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レポーター紹介2026年2月26~28日に米国・サンフランシスコで開催された2026 ASCO Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU 2026)における重要演題を、がん研有明病院 先端医療開発科の竹村 弘司氏がレビューする。泌尿器腫瘍領域の薬物療法は新規薬剤の開発や臨床応用の発展が目覚ましく、臨床現場における標準治療も大きく変化している。ASCO GU 2026ではPractice changeとなることが期待される重要演題が複数報告されるとともに、バイオマーカー研究や早期臨床開発中の薬剤における重要な知見が共有された。本稿では、臨床医(泌尿器科医、腫瘍内科医)が知っておくべき重要な演題について、私見を交えながら詳細を解説する。ASCO GU 2026の重要演題 One-slide summaryINDEX【腎がん】LITESPARK-011試験【腎がん】LITESPARK-022試験【尿路上皮がん】KEYNOTE-B15 (EV-304)試験【尿路上皮がん】IMvigor011試験 exploratory analysis【前立腺がん】PEACE-3試験【前立腺がん】PAnTHA試験[腎がん 演題1]LITESPARK-011Belzutifan Plus Lenvatinib Versus Cabozantinib for Advanced Renal Cell Carcinoma After Anti-PD-(L)1 Therapy: Open-Label Phase 3 LITESPARK-011 Study1. 背景転移を有する腎細胞がん(mRCC)において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を含む治療が標準治療となった。現在、ICI治療後の後方ラインで用いられている薬剤は、ICI導入前の時代に確立されたエビデンスであるものも多く、現代の治療シークエンスにおける位置付けは十分に確立されていない。ベルズチファンはHIF-2α阻害薬として新たな作用機序を有し、既治療mRCCにおいて有効性が示されている。LITESPARK-011試験は、ICI治療後の進行例を対象に、ベルズチファンとVEGFR-TKIであるレンバチニブの併用療法について、標準治療の1つであるカボザンチニブと比較して、有効性・安全性を検証した第III相試験である。2. 試験デザインデザイン国際多施設共同、オープンラベル、第III相無作為化比較試験対象抗PD-(L)1抗体治療後に進行した局所進行または転移を有する淡明細胞型腎細胞がん(clear cell RCC)(最大2レジメンまで、VEGFR-TKI既治療も許容)介入併用群ベルズチファン120mg+レンバチニブ20mg対照群カボザンチニブ60mg評価項目主要評価項目無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)副次評価項目奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など3. 結果747例が無作為化され、ベルズチファン+レンバチニブ群371例、カボザンチニブ群376例であった。背景因子は両群でおおむね均衡しており、IMDCリスク分類は中間群が約6割を占めた。主要評価項目であるPFS中央値は、併用群14.8ヵ月、対照群10.7ヵ月であり、ハザード比(HR):0.70(95%信頼区間[CI]:0.59~0.84、p=0.00007)と有意な改善が認められた。PFS改善効果は事前に設定されたサブグループ解析でも一貫していた。OSは中間解析時点で、併用群34.9ヵ月、対照群27.6ヵ月であり、HR:0.85(95%CI:0.68~1.05)と改善傾向を示したが、統計学的有意差には至らなかった。ORRは52.6%vs.40.2%と併用群で高かった。安全性プロファイルは既知の各薬剤の毒性とおおむね一致しており、管理可能な範囲であった。ただし、併用療法群で心機能障害が7%(Grade3以上が4.6%)でみられた。4. 結論ベルズチファン+レンバチニブ併用療法は、抗PD-(L)1治療後の進行clear cell RCCにおいて、カボザンチニブと比較してPFSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。OSは未成熟ながら改善傾向を示しており、新たな治療選択肢となる可能性が示された。5. 筆者コメントベルズチファンはLITESPARK-005試験の結果を受けて、後方ライン・単剤での有効性が示され臨床実装されているが、Primary PDの割合が比較的高いこと(約3分の1が初回評価で病勢進行)が課題である。HIF-2α阻害薬の臨床開発において、(1)「より前方ライン」での使用がよいのか、(2)「併用薬剤」はどれが最も効果を最大化するか、というのが現在の大きなClinical questionsである。本試験は、レンバチニブとの併用でカボザンチニブと比較してPFSやORRを改善したことから、サルベージ治療として奏効が期待される後方ラインの選択肢として有望である。ただし、OSの統計学的優位性が現時点で証明されておらず、今後の長期フォローアップデータを確認していく必要がある(現時点では、確固とした標準治療とまでは言えないと考える)。[腎がん 演題2]LITESPARK-022Adjuvant Pembrolizumab Plus Belzutifan Versus Pembrolizumab for Clear Cell Renal Cell Carcinoma: The Randomized Phase 3 LITESPARK-022 Study1. 背景腎摘除後の再発高リスクclear cell RCCに対しては、KEYNOTE-564試験によりペムブロリズマブによる術後補助療法が標準治療として確立されている。LITESPARK-022試験は、術後補助療法としてのペムブロリズマブにベルズチファンを上乗せすることで、治療成績の向上が得られるかを検証した第III相試験である。2. 試験デザインデザイン国際多施設共同、二重盲検、第III相無作為化比較試験対象腎摘除後12週以内の再発中間高リスクclear cell RCC(intermediate-high risk、high risk、M1 NED)介入併用群ペムブロリズマブ400mg(約1年間)+ベルズチファン120mg(最大54週)対照群ペムブロリズマブ+プラセボ評価項目主要評価項目無病生存期間(DFS)副次評価項目OS、安全性など3. 結果1,841例が無作為化され、併用群921例、対照群920例であった。リスク分類は中間・高リスクが約85%、M1 NEDが約9%を占め、両群間で背景は均衡していた。主要評価項目であるDFSはHR:0.72(95%CI:0.59~0.87、p=0.0003)と、併用群で有意な改善が認められた。DFS中央値はいずれの群でも未到達であった。2年時点でのDFSは併用群で80.7%、対照群で73.7%であった。OSは中間解析時点でHR:0.78(95%CI:0.55~1.09)と改善傾向を示したが、統計学的有意差には至っておらず、今後のフォローアップが必要である。安全性については、併用群で有害事象による中止率がやや高い傾向がみられたものの、全体として管理可能な範囲であった。4. 結論ペムブロリズマブにベルズチファンを併用する術後補助療法は、再発高リスクclear cell RCCにおいてDFSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。OSは未成熟であるが改善傾向を示しており、術後補助療法の新たな選択肢となる可能性が示唆された。5. 筆者コメント臨床現場において標準治療として確立されるためには、OSのフォローアップデータの結果がポジティブであることが必要であると考える。HIF-2α阻害薬が術後療法の領域で有効性があることが示唆されたことは非常に興味深い。腎がん領域ではRAMPART試験(デュルバルマブ+トレメリムマブ)のフォローアップデータも期待されており、複数のレジメンが今後使用可能となった場合の治療戦略は混沌としていく可能性がある。[尿路上皮がん 演題1]KEYNOTE-B15 (EV-304)Neoadjuvant and Adjuvant Enfortumab Vedotin Plus Pembrolizumab for Participants With Muscle-Invasive Bladder Cancer Who Are Eligible for Cisplatin: Randomized, Open-Label, Phase 3 KEYNOTE-B15 Study1. 背景筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する標準治療は、シスプラチンを含む術前化学療法後の根治的膀胱全摘除術である。シスプラチン適格患者においては、ゲムシタビン+シスプラチン(GC療法)による術前化学療法が実施されている。一方で、進行・転移を有する尿路上皮がんの領域では、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法(EVP療法)が高い有効性を示し、治療パラダイムを変えた。KEYNOTE-B15試験は、シスプラチン適格MIBC患者を対象に、EVP療法による周術期治療の有効性と安全性を検証した第III相無作為化比較試験である。2. 試験デザインデザイン国際多施設共同、オープンラベル、第III相無作為化比較試験対象シスプラチン適格のMIBC(cT2-T4aN0M0またはT1-4aN1M0)介入併用群EVP 4コース(術前)→膀胱全摘除術→EV 5コース+ペムブロリズマブ13コース(術後)対照群GC 4コース(術前)→膀胱全摘除術(術後は経過観察、ただし2023年2月以降、病理結果に応じて術後ニボルマブが可となった)評価項目主要評価項目無イベント生存期間(EFS)副次評価項目OS、病理学的完全奏効(pCR)、安全性など3. 結果808例が無作為化され、EV+ペムブロリズマブ群405例、GC群403例であった。背景因子は両群で均衡しており、年齢中央値は66歳、ECOG PS 0が約8割、病期はT2N0が約19%、T3/T4aN0が約72%、N1が約8%であった。追跡期間中央値は33.6ヵ月であった。主要評価項目であるEFSは、EVP群で有意な改善が認められた。EFS中央値は併用群で未到達、対照群で48.5ヵ月であり、HRは0.53(95%CI:0.41~0.70、 片側p<0.0001)と、明確なリスク低減が示された。副次評価項目であるOSについても有意な改善が認められた。OS中央値はいずれの群でも未到達であったが、HRは0.65(95%CI:0.48~0.89、片側p=0.0029)であった。pCR率は55.8%vs.32.5%と、併用群で有意に高かった。安全性については、Grade3以上の有害事象は75.7%vs.67.2%と併用群でやや高頻度であったが、既知の安全性プロファイルとおおむね一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。周術期治療の導入による手術完遂率への明らかな悪影響も認められなかった。4. 結論EVP療法による周術期治療は、シスプラチン適格MIBC患者において、従来のシスプラチンベース化学療法と比較してEFS・OSを有意に改善し、主要評価項目を達成した。周術期治療戦略における新たな標準治療となる可能性が示された。5. 筆者コメント本演題の結果はPractice changeであり、ASCO GU 2026の最重要演題である。EVが合計9コース投与されるため、末梢神経障害が懸念される。今後は術後療法が省略できる可能性がないかの検証が必要である。また、EVP療法のような強力な薬物治療が使用可能となったことにより、膀胱温存療法についての研究も今後検証されていくことが予想される。 [尿路上皮がん 演題2]IMvigor011 exploratory analysisCirculating tumor (ct)DNA-guided adjuvant atezolizumab (atezo) in muscle-invasive bladder cancer (MIBC): Exploratory analysis of ctDNA dynamics in the IMvigor011 trial.1. 背景IMvigor011試験は、膀胱全摘後MIBCに対してctDNA陽性例を選択し、術後アテゾリズマブの有効性を検証した第III相試験であり、既報では主要評価項目のDFSおよび主な副次評価項目のOSを達成している。本発表はその探索的解析であり、ctDNA陽性・陰性という二値評価にとどまらず、ctDNA陽性化のタイミングやctDNA濃度、さらに治療中のctDNA clearanceが予後やアテゾリズマブの効果とどのように関係するかを検討した。2. 試験デザイン膀胱全摘後のMIBC患者を対象に、6週ごとにctDNAを測定し、ctDNA陽性となった患者をアテゾリズマブ1,680mg q4w最大1年とプラセボに2対1で無作為化した。ctDNA陰性を1年間維持した患者は無治療経過観察とされた。本探索的解析では、ctDNAの陽性化時期、ctDNA濃度、ctDNA動態などとDFS/OSといった臨床的アウトカムとの関連を解析した。3. 結果761例がsurveillanceに登録され、379例がいずれかの時点でctDNA陽性、377例がpersistent ctDNA陰性であった。ctDNA陽性379例のうち、初回検査で陽性化したのは225例、追跡中に陽性化したのは154例であった。未治療集団において、ctDNA陽性化のタイミングは予後と強く関連した。DFS中央値は、persistent ctDNA陰性群で未到達、初回検査陽性群で6.0ヵ月(95%CI:5.1~6.6)、追跡中陽性化群で11.1ヵ月(95%CI:9.2~13.5)であった。OS中央値はpersistent ctDNA陰性群で未到達、初回検査陽性群で21.9ヵ月(95%CI:15.0~NE)、追跡中陽性化群で35.1ヵ月(95%CI:24.9~NE)であった。すなわち、早期にctDNA陽性となる症例ほど予後不良であった。また、初回ctDNA濃度別のDFS中央値は、≦0.1 MTM/mLで12.2ヵ月、>0.1~≦3 MTM/mLで7.8ヵ月、>3 MTM/mLで5.3ヵ月であり、OS中央値はそれぞれ35.1ヵ月、29.3ヵ月、21.1ヵ月であり、高濃度ctDNAほど予後不良であった。一方、アテゾリズマブの有効性はctDNA陽性化時期や濃度にかかわらず、おおむね一貫していた。全体コホートでDFS中央値は9.9ヵ月vs.4.8ヵ月、DFSはHR:0.64(95%CI:0.47~0.87)であった。初回陽性例ではHR:0.62、追跡中陽性化例ではHR:0.67であり、濃度別でも≦0.1 MTM/mLで0.81、>0.1~≦3 MTM/mLで0.59、>3 MTM/mLで0.47であった。OSについては全体で32.8ヵ月vs.21.1ヵ月、HR:0.67(95%CI:0.44~1.01)で、各サブグループでも大きな方向性の違いはみられなかった。4. 結論IMvigor011の探索的解析により、MIBC術後のctDNAは単なる陽性・陰性だけでなく、陽性化のタイミングと濃度が追加の予後情報を与えることが示された。早期陽性化および高濃度ctDNAはDFS・OS不良と関連し、一方でpersistent ctDNA陰性例はきわめて良好な転帰を示した。また、アテゾリズマブはctDNA陽性化時期や濃度にかかわらず一貫した有効性を示し、さらにctDNA clearanceを促進した。これらの結果は、ctDNA動態を用いたより精緻な術後リスク層別化および治療最適化の可能性を支持する。5. 筆者コメントIMvigor011試験の結果から、ctDNAは尿路上皮がんにおける術後予後因子のみならず、ICIの効果予測因子としても有用であることが示された。今回の探索的解析ではctDNAの「動態」が臨床的アウトカムに関連することが報告された。本邦ではまだ臨床現場での使用ができていないが、今後の尿路上皮がんのバイオマーカーとして広く用いられることが期待されるため、今後もその有用性の研究に注目する必要がある。[前立腺がん 演題1]PEACE-3Final overall survival results from EORTC 1333/PEACE-3: enzalutamide with or without radium-223 in metastatic castration-resistant prostate cancer1. 背景転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、エンザルタミドは1次標準治療の1つである。PEACE-3試験は、骨転移を有するmCRPC患者において、エンザルタミドにRa223を併用することで、エンザルタミド単剤を上回る臨床的有用性が得られるかを検証した第III相試験である。前回の解析では主要評価項目であるrPFS(画像評価PFS)の有意な改善が示されており(ESMO 2024)、本発表では副次評価項目である最終OS解析の結果が報告された。2. 試験デザイン試験デザイン国際多施設共同、無作為化、第III相試験対象骨転移を有するmCRPC、無症候性または軽症候性、WHO PS 0~1、エンザルタミドおよびRa223未治療、内臓転移なし、ADT継続中介入1対1で無作為化治療群エンザルタミド160mg/日+Ra223 55 kBq/kgを4週ごとに6回対照群エンザルタミド160mg/日評価項目主要評価項目rPFS副次評価項目OS、次治療開始までの期間、疼痛進行までの期間、初回症候性骨関連事象までの期間、安全性層別因子 国、疼痛、ドセタキセル既往、骨修飾薬使用、アビラテロン既往※骨修飾薬は試験途中の2018年3月以降、必須となった。3. 結果446例が登録され、エンザルタミド+Ra223群222例、エンザルタミド群224例であった。年齢中央値は両群とも70歳で、PS 0が69%、mHSPC段階でのドセタキセル既往は約30%、骨病変10個以上は約4割、骨外病変を約3分の1に認めた。追跡期間中央値は4.8年であった。最終OS解析では、OS中央値はエンザルタミド+Ra223群38.21ヵ月、エンザルタミド群32.62ヵ月であった。HRは0.76(95%CI:0.60~0.96)で、片側p値はlog-rank 0.0096であり、事前に設定された有意水準(1-sided α=0.0248)を満たした。24ヵ月OS率は71.1%vs.67.7%、36ヵ月OS率は54.2%vs.47.4%であった。なお、生存曲線は18ヵ月付近まで交差がみられたが、その後は併用群で一貫して良好であった。rPFSについても、前回報告と同様に改善が維持されていた。rPFS中央値は19.19ヵ月vs.16.43ヵ月、HR:0.71(95%CI:0.57~0.89)であり、24ヵ月rPFS率は44.1%vs.37.2%であった。安全性について、Grade3~5の試験治療下における有害事象(TEAE)は69.3%vs.57.6%、Grade3~5のdrug-related TEAEは28.9%vs.18.8%であった。発表全体としては、「moderate increase in adverse events」と総括されている。4. 結論PEACE-3試験の最終OS解析により、骨転移を有するmCRPCにおいてエンザルタミドへのRa223追加は、エンザルタミド単剤と比較してOSを有意に改善することが確認された。rPFS改善も維持されており、安全性は一定の上昇を伴うものの管理可能な範囲であった。BPA併用を前提として、エンザルタミド+Ra223はmCRPCの1次治療における有力な選択肢となる可能性が示された。5. 筆者コメントPositive studyであるが、現在の臨床実践ではmHSPCの段階でARSI(新規アンドロゲン受容体シグナル阻害薬)が導入される症例が多く、本試験の適格基準に合致する患者は実際には多くないと思われる。[前立腺がん 演題2]PAnTHAFirst-in-human assessment of actinium-225-PSMA-Trillium (BAY3563254) in mCRPC: dose-escalation results from the phase 1 PAnTHA study1. 背景mCRPCに対する放射性リガンド療法として、β線放出核種である177Lu-PSMA-617の有効性が確立されつつある。一方、α線放出核種である225Acは、より高いlinear energy transferと短い飛程を有し、理論的には強力な抗腫瘍効果と周辺正常組織への影響低減が期待される。PAnTHA試験ではfirst-in-humanである225Ac-PSMA-Trilliumのdose-escalation studyの結果が発表された。2. 試験デザイン試験デザイン第I相、dose-escalation part対象18歳以上、ECOG PS 0~1、mCRPC、PSMA陽性病変を1つ以上有する患者主な適格条件ARPI(アンドロゲン受容体経路阻害薬)既治療、1〜2レジメンのタキサン系薬剤既治療、放射性医薬品(radionuclide therapy)未治療治療225Ac-PSMA-Trilliumを6週ごとに最大4サイクル投与用量75/100/125/150 kBq/kg主要評価項目安全性、有効性、recommended dose for expansion(RDE)の決定3. 結果dose-escalation partでは計50例が登録された。年齢中央値は70.5歳で、骨転移は90%の患者でみられた。追跡期間中央値は7.2ヵ月、80%が4サイクルを完遂し、投与サイクル中央値は4であった。安全性については、全例で何らかのTEAEを認めたが、DLT(用量制限毒性)は全用量レベルで認められなかった。Grade3~4のTEAEは全体で44%に出現し、用量調整は10%、治療中止は6%、治療関連の死亡は認めなかった。発表では「no DLTs or Grade 3 xerostomia」と総括されており、口腔乾燥の重篤例がみられなかった点はα線PSMA治療として注目される。主なGrade3以上の有害事象としてはリンパ球減少と貧血が挙げられた。有効性については、全50例におけるPSA50達成率は62%、PSA90達成率は40%であった。測定可能病変を有する24例におけるORRはCRで42%、DCRで79%であった。用量別では125 kBq/kgが最もバランス良好と判断され、RDEとされた。この125 kBq/kgコホートでは、PSA50達成率83%、PSA90達成率67%、ORRはconfirmed responseのみで43%、confirmed+unconfirmedで71%であった。さらに、ベースラインSUVmeanが高い症例ほど反応率が高く、PSA50達成率はSUVmean ≦6で22%、>6~≦10で57%、>10で93%であった。4. 結論PAnTHA試験は、225Ac-PSMA-TrilliumがmCRPCにおいて良好な忍容性を示し、DLTを認めず、かつ有望な生化学的・画像学的抗腫瘍効果を示すことを初めて報告した。とくに125 kBq/kgは安全性と有効性のバランスに優れ、RDEとして選択された。225Acを用いたPSMA標的α線治療の臨床開発を前進させる重要なfirst-in-humanデータである。5. 筆者コメントPSMA-based therapyは本邦での臨床使用が欧米と比較して遅れをとっている。本試験のように次世代のラジオリガンドが続々と開発されており、今後の動向に注目が必要である。