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米国心臓協会(AHA)/米国心臓病学会(ACC)による2026年版の脂質異常症ガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の推定リスクおよび1次予防においてスタチンが適応となる集団について新たな推奨事項が提示された。米国・ピッツバーグ大学のTimothy S. Anderson氏らは、2018年版から2026年版への変更により、ASCVDの1次予防を目的とするスタチン療法の対象となる米国の人口が推定2,150万人拡大し、結果として30~79歳の非妊娠成人の半数以上が現在、1次予防におけるスタチンの適応となっており、新たな適応集団の多くは、ASCVDの推定10年リスクが3%未満(平均値3.1%)であることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年7月20日号に掲載された。2026年版の変更が公衆衛生に及ぼす影響を検討 研究グループは、2026年版AHA/ACC脂質異常症ガイドラインに基づくスタチン療法による1次予防が、公衆衛生に及ぼす影響の評価を目的に、米国の国民健康栄養調査(NHANES)の全国的な代表的データを用いて検討を行った(米国国立老化研究所[NIA]の助成を受けた)。 対象は、2017~23年にNHANESに参加し、ASCVDを有さず、年齢30~79歳の非妊娠成人の横断的サンプルとした。データの解析は、2026年3~5月に行った。 主要評価項目として、1次予防におけるスタチン療法の適応基準の変更の影響を、2026年版と2018年版のガイドラインを比較することで評価した。8.6%がASCVDリスクとは独立にスタチンの適応、適応外は37.9% 加重サンプルには、米国の成人1億5,450万人(加重平均年齢51歳、女性52.0%、白人62.2%、ヒスパニック系16.4%、黒人10.5%、アジア系6.3%)を代表する4,366人のNHANES参加者が含まれた。 2026年版ガイドラインに基づくと、このうち860万人(5.5%、95%信頼区間[CI]:4.7~6.6)が、未治療でLDLコレステロール(LDL-C)値<70mg/dLであり、スタチンは推奨されない集団であった。2,760万人(17.8%、95%CI:16.3~19.5)は、すでにスタチンの投与を受けていた。 また、1,330万人(8.6%、95%CI:7.6~9.8)は、それぞれLDL-C値≧190mg/dL(360万人[2.3%、95%CI:1.6~3.3])、40~75歳で糖尿病(780万人[5.0%、95%CI:4.3~5.8])、40~75歳でステージ3以上の慢性腎臓病(200万人[1.3%、95%CI:0.9~1.8])であり、ASCVDリスクとは独立にスタチン投与の適格基準を満たし、いずれもストロングスタチンが推奨された。 残りの1億510万人(68.0%、95%CI:65.9~70.0)が、ガイドラインの推定ASCVDリスクに基づく判定基準によりスタチン適応の可否が決まる集団であった。 10年ASCVDリスクが高(≧10%)の集団は320万人(2.0%、95%CI:1.5~2.7)であり、中(5~<10%)が1,140万人(7.4%、95%CI:6.5~8.4)、境界型(3~<5%)が1,290万人(8.4%、95%CI:7.2~9.7)、低(<3%)は7,760万人(50.2%、95%CI:47.7~52.7)であった。 10年ASCVD低リスク集団のうち、LDL-C値<160mg/dLで、30年リスク<10%の集団(5,850万人、37.9%、95%CI:35.8~40.0)はスタチン適応外であるが、これ以外の参加者はストロングまたは中強度スタチンが推奨された。スタチンによる1次予防の対象が大幅に拡大 8,750万人(56.6%、95%CI:54.2~58.9)が2026年版ガイドラインに基づきスタチンの適応となり、このうち新たに適応となったのは2,150万人(13.9%、95%CI:12.5~15.5)であった。 また、70~79歳の93.5%および60~69歳の85.0%が、スタチンによる1次予防の対象となるのに対し、30~39歳では11.1%と少なかった。 従来からスタチン療法が推奨されていた集団に比べ、新たにスタチンの適応となった集団は、全般に若年層であり、リスクも低かった(推定10年ASCVDリスクの平均値:新規スタチン適応集団3.1%[95%CI:2.7~3.5]、従来スタチン適応集団6.1%[95%CI:5.8~6.4])。 著者は、「2026年版の脂質異常症ガイドラインは、主に低リスクの集団を対象に、スタチンによる1次予防が推奨される米国の成人集団を大幅に拡大している」とまとめている。また、「今回の解析では、現在、薬物療法を受けている患者の大多数が、2026年版ガイドラインでもスタチンの『強い』または『中等度』の適応を保持していることを確認した」としている。