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ASCO2026 レポート 消化器がん

レポーター紹介[目次]RASolute 302試験FIGHT-302試験BREAKWATER Cohort3試験EPISODE-III/JCOG1503C試験欧州CIRCULATE/日本発GALAXY試験ONO-4578-08試験PANKU-Esophagus01試験膵がんRASolute 302試験:daraxonrasibが膵がん薬物療法の地図を塗り替える可能性RASolute 302は、前治療歴を有する転移のある膵管腺がん(PDAC)を対象に、経口RAS(ON) multi-selective inhibitorであるdaraxonrasibと医師選択化学療法(GnP、mFOLFIRINOX、Nal-IRI+5FU/LV、FOLFOX)を比較した国際共同非盲検第III相試験である。主要評価項目はRAS G12変異例における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)で、全体集団500例のうち91.8%がRAS G12変異例であった。RAS G12変異例では、OS中央値が13.2ヵ月vs.6.6ヵ月(ハザード比[HR]:0.40)、PFS中央値が7.3ヵ月vs.3.5ヵ月(HR:0.45)と、daraxonrasib群で有意に改善した。全体集団でもOS中央値13.2ヵ月vs.6.7ヵ月(HR:0.40)、PFS中央値7.2ヵ月vs.3.6ヵ月(HR:0.49)と一貫した効果が示され、RAS G12以外やRAS変異未同定例を含めた広い集団で有効性が確認された。客観的奏効率(ORR)もRAS G12変異例で33.2%vs.11.8%(p<0.0001)、全体集団で31.6%vs.11.2%(p<0.0001)と改善した。QOLも改善し、有害事象は発疹(全Grade:85%、Grade3以上:14%)・口内炎(全Grade:53%、Grade3以上:12%)などが中心である。臨床的インパクトは非常に大きく、主要評価項目であるOSの有意な結果が報告されたタイミングでスタンディングオベーションが起き、発表と同時にNEJM誌にも掲載された1)点も注目される。daraxonrasibはFDAからBreakthrough Therapy designationおよびOrphan Drug designationを受けており、膵がんで長く創薬困難とされてきたRASを、G12C単独ではなくG12D/V/Rを含む広いRAS変異に対して標的化できることを第III相試験で示した意義は大きく、PDACの治療体系を大きく変えると思われる。RAS阻害薬はほかにも多数の薬剤が開発中であり、初回治療例を対象にdaraxonrasib単剤vs.daraxonrasib+GnP vs.GnPを検証するRASolute 303試験をはじめ、術後補助療法におけるエビデンス創出など、今後の拡大が期待される。1)O'Reilly EM, et al. N Engl J Med. 2026 May 31. [Epub ahead of print]目次に戻る胆道がんFIGHT-302試験:FGFR2融合・再構成陽性胆管がんで1次治療FGFR阻害の可能性を検証FGFR2融合・再構成陽性胆管がんでは、既治療例を対象とした第II相FIGHT-202試験でペミガチニブの有効性が示され、最終解析ではORR 37.0%、PFS中央値7.0ヵ月、OS中央値17.5ヵ月、奏効期間(DoR)中央値9.1ヵ月であった2)。これを背景に、ペミガチニブは既治療のFGFR2融合・再構成陽性胆管がんで承認されており、FIGHT-302試験では1次治療への前倒しが検証された。FIGHT-302は、未治療の切除不能・転移FGFR2再構成陽性胆管がんを対象に、ペミガチニブ単剤とゲムシタビン+シスプラチン(GC)を比較した国際共同非盲検第III相試験である。希少な分子サブタイプを対象とするため登録は難航し、4,000例超を事前スクリーニングしたものの、最終的なランダム化例数は167例で、試験は早期終了となった。主要評価項目のPFS中央値は8.3ヵ月vs.6.8ヵ月(HR:0.58、nominal p=0.0078)とペミガチニブ群で延長し、ORRも47.0%vs.15.5%、DoR中央値も14.2ヵ月vs.6.3ヵ月と良好であった。一方、OS中央値は24.4ヵ月vs.25.0ヵ月と同程度であった。化学療法群では進行後に42例がペミガチニブへクロスオーバーしており、OS解釈には注意を要する。本試験は、FGFR2陽性胆管がんで1次治療から標的治療を用いる可能性を示した点で重要であり、同時にJournal of Clinical Oncology誌にも掲載された3)。とくにORRはペミガチニブ群47.0%と、胆道がん全体を対象としたTOPAZ-1/KEYNOTE-966のGC+免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)におけるORRが約27~29%であったことを踏まえると、クロストライアル比較ながら腫瘍縮小を重視するFGFR2再構成陽性例では魅力的に映る。一方で、FIGHT-302の対照群はGC単独であり、現在の1次治療標準であるGC+ICIsとの直接比較ではない。また、OS非改善、早期終了による検出力の限界、クロスオーバーの影響、FGFR阻害薬後の耐性変異を踏まえると、ただちに1次治療を置き換えるというより、診断時からFGFR2検査を行い、FGFR2陽性例における1次治療・2次治療の最適なシーケンスを考えるデータと整理するのが妥当である。2)Abou-Alfa GK, et al. Lancet Oncol. 2020;21:671-684.3)Bekaii-Saab TS, et al. J Clin Oncol. 2026 Jun 1. [Epub ahead of print]目次に戻る大腸がんBREAKWATER Cohort3試験:FOLFIRIバックボーンでも良好な治療効果BRAF V600E変異陽性転移性大腸がんは予後不良な分子サブタイプであり、1次治療からBRAF/EGFR阻害を組み込む治療開発が進められてきた。第III相BREAKWATER試験では、エンコラフェニブ+セツキシマブ(EC)+mFOLFOX6が標準治療に対し、ORR:65.7%vs.37.4%、PFS中央値12.8ヵ月vs.7.1ヵ月、OS中央値30.3ヵ月vs.15.1ヵ月と良好な結果を示した。これを受け、本邦でも2025年11月にエンコラフェニブが1次治療へ適応拡大され、FOLFOX+ECはBRAF V600E変異陽性切除不能進行・再発大腸がんにおける初回治療の標準的選択肢として位置付けられている。一方、ASCO GI 2026では、BREAKWATERの別コホートとして、EC+FOLFIRIをFOLFIRI±BEV(ベバシズマブ)と比較した成績が報告され、BICR評価のORRは64.4%vs.39.2%(片側p=0.0011)と有意に改善していた。今回のASCO 2026ではPFSおよびOS解析が発表され、PFS中央値は15.2ヵ月vs.8.3ヵ月(HR:0.44、片側p=0.0002)と有意に延長した。OS中央値も、未到達vs.20.3ヵ月(HR:0.56)であり、OSも良好な傾向を示した。本結果はASCO 2026で発表されるとともに、Annals of Oncology誌に同時掲載された4)。FOLFOX+ECが本邦でも1次治療標準として位置付けられた一方、今回のFOLFIRIコホートは、オキサリプラチン不適例や末梢神経障害を避けたい症例における将来的な代替バックボーンとしての可能性を示した。ただし、EC+FOLFIRIの国内実装には薬事・ガイドライン上の位置付けの整理が必要である。4)Kopetz S, et al. Ann Oncol. 2026 May 31. [Epub ahead of print]目次に戻る大腸がん・日本発EPISODE-III/JCOG1503C試験:アスピリン補助療法は“全例投与”から“分子選択”か?術後大腸がんに対するアスピリン/COX阻害薬は、非選択集団では明確な上乗せ効果に乏しい一方、PI3K経路異常例では有望な可能性が示されている。非選択大腸がんを対象としたASCOLT試験では、アスピリン200mgを3年間投与しても5年DFSは77.0%vs.74.8%(HR:0.91)で主要評価項目は未達であった5)。また、PI3K経路異常を有する局所大腸がんを対象としたALASCCA試験では、アスピリン160mg・3年間によりPIK3CA exon 9/20変異例、その他PI3K経路異常例のいずれでも再発リスク低下が示された6)。COX-2阻害薬セレコキシブについても、CALGB/SWOG 80702試験の解析でPIK3CA gain-of-function変異例におけるDFS/OS改善が報告されている7)。EPISODE-III/JCOG1503Cは、下部直腸がんを除くR0切除後StageIII大腸がん882例を対象に、標準的な術後補助化学療法へ低用量アスピリン100mgを3年間上乗せする意義を検証した、日本発の二重盲検プラセボ対照第III相試験である。ASCO 2026では、国立がん研究センター中央病院の高島 淳生氏により、主要解析結果がLate-Breaking Abstract(LBA3508)として発表された。主要評価項目の3年DFSは、アスピリン群78.8%vs.プラセボ群75.4%と数値上はアスピリン群で良好であったが、HR:0.84、片側p=0.0987で統計学的有意差には至らなかった。RFSも79.5%vs.77.2%(HR:0.87)と同方向の傾向にとどまり、OSは未成熟であった。安全性はおおむね許容範囲であったが、下部消化管出血はアスピリン群でやや多かった(全Grade:2%vs.0.2%)。アスピリンによる再発抑制機序としては、COX-1/COX-2阻害を介したプロスタグランジン産生低下、血小板凝集抑制による循環腫瘍細胞の転移形成阻害、炎症性腫瘍微小環境の抑制などが想定される。JCOG1503Cは、非選択のStageIII大腸がん全例にアスピリンを追加する方針を支持する結果ではなかった。一方で、本試験は当時のエビデンス状況を踏まえた重要な全例対象試験であり、今後のPI3K/PIK3CA解析により、COX阻害薬を分子選択的な術後補助療法として再評価する足掛かりになる可能性がある。5)Chia JWK, et al. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025;10:198-209.6)Martling A, et al. N Engl J Med. 2025;393:1051-1064.7)Meyerhardt JA, et al. JAMA. 2021;325:1277-1286.目次に戻る大腸がん欧州CIRCULATE/日本発GALAXY試験:本邦におけるMRD元年大腸がん術後のctDNA/MRD検査は、再発リスクを高精度に層別化する手法として期待されており、ASCO 2026ではctDNAを単なる予後予測マーカーにとどめず、術後補助化学療法(ACT)の要否や期間を決める“治療設計ツール”としての可能性が示された。StageII pMMR/MSS結腸がんを対象とした欧州CIRCULATE(AIO-KRK-0217/ABCSG)試験では、tumor-informed型のアカデミックMRDアッセイを用い、術後ctDNA陽性例をACT群と観察群にランダム化した。本試験はドイツ・オーストリアで実施された前向きランダム化第III相試験で、ctDNA陽性例は41例、ITT解析対象はACT群26例、観察群15例であった。主要評価項目の3年DFSは、ACT群61%vs.観察群38%(HR:0.55、p=0.12)で、統計学的有意差には至らなかった。一方、事前規定のper-protocol解析では、ACT群に割り付けられたものの治療を開始しなかった5例を除外し、実際にACTを受けた21例と観察群15例を比較した。その結果、3年DFSは77%vs.38%(HR:0.31、p=0.021)、3年再発率はACT群19%vs.観察群62%(HR:0.23、p=0.009)と、ACT群で良好であった。本試験ではctDNA陽性率が2.9%と低く、早期終了により検出力が限られた点には注意が必要であるが、ctDNA陽性StageII結腸がんにおいて、術後補助化学療法による再発抑制が期待できることを示した前向きランダム化データとして意義は大きい。さらに日本発のCIRCULATE-Japan/GALAXY解析では、SignateraによるACT中のctDNA変化とACT期間との関係について、九州大学の沖 英次氏により報告された。対象は、ACTを受け、術後6ヵ月以内に2回以上ctDNA測定が行われた1,028例であり、ACT期間は90日以上をlong ACT、90日未満をshort ACTとして比較された。ctDNAが一貫して陰性であった症例では、long ACTによる明確なDFS改善は認められなかった(HR:0.71、95%CI:0.46~1.09)。また、ACT治療中にctDNAが陰転化した症例でも、ACT延長の上乗せ効果は明確ではなかった(HR:1.06、95%CI:0.57~1.97)。一方、ctDNAは低下したものの陽性が残るpartial molecular response例では、DFS中央値がlong ACT群5.9ヵ月vs.short ACT群1.7ヵ月と、long ACT群で良好であった(short vs.long:HR:3.64、95%CI:1.33~9.97、p=0.008)。この結果から、ctDNAが残存する一部の症例では、ACT期間の延長が有益となる可能性が示された。ただし、本解析は観察研究であり、現時点ではctDNA動態のみでACT期間を決定する段階ではなく、今後の前向き試験による検証が求められる。CIRCULATE-Japan/GALAXYではNatera社のSignateraが用いられており、術後ctDNAは再発リスクや補助化学療法効果の予測に有用であることがすでに報告されている。2026年5月に本邦でMRD検査の薬事承認が了承された8)ことで、2026年は「MRD実装元年」ともいえる局面を迎えたが、実臨床での普及には、保険適用時期、算定要件、測定タイミング、MRD陽性例に対する介入の整理が今後の課題と考える。8)日経バイオテク(2026年6月3日付)目次に戻る胃がんONO-4578-08試験:EP4阻害でPD-1阻害薬+化学療法の効果を高める新戦略ONO-4578は、PGE2受容体の1つであるEP4を阻害する経口EP4拮抗薬で、腫瘍微小環境における免疫抑制を解除し、PD-1阻害薬の効果を高めることが期待される。ONO-4578-08試験は、HER2陰性の未治療切除不能進行・再発胃がん/食道胃接合部がんを対象に、ONO-4578+ニボルマブ+SOX/CAPOXを、プラセボ+ニボルマブ+SOX/CAPOXと比較した、日本・韓国・台湾の多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化第II相試験であり、ASCO 2026での発表に合わせてJCO誌オンライン版に掲載された9)。主要評価項目である治験担当医評価PFS中央値は9.0ヵ月vs.6.9ヵ月(HR:0.67、p=0.040)と、事前規定の統計設定で有意に延長した。OS中央値は未到達vs.12.7ヵ月(HR:0.60)と未成熟ながらONO-4578群で良好であり、ORRも62.0%vs.48.7%と上回った。とくにPD-L1 CPS≧1集団では、PFS中央値9.9ヵ月vs.5.7ヵ月(HR:0.52)、OS HR:0.44、ORR:70.9%vs.50.9%と、より明瞭なベネフィットが示された。一方で、CPS<1/判定不能例では明確な上乗せ効果は示されておらず、今後の患者選択が重要となる。安全性ではGrade3以上の有害事象が79.2%vs.69.3%とONO-4578群で多く、下痢、貧血、低アルブミン血症、消化管潰瘍などには注意を要する。消化管潰瘍の予防目的でPPI投与が推奨され、ONO-4578群内ではPPI使用例で消化管潰瘍が少なかった(3.4%vs.10.0%)。第II相試験であり、ただちに標準治療を変える段階ではないが、PD-1阻害薬+化学療法が標準となったHER2陰性胃がん1次治療に、免疫微小環境制御を上乗せする新しい戦略として重要である。今後は、PD-L1陽性例を中心とした第III相試験での検証が注目される。9)Nakayama I, et al. J Clin Oncol. 2026 Jun 1. [Epub ahead of print]目次に戻る食道扁平上皮がんPANKU-Esophagus01試験:中国発新規EGFR×HER3二重特異性ADCizalontamab brengitecan(iza-bren/BL-B01D1)は、EGFRとHER3を標的とする二重特異性抗体薬物複合体(ADC)である。ASCO 2026では、再発・転移性食道扁平上皮がんを対象とした中国の第III相PANKU-Esophagus01の中間解析結果が報告された。対象は、1次治療のPD-1/PD-L1阻害薬+プラチナ系化学療法後に進行した患者で、iza-bren群249例もしくは医師選択化学療法(イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル)群248例に割り付けられた。主要評価項目であるOS中央値は9.8ヵ月vs.7.2ヵ月(HR:0.64)、PFS中央値は4.2ヵ月vs.2.0ヵ月(HR:0.50)と、いずれもiza-bren群で有意に改善した。ORRも35.3%vs.13.1%と良好であった。安全性では、Grade3以上の治療関連有害事象は85.1%vs.60.2%とiza-bren群で多く、主に血液毒性が中心であった。一方、治療関連有害事象による中止は2.0%vs.3.3%、治療関連死亡は1.2%vs.1.6%であり、間質性肺疾患の頻度も低かった(全Grade:1.6%vs.0.4%、Grade3以上:0.8%vs.0%)。1次治療で免疫チェックポイント阻害薬+化学療法が標準化した後の食道扁平上皮がんでは、2次治療の選択肢が限られており、iza-brenは新たな標準治療候補として注目される。ただし、中国の試験の結果であり、医師選択化学療法の詳細も未発表である。今後、日本を含むグローバルでの開発・承認動向を見極める必要がある。目次に戻る

2.

HER2+胃食道腺がん1次治療、zanidatamab+化学療法±チスレリズマブがPFS延長(HERIZON-GEA-01)/NEJM

 HER2陽性胃食道腺がんの1次治療において、従来の標準治療であるトラスツズマブと化学療法の併用と比較して、zanidatamab(HER2の細胞外ドメイン2および4に結合する二重特異性IgG1様抗体)と化学療法の併用は、チスレリズマブ(抗PD-1抗体)の併用、非併用のいずれの場合でも、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、チスレリズマブとの併用では全生存期間(OS)に関しても有意な有益性をもたらすことが、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らHERIZON-GEA-01 Investigatorsが実施した「HERIZON-GEA-01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2026年5月28日号で報告された。日本を含む33ヵ国の無作為化第III相試験 研究グループは、zanidatamabの補体依存性細胞傷害作用を含む免疫介在性効果と、チスレリズマブによるPD-1阻害作用を併用することで、HER2陽性胃食道腺がんにおける抗腫瘍免疫がさらに増強するとの仮説を立て、これを検証する目的で非盲検無作為化実薬対照第III相試験を行った(Jazz Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、未治療で切除不能な局所進行または転移・再発のあるHER2陽性胃・胃食道接合部・食道腺がんの患者であった。 被験者を、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法、zanidatamab+化学療法、トラスツズマブ+化学療法のいずれかを受ける群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。化学療法は、カペシタビン+オキサリプラチンまたはフルオロウラシル+シスプラチンのいずれかを選択した。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるPFSとOSの2つとした。 2021年12月~2025年2月に、日本を含む33ヵ国の225施設で914例を登録した。zanidatamab+チスレリズマブ群に302例(年齢中央値63歳[範囲:22~81]、女性58例[19.2%])、zanidatamab群に304例(62.5歳[25~87]、60例[19.7%])、トラスツズマブ群に308例(64歳[21~84]、70例[22.7%])を割り付けた。奏効率、奏効期間も良好 追跡期間中央値25.9ヵ月の時点における中間解析で、PFS中央値は、トラスツズマブ群が8.1ヵ月であったのに対し、zanidatamab+チスレリズマブ群は12.4ヵ月(ハザード比[HR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.51~0.78、p<0.001)、zanidatamab群は12.4ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.52~0.81、p<0.001)と、いずれも有意に延長した。 OS中央値は、トラスツズマブ群の19.2ヵ月に比べ、zanidatamab+チスレリズマブ群は26.4ヵ月と有意に長かった(HR:0.72、95%CI:0.57~0.90、p=0.004)。一方、zanidatamab群のOS中央値は24.4ヵ月であり、この初回中間解析時にはトラスツズマブ群との間に有意差を認めなかった(HR:0.80、95%CI:0.64~1.01、p=0.06)。 奏効率は、zanidatamab+チスレリズマブ群が70.7%、zanidatamab群が69.6%、トラスツズマブ群は65.7%であり、このうち完全奏効を達成した患者の割合はそれぞれ19.6%、17.1%、11.0%であった。また、奏効例における奏効期間中央値は、それぞれ20.7ヵ月、14.3ヵ月、8.3ヵ月だった。下痢の頻度が高い Grade3以上の有害事象はzanidatamab+チスレリズマブ群で83.3%、zanidatamab群で73.8%、トラスツズマブ群で74.5%に発現した。このうち下痢の頻度が最も高く、それぞれ24.8%、20.0%、12.9%の患者に認めた。薬剤関連の下痢によるHER2標的療法(zanidatamab、トラスツズマブ)の中止は、zanidatamab+チスレリズマブ群の4.1%とzanidatamab群の1.3%で生じた。 重篤な有害事象は、zanidatamab+チスレリズマブ群の58.5%、zanidatamab群の49.2%、トラスツズマブ群の42.4%に発現し、HER2標的療法の中止に至った有害事象は、それぞれ13.3%、10.5%、5.6%に認めた。免疫介在性有害事象は、zanidatamab+チスレリズマブ群の37.8%で報告され、発疹(14.3%)の頻度が最も高かった。Grade5の薬剤関連有害事象(死亡)は、zanidatamab+チスレリズマブ群で多かった(それぞれ2.4%、0.3%、1.3%)。 著者は、これらの結果について、「チスレリズマブの併用の有無にかかわらず、zanidatamabはHER2陽性胃食道腺がん患者にとって、有望な標的治療の選択肢であることを裏付けている」「単一のHER2ドメインにのみ結合するトラスツズマブよりも、zanidatamab独自の二重のHER2標的化メカニズムが、大きな臨床的利益をもたらすことが示唆される」としている。

3.

未治療MCLへのイブルチニブを含む1次治療±ASCT、長期解析結果(TRIANGLE)/Lancet

 18~65歳の未治療マントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、標準的な免疫化学療法へイブルチニブを追加した治療に、自家造血幹細胞移植(ASCT)を追加する意義を検討した「TRIANGLE試験」の長期追跡評価(55ヵ月)の結果が、ドイツ・LMU University HospitalのMartin Dreyling氏らEuropean Mantle Cell Lymphoma Networkによって報告された。イブルチニブ追加療法群は治療成功生存期間(Failure Free Survival:FFS)のみならず全生存期間(OS)の改善との関連も示された。一方で、イブルチニブ追加療法+ASCT群ではASCT追加のベネフィットは示されず、毒性の増加が認められた。TRIANGLE試験の最初の評価報告(追跡期間中央値31ヵ月)では、標準的な1次免疫化学療法へのイブルチニブ追加はFFSを改善することが示されていたが、さらにASCTを追加すべきかどうかについては議論の余地が残っていた(ジャーナル四天王「未治療MCL、免疫化学療法+イブルチニブ±ASCT(TRIANGLE)/Lancet」)。Lancet誌2026年5月16日号掲載の報告。ASCT+免疫化学療法群、ASCT+免疫化学療法+イブルチニブ群、免疫化学療法+イブルチニブ群に無作為化 TRIANGLE試験は、MCLの治療経験がありASCTが実施可能または実施可能施設と連携する欧州13ヵ国およびイスラエルの165施設(2次または3次医療センター)で実施された第III相の3群無作為化非盲検優越性試験。18~65歳、未治療の病期II~IV期でASCTの適応がある患者を、1対1対1の割合で対照群のA群(ASCT+免疫化学療法群)、試験群のA+I群(ASCT+免疫化学療法+イブルチニブ群)またはI群(免疫化学療法+イブルチニブ群)の3群に無作為に割り付け追跡評価した。無作為化は、コンピュータ生成乱数を用いて行われ、研究グループおよびMCL国際予後指数(Mantle Cell Lymphoma International Prognostic Index:MIPI)リスク分類で層別化された。 A群の治療は、R-CHOP(0日目または1日目にリツキシマブ375mg/m2静脈内投与、1日目にシクロホスファミド750mg/m2、1日目にドキソルビシン50mg/m2、1日目にビンクリスチン1.4mg/m2[最大2mgまで]、1~5日目にprednisone 100mg経口投与)と、R-DHAPまたはR-DHAOx(0日目または1日目にリツキシマブ375mg/m2静脈内投与、1~4日目にデキサメタゾン40mg静脈内または経口投与、2日目に高用量シタラビン2×2g/m2を12時間ごと3時間かけて静脈内投与、これらに加えて1日目に24時間かけてシスプラチン100mg/m2を静脈内投与[R-DHAP]または1日目にオキサリプラチン130mg/m2を静脈内投与[R-DHAOx])を21日間ごと交互に6サイクル行われ、その後にASCTを行った。 A+I群では、経口イブルチニブ(1日560mg)がR-CHOPサイクルの1~19日目(導入療法)に追加され、またASCT後に2年間投与された(維持療法)。 I群では、A+I群同様にイブルチニブが投与された(導入療法と維持療法)が、ASCTは行われなかった。 すべての治療群で国際ガイドラインに従い、リツキシマブ維持療法が許容された。 主要アウトカムはFFSで、3つのペアワイズ片側log-rank検定により統計学的にモニタリングされた。主要解析は、すべての無作為化された患者(プロトコール逸脱の有無は不問)を包含したITTにて行われた。安全性は無作為化され、いずれかの治療フェーズを開始した患者を対象に評価した。4年FFS率、イブルチニブ追加療法へのASCT上乗せ効果は示されず 2016年7月29日~2020年12月28日に870例が無作為化された(A群288例、A+I群292例、I群290例)。無作為化された患者の年齢中央値は57歳(四分位範囲:52~61)、男性が662例(76%)であり、病期IV期の患者が757/869例(87%)、MIPI低リスク504/870例(58%)、中程度236/870例(27%)であった。 追跡期間中央値54.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:54.4~56.0)後、A+I群のI群に対する優越性は示されなかった。4年FFS率はそれぞれ82%(95%CI:78~87)、81%(76~86)であった(ハザード比[HR]:0.86、片側98.33%CI:0.00~1.27、片側p=0.21)。 一方、A群の4年FFS率は70%(95%CI:65~76)であり、A+I群のA群に対する優越性が認められた(HR:0.63、片側98.33%CI:0.00~0.89、片側p=0.0026)。また、初回評価時同様、A群のI群に対する優越性は認められなかった(HR:1.45、片側98.33%CI:0.00~2.02、片側p=0.99)。 4年OS率は、A+I群88%(95%CI:84~92)vs.A群81%(76~85)(HR:0.59、95%CI:0.38~0.92、p=0.0036)、I群90%(87~94)vs.A群81%(76~85)(HR:0.57、95%CI:0.36~0.90、p=0.0019)であり、両イブルチニブ追加療法群ともに、非追加群と有意な差が認められた。イブルチニブを含む導入・維持療法を新たな標準治療とすべき 維持療法または追跡期間中、最も多くみられたGrade3~5の有害事象は血液およびリンパ系障害で、A+I群で127/234例(54%)報告されたのに対して、I群では74/269例(28%)であり、またA群では56/240例(23%)であった。感染症の発現は、A+I群で80/234例(34%)報告されたのに対して、I群では71/269例(26%)、A群では37/240例(15%)であった。 維持療法または追跡期間中、最も多くみられた死亡に至った有害事象は感染症で、A+I群で4/234例(2%)、I群で5/269例(2%)報告された。 これらの結果を踏まえて著者は、「より若いMCL患者に対して、イブルチニブ+R-CHOP+R-DHAP(またはR-DHAOx)による導入療法後、2年間のイブルチニブ維持療法を新たな標準治療として検討すべきである」と述べている。

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未治療尿路上皮がんへのEV+ペムブロリズマブ、3.5年の長期解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2026

 EV-302/KEYNOTE-A39試験の結果に基づき、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法は、未治療の局所進行または転移を有する尿路上皮がんに対する標準治療となっている。英国・Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で、3.5年時点における同試験のフォローアップ解析結果を発表した。・対象:未治療の局所進行/転移を有する尿路上皮がん患者(GFR≧30mL/分、ECOG PS≦2)・試験群:EV(1.25mg/kg、3週ごと1・8日目に静脈内投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと1日目に静脈内投与) 442例・対照群:ゲムシタビン+シスプラチンシスプラチン不適格例ではゲムシタビン+カルボプラチン) 444例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など・層別因子:シスプラチン適格性、PD-L1発現状況、肝転移の有無 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値42.8ヵ月(データカットオフ:2025年10月6日)時点におけるOS中央値は、試験群33.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:26.6~39.8ヵ月)vs.対照群15.9ヵ月(95%CI:13.6~18.3ヵ月)と試験群におけるOSベネフィットが維持されていた(層別ハザード比:0.53、95%CI:0.45~0.63)。・試験群で試験治療後の後治療(全身療法)を受けた割合は39.1%、最も多かったのはプラチナベース化学療法で30.5%を占めた(カルボプラチンベース:16.5%、シスプラチンベース:13.8%)。プラチナベース化学療法開始からのOS中央値は10.9ヵ月、ORRは20.7%であった。・対照群で試験治療後の後治療(全身療法)を受けた割合は68.5%、最も多かったのはPD-(L)1阻害薬で59.7%を占めた(アベルマブ維持療法が30.4%)。・ORRも引き続き試験群で良好であり(試験群67.5%vs.対照群44.2%)、完全奏効(CR)は30.4%vs.14.5%と約2倍の差がみられた。・試験群でCRを達成した133例のうち、45例(試験群全体の10.3%)は初回治療でCRを達成し、88例(同20.1%)は初回治療で部分寛解(PR)達成後、CRに移行した。・試験群におけるCR達成例のベースライン特性をみると、とくに初回治療でのCR達成例は内臓転移が35.6%と少なく(試験群全体:71.9%)、リンパ節転移のみの症例が51.1%と多い傾向がみられた(同:23.3%)。・CR達成例の3.5年OS率は、全体では82.4%、PRからCRへの移行例では83.6%と同等であった。・EVの治療期間中央値は7.1ヵ月で、60.0%が投与中断、43.0%が減量を実施していた。ペムブロリズマブの治療期間中央値は8.5ヵ月であった。・治療期間の延長に伴う、新たな安全性シグナルは認められなかった。累積増加率が最も高かったのは末梢性感覚ニューロパチーで、2年超EV治療を受けた症例の約90%で認められたが、Grade3以上は依然としてまれであった。 Powles氏は、「追跡期間中央値3.5年経過時点において、EV+ペムブロリズマブ併用療法は化学療法と比較して引き続き優れた有効性を示しており、新たな安全性のシグナルは認められなかった」としたうえで、「CR達成例の3分の2はPRから移行しており、アウトカムを最大化するために治療期間が重要であることが示唆された」とまとめている。

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タルラタマブが小細胞肺がん2次治療に加わる意義/アムジェン

 2026年3月、タルラタマブ(商品名:イムデトラ)が小細胞肺がん(SCLC)の2次治療に承認された。アムジェンが主催したメディアセミナーでは、関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座の倉田 宝保氏と肺がん患者会のワンステップの長谷川 一男氏が登壇。医師と患者の立場から、新たな展開の意義を語った。小細胞肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬の導入 SCLCは肺がんの10〜15%を占める。喫煙との関連が高く、病勢進行も速い。進行の速さに加え、喫煙歴のある患者が多いため、咳や痰などの症状がSCLCによるものなのか、その鑑別は容易ではない。発見時には片肺にとどまっている限局性であっても、もう一方の肺に浸潤した進展型となっていることがほとんどだ。 1960年代、SCLCの治療には薬物療法が有効であることが証明されている。しかし、予後は不良で、1981年当時の生存期間中央値(MST)は、限局型が14ヵ月、進展型では7ヵ月にとどまっていた。その後、同時化学放射線療法(シスプラチン+エトポシド+放射線)により限局型のMSTは27.3ヵ月に、シスプラチン+イリノテカン療法により進展型のMSTは12.8ヵ月に延びるが、それ以降、近年まで成績は向上しなかった。 そのような中、SCLCにも免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が導入された。ICIは腫瘍変異量が多い腫瘍に有効性が高い。喫煙との関連が深いため腫瘍変異量が多いSCLCではICIの効果が期待されていた。 しかし、SCLCにおけるICIの効果は限定的であった。進展型SCLCの1次治療でICIを化学療法に上乗せしても、5年生存率の改善は10〜12%にとどまる。理由の1つにSCLCがCold tumorであることもあげられている。SCLCでは、T細胞受容体およびT細胞ががん細胞を認識するMHCクラスIの発現が低く、PD-L1発現も低い。さらに、腫瘍へのリンパ球浸潤が少ないことが明らかになっている。 十分とは言えなくとも選択肢が増えた1次治療に比べ、2次治療以降はさらに深刻な状況である。日本におけるSCLC2次治療の標準療法であるアムルビシン単剤のMSTは6〜9ヵ月程度にとどまる。そのような状態にもかかわらず、アムルビシン承認以降、約20年にわたって2次治療に新規薬剤は登場しなかった。タルラタマブによる課題の克服と2次治療への導入 こうした課題を背景に、タルラタマブが登場した。タルラタマブはSCLC細胞に高発現するDLL3とT細胞表面のCD3に結合する二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。 タルラタマブはDLL3を介してT細胞をがん細胞に近接させ、T細胞を活性化・増殖させるとともに、炎症性サイトカインなどの放出を誘発してがん細胞のアポトーシスをもたらす。「免疫的にColdなtumorをHotに変え、免疫療法を作用させていく薬」と倉田氏は説明した。 タルラタマブの承認根拠となったDeLLphi-301試験では、3次治療以降のSCLC患者を対象に単剤投与が行われた。奏効率(ORR)は41.4%、生存期間中央値(OS)は14.3ヵ月という成績を示した。「3次治療の患者は免疫系が疲弊していて免疫治療が効きにくい状態にある。そういう状態でこれだけの効果を示すことは非常に興味深い」と倉田氏は評価する。 今回、2次治療適応追加の根拠となったのが、タルラタマブ単剤と化学療法を比較したDeLLphi-304試験である。主要評価項目であるOS中央値は、タルラタマブ群の13.6ヵ月に対し、化学療法群では8.3ヵ月。ハザード比は0.60(95%信頼区間:0.47〜0.77)、p<0.001と、タルラタマブによる有意なOS延長が示された。一方、サイトカイン放出症候群(多くはGrade2以下)は半数以上に認められ、発熱、食欲減退、味覚不全などの有害事象が報告されている。 倉田氏は「これからのSCLCの治療に免疫療法は欠かせない。有害事象を管理してタルラタマブを使用するのはわれわれの責務」とし、また「免疫療法はより早い段階での投与が効果を高めることがわかっている。今後タルラタマブの2次治療以前の使用が実現することを強く期待している」と述べた。SCLC患者が直面する現実 長谷川 一男氏らが運営する肺がん患者の会ワンステップでは、2ヵ月に1度「おしゃべり会」を設けている。同会にSCLC患者も参加するが、1〜2回で来られなくなることが多かったという。 疾患自体の厳しさにとどまらず、SCLCの患者・家族が直面する現実は深刻だ。患者の喫煙が発症に関連することから、家族は患者を責め、患者は罪悪感に苛まれる。 2016年の日本肺癌学会学術集会。プログラムの中に「30年間変わらない小細胞肺がんの治療」と題したセッションが設けられていたという。当時は分子標的薬や免疫療法が非小細胞肺がんの景色を変えていた時期であり、SCLCが取り残されていた現実を表しているといえるだろう。30年変わらなかった治療に光が差し始めた 転機が訪れたのは2019年だった。世界肺がん学会(WCLC2019)の最重要演題が集まるPresidential Symposiumで、SCLCの免疫治療の結果が発表された。「長く止まっていた領域にようやく光が差し始めた瞬間だった」と長谷川氏は当時の興奮を伝える。 その後、SCLCに対してタルラタマブが臨床導入される。長谷川氏によれば、タルラタマブが臨床で使われるようになってから、治療中も仕事を続けているSCLC患者に出会うこともあるという。 SCLC治療に選択肢が増えることは「仕事ができる、家族との時間を守れる」など患者・家族の日常生活にも大きな恩恵をもたらす。「以前は生きられるかどうかで精一杯というのがSCLC患者さんの実情だったが、今はどう生きるかを考える余地が出てきた」と長谷川氏は強調した。 長谷川氏は最後に、「タルラタマブのような新薬が3次治療から2次治療、そして1次治療へと移行していき、SCLC患者の現実をどんどん変えてくれることを願っている」と結んだ。

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高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【泌尿器】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。初版には泌尿器領域のCQはなかったため、すべて新規で尿路上皮がん(CQ15)、前立腺がん(CQ16)、腎がん(CQ17)の3つのCQが設定された。CQ15 転移性尿路上皮がんに対して免疫チェックポイント阻害薬単剤療法や併用療法は、高齢者や超高齢者に対して推奨されるか?推奨:転移性尿路上皮がんに対して免疫チェックポイント阻害薬単剤療法や併用療法を、高齢者や超高齢者に対して弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:D  転移尿路上皮がんの標準治療は長らくシスプラチンを中心としたプラチナ製剤併用化学療法であったが、近年では免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有効性や安全性が複数のランダム化比較試験(RCT)によって示されている。しかし、高齢者におけるエビデンスは十分に確立されておらず、実臨床では個別に適応を判断しているのが現状である。そこで本CQでは、転移尿路上皮がんの高齢者(75歳以上と定義)・超高齢者(80歳以上と定義)に対して、ICIの投与を開始した群(介入群)と無治療あるいは化学療法の投与を開始した群(対照群)のアウトカムを評価した。RCTにおいて、全体集団ではICIによる全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)、奏効率の優越性が示されているが、高齢者や超高齢者に限定しているものではなかった。2件の後ろ向き研究において、ICIを投与した75歳以上と未満の群間におけるOSに有意差は認めなかったが、設定した対照群に合致しなかった。75歳以上のPFSと治療中断・延期に関するデータを示した第II相試験が存在するが、75歳未満のデータは示されていない。コホート研究において高齢者でも同様の有効性が期待され、観察研究において高齢者での重篤な有害事象は示されなかったものの、RCTの結果を高齢者にそのまま適用できるかどうかの明確なエビデンスはないと判断された。CQ16 転移性ホルモン感受性前立腺がんに対してタキサン系抗がん薬は、高齢者や超高齢者に対して推奨されるか?推奨:転移性ホルモン感受性前立腺がんに対して、タキサン系抗がん剤を高齢者または超高齢者に使用することは、患者の全身状態、併存疾患、価値観、生活背景を総合的に考慮したうえで行うことが望ましい。推奨のタイプ:当該介入または比較対照のいずれかについての条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 転移性ホルモン感受性前立腺がんの1次治療として、アンドロゲン除去療法(ADT)を基盤としたドセタキセル併用療法やアンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)の併用が推奨されている。第III相のRCTであるCHAARTEDやSTAMPEDEにおいて、ADTへのドセタキセル上乗せによる有意なOSの延長が示され、ARASENSによりADT+ドセタキセルへのダロルタミド上乗せの有用性が示されている。しかし、転移性ホルモン感受性前立腺がんは高齢者に多い疾患であるにもかかわらず、高齢者を対象としたドセタキセルの有効性や安全性に関するエビデンスは十分に確立されていない。そこで本CQでは、タキサン系抗がん剤の治療適応のある転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象に、高齢者(75歳以上と定義)・超高齢者(80歳以上と定義)に対してタキサン系抗がん剤の投与を開始した群(介入群)とタキサン系抗がん剤の投与を減量あるいは行わない群(対照群)のアウトカムを評価した。OSについては、CHAARTEDの70歳以上においてタキサン併用群ではADT単独と比較して有意な改善を認めた一方で、STAMPEDEの70歳以上では有意な延長は示さなかった。75歳以上を対象とした観察研究でもOSの有意差は認められなかった。PFSは、75歳以上を対象とした観察研究において、ADT+ドセタキセル併用群ではADT+アビラテロン併用群よりも有意に短縮した。1件のRCTでOS延長の優越性が示されたため一定の望ましい効果は期待でき、各RCTに高齢者・超高齢者は一定数含まれているため、適切な症例を選べば毒性は許容範囲内と評価された。CQ17 転移性腎がんに対して免疫チェックポイント阻害薬を含む併用療法は高齢者や超高齢者に対して推奨されるか? 進行腎がんの薬物療法では、9種の分子標的薬と4種のICIが保険適用となっており、1次療法として複合免疫療法(ICIを含む併用療法)が有効である。しかし、高齢者に限定した前向き試験は存在せず、後ろ向き研究も限定的であり、日常診療では若年者のエビデンスを高齢者に外挿しているのが現状である。そこで本CQでは、65歳以上を高齢者、75歳以上を超高齢者と定義し、それぞれの年代におけるICIを含む併用療法のアウトカムを評価した。高齢者に特化したICIを含む併用療法の有用性を検討した介入試験は存在しなかったため、高齢者サブグループ解析の結果をもとにシステマティックレビューとメタ解析を施行した。(1)65歳以上の高齢者推奨:65歳以上の高齢者の転移性腎がん患者に対して、免疫チェックポイント阻害薬を含む併用療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C メタ解析の結果、OS、PFS、奏効率のいずれにおいても、ICI併用群ではTKI単剤群と比較して有意に良好な結果が示された。重篤な有害事象については、両群で大きな差は認められなかった。ICIを含む併用療法は高齢者においても十分な有効性と許容可能な安全性を示しており、若年者と同様に標準治療として推奨できるが、エビデンスの確実性は低いと評価された。(2)75歳以上の超高齢者推奨:75歳以上の高齢者の転移性腎がん患者に対して、免疫チェックポイント阻害薬を含む併用療法は、エビデンスが乏しく、明確に推奨することはできない。個別の病状や価値観を考慮して行うことが望ましい。推奨のタイプ:推奨なしエビデンスの強さ:D OSとPFSはICI併用による明確な改善効果は示されなかったものの、奏効率はICI併用群で有意に良好であった。有害事象の発現頻度に有意差はなかった。75歳以上の高齢者については患者数が少なく、OS・PFSにおける明確な有効性があると結論付けることは難しく、「推奨なし」と評価された。

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高齢者のがん薬物療法GLの改訂ポイント【消化管】/日本臨床腫瘍学会

 『高齢者のがん薬物療法ガイドライン 改訂第2版』が2026年3月25日に発刊され、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のシンポジウムで全17項目のクリニカルクエスチョン(CQ)が解説された。消化管領域からは、胃がんに関する2項目(CQ4、CQ5)、大腸がんに関する2項目(CQ6、CQ7)の計4つのCQが設定された。CQ4 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチンの併用は推奨されるか?推奨:高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、オキサリプラチン併用療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 胃癌治療ガイドラインでは、切除不能進行・再発胃がんの1次治療としてオキサリプラチンを含むレジメンが推奨されている。高齢者においては末梢神経障害や骨髄抑制といった有害事象が懸念されるため、条件付きの推奨としてオキサリプラチンを含まないレジメンを使用することもある。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、オキサリプラチンを併用する化学療法(減量投与を含む)(介入群)とオキサリプラチンを併用しない化学療法(対照群)のアウトカムを評価した。2件のランダム化比較試験(RCT)(1件はシスプラチン併用)において、無増悪生存期間(PFS)は併用群で有意に良好で、全生存期間(OS)と奏効率は併用群で良好な傾向を示した。オキサリプラチン通常量と減量投与を評価したRCTでは、減量群では奏効率の低下を認めた。治療関連死は併用群で0%、非併用群で3.8%であった。Grade3以上の有害事象は併用群で多いという報告と少ないという報告があり、結果は一貫しなかった。末梢神経障害は併用群66.7%、非併用群7.7%であり、併用群において有意な増加がみられた。しかし、4サイクル後のglobal QOLは併用群のほうが良好であり、有害事象よりもがんの病勢制御ができることのメリットがより大きいと考えられた。OSは併用群で良好で望ましい効果は大きく、治療関連死は両群で差がないため望ましくない効果は小さいと評価された。CQ5 高齢者では切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた治療は推奨されるか?推奨:高齢者の切除不能進行・再発胃がんに対して、バイオマーカーに基づいた化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入の条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 近年、胃がんの治療では、HER2、CLDN18.2、CPS、MSI(MMR)といったバイオマーカーに基づいて治療レジメンの選択を行うことが推奨されているが、高齢者における分子標的薬の有効性・安全性は十分に評価されていない。そこで本CQでは、高齢の根治切除不能胃がんの1次治療として、バイオマーカーに基づいた化学療法(トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ゾルベツキシマブの併用)を行う群(介入群)とバイオマーカーに基づいた化学療法を行わない群(対照群)のアウトカムを評価した。13件の研究が対象となった。トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ併用はRCTの高齢者サブグループ解析でOSの有意な改善が確認できたが、ゾルベツキシマブは明らかなOS改善効果を認めなかった。PFSは、ATTRACTION-4でニボルマブ併用による良好な傾向を認めたが、ゾルベツキシマブは良好な傾向を認める試験(SPOTLIGHT)と認めない試験(GLOW)があった。治療関連死、Grade3以上の有害事象、QOLについてはRCTで高齢者集団に限定した解析は存在しなかった。RCTの高齢者サブ解析において一部の薬剤ではOSの有意な改善が示されて益は大きいものの、高齢者に限定した安全性のデータがないことからエビデンスの強さは「C(弱い)」と評価された。CQ6 結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合、どのような治療が推奨されるか?推奨:結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者に対して、術後補助化学療法を行う場合には、フッ化ピリミジン単独療法もしくはオキサリプラチン併用の補助化学療法を行うことを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入または比較対照のいずれかについての条件付きの推奨エビデンスの強さ:C 大腸癌治療ガイドラインにおいて、StageIIIの大腸がんに対してオキサリプラチン併用療法は強く推奨、フッ化ピリミジン単独療法は弱く推奨されている。しかし、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチンの上乗せ効果については議論がある。そこで本CQでは、結腸がん術後(R0切除、StageIII)の70歳以上の高齢者を対象に、フッ化ピリミジンとオキサリプラチンの併用療法を6ヵ月施行する群(介入群)とフッ化ピリミジン単独療法を6ヵ月施行する群(対照群)のアウトカムを比較した。3件のRCTではいずれもオキサリプラチン併用による有意なOSの改善効果は示されなかったが、4件の観察研究ではいずれも併用群で良好であった。3件のRCTではいずれも無病生存期間(DFS)の改善効果は示されなかったが、1件の観察研究では併用群で有意に良好であった。Grade3/4の有害事象およびGrade3/4の末梢神経障害は併用群で有意に多かった。RCTではOS・DFSの有意な延長効果は示されないことから益は小さく、Grade3以上の有害事象は増加することから害は中であると評価された。CQ7 切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法においてオキサリプラチンまたはイリノテカンの使用は推奨されるか?推奨:切除不能進行再発大腸がんの高齢患者の初回化学療法において、オキサリプラチンやイリノテカンの併用は一律には行わず、患者の状態に応じて判断することを弱く推奨する。推奨のタイプ:当該介入に反対する条件付きの推奨エビデンスの強さ:B 切除不能進行再発大腸がんの1次治療では、オキサリプラチンおよび/またはイリノテカンを併用した強力なレジメンが推奨されているが、忍容性に問題のある患者ではオキサリプラチンやイリノテカンを併用しないレジメンが推奨されている。そこで本CQでは、切除不能進行再発大腸がんの高齢患者を対象に、オキサリプラチンまたはイリノテカンを併用する化学療法を行う群(介入群)とこれらを併用しない化学療法を行う群(対照群)のアウトカムを比較した。日本で行われた第III相のRCT(JCOG1018)において、70歳以上の高齢者に対するオキサリプラチン併用による有意なOSの延長は認められず、その他の5件のRCTでもオキサリプラチンまたはイリノテカン併用による有意なOSの延長は確認されなかった。JCOG1018を含む5件のRCTにおいて、オキサリプラチンまたはイリノテカン追加による有意なPFSの延長は認めなかったが、NORDIC-9ではS-1単独群(標準用量)よりも減量SOX療法のほうがPFSは有意に延長した。Grade3以上の有害事象はNORDIC-9では併用群で有意に少なかったが、その他の試験ではいずれも併用群で有害事象の頻度が高かった。有害事象による治療中止は、NORDIC-9を除くRCTでは併用群で高い傾向を認めた。併用群ではOS・PFSともに有意な改善効果を示していないことから益はわずかである一方、Grade3以上の有害事象の頻度は併用群で高く、治療中止の割合も高い傾向を示したことから害は大きいと評価された。

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EGFR変異NSCLC、オシメルチニブ+化学療法の日本人解析結果(FLAURA2)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法はオシメルチニブ単剤と比較して、日本人集団においても無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が良好であった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」の日本人集団の結果を栁谷 典子氏(がん研究会有明病院)が報告した。日本人集団のOSの解析結果は、2025年11月に開催された第66回日本肺癌学会学術集会でも報告されていたが、今回はさらに詳細な結果が報告された。試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験対象:未治療の局所進行/転移EGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失またはL858R)の非扁平上皮NSCLC成人患者557例試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+化学療法(ペメトレキセド[500mg/m2]+シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチン[AUC 5]を3週ごと4サイクル)→オシメルチニブ(80mg/日)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごと(併用群、279例)対照群:オシメルチニブ(80mg/日)(単独群、278例)評価項目:[主要評価項目]RECIST 1.1を用いた治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OSなど 日本人集団の解析結果は以下のとおり。なお、PFSのデータカットオフは2023年4月、OS・安全性・曝露期間・次治療のデータカットオフは2025年6月であった。・解析対象は併用群47例、単独群47例であった。男性の割合はそれぞれ34%、51%であり、年齢中央値はそれぞれ68歳(範囲:39~83)、65歳(同:33~79)であった。中枢神経系転移を有する割合はそれぞれ38%、40%であった。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、併用群49%/51%、単独群66%/34%であった。日本人集団はグローバル集団と比較して、年齢が高く、前喫煙者が多いという特徴があった。・PFS中央値は併用群24.8ヵ月、単独群16.4ヵ月であり、日本人集団でも併用群が良好であった(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.28~0.86)。・1年、2年時のPFS率は、併用群がそれぞれ83%、64%であり、単独群がそれぞれ63%、30%であった。・OS中央値は併用群48.3ヵ月、単独群34.3ヵ月であり、日本人集団でも併用群が良好であった(HR:0.60、95%CI:0.36~1.03)。・2年、3年、4年時のOS率は、併用群がそれぞれ85%、65%、52%であり、単独群がそれぞれ65%、41%、33%であった。・データカットオフ時点(2025年6月)において、試験治療を継続していた患者の割合は併用群28%(オシメルチニブ28%、ペメトレキセド6%)、単独群15%であった。・併用群は化学療法フリー期間が長かった。各薬剤の曝露期間中央値は、併用群はオシメルチニブ28.5ヵ月、ペメトレキセド5.5ヵ月、プラチナ製剤2.8ヵ月であった。単独群のオシメルチニブは16.0ヵ月であった。・次治療を受けた患者の割合は併用群75%、単独群86%であった。最初の次治療の内訳は、併用群では化学療法が多く(プラチナ製剤を含む化学療法40%、プラチナ製剤を含まない化学療法33%)、単独群ではプラチナ製剤を含む化学療法が多かった(71%)。・安全性について、主解析後の2年間の観察期間において、新たな間質性肺疾患の発現はなく、安全性に関する新たなシグナルはみられなかった。 なお、グローバル集団における既報の主要結果1)は以下のとおり。・PFS中央値(併用群vs.単独群)25.5ヵ月vs.16.7ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49〜0.79、p<0.001)・1/2年PFS率(同上)80%/57%vs.66%/41%・OS中央値(同上)47.5ヵ月vs.37.6ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.61〜0.96、p=0.02)・2/3/4年OS率(同上)80%/63%/49%vs.72%/51%/41% 本結果について、栁谷氏は「オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCの1次治療として確立した推奨治療である。FLAURA2試験では、オシメルチニブ+プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法がオシメルチニブ単剤と比較してOSを有意に延長し、日本人集団でもOSの改善傾向が示された。これらの結果は、併用療法が1次治療として強く推奨される選択肢であることを支持する」と述べている。

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ASCO GU 2026レポート

レポーター紹介2026年2月26~28日に米国・サンフランシスコで開催された2026 ASCO Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU 2026)における重要演題を、がん研有明病院 先端医療開発科の竹村 弘司氏がレビューする。泌尿器腫瘍領域の薬物療法は新規薬剤の開発や臨床応用の発展が目覚ましく、臨床現場における標準治療も大きく変化している。ASCO GU 2026ではPractice changeとなることが期待される重要演題が複数報告されるとともに、バイオマーカー研究や早期臨床開発中の薬剤における重要な知見が共有された。本稿では、臨床医(泌尿器科医、腫瘍内科医)が知っておくべき重要な演題について、私見を交えながら詳細を解説する。ASCO GU 2026の重要演題 One-slide summaryINDEX【腎がん】LITESPARK-011試験【腎がん】LITESPARK-022試験【尿路上皮がん】KEYNOTE-B15 (EV-304)試験【尿路上皮がん】IMvigor011試験 exploratory analysis【前立腺がん】PEACE-3試験【前立腺がん】PAnTHA試験[腎がん 演題1]LITESPARK-011Belzutifan Plus Lenvatinib Versus Cabozantinib for Advanced Renal Cell Carcinoma After Anti-PD-(L)1 Therapy: Open-Label Phase 3 LITESPARK-011 Study1. 背景転移を有する腎細胞がん(mRCC)において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を含む治療が標準治療となった。現在、ICI治療後の後方ラインで用いられている薬剤は、ICI導入前の時代に確立されたエビデンスであるものも多く、現代の治療シークエンスにおける位置付けは十分に確立されていない。ベルズチファンはHIF-2α阻害薬として新たな作用機序を有し、既治療mRCCにおいて有効性が示されている。LITESPARK-011試験は、ICI治療後の進行例を対象に、ベルズチファンとVEGFR-TKIであるレンバチニブの併用療法について、標準治療の1つであるカボザンチニブと比較して、有効性・安全性を検証した第III相試験である。2. 試験デザインデザイン国際多施設共同、オープンラベル、第III相無作為化比較試験対象抗PD-(L)1抗体治療後に進行した局所進行または転移を有する淡明細胞型腎細胞がん(clear cell RCC)(最大2レジメンまで、VEGFR-TKI既治療も許容)介入併用群ベルズチファン120mg+レンバチニブ20mg対照群カボザンチニブ60mg評価項目主要評価項目無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)副次評価項目奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など3. 結果747例が無作為化され、ベルズチファン+レンバチニブ群371例、カボザンチニブ群376例であった。背景因子は両群でおおむね均衡しており、IMDCリスク分類は中間群が約6割を占めた。主要評価項目であるPFS中央値は、併用群14.8ヵ月、対照群10.7ヵ月であり、ハザード比(HR):0.70(95%信頼区間[CI]:0.59~0.84、p=0.00007)と有意な改善が認められた。PFS改善効果は事前に設定されたサブグループ解析でも一貫していた。OSは中間解析時点で、併用群34.9ヵ月、対照群27.6ヵ月であり、HR:0.85(95%CI:0.68~1.05)と改善傾向を示したが、統計学的有意差には至らなかった。ORRは52.6%vs.40.2%と併用群で高かった。安全性プロファイルは既知の各薬剤の毒性とおおむね一致しており、管理可能な範囲であった。ただし、併用療法群で心機能障害が7%(Grade3以上が4.6%)でみられた。4. 結論ベルズチファン+レンバチニブ併用療法は、抗PD-(L)1治療後の進行clear cell RCCにおいて、カボザンチニブと比較してPFSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。OSは未成熟ながら改善傾向を示しており、新たな治療選択肢となる可能性が示された。5. 筆者コメントベルズチファンはLITESPARK-005試験の結果を受けて、後方ライン・単剤での有効性が示され臨床実装されているが、Primary PDの割合が比較的高いこと(約3分の1が初回評価で病勢進行)が課題である。HIF-2α阻害薬の臨床開発において、(1)「より前方ライン」での使用がよいのか、(2)「併用薬剤」はどれが最も効果を最大化するか、というのが現在の大きなClinical questionsである。本試験は、レンバチニブとの併用でカボザンチニブと比較してPFSやORRを改善したことから、サルベージ治療として奏効が期待される後方ラインの選択肢として有望である。ただし、OSの統計学的優位性が現時点で証明されておらず、今後の長期フォローアップデータを確認していく必要がある(現時点では、確固とした標準治療とまでは言えないと考える)。[腎がん 演題2]LITESPARK-022Adjuvant Pembrolizumab Plus Belzutifan Versus Pembrolizumab for Clear Cell Renal Cell Carcinoma: The Randomized Phase 3 LITESPARK-022 Study1. 背景腎摘除後の再発高リスクclear cell RCCに対しては、KEYNOTE-564試験によりペムブロリズマブによる術後補助療法が標準治療として確立されている。LITESPARK-022試験は、術後補助療法としてのペムブロリズマブにベルズチファンを上乗せすることで、治療成績の向上が得られるかを検証した第III相試験である。2. 試験デザインデザイン国際多施設共同、二重盲検、第III相無作為化比較試験対象腎摘除後12週以内の再発中間高リスクclear cell RCC(intermediate-high risk、high risk、M1 NED)介入併用群ペムブロリズマブ400mg(約1年間)+ベルズチファン120mg(最大54週)対照群ペムブロリズマブ+プラセボ評価項目主要評価項目無病生存期間(DFS)副次評価項目OS、安全性など3. 結果1,841例が無作為化され、併用群921例、対照群920例であった。リスク分類は中間・高リスクが約85%、M1 NEDが約9%を占め、両群間で背景は均衡していた。主要評価項目であるDFSはHR:0.72(95%CI:0.59~0.87、p=0.0003)と、併用群で有意な改善が認められた。DFS中央値はいずれの群でも未到達であった。2年時点でのDFSは併用群で80.7%、対照群で73.7%であった。OSは中間解析時点でHR:0.78(95%CI:0.55~1.09)と改善傾向を示したが、統計学的有意差には至っておらず、今後のフォローアップが必要である。安全性については、併用群で有害事象による中止率がやや高い傾向がみられたものの、全体として管理可能な範囲であった。4. 結論ペムブロリズマブにベルズチファンを併用する術後補助療法は、再発高リスクclear cell RCCにおいてDFSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。OSは未成熟であるが改善傾向を示しており、術後補助療法の新たな選択肢となる可能性が示唆された。5. 筆者コメント臨床現場において標準治療として確立されるためには、OSのフォローアップデータの結果がポジティブであることが必要であると考える。HIF-2α阻害薬が術後療法の領域で有効性があることが示唆されたことは非常に興味深い。腎がん領域ではRAMPART試験(デュルバルマブ+トレメリムマブ)のフォローアップデータも期待されており、複数のレジメンが今後使用可能となった場合の治療戦略は混沌としていく可能性がある。[尿路上皮がん 演題1]KEYNOTE-B15 (EV-304)Neoadjuvant and Adjuvant Enfortumab Vedotin Plus Pembrolizumab for Participants With Muscle-Invasive Bladder Cancer Who Are Eligible for Cisplatin: Randomized, Open-Label, Phase 3 KEYNOTE-B15 Study1. 背景筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する標準治療は、シスプラチンを含む術前化学療法後の根治的膀胱全摘除術である。シスプラチン適格患者においては、ゲムシタビン+シスプラチン(GC療法)による術前化学療法が実施されている。一方で、進行・転移を有する尿路上皮がんの領域では、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法(EVP療法)が高い有効性を示し、治療パラダイムを変えた。KEYNOTE-B15試験は、シスプラチン適格MIBC患者を対象に、EVP療法による周術期治療の有効性と安全性を検証した第III相無作為化比較試験である。2. 試験デザインデザイン国際多施設共同、オープンラベル、第III相無作為化比較試験対象シスプラチン適格のMIBC(cT2-T4aN0M0またはT1-4aN1M0)介入併用群EVP 4コース(術前)→膀胱全摘除術→EV 5コース+ペムブロリズマブ13コース(術後)対照群GC 4コース(術前)→膀胱全摘除術(術後は経過観察、ただし2023年2月以降、病理結果に応じて術後ニボルマブが可となった)評価項目主要評価項目無イベント生存期間(EFS)副次評価項目OS、病理学的完全奏効(pCR)、安全性など3. 結果808例が無作為化され、EV+ペムブロリズマブ群405例、GC群403例であった。背景因子は両群で均衡しており、年齢中央値は66歳、ECOG PS 0が約8割、病期はT2N0が約19%、T3/T4aN0が約72%、N1が約8%であった。追跡期間中央値は33.6ヵ月であった。主要評価項目であるEFSは、EVP群で有意な改善が認められた。EFS中央値は併用群で未到達、対照群で48.5ヵ月であり、HRは0.53(95%CI:0.41~0.70、 片側p<0.0001)と、明確なリスク低減が示された。副次評価項目であるOSについても有意な改善が認められた。OS中央値はいずれの群でも未到達であったが、HRは0.65(95%CI:0.48~0.89、片側p=0.0029)であった。pCR率は55.8%vs.32.5%と、併用群で有意に高かった。安全性については、Grade3以上の有害事象は75.7%vs.67.2%と併用群でやや高頻度であったが、既知の安全性プロファイルとおおむね一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。周術期治療の導入による手術完遂率への明らかな悪影響も認められなかった。4. 結論EVP療法による周術期治療は、シスプラチン適格MIBC患者において、従来のシスプラチンベース化学療法と比較してEFS・OSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。周術期治療戦略における新たな標準治療となる可能性が示された。5. 筆者コメント本演題の結果はPractice changeであり、ASCO GU 2026の最重要演題である。EVが合計9コース投与されるため、末梢神経障害が懸念される。今後は術後療法が省略できる可能性がないかの検証が必要である。また、EVP療法のような強力な薬物治療が使用可能となったことにより、膀胱温存療法についての研究も今後検証されていくことが予想される。 [尿路上皮がん 演題2]IMvigor011 exploratory analysisCirculating tumor (ct)DNA-guided adjuvant atezolizumab (atezo) in muscle-invasive bladder cancer (MIBC): Exploratory analysis of ctDNA dynamics in the IMvigor011 trial.1. 背景IMvigor011試験は、膀胱全摘後MIBCに対してctDNA陽性例を選択し、術後アテゾリズマブの有効性を検証した第III相試験であり、既報では主要評価項目のDFSおよび主な副次評価項目のOSを達成している。本発表はその探索的解析であり、ctDNA陽性・陰性という二値評価にとどまらず、ctDNA陽性化のタイミングやctDNA濃度、さらに治療中のctDNA clearanceが予後やアテゾリズマブの効果とどのように関係するかを検討した。2. 試験デザイン膀胱全摘後のMIBC患者を対象に、6週ごとにctDNAを測定し、ctDNA陽性となった患者をアテゾリズマブ1,680mg q4w最大1年とプラセボに2対1で無作為化した。ctDNA陰性を1年間維持した患者は無治療経過観察とされた。本探索的解析では、ctDNAの陽性化時期、ctDNA濃度、ctDNA動態などとDFS/OSといった臨床的アウトカムとの関連を解析した。3. 結果761例がsurveillanceに登録され、379例がいずれかの時点でctDNA陽性、377例がpersistent ctDNA陰性であった。ctDNA陽性379例のうち、初回検査で陽性化したのは225例、追跡中に陽性化したのは154例であった。未治療集団において、ctDNA陽性化のタイミングは予後と強く関連した。DFS中央値は、persistent ctDNA陰性群で未到達、初回検査陽性群で6.0ヵ月(95%CI:5.1~6.6)、追跡中陽性化群で11.1ヵ月(95%CI:9.2~13.5)であった。OS中央値はpersistent ctDNA陰性群で未到達、初回検査陽性群で21.9ヵ月(95%CI:15.0~NE)、追跡中陽性化群で35.1ヵ月(95%CI:24.9~NE)であった。すなわち、早期にctDNA陽性となる症例ほど予後不良であった。また、初回ctDNA濃度別のDFS中央値は、≦0.1 MTM/mLで12.2ヵ月、>0.1~≦3 MTM/mLで7.8ヵ月、>3 MTM/mLで5.3ヵ月であり、OS中央値はそれぞれ35.1ヵ月、29.3ヵ月、21.1ヵ月であり、高濃度ctDNAほど予後不良であった。一方、アテゾリズマブの有効性はctDNA陽性化時期や濃度にかかわらず、おおむね一貫していた。全体コホートでDFS中央値は9.9ヵ月vs.4.8ヵ月、DFSはHR:0.64(95%CI:0.47~0.87)であった。初回陽性例ではHR:0.62、追跡中陽性化例ではHR:0.67であり、濃度別でも≦0.1 MTM/mLで0.81、>0.1~≦3 MTM/mLで0.59、>3 MTM/mLで0.47であった。OSについては全体で32.8ヵ月vs.21.1ヵ月、HR:0.67(95%CI:0.44~1.01)で、各サブグループでも大きな方向性の違いはみられなかった。4. 結論IMvigor011の探索的解析により、MIBC術後のctDNAは単なる陽性・陰性だけでなく、陽性化のタイミングと濃度が追加の予後情報を与えることが示された。早期陽性化および高濃度ctDNAはDFS・OS不良と関連し、一方でpersistent ctDNA陰性例はきわめて良好な転帰を示した。また、アテゾリズマブはctDNA陽性化時期や濃度にかかわらず一貫した有効性を示し、さらにctDNA clearanceを促進した。これらの結果は、ctDNA動態を用いたより精緻な術後リスク層別化および治療最適化の可能性を支持する。5. 筆者コメントIMvigor011試験の結果から、ctDNAは尿路上皮がんにおける術後予後因子のみならず、ICIの効果予測因子としても有用であることが示された。今回の探索的解析ではctDNAの「動態」が臨床的アウトカムに関連することが報告された。本邦ではまだ臨床現場での使用ができていないが、今後の尿路上皮がんのバイオマーカーとして広く用いられることが期待されるため、今後もその有用性の研究に注目する必要がある。[前立腺がん 演題1]PEACE-3Final overall survival results from EORTC 1333/PEACE-3: enzalutamide with or without radium-223 in metastatic castration-resistant prostate cancer1. 背景転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、エンザルタミドは1次標準治療の1つである。PEACE-3試験は、骨転移を有するmCRPC患者において、エンザルタミドにRa223を併用することで、エンザルタミド単剤を上回る臨床的有用性が得られるかを検証した第III相試験である。前回の解析では主要評価項目であるrPFS(画像評価PFS)の有意な改善が示されており(ESMO 2024)、本発表では副次評価項目である最終OS解析の結果が報告された。2. 試験デザイン試験デザイン国際多施設共同、無作為化、第III相試験対象骨転移を有するmCRPC、無症候性または軽症候性、WHO PS 0~1、エンザルタミドおよびRa223未治療、内臓転移なし、ADT継続中介入1対1で無作為化治療群エンザルタミド160mg/日+Ra223 55 kBq/kgを4週ごとに6回対照群エンザルタミド160mg/日評価項目主要評価項目rPFS副次評価項目OS、次治療開始までの期間、疼痛進行までの期間、初回症候性骨関連事象までの期間、安全性層別因子  国、疼痛、ドセタキセル既往、骨修飾薬使用、アビラテロン既往※骨修飾薬は試験途中の2018年3月以降、必須となった。3. 結果446例が登録され、エンザルタミド+Ra223群222例、エンザルタミド群224例であった。年齢中央値は両群とも70歳で、PS 0が69%、mHSPC段階でのドセタキセル既往は約30%、骨病変10個以上は約4割、骨外病変を約3分の1に認めた。追跡期間中央値は4.8年であった。最終OS解析では、OS中央値はエンザルタミド+Ra223群38.21ヵ月、エンザルタミド群32.62ヵ月であった。HRは0.76(95%CI:0.60~0.96)で、片側p値はlog-rank 0.0096であり、事前に設定された有意水準(1-sided α=0.0248)を満たした。24ヵ月OS率は71.1%vs.67.7%、36ヵ月OS率は54.2%vs.47.4%であった。なお、生存曲線は18ヵ月付近まで交差がみられたが、その後は併用群で一貫して良好であった。rPFSについても、前回報告と同様に改善が維持されていた。rPFS中央値は19.19ヵ月vs.16.43ヵ月、HR:0.71(95%CI:0.57~0.89)であり、24ヵ月rPFS率は44.1%vs.37.2%であった。安全性について、Grade3~5の試験治療下における有害事象(TEAE)は69.3%vs.57.6%、Grade3~5のdrug-related TEAEは28.9%vs.18.8%であった。発表全体としては、「moderate increase in adverse events」と総括されている。4. 結論PEACE-3試験の最終OS解析により、骨転移を有するmCRPCにおいてエンザルタミドへのRa223追加は、エンザルタミド単剤と比較してOSを有意に改善することが確認された。rPFS改善も維持されており、安全性は一定の上昇を伴うものの管理可能な範囲であった。BPA併用を前提として、エンザルタミド+Ra223はmCRPCの1次治療における有力な選択肢となる可能性が示された。5. 筆者コメントPositive studyであるが、現在の臨床実践ではmHSPCの段階でARSI(新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬)が導入される症例が多く、本試験の適格基準に合致する患者は実際には多くないと思われる。[前立腺がん 演題2]PAnTHAFirst-in-human assessment of actinium-225-PSMA-Trillium (BAY3563254) in mCRPC: dose-escalation results from the phase 1 PAnTHA study1. 背景mCRPCに対する放射性リガンド療法として、β線放出核種である177Lu-PSMA-617の有効性が確立されつつある。一方、α線放出核種である225Acは、より高いlinear energy transferと短い飛程を有し、理論的には強力な抗腫瘍効果と周辺正常組織への影響低減が期待される。PAnTHA試験ではfirst-in-humanである225Ac-PSMA-Trilliumのdose-escalation studyの結果が発表された。2. 試験デザイン試験デザイン第I相、dose-escalation part対象18歳以上、ECOG PS 0~1、mCRPC、PSMA陽性病変を1つ以上有する患者主な適格条件ARPI(アンドロゲン受容体経路阻害薬)既治療、1〜2レジメンのタキサン系薬剤既治療、放射性医薬品(radionuclide therapy)未治療治療225Ac-PSMA-Trilliumを6週ごとに最大4サイクル投与用量75/100/125/150 kBq/kg主要評価項目安全性、有効性、recommended dose for expansion(RDE)の決定3. 結果dose-escalation partでは計50例が登録された。年齢中央値は70.5歳で、骨転移は90%の患者でみられた。追跡期間中央値は7.2ヵ月、80%が4サイクルを完遂し、投与サイクル中央値は4であった。安全性については、全例で何らかのTEAEを認めたが、DLT(用量制限毒性)は全用量レベルで認められなかった。Grade3~4のTEAEは全体で44%に出現し、用量調整は10%、治療中止は6%、治療関連の死亡は認めなかった。発表では「no DLTs or Grade 3 xerostomia」と総括されており、口腔乾燥の重篤例がみられなかった点はα線PSMA治療として注目される。主なGrade3以上の有害事象としてはリンパ球減少と貧血が挙げられた。有効性については、全50例におけるPSA50達成率は62%、PSA90達成率は40%であった。測定可能病変を有する24例におけるORRはCRで42%、DCRで79%であった。用量別では125 kBq/kgが最もバランス良好と判断され、RDEとされた。この125 kBq/kgコホートでは、PSA50達成率83%、PSA90達成率67%、ORRはconfirmed responseのみで43%、confirmed+unconfirmedで71%であった。さらに、ベースラインSUVmeanが高い症例ほど反応率が高く、PSA50達成率はSUVmean ≦6で22%、>6~≦10で57%、>10で93%であった。4. 結論PAnTHA試験は、225Ac-PSMA-TrilliumがmCRPCにおいて良好な忍容性を示し、DLTを認めず、かつ有望な生化学的・画像学的抗腫瘍効果を示すことを初めて報告した。とくに125 kBq/kgは安全性と有効性のバランスに優れ、RDEとして選択された。225Acを用いたPSMA標的α線治療の臨床開発を前進させる重要なfirst-in-humanデータである。5. 筆者コメントPSMA-based therapyは本邦での臨床使用が欧米と比較して遅れをとっている。本試験のように次世代のラジオリガンドが続々と開発されており、今後の動向に注目が必要である。

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抗菌薬・PPI、NSCLCの術前ICI+化学療法への影響は?(CReGYT-04 Neo-Venus副次解析)

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)において、抗菌薬やプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の有効性の低下と関連する可能性が指摘されている。しかし、術前ICI+化学療法などの周術期治療に及ぼす影響は明らかになっていない。そこで、切除可能NSCLCに対する術前ICI+化学療法について、抗菌薬やPPIが及ぼす影響を多施設共同後ろ向き観察研究「CReGYT-04 Neo-Venus」の副次解析で評価した。その結果、抗菌薬やPPIの使用は、術前ICI+化学療法の奏効と有意な関連がみられなかった。本研究結果は、戸田 道仁氏(関西労災病院 呼吸器外科)らによって、Lung Cancer誌2026年4月号で報告された。 本研究は日本の29施設で実施された。対象は、2023年3月~2024年7月の期間に、ニボルマブ+化学療法による術前治療を開始した切除可能StageIIA~IIIBのNSCLC患者131例とした。根治的手術を受け、外科的転帰の解析対象となった113例について、治療開始前30日以内の抗菌薬やPPIの使用と奏効割合(ORR)、病理学的完全奏効(pCR)、病理学的奏効(MPR)などとの関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・抗菌薬の使用は4.4%(5例)、PPIの使用は20.4%(23例)にみられた。・抗菌薬の有無別にORR、pCR、MPRを評価した結果、抗菌薬の有無による差はみられなかった。詳細は以下のとおり(抗菌薬ありvs.なしの値を示す)。 ORR:80.0%vs.70.4%(p=1.000) pCR:40.0%vs.35.8%(p=1.000) MPR:60.0%vs.59.6%(p=1.000)・PPIの有無別にORR、pCR、MPRを評価しても、PPIの有無による差はみられなかった。詳細は以下のとおり(PPIありvs.なしの値を示す)。 ORR:78.3%vs.68.9%(p=0.532) pCR:43.5%vs.33.3%(p=0.507) MPR:60.9%vs.58.9%(p=1.000)・感度解析として、逆確率重み付け解析を実施しても抗菌薬やPPIの使用は、ORR、pCR、MPRに有意な影響を示さなかった。・多変量解析の結果、PD-L1 TPS 50%以上(オッズ比[OR]:9.660、95%信頼区間[CI]:3.493~30.405、p<0.05)およびStageII(OR:5.208、95%CI:1.895~16.075、p<0.05)がpCRの独立した予測因子であった 。・PD-L1 TPS 50%以上(OR:7.259、95%CI:2.650~23.628、p<0.05)は、MPRについても独立した予測因子であった。 本研究結果について、著者らは「切除可能NSCLC患者において、抗菌薬やPPIの使用は、術前ICI+化学療法の効果との有意な関連はみられなかった」とまとめた。また「より大規模なサンプルサイズで、長期フォローアップを伴う研究が必要である」と指摘している。

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高リスク上咽頭がん、camrelizumabの上乗せ・維持療法が有効/BMJ

 導入化学療法後の高リスク上咽頭がん(NPC)患者において、同時化学放射線療法へのPD-1(プログラム細胞死1)阻害薬camrelizumabの上乗せおよび維持療法としてのcamrelizumab投与により、無増悪生存期間(PFS)の延長が認められたことが、中国・中山大学がんセンターのRui You氏らが同国で行った第III相の多施設共同非盲検無作為化試験の結果で示された。これまでの2つの第III相試験では、局所進行NPCへの、PD-1阻害薬と導入化学療法+同時化学放射線療法の組み合わせ治療について評価が行われ、1つの試験ではPD-1阻害薬が全過程を通して使用され、もう1つの試験ではPD-1阻害薬は維持療法として用いられていた。BMJ誌2026年2月10日号掲載の報告。主要評価項目はITT集団におけるPFS 研究グループは、高リスクNPC患者における、同時化学放射線療法+camrelizumabおよび維持療法としてのcamrelizumab投与について評価した。 試験は2020年8月~2022年6月21日に、中国の7病院で実施。18~70歳の成人NPC患者のうち、ゲムシタビンとシスプラチンによる導入化学療法を3サイクル受けた後、新たに高リスクと判定された患者(StageIVa、StageII~IIIで病状が安定または進行、あるいはEB[Epstein-Barr]ウイルスDNA検出)を対象とした。 被験者を、放射線療法+シスプラチンベースの同時化学療法を実施する群(標準治療群)または標準治療+3週ごとcamrelizumab(200mg)静脈投与を19サイクル実施する群(放射線療法+2サイクルの同時化学放射線療法への併用+17サイクルの維持療法、camrelizumab群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目はITT集団におけるPFSで、無作為化から再発(局所または遠隔)あるいは全死因死亡までの期間で定義した。副次評価項目は、安全性、全生存期間などとした。36ヵ月PFS率、camrelizumab群83.4%、標準治療群71.3%で有意な差 390例が登録され、camrelizumab群(194例)または標準治療群(196例)に無作為化された。ベースラインでの特性は両群で類似していた。年齢中央値はcamrelizumab群46.0歳(四分位範囲[IQR]:36.8~54.0)、標準治療群45.0歳(35.0~54.0)。集団構成は、女性が107例(27.4%)、男性283例(72.6%)であった。StageIVaの患者の割合は、camrelizumab群73.2%、標準治療群72.4%。また、N3転移はcamrelizumab群41.2%、標準治療群37.8%であった。 追跡期間中央値39.9ヵ月(IQR:36.8~43.4)時点で、PFSはcamrelizumab群が標準治療群よりも有意に改善した(36ヵ月PFS率:83.4%[95%信頼区間[CI]:78.3~88.8]vs.71.3%[65.2~77.9]、層別ハザード比:0.51[95%CI:0.34~0.77]、p=0.001)。 急性および晩期有害事象(Grade3/4)の発現率は、camrelizumab群が50.5%と3.2%、標準治療群が48.7%と3.7%であった。免疫関連有害事象(Grade3/4)は、camrelizumab群19例(10.2%)で報告された。

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膀胱がんへの周術期EV+ペムブロリズマブ、EFS・OS改善(KEYNOTE-905/EV-303)/NEJM

 筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)でシスプラチンベース化学療法適応外の患者において、エンホルツマブ ベドチン(ネクチン-4を標的とする抗体薬物複合体)+ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)併用療法による周術期治療は、手術単独と比較して2年時の無イベント生存率(EFS)が有意に優れ、全生存率(OS)も改善することが示された。ベルギー・Integrated Cancer Center GhentのChristof Vulsteke氏らKEYNOTE-905/EV-303 Investigatorsが、「KEYNOTE-905/EV-303試験」の結果を報告した。MIBCの標準治療は、シスプラチンベースの術前化学療法と骨盤リンパ節郭清+根治的膀胱全摘除術であるが、ほぼ半数の患者が腎機能障害、高齢、併存疾患などの理由で適応外となり、手術単独による治療を受ける。これらの患者は、術前・術後の周術期治療により、アウトカムの改善の可能性が示唆されていた。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年2月18日号に掲載された。無イベント生存を評価する無作為化第III相試験 KEYNOTE-905/EV-303試験は、日本を含む27ヵ国242施設で実施した非盲検無作為化第III相試験(Merck Sharp and Dohmeの助成を受けた)。シスプラチンベースの化学療法が適応外、あるいはこれを希望しないMIBC(臨床病期:T2~T4a N0M0、またはT1~T4a N1M0)の成人(年齢18歳以上)患者を対象とした。 今回は、2020年12月~2024年6月の期間に登録した344例の初回中間解析の結果を報告した。 被験者は、周術期治療としてエンホルツマブ ベドチン(術前3+術後6=9サイクル)+ペムブロリズマブ(術前3+術後14=17サイクル)の投与を行う群(EV-Pembro群:170例、年齢中央値74.0[四分位範囲:47~87]歳、男性80.6%)、または手術のみを行う群(対照群:174例、72.5[46~87]歳、75.3%)に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はEFSとし、盲検下独立中央判定で評価した。EFSは、無作為化から以下のいずれかが最初に発生するまでの期間と定義した。(1)手術不能と判断される画像上の病勢進行、(2)手術を受けなかった参加者における生検で確認されたMIBCの残存、(3)切除不能な腫瘍または新たに発見された転移性病変により、外科医が根治目的の手術を完遂できなかった場合、(4)画像診断または生検によって検出された、術後の局所または遠隔再発、(5)全死因死亡。 手術が行われなかったこと自体はイベントとはみなさず、手術を受けなかった参加者でも、EFSを評価するために定期的な画像診断による追跡調査を継続した。病理学的完全奏効率も大きく改善 追跡期間中央値は25.6ヵ月であった。シスプラチンベースの化学療法を希望しなかった参加者は、EV-Pembro群が16.5%、対照群は20.1%だった。手術は、それぞれ87.6%および89.7%で行われた。 2年時点のEFS率は、EV-Pembro群74.7%(66.9~80.8)、対照群39.4%(95%信頼区間[CI]:31.0~47.9)であった(ハザード比[HR]:0.40、95%CI:0.28~0.57、両側p<0.001)。EFS中央値は、EV-Pembro群が未到達(95%CI:37.3~NR)、対照群は15.7ヵ月(10.3~20.5)であった。 2年OS率は、EV-Pembro群79.7%(95%CI:72.5~85.3)、対照群63.1%(54.7~70.4)であった(HR:0.50、95%CI:0.33~0.74、両側p<0.001)。OS中央値は、EV-Pembro群未到達(95%CI:NR~NR)、対照群41.7ヵ月(31.8~NR)だった。 また、病理学的完全奏効(手術で採取された切除標本に、生存腫瘍が認められない状態[T0N0])は、EV-Pembro群97例(57.1%、95%CI:49.3~64.6)、対照群15例(8.6%、95%CI:4.9~13.8)で達成された(推定群間差:48.3%ポイント、95%CI:39.5~56.5、両側p<0.001)。術前補助療法は手術の実施可能性を毀損しない 有害事象は、EV-Pembro群で全例に、対照群では64.8%に発現し、Grade3以上はそれぞれ71.3%および45.9%、重篤な有害事象は58.1%および40.9%で発現した。EV-Pembro群で最も頻度の高い有害事象はそう痒(47.3%)と脱毛(34.7%)で、Grade3以上では尿路感染症(12.0%)の頻度が高かった。また、有害事象による死亡は、EV-Pembro群で13例(7.8%:術前補助療法期 2例、手術期[手術時から術後30日まで]4例、術後補助療法期 7例)、対照群で9例(5.7%:手術期 9例)に認めた。 EV-Pembro群における薬剤関連有害事象は、Grade3以上が45.5%、重篤な有害事象が19.8%に発生し、試験薬の投与中止が62例(37.1%)、試験薬関連死が2例(1.2%)にみられた。とくに注目すべき有害事象は、エンホルツマブ ベドチン関連のGrade3以上が16.2%、ペムブロリズマブ関連のGrade3以上が18.0%で発現した。 著者は、「手術を受けた参加者の割合は2つの治療群で同程度であり、これは術前補助療法としてのエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブが根治的膀胱全摘除術の実施可能性を損なわなかったことを示唆する」「手術の遅延はまれであり、手術遅延件数は両群で同程度だった」としている。 本試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は、シスプラチン適応外のMIBCの成人患者に対する新たな治療選択肢として、膀胱全摘除術の術前および術後補助療法としてのエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブを承認している。

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食道がん1次治療、ニボルマブ+CRTの安全性確認、完全奏効率73%(NOBEL)/京都大学ほか

 国内における食道がんの初回標準治療は、病期や全身状態によって手術、化学放射線療法(CRT)、放射線療法が選択される。近年、切除不能例の2次治療におけるニボルマブをはじめ、免疫療法も承認されているが、CRTとの併用に関するエビデンスは限られていた。京都大学をはじめとした国内5施設において、ニボルマブ+CRTの有用性を検討するNOBEL試験によって本併用療法の安全性が確認され、完全奏効率や1年全生存(OS)率においても有望な成績が報告された。京都大学の野村 基雄氏らによる研究結果は、EClinicalMedicine誌2026年1月号に掲載された。 NOBEL試験は、多施設共同単群第II相試験で、未治療のPS 0~1の食道扁平上皮がん患者(20~75歳、切除可能・不能問わず)が登録された。治療はニボルマブ+CRT(シスプラチン+5-FU、50.4Gy照射)、それに続く最長1年間のニボルマブの維持療法であった。  主要評価項目は安全性で、Grade4以上の非血液学的毒性の発生率10%以下、Grade3以上の肺臓炎発生率15%以下と定義された。副次評価項目は完全奏効率、無増悪生存期間(PFS)、OSなどであった。治療前の生検検体において51の免疫関連遺伝子バイオマーカー解析を実施した。  主な結果は以下のとおり。・2019年1月~2021年9月に患者が登録され、ベースライン後の腫瘍評価を受けた41例(年齢中央値65歳、男性36例)が解析対象となった。・Grade3以上の肺臓炎を経験した患者は5%(2/41例)で、既報から想定された頻度よりも低く、主要安全性評価項目を達成した。最も頻度の高い有害事象は食道炎、便秘、リンパ球減少であり、治療関連死亡は認められなかった。・1年OS率は92.7%(95%信頼区間[CI]:79.0~97.6)、1年PFS率は65.4%(95%CI:48.6~77.9)であった。・完全奏効率は73%(30/41例、95%CI:58~84%)であった。とくに切除可能例における完全奏効率は84%、1年OS率は100%に達した。・バイオマーカー解析においては、免疫活性の高いサブタイプでは奏効率が高い傾向が見られたが、サンプルサイズが小さいため、参考データ扱いとなった。 研究者らは「食道がん初回治療において、ニボルマブとCRTの併用は実施可能であり、許容可能な安全性を示した。切除可能、不能例双方における高い完全奏効率は、この併用療法が有望な治療選択肢であることを示唆している。しかし、サンプルサイズが小さく、切除不能例の登録遅れによって試験が早期に終了したこともあり、これらの結果は予備的なものとして、慎重に解釈すべきである。臨床的意義を確立するためには、より大規模な無作為化試験を経て、結果を検証する必要がある」としている。

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EGFR陽性MET増幅進行NSCLC、savolitinib+オシメルチニブがPFS改善/Lancet

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療後に進行したEGFR変異陽性かつMET増幅を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、savolitinib+オシメルチニブ併用療法はプラチナ製剤ベースの標準併用化学療法と比較して、良好な忍容性プロファイルを維持しながら無増悪生存期間(PFS)を延長したことが示された。中国・上海交通大学のShun Lu氏らSACHI Study Groupが、第III相の多施設共同非盲検無作為化試験「SACHI試験」の中間解析の結果を報告した。著者は「本レジメンは、バイオマーカーで選択された本集団における経口治療の選択肢となりうることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年1月13日号掲載の報告。階層的方法を用い最初に第3世代EGFR-TKI未治療集団でPFSを評価 SACHI試験は中国国内の68病院で実施された。適格対象は、局所進行または転移のあるEGFR変異陽性非扁平上皮NSCLCで、EGFR-TKI無効後にMET増幅が認められた成人患者。研究グループは対象者を、1日1回経口投与のsavolitinib+オシメルチニブ群または静脈投与による化学療法(ペメトレキセド+シスプラチン/カルボプラチン)群に1対1の割合で無作為に割り付けた(両群とも21日サイクル)。双方向ウェブ応答システムを用いて混合ブロックサイズ法を使用した中央無作為化法により割り付け、脳転移の有無、第3世代EGFR-TKIによる治療歴の有無、およびEGFR変異サブタイプに基づく層別化も行った。 主要評価項目は、治験担当医師の評価によるPFS(RECIST v1.1に基づく)。階層的方法を用い、最初に第3世代EGFR-TKI未治療集団で評価し、有効性が認められた場合にITT集団で評価した。 安全性解析は、試験薬を少なくとも1回投与された全患者を対象に行った。 中間解析のデータカットオフ日は、2024年8月30日であった。savolitinib+オシメルチニブ群のPFSが有意に延長、ITT集団でも 2021年10月15日~2024年8月30日に211例が登録され、savolitinib+オシメルチニブ群(106例)または化学療法群(105例)に無作為化された。137/211例(65%)が第3世代EGFR-TKI未治療(savolitinib+オシメルチニブ群69例、化学療法群68例)であった。savolitinib+オシメルチニブ群の年齢中央値は59.4歳(四分位範囲:54.3~65.8)、女性62例(58%)、男性44例(42%)であり、化学療法群はそれぞれ61.9歳(56.3~69.1)、55例(52%)、50例(48%)であった。全被験者がアジア人。 第3世代EGFR-TKI未治療集団における評価で、PFS中央値は、savolitinib+オシメルチニブ群が化学療法群に対して有意に延長した(9.8ヵ月[95%信頼区間[CI]:6.9~12.5]vs.5.4ヵ月[4.2~6.0]、ハザード比[HR]:0.34[95%CI:0.21~0.56]、p<0.0001)。 ITT集団においてもPFSが有意に延長した(8.2ヵ月[95%CI:6.9~11.2]vs.4.5ヵ月[3.0~5.4]、HR:0.34[95%CI:0.23~0.49]、p<0.0001)。 Grade3以上の治療中に発現した有害事象は両群で同程度であり、savolitinib+オシメルチニブ群60/106例(57%)、化学療法群55/96例(57%)であった。

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高リスク頭頸部がん、術後化学放射線療法へのニボルマブ追加でDFS改善/Lancet

 切除後の再発高リスク局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-SCCHN)に対し、術後シスプラチン+放射線療法にニボルマブを追加することにより、中等度の毒性が増加するものの無病生存期間(DFS)が有意に改善された。スイス・ローザンヌ大学のJean Bourhis氏らが、欧州6ヵ国82施設で実施された、フランスの頭頸部がん放射線治療グループ(GORTEC)主導の無作為化非盲検第III相試験「GORTEC 2018-01 NIVOPOST-OP試験」の結果を報告した。シスプラチン+放射線療法は、高リスクLA-SCCHNに対する術後補助療法の標準治療であるが、ニボルマブ追加の有効性と安全性は不明であった。著者は、「ニボルマブ+シスプラチン+放射線療法は、新たな標準治療として提案可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年12月22日号掲載報告。病理学的再発高リスク因子を有するLA-SCCHN患者が対象 NIVOPOST-OP試験の対象は、年齢が19~74歳、ECOG PSが0~1、肉眼的完全切除が施行された口腔、中咽頭、喉頭または下咽頭の扁平上皮がんで、病理学的再発高リスク因子(リンパ節被膜外浸潤、顕微鏡的切除断端陽性[R1または切除マージン1mm以下]、節外浸潤のない4個以上の頸部リンパ節転移、複数の神経周囲浸潤)を1つ以上有している患者であった。 研究グループは、欧州6ヵ国(フランス、スペイン、ポーランド、ベルギー、ギリシャ、スイス)の82施設で登録された適格患者を、シスプラチン+放射線療法群(66Gyを33分割、シスプラチン100mg/m2を3週ごとに3サイクル、標準治療群)、またはニボルマブ+シスプラチン+放射線療法群(ニボルマブ240mg単回静脈内投与→シスプラチン+放射線療法+ニボルマブ360mgを3週ごと3サイクル→ニボルマブ480mgを4週ごと6サイクル、ニボルマブ追加群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ITT集団における治験担当医師評価によるDFSであった。ハザード比(HR、期待値)を0.65、第1種の過誤を両側0.05、検出力を90%として例数設計を行った(680例で230イベント)。ニボルマブ追加群でDFSイベントが有意に減少 2018年10月15日~2024年7月3日に680例が無作為化されたが、必要イベント数に達した時点(データカットオフ日2024年4月30日で252例のイベントが発生)でDFSの最終解析を行った。すなわち、解析対象(ITT集団)はデータカットオフ日までに無作為化された666例(標準治療群334例、ニボルマブ追加群332例)で、追跡期間中央値は30.3ヵ月であった。 DFSのイベントは、標準治療群で140例、ニボルマブ追加群で112例に認められた。再発または死亡のHRは0.76(95%信頼区間:0.60~0.98、層別log-rank検定のp=0.034)であり、ニボルマブ追加群はPD-L1の発現状況にかかわらず、標準治療群と比較しDFSが有意に改善した。 安全性は、1回以上治療を受けた標準治療群の306例、ニボルマブ追加群の312例を解析対象とした。Grade4の治療関連有害事象の発現率は、それぞれ5%(16/306例)および10%(30/312例)であり、ニボルマブ追加群で増加した。治療に関連した死亡は各群2例に発現した。

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Stage I~III膵管腺がんの術前療法、PAXG vs.mFOLFIRINOX(CASSANDRA)/Lancet

 切除可能または切除可能境界膵管腺がん(PDAC)において、PAXG療法(シスプラチン+nab-パクリタキセル+カペシタビン+ゲムシタビン)はmFOLFIRINOX療法(フルオロウラシル+ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチン)と比較して無イベント生存期間(EFS)を有意に改善したことが、イタリア・IRCCS San Raffaele Scientific InstituteのMichele Reni氏らが行った第III相の無作為化非盲検2×2要因試験「PACT-21 CASSANDRA試験」の結果で示された。周術期化学療法は、切除可能または切除可能境界PDAC患者における標準治療の1つである。結果を踏まえて著者は、「PAXGは、術前療法の標準治療となりうることが示された。今後の試験では、術前PAXGを比較対照群として検討すべきであろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年11月20日号掲載の報告。切除可能または切除可能境界PDACを対象 PACT-21 CASSANDRA試験は、切除可能または切除可能境界PDAC患者においてPAXGのmFOLFIRINOXに対する優越性の評価を目的に、イタリアの大学病院17施設で行われた。適格患者は、18~75歳の病理学的に切除可能または切除可能境界PDACと診断された患者。 無作為化は、Rコードリストとコンピュータアルゴリズムを用いた中央ウェブベースシステムにより行われた。割合は1対1で、施設およびCA19-9血清レベルでブロック層別化を行った。 被験者は、最初にPAXG(カペシタビン総量1日1,250mg/m2[625mg/m2を1日2回]投与、および14日ごとにシスプラチン30mg/m2、nab-パクリタキセル150mg/m2、ゲムシタビン800mg/m2を静脈内投与)またはmFOLFIRINOX(14日ごとにフルオロウラシル2,400mg/m2、ロイコボリン400mg/m2、イリノテカン150mg/m2、オキサリプラチン85mg/m2を静脈内投与)のいずれかに無作為化され4ヵ月間治療を受け、その後、2ヵ月間の追加化学療法について、術前または術後のいずれかに2回目の無作為化が行われた。 主要評価項目は、ITT集団におけるEFS。安全性は、割り付けられた治療法を少なくとも1サイクル受けた患者を対象に評価した。EFS中央値、PAXG群16.0ヵ月、mFOLFIRINOX群10.2ヵ月 本論では、最初の無作為化の結果が報告されている。 2020年11月3日~2024年4月24日に、適格患者260例が無作為化された。PAXG群(132例)は年齢中央値65歳(四分位範囲:60~70)、女性が68例(52%)、男性が64例(48%)。mFOLFIRINOX群(128例)はそれぞれ63歳(57~69)、62例(48%)と66例(52%)であった。260例全例が、割り付けられた治療法を少なくとも1サイクル受けた。 PAXG群はmFOLFIRINOX群と比較して、EFS中央値を統計学的有意に延長した(16.0ヵ月[95%信頼区間[CI]:12.4~19.8]vs.10.2ヵ月[8.6~13.5]、ハザード比:0.63[95%CI:0.47~0.84]、p=0.0018)。 少なくとも1件のGrade3以上の有害事象が報告されたのは、PAXG群87/132例(66%)、mFOLFIRINOX群78/128例(61%)であった。mFOLFIRINOX群では敗血症による治療関連死が1件報告された。

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ESMO2025レポート 肺がん(後編)

レポーター紹介2025年10月17~21日に、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)がドイツ・ベルリンで開催された。善家 義貴氏(国立がん研究センター東病院)が肺がん領域における重要演題をピックアップし、結果を解説。後編では、Presidential symposiumの2演題とドライバー陰性切除不能StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の1演題、進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の1演題を取り上げ、解説する。前編はこちら[目次]Presidential symposium1.HARMONi-62.OptiTROP-Lung04ドライバー陰性切除不能StageIII NSCLC3.SKYSCRAPER-03ED-SCLC4.DeLLphi-303Presidential symposium1.進行扁平上皮NSCLCの初回治療として、化学療法+チスレリズマブと化学療法+ivonescimabを比較する第III相試験:HARMONi-6本試験は、StageIII~IVでEGFR、ALK遺伝子異常のない、未治療進行扁平上皮NSCLCを対象に、標準治療群としてカルボプラチン(AUC 5、Q3W)+パクリタキセル(175mg/m2、Q3W)+チスレリズマブ(PD-1阻害薬)と、試験治療群のカルボプラチン+パクリタキセル+ivonescimab(20mg/kg、Q3W)を比較する第III相試験で、中国のみで実施された。ivonescimabは、PD-1とVEGFを標的とする二重特異性抗体である。ivonescimab群と標準治療群にそれぞれ266例ずつ割り付けられ、患者背景は両群でバランスがとれていた。扁平上皮NSCLCでは一般的に抗VEGF抗体が使用されない、中枢病変や大血管浸潤、空洞のある患者や喀血の既往歴がある患者も含まれた。今回の発表は、事前に規定された中間解析の結果であり、観察期間中央値は10.28ヵ月であった。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ivonescimab群/標準治療群で11.14ヵ月/6.9ヵ月(ハザード比[HR]:0.60[95%信頼区間[CI]:0.46~0.78]、p<0.0001)であり、ivonescimab群が良好であった。奏効割合(ORR)は75.9%/66.5%(p=0.008)とivonescimab群で高く、PD-L1の発現状況によらずivonescimab群が良好であった。Grade3以上の有害事象は、ivonescimab群/標準治療群で63.9%/54.3%に認められ、治療関連死亡や免疫関連有害事象(irAE)の頻度は両群で大差なく、ivonescimab群でVEGFに関連する毒性を認めたが、多くはGrade1~2であった。<結論>化学療法+ivonescimabは進行扁平上皮NSCLCにおいて、有意にPFSを延長し、今後の新規治療になりうる。<コメント>事前に規定された中間解析で観察期間が短いが、PFSは有意に化学療法+免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と比較し延長したことは評価したい。しかしながら、標準治療となるにはOSの延長が必要であり、さらなるフォローアップデータが求められる。2.EGFR-TKI治療後に増悪したEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対する、プラチナ製剤併用化学療法とsacituzumab tirumotecan (sac-TMT)を比較する第III相試験:OptiTROP-Lung04本試験は、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療後の増悪例、もしくは第1、2世代EGFR-TKI治療増悪後にT790M陰性かつEGFR感受性変異陽性例に対して、化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド)とsacituzumab tirumotecan(sac-TMT:TROP2標的抗体薬物複合体[ADC])(5mg/kg IV、Q2W)を比較する第III相試験である。本試験も中国のみで実施された。sac-TMT群、化学療法群にそれぞれ188例ずつ割り付けられた。患者背景は両群でバランスがとれており、初回治療で第3世代EGFR-TKIによる治療を受けた患者は、sac-TMT群/化学療法群で118例(62.8%)/117例(62.2%)、EGFR遺伝子サブタイプはEx19delが106例(56.4%)/118例(62.8%)、L858Rが84例(44.7%)/71例(37.8%)、脳転移ありは33例(17.6%)/36例(19.1%)であった。主要評価項目であるPFSの中央値は、sac-TMT群/化学療法群で8.3ヵ月(95%CI:6.7~9.9)/4.3ヵ月(同:4.2~5.5)であり、sac-TMT群で有意な延長を認めた(HR:0.49[95%CI:0.39~0.62])。さらにOSは、sac-TMT群/化学療法群で未到達(95%CI:21.5~推定不能)/17.4ヵ月(同:15.7~20.4)であり、こちらもsac-TMT群で有意な延長を認めた(HR:0.60[95%CI:0.44-0.82])。ORRはsac-TMT群/化学療法群で60.6%/43.1%(群間差17.0%[95%CI:7.0~27.1])であった。後治療は72.3%/85.5%で実施された。毒性について、有害事象の頻度は両群で差がなく、sac-TMT群の主な有害事象は貧血(85%)、白血球減少(84%)、脱毛(84%)、好中球数減少(75%)、胃炎(62%)であった。眼関連の有害事象を9.6%に認めたが多くはGrade1~2であり、ILDは認めなかった。<結論>sac-TMTはEGFR-TKI治療後に増悪した進行EGFR遺伝子変異陽性NSCLCにおいて、化学療法と比較してPFS、OSを延長し有望な治療選択となる。<コメント>中国のみで実施された第III相試験で、薬剤の承認にglobal試験の必要性が問われる。今後は同対象への初回治療での試験が進行中であり、進行EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの初回治療は目まぐるしく変わっていくと予想される。ドライバー陰性切除不能StageIII NSCLC3.切除不能StageIII NSCLCに対する、プラチナ同時併用放射線治療後のデュルバルマブとアテゾリズマブ+tiragolumabを比較する第III相試験:SKYSCRAPER-03本試験は、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子異常を除く、切除不能StageIII NSCLCに対して、化学放射線治療(CRT)後に、標準治療であるデュルバルマブ群と試験治療群であるアテゾリズマブ+tiragolumab群を比較する第III相試験である。アテゾリズマブ+tiragolumab群/デュルバルマブ群にそれぞれ413/416例が割り付けられ、患者背景は両群でバランスがとれていた。白人は55.7%/59.6%、PD-L1<1%は49.4%/49.5%、1~49%は25.7%/28.1%、≧50%は24.9%/22.4%、扁平上皮がんは59.1%/59.9%であった。主要評価項目であるPD-L1≧1%集団のPFSの中央値は、アテゾリズマブ+tiragolumab群/デュルバルマブ群で19.4ヵ月/16.6ヵ月(HR:0.96[95%CI:0.75~1.23]、p=0.7586)、副次評価項目であるOSの中央値はアテゾリズマブ+tiragolumab群/デュルバルマブ群で未到達/54.8ヵ月(HR:0.99(95%CI:0.73~1.34)であり、いずれもアテゾリズマブ+tiragolumab群は延長を示せなかった。毒性については、両群で有害事象の頻度に差がなく、アテゾリズマブ+tiragolumab群で掻痒感、皮疹などが多く認められた。<結語>本試験は主要評価項目であるPFSの延長を示せず、新規治療とはならなかった。毒性は新規プロファイルのものはなかった。<コメント>2018年にCRT後のデュルバルマブが標準治療として確立されて7年経過するが、新規治療法の承認がされていない。近年、術前導入化学免疫療法が良好な成績を示しており、StageIII NSCLCの治療戦略は大きく変化している。SCLC4.ED-SCLCに対するプラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬+タルラタマブの治療成績:DeLLphi-303(パート2、4、7)初回治療としてプラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬(アテゾリズマブまたはデュルバルマブ)の併用療法を1サイクル実施したED-SCLC患者を対象に、導入療法と維持療法へのタルラタマブ上乗せの安全性、有効性を確認する第Ib相試験(パート2、4、7)が実施された。96例が登録され、PD-L1阻害薬の内訳はアテゾリズマブ56例(58.3%)、デュルバルマブ40例(41.7%)であった。全体で男性が67%、アジア人が16%、白人が74%、非喫煙者が7%であった。全体で、タルラタマブ開始時からのORR、奏効期間中央値はそれぞれ71%、11.0ヵ月であった。OS中央値は未到達で、1年OS割合は80.6%であった。毒性について、サイトカイン放出症候群(CRS)と免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は、いずれもサイクル1での発現が多く、ほとんどがGrade1/2であった。タルラタマブに関連した死亡は認められていない。<結論>標準治療であるプラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬および維持療法としてのPD-L1阻害薬へのタルラタマブ上乗せは、有望な治療成績を示した。現在、初回治療におけるプラチナ製剤+エトポシド+デュルバルマブおよび維持療法としてのデュルバルマブと比較するDeLLphi-312試験(NCT07005128)が進行中である。<コメント>タルラタマブは2次治療、初回治療へ順次適応範囲を広げていく予定である。初回治療での化学療法+PD-L1阻害薬との併用は、有効性、安全性ともに問題なく、第III相試験の結果が待たれる。ADC製剤の開発も盛んに行われており、SCLCも治療が数年で目まぐるしく変わっていくと予想される。

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75歳以上のNSCLC、術前ICI+化学療法は安全に実施可能?(CReGYT-04 Neo-Venus副次解析)/日本肺癌学会

 StageII~IIIの切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、ニボルマブ+化学療法による術前補助療法が2023年3月より使用可能となった。そこで、実臨床におけるニボルマブ+プラチナ併用化学療法による術前補助療法の安全性・有効性を検討する多施設共同後ろ向き観察研究「CReGYT-04 Neo-Venus」が実施された。本研究では、第III相試験「CheckMate-816試験」と一貫した安全性が示され、実行可能であることが報告された1)。 ただし、実臨床における肺がん手術例の約半数は75歳以上の高齢者である。また、高齢者を対象に、免疫チェックポイント阻害薬+化学療法による術前補助療法の安全性・有効性を検討した報告はない。そこでCReGYT-04 Neo-Venusの副次解析として、75歳以上の高齢者における安全性・有効性に関する解析が実施された。本解析結果を松原 太一氏(九州大学病院 呼吸器外科)が、第66回日本肺癌学会学術集会で発表した。 対象は、ニボルマブ+プラチナ併用化学療法による術前補助療法を1サイクル以上受けた切除可能StageII~III NSCLC患者131例。このうち、登録時に術前補助療法を実施中であった1例を除外した130例を解析対象とした。解析対象患者を年齢で2群(75歳以上:28例/75歳未満:102例)に分類し、患者背景や治療成績を比較した。 主な結果は以下のとおり。・患者背景について、75歳以上の高齢群は非高齢群と比較して、男性が少ない(67.9%vs.87.3%)、他がんの既往ありが多い(32.1%vs.11.8%)という特徴があった。糖尿病や冠動脈疾患などの合併症については、2群間で差はみられなかった。臨床的StageやPD-L1発現状況についても2群間で差はみられなかった。・化学療法の種類について、高齢群はカルボプラチンベースのレジメンが多かった(96.4%vs.75.5%)。・術前補助療法の完遂割合は高齢群92.9%、非高齢群84.3%であった。・術前補助療法の奏効割合は高齢群68%、非高齢群66%であり、病勢コントロール割合はそれぞれ100%、96%であった。・術前補助療法におけるGrade3以上の治療関連有害事象は高齢群35.7%、非高齢群27.5%に発現した。全Gradeの免疫関連有害事象は高齢群7.1%、非高齢群25.5%に発現し、高齢群のほうが少なかった(p=0.0393)。・手術実施割合は高齢群92.9%(予定症例3.6%を含む)、非高齢群91.5%(同2.9%を含む)であった。非実施割合はそれぞれ7.1%(病勢進行1例、AE 1例)、8.8%(病勢進行4例、患者拒否2例、AE 1例、その他2例)であった。・手術実施例におけるR0切除割合は高齢群96.0%、非高齢群98.9%であった。・病理学的完全奏効(pCR)割合は高齢群20.8%、非高齢群39.3%であり、病理学的奏効(MPR)割合はそれぞれ54.2%、60.7%であった。 本結果について、松原氏は「pCR、MPR割合は非高齢群と比較するとやや低いものの、臨床試験の結果と比較しても全体的に良好な結果であった」と考察し「高齢者に対するニボルマブ+化学療法による術前補助療法は忍容性があり、病理学的奏効も期待できる治療であると考えられる。今後は長期フォローアップでの有効性の検討や、他の術前・術後補助療法の忍容性・有効性の検討も必要である」とまとめた。

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既治療のEGFR陽性NSCLC、sac-TMTがOS改善(OptiTROP-Lung04)/NEJM

 上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による前治療後に病勢が進行したEGFR遺伝子変異陽性の進行・転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)において、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)はペメトレキセド+白金製剤ベースの化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)とともに全生存期間(OS)をも改善し、新たな安全性シグナルの発現は認められなかった。中国・Guangdong Provincial Clinical Research Center for CancerのWenfeng Fang氏らが、第III相試験「OptiTROP-Lung04試験」の結果で示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年10月19日号に掲載された。中国の無作為化試験 OptiTROP-Lung04試験は、中国の66施設で実施した非盲検無作為化試験であり、2023年7月~2024年4月に参加者のスクリーニングが行われた(Sichuan Kelun-Biotech Biopharmaceuticalの助成を受けた)。 年齢18~75歳、局所進行(StageIIIBまたはIIIC)または転移のある(StageIV)の非扁平上皮NSCLCと診断され、治癒切除術または根治的化学放射線療法が非適応で、EGFR変異(exon19delまたはexon21 L858R置換)陽性であり、1次または2次治療においてEGFR-TKI(第1・2世代はT790M変異陰性例、第3世代はT790M変異の有無を問わない)の投与を受けたのち病勢が進行した患者376例(年齢中央値60歳[範囲:31~75]、男性39.6%)を対象とした。  参加者を、sac-TMT群(188例)またはペメトレキセド+白金製剤ベースの化学療法群(188例)に無作為に割り付けた。sac-TMT群は、28日を1サイクルとして1および15日目に5mg/kg体重を静脈内投与した。化学療法群は、21日を1サイクルとして1日目にペメトレキセド(500mg/m2体表面積)+担当医の選択によりカルボプラチン(AUC 5mg/mL/分)またはシスプラチン(75mg/m2)の投与を最大で4サイクル行い、その後ペメトレキセドによる維持療法を施行した。客観的奏効割合、奏効期間も優れる 登録時に、74.5%が非喫煙者で、97.6%がStageIVであった。全身状態の指標(ECOG PSスコア)は、0が20.7%、1が79.3%で、94.7%が前治療で第3世代EGFR-TKIの投与(62.5%は1次治療として)を受けていた。  追跡期間中央値18.9ヵ月の時点における、独立審査委員会が盲検下に評価したPFS中央値(主要エンドポイント)は、化学療法群よりもsac-TMT群で延長した(8.3ヵ月vs.4.3ヵ月、病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.39~0.62)。12ヵ月時のPFS率は、sac-TMT群が32.3%、化学療法群は7.9%だった。  また、OS中央値(主な副次エンドポイント)は、化学療法群が17.4ヵ月であったのに対し、sac-TMT群は推定不能(95%CI:21.5~推定不能)であり有意に優れた(死亡のHR:0.60、95%CI:0.44~0.82、両側p=0.001)。18ヵ月時のOS率は、sac-TMT群が65.8%、化学療法群は48.0%だった。  独立審査委員会が盲検下に評価した客観的奏効(完全奏効+部分奏効)の割合は、sac-TMT群が60.6%、化学療法群は43.1%であった(群間差:17.0%ポイント、95%CI:7.0~27.1)。奏効期間中央値はそれぞれ8.3ヵ月および4.2ヵ月であり、奏効期間中央値が1年以上の患者の割合は36.3%および8.1%だった。口内炎が高頻度に sac-TMT関連の新たな安全性シグナルは認めなかった。Grade3以上の治療関連有害事象は、sac-TMT群で58.0%、化学療法群で53.8%に発現し、最も頻度が高かったのは好中球数の減少(39.9%、33.0%)であった。Grade3以上の貧血(11.2%vs.14.3%)、血小板減少(2.1%vs.16.5%)はsac-TMT群で少なく、重篤な治療関連有害事象の頻度もsac-TMT群で低かった(9.0%vs.17.6%)。また、sac-TMT群では、治療関連有害事象による投与中止の報告はなかった。  とくに注目すべき薬剤関連有害事象については、sac-TMT群で口内炎(64.4%vs.4.9%)の頻度が高かった。sac-TMT群の口内炎の内訳は、Grade1が42例(22.3%)、同2が70例(37.2%)、同3が9例(4.8%)で、Grade4/5は認めなかった。19例(10.1%)が口内炎のため減量したが、投与中止例はなく、Grade3の9例はいずれも適切な介入と減量により診断から中央値で10日以内にGrade2以下に改善した。  著者は、「近年の治療の進歩は主に、化学療法と免疫チェックポイント阻害薬、抗血管新生薬、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体、HER3を標的とする抗体薬物複合体を組み合わせた多剤併用療法が中心となっているが、主要な臨床試験ではOSの有益性に関して有意差は達成されていないことから、本試験においてsac-TMTが単剤でOSを有意に改善したことは注目に値する」「EGFR-TKI抵抗性のNSCLCでは、ペメトレキセド+白金製剤ベースの化学療法の前に、sac-TMTが考慮すべき好ましい治療選択肢となる可能性がある」としている。

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EGFR陽性NSCLCへのオシメルチニブ+化学療法、日本人でもOS良好(FLAURA2)/日本肺癌学会

 国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」において、EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法はオシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善したことが報告されている1)。ただし、本試験のサブグループ解析において、中国人を除くアジア人集団のOSのハザード比(HR)は1.00(95%信頼区間[CI]:0.71~1.40)であったことから、日本人集団の結果が待ち望まれていた。そこで、第66回日本肺癌学会学術集会において、小林 国彦氏(埼玉医科大学国際医療センター)が本試験の結果を報告するとともに、日本人集団のOS解析結果を報告した。また、本報告の追加資料において、日本人集団の患者背景とPFS解析結果も示された。試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験対象:EGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失/L858R)でStageIIIB、IIIC、IVの未治療の非扁平上皮NSCLC成人患者557例試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+化学療法(ペメトレキセド[500mg/m2]+シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチン[AUC 5]を3週ごと4サイクル)→オシメルチニブ(80mg/日)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごと(併用群、279例)対照群:オシメルチニブ(80mg/日)(単独群、278例)評価項目:[主要評価項目]RECIST 1.1を用いた治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OSなど 既報の主要な結果は以下のとおり。・OS中央値(併用群vs.単独群)47.5ヵ月vs.37.6ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.61〜0.96、p=0.02)・2/3/4年OS率(同上)80%/63%/49%vs.72%/51%/41%・PFS中央値(同上)25.5ヵ月vs.16.7ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49〜0.79、p<0.001)・1/2年PFS率(同上)80%/57%vs.66%/41% 日本人集団の解析結果は以下のとおり。・解析対象は併用群47例、単独群47例であった。男性の割合はそれぞれ34%、51%であり、年齢中央値はそれぞれ68歳(範囲:39~83)、65歳(同:33~79)であった。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、併用群49%/51%、単独群66%/34%であった。・OS中央値は併用群48.3ヵ月、単独群34.3ヵ月であり、日本人集団でも併用群が良好であった(HR:0.60、95%CI:0.36~1.03)。・2年、3年、4年時のOS率は、併用群がそれぞれ85%、65%、52%であり、単独群がそれぞれ65%、41%、33%であった。・PFS中央値は併用群24.8ヵ月、単独群16.4ヵ月であり、日本人集団でも併用群が良好であった(HR:0.49、95%CI:0.28~0.86)。・1年、2年時のPFS率は、併用群がそれぞれ83%、64%であり、単独群がそれぞれ63%、30%であった。

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