サイト内検索|page:21

検索結果 合計:1190件 表示位置:401 - 420

401.

重症コロナ肺炎治療薬にトシリズマブを承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する効能・効果の追加を承認した。SARS-CoV-2による肺炎で、酸素投与、人工呼吸器管理またはECMOが必要な患者に限り、入院下で治療投与できる。トシリズマブはCOVID-19治療薬として2021年6月に米国で緊急使用許可を取得 トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。トシリズマブは国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。 なお、トシリズマブはCOVID-19治療薬としては、2021年6月に米国で緊急使用許可を取得し、欧州でも承認(同年12月)されている。<トシリズマブ製品概要> ※今回の追加承認に関連する箇所の抜粋販売名:アクテムラ点滴静注用80mg、同点滴静注用200mg、同点滴静注用400mg一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え)申請者:中外製薬株式会社追加する効能・効果:SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)追加する用法・用量: 通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブ(遺伝子組換え)として8mg/kg を1回追加投与できる。

402.

アトピー性皮膚炎患者、デュピルマブ治療の自己評価は?

 米国・イェール大学のBruce Strober氏らは、臨床試験に参加しデュピルマブ治療を受けたアトピー性皮膚炎(AD)患者の、自己申告に基づく疾患コントロールおよびQOLをオンラインサーベイにて評価した。結果は臨床試験での患者報告アウトカムと一致しており、治療満足度を含むすべての患者報告アウトカムについてベースラインと比較して統計学的に有意な改善が示され、デュピルマブ治療は最長12ヵ月にわたる迅速かつ持続的な疾患コントロールと関連していることが見いだされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年12月15日号掲載の報告。 研究グループは、米国の患者サポートプログラムを通じて、デュピルマブ治療を開始した成人の中等症~重症ADで試験参加に同意した患者を対象に、治療開始前(ベースライン)と開始後1、2、3、6、9、12ヵ月時点でのオンラインサーベイを行うコホート試験を実施した。 データは、2018年1月~2020年1月に収集され、2020年5月に解析が行われた。主要評価項目は、Atopic Dermatitis Control Tool(ADCT)で測定した疾患コントロール、併用AD療法、治療満足度、Numerical Rating Scale(NRS)を用いた皮膚症状(皮膚の痛み、火傷/熱感、敏感肌)の評価、再燃、Dermatology Life Quality Indexで評価した健康関連QOL、ADCTの項目と質問票で評価した睡眠障害、ADに特異的な労働生産性および活動障害に関する質問票(Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire:WPAI)への回答であった。 主な結果は以下のとおり。・デュピルマブ治療を開始した699例(女性61.7%、白人73.7%)のうち、632例が1ヵ月時点のサーベイを、また483例が12ヵ月時点のサーベイを完遂した。・ベースラインと比べて、1ヵ月時点で多くの患者が十分な疾患コンロトールを得ており(60.9%、対ベースライン[5.3%]のp<0.001)、さらに12ヵ月時点で改善が進んでいた(77.4%、同p<0.001)。・他のAD治療の併用は、評価を重ねるたびに使用が減少していた。たとえば局所コルチコステロイドの併用は、ベースライン68.1%から12ヵ月時点40.4%に、全身性コルチコステロイドの併用は同34.9%から6.2%に減少していた(ともに対ベースラインのp<0.001)。・AD治療への満足度は、評価を重ねるたびにベースライン(17.7%)より高まり、12ヵ月時点では85.1%であった(対ベースラインのp<0.001)。・患者は各評価時にベースラインと比較して、再燃、かゆみ、皮膚症状が軽減したこと、また、睡眠、健康関連QOL、日常活動が改善したことを報告した。・結果は、観察データと、欠測データについてパターン混合モデルを用いて処理した代入データで一貫していた。

403.

COVID-19のための初の経口抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル200mg」【下平博士のDIノート】第90回

COVID-19のための初の経口抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル200mg」今回は、抗ウイルス薬「モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル200mg、製造販売元:MSD)」を紹介します。本剤は外来でも使用可能な経口剤であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を防ぐことで、医療逼迫回避の一助となることが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年12月24日に特例承認されました。なお、重症度の高い患者に対する有効性は確立していません。<用法・用量>通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mg(4カプセル)を1日2回、5日間経口投与します。COVID-19の症状が発現してから速やかに投与を開始する必要があります。<特記事項>1.対象患者についてSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有するなど、本剤の投与が必要と考えられる患者さんが投与の対象です。投与対象は重症化リスク因子を有する患者が中心ではあるものの、審査報告書では、高熱や呼吸器症状など相当の症状を呈し重症化の恐れがある場合なども、投与対象になり得るとしています。2.包装について包装は40カプセルのバラ包装のみで、1瓶を1回分として使い切れるようになっています。3.投与に際しては同意が必要RMP資材として同意説明文書が用意されており、処方の際には患者本人に内容を確認してもらったうえで、患者・医師双方がサインして保管することになっています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、新型コロナウイルスのRNAに取り込まれることによって、ウイルスの増殖を阻害して抗ウイルス作用を示します。2.症状が改善しても指示どおりに5日分を飲み切ってください。3.下痢、悪心・嘔吐、めまい、頭痛などの症状が現れることがあります。これらの症状が生じた場合であっても自己判断で中止せず、医師または薬剤師に相談してください。4.(女性に対して)妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用できません。授乳中の人は注意が必要ですので、服用開始前に相談してください。妊娠する可能性のある女性は、服用中および服用後4日間は適切な避妊を行ってください。<Shimo's eyes>本剤は、軽症~中等症COVID-19患者に使用できる国内初の経口抗ウイルス薬です。これまで、軽症患者を対象とした治療薬としては、中和抗体製剤のカシリビマブ/イムデビマブ注射液セット(商品名:ロナプリーブ)とソトロビマブ点滴静注液(同:ゼビュディ)の2剤が承認されていて、中等症患者を対象とした治療薬としては、抗ウイルス薬のレムデシビル点滴静注用(同:ベクルリー)が承認されています。経口剤では、中等症IIと重症患者を対象としたJAK阻害薬のバリシチニブ錠(同:オルミエント)とステロイド薬のデキタメタゾンが使用されていますが、抗ウイルス薬としては本剤が初めての薬剤となります。本剤の作用機序はウイルス複製阻害であり、オミクロン株に対してもこれまでの変異株と同様の効果が期待できると考えられています。投与の対象となるのは、以下のような重症化リスク因子を1つ以上有する軽症~中等症Iの患者です。《国際共同第II/III相試験(MOVe-OUT試験)の組み入れ基準》61歳以上の高齢者活動性のがん(免疫抑制または高い死亡率を伴わないがんは除く)慢性腎臓病慢性閉塞性肺疾患肥満(BMI 30kg/m2以上)重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患または心筋症)糖尿病重症化リスクのある非重症COVID-19患者を対象に本剤またはプラセボを投与した多施設共同第III相試験の中間解析において、プラセボ群の重症化(29日目までの入院・死亡)が377例中53例(14.1%)であったのに対し、本剤群では385例中28例(7.3%)と、相対的リスクが48%減少しました(p=0.0012)。なお、臨床試験において有効性が確認されたのは発症から5日以内に投与を開始した感染者であり、6日目以降における有効性のデータは得られていません。副作用としては、下痢、悪心・嘔吐、浮動性めまい、頭痛が発現率1%以上5%未満で報告され、重要な潜在的リスクには、骨髄抑制および催奇形性が示されています。動物実験で催奇形性が認められており、妊娠しているまたは妊娠している可能性のある女性には投与できません。なお、本剤は2022年9月より一般流通され、保険適用となりました。※2022年9月、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ラゲブリオカプセル200mg

404.

咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例【Dr.山中の攻める!問診3step】第10回

第10回 咳嗽も侮れない!主訴の傾聴だけでは救命に至らない一例―Key Point―咳は重大な疾患の一つの症状であることがある詳細な問診、咳の持続時間、胸部レントゲン所見から原因疾患を絞り込むことができる慢性咳に対するアプローチを習得しておくと、患者満足度があがる症例:45歳 男性主訴)発熱、咳、発疹現病歴)3週間前、タイのバンコクに出張した。2週間前から発熱あり。10日前に帰国した。1週間前から姿勢を変えると咳がでる。38℃以上の発熱が続くため紹介受診となった。既往歴)とくになし薬剤歴)なし身体所見)体温:38.9℃ 血圧:132/75mmHg 脈拍:88回/分 呼吸回数:18回/分 SpO2:94%(室内気)上背部/上胸部/顔面/頭部/手に皮疹あり(Gottron徴候、機械工の手、ショールサインあり)検査所見)CK:924 IU/L(基準値62~287)経過)胸部CT検査で両側の間質性肺炎ありCK上昇、筋電図所見、皮膚生検、Gottron徴候、機械工の手、ショールサインから皮膚筋炎1)と診断された筋力低下がほとんど見られなかったので、amyopathic dermatomyositis(筋無症候性皮膚筋炎)と考えられるこのタイプには、急性発症し間質性肺炎が急速に進行し予後が悪いことがある2)本症例ではステロイドと免疫抑制剤による治療を行ったが、呼吸症状が急速に悪化し救命することができなかった◆今回おさえておくべき臨床背景はコチラ!急性の咳(<3週間)では致死的疾患を除外することが重要である亜急性期(3~8週間)の咳は気道感染後の気道過敏または後鼻漏が原因であることが多い慢性咳(>8週間)で最も頻度が高い原因は咳喘息である【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】緊急性のある疾患かどうか考えよう咳を伴う緊急性のある疾患心筋梗塞、肺塞栓、肺炎後の心不全悪化重症感染症(重症肺炎、敗血症)気管支喘息の重積肺塞栓症COPD (慢性閉塞性肺疾患)の増悪間質性肺炎咳が急性発症ならば、心血管系のイベントが起こったかをまず考える心筋梗塞や肺塞栓症、肺炎は心不全を悪化させる心筋梗塞や狭心症の既往、糖尿病、高血圧、喫煙、脂質異常症、男性、年齢が虚血性心疾患のリスクとなる3つのグループ(高齢、糖尿病、女性)に属する患者の心筋梗塞は非典型的な症状(息切れ、倦怠感、食欲低下、嘔気/嘔吐、不眠、顎痛)で来院する肺塞栓症のリスクは整形外科や外科手術後、ピル内服、長時間の座位である呼吸器疾患(気管支喘息、COPD、間質性肺炎、結核)の既往に注意するACE阻害薬は20%の患者で内服1~2週間後に咳を起こす【STEP3-1】鑑別診断:胸部レントゲン所見と咳の期間で行う胸部レントゲン写真で肺がん、結核、間質性肺炎を確認する亜急性咳嗽(3~8週間)の原因の多くはウイルスやマイコプラズマによる気道感染である細菌性副鼻腔炎では良くなった症状が再び悪化する(二峰性の経過)。顔面痛、後鼻漏、前かがみでの頭痛増悪を確認する百日咳:咳により誘発される嘔吐とスタッカートレプリーゼが特徴的である2)【STEP3-2】鑑別診断3):慢性咳か否か8週間以上続く慢性咳の原因は咳喘息、上気道咳症候群(後鼻漏症候群)、逆流性食道炎、ACE阻害薬、喫煙が多い上記のいくつかの疾患が合併していることもある咳喘息が慢性咳の原因として最も多い。冷気の吸入、運動、長時間の会話で咳が誘発される。ほかのアレルギー疾患、今までも風邪をひくと咳が長引くことがなかったかどうかを確認する非喘息性好酸球性気管支炎(NAEB:non-asthmatic eosinophilic bronchitis)が慢性咳の原因として注目されている3)上気道咳症候群では鼻汁が刺激になって咳が起こる。鼻咽頭粘膜の敷石状所見や後鼻漏に注意する夜間に増悪する咳なら、上気道咳症候群、逆流性食道炎、心不全を考える【治療】咳に有効な薬は少ないハチミツが有効とのエビデンスがある4)咳喘息:吸入ステロイド+気管支拡張薬上気道咳症候群:アレルギー性鼻炎が原因なら点鼻ステロイド、アレルギー以外の原因なら第一世代抗ヒスタミン薬3)逆流性食道炎:プロトンポンプ阻害薬<参考文献・資料>1)Mukae H, et al. Chest. 2009;136:1341-1347.2)Rutledge RK, et al. N Engl J Med. 2012;366:e39.3)ACP. MKSAP19. General Internal Medicine. 2021. p19-21.4)Abuelgasim H, et al. BMJ Evid Based Med. 2021;26:57-64.

405.

アトピー性皮膚炎を全身治療する経口JAK阻害薬「サイバインコ錠50mg/100mg/200mg」【下平博士のDIノート】第89回

アトピー性皮膚炎を全身治療する経口JAK阻害薬「サイバインコ錠50mg/100mg/200mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬「アブロシチニブ(商品名:サイバインコ錠50mg/100mg/200mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、全身療法が可能な経口剤であり、既存治療で効果不十分な中等症~重症のアトピー性皮膚炎の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎(AD)の適応で、2021年9月27日に承認され、同年12月13日に発売されました。なお、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に使用します。<用法・用量>通常、成人および12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与します。患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することもできます。なお、中等度の腎機能障害(30≦eGFR<60)では50mgまたは100mgを1日1回投与し、重度の腎機能障害(eGFR<30)では50mgを1日1回経口投与します。本剤投与時も保湿外用薬は継続使用し、病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用します。なお、投与開始から12週までに治療反応が得られない場合は中止を考慮します。<安全性>AD患者を対象に本剤を投与した臨床試験の併合解析において、発現頻度2%以上の臨床検査値異常を含む有害事象が確認されたのは3,128例中2,294例でした。主な副作用は、上咽頭炎、悪心、アトピー性皮膚炎、上気道感染、ざ瘡、筋骨格系および結合組織障害などでした。なお、重大な副作用として感染症(単純ヘルペス[3.2%]、帯状疱疹[1.6%]、肺炎[0.2%])、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症[0.1%未満]、深部静脈血栓症[0.1%未満])、血小板減少(1.4%)、ヘモグロビン減少(ヘモグロビン減少[0.9%]、貧血[0.6%])、リンパ球減少(0.7%)、好中球減少症(0.4%)、間質性肺炎(0.1%)、肝機能障害、消化管穿孔(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、皮膚バリア機能を低下させたり、アレルギー炎症を悪化させたりするJAKという酵素の産生を抑えることで、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。2.本剤には免疫を抑制させる作用があるため、発熱や倦怠感、皮膚の感染症、咳が続く、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの感染症の症状に注意し、気になる症状が現れた場合は、すみやかにご相談ください。3.この薬を服用している間は、生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)の接種ができません。接種の必要がある場合は主治医に相談してください。4.(女性に対して)この薬を服用中、および服用中止後一定期間は適切な避妊をしてください。5.これまで使用していた保湿薬は続けて使用してください。<Shimo's eyes>近年、ADの新しい治療薬が次々と発売されており、難治例における治療が大きく変化しつつあります。本剤と同じ経口JAK阻害薬のほかにも、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤や外用JAK阻害薬などがすでに発売されています。本剤は、ADの適応を得た経口JAK阻害薬として、バリシチニブ(商品名:オルミエント錠)、ウパダシチニブ水和物(同:リンヴォック錠)に続く3剤目となります。また、12歳以上のアトピー性皮膚炎患者に使用できる製剤としてはウパダシチニブに続いて2剤目となります。相互作用については、フルコナゾール、フルボキサミンなどの強力なCYP2C19阻害薬、あるいはリファンピシンのような強力なCYP2C19および CYP2C9誘導薬との併用に注意が必要です。これらの薬剤と併用する場合、可能な限りこれらの薬剤をほかの類薬に変更する、または休薬するなどの対応を考慮します。経口JAK阻害薬は、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤な感染症や結核の顕在化および悪化への注意が警告に記載されています。生ワクチンの接種は控え、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化にも注意する必要があります。調剤時の注意に関しては、抗うつ薬/慢性疼痛治療薬デュロキセチン(商品名:サインバルタカプセル)と販売名が類似していることから、取り違え防止案内が発出されています。薬剤の登録名や調剤棚の表示などを工夫して、取り違えを防ぎましょう。本剤は、米国においてブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)の指定を受け、優先審査品目に指定されています。参考1)PMDA 添付文書 サイバインコ錠50mg/サイバインコ錠100mg/サイバインコ錠200mg

406.

世界初、RET融合遺伝子TKIのセルペルカチニブ発売/日本イーライリリー

 2021年9月末にセルペルカチニブ(商品名:レットヴィモ)が「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」に対する治療薬として世界で初めて承認され、日本イーライリリーは発売に合わせ12月16日にプレスセミナーを開催した。セルペルカチニブはRET融合遺伝子陽性のがんでRETキナーゼを選択的に阻害 日本における肺がんの罹患全国推定数は約12万人(2017年)、がん種別の死亡数では男女とも1位(2019年)。従来の手術、化学療法、放射線療法に加え、近年の分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により、治療が著しく進化している。セミナーでは国立がん研究センター東病院の後藤 功一氏が、肺がんにおける遺伝子治療の現状やセルペルカチニブ承認の基となったデータを解説した。 セルペルカチニブはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の1つで、RET融合遺伝子変異はNSCLCの約2%に発生する希少変異。RET融合遺伝子陽性のがんでは、がん細胞の増殖と生存がRETキナーゼの活性化に依存しており、活性化されたRETキナーゼを選択的に阻害することで腫瘍の増殖を阻害する、というのが作用機序となる。 現在NSCLCではEGFR、ALK、ROS1、BRAF、NTRL、MET、そして今回のRETを含めた7つの変異をターゲットとした薬剤が承認済だが、発現頻度の高いEGFR、ALK変異等をターゲットにした薬剤が優先して開発されてきた経緯がある。後藤氏は「希少変異は製薬メーカー主導の開発が難しいため、国立がん研究センターを中心とした研究基盤であるLC-SCRUM-Asiaで遺伝子変異解析と医師主導治験を進めてきた」と説明した。 今回のセルペルカチニブの承認は、国際共同治験LIBRETTO-001の結果を受けたもの。後藤氏は「参加16ヵ国83施設746例中、日本からは13施設64例が参加し、大きな役割を果たした」と紹介した。LIBRETTO-001におけるセルペルカチニブの奏効率(CR+PR)は未治療例で70.5%(95%CI:54.8~83.2)、既治療例で56.9%(49.8~63.8)。「従来の化学療法の奏効率は30%程度、ICI単剤の場合15%程度なので、セルペルカチニブに限らずTKIは非常に奏効率が高い」(後藤氏)。さらにセルペルカチニブは中枢神経系に対する奏効率も82%と高く、脳転移に対する効果も期待される。 有害事象としては、高血圧36.6%(Grade3以上19.2%)、ALT増加32.6%(同9.8%)、AST増加32.6%(同8.3%)が高頻度だった。後藤氏は「セルペルカチニブはRETの選択性が高いために全体的に毒性が低く、外来でも十分マネジメントは可能と考える。発疹をはじめとした過敏症が認められるケースがあったが、そうしたケースも休薬・減薬とステロイド投薬で対応できており、投薬中止例はほとんどなかった」と解説した。 最後に「今後1、2年で肺がんではHER2、KRAS、EGFRエクソン20挿入変異に対するTKIも臨床応用されるようになり、遺伝子解析と個別化医療がさらに一般的なものとなるだろう」とした。

407.

重症COVID-19患者への高流量酸素療法、気管挿管を低減/JAMA

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、鼻カニューレを用いた高流量酸素療法は従来型の低流量酸素療法と比較して、侵襲的機械換気の必要性を低減し、臨床的回復までの期間を短縮することが、コロンビア・Fundacion Valle del LiliのGustavo A. Ospina-Tascon氏らが実施した「HiFLo-Covid試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年12月7日号に掲載された。コロンビアの3病院の無作為化試験 本研究は、コロンビアの3つの病院の緊急治療室と集中治療室が参加した非盲検無作為化試験であり、2020年8月13日~2021年1月12日の期間に参加者の無作為化が行われ、2021年2月10日に最終的な追跡調査を終了した(Centro de Investigaciones Clinicas, Fundacion Valle del Liliの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の疑いまたは確定例(鼻咽頭ぬぐい液を用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法による)で、動脈血酸素分圧(PaO2)/吸気酸素濃度(FIO2)比<200の急性呼吸不全が認められ、呼吸窮迫の臨床的徴候を伴う患者であった。 被験者は、高流量鼻カニューレ酸素療法を受ける群または従来型の酸素療法を受ける群に無作為に割り付けられた。 主要複合アウトカムは、無作為化から28日以内における気管挿管の必要性と臨床的回復までの期間とされた。臨床的回復は、修正7段階順序尺度(1[退院し、日常生活動作が完全に回復]~7[死亡])で評価した、ベースラインから2段階以上の改善(低下)と定義された。入院期間や死亡には影響がない 199例(年齢中央値60歳、女性65例[32.7%])が登録され、高流量酸素療法群に99例、従来型酸素療法群に100例が割り付けられた。高流量酸素療法群は中央値で6日間(IQR:3~9)連続の酸素療法を受け、従来型酸素療法群では65.7%(65/99例)が中央値で6日(4~7)までに酸素療法からの離脱に成功した。ステロイド全身性投与はそれぞれ93.9%および92.0%で行われた。 28日以内に気管挿管が行われた患者の割合は、高流量酸素療法群が34.3%(34/99例)と、従来型酸素療法群の51.0%(51/100例)に比べ有意に低かった(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.39~0.96、p=0.03)。また、28日以内の臨床的回復までの期間中央値は、高流量酸素療法群が11日(IQR:9~14)、従来型酸素療法群は14日(11~19)で、臨床的回復の達成割合はそれぞれ77.8%(77/99例)および71.0%(71/100例)であり、有意な差が認められた(HR:1.39、95%CI:1.00~1.92、p=0.047)。 8項目の副次アウトカムのうち、7日以内の気管挿管(高流量酸素療法群31.3% vs.従来型酸素療法群50.0%、HR:0.59、95%CI:0.38~0.94、p=0.03)、14日以内の気管挿管(34.3% vs.51.0%、0.63、0.41~0.97、p=0.04)、28日時点での機械換気なしの日数中央値(28日[IQR:19~28]vs.24日[14~28]、オッズ比:2.08、95%CI:1.18~3.64、p=0.01)は、いずれも高流量酸素療法群で良好であった。一方、腎代替療法なしの日数や入院期間、死亡には、両群間に差はみられなかった。 重篤な有害事象として、心停止が高流量酸素療法群2例(2.0%)、従来型酸素療法群6例(6.0%)で発現した。また、細菌性肺炎の疑い例がそれぞれ13例(13.1%)および17例(17.0%)、菌血症が7例(7.1%)および11例(11.0%)で認められた。 著者は、「HiFLo-Covid試験は、高流量酸素療法の生理学的な効果を前提に構築されたが、呼吸の代謝作用の測定や推定、食道内圧のモニタリング、経肺圧の動的測定、分時換気量の測定、1回換気量の不均一分布の推定は行っていない。したがって、この試験では、高流量酸素療法は肺損傷の進行の防止や呼吸努力の軽減、ガス交換の向上に関与するメカニズムを改善するとの仮定の下で、臨床アウトカムのみが評価されている」としている。

408.

天疱瘡〔Pemphigus〕

1 疾患概要■ 概念・定義天疱瘡は、表皮細胞間接着に働くデスモグレイン:Dsg(カドヘリン型細胞接着分子)にIgG自己抗体が結合し、その接着機能を阻害するために皮膚・粘膜に水疱を形成する自己免疫性水疱症である。天疱瘡は、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡と、尋常性天疱瘡の亜型とされる増殖性天疱瘡や、腫瘍随伴性天疱瘡、落葉状天疱瘡の亜型とされる紅斑性天疱瘡、疱疹状天疱瘡などを含むその他の天疱瘡の3型に大別される。■ 疫学2015年の天疱瘡による受給者証所持数は5,777人、2017年は3,347人、2019年は3,091人であった1)。2017年以降の減少については、2015年に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、制度が変更されたことや経過措置の期限に伴う変動が考えられる。受給者証保持数の年齢分布は50~60歳台が多く、60歳台が最も多い1)。発症年齢は50歳台に多く、男女比はおおむね1:1.5と女性にやや多いとされる。病型については、世界では落葉状天疱瘡が多いブラジルなど地域により病型の頻度が異なる地域もあるが、一般的には尋常性天疱瘡が最も多く、わが国では尋常性天疱瘡が65%程度を占めており、落葉状天疱瘡が次に多く20%程度を占める2)。■ 病因前述のように、IgG自己抗体がDsgに結合することにより表皮細胞間接着機能を阻害することが天疱瘡における水疱形成の主な病態であると考えられている。接着機能阻害の機序として、自己抗体の結合によりDsgを直接阻害するほか、自己抗体結合後の細胞内シグナル伝達を介したDsgの細胞内への取り込みや抗原特異的T細胞およびB細胞、制御性T細胞の病態への関与などが考えられているが、今なお自己抗体が産生される原因は不明である。■ 症状尋常性天疱瘡は、粘膜皮膚型と粘膜優位型に分類され、粘膜皮膚型では抗Dsg3抗体と抗Dsg1抗体が、粘膜優位型では抗Dsg3抗体がみられる。各病型の症状を説明する上で、デスモグレイン代償説が知られている。Dsg3は皮膚では表皮下層優位に、粘膜では全層に強く発現し、Dsg1は皮膚では表皮全層に上層優位に、粘膜ではほぼ全層で弱く発現している。粘膜皮膚型尋常性天疱瘡では、両抗体により粘膜・皮膚ともに障害され、基底層直上で水疱を形成する。口腔内粘膜症状が初発症状となることが多い。水疱は弛緩性で破れやすく容易にびらんとなり、また、一見正常にみえる部位にも圧力によってびらんを来すNikolsky現象がみられる。一方、粘膜優位型尋常性天疱瘡では、阻害されたDsg3の機能をDsg1が代償しきれない粘膜で主に症状を呈するが、皮膚ではDsg1が代償し、症状がみられないかもしくは軽度に留まる。落葉状天疱瘡では、抗Dsg1抗体により、Dsg3の代償がない表皮上層に水疱が形成される。頭部や胸背部などの脂漏部位に小紅斑を伴う水疱とびらんがみられることが多いが、広範囲の紅斑を呈する場合もある。粘膜では阻害されたDsg1の機能をDsg3が代償するため、通常粘膜病変はみられない。リンパ系疾患に伴うことが多い腫瘍随伴性天疱瘡では、難治性の口腔内びらん・潰瘍や眼粘膜病変が特徴的であり、消化管や陰部の病変を伴うこともある。閉塞性細気管支炎を併発し得る。■ 予後一般に尋常性天疱瘡は、落葉状天疱瘡に比し重症であることが多いが、2010年に天疱瘡診療ガイドラインが示され2)、治療導入期の集中的治療が標準的になった近年、天疱瘡は寛解や軽快を達成し得る疾患となっている。施設間にもよるが、治療導入により一旦臨床的に寛解した症例は80~90%超などの報告がある3、4)。しかし、重症難治例や軽快しても再燃を起こす例がみられ、寛解後も病勢の変化に注意して経過観察する必要がある。また、本疾患は第1選択であるステロイド内服療法が長期となる場合が多いことから、感染症、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、消化管潰瘍などの合併症に十分留意する必要がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)天疱瘡診療ガイドラインに示されている診断基準を下記に示す2)。天疱瘡の診断基準(1)臨床的診断項目[1]皮膚に多発する、破れやすい弛緩性水疱[2]水疱に続発する進行性、難治性のびらん、あるいは鱗屑痂皮性局面[3]口腔粘膜を含む可視粘膜部の非感染性水疱、あるいはびらん[4]Nikolsky現象陽性(2)病理組織学的診断項目表皮細胞間接着障害(棘融解 acantholysis)による表皮内水疱を認める。(3)免疫学的診断項目[1]病変部ないし外見上正常な皮膚・粘膜部の細胞膜(間)部にIgG(時に補体)の沈着を直接蛍光抗体法により認める。[2]血清中に抗表皮細胞膜(間)IgG自己抗体(抗デスモグレインIgG自己抗体)を間接蛍光抗体法あるいはELISA法により同定する。[判定および診断][1](1)項目のうち少なくとも1項目と(2)項目を満たし、かつ(3)項目のうち少なくとも1項目を満たす症例を天疱瘡とする。[2](1)項目のうち2項目以上を満たし、(3)項目の[1]、[2]を満たす症例を天疱瘡とする。前述した臨床症状の他、皮膚生検による組織学的および免疫学的項目が必須となる。病理組織学的に棘融解を伴う表皮内水疱をみとめ、免疫学的に蛍光抗体直接法(DIF)にて表皮細胞間にIgGの沈着や、蛍光抗体間接法(IIF)にて表皮細胞間にIgG自己抗体を認める。また、enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA法[現在は多くの場合、chemiluminescent enzyme immunoassay(CLEIA法)]に移行している)にて自己抗体を検出する。また、重症度の判定としては現在、皮膚・頭皮・粘膜の皮疹を元に算出するPemphigus Disease Activity Index(PDAI)が主に用いられている2)。PDAIは急性期の病勢指標として優れており、また、治療維持期の病勢指標としては、ELISAもしくはCLEIA法による抗Dsg抗体価の追跡が有用である。しかし、抗Dsg抗体価は臨床的に寛解後も陽性のまま経過する場合も散見され、急性期に比し寛解期では陽性であっても低値となることが多いことが報告されているが5)、その値や経過は個人間によって異なるため、抗体価による評価は他症例との間でなく患者個々の経過の中で行うべきである。また、症状とELISAもしくはCLEIA法、DIF・IIFなどの検査間の乖離がみられる例もあり、病勢や経過の評価には総合的な判断が必要である。鑑別診断としては、水疱性類天疱瘡やDuhring疱疹状皮膚炎、後天性表皮水疱症などを含む表皮下水疱症、また、TEN(toxic epidermal necrolysis)・Stevens-Johnson症候群を含む重症薬疹や伝染性膿痂疹、多型紅斑などが挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)天疱瘡の治療は治療導入期と治療維持期とに分かれる。治療導入期には、プレドニゾロン(PSL)が第1選択となり、重症から中等症ではプレドニゾロン1.0mg/kg/日の投与が標準的である。天疱瘡では初期治療が重要であり、ステロイド単剤で十分な効果が得られない場合には、速やかに免疫抑制剤やγグロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)、二重膜濾過血漿交換療法(double filtration plasmapheresis:DFPP)を主流とする血漿交換、ステロイドパルス療法などの集中的治療を考慮すべきである。免疫抑制剤としては、アザチオプリンがガイドラインにて推奨度Bである他、シクロスポリン、シクロホスファミドなどがC1とされている2)。病勢が制御できた後の治療維持期においてはステロイドの減量を行い、PSL20mg/日以上では1~2週で1回に5~10mg/日、20mg/日以下では1~2ヵ月で1回に1~3mg/日を減量する。免疫抑制剤を併用している場合は、ステロイドを十分減量した後に免疫抑制剤を減量する。治療においては、PSL0.2mg/kg/日もしくは10mg/日以下で臨床的に症状を認めない状態、すなわち寛解を維持することを目標とする。4 今後の展望わが国において2010年に天疱瘡診療ガイドラインが作成され、診断、重症度、治療アルゴリズムなどが示された2)。治療導入期のDFPPやIVIgを含めた集中的治療が標準化した現在、適切な初期治療を行うことにより、多くの症例で寛解もしくは無症状の状態を維持することが可能となった。一方で、重症難治例や臨床的に寛解に至ってもステロイドを減量することが困難な例や再燃を繰り返す例が存在するのも事実である。近年、天疱瘡の病態機序については、自己抗体による直接的な細胞接着障害の他、細胞内シグナルの活性化によるDsgの細胞内への取り込みや、抗原特異的T細胞およびB細胞、さらには制御性T細胞の病態への関与が知られるようになった6-9)。抗原特異的B細胞をターゲットとしたヒトCD20に対するモノクローナル抗体であるリツキシマブやキメラ自己抗体受容体T細胞を利用した治療は、より標的を絞った今後の治療として注目されている10-12)。天疱瘡に対する治療は目覚ましく発展しており、今後さらに予後が改善されることが期待されている。5 主たる診療科皮膚科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本皮膚科学会ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 天疱瘡(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報天疱瘡・類天疱瘡友の会(患者とその家族および支援者の会)1)難病情報センター 天疱瘡2)天谷雅行ほか. 日皮会誌. 2010;120:1443-1460.3)込山悦子,池田志斈. 日皮会誌. 2008;118:1977-1979.4)Kakuta R, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020;6:1324-1330.5)Kwon EJ, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2008;22:1070-1075.6)Jolly PS, et al. J Biol Chem. 2010;285:8936-8941.7)Takahashi H, et al. J Clin Invest. 2011;121:3677-3688.8)Takahashi H, et al. Int immunol. 2019;31:431-437.9)Schmidt T, et al. Exp Dermatol. 2016;25:293-298.10)Joly P, et al. N Engl J Med. 2007;57:545-552.11)Ellebrecht CT, et al. Sience. 2016;353:179-184.12)Joly P, et al. Lancet. 2017;389:2031-2040.公開履歴初回2021年12月16日

409.

円形脱毛症と認知症リスク~コホート研究

 円形脱毛症は、さまざまな併存疾患と関連しており、認知症と同様の徴候が認められる疾患である。また、円形脱毛症による心理社会的なマイナスの影響は、認知症のリスク因子である社会との関与の低下につながる可能性がある。しかし、円形脱毛症と認知症との関連は、これまであまり知られていなかった。台湾・台北栄民総医院のCheng-Yuan Li氏らは、円形脱毛症と認知症リスクとの関連を調査するため、コホート研究を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2021年10月26日号の報告。 1998~2011年の台湾全民健康保険データベースより、45歳以上の円形脱毛症(ICD-9診断コード:704.01)患者2,534例および、年齢、性別、居住地、収入、認知症関連併存疾患、全身性ステロイド薬の使用、毎年の外来通院でマッチさせた対照群2万5,340例を抽出し、2013年までの認知症発症状況を調査した。潜在的な交絡因子で調整した後、マッチさせた各ペアの層別Cox回帰分析を用いて、円形脱毛症患者と対照群の認知症リスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・円形脱毛症患者は、対照群と比較し、すべての認知症(調整ハザード比[aHR]:3.24、95%信頼区間[CI]:2.14~4.90)、アルツハイマー病(aHR:4.34、95%CI:1.45~12.97)、不特定の認知症(aHR:3.36、95%CI:2.06~5.48)の発症リスクが高かった。・年齢と性別による層別分析では、65歳未満および65歳以上、男性および女性のいずれにおいても、すべての認知症および不特定の認知症リスクが高く、男性においてはアルツハイマー病リスクおよび65歳以上での発症リスクの増加が認められた。・観察開始後最初の1年または3年を除外した感度分析においても、一貫した結果が示された。 著者らは「円形脱毛症患者は、認知症発症リスクが高いことが示唆された。円形脱毛症と認知症リスクとの間にある根本的な病態生理を解明するためには、さらなる研究が必要である」としている。

410.

新作用機序のアトピー性皮膚炎外用薬「モイゼルト軟膏0.3%/1%」【下平博士のDIノート】第87回

新作用機序のアトピー性皮膚炎外用薬「モイゼルト軟膏0.3%/1%」今回は、アトピー性皮膚炎治療薬「ジファミラスト(商品名:モイゼルト軟膏0.3%/1%、製造販売元:大塚製薬)」を紹介します。本剤は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害作用を有する外用のアトピー性皮膚炎治療薬であり、既存薬とは異なる作用機序で皮膚の炎症を抑制します。<効能・効果>本剤は、アトピー性皮膚炎の適応で、2021年9月27日に承認されました。<用法・用量>通常、成人には1%製剤を1日2回、小児には0.3%製剤を1日2回、適量を患部に塗布します。小児でも、症状に応じて1%製剤を使用することができますが、症状が改善した場合は0.3%製剤への変更を検討します。なお、1%製剤で治療開始4週間以内に症状の改善が認められない場合は、使用を中止します。<安全性>国内でアトピー性皮膚炎患者を対象に行われた第III相試験では、本剤1%を投与した15歳以上182例中1例(0.5%)、2~14歳85例中3例(3.5%)、同様に本剤0.3%を投与した2~14歳83例中5例(6.0%)で副作用が報告されました。また、長期投与試験では本剤1%を投与した15歳以上166例中14例(8.4%)、2~14歳56例中8例(14.3%)、同様に本剤0.3%を投与した2~14歳144例中8例(5.6%)で副作用が報告されました。主な副作用は、色素沈着障害、毛包炎、掻痒症、ざ瘡などでした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、体内の炎症物質の活性を阻害することで、皮膚の炎症を抑えてアトピー性皮膚炎の症状を改善します。2.通常、人差し指の指先から第一関節まで(約2.5cm)チューブから押し出した量が、成人の手のひら2枚分の広さを塗るために必要な量です。3.粘膜や傷がある部位には塗らないでください。4.(女性に対して)この薬を使用している間および使用終了から一定期間は確実な方法で避妊してください。<Shimo's eyes>アトピー性皮膚炎(AD)の薬物療法は、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏、保湿薬を中心として行われてきました。近年は新しい治療薬として、2018年に皮下注射薬のデュピルマブ(商品名:デュピクセント)、2020年に外用薬のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のデルゴシチニブ軟膏(同:コレクチム)が発売され、治療選択肢が増えています。本剤は、既存のAD外用薬とは作用機序が異なり、PDE4の酵素活性を選択的に阻害して抗炎症作用を示す油脂性軟膏です。既存のPDE4阻害薬としては、2017年3月にアプレミラスト錠(同:オテズラ)が乾癬などの適応で発売されています。本剤の塗布量は、ステロイド外用薬を塗る際の目安となる1FTU(finger-tip unit)に順じ、人差し指の先端から第一関節まで押し出した量(約2.5cm、0.35g)が成人の手のひら約2枚分の皮疹面積に必要な塗布量となります。小児についても同様に、1FTUが小児の手のひら約2枚分の面積に相当すると考えてよいでしょう。服薬指導では、皮膚の清潔や保湿などのスキンケア、室内の清潔、適度な室温・湿度の保持、ストレスを避けるなど生活指導についてもフォローしましょう。なお、2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は行われていません。妊婦への使用については、ラットにおいて大量に使用した場合に胎児死亡率などが高くなったことが報告されており、投与しないことが望ましいとされています。授乳婦については、ラットにおいて授乳中の移行が報告されているので有益性投与です。参考1)PMDA 添付文書 モイゼルト軟膏0.3%/モイゼルト軟膏1%

411.

「五輪の裏で現場はギリギリまで追い詰められていた」感染症内科医・岡秀昭氏インタビュー(前編)

 2021年も残すところあと数週間。昨年の年明け早々に始まった新型コロナウイルス感染症との闘いは、2年近くになる。医療現場のみならず、社会全体を激変させたコロナだが、その最前線で治療に当たってきた医師は、最大の患者数を出した第5波を乗り越え、今ようやく息をつける状態となった。この休息が束の間なのか、しばらくの猶予となるのかは不明だが、諸外国の状況やオミクロン株の出現などを鑑みると、それほど悠長に構えていられないのが現在地点かもしれない。 第6波は来るのか。これまでのコロナ政策で今後も闘い続けられるのか―。地域のコロナ拠点病院で重症患者治療に奔走した感染症内科医・岡 秀昭氏(埼玉医科大学総合医療センター)に話を伺った。******* 今現在(11月8日)、コロナが始まって以来、一番落ち着いている。ここひと月近く、コロナの入院患者はいない。夏休みも取れなかった部下たちが、ようやく交代で休みを取ることができた。――最大のピークとなった第5波はどのような推移を辿り、減少傾向はいつごろから? まず、8月の上旬から逼迫感が出てきて、8月いっぱいはしんどかったと記憶している。それが9月に入り、患者が急激に減ってきた。8月と9月とでは状況がまったく違った。私自身、9月中旬には第5波の振り返りをする余裕も出てきて、9月後半にはずいぶん落ち着いていた。 過去の記録を見ると、9月7日時点で、入院数よりも退院数のほうが上回っている。9月13、20、27日と1週間ごとに、いくつかあったコロナ病棟を、患者の退院で空床化し、いったん閉鎖状態にしたのがこの時期だった。 振り返ると、五輪開幕の直前辺りから五輪期間中が最も大変だった。時期的にも、メディアでは五輪ばかりが話題になって、コロナの状況が取り上げられなくなっていた。 われわれの現場では、7月ごろからかなり危機感が募っていた。しかし一部の人が、重症者数は多くないので、医療体制は問題ないとメディアで公言し、五輪開催の機運が高まった。われわれもできる限りメディアの取材に応え、「重症者のピークは遅れてやってくるので、むしろこれから増える。楽観視しないでほしい」と切実な状況を訴えていたにもかかわらず、それは聞き届けられなかった。 私の主張はただ1つ、「五輪の延期」だった。今になってみてわかることだが、ワクチン接種が進んで落ち着いて来る時期、せめて10月以降になれば有観客でも開催できるはずだっただろうと思う。これは“後出しじゃんけん”ではなく、SNSでもたびたび発信していた。 しかし、菅 義偉前首相は、五輪開催を強行した。それが原因で感染者が増えたのかどうか、本当のところはわからない。しかし、五輪の裏で多くのコロナ患者が重症化し、医療が逼迫した結果、本来失わずに済んだ命が失われたことが紛れもない事実であることを伝えたい。 感染者数が減少にシフトしたかなりの要因は、言うまでもなくワクチンの普及によるものだろう。もうこれ以上の患者数になれば終わりだ……というギリギリまで追い詰められたところで、急速にブレーキが掛かった感覚だった。言い換えれば、われわれが治療に当たったそのころの重症患者のほとんどがワクチン未接種者、死亡も(免疫がつきにくい重篤な基礎疾患を有するなどの一部例外を除いて)、いずれも未接種者だった。五輪を強行開催した菅前首相に関して評価する点を挙げるなら、ワクチンを五輪に何とか間に合わせようと、かなりテコ入れしたことだろう。明らかにワクチン接種の急加速が入った。仮に五輪開催がなかったとしたら、あれほど接種が進まなかったかもしれない。そうなれば、第5波は高齢者を中心に重症者が増え、さらに大きなピークになっていた可能性がある。事実、第5波ピーク時の患者はワクチン未接種の40~50歳代が多かった。ワクチンが広がっていなかったら、さらに高齢者層が大きく上乗せされただろう。そうなれば死亡も格段に増えた可能性がある。 もう1つ、日本人の感染予防に対する意識の高さは、大いに評価されるべきだと思う。海外メディアが報じる現地の状況を見ると、マスクを着けていない人がいかに多いかがわかる。日本人の同調圧力とまでは言わないが、相互監視的に「ほかの人が着けてるから自分も着けなくては」という意識からか、外では皆がきちんとマスクを着用している。 この、ワクチン完遂率の高さと予防意識が、かなり第5波のブレーキには貢献したと考える。――第5波の渦中では、五輪開催と緊急事態宣言の発令などの相反する行動に多くの国民が矛盾と戸惑いを感じた。 さかのぼるが、第4波(2021年3月1日~6月20日)は、緊急事態宣言がスムーズかつ早く、大型連休前に発令された。あの発令については、医療者の中では高く評価されている。中には、「タイミングとして早過ぎるのでは」という指摘もあったようだが、先手を打って出せたのが第4波の宣言だった。ちょうど、より感染力の強いアルファ株に置き換わるタイミングだったにもかかわらず、少なくとも関東地域では比較的“ボヤ”程度で済んだ。ところが、第5波は違った。五輪という目標があり、そこに政治家たちが惑わされた。「そうたやすく宣言は出せない」という政府の思惑があったと思う。しかも、現場からの訴えを聞かず、「重症者は増えていない」というストーリーまで語ったのは間違いだった。あの時点で、すでに静観している場合ではなかった。 さらに、感染力が強いデルタ株の出現があり、より重症化しやすい特性もあった。そして、長らく続いた自粛ムードへの疲れと抑制効果の低下。国民はすでに相当な疲れと緩みを覚えていたし、そういう状況下にもかかわらず五輪は開催されるという。それなら、もう大丈夫なんじゃないかという形で、世論を割ることになってしまった。つまり、五輪開催と感染対策が矛盾し合うことになり、国民にうまく伝わらなかったのが、あの時期の日本だったと思う。――ワクチンに関して、ブレークスルー感染については現場で影響が? 自院では重症や中等症IIの治療がもっぱらで、在宅療養の軽症者は送られて来ない。つまり、ブレークスルー感染が起きていたとしても、現在の状況から推測できるのは、軽症で済んでいる、つまり重症化には至っていないということだ。したがって、ワクチンの90%の予防効果というのは、完全に100%防ぎ切るということではないにせよ、かなり予防できていて、ブレークスルー感染も想定の範囲内だということ。それでも重症化して送られてくるのは、重症化リスクを有するのにワクチン未接種の人とみて、第5波ではほぼ間違いなかった。 ワクチンが接種者のためだけと考えると、重症化しにくい年齢層にはその意義がなかなか見出しにくいかもしれない。ただ、これだけ効果があることがわかってきているコロナワクチンなので、自分も接種者となることで、社会の集団免疫を作る一員になるということ、それに協力することになる。今後、子どもへのワクチンも議論になってくるだろう。子ども個人の健康を守るという側面もあるが、もし第6波で重症者が多く出て来たら、子どもまで接種していかないと抑制できないのではないかと考える。それは子ども自身の現在だけでなく、成人した後の未来も守ることになり、ひいてはその周りの家族をも守ることになる。――米国ではすでに5~12歳まで接種対象が引き下げられている。 日本での導入には議論が必要になると思うが、ポイントとしては、子どもが感染したとしても重症化リスクは小さいということと、人種として多系統炎症症候群(MIS-C)を起こすアジア人が相対的に少ないという点がある。そして大人から子どもへの感染は多いが、その逆は少ないというのもある。その点で、周りを守るというワクチンの意義が、子供に関してはそこまで大きくないのではないかという指摘もある。治験では一定の効果が示されているが、副反応もあり、そこまでして子供に接種させるべきなのかというと、微妙だという意見もある。ワクチン供給量とのバランスという観点も考える必要があるだろう。もしくは、追加接種も含め途上国とのバランスという問題もあり、そこが崩れると輸入感染症になるという危惧が出てくる。 コロナに関しては、ある1つの国が“ひとり勝ち”というわけにいかない。今後、世界的に経済活動が再び活発化してきた時、海外との人流増加は避けられない。ビジネス相手国となるワクチン接種が遅れている一部のアフリカや南米、アジア諸国との行き来が増えれば、確実に入って来る。そうした点でも、世界のバランスをとってワクチン接種を進めていく必要がある。 抗体価は接種から半年で低下するのはすでに知られているが、デルタ株でも重症化を減らす効果は依然続いており、そこまで追加接種を慌てなくてもよいのではないかとは思う。一方で、ワクチンを2回打っていても免疫不全者、とくに抗がん剤治療中の患者や臓器移植患者には抗体が2回では十分につかず、ワクチンの予防効果が下がることがわかっている。今、追加接種が優先的に必要なのはそうした患者、もしくはその周りにいる医療従事者や家族だろう。更なる展望としては、抗体カクテル、モノクローナル抗体治療薬、経口薬も出てくるだろうが、高額な薬価の問題がある。抗体カクテルの重症化リスクがある患者への早期治療投与が有用ということはデータに示されているが、それも7割の重症阻止効果ということで、単純比較だがワクチンのほうが効果が高いことがわかる。また、曝露後予防には9割近い効果があるとされているが、推定薬価は30万前後と高額だ。これらの治療薬の効果が証明されているのは、重症化リスクがある患者に対してであり、リスクのない患者にはコストパフォーマンスも含め効果は不透明である。ワクチンが数千円ということを考えると、未接種者でも、万一感染したら皆が抗体カクテルや経口薬の治療が受けられ、効果もあるという理屈は間違っているという認識が必要だ。抗体カクテルは受動免疫で、一時的に外部から抗体を入れるという仕組み。つまり、入れた抗体がなくなれば無効になる。一方、ワクチンの免疫は接種によって能動的に免疫をつけるという仕組みなので、減弱するものの、長く効果が続く。しかもコストパフォーマンスも良い。抗体カクテルや治療薬が、ワクチンに置き換わるものでは決してないことも理解してほしい。 一部からは、「コロナを5類感染症に」という声が上がっているが、医療費が現在の全額公費負担から3割負担になるのだというところまで理解して言っているのかと問いたい。例えば、レムデシビルは1本6万円。入院初日はそれを2倍量使うので、2本で12万円。さらにその後4日間使うので、薬剤費だけで40万円近く掛かる。レムデシビルが必要な人は酸素やステロイド剤、場合によってはICUに入り、人工呼吸器が必要なケースもある。状況によっては、高価な生物学的製剤や抗菌薬も使う。相当額になる治療費を、現在は公費で全額負担しているのに、5類となった場合にはどうなるのか。高額療養費が適用されるかもしれないが、それでもかなりの額を患者自身が負担することになる。自己負担が大きく増えるということは、全員が望む治療を受けられるかどうかという観点からもかなり危惧する。それだけ最近の治療薬は高コスト。今後続いていくコロナ治療薬も、内服であってもそれなりに高額な薬価となるだろう。 また、コロナ治療薬に関しては、現在のところすべてが特例承認で迅速化が優先されているが、今までもガチフロキサシンやテリスロマイシンなどの抗菌薬などでIII相試験まで治験が進んで効果が確認されたにもかかわらず、いざ承認されて多くの患者に投与したら、低血糖や意識消失などの思わぬ副作用が確認されて使われなくなった例が複数ある。さらにもう1つの懸念は、感染症治療薬は、多用すればいずれは耐性化するのが常であるという問題がある。選択肢が増えてくるのはいいが、その裏にはたくさんの課題があることも忘れてはならない。 コロナに関して、ワクチンの副作用は気にする人が多いのに、治療薬だとなぜウェルカムなのかは疑問だ。治療薬にも副作用があって、新薬が怖いという点はワクチンと同じだ。治療薬を投与するのは、つまりコロナに罹患したということなので、後遺症の問題もある。やはり、感染するより未然に防げたほうがよいのは自明だ。したがって、治療薬が出てきたらワクチンは不要ということには決してならないということは強調したい。<後編に続く>

412.

非小細胞肺がん化学放射線療後のデュルバルマブ地固め療法、リアルワールドでの肺臓炎発現(HOPE-005 / CRIMSON)/Lung Cancer

 デュルバルマブによる局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線同時療法(CCRT)後の地固め療法は標準治療として用いられて久しい。しかし、同デュルバルマブの地固め療法での肺臓炎の発症、再投与の実臨床での状況は明らかになっていない。デュルバルマブ地固め療法を局所進行非小細胞肺がんで安全に完遂する この状況を調べるため、Hanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)では、化学放射線療法を実施した非小細胞肺の医療記録を後ろ向きに評価したHOPE-005 / CRIMSON試験を実施。その結果がLung Cancer誌に掲載された。 デュルバルマブの地固め療法での肺臓炎の発症について評価した主な結果は以下のとおり。・対象は、2018年5月〜2019年5月に化学放射線療法を開始した非小細胞肺がん患者302例で、年齢中央値は70歳であった。・V20(20Gy以上照射される肺体積の全肺体積に対する割合)が5%を超えた症例は2%、平均肺線量20Gyを超えた症例は1%であった。・デュルバルマブの地固め療法は75%(225例)の症例で実施されていた。・肺臓炎/症候性肺臓炎の発現は、全Gradeで83%(251例)、Grade3以上は34%(103例)、Grade5は7%(21例)で、25%が肺臓炎治療のためのステロイド投与を受けた。・多変量解析により、症候性肺臓炎発症の予測因子は、V20 25%以上(オッズ比[OR]:2.37、p=0.008)、平均肺線量(MLD)10Gy以上(OR:1.93、p<0.0047)であった。・デュルバルマブ地固め療法後の肺臓炎でステロイドを投与された52例のうち、21例はデュルバルマブを再投与された。・患者全体の81%がPACIFIC試験の再投与基準を満たしており、デュルバルマブの再投与で重症の肺臓炎を再燃した症例はみられなかった。 局所進行非小細胞肺がんの化学放射線療法とデュルバルマブの地固め療法を安全に完遂するには、放射線科と腫瘍内科医との協力が重要である、と筆頭著者である千葉大学の齋藤 合氏は結んでいる。

413.

ステロイド投与に関連する臨床試験の難しさ:心肺蘇生の現場から(解説:香坂俊氏)

(1)敗血症性ショック症例に対するステロイド投与今回のテーマはVAM-IHCA試験という院内の心停止症例に対してバソプレシン+メチルプレドニゾロンを投与するかどうかというRCTなのであるが(JAMA誌掲載)、このテーマに関しては少し昔の話から始めさせていただきたい。ステロイドが集中治療の現場に登場したのは、2002年くらいからではないだろうか。Annane氏らによってフランスで敗血症性ショック症例を対象としたRCTが行われ(300例)、ACTH負荷不応だった患者に対して・ヒドロコルチゾン50mg(6時間ごと)+フルドロコルチゾン50mg(24時間ごと)を7日間実施すると、プラセボと比較して、ICU死亡(58% vs.70%)や院内死亡(61% vs.72%)が減少したと報告された。この研究を契機に、敗血症性ショックにはACTH試験を行い不応性であればステロイド投与を行うというのが普及した。当時自分はニューヨークで内科のレジデントをやっていたが、ICUのことが詳しかった同僚※に「これどうなの?」とか聞いたりして、四苦八苦しながらそのプロトコールを実施していた記憶がある。しかし、このフランスのRCTは小規模なものであり、プロトコール外で副腎ステロイド複合体阻害薬が投与されていた症例が少なからずいたこと、フルドロコルチゾンが単なる交絡因子であった可能性、そして対照群で抗菌薬投与の遅れがあったなど、議論の余地が結構残されていた。その後、さまざまな小規模あるいは中規模の試験が行われたが、明確な結論を得るに至らず、2018年にようやく満を持してADRENAL試験(3,800例)の結果が報告された。その結果であるが、Among patients with septic shock undergoing mechanical ventilation, a continuous infusion of hydrocortisone did not result in lower 90-day mortality than placebo. というものであった。(2)心停止症例に対するステロイド投与前置きが長くなったが、今回デンマークで行われたVAM-IHCA試験の結果を拝読し、Annane氏らの敗血症性ショックに対するRCTの結果が重なった。VAM-IHCAは501人の院内心停止症例を対象としており、蘇生時にバソプレシン+メチルプレドニゾロン(40mg)、あるいは通常どおりエピネフリンを投与するかどうかをランダム化したものであり(Annane氏らの研究と異なりメチルプレドニゾロンの投与は蘇生時の1回のみ)、結果としてROSC(return of spontaneous circulation)の率は改善したものの(42% vs.33%)、30日生存率の改善には至らなかった(10% vs.12%)。VAM-IHCAではAnnane氏らの研究と同様にさまざまな交絡が指摘されており、たとえば24時間生存したプラセボ群の患者の実に46%が何らかのステロイドの投与が行われていた。また、プライマリエンドポイントはあくまでROSCであり、生存率を検証するための症例数はこの研究ではそもそも担保されていなかったという限界もある。今後この領域でADRENALのような決定的な臨床試験が行われるか? そこはかなり難しいように思われるが、デンマークを含む北欧諸国の成熟したregistry-based RCTのシステムを用いればもしかすると可能かもしれない(3)今後心肺蘇生のプロトコールは変更されるか?敗血症性ショックに対するステロイド治療の歴史を体験してきた身としては、この領域の試験の難しさは身に染みてわかっているつもりである。ステロイドにはα受容体をアップレギュレートする効果があり、また全身的な炎症反応が不活化されている状況下で相対的な副腎機能低下を補うことも期待される。しかし、このように「想定されるベネフィット」も臨床試験の検証があってのものであり、VAM-IHCA試験の結果を踏まえて、すぐにASLSなどの心肺蘇生のプロトコールが変更されることはないだろう。ステロイド治療は、一部のCPR-refractoryの患者群のみに用いられるべき、と捉えるのが現段階での最適解ではなかろうか。※現Intermountain LDS HospitalのICU Directorである田中 竜馬氏

414.

リサンキズマブ、重症喘息への有効性は?第IIa相試験/NEJM

 重症喘息の治療において、抗インターロイキン-23p19モノクローナル抗体リサンキズマブに有益性はなく、プラセボと比較して初回の喘息悪化までの期間が短く、喘息悪化の年間発生率が高いことが、英国・レスター大学のChristopher E. Brightling氏らの検討で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年10月28日号に掲載された。9ヵ国の第IIa相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験 本研究は、重症喘息の成人患者におけるリサンキズマブの有効性と安全性の評価を目的とする24週間の第IIa相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、9ヵ国48施設が参加し、2015年8月~2018年2月の期間に実施された(AbbVieとBoehringer Ingelheimの助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳、スクリーニングの少なくとも1年前に喘息と診断され、中~高用量の吸入コルチコステロイドと、1種以上の長期管理薬(controller)の投与を受けている患者であった。 被験者は、リサンキズマブ90mgを4週ごとに皮下投与する群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。治療期間は24週で、観察期間は16週であった。 主要エンドポイントは、24週の治療期間中における初回の喘息悪化までの期間とされた。喘息悪化は、(1)ベースラインから2日以上持続する悪化(朝の最大呼気流量[PEF]の30%以上の減少、または24時間におけるレスキュー薬の噴霧回数のベースラインから50%以上の増加[噴霧回数の4回以上の増加に相当])、(2)重度の喘息増悪、(3)5項目喘息コントロール質問票(ACQ-5)のスコア(0~6点、点数が高いほどコントロールが不良)の0.75点以上の増加のいずれかと定義された。初回喘息悪化までの期間:40日vs.86日 214例が登録され、リサンキズマブ群に105例(平均年齢[±SD]54±11歳、女性65.7%)、プラセボ群に109例(52±13歳、58.7%)が割り付けられた。 初回喘息悪化までの期間中央値は、リサンキズマブ群が40日と、プラセボ群の86日に比べ短かった(ハザード比[HR]:1.46、95%信頼区間[CI]:1.05~2.04、p=0.03)。 また、喘息悪化の年間発生の率比は1.49(95%CI:1.12~1.99)、重度急性増悪の年間発生の率比は1.13(0.75~1.70)であり、いずれもリサンキズマブ群のほうが不良であった。 喀痰を用いたトランスクリプトーム経路解析では、リサンキズマブによって、ナチュラルキラー細胞と細胞傷害性T細胞の活性化に関与する遺伝子、および1型ヘルパーT細胞と17型ヘルパーT細胞の転写因子の活性化に関与する遺伝子が、ダウンレギュレートされたことが示された。 リサンキズマブ療法に関連する安全性の懸念はなく、有害事象および重篤な有害事象の発生は両群で同程度であった。 著者は、「リサンキズマブは喀痰細胞数に影響を及ぼさなかったが、細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー細胞を介する気道免疫に関連する遺伝子経路を減弱させた。これらの知見は、喘息治療の標的としてのインターロイキン-23/17型ヘルパーT細胞連関の役割を弱体化するものである」としている。

415.

中等症~重症喘息へのitepekimabの有効性と安全性~第II相試験/NEJM

 中等症~重症の喘息患者において、抗IL-33モノクローナル抗体itepekimabはプラセボと比較し、喘息コントロール喪失を示すイベントの発生率を低下させ、肺機能を改善することが、米国・National Jewish HealthのMichael E. Wechsler氏らによる第II相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ比較対照試験で示された。itepekimabは、上流のアラーミンであるIL-33を標的とした新規開発中のモノクローナル抗体である。これまで、喘息患者におけるitepekimab単剤療法、あるいはデュピルマブとの併用療法の有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2021年10月28日号掲載の報告。itepekimab単剤またはデュピルマブとの併用をプラセボと比較 研究グループは、吸入ステロイド薬と長時間作用性β刺激薬(LABA)の投与を受けている中等症~重症の成人喘息患者296例を、itepekimab(300mg)群、itepekimab+デュピルマブ併用療法(いずれも300mg)群、デュピルマブ(300mg)群、プラセボ群に、1対1対1対1の割合に無作為に割り付け、いずれも2週ごとに12週間皮下投与した。無作為化後、4週時にLABAを中止し、6~9週に吸入ステロイドを漸減した。 主要評価項目は、喘息コントロール喪失(Loss of asthma control:LOAC)を示すイベント(朝の最大呼気流量が2日連続でベースラインから30%以上減少、電子日誌で報告された短時間作用性β2刺激薬の追加吸入が2日連続でベースラインから6回以上増加、全身性ステロイド投与を要した喘息増悪、直近の吸入ステロイドの投与量が4倍以上増加、または喘息による入院または救急外来受診)で、itepekimab群または併用療法群をプラセボ群と比較した。 副次評価項目およびその他の評価項目は、肺機能、喘息コントロール、QOL、タイプ2バイオマーカー、安全性などであった。itepekimab単剤で喘息コントロール喪失のイベント発生率が低下し、肺機能が改善 12週間におけるLOACのイベント発生率は、itepekimab群22%、併用療法群27%、デュピルマブ群19%、プラセボ群41%であった。プラセボ群に対するオッズ比は、itepekimab群が0.42(95%信頼区間[CI]:0.20~0.88、p=0.02)、併用療法群が0.52(0.26~1.06、p=0.07)、デュピルマブ群が0.33(0.15~0.70)であった。 気管支拡張薬使用前の1秒量は、プラセボ群と比較しitepekimab群ならびにデュピルマブ群では増加したが、併用療法群では増加しなかった。itepekimabの投与により、プラセボ群と比較し喘息コントロールとQOLを改善し、平均血中好酸球数が著明に減少した。 有害事象の発現率は、itepekimab群70%、併用療法群70%、デュピルマブ群66%、プラセボ群70%と、4つの治療群で類似していた。

416.

潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法における低分子医薬品ozanimodの有用性(解説:上村直実氏)

 選択的スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬ozanimodの潰瘍性大腸炎(UC)に対する有用性を検証した第III相臨床試験の結果、中等度から重度UCの寛解導入および寛解維持に有効性を認めたことがNEJM誌に掲載された。選択的S1P受容体調整薬ozanimodはUC患者の大腸粘膜へのリンパ球の浸潤を抑えることで炎症を抑制する効果が期待されている新規の低分子医薬品である。UCは特定疾患に指定されている原因不明の炎症性腸疾患(IBD)であり、現在の患者数は約18万人である。UCに対する薬物治療については、5-ASA製剤、ステロイド製剤、免疫調節薬、生物学的製剤が使用されているが、最近、ステロイドの長期投与に伴う副作用や依存性の懸念が強まり、ステロイドからの離脱や減量を目的として生物学的製剤や低分子医薬品の開発が盛んに行われている。すなわち、抗TNF阻害薬、インターロイキン阻害薬ウステキヌマブ、インテグリン拮抗薬vedolizumab、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬フィルゴチニブ、今回のozanimodなど新規薬剤の有用性を示す試験結果が報告されて次々と上市されている。今後、さらなる難治性のUCに対しては生物学的製剤と低分子医薬品の併用の有用性と安全性の検証が必要となることも予測される。 ozanimodを含めてUCに対する有用性と安全性を検証する臨床試験の研究デザインは国際間多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験でほぼ一致しているが、最近のアウトカムは、一昔前の下痢や血便回数などの臨床的改善度のみでなく内視鏡を用いた肉眼的な粘膜治癒に加えて生検組織に好中球浸潤を認めないといった厳密なものに代わっている。したがって、試験結果の信憑性は高く、一般診療現場における有用性も十分に期待できるようになっている。 一方、薬剤の効果があればあるほど副作用ないしは安全性に関しては注意が必要となる。UCやリウマチなど自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化はよく知られているが、まれなものとして重篤なウイルス性脳疾患である進行性多巣性白質脳疾患(PML)の発現も報告されている。さらに市販後数年経過して心血管血栓症や死亡リスクの上昇が判明した事案の報告もあり、観察期間が限定されている臨床試験では検証できない長期使用の安全性については市販後に注意深く検証されるべきであり、今後、市販後の長期安全性に関する精緻な検証体制が重要である。

417.

閉塞性細気管支炎〔BO:Bronchiolitis obliterans〕

1 疾患概要■ 概念・定義閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans:BO)の用語は、1901年にLangeによって初めて記述されたが、1973年にGosinkらによって瘢痕性の細気管支閉塞を来す病態として疾患概念が確立された。さまざまな病態を背景に、細気管支粘膜下から周辺の線維化・瘢痕化により細気管支内腔が閉塞し、肺野全体に散在性に広がることにより呼吸不全を来す疾患である。■ 疫学閉塞性細気管支炎は、乳幼児から高齢者までの男女に発症する希少疾患である。世界的にも疫学調査研究はなく有病率は不明であるが、わが国における全国調査では、2003年では287例、2011年では477例と報告されている。■ 病因閉塞性細気管支炎の原因として、有毒ガスの吸入、マイコプラズマやウイルス感染、ならびに薬剤との関連が報告されている。また、膠原病や自己免疫疾患への合併の報告が多く、とくに慢性関節リウマチに多い。特殊な例として、肺内で増殖性に広がる神経内分泌細胞の過形成に合併するもの、植物摂取によるもの(アマメシバ)、腫瘍随伴性天疱瘡への合併などその原因は多様である。原因不明の特発性症例の報告はまれであるが存在する。 近年、骨髄移植や心肺移植が盛んになるにつれ閉塞性細気管支炎の合併が報告され、これらの事実から何らかの免疫学的異常を背景に発症するものと考えられる。とくに心肺移植患者の長期予後を左右する重要な因子である。また、造血幹細胞移植においても長期生存移植患者のQOLを著しく悪化させる合併症である。■ 症状1)無症状期病初期には自覚症状や他覚症状がなく、早期の病変をみつけるには、現時点では肺機能検査のみが唯一の手段である。1秒量(FEV1.0)の低下を認めることから、肺移植患者ではFEV1.0とFEF25-75の低下が重症度の指標とされている。2)自覚症状期病変が広がることにより、乾性咳嗽や労作時呼吸困難が出現する。また、気管支喘息のような強制呼気時の連続性副雑音の自覚症状が現れることがある。3)進行期病勢が進むと細気管支閉塞部位より中枢の気管支拡張や繰り返す気道感染、胸腔内圧の上昇による気胸・縦隔気腫などを合併し、呼吸不全が進行する。■ 予後肺病変は不可逆的変化であるため、一般的に予後不良である。しかし、その経過はさまざまであり、(1)急激に発症し、急速に進行するもの、(2)急激に発症し病初期は急速に進行するが、その後安定した状態で肺機能を保つもの、(3)ゆっくりと発症し、慢性の経過で進行していくものがある。肺移植後5年までの閉塞性細気管支炎合併率は50~60%と報告されており、閉塞性細気管支炎発症後の5年生存率は30~40%と不良である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)自覚症状や身体所見から診断することは困難である。胸部単純X線画像は、ほぼ正常か、わずかに過膨張を示すに過ぎず、CTにおいても病勢が進行しなければ、異常と捉えられる所見は乏しい。高分解能CT(High-resolution CT:HRCT)の吸気相・呼気相での空気捕らえ込み現象(air-trapping)が診断の助けとなる。肺血流シンチにおける多発性陰影欠損を認めることがあり、肺血栓塞栓症との鑑別が問題になる。しかし、同時に肺換気シンチを実施することにより、肺血流シンチと同一部位の多発性陰影欠損を認める。閉塞性細気管支炎の確定診断には組織診断が必要であるが、肺機能が悪く、外科的肺生検に適さない症例も多い。また、病変が斑紋状分布であることや、病変部位を画像で捉える手段がないことから、不十分な標本のサンプリングや切り出しでは、外科的肺生検でも時に組織診断ができないことがあるので注意が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)閉塞性細気管支炎の確立された治療法はなく、治療の目標は、細気管支での炎症を抑制し安定した状態に保つことである。■ 薬物療法骨髄移植や心肺移植、膠原病などの免疫学的背景を有する閉塞性細気管支炎に対しては、ステロイド薬や免疫抑制剤による免疫抑制強化が行われる。呼吸不全に対しては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に準じた治療が選択され、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入ステロイド薬(ICS)などが、自覚症状に合わせて用いられる。■ 在宅酸素療法労作時の低酸素血症を来たす場合には、慢性呼吸不全に対する保険適用に準じて在宅酸素療法が導入される。■ 手術療法内科的な治療にもかかわらず低酸素血症、高炭酸ガス血症、繰り返す気胸、呼吸機能障害が進行する場合で、年齢が55歳未満(両肺移植)、精神的に安定しており、本人と家族を含め移植医療を支える環境と協力体制が期待できる場合に肺移植の適応を検討する。4 今後の展望閉塞性細気管支炎は希少疾患であるが、骨髄移植や心肺移植をはじめ、移植医療が盛んになるにつれて発症の増加が予想される。また、自己免疫疾患や膠原病への合併症例や特発性症例の診断を確立していく上でも、今後の臨床情報の集積と早期診断・治療・予防に関する前向き研究を期待したい。5 主たる診療科呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 閉塞性細気管支炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業(びまん性肺疾患に関する調査研究班)(医療従事者向けのまとまった情報)1)長谷川好規. 日内会誌. 2011;100:772-776.2)Barker AF, et al. N Engl J Med. 2014;370:1820-1828.3)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「びまん性肺疾患に関する調査研究班」編. 難治性びまん性肺疾患診療の手引き.南江堂:2017.公開履歴初回2021年11月2日

418.

やせ過ぎは尿路感染症の死亡の危険因子に/国立国際医療研究センター

 尿路感染症のために入院している患者は年間約10万人と推定され、高齢になるほど患者は増え、90歳以上では1年間で100人に1人が入院し、その入院医療費は年間660億円にのぼると見積もられている。その実態はどのようなものであろう。 国立国際医療研究センターの酒匂 赤人氏(国府台病院総合内科)らは、東京大学などとの共同研究により、尿路感染症で入院した23万人の大規模入院データをもとに、尿路感染症による入院の発生率、患者の特徴、死亡率などを明らかにすることを目的に調査を行い、今回その結果を発表した。 その結果、年間約10万人が入院し、患者平均年齢は73.5歳で、女性が64.9%を占め、入院中の死亡率は4.5%だった。また、年代や性別にかかわらず、夏に入院患者が多く、冬と春に少ないという季節変動がみられた。23万人のデータを解析【研究の背景・目的】 尿路感染症は敗血症やDIC(播種性血管内凝固症候群)といった重篤な状態に至ることもあり、死亡率は1~20%程度と報告され、高齢、免疫機能の低下、敗血症などが死亡の危険因子だと言われているが、日本での大規模なデータはなかった。わが国の大規模入院データベースであるDPCデータを利用し、尿路感染症による入院の発生率などを明らかにすることを目的に研究を行った。【方法】 DPCデータベースを用い、2010~15年に退院した約3,100万人のうち、尿路感染症や腎盂腎炎の診断により入院した15歳以上の患者23万人のデータを後ろ向きに調査(除く膀胱炎)。年間入院患者数を推定し、患者の特徴や治療内容、死亡率とその危険因子などを調査した。【結果】・患者の平均年齢は73.5歳、女性が64.9%を占めた・年代や性別にかかわらず、夏に入院患者が多く、冬と春に少ないという季節変動がみられた・尿路感染症による入院の発生率は人口1万人当たりで男性は6.8回、女性は12.4回・高齢になるほど入院の発生率が高くなり、70代では1万人当たり約20回、80代では約60回、90歳以上では約100回・15~39歳の女性のうち、11%が妊娠していた・入院初日に使用した抗菌薬はペニシリン系21.6%、第1世代セフェム5.1%、第2世代セフェム18.5%、第3世代セフェム37.9%、第4世代セフェム4.4%、カルバペネム10.7%、フルオロキノロン4.5%・集中治療室に入ったのは2%、結石や腫瘍による尿路閉塞に対して尿管ステントを要したのは8%だった・入院日数の中央値は12日で、医療費の中央値は43万円・入院中の死亡率は4.5%で、男性、高齢、小規模病院、市中病院、冬の入院、合併症の多さ・重さ、低BMI、入院時の意識障害、救急搬送、DIC、敗血症、腎不全、心不全、心血管疾患、肺炎、悪性腫瘍、糖尿病薬の使用、ステロイドや免疫抑制薬の使用などが危険因子だった尿路感染症の死亡の危険因子で体型が関係 今回の調査を踏まえ、酒匂氏らは次のようにコメントしている。「尿路感染症は女性に多いことが知られているが、高齢者では人口当たりの男性患者は女性と同程度であることもわかった。夏に尿路感染症が多いことが、今回の研究でも確かめられ、さらに年代や性別によらないことがわかった。また、冬に死亡率が高いこともわかった。一方で、なぜ季節による変化があるのかについてはわからず、今後の他の研究が待たれる。患者一人当たりの平均入院医療費は約62万円(日本全体で年間約660億円と推定)がかかっており、医療経済的な観点でも重要な疾患であることが確かめられた。尿路感染症には軽症から重症なものまであり、死亡率は1~20%とかなり幅があるが、今回の研究では4.5%だった。死亡の危険因子として、従来わかっている年齢や免疫抑制などのほかにBMIが低いことも危険因子であることがわかった。近年、さまざまな疾患で太り過ぎよりもやせ過ぎていることが体によくないということがわかってきたが、今回の研究でもBMI18.5未満の低体重ではそれ以上と比べて死亡率が高いことがわかった」。 なお、今回の研究にはいくつかの限界があり、内容を解釈するうえで注意を要するとしている。

419.

COVID-19患者の26%に半年後も何らかの症状/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の遷延症状は、当初から知られており、地域によっては専門外来が設置されるなど、今後のCOVID-19診療のフォローアップとしても注目されている。 国立国際医療研究センター 国際感染症センターの宮里 悠佑氏らのグループは、COVID-19罹患後の遷延症状に関して、長期的な疫学的情報に加え、遷延症状が出現・遷延するリスクを同定するために、COVID-19罹患後の患者を対象としてアンケート調査を実施し、その結果を「新型コロナウイルス感染症罹患後の遷延症状の記述疫学とその出現・遷延リスク因子に関する報告」として発表した。 その結果、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいこと、若年者ややせ型であるほど味覚・嗅覚障害が出現しやすいことが判明した。457例のCOVID-19患者を調査、400日以上も何らかの症状ありも【研究の背景】 国内外の報告からCOVID-19に遷延症状があることが確認され、国内の複数の調査では、中等症以上の患者512例において、退院後3ヵ月の時点で肺機能低下(とくに肺拡散能)が遷延していた。また、軽症者を含む525例において、診断後6ヵ月の時点で約80%は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していたが、一部の症状が遷延すると生活の質の低下、不安や抑うつ、睡眠障害の傾向が強まることがわかった。嗅覚・味覚障害を認めた119例において、退院後1ヵ月までの改善率は嗅覚障害60%、味覚障害84%だった。そして、罹患後半年以上追跡した疫学調査報告や遷延症状が出現するリスク調査は少なく、また、遷延のリスク因子に関する報告はこれまでになかったことから調査を実施したものである。【研究概要】研究名:新型コロナウイルス感染症の遷延症状出現と遷延リスク因子方法:2020年2月~2021年3月までに国立国際医療研究センター病院のCOVID-19回復者血漿事業スクリーニングに参加した患者を対象として、アンケート調査を実施。調査項目は、患者背景、COVID-19急性期の重症度や治療内容、遷延症状の各症状の有無とその遷延期間。症状の出現頻度や遷延期間から、各症状を(1)急性期症状、(2)急性期から遷延する症状、(3)回復後に出現する症状の3つに分類した。また、遷延症状である(2)と(3)に関して、症状の出現リスク、症状が出現した患者における遷延リスクを探索的に調査した。【調査の結果】 対象の526例のうち457例から回答を得た(回収率86.9%)。回答者の年齢の中央値は47歳、231例(50.5%)が女性で、何らかの基礎疾患を有したのは212例(46.4%)、欠損値9例を除いた448例のうち、重症度は軽症が378例(84.4%)、中等症が57例(12.7%)、重症が13例(2.9%)だった。また、発症日からアンケート調査日までの期間の中央値は248.5日。 COVID-19の各症状は、(1)急性期症状:発熱、頭痛、食欲低下、関節痛、咽頭痛、筋肉痛、下痢、喀痰、(2)急性期から遷延する症状:倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、咳嗽、呼吸困難、(3)回復後に出現する症状:脱毛、集中力低下、記銘力障害、うつに分類された。 発症時もしくは診断時から6ヵ月経過時点で337例(73.7%)が無症状であり、120例(26.3%)に何らかの症状を認めた。また、発症時もしくは診断時から12ヵ月経過時点で417例(91.2%)が無症状であり、40例(8.8%)に何らかの症状を認めた。 倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、脱毛に関して、その出現リスクと遷延リスクを解析したところ、男性と比較して女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいことがわかった。また、若年者、やせ型であるほど味覚・嗅覚障害が出現しやすいことがわかった。抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療の有無と遷延症状の出現に関して、明確な相関は見受けられなかった。【研究結果から判明したこと】 研究グループは研究結果から次のコメントを述べている。・女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすいことがわかった。また、味覚・嗅覚障害は若年者で多く、生活の質を著しく低下させる可能性がある。・約4例に1例(26.3%)が半年間たっても何らかの遷延症状を呈しており、軽症者であっても遷延症状が長引く人がいることが明らかになった。・最も重要な遷延症状の予防はCOVID-19に罹患しないことであり、基本的な感染対策が重要と考えられる。・抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療がCOVID-19遷延症状の出現予防に寄与しないことがわかった。 なお、この研究では、想起バイアス、アンケート調査、主観的側面、対象者の偏向が生じうること、サンプル数に限界があること、アンケート調査時に症状を有している患者は症状の持続時間を過小評価している可能性があることなど研究限界があると注意を与えている。

420.

国内2剤目の軽症~中等症COVID-19治療薬「ゼビュディ点滴静注液500mg」【下平博士のDIノート】第84回

国内2剤目の軽症~中等症COVID-19治療薬「ゼビュディ点滴静注液500mg」出典:グラクソ・スミスクライン ホームページ今回は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ソトロビマブ(遺伝子組換え)(商品名:ゼビュディ点滴静注液500mg、製造販売元:グラクソ・スミスクライン)」を紹介します。本剤は、重症化リスクを有する軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の重症化を防ぐことが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2021年9月27日に承認され、9月29日に発売されました。本剤は、臨床試験における主な投与経験を踏まえ、COVID-19の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与を行います。なお、本剤の中和活性が低いSARS-CoV-2変異株に対しては有効性が期待できない可能性があります。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として500mgを単回点滴静注します。COVID-19の症状が発現してから1週間程度までを目安に速やかに投与します。なお、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症が現れることがあるため、本剤投与中はアナフィラキシーショック、アナフィラキシーに対する適切な薬物治療(アドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬など)や緊急処置を直ちに実施できる環境を整え、投与終了後は症状がないことを確認します。<安全性>海外第II/III相試験(COMET-ICE試験)において、本剤投与群523例中、副作用発現数は8例(2%)でした。報告された副作用は、臨床検査値異常2件、発疹、皮膚反応、悪心、注入部位疼痛、疼痛、味覚不全、頭痛、不眠症がそれぞれ1件でした。なお、重大な副作用として、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症、infusion reactionが現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.本剤は、新型コロナウイルスに結合してヒト細胞へのウイルスの侵入を防ぐことで、重症化を防ぐ薬です。2.過去に薬剤などで重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方は、必ず事前に申し出てください。3.投与中または投与後に、発熱、悪寒、吐き気、不整脈、胸痛、脱力感、頭痛のほか、過敏症やアレルギーのような症状が現れた場合は、すぐに近くの医療者または医療機関に連絡してください。<Shimo's eyes>本剤は、軽症を含むCOVID-19患者を対象としたモノクローナル抗体製剤です。本剤の作用機序は、すでに承認されているカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)と基本的には同じですが、標的となるスパイクタンパクの受容体結合ドメインが異なるので、変異株に対する感受性も異なると考えられます。投与対象者は「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者(軽症~中等症I)」で、選択基準として酸素飽和度が94%以上(室内気)とされており、重症患者は対象ではありません。重症化リスクの高い軽症~中等症患者を対象としたCOMET-ICE試験において、本剤投与群の入院または死亡の割合は、プラセボ群と比較して79%低減しました。投与のタイミングは、COVID-19の症状が発現してから速やかに投与することが望ましく、症状発現から1週間程度までが目安となります。現時点では入院患者を対象に、点滴による静脈内投与を30分かけて1回行います。投与中および投与後は、ほかの抗体製剤と同様にアナフィラキシーを含む重篤な過敏症およびinfusion reactionに注意が必要です。なお、本剤は特例承認された薬剤であり、承認時におけるCOVID-19への治療効果や副作用について得られている情報が限られているため、あらかじめ患者または家族などにその旨を説明し、文書による同意を得てから本剤を使用する必要があります。現状では安定的な供給が難しいことから、当面の間は重症化リスクがあり入院治療を要する患者を投与対象者として国より配分されます。参考1)PMDA 添付文書 ゼビュディ点滴静注液500mg2)厚労省 新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬の医療機関への配分について(中和抗体薬の種類及び疑義応答集の追加・修正)

検索結果 合計:1190件 表示位置:401 - 420