低く、両群で差がないことがわかった。一方、抗体の量は、健常人と比較し、がん患者で低いことが明らかになった。これは年齢、性別、合併症の有無、喫煙歴といった因子で調整しても有意な差を認めた。 さらに、がん治療が抗体量に与える影響を検証したところ、細胞障害性抗がん剤を受けている患者では抗体量が低く、免疫チェックポイント阻害薬を受けている患者では高いことが明らかになった。同研究結果から、がんの合併、ならびにがん薬物療法が抗体量に影響を与える可能性が示唆された。 本調査結果は、JAMA Oncology誌2021年5月28日号(オンライン版)に掲載された。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、悪性胸膜中皮腫に適応拡大/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2021年5月27日、ニボルマブ(商品名:オプジーボとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法について、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対する効能又は効果に対する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 今回の承認は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を標準治療の化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(CheckMate-743試験)であらかじめ計画されていた中間解析の結果に基づいたもの。 同解析において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、主要評価項目である全生存期間の有意な延長を達成した。また、本試験で認められたニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、本併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。 悪性胸膜中皮腫に対する標準治療としては、ペメトレキセドとシスプラチンの併用療法が行われているが、今回の承認により、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が悪性胸膜中皮腫患者にとって新たな治療選択肢になるものと期待されている。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用の肺がん1次治療、ASCO2021で発表される2演題(CheckMate-9LA/227)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月19日、2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて発表されるニボルマブ(商品名:オプジーボ)およびイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の2つの試験結果を発表した。 1つ目は、未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)において化学療法2サイクルを追加したニボルマブとイピリムマブの併用療法と4サイクルの化学療法を比較した第III相CheckMate-9LA試験の2年間追跡調査結果。CheckMate -9LA試験の2年全生存(OS)率は、同併用療法群で38%、化学療法群は26%あった。追加の追跡調査における同試験の主要評価項目であるOS中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で15.8ヵ月、化学療法群では11.0ヵ月であった(HR:0.72、95%CI:0.61~0.86)。同併用療法の新たな安全性シグナルや治療に関連する死亡は認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・2年PFSにおいて、同併用療法はリスクを33%低減した(HR:0.67;95% CI:0.56 - 0.79)。・ORRは併用療法群38% vs.化学療法群25%であった。・DORは併用療法群13.0ヵ月、化学療法では5.6ヵ月であった。これらのデータは、ASCO2021にて、6月4日、午後1時~4時(米国東部夏時間)、口頭発表される(抄録番号#9000)。 2つ目は、未治療の進行NSCLCにおいてニボルマブを含むレジメンと化学療法を比較した第III相CheckMate -227試験Part1の4年(49.4ヵ月)の追跡調査結果。CheckMate -227試験Part1におけるPD-L1 1%以上の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群29%、化学療法群は18%であった(HR:0.76、95%CI:0.65~0.90)。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の新たな安全性シグナルは認められなかった。 そのほかの結果は以下のとおり。・PD-L1 1%未満の探索的解析における4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群24%に対し、化学療法群10%であった(HR:0.64、95%CI:0.51~0.81)。・PD-L1高発現(50%以上)の4年OS率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群37%、ニボルマブ単剤群では26%であった。 完全なデータは、ASCO2021にて、同日午前9時(米国東部夏時間)にポスター・ディスカッション・セッションで発表される(抄録番号#9016)。

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進行悪性黒色腫患者におけるオプジーボ・イピリムマブ併用療法、6.5年の追跡調査(CheckMate-067)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法およびオプジーボ単剤療法が、イピリムマブ単剤療法と比較して、ファーストライン治療の進行悪性黒色腫患者において生存期間の持続的な改善を示した無作為化二重盲検第III相CheckMate-067試験の新たな6.5年データを発表した。 最短6.5年の追跡調査において、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の全生存期間(OS)中央値は72.1ヵ月であった。これは進行悪性黒色腫に対する第III相試験において報告された最長のOSの中央値である。ニボルマブ単剤群のOS中央値は36.9ヵ月、イピリムマブ単剤群では19.9ヵ月であった。また、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の6.5年無増悪生存(PSF)率は34%(中央値11.5ヵ月)、ニボルマブ単剤群では29%(中央値6.9ヵ月)、イピリムマブ単剤群では7%(中央値2.9ヵ月)であった。追跡調査で生存していた併用群患者のうち、77%(145例中112例)が無治療であり、その後の全身療法を受けていなかった。同様の患者の割合は、ニボルマブ単剤群で69%(122例中84例)、イピリムマブ単剤群では43%(63例中27例)であった。 ニボルマブ・イピリムマブ併用群またはニボルマブ単剤群では、BRAF変異陽性、野生型、ベースライン時に肝転移を有する患者を含む関連サブグループ全体で、持続的な臨床ベネフィットが維持された。BRAF変異陽性患者における6.5年生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群57%、ニボルマブ単剤群43%、イピリムマブ単剤群25%であった。BRAF野生型患者における生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群46%、ニボルマブ単剤群42%、イピリムマブ単剤群で22%であった。肝転移を有する患者における生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群38%、ニボルマブ単剤群31%、イピリムマブ単剤群で22%であった。奏効期間(DoR)中央値は、併用療法群とニボルマブ単剤療法群で未達だったのに対し、イピリムマブ単剤療法群では19.2ヵ月であった。 ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の安全性プロファイルは、これまでの結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。また、5年時点の解析以降、新たに発生した治療に関連する死亡例はなかった。 CheckMat -067試験の6.5年データは、6月4~8日に開催される2021年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)にて、2021年6月6日、口頭抄録セッションで発表される(抄録番号#9506)。

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FDA、食道・胃食道接合部がんの術後補助療法にニボルマブ承認(CheckMate-577)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年5月20日、米国食品医薬品局(FDA)が、術前補助化学放射線療法(CRT)を受け病理学的残存病変を認めた完全切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者の術後補助療法として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)を承認したことを発表した。 この承認は、術前補助CRTおよび完全切除後に病理学的残存病変を認めた食道がんまたはGEJがん患者を対象に、オプジーボ(532例)とプラセボ(262例)を比較評価した第III相CheckMate-577試験の結果に基づいている。 同試験において、無病生存期間(DFS)中央値は、オプジーボ群22.4ヵ月、プラセボ群11.0ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0003)。探索的解析における、腺がん患者のDFS中央値は、オプジーボ群19.4ヵ月、プラセボ群で11.1ヵ月(非層別HR:0.75、95% CI:0.59~0.96)、扁平上皮がん患者のDFS中央値は、オプジーボ群で29.7ヵ月、プラセボ群で11.0ヵ月であった(非層別HR:0.61、95% CI:0.42~0.88)。

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BRCA変異、免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとなるか

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果に関するバイオマーカーとしては、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、PD-L1発現、DNAミスマッチ修復機能欠損が知られている。一方、BRCA1およびBRCA2はDNA修復において重要な役割を果たすが、免疫療法においてこれら遺伝子変異の役割は不明のままである。今回、米国・University of Oklahoma Health Sciences CenterのZhijun Zhou氏らは、BRCA1/2の変異がTMBに関連していると仮説を立て、コホート研究を実施した結果、TMBと組み合わせたBRCA2変異が、ICI治療のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。JAMA Network Open誌5月3日号に掲載。 本研究では、BRCA変異のデータをcBioPortalプラットフォームから取得した。生存分析には、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)コホートでICI治療を受け、ゲノム配列を調べた各種がん患者が登録された。各がんにおけるTMBの上位10%を高TMB、下位90%を低TMBと定義した。主要評価項目は、ICI投与開始からの全生存期間(OS)で、BRCA1/2変異のある患者とない患者を比較した。データ分析は2020年7月~11月に実施した。 主な結果は以下のとおり。・BRCA1/2変異のある1,977例(5.3%)を含む3万7,259例の3万9,307の腫瘍サンプルを検討した。・BRCA1、BRCA2とも変異していたのは164例(0.4%)、BRCA1のみの変異は662例(1.8%)、BRCA2のみの変異1,151例(3.1%)だった。・BRCA1/2変異のある腫瘍のTMBの中央値は24.59(四分位範囲[IQR]:9.84~52.14)で、野生型(5.90、IQR:2.95~10.00)より高かった(p<0.001)。・BRCA1/2変異のある患者の49例(34.8%)が高TMBであるのに対し、野生型の患者の1,399例(92.0%)は低TMBであった(p<0.001)。・MSKCCコホートにおいてICI治療を受けゲノム配列が決定された1,661例のうち、141例(8.5%)でBRCA1/2変異を有していた。・BRCA1変異とOSの関連はみられなかった。・BRCA2変異のある患者のOS中央値は31.0ヵ月(IQR:10.0~80.0)で、変異のない患者(18.0ヵ月、IQR:6.0~58.0)より良好だった(p=0.02)。・低TMB でBRCA2変異のある患者のOS中央値は44.0ヵ月(IQR:10.0~67.0)で、高TMBの患者(41.0、IQR:13.0~80.0)と同等だった。どちらの群も、低TMBでBRCA2野生型の患者(16.0ヵ月、IQR:6.0~57.0)よりも良好だった(p<0.001)。

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DLBCL、研究・治療の最新状況を報告したNEJM論文をポイント解説【Oncologyインタビュー】第33回

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は悪性リンパ腫の一種であり、血液腫瘍の中で最も患者数が多い疾患である。2021年3月、NEJM誌に「Diffuse Large B-Cell Lymphoma」と題した、疾患名そのものをタイトルにした論文が掲載された。現在の初発・再発における治療戦略から今後の新薬の開発情報までがまとめられた、17ページにわたる本論文のポイントを、岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センターの遠西 大輔氏(血液・腫瘍内科 准教授)が解説する。インタビューはzoom形式で行われたこの論文は、著者2人がいずれも臨床医です。臨床医目線で病態の分類変更の背景など、最新知識をコンパクトにまとめたところに、まずは大きな価値があるでしょう。血液疾患の臨床に当たっている方であれば既知の情報も多いので、関心あるところと新たな知見の部分を重点的に読むとよいと思います。重要なポイントについて、パートごとに内容を読み解いていきましょう。Pathological Features and Molecular Classification最初は分子遺伝学的なまとめです。最近の分子の詳細な解析によって新たなサブタイプが登場している状況を解説しており、この内容はFigure 1Cにまとまっているのでこれを見るだけでもよいと思います。Staging and Response Assessment今後の臨床面で注目すべきは、一行だけ触れられている「リキッドバイオプシー」でしょう。世界的にも、血液腫瘍に対するリキッドバイオプシーを用いた遺伝子検査は保険承認されていませんが、数年内には臨床で使われるようになると予想されます。固形がん同様に、血液がんでも遺伝子変異のタイプに応じて治療戦略を選択し、効く薬剤を予測して使い分けるようになるかもしれません。ここで引用されている論文1)は、あまたあるDLBCLとリキッドバイオプシーに関する論文の中でも代表的なものなので、関心がある方はこちらの著者グループに注目するとよいと思います。Prognostic Factorsここでは長らく使われてきた、国際予後指標(International Prognostic Index:IPI)が改良され「NCCN-IPI」となったことが紹介されています。こちらの要旨はTable 3にまとまっているのでそれを確認するだけでもよいでしょう。Primary Managementここから進行期と限局期に分けて治療の話題に入っていきます。進行期の最適なレジメンを決めるまでのこれまでの経緯がまとめられていますが、CHOP療法にリツキシマブを追加したR-CHOP療法を6回投与、というのが現状の結論です。それに加え、現在進んでいるR-CHOPに他の薬剤を追加する複数の試験内容が紹介されています。この部分はこれからのDLBCL治療を考えるうえで非常に重要なポイントなのでじっくり読んでみてください。Management of Relapsed or Refractory Diseaseここでは、再発・難治のDLBCLに対する治療戦略が述べられています。若年層の患者には自家造血幹細胞移植(ASCT)を試みることがありますが、あまり成績がよくないことが示されています。次いで、現在の臨床を大きく変えつつあるCAR-T療法が紹介されています。CAR-T療法は国内では2年前に再発または難治性のDLBCLに対して承認され、ここでは臨床試験からリアルワールドまで最新のデータが紹介されています。承認当初に懸念されていた副作用についても想定より抑えられていることが示されています。そして最後は新薬の開発状況です。日本で今年3月に承認を受けたばかりの抗CD79bを標的とする抗体薬物複合体・ポラツズマブ ベドチンに関する臨床試験のデータをはじめ、現在開発中の新薬が、ターゲットとする分子や現状までの臨床試験の結果と共にまとまっています。それなりの数がありますが、今後臨床に登場してきそうな有望なものが選別されているのはさすがです(Table 4)。個人的には次世代の免疫チェックポイント阻害薬といわれる、マクロファージを使う抗CD47抗体にとくに注目しています。最終ページのfigure 2には、現在のDLBCL治療の全体がまとまっています。病態分類から始まり、再発や自家移植で寛解する割合や、それぞれの段階で行う治療戦略と薬剤が見やすくまとめられており、全体を俯瞰するうえで非常によくできた1枚です。図 原著論文のfigureを基にCareNet.com編集部作成画像を拡大する上部左の「High-Grade B-Cell Lymphoma」はWHO分類変更によって新たに登場したものです。特定の遺伝子変異を認める予後不良のものをDLBCLと分け、異なる治療戦略をとることになりました。真ん中の限局期・進行期では治療戦略には大きな変化はないものの、治験等で新たなレジメンを選択できる状況を示しています。そして右下のこれまで治療の手段がなかった2次・3次治療においても、CAR-T療法や免疫療法等によって治療を継続できる可能性が生まれており、今後も治療戦略は大きく進化していくでしょう。原著論文Sehn LH, et al. N Engl J Med. 2021;384:842-858.参考1)Kurtz DM, et al. J Clin Oncol. 2018;36:2845-2853.

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抗LAG-3抗体relatlimab+二ボルマブ、未治療の悪性黒色腫の第III相データを提示/BMS

 ブリストルマイヤーズスクイブは、2021年5月29日、第II/III相RELATIVITY-047試験の結果を発表した。ニボルマブと抗LAG-3抗体relatlimabの固定用量の組み合わは、未治療の切除不能悪性黒色腫において、ニボルマブ単独と比較して、統計的に有意かつ臨床的に意味のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示した。 同試験における併用療法患者のPFS中央値は10.12ヵ月であったのに対し、ニボルマブ単剤では4.63ヵ月と、併用群で有意に良好であった(HR:0.75、95%CI:0.62~0.92、p=0.0055)。PFS改善は早期に観察され、時間経過しても一貫していた。PFS改善は、事前に指定されたサブグループおよび層別化因子にかかわらず認められた。 relatlimabとニボルマブの固定用量の組み合わせの安全性プロファイルは管理可能であり、既存の報告と一致していた。Grade3/4の薬物関連有害事象発現は、併用療法群18.9%、ニボルマブ群は9.7%であった。治療中止に至った薬物関連有害事象は、併用療法群14.6%に対し、ニボルマブ群は6.7%で発現した。 この抗LAG-3抗体を評価するの最初の第III相試験の結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2021)の口頭セッションで、6月6日(現地時間)に発表される(Abstract#9503)。

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第60回 昔なじみの抗うつ薬が抗がん免疫を助ける/持参のCOVID-19抗原検査で楽々帰国

昔なじみの抗うつ薬と抗PD-1薬の併用でいっそうの抗腫瘍効果抗うつ薬として昔なじみのモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)が免疫細胞によるがん駆除を助ける働きを担い、PD-1阻害薬と併用すればそれら単独投与以上の腫瘍抑制効果を発揮することがマウス実験で示されました1,2)。ペムブロリズマブやニボルマブ等のPD-1阻害薬は腫瘍細胞が免疫攻撃から逃れるために利用するT細胞表面分子を阻止します。PD-1阻害薬はうまくいけば何年も腫瘍を食い止めますが誰にでも効くというわけではなく、その効果を補う薬の標的探しが続けられています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のがん免疫学者Lili Yang氏のチームもその一つで、抗腫瘍免疫との関わりがこれまで知られていなかったモノアミン酸化酵素(MAO)の一つ・MAO-A遺伝子が腫瘍のT細胞で意外にも発現していることを突き止め、どうやらPD-1阻害薬の併用薬の標的として有望なことを見出しました。MAO-Aはドパミンやセロトニンなどの気分向上神経伝達物質を分解します。MAO-A活性が低い男性と攻撃的な振る舞いの関連が示されていることからMAO-A遺伝子は戦士の遺伝子として知られます3)。Yang氏等の新たな研究によるとMAO-AはT細胞の戦士化にもどうやら寄与しているらしく、マウスのMAO-A遺伝子を封じたところT細胞の抗腫瘍免疫が強力となり、腫瘍増殖が抑制されました。MAO-A阻害薬フェネルジン(phenelzine)も同様の効果があり、マウスの腫瘍を増殖し難くしました。また、MAO阻害薬とPD-1阻害薬の併用はいっそうの抗腫瘍効果をもたらしました。T細胞はセロトニンを作って抗腫瘍免疫を底上げし、MAO-Aはそのセロトニンを分解することで腫瘍のT細胞回避を助けてしまうようです。その回避路を断つMOA阻害薬とPD-1阻害薬の併用が試験で検討されることをYang氏は望んでいます。安上がりでどこでも手に入るMAO阻害薬はあわよくばがん患者の抑うつもついでに取り去ってくれるかもしれません。そのような併用試験をするなら前立腺がんは候補の一つになりそうです。というのもMAO-A は前立腺がんで過剰発現し、がん細胞や腫瘍開始細胞(がん幹細胞)の増殖を促して前立腺がんの発生を促すことが示唆されているからです4)。ただしMAO-A は必ずがんに味方するというわけではなさそうで、肝細胞がん、胆管がん、褐色細胞腫、神経芽腫、腎細胞がん、肺腺がんなどでは逆にがんと敵対する腫瘍抑制因子として働くと示唆されています5)。MAO阻害薬の試験ではMAO-Aに備わるせっかくの腫瘍抑制効果を意図せず妨げることがないように注意する必要があるでしょう。ユナイテッド航空がアボット社のCOVID-19抗原検査で楽々帰国できるようにするユナイテッド航空がAbbott(アボット)社と手を組み、海外旅行者の米国帰還の際に必要な新型コロナウイルス感染(COVID-19)陰性証明をよりすんなり取得できる仕組みを提供します6)。ユナイテッド航空の乗客はアボット社の抗原検査BinaxNOW Home Testを携えて出国し、海外滞在中にわざわざ検査センターに赴かずともそれを使って検査することで米国に帰還可能かどうかを判断できるようになります。遠隔医療が使える環境で旅行者がBinaxNOW Home Testのような抗原検査を自ら実施し、海外から米国への飛行機に搭乗するのに必要な陰性証明にその検査結果を使うことを同国は最近許可しています。BinaxNOW Home Testは手帳ほどの大きさで軽量であり、バッグに場所を取らず収めることができます。どっちつかずの検査結果となってしまった場合に備えて1つきりではなく幾つか持っていった方が良いようです。参考1)Wang X, et al. Sci Immunol. 2021 May 14; 6:eabh2383.[Epub ahead of print]2)An old antidepressant helps the immune system fight tumors in mice / Science3)Mentis AA, et al.Transl Psychiatry. 2021 Feb 18;11:130.4)Liao CP, et al. Oncogene.2018 Sep;37:5175-5190.5)Huang Y, et al. Front Oncol. 2021 Mar 8;11:645821.6)United and Abbott Partner to Make Return to U.S. Worry Free for International Travelers with Home-Testing Kits / PRNewswire

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