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年間37%の認知症高齢者が転倒を経験!:浜松医大

 認知症は転倒原因のひとつである。しかし、認知症高齢者における転倒リスクの研究はまだ十分になされていない。浜松医科大学 鈴木氏らは介護老人保健施設に入所している認知症高齢者における転倒の発現率、リスクファクターの検証を試みた。Am J Alzheimers Dis Other Demen誌9月号(オンライン版8月7日号)の報告。 対象は、認知症高齢者135例。調査期間は、2008年4月から2009年5月までの1年間。調査開始前に、認知機能検査(MMSE:Mini-Mental State Examination)、日常生活動作能力(PSMS:Physical Self-Maintenance Scale)、転倒に関連する行動評価(fall-related behaviors)、その他因子に関して調査した。統計解析は、転倒の有無による比較を行うため、検定、ロジスティック回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・調査期間中、50例(37.04%)が転倒を経験した。・多重ロジスティック回帰分析の結果、転倒に関連する行動評価(fall-related behaviors)の総スコアは転倒との有意な関連性が示された。・11項目の転倒に関連する行動評価は、認知症高齢者の転倒リスクを予測する有効な指標であると考えられる。関連医療ニュース ・アルツハイマー病患者におけるパッチ剤切替のメリットは? ・「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり ・アルツハイマーの予防にスタチン!?

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ナイアシン/laropiprant併用の忍容性に疑問符。導入期間を含めおよそ1万5千例が脱落:HPS2-THRIVE試験

8月26日の「クリニカルトライアル&レジストリ・アップデート I」セッションでは、HPS2-THRIVE試験の安全性中間解析が報告された。今回の発表は主に安全性に関する中間解析報告であり、忍容性に疑問を投げかけるものとなった。オックスフォード大学(英国)のJane Armitage氏が報告した。本試験は、ナイアシンによる動脈硬化性イベント抑制効果を検討する試験である。「LDL-C低下療法+ナイアシン」による心血管系イベント抑制作用は、昨年のAHAで報告された二重盲検試験AIM-HIGH (Atherothrombosis Intervention in Metabolic Syndrome with Low HDL/High Triglycerides and Impact on Global Health Outcomes)で、すでに否定されている。しかしAIM-HIGHの試験規模は登録数3,424例であり、HPS2-THRIVEに比べると小さい。またナイアシンによる顔面潮紅で二重盲検化が破られぬよう、対照群にも低用量のナイアシンを服用させていた。一方、HPS2-THRIVEは、laropiprant(ナイアシンによる顔面潮紅抑制剤)で潮紅抑制を図っているため、プラセボ群はナイアシンを全く服用していない。AIM-HIGHと異なり、純粋な「ナイアシン vs プラセボ」の比較が企図されている。HPS2-THRIVE試験の対象は、心筋梗塞、脳卒中、PVDあるいは冠動脈疾患合併糖尿病例である。ナイアシン/laropiprant(2g/日)群とプラセボ群に無作為化された。HDLコレステロール(HDL-C)を増加させるナイアシンが血管系イベントを抑制させるか、現在も二重盲検法で追跡中である(ただし全例、シンバスタチン 40mg/日(±エゼチミブ 10mg/日)によるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法を受けている)。本試験では無作為化前、適格となった38,369例に、導入期間として8週間ナイアシン療法(ナイアシン/laropiprant)を行った。その結果、33.1%にあたる12,696例が脱落(服用中止)していた。うち76.9%(9,762例)は、薬剤が脱落の原因とされた。脱落理由として明らかな症状は、皮膚症状、消化管症状、筋症状などである。上記を経て、最終的に25,673例が無作為化された。42.6%は中国からの登録である。平均年齢は64.4歳、83%が男性だった。78%に冠動脈疾患、32%に脳血管障害、13%に末梢動脈疾患を認め、33%が糖尿病例(重複あり)だった。今回、「中間安全性解析」として報告されたのは、無作為化後平均3.4年間における試験薬服用中止例の割合とその理由である。ナイアシン療法群では、無作為化後さらに、24.0%(3,084例)が新たに脱落していた(15.7%が服用薬関連)。プラセボ群は15.4%である(服用薬関連は7.5%)。群間差の検定なし。ナイアシン療法群で発現率の高かった有害事象は、「皮膚症状」(5.1%)、「消化器症状」(3.6%)、「骨格筋症状」(1.6%)、「糖尿病関連」(0.9%)、「肝障害」(0.7%)である。いずれもプラセボ群よりも高い数値だった。ただし「肝障害」には一過性のものが含まれている。そのため重篤な肝障害に限れば、ナイアシン療法群、プラセボ群とも発現率は0.1%となった。また、ナイアシン療法群では「筋障害」発現率が0.54%と、プラセボ群の0.09%に比べ有意に高かった(リスク比:5.8、95%信頼区間:3.1~10.7)。この「筋障害」の増加は、主として中国人におけるリスク増加の結果だった(ナイアシン療法群:1.13% vs プラセボ群:0.18%)。Armitage氏によれば、2013年には臨床転帰を含む最終報告が行われるという。来年の結果報告が待たれる。関連リンク

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心房細動例においてワルファリンを上回るアピキサバンの有用性──、腎機能低下例でも維持される;ARISTOTLEサブ解析

新規Xa阻害薬アピキサバンは心房細動(AF)例において、腎機能の高低にかかわらず「脳卒中・全身性塞栓症」をワルファリンよりも抑制し、ワルファリンと比較した「大出血」リスクは、腎機能が低下するほど減少する可能性が示された。28日の「クリニカルトライアル&レジストリー・アップデートIII」セッションにて、J.W.ゲーテ大学(ドイツ)のStefan H. Hohnloser氏が、大規模試験ARISTOTLEのサブ解析として報告した。ARISTOTLE試験の対象は、脳卒中リスク因子を有する心房細動患者18,201例である。「血清クレアチニン(Cr)値>2.5mg/dL」あるいは「クレアチニン・クリアランス<25mL/分」の腎機能低下例は除外されている。これら18,201例は アピキサバン群(9,120例)とワルファリン群(9,081例)に無作為化され、二重盲検法で追跡された。アピキサバンの用量は5.0mg×2/日を基本としたが、「血清クレアチニン(Cr)値≧1.5mg/dL+他危険因子」などの出血高リスク例では、2.5mg×2/日に減量した。ワルファリン群の目標INRは、一律「2~3」である。今回の解析では、腎機能の高低別にアピキサバンの有効性と安全性が評価された。腎機能の評価には推算糸球体濾過率(eGFR)を用い、「50 (mL/分/1.73m2)以下」、「50~80 (mL/分/1.73m2)」、「80 (mL/分/1.73m2)超」の3群に分けて比較した。まず有効性として、一次評価項目である「脳卒中・全身性塞栓症」リスクを検討した。全例での検討ではワルファリン群に比べ相対的に21%、アピキサバン群で有意な減少が認められたイベントである。その結果、Cockroft-Gault式、CKD-EPI式、シスタチンCから推算したいずれのeGFRで評価しても、腎機能の高低はアピキサバンによる「脳卒中・全身性塞栓症」作用に有意な影響を及ぼしていなかった。「総死亡」で検討しても同様だった。一方、安全性については、腎機能低下例でアピキサバンがより優れる可能性が示された。Cockroft-Gault式、CKD-EPI式いずれのeGFRで評価しても、アピキサバン群における「大出血」リスクはeGFRが低値となるほど、ワルファリン群に比べ減少する有意な傾向が認められた。そこでCockroft-Gault式、CKD-EPI式で求めた「eGFR」と「大出血リスク」をそれぞれ連続変数としてプロットしてみると、いずれのeGFRも、低下に伴う大出血リスクの増加傾向は、アピキサバン群に比べワルファリン群で有意に大きかった。ただし、シスタチンCから推算したeGFRの高低は、アピキサバン群における大出血リスクに有意な影響を与えなかった。アピキサバン群ではeGFRの高低にかかわらず一貫して、ワルファリン群に比べ有意なリスク減少が観察された。Hohnloser氏は「腎機能の低下したAF例に対し、アピキサバンはワルファリンよりも有効かつ安全かもしれない」と結んだ。関連リンク

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(8)〕 結果は正しいが・・・

無作為化試験のメタ解析で得られたエビデンスのレベルは最も高いとされるが、どの試験を解析対象とするかといった点に解析者の作為が入る余地があることからより注意深い批判的吟味(Critical Appraisal)が必要である。しかしCTT Collaborationは公平、中立な解析を行うグループであり、その点では安心してよい(高血圧領域ではBPLTTCが有名)。 CTT Collaborationは、2010年にもメタ解析を行っており(Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboration, et al. Lancet. 2010; 376: 1670-1681.)、スタチンでLDL-Cを1mmol/L低下させることによりMVEが22%減少し、その減少効果は、冠動脈疾患の既往、糖尿病、高血圧治療、年齢、性別、肥満、喫煙習慣、CKDといった患者背景の影響を受けないこと、また試験開始時のLDL-C値にも影響されないことを明確に示している。したがって今回のメタ解析の結果は予想された結果である。 MVEを減少させるベネフィットが有害性を上回る治療はすべて行うべきであろうか?スタチンの1日の単価を100円とする。5年間1,000人に使用すると100×365×5×1,000=1億8,250万円かかり、これでMVEの5年発症リスクが10%未満の低リスク群では11人の血管イベントを予防するのだから約1,660万円で1人の血管イベントを減らすことになる。高リスク群と低リスク群の相対リスク減少効果がほぼ同じということは、絶対リスク減少効果は高リスク群の方が大きいことになり高リスク群で1人の血管イベントを減らすために必要な費用は少なくて済む。無尽蔵に医療費を使ってよいのならこういった医療経済評価は不要かもしれないが、限られた費用で最大幸福を得るためにはスタチン服用の優先順位を決める必要があろう。実は、改訂された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」はこういった絶対リスクを考慮する姿勢を強く打ち出している。

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スタチンによるLDL-C低下療法、低リスク集団でも血管イベントを低減

 スタチンによるLDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、血管イベントの低リスク集団においても主要血管イベント(MVE)の抑制効果を発揮することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaboratorsによる検討で示された。スタチンはLDL-Cを低下させることで血管イベントを予防するが、血管イベントのリスクが低い集団における効果は、これまで明らかにされていなかった。血管疾患の既往歴のない集団は血管イベントの絶対リスクが低いものの、血管イベントの半数以上はこの集団で発生しているため、とくにスタチン治療の1次予防効果は解明すべき重要な課題とされる。Lancet誌2012年8月11日号(オンライン版2012年5月17日号)掲載の報告。低リスク集団におけるスタチンの効果をメタ解析で評価研究グループは、血管イベントの低リスク集団におけるスタチンの効果を評価するために、27件の無作為化試験のメタ解析を行った。27試験のうち、22件は標準用量のスタチンと対照を比較し[13万4,537例、ベースラインの平均LDL-C値:3.70mmol/L(≒143mg/dL)、1年後のLDL-C値の差:1.08mmol/L(≒41.8mg/dL)、追跡期間中央値:4.8年]、5件は強化スタチン療法と低強化スタチン療法の比較試験[3万9,612例、2.53mmol/L(≒97.8mg/dL)、0.51mmol/L(≒19.7mg/dL)、5.1年)であった。MVEは、主要冠動脈イベント(非致死的心筋梗塞、冠動脈死)、脳卒中、冠動脈血行再建術の施行とした。ベースラインにおける血管イベントの5年発生リスクで5つの群(<5%群、5~<10%群、10~<20%群、20~<30%群、≧30%群)に分け、LDL-C値1.0mmol/L(≒38.67mg/dL)低下当たりのMVE発生リスクの率比(RR)を算出した。<5%群と5~<10%群を低リスク群とした。ガイドラインの再考が必要スタチンのLDL-C低下効果により、年齢、性別、ベースラインのLDL-C値や血管疾患の既往歴にかかわらず、MVEのリスクが有意に低下した[LDL-C値1.0mmol/L低下当たりのMVE発生リスクのRR(以下、単にRRと表記):0.79、99%信頼区間(CI):0.77~0.81、p<0.0001]。スタチンによるMVEの低下効果は、低リスク群(RR:<5%群0.62、5~<10%群0.69)と高リスク群(同:10~<20%群0.79、20~<30%群0.81、≧30%群0.79)でほぼ同等だった(傾向性検定:p=0.04)。これは、主に低リスク群における主要冠動脈イベント(RR:<5%群0.57、p=0.0012、5~<10%群0.61、p<0.0001)および冠動脈血行再建術(同:<5%群0.52、p<0.0001、5~<10%群0.63、p<0.0001)のリスクの有意な低減を反映するものであった。10%未満の2つの低リスク群を合わせた集団における脳卒中の発生リスクのPRは0.76(p=0.0012)と良好だったが、10%以上の集団も同様に良好であったため差は認めなかった(傾向性検定:p=0.3)。血管疾患の既往歴のない集団では、スタチン治療によりMVE(RR:0.85、95%CI:0.77~0.95)および全死因死亡(RR:0.91、95%CI:0.85~0.97)のリスクが有意に低下した。スタチンによるLDL-C低下療法が、がんの発生率(RR:1.00、95%CI:0.96~1.04)やがん死亡率(RR:0.99、95%CI:0.93~1.06)、その他の非血管死亡率を増加させるとのエビデンスは認めなかった。著者は、「MVEの5年発生リスクが10%未満の低リスク群では、LDL-C値が1.0mmol/L低下するごとに、絶対値で5年間に1,000人当たり約11人の血管イベントを抑制することが示された。このベネフィットは、既知のスタチン治療の有害性を大きく上回るものである」と結論し、「現行のガイドラインでは、このような低リスク集団はスタチン治療の適応ではない。今回の知見は、ガイドラインの再考の必要性を示唆するもの」と指摘している。

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大学病院勤務医に聞く!「時間治療」(クロノテラピー)、取り入れてますか?

臓器や組織の時刻依存的な機能性に着目し、治療効果を高め副作用を小さく留めるように一日の中の"時刻"を意識して行なう治療法が、「時間治療」(クロノテラピー)として注目されています。今回は大学病院勤務の先生方に対し、がん治療のほか糖尿病・高血圧など生活習慣病においても効果・活用方法が研究されつつあるこの考え方について、認知度や活用実態を尋ねてみました。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細「時間治療」(クロノテラピー)についてお尋ねします。あらゆる臓器や組織の機能性が、「サーカディアンリズム」と呼ばれる周期で時刻依存的に毎日の調節を受けているとされ、こうしたメカニズムから「どの時間帯にどのような疾患リスクが高まるか」といったことが徐々にわかってきています。こうした考えから、病気の治療に"時間のものさし"の視点を導入し、「治療効果を高め、副作用を小さく留めるように一日の中の"時刻"を意識して行なう治療法」が、「時間治療」(クロノテラピー)として注目されています。副作用の起きない範囲で大量に抗がん剤を投与するのが基本とされるがん治療に加え、腎臓疾患、その他糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病においても、時間治療の効果および活用方法が研究されています。そこで先生にお尋ねします。Q1. 「時間治療」(クロノテラピー)をご存知でしたか?知っている知らなかったQ2. (「知っている」とお答えになった先生のみ)「時間治療」(クロノテラピー)の考え方を治療に取り入れていますか。取り入れている今後取り入れたいと考えている取り入れていない自分の専門分野では対象外だと思うその他(       )Q3. コメントをお願いします(どのように取り入れているか、今後知りたいこと、患者からの要望などどういったことでも結構です)アンケート結果Q1. 「時間治療」(クロノテラピー)をご存知でしたか?Q2. (「知っている」とお答えになった先生のみ)「時間治療」(クロノテラピー)の考え方を治療に取り入れていますか。2012年7月20日(金)~26日(木)実施有効回答数:674件調査対象:CareNet.com医師会員のうち大学病院および関連施設の勤務医結果概要大学病院勤務医の3人に1人が"時間治療"を知っている全体の34.0%が時間治療(クロノテラピー)について「知っている」と回答。「知らなかった」と回答した医師からも、「エビデンスや具体例などを詳しく知りたい」といった声が多数寄せられた。20人に1人が「既に取り入れている」、10人に1人が「今後取り入れたい」と回答知っている医師のうち、時間治療の考え方を治療に取り入れているとした回答者は16.6%(全体の5.6%)。抗がん剤治療のほか、降圧剤の服用時間を夜間にするといったコメントが寄せられた。取り入れていない医師からも「今後の研究結果次第では積極的に取り入れたい」とした声が多く見られた。「自分の専門分野では対象外だと思う」と回答した医師は9.6%。また「抗がん剤使用は夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから夜勤看護師の協力は得難いと思われる」といった、実施する上での環境面の制約を挙げた声も見られた。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「抗癌剤治療のときに取り入れています。」(40代,内科)「プラセボ効果が大きいと思う。 」(50代,眼科)「どの時間帯に薬を投与した方が良いという考え方は新しいと思う」(30代,外科)「うつに対する光療法として取り入れている」(30代,精神・神経科)「ABPMや家庭血圧による血圧日内変動の評価を行った上で適応のある患者には降圧薬の一部の就眠前投与を行っている.」(40代,内科)「全く初めて聞きました。ベーシックなことから教えていただきたいです。」(50代,血液内科)「コンプライアンスの高い患者なら、時間治療の考え方は効果があるかも知れませんね。 ちなみに、ショートパルスみたいな使い方でステロイドを使うことが多いのですが、夜に飲むと不眠などの症状が問題になりやすいので、朝に飲んでもらっています。これ、時間治療ですね。」(40代,耳鼻咽喉科)「抗ガン剤治療などに取り入れてみたい」(60代,泌尿器科)「時間治療の効果が発揮できるように降圧剤を就寝前に投与する」(50代,循環器科)「発熱の副作用の多いサイトカイン療法は夜間に行う。」(40代,泌尿器科)「夜間の抗がん剤投与は病棟スタッフのサポート体制を考えると現実的ではない。従来通りの昼間の抗がん剤投与を行っている。」(30代,血液内科)「もっと一般的になれば実施したい。」(40代,小児科)「抗がん剤治療で有効性を高めるのと副作用を抑える効果が期待できる。具体例を教えてほしい」(40代,外科)「概日リズムも大切だが、それ以上に臨床上重要な部分が他にあると思う。」(40代,循環器科)「ACE阻害薬による乾咳を防ぐために、ACE阻害薬を夕方に投与している。」(60代,循環器科)「現時点で使わなくても良い状況にある。 対象となる患者の選択方法などがあると良い。」(50代,精神・神経科)「脳出血の発症がどうしても朝方に多いことと、降圧薬の内服が朝だとたとえ持続性であるとはいえ効果が切れてくるのが朝方になるのが重なってしまうため、持続型の降圧薬を基本的に夜に内服するように処方している。」(30代,脳神経外科)「医者のように不規則な生活リズムで生活していたら恩恵に預かれないのでしょうか」(30代,外科)「精神科では、よく話をきく。」(30代,アレルギー科)「現在の所は未解明な部分が多いが、解明が進むにつれて少しずつ取り入れたい。 ただ、時間治療について知るにつれ、自分の不摂生を大きく恥じるかもしれないのが辛い。」(20代,総合診療科)「降圧薬、スタチン、甲状腺ホルモン剤等の夕食後投与。ステロイド薬の午前中投与などで取り入れている。」(50代,代謝・内分泌科)「内分泌疾患では関連あると思っていましたが、がん治療で関係があるとは思いませんでした。」(40代,小児科)「興味はあり、今後の研究結果次第では積極的に活用してゆきたいと考えている。」(30代,小児科)「 高血圧などでは時間帯による変動の激しい人がいるので勉強したい。 」(50代,血液内科)「そもそも糖尿病や高血圧などの昔からの処方タイミング自体が時間治療にあたると思う」(30代,代謝・内分泌科)「サーカディアンリズムはともかく、これが治療に応用できるということは全く知らなかった」(40代,救急医療科)「もっと直感的に分かる名称がいいと思います。」(40代,脳神経外科)「心筋梗塞や脳梗塞の発症は、朝方に多いので、モーニングサージや朝方の交感神経の高まりを抑制するように、夕方に処方を変更したりなど行っています。」(40代,循環器科)「抗がん剤使用では夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから、夜勤の看護師の協力は得難いと思いわれる。」(40代,呼吸器科)「がん治療に実際どのように取り入れられているか知りたい」(30代,外科)「サーカディアンリズムに個人差がないのか、それによる治療効果の差がないのかが気になる」(30代,内科)「ある程度考慮しています。ただしケースバイケースです。」(40代,膠原病科)「クロノテラピーについて、根拠のある否定的な意見と肯定的・推進的意見を両方とも知りたい。」(30代,神経内科)「クリニカルパスと連動してできたら良いと思う。」(30代,血液内科)「現時点では効果は部分的なものだと思う.マスコミなどで画期的な方法のように取り上げられているのは違和感を感じる.」(50代,膠原病科)「時間により治療を行う方針は間違ってないと思うが、現在のようなエビデンスベースの医療ではそのエビデンスを示すことは難しいと考えます。」(40代,リウマチ科)「夜間に抗癌剤投与を行うほうがいいとする意見があったが、夜間投与中に副反応などが生じた時のリスク対処を考えるとベネフィットは少ないと思う」(30代,呼吸器科)「夕方・夜間の抗がん剤投与は、マンパワー不足で、現実的に無理」(30代,血液内科)「生体における個体差をどのように克服できるのかが不安でもあります。」(50代,外科)「もっと学術的な後押し、証明がなされたら取り入れる。テレビの影響で患者からの要望は多いが、より科学的なデータを望む。」(30代,消化器科)「患者からの要望はあるが、今後も取り入れる予定はない。」(40代,泌尿器科)「時間栄養学が提唱されており、夜間に食事をすると肥満しやすいことの理論的根拠が確立されてきた。 時計遺伝子が食事をはじめ体のリズムを調整している。スタチン製剤を夕方に処方するのも脂肪合成の日内リズムに基づいている」(60代,代謝・内分泌科)「サーカディアンリズムに従えば,有り得る治療と思う.」(40代,皮膚科)「睡眠覚醒リズムの補正が感情・情緒の改善に不可欠であると教育している。」(40代,精神・神経科)「H2 blockerは1回のときは夜に使用している。」(40代,外科)「神経疾患にも取り入れられているのか知りたい。特にステロイド大量療法(パルス療法)でも導入されているのか?」(40代,神経内科)「人間の体は不思議なもので、いつの間にか勝手に治るというのが、これで実証されていくのかと勝手に想像します。すべて知りたいです。」(30代,循環器科)

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認知症を予防するには「体を動かすべき」

 超高齢社会に突入したわが国において、認知症の予防は重要な課題である。認知症予防に有効だと考えられている1つの方法に「運動」がある。Bowen氏は運動を行うことで認知症リスクに影響を与えるか否かを検証し、Am J Health Promot誌2012年7月号で報告した。 本研究は、HRSの身体活動に関するデータとADAMSの認知アウトカムデータを使用したプロスペクティブ研究(HRS:Health and Retirement Study、ADAMS:Aging, Demographics, and Memory Study)。対象は、3~7年間の身体活動に関する情報を有する認知症を発症していない71歳以上の高齢者808名である。身体活動はエアロビクス、スポーツ、サイクリング、重労働の家事などの活発な身体活動を週3回以上実施しているかどうかで評価した。認知症の診断は、専門医(神経心理学者、神経科医、老年科医、老年精神医学科医など)による神経心理学的テストにより評価した。分析には、人口統計学的特性などの因子を調整するためロジスティック回帰分析モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・認知症リスクと活発な身体活動には顕著な関係が認められた。・最終的には、活発な身体活動を行っていた高齢者では認知症と診断されるリスクが21%低くなると考えられる(p≦0.05)。・活発な身体活動は、認知症リスク低下の独立した危険因子の可能性がある。関連医療ニュース ・認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

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学会総会まるわかり! 第44回 日本動脈硬化学会総会レビュー ガイドライン作成委員が語る今年の総会

執筆:塚本和久先生(福島県立医科大学 会津医療センター準備室 糖尿病・代謝・腎臓内科 教授)7月19日と20日の二日間、「動脈硬化性疾患の包括医療 ―ガイドライン2012―」をメインテーマとして、佐々木淳会長(国際医療福祉大学)のもと、第44回日本動脈硬化学会総会・学術集会が福岡にて開催された。本学会でも、近年他学会でも採用され始めたiPhone・iPad・スマートフォンでのプログラムの検索や予定表の作成が可能な専用のアプリが採用され、さらには抄録集もPDF化されたことにより、従来の重たい抄録集を持ち歩く必要がなくなったのも目新しい試みであった。両日を通じて総数1200名弱の参加があった。1. 新ガイドライン関連セッション今回の学会は、本年6月20日に発表された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012年版」をめぐるセッションがいくつか設けられた。初日午前には、各脂質測定に関する精度に関するワークショップが企画された。日常臨床で、各々の測定値がどのように標準化されているのか、その測定精度がどの程度のものであるのか、を考えることがないのが、ほとんどの臨床家の現状であろう。このセッションにおいて、総コレステロールはその精度管理が優れておりばらつきはほとんどないこと、現在のHDL-C測定法も精度の高い測定法であること、それに対して中性脂肪測定は標準化が十分でなく今後強力な標準化の努力が必要であること、また欧米での中性脂肪測定法と日本のそれとは遊離グリセロールを含めて測定するかどうかの相違が存在しており、値として同等のものと考えることはできないこと、などの解説が行われた。またLDL-C直接法に関しては、現在12メーカー(試薬は8試薬)がキットを出しているが、その測定法の詳細は示されておらず、同じ検体を測定してもキットにより値が異なることがしばしばあり、特に中性脂肪値の高い検体ではBQ法(比重1.006g/mL以上の画分を除いた検体でコレステロールを測定する方法)での測定値よりもかなり高値となるキットがあることが指摘された。それゆえ、今回のガイドラインでは、中性脂肪値が400 mg/dL以上の場合にはnon HDL-Cを指標とすること、中性脂肪値高値例ではLDL-C目標値達成後にnon HDL-C値を二次目標として用いること、が推奨されることとなったとの解説があった。non HDL-Cに関しては、近年の報告からLDL-Cよりも強い冠動脈疾患のマーカーとなる可能性が示されていること、高TG血症・低HDL-C血症ではLDL-Cにnon HDL-Cを加えて用いることによりそのリスク予測能が高まること、ただしnon HDLを指標とした大規模研究や疫学研究はないため、とりあえずLDL-C + 30 mg/dLで基準を定めてはいるものの、今後その閾値の設定が必要になってくることが提言された。二日目の午後には、今回のガイドライン作成の中心的存在として活躍された先生方による、「改訂動脈硬化性疾患予防ガイドライン」のセッションが開かれた。寺本民生先生(帝京大学)からは新ガイドラインの概要と二次予防・高リスク病態における層別化について、枇榔貞利先生(Tsukasa Health Care Hospital)からは脂質異常症の診断基準の元となった日本人でのデータと境界域を設定した根拠、そしてLDL-C直接法の欠点とnon HDL-Cの導入理由が示された。また、岡村智教先生(慶應義塾大学)より、今回のガイドラインで設定された絶対リスクに基づいたカテゴリー分類の基準を設定する際に参考とされた諸外国でのガイドラインの解説と最終的なカテゴリー分類基準の解説が行われ、最後に横出正之先生(京都大学)からは今回の学会のメインテーマである「動脈硬化性疾患の包括的管理」について、詳細な説明がなされた。2. 今回の学会でのセッションの傾向最近の動脈硬化学会の演題内容は、どちらかというと細胞内シグナル伝達やサイトカインのセッションが多い印象があったが、今回はどちらかというとリポ蛋白関連・脂質代謝異常、という概念でのセッションが多かった印象がある。二日目の午前には、「脂質異常症と遺伝子の変異」というセッションで、CETP欠損症、家族性高コレステロール血症、アポEについての講演とともに、今後の脂質異常症の発展につながるであろう「遺伝子変異の網羅的解析とTG異常」、「脂質異常症遺伝子変異データベースの構築」の演題が発表された。また、HDLについては、HDL研究に造詣の深い M John Chapman博士の特別講演が一日目に組まれ、二日目の午後には「How do we deal HDL?」との表題でのワークシップが行われた。そして、一日目の午後には、3年前の学会から継続して開催されている「動脈硬化性疾患の臨床と病理」のセッションが催された。ハーバード大学の相川先生から、近年の動脈硬化イメージングの進歩状況として、FDG PET/CT イメージング、MRI T2シグナルを用いての動脈硬化巣マクロファージのイメージング、特殊な薬物(NIRF OFDI)を用いての分子イメージングについての解説があった。座長の坂田則行先生(福岡大学)からは、現在の画像診断技術の進歩はめざましいが、どうしても臨床医は画像診断のみに頼りがちになっており、今後は画像診断での病変がどのような病理組織像を呈するのか、ということに関して、臨床家と病理家が共同して検討していく必要性が提起された。3. 特別企画、および若手奨励賞一日目の午後、特別企画として、Featured Session「時代を変えた科学者たち」が開催され、松澤佑次博士(内臓脂肪研究)、泰江弘文博士(冠攣縮性狭心症)、遠藤章博士(スタチンの発見)、荒川規矩男博士(アンジオテンシン研究)といった、日本を代表する研究者たちの講演をまとめて拝聴する機会が得られた。各博士の講演内容の詳細はスペースの関係上省略させていただくが、どの先生の話も内容が濃く感慨深いものであり、現在および将来基礎・臨床研究にいそしむ若い先生方の非常によい指南となったと考える。このような中、次世代を担う若手の先生の発表もポスター発表も含め多数行われた。中でも、一日目の午前には、若手研究者奨励賞候補者の発表、そして選考が行われた。スタチンがARH(autosomal recessive hypercholesterolemia)患者に有効に働く機序を安定同位体を用いた代謝回転モデルにて解析した論文(Dr. Tada)、急性冠症候群の血栓成分の相違がどのような臨床像、あるいは心機能回復能と相関するかを調べた臨床研究(Dr. Yuuki)、マクロファージからのコレステロール逆転送に関与するABCA1とABCG1が、ポリユビキチン化されて代謝されること、そしてプロテアゾーム阻害薬でコレステロール逆転送が活性化されることを示した論文(Dr. Ogura)、カルシウム感受性細胞内プロテアーゼであるカルパインは内皮細胞の細胞間接着に関与するVEカドヘリンの崩壊を惹起し、内皮細胞のバリア機能を低下させ、動脈硬化を促進すること、そしてカルパイン阻害薬は動脈硬化を抑制することを示した論文(Dr. Miyazaki)の発表があった。最優秀賞は、Dr. Miyazakiの演題が選出された。4. 特別講演、懇親会さて、このような実りの多い学会をさらに充実させたイベントとして、一日目の夜に開催された懇親会、そして東北楽天ゴールデンイーグルス名誉監督である野村克也氏の講演が挙げられるであろう。懇親会は、いつもの学会懇親会よりも多数の参加者があった。会長および運営事務局・プログラム委員会の諸先生の趣向・ご尽力、そして開催ホテルがヤフードームの隣であったこともあり、福岡ソフトバンクホークスのチアガールによる余興なども行われ、非常に和気藹藹とした雰囲気の中で会員同士の親交が深まったと思われる。また、二日目の野村克也監督の特別講演は、「弱者の戦略」という題名で行われた。南海、ヤクルト、阪神、楽天と、長い選手人生そして監督人生にて経験し、培ってきた考え方・姿勢を拝聴できた。とても内容の濃い講演であったが、中でも、弱者がいかに強者に対応していけばよいのか、組織・あるいはグループの長である監督とはどうあるべきか、部下のものに対する対応はどのようにすべきなのか、など、我々医師の世界にも相通じる内容の話を、ユーモアを交えながら語っていただいた。様々な苦労を乗り越え、その場その場でよく考えて人生を歩まれた監督ならではの講演であったと考えている。5. まとめ来年は、及川眞一会長の下、7月18日・19日に東京・京王プラザホテルにて第45回日本動脈硬化学会が開催される予定である。今年の充実した学会を更に発展させ、基礎および臨床の動脈硬化研究の進歩がくまなく体得できる学会になることを期待する。

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なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

アルツハイマー病(AD)にはアミロイドβ(Aβ)に対する自己抗体レベルの減少が関与していると考えられている。また、生涯にわたるうつ病の罹患はADリスクを2倍に上昇させるともいわれていることから、うつ病患者においてAβに対する自己抗体の減少がみられている可能性がある。Maetzler W氏らはうつ病患者におけるADリスクと自己抗体の関係についての検証を試みた。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月5日の報告。うつ病患者214名を対象に、Aβ1-42、S100b(AD病態を増悪させるアストロサイト特異的蛋白)、αシヌクレイン(パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変異疾患の原因物質)に対する血清IgG自己抗体の測定値について、対照群214名と比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・Aβ1-42に対する測定値は、生涯うつ病患者で対照群と比較し低かった(5544.6±389.3 :7208.7±482.4、p=0.048)。・S100b、αシヌクレインに対する測定値は、コホート間で同等であった。・本研究より、うつ病患者における体液性免疫応答によるAD様の機能障害が示唆された。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病を合併した糖尿病患者では認知症のリスク上昇 ・アルツハイマーの予防にスタチン!?

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CKD診断のためのGFR推定式、クレアチニン+シスタチンCが有用である可能性

慢性腎臓病(CKD)の診断指標である糸球体ろ過量(GFR)の推定について、血清クレアチニンまたはシスタチンCいずれか単独マーカーの値に基づく推定よりも、両者を組み合わせての推定が優れることが報告された。米国・タフツ医療センターのLesley A. Inker氏らCKD疫学共同研究グループの横断解析の結果で、「CKDの確認検査には複合推定式が有用かもしれない」と結論している。GFRの推定は血清クレアチニンに基づく推定式がルーチンに用いられているが、不正確でCKDの過剰診断につながる可能性が示唆されている。代替マーカーとして登場したのがシスタチンCで、Inker氏らはその有効性を検討するため、シスタチンC単独と、シスタチンCと血清クレアチニンとを組み合わせについて検証した。NEJM誌2012年7月5日号掲載報告より。シスタチンCまたはクレアチニン単独とクレアチニン+シスタチンCの推定式を検証Inker氏らは、13試験に参加した多様な被験者5,352例を開発データ群として、シスタチンC単独ベースの推定式と、シスタチンCとクレアチニンとの組み合わせによる推定式とを開発した。その推定式を、GFRが測定されていた別の5試験・1,119例の被験者(検証データ群)で検証した。シスタチンとクレアチニンの測定は、国際規定に準拠していた。開発データ群の測定GFR平均値は68mL/分/1.73m2体表面積、検証データ群の同値は70mL/分/1.73m2体表面積だった。複合推定式を用いることで分類が正確に改善検証の結果、クレアチニン-シスタチンC推定式は、クレアチニンまたはシスタチンC単独での推定式よりも優れることが示された。3つの推定式間のバイアスは同程度であり、測定値と推定値との差の中央値は、複合推定式では3.9mL/分/1.73m2で、これに対してクレアチニン単独式では3.7mL/分/1.73m2(P=0.07)、シスタチンC単独式では3.4mL/分/1.73m2(P=0.05)だった。複合推定式では、精度が改善し(差の四分位範囲:13.4対15.4、16.4mL/分/1.73m2)、結果が正確だった(推定値が測定値より>30%だった割合:8.5対12.8、14.1%)。推定GFRが45~74mL/分/1.73m2だった被験者において、複合推定式を用いることで分類が改善され、60mL/分/1.73m2未満または同以上へ再分類された(ネット再分類指数:19.4%、P<0.001)。また、推定GFRが45~59mL/分/1.73m2だった被験者の16.9%が、60mL/分/1.73m2以上に正確に再分類された。(武藤まき:医療ライター)

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認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ

認知症は軽度認知障害(MCI)から始まり、徐々に認知機能が低下していくため、認知症を予防するためのひとつの方法として、MCIの段階でいかに対処していくかが重要であると考えられる。Summers氏らはMCI症例に対する神経心理学的アプローチに関する検討を行った。Neuropsychology誌2012年7月号(オンライン版2012年5月21日号)の報告。MCIの各サブタイプに分類される高齢者81名と健常者25名の計106名を対象に、視覚機能、言語記憶、注意処理機能、遂行機能、ワーキングメモリー、意味記憶の個々の結果をもとに、20ヵ月の縦断的な神経心理学的評価を行った。主な結果は以下のとおり。 ・20ヵ月後、MCI群の12.3%が認知症へ進行、62.9%がMCIの状態を維持、24.7%がMCIから健常レベルに戻った。・判別関数を用いた分析では、試験開始前の神経心理学的テストの成績から86.3%の精度で20ヵ月後の結果を予測することができた。・視覚および言語のエピソード記憶、短期記憶、ワーキングメモリー、注意処理機能の障害パターンによりMCI症例の予後を予測可能であることが示された。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・データバンクでアルツハイマー病の治療実態が明らかに―仏BNA調査― ・MCIの診断・治療に有効な評価尺度として期待「CDR-SB」

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脂質異常症になりやすい統合失調症患者、肥満や糖尿病だけじゃない

統合失調症患者では肥満や糖尿病の罹患率が高く、とくに抗精神病薬の使用でこれらの発生率 が上昇することが問題となっている。脂質異常症もまた、統合失調症患者によくみられる合併症のひとつである。Hsu氏らは台湾の統合失調症患者における脂質異常症の罹患率・発症率を調査し、Gen Hosp Psychiatry誌2012年7月号(オンライン版2012年3月27日号)で報告した。2005年、18歳以上の766,427人の被験者を無作為抽出し、統合失調症の診断を受けた患者、脂質異常症を有する患者または薬物治療を行っている患者 を特定したうえで、統合失調症患者の脂質異常症の罹患率および発症率を一般集団と比較検討した。主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者における脂質異常症の罹患率は一般集団より高かった(8.15% vs 8.10%、オッズ比:1.17、95%信頼区間:1.04~1.31)。・リスクファクターは、50歳以上、高保険料支払者、台湾北部または中部・都市部の生活者であり、青年期で非常に高い脂質異常症の罹患率であった。・2006年~2008年に第二世代抗精神病薬を使用していた統合失調症患者の脂質異常症平均年間発症率は、一般集団より高かった(1.57% vs 1.29%、オッズ比:1.31、95%信頼区間:1.11~1.55)。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・ケアネット 7月の特集「動脈硬化」 ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム発症要因は?

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アルツハイマーの予防にスタチン!?

これまで、スタチンがアルツハイマー病(AD)を予防できる可能性があるとの研究結果が報告されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。岡山大学 倉田氏らはアトルバスタチンとピタバスタチンの多面的な抗炎症作用と長期的な影響を比較検討した。Neurol Res 誌オンライン版2012年6月22日付にて報告した。老人斑(SP)のサイズ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の脳内炎症反応に対するアトルバスタチンとピタバスタチンの作用について、APPトランスジェニックマウスを用い検証した。生後5~20ヵ月のトランスジェニックマウスにアトルバスタチンまたはピタバスタチンを投与し、5ヵ月ごとにSP、MCP-1陽性ニューロン、Iba-1陽性ミクログリア、TNF-α陽性ニューロンについて免疫組織学的分析を行った。主な結果は以下のとおり。 ・両スタチンを投与されたAPPトランスジェニックマウスはコントロールマウスと比較して、MCP-1陽性ニューロンは10ヵ月、Iba-1陽性ミクログリアは15ヵ月、TNF-α陽性ニューロンとSPは15~20ヵ月で減少した。・マウスにおける、これらスタチンの保護作用は有意な差を示すまでに5ヵ月を要した。また、スタチンに対する感受性はMCP-1>Iba-1陽性>TNF-α>SPの順であった。・MCP-1陽性およびIba-1、TNF-αの炎症性反応がSP形成に影響を与えたと考えられる。・両スタチンともにAD予防に有用なアプローチとなりうる可能性が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・アルツハイマー病の治療実態調査―仏データバンク― ・軽度認知障害の診断・治療に有効な評価尺度 ・“日本老年精神医学会”震災後の新たな地域連携

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新たな脂質マーカーによる心血管疾患リスクの予測能改善はわずか

心血管疾患発症の予測因子として、総コレステロール、HDLコレステロール、年齢や性別、喫煙の有無など従来リスク因子に、アポリポ蛋白B/A-Iといった脂質マーカーの情報を加味しても、同発症リスクの予測能はごくわずかな改善であったことが示された。英国・ケンブリッジ大学のJohn Danesh氏らが、約17万人を対象にした試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年6月20日号で発表した。初回心血管疾患イベント発生予測に、様々な脂質マーカーの測定がどれほど役立つかという点については議論が分かれていた。中央値10年追跡、その間の心血管疾患イベントは約1万5,000件研究グループは、1968~2007年に行われた37の前向きコホート試験のデータを用い、試験開始時点で心血管疾患のない16万5,544人について、従来のリスク因子に脂質マーカーを加えることによる、心血管疾患リスク予測の改善について分析した。追跡期間の中央値は10.4年(四分位範囲:7.6~14)、その間に発生した心血管疾患イベントは1万5,126件(冠動脈性心疾患1万132件、脳卒中4,994件)だった。主要アウトカムは、心血管疾患イベント発生の判定と、10年発生リスクについて低リスク群(10%未満)、中間リスク群(10~20%)、高リスク群(20%以上)の3群への再分類改善率だった。新たな脂質マーカー追加、ネット再分類改善率は1%未満結果、新たな各脂質マーカーの追加による判別モデルの改善はわずかで、アポリポ蛋白B/A-Iの追加によるC統計量の変化は0.0006(95%信頼区間:0.0002~0.0009)、リポ蛋白(a)は0.0016(同:0.0009~0.0023)、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2は0.0018(同:0.0010~0.0026)だった。新たな各脂質マーカーの追加による、心血管疾患発生リスクのネット再分類改善率についても、いずれも1%未満に留まった。従来リスク因子のみで分類した結果、40歳以上成人10万につき1万5,436人が、10%未満および10~20%のリスク階層群に分類されると推定された。そのうち、米国高脂血症治療ガイドライン(Adult Treatment Panel III)に基づきスタチン治療が推奨される人を除外して残った1万3,622人について、アポリポ蛋白B/A-Iの検査値を加えた場合に20%以上の高リスク群へと再分類された割合は1.1%だった。リポ蛋白(a)を加えた場合は4.1%、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2を加えた場合は2.7%だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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糖尿病管理への質改善戦略の導入、治療効果の向上に寄与

糖尿病管理への質改善(quality improvement:QI)戦略の導入によって治療効果が向上することが、カナダSt Michael病院Li Ka Shing Knowledge InstituteのAndrea C Tricco氏らの検討で示された。糖尿病の管理は複雑なため、プライマリ・ケア医と他の医療従事者の連携が必要であり、患者の行動変容や健康的な生活習慣の奨励なども重要な課題とされる。糖尿病治療におけるQI戦略の効果に関する以前の系統的レビューでは、HbA1c以外の要素は検討されていないという。Lancet誌2012年6月16日号(オンライン版6月9日号)掲載の報告。QI戦略の有効性をメタ解析で評価研究グループは、糖尿病患者におけるHbA1c、血管リスク管理、細小血管合併症のモニタリング、禁煙に対するQI戦略の有効性を評価するために系統的なレビューとメタ解析を行った。Medline、Cochrane Effective Practice and Organisation of Care databaseおよび無作為化試験の文献を検索して、成人糖尿病外来患者を対象に11のQI戦略(医療組織、医療従事者、患者を対象としたQI戦略から成る)について検討した試験を抽出した。2名の研究者が別個に、抽出されたデータをレビューし、バイアスのリスク評価を行った。患者に対するQI戦略とともに医療組織への介入が重要48のクラスター無作為化試験(2,538クラスター、8万4,865例)と94の無作為化試験(3万8,664例)が解析の対象となった。ランダム効果モデルによるメタ解析では、標準治療に比べQI戦略では、HbA1cが0.37%(95%信頼区間[CI]:0.28~0.45、120試験)、LDLコレステロールが0.10mmol/L(95%CI:0.05~0.14[=3.87mg/dL、95%CI:1.935~5.418]、47試験)、収縮期血圧が3.13mmHg(95%CI:2.19~4.06、65試験)、拡張期血圧が1.55mmHg(95%CI:0.95~2.15、61試験)それぞれ低下した。ベースラインのHbA1cが8.0%以上、LDLコレステロールが2.59mmol/L(=100.233mg/dL)以上、拡張期血圧が80mmHg以上、収縮期血圧が140mmHg以上の場合にQI戦略の効果が大きかった。また、ベースラインのHbA1cのコントロール状況によってQI戦略の効果にばらつきがみられた。QI戦略では、標準治療に比べアスピリン(相対リスク[RR]:1.33、95%CI:1.21~1.45、11試験)や降圧薬(RR:1.17、95%CI:1.01~1.37、10試験)の使用が増加し、網膜(RR:1.22、95%CI:1.13~1.32、23試験)、腎症(RR:1.28、95%CI:1.13~1.44、14試験)、足の異常(RR:1.27、95%CI:1.16~1.39、22試験)のスクリーニングが増加した。一方、QI戦略はスタチンの使用(RR:1.12、95%CI:0.99~1.28、10試験)、降圧コントロール(RR:1.01、95%CI:0.96~1.07、18試験)、禁煙(RR:1.13、95%CI:0.99~1.29、13試験)には有意な影響を示さなかった。著者は、「多くの試験において、QI戦略による糖尿病治療の改善効果が示された」と結論し、「糖尿病管理の改善を目指した介入では、患者に対するQI戦略とともに医療組織への介入を行うことが重要である。医療従事者に限定した介入は、ベースラインのHbA1cコントロールが不良な場合にのみ有用と考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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エキスパートへのQ&A ~エキスパートDrに聞く~

慢性腎臓病(CKD)の概念が提唱され、10年が経ちました。この間、本疾患に対する注目度や臨床医の治療経験が飛躍的に向上し、今では、コモン・ディジーズの一つとなりました。このCKD診療の浸透に大きな役割を果たした『CKD診療ガイド』が、2012年6月に改訂されました。ケアネットでは、『CKD診療ガイド』改訂を機に、CKD診療に関する質問を会員の医師より募集しました。この質問に、常喜信彦先生(東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科 准教授)が回答します。常喜信彦先生東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科 准教授CKD患者を専門医に紹介するにしても、腎臓専門医の人数は少なく、それほど多くの患者を診療することは難しいかと思います。どのような患者であれば、専門医に紹介すべきでしょうか?とくに軽症の患者さんを専門医に送るときの判断について教えてください。たとえ蛋白尿が認められていても、またeGFRが45 mL/分/1.73m2と低下していたとしても、極論を言えばそれ以上悪くならなければ、臨床上まったく問題はないわけですが、進行性のCKDが疑われるならば、専門医への紹介が望まれます。進行性を疑う最も強力なマーカーは蛋白尿の量になります。1日換算量で0.5 g以上認められ、かつその量が半年から1年の経過で増加傾向を示す時には積極的に専門医に紹介すべきです。eGFRについても進行性に低下する場合は同様です。尿蛋白の測定は、どのようにしていますか? 自費で行う場合もありますか? 対象となる患者を教えてください。最も一般的な方法は、随時尿の蛋白尿量を尿中Cr値で割った1日換算量を求める方法です。この方法で算出された1日換算量は、24時間畜尿により求められた蛋白尿と非常によく相関することがわかっています。高血圧、糖尿病、高脂血症といったいわゆる古典的な動脈硬化危険因子で診療中の患者、メタボリックシンドロームの患者には積極的に尿蛋白の測定を行うことを推奨します。蛋白尿をきたす原因として、若年では慢性糸球体腎炎も頻度が高くなります。微量アルブミン尿は保険診療の上では、糖尿病性腎症が疑われる時に適応となります。日常診療の中で、それ以外の疾患にまで微量アルブミン尿を計測拡大させる必要はないと思います。それよりも、まず通常の尿蛋白1日換算量を忘れずに確実に測ることが推奨されます。病状評価にあたり、初診時に何を行いますか? 定期検査の頻度についても教えてください。慢性腎臓病の診断、重症度の評価をするときに必須の検査は、1日換算量の蛋白尿ないしアルブミン尿とeGFR値になります。この2つの検査は必須とお考えください。加えて、腎の形態的異常の把握のために腎臓超音波を行えば、慢性腎臓病の病状評価としては必要な検査はそろいます。今回renewalされたCKD診療ガイドでは、尿蛋白1日換算量とeGFR値から、腎臓専門医への受診間隔の目安が示されています。ご参考いただければと思います。腎臓専門医への受診間隔(月)画像を拡大する血圧やコレステロールもそれほど高くない患者の場合、尿所見とeGFRのみで患者さんの受診を持続させられるものでしょうか? 患者さんの受診モチベーションをあげる方法などありますか?CKD診療ガイドに示されている、慢性腎臓病の重症度評価の色別表を使用されてはいかがでしょうか。将来、末期腎臓病に至るリスクや心血管イベントを起こすリスクが色別に表記されており、患者さんにお見せしても非常にわかりやすい表かと思います。今回、同時に、その表をもとにした、診療間隔目安表も公開されました。ご参考いただければと思います。CKDの重症度分類画像を拡大するLDL-Cと中性脂肪の両方が高いCKD患者さんには、フィブラートとスタチンのいずれを用いればよいでしょうか?まだ、答えの出ていない分野かもしれません。まずフィブラート系の治療薬はeGFR30 mL/分/1.73m2未満では使用できませんので、CKDステージ3までの患者でどう考えるべきか、ということになります。CKD患者における脂質代謝異常の治療に関する証拠はかなり限られたものになり、不十分と言わざるを得ません。しかしながらLDL-CとTGを比較したとき、どちらのパラメーターに関する治療成績が多いかと言えばLDL-Cになるかと思われます。選択するとなれば、LDL-C低下作用に秀でたスタチンになるかと思います。参考までに、スタチンとフィブラートの併用は横紋筋融解症の危険が高まるため、原則禁忌とされています。必然的にCKD患者の高TG血症へはニコチン酸系薬剤を使用することが多くなります。高尿酸血症の管理について、管理する患者や介入開始尿酸値、管理目標値などについて教えてください。高尿酸血症がCKDの発症、進行に深くかかわる因子であることが明らかとなってきました。わが国の報告で、住民健診で尿酸値について男性7.0mg/dL以上、女性6.0mg/dL以上を高尿酸血症と定義したとき、高値群で末期腎臓病への移行リスクが高くなることが報告されています。男性7.0mg/dL未満、女性6.0mg/dL未満を管理目標値と考えてよいでしょう。管理の第一段階は、過食、高プリン・高脂肪・高たんぱく質食の嗜好、常習飲酒、運動不足などを是正する生活習慣の改善です。一方、CKD ステージ 4~5 において生活習慣改善にもかかわらず血清尿酸値が9.0mg/dL 超える無症候性高尿酸血症では、証拠はないものの薬物治療が考慮される場合が多いです。結局は血圧、血糖、脂質を良好にコントロールすることがCKD進行の予防になると考えます。血清クレアチニン正常の患者さんをあえて混んでいる大病院腎臓内科に紹介するメリットは何でしょうか?ひとつは潜在する腎炎の合併を除外するためです。とくに蛋白尿量が多い患者さんでは、その疑いが強くなります。たとえ腎炎であっても、血圧、血糖、脂質の管理を厳密に行うことに変わりはありませんが、腎炎を併発していれば、その腎炎に介入治療することで、腎障害の進行を抑えられる可能性もあります。また、栄養指導、食事療法を行うという意味では、基幹病院の方が有利かもしれません。eGFR60以上でも、3-6ヵ月に1回、腎臓専門医を受診することが推奨されています。

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血管疾患の低リスク例に対するスタチンによるLDLコレステロール低下の効果:17万超患者データのメタ解析

27の無作為化試験の個々データをメタ解析した結果、スタチンによる治療は、血管疾患の低リスク例でも、ベネフィットが大きいことが、Cholesterol Treatment Trialists’ (CTT) Collaboratorsにより発表された。5年主要血管イベント発症リスクが10%未満の患者において、LDLコレステロール1 mmol / Lの低下は、5年間で1,000人あたり約11人の主要血管イベントの絶対的減少を招き、この利益は、スタチン療法の危険性を超えているとされた。現在のガイドラインは、概して、血管イベントリスクの低い患者は、LDL低下療法に適しているとはされていないが、研究グループは「今回の報告は、これらのガイドラインに再考の必要性があることを示唆している」と主張した。対象は、スタチン治療をコントロールと比較した22試験(134,537例)およびスタチン間で比較した5試験(39,612例)を対象とし、それを、基線における5年主要冠動脈イベント発症リスクで5つのカテゴリに分けた(~5%, 5~10%、10~20%, 20~30%, 30%~)。主要血管イベントは、主要冠動脈イベント、脳卒中、冠動脈血行再建術の施行とした。主な結果は以下のとおり。 ・スタチンによるLDL低下は、年齢、性別、ベースラインLDLコレステロール値に関係なく、主要血管イベントを低下させた[1.0mmol/LあたりRR 0.79 (95%信頼区間 0.77-0.81)]。また、血管死、全死亡も低下した。・イベントリスクの低い2つのカテゴリにおける主要血管イベントの減少は、イベントリスクのより高いカテゴリにおけるイベント減少と同程度に大きかった。1mmol/LあたりRRは、低リスクカテゴリから高リスクに向け順に、0.62(95%信頼区間:0.47-0.81)、0.69 (0.60-0.79)、0.79 (0.74-0.85)、 0.81 (0.77-0.86)、0.79 (0.74-0.84)。傾向性p=0.04。・イベントリスクの低い2つのカテゴリにおいて、主要冠動脈イベント[同 0.57(0.36-0.89)、0.61(0.50-0.74)]および冠動脈再建術[(同0.52(0.35-0.75)、0.63(0.51-0.79)]が有意に減少していた。・脳卒中は、5年主要血管イベント発症リスクが10%未満の対象者でも、リスクの高いカテゴリのリスクリダクションに類似していた[同0.76(0.61-0.95)](傾向性p=0.3) 。・スタチンによるLDLコレステロール低下において、がんの発症[同1.00(0.96-1.04)]がん死亡[(同0.99(0.93-1.06)]、血管以外の死亡に増加は認められなかった。(ケアネット 鈴木 渉)

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医師やケースマネジャーへの教育で、ACSのエビデンスに基づく治療実施率が増大

ブラジルの公立病院で、急性冠症候群(ACS)の治療に関し、医師向けの教育資料やケースマネジャーの訓練といった質改善プログラムの介入を行うことで、エビデンスに基づく治療を受ける患者の割合は、有意に増大することが明らかにされた。ブラジル・Research Institute HCorのOta’vio Berwanger氏らが行った、BRIDGE-ACS(Brazilian Intervention to Increase Evidence Usage in Acute Coronary Syndromes)試験の結果で、JAMA誌2012年5月16日号で発表した。先行研究から、ACSの患者は、特に低・中所得国の医療現場でエビデンスに基づく治療を受けていない現状が明らかになっていた。医師向け教育資料やリマインダー、処理手順などで介入研究グループは、ブラジル34ヵ所の公立病院を通じたクラスター無作為化試験で、ACSの患者1,150人について、2011年3月15日~11月2日に調査を開始し、2012年1月まで追跡した。試験対象病院を無作為に2群に分け、一方に対しては、医師向けの教育資料、リマインダー、アルゴリズム(治療手順)、ケースマネジャーの訓練などを行い、エビデンスに基づく治療の実施を促した。もう一方のコントロール群は通常ケアが行われた。主要エンドポイントは、来院24時間以内にエビデンスに基づく治療(アスピリンやクロピドグレル、抗凝固薬、スタチンの投与など)を受けた適格患者の割合とした。被験者の平均年齢は62歳(標準偏差:13)、うち男性は68.6%、ST上昇型心筋梗塞は40%、非ST上昇型心筋梗塞は35.6%、不安定狭心症は23.6%だった。エビデンスに基づく治療、介入群で約7割、コントロール群で5割結果、24時間以内にエビデンスに基づく治療を受けた人の割合は、コントロール群が49.5%に対し、介入群が67.9%と高率だった(母集団平均オッズ比:2.64、95%信頼区間:1.28~5.45、p=0.01)。また、エビデンスに基づく治療を、24時間以内と、退院時にも受けた人の割合は、コントロール群が31.9%に対し、介入群は50.9%と高率だった(母集団平均オッズ比:2.49、同:1.08~5.74、p=0.03)。全体の複合遵守スコアは、コントロール群が81.4%に対し介入群は89%と、平均格差は8.6%(同:2.2~15.0)だった。院内心血管イベント率は、介入群5.5%に対しコントロール群7.0%(同:0.72、0.36~1.43)、30日時点の全死因死亡率は、7.0%対8.4%(同:0.79、0.46~1.34)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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【速報】「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」はここが変わる!

 4月26日(木)、日内会館(東京・本郷)にて「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」の発行に関するプレスセミナーが行われ、本ガイドラインの主な改訂点が発表された。主な改訂点は以下の通り。●絶対リスクの評価による層別化 これまでのガイドラインでは、健常者に対する相対的リスクで評価がなされてきたが、個々を絶対リスクで評価できないことは課題とされてきた。しかしながら、NIPPON DATA80をもとにリスク評価チャートが発表され、個々のリスクを絶対評価で表現することが可能となった。これにより、個人が有する危険因子を総合的に評価でき、性差や加齢の影響も解消できると期待されている。●動脈硬化性疾患の包括的管理 多くの患者は生活習慣病を併せもっており、常に包括的な判断が求められてきた。今回初めて、それぞれのガイドラインのエッセンスを織り込み、動脈硬化性疾患予防のための各種疾患(脂質異常症、高血圧、糖尿病、その他)の包括的なリスク管理チャートが加わった。●診断基準境界域の設定 これまで脂質異常症における治療エビデンスはリスクの高い患者を対象とした試験が多かった。このため、あくまで絶対リスクが高い場合に限り、治療を勧めるものであり、診断基準がそのまま治療対象となるわけではないことを認識する必要がある。このことから、診断基準では「スクリーニングのための」という記載が加えられている。 その一方で、糖尿病や脳梗塞のような危険度の高い一次予防については、早期の治療介入が予後を改善させるという多くのエビデンスがある。このため、リスクの高さに応じて判断できる境界域が設定され、治療介入が可能な領域についても提案されている。●高リスク病態 近年、CKDに伴う脂質異常とCVDリスクの関係などの報告から、新たに慢性腎臓病(CKD)が高リスク病態として扱われることとなった。 また、強力なスタチンの登場により、家族性高コレステロール血症(FH)は認識されずに治療されていることも多く、かつ、そのリスクは高いことから「原発性高脂血症」とは別項目として取り扱われている。これまで検討されてきたLDL-C100mg/dL未満よりもさらに厳しい目標値(very high riskグループ)設定の是非については、日本人でのエビデンスがないことから継続的な検討課題とされた。●non HDL-Cの導入 non HDL-CとCVDの関係を示すエビデンスの報告から、non HDL-Cがリスク区分別脂質管理目標値に加えられた。高TG血症、低HDL-C血症ではLDL-C値に加えて、non HDL-C値を加えることにより、リスク予測力が高まるとされている。 また、TCとHDL-Cから簡便に計算でき、食後採血でも使用できる点やFriedewald式が適用できない高TG血症にも使用できる点などは利点といえる。 本ガイドラインは2012年5月末の発行を予定しており、その詳細内容については2012年の7月に福岡で行われる「第44回日本動脈硬化学会総会」にて紹介される予定となっている。

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両腕のSBP差15mmHg以上、血管疾患や死亡の指標に

両腕の収縮期血圧(SBP)の差が10mmHg以上の場合、末梢血管疾患などを想定した精査が必要で、差が15mmHg以上になると血管疾患や死亡の指標となる可能性があることが、英エクセター大学のChristopher E Clark氏らの検討で示された。末梢血管疾患は心血管イベントや死亡のリスク因子だが、早期に検出されれば禁煙、降圧治療、スタチン治療などの介入によって予後の改善が可能となる。両腕のSBP差が10~15mmHg以上の場合、末梢血管疾患や鎖骨下動脈狭窄との関連が指摘されており、これらの病態の早期発見の指標となる可能性があるという。Lancet誌2012年3月10日号(オンライン版2012年1月30日号)掲載の報告。両腕の血圧差と血管疾患、死亡率との関連をメタ解析で検証研究グループは、両腕の血圧差と血管疾患、死亡率との関連を検証するために、系統的なレビューとメタ解析を行った。Medline、Embase、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literatureなどの医学関連データベースを検索して、2011年7月までに公表された文献を抽出した。対象は、両腕のSBPの差と鎖骨下動脈狭窄、末梢血管疾患、脳血管疾患、心血管疾患、生存のデータを含む論文とした。変量効果を用いたメタ解析を行い、両腕のSBP差と各アウトカムの関連について評価した。10mmHg以上の差があると、鎖骨下動脈狭窄のリスクが約9倍に28編の論文がレビューの条件を満たし、そのうち20編がメタ解析の対象となった。血管造影法を用いた侵襲的な試験では、狭窄率>50%の鎖骨下動脈狭窄の患者における両腕のSBP差の平均値は36.9mmHg(95%信頼区間[CI]:35.4~38.4)であり、10mmHg以上の差は鎖骨下動脈狭窄の存在と強い関連を示した(リスク比[RR]:8.8、95%CI:3.6~21.2)。非侵襲的な試験の統合解析では、両腕SBPの15mmHg以上の差は、末梢血管疾患(RR:2.5、95%CI:1.6~3.8、感度:15%、特異度:96%)、脳血管疾患の既往(RR:1.6、95%CI:1.1~2.4、感度:8%、特異度:93%)、心血管死の増加(ハザード比[HR]:1.7、95%CI:1.1~2.5)、全死因死亡(HR:1.6、95%CI:1.1~2.3)と関連を示した。10mmHg以上の差は末梢血管疾患と関連した(RR:2.4、95%CI:1.5~3.9、感度:32%、特異度:91%)。著者は、「両腕のSBPの10mmHg以上または15mmHg以上の差は血管の精査を要する患者の同定に役立ち、15mmHg以上の差は血管疾患や死亡の有用な指標となる可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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